タッチパネル型情報システムおよびプログラム
【課題】 アプリケーション自体を変更することなく、タッチパネル型情報システムにおける入力操作性を改善する。
【解決手段】 タッチパネル装置における座標入力を入力イベントに変換する座標入力制御部13と、アプリケーションまたはコンポーネントの動作制御を入力イベントに応じて行う基本制御部15と、座標入力制御部13から基本制御部15への入力イベントの出力制御および入力イベントの変換制御の少なくとも一方を行うイベント制御部14とを備える。イベント制御部14は、各アプリケーションまたはコンポーネントに対する各種入力イベントの有効/無効に関する属性情報を識別子に対応付けて登録した定義テーブルを有し、入力イベントが発行された時に識別子取得手段17から得た識別子により前記定義テーブルの属性情報を参照し、当該属性情報に応じて入力イベント制御を行う。
【解決手段】 タッチパネル装置における座標入力を入力イベントに変換する座標入力制御部13と、アプリケーションまたはコンポーネントの動作制御を入力イベントに応じて行う基本制御部15と、座標入力制御部13から基本制御部15への入力イベントの出力制御および入力イベントの変換制御の少なくとも一方を行うイベント制御部14とを備える。イベント制御部14は、各アプリケーションまたはコンポーネントに対する各種入力イベントの有効/無効に関する属性情報を識別子に対応付けて登録した定義テーブルを有し、入力イベントが発行された時に識別子取得手段17から得た識別子により前記定義テーブルの属性情報を参照し、当該属性情報に応じて入力イベント制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面と一体構成されたタッチパネル装置を指やペンでタッチして座標入力することによってアプリケーションの操作を行うような、いわゆるGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)機能を有する情報システムに関し、特に、指タッチ入力が可能な公共端末やノート型パーソナルコンピュータを用いた業務端末で利用される。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイと一体形成されたタッチパネル装置により、アプリケーション画面上にペンや指などを用いて直接座標を入力し、ボタンの押下をしたり図形描画をしたりといったアプリケーション操作を行うことが可能となっている。
【0003】
タッチパネル装置を用いたアプリケーション操作環境の一例を、図8に示す。図8に示す従来の構成では、表示一体型タッチパネル101のタッチパネル装置101aによる座標入力は、座標入力制御部103によりマウスイベントに変換され、基本制御部102の上で動作するアプリケーション104を操作する。なお、基本制御部102は、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)である。具体的には、座標入力制御部103が、タッチパネル装置101aのパネル面にペンや指が触れた時にマウスダウンイベントを発行し、そのままペンや指を動かすとマウスムーブイベントを発行し、ペンや指をパネル面から離すとマウスアップイベントを発行する。
【0004】
これらのイベントをどのように解釈するかは、アプリケーション104次第である。例えば、図9(a)に示すように、ボタン105が存在する座標にマウスダウン/アップイベントが発行されれば、アプリケーション104は、そのボタンが押されたものと解釈する。また、図形描画を行う領域では、図9(b)に示すように、マウスダウンイベントを筆跡の始点として、マウスムーブイベントの系列が筆跡の軌跡を表し、マウスアップイベントで筆跡が終了するように解釈される。
【0005】
このように同じイベントに対して実行される機能が異なるのは、アプリケーション104の制御によるものである。一方、座標入力制御部103は、同じ座標入力に対しては常に同じイベント系列を発行する。このように、同じイベントに対してアプリケーションが異なった処理を実行する例は、例えば特許文献1に開示されている。
【0006】
タッチパネル装置が指や手による入力かペンによる入力かを区別することができ、アプリケーションがそれらの情報を別個に扱うことができる場合には、例えば手や指の入力の直後にペン入力があった場合に、手や指の入力をノイズとみなして無視するというような特別な処理も可能となる(特許文献2参照)。すなわち、指やペン、マウスといった座標入力操作の種類に応じてアプリケーションの処理を変えるという例である。この場合は、図10に示すように、座標入力方法を判定するための入力操作判定手段106をアプリケーション104内に持ち、座標入力制御部103が発行するイベントは、アプリケーション104には依存しない。
【0007】
以上の例は、入力されたイベントに対して実行される機能をアプリケーション104が切り替えるものであるが、アプリケーションの領域ごとに、発行されるイベントの種類や属性を切り替えることもできる(例えば特許文献3参照)。特許文献3には、タッチパネル装置とアプリケーションとの間に仮想フレームを設定し、仮想フレーム上に登録された座標領域ごとに、発行するイベントの種類や属性を変える方法が開示されている。ここで、仮想フレームとは、アプリケーションの座標領域ごとにイベント発行の方法を記述したもので、アプリケーションの中でイベントの解釈を切り替える代わりに、アプリケーションに渡すイベントを、仮想フレームの記述に基づいて切り替えるというものである。
【特許文献1】特開2001−351065号公報
【特許文献2】特開平10−124239号公報
【特許文献3】特開平6−230898号公報(第3〜4ページ、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
マウスイベントにより操作されるアプリケーションでは、機能の実行に不要なイベントは無視するよう設計されることが多い。例えば図9(a)のようなボタン機能を実現するためには、ボタン105が押されたことが分かれば良いので、マウスダウンイベントまたはマウスアップイベントのみが解釈され、マウスムーブイベントは無視される。また誤った座標入力による誤動作を避けるため、マウスムーブイベントが発行されたらボタン入力は無効にする、というような実装もよく用いられる。
【0009】
タッチパネル装置を指で押した場合、指は表面が柔らかく変形しやすいため、一点を押している間でも入力位置が移動することがある。すなわち、図11に示すように、押し始めの状態からさらに指に力が入ると、最も高い圧力のかかっている位置が、押し始めの位置から変化する。そして、指の力が弱まると、最も高い圧力のかかっている位置は、押し始めの位置へ戻る。そのため、意図しないマウスムーブイベントが発行され、マウスダウン/アップイベントが無効になることがある。つまり、ユーザが画面上のボタンを押しても、ボタン押下による機能が動作しないという問題が生ずる。
【0010】
以上の問題を回避するためには、アプリケーションがマウスムーブイベントを無視すれば良いが、アプリケーション自体に手を加えることができない場合も多い。そこで、座標入力制御部を、マウスムーブイベントを発行しないよう設定することがある。しかし、マウスムーブイベントが発行されないと、文字や図形の描画や手書きによるジェスチャ機能が使えなくなる。
【0011】
特許文献3で開示された技術を用いれば、アプリケーションの座標領域によって発行するイベントを切り替えることができる。しかし、特許文献3の技術によると、発行するイベントの種類や属性を、アプリケーションが設定する必要がある。すなわち、実行中にアプリケーションの画面デザインが変わったり、領域の属性が変化したりした場合には、いちいちアプリケーションが情報を更新しなければならない。すなわちアプリケーション自体の機能を指入力に対応するよう拡張する必要があり、アプリケーション自体に手を加えることができない場合には適用が難しい。
