説明

タッチパネル式入力表示装置

【課題】起動時からタッチパネル入力装置が押し続けられた異常状態であっても、入力座標を補正しながら動作継続できるようにするタッチパネル式入力表示装置を提供する。
【解決手段】入力検出部31は、タッチパネル21の電圧値を検出して、入力の有無を検出する。また、操作スイッチ22の入力も検出し、座標制御部33を介して、主制御部19に通知する。座標算出部32は、検出された電圧値をA/D変換等を行なって入力位置の座標を求める。座標補正部34は、タッチパネル21に異常がある場合、座標算出部32で算出した座標に対して正しい座標に補正を行なう。座標制御部33は、タッチパネル21が正常か異常かを判定し、異常場合には座標補正が可能か否かを判断して、補正可能な場合に座標補正部34に座標補正を行なわせる。また、LCD23に表示制御部35を介して座標処理に関する表示を行なわせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定内容の表示を行う表示画面機能と、この表示画面に対しユーザの接触操作により入力を行う入力操作機能を有するタッチパネル式入力表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイなどの表示画面の前面に透明のタッチパネル式入力手段を備えた入力表示装置が登場している。ユーザがタッチパネルに指や専用ペンにより触れると、その入力位置を検出することができるため、画面表示と連動させて、表示画像を触ることにより入力を可能とする。そのため、直感的で操作しやすい入力装置として、様々の分野に普及している。
【0003】
図13に示すように、タッチパネル式入力表示装置100は、接触による入力操作を行なうタッチパネル101と、液晶等の表示部102と、これらを支持固定する筐体103を備える。タッチパネル101の周縁部には入力動作しない非動作領域104が形成され、非動作領域104に筐体103の支持凸部103aが当接して支持固定している。さらに支持凸部103aからタッチパネル側に延びた筐体103の先端部103bは、タッチパネル101との間に隙間が設けられて、タッチパネル101に多少の変形が生じても誤動作しないようになっている。
【0004】
タッチパネル部101と筐体103との間に異物105(原稿から取り除いたステープルの針やクリップ等、)が混入した場合(図14(a):先端部103bとタッチパネル101の間に異物)や、タッチパネル組立時のメカ勘合不良を生じた場合(図14(b):筐体の変形、図14(c):タッチパネルの変形)などの原因で、起動時からタッチパネルが押されたままの状態となることがある。
【0005】
従来のタッチパネルによる入力に対する座標検出手順について図15により説明する。
電源起動されて(ステップS101)、ユーザがタッチパネルを押下してタッチパネルがONされたかを検出する(ステップS102)と、入力座標を確定し、その座標情報を装置本体に通知する(ステップS103)。タッチパネルの入力がOFFになったかを検出し(ステップS104)、入力OFFの場合はその情報を装置本体に通知して(ステップS105)、ステップS102に戻る。入力ON状態が続いていれば、入力座標に変化があるか検出し(ステップS106)、変化がなければステップS104に戻る。入力座標に変化があれば、入力座標を確定し、その座標情報を装置本体に通知し(ステップS107)、ステップS104に戻る。
【0006】
しかし、この検出方法であると、図14に示した不具合により、電源起動時にすでにタッチパネルがON状態であると、ユーザの入力を全く受け付けない状態となり、入力がOFFされるまで、すなわち異物の除去や修理が行われるまで、全く入力を行えなくなってしまうという問題がある。
【0007】
そこで、特許文献1の技術では、タッチパネル部分の外周部に接触操作が無効となる領域を設け、異物の噛み込み等により誤動作しないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−244154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1の技術では、タッチパネル部分の外周部に接触操作が無効となる領域を設けることにより、入力可能エリアを狭めることになり、操作の自由度を狭めることになる。特に、表示エリアの小さいものや、1画面における操作事項が多数ある場合などでは、複数画面を表示させないと、1操作ができないことにもなりかねず、操作が煩雑になる可能性もある。
【0010】
