説明

タッチパネル式操作装置、タッチパネルの操作方法及びコンピュータプログラム

【課題】視認性や操作性が悪化することを防止したタッチパネル式操作装置、タッチパネルの操作方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザの体の一部やペン等の操作部がタッチパネルに接近したことを検出した場合に、選択対象物である各種ボタン54〜58を液晶ディスプレイ15に表示し、その後にボタン54〜58のいずれかが操作部59によって選択されたことを検出した場合に、ボタン54〜58の表示態様を所定期間を経過するまで変更するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを用いて選択対象物の選択操作を行うタッチパネル式操作装置、タッチパネルの操作方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などの携帯情報機器、携帯型音楽プレイヤ、携帯型ゲーム装置、パーソナルコンピュータ等の液晶ディスプレイを備える装置においては、ユーザの操作を受け付ける手段として液晶ディスプレイの前面にタッチパネルを備えるものが多い。このようなタッチパネルを備える装置では、液晶ディスプレイに対してボタン等の選択対象物を表示し、ユーザが表示された選択対象物に対応する位置にタッチしたことを検出した場合に、該選択対象物を選択する処理を行う。
【0003】
ここで、タッチパネルには抵抗膜方式(感圧方式)や静電容量方式等の方式が採用されているが、特に静電容量方式では、ユーザの体の一部(例えば指)やペンなどがタッチパネルに接近したことについても検出することが可能である。そこで、従来よりユーザの体の一部やペンなどがタッチパネルに接近したことを検出する機能を利用した技術について各種提案されている。例えば特開平10−269022号公報には、ユーザの体の一部やペンなどがタッチパネルに接近したことを検出すると、ディスプレイに表示された画像の内、接近した座標周辺の画像を拡大して表示する技術について提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−269022号公報(第3頁、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術のように、接近した座標周辺の画像を拡大して表示することとすると、拡大した画像の周辺エリアについて視認性が悪化する問題があった。また、ユーザの体の一部やペンなどがタッチパネルに接触していないにもかかわらず、接近しただけで選択対象物が選択されてしまう場合があるので、ユーザの意図する操作と異なる操作が行われる虞があった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、ユーザの体の一部やペンなどがタッチパネルに接近したことに基づいて選択対象物を表示装置に表示する場合であっても、視認性や操作性が悪化することを防止したタッチパネル式操作装置、タッチパネルの操作方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係るタッチパネル式操作装置(1)は、表示装置(15)の表示領域に配置され、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル(14)と、前記タッチパネルに対して前記ユーザがタッチ操作を行う為の操作部(59)が所定距離以内に接近したことを検出する接近検出手段(13)と、前記接近検出手段によって前記タッチパネルに対して前記操作部が所定距離以内に接近したことを検出した場合に、前記表示装置に選択対象物(54〜58)を表示する選択対象物表示手段(13)と、前記操作部により前記選択対象物が選択されたことを検出する選択検出手段(13)と、前記選択検出手段によって前記選択対象物が選択されたことを検出した場合に、前記選択対象物の表示態様を変更する表示態様変更手段(13)と、を有することを特徴とする。
尚、「表示装置に選択対象物を表示する」とは、表示装置に表示されていなかった選択対象物を新たに表示することに加えて、表示装置に予め表示されている選択対象物を強調して表示(例えば、拡大して表示、色を変えて表示、透過率を低くして表示)することを含む。
【0008】
また、請求項2に係るタッチパネル式操作装置(1)は、請求項1に記載のタッチパネル式操作装置であって、前記表示態様変更手段(13)は、前記選択対象物(54〜58)を非表示とすることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係るタッチパネル式操作装置(1)は、請求項1に記載のタッチパネル式操作装置であって、前記表示態様変更手段(13)は、前記選択対象物(54〜58)の表示位置を変更することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係るタッチパネル式操作装置(1)は、請求項3に記載のタッチパネル式操作装置であって、前記選択対象物表示手段(13)は、前記選択対象物(54〜58)を所定間隔で複数表示し、前記表示態様変更手段(13)は、前記複数の選択対象物の内、前記操作部により選択された前記選択対象物と他の前記選択対象物との配置間隔を、前記選択対象物が選択される前より大きくすることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係るタッチパネル式操作装置(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置であって、前記表示態様変更手段(13)は、前記選択検出手段(13)によって前記選択対象物(54〜58)が選択されたことを検出してから所定時間が経過するまでの間、前記選択対象物の表示態様を変更することを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係るタッチパネル式操作装置(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置であって、前記表