【0012】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案するものであり、アプリケーション自体を変更することなく、タッチパネル型情報システムにおける入力操作性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明にかかるタッチパネル型情報システムは、アプリケーションの動作ウィンドウを表示する画面を有する表示装置と、前記表示装置の画面と一体に構成され、ペンまたは指によるタッチで座標入力が可能なタッチパネル装置と、前記タッチパネル装置における座標入力を入力イベントに変換する座標入力制御部と、アプリケーションまたはコンポーネントを動作させ、入力イベントに基づいてアプリケーションまたはコンポーネントの動作制御を行う基本制御部と、前記座標入力制御部と前記基本制御部との間で、前記座標入力制御部から前記基本制御部への入力イベントの出力制御および入力イベントの変換制御の少なくとも一方を含む入力イベント制御を行うイベント制御部とを備え、前記基本制御部は、前記表示装置の画面上の座標情報を与えると、当該座標に表示されている動作ウィンドウのアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得して前記イベント制御部へ出力する識別子取得手段を含み、前記イベント制御部は、前記基本制御部において動作可能なアプリケーションまたはコンポーネントの各識別子に対応付けて、各アプリケーションまたはコンポーネントに対する各種入力イベントの有効/無効に関する属性情報を予め登録した定義テーブルを有し、前記座標入力制御部から入力イベントが発行された時に前記識別子取得手段から得られた識別子に基づいて前記定義テーブルの属性情報を参照し、当該属性情報に応じて前記入力イベント制御を行うことを特徴とする。なお、「ペン」とは、タッチパネル装置において座標を指定するためのペン状の器具を意味する。
【0014】
座標入力制御部により発行された入力イベントは、一旦イベント制御部に渡される。イベント制御部は、必要であれば適当なイベント変換処理を行うと共に、当該入力イベントを基本制御部へ出力するか否かの制御も、必要に応じて行う。また、イベント制御部は、入力座標位置に表示されているアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を識別子取得手段から取得し、識別子の種類に応じて、入力イベント制御の内容を切り替える。これにより、例えば、あるアプリケーション(またはコンポーネント)ではムーブイベントを無効とし、別のアプリケーションでは有効にする、というような制御を、アプリケーション外部のイベント制御部から行うことができる。従って、アプリケーション自体を変更することなく、タッチパネル型情報システムの入力操作性を向上させることができる。
【0015】
本発明にかかるタッチパネル型情報システムにおいて、前記イベント制御部は、前記ダウンイベントが発行された時に前記識別子取得手段から得られた識別子に対応する属性情報がムーブイベント無効を表している場合は、当該ダウンイベント以降アップイベントまでのムーブイベントを前記基本制御部へ出力せず、それ以外の場合は、前記座標入力制御部から取得した入力イベントをそのまま前記基本制御部へ出力することが好ましい。なお、「それ以外の場合」とは、例えば、識別子取得手段から得られた識別子に対応する属性情報がムーブイベント有効を表している場合、または、前記定義テーブルに該当する識別子がない場合、などである。
【0016】
本発明にかかるタッチパネル型情報システムにおいて、前記タッチパネル装置への座標入力が指によるものか指以外の手段によるものかを判定する入力操作判定部をさらに備え、前記イベント制御部は、前記入力操作判定部により前記座標入力が指以外の手段によると判定された場合は、入力イベントをそのまま前記基本制御部へ出力することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、指による入力の場合は、例えば、ドラッグコマンド(ムーブイベント)のオン/オフ制御を行うが、指以外による入力の場合は、従来通りにマウス互換コマンドを生成するというような入力イベント制御を行うことが可能となる。これにより、指入力を行っていないユーザにとっての操作性が従来と変更されないよう制御することが可能となる。
【0018】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかるプログラムは、アプリケーションの動作ウィンドウを表示する画面を有する表示装置と、前記表示装置の画面と一体に構成され、ペンまたは指によるタッチで座標入力が可能なタッチパネル装置と、前記タッチパネル装置における座標入力を入力イベントに変換する座標入力制御部と、アプリケーションまたはコンポーネントを動作させ、入力イベントに基づいてアプリケーションまたはコンポーネントの動作制御を行う基本制御部とを備えたタッチパネル型情報システムであって、前記基本制御部が、前記表示装置の画面上の座標情報を与えると、当該座標に表示されている動作ウィンドウのアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得して前記イベント制御部へ出力する識別子取得手段を含むタッチパネル型情報システムにおいて、前記座標入力制御部と前記基本制御部との間で、前記座標入力制御部から前記基本制御部への入力イベントの出力制御および入力イベントの変換制御の少なくとも一方を含む入力イベント制御を行うイベント制御部を実現するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムであって、前記座標入力制御部からダウンイベントが発行された時に、前記識別子取得手段からアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得するステップと、前記基本制御部において動作可能なアプリケーションまたはコンポーネントの各識別子に対応付けて、各アプリケーションまたはコンポーネントに対する各種入力イベントの有効/無効に関する属性情報を予め登録した定義テーブルを参照し、前記ステップで取得された識別子に対応する属性情報を取得するステップと、前記ステップで取得した属性情報に応じて、当該ダウンイベント以降の入力イベント制御を行うステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、ペンや指タッチによる座標入力によってアプリケーションを操作するタッチパネル型情報システムにおいて、アプリケーション自体への修正ができない場合に、指入力等による操作失敗を抑制して使い勝手を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムは、図1に示すように、フラットパネルディスプレイで構成される表示装置11の表示面にタッチパネル装置12が組み込まれた、表示一体型タッチパネル10を入出力デバイスとするコンピュータである。具体的な例としては、金融機関や店舗等に設置される現金自動預け払い機、公共スペース等に設置される情報端末や受付端末、切符や各種チケット類の券売機等の他に、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA等が挙げられる。なお、本発明はこれらの具体例にのみ限定されず、タッチパネル装置を備えた任意の情報処理装置に本発明を適用することができる。タッチパネル装置12としては、ペンや指でパネル表面に接触した際の圧力を検知する抵抗膜方式タッチパネル、指や専用ペンの電気容量を利用してパネル表面への接触を感知する容量結合方式タッチパネルなど、任意の種類のタッチパネルを用いることができる。
【0022】
また、本実施形態のタッチパネル型情報システムは、基本制御部15を備えている。基本制御部15は、CPUやメモリ等(いずれも図示せず)の周知のコンピュータハードウェアと、当該コンピュータハードウェアにより実行されるオペレーティングシステムとの協同によって実現される。基本制御部15の制御の下で、アプリケーション16が実行される。アプリケーション16は、前記メモリに格納されたコンピュータプログラムを前記CPUが実行することにより、例えば、表示一体型タッチパネル10からの入力データに応じて様々な処理を行い、処理結果を表示一体型タッチパネル10へ出力する。なお、本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムでは、複数のアプリケーション16からユーザが任意のアプリケーションを選択して動作させることが可能である。また、複数のアプリケーションを起動し、複数のウィンドウで並列に実行することも可能である。
【0023】
表示一体型タッチパネル10と基本制御部15との間には、座標入力制御部13およびイベント制御部14が設けられている。座標入力制御部13およびイベント制御部14は、前記オペレーティングシステムとは独立してCPUにより実行されるソフトウェアまたはドライバとして実装される。
【0024】
図2は、座標入力制御部13の動作を示すフローチャートである。座標入力制御部13は、タッチパネル装置12から座標データが入力されると(ステップS1)、タッチパネル装置12への座標データ入力装置(ペン)がON状態かOFF状態かを判定する(ステップS2)。本実施形態では、座標データ入力装置にボタンが設けられており、ユーザがペン入力する場合に、ボタンを押した状態(ON状態)または押さない状態(OFF状態)を切り替えることにより、ダウン、アップ、ドラッグ等のジェスチャを使い分けることができる。
【0025】
