タッチ式入力装置
【課題】タッチ式入力装置において、キャリブレーションを意識しない人が使用する際にも自然にキャリブレーションを実行してもらうことを可能にし、もって入力位置の検出精度を保つことができるようにする。
【解決手段】タッチ式入力装置は、入力部材を載置するための載置台14,15と、表示部11とを備え、入力部材でタッチされた表示部11の入力位置を検出する。そして、タッチ式入力装置は、載置台14,15に入力部材を載置した状態で上記入力位置のキャリブレーションを実行するキャリブレーション部を備える。
【解決手段】タッチ式入力装置は、入力部材を載置するための載置台14,15と、表示部11とを備え、入力部材でタッチされた表示部11の入力位置を検出する。そして、タッチ式入力装置は、載置台14,15に入力部材を載置した状態で上記入力位置のキャリブレーションを実行するキャリブレーション部を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力部材を載置するための載置台と表示部とを備えたタッチ式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示部に情報を表示しておき、ペン型の入力部材でタッチした位置に基づき情報を入力するタッチ式入力装置が様々な情報処理装置に組み込まれている。例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、電子黒板、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機、電子書籍端末などの情報処理装置において、ユーザインターフェースの一部としてタッチ式入力装置が組み込まれている。
【0003】
このようなタッチ式入力装置のうち、タッチセンサとして電磁誘導方式などを採用したものは電子ペンと呼ばれる、電源を必要とする入力部材を備えている。よって、このような入力部材には、電源として乾電池又は充電池が内蔵されている。乾電池式では一定期間ごとに乾電池を交換する必要があり、深夜、休日などに電池切れを起こした時、乾電池の予備が無い場合に不便をきたす。
【0004】
充電池を内蔵することでこうした不便が解消されるが、時折入力部材の充電を行う必要がある。このような問題を解決するための技術として、特許文献1には、入力ペンとタブレットに充電機構を設けて、使用休止時にペンの電池の小まめな充電が行えるようにしたタッチ式入力装置が開示されている。
【0005】
また、タッチ式入力装置には、抵抗膜方式や光センサ内蔵の液晶パネル等で実現している光検知方式などでは、ユーザの指やスタイラス(スタイラスペンとも言う)などを上記入力部材として使用することができ、これらの方式では入力部材側に電源を必要としない。
【0006】
ところで、このようなタッチ式入力装置では実際にタッチした場所(タッチ位置)とコンピュータの認識した場所との「ずれ」があるため、これを補正(校正)する作業であるキャリブレーションが必要になってくる。このようなキャリブレーションは、タッチ式入力装置の使用開始時に一度行えばよい、といったものではなく、その「ずれ」が時間の経過や環境の変化などによって生じてくるものであるため、随時行うことが好ましいとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−40568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ユーザが専門家であれば、入力部材の充電にしてもキャリブレーションにしても適時行われる可能性が高いが、ユーザがこういった機器にあまり詳しくない人の場合、充電池の残量が無くなったり誤差が大きくなっても、入力部材の充電やキャリブレーションの必要性に気づかず、故障と勘違いすることもある。また、電子黒板など多くの人が共通に使用する装置では、最近キャリブレーションが実行されたのか、充電が実行されたのかについて、使用開始時にはユーザは知ることができず、使用してみてはじめてそれらの必要性に気づくか、若しくは故障と勘違いすることになる。
【0009】
携帯電話機や電動歯ブラシの普及によって充電の必要性は認識されることが多くなったが、キャリブレーションに関してはあまり知られていないため、キャリブレーションが実行されずに、入力部材におけるペン先と実際に画面上で指定される点との差が大きくなり、ユーザの不満となっていた。
【0010】
また、キャリブレーションを行う場合にも、実際に行うには、(I)設定画面に入り、(II)キャリブレーションモードに入る、(III)画面の任意の位置に現れる印をペンで押す。(IV)上記(III)を繰り返す、という様式が多く、設定画面への移行の仕方を知らない人にとっては、その方法を調べること無く後回しにしてしまうことが多いため、より誤差が大きくなっていくといった事態も多く生じている。
【0011】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タッチ式入力装置において、キャリブレーションを意識しない人が使用する際にも自然にキャリブレーションを実行してもらうことを可能にし、もって入力位置の検出精度を保つことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、入力部材を載置するための載置台と、表示部とを備え、前記入力部材でタッチされた前記表示部における入力位置を検出するタッチ式入力装置であって、前記載置台に前記入力部材を載置した状態で前記入力位置のキャリブレーションを実行するキャリブレーション部を備えることを特徴としたものである。
【0013】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記入力部材は、充電池を内部に有し、前記載置台は、前記充電池を充電する充電台を兼ねることを特徴としたものである。
【0014】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記載置台として、前記表示部に対して水平方向に移動させるための水平移動載置台、及び前記表示部に対して垂直方向に移動させるための垂直移動載置台を備え、前記タッチ式入力装置は、前記水平移動載置台を前記表示部に対して水平方向に移動させる移動機構と、前記垂直移動載置台を前記表示部に対して垂直方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴としたものである。
【0015】
第4の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、1台の前記載置台と、該1台の載置台を前記表示部に対して水平方向及び垂直方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るタッチ式入力装置によれば、キャリブレーションを意識しない人が使用する際にも自然にキャリブレーションを実行してもらうことを可能にし、もって入力位置の検出精度を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るタッチ式入力装置の一構成例を示す全体図である。
【図2】図1のタッチ式入力装置を裏側から見た全体図である。
【図3】図1のタッチ式入力装置の下側に設けた載置台(充電台)の構成例を示す図である。
【図4】図1のタッチ式入力装置の左側に設けた載置台(充電台)の構成例を示す図である。
【図5】図3及び図4の載置台(充電台)の内部構成例を示す断面図である。
【図6】図1のタッチ式入力装置で用いる入力部材の一例を示す図である。
【図7】図6の入力部材を図3又は図4の載置台(充電台)に刺すことで載置した様子を示す図である。
【図8】図1のタッチ式入力装置の表示部に表示する終了確認メッセージの例を示す図である。
【図9】図1のタッチ式入力装置の表示部に表示する充電台移動メッセージ(X軸)の例を示す図である。
【図10】図1のタッチ式入力装置の表示部に表示する充電台移動メッセージ(Y軸)の例を示す図である。
【図11】図1のタッチ式入力装置の表示部に表示する入力部材の引き抜きメッセージの例を示す図である。
【図12】図1のタッチ式入力装置の表示部に表示する終了メッセージの例を示す図である。
【図13】図1のタッチ式入力装置における終了モード開始時の処理例を説明するためのフロー図である。
【図14】図1のタッチ式入力装置における終了モード開始時の他の処理例を説明するためのフロー図である。
【図15】本発明に係るタッチ式入力装置の他の構成例を示す全体図である。
【図16】本発明に係るタッチ式入力装置の他の構成例を示す全体図である。