示態様変更手段(13)は、前記選択検出手段(13)によって前記選択対象物(54〜58)が選択されたことを検出してから、前記接近検出手段(13)によって前記タッチパネル(14)に対して前記操作部(59)が所定距離以内に接近したことが検出されなくなるまでの間、前記選択対象物の表示態様を変更することを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係るタッチパネル式操作装置(1)は、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置であって、前記表示態様変更手段(13)は、前記選択検出手段(13)によって前記操作部(59)により同一の前記選択対象物(54〜59)が複数回連続又は所定時間継続して選択されたことを検出した場合には、該複数回の選択又は該所定時間継続した選択を検出した後に、前記選択対象物の表示態様を変更することを特徴とする。
【0014】
また、請求項8に係るタッチパネル式操作装置(1)は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置であって、前記選択対象物表示手段(13)は、前記表示装置(15)に表示されていなかった前記選択対象物(54〜59)を新たに前記表示装置に表示することを特徴とする。
【0015】
また、請求項9に係るタッチパネル式操作装置(1)は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置であって、前記選択対象物表示手段(13)は、前記表示装置(15)に予め表示されている前記選択対象物(54〜59)を強調して表示することを特徴とする。
【0016】
また、請求項10に係るタッチパネル式操作装置(1)は、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置であって、前記選択対象物表示手段(13)は、前記選択対象物(54〜59)を複数表示し、前記表示態様変更手段(13)は、前記複数の選択対象物の内、特定の前記選択対象物を除いた残りの前記選択対象物の表示態様を変更することを特徴とする。
【0017】
また、請求項11に係るタッチパネルの操作方法は、表示装置(15)の表示領域に配置されユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル(14)に対して、前記ユーザがタッチ操作を行う為の操作部(59)が所定距離以内に接近したことを検出する接近検出ステップと、前記接近検出ステップによって前記タッチパネルに対して前記操作部が所定距離以内に接近したことを検出した場合に、前記表示装置に選択対象物を表示する選択対象物表示ステップと、前記操作部により前記選択対象物が選択されたことを検出する選択検出ステップと、前記選択検出ステップによって前記選択対象物が選択されたことを検出した場合に、前記選択対象物の表示態様を変更する表示態様変更ステップと、を有することを特徴とする。
【0018】
更に、請求項12に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、表示装置(15)の表示領域に配置されユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル(14)に対して、前記ユーザがタッチ操作を行う為の操作部(59)が所定距離以内に接近したことを検出する接近検出機能と、前記接近検出機能によって前記タッチパネルに対して前記操作部が所定距離以内に接近したことを検出した場合に、前記表示装置に選択対象物を表示する選択対象物表示機能と、前記操作部により前記選択対象物が選択されたことを検出する選択検出機能と、前記選択検出機能によって前記選択対象物が選択されたことを検出した場合に、前記選択対象物の表示態様を変更する表示態様変更機能と、をプロセッサに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
前記構成を有する請求項1に記載のタッチパネル式操作装置によれば、ユーザの体の一部やペン等の操作部がタッチパネルに接近したことに基づいて選択対象物を表示装置に表示する場合であっても、選択対象物が表示されたことによる視認性の悪化を防止することが可能となる。また、ユーザの意図する操作と異なる操作が行われることを防止し、タッチパネルの操作性についても向上させることが可能となる。
【0020】
また、請求項2に記載のタッチパネル式操作装置によれば、表示装置に表示された選択対象物が操作部によって選択された場合に選択対象物を非表示とするので、選択対象物の選択後は表示された選択対象物の背後に被覆されていたエリアについても視認することが可能となる。また、選択対象物の選択後に操作部が上下左右方向に移動した場合であっても、近傍にある他の選択対象物が誤って選択される虞がない。
【0021】
また、請求項3に記載のタッチパネル式操作装置によれば、表示装置に表示された選択対象物が操作部によって選択された場合に選択対象物の表示位置を変更するので、ユーザの意図に反する選択対象物が誤って選択されることを防止できる。
【0022】
また、請求項4に記載のタッチパネル式操作装置によれば、表示装置に表示された選択対象物が操作部によって選択された場合に、選択された選択対象物と他の選択対象物の配置間隔が大きくなるように選択対象物の表示位置を変更するので、選択対象物の選択後に操作部が上下左右方向に移動した場合であっても、近傍にある他の選択対象物が誤って選択される虞がない。
【0023】
また、請求項5に記載のタッチパネル式操作装置によれば、表示装置に表示された選択対象物が操作部によって選択された場合に、選択対象物が選択されたことを検出してから所定時間が経過するまでの間、選択対象物の表示態様を変更するので、選択対象物を複数回選択する場合においてもユーザの意図に反する選択対象物が誤って選択されることを防止しつつ、表示態様の変更によって選択対象物の選択操作が妨害されることが無い。
【0024】