また、特許文献1の技術では、多点入力を行えないタッチパネル式入力装置において、同時に2点押されると、誤った座標の算出を行ってしまうことから、タッチパネルに図14のような不具合があると、入力位置の正確な座標を求めることができないという問題もある。
【0011】
本発明は、斯かる実情に鑑み、起動時からタッチパネル入力装置が押し続けられた状態であっても、入力座標を正確な値に補正しながら動作継続できるようにするタッチパネル式入力表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、画像表示を行なう表示部と、その前面に配して接触入力を可能とするタッチパネル部とを備えたタッチパネル式入力表示装置において、
前記タッチパネル部への入力を検出してその入力値を出力する入力検出手段と、前記入力値に基づいて入力位置の座標を求める座標算出手段と、前記タッチパネル部がユーザ未入力でも常時入力となる異常状態の場合に、前記座標算出手段の入力座標を正しい値に補正する座標補正手段と、前記入力検出手段により前記タッチパネル部の前記異常状態を判定し、異常状態である場合に前記座標算出手段が求めた常時入力の異常位置である異常座標と、ユーザの入力座標とに基づいて、前記座標補正手段により補正可能かを判定し、補正可能な場合であれば前記座標補正手段に入力座標の補正を行なわせる座標制御手段と、を備えたことを特徴とするものである。
【0013】
ここで、前記座標制御手段は、前記タッチパネル部が前記異常状態である場合は、ユーザに入力を指示する任意の指示位置を前記表示部に表示させ、該指示位置の座標と前記座標算出手段により算出したユーザ入力位置の座標を比較し、前記座標補正手段により補正可能であるかを判定することを特徴とする。
【0014】
また、前記座標制御手段は、ユーザに入力を指示する任意の指示位置を、異常位置から最も遠い位置とすることを特徴とする。
【0015】
また、前記タッチパネル部は、抵抗膜方式であり、前記座標制御手段は、前記任意の指示位置に対するユーザ入力位置の座標が、前記異常座標と前記指示位置の座標のほぼ中間点であれば、前記座標補正手段により補正可能と判定することを特徴とする。
【0016】
また、前記座標補正手段は、異常座標を(X,Y)、前記座標算出手段により求めたユーザ入力位置の座標を(X,Y)、前記座標補正手段により補正した入力座標を(X,Y)とすると、
X=X*2−X
Y=Y*2−Y
と補正することを特徴とする。
【0017】
また、前記座標制御手段は、前記タッチパネル部の異常状態により座標補正が不可能な場合は、その旨を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【0018】
また、前記座標制御手段は、前記座標算出部が求めた異常座標を前記表示部に表示させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、異物噛み込み等が起こり、未入力状態であっても常時入力となる異常状態になった場合も、前記座標算出手段が求めた異常入力の異常座標と、ユーザの入力座標とに基づいて、前記座標補正手段により補正可能かを判定し、補正可能な場合であれば前記座標補正手段に入力座標の補正を行なわせるので、従来技術のように接触操作入力が無効となる領域を設けずに操作可能領域を大きく保ち、異常状態であってもユーザがタッチした位置の真の座標を割り出すことができ、ユーザの操作継続を可能とするという優れた効果を奏し得る。
【0020】
また、本発明によれば、入力の指示表示位置の座標と、座標算出手段により算出したユーザ入力位置の座標を比較し、前記座標補正手段により補正可能であるかを判定するので、補正可能な場合にのみ補正処理をすることができ、処理の効率化を図れる。
【0021】
また、本発明によれば、ユーザに入力を指示する任意の入力位置を、異常位置から最も遠い位置とするので、異常座標と検出される入力座標が大きく異なり、座標制御手段が異常状態を判断しやすくなる。特に、タッチパネル部が抵抗膜方式であると、ユーザ入力位置の座標が、異常座標と指示位置の座標のほぼ中間点であるか否かにより、簡単に補正可能と判定することができる。これにより、座標補正手段は、入力された座標が、異常座標と真の座標の半分であることから、簡単に補正することができる。
【0022】
また、本発明によれば、タッチパネル部の異常状態により座標補正が不可能な場合、その旨を前記表示部に表示させるので、ユーザがなぜ入力不可能であるかを知ることができ、対処が可能となる。
【0023】
