タッチパネル用積層体およびタッチパネル用積層体の製造方法
【課題】透明電極に対する視認性を大幅に軽減する。
【解決手段】各下側透明電極11aで構成される下側電極列11が透明基板2上に複数列並設された下側透明導電層3と、その表面に形成された透明絶縁層4と、下側透明電極11a間に形成される隙間内に配置された複数の上側透明電極21aで構成される上側電極列21が透明絶縁層4の表面に下側電極列11と交差する状態で複数列並設された上側透明導電層5とを有し、下側透明導電層3は、下側電極列11を1列ずつ含んで分割された下側帯状領域Aの下側電極列11を除く全域に下側透明電極11aの厚み未満の厚みに形成された下側薄層部12を備え、上側透明導電層5は、上側電極列を1列ずつ含んで分割された上側帯状領域Cの上側電極列21を除く全域に上側透明電極21aの厚み未満の厚みに形成された上側薄層部22を備えている。
【解決手段】各下側透明電極11aで構成される下側電極列11が透明基板2上に複数列並設された下側透明導電層3と、その表面に形成された透明絶縁層4と、下側透明電極11a間に形成される隙間内に配置された複数の上側透明電極21aで構成される上側電極列21が透明絶縁層4の表面に下側電極列11と交差する状態で複数列並設された上側透明導電層5とを有し、下側透明導電層3は、下側電極列11を1列ずつ含んで分割された下側帯状領域Aの下側電極列11を除く全域に下側透明電極11aの厚み未満の厚みに形成された下側薄層部12を備え、上側透明導電層5は、上側電極列を1列ずつ含んで分割された上側帯状領域Cの上側電極列21を除く全域に上側透明電極21aの厚み未満の厚みに形成された上側薄層部22を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式タッチパネルに使用されるタッチパネル用積層体、およびこのタッチパネル用積層体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のタッチパネル用積層体として、下記特許文献1に開示された積層体が知られている。まず、この積層体51の積層構造について図13を参照して説明する。積層体51は、同図に示すように、透明基板52の一方の面上に、ITO(Indium Tin Oxide,インジウム錫酸化物)膜などの透明導電膜よりなる第1電極パターン53と、ITO膜などの透明導電膜よりなる第2電極パターン54とが、中間絶縁層55を挟んで積層されている。さらに、透明な保護膜56が、第2電極パターン54上に積層されている。
【0003】
次に、この積層体51の平面構造について図14を参照して説明する。第1電極パターン53を構成する1行のX電極体53aは、菱形状で複数のX電極53bと、X電極53bと同様にしてITO膜などの透明導電膜で形成されたX導通部53cとを備え、パネル平面視水平方向であるX方向で隣接するX電極53b同士がX導通部53cで接続されて構成されている。また、このX電極体53aは複数行配置されている。一方、第2電極パターン54を構成する1列のY電極体54aは、菱形状で複数のY電極54bと、Y電極54bと同様にしてITO膜などの透明導電膜で形成されたY導通部54cとを備え、パネル平面視垂直方向であるY方向で隣接するY電極54b同士がY導通部54cで接続されて構成されている。また、このY電極体54aは複数列配置されている。以上のように形成された第1電極パターン53および第2電極パターン54は、積層体51を平面視した状態において、X電極53bとY電極54bとが重ならないように交互に配置されると共に、X導電部53cとY導電部54cとが交差するように配置されている。
【0004】
このように構成されたタッチパネル用積層体を使用したタッチパネルセンサでは、指などの外部導体が保護膜56に接触または接近した際に生じるX電極53bとY電極54bとの間の静電容量の変化に基づいて、外部導体のタッチパネル用積層体51上での位置を検出可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−140369号公報(第3−4,第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記のタッチパネル用積層体には、以下のような解決すべき課題が存在している。この種のタッチパネル用積層体は、LCDなどの画面上に配置されて使用されるものであるため、画面上に表示される画像の視認性を低下させるものであってはならない。しかしながら、第1電極パターン53および第2電極パターン54に使用されているITO膜などの透明導電膜は、透明基板52に一般的に用いられている透明樹脂(ポリエチレンテレフタレート)と比較して、非常に大きな屈折率を有している。また、上記の積層体51では、図14に示すように、平面視した状態において、第1電極パターン53および第2電極パターン54と共に、これらの電極パターン53,54間に生じる隙間57(同図においてドットを付した領域)を介して透明基板52が保護膜56を通して視認される。したがって、この積層体51には、両電極パターン53,54の屈折率と透明基板52の屈折率の相違に起因して、保護膜56側から見たときに、第1電極パターン53および第2電極パターン54が全体的に視認され、これにより、LCDの画面上に配置したときに、画面上に表示される画像の視認性や美観を低下させるという解決すべき課題が存在している。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、透明電極に対する視認性を大幅に軽減し得るタッチパネル用積層体およびタッチパネル用積層体の製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく本発明に係るタッチパネル用積層体は、互いに連結された複数の下側透明電極で構成される下側電極列が透明基板の一方の表面に複数列並設して形成された下側透明導電層と、当該下側透明導電層の表面に形成された透明絶縁層と、平面視した状態において前記下側透明電極間に形成される隙間内に配置されて互いに連結された複数の上側透明電極で構成される上側電極列が前記透明絶縁層の表面に前記下側電極列と交差する状態で複数列並設して形成された上側透明導電層とを有し、前記上側透明導電層は、前記上側電極列毎に当該上側電極列を1列ずつ含んで分割された上側帯状領域における当該上側電極列を除く全域に前記上側透明電極の厚み未満の厚みで形成された上側薄層部を備えている。
【0009】
また、本発明に係るタッチパネル用積層体は、前記下側透明導電層は、前記下側電極列毎に当該下側電極列を1列ずつ含んで分割された下側帯状領域における当該下側電極列を除く全域に前記下側透明電極の厚み未満の厚みで形成された下側薄層部を備えている。
【0010】
また、本発明に係るタッチパネル用積層体は、前記上側薄層部の前記厚みは、1μm以上20μm未満の範囲に規定されている
【0011】
また、本発明に係るタッチパネル用積層体は、前記下側薄層部の前記厚みは、1μm以上20μm未満の範囲に規定されている。
【0012】
また、本発明に係るタッチパネル用積層体の製造方法は、上記のタッチパネル用積層体の製造方法であって、前記透明基板の一方の表面に透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記下側電極列に対応するマスクパターンを前記透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記透明導電層をマスク部位のみを残してエッチングして前記下側電極列を複数列形成するエッチング工程とを実施して第1積層体を作製し、他の透明基板の一方の表面に他の透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記上側電極列に対応するマスクパターンを前記他の透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記他の透明導電層を当該他の透明導電層における非マスク部位の厚みが前記上側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記上側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記他の透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該他の透明導電層を前記上側電極列を1列ずつ含む前記上側帯状領域に分割することによって前記上側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第2積層体を作製し、前記第1積層体と前記第2積層体とを積層する。
【0013】
また、本発明に係るタッチパネル用積層体の製造方法は、上記のタッチパネル用積層体の製造方法であって、前記透明基板の一方の表面に透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記下側電極列に対応するマスクパターンを前記透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記透明導電層を当該透明導電層における非マスク部位の厚みが前記下側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記下側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該透明導電層を前記下側電極列を1列ずつ含む前記下側帯状領域に分割することによって前記下側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第1積層体を作製し、他の透明基板の一方の表面に他の透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記上側電極列に対応するマスクパターンを前記他の透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記他の透明導電層を当該他の透明導電層における非マスク部位の厚みが前記上側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記上側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記他の透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該他の透明導電層を前記上側電極列を1列ずつ含む前記上側帯状領域に分割することによって前記上側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第2積層体を作製し、前記第1積層体と前記第2積層体とを積層する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る製造方法によって製造される本発明に係るタッチパネル用積層体では、上側透明導電層は、上側電極列毎に上側電極列を1列ずつ含んで分割された上側帯状領域における上側電極列を除く全域に上側透明電極の厚み未満の厚みで形成された上側薄層部を備えている。
