説明

タッチパネル

【課題】高温多湿な環境であっても故障しにくいタッチパネルを提供する。
【解決手段】本発明のタッチパネルは、透明な基板、複数のセンサ電極、複数の端子、複数の導電配線、複数の補助配線を備える。センサ電極は、基板上の検出領域に配列形成された透明導電部材からなる。端子は、基板上の配線領域に外部と接続するために形成され、センサ電極ごとに対応している。導電配線は、基板上の配線領域に形成され、いずれかのセンサ電極と当該センサ電極に対応する端子とを電気的に接続する。補助配線は、基板上の配線領域に形成され、いずれかのセンサ電極と当該センサ電極に対応する端子とを電気的に接続する。導電配線は補助配線よりも電気抵抗率が低い材料であり、補助配線は導電配線よりも腐食しにくい材料である。さらに、端子の基板と接触する部分および外部と接触する部分は、補助配線と同じ材料とすればよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出領域の周りに配線領域が形成されているタッチパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
検出領域の周りに配線領域が形成されているタッチパネルとしては、特許文献1に示されたタッチパネルなどが知られている。図1は、特許文献1の図1に示された図であり、特許文献1では、段落0020,0021,0029に、「入力装置付き表示装置100は概ね、画像生成装置としての液晶装置50と、この画像生成装置において表示光を出射する側の面に重ねて配置されたパネル状の入力装置10(タッチパネル)とを有している。・・・入力装置10は静電容量型のタッチパネルであり、1枚の透光性基板15と、透光性基板15の端部に接続されたフレキシブル基板19とを備えている。フレキシブル基板19には、入力装置10において入力位置の検出を行うための駆動回路(図示せず)が接続されている。入力装置10においては、透光性基板15の上面によって入力面10bが構成されており、透光性基板15の入力面10bの略中央領域が指先による入力が行われる入力領域10aになっている。・・・透光性基板15において入力領域10aの外側領域には、第1の透光性電極パターン11および第2の透光性電極パターン12の各々に電気的に接続する複数の金属配線9aが形成されており、これらの金属配線9aの端部は、フレキシブル基板19を接続するための端子19aを構成している。」のように説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−310550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
次に、従来技術の一般的な構成を示しながら本発明が解決しようとする課題について説明する。図2はタッチパネルの概要を説明する図である。図2(A)はタッチパネル209のみを示した図であり、図2(B)はタッチパネル209に外部基板900を接続した図である。タッチパネル209は検出領域400と配線領域309を有している。そして、外部基板900は、配線領域309の一部に接続される。外部基板900は、一般的には異方性導電性テープ(AFC)を用いて熱圧着されている。
【0005】
図3は、図2(A)の点線で示された領域Pを拡大した図である。図3(A)は領域Pを正面から見た図である。タッチパネル209は、透明な基板205(例えばガラス基板)とその上に形成された電極などで形成されている。基板205の検出領域400には、複数のセンサ電極が配列形成されている。具体的には、図3の横方向に、例えば個別電極410A1,410A2,410A3,410A4,…が配置される。そして、個別接続電極412A12が個別電極410A1と個別電極410A2とを接続している。また、個別接続電極412A23が個別電極410A2と個別電極410A3とを接続している。このように個別電極と個別接続電極が接続されることで、横方向に延びたセンサ電極410Aが形成されている。なお、横方向に延びたセンサ電極(例えば410A)のための個別接続電極(例えば410A12)は、個別電極(410A1,410A2,410Z1,410Z2など)とは異なる層に形成されていて、縦方向に配置された個別電極(例えば410Z1,410Z2)とは接触しないように形成されている。図3(B)は、横方向に延びたセンサ電極のための個別接続電極がない状態での領域Pを拡大した図である。図3の縦方向には、例えば個別電極410Z1,410Z2,410Z3,…が配置される。