説明

タッチパネル装置及びその制御方法

【課題】表示パネルの温度分布に起因するムラを補正することが可能なタッチパネル装置及びその制御方法を提供する。
【解決手段】表示パネルと、前記表示パネルの第1軸方向に連続的に延びる互いに平行な複数の透明導電膜が前記第1軸方向と交差する第2軸方向に配列されて形成される第1のシートと、複数の透明導電膜に対向する透明導電膜が設けられた第2のシートと、がこの順に重ね合わされ、第2のシートの側からタッチ操作が可能な抵抗膜方式のタッチパネル装置であって、第1のシートの各透明導電膜の抵抗値を測定し、測定された抵抗値と、第1のシートの各透明導電膜の温度と抵抗値との関係と、に基づき推定される第1のシートの各透明導電膜の温度に基づき、当該各透明導電膜に対応する表示パネルの表示領域の温度を推定する推定手段と、表示パネルの表示領域毎の推定された温度に基づき、表示パネルの表示ムラを補正する補正手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネル装置及びその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、薄型の画像表示装置ではデザイン性の観点から、薄さだけではなく画面周囲の幅を狭くする狭額縁化が望まれており、画面周囲に操作スイッチ類を配置することが困難になってきている。また、液晶パネルなどの表示パネルは、表示輝度や表示色が温度により変化する特性がある。
【0003】
これに対して従来、液晶パネル表面を透明導電層を有するタッチスクリーンで覆い、導電層の電気的特性(抵抗)の温度依存性を利用して、導電層の抵抗値から液晶パネル表示の平均的な温度を推定する装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−520636号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
表示パネルの温度は、バックライトの発光輝度、画像表示装置内の発熱部品の配置、排熱口の位置、形状等に依存し、温度が高い部分と低い部分が存在する。すなわち表示パネルには温度分布が生じる。この表示パネルの温度分布に起因して、表示パネルの領域毎に輝度や色度がばらつき、輝度や色度にムラが生じる場合がある。特許文献1の装置においては、液晶パネル表面の平均的な温度の検出が可能だが、液晶パネルの温度分布の検出はできないため、領域毎に輝度や色度のムラを補正することはできなかった。
【0006】
そこで、本発明は、表示パネルの温度分布に起因するムラを補正することが可能なタッチパネル装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表示パネルと、
前記表示パネルの第1軸方向に連続的に延びる互いに平行な複数の透明導電膜が前記第1軸方向と交差する第2軸方向に配列されて形成される第1のシートと、
前記複数の透明導電膜に対向する透明導電膜が設けられた第2のシートと、
がこの順に重ね合わされ、第2のシートの側からタッチ操作が可能な抵抗膜方式のタッチパネル装置であって、
前記第1のシートの各透明導電膜の抵抗値を測定する測定手段と、
前記第1のシートの各透明導電膜の温度と抵抗値との関係を記憶する記憶手段と、
前記測定手段により測定される前記抵抗値と、前記記憶手段に記憶される前記関係と、から推定される前記第1のシートの各透明導電膜の温度に基づき、当該各透明導電膜に対応する前記表示パネルの表示領域の温度を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定される前記表示パネルの表示領域毎の温度に基づき、前記表示パネルの表示ムラを補正する補正手段と、
を備えるタッチパネル装置である。
【0008】
本発明は、表示パネルと、
前記表示パネルの第1軸方向に連続的に延びる互いに平行な複数の透明導電膜が前記第
1軸方向と交差する第2軸方向に配列されて形成される第1のシートと、
前記複数の透明導電膜に対向する透明導電膜が設けられた第2のシートと、
がこの順に重ね合わされ、第2のシートの側からタッチ操作が可能な抵抗膜方式のタッチパネル装置の制御方法であって、
前記第1のシートの各透明導電膜の抵抗値を測定する測定工程と、