【0015】
したがって、このタッチパネル用積層体およびその製造方法によれば、上側透明導電層において透明導電層が取り除かれた部位は、各上側帯状領域を分割する各隙間のみとなる構成のため、透明保護膜側から透明基板を視認し得る部位を上側透明導電層の隙間のみに限定することができる結果、上側透明導電層がタッチパネル用積層体の極めて広い領域に亘って存在する構成にすることができる。したがって、このタッチパネル用積層体によれば、上側透明導電層の屈折率と透明基板の屈折率の相違に起因して、透明保護膜側から見たときに、下側電極列および上側電極列が全体的に視認されるのを確実に回避することができる(各電極列に対する視認性を大幅に軽減することができる)。これにより、このタッチパネル用積層体を用いて製造されたタッチパネルでは、LCDなどの画面上に配置されたタッチパネル用積層体の各電極列がこの画面上に表示される画像や文字に対する視認性を低下させるのを大幅に軽減できるため、この画像や文字の良好な視認性を確実に確保することができ、画像や文字をそれらが持つ本来の美観を低下させる(損ねる)ことなく視認することができる。
【0016】
また、本発明に係る他の製造方法によって製造される本発明に係るタッチパネル用積層体では、下側透明導電層は、下側電極列毎に下側電極列を1列ずつ含んで分割された下側帯状領域における下側電極列を除く全域に下側透明電極の厚み未満の厚みで形成された下側薄層部を備え、上側透明導電層は、上側電極列毎に上側電極列を1列ずつ含んで分割された上側帯状領域における上側電極列を除く全域に上側透明電極の厚み未満の厚みで形成された上側薄層部を備えている。
【0017】
したがって、このタッチパネル用積層体およびその製造方法によれば、下側透明導電層において透明導電層が取り除かれた部位は、各下側帯状領域を分割する各隙間のみとなり、また上側透明導電層において透明導電層が取り除かれた部位は、各上側帯状領域を分割する各隙間のみとなる構成のため、透明保護膜側から透明基板を視認し得る部位を下側透明導電層の隙間と上側透明導電層の隙間の各交差部位のみに限定することができる結果、下側透明導電層および上側透明導電層がタッチパネル用積層体のほぼ全域に亘って存在する構成にすることができる。したがって、このタッチパネル用積層体によれば、下側透明導電層および上側透明導電層の屈折率と透明基板の屈折率の相違に起因して、透明保護膜側から見たときに、下側電極列および上側電極列が全体的に視認されるのを一層確実に回避することができる(各電極列に対する視認性を一層軽減することができる)。これにより、このタッチパネル用積層体を用いて製造されたタッチパネルでは、LCDなどの画面上に配置されたタッチパネル用積層体の各電極列がこの画面上に表示される画像や文字に対する視認性を低下させるのを一層軽減できるため、この画像や文字の良好な視認性を一層確実に確保することができ、画像や文字をそれらが持つ本来の美観を低下させる(損ねる)ことなく視認することができる。
【0018】
また、これらのタッチパネル用積層体およびその製造方法によれば、上側帯状領域に共に形成されている上側薄層部の厚みを上側電極列の厚み未満に規定し、また下側帯状領域に共に形成されている下側薄層部の厚みを下側電極列の厚み未満に規定したことにより、上側電極列および下側電極列に対する上側薄層部および下側薄層部の導電率を十分に低くすることができる。したがって、このタッチパネル用積層体によれば、上側透明導電層では、各上側電極列を主としてライン状の検出電極(例えばX方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として機能させることができ、下側透明導電層では、各下側電極列を主としてライン状の検出電極(例えばY方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として確実に機能させることができる。
【0019】
本発明に係るタッチパネル用積層体によれば、上側薄層部および下側薄層部の厚みを20nm未満にそれぞれ規定したことにより、上側薄層部および下側薄層部の抵抗値を500Ω□を超える値、すなわち上側薄層部および下側薄層部を電極として機能し得ない高い抵抗値に確実に規定することができる。言い換えれば、上側薄層部および下側薄層部の厚みを20nm未満にそれぞれ規定したことにより、上側薄層部および下側薄層部の導電率を、各上側電極列および各下側電極列をライン状の検出電極として確実に機能させ得る低い値に常に規定することができる。また、上側薄層部および下側薄層部の厚みを1nm以上にそれぞれ規定したことにより、上側薄層部および下側薄層部を高い抵抗値の(導電率の小さな)導電膜として確実に存在させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】タッチパネル用積層体1の部分平面図である。
【図2】図1におけるW1−W1線断面図である。
【図3】図1におけるW2−W2線断面図である。
【図4】マスキング工程を完了した状態での透明基板2、透明導電層31およびマスクパターン32の断面図である。
【図5】エッチング工程を完了した状態でのマスクパターン32、および下側透明導電層3(下側電極列11および非マスク部位33)の平面図である。
【図6】図5におけるW−W線断面図である。
【図7】分割工程を完了した状態での透明基板2、マスクパターン32、および下側透明導電層3(下側電極列11および下側薄層部12)の断面図である。
【図8】透明基板2の表面に下側電極列11および下側薄層部12が形成されて構成された第1積層体の平面図である。
【図9】図8におけるW−W線断面図である。
【図10】透明絶縁層4の表面に上側電極列21および上側薄層部22が形成されて構成された第2積層体の平面図である。
【図11】図8に示す第1積層体に図10に示す第2積層体を積層した状態での平面図である。
【図12】タッチパネル用積層体1Aの部分平面図である。
【図13】従来の積層体51(保護膜56を含む状態)の図14に示すW−W線の位置での断面図である。
【図14】従来の積層体51から保護膜56を省いた状態での平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、タッチパネル用積層体およびその製造方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
まず、タッチパネル用積層体1(以下、「積層体1」ともいう)の構成について説明する。
【0023】
積層体1は、積層体1の平面図である図1におけるW1−W1線断面図である図2、および図1のW2−W2線断面図である図3に示すように、透明基板2、下側透明導電層3、透明絶縁層4、上側透明導電層5および透明保護膜6がこの順に積層されて構成されている。
【0024】
透明基板2は、一例として絶縁性を有する合成樹脂材料で形成された透明フィルムで構成されている。この透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム等の樹脂フィルムが使用される。
【0025】
下側透明導電層3は、図1において破線で示すように、透明基板2の一方の表面に複数列並設(Y方向に並設)された下側電極列11と、透明基板2の一方の表面に下側電極列11毎に下側電極列11の両側に形成された下側薄層部12とを備えている。各下側電極列11は、図1に示すように、X方向およびY方向に沿ってマトリクス状に複数配設された平面視菱形状の下側透明電極11aのうちのX方向に沿って1列に並ぶ下側透明電極11aが下側導通部11bを介して複数連結(導通)されて構成されている。また、下側電極列11は、一例として、20nm以上30nm以下の厚みに規定されている。この場合、下側電極列11の厚みを20nm以上に規定したことにより、下側電極列11の導電率を電極として機能し得る十分に高い値(抵抗値で言えば、500Ω□以下)にすることができる。また、下側電極列11の厚みを30nm以下に規定したことにより、十分な透過率を確保することができる。
【0026】
下側薄層部12は、下側電極列11を1列ずつ含んで例えば一定の幅で分割された下側帯状領域Aにおける下側電極列11を除く領域(下側電極列11の両側に位置する領域)の全域に亘って形成されている。この場合、各下側帯状領域Aは、図1,2に示すように、隣接する下側帯状領域Aとの間に、下側電極列11に沿って例えばほぼ直線状で一定幅の隙間Bを設けた状態で分割されている。このため、1つの下側帯状領域A内に形成された下側薄層部12は、隣接する他の下側帯状領域A内に形成された下側薄層部12と電気的に絶縁された状態で形成されている。
【0027】
下側透明導電層3(各下側電極列11および各下側薄層部12)は、金属(又は半金属)の酸化物からなる薄膜である。例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、インジウム−錫複合酸化物、錫−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物などが挙げられる。これらのうち、インジウム−錫複合酸化物が好ましい。下側透明導電層3は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などの真空成膜法によって形成することができる。
【0028】
また、各下側電極列11を構成する下側透明電極11aおよび下側導通部11bは、同じ厚みに規定されている。一方、下側薄層部12は、図2,3に示すように、下側電極列11未満の厚み(下側電極列11よりも十分に薄い厚み)に規定されている。この構成により、下側薄層部12の導電率は、下側電極列11の導電率よりも十分に低い値となる。このため、下側透明導電層3では、各下側電極列11が主としてライン状の検出電極(Y方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として機能する。このように下側薄層部12の導電率を下側電極列11の導電率よりも十分に低い値にするためには、下側薄層部12の厚みを20nm未満に規定するのが好ましい。これにより、下側薄層部12の抵抗値を500Ω□を超える値、すなわち下側薄層部12を電極として機能し得ない高い抵抗値に確実に規定することができる。言い換えれば、下側薄層部12の厚みを20nm未満に規定したことにより、下側薄層部12の導電率を、各下側電極列11をライン状の検出電極として確実に機能させ得る低い値に常に規定することができる。さらに、下側薄層部12の厚みを15nm未満に規定するのがより好ましい。これにより、下側薄層部12の抵抗値を1000Ω□を超える値、つまり下側薄層部12を電極として機能し得ない一層高い抵抗値により確実に規定することができる。一方、下側薄層部12の厚みを、1nm以上に規定するのが好ましい。これにより、下側薄層部12を高い抵抗値の(導電率の小さな)導電膜として確実に存在させる(確実に形成する)ことができる。以上のことから、下側薄層部12の厚みについては、1nm以上20nm未満の範囲に規定するのが好ましく、1nm以上15nm未満の範囲に規定するのがより好ましい。