そして、個別接続電極412Z12が個別電極410Z1と個別電極410Z2とを接続している。また、個別接続電極412Z23が個別電極410Z2と個別電極410Z3とを接続している。このように個別電極と個別接続電極が接続されることで、縦方向に延びたセンサ電極410Zが形成されている。なお、縦方向に延びたセンサ電極(例えば410Z)のための個別接続電極(例えば410Z12)は、個別電極(410A1,410A2,410Z1,410Z2など)と同じ層に、横方向に配置された個別電極(例えば410A1,410A2)とは接触しないように形成される。また、以下ではセンサ電極をまとめて示すときは、複数のセンサ電極410と表現する。
【0006】
図4は、図2(A)の点線で示された領域Qを拡大した図である。基板205上の配線領域には、外部基板900と接続するための端子380C,380B,380A,380Z,380Y,380X,380c,380b,380a,380z,380y,380xが形成されている。そして、導電配線(例えば310A)が、センサ電極(例えば410A)と端子(例えば380A)とを電気的に接続する。なお、この例では、導電配線(例えば310A)とセンサ電極(例えば410A)との電気的な接続を確実にするために、導電配線と同じ材質の接続部(例えば311A)を形成している。センサ電極(例えば410A)はタッチパネル209の人が触れる部分であり、タッチパネル209の下面に配置される液晶装置(図示していない)に表示される画像が見えるように透明導電部材(例えばITO:Indium Tin Oxide)で形成される。一方、導電配線は透明である必要はないので、一般的には抵抗率の低い金属(例えば、アルミ)で形成される。また、端子も導電配線と同じ材質で形成される。
【0007】
図5は、タッチパネルの一部の断面を示す図である。図5(A)は図3(A)のS−S線の断面図、図5(B)は図4のT−T線の断面図である。個別電極410Z2,410B1、接続部311B、導電配線310C,310D,310E,310X、端子380Xは基板205上に形成される。また、端子(例えば380X)を外部基板と接続するために必要な部分を除く全体を保護膜206で覆っている。
【0008】
しかしながら、金属で形成した導電配線は腐食しやすいという課題がある。したがって、高温多湿の環境に長時間放置した場合、導電配線が断線し、故障してしまう恐れがある。さらに、端子は保護膜で覆われていないのでさらに腐食しやすく、外部基板との間で接触不良が生じる恐れがある。
【0009】
本発明は、高温多湿な環境であっても故障しにくいタッチパネルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のタッチパネルは、透明な基板、複数のセンサ電極、複数の端子、複数の導電配線、複数の補助配線を備える。基板は、検出領域と配線領域を含む大きさである。センサ電極は、検出領域に配列形成された透明導電部材からなる。端子は、配線領域に外部と接続するために形成され、センサ電極ごとに対応している。導電配線は、配線領域に形成され、いずれかのセンサ電極と当該センサ電極に対応する端子とを電気的に接続する。補助配線は、配線領域に形成され、いずれかのセンサ電極と当該センサ電極に対応する端子とを電気的に接続する。そして、導電配線は補助配線よりも電気抵抗率が低い材料で形成されており、補助配線は導電配線よりも腐食しにくい材料で形成されている。さらに、端子の基板と接触する部分および外部と接触する部分は、補助配線と同じ材料とすればよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明のタッチパネルによれば、腐食しやすいが抵抗率が低い材料と抵抗率が高いが腐食しにくい材料とを組み合わせてセンサ電極と端子との間を電気的に接続している。したがって、導電配線の腐食が原因で突然故障してしまうことがない。また、端子の基板と接触する部分および外部と接触する部分を腐食しにくい材料にすれば、外部との接触不良が生じる危険も低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】特許文献1の図1に示された図。
【図2】タッチパネルの概要を説明する図。
【図3】図2(A)の点線で示された領域Pを拡大した図。
【図4】図2(A)の点線で示された領域Qを拡大した図。
【図5】タッチパネルの一部の断面を示す図。
【図6】実施例1のタッチパネルの概要を説明する図。
【図7】図6の点線で示された領域Pを拡大した図。