前記第1のシートの各透明導電膜の温度と抵抗値との関係を読み込む工程と、
前記測定工程により測定される前記抵抗値と、前記読み込んだ関係と、から推定される前記第1のシートの各透明導電膜の温度に基づき、当該各透明導電膜に対応する前記表示パネルの表示領域の温度を推定する推定工程と、
前記推定工程により推定される前記表示パネルの表示領域毎の温度に基づき、前記表示パネルの表示ムラを補正する補正工程と、
を有するタッチパネル装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明のタッチパネル装置及びその制御方法によれば、表示パネルの温度分布に起因するムラを補正することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1のタッチパネルの構成をあらわすブロック図
【図2】抵抗値温度特性の例
【図3】タッチパネルを透過して表示しているユーザーインターフェイス画面
【図4】タッチパネルが検出する温度分布を示す図
【図5】タッチパネルと接続される画像表示装置の構成を示す図
【図6】実施例2のタッチパネルの構成をあらわすブロック図
【図7】実施例2のタッチパネルと接続される画像表示装置の構成を示す図
【図8】実施例2の制御動作を示すタイミング図
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1のタッチパネル8の構成を模式的に表す図であり、図2は温度と抵抗値との関係を示す抵抗値温度特性の例である。
【0012】
図1において、上面シート1と底面シート2は、図示しないスペーサにより微小な間隔で平行に重ね合わされて配置されている。上面シート1と底面シート2と後述する液晶パネルはこの順に重ね合わされ、上面シート1の側からタッチ操作が可能な抵抗膜方式のタッチパネル装置を構成する。ここでは液晶パネルの横方向(X方向)を第1軸方向とし、縦方向(Y方向)を第2軸方向とする。従って、液晶パネルの第1軸方向と第2軸方向とは直角に交差する。底面シート2は、液晶パネルの横方向に連続的に延びる互いに平行な複数の透明導電膜が液晶パネルの縦方向に配列されることにより複数の抵抗列が形成された第1のシートである。底面シート2の各透明導電膜はライン状又は細長い矩形状であり、その長手方向は液晶パネルの画面の横方向又は縦方向のいずれかに対し平行である。上面シート1は、底面シート2の複数の透明導電膜に対向する透明導電膜7が形成された第2のシートである。本実施例では、底面シート2に形成される抵抗列を第1〜第6の抵抗列(21〜26)とする。
【0013】
底面シート2の複数の抵抗列(21〜26)の各々は、例えば図2に示すような抵抗値と温度との関係である抵抗値温度特性を有し、一方の端部がそれぞれ共通電極27を介して、定電圧源3のマイナス側端子に接続されている。抵抗列(21〜26)の共通電極27に接続されていない方の端部は、それぞれ独立した第1〜第6の端子(31〜36)を介して、第1〜第6の電流検出部(41〜46)に接続されている。
【0014】
各電流検出部(41〜46)の内部抵抗値は、各抵抗列(21〜26)の抵抗値と比較して無視できる程度に小さいとする。これにより、各電流検出部(41〜46)の端子間の電圧差はほぼゼロとなり、各抵抗列(21〜26)には定電圧源3の出力電圧が印加される。
【0015】
以上より、各抵抗列(21〜26)の電位は、共通電極27に近い部分はゼロ、第1〜第6の端子(31〜36)に近い部分は定電圧源3の出力電圧にほぼ等しい値となる。各抵抗列(21〜26)の共通電極27と各端子(31〜36)との間の電位は共通電極27からのX方向距離6に応じて一様に分布した状態となる。
【0016】
第1〜第6の電流検出部(41〜46)は、それぞれ第1〜第6の抵抗列(21〜26)に流れる電流値を検出する。温度検出部5は、各電流検出部(41〜46)が検出した電流値と、定電圧源3による印加電圧値から、各抵抗列(21〜26)の抵抗値を算出することにより各抵抗列の抵抗値の測定を行う。温度検出部5は、各抵抗列の抵抗値温度特性を記憶しており、前記算出した抵抗値と抵抗値温度特性とから各抵抗列(21〜26)の温度を算出することにより各抵抗列の温度を推定し、算出した各抵抗列の温度を図5の制御部13(後述)へ出力する。
【0017】