【図17】本発明に係るタッチ式入力装置の他の構成例を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るタッチ式入力装置は、例えば、PC、電子黒板、PDA、携帯電話機(スマートフォンと呼ばれるものも含む)、電子書籍端末などの情報処理装置において、ユーザインターフェースの一部として組み込むことができる。そして、本発明に係るタッチ式入力装置は、入力部材を載置するための載置台と、表示部とを備え、入力部材でタッチされた表示部の入力位置(座標)に基づき、情報を入力する。入力部材としては、例えば、表示部にアイコンを表示しておき、そのアイコンがタッチされたことを検出することで、そのアイコンが選択されたという情報が入力でき、表示を次の段階に遷移させることができる。また、タッチされた入力位置に対応する画素を所定の色で色付けするように表示を行うことで、文字や絵を表示部に描いたりすることもできる。また、通常、ペン型の入力部材が採用される。
【0019】
タッチ式入力装置におけるタッチセンサの検知方式は、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式、光検知方式など、どのような方式であってもよい。また、通常、タッチセンサと表示部とは別部品として構成できるが、光センサ内蔵型の液晶パネルなど、表示パネルと一体型に構成したものであってもよい。
【0020】
そして、本発明の主たる特徴として、タッチ式入力装置は、載置台に入力部材を載置した状態で入力位置のキャリブレーションを実行するキャリブレーション部を備える。載置台は入力部材が載置されたこと若しくは載置されていることを検知する検知部を有することになるため、載置台がキャリブレーション部の一部の器具を兼ねると言える。
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明に係るタッチ式入力装置について、それを組み込んだ電子黒板を例に挙げて説明する。図1は、本発明に係るタッチ式入力装置の一構成例を示す全体図で、図2は、図1のタッチ式入力装置を裏側から見た全体図である。
【0022】
図1及び図2で例示するタッチ式入力装置1は、所謂、電子黒板と呼ばれるものであり、電子黒板の本体には表示パネル11を備え、タッチ式入力装置1の本体は、支持台に接続された支持棒10で支持されている。この表示パネル11にはタッチパネルが搭載されており、入力部材でタッチすることで入力位置を検出し、情報入力(情報の書き込み)が可能となっている。
【0023】
また、表示パネル11の下側には水平軸(X軸)用の移動用レール12が設けられており、表示パネル11の左側には垂直軸(Y軸)用の移動用レール13が設けられている。移動用レール12,13は、表示パネル11の枠部分の外側に設けられている。移動用レール12には水平方向(X軸方向)にスライド可能な状態で載置台14が取り付けられており、移動用レール13には垂直方向(Y軸方向)にスライド可能な状態で載置台15が取り付けられている。なお、充電台14,15を電子黒板の本体である表示部の下側、左側にそれぞれ設けた例を挙げているが、それぞれ上側、右側に設けてもよい。
【0024】
図1のタッチ式入力装置ではこのように2台の載置台を備えた例を挙げている。このうち、載置台14は表示パネル11に対して水平方向に移動させるための水平移動載置台の例であり、載置台15は表示パネル11に対して垂直方向に移動させるための水平移動載置台の例である。移動用レール12は水平移動載置台を表示パネル11に対して水平方向に移動させる移動機構の例であり、移動用レール13は垂直移動載置台を表示パネル11に対して垂直方向に移動させる移動機構の例である。
【0025】
入力部材は、電源を要する機器であって充電池を内部に備え、載置台14,15は、その充電池を充電する充電台を兼ねるものとする。以下、載置台14,15を充電台として説明する。なお、入力部材は、電源を必要としてもコードレスであることが望ましく、そのためここではコードレスを前提とし、且つ電源として充電池を備えた例を挙げている。但し、入力部材はコードで繋がれて電力供給を受けるものであってもよいし、タッチセンサの検知方式によっては電源を必要としないスタイラスペンであってもよい。但し、それらの場合には、当然、載置台は充電台を兼ねる必要はない。
【0026】
次に、充電台14,15への給電機構を説明する。給電方法についてはいくつかの方法が考えられるが、ここではケーブル14a,15aを用いて電子黒板本体から給電する例を挙げる。充電台14,15のそれぞれと電子黒板の本体とはケーブル14a,15aで繋がっており、電子黒板の本体から充電台14,15へ給電される。充電台14,15の例えば後ろから給電用のケーブル14a,15aが出ており、そのケーブル14a,15aの先は図2に示すように例えば中央に繋がっている。繋がっている部分は直に出ていてもコネクタによる接続でもよい。但し、充電台14,15の移動を妨げないようにケーブル14a,15aの長さに余裕をもたせておく。長さに余裕をもたせておくことで、充電台14,15の位置が電子黒板のケーブル14a,15aの出口から一番遠い場所である角に来る時でも充電台14,15の動きを妨げることはなく、移動可能な充電台14,15が実現できる。
【0027】
充電台14,15及び入力部材の充電機構について、図3〜図7を参照しながら説明する。図3、図4は、それぞれ図1のタッチ式入力装置の下側、左側に設けた充電台の構成例を示す図で、図5は、図3及び図4の充電台の内部構成例を示す断面図である。また、図6は、図1のタッチ式入力装置で用いる入力部材の一例を示す図で、図7は、図6の入力部材を図3又は図4の充電台に刺すことで載置した様子を示す図である。
【0028】
図3で示す充電台14は、X軸方向のキャリブレーションも行う、電子黒板の下部の移動用レール12に取り付ける充電台である。図4で示す充電台15は、Y軸方向のキャリブレーションも行う、電子黒板の左部の移動用レール13に取り付ける充電台である。充電台14,15は、キャリブレーションのためにユーザが移動させる必要があるため、移動用レール12,13に合う貫通穴14e,15eが設けられている。これにより、充電台14,15はそれぞれ表示パネル11の枠部分の外側に設けられた移動用レール12,13に沿って移動可能になっている。
【0029】
また、充電台14,15は、その本体14b,15bに入力部材を挿入口14d,15dから挿入して刺すための載置部14c,15cを備えている。この載置部14c,15cは、入力部材の単なる置き場所ではなく、キャリブレーション時に入力部材を固定させるためにも用いる。
【0030】
充電台14,15の載置部14c,15cは、その内部構成例を図5で示すように、入力部材の挿入口14d,15dから続く貫通穴を形成している。また、図6に示すように入力部材2は、その本体21に比べてペン先22が細くなっており、充電台14,15における挿入口14d,15dから続く貫通穴の最下部はペン先22にある程度合うようにテーパ部19が設けられている。
【0031】
また、入力部材2の本体の外周には、充電用の一対の電極25が設けられている。また、挿入口14d,15dから続く貫通穴の内側には、入力部材2における電極25と接触する充電台側の一対の電極18が設けられている。その電極18は充電台14,15の給電部(図示せず)へ繋がっていて、充電台14,15の給電部から電子黒板の本体裏側へと接続されている。ここで、入力部材2を充電台14,15に刺した時にペン型の入力部材2側の電極25と充電台14,15側の電極18とが接触するようになっている。このため、入力部材2を充電台14や充電台15に刺すと充電台14,15と入力部材2とが電気的に接続され、上述した給電機構から入力部材2の内部の充電池を充電することができる。
【0032】
また、入力部材2を充電台14,15に刺した際、電極同士をしっかり接続すること、ペン先22の先端部分にある入力用スイッチ23が表示パネル11におけるタッチセンサに反応する位置にあること、が必要である。従って、充電台14,15には上記貫通穴の内周に軟質樹脂の突起(凸部)16が設けられており、それに合うように、入力部材2の本体の外周には充電台14,15の軟質樹脂が引っ掛かるような窪み(凹部)24が設けられている。入力部材2が充電台14,15に刺された際には、図7に示すように、突起16と窪み24とにより、充電台14,15に入力部材2が軽く固定される。無論、入力部材2を挿入口14d,15dから上記貫通穴に刺して突起16と窪み24で固定したときに、図7に示すように入力用スイッチ23が表示パネル11におけるタッチセンサに反応する位置にあるように、充電台14,15における上記貫通穴の位置や角度なども適切に決めておく。