【図8】図7の点線で示された領域Rを拡大した図。
【図9】図6の点線で示された領域Qを拡大した図。
【図10】実施例1のタッチパネルの一部の断面図。
【図11】実施例2のタッチパネルの概要を説明する図。
【図12】図11の点線で示された領域Pを拡大した図。
【図13】図11の点線で示された領域Qを拡大した図。
【図14】実施例2のタッチパネルの一部の断面図。
【図15】実施例3のタッチパネルの概要を説明する図。
【図16】図15の点線で示された領域Pを拡大した図。
【図17】図15の点線で示された領域Qを拡大した図。
【図18】実施例3のタッチパネルの一部の断面図。
【図19】実施例4のタッチパネルの概要を説明する図。
【図20】図19の点線で示された領域Pを拡大した図。
【図21】図19の点線で示された領域Qを拡大した図。
【図22】実施例4のタッチパネルの一部の断面図。
【図23】実施例4変形例のタッチパネルの一部の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、同じ機能を有する構成部には同じ番号を付し、重複説明を省略する。
【実施例1】
【0014】
図6は実施例1のタッチパネルの概要を説明する図である。タッチパネル200は検出領域400と配線領域300を有している。そして、外部基板900(図示していない)は、配線領域300の一部に接続される。例えば、外部基板900は、異方性導電性テープ(AFC)を用いて熱圧着すればよい。図7は図6の点線で示された領域Pを拡大した図、図8は図7の点線で示された領域Rを拡大した図、図9は図6の点線で示された領域Qを拡大した図である。また、図10は実施例1のタッチパネルの一部の断面図である。図10(A)は図7のS−S線の断面図、図10(B)は図9のT−T線の断面図である。実施例1のタッチパネル200は、透明な基板205、複数のセンサ電極410、複数の端子330、複数の導電配線310、複数の補助配線320、保護膜206を備える。基板205は、検出領域400と配線領域300の両方を含む大きさである。基板205は、ガラス基板のような硬い材料だけでなく樹脂性のフィルムのような柔らかい材料でもよい。
【0015】
複数のセンサ電極410は、図3に示した従来のタッチパネルと同じである。複数のセンサ電極410は、センサ電極410A,410B,410C,410X,410Y,410Z,…で構成されている。センサ電極410Aは、個別電極410A1,410A2,410A3,…と個別接続電極412A12,412A23,…で構成されている。センサ電極410Zは、個別電極410Z1,410Z2,410Z3,…と個別接続電極412Z12,412Z23,…(図3(B)参照)で構成されている。複数のセンサ電極410は、基板205上の検出領域400に配列形成された透明導電部材からなる。具体的には、ITO(Indium Tin Oxide)などを用いればよい。なお、詳細は上述の図3(A),図3(B)を用いた説明と同じなので省略する。また、図中では横方向に延びたセンサ電極を示すためにA,B,Cを用い、縦方向に延びたセンサ電極を示すためにZ,Y,Xを用いたが、単に区別するために用いただけであり、センサ電極の数はアルファベットの数に依存するものではない。
【0016】
複数の端子330は、端子330A,330B,330C,330X,330Y,330Z,330a,330b,330c,330x,330y,330z,…で構成されている。各端子は、基板205上の配線領域300に外部と接続するために形成され、いずれかのセンサ電極に対応している。例えば、端子330Aは、センサ電極410Aに対応している。
【0017】
複数の導電配線310は、導電配線310A,310B,310C,310D,310E,310X,310Y,310Z,…で構成されている。各導電配線は、基板205上の配線領域300に形成され、いずれかのセンサ電極と当該センサ電極に対応する端子とを電気的に接続する。例えば導電配線310Aは、センサ電極410Aと端子330Aとを電気的に接続する。また、導電配線310Aとセンサ電極410Aとの電気的な接続を確実にするため、導電配線と同じ材質の接続部(例えば311A)を形成すればよい。
【0018】
複数の補助配線320は、補助配線320A,320B,320C,320D,320E,320X,320Y,320Z,…で構成されている。各補助配線は、基板205上の配線領域300に形成され、いずれかのセンサ電極と当該センサ電極に対応する端子とを電気的に接続する。例えば補助配線320Aは、センサ電極410Aと端子330Aとを電気的に接続する。