また、本発明によれば、異常座標を表示するので、異物などの異常原因を取り除くことも場合によっては可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明のタッチパネル式表示装置を備えた複合機の一例を示すブロック図である。
【図2】操作パネル部の外観図である。
【図3】操作パネル部の組み立て図である。
【図4】タッチパネルの外観図である。
【図5】パネル制御部の制御処理を示すフローチャートである。
【図6】図5に続くパネル制御部の制御処理を示すフローチャートである。
【図7】座標補正の処理を示すフローチャートである。
【図8】正常時の表示と異常時の警告表示を示す図である。
【図9】異常時の十字キー表示と警告表示を示す図である。
【図10】複数の異常点を有する場合の警告表示を示す図である。
【図11】異常時にあっても入力可能となる場合の確認表示を示す図である。
【図12】異常時のサービスマンコールの警告表示を示す図である。
【図13】従来のタッチパネル式入力表示装置の正常な状態を示す図である。
【図14】従来のタッチパネル式入力表示装置の異常な状態を示す図である。
【図15】従来のタッチパネル式入力表示装置の座標検出手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1は本発明のタッチパネル式表示装置を備えた複合機の一例を示すブロック図である。複合機10は、コピーモード、プリンタモード、スキャナモード、及びファクシミリモードを有する装置である。
【0027】
この複合機10は、ユーザが操作入力を行なう操作パネル部11、操作表示の制御や入力位置の検出を行なうパネル制御部12、原稿を読み取って画像データとするスキャナ部13、スキャナ部13からの画像データや外部機器(例えばコンピュータ等)からの画像データに基づいて印刷用に処理を行なう画像処理部14、処理画像データを保存する画像記憶部15、記録用紙を給紙する給紙部16、記録用紙を搬送する記録紙搬送部17、搬送された記録紙に画像を形成する画像形成部18、各部を制御する主制御部19、とから構成される。
【0028】
操作パネル部11は、タッチパネル21、操作スイッチ22、LCD23、LED24から構成される。図2に操作パネル部11の外観図、図3に操作パネル部11の組み立て図を示す。
【0029】
操作パネル部11は、表示装置であるLCD23の前面に入力装置としてのタッチパネル21を配置している。タッチパネル21は透明であり、ユーザは直下のLCD21に表示される画像を見ながら入力が可能である。タッチパネル21、LCD23の周辺には複合機10の操作スイッチ22や処理状態を示すLED24が配置されている。
【0030】
この操作パネル部11は、図3に示すように、上から順に、各部を収納して固定する筐体41、タッチパネル21、LCDを収容固定するLCDフォルダ42、LCD23、LCDフォルダ43、を配して組み立てる。
表示装置としては、LCDに限らず、例えばプラズマディスプレイや有機ELディスプレイでも構わない。
【0031】
図4はタッチパネル21の外観図である。
このタッチパネル21は、抵抗膜方式の長方形タッチパネルである。
一般に抵抗膜方式タッチパネルは、ベースとなるガラス面の表面に非常に小さなスペーサをはさみ、その表面にしなやかな透明フィルムが貼り付けられている。ガラス及びフィルムの向かい合う面には、ITO(Indium Tin Oxide)と呼ばれる透明な電極格子が設けられている。フィルム面をタッチすると、圧力によりフィルムがたわみ、ガラス面の電極と接触し、電気が流れ、ガラス面、フィルム面それぞれの透明電極の抵抗による分圧比を測定することで押された位置を検出する。すなわち、対向する2枚の抵抗膜のうち1枚に対して電圧をかけておくと、操作した位置に応じた電圧が2枚目に発生する。この分圧比を検知する事によりアナログ量として操作した場所を検知することができる。
【0032】
このタッチパネル21は、4辺の外縁部に入力動作が不可能な非動作領域51、その内側に入力動作は可能であるが入力動作として保障しない動作保障外領域52を設け、この動作保障外領域52の内側がタッチ入力可能な動作領域53である。非動作領域51には、図13に示したように、筐体41の支持凸部が当接して、タッチパネル21を支持固定している。タッチパネル21にはパネル制御部12に接続するフレキシブルケーブル54が設けられており、動作領域53での入力動作により検出した電圧値を出力する。
【0033】
