説明

タッチパネル型表示端末およびそれを用いた注文システム

【課題】液晶表示端末とICカードリーダライタとを用いたシステムにおいて、システムのコンパクト化と操作の簡単化とを図ること。
【解決手段】ICカードにより液晶表示パネルの任意の表示領域に対応するタッチパネル上にタッチ操作された際に、ICカードはそのタッチ操作位置のアンテナコイルを介してICカードリーダライタとデータの送受信をすると共に、タッチ操作位置に対応して液晶表示パネル上に表示する表示内容に対応した制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触型ICカードを用いたタッチパネル型表示端末およびそれを用いた注文システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
非接触型ICカードは、当該カード内部にループ状のアンテナコイルとICチップとを内蔵し、ICカードリーダライタが発生する磁界に当該カードをかざすことにより無線通信でデータのやり取りができるものである。この非接触型ICカードはSuicaやICOCAに代表される鉄道改札や入退室管理などで活用されている。また非接触型ICカードは、データの読み書きができる距離や通信方式で各種ある。
【0003】
図9を参照してこのような非接触型ICカードを用いたシステムを説明する。このシステムは例えば焼肉店、寿司店、レストラン等の飲食店産業において、来店客がテーブルに座ったままタッチパネル型の液晶表示端末に直接メニューを注文することができるシステムに利用される。すなわち、テーブルにはタッチパネル型の液晶表示端末100と、この液晶表示端末100にケーブル102で接続されたICカードリーダライタ104とが設置されている。液晶表示端末100の表示/入力操作画面100aには、例えばメニューがメニュー1からメニュー4までの4種類で表示されている。来客は、表示/入力操作画面100aに表示されているこれらメニューの中から注文したいメニューにタッチ操作する。このタッチ操作で注文すると、この注文した品とテーブル番号とが図示略の厨房の注文受付表示パネルに表示され、調理者はこの表示に基づいて注文品を調理し、作られた注文品を、店員がそのテーブル番号の来店客にまで運ぶというシステムである(特許文献1参照)。
【0004】
そして、決済時においては、表示/入力操作画面100a上で来客は自身が所有するクレジットカード式あるいはデポジット式等各種の非接触型ICカード106で決済する操作を行うと、それに対応して表示/入力操作画面100aに非接触型ICカード106をテーブル上のICカードリーダライタ104のアンテナコイル104a上にかざすよう指令が表示され、これに従いICカード106をICカードリーダライタ104にかざす。これにより、ICカードリーダライタ104と液晶表示端末100との間でデータ交信が行われ、液晶表示端末100からICカードリーダライタ104には注文品に対応する料金データが送信され、ICカードリーダライタ104は、この料金データに対応してICカード106から注文品に対する料金決済を実行する。このような料金決済は飲食店受付表示パネルに表示され、この表示の確認後、店員がそのテーブル番号の来店客にまでその注文品を運ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−307234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記液晶表示端末100を用いたシステムでは、液晶表示端末100とICカードリーダライタ104とがケーブル102で接続されていてテーブル上でそれらがスペースを大きくとること、また、ユーザは液晶表示端末100の表示/入力操作画面100aに対する注文のためのタッチ操作と、決済のためのICカードリーダライタ104に対する非接触型ICカード106のかざし操作とが別々に要求され、操作が複雑である。
【0007】
本発明は、上記システムにおける省スペース化と、操作のより簡便化とを図れるようにすることを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるタッチパネル型表示端末は、タッチパネル型の表示/入力操作画面と、上記表示/入力操作画面の裏面後方に当該画面上の1ないし複数の表示領域に個別配置された1ないし複数のアンテナコイルと、上記アンテナコイルを介して非接触型のICカードとの間で通信を行うICカードリーダライタ部と、上記各部を制御する制御部とを具備し、上記制御部は、上記ICカードによる表示/入力操作画面上の任意の表示領域へのタッチ操作により、上記タッチ操作位置に対応するアンテナコイルを介してICカードリーダライタとICカードとの間でのデータ送受信を制御すると共に、上記タッチ操作位置に対応して上記表示/入力操作画面上に表示する表示内容に対応した制御を行うことを特徴とする。
