説明

タッチパネル装置、その制御方法、およびその制御プログラム

【課題】ユーザがタッチパネル上を清掃していることを確実に判定できるタッチパネル装置、その制御方法、およびその制御プログラムの提供。
【解決手段】タッチパネル装置1の入力部3が、パネル部2上への押圧操作があったことを検出すると、検出部4が入力部3による検出結果に基づいてパネル部2上の押圧位置を検出する。制御部6は、検出部4からの押圧位置を示す信号に基づいて、パネル部2上の押圧面積を算出する。制御部6は、算出されたパネル部2上の押圧面積が所定値S以上の場合に、パネル部2を払拭状態として、それ以降のパネル部2への入力を無効とする。パネル部2の払拭状態は、所定時間経過後に解除されて通常状態に復帰し、再びパネル部2への入力が有効となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネル表面に押圧することにより入力を行うタッチパネル装置、その制御方法、およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、表示機能と入力機能とを併せ持ったタッチパネル装置は、銀行等のATM(Automated Teller Machine)、鉄道の券売機の操作画面、車載用ナビゲーション装置のディスプレイといった屋内外の様々なところで使用されている。タッチパネル装置は画面を見ながらその上を押圧することにより入力操作を行うことができ、高齢者等にとっても操作が簡単で非常に便利である。
【0003】
しかし、その一方、タッチパネル装置は入力を目的として画面上をユーザが指等で押圧するため、画面上に指紋跡や埃等が付着し、画面の視認性を維持するためには、定期的に画面上を払拭する清掃作業が必要となる。通常、画面上を清掃する必要性はタッチパネルの使用時に感ずることが多く、この場合タッチパネル装置の電源を入れたまま払拭作業を行うことになる。ところが、タッチパネル装置の電源を入れたまま払拭作業を行うと、画面の払拭作業を装置への入力と誤判定して、装置がユーザの意図しない作動モードへと進行してしまい、もとの状態まで復帰させるのに手間と時間を要した。これを避けるためには、装置の電源を一旦オフする必要があり、これもまたユーザにとって手間のかかるものであった。
【0004】
これに対し、指等をタッチパネル装置の画面上に接触させながら移動させたことが検出された場合、あるいは画面上を押圧する点が所定の数以上であることが検出された場合には、タッチパネルが清掃されていると判断して、画面に触れることによる入力を無効とするタッチパネル装置に関する従来技術があった(例えば、特許文献1参照)。これによれば、画面上に触れる一定の操作をした場合、清掃モードとすることにより、画面の払拭作業をユーザの入力操作とは識別することが可能であり、その誤判定を低減することができる。
【特許文献1】特開2002−318664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、実際に入力操作を行う場合において、接触物の画面に対する移動が検出されることも考えられる。特に、ユーザの操作が乱暴な場合、指等が画面に対して移動しながら入力操作が行われるため、この状態と清掃時の接触物の動作との識別が困難になることもある。また、入力操作を行う場合、誤ってユーザの身体あるいは持ち物が、画面上の互いに離れた位置にある複数の箇所に触れることにより、画面上を押圧する点が所定の数以上となることもあった。従って、上述した従来技術によるタッチパネル装置においても、画面上を清掃することを正確に判定できるものではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザがタッチパネル上を清掃していることを確実に判定できるタッチパネル装置、その制御方法、およびその制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を解決するために、請求項1の発明によれば、押圧面積算出手段による算出結果に基づいて、パネル上の押圧面積が所定値以上あるいは所定値より大きい場合に、パネルを払拭状態として、パネルへの入力を無効とする入力制御手段を備えたことにより、特別な操作をしなくても、パネル上の払拭作業を確実に検出することができ、パネルへの情報の誤入力を防ぐことができる。
【0007】
請求項2の発明によれば、パネル上の押圧面積が所定値以上あるいは所定値より大きい場合に、パネル上に確認表示をし、確認表示を見たユーザによる許可が得られた時に、パネルを払拭状態とすることにより、パネル上の払拭作業をよりいっそう確実に検出することができる。