また、請求項6に記載のタッチパネル式操作装置によれば、表示装置に表示された選択対象物が操作部によって選択された場合に、選択対象物が選択されたことを検出してからタッチパネルに対して操作部が所定距離以内に接近したことが検出されなくなるまでの間、選択対象物の表示態様を変更するので、選択対象物を複数回選択する場合においてもユーザの意図に反する選択対象物が誤って選択されることを防止しつつ、表示態様の変更によって選択対象物の選択操作が妨害されることが無い。
【0025】
また、請求項7に記載のタッチパネル式操作装置によれば、操作部により同一の選択対象物が複数回連続又は所定時間継続して選択されたことを検出した場合には、該複数回の選択又は該所定時間継続した選択を検出した後に、選択対象物の表示態様を変更するので、同一の選択対象物を連続又は継続して選択する場合において、選択中に表示態様が変更されることなく、容易に選択対象物の選択操作を行うことが可能となる。
【0026】
また、請求項8に記載のタッチパネル式操作装置によれば、ユーザの体の一部やペン等の操作部がタッチパネルに接近したことに基づいて、表示装置に表示されていなかった選択対象物を新たに表示装置に表示するので、操作時以外は選択対象物を非表示とすることにより、表示装置の視認性を向上させることが可能となる。
【0027】
また、請求項9に記載のタッチパネル式操作装置によれば、ユーザの体の一部やペン等の操作部がタッチパネルに接近したことに基づいて、表示装置に予め表示されている選択対象物を強調して表示装置に表示するので、操作時に選択対象物をユーザに操作し易く表示することが可能となる。
【0028】
また、請求項10に記載のタッチパネル式操作装置によれば、表示装置に表示された選択対象物が操作部によって選択された場合に、表示装置に表示された複数の選択対象物の内、特定の選択対象物を除いた残りの選択対象物の表示態様を変更するので、表示装置の視認性を向上させつつ、重要な選択対象物や頻繁に操作される虞の高い選択対象物等は常にユーザに操作し易い状態で表示装置に表示することが可能となる。
【0029】
また、請求項11に記載のタッチパネルの操作方法によれば、ユーザの体の一部やペン等の操作部がタッチパネルに接近したことに基づいて選択対象物を表示装置に表示する場合であっても、選択対象物が表示されたことによる視認性の悪化を防止することが可能となる。また、ユーザの意図する操作と異なる操作が行われることを防止し、タッチパネルの操作性についても向上させることが可能となる。
【0030】
更に、請求項12に記載のコンピュータプログラムによれば、ユーザの体の一部やペン等の操作部がタッチパネルに接近したことに基づいて選択対象物を表示装置に表示させる場合であっても、選択対象物が表示されたことによる視認性の悪化を防止することが可能となる。また、ユーザの意図する操作と異なる操作が行われることを防止し、タッチパネルの操作性についても向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】本実施形態に係るタッチ座標取得処理プログラムのフローチャートである。
【図3】タッチ座標履歴キューの模式図を示した図である。
【図4】本実施形態に係る選択対象物表示処理プログラムのフローチャートである。
【図5】ステップ12の選択対象物の表示処理の具体例について説明した図である。
【図6】ステップ12の選択対象物の表示処理の具体例について説明した図である。
【図7】ステップ14の選択対象物の表示態様変更処理の具体例について説明した図である。
【図8】ステップ14の選択対象物の表示態様変更処理の具体例について説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係るタッチパネル式操作装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0033】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネル14と、ユーザに対して車両周辺の地図やユーザによる選択対象となる選択対象物(アイコン、入力ボタン等)を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。
【0034】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0035】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0036】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンク情報、ノード点に関するノード情報、施設に関する施設情報、地図を表示するための地図表示情報、各交差点に関する交差点情報、経路を探索するための探索情報、地点を検索するための検索情報等が記憶された記憶手段である。
【0037】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述のタッチ座標取得処理プログラム(図2参照)や選択対象物表示処理プログラム(図4参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、接近検出手段は、タッチパネルに対してユーザがタッチ操作を行う為の操作部(ユーザの指やタッチペン等)が所定距離以内に接近したことを検出する。選択対象物表示手段は、タッチパネルに対して操作部が所定距離以内に接近したことを検出した場合に、液晶ディスプレイ15に選択対象物(アイコンやボタン等)を表示する。選択検出手段は、操作部により選択対象物が選択されたことを検出し、表示態様変更手段は、選択対象物が操作部によって選択されたことを検出した場合に、選択対象物の表示態様を変更する。
【0038】
タッチパネル14は、液晶ディスプレイ15の表示領域の前面に配置され、地図画像のスクロール表示を行う場合や表示領域に配置されたアイコンやボタンを選択する場合等に操作される。ここで、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、ユーザがタッチ操作を行う為の操作部(ユーザの指やタッチペン等)が、タッチパネル14に対して所定距離以内に接近したことについて検出可能なタッチパネル14を用いる。例えば、静電容量の変化に基づいてタッチ操作やタッチ座標等を検出する静電容量方式のタッチパネル14を用いる。