【0009】
なお、上記ICカードはクレジットカード式だけでなく、SIUCAやICOCA等のデポジット式のカード等、あらゆる形態のICカードを含む。
【0010】
本発明のタッチパネル型表示端末においては、ICカードリーダライタが表示端末に一体化されるので表示端末とICカードリーダライタとをケーブル接続する場合よりもコンパクトとなり、また、ユーザは表示端末のタッチパネルに対するタッチ操作と、アンテナコイルへICカードのかざし操作と、が同時に行われることができ、操作が簡単化する。
【0011】
そして、本発明による注文システムは、上記タッチパネル液晶表示端末からなり、かつ飲食店の来店客側に設置され飲食メニューを表示する注文端末と、飲食店側に設置され上記注文端末とはネットワークを介して接続されると共に、当該注文端末からの注文を表示する注文受付・決済端末とを具備し、上記注文端末は、表示/入力操作画面における飲食メニュー表示領域に対する非接触型ICカードによるタッチ操作に基づいて上記注文受付・決済端末に対してネットワークを介して注文メニュー情報と決済情報とを送信できるようにしたことを特徴とする。
【0012】
この注文システムでは、来店客側では、注文端末の表示/入力操作画面の所定領域にICカードをタッチ操作するだけで、注文メニューの選択操作と決済操作とが可能であると共に、タッチパネル型液晶表示端末にICカードリーダライタが一体化されるのでそれらを接続するケーブルを省配線でき、それらを例えば来店客側のテーブル上に配置する場合、その配置スペースが狭くて済むため、テーブルを広く利用することができるようになる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、表示端末とICカードリーダライタと非接触型ICカードとを用いたシステムにおいて、システムのコンパクト化と操作の簡単化と可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の実施形態に係る液晶表示端末の外観を示す図である。
【図2】図2(a)は図1の液晶表示端末を正面側からの構成を示す図、図2(b)は同液晶表示端末を裏面側からの構成を示す図である。
【図3】図3(a)は図2(a)に対応しICカードを液晶表示端末にかざした状態を示す図、図3(b)は図3(a)のA−A線に沿う断面構成を示す図である。
【図4】図4は液晶表示端末の内部ブロック構成を示す図である。
【図5】図5は本発明の実施形態の液晶表示端末を用いた注文システムの構成を示す図である。
【図6】図6は図5のシステムにおいて注文端末の表示/入力操作画面を示す図である。
【図7】図7(a)は注文端末で注文確認画面例を示す図、図7(b)は注文端末で決済処理を行う画面例を示す図である。
【図8】図8は図5のシステムにおいて注文受付・決済端末の表示/入力操作画面を示す図である。
【図9】図9は従来の液晶表示端末、ICカードリーダライタ、ICカードを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係るタッチパネル型表示端末を説明する。実施形態では表示端末として液晶表示端末とするが、本発明はこの液晶表示端末に限定されず、他の表示方式の表示端末にも適用することができる。図1にこの端末の外観を示す。図1では図解のためタッチパネルを取り外した状態で示す。液晶表示端末1は、上下左右に外周を取り囲むフレーム2内に矩形形状の液晶表示パネル3が設置されていると共に、この液晶表示パネル3上に同矩形形状のタッチパネル4が配置されている。液晶表示パネル3は操作メニュー表示、アイコン表示がされ、タッチパネル4にユーザが非接触型のICカードやその他で触れることで後述するタッチパネル制御部がそのタッチ操作位置を検出し、その検出した位置に応じた入力操作信号を出力する。これにより、そのタッチ操作位置に対応する操作メニューやアイコンに対しての操作入力が可能となっている。なお、液晶表示パネル3とタッチパネル4とで操作パネルと称することもできる。タッチパネル4に対するタッチ操作の位置読み取りは各種方式例えば、抵抗膜方式、静電容量方式、電磁誘導式、磁気歪式、感圧式等があるが、本発明ではいずれにも限定されない。また、液晶表示端末1の内部には液晶表示パネルを後方から照明するバックライト等を含め、各種回路が内蔵されている。
【0016】