【0008】
請求項3の発明によれば、警報入力手段が外部からの警報を受信した場合には、パネルの払拭状態への移行を禁止することにより、パネルの払拭作業の有無にかかわらず、緊急性を有する警報を確実に表示してユーザに通知するとともに、ユーザの入力を有効にして警報に対処することができる。
【0009】
請求項4の発明によれば、パネルを払拭状態とした後に、パネル上の押圧された範囲を払拭軌跡として、パネル上に表示することにより、ユーザがパネルの払拭作業の進捗状況を把握することができる。
【0010】
請求項5の発明によれば、パネルを払拭状態とした後に、パネル上の押圧された広さとパネル全体の広さとの関係に基づいて、払拭状態を終了することにより、特別な操作をしなくても、パネルの払拭作業の進行状況に応じて払拭状態を終了させ、パネルへの入力を有効にすることができる。
【0011】
請求項6の発明によれば、パネルを払拭状態とした後に、所定時間の間、パネルが押圧されない場合に、払拭状態を終了することにより払拭作業が中断したような場合、特別な操作をしなくてもパネルへの入力を復帰させることができる。
【0012】
請求項7の発明によれば、押圧面積算出手段による算出結果に基づいて、パネル上の押圧面積が所定値以上あるいは所定値より大きい場合に、パネルを払拭状態として、パネルへの入力を無効とする入力制御手段を備えたことにより、特別な操作をしなくても、パネル上の払拭作業を正確に検出することができ、パネルへの情報の誤入力を防ぐタッチパネル装置の制御方法にすることができる。
【0013】
請求項8の発明によれば、押圧面積算出ステップによる算出結果に基づいて、パネル上の押圧面積が所定値以上あるいは所定値より大きい場合に、パネルを払拭状態として、パネルへの入力を無効とする入力制御ステップを備えたことにより、特別な操作をしなくても、パネル上の払拭作業を正確に検出することができ、パネルへの情報の誤入力を防ぐタッチパネル装置の制御プログラムにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<実施形態1>
図1乃至図4に基づいて、本発明の実施形態1について説明する。タッチパネル装置1はパネル部2に所定画像を表示するとともに、パネル部2の所定位置を押圧することにより入力を可能とするものであり、これに限定されるものではないが、例えば、車載ナビゲーション装置(図示せず)の表示画面に使用されるものである。ここで、本出願において、パネル部2への入力を行う場合、一貫してパネル部2の所定位置を「押圧する」という表現を使用しているが、この表現は言葉から受ける狭い意味を表すことを意図しているものではなく、パネル部2の表面上への接触、当接、押し下げ、加圧、付勢といった、あらゆる入力動作を包含しているものである。
【0015】
タッチパネル装置1のパネル部2(本発明のパネルに該当する)は、パネル部2上への押圧があったことを検出する入力部3(本発明の入力検出手段に該当する)、入力部3による検出結果に基づいてパネル部2上の押圧位置を検出する検出部4(本発明の押圧位置検出手段に該当する)、および後述する制御部6の指示によって、画像を表示する表示部5によって形成されている(図1示)。通常のタッチパネル装置1においては、上述した入力部3、検出部4および表示部5は一体となってパネル部2を形成している。
【0016】
制御部6(本発明の押圧面積算出手段および入力制御手段に該当する)はコンピュータにより形成されており、パネル部2と接続され、表示部5へ画像データを出力して画像表示させる。また制御部6は、検出部4からの押圧位置を示す信号に基づいて、パネル部2上の押圧面積を算出し、パネル部2上の押圧面積が所定値以上の場合に、パネル部2を払拭状態としてパネル部2への入力を無効としている。
【0017】
また、制御部6には警報入力部7、軌跡形成部8およびタイマー部9が接続されている。警報入力部7(本発明の警報入力手段に該当する)が、車両から発信された車両故障が発生した旨の緊急警報を受信すると、制御部6はパネル部2に警報の内容を表示させる。軌跡形成部8は、後述するように、パネル部2が払拭状態となった後に、パネル部2上の押圧された範囲に基づいて払拭軌跡を形成する。タイマー部9は制御部6からの指示に基づいて、各種のタイマー機能を設定する。
【0018】