【0029】
透明絶縁層4は、一例として絶縁性を有する合成樹脂材料で形成された透明フィルムで構成されている。この透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム等の樹脂フィルムが使用される。このタッチパネル用積層体1では、一例として透明基板2と同種のフィルムが透明絶縁層4に使用されているが、異種のフィルムを使用してもよいのは勿論である。
【0030】
上側透明導電層5は、図1において一点鎖線で示すように、透明絶縁層4の表面に複数列並設(X方向に並設)された上側電極列21と、透明絶縁層4の表面に上側電極列21毎に上側電極列21の両側に形成された上側薄層部22とを備えている。各上側電極列21は、図1に示すように、X方向およびY方向に沿ってマトリクス状に複数配設された平面視菱形状の上側透明電極21aのうちのY方向に沿って1列に並ぶ上側透明電極21aが上側導通部21bを介して複数連結(導通)されて構成されている。また、上側電極列21は、上記した下側電極列11と同様の理由により、一例として、20nm以上30nm以下の厚みに規定されている。
【0031】
また、本例では一例として、各上側透明電極21aは、下側透明電極11aと同じ形状で、かつ同じ面積に形成されている。また、各上側透明電極21aは、4つの下側透明電極11a間に形成される下側透明電極11aの非形成領域内に配設されている(言い換えれば、平面視した状態において、下側透明電極11aと重ならない状態に配設されている)。また、下側透明電極11aを連結する下側導通部11bと、上側透明電極21aを連結する上側導通部21bとは、互いに透明絶縁層4を介して交差(本例では直交)する状態で配設されている。
【0032】
上側薄層部22は、上側電極列21を1列ずつ含んで例えば一定の幅で分割された上側帯状領域Cにおける上側電極列21を除く領域(下側電極列11の両側に位置する領域)の全域に亘って形成されている。この場合、各上側帯状領域Cは、図1,3に示すように、隣接する上側帯状領域Cとの間に、上側電極列21に沿って例えばほぼ直線状で一定幅の隙間Dを設けた状態で分割されている。このため、1つの上側帯状領域C内に形成された上側薄層部22は、隣接する他の上側帯状領域C内に形成された上側薄層部22と電気的に絶縁された状態で形成されている。
【0033】
上側透明導電層5を構成する各上側電極列21および各上側薄層部22は、下側透明導電層3と同じ導電層(つまり同じ材料)で形成されている。
【0034】
また、各上側電極列21を構成する上側透明電極21aおよび上側導通部21bは、同じ厚み(一例として、下側電極列11と同じ厚み)に規定されている。また、上側薄層部22も下側薄層部12と同様にして、図2,3に示すように、上側電極列21未満の厚み(上側電極列21よりも十分に薄い厚み)に規定されている。この構成により、上側薄層部22の導電率は、上側電極列21の導電率よりも十分に低い値となる。このため、上側透明導電層5では、各上側電極列21が主としてライン状の検出電極(X方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として機能する。このように上側薄層部22の導電率を上側電極列21の導電率よりも十分に低い値にし、かつ導電膜として確実に存在させるためには、上記した下側薄層部12と同様にして、上側薄層部22の厚みについては、1nm以上20nm未満の範囲に規定するのが好ましく、1nm以上15nm未満の範囲に規定するのがより好ましい。
【0035】
透明保護膜6は、一例として絶縁性を有する合成樹脂材料で形成された透明フィルムで構成されている。この透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂が使用される。なお、透明保護膜6は、絶縁性を有する合成樹脂材料を上側透明導電層5上に塗布して形成した樹脂層で構成することもできる。
【0036】
この積層体1は、下側透明導電層3では、各下側薄層部12間に形成された隙間Bを除く全域に、下側電極列11および下側薄層部12が形成され、また下側透明導電層3の上層に形成された上側透明導電層5では、各上側薄層部22間に形成された隙間Dを除く全域に、上側電極列21および上側薄層部22が形成されている。これにより、この積層体1では、導電層の存在しない部位、すなわち、透明基板2が透明保護膜6を介して視認される部位は、両隙間B,Dの各交差部位E(斜線を付した部位)のみに限定されている。この場合、隙間B,Dの幅は、例えば10μm程度に規定することができることから、この交差部位Eは、極めて狭い面積に形成することができる。
【0037】
したがって、この積層体1では、透明保護膜6側から平面視した状態において、導電層(下側透明導電層3および上側透明導電層5)が積層体1のほぼ全域に亘って存在しているため、下側透明導電層3および上側透明導電層5の屈折率と透明基板2の屈折率の相違に起因して、透明保護膜6側から見たときに、下側電極列11および上側電極列21が全体的に視認されるのが回避されている。
【0038】
次いで、タッチパネル用積層体1の製造方法について図面を参照して説明する。
【0039】
この製造方法では、まず、図4に示すように、透明基板2の一方の面上に、上記した透明導電層31をスパッタ法を用いて形成する(導電層形成工程)。この際に、透明導電層31は、下側電極列11を構成する下側透明電極11aおよび下側導通部11bと同じ厚みに形成する。
【0040】
次いで、図4に示すように、複数列の下側電極列11に対応するマスクパターン32を透明導電層31の表面に配置(形成)する(マスキング工程)。続いて、図5,6に示すように、このマスクパターン32をマスクとして透明導電層31を、透明導電層31における非マスク部位33の厚みが下側薄層部12の厚みと一致するまでエッチングする(エッチング工程)。これにより、図5に示すように、X方向に沿って1列に並ぶ複数の下側透明電極11aが下側導通部11bを介して連結(導通)されて構成された下側電極列11が、Y方向に複数並設された状態で形成される。
【0041】
次いで、各下側電極列11間に形成された非マスク部位33における中央部に対してレーザ光(不図示)を照射しつつ、照射位置を下側電極列11の長さ方向(X方向)に沿って例えば直線状に移動させて非マスク部位33を透明基板2上から除去する。これにより、下側電極列11に沿って例えばほぼ直線状で一定幅の隙間(透明基板2が覗く隙間)Bが各非マスク部位33に形成される。また、透明導電層31が隙間Bによって下側電極列11を1列ずつ含む複数の下側帯状領域Aに分割される(分割工程)。このため、図7に示すように、それぞれの下側帯状領域A内における下側電極列11の両側に、透明導電層31で構成される下側薄層部12が形成される。最後に、下側電極列11上のマスクパターン32を除去する(マスク除去工程)。これにより、図8,9に示すように、透明基板2と、上記の下側電極列11および下側薄層部12を含む下側透明導電層3とで構成される第1積層体が製造される。
【0042】
次いで、図示はしないが、上記した下側透明導電層3の製造工程と同じ工程を実施して、透明絶縁層4として機能する他の透明基板の表面に上側透明導電層5が形成された第2積層体を製造する。具体的には、一例として透明基板2と同じ材質の透明フィルムで構成された他の透明基板の面上に、上記した他の透明導電層をスパッタ法を用いて形成する(導電層形成工程)。この際に、この他の透明導電層は、上側電極列21(上側透明電極21aおよび上側導通部21b)と同じ厚みに形成する。
【0043】
次いで、複数列の上側電極列21に対応するマスクパターンを上記の他の透明導電層の表面に配置し(マスキング工程)、続いて、このマスクパターンをマスクとしてこの他の透明導電層を、この透明導電層における非マスク部位の厚みが上側薄層部22の厚みとなるまでエッチングして、上側電極列21を複数列形成する(エッチング工程)する。
【0044】
次いで、各下側電極列11間に形成された非マスク部位にレーザ光を照射することにより、上記した隙間Bと同様にして、上側電極列21に沿って例えばほぼ直線状で一定幅の隙間D(図1,3参照)を各非マスク部位に形成する。これにより、上記した他の透明導電層が隙間Dによって上側電極列21を1列ずつ含む複数の上側帯状領域Cに分割される(分割工程)。最後に、上側電極列21上のマスクパターンを除去する(マスク除去工程)。これにより、図10に示すように、Y方向に沿って1列に並ぶ複数の上側透明電極21aが上側導通部21bを介して連結(導通)されて構成された上側電極列21と、上側薄層部22とが上側透明導電層5に複数形成される。また、透明絶縁層4となる他の透明基板の表面上に上側透明導電層5が形成された第2積層体が製造される。
【0045】
続いて、上記のようにして製造された第1積層体と第2積層体とを、第1積層体の下側透明導電層3と第2積層体の上記した他の透明基板とを接着剤を介して接合することによって積層する(貼り合わせる)。この第1積層体と第2積層体との積層に際しては、図11に示すように、第1積層体と第2積層体との積層体を平面視した状態において、各上側透明電極21aが、4つの下側透明電極11a間に形成される下側透明電極11aの非形成領域内に配設され、かつ下側透明電極11aを連結する下側導通部11bと上側透明電極21aを連結する上側導通部21bとが互いに上記した他の透明基板を介して交差(本例では直交)するように積層する。
【0046】
最後に、第2積層体の上側透明導電層5上に透明保護膜6を形成する。これにより、上記の他の透明基板を透明絶縁層4とする図1,2,3に示す構成の積層体1が製造される。
【0047】
このように、この積層体1では、下側透明導電層3は、下側電極列11毎に下側電極列11を1列ずつ含んで分割された(隣との間に隙間Bを空けて分割された)下側帯状領域Aにおける下側電極列11を除く全域に下側透明電極11aの厚み未満の厚みで形成された下側薄層部12を複数備え、上側透明導電層5は、下側電極列11と交差(直交)する上側電極列21毎に上側電極列21を1列ずつ含んで分割された(隣との間に隙間Dを空けて分割された)上側帯状領域Cにおける上側電極列21を除く全域に上側透明電極21aの厚み未満の厚みで形成された上側薄層部22を複数備えている。
【0048】
