説明

タッチパネル基板及びその製造方法

【課題】 第1の導電層の上層に絶縁層を介して形成される第2の導電層より上層に形成される構造物のパターンを形成する際には、第2の導電層で形成されたアライメントマークを元にパターニングを行う為、第1の導電層で形成されたパターンとのアライメント精度が劣化するという問題があった。
【解決手段】 第1の導電層と同一レイヤーで形成されるアライメントマークを、層間平坦化膜の開口部と層間平坦化膜の非開口部とに設けることで、第2の導電膜とのアライメントを層間平坦化膜の開口部に設けたアライメントマークで、第2の導電膜の上層に形成する構造物のパターンとのアライメントを層間平坦化膜の非開口部に設けたアライメントマークで行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平坦化膜の上層と下層に電極や配線等のパターンを形成してなる素子に関するものであり、具体的にはタッチパネルや液晶表示装置のアレイ基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置のアレイ基板や、タッチパネル等の電子デバイスにおいては、例えば、図15の断面図に示すように、配線や電極が絶縁膜を介して異なるレイヤーに配置されている。ここで、図15は、タッチパネルに用いられる基板の構造の断面図である。
【0003】
図15において、基板1上に、第1の導電膜からなる下層配線2や下層配線端子3が形成されており、その上を絶縁膜である層間平坦化膜6が覆っている。一般的に絶縁膜としては、CVD法やスパッタ法により約0.1〜1μm厚の絶縁膜を形成する手法や、液状の樹脂を塗布後に焼成等することにより絶縁膜を形成する手法がある。特に、液状の素材を塗布する手法においては、下地の凹凸に関わらず絶縁膜の表面を平坦に形成することや、厚みを1μm以上、たとえば2〜3μmとすることも比較的容易にできる。ここで図15に示す絶縁膜も、このような塗布により形成される層間平坦化膜である。
【0004】
さらに、この層間平坦化膜6上には、第2の導電膜からなる上層配線7や上層配線端子8が形成されており、それらを覆う保護膜9が形成されている。保護膜9には、下層配線端子3や上層配線端子8を露出するようなコンタクトホールである開口部CH1、CH2が開口されている。図示はしないが、その後もさらなる導電膜の成膜やパターニング工程を経ることによって素子が形成される。
【0005】
そして、第2の導電膜からなる上層配線端子8や、その上層の開口部CH2を形成する際には、両方とも第1の導電膜からなるアライメントマーク(図示せず)を基にしてアライメントを行うのがよい。もし、上層配線を形成する際に第1の導電膜からなるアライメントマークを用い、コンタクトホールを形成する際には第2の導電膜からなるアライマントマークを用いるというふうにアライメントマークをレイヤーごとに変えていくと、各レイヤー間のズレが蓄積して最終的には大きなズレとなりうるからである。
【0006】
ここで、層間平坦化膜を介して異なるレイヤーに各々パターンを形成する場合のアライメントについて、図16を用いて説明する。図16において、ガラス等の基板1上に、第1の導電膜からなるパターンとして下層配線2や下層配線端子3が形成されて、さらにその上層に層間平坦化膜6が形成されている。そして、層間平坦化膜6上に、第2の導電膜10が成膜されて、さらにパターニングのために感光性のレジスト11を塗布された状況を示している。
【0007】
図16において、第2の導電膜をパターニングするための露光の際に、下地の第1の導電膜からなる下層配線2等のパターンを基にアライメントすることは困難である。第1の導電膜からなるパターンは層間平坦化膜6に覆われているため、表面の凹凸で検知することはできないうえに、第2の導電膜10でも覆われているため光学的にも検知しがたいからである。特に第2の導電膜10が金属膜の場合には、露光の透過率は非常に低いものとなるため、その下層にある第1の導電膜により形成されたアライメントマークがあるにしても、それを光学的に検知することは非常に困難となる。
【0008】
このような問題を解決するために、特許文献1では、第1の導電膜からなるアライメントマーク上の層間平坦化膜を除去して、当該アライメントマークを露出させることにより、層間平坦化膜上のパターン形成の際のアライメントを容易に行うことを可能とする技術が開示されている。
【0009】
また、特許文献2には、上層の成膜の際にマスクデポ等の手段を用いて、複数あるアライメントマークのうち一部のアライメントマークのみに膜が堆積しないようにする技術が開示されている。これにより、膜に覆われていない方のアライメントマークを用いて上層のパターン形成を行うことが可能となるのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−317728号公報(17〜20頁、図1、図8、図9)