次に、図2に基づいて、パネル部2の入力検出機能について、光学方式を例にして具体的に説明する。図2に示すように、パネル部2の表示画面上には矩形状の保護板10が配置されており、指等により押圧可能とされている。保護板10の隣り合う2辺の外側には、複数個の発光ダイオード11(図中一列において1個のみに符号を付している)がそれぞれ一列に並べられている。また、保護板10の残りの隣り合う2辺の外側には、複数個のフォトトランジスタ12(図中一列において1個のみに符号を付している)が、それぞれ上述した発光ダイオード11と対向するように一列に並べられている。
【0019】
ここで、各々の発光ダイオード11は図示しないドライバーを介して制御部6に接続されている。また、各フォトトランジスタ12も、送信可能なように制御部6に接続されている。この発光ダイオード11およびフォトトランジスタ12の縦横の配置により、保護板10上には二次元座標が形成されている。以下、縦横の各々の発光ダイオード11からの発光が交わる位置に形成される各ドットを座標と呼ぶ。尚、本実施形態において、発光ダイオード11およびフォトトランジスタ12は、本発明の入力検出手段および押圧位置検出手段の具体例に該当する。
【0020】
パネル部2への押圧操作がない場合、各々の発光ダイオード11から、縦方向あるいは横方向に発せられた赤外線等の発光は、それぞれ対向するフォトトランジスタ12によりすべて受光される。一方、パネル部2の所定箇所への押圧操作があった場合、各発光ダイオード11から押圧された位置に向けて縦方向および横方向に発せられた光は、パネル部2を押圧する指等により遮られて受光側のフォトトランジスタ12に到達しない。受光しなかった横辺および縦辺に配置された2個のフォトトランジスタ12が特定されることにより、制御部6はパネル部2上の該当する座標位置において、押圧操作があったことを検出する(図2示)。
【0021】
次に、図3に基づいて、パネル部2上の押圧面積の算出方法について説明する。図3に示すように、同時に、パネル部2の複数の座標位置(図3において・にて示す)への押圧操作があった場合、これらの座標に向けて、発光ダイオード11から縦方向および横方向に発せられた光は押圧物に遮られ、フォトトランジスタ12によって受光されることはない。すなわち、縦方向に並べられたフォトトランジスタ12の内の3個が受光せず、また、横方向に並べられたフォトトランジスタ12の内の4個が受光しない(図3示)。
【0022】
制御部6は、縦横に並んだフォトトランジスタ12の内、受光しなかった複数個が縦方向あるいは横方向に連続しているものに限って、これらの座標位置が同時に押圧されたものとして、押圧された座標をその最外郭とする矩形状の領域13の面積を算出する。求められた領域13の面積は、制御部6において、押圧面積として予め設定された所定値Sと比較される。
【0023】
次に、図4に示されたフローチャートに基づいて、制御部6によるタッチパネル装置1の制御方法および制御プログラムについて説明する。尚、制御部6による制御プログラムの開始時において、パネル部2は通常状態(払拭状態ではない)に設定されており、パネル部2上への入力は有効とされている。まず、ステップS401において、フォトトランジスタ12からの信号に基づいて、パネル部2上において押圧操作があったか否かが判定される(入力検出手段)。パネル部2上における押圧操作があった場合、上述したように、フォトトランジスタ12の受光状態に基づいて、制御部6はパネル部2上の押圧位置を検出する(ステップS402:押圧位置検出手段、押圧位置検出ステップ)。
【0024】
次に、制御部6は前述した方法により、押圧された座標位置からパネル部2上の押圧面積を算出する(ステップS403:押圧面積算出手段、押圧面積算出ステップ)。次に、ステップS404において、算出されたパネル部2上の押圧面積が、予め設定された所定値S以上であるか否かが判定される。押圧面積が所定値S未満である場合、パネル部2の通常状態が継続される。押圧面積が所定値S以上である場合、タイマー部9によりタイマーが起動された後(ステップS405)、ステップS406において、パネル部2が払拭状態とされ、これ以降、制御部6はパネル部2への入力を無効とする(入力制御手段、入力制御ステップ)。払拭状態中は、払拭状態であることをユーザに通知するため、パネル部2の画面全体を指紋跡や埃の目立つ黒色等にすることが望ましい。パネル部2の払拭状態は、ステップS407においてタイムアップするまで継続され、所定時間が経過してタイムアップすると、パネル部2は通常状態へと復帰して再び入力が有効とされる(ステップS408)。
【0025】