パネル制御部12は、入力検出部31、座標算出部32、座標制御部33、座標補正部34、表示制御部35、記憶部36から構成される。
入力検出部31は、タッチパネル21を出力した電圧値をにより入力の有無を検出する。また、操作スイッチ22の入力も検出し、座標制御部33を介して、主制御部19に通知される。
座標算出部32は、検出された電圧値のA/D変換等を行なって入力位置の座標を求める。座標補正部34は、タッチパネル21に異常がある場合、座標算出部32で算出した座標に対して正しい座標に補正を行なう。
座標制御部33は、タッチパネル21が正常か異常かを判定し、異常である場合には座標補正が可能か否かを判断して、補正可能な場合に座標補正部34に座標補正を行なわせる。また、LCD23に表示制御部35を介して座標処理に関する表示を行なわせる。
表示制御部35は、主制御部19からの指示によりLCD23やLED23への表示あるいは点灯制御を行なう。また、座標制御部33の指示により座標処理に関する表示を行う。
【0034】
スキャナ部13は、両面読取り可能であり、表面CCD37と裏面CCD38により両面画像を一度に読み取る。このように読み取った画像データ又は外部機器20から送られた画像データは一旦画像記憶部15に保存される。
画像処理部14は、スキャナ部13が読み取った画像データや外部機器20からの画像データを画像記憶部15から読み出し、圧縮や伸長など画像形成(印刷)に必要な画像処理を行なう。
給紙部16は、複合機10に収容されている記録紙を記録紙搬送部17に給紙する。
記録紙搬送部17は、給紙された記録紙を画像形成部18まで搬送する。
画像形成部18は、記録紙に画像を形成するものであり、レーザー走査ユニットにより記録紙にトナー画像を形成する。
主制御部19は、複合機10の各部を制御する。
【0035】
次に、本発明のタッチパネル式表示装置である操作パネル部11とパネル制御部12について、その動作を詳しく説明する。図5及び図6は、パネル制御部12の制御処理を示すフローチャートである。
【0036】
複合機10の装置電源を起動すると(ステップS11)、座標制御部33は、パネル制御部12の入力検出部31の検出により、タッチパネル21が押圧されてONされたかを確認する(ステップS12)。ONをされていない場合は、ステップS16に進み、座標制御部33がタッチパネル21が正常と判断し、通常フローにて動作を行う。すなわち、入力検出部31による検出値を座標算出部32により算出した座標を主制御部19に通知する。
【0037】
タッチパネル21がONされている場合、入力検出部31による検出値を座標算出部32により座標を算出して異常座標として確定し、記憶部36にデータ保存を行うか、主制御部19にデータを通知する(ステップS13)。座標制御部33は、タッチパネル21が一定時間以上ON状態であるかを確認する(ステップS14)。一定時間内にOFFとなれば、OFF情報を主制御部19に通知し(ステップS15)、ステップS16に進み、座標制御部33がタッチパネル21が正常と判断し、通常フローにて動作を行う。
【0038】
タッチパネル21が一定時間以上ON状態であれば、ステップS17に進み、座標制御部33は、異常状態であると判定し、表示制御部35に対してLCD23の画面に異常状態の画面表示をさせ、座標算出部32で求めたONしている位置の座標を記憶部36に保存する。
図8(a)に示すように、通常では操作画面61が表示されているが、タッチパネル21が異常状態であると判断された場合は、図8(b)に示すように、異常状態を報知する警告画面62が表示される。
さらに、座標制御部33は、図9に示すように、表示制御部35に対してLCD23の画面に十字キー63を表示させ、継続使用可能であるか検査する旨の文言64を画面に表示させる。
【0039】
ユーザに十字キー63を押してもらうことで、異常点(常時ONになっている点)が1点か複数点かを判別し、1点の場合は継続可能である事を表示し、タッチパネルの入力を許可し、補正を行うことで真の入力値を計算してタッチパネルの使用を行う。一方複数点である場合は、継続使用できないことを表示し、ユーザにサービスマンをコールしてもらうことになる。
【0040】
以下に具体的な異常判定の例を示す。
起動した瞬間から、座標(x,y)=(20,10)が常時押されたままとなってしまっているとする。起動した状態から、数秒間タッチパネル21がONされたままであれば、常時ONされている異常位置の対角線上の最も遠い位置に十字キー63を表示する。この場合の例では、左上がONし続けているので、右下に表示する。
