説明

タッチパネル装置、タッチ領域検出方法およびタッチ領域検出プログラム

【課題】タッチ領域の二重検出による誤動作を防止すること。
【解決手段】タッチパネル102(表示部101)の表面に物体としてタッチペン120や手130がタッチした場合、タッチ領域を検出するステップと、タッチペン120および手130に対応するタッチ領域が検出された場合、両タッチ領域の面積を比較し、小面積のタッチ領域(タッチペン120に対応)を有効とし、大面積のタッチ領域(手130に対応)を無効とするステップと、有効と判定されたタッチ領域(タッチペン120に対応)に基づいて、表示部101に描画するステップとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置、タッチ領域検出方法およびタッチ領域検出プログラムに関するものであり、特に、タッチ領域の二重検出による誤動作を防止することができるタッチパネル装置、タッチ領域検出方法およびタッチ領域検出プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタッチパネル装置として、タッチペンや指などが触れた位置を座標上で検出するものが提案されている(特許文献1〜3参照)。タッチパネル装置は、液晶ディスプレイ(以下、LCDという)や、プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)、ブラウン管(以下、CRTという)等の表面にタッチパネルが設けられており、タッチパネル上でタッチペンなどが触れた場合の位置を座標上で割り出す方式が採用されている。
【0003】
具体的には、図11に示したタッチパネル装置10のタッチパネル11には、一方の縦辺11aと横辺11bに複数の発光素子(図示略)がそれぞれ配列され、これら発光素子と対向する他方の縦辺11cと横辺11dに複数の受光素子(図示略)がそれぞれ配列されている。このタッチパネルは、LCDやPDP、CRT(図示略)等の表面に設けられている。
【0004】
上記構成において、タッチペン20によってタッチパネル11上の任意のタッチ領域a1がタッチされると、このタッチ領域a1において、縦辺11aおよび横辺11cの発光素子から照射される光が遮断されてそれぞれ対向する縦辺11cおよび横辺11dの受光素子に受光されなくなるので、受光していない受光素子の配列位置からタッチ領域a1(xy座標)を検出している。
【0005】
【特許文献1】特開2002−149348号公報
【特許文献2】特開2001−312370号公報
【特許文献3】特開2001−306241号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、従来のタッチパネル装置10においては、タッチペン20でタッチパネル11をタッチする際に手30もタッチパネル11に触れるという「お手つき」の場合がある。この場合には、図11に示したように、本来のタッチ領域a1の他に、手30によるタッチ領域a2も検出されるという二重検出の状態となり、誤動作が発生するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タッチ領域の二重検出による誤動作を防止することができるタッチパネル装置、タッチ領域検出方法およびタッチ領域検出プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出手段と、前記タッチ領域検出手段で2つのタッチ領域が検出された場合、両タッチ領域の面積を比較し、小面積のタッチ領域を有効とし、大面積のタッチ領域を無効とする判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出手段と、両タッチ領域の面積の時間的な変化率を比較し、変化率が大きいタッチ領域を有効とし、変化率が小さいタッチ領域を無効とする判定手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項5に記載の発明は、タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出工程と、前記タッチ領域検出工程で2つのタッチ領域が検出された場合、両タッチ領域の面積を比較し、小面積のタッチ領域を有効とし、大面積のタッチ領域を無効とする判定工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、請求項6に記載の発明は、タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出工程と、両タッチ領域の面積の時間的な変化率を比較し、変化率が大きいタッチ領域を有効とし、変化率が小さいタッチ領域を無効とする判定工程と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項7に記載の発明は、コンピュータに、タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出工程と、前記タッチ領域検出工程で2つのタッチ領域が検出された場合、両タッチ領域の面積を比較し、小面積のタッチ領域を有効とし、大面積のタッチ領域を無効とする判定工程と、を実行させるためのタッチ領域検出プログラムである。