【0033】
また、充電台14,15には、突起16の奥側に入力部材2が挿入されたことをスイッチや圧力変化などにより検出する入力部材検出部17を備える。上述したキャリブレーション部は、充電台14,15に設けた入力部材検出部17と、図示しない位置に設けたコンピュータなどの制御部とによって構成でき、その制御部によりキャリブレーションのための計算を行い、キャリブレーション値である設定変更値を内部のメモリに記憶するようになっている。制御部では、上記計算やユーザインターフェース画像の表示処理をプログラムにより実行するように構成しておけばよい。
【0034】
次に、図8〜図13を参照しながら、上述したようなタッチ式入力装置を実際に使用する場合のユーザ操作及び処理の流れ、並びにユーザインターフェースについて説明する。
【0035】
図8〜図12は、図1のタッチ式入力装置の表示部に表示するメッセージの例を示す図で、図8は終了確認メッセージ、図9は充電台移動メッセージ(X軸)、図10は充電台移動メッセージ(Y軸)、図11は入力部材の引き抜きメッセージ、図12は終了メッセージを示している。また、図13は、図1のタッチ式入力装置における終了モード開始時の処理例を説明するためのフロー図である。
【0036】
図13の流れにそって説明する。まず、ユーザがタッチ式入力装置(この例では電子黒板)1の使用を終了するときに、ユーザが終了のボタン、アイコン等を選ぶと、図8に示すように終了するか否かを確認するためのメッセージ30が表示パネル11に表示出力される。ここで、「いいえ」キー30bがユーザによって選択されるとメッセージ30は消え、電源OFFの処理自体を終了する(図示せず)が、「はい」キー30aが選択されるとキャリブレーションのモードに入る(ステップS1)。
【0037】
上述したキャリブレーション部は、大まかに説明すると、充電台14又は充電台15に入力部材2を載置した状態で、タッチされた入力位置を検出して、検出した入力位置(座標)が、表示させた位置(表示座標)に合うように検出結果に補正をかける(若しくは表示位置をずらす)ことで、キャリブレーションを行う。
【0038】
また、充電台14,15と2台の充電台を設けた例であるため、1度に一方の充電台にしか入力部材2が挿入されない。よって、キャリブレーションをX軸、Y軸交互に行うモードを用意しておき、例えば前回X軸方向のキャリブレーションを行っていた場合はそれを内部のメモリに記憶しておき、今回は左側の充電台15に入力部材2を置いたときにY軸方向のキャリブレーションを行うようにすればよい。なお、勿論、予備も含めて2台の入力部材2を設けておいてもよく、その場合には同時にX軸、Y軸でのキャリブレーション用データを得ることができる。
【0039】
X軸、Y軸交互にキャリブレーションを行う例を挙げて、ステップS1に続く処理を説明する。ユーザ操作以外については基本的にキャリブレーション部が主体となって以下の処理を実行するものとする。
【0040】
まず、前回のキャリブレーションの履歴をメモリから読み出してチェックする(ステップS2)。前回Y軸方向のキャリブレーションを行っていた場合又は今回が初回のキャリブレーションであった場合には、今回は下側の充電台14に入力部材2を置いた状態でX軸方向のキャリブレーションを行うようにするため、図9に例示するようにX軸方向の充電台14用の移動メッセージ31を表示させる(ステップS3)。このメッセージ31には移動位置を示す、充電台14のX軸方向の幅をもった印31aを含むようにしておく。つまり、表示パネル11における下枠の移動用レール12の傍に、充電台14の移動を促すメッセージ31及び充電台の位置合わせの印31aを表示させる。
【0041】
一方、前回X軸方向のキャリブレーションを行っていた場合には、今回は左側の充電台15に入力部材2を置いた状態でY軸方向のキャリブレーションを行うようにするため、図10に例示するようにY軸方向の充電台15用の移動メッセージ32を表示させる(ステップS4)。このメッセージ32には移動位置を示す、充電台15のY軸方向の幅をもった印32aを含むようにしておく。
【0042】
続いて、ユーザが、その印31a(又は印32a)の位置にレール上の充電台15(又は充電台14)を移動し(ステップS5)、充電台15(又は充電台14)に入力部材2を差し込む(ステップS6)。ステップS6の動作を入力部材検出部(スイッチ)17が検出することで、入力部材2が刺されたことを検知する(ステップS7)。この状態は、ペン先がタッチセンサに反応する位置に来ている状態であり、キャリブレーション部は、タッチパネルを介して、ペン先のスイッチ23の表示パネル11上の位置として座標を取得する(ステップS8)。なお、入力部材2を充電台15(又は充電台14)に差し込んでステップS7の検知を行った後、予め定めた所定の時間内にその印31a(又は印32a)の位置に充電台15(又は充電台14)を移動するように構成してもよい。いずれにしても、入力部材2が差し込まれ且つ印31a(又は印32a)に充電台15(又は充電台14)が移動された状態で、入力部材2のペン先の座標を取得する。
【0043】
次に、補正に必要なだけの個数のデータが取得できたか否かを判定し(ステップS9)、NOである場合には、その後、図11に示すように、入力部材2であるペンを充電台15(又は充電台14)から抜くことを促すメッセージ33を表示パネル11に表示させ(ステップS10)、ステップS2へ戻る。そして、ステップS2〜S9の処理を繰り返す。
【0044】
一方、ステップS9でYESの場合には、ステップS8で入力された位置(充電台15を移動させた場合はY座標、充電台14を移動させた場合はX座標)と、表示パネル11に表示した位置の座標(実際には、ずれがない場合において、印31aや印32aを表示したときに入力用スイッチ23がタッチパネルに接する位置の座標)とを比較して補正する(ステップS11)。ここでは、充電台15を移動させた結果に基づきY軸方向のキャリブレーションが実行でき、充電台14を移動させた結果に基づきX軸方向のキャリブレーションが実行できる。また今回補正したのがX軸方向であるのか、Y軸方向であるのかもメモリに記録しておく。このメモリをチェックすることで、次回は異なる軸方向の補正をすることができるようになる。
【0045】
このように、ステップS11の後、そのキャリブレーションの結果と対象となった軸方向とを関連付けてメモリに記憶し、電源をOFFにする(ステップS12)。また、ステップS12では、電源をOFFする前に、図12で示すようなキャリブレーション(補正)が完了したことを示すメッセージ34を表示パネル11に表示し、メッセージ34内の「了解」キー34aを、ユーザが入力部材2を再び手にとって選択するようにしてもよい。そして、「了解」キー34aが選択された段階で電源をOFFすればよい。
【0046】
ここで、ステップS9での判定の必要性について補足する。ステップS9の判定は、Y軸、又はX軸について、1回のキャリブレーションで補正を実行するまでに所定回数座標を取得すると事前に設定しておき、その回数分の個数のデータが揃った段階でYESとなる。このようにすることで、補正の精度を上げることができる。そのためには、ステップS12で、メモリに記録する情報を、軸方向のみならず、その回数も含めて記録しておけばよい。
【0047】
さらに、図示しないが、X軸方向とY軸方向でずれの大きさを比較し、大きさが異なる場合、例えばX軸方向の方がずれが大きく出る場合は、X軸方向、Y軸方向を交互に補正せず、X軸方向を2回、Y軸方向を1回、と回数の比率を変えるようにしてもよい。
【0048】
また、X軸方向とY軸方向とのずれがタッチパネル上の座標と表示パネル11上の座標の平行移動ではない場合は、一度に複数の個所を補正する必要があるが、その場合には座標を取得した後、同じ方向、即ち直前にY軸方向の座標を取得した後、再びY軸方向の充電台15の移動を促すメッセージを表示すればよい。但し、このとき、表示する位置は前回のとは違う位置、つまり印31aの位置を変えるようにする。つまり、印31aや印32aが現れる位置はその都度変わるようプログラムされていることが好ましい。このように、キャリブレーション用のデータは1点でも補正可能であるが、複数点、特に離間した2点以上で行うことが精度を上げることができるため好ましい。
【0049】
また、このような複数点のデータを用いての補正は、X軸方向とY軸方向とのずれがタッチパネル上の座標と表示パネル11上の座標の平行移動であるか否かの判定を行わずに、実行してもよい。これにより、1点のデータでの補正に比べて精度を上げることができる。
【0050】