すなわち、座標データの入力があったときにボタンがOFFであり(ステップS2の結果がN)、その直前の入力時もボタンがOFFであった場合(ステップS3の結果がN)は、座標入力制御部13は、その座標データを無視する。直前の入力時にボタンがONであれば(ステップS3の結果がY)、座標データがONからOFFへ変化した点であるので、座標入力制御部13はアップコマンドを生成する(ステップS4)。一方、座標データの入力があったときにボタンがONである場合(ステップS2の結果がY)は、直前の入力時にボタンがOFFであれば(ステップS5の結果がN)、座標入力制御部13はダウンコマンドを生成する(ステップS6)。直前の入力時にボタンがONであれば(ステップS5の結果がY)、座標入力制御部13はドラッグコマンドを生成する(ステップS7)。
【0026】
以上のステップS4,S6,S7でそれぞれ生成されたコマンドは、座標入力制御部13からイベント制御部14へ入力イベントとして送られる。
【0027】
次に、イベント制御部14の動作について、図3を参照しながら説明する。図3は、イベント制御部14の概略動作を示すフローチャートである。イベント制御部14は、座標入力制御部13から入力イベントが送られると(ステップS11)、入力イベントの種類を調べる(ステップS12)。そして、入力イベントがマウスムーブ(ドラッグコマンド)である場合は(ステップS12でY)、イベント制御部14は、基本制御部15の上で動作する識別子取得手段17からアプリケーション識別子を取得し(ステップS13)、取得した識別子に基づいて当該アプリケーションの属性を調べる(ステップS14)。
【0028】
アプリケーションの属性は、イベント制御部14の内部に保持された定義テーブルによって判断する。定義テーブルの一例を、図4に示す。なお、図4に示した定義テーブルでは、アプリケーションを一意に特定するための識別子と、当該アプリケーションについてマウスムーブが有効であるか否かを表す属性フラグとが格納されている。図4において、マウスムーブ属性の欄が“不可”であれば当該アプリケーションについてはマウスムーブ(ドラッグ)は不可であり、マウスムーブ属性の欄が“可能”であればマウスムーブは可能であるとされる。なお、実際の定義テーブルの形式はこの例に限定されず、識別子と属性フラグ以外の情報を含んでも良いし、アプリケーション識別子や属性フラグの形式も任意である。なお、ここでは「マウス」ムーブと称するが、これは、タッチパネル装置12に対するペンまたは指入力によってマウス操作を模していることを表すに過ぎず、実際にマウスを使用しているわけではない。
【0029】
また、例えば図4の定義テーブルにおいて、“AAAA”の識別子を有するアプリケーションは、マウスムーブが不可となっている。すなわち、このアプリケーションのウィンドウ内でマウスムーブがあったとしても、そのマウスムーブが当該アプリケーションに影響を及ぼすべきではない。また、図4の定義テーブルにおいて、“BBBB”の識別子を有するアプリケーション(例えば描画機能等を有するアプリケーションである)は、マウスムーブが可能である。
【0030】
従って、ステップS13で取得された識別子に対応するアプリケーションのマウスムーブが定義テーブル上で不可に設定されていれば(ステップS14の結果がY)、イベント制御部14は、基本制御部15へ何も出力しない。これにより、入力されたマウスイベントは無視されることとなる。一方、入力されたイベントがマウスムーブ(ドラッグ)以外であった場合(ステップS12の結果がN)、または、識別子に対応するアプリケーションのマウスムーブが可能と設定されていた場合(ステップS14の結果がN)には、イベント制御部14は、座標入力制御部13から入力されたイベントを、そのまま基本制御部15へ出力する。なお、ステップS14において、ステップS13で取得した識別子が定義テーブルに無い場合も、座標入力制御部13から入力されたイベントを、そのまま基本制御部15へ出力する。
【0031】
なお、識別子取得手段17は、一般に、基本制御部15(オペレーティングシステム)の機能として実装されている。より具体的には、例えば、基本制御部15に定義されているAPI関数を呼ぶことによって実現できる。
【0032】
本実施形態では、アプリケーション識別子は識別子取得手段17により、当該アプリケーションの実行時に取得される。そのため、アプリケーション実行中にその画面デザインやマウスムーブ属性が変更されても、イベント制御部14の定義テーブルが更新されれば、変更前と同じ効果が得られる。
【0033】
なお、本実施形態では、入力イベントがマウスムーブであった場合、特定のアプリケーションに対してマウスムーブを出力しない例を説明した。しかし、本発明はこの例にのみ限定されず、例えば、アプリケーションの種類によっては、マウスダウンイベントの後の入力イベントがマウスムーブであった場合に、イベント制御部14が、一連のマウスムーブイベントをマウスアップイベントへ変換する処理を行っても良い。
【0034】
以上のとおり、本実施形態によれば、マウスムーブを受け付けないアプリケーションに対しては、指タッチによる入力操作時に、ユーザの意図に反して、マウスムーブイベントが発生したとしても、マウスムーブを受け付けないアプリケーションに対しては、イベント制御部14が、当該マウスムーブイベントを出力しないようになっている。これにより、指による入力操作時の誤動作を効果的に防止できる。また、イベント制御部を座標入力制御部と基本制御部との間に設けたことにより、アプリケーションに変更を加える必要がない。従って、アプリケーション自体に修正を加えることができない場合でも、タッチパネル型情報システムの操作性を向上させることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
本発明にかかる他の実施形態について以下に説明する。
【0036】
ユーザが、指タッチにより入力操作を行う場合の課題は、図11を参照しながら前述したとおりである。しかし、ユーザがペンやマウスを使って入力操作を行う場合には、この課題は生じない。従って、指タッチ以外の手段による入力操作に対しては、従来の操作性を変更しないことが望ましい。そのため、本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムでは、ユーザが、マウスやペン、指など、どのような座標入力手段を用いているかにより、イベント制御部の入力イベント制御を切り替える。例えば、指タッチによる座標入力の場合は、第1の実施形態と同様の入力イベント制御を行い、指タッチ以外の手段(ペンなど)による入力操作の場合は、入力イベントを変換せずにそのまま基本制御部15へ出力する。
【0037】
ここで、本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムの概略構成について、図5を参照しながら説明する。図1と図5とを比較することから分かるように、本実施形態のタッチパネル型情報システムは、図1に示した構成に、入力操作判定手段18を追加した構成である。
【0038】
入力操作判定手段18は、タッチパネル装置12に対する座標入力が指によるものか、あるいは指以外の手段(ペンやマウスなど)によるものかを判定する。タッチパネル装置12が、専用ペンを用いる容量結合方式タッチパネルである場合は、ペン先がタッチパネル表面に触れたことを判定することが可能であるため、入力操作が専用ペンによるものか否かを判定することができる。
【0039】
また、電磁誘導型タブレット装置は専用ペンでしか入力操作はできないが、タッチパネル装置12を、電磁誘導型タブレット装置の表面に抵抗膜式タッチパネルを重ねた構成とすれば、ペンと指との双方での入力操作が可能である。また、入力操作が専用ペンによるものであるか指によるものであるかを判定できる。
【0040】
その他に、入力操作に用いられているペンや指の太さを検知することが可能なタッチパネル装置も知られており(例えば特開平9−319501号公報、特開平11−110116号公報参照)、タッチパネル装置12としてこのような装置を用いれば、入力操作に用いられている手段の太さを検知することにより、当該手段がペンなのか指なのかを判定することが可能である。
【0041】
本実施形態のイベント制御部14は、入力操作判定手段18によって判定された入力操作の種類に応じて、座標入力制御部13からの入力イベントに対する制御内容を異ならせる。イベント制御部14の動作を図6のフローチャートに示す。図6のフローチャートは、図3に示した第1の実施形態にかかるイベント制御部の処理に、入力操作が指であるか否かの判定ステップ(ステップS21)を加えたものである。これにより、入力操作が指によるものである場合には、第1の実施形態と同様の入力イベント制御を行い、入力操作が指以外によるものである場合は、座標入力制御部13からの入力イベントを変換せずにそのまま基本制御部15へ出力する(ステップS15)。
【0042】