【0013】
また、請求項9に記載の発明は、コンピュータに、タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出工程と、両タッチ領域の面積の時間的な変化率を比較し、変化率が大きいタッチ領域を有効とし、変化率が小さいタッチ領域を無効とする判定工程と、を実行させるためのタッチ領域検出プログラムである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明にかかるタッチパネル装置、タッチ領域検出方法およびタッチ領域検出プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例】
【0015】
図1は、本発明にかかる一実施例によるタッチパネル装置100の構成を示す図である。同図において、表示部101は、LCDやPDP、CRT等であり、各種情報を表示する。タッチパネル102は、表示部101の表面に設けられており、手130に把持されたタッチペン120が触れたタッチ領域(例えば、xy座標で表現)を検出するためのパネルである。
【0016】
垂直発光部103および垂直受光部105は、表示部101の両縦辺に沿って対向配置されており、光(赤外線等も含む)を発光および受光する機能を備えている。言い換えれば、垂直発光部103および垂直受光部105は、タッチペン120や手130等により光が遮光された場合にこれを検出する。垂直発光部103は、垂直方向に所定間隔をおいて配列されたm個の発光素子1041〜104mをそれぞれ駆動し、光を発生させる。
【0017】
垂直受光部105は、垂直方向に所定間隔をおいて配列され、かつ発光素子1041〜104mにそれぞれ対応するm個の受光素子1061〜106mを駆動し、これらの受光素子1061〜106mに発光素子1041〜104mからの光を受光させる。
【0018】
水平発光部107および水平受光部109は、表示部101の両横辺に沿って対向配置されており、光(赤外線等も含む)を発光および受光する機能を備えている。水平発光部107は、水平方向に所定間隔をおいて配列されたn個の発光素子1081〜108nをそれぞれ駆動し、光を発生させる。
【0019】
水平受光部109は、水平方向に所定間隔をおいて配列され、かつ発光素子1081〜108nにそれぞれ対応するn個の受光素子1101〜110nを駆動し、これらの受光素子1101〜110nに発光素子1081〜108nからの光を受光させる。
【0020】
垂直スキャン部111は、制御部113の制御に基づいて、垂直発光部103および垂直受光部105を垂直方向にスキャンする。水平スキャン部112は、制御部113の制御に基づいて、水平発光部107および水平受光部109を水平方向にスキャンする。制御部113は、各部を制御する。この制御部113の動作の詳細については、後述する。記憶部114は、ユーザプロファイル情報1151〜115s等を記憶する。
【0021】
これらのユーザプロファイル情報1151〜115sは、s人のユーザにそれぞれ対応しており、各ユーザがタッチペン120を用いて「お手つき」をする場合の癖や手の構造に基づくユーザ固有の情報である。これらのユーザプロファイル情報1151〜115sの詳細については、後述する。
【0022】
つぎに、一実施例の動作について、図2〜図9を参照しつつ説明する。はじめに、記憶部114にユーザプロファイル情報を登録する動作について、図2〜図4を参照しつつ説明する。ユーザが操作部116を操作して登録指示を出すと、制御部113は、図2に示したユーザプロファイル情報登録画面140を表示部101(図1参照)に表示させる。
【0023】
このユーザプロファイル情報登録画面140は、ユーザに故意に「お手つき」をさせ、ユーザプロファイル情報を登録するための画面である。このユーザプロファイル情報登録画面140には、ユーザ名入力欄141、十字印142および登録ボタン143が表示されている。
【0024】
ユーザ名入力欄141は、ユーザ名を入力するための欄である。十字印142は、タッチペン120(図1参照)の先端部をタッチさせるための基準位置を表す。登録ボタン143は、ユーザプロファイル情報を登録するためのボタンである。
【0025】