ここで、上面シート1が指先などで底面シート2側に押圧された場合、上面シート1の透明導電膜7と底面シート2の抵抗列(21〜26)が接触し、透明導電膜7は接触した抵抗列の部位の電位と同電位となる。座標検出部4は、透明導電膜7の電位から、押圧された箇所のX方向距離6を算出して出力する。
【0018】
次に、図3を使用して、タッチパネル8と表示パネルとの関係について詳細に説明する。
図3はタッチパネル8の背面に配置された表示パネルである液晶パネル9に表示され、タッチパネル8を透過して観察可能なグラフィカルユーザーインターフェイス(以下、GUIという)の例である。このGUIは、「明るさ調整」「色温度調整」「戻る」の3つのGUI部品から構成され、いずれかのGUI部品をユーザに選択させることを目的に設計されたものである。
【0019】
図3において、タッチパネル8は、液晶パネル9からの光を透過するため、液晶パネル9における表示内容をタッチパネル8の側から観察可能である。定電圧源3の出力電圧は3.3Vとする。各抵抗列(21〜26)の電位は、共通電極27の側であるタッチパネル8の右端部で0V、第1〜第6の端子(31〜36)の側である左端部で3.3Vとなっている。
【0020】
ここでユーザがタッチパネル8を押下していない時は、透明導電膜7は各抵抗列(21〜26)と接触せず、透明導電膜7の電位は0Vである。液晶パネル9における第1の表示領域10に対応するタッチパネル8上の領域をユーザが押下すると、透明導電膜7の電位はユーザが押下した箇所のX方向位置によって0.3〜0.8Vの値をとる。同様に、ユーザが、液晶パネル9における第2の表示領域11に対応するタッチパネル8上の領域を押下した場合は、透明導電膜7の電位は1〜1.9Vの値をとる。また、ユーザが、液晶パネル9における第3の表示領域12に対応するタッチパネル8上の領域を押下した場合は、透明導電膜7の電位は2.1〜3Vの値をとる。
【0021】
座標検出部4は、透明導電膜7の電位を検出することにより、ユーザがタッチパネル8を押下していないこと、或いは、ユーザがタッチパネル8を押下した箇所のX方向距離6を算出して制御部13へ出力する。これにより、ユーザが液晶パネル9に表示されたGU
I部品のうちいずれにタッチしたかを検出することができる。すなわち、透明導電膜7の電位が0.3〜0.8Vの値の場合は「戻る」がタッチされたこと、1〜1.9Vの値の場合は「色温度調整」がタッチされたこと、2.1〜3Vの値の場合は「明るさ調整」がタッチされたことが、それぞれ検出される。
【0022】
次に、図4及び図5を使用して、本実施例のタッチパネル装置における表示パネルの温度検出及び画像処理について詳細に説明する。
図4は液晶パネル9の画面上の表示領域と温度分布との関係の一例を示す図である。図5は、本実施例のタッチパネル8を有するタッチパネル装置の構成を示す図である。図4において、液晶パネル9の第1〜第6の表示領域(51〜56)の位置は、それぞれタッチパネル8の底面シート2の第1〜第6の抵抗列(21〜26)の位置に対応している。各表示領域(51〜56)に記入された温度は、各電流検出部(41〜46)による各抵抗列(21〜26)に流れる電流値の検出値に基づき温度検出部5が検出した各抵抗列の温度を示している。
【0023】
本実施例のタッチパネル装置では、各抵抗列(21〜26)の温度の推定値をもって、各抵抗列に対応する液晶パネル9の表示領域(51〜56)の温度の推定値とする。このように、本実施例のタッチパネル装置では、タッチパネル8に備わる抵抗列毎の温度に基づいて、液晶パネル9の表示領域毎の温度を推定する。図4の例では、液晶パネル9の上部ほど温度が高くなっている。
【0024】
図5において、制御部13には、タッチパネル8から、温度検出部5が検出した各抵抗列(21〜26)の温度と、座標検出部4が検出したX方向距離6が入力される。
制御部13は、タッチパネル8から入力されたX方向距離6に応じて、液晶パネル9に表示されたGUIにおいてユーザが選択したGUI部品を判定する。また、制御部13は、タッチパネル8から入力された各抵抗列(21〜26)の温度に応じて画像処理部14を制御する。
【0025】