以上のとおり、本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムによれば、指入力による操作性が改善されると共に、指以外の手段(ペンまたはマウス)による入力操作の場合は従来どおりの操作性を維持することにより、より操作性に優れたタッチパネル型情報システムを提供できる。
【0043】
(第3の実施形態)
本発明のさらに他の実施形態について以下に説明する。
【0044】
本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムは、イベント制御部が、コンポーネント単位で入力イベント制御を行うものである。ここで、コンポーネントとは、アプリケーションを実装する際に用いるソフトウェア部品であり、一般的には、例えばボタンやテキストボックスなど、様々なアプリケーションで共通して使われる汎用部品である。基本制御部がこれらのコンポーネントの識別子を取得する機能を提供している場合、アプリケーションの内部の部分領域(コンポーネント)ごとに、イベント制御部による入力イベント制御の内容を異ならせることが可能になる。
【0045】
本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムの概略構成は、第1の実施形態(図1参照)と同様である。ただし、イベント制御部14が有する定義テーブルの内容は、例えば、図7に示すように、コンポーネント単位に識別子および属性情報が格納されたものとなる。図7に示した例では、「ボタン」および「ウェブブラウザ」という識別子で特定されるコンポーネントについてはマウスムーブが不可であり、「エディットボックス」および「スクロールバー」という識別子で特定されるコンポーネントについては、マウスムーブが可能である。なお、図7は、定義テーブルの内容を概念的に表したものであり、実際に定義テーブルに登録されるデータフォーマットは、この例に限定されない。
【0046】
なお、イベント制御部14における、マウスムーブ属性に応じた入力イベント制御の内容は、第1の実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。
【0047】
以上のように、本発明によれば、指によるタッチ入力が可能なタッチパネル装置によりGUIアプリケーションを指で操作した場合に、指による座標入力の誤差によって生ずるボタンの押し損ないなどの入力ミスを軽減することができる。同時に、文字や図形の筆記入力やジェスチャその他のドラッグ操作によるアプリケーション操作も、従来と同様に行うことができる。
【0048】
以上の効果は、公共の情報端末や受付端末など指によるタッチ入力が使われている場面で、文字や図によるメッセージを入力したり、文字認識によってテキストを入力したりといった新たな機能を実現する場合に重要である。また、タッチパネルを搭載したノート型パーソナルコンピュータなどの情報処理端末において、指によるボタン入力と筆記入力とが共に使われるような場合にも有用である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば、現金自動預け払い機、公共情報端末や受付端末、券売機、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA等の、タッチパネル装置を備えた任意のタッチパネル型情報システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムの概略構成を示すブロック図
【図2】第1の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムの入力制御部の概略動作を示すフローチャート
【図3】第1の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムのイベント制御部の概略動作を示すフローチャート
【図4】第1の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムのイベント制御部が有する定義テーブルの内容例を示す説明図
【図5】本発明の第2の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムの概略構成を示すブロック図
【図6】第2の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムのイベント制御部の概略動作を示すフローチャート
【図7】第3の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムのイベント制御部が有する定義テーブルの内容例を示す説明図
【図8】従来のタッチパネル型情報システムの一例の概略構成を示すブロック図
【図9】タッチパネル装置に対するコマンド入力の様子を示す模式図であり、(a)はボタン押下の場合、(b)は描画の場合を示す。
【図10】従来のタッチパネル型情報システムの他の例の概略構成を示すブロック図
【図11】指タッチによる座標入力時に座標位置がずれる様子を示す説明図
【符号の説明】
【0051】
10 表示一体型タッチパネル
11 表示装置
12 タッチパネル装置
13 座標入力制御部
14 イベント制御部
15 基本制御部
16 アプリケーション
17 識別子取得手段
18 入力操作判定手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示画面と一体構成されたタッチパネル装置を指やペンでタッチして座標入力することによってアプリケーションの操作を行うような、いわゆるGUI(グラフィカル・ユーザ・インタフェース)機能を有する情報システムに関し、特に、指タッチ入力が可能な公共端末やノート型パーソナルコンピュータを用いた業務端末で利用される。
【背景技術】
【0002】
近年、フラットパネルディスプレイと一体形成されたタッチパネル装置により、アプリケーション画面上にペンや指などを用いて直接座標を入力し、ボタンの押下をしたり図形描画をしたりといったアプリケーション操作を行うことが可能となっている。
【0003】
タッチパネル装置を用いたアプリケーション操作環境の一例を、図8に示す。図8に示す従来の構成では、表示一体型タッチパネル101のタッチパネル装置101aによる座標入力は、座標入力制御部103によりマウスイベントに変換され、基本制御部102の上で動作するアプリケーション104を操作する。なお、基本制御部102は、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)である。具体的には、座標入力制御部103が、タッチパネル装置101aのパネル面にペンや指が触れた時にマウスダウンイベントを発行し、そのままペンや指を動かすとマウスムーブイベントを発行し、ペンや指をパネル面から離すとマウスアップイベントを発行する。
【0004】
これらのイベントをどのように解釈するかは、アプリケーション104次第である。例えば、図9(a)に示すように、ボタン105が存在する座標にマウスダウン/アップイベントが発行されれば、アプリケーション104は、そのボタンが押されたものと解釈する。また、図形描画を行う領域では、図9(b)に示すように、マウスダウンイベントを筆跡の始点として、マウスムーブイベントの系列が筆跡の軌跡を表し、マウスアップイベントで筆跡が終了するように解釈される。
【0005】
このように同じイベントに対して実行される機能が異なるのは、アプリケーション104の制御によるものである。一方、座標入力制御部103は、同じ座標入力に対しては常に同じイベント系列を発行する。このように、同じイベントに対してアプリケーションが異なった処理を実行する例は、例えば特許文献1に開示されている。
【0006】
タッチパネル装置が指や手による入力かペンによる入力かを区別することができ、アプリケーションがそれらの情報を別個に扱うことができる場合には、例えば手や指の入力の直後にペン入力があった場合に、手や指の入力をノイズとみなして無視するというような特別な処理も可能となる(特許文献2参照)。すなわち、指やペン、マウスといった座標入力操作の種類に応じてアプリケーションの処理を変えるという例である。この場合は、図10に示すように、座標入力方法を判定するための入力操作判定手段106をアプリケーション104内に持ち、座標入力制御部103が発行するイベントは、アプリケーション104には依存しない。
【0007】
以上の例は、入力されたイベントに対して実行される機能をアプリケーション104が切り替えるものであるが、アプリケーションの領域ごとに、発行されるイベントの種類や属性を切り替えることもできる(例えば特許文献3参照)。特許文献3には、タッチパネル装置とアプリケーションとの間に仮想フレームを設定し、仮想フレーム上に登録された座標領域ごとに、発行するイベントの種類や属性を変える方法が開示されている。ここで、仮想フレームとは、アプリケーションの座標領域ごとにイベント発行の方法を記述したもので、アプリケーションの中でイベントの解釈を切り替える代わりに、アプリケーションに渡すイベントを、仮想フレームの記述に基づいて切り替えるというものである。