図2(a)に液晶表示端末1を正面側から見た構成、図2(b)に液晶表示端末1を背面側から見た構成を示す。これら図2(a)(b)を参照して、上記パネル3,4は正面から見て表示/入力操作画面5を構成する。この表示/入力操作画面5は図2(a)で示すようにその表示領域全体が複数例えば実施形態では4つの矩形状の表示領域5a〜5dに分割される。また、それに対応して図2(b)で示すように液晶表示端末1の裏面側にループ状のアンテナコイル6a〜6dが設置されている。すなわち、領域5aはアンテナコイル6a、領域5bはアンテナコイル6b、領域5cはアンテナコイル6c、領域5dはアンテナコイル6dに対応する。勿論、これら分割や設置の態様は一例にすぎず、本発明はその態様に限定されない。これらアンテナコイル6a−6dはICカードが内蔵するアンテナコイルと磁界誘導結合によりデータの交信ができる形態となっている。アンテナコイルは内蔵するICチップへの電力供給にも用いる。この場合のICカードは、ICカードリーダライタとの間で規格により定められた通信方式で通信することができるものであり、それら規格には例えば、密着型や近接型などさまざまなものがあり、ICカードとしては電波の飛ぶ距離(データ伝送距離)の長さによって「密着型」、「近接型」、「近傍型」、「遠隔型」に分類されるが、本発明ではこれら規格には限定されない。
【0017】
図3(a)に液晶表示端末1を正面側から見た構成、図3(b)に図3(a)のA−A線に沿う断面構成を示す。例えばICカード7を表示領域5aに近づけタッチパネル4に接触させた際には、ICカード7はアンテナコイル6a〜6dのうち、分割表示領域5aに対応するアンテナコイル6aと通信することができる。アンテナコイル6a〜6dは図解の都合で液晶表示端末1の背面から突出した状態で示すが、突出しないように液晶表示端末1内部に設けてもよい。
【0018】
図4に当該液晶表示端末1の回路ブロックを示す。この液晶表示端末1は、CPU8、上記タッチパネル4、タッチパネル制御部9、上記液晶表示パネル3、この表示制御部10、メモリ11、ICカードリーダライタ部12、上記アンテナコイル6a〜6dを有する。液晶表示端末1のCPU8はネットワーク13を介して上位コンピュータ14と接続している。
【0019】
CPU8は、液晶表示端末1の内部全体を制御する。
【0020】
タッチパネル制御部9は、タッチパネル4に操作された位置を検出し、その検出にかかる信号をCPU8に出力する。
【0021】
表示制御部10は、CPU8からの制御指令に応じて液晶表示パネル3にメニュー等を画像表示する。
【0022】
こうしたタッチパネル4は、タッチ操作位置を直交二次元XY座標上の位置とするタッチパネル面を備え、タッチパネル制御部9は、そのタッチパネル面上におけるユーザのタッチ操作に対応して該タッチパネル面上のタッチ操作位置データ(x,y)を出力する。また、液晶表示パネル3は、タッチパネル面2下に配置され、その表示/入力操作画面に上記タッチ操作をタッチパネル面を介してユーザ側に表示する。表示制御部10は、タッチパネル制御部9からのタッチ操作位置データ(x,y)に従い、液晶表示パネル3上にタッチ操作に対応した表示を制御する。
【0023】
そして、CPU8は、ICカード7により表示/入力操作画面5a−5dに対応するタッチパネル4にタッチ操作された際に、そのタッチ操作された位置に対応する操作情報と、アンテナコイル6a−6dを介してICカードリーダライタ部12が受信したICカードのカード情報とから、必要なデータをネットワーク13を介して上位コンピュータ14に伝送する。上位コンピュータ14では、その情報に対応してディスプレイ上に画像を表示する。
【0024】
メモリ11は、液晶表示端末1の動作プログラムが格納され、またデータの格納等にも用いる。
【0025】
ICカードリーダライタ部12は、図示略のインターフェース部と、リーダライタ部とを有し、アンテナコイル6a〜6dにICカード7との間で電磁誘導による受信データを処理し、CPU8に出力する。ICカード7からの通信データは搬送波を変調したものであり、リーダライタ部でその通信データを復調処理し、その処理したデータをCPU8に出力する。一方、CPU8からの制御データに応じてリーダライタ部で搬送波を変調してアンテナコイル6a〜6dから送信する。このようにICカードリーダライタ部12とICカード7との間の搬送波の変調によりデータ通信制御を行うが、この詳しい説明は略する。
【0026】
以上説明した液晶表示端末1の使用例を、図5以降を参照して説明する。この使用例は飲食店における注文システムであり、この注文システムにおいては、液晶表示端末1を飲食メニュー表示とそのメニューから来店客が注文可能とした注文端末としている。
【0027】
上記注文システムは、図5で示すように、液晶表示端末1により構成される注文端末20と、この注文端末20とはネットワーク19を介して接続される注文受付・決済端末22とを具備する。