そして、ユーザ(右利き)は、操作部116を操作して、ユーザ名入力欄141にユーザ名として「日本 太郎」と入力した後、図3に示したように、手130(右手)にタッチペン120を把持した状態で、タッチペン120の先端部を十字印142にタッチさせるとともに、手130をユーザプロファイル情報登録画面140(タッチパネル102)に故意にタッチする。
【0026】
これにより、タッチペン120の先端部および手130の一部により、遮光され、水平スキャン部112および垂直スキャン部111でタッチ領域at1およびタッチ領域at2が検出され、検出結果が制御部113へ出力される。タッチ領域at1は、タッチペン120の先端部により遮光された領域に対応している。
【0027】
一方、タッチ領域at2は、タッチ領域at1の右方に位置しており、手130の一部により遮光された領域に対応している。なお、タッチ領域at1およびタッチ領域at2の遮光面積は、わかりやすくするために、実際の遮光面積よりも拡大して図示されている。そして、ユーザは、タッチペン120を把持した手130をユーザプロファイル情報登録画面140から離間させる。
【0028】
制御部113は、タッチ領域at1およびタッチ領域at2のそれぞれの最左端のx座標を認識した後、ユーザ名入力欄141に入力されたユーザ名(「日本 太郎」)と、タッチ領域at1の面積と、タッチ領域at1の最左端のx座標と、タッチ領域at2の面積と、タッチ領域at2の最左端のx座標とをユーザプロファイル情報1151として生成する。
【0029】
そして、ユーザにより登録ボタン143が押下されると、制御部113は、ユーザプロファイル情報1151を記憶部114に登録する。以後、他のユーザについてもユーザプロファイル情報の登録が行われる。
【0030】
つぎに、図5〜図9を参照して、タッチペン120を用いて描画する場合の動作について説明する。図5は、タッチペン120を用いて文字等を書く場合の動作を説明するフローチャートである。以下では、ユーザとして、前述した日本太郎がタッチペン120を用いて文字等を書く場合について説明する。なお、日本太郎は、タッチパネル装置100の使用に際して、自身のユーザ名を操作部116から入力し、制御部113に認識されているものとする。
【0031】
図5に示したステップSA1では、制御部113は、垂直スキャン部111および水平スキャン部112の検出結果に基づいて、タッチパネル102(表示部101)でタッチ領域が検出されたか否かを判断し、この場合、判断結果を「No」として、同判断を繰り返す。
【0032】
そして、日本太郎は、図6に示したように、手130にタッチペン120を把持した状態でタッチペン120の先端部を表示部101(タッチパネル102)にタッチさせる。ここで、タッチ領域ar1は、タッチペン120の先端部に対応する領域であり、遮光検出の対象領域である。なお、この場合、手130は表示部101(タッチパネル102)にタッチしていないものとする。
【0033】
これにより、制御部113は、ステップSA1の判断結果を「Yes」とする。ステップSA2では、制御部113は、所定時間内におけるタッチ領域の検出数が1であるか否かを判断し、この場合、判断結果を「Yes」とする。
【0034】
ステップSA12では、制御部113は、ステップSA1で検出され所定時間経過後のタッチ領域ar1の面積変化率が予め設定された閾値以下であるか否か、言い換えれば、タッチ領域ar1の面積が安定しているか否かを判断し、この場合、判断結果を「Yes」とする。なお、ステップSA12の判断結果が「No」である場合、ステップSA14では、制御部113は、当該タッチ領域ar1を無効として、ステップSA1の判断を行う。
【0035】
ステップSA13では、制御部113は、タッチ領域ar1の面積が予め設定された閾値以下であるか否か、言い換えれば、タッチ領域ar1の面積がタッチペン120の先端部の面積に対応しているか否かを判断し、この場合、判断結果を「Yes」とする。なお、ステップSA13の判断結果が「No」である場合、制御部113は、タッチ領域ar1が手130のタッチ(お手つき)に対応するものとして、ステップSA14でタッチ領域ar1を無効とする。
【0036】
ステップSA11では、制御部113は、タッチ領域ar1をxy座標系の描画座標に反映させ、表示部101にタッチ領域ar1を描画させた後、ステップSA1の判断を行う。
【0037】
つぎに、お手つきの場合について説明する。この場合、日本太郎は、図6に示したように、手130にタッチペン120を把持した状態でタッチペン120の先端部を表示部101(タッチパネル102)にタッチさせる際に、無意識に手130も表示部101(タッチパネル102)にタッチさせる。
【0038】