したがって、この積層体1および上記した製造方法によれば、下側透明導電層3において透明導電層が取り除かれた部位は、各下側帯状領域Aを分割する各隙間Bのみとなり、また上側透明導電層5において透明導電層が取り除かれた部位は、各上側帯状領域Cを分割する各隙間Dのみとなる構成のため、透明保護膜6側から透明基板2を視認し得る部位を各隙間B,Dの交差部位Eのみに限定することができる結果、下側透明導電層3および上側透明導電層5が積層体1のほぼ全域に亘って存在する構成にすることができる。したがって、この積層体1によれば、下側透明導電層3および上側透明導電層5の屈折率と透明基板2の屈折率の相違に起因して、透明保護膜6側から見たときに、下側電極列11および上側電極列21が全体的に視認されるのを確実に回避することができる(各電極列11,12に対する視認性を大幅に軽減することができる)。これにより、この積層体1を用いて製造されたタッチパネルでは、LCDなどの画面上に配置された積層体1の各電極列11,12がこの画面上に表示される画像や文字に対する視認性や美観の低下を大幅に軽減できるため、この画像や文字の良好な視認性を確実に確保することができ、画像や文字をそれらが持つ本来の美観を低下させる(損ねる)ことなく視認することができる。
【0049】
また、この積層体1および上記した製造方法によれば、下側帯状領域Aに共に形成されている下側薄層部12の厚みを下側電極列11の厚み未満に規定し、上側帯状領域Cに共に形成されている上側薄層部22の厚みを上側電極列21の厚み未満に規定したことにより、下側電極列11および上側電極列21に対する下側薄層部12および上側薄層部22の導電率を十分に低くすることができる。したがって、この積層体1によれば、下側透明導電層3では、各下側電極列11を主としてライン状の検出電極(Y方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として機能させることができ、上側透明導電層5では、各上側電極列21を主としてライン状の検出電極(X方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として確実に機能させることができる。
【0050】
また、この積層体1によれば、下側薄層部12および上側薄層部22の厚みを1nm以上20nm未満の範囲にそれぞれ規定したことにより、下側薄層部12および上側薄層部22を導電膜として確実に存在させつつ(確実に形成しつつ)、下側薄層部12および上側薄層部22を電極として機能し得ない高い抵抗値に確実に規定することができる。言い換えれば、下側薄層部12および上側薄層部22の導電率を、各下側電極列11および各上側電極列21をライン状の検出電極として確実に機能させ得る低い値に常に規定することができる。
【0051】
なお、上記の積層体1では、下側透明導電層3および上側透明導電層5について、下側電極列11と共に下側薄層部12を形成し、上側電極列21と共に上側薄層部22を形成する構成を採用しているが、図12に示すタッチパネル用積層体1A(以下、積層体1Aともいう)のように、上側透明導電層5についてのみ上側電極列21と共に上側薄層部22を形成し、下側透明導電層3については、下側電極列11だけを形成して、下側薄層部12を形成しない構成を採用することもできる。なお、この積層体1Aは、下側透明導電層3が下側電極列11だけで構成されている点を除き、積層体1と同じ構成を備えている。したがって、積層体1と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0052】
この積層体1Aは、下側透明導電層3では、下側電極列11のみが形成され、下側透明導電層3の上層に形成された上側透明導電層5では、各上側薄層部22間に形成された隙間Dを除く全域に、上側電極列21および上側薄層部22が形成されている。これにより、この積層体1Aでは、導電層の存在しない部位、すなわち、透明基板2が透明保護膜6を介して視認される部位は、下側電極列11間の隙間と、隙間Dとの各交差部位F(斜線を付した部位)のみに限定されている。この場合、隙間Dの幅は、例えば10μm程度に規定することができることから、この交差部位Fは、極めて狭い面積に形成することができる。
【0053】
したがって、この積層体1Aでも、透明保護膜6側から平面視した状態において、上側透明導電層5が積層体1のほぼ全域に亘って存在しているため、上側透明導電層5の屈折率と透明基板2の屈折率の相違に起因して、透明保護膜6側から見たときに、下側電極列11および上側電極列21が全体的に視認されるのが回避されている。
【0054】
また、この積層体1Aの製造方法は、構成の異なる下側透明導電層3の形成工程において相違するのみで、他の工程は同一である。このため、この下側透明導電層3の形成工程についてのみ説明する。
【0055】
下側透明導電層3の形成に際しては、まず、透明基板2の一方の面上に、透明導電層31をスパッタ法を用いて形成する(導電層形成工程)。この際に、透明導電層31は、下側電極列11を構成する下側透明電極11aおよび下側導通部11bと同じ厚みに形成する。
【0056】
次いで、複数列の下側電極列11に対応するマスクパターン32を透明導電層31の表面に配置(形成)する(マスキング工程)。続いて、このマスクパターン32をマスクとして透明導電層31を、透明導電層31におけるマスク部位のみを残してエッチングする(エッチング工程)。これにより、X方向に沿って1列に並ぶ複数の下側透明電極11aが下側導通部11bを介して連結(導通)されて構成された下側電極列11が、Y方向に複数並設された状態で形成される。
【0057】
したがって、この積層体1Aおよびこの製造方法によれば、下側透明導電層3において透明導電層が取り除かれた部位は、各下側電極列11間の隙間となり、また上側透明導電層5において透明導電層が取り除かれた部位は、各上側帯状領域Cを分割する各隙間Dのみとなる構成のため、透明保護膜6側から透明基板2を視認し得る部位を、下側電極列11間の各隙間と隙間Dとの交差部位Fのみに限定することができる結果、下側透明導電層3および上側透明導電層5が積層体1Aのほぼ全域に亘って存在する構成にすることができる。したがって、この積層体1Aにおいても、積層体1と同様にして、透明保護膜6側から見たときに、下側電極列11および上側電極列21が全体的に視認されるのを確実に回避することができる。これにより、この積層体1Aを用いて製造されたタッチパネルでも、積層体1を用いて製造されたタッチパネルの上記した効果と同様の効果を奏することができる。
【0058】
なお、上記の積層体1,1Aでは、同じ材料で下側透明導電層3および上側透明導電層5を形成して、両者の屈折率を揃える好ましい構成を採用しているが、下側透明導電層3および上側透明導電層5は、例示した上記の種々の材料のうちの相違する任意の材料でそれぞれ形成することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 積層体
2 透明基板
3 下側透明導電層
4 透明絶縁層
5 上側透明導電層
6 透明保護膜
11 下側電極列
11a 下側透明電極
12 下側薄層部
21 上側電極列
21a 上側透明電極
22 上側薄層部
A 下側帯状領域
C 上側帯状領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電容量式タッチパネルに使用されるタッチパネル用積層体、およびこのタッチパネル用積層体の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のタッチパネル用積層体として、下記特許文献1に開示された積層体が知られている。まず、この積層体51の積層構造について図13を参照して説明する。積層体51は、同図に示すように、透明基板52の一方の面上に、ITO(Indium Tin Oxide,インジウム錫酸化物)膜などの透明導電膜よりなる第1電極パターン53と、ITO膜などの透明導電膜よりなる第2電極パターン54とが、中間絶縁層55を挟んで積層されている。さらに、透明な保護膜56が、第2電極パターン54上に積層されている。
【0003】
次に、この積層体51の平面構造について図14を参照して説明する。第1電極パターン53を構成する1行のX電極体53aは、菱形状で複数のX電極53bと、X電極53bと同様にしてITO膜などの透明導電膜で形成されたX導通部53cとを備え、パネル平面視水平方向であるX方向で隣接するX電極53b同士がX導通部53cで接続されて構成されている。また、このX電極体53aは複数行配置されている。一方、第2電極パターン54を構成する1列のY電極体54aは、菱形状で複数のY電極54bと、Y電極54bと同様にしてITO膜などの透明導電膜で形成されたY導通部54cとを備え、パネル平面視垂直方向であるY方向で隣接するY電極54b同士がY導通部54cで接続されて構成されている。また、このY電極体54aは複数列配置されている。以上のように形成された第1電極パターン53および第2電極パターン54は、積層体51を平面視した状態において、X電極53bとY電極54bとが重ならないように交互に配置されると共に、X導電部53cとY導電部54cとが交差するように配置されている。
【0004】
このように構成されたタッチパネル用積層体を使用したタッチパネルセンサでは、指などの外部導体が保護膜56に接触または接近した際に生じるX電極53bとY電極54bとの間の静電容量の変化に基づいて、外部導体のタッチパネル用積層体51上での位置を検出可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−140369号公報(第3−4,第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記のタッチパネル用積層体には、以下のような解決すべき課題が存在している。この種のタッチパネル用積層体は、LCDなどの画面上に配置されて使用されるものであるため、画面上に表示される画像の視認性を低下させるものであってはならない。しかしながら、第1電極パターン53および第2電極パターン54に使用されているITO膜などの透明導電膜は、透明基板52に一般的に用いられている透明樹脂(ポリエチレンテレフタレート)と比較して、非常に大きな屈折率を有している。また、上記の積層体51では、図14に示すように、平面視した状態において、第1電極パターン53および第2電極パターン54と共に、これらの電極パターン53,54間に生じる隙間57(同図においてドットを付した領域)を介して透明基板52が保護膜56を通して視認される。したがって、この積層体51には、両電極パターン53,54の屈折率と透明基板52の屈折率の相違に起因して、保護膜56側から見たときに、第1電極パターン53および第2電極パターン54が全体的に視認され、これにより、LCDの画面上に配置したときに、画面上に表示される画像の視認性や美観を低下させるという解決すべき課題が存在している。
【0007】
本発明は、かかる課題を解決すべくなされたものであり、透明電極に対する視認性を大幅に軽減し得るタッチパネル用積層体およびタッチパネル用積層体の製造方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成すべく本発明に係るタッチパネル用積層体は、互いに連結された複数の下側透明電極で構成される下側電極列が透明基板の一方の表面に複数列並設して形成された下側透明導電層と、当該下側透明導電層の表面に形成された透明絶縁層と、平面視した状態において前記下側透明電極間に形成される隙間内に配置されて互いに連結された複数の上側透明電極で構成される上側電極列が前記透明絶縁層の表面に前記下側電極列と交差する状態で複数列並設して形成された上側透明導電層とを有し、前記上側透明導電層は、前記上側電極列毎に当該上側電極列を1列ずつ含んで分割された上側帯状領域における当該上側電極列を除く全域に前記上側透明電極の厚み未満の厚みで形成された上側薄層部を備えている。