また、1点のデータで補正を実行する場合でも、キャリブレーションの実行の度に印31aや印32aの位置を変えるようにしておくことで、次回別の場所のデータに基づき補正できるため、補正精度を上げることができる。例えば、直前にY軸方向の座標を取得した場合、Y軸方向の充電台15の移動を促すメッセージを、前回とは違う位置に表示し、、ユーザに入力部材2を充電台に再び刺してもらい、その座標を取得してキャリブレーションを行えばよい。
【0051】
同様に、複数点のデータで補正を実行する場合でも、キャリブレーションの実行の度に印31aや印32aの位置のセットを変えるようにしておくことで、次回別のセットの点でのデータに基づき補正できるため、補正精度を上げることができる。
【0052】
このように、本発明では、キャリブレーション時に、充電台14,15をキャリブレーションに必要な場所に移動してもらい、入力部材2を置く時に(充電のためにセットしてもらう時でもある)キャリブレーションを行う。このように、使用終了時などに入力部材2を充電台14又は充電台15に置いてもらう際に指示を出してその充電台を動かしてもらうことで、キャリブレーションを意識しないが使用する際にもキャリブレーションを行ってもらうことが可能になる。
【0053】
すなわち、本発明のタッチ式入力装置1によれば、キャリブレーションを意識しない人が使用する際にも入力部材2を載置したときという自然な場面でキャリブレーションを実行してもらうことを可能にし、もって入力位置の検出精度を保つことができる。特に上述したように充電台を兼ねるように載置台を構成することで、キャリブレーションが必要であることを知らない人でも、最近の携帯電話機や携帯型音楽再生機などで充電が必要であり意識してくれるような環境が日常にあることから、充電を行うという形でキャリブレーションを行ってもらえるため、長期間安定した精度が得られる。
【0054】
また、充電台14,15の移動はユーザが行うことを前提に説明したが、充電台14,15に自動移動機能をもたせてもよい。その場合、充電台14,15の裏側(表示パネル11側)に、表示パネル11で表示した情報(例えば図9の範囲記号31aや図10の範囲記号32a)を読み取って認識できるカメラを設けておけば、ユーザの手間をかけずに自動的なキャリブレーションも実行することができる。
【0055】
このような自動的なキャリブレーションの例を、図14を参照しながら説明する。図14は、図1のタッチ式入力装置における終了モード開始時の他の処理例を説明するためのフロー図である。
【0056】
まず、ステップS1と同様の処理を行い(ステップS21)、終了を確認すると、キャリブレーションを実行するのでペン(入力部材2)を刺すようにメッセージを表示パネル11に表示させる(ステップS22)。ユーザはこれに従い、入力部材2を充電台14又は充電台15に刺す(ステップS23)。そして、ステップS23の動作を入力部材検出部(スイッチ)17が検出することで、入力部材2が刺されたことを検知する(ステップS24)。
【0057】
次いで、電子黒板となる表示パネル11に、図9の印31aや図10の印32aのようにキャリブレーション位置を表示する(ステップS25)。但し、ここで説明する例では、自動的なキャリブレーションを行うため、図9や図10のようなユーザへのメッセージは必要ない。次に、入力部材2が挿入された方の充電台14又は充電台15が、表示した位置付近に自動的に移動し、その付近からそのキャリブレーション位置をカメラで検索しながらそのキャリブレーション位置に移動する(ステップS26)。そして、検索できた段階で、入力部材2であるペンの座標をタッチパネルが取得する(ステップS27)。
【0058】
次に、補正に必要な個数のデータが取得できたか否かを判定し(ステップS28)、NOであればステップS25へ戻って個数が満たされるまで処理を繰り返し、ステップS28でYESとなった段階で、その入力部材2であるペンの入力位置(座標)とキャリブレーション位置として表示した座標とを比較して、補正を行い(ステップS29)、電源をOFFにする(ステップS30)。
【0059】
以上、図1〜図14を参照しながら2台の載置台を備えた例を挙げたが、1台の載置台だけでも同様の処理は可能である。このような本発明に係るタッチ式入力装置の他の構成例について、図15〜図17を参照しながら説明する。図15〜図17で例示するタッチ式入力装置1a〜1cは、図1で例示したタッチ式入力装置1と同様に表示パネル11及び支持棒10を備えるが、タッチ式入力装置1とは主に、充電台が1台であることと充電台の移動機構とで相違している。より具体的には、図15〜図17で例示するタッチ式入力装置1a〜1cはいずれも載置台としての充電台14又は充電台15を1台備えるだけであり、そのために移動機構として、その1台の載置台を表示部(表示パネル11で例示)に対して水平方向及び垂直方向に移動させる機構を備える必要がある。
【0060】
図15で例示するタッチ式入力装置1aについて説明する。タッチ式入力装置1aでは、表示パネル11の下側に水平軸(X軸)用の移動用レール12aが設けられ、表示パネル11の左側に垂直軸(Y軸)用の移動用レール12cが設けられており、それらが湾曲した移動用レール12bによって連結されている。これらの連結された移動用レール12a,12b,12cにより、充電台14は移動用のレール12a,12b,12c上を隔てなく自由に動くことができるようになる。なお、移動用レール12a,12b,12cは、表示パネル11の枠を構成する四辺のうちの隣り合う2辺において、表示パネル11の枠部分の外側に設けられていればよく、また一体で形成してもよい。この移動機構は、1台の充電台14がX軸方向(下枠又は上枠のレール)からY軸方向(右枠又は左枠のレール)にシームレスに動く機構となっているため、X軸方向、Y軸方向共にキャリブレーションが可能になる。
【0061】
また、充電台14をX軸方向、Y軸方向にシームレスに動かすのではなく、移動用レールそのものを動かすようにしても、X軸方向、Y軸方向共にキャリブレーションは可能である。図16のタッチ式入力装置1bにおいて具備した移動機構は、X軸方向移動用レール12bをY軸方向に移動できるようにした機構の一例である。ここで、X軸移動用レール12bには充電台14がX軸方向にスライド可能な状態で取り付けられている。また、移動用レール12bをY軸方向に移動させるためには、例えば、表示パネル11の左端及び右端にレール13a,13bを設け、移動用レール12bの両端の裏側に各レール13a,13b上をスライドするような例えばローラや保持機構などでなる機構を設けておけばよい。
【0062】
また、図17のタッチ式入力装置1cにおいて具備した移動機構は、Y軸方向移動用レール13cをX軸方向に移動できるようにした機構の一例である。ここで、Y軸移動用レール13cには充電台15がY軸方向にスライド可能な状態で取り付けられている。また、移動用レール13cをX軸方向に移動させるためには、例えば、表示パネル11の上端及び下端にレール12f,12gを設け、移動用レール13cの両端の裏側に各レール12f,12g上をスライドするような例えばローラや保持機構などでなる機構を設けておけばよい。
【0063】
タッチ式入力装置1b,1cで例示したように、移動用レールが電子黒板の上を移動するような機構を採用する場合、充電台14(又は15)への電源供給は、例えば移動用レール12b(又は13c)を移動させるためのレール13a,13b(又は12f,12g)を通して行えばよい。より具体的には、レール13a,13b(又は12f,12g)を通して電気的に、移動用レール12b(又は13c)内に設けた接続部(充電台14(又は15)への給電ケーブルとの接続部)と接続し、その接続部から導出した給電ケーブルを移動用レール12b(又は13c)の端部から引き出し、充電台14(又は充電台15)へ接続すればよい。レール13a,13b(又は12f,12g)の部分への給電は本体内部から行うか、本体裏側から直に出たケーブルにより若しくはコネクタを介して行えばよい。
【0064】