【0039】
そして、ナビゲーションECU13は、タッチパネル14から出力される検出信号に基づき、タッチパネル14にユーザの指やタッチペン等の操作部が所定距離以内に接近したことを検出する。また、ユーザがタッチしていない状態からタッチした状態へと移行する“タッチオン”や、タッチパネル14にユーザがタッチした状態からタッチしていない状態へと移行する“タッチオフ”を検出する。また、ユーザがタッチした地点の座標である“タッチ座標”や、地図画像やボタン等の選択対象物の選択を行っている状態でタッチする位置を移動させる(即ちドラッグやフリックする)場合の“タッチ座標の変位”についても検出する。尚、静電容量方式のタッチパネル14では、実際に操作部がタッチパネル14に接触していなくても、操作部とタッチパネル14とが極めて近い位置にある場合には、タッチされていると検出される場合がある。そして、ナビゲーションECU13は、検出したタッチ操作やタッチ座標等に対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。
【0040】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。また、タッチパネル14にユーザの指やタッチペン等の操作部が所定距離以内に接近したことが検出された場合には、ユーザによる選択対象となる選択対象物(アイコンや入力ボタン等)についても表示される。尚、詳細については後述する。
【0041】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0042】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。尚、DVDドライブ17の代わりにHDDやメモリーカードリーダを備える構成としても良い。
【0043】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0044】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行するタッチ座標取得処理プログラムについて図2に基づき説明する。図2は本実施形態に係るタッチ座標取得処理プログラムのフローチャートである。ここで、タッチ座標取得処理プログラムは、車両のACCがオンされた後に所定間隔(例えば0.2sec毎)で繰り返し実行され、タッチパネル14にユーザがタッチした状態にある場合に、タッチした地点の座標であるタッチ座標を取得するプログラムである。尚、以下の図2及び図4にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0045】
先ず、タッチ座標取得処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41はタッチパネル14から送信される検出信号に基づいて、ユーザがタッチパネル14をタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する。例えば、タッチパネル14が静電容量方式である場合には、ユーザがタッチした地点の静電容量の変化に基づいて流れた電流の位置を検出することによって、タッチ座標を検出する。尚、静電容量方式のタッチパネル14では、実際に操作部がタッチパネル14に接触していなくても、操作部とタッチパネル14とが極めて近い位置にある場合には、タッチされていると検出される場合がある。
【0046】
次に、S2においてCPU41は、前記S1の処理でタッチ座標を取得できたか否か判定する。尚、ユーザがタッチパネル14にタッチしている状態(特に静電容量方式では所定値以上の静電容量の変化がある場合)において、前記S1でタッチ座標が取得される。
【0047】
そして、前記S1の処理でタッチ座標を取得できたと判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。それに対して、前記S1の処理でタッチ座標を取得できなかったと判定された場合(S2:NO)、即ち、ユーザがタッチパネル14にタッチしていない場合には、タッチ座標を記憶することなく当該タッチ座標取得処理プログラムを終了する。
【0048】
S3においてCPU41は、前記S1の処理で取得したタッチ座標を、RAM42に設けられたタッチ座標履歴キューに記憶する。尚、タッチ座標履歴キューには、直前の所定回数(例えば4回)分のタッチ座標のデータが記憶されるように構成されている。ここで、図3はタッチ座標履歴キューの模式図を示した図である。図3に示すように直前の4回分のタッチ座標のデータとして、古いデータから順にタッチ座標A、B、C、Dのデータがタッチ座標履歴キューに記憶されている状態において、新たにタッチ座標Eが取得された場合には、最も古いタイミングで取得されたタッチ座標Aのデータが削除され、タッチ座標Eのデータが新たにタッチ座標履歴キューに記憶されることとなる。また、タッチ座標履歴キューは、タッチオフが確定した場合や、タッチオンに基づいて新たな選択対象物が選択された場合には初期化される。
【0049】
その後、S4においてCPU41は、前記S1の処理で取得したタッチ座標に基づく各種処理を実行する。例えば、タッチ座標上にアイコンやボタン等の選択対象物が位置する場合には、該選択対象物を選択する処理を行う。また、タッチ座標が変位している場合には、タッチ座標の変位量に基づく表示制御処理(例えば地図画像が選択されている場合には地図画像のスクロール表示処理)を行う。その後、当該タッチ座標取得処理プログラムを終了する。
【0050】
尚、上記タッチ座標取得処理プログラムでは、ユーザがタッチパネル14にタッチしている状態においてタッチ座標を取得する構成としているが、タッチパネル14にユーザの指やタッチペン等の操作部が所定距離以内に接近している状態においても、操作部が接近している地点の座標を取得する構成としても良い。
【0051】