【0009】
また、本発明に係るタッチパネル用積層体は、前記下側透明導電層は、前記下側電極列毎に当該下側電極列を1列ずつ含んで分割された下側帯状領域における当該下側電極列を除く全域に前記下側透明電極の厚み未満の厚みで形成された下側薄層部を備えている。
【0010】
また、本発明に係るタッチパネル用積層体は、前記上側薄層部の前記厚みは、1μm以上20μm未満の範囲に規定されている
【0011】
また、本発明に係るタッチパネル用積層体は、前記下側薄層部の前記厚みは、1μm以上20μm未満の範囲に規定されている。
【0012】
また、本発明に係るタッチパネル用積層体の製造方法は、上記のタッチパネル用積層体の製造方法であって、前記透明基板の一方の表面に透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記下側電極列に対応するマスクパターンを前記透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記透明導電層をマスク部位のみを残してエッチングして前記下側電極列を複数列形成するエッチング工程とを実施して第1積層体を作製し、他の透明基板の一方の表面に他の透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記上側電極列に対応するマスクパターンを前記他の透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記他の透明導電層を当該他の透明導電層における非マスク部位の厚みが前記上側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記上側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記他の透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該他の透明導電層を前記上側電極列を1列ずつ含む前記上側帯状領域に分割することによって前記上側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第2積層体を作製し、前記第1積層体と前記第2積層体とを積層する。
【0013】
また、本発明に係るタッチパネル用積層体の製造方法は、上記のタッチパネル用積層体の製造方法であって、前記透明基板の一方の表面に透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記下側電極列に対応するマスクパターンを前記透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記透明導電層を当該透明導電層における非マスク部位の厚みが前記下側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記下側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該透明導電層を前記下側電極列を1列ずつ含む前記下側帯状領域に分割することによって前記下側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第1積層体を作製し、他の透明基板の一方の表面に他の透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記上側電極列に対応するマスクパターンを前記他の透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記他の透明導電層を当該他の透明導電層における非マスク部位の厚みが前記上側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記上側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記他の透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該他の透明導電層を前記上側電極列を1列ずつ含む前記上側帯状領域に分割することによって前記上側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第2積層体を作製し、前記第1積層体と前記第2積層体とを積層する。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る製造方法によって製造される本発明に係るタッチパネル用積層体では、上側透明導電層は、上側電極列毎に上側電極列を1列ずつ含んで分割された上側帯状領域における上側電極列を除く全域に上側透明電極の厚み未満の厚みで形成された上側薄層部を備えている。
【0015】
したがって、このタッチパネル用積層体およびその製造方法によれば、上側透明導電層において透明導電層が取り除かれた部位は、各上側帯状領域を分割する各隙間のみとなる構成のため、透明保護膜側から透明基板を視認し得る部位を上側透明導電層の隙間のみに限定することができる結果、上側透明導電層がタッチパネル用積層体の極めて広い領域に亘って存在する構成にすることができる。したがって、このタッチパネル用積層体によれば、上側透明導電層の屈折率と透明基板の屈折率の相違に起因して、透明保護膜側から見たときに、下側電極列および上側電極列が全体的に視認されるのを確実に回避することができる(各電極列に対する視認性を大幅に軽減することができる)。これにより、このタッチパネル用積層体を用いて製造されたタッチパネルでは、LCDなどの画面上に配置されたタッチパネル用積層体の各電極列がこの画面上に表示される画像や文字に対する視認性を低下させるのを大幅に軽減できるため、この画像や文字の良好な視認性を確実に確保することができ、画像や文字をそれらが持つ本来の美観を低下させる(損ねる)ことなく視認することができる。
【0016】
また、本発明に係る他の製造方法によって製造される本発明に係るタッチパネル用積層体では、下側透明導電層は、下側電極列毎に下側電極列を1列ずつ含んで分割された下側帯状領域における下側電極列を除く全域に下側透明電極の厚み未満の厚みで形成された下側薄層部を備え、上側透明導電層は、上側電極列毎に上側電極列を1列ずつ含んで分割された上側帯状領域における上側電極列を除く全域に上側透明電極の厚み未満の厚みで形成された上側薄層部を備えている。
【0017】
したがって、このタッチパネル用積層体およびその製造方法によれば、下側透明導電層において透明導電層が取り除かれた部位は、各下側帯状領域を分割する各隙間のみとなり、また上側透明導電層において透明導電層が取り除かれた部位は、各上側帯状領域を分割する各隙間のみとなる構成のため、透明保護膜側から透明基板を視認し得る部位を下側透明導電層の隙間と上側透明導電層の隙間の各交差部位のみに限定することができる結果、下側透明導電層および上側透明導電層がタッチパネル用積層体のほぼ全域に亘って存在する構成にすることができる。したがって、このタッチパネル用積層体によれば、下側透明導電層および上側透明導電層の屈折率と透明基板の屈折率の相違に起因して、透明保護膜側から見たときに、下側電極列および上側電極列が全体的に視認されるのを一層確実に回避することができる(各電極列に対する視認性を一層軽減することができる)。これにより、このタッチパネル用積層体を用いて製造されたタッチパネルでは、LCDなどの画面上に配置されたタッチパネル用積層体の各電極列がこの画面上に表示される画像や文字に対する視認性を低下させるのを一層軽減できるため、この画像や文字の良好な視認性を一層確実に確保することができ、画像や文字をそれらが持つ本来の美観を低下させる(損ねる)ことなく視認することができる。
【0018】
また、これらのタッチパネル用積層体およびその製造方法によれば、上側帯状領域に共に形成されている上側薄層部の厚みを上側電極列の厚み未満に規定し、また下側帯状領域に共に形成されている下側薄層部の厚みを下側電極列の厚み未満に規定したことにより、上側電極列および下側電極列に対する上側薄層部および下側薄層部の導電率を十分に低くすることができる。したがって、このタッチパネル用積層体によれば、上側透明導電層では、各上側電極列を主としてライン状の検出電極(例えばX方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として機能させることができ、下側透明導電層では、各下側電極列を主としてライン状の検出電極(例えばY方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として確実に機能させることができる。
【0019】
本発明に係るタッチパネル用積層体によれば、上側薄層部および下側薄層部の厚みを20nm未満にそれぞれ規定したことにより、上側薄層部および下側薄層部の抵抗値を500Ω□を超える値、すなわち上側薄層部および下側薄層部を電極として機能し得ない高い抵抗値に確実に規定することができる。言い換えれば、上側薄層部および下側薄層部の厚みを20nm未満にそれぞれ規定したことにより、上側薄層部および下側薄層部の導電率を、各上側電極列および各下側電極列をライン状の検出電極として確実に機能させ得る低い値に常に規定することができる。また、上側薄層部および下側薄層部の厚みを1nm以上にそれぞれ規定したことにより、上側薄層部および下側薄層部を高い抵抗値の(導電率の小さな)導電膜として確実に存在させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】タッチパネル用積層体1の部分平面図である。
【図2】図1におけるW1−W1線断面図である。
【図3】図1におけるW2−W2線断面図である。
【図4】マスキング工程を完了した状態での透明基板2、透明導電層31およびマスクパターン32の断面図である。
【図5】エッチング工程を完了した状態でのマスクパターン32、および下側透明導電層3(下側電極列11および非マスク部位33)の平面図である。
【図6】図5におけるW−W線断面図である。
【図7】分割工程を完了した状態での透明基板2、マスクパターン32、および下側透明導電層3(下側電極列11および下側薄層部12)の断面図である。
【図8】透明基板2の表面に下側電極列11および下側薄層部12が形成されて構成された第1積層体の平面図である。
【図9】図8におけるW−W線断面図である。
【図10】透明絶縁層4の表面に上側電極列21および上側薄層部22が形成されて構成された第2積層体の平面図である。
【図11】図8に示す第1積層体に図10に示す第2積層体を積層した状態での平面図である。
【図12】タッチパネル用積層体1Aの部分平面図である。