本実施形態によれば、算出したパネル部2上の押圧面積が所定値S以上の場合に、制御部6がパネル部2を払拭状態として、パネル部2への入力を無効とすることにより、特別な操作をしなくても、パネル部2上の払拭作業を正確に検出することができ、パネル部2への情報の誤入力を防ぐことができる。
【0026】
また、算出したパネル部2上の押圧面積が所定値S以上の場合に、制御部6がパネル部2を払拭状態として、パネル部2への入力を無効とすることにより、特別な操作をしなくても、パネル部2上の払拭作業を正確に検出することができ、パネル部2への情報の誤入力を防ぐタッチパネル装置の制御方法にすることができる。
【0027】
また、算出したパネル部2上の押圧面積が所定値S以上の場合に、制御部6がパネル部2を払拭状態として、パネル部2への入力を無効とすることにより、特別な操作をしなくても、パネル部2上の払拭作業を正確に検出することができ、パネル部2への情報の誤入力を防ぐタッチパネル装置の制御プログラムにすることができる。
【0028】
<実施形態2>
次に、図5に示されたフローチャートに基づいて、本発明の実施形態2によるタッチパネル装置1の制御方法および制御プログラムについて説明する。本実施形態の説明においては、図4に示した実施形態1による制御フローチャートと異なる箇所のみについて説明する。ステップS504において、算出されたパネル部2上の押圧面積が所定値S以上である場合、制御部6はパネル部2上に状態確認キー(本発明の確認表示に該当する)を表示する(ステップS505)。これは、実際にユーザがパネル部2上において払拭作業をしているか確認するためのもので、ユーザが払拭作業をしているか否かを選択して入力可能なように形成されている(ステップS506)。
【0029】
この表示を見たユーザが払拭作業中ではない選択をした場合、パネル部2の通常状態が継続される。ユーザが払拭作業中であるという選択をして、払拭状態への移行を許可した場合、上述した実施形態1と同様に、タイマーが起動された後(ステップS507)、パネル部2が払拭状態とされ、これ以降、制御部6はパネル部2への入力を無効とする(ステップS508)。
【0030】
本実施形態によれば、パネル部2上の押圧面積が所定値S以上の場合に、パネル部2上に状態確認キーを表示し、状態確認キーを見たユーザが許可した場合に、パネル部2を払拭状態とすることにより、パネル部2上の払拭作業をよりいっそう確実に検出することができる。
【0031】
<実施形態3>
次に、図6に示されたフローチャートに基づいて、本発明の実施形態3によるタッチパネル装置1の制御方法および制御プログラムについて説明する。本実施形態の説明においては、図4に示した実施形態1による制御フローチャートと異なる箇所のみについて説明する。ステップS604において、算出されたパネル部2上の押圧面積が所定値S以上である場合、制御部6は、車両から発せられた車両故障が発生した旨の緊急警報を警報入力部7が受信しているか否かを判定する(ステップS605)。警報入力部7が緊急警報を受信していない場合、上述した実施形態1と同様に、タイマーが起動された後(ステップS607)、パネル部2が払拭状態とされ、これ以降、制御部6はパネル部2への入力を無効とする(ステップS608)。
一方、ステップS605において、警報入力部7が緊急警報を受信していると判定された場合、制御部6はパネル部2に緊急警報の内容とともに、パネル部2を払拭状態とはしない旨の表示を行い、パネル部2の通常状態が継続される(ステップS606)。
【0032】
本実施形態によれば、警報入力部7が車両からの緊急警報を受信した場合には、パネル部2の払拭状態への移行を禁止することにより、パネル部2の払拭作業の有無にかかわらず、緊急性を有する警報を確実に表示してユーザに通知するとともに、ユーザの入力を有効にして警報に対処することができる。
【0033】
<実施形態4>
次に、図7に示されたフローチャートに基づいて、本発明の実施形態4によるタッチパネル装置1の制御方法および制御プログラムについて説明する。本実施形態の説明においては、図4に示した実施形態1による制御フローチャートと異なる箇所のみについて説明する。ステップS704において、算出されたパネル部2上の押圧面積が所定値S以上である場合、パネル部2は払拭状態とされ、これ以降、制御部6はパネル部2への入力を無効とする(ステップS705)。
【0034】