【0019】
本実施例の場合、図10に示したように、個別電極410Z2,410B1、接続部311B、導電配線310C,310D,310E,310X、補助配線320B,320C,320D,320E、端子330Xは基板205上に直接形成される。また、端子(例えば330X)を外部基板と接続するために必要な部分を除く全体を保護膜206で覆っている。
【0020】
そして、導電配線は補助配線よりも電気抵抗率が低い材料で形成されており、補助配線は導電配線よりも腐食しにくい材料(耐久性に優れた材料)で形成されている。また、端子は、少なくとも基板と接触する部分および外部と接触する部分を腐食しにくい材料(補助配線と同じ材料)とすればよく、全体を1つの材質で形成してもよいし、複数の材料を用いて層状の構造としてもよい。より具体的には、導電配線には、アルミニウム、銅、銀などの金属、もしくは、アルミニウムを用いた合金を用いればよい。アルミニウム合金の例としては、アルミニウムとニオブの合金がある。また、アルミニウムとニオブの合金をモリブデンとニオブの合金で挟んだものを導電配線として用いてもよい。補助配線と端子には、ITOやカーボンを用いれば、腐食しにくくなる。導電配線や補助配線のパターンの形成には、スパッタリング、エッチング、印刷などの技術を材料に応じて用いればよい。なお、補助配線と端子の材料をセンサ電極と同じ材料にする場合には、複数のセンサ電極410の個別電極(例えば410A1,410A2など)を形成するときに一緒に、補助配線と端子も形成すればよい。
【0021】
保護膜206は、複数の端子330を外部基板と接続するために露出しておかなければならない部分を除く全体を覆っている。保護膜206には、酸・アルカリに強い材料を用いたい場合はアクリル系などの有機材料を用いればよい。水分に強い材料を用いたい場合はSiO2やSiOXなどの無機材料を用いればよい。また、保護膜206は、有機材料で形成された層と無機材料で形成された層を含む2層以上としてもよい。このような保護膜を用いれば、水分にも酸・アルカリにも強い保護膜を形成できる。
【0022】
実施例1のタッチパネル200によれば、腐食しやすいが抵抗率が低い材料と抵抗率が高いが腐食しにくい材料とを組み合わせて複数のセンサ電極410と複数の端子330との間を電気的に接続している。したがって、導電配線の腐食が原因で突然故障してしまうことがない。また、複数の端子330の基板205と接触する部分および外部と接触する部分を腐食しにくい材料(耐久性に優れた材料)にすれば、露出している複数の端子330の腐食を防ぐことができる。また、基板205がガラスの場合でも、基板205からのナトリウムイオンなどの影響で複数の端子330が腐食することを防ぐことができる。したがって、外部との接触不良が生じる危険を低減できる。
【0023】
[変形例]
実施例1のタッチパネルでは、複数の導電配線310と複数の補助配線320とは、それぞれ基板205上に直接、別々に形成されている。このような場合には、同じセンサ電極(例えば410A)と端子(例えば330A)とを電気的に接続する導電配線(例えば310A)と補助配線(例えば320A)には、センサ電極(例えば410A)と端子(例えば330A)との間で電気的に接続する部分(例えば321A)を設ければよい(図7〜9参照)。
【0024】
このような構造にすれば、導電配線の一部が断線した場合、断線した区間(2つの電気的に接続する部分の間)は補助配線のみで電気的に接続されるが、断線していない区間は導電配線でも電気的に接続される。したがって、断線による電気抵抗の上昇を抑えることができる。よって、実施例1のタッチパネルよりもさらに故障しにくくなる。
【実施例2】
【0025】
図11は実施例2のタッチパネルの概要を説明する図である。タッチパネル201は検出領域400と配線領域301を有している。そして、外部基板900(図示していない)は、配線領域301の一部に接続される。例えば、外部基板900は、異方性導電性テープ(AFC)を用いて熱圧着すればよい。図12は図11の点線で示された領域Pを拡大した図、図13は図11の点線で示された領域Qを拡大した図である。また、図14は実施例2のタッチパネルの一部の断面図である。図14(A)は図12のS−S線の断面図、図14(B)は図13のT−T線の断面図である。実施例2のタッチパネル201は、透明な基板205、複数のセンサ電極410、複数の端子330、複数の導電配線340、複数の補助配線350、保護膜206を備える。基板205は、検出領域400と配線領域301の両方を含む大きさである。基板205、複数のセンサ電極410、複数の端子330、保護膜206は、実施例1と同じなので説明を省略する。