【図13】従来の積層体51(保護膜56を含む状態)の図14に示すW−W線の位置での断面図である。
【図14】従来の積層体51から保護膜56を省いた状態での平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、タッチパネル用積層体およびその製造方法の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0022】
まず、タッチパネル用積層体1(以下、「積層体1」ともいう)の構成について説明する。
【0023】
積層体1は、積層体1の平面図である図1におけるW1−W1線断面図である図2、および図1のW2−W2線断面図である図3に示すように、透明基板2、下側透明導電層3、透明絶縁層4、上側透明導電層5および透明保護膜6がこの順に積層されて構成されている。
【0024】
透明基板2は、一例として絶縁性を有する合成樹脂材料で形成された透明フィルムで構成されている。この透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム等の樹脂フィルムが使用される。
【0025】
下側透明導電層3は、図1において破線で示すように、透明基板2の一方の表面に複数列並設(Y方向に並設)された下側電極列11と、透明基板2の一方の表面に下側電極列11毎に下側電極列11の両側に形成された下側薄層部12とを備えている。各下側電極列11は、図1に示すように、X方向およびY方向に沿ってマトリクス状に複数配設された平面視菱形状の下側透明電極11aのうちのX方向に沿って1列に並ぶ下側透明電極11aが下側導通部11bを介して複数連結(導通)されて構成されている。また、下側電極列11は、一例として、20nm以上30nm以下の厚みに規定されている。この場合、下側電極列11の厚みを20nm以上に規定したことにより、下側電極列11の導電率を電極として機能し得る十分に高い値(抵抗値で言えば、500Ω□以下)にすることができる。また、下側電極列11の厚みを30nm以下に規定したことにより、十分な透過率を確保することができる。
【0026】
下側薄層部12は、下側電極列11を1列ずつ含んで例えば一定の幅で分割された下側帯状領域Aにおける下側電極列11を除く領域(下側電極列11の両側に位置する領域)の全域に亘って形成されている。この場合、各下側帯状領域Aは、図1,2に示すように、隣接する下側帯状領域Aとの間に、下側電極列11に沿って例えばほぼ直線状で一定幅の隙間Bを設けた状態で分割されている。このため、1つの下側帯状領域A内に形成された下側薄層部12は、隣接する他の下側帯状領域A内に形成された下側薄層部12と電気的に絶縁された状態で形成されている。
【0027】
下側透明導電層3(各下側電極列11および各下側薄層部12)は、金属(又は半金属)の酸化物からなる薄膜である。例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化チタン、インジウム−錫複合酸化物、錫−アンチモン複合酸化物、亜鉛−アルミニウム複合酸化物、インジウム−亜鉛複合酸化物などが挙げられる。これらのうち、インジウム−錫複合酸化物が好ましい。下側透明導電層3は、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法などの真空成膜法によって形成することができる。
【0028】
また、各下側電極列11を構成する下側透明電極11aおよび下側導通部11bは、同じ厚みに規定されている。一方、下側薄層部12は、図2,3に示すように、下側電極列11未満の厚み(下側電極列11よりも十分に薄い厚み)に規定されている。この構成により、下側薄層部12の導電率は、下側電極列11の導電率よりも十分に低い値となる。このため、下側透明導電層3では、各下側電極列11が主としてライン状の検出電極(Y方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として機能する。このように下側薄層部12の導電率を下側電極列11の導電率よりも十分に低い値にするためには、下側薄層部12の厚みを20nm未満に規定するのが好ましい。これにより、下側薄層部12の抵抗値を500Ω□を超える値、すなわち下側薄層部12を電極として機能し得ない高い抵抗値に確実に規定することができる。言い換えれば、下側薄層部12の厚みを20nm未満に規定したことにより、下側薄層部12の導電率を、各下側電極列11をライン状の検出電極として確実に機能させ得る低い値に常に規定することができる。さらに、下側薄層部12の厚みを15nm未満に規定するのがより好ましい。これにより、下側薄層部12の抵抗値を1000Ω□を超える値、つまり下側薄層部12を電極として機能し得ない一層高い抵抗値により確実に規定することができる。一方、下側薄層部12の厚みを、1nm以上に規定するのが好ましい。これにより、下側薄層部12を高い抵抗値の(導電率の小さな)導電膜として確実に存在させる(確実に形成する)ことができる。以上のことから、下側薄層部12の厚みについては、1nm以上20nm未満の範囲に規定するのが好ましく、1nm以上15nm未満の範囲に規定するのがより好ましい。
【0029】
透明絶縁層4は、一例として絶縁性を有する合成樹脂材料で形成された透明フィルムで構成されている。この透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンフィルム、ポリカーボネートフィルム、アクリルフィルム等の樹脂フィルムが使用される。このタッチパネル用積層体1では、一例として透明基板2と同種のフィルムが透明絶縁層4に使用されているが、異種のフィルムを使用してもよいのは勿論である。
【0030】
上側透明導電層5は、図1において一点鎖線で示すように、透明絶縁層4の表面に複数列並設(X方向に並設)された上側電極列21と、透明絶縁層4の表面に上側電極列21毎に上側電極列21の両側に形成された上側薄層部22とを備えている。各上側電極列21は、図1に示すように、X方向およびY方向に沿ってマトリクス状に複数配設された平面視菱形状の上側透明電極21aのうちのY方向に沿って1列に並ぶ上側透明電極21aが上側導通部21bを介して複数連結(導通)されて構成されている。また、上側電極列21は、上記した下側電極列11と同様の理由により、一例として、20nm以上30nm以下の厚みに規定されている。
【0031】
また、本例では一例として、各上側透明電極21aは、下側透明電極11aと同じ形状で、かつ同じ面積に形成されている。また、各上側透明電極21aは、4つの下側透明電極11a間に形成される下側透明電極11aの非形成領域内に配設されている(言い換えれば、平面視した状態において、下側透明電極11aと重ならない状態に配設されている)。また、下側透明電極11aを連結する下側導通部11bと、上側透明電極21aを連結する上側導通部21bとは、互いに透明絶縁層4を介して交差(本例では直交)する状態で配設されている。
【0032】
上側薄層部22は、上側電極列21を1列ずつ含んで例えば一定の幅で分割された上側帯状領域Cにおける上側電極列21を除く領域(下側電極列11の両側に位置する領域)の全域に亘って形成されている。この場合、各上側帯状領域Cは、図1,3に示すように、隣接する上側帯状領域Cとの間に、上側電極列21に沿って例えばほぼ直線状で一定幅の隙間Dを設けた状態で分割されている。このため、1つの上側帯状領域C内に形成された上側薄層部22は、隣接する他の上側帯状領域C内に形成された上側薄層部22と電気的に絶縁された状態で形成されている。
【0033】
上側透明導電層5を構成する各上側電極列21および各上側薄層部22は、下側透明導電層3と同じ導電層(つまり同じ材料)で形成されている。
【0034】
また、各上側電極列21を構成する上側透明電極21aおよび上側導通部21bは、同じ厚み(一例として、下側電極列11と同じ厚み)に規定されている。また、上側薄層部22も下側薄層部12と同様にして、図2,3に示すように、上側電極列21未満の厚み(上側電極列21よりも十分に薄い厚み)に規定されている。この構成により、上側薄層部22の導電率は、上側電極列21の導電率よりも十分に低い値となる。このため、上側透明導電層5では、各上側電極列21が主としてライン状の検出電極(X方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として機能する。このように上側薄層部22の導電率を上側電極列21の導電率よりも十分に低い値にし、かつ導電膜として確実に存在させるためには、上記した下側薄層部12と同様にして、上側薄層部22の厚みについては、1nm以上20nm未満の範囲に規定するのが好ましく、1nm以上15nm未満の範囲に規定するのがより好ましい。
【0035】
透明保護膜6は、一例として絶縁性を有する合成樹脂材料で形成された透明フィルムで構成されている。この透明フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂が使用される。なお、透明保護膜6は、絶縁性を有する合成樹脂材料を上側透明導電層5上に塗布して形成した樹脂層で構成することもできる。
【0036】
この積層体1は、下側透明導電層3では、各下側薄層部12間に形成された隙間Bを除く全域に、下側電極列11および下側薄層部12が形成され、また下側透明導電層3の上層に形成された上側透明導電層5では、各上側薄層部22間に形成された隙間Dを除く全域に、上側電極列21および上側薄層部22が形成されている。これにより、この積層体1では、導電層の存在しない部位、すなわち、透明基板2が透明保護膜6を介して視認される部位は、両隙間B,Dの各交差部位E(斜線を付した部位)のみに限定されている。この場合、隙間B,Dの幅は、例えば10μm程度に規定することができることから、この交差部位Eは、極めて狭い面積に形成することができる。
【0037】
したがって、この積層体1では、透明保護膜6側から平面視した状態において、導電層(下側透明導電層3および上側透明導電層5)が積層体1のほぼ全域に亘って存在しているため、下側透明導電層3および上側透明導電層5の屈折率と透明基板2の屈折率の相違に起因して、透明保護膜6側から見たときに、下側電極列11および上側電極列21が全体的に視認されるのが回避されている。
【0038】
次いで、タッチパネル用積層体1の製造方法について図面を参照して説明する。
【0039】
この製造方法では、まず、図4に示すように、透明基板2の一方の面上に、上記した透明導電層31をスパッタ法を用いて形成する(導電層形成工程)。この際に、透明導電層31は、下側電極列11を構成する下側透明電極11aおよび下側導通部11bと同じ厚みに形成する。
【0040】
次いで、図4に示すように、複数列の下側電極列11に対応するマスクパターン32を透明導電層31の表面に配置(形成)する(マスキング工程)。続いて、図5,6に示すように、このマスクパターン32をマスクとして透明導電層31を、透明導電層31における非マスク部位33の厚みが下側薄層部12の厚みと一致するまでエッチングする(エッチング工程)。これにより、図5に示すように、X方向に沿って1列に並ぶ複数の下側透明電極11aが下側導通部11bを介して連結(導通)されて構成された下側電極列11が、Y方向に複数並設された状態で形成される。