【特許文献1】特開2001−351065号公報
【特許文献2】特開平10−124239号公報
【特許文献3】特開平6−230898号公報(第3〜4ページ、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
マウスイベントにより操作されるアプリケーションでは、機能の実行に不要なイベントは無視するよう設計されることが多い。例えば図9(a)のようなボタン機能を実現するためには、ボタン105が押されたことが分かれば良いので、マウスダウンイベントまたはマウスアップイベントのみが解釈され、マウスムーブイベントは無視される。また誤った座標入力による誤動作を避けるため、マウスムーブイベントが発行されたらボタン入力は無効にする、というような実装もよく用いられる。
【0009】
タッチパネル装置を指で押した場合、指は表面が柔らかく変形しやすいため、一点を押している間でも入力位置が移動することがある。すなわち、図11に示すように、押し始めの状態からさらに指に力が入ると、最も高い圧力のかかっている位置が、押し始めの位置から変化する。そして、指の力が弱まると、最も高い圧力のかかっている位置は、押し始めの位置へ戻る。そのため、意図しないマウスムーブイベントが発行され、マウスダウン/アップイベントが無効になることがある。つまり、ユーザが画面上のボタンを押しても、ボタン押下による機能が動作しないという問題が生ずる。
【0010】
以上の問題を回避するためには、アプリケーションがマウスムーブイベントを無視すれば良いが、アプリケーション自体に手を加えることができない場合も多い。そこで、座標入力制御部を、マウスムーブイベントを発行しないよう設定することがある。しかし、マウスムーブイベントが発行されないと、文字や図形の描画や手書きによるジェスチャ機能が使えなくなる。
【0011】
特許文献3で開示された技術を用いれば、アプリケーションの座標領域によって発行するイベントを切り替えることができる。しかし、特許文献3の技術によると、発行するイベントの種類や属性を、アプリケーションが設定する必要がある。すなわち、実行中にアプリケーションの画面デザインが変わったり、領域の属性が変化したりした場合には、いちいちアプリケーションが情報を更新しなければならない。すなわちアプリケーション自体の機能を指入力に対応するよう拡張する必要があり、アプリケーション自体に手を加えることができない場合には適用が難しい。
【0012】
本発明は、以上のような問題を解決するために提案するものであり、アプリケーション自体を変更することなく、タッチパネル型情報システムにおける入力操作性を改善することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明にかかるタッチパネル型情報システムは、アプリケーションの動作ウィンドウを表示する画面を有する表示装置と、前記表示装置の画面と一体に構成され、ペンまたは指によるタッチで座標入力が可能なタッチパネル装置と、前記タッチパネル装置における座標入力を入力イベントに変換する座標入力制御部と、アプリケーションまたはコンポーネントを動作させ、入力イベントに基づいてアプリケーションまたはコンポーネントの動作制御を行う基本制御部と、前記座標入力制御部と前記基本制御部との間で、前記座標入力制御部から前記基本制御部への入力イベントの出力制御および入力イベントの変換制御の少なくとも一方を含む入力イベント制御を行うイベント制御部とを備え、前記基本制御部は、前記表示装置の画面上の座標情報を与えると、当該座標に表示されている動作ウィンドウのアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得して前記イベント制御部へ出力する識別子取得手段を含み、前記イベント制御部は、前記基本制御部において動作可能なアプリケーションまたはコンポーネントの各識別子に対応付けて、各アプリケーションまたはコンポーネントに対する各種入力イベントの有効/無効に関する属性情報を予め登録した定義テーブルを有し、前記座標入力制御部から入力イベントが発行された時に前記識別子取得手段から得られた識別子に基づいて前記定義テーブルの属性情報を参照し、当該属性情報に応じて前記入力イベント制御を行うことを特徴とする。なお、「ペン」とは、タッチパネル装置において座標を指定するためのペン状の器具を意味する。
【0014】
座標入力制御部により発行された入力イベントは、一旦イベント制御部に渡される。イベント制御部は、必要であれば適当なイベント変換処理を行うと共に、当該入力イベントを基本制御部へ出力するか否かの制御も、必要に応じて行う。また、イベント制御部は、入力座標位置に表示されているアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を識別子取得手段から取得し、識別子の種類に応じて、入力イベント制御の内容を切り替える。これにより、例えば、あるアプリケーション(またはコンポーネント)ではムーブイベントを無効とし、別のアプリケーションでは有効にする、というような制御を、アプリケーション外部のイベント制御部から行うことができる。従って、アプリケーション自体を変更することなく、タッチパネル型情報システムの入力操作性を向上させることができる。
【0015】
本発明にかかるタッチパネル型情報システムにおいて、前記イベント制御部は、前記ダウンイベントが発行された時に前記識別子取得手段から得られた識別子に対応する属性情報がムーブイベント無効を表している場合は、当該ダウンイベント以降アップイベントまでのムーブイベントを前記基本制御部へ出力せず、それ以外の場合は、前記座標入力制御部から取得した入力イベントをそのまま前記基本制御部へ出力することが好ましい。なお、「それ以外の場合」とは、例えば、識別子取得手段から得られた識別子に対応する属性情報がムーブイベント有効を表している場合、または、前記定義テーブルに該当する識別子がない場合、などである。
【0016】
本発明にかかるタッチパネル型情報システムにおいて、前記タッチパネル装置への座標入力が指によるものか指以外の手段によるものかを判定する入力操作判定部をさらに備え、前記イベント制御部は、前記入力操作判定部により前記座標入力が指以外の手段によると判定された場合は、入力イベントをそのまま前記基本制御部へ出力することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、指による入力の場合は、例えば、ドラッグコマンド(ムーブイベント)のオン/オフ制御を行うが、指以外による入力の場合は、従来通りにマウス互換コマンドを生成するというような入力イベント制御を行うことが可能となる。これにより、指入力を行っていないユーザにとっての操作性が従来と変更されないよう制御することが可能となる。
【0018】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかるプログラムは、アプリケーションの動作ウィンドウを表示する画面を有する表示装置と、前記表示装置の画面と一体に構成され、ペンまたは指によるタッチで座標入力が可能なタッチパネル装置と、前記タッチパネル装置における座標入力を入力イベントに変換する座標入力制御部と、アプリケーションまたはコンポーネントを動作させ、入力イベントに基づいてアプリケーションまたはコンポーネントの動作制御を行う基本制御部とを備えたタッチパネル型情報システムであって、前記基本制御部が、前記表示装置の画面上の座標情報を与えると、当該座標に表示されている動作ウィンドウのアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得して前記イベント制御部へ出力する識別子取得手段を含むタッチパネル型情報システムにおいて、前記座標入力制御部と前記基本制御部との間で、前記座標入力制御部から前記基本制御部への入力イベントの出力制御および入力イベントの変換制御の少なくとも一方を含む入力イベント制御を行うイベント制御部を実現するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムであって、前記座標入力制御部からダウンイベントが発行された時に、前記識別子取得手段からアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得するステップと、前記基本制御部において動作可能なアプリケーションまたはコンポーネントの各識別子に対応付けて、各アプリケーションまたはコンポーネントに対する各種入力イベントの有効/無効に関する属性情報を予め登録した定義テーブルを参照し、前記ステップで取得された識別子に対応する属性情報を取得するステップと、前記ステップで取得した属性情報に応じて、当該ダウンイベント以降の入力イベント制御を行うステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、ペンや指タッチによる座標入力によってアプリケーションを操作するタッチパネル型情報システムにおいて、アプリケーション自体への修正ができない場合に、指入力等による操作失敗を抑制して使い勝手を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら以下に説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムは、図1に示すように、フラットパネルディスプレイで構成される表示装置11の表示面にタッチパネル装置12が組み込まれた、表示一体型タッチパネル10を入出力デバイスとするコンピュータである。