【特許文献2】特開平6−196547号公報(図8)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従来技術においては、アライメント性を向上させるために、下層のアライメントマークを直接あるいは光学的に露出させてから、上層のパターン形成を行う形態についての記載が見られる。これにより、層間平坦化膜の上層のパターン形成の際に下層のアライメントマークを用いたアライメントが可能となる。しかし、特許文献2においては、平坦化膜上に成膜する際に生じる問題についての記載は無い。
【0012】
また、特許文献1に記載されている形態を適用する際には、第1の導電膜と第2の導電膜とが同じエッチング液でエッチングされるような材料からなる場合、特に第1の導電膜と第2の導電膜とが同じ材料である場合に問題が生じることとなる。具体的には、層間平坦化膜を除去することにより第1の導電膜で形成されたアライメントマークを露出した後に、第2の導電膜を成膜して上層配線7等のパターン以外の膜をエッチング除去するが、その際に露出していた当該アライメントマークも除去されてしまう問題が生じる。
【0013】
この状況を図17を用いて説明する。図17は図16と同様にタッチパネルの断面図を示したものである。図17において、ガラス等の基板1上に、第1の導電膜からなるパターンとして下層配線2、下層配線端子3、アライメントマーク4が形成されて、さらにその上層に層間平坦化膜6が形成されている。層間平坦化膜6は一部が除去されることにより、たとえばアライメントマーク4が露出されている。そして、層間平坦化膜6と、露出したアライメントマーク4とを覆うようにして、第2の導電膜10が成膜されている。
【0014】
ここで、図17においては、アライメントマーク4の凹凸を反映した表面形状を検出することが可能なので、当該表面形状を基にアライメントすることによりレジスト11のパターニングがなされている。この状態において、レジスト11に覆われていない第2の導電膜10をエッチング除去する際に、第1の導電膜もエッチングされてしまう状況が生じうる。
【0015】
この場合、第1の導電膜からなるアライメントマーク4を基にして第2の導電膜をパターニング形成することができるものの、第2の導電膜よりも上層の膜をパターニングする際には第1の導電膜からなるアライメントマーク4は消失していることになる。したがって、第2の導電膜よりも上層の膜をパターニングする際のアライメントマークとしては、第2の導電膜からなるアライメントマークを用いざるをえないこととなる。
【0016】
そのため、第2の導電層より上層に形成される構造物のパターンは第2の導電層で形成されたアライメントマークを元にパターニングを行う為、第1の導電層で形成されたパターンとのアライメント精度が劣化するという問題があった。本発明は、第2の導電層のパターンと第1の導電層とのアライメント精度を有しつつ、第2の導電層よりも上層に形成される構造物のパターンと第1の導電層とのアライメント精度も向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
第1の導電膜を成膜する工程と、
前記第1の導電膜をパターニングすることにより、下層配線、下層配線端子、第一形成領域のアライメントマーク及び第二形成領域のアライメントマークを形成する工程と、層間平坦化膜を塗布する工程と、少なくとも前記第二形成領域の前記アライメントマーク上層の前記層間平坦化膜を除去する工程と第2の導電膜を成膜する工程と、前記第二形成領域の前記アライメントマークを用いて少なくとも上層配線と上層配線端子を形成する為のレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンを用いて前記第2の導電膜で形成される前記上層配線と前記上層配線端子をパターニングすると共に前記第二形成領域の前記アライメントマークを同時にエッチングする工程と、保護膜を成膜する工程と、前記第一形成領域の前記アライメントマークを用いて前記保護膜に開口部を形成する工程とを備えたことを特徴とするタッチパネル基板の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
第2の導電層のパターンと第1の導電層とのアライメント精度を有しつつ、第2の導電層の上層に形成された構造物のパターンと第1の導電層のパターンとのアライメント精度を向上させることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1にかかるガラス基板上に配列されたタッチパネル概観