【0041】
次いで、各下側電極列11間に形成された非マスク部位33における中央部に対してレーザ光(不図示)を照射しつつ、照射位置を下側電極列11の長さ方向(X方向)に沿って例えば直線状に移動させて非マスク部位33を透明基板2上から除去する。これにより、下側電極列11に沿って例えばほぼ直線状で一定幅の隙間(透明基板2が覗く隙間)Bが各非マスク部位33に形成される。また、透明導電層31が隙間Bによって下側電極列11を1列ずつ含む複数の下側帯状領域Aに分割される(分割工程)。このため、図7に示すように、それぞれの下側帯状領域A内における下側電極列11の両側に、透明導電層31で構成される下側薄層部12が形成される。最後に、下側電極列11上のマスクパターン32を除去する(マスク除去工程)。これにより、図8,9に示すように、透明基板2と、上記の下側電極列11および下側薄層部12を含む下側透明導電層3とで構成される第1積層体が製造される。
【0042】
次いで、図示はしないが、上記した下側透明導電層3の製造工程と同じ工程を実施して、透明絶縁層4として機能する他の透明基板の表面に上側透明導電層5が形成された第2積層体を製造する。具体的には、一例として透明基板2と同じ材質の透明フィルムで構成された他の透明基板の面上に、上記した他の透明導電層をスパッタ法を用いて形成する(導電層形成工程)。この際に、この他の透明導電層は、上側電極列21(上側透明電極21aおよび上側導通部21b)と同じ厚みに形成する。
【0043】
次いで、複数列の上側電極列21に対応するマスクパターンを上記の他の透明導電層の表面に配置し(マスキング工程)、続いて、このマスクパターンをマスクとしてこの他の透明導電層を、この透明導電層における非マスク部位の厚みが上側薄層部22の厚みとなるまでエッチングして、上側電極列21を複数列形成する(エッチング工程)する。
【0044】
次いで、各下側電極列11間に形成された非マスク部位にレーザ光を照射することにより、上記した隙間Bと同様にして、上側電極列21に沿って例えばほぼ直線状で一定幅の隙間D(図1,3参照)を各非マスク部位に形成する。これにより、上記した他の透明導電層が隙間Dによって上側電極列21を1列ずつ含む複数の上側帯状領域Cに分割される(分割工程)。最後に、上側電極列21上のマスクパターンを除去する(マスク除去工程)。これにより、図10に示すように、Y方向に沿って1列に並ぶ複数の上側透明電極21aが上側導通部21bを介して連結(導通)されて構成された上側電極列21と、上側薄層部22とが上側透明導電層5に複数形成される。また、透明絶縁層4となる他の透明基板の表面上に上側透明導電層5が形成された第2積層体が製造される。
【0045】
続いて、上記のようにして製造された第1積層体と第2積層体とを、第1積層体の下側透明導電層3と第2積層体の上記した他の透明基板とを接着剤を介して接合することによって積層する(貼り合わせる)。この第1積層体と第2積層体との積層に際しては、図11に示すように、第1積層体と第2積層体との積層体を平面視した状態において、各上側透明電極21aが、4つの下側透明電極11a間に形成される下側透明電極11aの非形成領域内に配設され、かつ下側透明電極11aを連結する下側導通部11bと上側透明電極21aを連結する上側導通部21bとが互いに上記した他の透明基板を介して交差(本例では直交)するように積層する。
【0046】
最後に、第2積層体の上側透明導電層5上に透明保護膜6を形成する。これにより、上記の他の透明基板を透明絶縁層4とする図1,2,3に示す構成の積層体1が製造される。
【0047】
このように、この積層体1では、下側透明導電層3は、下側電極列11毎に下側電極列11を1列ずつ含んで分割された(隣との間に隙間Bを空けて分割された)下側帯状領域Aにおける下側電極列11を除く全域に下側透明電極11aの厚み未満の厚みで形成された下側薄層部12を複数備え、上側透明導電層5は、下側電極列11と交差(直交)する上側電極列21毎に上側電極列21を1列ずつ含んで分割された(隣との間に隙間Dを空けて分割された)上側帯状領域Cにおける上側電極列21を除く全域に上側透明電極21aの厚み未満の厚みで形成された上側薄層部22を複数備えている。
【0048】
したがって、この積層体1および上記した製造方法によれば、下側透明導電層3において透明導電層が取り除かれた部位は、各下側帯状領域Aを分割する各隙間Bのみとなり、また上側透明導電層5において透明導電層が取り除かれた部位は、各上側帯状領域Cを分割する各隙間Dのみとなる構成のため、透明保護膜6側から透明基板2を視認し得る部位を各隙間B,Dの交差部位Eのみに限定することができる結果、下側透明導電層3および上側透明導電層5が積層体1のほぼ全域に亘って存在する構成にすることができる。したがって、この積層体1によれば、下側透明導電層3および上側透明導電層5の屈折率と透明基板2の屈折率の相違に起因して、透明保護膜6側から見たときに、下側電極列11および上側電極列21が全体的に視認されるのを確実に回避することができる(各電極列11,12に対する視認性を大幅に軽減することができる)。これにより、この積層体1を用いて製造されたタッチパネルでは、LCDなどの画面上に配置された積層体1の各電極列11,12がこの画面上に表示される画像や文字に対する視認性や美観の低下を大幅に軽減できるため、この画像や文字の良好な視認性を確実に確保することができ、画像や文字をそれらが持つ本来の美観を低下させる(損ねる)ことなく視認することができる。
【0049】
また、この積層体1および上記した製造方法によれば、下側帯状領域Aに共に形成されている下側薄層部12の厚みを下側電極列11の厚み未満に規定し、上側帯状領域Cに共に形成されている上側薄層部22の厚みを上側電極列21の厚み未満に規定したことにより、下側電極列11および上側電極列21に対する下側薄層部12および上側薄層部22の導電率を十分に低くすることができる。したがって、この積層体1によれば、下側透明導電層3では、各下側電極列11を主としてライン状の検出電極(Y方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として機能させることができ、上側透明導電層5では、各上側電極列21を主としてライン状の検出電極(X方向に沿った位置を特定するためのセンスライン)として確実に機能させることができる。
【0050】
また、この積層体1によれば、下側薄層部12および上側薄層部22の厚みを1nm以上20nm未満の範囲にそれぞれ規定したことにより、下側薄層部12および上側薄層部22を導電膜として確実に存在させつつ(確実に形成しつつ)、下側薄層部12および上側薄層部22を電極として機能し得ない高い抵抗値に確実に規定することができる。言い換えれば、下側薄層部12および上側薄層部22の導電率を、各下側電極列11および各上側電極列21をライン状の検出電極として確実に機能させ得る低い値に常に規定することができる。
【0051】
なお、上記の積層体1では、下側透明導電層3および上側透明導電層5について、下側電極列11と共に下側薄層部12を形成し、上側電極列21と共に上側薄層部22を形成する構成を採用しているが、図12に示すタッチパネル用積層体1A(以下、積層体1Aともいう)のように、上側透明導電層5についてのみ上側電極列21と共に上側薄層部22を形成し、下側透明導電層3については、下側電極列11だけを形成して、下側薄層部12を形成しない構成を採用することもできる。なお、この積層体1Aは、下側透明導電層3が下側電極列11だけで構成されている点を除き、積層体1と同じ構成を備えている。したがって、積層体1と同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0052】
この積層体1Aは、下側透明導電層3では、下側電極列11のみが形成され、下側透明導電層3の上層に形成された上側透明導電層5では、各上側薄層部22間に形成された隙間Dを除く全域に、上側電極列21および上側薄層部22が形成されている。これにより、この積層体1Aでは、導電層の存在しない部位、すなわち、透明基板2が透明保護膜6を介して視認される部位は、下側電極列11間の隙間と、隙間Dとの各交差部位F(斜線を付した部位)のみに限定されている。この場合、隙間Dの幅は、例えば10μm程度に規定することができることから、この交差部位Fは、極めて狭い面積に形成することができる。
【0053】
したがって、この積層体1Aでも、透明保護膜6側から平面視した状態において、上側透明導電層5が積層体1のほぼ全域に亘って存在しているため、上側透明導電層5の屈折率と透明基板2の屈折率の相違に起因して、透明保護膜6側から見たときに、下側電極列11および上側電極列21が全体的に視認されるのが回避されている。
【0054】
また、この積層体1Aの製造方法は、構成の異なる下側透明導電層3の形成工程において相違するのみで、他の工程は同一である。このため、この下側透明導電層3の形成工程についてのみ説明する。
【0055】
下側透明導電層3の形成に際しては、まず、透明基板2の一方の面上に、透明導電層31をスパッタ法を用いて形成する(導電層形成工程)。この際に、透明導電層31は、下側電極列11を構成する下側透明電極11aおよび下側導通部11bと同じ厚みに形成する。
【0056】
次いで、複数列の下側電極列11に対応するマスクパターン32を透明導電層31の表面に配置(形成)する(マスキング工程)。続いて、このマスクパターン32をマスクとして透明導電層31を、透明導電層31におけるマスク部位のみを残してエッチングする(エッチング工程)。これにより、X方向に沿って1列に並ぶ複数の下側透明電極11aが下側導通部11bを介して連結(導通)されて構成された下側電極列11が、Y方向に複数並設された状態で形成される。
【0057】
したがって、この積層体1Aおよびこの製造方法によれば、下側透明導電層3において透明導電層が取り除かれた部位は、各下側電極列11間の隙間となり、また上側透明導電層5において透明導電層が取り除かれた部位は、各上側帯状領域Cを分割する各隙間Dのみとなる構成のため、透明保護膜6側から透明基板2を視認し得る部位を、下側電極列11間の各隙間と隙間Dとの交差部位Fのみに限定することができる結果、下側透明導電層3および上側透明導電層5が積層体1Aのほぼ全域に亘って存在する構成にすることができる。したがって、この積層体1Aにおいても、積層体1と同様にして、透明保護膜6側から見たときに、下側電極列11および上側電極列21が全体的に視認されるのを確実に回避することができる。これにより、この積層体1Aを用いて製造されたタッチパネルでも、積層体1を用いて製造されたタッチパネルの上記した効果と同様の効果を奏することができる。
【0058】