次に、ナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する選択対象物表示処理プログラムについて図4に基づき説明する。図4は本実施形態に係る選択対象物表示処理プログラムのフローチャートである。ここで、選択対象物表示処理プログラムは、車両のACCがオンされた後に実行され、タッチパネル14にユーザの指やタッチペン等の操作部が所定距離以内に接近したことが検出された場合に、ユーザによる選択対象となる選択対象物(入力ボタン等)を表示するとともに、表示された選択対象物が選択された場合には、該選択対象物の表示態様を変更するプログラムである。
【0052】
先ず、選択対象物表示処理プログラムにおいて、S11でCPU41は、タッチパネル14から送信される検出信号に基づいて、タッチパネル14に対してユーザの指やタッチペン等の操作部が所定距離以内に接近したか否かを判定する。ここで、例えばタッチパネル14が静電容量方式である場合には、静電容量の変化量が所定量以上となった場合に、タッチパネル14は操作部がタッチパネル14に対して所定距離以内に接近したことを示す検出信号をナビゲーションECU13へ送信する。尚、所定距離は任意に設定可能であるが、例えば1cmとする。
【0053】
そして、タッチパネル14に対して操作部が所定距離以内に接近したと判定された場合(S11:YES)には、S12へと移行する。それに対して、タッチパネル14に対して操作部が所定距離以内に接近していないと判定された場合(S11:NO)には、当該選択対象物表示処理プログラムを終了する。
【0054】
S12においてCPU41は、液晶ディスプレイ15に対してユーザにより選択対象となる選択対象物を表示する。ここで、前記S12でCPU41は、液晶ディスプレイ15に表示されていなかった選択対象物を新たに表示することとしても良いし、予め液晶ディスプレイ15に表示されている選択対象物を強調して表示することとしても良い。また、強調して表示するとは、例えば拡大して表示したり、表示色を変更したり、透過率を低く変更すること等が該当する。
【0055】
以下に、図5及び図6を用いて前記S12の選択対象物の表示処理について具体例を挙げて説明する。ここで、図5及び図6は、車両の走行中に液晶ディスプレイ15に対して車両位置周辺の地図を示す走行案内画面50が表示されている状態において、前記S12で選択対象物を表示する例を示した図である。
【0056】
先ず、図5を用いて液晶ディスプレイ15に表示されていなかった選択対象物を新たに表示する例について説明する。
図5に示すように液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面50には、車両の現在位置周辺の地図画像51と、地図上にマッチングされた車両の現在位置を示す自車位置マーク52と、地図の表示エリアの中央位置を特定する中央カーソル53とが表示される。そして、ユーザは走行案内画面50を参照することによって、現在の車両周辺の施設や道路形状(案内経路が設定されている場合には案内経路を含む)を把握することが可能となる。そして、操作部(例えばユーザの指)59を液晶ディスプレイ15に対して所定距離以内に接近させると、選択対象物としてナビゲーション装置1で所定機能を実行させる為に選択される各種ボタン54〜58が新たに表示される。そして、ユーザは新たに表示されたボタン54〜58にタッチオンすることによって、ナビゲーション装置1で所定機能を実行させることが可能となる。例えば、詳細ボタン54をタッチオンして選択すると、地図の縮尺をより大きい縮尺(例えば1/5000の縮尺)に変更することが可能である。また、表示変更ボタン55をタッチオンして選択すると、地図画像51の表示態様(鳥瞰図、平面図、ノーズアップ、ノースアップ等)を変更することが可能である。また、目的地セットボタン56をタッチオンして選択すると、中央カーソル53の示す地点を目的地に設定することが可能である。また、地点登録ボタン57をタッチオンして選択すると、中央カーソル53の示す地点を登録地点としてナビゲーション装置1に登録することが可能である。また、広域ボタン58をタッチオンして選択すると、地図の縮尺をより小さい縮尺(例えば1/2万の縮尺)に変更することが可能である。
【0057】
次に、図6を用いて液晶ディスプレイ15に予め表示されていた選択対象物を強調表示する例について説明する。
図6に示すように液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面50には、車両の現在位置周辺の地図画像51と、地図上にマッチングされた車両の現在位置を示す自車位置マーク52と、地図の表示エリアの中央位置を特定する中央カーソル53と、選択対象物としてナビゲーション装置1で所定機能を実行させる為に選択される各種ボタン54〜58とが表示される。但し、ボタン54〜58については地図画像51の表示領域を広くする為に、一般的なボタンやアイコンのサイズより小さいサイズで表示される。そして、ユーザは走行案内画面50を参照することによって、現在の車両周辺の施設や道路形状(案内経路が設定されている場合には案内経路を含む)を把握することが可能となる。特に、ボタン54〜58の表示領域が小さいので、地図画像51の視認性は向上する。そして、操作部(例えばユーザの指)59を液晶ディスプレイ15に対して所定距離以内に接近させると、ボタン54〜58が拡大して表示される。それによって、その後のボタン54〜58の操作をユーザに容易に行わせることが可能となる。
【0058】
次に、S13においてCPU41は、前記S12で表示された選択対象物をユーザが選択したか否か判定する。具体的には、前記S12で選択対象物が表示された範囲において、ユーザがタッチパネル14をタッチしていない状態からタッチした状態へと移行するタッチオンを検出した場合に、前記S12で表示された選択対象物をユーザが選択したと判定する。但し、静電容量方式のタッチパネル14では、実際に操作部がタッチパネル14に接触していなくても、操作部とタッチパネル14とが極めて近い位置にある場合には、タッチされていると検出される場合がある。
【0059】