【図2】実施の形態1にかかるタッチパネルの概略平面図
【図3】実施の形態1にかかるタッチパネルのAA断面図
【図4】実施の形態1にかかるアライメントマークの平面図
【図5】実施の形態1にかかるアライメントマークのBB断面図
【図6】実施の形態1にかかる下層配線形成後の断面図
【図7】実施の形態1にかかる層間平坦化膜形成後の断面図
【図8】実施の形態1にかかる上層配線の写真製版後の断面図
【図9】実施の形態1にかかる上層配線形成後の断面図
【図10】実施の形態1にかかる保護膜成膜後の断面図
【図11】別のマスクを用いた場合のパネル断面図
【図12】別の実施例の第2の導電膜成膜後の平面図及び断面図
【図13】別の実施例の層間平坦化膜塗布後の平面図及び断面図
【図14】別の実施例の第2の導電膜形成工程のアライメントマークの断面図
【図15】タッチパネル基板の断面図
【図16】タッチパネル基板の断面図
【図17】タッチパネル基板の断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1
タッチパネルを例にとって、本実施の形態1について説明する。図1に、ガラス等の基板1上に配列されたパターン概略を示す。ガラス基板には1つ以上のタッチパネル100と、タッチパネルの形成に用いるアライメントマークを配置する領域101が設けられている。図2、図3に、タッチパネルの平面図と断面図を各々示す。
【0021】
タッチパネル100は第1の導電膜で形成された下層配線2及び下層配線端子3と、第1の導電膜上に形成された層間平坦化膜6と、層間平坦化膜6上に形成された第2の導電膜で形成された上層配線7と上層配線端子8と、第2の導電膜上に形成された保護膜9にて構成されている。
【0022】
下層配線端子3は第1導電膜上の層間平坦化膜6及び保護膜9を除去したコンタクトホールである開口部CH1を介して、また、上層配線端子8は第2の導電膜上の保護膜9を除去したコンタクトホールである開口部CH2を介して、それぞれ外部回路との電気的接続を形成する。
【0023】
図4にアライメントマーク領域の平面図を示す。また、図4においてB−Bで示した箇所の断面図を図5に示す。図5(a)〜(d)は断面図の一例を各々示したものである。図4においてアライメントマーク領域101は、アライメントマーク第一形成領域102とアライメントマーク第二形成領域103とを有している。ここで、図5(a)から、アライメントマーク第二形成領域103は開口部CH3内に形成されている。
【0024】
図5(a)に示すアライメントマーク第一形成領域102においては、第1の導電膜で形成されたアライメントパターン4と、その上層に少なくとも層間平坦化膜6が形成されている。
【0025】
また、図5(a)に示すアライメントマーク第二形成領域103は、層間平坦化膜6に設けられた開口部CH3内に設けられており、開口部CH3内には保護膜9が形成されている。図17で説明したように層間平坦化膜6の開口内においては製造工程の途中までは第1の導電膜で形成されたアライメントパターン4が形成されている。しかし、図5(a)に示すようにタッチパネル100が完成した時点ではアライメントパターン4は消失している。
【0026】
このように、アライメントマーク第二形成領域103においては第1の導電膜で形成されたアライメントパターン4は最終的に残存しないが、層間平坦化膜6の開口の方法によってはその痕跡を残すこともあり、図5(b)〜図5(d)にその一例を示す。
【0027】
図5(b)の様に第1の導電膜で形成したアライメントマーク4のパターンに沿ってガラス基板1がエッチングされる場合もあるが、この場合には第1の導電膜はエッチングされておりアライメントマーク4としては機能しない状態となっている。
【0028】
なお、図5(a)、図5(b)において保護膜9はアライメントマーク領域101において残存した状態を示したが、図5(c)の様に保護膜9が除去されて、アライメントマーク第一形成領域102の第1の導電膜で形成したアライメントマーク4上には層間平坦化膜6のみが残存する構造でもよい。
【0029】
さらには図5(d)の様に保護膜9及び層間平坦化膜6が除去されて、アライメントマーク第一形成領域102において第1の導電膜で形成したアライメントマーク4が露出する構造でもよい。保護膜9が除去された構造において、保護膜のエッチング時に保護膜9と層間平坦化膜6の選択比が十分大きくかつ下層端子の開口部CH1において予め層間平坦化膜6の開口がなされている場合は図5(c)となり、選択比が小さい場合または下層端子3の開口部CH1は層間平坦化膜6と保護膜9の開口処理を同時に行い形成した場合は図5(d)の断面形状となる。
【0030】