また、載置台の搭載台数を問わず上述した各例では、使用終了時にキャリブレーションを行う例を挙げたが、これに限らず、載置台に載置している状態であればキャリブレーションの実行を開始してもよく、例えば使用開始時(電源ON時)や電源がONのまま入力が一定時間ない場合などにキャリブレーションの実行を開始してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…タッチ式入力装置、2…入力部材、10…支持棒、11…表示パネル、12…水平方向の移動用レール、13…垂直方向の移動用レール、14,15…載置台(充電台)、14a,15a…ケーブル、14b,15b…充電台の本体、14c,15c…載置部、14d,15d…挿入口、14e,15e…貫通穴、16…突起、17…入力部材検出部、18…電極、19…テーパ部、21…入力部材の本体、22…ペン先、23…入力用スイッチ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力部材を載置するための載置台と表示部とを備えたタッチ式入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、表示部に情報を表示しておき、ペン型の入力部材でタッチした位置に基づき情報を入力するタッチ式入力装置が様々な情報処理装置に組み込まれている。例えば、パーソナルコンピュータ(PC)、電子黒板、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話機、電子書籍端末などの情報処理装置において、ユーザインターフェースの一部としてタッチ式入力装置が組み込まれている。
【0003】
このようなタッチ式入力装置のうち、タッチセンサとして電磁誘導方式などを採用したものは電子ペンと呼ばれる、電源を必要とする入力部材を備えている。よって、このような入力部材には、電源として乾電池又は充電池が内蔵されている。乾電池式では一定期間ごとに乾電池を交換する必要があり、深夜、休日などに電池切れを起こした時、乾電池の予備が無い場合に不便をきたす。
【0004】
充電池を内蔵することでこうした不便が解消されるが、時折入力部材の充電を行う必要がある。このような問題を解決するための技術として、特許文献1には、入力ペンとタブレットに充電機構を設けて、使用休止時にペンの電池の小まめな充電が行えるようにしたタッチ式入力装置が開示されている。
【0005】
また、タッチ式入力装置には、抵抗膜方式や光センサ内蔵の液晶パネル等で実現している光検知方式などでは、ユーザの指やスタイラス(スタイラスペンとも言う)などを上記入力部材として使用することができ、これらの方式では入力部材側に電源を必要としない。
【0006】
ところで、このようなタッチ式入力装置では実際にタッチした場所(タッチ位置)とコンピュータの認識した場所との「ずれ」があるため、これを補正(校正)する作業であるキャリブレーションが必要になってくる。このようなキャリブレーションは、タッチ式入力装置の使用開始時に一度行えばよい、といったものではなく、その「ずれ」が時間の経過や環境の変化などによって生じてくるものであるため、随時行うことが好ましいとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−40568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ユーザが専門家であれば、入力部材の充電にしてもキャリブレーションにしても適時行われる可能性が高いが、ユーザがこういった機器にあまり詳しくない人の場合、充電池の残量が無くなったり誤差が大きくなっても、入力部材の充電やキャリブレーションの必要性に気づかず、故障と勘違いすることもある。また、電子黒板など多くの人が共通に使用する装置では、最近キャリブレーションが実行されたのか、充電が実行されたのかについて、使用開始時にはユーザは知ることができず、使用してみてはじめてそれらの必要性に気づくか、若しくは故障と勘違いすることになる。
【0009】
携帯電話機や電動歯ブラシの普及によって充電の必要性は認識されることが多くなったが、キャリブレーションに関してはあまり知られていないため、キャリブレーションが実行されずに、入力部材におけるペン先と実際に画面上で指定される点との差が大きくなり、ユーザの不満となっていた。
【0010】
また、キャリブレーションを行う場合にも、実際に行うには、(I)設定画面に入り、(II)キャリブレーションモードに入る、(III)画面の任意の位置に現れる印をペンで押す。(IV)上記(III)を繰り返す、という様式が多く、設定画面への移行の仕方を知らない人にとっては、その方法を調べること無く後回しにしてしまうことが多いため、より誤差が大きくなっていくといった事態も多く生じている。
【0011】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、タッチ式入力装置において、キャリブレーションを意識しない人が使用する際にも自然にキャリブレーションを実行してもらうことを可能にし、もって入力位置の検出精度を保つことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、入力部材を載置するための載置台と、表示部とを備え、前記入力部材でタッチされた前記表示部における入力位置を検出するタッチ式入力装置であって、前記載置台に前記入力部材を載置した状態で前記入力位置のキャリブレーションを実行するキャリブレーション部を備えることを特徴としたものである。
【0013】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記入力部材は、充電池を内部に有し、前記載置台は、前記充電池を充電する充電台を兼ねることを特徴としたものである。
【0014】
第3の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、前記載置台として、前記表示部に対して水平方向に移動させるための水平移動載置台、及び前記表示部に対して垂直方向に移動させるための垂直移動載置台を備え、前記タッチ式入力装置は、前記水平移動載置台を前記表示部に対して水平方向に移動させる移動機構と、前記垂直移動載置台を前記表示部に対して垂直方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴としたものである。
【0015】
第4の技術手段は、第1又は第2の技術手段において、1台の前記載置台と、該1台の載置台を前記表示部に対して水平方向及び垂直方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るタッチ式入力装置によれば、キャリブレーションを意識しない人が使用する際にも自然にキャリブレーションを実行してもらうことを可能にし、もって入力位置の検出精度を保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係るタッチ式入力装置の一構成例を示す全体図である。
【図2】図1のタッチ式入力装置を裏側から見た全体図である。
【図3】図1のタッチ式入力装置の下側に設けた載置台(充電台)の構成例を示す図である。
【図4】図1のタッチ式入力装置の左側に設けた載置台(充電台)の構成例を示す図である。
【図5】図3及び図4の載置台(充電台)の内部構成例を示す断面図である。
【図6】図1のタッチ式入力装置で用いる入力部材の一例を示す図である。
【図7】図6の入力部材を図3又は図4の載置台(充電台)に刺すことで載置した様子を示す図である。
【図8】図1のタッチ式入力装置の表示部に表示する終了確認メッセージの例を示す図である。
【図9】図1のタッチ式入力装置の表示部に表示する充電台移動メッセージ(X軸)の例を示す図である。
【図10】図1のタッチ式入力装置の表示部に表示する充電台移動メッセージ(Y軸)の例を示す図である。
【図11】図1のタッチ式入力装置の表示部に表示する入力部材の引き抜きメッセージの例を示す図である。
【図12】図1のタッチ式入力装置の表示部に表示する終了メッセージの例を示す図である。
【図13】図1のタッチ式入力装置における終了モード開始時の処理例を説明するためのフロー図である。
【図14】図1のタッチ式入力装置における終了モード開始時の他の処理例を説明するためのフロー図である。
【図15】本発明に係るタッチ式入力装置の他の構成例を示す全体図である。
【図16】本発明に係るタッチ式入力装置の他の構成例を示す全体図である。
【図17】本発明に係るタッチ式入力装置の他の構成例を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係るタッチ式入力装置は、例えば、PC、電子黒板、PDA、携帯電話機(スマートフォンと呼ばれるものも含む)、電子書籍端末などの情報処理装置において、ユーザインターフェースの一部として組み込むことができる。そして、本発明に係るタッチ式入力装置は、入力部材を載置するための載置台と、表示部とを備え、入力部材でタッチされた表示部の入力位置(座標)に基づき、情報を入力する。入力部材としては、例えば、表示部にアイコンを表示しておき、そのアイコンがタッチされたことを検出することで、そのアイコンが選択されたという情報が入力でき、表示を次の段階に遷移させることができる。また、タッチされた入力位置に対応する画素を所定の色で色付けするように表示を行うことで、文字や絵を表示部に描いたりすることもできる。また、通常、ペン型の入力部材が採用される。