一方、軌跡形成部8は払拭状態となった後に、パネル部2上が払拭されることにより押圧された範囲に基づいて、その時々の払拭軌跡を算出する(ステップS706)。その後、制御部6は、軌跡形成部8により形成された払拭軌跡をパネル部2に表示する(ステップS707)。パネル部2における払拭軌跡の表示は、黒色表示されたその他の領域と区別して、例えば、白色等により表示されることが望ましい。これにより、ユーザは払拭作業の進行により変化する払拭軌跡を、はっきりと見ることができる。
【0035】
また、軌跡形成部8は形成された払拭軌跡に基づいて、パネル2上の払拭されることにより押圧された領域の広さの、パネル部2の画面全体の広さに対する比(押圧された領域の広さ/パネル部2の画面全体の広さ)を算出して軌跡比率とする。制御部6は、軌跡形成部8により算出された軌跡比率が、所定値p(0<p≦1)以上であるか否かを判定する(ステップS708)。払拭状態は軌跡比率がp以上となるまで継続され、軌跡比率がp以上となると、払拭状態は終了してパネル部2は通常状態に復帰する(ステップS709)。
【0036】
尚、本実施形態においては、必ずしも、パネル2上の押圧された領域の広さの、パネル部2の画面全体の広さに対する比に基づいて払拭状態を終了させる必要はなく、例えば、押圧された領域の広さの残りの領域の広さに対する比、押圧された領域の広さと残りの領域の広さとの差、押圧された領域の広さとパネル部2の画面全体の広さとの差等の、パネル部2における払拭作業の進捗状況を表すものに基づいて払拭状態を終了させればよい。
【0037】
本実施形態によれば、パネル部2を払拭状態とした後に、パネル部2上の押圧された範囲を払拭軌跡として、パネル部2上に表示することにより、ユーザがパネル部2の払拭作業の進捗状況を把握することができる。
また、パネル部2を払拭状態とした後に、パネル部2上の押圧された広さとパネル部2の画面全体の広さとの関係に基づいて、払拭状態を終了することにより、特別な操作をしなくても、パネル部2の払拭作業の進行状況に応じて払拭状態を終了させ、パネル部2への入力を有効にすることができる。
【0038】
<実施形態5>
次に、図8に示されたフローチャートに基づいて、本発明の実施形態5によるタッチパネル装置1の制御方法および制御プログラムについて説明する。本実施形態の説明においては、図7に示した実施形態4による制御フローチャートと異なる箇所のみについて説明する。ステップS805において、パネル部2が払拭状態となると、上述した実施形態4と同様に軌跡形成部8が払拭軌跡を算出した後に(ステップS806)、払拭軌跡をパネル部2に表示する(ステップS807)。
【0039】
一方、タイマー部9は、払拭状態中にパネル部2上が押圧されない時間があれば、これをカウントする。実施形態4において、軌跡比率が所定値p以上である場合に払拭状態を終了させていたのに代えて、本実施形態においては、払拭状態中に所定時間の間、パネル部2が押圧されない場合に払拭状態が終了する。すなわち、ステップS808において、パネル部2上が押圧されない時間が所定時間t以上であるか否かが判定され、所定時間t以上である場合に、払拭状態が終了して通常状態に復帰する(ステップS809)。
【0040】
本実施形態によれば、パネル部2を払拭状態とした後に、所定時間の間、パネル部2が押圧されない場合に払拭状態を終了することにより、払拭作業が中断したような場合、特別な操作をしなくてもパネル部2への入力を復帰させることができる。
【0041】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
パネル部の入力検出の方法は光学方式のみでなく、抵抗膜方式、アナログ容量結合方式、超音波方式等、あらゆる方式が適用可能である。
本発明によるタッチパネル装置、タッチパネル装置の制御方法、およびタッチパネル装置の制御プログラムは、車載ナビゲーション装置以外の、鉄道の券売機、家電、OA機器の操作画面、銀行等のATM等にも使用可能である。
【0042】
実施形態2、実施形態3および実施形態4の内のいずれか2つ、あるいはすべてを組み合わせて実施することも可能である。また、実施形態5を実施形態2および実施形態3のいずれかと、あるいは双方と組み合わせて実施することも可能である。
算出したパネル部2上の押圧面積が所定値Sより大きい場合(所定値Sと等しい場合は除く)に、制御部6がパネル部2を払拭状態としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態1によるタッチパネル装置のブロック図
【図2】入力検出の説明のためのパネル部の拡大図
【図3】押圧面積の算出方法の説明のためのパネル部の拡大図