なお図5(c)、図5(d)においてはガラス基板1に第1導電膜で形成したアライメントパターンの跡5が残る場合について示したが、エッチング条件によって図5(a)の様に残らない場合もある。
【0031】
また、アライメントマーク4として四角パターンを並べた形状を示したが、他のパターン例えば井桁(いげた)パターン等を用いてもよい。
【0032】
次に、本実施の形態1における製造方法について説明する。ガラス等の基板1上に第1の導電膜、例えばAl系合金をスパッタ法にて成膜する。次に写真製版処理で下層配線2、下層配線端子3及びアライメントマーク4等を形成するためのレジストパターンを形成する。次に、例えば燐酸と硝酸と酢酸の混液を用いて、レジストに覆われずに露出している第1の導電膜をエッチングする。次に、レジスト剥離液にて残存するレジストを除去する。
【0033】
このようにして、下層配線2、下層配線端子3、アライメントマーク4が形成される。この状態を図6(a)、図6(b)に示す。ここで、図6(a)は、図2のA−Aで示されるように配線端子3、8を含むパネル100の工程断面図である。また、図6(b)は図4のB−Bで示されたアライメントマーク領域101の工程断面図である。
【0034】
図6(a)において、第1の導電膜を用いた下層配線2と下層配線端子3がパネル内に形成されている。また、図6(b)において、アライメントマーク領域101においてはアライメントマーク第一形成領域102とアライメントマーク第二形成領域103に第1の導電膜を用いたアライメントマーク4が形成されている。
【0035】
なお、第1の導電膜としてAl系合金を挙げたが、配線抵抗を低減できるAl系合金の積層膜、Cu等の低抵抗金属の積層膜でもよい。
【0036】
第1の導電膜のパターンを形成した後に、層間平坦化膜6として、例えば有機SiO2系材料を塗布し焼成する。次に写真製版処理により、アライメントマーク形成領域103にて開口して層間平坦化膜6を露出するレジストパターン11を形成する。本工程の写真製版処理では、アライメントマーク第一形成領域102とアライメントマーク第二形成領域103のどちらのアライメントマーク4を用いても同じ精度で重ね合わせが可能である。
【0037】
次にドライエッチ法を用いてレジストパターン11の開口部分で露出する層間平坦化膜6をエッチングする。その後、レジスト剥離液を用いて残存するレジストを除去する。この状態を図7(a)、図7(b)に示す。
【0038】
ここで、図7(a)は、図2のA−Aで示された箇所の工程断面図であり、図7(b)は図4のB−Bで示された箇所の工程断面図である。図7(a)において、パネル内では下層配線2及び下層配線端子3上には層間平坦化膜6が形成されている。
【0039】
一方、図7(b)において、アライメントマーク第一形成領域102では第1の導電膜で形成したアライメントマーク4上を層間平坦化膜6が覆っているが、アライメントマーク第二形成領域103においては層間平坦化膜6に開口部CH3が形成され、第1の導電膜で形成されたアライメントマーク4は露出している。
【0040】
ここで、図示しないが、たとえば層間平坦化膜6と基板1の材料であるガラスとのエッチング選択比が低かったり、オーバーエッチング時間が長かったりするドライエッチング条件の場合には、アライメントマーク4で覆われていないガラス基板表面がエッチングされることがある。そのような場合には、アライメントマーク第二形成領域103は、図5(b)〜図5(d)に示したような構造となる。
【0041】
なお、層間平坦化膜6として有機SiO2系の平坦化膜を示したが、無機SiO2系でもよくさらにはアクリル系やポリイミド系等の有機膜でもよい。
【0042】
また、層間平坦化膜6のパターニングとしてレジストパターンを用いたドライエッチングにて形成する方法を示したが、層間平坦化膜6に感光機能を付加した材料を用いて層間平坦化膜6の塗布後に露光、現像にてパターニングする方法を用いてもよい。この場合、感光基による着色を抑制するためブリーチング露光などの追加処理をするのが好ましい。
【0043】
次に層間平坦化膜6上に第2の導電膜10、例えば第1の導電膜と同材料のAl系合金をスパッタ法にて成膜する。次に写真製版処理で上層配線7及び上層配線端子8等のレジストパターン11を形成する。この状態を図8に示す。
【0044】
ここで、図8(a)は、図2のA−Aで示された箇所の工程断面図であり、図8(b)は図4のB−Bで示された箇所の工程断面図である。図8(a)において、パネル内では上層配線7及び上層配線端子8を形成するレジスト11がパターニングされている。一方、図8(b)において、アライメントマーク第一形成領域102、アライメントマーク第二形成領域103ではレジストパターンは形成されておらず、開口部CH3内で露出していたアライメントマーク4上を第2の導電膜10が覆っている。