そして、前記S12で表示された選択対象物をユーザが選択したと判定された場合(S13:YES)には、S14へと移行する。それに対して、前記S12で表示された選択対象物をユーザが選択していないと判定された場合(S13:NO)には、当該選択対象物表示処理プログラムを終了する。
【0060】
S14においてCPU41は、前記S12で表示された選択対象物の表示態様を変更する。具体的には、選択対象物を非表示としたり、選択対象物の表示位置を変更する。特に表示位置を変更する場合には、選択された選択対象物と他の選択対象物との配置間隔が、選択対象物が選択される前より大きくなるように変更する。
【0061】
以下に、図7及び図8を用いて前記S14の選択対象物の表示態様変更処理について具体例を挙げて説明する。ここで、図7及び図8は、車両の走行中に液晶ディスプレイ15に対して車両位置周辺の地図を示す走行案内画面50と選択対象物であるボタン54〜58が表示されている状態において、前記S14で選択対象物の表示態様を変更した例を示した図である。
【0062】
先ず、図7を用いて選択対象物を非表示とする例について説明する。
図7に示すように液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面50には、選択対象物としてナビゲーション装置1で所定機能を実行させる為に選択される各種ボタン54〜58が表示されている。そして、操作部(例えばユーザの指)59が目的地セットボタン56を選択すると、ボタン54〜58が所定条件を満たすまで非表示となる。ここで、前述したように静電容量方式のタッチパネル14では、実際に操作部がタッチパネル14に接触していなくても、操作部とタッチパネル14とが極めて近い位置にある場合には、タッチされていると検出される場合がある。従って、選択対象物の選択後に操作部を他の選択対象物の方向へと移動させることによって、選択の意図が無いにもかかわらず操作部の近傍にある他の選択対象物が選択される場合がある。例えば、図7に示す例では、目的地セットボタン56を選択した後に操作部59を右に動かすことによって地点登録ボタン57や広域ボタン58がユーザの意図に反して選択される場合がある。特に、ナビゲーション装置1では、液晶ディスプレイ15がユーザの正面位置に配置されない場合が多いので、上記問題の発生する虞が高い。そこで、図7に示す例では、操作部59が目的地セットボタン56を選択すると、ボタン54〜58が所定条件を満たすまで非表示となるので、上記問題を解消することが可能となる。
尚、選択された選択対象物(図7に示す例では目的地セットボタン56)については非表示とせず、選択されていない選択対象物(図7に示す例ではボタン54、55、57、58)のみを非表示とする構成としても良い。
【0063】
次に、図8を用いて選択対象物の表示位置を変更する例について説明する。
図8に示すように液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面50には、選択対象物としてナビゲーション装置1で所定機能を実行させる為に選択される各種ボタン54〜58が表示されている。そして、操作部(例えばユーザの指)59が目的地セットボタン56を選択すると、ボタン54〜58の表示位置が変更される。具体的には、選択された選択対象物(図7に示す例では目的地セットボタン56)と他の選択対象物(図7に示す例ではボタン54、55、57、58)との配置間隔Dが、選択対象物が選択される前より大きくなるように変更される。その結果、図7に示す例と同様に、選択の意図が無いにもかかわらず操作部の近傍にある他の選択対象物が選択されることを防止することが可能となる。
【0064】
尚、CPU41は、操作部により同一の選択対象物が複数回連続又は所定時間継続して選択されたことを検出した場合には、該複数回の選択又は該所定時間継続した選択を検出した後に、選択対象物の表示態様を変更する。例えば、地図画像51の縮尺を変更する為に詳細ボタン54や広域ボタン58が連続して選択された場合には、該複数回の選択を検出した後に、選択対象物の表示態様を変更する(S14)。それによって、同一の選択対象物を連続又は継続して選択する場合において、選択中に表示態様が変更されることなく、容易に選択対象物の選択操作を行うことが可能となる。
【0065】
また、前記S14でCPU41は、特定の選択対象物を除いた残りの選択対象物の表示態様を変更する構成としても良い。特定の選択対象物としては、例えば、液晶ディスプレイ15に表示された画面を一つ前の表示画面(例えばメニュー画面や走行案内画面)に戻す際に選択される戻るボタン等がある。それによって、液晶ディスプレイ15の視認性を向上させつつ、重要な選択対象物や頻繁に操作される虞の高い選択対象物等は常にユーザに操作し易い状態で液晶ディスプレイ15に表示することが可能となる。
【0066】
その後、S15においてCPU41は、前記S14で表示態様を変更した選択対象物の表示態様を復帰させる復帰条件を満たしたか否か判定する。ここで、復帰条件としては、例えば、“選択対象物が選択されたことを検出してから所定時間(例えば5sec)が経過したこと”、“選択対象物が選択されたことを検出してから、タッチパネル14に対して操作部が所定距離(例えば1cm)以内に接近したことが検出されなくなったこと(即ち、タッチパネル14から操作部が所定距離以上離れたこと)”がある。
【0067】
その後、前記S14で表示態様を変更した選択対象物の表示態様を復帰させる復帰条件を満たしたと判定された場合(S15:YES)には、S16へと移行する。それに対して、前記S14で表示態様を変更した選択対象物の表示態様を復帰させる復帰条件を満たしていないと判定された場合(S15:NO)には、復帰条件を満たすまで待機する。
【0068】
S16においてCPU41は、前記S14で表示態様を変更した選択対象物の表示態様を復帰させる。具体的には、前記S14で選択対象物を非表示とした場合には、選択対象物を液晶ディスプレイ15に再表示する(図7)。また、前記S14で選択対象物の表示位置を変更した場合には、選択対象物の表示位置を変更前の位置に戻す(図8)。尚、前記S12で表示された選択対象物は、液晶ディスプレイ15に表示された画面が他の画面に切り替えられるまで表示する構成としても良いし、選択対象物が最後に選択されてから所定時間経過するまで表示する構成としても良いし、ユーザの指やタッチペン等の操作部がタッチパネル14に対して所定距離以上離れるまで表示する構成としても良い。