【0019】
タッチ式入力装置におけるタッチセンサの検知方式は、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式、静電容量方式、光検知方式など、どのような方式であってもよい。また、通常、タッチセンサと表示部とは別部品として構成できるが、光センサ内蔵型の液晶パネルなど、表示パネルと一体型に構成したものであってもよい。
【0020】
そして、本発明の主たる特徴として、タッチ式入力装置は、載置台に入力部材を載置した状態で入力位置のキャリブレーションを実行するキャリブレーション部を備える。載置台は入力部材が載置されたこと若しくは載置されていることを検知する検知部を有することになるため、載置台がキャリブレーション部の一部の器具を兼ねると言える。
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明に係るタッチ式入力装置について、それを組み込んだ電子黒板を例に挙げて説明する。図1は、本発明に係るタッチ式入力装置の一構成例を示す全体図で、図2は、図1のタッチ式入力装置を裏側から見た全体図である。
【0022】
図1及び図2で例示するタッチ式入力装置1は、所謂、電子黒板と呼ばれるものであり、電子黒板の本体には表示パネル11を備え、タッチ式入力装置1の本体は、支持台に接続された支持棒10で支持されている。この表示パネル11にはタッチパネルが搭載されており、入力部材でタッチすることで入力位置を検出し、情報入力(情報の書き込み)が可能となっている。
【0023】
また、表示パネル11の下側には水平軸(X軸)用の移動用レール12が設けられており、表示パネル11の左側には垂直軸(Y軸)用の移動用レール13が設けられている。移動用レール12,13は、表示パネル11の枠部分の外側に設けられている。移動用レール12には水平方向(X軸方向)にスライド可能な状態で載置台14が取り付けられており、移動用レール13には垂直方向(Y軸方向)にスライド可能な状態で載置台15が取り付けられている。なお、充電台14,15を電子黒板の本体である表示部の下側、左側にそれぞれ設けた例を挙げているが、それぞれ上側、右側に設けてもよい。
【0024】
図1のタッチ式入力装置ではこのように2台の載置台を備えた例を挙げている。このうち、載置台14は表示パネル11に対して水平方向に移動させるための水平移動載置台の例であり、載置台15は表示パネル11に対して垂直方向に移動させるための水平移動載置台の例である。移動用レール12は水平移動載置台を表示パネル11に対して水平方向に移動させる移動機構の例であり、移動用レール13は垂直移動載置台を表示パネル11に対して垂直方向に移動させる移動機構の例である。
【0025】
入力部材は、電源を要する機器であって充電池を内部に備え、載置台14,15は、その充電池を充電する充電台を兼ねるものとする。以下、載置台14,15を充電台として説明する。なお、入力部材は、電源を必要としてもコードレスであることが望ましく、そのためここではコードレスを前提とし、且つ電源として充電池を備えた例を挙げている。但し、入力部材はコードで繋がれて電力供給を受けるものであってもよいし、タッチセンサの検知方式によっては電源を必要としないスタイラスペンであってもよい。但し、それらの場合には、当然、載置台は充電台を兼ねる必要はない。
【0026】
次に、充電台14,15への給電機構を説明する。給電方法についてはいくつかの方法が考えられるが、ここではケーブル14a,15aを用いて電子黒板本体から給電する例を挙げる。充電台14,15のそれぞれと電子黒板の本体とはケーブル14a,15aで繋がっており、電子黒板の本体から充電台14,15へ給電される。充電台14,15の例えば後ろから給電用のケーブル14a,15aが出ており、そのケーブル14a,15aの先は図2に示すように例えば中央に繋がっている。繋がっている部分は直に出ていてもコネクタによる接続でもよい。但し、充電台14,15の移動を妨げないようにケーブル14a,15aの長さに余裕をもたせておく。長さに余裕をもたせておくことで、充電台14,15の位置が電子黒板のケーブル14a,15aの出口から一番遠い場所である角に来る時でも充電台14,15の動きを妨げることはなく、移動可能な充電台14,15が実現できる。
【0027】
充電台14,15及び入力部材の充電機構について、図3〜図7を参照しながら説明する。図3、図4は、それぞれ図1のタッチ式入力装置の下側、左側に設けた充電台の構成例を示す図で、図5は、図3及び図4の充電台の内部構成例を示す断面図である。また、図6は、図1のタッチ式入力装置で用いる入力部材の一例を示す図で、図7は、図6の入力部材を図3又は図4の充電台に刺すことで載置した様子を示す図である。
【0028】
図3で示す充電台14は、X軸方向のキャリブレーションも行う、電子黒板の下部の移動用レール12に取り付ける充電台である。図4で示す充電台15は、Y軸方向のキャリブレーションも行う、電子黒板の左部の移動用レール13に取り付ける充電台である。充電台14,15は、キャリブレーションのためにユーザが移動させる必要があるため、移動用レール12,13に合う貫通穴14e,15eが設けられている。これにより、充電台14,15はそれぞれ表示パネル11の枠部分の外側に設けられた移動用レール12,13に沿って移動可能になっている。
【0029】
また、充電台14,15は、その本体14b,15bに入力部材を挿入口14d,15dから挿入して刺すための載置部14c,15cを備えている。この載置部14c,15cは、入力部材の単なる置き場所ではなく、キャリブレーション時に入力部材を固定させるためにも用いる。
【0030】
充電台14,15の載置部14c,15cは、その内部構成例を図5で示すように、入力部材の挿入口14d,15dから続く貫通穴を形成している。また、図6に示すように入力部材2は、その本体21に比べてペン先22が細くなっており、充電台14,15における挿入口14d,15dから続く貫通穴の最下部はペン先22にある程度合うようにテーパ部19が設けられている。
【0031】
また、入力部材2の本体の外周には、充電用の一対の電極25が設けられている。また、挿入口14d,15dから続く貫通穴の内側には、入力部材2における電極25と接触する充電台側の一対の電極18が設けられている。その電極18は充電台14,15の給電部(図示せず)へ繋がっていて、充電台14,15の給電部から電子黒板の本体裏側へと接続されている。ここで、入力部材2を充電台14,15に刺した時にペン型の入力部材2側の電極25と充電台14,15側の電極18とが接触するようになっている。このため、入力部材2を充電台14や充電台15に刺すと充電台14,15と入力部材2とが電気的に接続され、上述した給電機構から入力部材2の内部の充電池を充電することができる。
【0032】
また、入力部材2を充電台14,15に刺した際、電極同士をしっかり接続すること、ペン先22の先端部分にある入力用スイッチ23が表示パネル11におけるタッチセンサに反応する位置にあること、が必要である。従って、充電台14,15には上記貫通穴の内周に軟質樹脂の突起(凸部)16が設けられており、それに合うように、入力部材2の本体の外周には充電台14,15の軟質樹脂が引っ掛かるような窪み(凹部)24が設けられている。入力部材2が充電台14,15に刺された際には、図7に示すように、突起16と窪み24とにより、充電台14,15に入力部材2が軽く固定される。無論、入力部材2を挿入口14d,15dから上記貫通穴に刺して突起16と窪み24で固定したときに、図7に示すように入力用スイッチ23が表示パネル11におけるタッチセンサに反応する位置にあるように、充電台14,15における上記貫通穴の位置や角度なども適切に決めておく。
【0033】
また、充電台14,15には、突起16の奥側に入力部材2が挿入されたことをスイッチや圧力変化などにより検出する入力部材検出部17を備える。上述したキャリブレーション部は、充電台14,15に設けた入力部材検出部17と、図示しない位置に設けたコンピュータなどの制御部とによって構成でき、その制御部によりキャリブレーションのための計算を行い、キャリブレーション値である設定変更値を内部のメモリに記憶するようになっている。制御部では、上記計算やユーザインターフェース画像の表示処理をプログラムにより実行するように構成しておけばよい。
【0034】
次に、図8〜図13を参照しながら、上述したようなタッチ式入力装置を実際に使用する場合のユーザ操作及び処理の流れ、並びにユーザインターフェースについて説明する。
【0035】