ここで一般に、液晶パネル9の複数の画素の各々を構成する液晶素子は、温度が高くなるほどその透過率が高く変化するため、表示輝度が明るく変化する。制御部13は、各抵抗列(21〜26)の温度に応じて、温度が高い抵抗列に対応する液晶パネル9の画面領域の表示輝度を下げるよう、画像処理部14を制御する。画像処理部14は、入力する画像データに対し、液晶パネル9の各画面領域(51〜56)に表示される画像データ毎に、各画面領域(51〜56)に対応する抵抗列(31〜36)の温度に応じた画像処理を行うことで、液晶パネル9の表示輝度のムラを抑制する。
【0026】
以上に説明したタッチパネル8と液晶パネル9からなる画像表示装置によれば、液晶パネル9の温度分布が検出可能になるとともに、その温度分布による表示ムラを打ち消すように液晶パネル9に入力される画像データに対し画像処理を行うことができる。これにより、液晶パネル9に温度分布が生じた場合でも、ムラが生じることを抑制できる。
【0027】
なお、上記の実施例ではタッチパネル8の透明導電膜毎の温度の推定値に基づき推定した液晶パネル9の表示領域毎の温度の推定値に応じて、液晶パネル9へ出力される画像データに対し画像処理部14が補正を行う例を説明した。しかし、制御部13は、液晶パネル9の表示領域毎の温度の推定値に応じて、バックライト100の発光を制御するようにしても良い。その場合、バックライト100は、液晶パネル9に対しタッチパネル8とは反対側に設けられ、液晶パネル9の各表示領域に対応する光源ブロック毎に輝度を調節可能なバックライトであるとする。そして、制御部13は、液晶パネル9における温度の高い表示領域に対応する光源ブロックの輝度を低下させるように光源ブロック毎に輝度の補正を行うことにより、タッチパネル装置の表示ムラを低減できる。また、制御部13は、
液晶パネル9の表示領域毎の温度の推定値に基づき、表示領域毎の画像データの補正と光源ブロック毎のバックライト輝度の補正との両方を行っても良い。
【0028】
また、上記の実施例では、表示パネルが液晶パネルである場合を例に説明したが、本発明は、表示パネルは有機EL等の発光型の表示パネルであって、温度により発光特性が変動する性質を有する表示パネルを有するタッチパネル装置にも適用できる。その場合、制御部13が、表示パネルの表示領域毎の温度の推定値に基づいて、表示パネルへ出力される画像データを補正することにより、タッチパネル装置の表示ムラを低減できる。
【0029】
(実施例2)
図6は、本発明の実施例2のタッチパネル800の構成をあらわすブロック図である。
実施例2では、上面シート1には、液晶パネルの縦方向に連続的に延びる互いに平行な複数の透明導電膜が液晶パネルの横方向に配列されることにより複数の抵抗列(第1〜第6の上面抵抗列(71〜76))が形成される。第1〜第6の上面抵抗列(71〜76)は、底面シート2における第1〜第6の抵抗列(21〜26)とは直交する方向に配列されている。第1〜第6の上面抵抗列(71〜76)の一方の端部は、それぞれ上面共通電極77に接続されている。第1〜第6の上面抵抗列(71〜76)の、上面共通電極77に接続されていない方の端部は、それぞれ独立した第1〜第6の上面端子(51〜56)を介して、第1〜第6の上面電流検出部(図示しない)に接続されている。図6では、図1における第1〜第6の電流検出部(41〜46)を電流検出部40として略記している。
【0030】
また、第1〜第6の上面電流検出部(図示しない)を上面電流検出部60として略記している。電流検出部60として略記した第1〜第6の上面電流検出部は、図1の第1〜第6の電流検出部(41〜46)と同様、各々の一方の端部は定電圧源3に接続され、各々の他方の端部は第1〜第6の上面端子(51〜56)の各々に接続されている。温度検出部5には、第1〜第6の電流検出部(図1の符号41〜46。図2では符号40で略記)、及び第1〜第6の上面電流検出部(図2では符号60で略記)が検出した電流値がそれぞれ独立して入力される。温度検出部5は、図2に示す抵抗値温度特性から、各抵抗列(21〜26)及び各上面抵抗列(71〜76)の温度を算出して、図7の制御部13(後述)へ出力する。
【0031】
各抵抗列(21〜26)には、制御部13からの底面制御信号により導通状態と切断状態との切替を行う第1の底面スイッチ81及び第2の底面スイッチ82を介して定電圧源3の出力電圧が印加される。各上面抵抗列(71〜76)には、制御部13からの上面制御信号により導通状態と切断状態との切替を行う第1の上面スイッチ83及び第2の上面スイッチ84を介して定電圧源3の出力電圧が印加される。