【図4】実施形態1によるタッチパネル装置の制御フローチャート
【図5】実施形態2によるタッチパネル装置の制御フローチャート
【図6】実施形態3によるタッチパネル装置の制御フローチャート
【図7】実施形態4によるタッチパネル装置の制御フローチャート
【図8】実施形態5によるタッチパネル装置の制御フローチャート
【符号の説明】
【0044】
図面中、1はタッチパネル装置、2はパネル部(パネル)、3は入力部(入力検出手段)、4は検出部(押圧位置検出手段)、6は制御部(押圧面積算出手段、入力制御手段)、7は警報入力部(警報入力手段)、11は発光ダイオード(入力検出手段、押圧位置検出手段)、12はフォトトランジスタ(入力検出手段、押圧位置検出手段)を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル上への押圧があったことを検出する入力検出手段と、
前記入力検出手段による検出結果に基づいて、前記パネル上の押圧位置を検出する押圧位置検出手段と、
前記押圧位置検出手段による検出結果に基づいて、前記パネル上の押圧面積を算出する押圧面積算出手段と、
前記押圧面積算出手段による算出結果に基づいて、前記パネル上の押圧面積が所定値以上あるいは所定値より大きい場合に、前記パネルを払拭状態として、前記パネルへの入力を無効とする入力制御手段とを備えたことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
前記入力制御手段は、前記パネル上の押圧面積が所定値以上あるいは所定値より大きい場合に、前記パネル上に確認表示をし、確認表示を見たユーザによる許可が得られた時に、前記パネルを前記払拭状態とすることを特徴とする請求項1記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
外部からの警報を受信する警報入力手段を備え、前記入力制御手段は、前記警報入力手段が外部からの警報を受信した場合には、前記パネルの前記払拭状態への移行を禁止することを特徴とする請求項1または2記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
前記入力制御手段は、前記パネルを前記払拭状態とした後に、前記パネル上の押圧された範囲を払拭軌跡として、前記パネル上に表示することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のタッチパネル装置。
【請求項5】
前記入力制御手段は、前記パネルを前記払拭状態とした後に、前記パネル上の押圧された広さと前記パネル全体の広さとの関係に基づいて、前記払拭状態を終了することを特徴とする請求項4記載のタッチパネル装置。
【請求項6】
前記入力制御手段は、前記パネルを前記払拭状態とした後に、所定時間の間、前記パネルが押圧されない場合に、前記払拭状態を終了することを特徴とする請求項4記載のタッチパネル装置。
【請求項7】
パネル上への押圧があったことを検出する入力検出手段と、
前記入力検出手段による検出結果に基づいて、前記パネル上の押圧位置を検出する押圧位置検出手段と、
前記押圧位置検出手段による検出結果に基づいて、前記パネル上の押圧面積を算出する押圧面積算出手段と、
前記押圧面積算出手段による算出結果に基づいて、前記パネル上の押圧面積が所定値以上あるいは所定値より大きい場合に、前記パネルを払拭状態として、前記パネルへの入力を無効とする入力制御手段とを備えたことを特徴とするタッチパネル装置の制御方法。
【請求項8】
パネルと接続されたコンピュータにより実行されるタッチパネル装置の制御プログラムであって、
前記パネル上の押圧位置を検出する押圧位置検出ステップと、
前記押圧位置検出ステップによる検出結果に基づいて、前記パネル上の押圧面積を算出する押圧面積算出ステップと、
前記押圧面積算出ステップによる算出結果に基づいて、前記パネル上の押圧面積が所定値以上あるいは所定値より大きい場合に、前記パネルを払拭状態として、前記パネルへの入力を無効とする入力制御ステップとを備えたことを特徴とするタッチパネル装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−282206(P2008−282206A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−125664(P2007−125664)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】