【0045】
本工程の写真製版処理においては、層間保護膜を開口しているアライメントマーク第二形成領域103のアライメントマーク4を用いて行う。すなわち、図8(b)に示されるように、第2の導電膜10はアライメントマーク4上を覆っており、アライメントマーク4の凹凸を反映した表面形状をなしている。第2の導電膜10で覆われたこの凹凸をアライメントマークとして用いることにより、上層配線7及び上層配線端子8等を形成するためのレジストパターン11を形成するのである。これにより、第2の導電膜10のパターニングは、第1の導電膜からなるアライメントマーク4を基にして行うことが可能となる。
【0046】
次に例えば燐酸と硝酸と酢酸の混液を用いて第2の導電膜10をエッチングする。次にレジスト剥離液にて残存するレジストを除去する。この状態を図9に示す。ここで、図9(a)は、図2のA−Aで示された箇所の工程断面図であり、図9(b)は図4のB−Bで示された箇所の工程断面図である。
【0047】
図9(a)において、パネル内では上層配線7及び上層配線端子8が形成されている。
一方、図9(b)において、アライメントマーク第二形成領域103では層間平坦化膜6を開口して露出されたアライメントマーク4が第2の導電膜10のエッチングにおいて同時にエッチングされ除去されている。言い換えれば、この第1の導電膜からなるアライメントマーク4は、第2の導電膜10のパターン形成の際のアライメントマークとして用い尽くされたことになる。
【0048】
なお、第2の導電膜として第1の導電膜と同様に配線抵抗を低減できるAl系合金を示したが、Al系合金の積層膜、Cu等の低抵抗金属の積層膜でも良い。また、第2の導電膜と第1の導電膜とは必ずしも同じ材料でなくとも、本発明の実施の形態による効果を奏することが可能である。
【0049】
すなわち、第1の導電膜と第2の導電膜とのエッチング選択性が低いような関係であってもよい。たとえば、第1の導電膜がアルミで、第2の導電膜がモリブデンであって、第2の導電膜のエッチング液に燐酸と硝酸と酢酸の混液を使用してもよい。この場合、第2の導電膜であるモリブデンが溶解するだけでなく、第1の導電膜のアルミも溶解するが、本発明の実施の形態1による効果を享受することが可能である。
【0050】
第2の導電膜のパターンを形成した後に保護膜9として例えば有機SiO2系材料を塗布し焼成する。この状態を図10に示す。ここで、図10(a)は、図2のA−Aで示された箇所の工程断面図であり、図10(b)は図4のB−Bで示された箇所の工程断面図である。
【0051】
次に写真製版処理にて、下層配線端子3及び上層配線端子8部分を開口したレジストパターン(図示せず)を形成する。本工程の写真製版処理においては、アライメントマーク第一形成領域102の層間保護膜6に覆われているアライメントマーク4を用いて行う。先に第2の導電膜10のパターニングの際に用いたアライメントマーク第二形成領域103のアライメントマークはエッチングにより除去されてしまったが、アライメントマーク第一形成領域102のアライメントマークは残存しているので、第2導電膜10の上層のパターニングに関する本工程においても第1の導電膜のパターンを基にしたパターニングが可能となるのである。
【0052】
その後はレジストパターンをエッチングマスクとして、ドライエッチング法を用いて保護膜9と層間平坦化膜6をエッチングした後にレジスト剥離液により残存するレジストを除去すれば、図2〜5に示す構造となる。
【0053】
なお、保護膜として有機SiO2系の平坦化膜を示したが、無機SiO2系、アクリル系やポリイミド系等の有機膜でもよく、さらにはCVD法を用いた無機絶縁膜や複合膜でもよい。
【0054】
本実施の形態1において、下層配線端子3を開口する開口部CH1は、保護膜9を成膜した後に形成したレジストパターンをエッチングマスクとして保護膜9と層間平坦化膜6を一括してエッチング除去することによって形成されている。
【0055】
一方、コンタクトホールを開口する際に、保護膜9と層間平坦化膜6とを一括してエッチングするのではなく、保護膜9へのコンタクトホール開口工程と、層間平坦化膜6へのコンタクトホール開口工程とを別にしても良い。このような製造方法について、図11を用いて説明する。
【0056】
図11(a)は、コンタクトホールCH4が開口されている点を除くと図7(a)と同じである。別の言い方をすると、図7(b)に示すアライメントマーク形成領域101において層間平坦化膜6を除去するのと同時に、下層配線端子3上の層間平坦化膜6も除去した場合に図11(a)に示す構造となる。
【0057】