【0032】
底面制御信号により各底面スイッチ(81,82)が導通状態となる第1の状態では、複数の電流検出部40により、各抵抗列(21〜26)に流れる電流が検出される。このとき上面シート1が押圧された場合には、座標検出部4は、入力された上面共通電極77の電位から、押圧されたX方向距離6を算出して制御部13へ出力する。
【0033】
上面制御信号により各上面スイッチ(83,84)が導通状態となる第2の状態では、複数の上面電流検出部60により、各上面抵抗列(71〜76)に流れる電流が検出される。このとき上面シート1が押圧された場合には、座標検出部4は、入力された共通電極27の電位から、押圧されたY方向距離15を算出して制御部13へ出力する。
【0034】
温度検出部5は、複数の電流検出部40及び複数の上面電流検出部60が検出した電流値から、各抵抗列(21〜26)及び各上面抵抗列(71〜76)の温度を算出して制御
部13へ出力する。ここで図6に示す抵抗列と上面抵抗列の配列から、各抵抗列(21〜26)の温度はY方向距離15に対応する温度分布を示し、各上面抵抗列(71〜76)の温度はX方向距離6に対応する温度分布を示すことがわかる。
【0035】
次に、図7及び図8を使用して、実施例2に係る画像表示装置の動作について詳細に説明する。
図7は、実施例2におけるタッチパネル800を備えた画像表示装置の構成を示す図である。
図8は、実施例2における画像表示装置の制御動作を示すタイミング図である。
【0036】
図7において、画像表示装置の制御部13は、タッチパネル800に対して底面制御信号16と上面制御信号17を出力する。制御部13には、タッチパネル800における温度検出部5が検出した各抵抗列(21〜26)及び各上面抵抗列(71〜76)の温度を含む温度分布データ18が入力される。また、制御部13には、座標検出部4が検出した上面シート1の押圧された箇所のX方向距離6及びY方向距離15を含む座標データ19が入力される。
【0037】
図8において、制御部13は、底面制御信号と上面制御信号により、各底面スイッチ(81,82)と各上面スイッチ(83,84)を所定時間おきに交互にオン制御することにより各スイッチを導通状態とする。
【0038】
各底面スイッチ(81,82)がオンとなる期間は、温度検出部5は温度分布データ18としてY方向の温度分布を出力し、座標検出部4は座標データ19として押下された箇所のX方向距離6を出力する。このとき、各抵抗列(21〜26)は抵抗値温度特性を有していることから、座標検出部4が出力したX方向距離6はX方向の温度分布による影響を受けた値となっている。具体的には、図2に示すような抵抗値温度特性で、かつ共通電極27に近い位置ほど温度が高い場合、共通電極27に近い位置ほど抵抗値が低くなるため、電圧を印加した場合のX方向距離6に対する電圧は、X方向距離6と比例関係ではなくなる。
【0039】
同様に、各上面スイッチ(83,84)がオンとなる期間は、温度検出部5は温度分布データ18としてX方向温度分布を出力し、座標検出部4は座標データ19として押下された箇所のY方向距離15を出力する。このとき、各上面抵抗列(71〜76)は抵抗値温度特性を有していることから、座標検出部4が出力したY方向距離15はY方向の温度分布による影響を受けた値となっている。
【0040】
制御部13は、各底面スイッチ(81,82)がオンとなる期間に受信した、X方向温度分布による影響を受けたX方向距離データに対して、各上面スイッチ(83,84)がオンとなる期間に受信したX方向温度分布のデータに応じた補正処理をする。そして、制御部13は、X方向温度分布による影響を補正したX方向距離データを取得する。制御部13は、Y方向距離データに対しても同様の補正処理をする。
【0041】
以上に説明したタッチパネル装置と画像表示装置により、押圧された箇所のX方向とY方向の座標が検出されるとともに、液晶パネルの表示領域内のX方向とY方向の温度分布が検出される。そして、その温度分布による表示ムラを打ち消すように画像処理部14により画像データに対する補正が行われる。従って、液晶パネルに温度分布が生じた場合でも、温度分布に起因する表示ムラを抑制することができる。
【0042】