【0026】
複数の補助配線350は、補助配線350A,350B,350C,350D,350E,350X,350Y,350Z,…で構成されている。各補助配線は、基板205上の配線領域301に形成され、いずれかのセンサ電極と当該センサ電極に対応する端子とを電気的に接続する。例えば補助配線350Aは、センサ電極410Aと端子330Aとを電気的に接続する。
【0027】
複数の導電配線340は、導電配線340A,340B,340C,340D,340E,340X,340Y,340Z,…で構成されている。各導電配線は、補助配線上に形成され、いずれかのセンサ電極と当該センサ電極に対応する端子とを電気的に接続する。例えば導電配線340Aは、補助配線350A上に形成され、センサ電極410Aと端子330Aとを電気的に接続する。また、導電配線340Aとセンサ電極410Aとの電気的な接続を確実にするため、導電配線と同じ材質の接続部(例えば341A)を個別電極410A1上に形成すればよい。
【0028】
本実施例の場合、図14に示したように、個別電極410Z2,410B1、補助配線350C,350D,350E、350X、端子330Xは基板205上に直接形成される。接続部341B、導電配線340C,340D,340E,340Xは、個別電極や補助配線の上に形成される。また、端子(例えば330X)を外部基板と接続するために必要な部分を除く全体を保護膜206で覆っている。
【0029】
そして、導電配線は補助配線よりも電気抵抗率が低い材料で形成されており、補助配線は導電配線よりも腐食しにくい材料(耐久性に優れた材料)で形成されている。また、補助配線の幅を導電配線の幅よりも広くすれば、パターンのズレがあっても確実に導電配線を補助配線上に形成できる。より具体的には、導電配線には、アルミニウム、銅、銀などの金属、もしくは、アルミニウムを用いた合金を用いればよい。アルミニウム合金の例としては、アルミニウムとニオブの合金がある。また、アルミニウムとニオブの合金をモリブデンとニオブの合金で挟んだものを導電配線として用いてもよい。補助配線には、ITOやカーボンを用いれば、腐食しにくくなる。導電配線や補助配線のパターンの形成には、スパッタリング、エッチング、印刷などの技術を材料に応じて用いればよい。なお、補助配線と端子の材料をセンサ電極と同じ材料にする場合には、複数のセンサ電極410の個別電極(例えば410A1,410A2など)を形成するときに一緒に、補助配線と端子も形成すればよい。
【0030】
実施例2のタッチパネル201によれば、実施例1のタッチパネルと同様の効果が得られる。そして、補助電極が導電配線と基板との間に存在するので、基板がガラスの場合でも、基板からのナトリウムイオンなどの影響で導電電極が腐食することを防ぐことができる。さらに、実施例1変形例に示した電気的に接続する部分(例えば321A)を設けなくても、センサ電極(例えば410A)と端子(例えば330A)との間で導電配線(例えば340A)と補助配線(例えば350A)とは連続的に電気的に接続されている。よって、導電配線が断線しても、断線した部分が補助配線のみで電気的に接続されるだけで、その他の部分は導電配線でも電気的に接続される。したがって、断線による電気抵抗の上昇はほとんどなくなる。よって、実施例1や実施例1変形例のタッチパネルよりもさらに故障しにくいタッチパネルにできる。
【実施例3】
【0031】
図15は実施例3のタッチパネルの概要を説明する図である。タッチパネル202は検出領域400と配線領域302を有している。そして、外部基板900(図示していない)は、配線領域302の一部に接続される。例えば、外部基板900は、異方性導電性テープ(AFC)を用いて熱圧着すればよい。図16は図15の点線で示された領域Pを拡大した図、図17は図15の点線で示された領域Qを拡大した図である。また、図18は実施例3のタッチパネルの一部の断面図である。図18(A)は図16のS−S線の断面図、図18(B)は図17のT−T線の断面図である。実施例3のタッチパネル202は、透明な基板205、複数のセンサ電極410、複数の端子330、複数の導電配線310、複数の補助配線351、保護膜206を備える。基板205は、検出領域400と配線領域302の両方を含む大きさである。基板205、複数のセンサ電極410、複数の端子330、複数の導電配線310、保護膜206は、実施例1と同じなので説明を省略する。