具体的な例としては、金融機関や店舗等に設置される現金自動預け払い機、公共スペース等に設置される情報端末や受付端末、切符や各種チケット類の券売機等の他に、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA等が挙げられる。なお、本発明はこれらの具体例にのみ限定されず、タッチパネル装置を備えた任意の情報処理装置に本発明を適用することができる。タッチパネル装置12としては、ペンや指でパネル表面に接触した際の圧力を検知する抵抗膜方式タッチパネル、指や専用ペンの電気容量を利用してパネル表面への接触を感知する容量結合方式タッチパネルなど、任意の種類のタッチパネルを用いることができる。
【0022】
また、本実施形態のタッチパネル型情報システムは、基本制御部15を備えている。基本制御部15は、CPUやメモリ等(いずれも図示せず)の周知のコンピュータハードウェアと、当該コンピュータハードウェアにより実行されるオペレーティングシステムとの協同によって実現される。基本制御部15の制御の下で、アプリケーション16が実行される。アプリケーション16は、前記メモリに格納されたコンピュータプログラムを前記CPUが実行することにより、例えば、表示一体型タッチパネル10からの入力データに応じて様々な処理を行い、処理結果を表示一体型タッチパネル10へ出力する。なお、本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムでは、複数のアプリケーション16からユーザが任意のアプリケーションを選択して動作させることが可能である。また、複数のアプリケーションを起動し、複数のウィンドウで並列に実行することも可能である。
【0023】
表示一体型タッチパネル10と基本制御部15との間には、座標入力制御部13およびイベント制御部14が設けられている。座標入力制御部13およびイベント制御部14は、前記オペレーティングシステムとは独立してCPUにより実行されるソフトウェアまたはドライバとして実装される。
【0024】
図2は、座標入力制御部13の動作を示すフローチャートである。座標入力制御部13は、タッチパネル装置12から座標データが入力されると(ステップS1)、タッチパネル装置12への座標データ入力装置(ペン)がON状態かOFF状態かを判定する(ステップS2)。本実施形態では、座標データ入力装置にボタンが設けられており、ユーザがペン入力する場合に、ボタンを押した状態(ON状態)または押さない状態(OFF状態)を切り替えることにより、ダウン、アップ、ドラッグ等のジェスチャを使い分けることができる。
【0025】
すなわち、座標データの入力があったときにボタンがOFFであり(ステップS2の結果がN)、その直前の入力時もボタンがOFFであった場合(ステップS3の結果がN)は、座標入力制御部13は、その座標データを無視する。直前の入力時にボタンがONであれば(ステップS3の結果がY)、座標データがONからOFFへ変化した点であるので、座標入力制御部13はアップコマンドを生成する(ステップS4)。一方、座標データの入力があったときにボタンがONである場合(ステップS2の結果がY)は、直前の入力時にボタンがOFFであれば(ステップS5の結果がN)、座標入力制御部13はダウンコマンドを生成する(ステップS6)。直前の入力時にボタンがONであれば(ステップS5の結果がY)、座標入力制御部13はドラッグコマンドを生成する(ステップS7)。
【0026】
以上のステップS4,S6,S7でそれぞれ生成されたコマンドは、座標入力制御部13からイベント制御部14へ入力イベントとして送られる。
【0027】
次に、イベント制御部14の動作について、図3を参照しながら説明する。図3は、イベント制御部14の概略動作を示すフローチャートである。イベント制御部14は、座標入力制御部13から入力イベントが送られると(ステップS11)、入力イベントの種類を調べる(ステップS12)。そして、入力イベントがマウスムーブ(ドラッグコマンド)である場合は(ステップS12でY)、イベント制御部14は、基本制御部15の上で動作する識別子取得手段17からアプリケーション識別子を取得し(ステップS13)、取得した識別子に基づいて当該アプリケーションの属性を調べる(ステップS14)。
【0028】
アプリケーションの属性は、イベント制御部14の内部に保持された定義テーブルによって判断する。定義テーブルの一例を、図4に示す。なお、図4に示した定義テーブルでは、アプリケーションを一意に特定するための識別子と、当該アプリケーションについてマウスムーブが有効であるか否かを表す属性フラグとが格納されている。図4において、マウスムーブ属性の欄が“不可”であれば当該アプリケーションについてはマウスムーブ(ドラッグ)は不可であり、マウスムーブ属性の欄が“可能”であればマウスムーブは可能であるとされる。なお、実際の定義テーブルの形式はこの例に限定されず、識別子と属性フラグ以外の情報を含んでも良いし、アプリケーション識別子や属性フラグの形式も任意である。なお、ここでは「マウス」ムーブと称するが、これは、タッチパネル装置12に対するペンまたは指入力によってマウス操作を模していることを表すに過ぎず、実際にマウスを使用しているわけではない。
【0029】
また、例えば図4の定義テーブルにおいて、“AAAA”の識別子を有するアプリケーションは、マウスムーブが不可となっている。すなわち、このアプリケーションのウィンドウ内でマウスムーブがあったとしても、そのマウスムーブが当該アプリケーションに影響を及ぼすべきではない。また、図4の定義テーブルにおいて、“BBBB”の識別子を有するアプリケーション(例えば描画機能等を有するアプリケーションである)は、マウスムーブが可能である。
【0030】
従って、ステップS13で取得された識別子に対応するアプリケーションのマウスムーブが定義テーブル上で不可に設定されていれば(ステップS14の結果がY)、イベント制御部14は、基本制御部15へ何も出力しない。これにより、入力されたマウスイベントは無視されることとなる。一方、入力されたイベントがマウスムーブ(ドラッグ)以外であった場合(ステップS12の結果がN)、または、識別子に対応するアプリケーションのマウスムーブが可能と設定されていた場合(ステップS14の結果がN)には、イベント制御部14は、座標入力制御部13から入力されたイベントを、そのまま基本制御部15へ出力する。なお、ステップS14において、ステップS13で取得した識別子が定義テーブルに無い場合も、座標入力制御部13から入力されたイベントを、そのまま基本制御部15へ出力する。
【0031】
なお、識別子取得手段17は、一般に、基本制御部15(オペレーティングシステム)の機能として実装されている。より具体的には、例えば、基本制御部15に定義されているAPI関数を呼ぶことによって実現できる。
【0032】
本実施形態では、アプリケーション識別子は識別子取得手段17により、当該アプリケーションの実行時に取得される。そのため、アプリケーション実行中にその画面デザインやマウスムーブ属性が変更されても、イベント制御部14の定義テーブルが更新されれば、変更前と同じ効果が得られる。
【0033】
なお、本実施形態では、入力イベントがマウスムーブであった場合、特定のアプリケーションに対してマウスムーブを出力しない例を説明した。しかし、本発明はこの例にのみ限定されず、例えば、アプリケーションの種類によっては、マウスダウンイベントの後の入力イベントがマウスムーブであった場合に、イベント制御部14が、一連のマウスムーブイベントをマウスアップイベントへ変換する処理を行っても良い。
【0034】