図11(b)は、図11(a)に示す構造に第2の導電膜10を形成してパターニングを行い、上層配線7、上層配線端子8に加えてCH4を覆うようにして下層配線端子パッド12をも形成した構造である。なお、図11(b)は層間平坦化膜6に開口したコンタクトホールCH4を介して、下層配線端子と接続する下層配線端子パッド12が形成されている点を除くと図9(a)と同じである。別の言い方をすると、図9(a)において第2の導電膜10のパターン形成の際に、上層配線7、上層配線端子8に加えて、CH4を覆うようにして下層配線端子パッド12も形成すると、図11(b)に示す構造となる。
【0058】
図11(c)は、図11(b)に示す構造に保護膜9を形成した後に保護膜9に開口部CH2を設けて下層配線端子パッド12を露出したような構造である。また、開口部CH2は上層配線端子8上にも形成されている。
【0059】
なお、図11(c)では下層配線端子パッド12上において開口部CH4と開口部CH2とが重なっているが、第1の導電膜で形成された下層配線2と開口部CH4を介して電気的接続された第2の導電膜で形成された下層配線端子パッド12上に開口部CH2が開口されていれば電気的接続関係は保たれるので、開口部CH4と開口部CH2は離れた場所に形成されていてもよい。
【0060】
本実施の形態1では、層間平坦化膜6、上層配線7、保護膜9の全てについて下層配線形成時のアライメントマークを元に写真製版処理が行える為、各層間のパターンの重ねずれを小さくできるので加工精度のよいタッチパネルを提供することが出来る。
【0061】
実施の形態2
層間平坦化膜を塗布した状態のガラス基板を示した図12(a)と、その時のアライメントマーク領域の断面を示した図12(b)を用いて、本実施の形態2について説明する。なお、図12(b)は、図12(a)においてC−Cで示した箇所の断面図である。また、製造工程という観点では、図12(b)は図7(b)とほぼ対応する。
【0062】
図12(a)において、ガラス基板1上には複数のタッチパネル100の形成領域があり、ガラス基板1の周縁部にはアライメントマーク領域101が形成されている。ガラス基板1上に層間平坦化膜が塗布されている領域が層間平坦化膜塗布領域104であり、各アライメントマーク領域101の一部を覆うような領域となっている。すなわち、各アライメントマーク領域101には層間平坦化膜6が塗布されている領域104と塗布されていない領域とがあることになる。
【0063】
図12(b)のアライメントマーク形成領域101において、層間平坦化膜6が形成されており、第1の導電膜のパターンが覆われている領域がアライメントマーク形成領域102である。図12(b)におけるアライメントマーク第一形成領域102は図12(a)における層間平坦化膜塗布領域104の一部である。一方で、層間平坦化膜6が形成されておらず、第1の導電膜のアライメントマーク4が露出している領域がアライメントマーク形成領域103である。
【0064】
実施の形態1においては、アライメントマーク第一形成領域102とアライメントマーク第二形成領域103の位置関係は任意の配置関係をとっていたが、本実施の形態ではアライメントマーク第二形成領域103はアライメントマーク第一形成領域102よりも基板1の外側に配置されていることが、層間平坦化膜6を形成する上で望ましい配置である。
【0065】
また、実施の形態1においては、アライメントマーク第二形成領域103における層間平坦化膜6の開口部CH3は写真製版等の処理によって実施したが、本実施の形態においては層間平坦化膜6の塗布時の条件設定により第1の導電膜で形成したアライメントマーク4を露出させることを特徴としている。すなわち、本実施の形態においては、層間平坦化膜6を塗布し終えた時点でアライメントマーク4は既に露出していることとなる。
【0066】
塗布条件としては、層間平坦化膜材料を塗布するノズルのスキャン開始位置を領域103よりもガラス基板1の内側で、かつ、アライメントマーク第一形成領域102よりもガラス基板1の外側となるような領域に設定する。そして、スキャン終了位置は、スキャン開始位置に近接するガラス基板1の辺と対向する辺において、アライメントマーク第二形成領域103よりもガラス基板1の内側で、かつ、アライメントマーク第一形成領域102よりもガラス基板1の外側となるような領域に設定する。なお、スキャン開始位置とスキャン終了位置でのにじみ等の影響を受けないようにアライメントマーク第二形成領域103を配置することが望ましい。
【0067】
本実施の形態では、層間平坦化膜のエッチング加工等を行わなくても、第2の導電膜のレジストパターン用に第1の導電膜で形成したアライメントマークを露出させることが可能である。したがって、工程の削減が可能となる。
【0068】