ここで、タッチ領域ar1は、前述したように、タッチペン120の先端部に対応する領域であり、遮光検出の対象領域である。一方、タッチ領域ar2は、手130の一部に対応する領域であり、遮光検出の対象領域である。すなわち、この場合には、タッチ領域ar1およびタッチ領域ar2という2つのタッチ領域が検出される。
【0039】
これにより、制御部113は、ステップSA1の判断結果を「Yes」とする。ステップSA2では、制御部113は、所定時間内におけるタッチ領域の検出数が1であるか否かを判断し、この場合、判断結果を「No」とする。
【0040】
ステップSA3では、制御部113は、タッチ領域の検出数が3以上であるか否かを判断し、この場合、判断結果を「No」とする。ステップSA4では、制御部113は、タッチ領域ar1の最左端の点(例えば、最左下の点)と、タッチ領域ar2の最左端の点(例えば、最左下の点)との距離が、予め設定された閾値以下であるか否かを判断し、この場合、判断結果を「Yes」とする。
【0041】
ステップSA5では、制御部113は、タッチ領域ar1の面積の変化率と、タッチ領域ar2の面積の変化率とを比較する。具体的には、図7に示したタッチペン120に対応するタッチ領域ar1の面積の変化率は、図8に示した時間−面積特性のグラフで表され、非常に急峻(大きい)である。これに対して、図7に示した手130に対応するタッチ領域ar2の面積の変化率は、図9に示した時間−面積特性のグラフで表され、図8のグラフに比して緩やか(小さい)である。
【0042】
このように、タッチ領域の面積の変化率が閾値以上である場合には、当該タッチ領域がタッチペンに対応すると判定される。一方、該面積の変化率が閾値未満である場合、当該タッチ領域が手に対応すると判定される。これらの判定基準は、後述するステップSA7で用いられる。
【0043】
ステップSA6では、制御部113は、タッチ領域ar1の面積の変化率と、タッチ領域ar2の面積の変化率との差分が予め設定された閾値以上であるか否かを判断し、この場合、判断結果を「Yes」とする。なお、ステップSA6の判断結果が「No」である場合、ステップSA14では、制御部113は、タッチ領域ar1およびタッチ領域ar2を無効とする。
【0044】
ステップSA7では、上述した判定基準に基づいて、タッチ領域ar1およびタッチ領域ar2の種別を判定する。この場合、タッチ領域ar1の面積の変化率が閾値以上であるとし、制御部113は、タッチ領域ar1の種別をタッチペン領域と判定する。また、制御部113は、タッチ領域ar2の面積の変化率が閾値未満であるとし、タッチ領域ar2の種別を手領域と判定する。
【0045】
ステップSA8では、制御部113は、日本太郎に対応するユーザプロファイル情報1151を記憶部114から読み出す。ステップSA9では、制御部113は、実際に検出されたタッチ領域ar1およびタッチ領域ar2と、ユーザプロファイル情報1151に対応するタッチ領域at1およびタッチ領域at2(図4参照)とを照合する。
【0046】
ステップSA10では、制御部113は、ステップSA9での照合結果がOKであるか否かを判断する。ここで、照合結果がOKとは、例えば、タッチ領域ar1およびタッチ領域ar2と、タッチ領域at1およびタッチ領域at2(図4参照)との相関度が閾値以上である状態を指す。ステップSA10の判断結果が「Yes」である場合、ステップSA11では、制御部113は、小面積かつ変化率が大きいタッチ領域ar1を有効として、描画座標に反映させる。なお、ステップSA10の判断結果が「No」である場合、ステップSA14では、制御部113は、タッチ領域ar1およびタッチ領域ar2を無効とする。
【0047】
ステップSA11では、制御部113は、タッチ領域ar1(タッチペン領域)を有効とし、タッチ領域ar2(手領域)を無効として、タッチ領域ar1をxy座標系の描画座標に反映させ、表示部101にタッチ領域ar1を描画させた後、ステップSA1の判断を行う。すなわち、タッチ領域の面積(以下、第1のパラメータという)および変化率(以下、第2のパラメータという)、さらにユーザプロファイル情報(タッチ領域at1およびタッチ領域at2)との相関(以下、第3のパラメータという)が閾値以上である場合に、タッチ領域ar1を有効とし、タッチ領域ar2を無効としているのである。
【0048】
なお、一実施例においては、第1〜第3のパラメータの全てを用いて、タッチ領域の有効、無効を判定したが、第1〜第3のパラメータのうちいずれか一つのパラメータを用いてタッチ領域の有効、無効を判定してもよい。
【0049】
また、図6に示したように、一方の手も表示部101(タッチパネル102)にタッチし、タッチ領域ar1およびタッチ領域ar2に加えて、タッチ領域ar3(一方の手に対応)も検出され、検出数が3となった場合には、制御部113は、ステップSA3の判断結果を「Yes」とする。ステップSA14では、制御部113は、タッチ領域ar1〜ar3を無効とする。