なお、上記実施例において、底面シート2における透明導電膜の長手方向が表示パネルの画面の横方向に平行であり、上面シート1における透明導電膜の長手方向が表示パネル
の画面の縦方向に平行の場合を例に説明したが、逆であっても良い。すなわち、底面シート2における透明導電膜の長手方向が表示パネルの画面の縦方向に平行で、上面シート1における透明導電膜の長手方向が表示パネルの画面の横方向に平行であっても良い。
【符号の説明】
【0043】
1:上面シート、2:底面シート、5:温度検出部、7:透明導電膜、8:タッチパネル、9:液晶パネル、13:制御部、14:画像処理部、21:第1の抵抗列、22:第2の抵抗列、23:第3の抵抗列、24:第4の抵抗列、25:第5の抵抗列、26:第6の抵抗列、41:第1の電流検出部、42:第2の電流検出部、43:第3の電流検出部、44:第4の電流検出部、45:第5の電流検出部、46:第6の電流検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
前記表示パネルの第1軸方向に連続的に延びる互いに平行な複数の透明導電膜が前記第1軸方向と交差する第2軸方向に配列されて形成される第1のシートと、
前記複数の透明導電膜に対向する透明導電膜が設けられた第2のシートと、
がこの順に重ね合わされ、第2のシートの側からタッチ操作が可能な抵抗膜方式のタッチパネル装置であって、
前記第1のシートの各透明導電膜の抵抗値を測定する測定手段と、
前記第1のシートの各透明導電膜の温度と抵抗値との関係を記憶する記憶手段と、
前記測定手段により測定される前記抵抗値と、前記記憶手段に記憶される前記関係と、から推定される前記第1のシートの各透明導電膜の温度に基づき、当該各透明導電膜に対応する前記表示パネルの表示領域の温度を推定する推定手段と、
前記推定手段により推定される前記表示パネルの表示領域毎の温度に基づき、前記表示パネルの表示ムラを補正する補正手段と、
を備えるタッチパネル装置。
【請求項2】
タッチ操作がなされたときの前記第1のシートの透明導電膜と前記第2のシートの透明導電膜との接触した部位の電位に基づき、タッチ操作がなされた箇所の第1軸方向の座標を検出する座標検出手段を備える請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項3】
前記第2のシートに設けられる透明導電膜は、前記表示パネルの前記第2軸方向に連続的に延びる互いに平行な複数の透明導電膜が前記第1軸方向に配列されて形成され、
前記測定手段は、前記第2のシートの各透明導電膜の抵抗値を更に測定し、
前記記憶手段は、前記第2のシートの各透明導電膜の温度と抵抗値との関係を更に記憶し、
前記第1のシートの透明導電膜に電圧が印加され前記第2のシートの透明導電膜に電圧が印加されない第1の状態と、前記第1のシートの透明導電膜に電圧が印加されず前記第2のシートの透明導電膜に電圧が印加される第2の状態と、を切り替える切替手段と、
所定時間おきに第1の状態と第2の状態とが切り替わるよう前記切替手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記推定手段は、
前記第1の状態において、前記測定手段により測定される前記第1のシートの各透明導電膜の抵抗値と、前記記憶手段に記憶される前記第1のシートの各透明導電膜の温度と抵抗値との関係と、から推定される前記第1のシートの各透明導電膜の温度に基づき、当該各透明導電膜に対応する前記表示パネルの表示領域の温度を推定し、
前記第2の状態において、前記測定手段により測定される前記第2のシートの各透明導電膜の抵抗値と、前記記憶手段に記憶される前記第2のシートの各透明導電膜の温度と抵抗値との関係と、から推定される前記第2のシートの各透明導電膜の温度に基づき、当該各透明導電膜に対応する前記表示パネルの表示領域の温度を推定する請求項1に記載のタッチパネル装置。
【請求項4】
前記第1の状態においてタッチ操作がなされたときの前記第1のシートの透明導電膜と前記第2のシートの透明導電膜との接触した部位の電位に基づき、タッチ操作がなされた箇所の第1軸方向の座標を検出し、前記第2の状態においてタッチ操作がなされたときの前記第1のシートの透明導電膜と前記第2のシートの透明導電膜との接触した部位の電位に基づき、タッチ操作がなされた箇所の第2軸方向の座標を検出する、座標検出手段を備える請求項3に記載のタッチパネル装置。