さらに、層間平坦化膜を塗布する際のスキャン開始・終了位置はレシピにて設定が可能なので、他機種のパネル配置であっても簡単に対応することが可能である。その他の製造工程については、実施の形態1と同様としてよい。
【0069】
実施の形態3
第2の導電膜をパターニングするための写真製版版処理をした後におけるアライメントマーク形成領域の断面を示した図13aと、第2の導電膜をパターニングした状態の断面を示した図13(b)を用いて、本実施の形態3について説明する。なお、工程という観点では、図13(a)は図8(b)と、図13(b)は図9(b)とほぼ対応する。
【0070】
図13(a)において、アライメントマーク第二形成領域103では、層間平坦化膜6の開口部CH3内に形成されている第1の導電膜からなるパターン上を覆う第2の導電膜10の上層にレジストパターン11が形成されている。
【0071】
図13(b)は、図13(a)に示す構造から、レジストパターンをマスクとして第2の導電膜10をエッチング除去して、さらに残存するレジストパターンを剥離除去した構造を示している。アライメントマーク第二形成領域103においては、第1の導電膜のパターンはエッチングによっても消失することなく、第2の導電膜10に覆われたまま残存している。
【0072】
本実施の形態においては、第2の導電膜のパターニング時にアライメントマーク第二形成領域103をレジストパターンで覆うことにより第1の導電膜で形成したアライメントマーク4が消失することを防止できる。したがって、同一のアライメントマークを用いることが出来る。すなわち、実施の形態1においては、第2の導電膜のパターニングの際には、アライメントマーク第二形成領域103のアライメントマークを用いる一方で、第2の導電膜10よりも上層のパターニングの際にはアライメントマーク第一形成領域102のアライメントマークを用いていたが、本実施の形態においては、いずれのパターニングの場合においてもアライメントマーク第二形成領域103のアライメントマークを用いることができるのである。
【0073】
実施の形態4
実施の形態1〜3においては、第1導電膜からなるアライメントマークを覆う層間平坦化膜を除去してアライメントマークを露出させる工程を有していた。本実施の形態においては、そのような工程すら削減できる点で実施の形態1〜3と異なる。
【0074】
第2の導電膜を成膜した状態における本実施の形態4にかかるガラス基板を図14(a)に示す。また、ガラス基板上に形成されるタッチパネルの断面を図14(b)に、アライメントマーク領域の断面を図14(c)に示す。
【0075】
図14(b)に示すとおり、第2の導電膜10はタッチパネル100の形成領域においては膜厚d1で形成されている。その一方で、図14(c)に示すようにアライメントマーク領域101においては、第2の導電膜10はタッチパネル100の領域における膜厚d1より薄い膜厚d2で成膜されている。膜厚d2は露光装置のアライメント光が透過する膜厚であることが望ましく、さらにはアライメントマーク領域101において第2の導電膜は成膜されていなくてもよい。第2の導電膜10において厚みを薄くした領域においては、下層のアライメントマーク4は物理的には層間平坦化膜6によって覆われているものの光学的には露出しているともいえる。
【0076】
なお、スパッタ成膜にて、膜厚d1>d2とする方法として、装置への膜防着用のスパッタ防着マスクの開口形状をパネル形成領域に設定する方法や、スパッタ時のマグネットスキャンスピードをアライメントマーク領域>パネル領域に設定する方法や、スパッタ時のマグネットのスキャン領域をアライメントマーク領域までのスキャンとパネル領域までのスキャンとを組み合わせて設定する等の方法が挙げられる。
【0077】
以上のように防着マスクの使用やスキャン領域の調整により第2の導電膜10の膜厚に差を設ける場合には加工精度の点などから特に、アライメントマーク4は基板1の周辺に配置されるのが望ましい。
【0078】
本実施の形態4においては層間平坦化膜6を開口したアライメントマーク第一形成領域103を形成する必要がなく、層間平坦化膜6に覆われた状態のアライメントマーク第一形成領域102のアライメントマーク4を用いて第2の導電膜のレジストパターンを形成する。
【0079】
本実施の形態4では層間平坦化膜下の第1の導電膜で形成した第2の導電膜のレジストパターン用のアライメントマークを層間平坦化膜のエッチング加工処理等を行わなくても検出できるので工程の削減が可能となる。
【符号の説明】
【0080】
1 基板
2 下層配線(第1の導電膜配線)、3 下層配線端子
4 第1のアライメントマーク、5 第1のアライメントマーク跡
6 層間平坦化膜
7 上層配線(第2の導電膜配線)、8 上層配線端子
9 保護膜
10 第2の導電膜、11 レジスト