【0032】
複数の補助配線351は、補助配線351A,351B,351C,351D,351E,351X,351Y,351Z,…で構成されている。各補助配線は、複数の導電配線310を覆うように形成され、いずれかのセンサ電極と当該センサ電極に対応する端子とを電気的に接続する。例えば補助配線351Aは、センサ電極410Aと端子330Aとを電気的に接続する。
【0033】
本実施例の場合、図18に示したように、個別電極410Z2,410B1、接続部311B、導電配線310C,310D,310E,310X、端子330Xは基板205上に直接形成される。補助配線351C,351D,351E、351X、は、導電配線を覆うように形成される。また、端子(例えば330X)を外部基板と接続するために必要な部分を除く全体を保護膜206で覆っている。
【0034】
そして、導電配線は補助配線よりも電気抵抗率が低い材料で形成されており、補助配線は導電配線よりも腐食しにくい材料(耐久性に優れた材料)で形成されている。また、補助配線の幅を導電配線の幅よりも広くすれば、パターンのズレがあっても確実に導電配線を補助配線で覆うことができる。より具体的には、補助配線には、ITOやカーボンを用いれば、腐食しにくくなる。導電配線や補助配線のパターンの形成には、スパッタリング、エッチング、印刷などの技術を材料に応じて用いればよい。なお、補助配線の材料をセンサ電極と同じ材料にする場合には、複数のセンサ電極410の個別接続電極(例えば412A12,412A23など)を形成するときに一緒に、補助配線も形成すればよい。
【0035】
実施例3のタッチパネル202によれば、実施例1のタッチパネルと同様の効果が得られる。そして、補助電極が導電配線を覆っているので、保護膜206側から侵入する水分などによる導電配線の腐食を低減できる。また、必ずしも補助配線で導電配線を完全に覆う必要はなく、導電配線の一部が露出していてもよい。その場合、完全に覆われている実施例より耐腐食性は劣るが、実施例2以上の効果は得られる。また、実施例1変形例に示した電気的に接続する部分(例えば321A)を設けなくても、センサ電極(例えば410A)と端子(例えば330A)との間で導電配線(例えば310A)と補助配線(例えば351A)とは連続的に電気的に接続されている。よって、導電配線が断線しても、断線した部分が補助配線のみで電気的に接続されるだけで、その他の部分は導電配線でも電気的に接続される。したがって、断線による電気抵抗の上昇はほとんどなくなる。よって、実施例1や実施例1変形例のタッチパネルよりもさらに故障しにくいタッチパネルにできる。
【実施例4】
【0036】
図19は実施例4のタッチパネルの概要を説明する図である。タッチパネル203は検出領域400と配線領域303を有している。そして、外部基板900(図示していない)は、配線領域303の一部に接続される。例えば、外部基板900は、異方性導電性テープ(AFC)を用いて熱圧着すればよい。図20は図19の点線で示された領域Pを拡大した図、図21は図19の点線で示された領域Qを拡大した図である。また、図22は実施例4のタッチパネルの一部の断面図である。図22(A)は図20のS−S線の断面図、図22(B)は図21のT−T線の断面図である。実施例4のタッチパネル203は、透明な基板205、複数のセンサ電極410、複数の端子330、複数の導電配線340、複数の補助配線352、保護膜206を備える。基板205は、検出領域400と配線領域303の両方を含む大きさである。基板205、複数のセンサ電極410、複数の端子330、保護膜206は、実施例1と同じなので説明を省略する。
【0037】
複数の補助配線352は、補助配線352A,352B,352C,352D,352E,352X,352Y,352Z,…で構成されている。各補助配線は、基板205上の配線領域303に形成され、いずれかのセンサ電極と当該センサ電極に対応する端子とを電気的に接続する。例えば補助配線352Aは、センサ電極410Aと端子330Aとを電気的に接続する。
【0038】
複数の導電配線340は、導電配線340A,340B,340C,340D,340E,340X,340Y,340Z,…で構成されている。各導電配線は、少なくとも補助配線に挟まれるように形成され、いずれかのセンサ電極と当該センサ電極に対応する端子とを電気的に接続する。例えば導電配線340Aは、補助配線352Aに挟まれるように形成され、センサ電極410Aと端子330Aとを電気的に接続する。なお、図22(A)に示したように、各導電配線は、補助配線に囲まれるように形成されてもよい。また、導電配線340Aとセンサ電極410Aとの電気的な接続を確実にするため、導電配線と同じ材質の接続部(例えば341B)を個別電極410B1上に形成すればよい。この場合は、接続部(例えば341B)を補助配線と同じ材料(例えば353B)で覆えばよい(図22(A)参照)。