【請求項5】
前記座標検出手段は、
前記第1の状態において、当該第1の状態より前の第2の状態において前記推定手段により推定された、前記第2のシートの複数の透明導電膜のうちタッチ操作がなされた箇所に対応する透明導電膜の温度に基づき、前記検出したタッチ操作がなされた箇所の第1軸方向の座標を補正し、
前記第2の状態において、当該第2の状態より前の第1の状態において前記推定手段により推定された、前記第1のシートの複数の透明導電膜のうちタッチ操作がなされた箇所に対応する透明導電膜の温度に基づき、前記検出したタッチ操作がなされた箇所の第2軸方向の座標を補正する請求項4に記載のタッチパネル装置。
【請求項6】
前記測定手段は、前記第1のシートの各透明導電膜に流れる電流値を検出する電流検出手段を含み、前記電流検出手段により検出される電流値と、各透明導電膜に印加される電圧と、から前記第1のシートの各透明導電膜の抵抗値を算出する請求項1又は2に記載のタッチパネル装置。
【請求項7】
前記測定手段は、前記第2のシートの各透明導電膜に流れる電流値を検出する電流検出手段を含み、前記電流検出手段により検出される電流値と、各透明導電膜に印加される電圧と、から前記第2のシートの各透明導電膜の抵抗値を算出する請求項3〜5のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【請求項8】
前記表示パネルは液晶パネルであり、
前記液晶パネルに対し前記第1のシートとは反対側に設けられ、前記液晶パネルの各表示領域に対応するブロック毎に輝度を調節可能なバックライトを更に備え、
前記補正手段は、前記液晶パネルの表示領域毎の温度に基づき、少なくとも、前記液晶パネルに入力する画像データに対し表示領域毎に補正を行うか、又は、前記バックライトのブロック毎に輝度の補正を行う請求項1〜7のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【請求項9】
前記表示パネルは発光型の表示パネルであり、
前記補正手段は、前記表示パネルの表示領域毎の温度に基づき、前記表示パネルに入力する画像データに対し表示領域毎に補正を行う請求項1〜7のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【請求項10】
前記第1軸方向は、前記表示パネルの画面の横方向と平行であり、
前記第2軸方向は、前記表示パネルの画面の縦方向と平行である請求項1〜9のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【請求項11】
前記第1軸方向は、前記表示パネルの画面の縦方向と平行であり、
前記第2軸方向は、前記表示パネルの画面の横方向と平行である請求項1〜9のいずれか1項に記載のタッチパネル装置。
【請求項12】
表示パネルと、
前記表示パネルの第1軸方向に連続的に延びる互いに平行な複数の透明導電膜が前記第1軸方向と交差する第2軸方向に配列されて形成される第1のシートと、
前記複数の透明導電膜に対向する透明導電膜が設けられた第2のシートと、
がこの順に重ね合わされ、第2のシートの側からタッチ操作が可能な抵抗膜方式のタッチパネル装置の制御方法であって、
前記第1のシートの各透明導電膜の抵抗値を測定する測定工程と、
前記第1のシートの各透明導電膜の温度と抵抗値との関係を読み込む工程と、
前記測定工程により測定される前記抵抗値と、前記読み込んだ関係と、から推定される
前記第1のシートの各透明導電膜の温度に基づき、当該各透明導電膜に対応する前記表示パネルの表示領域の温度を推定する推定工程と、
前記推定工程により推定される前記表示パネルの表示領域毎の温度に基づき、前記表示パネルの表示ムラを補正する補正工程と、
を有するタッチパネル装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−54520(P2013−54520A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191931(P2011−191931)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】