【0050】
また、ステップSA4の判断結果が「No」である場合、ステップSA15では、制御部113は、両タッチ領域の面積比が予め設定された閾値以上であるか否かを判断する。ステップSA15の判断結果が「No」である場合、ステップSA14では、制御部113は、両タッチ領域を無効とする。
【0051】
一方、ステップSA15の判断結果が「Yes」である場合、ステップSA16では、制御部113は、両タッチ領域のうち、小面積のタッチ領域を有効とし、大面積のタッチ領域を無効とする。ステップSA11では、有効とされた小面積のタッチ領域をxy座標系の描画座標に反映させ、表示部101に当該タッチ領域を描画させる。
【0052】
以上説明したように、一実施例によれば、タッチパネル102(表示部101)の表面に物体(タッチペン120や手130)がタッチして、2つのタッチ領域ar1およびタッチ領域ar2が検出された場合、両タッチ領域(タッチ領域ar1およびタッチ領域ar2)の面積を比較し、小面積のタッチ領域を有効とし、大面積のタッチ領域を無効とする判定をすることとしたので、タッチ領域の二重検出による誤動作を防止することができる。
【0053】
また、一実施例によれば、上記両タッチ領域の面積を比較するとともに、両タッチ領域の面積の時間的な変化率を比較し、小面積かつ変化率が大きいタッチ領域を有効とし、大面積かつ変化率が小さいタッチ領域を無効とすることとしたので、タッチ領域の二重検出による誤動作を防止することができる。
【0054】
また、一実施例によれば、上記両タッチ領域が検出された場合、プロファイル情報1151等から得られる2つのタッチ領域(例えば、タッチ領域at1、タッチ領域at2:図3参照)と、検出された両タッチ領域との相関に基づいて、有効、無効を判定することとしたので、ユーザの癖等に基づく、タッチ領域の二重検出による誤動作を防止することができる。
【0055】
以上本発明にかかる一実施例について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成例はこの一実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。
【0056】
例えば、前述した一実施例においては、タッチパネル装置100の機能を実現するためのプログラムを図10に示したコンピュータ読み取り可能な記録媒体300に記録して、この記録媒体300に記録されたプログラムを同図に示したコンピュータ200に読み込ませ、実行することにより各機能を実現してもよい。
【0057】
同図に示したコンピュータ200は、上記プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)210と、キーボード、マウス等の入力装置220と、各種データを記憶するROM(Read Only Memory)230と、演算パラメータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)240と、記録媒体300からプログラムを読み取る読取装置250と、ディスプレイ、プリンタ等の出力装置260とから構成されている。
【0058】
CPU210は、読取装置250を経由して記録媒体300に記録されているプログラムを読み込んだ後、プログラムを実行することにより、前述した機能を実現する。なお、記録媒体300としては、光ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明にかかる一実施例によるタッチパネル装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】同一実施例におけるユーザプロファイル情報登録画面140を示す図である。
【図3】同一実施例におけるユーザプロファイル情報の登録動作を説明する図である。
【図4】同一実施例におけるユーザプロファイル情報の登録動作を説明する図である。
【図5】タッチペン120を用いて描画する場合の動作を説明するフローチャートである。
【図6】タッチペン120を用いて描画する場合の動作を説明する図である。
【図7】図6に示したA−A線視断面図である。
【図8】図7に示したタッチ領域ar1の時間的変化を表すグラフである。
【図9】図7に示したタッチ領域ar2の時間的変化を表すグラフである。
【図10】同一実施例の変形例の構成を示すブロック図である。
【図11】従来のタッチパネル装置10の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
100 タッチパネル装置
101 表示部
102 タッチパネル
103 垂直発光部
1041 発光素子
105 垂直受光部