【0069】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1によるタッチパネルの操作方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザの体の一部やペン等の操作部がタッチパネルに接近したことを検出した場合に、選択対象物である各種ボタン54〜58を液晶ディスプレイ15に表示し(S12)、その後にボタン54〜58のいずれかが操作部59によって選択されたことを検出した場合に、ボタン54〜58の表示態様を変更する(S14)ので、ボタン54〜58を液晶ディスプレイ15に表示する場合であっても、ボタン54〜58が表示されたことによる視認性の悪化を防止することが可能となる。また、ユーザの意図する操作と異なる操作が行われることを防止し、タッチパネル14の操作性についても向上させることが可能となる。
また、ボタン54〜58が操作部59によって選択された場合に、ボタン54〜58を非表示とすれば、ボタン54〜58の選択後は表示されたボタン54〜58の背後に被覆されていたエリアについても視認することが可能となる。また、ボタン54〜58の選択後に操作部59が上下左右方向に移動した場合であっても、近傍にある他のボタン54〜58が誤って選択される虞がない。
また、ボタン54〜58が操作部59によって選択された場合に、選択されたボタンと他のボタンとの配置間隔が大きくなるようにボタン54〜58の表示位置を変更することとすれば、ボタン54〜58の選択後に操作部59が上下左右方向に移動した場合であっても、近傍にある他のボタン54〜58が誤って選択される虞がない。
また、液晶ディスプレイ15に表示されたボタン54〜58が操作部59によって選択された場合に、ボタン54〜58が選択されたことを検出してから所定時間が経過するまでの間、ボタン54〜58の表示態様を変更する(S14〜S16)ので、ボタン54〜58を複数回選択する場合においてもユーザの意図に反するボタン54〜58が誤って選択されることを防止しつつ、表示態様の変更によってボタン54〜58の選択操作が妨害されることが無い。
また、液晶ディスプレイ15に表示されたボタン54〜58が操作部59によって選択された場合に、ボタン54〜58が選択されたことを検出してからタッチパネル14に対して操作部59が所定距離以内に接近したことが検出されなくなるまでの間、ボタン54〜58の表示態様を変更する(S14〜S16)ので、ボタン54〜58を複数回選択する場合においてもユーザの意図に反するボタン54〜58が誤って選択されることを防止しつつ、表示態様の変更によってボタン54〜58の選択操作が妨害されることが無い。
また、操作部59により同一のボタンが複数回連続又は所定時間継続して選択されたことを検出した場合には、該複数回の選択又は該所定時間継続した選択を検出した後に、ボタン54〜58の表示態様を変更するので、同一のボタン54〜58を連続又は継続して選択する場合において、選択中に表示態様が変更されることなく、容易にボタンの選択操作を行うことが可能となる。
また、操作部59がタッチパネル14に接近したことを検出した場合に、液晶ディスプレイ15に表示されていなかったボタン54〜58を新たに液晶ディスプレイ15に表示する構成とすれば、操作時以外はボタン54〜58を非表示とすることにより、液晶ディスプレイ15の視認性を向上させることが可能となる。
また、操作部59がタッチパネル14に接近したことに基づいて、液晶ディスプレイ15に予め表示されているボタン54〜58を強調して液晶ディスプレイ15に表示する構成とすれば、操作時にボタン54〜58をユーザに操作し易く表示することが可能となる。
更に、液晶ディスプレイ15に表示された選択対象物が操作部によって選択された場合に、液晶ディスプレイ15に表示された複数の選択対象物の内、特定の選択対象物(例えば、戻るボタン等)を除いた残りの選択対象物の表示態様を変更することとすれば、液晶ディスプレイ15の視認性を向上させつつ、重要な選択対象物や頻繁に操作される虞の高い選択対象物等は常にユーザに操作し易い状態で液晶ディスプレイ15に表示することが可能となる。
【0070】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では、タッチパネル14に対してユーザの指やタッチペン等の操作部が所定距離以内に接近したことを、タッチパネル14を用いて検出することとしているが、タッチパネル14とは別に近接センサ等を配置することによって検出する構成としても良い。近接センサとしては、磁気方式、超音波方式、赤外線方式等がある。
【0071】
また、本実施形態では、前記S12で選択対象物を強調表示する例として、拡大して表示すること、表示色を変更すること、透過率を低く変更することを例に挙げて説明しているが、選択対象物をユーザに選択し易くする為の表示態様の変更であれば、他の変更態様を用いても良い。
【0072】
また、本実施形態では、選択対象物として走行案内画面50に表示された各種ボタン54〜58を適用した例を説明しているが、液晶ディスプレイ15に表示され、ユーザによる操作対象となるものであれば適用可能である。例えば、文字入力キーやテンキーを選択対象物としても良い。
【0073】
また、本実施形態では、前記S14で選択対象物の表示位置を変更する例として、選択された選択対象物と他の選択対象物との配置間隔が、選択対象物が選択される前より大きくなるように変更することを例に挙げて説明しているが、選択された選択対象物以外の選択対象物がユーザの意図に反して選択されることを防止する為の表示位置の変更であれば、他の変更態様を用いても良い。
【0074】