以上のとおり、本実施形態によれば、マウスムーブを受け付けないアプリケーションに対しては、指タッチによる入力操作時に、ユーザの意図に反して、マウスムーブイベントが発生したとしても、マウスムーブを受け付けないアプリケーションに対しては、イベント制御部14が、当該マウスムーブイベントを出力しないようになっている。これにより、指による入力操作時の誤動作を効果的に防止できる。また、イベント制御部を座標入力制御部と基本制御部との間に設けたことにより、アプリケーションに変更を加える必要がない。従って、アプリケーション自体に修正を加えることができない場合でも、タッチパネル型情報システムの操作性を向上させることができる。
【0035】
(第2の実施形態)
本発明にかかる他の実施形態について以下に説明する。
【0036】
ユーザが、指タッチにより入力操作を行う場合の課題は、図11を参照しながら前述したとおりである。しかし、ユーザがペンやマウスを使って入力操作を行う場合には、この課題は生じない。従って、指タッチ以外の手段による入力操作に対しては、従来の操作性を変更しないことが望ましい。そのため、本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムでは、ユーザが、マウスやペン、指など、どのような座標入力手段を用いているかにより、イベント制御部の入力イベント制御を切り替える。例えば、指タッチによる座標入力の場合は、第1の実施形態と同様の入力イベント制御を行い、指タッチ以外の手段(ペンなど)による入力操作の場合は、入力イベントを変換せずにそのまま基本制御部15へ出力する。
【0037】
ここで、本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムの概略構成について、図5を参照しながら説明する。図1と図5とを比較することから分かるように、本実施形態のタッチパネル型情報システムは、図1に示した構成に、入力操作判定手段18を追加した構成である。
【0038】
入力操作判定手段18は、タッチパネル装置12に対する座標入力が指によるものか、あるいは指以外の手段(ペンやマウスなど)によるものかを判定する。タッチパネル装置12が、専用ペンを用いる容量結合方式タッチパネルである場合は、ペン先がタッチパネル表面に触れたことを判定することが可能であるため、入力操作が専用ペンによるものか否かを判定することができる。
【0039】
また、電磁誘導型タブレット装置は専用ペンでしか入力操作はできないが、タッチパネル装置12を、電磁誘導型タブレット装置の表面に抵抗膜式タッチパネルを重ねた構成とすれば、ペンと指との双方での入力操作が可能である。また、入力操作が専用ペンによるものであるか指によるものであるかを判定できる。
【0040】
その他に、入力操作に用いられているペンや指の太さを検知することが可能なタッチパネル装置も知られており(例えば特開平9−319501号公報、特開平11−110116号公報参照)、タッチパネル装置12としてこのような装置を用いれば、入力操作に用いられている手段の太さを検知することにより、当該手段がペンなのか指なのかを判定することが可能である。
【0041】
本実施形態のイベント制御部14は、入力操作判定手段18によって判定された入力操作の種類に応じて、座標入力制御部13からの入力イベントに対する制御内容を異ならせる。イベント制御部14の動作を図6のフローチャートに示す。図6のフローチャートは、図3に示した第1の実施形態にかかるイベント制御部の処理に、入力操作が指であるか否かの判定ステップ(ステップS21)を加えたものである。これにより、入力操作が指によるものである場合には、第1の実施形態と同様の入力イベント制御を行い、入力操作が指以外によるものである場合は、座標入力制御部13からの入力イベントを変換せずにそのまま基本制御部15へ出力する(ステップS15)。
【0042】
以上のとおり、本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムによれば、指入力による操作性が改善されると共に、指以外の手段(ペンまたはマウス)による入力操作の場合は従来どおりの操作性を維持することにより、より操作性に優れたタッチパネル型情報システムを提供できる。
【0043】
(第3の実施形態)
本発明のさらに他の実施形態について以下に説明する。
【0044】
本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムは、イベント制御部が、コンポーネント単位で入力イベント制御を行うものである。ここで、コンポーネントとは、アプリケーションを実装する際に用いるソフトウェア部品であり、一般的には、例えばボタンやテキストボックスなど、様々なアプリケーションで共通して使われる汎用部品である。基本制御部がこれらのコンポーネントの識別子を取得する機能を提供している場合、アプリケーションの内部の部分領域(コンポーネント)ごとに、イベント制御部による入力イベント制御の内容を異ならせることが可能になる。
【0045】
本実施形態にかかるタッチパネル型情報システムの概略構成は、第1の実施形態(図1参照)と同様である。ただし、イベント制御部14が有する定義テーブルの内容は、例えば、図7に示すように、コンポーネント単位に識別子および属性情報が格納されたものとなる。図7に示した例では、「ボタン」および「ウェブブラウザ」という識別子で特定されるコンポーネントについてはマウスムーブが不可であり、「エディットボックス」および「スクロールバー」という識別子で特定されるコンポーネントについては、マウスムーブが可能である。なお、図7は、定義テーブルの内容を概念的に表したものであり、実際に定義テーブルに登録されるデータフォーマットは、この例に限定されない。
【0046】
なお、イベント制御部14における、マウスムーブ属性に応じた入力イベント制御の内容は、第1の実施形態と同様であるため、重複した説明は省略する。
【0047】
以上のように、本発明によれば、指によるタッチ入力が可能なタッチパネル装置によりGUIアプリケーションを指で操作した場合に、指による座標入力の誤差によって生ずるボタンの押し損ないなどの入力ミスを軽減することができる。同時に、文字や図形の筆記入力やジェスチャその他のドラッグ操作によるアプリケーション操作も、従来と同様に行うことができる。
【0048】
以上の効果は、公共の情報端末や受付端末など指によるタッチ入力が使われている場面で、文字や図によるメッセージを入力したり、文字認識によってテキストを入力したりといった新たな機能を実現する場合に重要である。また、タッチパネルを搭載したノート型パーソナルコンピュータなどの情報処理端末において、指によるボタン入力と筆記入力とが共に使われるような場合にも有用である。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば、現金自動預け払い機、公共情報端末や受付端末、券売機、ノート型パーソナルコンピュータ、PDA等の、タッチパネル装置を備えた任意のタッチパネル型情報システムに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムの概略構成を示すブロック図
【図2】第1の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムの入力制御部の概略動作を示すフローチャート
【図3】第1の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムのイベント制御部の概略動作を示すフローチャート
【図4】第1の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムのイベント制御部が有する定義テーブルの内容例を示す説明図
【図5】本発明の第2の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムの概略構成を示すブロック図
【図6】第2の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムのイベント制御部の概略動作を示すフローチャート
【図7】第3の実施形態にかかるタッチパネル型情報システムのイベント制御部が有する定義テーブルの内容例を示す説明図
【図8】従来のタッチパネル型情報システムの一例の概略構成を示すブロック図
【図9】タッチパネル装置に対するコマンド入力の様子を示す模式図であり、(a)はボタン押下の場合、(b)は描画の場合を示す。
【図10】従来のタッチパネル型情報システムの他の例の概略構成を示すブロック図
【図11】指タッチによる座標入力時に座標位置がずれる様子を示す説明図
【符号の説明】
【0051】
10 表示一体型タッチパネル
11 表示装置
12 タッチパネル装置
13 座標入力制御部
14 イベント制御部
15 基本制御部
16 アプリケーション
17 識別子取得手段
18 入力操作判定手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションの動作ウィンドウを表示する画面を有する表示装置と、