図8〜図12は、図1のタッチ式入力装置の表示部に表示するメッセージの例を示す図で、図8は終了確認メッセージ、図9は充電台移動メッセージ(X軸)、図10は充電台移動メッセージ(Y軸)、図11は入力部材の引き抜きメッセージ、図12は終了メッセージを示している。また、図13は、図1のタッチ式入力装置における終了モード開始時の処理例を説明するためのフロー図である。
【0036】
図13の流れにそって説明する。まず、ユーザがタッチ式入力装置(この例では電子黒板)1の使用を終了するときに、ユーザが終了のボタン、アイコン等を選ぶと、図8に示すように終了するか否かを確認するためのメッセージ30が表示パネル11に表示出力される。ここで、「いいえ」キー30bがユーザによって選択されるとメッセージ30は消え、電源OFFの処理自体を終了する(図示せず)が、「はい」キー30aが選択されるとキャリブレーションのモードに入る(ステップS1)。
【0037】
上述したキャリブレーション部は、大まかに説明すると、充電台14又は充電台15に入力部材2を載置した状態で、タッチされた入力位置を検出して、検出した入力位置(座標)が、表示させた位置(表示座標)に合うように検出結果に補正をかける(若しくは表示位置をずらす)ことで、キャリブレーションを行う。
【0038】
また、充電台14,15と2台の充電台を設けた例であるため、1度に一方の充電台にしか入力部材2が挿入されない。よって、キャリブレーションをX軸、Y軸交互に行うモードを用意しておき、例えば前回X軸方向のキャリブレーションを行っていた場合はそれを内部のメモリに記憶しておき、今回は左側の充電台15に入力部材2を置いたときにY軸方向のキャリブレーションを行うようにすればよい。なお、勿論、予備も含めて2台の入力部材2を設けておいてもよく、その場合には同時にX軸、Y軸でのキャリブレーション用データを得ることができる。
【0039】
X軸、Y軸交互にキャリブレーションを行う例を挙げて、ステップS1に続く処理を説明する。ユーザ操作以外については基本的にキャリブレーション部が主体となって以下の処理を実行するものとする。
【0040】
まず、前回のキャリブレーションの履歴をメモリから読み出してチェックする(ステップS2)。前回Y軸方向のキャリブレーションを行っていた場合又は今回が初回のキャリブレーションであった場合には、今回は下側の充電台14に入力部材2を置いた状態でX軸方向のキャリブレーションを行うようにするため、図9に例示するようにX軸方向の充電台14用の移動メッセージ31を表示させる(ステップS3)。このメッセージ31には移動位置を示す、充電台14のX軸方向の幅をもった印31aを含むようにしておく。つまり、表示パネル11における下枠の移動用レール12の傍に、充電台14の移動を促すメッセージ31及び充電台の位置合わせの印31aを表示させる。
【0041】
一方、前回X軸方向のキャリブレーションを行っていた場合には、今回は左側の充電台15に入力部材2を置いた状態でY軸方向のキャリブレーションを行うようにするため、図10に例示するようにY軸方向の充電台15用の移動メッセージ32を表示させる(ステップS4)。このメッセージ32には移動位置を示す、充電台15のY軸方向の幅をもった印32aを含むようにしておく。
【0042】
続いて、ユーザが、その印31a(又は印32a)の位置にレール上の充電台15(又は充電台14)を移動し(ステップS5)、充電台15(又は充電台14)に入力部材2を差し込む(ステップS6)。ステップS6の動作を入力部材検出部(スイッチ)17が検出することで、入力部材2が刺されたことを検知する(ステップS7)。この状態は、ペン先がタッチセンサに反応する位置に来ている状態であり、キャリブレーション部は、タッチパネルを介して、ペン先のスイッチ23の表示パネル11上の位置として座標を取得する(ステップS8)。なお、入力部材2を充電台15(又は充電台14)に差し込んでステップS7の検知を行った後、予め定めた所定の時間内にその印31a(又は印32a)の位置に充電台15(又は充電台14)を移動するように構成してもよい。いずれにしても、入力部材2が差し込まれ且つ印31a(又は印32a)に充電台15(又は充電台14)が移動された状態で、入力部材2のペン先の座標を取得する。
【0043】
次に、補正に必要なだけの個数のデータが取得できたか否かを判定し(ステップS9)、NOである場合には、その後、図11に示すように、入力部材2であるペンを充電台15(又は充電台14)から抜くことを促すメッセージ33を表示パネル11に表示させ(ステップS10)、ステップS2へ戻る。そして、ステップS2〜S9の処理を繰り返す。
【0044】
一方、ステップS9でYESの場合には、ステップS8で入力された位置(充電台15を移動させた場合はY座標、充電台14を移動させた場合はX座標)と、表示パネル11に表示した位置の座標(実際には、ずれがない場合において、印31aや印32aを表示したときに入力用スイッチ23がタッチパネルに接する位置の座標)とを比較して補正する(ステップS11)。ここでは、充電台15を移動させた結果に基づきY軸方向のキャリブレーションが実行でき、充電台14を移動させた結果に基づきX軸方向のキャリブレーションが実行できる。また今回補正したのがX軸方向であるのか、Y軸方向であるのかもメモリに記録しておく。このメモリをチェックすることで、次回は異なる軸方向の補正をすることができるようになる。
【0045】
このように、ステップS11の後、そのキャリブレーションの結果と対象となった軸方向とを関連付けてメモリに記憶し、電源をOFFにする(ステップS12)。また、ステップS12では、電源をOFFする前に、図12で示すようなキャリブレーション(補正)が完了したことを示すメッセージ34を表示パネル11に表示し、メッセージ34内の「了解」キー34aを、ユーザが入力部材2を再び手にとって選択するようにしてもよい。そして、「了解」キー34aが選択された段階で電源をOFFすればよい。
【0046】
ここで、ステップS9での判定の必要性について補足する。ステップS9の判定は、Y軸、又はX軸について、1回のキャリブレーションで補正を実行するまでに所定回数座標を取得すると事前に設定しておき、その回数分の個数のデータが揃った段階でYESとなる。このようにすることで、補正の精度を上げることができる。そのためには、ステップS12で、メモリに記録する情報を、軸方向のみならず、その回数も含めて記録しておけばよい。
【0047】
さらに、図示しないが、X軸方向とY軸方向でずれの大きさを比較し、大きさが異なる場合、例えばX軸方向の方がずれが大きく出る場合は、X軸方向、Y軸方向を交互に補正せず、X軸方向を2回、Y軸方向を1回、と回数の比率を変えるようにしてもよい。
【0048】
また、X軸方向とY軸方向とのずれがタッチパネル上の座標と表示パネル11上の座標の平行移動ではない場合は、一度に複数の個所を補正する必要があるが、その場合には座標を取得した後、同じ方向、即ち直前にY軸方向の座標を取得した後、再びY軸方向の充電台15の移動を促すメッセージを表示すればよい。但し、このとき、表示する位置は前回のとは違う位置、つまり印31aの位置を変えるようにする。つまり、印31aや印32aが現れる位置はその都度変わるようプログラムされていることが好ましい。このように、キャリブレーション用のデータは1点でも補正可能であるが、複数点、特に離間した2点以上で行うことが精度を上げることができるため好ましい。
【0049】
また、このような複数点のデータを用いての補正は、X軸方向とY軸方向とのずれがタッチパネル上の座標と表示パネル11上の座標の平行移動であるか否かの判定を行わずに、実行してもよい。これにより、1点のデータでの補正に比べて精度を上げることができる。
【0050】
また、1点のデータで補正を実行する場合でも、キャリブレーションの実行の度に印31aや印32aの位置を変えるようにしておくことで、次回別の場所のデータに基づき補正できるため、補正精度を上げることができる。例えば、直前にY軸方向の座標を取得した場合、Y軸方向の充電台15の移動を促すメッセージを、前回とは違う位置に表示し、、ユーザに入力部材2を充電台に再び刺してもらい、その座標を取得してキャリブレーションを行えばよい。
【0051】
同様に、複数点のデータで補正を実行する場合でも、キャリブレーションの実行の度に印31aや印32aの位置のセットを変えるようにしておくことで、次回別のセットの点でのデータに基づき補正できるため、補正精度を上げることができる。
【0052】