異常位置の対角線上の最も遠い位置に十字キー63を表示するのは、できるだけ十字キーの表示座標と異常座標を異なる値とすることにより、異常状態の判定を容易に且つ確実にできるようにするためである。
【0041】
例えば、十字キー座標(x,y)=(750,450)として表示し、ユーザに十字キーを押してもらうことにより、異常箇所が1点か、複数点かを判別する。タッチパネルが抵抗膜方式であるので、異常箇所が1点の場合は、ユーザが入力した十字キーの座標は、異常座標と十字キー表示位置座標の中間点になるはずである。そうでなければ、異常箇所は複数点であり、補正は不可能となる。
【0042】
従って、
・起動時に常にONされている異常座標 (x,y)=(20,10)
・十字キー表示位置 (x,y)=(750,450)
である場合は、十字キーが押されたときの入力座標は(385,230)となるはずである。ユーザが入力する位置は、微妙にずれるので、その入力誤差範囲を予め定めておき、その範囲内に入力座標が存在すれば、異常点は1個と判断できる。範囲外であれば、異常点は複数個存在すると判断する。入力誤差があっても、異常座標と十字キー表示座標の値が大きく異なるので問題はない。
【0043】
以上を踏まえて、図7のフローチャートの説明を続ける。
座標制御部33は、入力検出部31により、ユーザが表示された十字キーに対する入力を行ったかを確認する(ステップS18)。入力を行った場合、座標算出部32により求めた入力座標が、異常座標と十字キー表示座標との中間点にほぼ一致するかを確認する(ステップS19)。ほぼ一致としたのは、上述のように入力誤差を考慮しているからである。一致しない場合は、図10に示すように、異常点が複数存在して補正が困難である旨の異常状態の画面表示65を表示制御部35にさせる(ステップS24)。一致した場合は、図11に示すように、継続入力の確認画面66を表示制御部35に表示させ(ステップS20)、ユーザが継続使用の確認入力をしたかを確認し(ステップS21)、図12に示すように、確認入力をしない場合は異常状態の画面67を表示制御部35に表示させる(ステップS25)。図12においては、異常座標68を表示しているので、ユーザが異物などを排除して、タッチパネル21を正常に戻すことも可能となる。
【0044】
ユーザが継続使用の確認入力を行った場合、座標制御部33は、表示制御部35に異常状態の画面表示をクリアさせ、座標算出部32により求めた座標を確定し、記憶部36に保存する(ステップS22)。この保存データをもとに座標補正部34が入力座標を補正する(ステップS23)。
【0045】
つぎに、ステップS23の補正処理ついて、図7を参照しながら説明する。
まず、座標制御部33がタッチパネル入力がOFFされたかを確認する(ステップS31)。OFF状態になっていれば、タッチパネル21が正常状態に戻ったことを意味するので、ステップ15に戻る。ON状態であれば、主制御部19にタッチパネル21をユーザが押圧して入力座標に変化あった場合(ステップS32)、座標制御部33は座標算出部32からの座標値を入力座標として確定し、記憶部36に保存する(ステップS33)。座標制御部33はこの入力座標が常時押されている位置か、すなわちステップ13で求めた異常点の座標(記憶部36に保存されている座標データ)と一致するかを確認する(ステップS34)。一致する場合は、OFF状態であるとして主制御部19に通知して(ステップS37)、ステップS36に進む。
【0046】
異常座標と入力座標が一致しない場合は、入力座標について座標補正部34にて補正を実行し、その補正座標を主制御部19に通知する(ステップS35)。さらに入力があって補正動作が継続するかどうかを確認し(ステップS36)、継続する場合はステップS31に戻り継続しなければ処理を終了する。
【0047】
ステップS35における座標補正部34の座標補正は、次のように行なう。
抵抗膜タッチパネルでは、2点のパネル押し下げがあると、前述したように、その中間点での1点押し下げ時と同じ電位を検知してしまう。この為、噛み込み等の異常が一点で発生しているとすると、異常座標が(10、20)の場合、ユーザの入力位置が(90、60)の時、算出座標(X、Y)は、X=(10+90)/2=50、Y=(20+60)/2=40となる。
従って、この逆の補正を行えば検知位置から真の入力位置を割り出すことができる。例えば、常時ON位置(10、20)、入力算出座標が(50、40)の場合、真の入力位置の座標(X、Y)はX=50*2−10=90、Y=40*2−20=60となる。
【0048】
すなわち、