【0028】
注文端末20は、図6で示すように、飲食店内の図示略のテーブル上に配置され、表示/入力操作画面21が例えば複数の表示領域21a〜21dに領域分けされ、各領域に飲食店のメニューとして例えば寿司やうどんや肉類等のメニュー1〜4が表示されている。勿論、このメニュー表示態様は飲食店ごとに任意に設定することができる。また、注文端末20には、各メニュー1〜4が表示された各領域ごとに対応しそれの後方に図示略のアンテナコイルが個別配置されている。来店客は、例えばメニュー1を選択したい場合、図示略のICカードで、表示/入力操作画面におけるメニュー1に対応する領域21aをタッチ操作する。すると、その表示/入力操作画面21は図7(a)で示すように注文確認画面に切り替わる。来店客は、この注文確認画面でメニュー1の注文確定のため「OK」ボタンをタッチ操作する。この「OK」ボタンに対応して図示略のアンテナコイルが配置されており、この「OK」ボタンへのタッチ操作で注文が確定する。そして、注文確定の後、図7(b)で示すように表示/入力操作画面21が「決済」画面に切り替わり、「決済」処理をしたい場合は、この画面の「OK」ボタンにICカードによりタッチ操作する。このタッチ操作によりICカードは注文端末20内蔵のICカードリーダライタ部とデータ交信し、決済処理が行われる。
【0029】
一方、メニュー1の情報はネットワーク19から注文受付・決済端末22に伝送され、この注文受付・決済端末22の画面に図8で示すようにメニュー1と来店客のテーブル番号とが表示される。飲食店側ではメニュー1の注文が確定すると、厨房側の調理者はメニュー1の品物を調理し、その調理した品物を店員が来店客にまで運ぶ。
【0030】
以上説明したように本実施形態では、ICカード7により液晶表示パネル3の任意の表示領域に対応するタッチパネル4上にタッチ操作された際に、上記ICカード7はタッチ操作位置に対応するアンテナコイルを介してICカードリーダライタ部12とデータの送受信をすると共に、上記タッチ操作位置に対応して液晶表示パネル3上に表示する表示内容に対応した制御を行うことができるようにしたので、まずICカードリーダライタ部12が液晶表示端末1に一体化され、液晶表示端末とICカードリーダライタとをケーブル接続する場合よりもコンパクトとなり、また、ユーザは液晶表示端末1のタッチパネル4に対するタッチ操作と同時にアンテナコイルへICカードのかざし操作が行われることにより、それらの操作が簡単化する。
【符号の説明】
【0031】
1 液晶表示端末
2 フレーム
3 液晶表示パネル
4 タッチパネル
5 表示/入力操作画面
5a〜5d 表示領域
6a〜6d アンテナコイル
19 ネットワーク
20 注文端末
22 注文受付・決済端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル型の表示/入力操作画面と、上記表示/入力操作画面の裏面後方に当該画面上の1ないし複数の表示領域に個別配置された1ないし複数のアンテナコイルと、上記アンテナコイルを介して非接触型のICカードとの間で通信を行うICカードリーダライタ部と、上記各部を制御する制御部と、を具備し、上記制御部は、上記ICカードによる表示/入力操作画面上の任意の表示領域へのタッチ操作により、上記タッチ操作位置に対応するアンテナコイルを介してICカードリーダライタとICカードとの間でのデータ送受信を制御すると共に、上記タッチ操作位置に対応して上記表示/入力操作画面上に表示する表示内容に対応した制御を行うことを特徴とするタッチパネル型表示端末。
【請求項2】
上記請求項1に記載のタッチパネル液晶表示端末からなりかつ飲食店の来店客側に設置され飲食メニューを表示する注文端末と、
飲食店側に設置され上記注文端末とはネットワークを介して接続されると共に当該注文端末からの注文を表示する注文受付・決済端末と、
を具備し、
上記注文端末は、表示/入力操作画面における飲食メニュー表示領域に対する非接触型ICカードによるタッチ操作に基づいて上記注文受付・決済端末に対してネットワークを介して注文メニュー情報と決済情報とを送信できるようにした、
ことを特徴とする注文システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−64123(P2012−64123A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−209527(P2010−209527)
【出願日】平成22年9月17日(2010.9.17)
【出願人】(000167288)光洋電子工業株式会社 (354)
【Fターム(参考)】