【0039】
そして、導電配線は補助配線よりも電気抵抗率が低い材料で形成されており、補助配線は導電配線よりも腐食しにくい材料(耐久性に優れた材料)で形成されている。より具体的には、導電配線には、アルミニウム、銅、銀などの金属、もしくは、アルミニウムを用いた合金を用いればよい。アルミニウム合金の例としては、アルミニウムとニオブの合金がある。また、アルミニウムとニオブの合金をモリブデンとニオブの合金で挟んだものを導電配線として用いてもよい。補助配線には、ITOやカーボンを用いれば、腐食しにくくなる。導電配線や補助配線のパターンの形成には、スパッタリング、エッチング、印刷などの技術を材料に応じて用いればよい。なお、補助配線と端子の材料をITOにする場合には、複数のセンサ電極410の個別電極(例えば410A1,410A2など)を形成するときに一緒に、導電配線の基板側の補助配線を形成すればよい。そして、複数のセンサ電極410の個別接続電極(例えば412A12,412A23など)を形成するときに一緒に、導電配線の上側の補助配線も形成すればよい。
【0040】
実施例4のタッチパネル203によれば、実施例1のタッチパネルと同様の効果が得られる。そして、補助電極が導電配線を挟んでいるので、基板がガラスの場合でも、基板からのナトリウムイオンなどの影響で導電電極が腐食することを防ぐことができる。さらに、保護膜206側から侵入する水分などによる導電配線の腐食も低減できる。また、実施例1変形例に示した電気的に接続する部分(例えば321A)を設けなくても、センサ電極(例えば410A)と端子(例えば330A)との間で、導電配線(例えば340A)と補助配線(例えば352A)とは連続的に電気的に接続されている。よって、導電配線が断線しても、断線した部分が補助配線のみで電気的に接続されるだけで、その他の部分は導電配線でも電気的に接続される。したがって、断線による電気抵抗の上昇はほとんどなくなる。よって、実施例1や実施例1変形例のタッチパネルよりもさらに故障しにくいタッチパネルにできる。
【0041】
[変形例]
実施例4のタッチパネルでは、複数の端子330は1つの材料で形成された例を図示していた。図23は端子の構造を変更した場合の図21のT−T線の断面図である。この例では複数の端子330を複数の端子331に変更している。端子331は基板205に近い側から腐食しにくい材料の層、抵抗率の低い材料の層、腐食しにくい材料の層で形成されている。具体的には、補助配線と同じ材料の層、導電配線と同じ材料の層、補助電極と同じ材料の層とすれば、補助配線や導電配線と一緒に形成できるので加工しやすい。そして、実施例4と同様の効果が得られる。今回、実施例として実施例1〜4を示したが、実施例1に対して実施例2〜4は補助配線と導電配線を重ねることで、配線の幅が細く、かつ導電配線が腐食しにくいタッチパネルにできる。
【符号の説明】
【0042】
200,201,202,203,209 タッチパネル
205 基板
206 保護膜
300,301,302,303,309 配線領域
310,340 複数の導電配線
310A,310B,310C,310D,310E,310X,310Y,310Z,340A,340B,340C,340D,340E,340X,340Y,340Z 導電配線
311A,311B,311C,311X,311Y,311Z,341A,341B,341C,341X,341Y,341Z 接続部
320,350,351 複数の補助配線
320A,320B,320C,320D,320E,320X,320Y,320Z,350A,350B,350C,350D,350E,350X,350Y,350Z,351A,351B,351C,351D,351E,351X,351Y,351Z,352A,352B,352C,352D,352E,352X,352Y,352Z 補助配線
330、331、380 複数の端子
330A,330B,330C,330X,330Y,330Z,330a,330b,330c,330x,330y,330z,380A,380B,380C,380X,380Y,380Z,380a,380b,380c,380x,380y,380z 端子
400 検出領域
410 複数のセンサ電極