1061 受光素子
107 水平発光部
1081 発光素子
109 水平受光部
1101 受光素子
111 垂直スキャン部
112 水平スキャン部
113 制御部
114 記憶部
116 操作部
120 タッチペン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出手段と、
前記タッチ領域検出手段で2つのタッチ領域が検出された場合、両タッチ領域の面積を比較し、小面積のタッチ領域を有効とし、大面積のタッチ領域を無効とする判定手段と、
を備えたことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記タッチ領域検出手段で2つのタッチ領域が検出された場合、両タッチ領域の面積を比較するとともに、両タッチ領域の面積の時間的な変化率を比較し、小面積かつ変化率が大きいタッチ領域を有効とし、大面積かつ変化率が小さいタッチ領域を無効とすることを特徴とする請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出手段と、
両タッチ領域の面積の時間的な変化率を比較し、変化率が大きいタッチ領域を有効とし、変化率が小さいタッチ領域を無効とする判定手段と、
を備えたことを特徴とするタッチパネル装置。
【請求項4】
ユーザに事前に使用させることにより得られる2つのタッチ領域に関する情報をユーザプロファイル情報として登録する登録手段を備え、
前記判定手段は、前記タッチ領域検出手段で2つのタッチ領域が検出された場合、前記ユーザプロファイル情報から得られる2つのタッチ領域と、検出された前記2つのタッチ領域との相関に基づいて、前記有効、前記無効を判定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のタッチパネル装置。
【請求項5】
タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出工程と、
前記タッチ領域検出工程で2つのタッチ領域が検出された場合、両タッチ領域の面積を比較し、小面積のタッチ領域を有効とし、大面積のタッチ領域を無効とする判定工程と、
を含むことを特徴とするタッチ領域検出方法。
【請求項6】
タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出工程と、
両タッチ領域の面積の時間的な変化率を比較し、変化率が大きいタッチ領域を有効とし、変化率が小さいタッチ領域を無効とする判定工程と、
を含むことを特徴とするタッチ領域検出方法。
【請求項7】
コンピュータに、
タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出工程と、
前記タッチ領域検出工程で2つのタッチ領域が検出された場合、両タッチ領域の面積を比較し、小面積のタッチ領域を有効とし、大面積のタッチ領域を無効とする判定工程と、
を実行させるためのタッチ領域検出プログラム。
【請求項8】
前記判定工程では、前記タッチ領域検出工程で2つのタッチ領域が検出された場合、両タッチ領域の面積を比較するとともに、両タッチ領域の面積の時間的な変化率を比較し、小面積かつ変化率が大きいタッチ領域を有効とし、大面積かつ変化率が小さいタッチ領域を無効とすることを特徴とする請求項7に記載のタッチ領域検出プログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
タッチパネル面に物体がタッチした場合、タッチ領域を検出するタッチ領域検出工程と、
両タッチ領域の面積の時間的な変化率を比較し、変化率が大きいタッチ領域を有効とし、変化率が小さいタッチ領域を無効とする判定工程と、
を実行させるためのタッチ領域検出プログラム。
【請求項10】
前記コンピュータに、ユーザに事前に使用させることにより得られる2つのタッチ領域に関する情報をユーザプロファイル情報として登録する登録工程を実行させ、
前記判定工程では、前記タッチ領域検出工程で2つのタッチ領域が検出された場合、前記ユーザプロファイル情報から得られる2つのタッチ領域と、検出された前記2つのタッチ領域との相関に基づいて、前記有効、前記無効を判定することを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載のタッチ領域検出プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−39686(P2006−39686A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−214862(P2004−214862)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】