また、本願発明はナビゲーション装置以外に、操作手段としてタッチパネルを備える装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機やPDA等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯型音楽プレイヤ等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
14 タッチパネル
15 液晶ディスプレイ
41 CPU
42 RAM
43 ROM
50 走行案内画面
54〜58 選択対象物
59 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置の表示領域に配置され、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネルと、
前記タッチパネルに対して前記ユーザがタッチ操作を行う為の操作部が所定距離以内に接近したことを検出する接近検出手段と、
前記接近検出手段によって前記タッチパネルに対して前記操作部が所定距離以内に接近したことを検出した場合に、前記表示装置に選択対象物を表示する選択対象物表示手段と、
前記操作部により前記選択対象物が選択されたことを検出する選択検出手段と、
前記選択検出手段によって前記選択対象物が選択されたことを検出した場合に、前記選択対象物の表示態様を変更する表示態様変更手段と、を有することを特徴とするタッチパネル式操作装置。
【請求項2】
前記表示態様変更手段は、前記選択対象物を非表示とすることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル式操作装置。
【請求項3】
前記表示態様変更手段は、前記選択対象物の表示位置を変更することを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル式操作装置。
【請求項4】
前記選択対象物表示手段は、前記選択対象物を所定間隔で複数表示し、
前記表示態様変更手段は、前記複数の選択対象物の内、前記操作部により選択された前記選択対象物と他の前記選択対象物との配置間隔を、前記選択対象物が選択される前より大きくすることを特徴とする請求項3に記載のタッチパネル式操作装置。
【請求項5】
前記表示態様変更手段は、前記選択検出手段によって前記選択対象物が選択されたことを検出してから所定時間が経過するまでの間、前記選択対象物の表示態様を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置。
【請求項6】
前記表示態様変更手段は、前記選択検出手段によって前記選択対象物が選択されたことを検出してから、前記接近検出手段によって前記タッチパネルに対して前記操作部が所定距離以内に接近したことが検出されなくなるまでの間、前記選択対象物の表示態様を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置。
【請求項7】
前記表示態様変更手段は、前記選択検出手段によって前記操作部により同一の前記選択対象物が複数回連続又は所定時間継続して選択されたことを検出した場合には、該複数回の選択又は該所定時間継続した選択を検出した後に、前記選択対象物の表示態様を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置。
【請求項8】
前記選択対象物表示手段は、前記表示装置に表示されていなかった前記選択対象物を新たに前記表示装置に表示することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置。
【請求項9】
前記選択対象物表示手段は、前記表示装置に予め表示されている前記選択対象物を強調して表示することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置。
【請求項10】
前記選択対象物表示手段は、前記選択対象物を複数表示し、
前記表示態様変更手段は、前記複数の選択対象物の内、特定の前記選択対象物を除いた残りの前記選択対象物の表示態様を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のタッチパネル式操作装置。
【請求項11】
表示装置の表示領域に配置されユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネルに対して、前記ユーザがタッチ操作を行う為の操作部が所定距離以内に接近したことを検出する接近検出ステップと、
前記接近検出ステップによって前記タッチパネルに対して前記操作部が所定距離以内に接近したことを検出した場合に、前記表示装置に選択対象物を表示する選択対象物表示ステップと、
前記操作部により前記選択対象物が選択されたことを検出する選択検出ステップと、
前記選択検出ステップによって前記選択対象物が選択されたことを検出した場合に、前記選択対象物の表示態様を変更する表示態様変更ステップと、を有することを特徴とするタッチパネルの操作方法。
【請求項12】
コンピュータに搭載され、
表示装置の表示領域に配置されユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネルに対して、前記ユーザがタッチ操作を行う為の操作部が所定距離以内に接近したことを検出する接近検出機能と、
前記接近検出機能によって前記タッチパネルに対して前記操作部が所定距離以内に接近したことを検出した場合に、前記表示装置に選択対象物を表示する選択対象物表示機能と、
前記操作部により前記選択対象物が選択されたことを検出する選択検出機能と、
前記選択検出機能によって前記選択対象物が選択されたことを検出した場合に、前記選択対象物の表示態様を変更する表示態様変更機能と、
をプロセッサに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−190231(P2012−190231A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52851(P2011−52851)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】