410A,410B,410C,410X,410Y,410Z センサ電極
410A1,410A2,410A3,410A4,410B1,410B2,410B3,410B4,410C1,410C2,410C3,410C4,410X1,410X2,410X3,410Y1,410Y2,410Y3,410Z1,410Z2,410Z3, 個別電極
412A12,412A23,412A34,412B12,412B23,412B34,412C12,412C23,412C34,412X12,412X23,412X34,412Y12,412Y23,412Y34,412Z12,412Z23,412Z34 個別接続電極
900 外部基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域と配線領域とを有するタッチパネルであって、
前記検出領域と前記配線領域を含む大きさの透明な基板と、
前記検出領域に配列形成された透明導電部材からなる複数のセンサ電極と、
前記配線領域に外部と接続するために形成され、前記センサ電極ごとに対応した複数の端子と、
前記配線領域に形成され、いずれかの前記センサ電極と当該センサ電極に対応する前記端子とを電気的に接続する複数の導電配線と、
前記配線領域に形成され、いずれかの前記センサ電極と当該センサ電極に対応する前記端子とを電気的に接続する複数の補助配線と
を備え、
前記導電配線は前記補助配線よりも電気抵抗率が低い材料で形成されており、前記補助配線は前記導電配線よりも腐食しにくい材料で形成されていることを特徴とするタッチパネル。
【請求項2】
請求項1記載のタッチパネルであって、
前記端子の前記基板と接触する部分および外部と接触する部分は、前記補助配線と同じ材料である
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項3】
請求項1または2記載のタッチパネルであって、
前記補助配線を形成する材料は、前記透明導電部材である
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のタッチパネルであって、
同じ前記センサ電極と前記端子とを電気的に接続する前記導電配線と前記補助配線は、重なっている
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項5】
請求項4記載のタッチパネルであって、
前記導電配線は、前記基板上に直接形成された前記補助配線上に形成されている
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項6】
請求項4記載のタッチパネルであって、
前記補助配線は、前記基板上に直接形成された前記導電配線上に形成されている
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項7】
請求項4記載のタッチパネルであって、
前記導電配線と前記補助配線は、前記基板上に補助配線、導電配線、補助配線の順番で層状に形成されている
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項8】
請求項4から7のいずれかに記載のタッチパネルであって、
前記補助配線の方が前記導電配線よりも幅が広い
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項9】
請求項1から3のいずれかに記載のタッチパネルであって、
前記導電配線と前記補助配線とは、それぞれ前記基板上に直接形成されており、
同じ前記センサ電極と前記端子とを電気的に接続する前記導電配線と前記補助配線には、前記センサ電極と前記端子との間で電気的に接続する部分が存在する
ことを特徴とするタッチパネル。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載のタッチパネルであって、
前記配線領域は、有機材料で形成された層と無機材料で形成された層を含む2層以上の保護膜で覆われている
ことを特徴とするタッチパネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−105429(P2013−105429A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250699(P2011−250699)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】