・座標算出部32により求めたユーザ入力座標 (X,Y
・異常座標 (X,Y
・座標補正部34により補正した真の入力座標 (X,Y)
とすると、補正座標(X,Y)は以下の補正式で簡単に求めることができる。
【0049】
X=X*2−X
Y=Y*2−Y
【0050】
こうして、異物噛み込み等が起こり、未入力状態であっても常時入力となる異常状態になった場合も、座標算出部32が求めた異常入力の異常座標と、ユーザの入力座標とに基づいて、前記座標補正部34による補正が可能かを判定し、補正可能な場合であれば座標補正部34に入力座標の補正を行なわせるので、従来技術のように接触操作入力が無効となる領域を設けずに操作可能領域を大きく保ち、異常状態であってもユーザがタッチした位置の真の座標を割り出すことができる。
【符号の説明】
【0051】
10 複合機
11 操作パネル部
12 パネル制御部
13 スキャナ部
14 画像処理部
15 画像記憶部
16 給紙部
17 記録紙搬送部
18 画像形成部
19 主制御部
20 外部機器
21 タッチパネル
22 操作スイッチ
23 LCD
31 入力検出部
32 座標算出部
33 座標制御部
34 座標補正部
35 表示制御部
36 記憶部
37,38 CCD
41 筐体
42,43 LCDフォルダ
51 非動作領域
52 動作保障外領域
53 動作領域
54 フレキシブルケーブル
100 タッチパネル式入力表示装置
101 タッチパネル
102 表示部
103 筐体
103a 支持凸部
103b 先端部
104 非動作領域
105 異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示を行なう表示部と、その前面に配して接触入力を可能とするタッチパネル部とを備えたタッチパネル式入力表示装置において、
前記タッチパネル部への入力を検出してその入力値を出力する入力検出手段と、
前記入力値に基づいて入力位置の座標を求める座標算出手段と、
前記タッチパネル部がユーザ未入力でも常時入力となる異常状態の場合に、前記座標算出手段の入力座標を正しい値に補正する座標補正手段と、
前記入力検出手段により前記タッチパネル部の前記異常状態を判定し、異常状態である場合に前記座標算出手段が求めた常時入力の異常位置である異常座標と、ユーザの入力座標とに基づいて、前記座標補正手段により補正可能かを判定し、補正可能な場合であれば前記座標補正手段に入力座標の補正を行なわせる座標制御手段と、
を備えたことを特徴とするタッチパネル式入力表示装置。
【請求項2】
前記座標制御手段は、前記タッチパネル部が前記異常状態である場合は、ユーザに入力を指示する任意の指示位置を前記表示部に表示させ、該指示位置の座標と前記座標算出手段により算出したユーザ入力位置の座標を比較し、前記座標補正手段により補正可能であるかを判定することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル式入力表示装置。
【請求項3】
前記座標制御手段は、ユーザに入力を指示する任意の指示位置を、異常位置から最も遠い位置とすることを特徴とする請求項2に記載のタッチパネル式入力表示装置。
【請求項4】
前記タッチパネル部は、抵抗膜方式であり、
前記座標制御手段は、前記任意の指示位置に対するユーザ入力位置の座標が、前記異常座標と前記指示位置の座標のほぼ中間点であれば、前記座標補正手段により補正可能と判定することを特徴とする請求項2又は3に記載のタッチパネル式入力表示装置。
【請求項5】
前記座標補正手段は、異常座標を(X,Y)、前記座標算出手段により求めたユーザ入力位置の座標を(X,Y)、前記座標補正手段により補正した入力座標を(X,Y)とすると、
X=X*2−X
Y=Y*2−Y
と補正することを特徴とする請求項4に記載のタッチパネル式入力表示装置。
【請求項6】
前記座標制御手段は、前記タッチパネル部の異常状態により座標補正が不可能な場合は、その旨を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のタッチパネル式入力表示装置。
【請求項7】
前記座標制御手段は、前記座標算出手段が求めた異常座標を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のタッチパネル式入力表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図8】
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