前記表示装置の画面と一体に構成され、ペンまたは指によるタッチで座標入力が可能なタッチパネル装置と、
前記タッチパネル装置における座標入力を入力イベントに変換する座標入力制御部と、
アプリケーションまたはコンポーネントを動作させ、入力イベントに基づいてアプリケーションまたはコンポーネントの動作制御を行う基本制御部と、
前記座標入力制御部と前記基本制御部との間で、前記座標入力制御部から前記基本制御部への入力イベントの出力制御および入力イベントの変換制御の少なくとも一方を含む入力イベント制御を行うイベント制御部とを備え、
前記基本制御部は、前記表示装置の画面上の座標情報を与えると、当該座標に表示されている動作ウィンドウのアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得して前記イベント制御部へ出力する識別子取得手段を含み、
前記イベント制御部は、前記基本制御部において動作可能なアプリケーションまたはコンポーネントの各識別子に対応付けて、各アプリケーションまたはコンポーネントに対する各種入力イベントの有効/無効に関する属性情報を予め登録した定義テーブルを有し、前記座標入力制御部から入力イベントが発行された時に前記識別子取得手段から得られた識別子に基づいて前記定義テーブルの属性情報を参照し、当該属性情報に応じて前記入力イベント制御を行うことを特徴とする、タッチパネル型情報システム。
【請求項2】
前記イベント制御部は、前記ダウンイベントが発行された時に前記識別子取得手段から得られた識別子に対応する属性情報がムーブイベント無効を表している場合は、当該ダウンイベント以降アップイベントまでのムーブイベントを前記基本制御部へ出力せず、それ以外の場合は、前記座標入力制御部から取得した入力イベントをそのまま前記基本制御部へ出力する、請求項1に記載のタッチパネル型情報システム。
【請求項3】
前記タッチパネル装置への座標入力が指によるものか指以外の手段によるものかを判定する入力操作判定部をさらに備え、
前記イベント制御部は、前記入力操作判定部により前記座標入力が指以外の手段によると判定された場合は、入力イベントをそのまま前記基本制御部へ出力する、請求項1または2に記載のタッチパネル型情報システム。
【請求項4】
アプリケーションの動作ウィンドウを表示する画面を有する表示装置と、前記表示装置の画面と一体に構成され、ペンまたは指によるタッチで座標入力が可能なタッチパネル装置と、前記タッチパネル装置における座標入力を入力イベントに変換する座標入力制御部と、アプリケーションまたはコンポーネントを動作させ、入力イベントに基づいてアプリケーションまたはコンポーネントの動作制御を行う基本制御部とを備えたタッチパネル型情報システムであって、前記基本制御部が、前記表示装置の画面上の座標情報を与えると、当該座標に表示されている動作ウィンドウのアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得して前記イベント制御部へ出力する識別子取得手段を含むタッチパネル型情報システムにおいて、前記座標入力制御部と前記基本制御部との間で、前記座標入力制御部から前記基本制御部への入力イベントの出力制御および入力イベントの変換制御の少なくとも一方を含む入力イベント制御を行うイベント制御部を実現するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムであって、
前記座標入力制御部からダウンイベントが発行された時に、前記識別子取得手段からアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得するステップと、
前記基本制御部において動作可能なアプリケーションまたはコンポーネントの各識別子に対応付けて、各アプリケーションまたはコンポーネントに対する各種入力イベントの有効/無効に関する属性情報を予め登録した定義テーブルを参照し、前記ステップで取得された識別子に対応する属性情報を取得するステップと、
前記ステップで取得した属性情報に応じて、当該ダウンイベント以降の入力イベント制御を行うステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
アプリケーションの動作ウィンドウを表示する画面を有する表示装置と、
前記表示装置の画面と一体に構成され、ペンまたは指によるタッチで座標入力が可能なタッチパネル装置と、
前記タッチパネル装置における座標入力を入力イベントに変換する座標入力制御部と、
アプリケーションまたはコンポーネントを動作させ、入力イベントに基づいてアプリケーションまたはコンポーネントの動作制御を行う基本制御部と、
前記座標入力制御部と前記基本制御部との間で、前記座標入力制御部から前記基本制御部への入力イベントの出力制御および入力イベントの変換制御の少なくとも一方を含む入力イベント制御を行うイベント制御部とを備え、
前記基本制御部は、前記表示装置の画面上の座標情報を与えると、当該座標に表示されている動作ウィンドウのアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得して前記イベント制御部へ出力する識別子取得手段を含み、
前記イベント制御部は、前記基本制御部において動作可能なアプリケーションまたはコンポーネントの各識別子に対応付けて、各アプリケーションまたはコンポーネントに対する各種入力イベントの有効/無効に関する属性情報を予め登録した定義テーブルを有し、前記座標入力制御部から入力イベントが発行された時に前記識別子取得手段から得られた識別子に基づいて前記定義テーブルの属性情報を参照し、当該属性情報に応じて前記入力イベント制御を行うことを特徴とする、タッチパネル型情報システム。
【請求項2】
前記イベント制御部は、前記ダウンイベントが発行された時に前記識別子取得手段から得られた識別子に対応する属性情報がムーブイベント無効を表している場合は、当該ダウンイベント以降アップイベントまでのムーブイベントを前記基本制御部へ出力せず、それ以外の場合は、前記座標入力制御部から取得した入力イベントをそのまま前記基本制御部へ出力する、請求項1に記載のタッチパネル型情報システム。
【請求項3】
前記タッチパネル装置への座標入力が指によるものか指以外の手段によるものかを判定する入力操作判定部をさらに備え、
前記イベント制御部は、前記入力操作判定部により前記座標入力が指以外の手段によると判定された場合は、入力イベントをそのまま前記基本制御部へ出力する、請求項1または2に記載のタッチパネル型情報システム。
【請求項4】
アプリケーションの動作ウィンドウを表示する画面を有する表示装置と、前記表示装置の画面と一体に構成され、ペンまたは指によるタッチで座標入力が可能なタッチパネル装置と、前記タッチパネル装置における座標入力を入力イベントに変換する座標入力制御部と、アプリケーションまたはコンポーネントを動作させ、入力イベントに基づいてアプリケーションまたはコンポーネントの動作制御を行う基本制御部とを備えたタッチパネル型情報システムであって、前記基本制御部が、前記表示装置の画面上の座標情報を与えると、当該座標に表示されている動作ウィンドウのアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得して前記イベント制御部へ出力する識別子取得手段を含むタッチパネル型情報システムにおいて、前記座標入力制御部と前記基本制御部との間で、前記座標入力制御部から前記基本制御部への入力イベントの出力制御および入力イベントの変換制御の少なくとも一方を含む入力イベント制御を行うイベント制御部を実現するためのコンピュータ読み取り可能なプログラムであって、
前記座標入力制御部からダウンイベントが発行された時に、前記識別子取得手段からアプリケーションまたはコンポーネントの識別子を取得するステップと、
前記基本制御部において動作可能なアプリケーションまたはコンポーネントの各識別子に対応付けて、各アプリケーションまたはコンポーネントに対する各種入力イベントの有効/無効に関する属性情報を予め登録した定義テーブルを参照し、前記ステップで取得された識別子に対応する属性情報を取得するステップと、
前記ステップで取得した属性情報に応じて、当該ダウンイベント以降の入力イベント制御を行うステップとをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−4101(P2006−4101A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178682(P2004−178682)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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