12 下層配線端子パッド
100 タッチパネル
101 アライメントマーク領域
102 アライメントマーク第一形成領域
103 アライメントマーク第二形成領域
104 層間平坦化膜塗布領域
CH1、CH2、CH3、CH4 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の導電膜を成膜する工程と、
前記第1の導電膜をパターニングすることにより、下層配線、下層配線端子、第一形成領域のアライメントマーク及び第二形成領域のアライメントマークを形成する工程と、
層間平坦化膜を塗布する工程と、
少なくとも前記第二形成領域の前記アライメントマーク上層の前記層間平坦化膜を除去する工程と、
第2の導電膜を成膜する工程と、
前記第二形成領域の前記アライメントマークを用いて少なくとも上層配線と上層配線端子を形成する為のレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを用いて前記第2の導電膜で形成される前記上層配線と前記上層配線端子をパターニングすると共に前記第二形成領域の前記アライメントマークを同時にエッチングする工程と、
保護膜を成膜する工程と、
前記第一形成領域の前記アライメントマークを用いて少なくとも前記保護膜に開口部を形成する工程
とを備えたことを特徴とするタッチパネル基板の製造方法。
【請求項2】
前記第二形成領域の前記層間平坦化膜を開口する工程において、
前記下層配線端子の一部を開口するような開口部を設け、
前記第2の導電膜のパターニング工程において、
前記下層配線端子の一部を開口するような前記開口部を介して前記下層配線端子と接続する下層配線端子パターンを形成することを特徴とした
請求項1に記載のタッチパネル基板の製造方法。
【請求項3】
第1の導電膜を成膜する工程と、
第1の導電膜で形成される下層配線,下層配線端子,第一形成領域のアライメントマーク及び第二形成領域のアライメントマークをパターニングする工程と、
前記第一形成領域の前記アライメントマークは被覆し、前記第二形成領域の前記アライメントマークを被覆しない様に層間平坦化膜を塗布する工程と
第2の導電膜を成膜する工程と、
前記第二形成領域の前記アライメントマークを用いて少なくとも上層配線と上層配線端子を形成する為のレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを用いて前記第2の導電膜で形成される前記上層配線と前記上層配線端子をパターニングすると共に前記第二形成領域の前記アライメントマークを同時にエッチングする工程と、
保護膜を成膜する工程と、
前記第一形成領域の前記アライメントマークを用いて少なくとも前記保護膜に開口部を形成する工程
とを備えたことを特徴とするタッチパネル基板の製造方法。
【請求項4】
第1の導電膜で形成された下層配線と下層配線端子とアライメントマークと
前記下層配線と前記下層配線端子と前記アライメントマークを覆うように形成された層間平坦化膜と
前記層間平坦化膜上に第2の導電膜で形成された上層配線と上層配線端子と
前記層間平坦化膜と前記上層配線と前記上層配線端子を覆い、かつ前記下層配線端子及び前記上層配線端子の少なくとも一部を開口するように形成された保護膜とを有するタッチパネルにおいて
前記層間平坦化膜が除去された領域において、前記アライメントマークをマスクとして前記第1導電膜の下層絶縁膜の一部がエッチングされていることを特徴とするタッチパネル基板。
【請求項5】
第1の導電膜を成膜する工程と、
第1の導電膜で形成される下層配線,下層配線端子,アライメントマークをパターニングする工程と、
層間平坦化膜を塗布する工程と、
第2の導電膜の成膜においてタッチパネル領域の膜厚よりアライメントマーク領域の膜厚を薄く形成する工程と、
前記アライメントマークを用いて少なくとも上層配線と上層配線端子を形成する為のレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンを用いて前記第2の導電膜で形成される上層配線と上層配線端子をパターニングする工程と、
保護膜を成膜する工程と、
前記アライメントマークを用いて少なくとも端子部が開口した開口部を前記保護膜に形成する工程
とを備えたことを特徴とするタッチパネル基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−105430(P2013−105430A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250713(P2011−250713)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】