なお、上記の積層体1,1Aでは、同じ材料で下側透明導電層3および上側透明導電層5を形成して、両者の屈折率を揃える好ましい構成を採用しているが、下側透明導電層3および上側透明導電層5は、例示した上記の種々の材料のうちの相違する任意の材料でそれぞれ形成することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 積層体
2 透明基板
3 下側透明導電層
4 透明絶縁層
5 上側透明導電層
6 透明保護膜
11 下側電極列
11a 下側透明電極
12 下側薄層部
21 上側電極列
21a 上側透明電極
22 上側薄層部
A 下側帯状領域
C 上側帯状領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに連結された複数の下側透明電極で構成される下側電極列が透明基板の一方の表面に複数列並設して形成された下側透明導電層と、当該下側透明導電層の表面に形成された透明絶縁層と、平面視した状態において前記下側透明電極間に形成される隙間内に配置されて互いに連結された複数の上側透明電極で構成される上側電極列が前記透明絶縁層の表面に前記下側電極列と交差する状態で複数列並設して形成された上側透明導電層とを有し、
前記上側透明導電層は、前記上側電極列毎に当該上側電極列を1列ずつ含んで分割された上側帯状領域における当該上側電極列を除く全域に前記上側透明電極の厚み未満の厚みで形成された上側薄層部を備えているタッチパネル用積層体。
【請求項2】
前記下側透明導電層は、前記下側電極列毎に当該下側電極列を1列ずつ含んで分割された下側帯状領域における当該下側電極列を除く全域に前記下側透明電極の厚み未満の厚みで形成された下側薄層部を備えている請求項1記載のタッチパネル用積層体。
【請求項3】
前記上側薄層部の前記厚みは、1μm以上20μm未満の範囲に規定されている請求項1記載のタッチパネル用積層体。
【請求項4】
前記下側薄層部の前記厚みは、1μm以上20μm未満の範囲に規定されている請求項2記載のタッチパネル用積層体。
【請求項5】
請求項1記載のタッチパネル用積層体の製造方法であって、
前記透明基板の一方の表面に透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記下側電極列に対応するマスクパターンを前記透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記透明導電層をマスク部位のみを残してエッチングして前記下側電極列を複数列形成するエッチング工程とを実施して第1積層体を作製し、
他の透明基板の一方の表面に他の透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記上側電極列に対応するマスクパターンを前記他の透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記他の透明導電層を当該他の透明導電層における非マスク部位の厚みが前記上側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記上側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記他の透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該他の透明導電層を前記上側電極列を1列ずつ含む前記上側帯状領域に分割することによって前記上側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第2積層体を作製し、
前記第1積層体と前記第2積層体とを積層するタッチパネル用積層体の製造方法。
【請求項6】
請求項2記載のタッチパネル用積層体の製造方法であって、
前記透明基板の一方の表面に透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記下側電極列に対応するマスクパターンを前記透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記透明導電層を当該透明導電層における非マスク部位の厚みが前記下側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記下側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該透明導電層を前記下側電極列を1列ずつ含む前記下側帯状領域に分割することによって前記下側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第1積層体を作製し、
他の透明基板の一方の表面に他の透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記上側電極列に対応するマスクパターンを前記他の透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記他の透明導電層を当該他の透明導電層における非マスク部位の厚みが前記上側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記上側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記他の透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該他の透明導電層を前記上側電極列を1列ずつ含む前記上側帯状領域に分割することによって前記上側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第2積層体を作製し、
前記第1積層体と前記第2積層体とを積層するタッチパネル用積層体の製造方法。
【請求項1】
互いに連結された複数の下側透明電極で構成される下側電極列が透明基板の一方の表面に複数列並設して形成された下側透明導電層と、当該下側透明導電層の表面に形成された透明絶縁層と、平面視した状態において前記下側透明電極間に形成される隙間内に配置されて互いに連結された複数の上側透明電極で構成される上側電極列が前記透明絶縁層の表面に前記下側電極列と交差する状態で複数列並設して形成された上側透明導電層とを有し、
前記上側透明導電層は、前記上側電極列毎に当該上側電極列を1列ずつ含んで分割された上側帯状領域における当該上側電極列を除く全域に前記上側透明電極の厚み未満の厚みで形成された上側薄層部を備えているタッチパネル用積層体。
【請求項2】
前記下側透明導電層は、前記下側電極列毎に当該下側電極列を1列ずつ含んで分割された下側帯状領域における当該下側電極列を除く全域に前記下側透明電極の厚み未満の厚みで形成された下側薄層部を備えている請求項1記載のタッチパネル用積層体。
【請求項3】
前記上側薄層部の前記厚みは、1μm以上20μm未満の範囲に規定されている請求項1記載のタッチパネル用積層体。
【請求項4】
前記下側薄層部の前記厚みは、1μm以上20μm未満の範囲に規定されている請求項2記載のタッチパネル用積層体。
【請求項5】
請求項1記載のタッチパネル用積層体の製造方法であって、
前記透明基板の一方の表面に透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記下側電極列に対応するマスクパターンを前記透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記透明導電層をマスク部位のみを残してエッチングして前記下側電極列を複数列形成するエッチング工程とを実施して第1積層体を作製し、
他の透明基板の一方の表面に他の透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記上側電極列に対応するマスクパターンを前記他の透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記他の透明導電層を当該他の透明導電層における非マスク部位の厚みが前記上側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記上側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記他の透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該他の透明導電層を前記上側電極列を1列ずつ含む前記上側帯状領域に分割することによって前記上側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第2積層体を作製し、
前記第1積層体と前記第2積層体とを積層するタッチパネル用積層体の製造方法。
【請求項6】
請求項2記載のタッチパネル用積層体の製造方法であって、
前記透明基板の一方の表面に透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記下側電極列に対応するマスクパターンを前記透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記透明導電層を当該透明導電層における非マスク部位の厚みが前記下側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記下側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該透明導電層を前記下側電極列を1列ずつ含む前記下側帯状領域に分割することによって前記下側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第1積層体を作製し、
他の透明基板の一方の表面に他の透明導電層を形成する導電層形成工程と、複数列の前記上側電極列に対応するマスクパターンを前記他の透明導電層の表面に配置するマスキング工程と、当該マスクパターンをマスクとして前記他の透明導電層を当該他の透明導電層における非マスク部位の厚みが前記上側薄層部の厚みとなるまでエッチングして前記上側電極列を複数列形成するエッチング工程と、前記他の透明導電層におけるエッチングされた前記非マスク部位に対してレーザ光を照射して当該他の透明導電層を前記上側電極列を1列ずつ含む前記上側帯状領域に分割することによって前記上側透明導電層を形成する分割工程とを実施して第2積層体を作製し、
前記第1積層体と前記第2積層体とを積層するタッチパネル用積層体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−216146(P2012−216146A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82186(P2011−82186)
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月1日(2011.4.1)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】
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