このように、本発明では、キャリブレーション時に、充電台14,15をキャリブレーションに必要な場所に移動してもらい、入力部材2を置く時に(充電のためにセットしてもらう時でもある)キャリブレーションを行う。このように、使用終了時などに入力部材2を充電台14又は充電台15に置いてもらう際に指示を出してその充電台を動かしてもらうことで、キャリブレーションを意識しないが使用する際にもキャリブレーションを行ってもらうことが可能になる。
【0053】
すなわち、本発明のタッチ式入力装置1によれば、キャリブレーションを意識しない人が使用する際にも入力部材2を載置したときという自然な場面でキャリブレーションを実行してもらうことを可能にし、もって入力位置の検出精度を保つことができる。特に上述したように充電台を兼ねるように載置台を構成することで、キャリブレーションが必要であることを知らない人でも、最近の携帯電話機や携帯型音楽再生機などで充電が必要であり意識してくれるような環境が日常にあることから、充電を行うという形でキャリブレーションを行ってもらえるため、長期間安定した精度が得られる。
【0054】
また、充電台14,15の移動はユーザが行うことを前提に説明したが、充電台14,15に自動移動機能をもたせてもよい。その場合、充電台14,15の裏側(表示パネル11側)に、表示パネル11で表示した情報(例えば図9の範囲記号31aや図10の範囲記号32a)を読み取って認識できるカメラを設けておけば、ユーザの手間をかけずに自動的なキャリブレーションも実行することができる。
【0055】
このような自動的なキャリブレーションの例を、図14を参照しながら説明する。図14は、図1のタッチ式入力装置における終了モード開始時の他の処理例を説明するためのフロー図である。
【0056】
まず、ステップS1と同様の処理を行い(ステップS21)、終了を確認すると、キャリブレーションを実行するのでペン(入力部材2)を刺すようにメッセージを表示パネル11に表示させる(ステップS22)。ユーザはこれに従い、入力部材2を充電台14又は充電台15に刺す(ステップS23)。そして、ステップS23の動作を入力部材検出部(スイッチ)17が検出することで、入力部材2が刺されたことを検知する(ステップS24)。
【0057】
次いで、電子黒板となる表示パネル11に、図9の印31aや図10の印32aのようにキャリブレーション位置を表示する(ステップS25)。但し、ここで説明する例では、自動的なキャリブレーションを行うため、図9や図10のようなユーザへのメッセージは必要ない。次に、入力部材2が挿入された方の充電台14又は充電台15が、表示した位置付近に自動的に移動し、その付近からそのキャリブレーション位置をカメラで検索しながらそのキャリブレーション位置に移動する(ステップS26)。そして、検索できた段階で、入力部材2であるペンの座標をタッチパネルが取得する(ステップS27)。
【0058】
次に、補正に必要な個数のデータが取得できたか否かを判定し(ステップS28)、NOであればステップS25へ戻って個数が満たされるまで処理を繰り返し、ステップS28でYESとなった段階で、その入力部材2であるペンの入力位置(座標)とキャリブレーション位置として表示した座標とを比較して、補正を行い(ステップS29)、電源をOFFにする(ステップS30)。
【0059】
以上、図1〜図14を参照しながら2台の載置台を備えた例を挙げたが、1台の載置台だけでも同様の処理は可能である。このような本発明に係るタッチ式入力装置の他の構成例について、図15〜図17を参照しながら説明する。図15〜図17で例示するタッチ式入力装置1a〜1cは、図1で例示したタッチ式入力装置1と同様に表示パネル11及び支持棒10を備えるが、タッチ式入力装置1とは主に、充電台が1台であることと充電台の移動機構とで相違している。より具体的には、図15〜図17で例示するタッチ式入力装置1a〜1cはいずれも載置台としての充電台14又は充電台15を1台備えるだけであり、そのために移動機構として、その1台の載置台を表示部(表示パネル11で例示)に対して水平方向及び垂直方向に移動させる機構を備える必要がある。
【0060】
図15で例示するタッチ式入力装置1aについて説明する。タッチ式入力装置1aでは、表示パネル11の下側に水平軸(X軸)用の移動用レール12aが設けられ、表示パネル11の左側に垂直軸(Y軸)用の移動用レール12cが設けられており、それらが湾曲した移動用レール12bによって連結されている。これらの連結された移動用レール12a,12b,12cにより、充電台14は移動用のレール12a,12b,12c上を隔てなく自由に動くことができるようになる。なお、移動用レール12a,12b,12cは、表示パネル11の枠を構成する四辺のうちの隣り合う2辺において、表示パネル11の枠部分の外側に設けられていればよく、また一体で形成してもよい。この移動機構は、1台の充電台14がX軸方向(下枠又は上枠のレール)からY軸方向(右枠又は左枠のレール)にシームレスに動く機構となっているため、X軸方向、Y軸方向共にキャリブレーションが可能になる。
【0061】
また、充電台14をX軸方向、Y軸方向にシームレスに動かすのではなく、移動用レールそのものを動かすようにしても、X軸方向、Y軸方向共にキャリブレーションは可能である。図16のタッチ式入力装置1bにおいて具備した移動機構は、X軸方向移動用レール12bをY軸方向に移動できるようにした機構の一例である。ここで、X軸移動用レール12bには充電台14がX軸方向にスライド可能な状態で取り付けられている。また、移動用レール12bをY軸方向に移動させるためには、例えば、表示パネル11の左端及び右端にレール13a,13bを設け、移動用レール12bの両端の裏側に各レール13a,13b上をスライドするような例えばローラや保持機構などでなる機構を設けておけばよい。
【0062】
また、図17のタッチ式入力装置1cにおいて具備した移動機構は、Y軸方向移動用レール13cをX軸方向に移動できるようにした機構の一例である。ここで、Y軸移動用レール13cには充電台15がY軸方向にスライド可能な状態で取り付けられている。また、移動用レール13cをX軸方向に移動させるためには、例えば、表示パネル11の上端及び下端にレール12f,12gを設け、移動用レール13cの両端の裏側に各レール12f,12g上をスライドするような例えばローラや保持機構などでなる機構を設けておけばよい。
【0063】
タッチ式入力装置1b,1cで例示したように、移動用レールが電子黒板の上を移動するような機構を採用する場合、充電台14(又は15)への電源供給は、例えば移動用レール12b(又は13c)を移動させるためのレール13a,13b(又は12f,12g)を通して行えばよい。より具体的には、レール13a,13b(又は12f,12g)を通して電気的に、移動用レール12b(又は13c)内に設けた接続部(充電台14(又は15)への給電ケーブルとの接続部)と接続し、その接続部から導出した給電ケーブルを移動用レール12b(又は13c)の端部から引き出し、充電台14(又は充電台15)へ接続すればよい。レール13a,13b(又は12f,12g)の部分への給電は本体内部から行うか、本体裏側から直に出たケーブルにより若しくはコネクタを介して行えばよい。
【0064】
また、載置台の搭載台数を問わず上述した各例では、使用終了時にキャリブレーションを行う例を挙げたが、これに限らず、載置台に載置している状態であればキャリブレーションの実行を開始してもよく、例えば使用開始時(電源ON時)や電源がONのまま入力が一定時間ない場合などにキャリブレーションの実行を開始してもよい。
【符号の説明】
【0065】
1…タッチ式入力装置、2…入力部材、10…支持棒、11…表示パネル、12…水平方向の移動用レール、13…垂直方向の移動用レール、14,15…載置台(充電台)、14a,15a…ケーブル、14b,15b…充電台の本体、14c,15c…載置部、14d,15d…挿入口、14e,15e…貫通穴、16…突起、17…入力部材検出部、18…電極、19…テーパ部、21…入力部材の本体、22…ペン先、23…入力用スイッチ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部材を載置するための載置台と、表示部とを備え、前記入力部材でタッチされた前記表示部における入力位置を検出するタッチ式入力装置であって、
前記載置台に前記入力部材を載置した状態で前記入力位置のキャリブレーションを実行するキャリブレーション部を備えることを特徴とするタッチ式入力装置。
【請求項2】
前記入力部材は、充電池を内部に有し、前記載置台は、前記充電池を充電する充電台を兼ねることを特徴とする請求項1に記載のタッチ式入力装置。
【請求項3】
前記載置台として、前記表示部に対して水平方向に移動させるための水平移動載置台、及び前記表示部に対して垂直方向に移動させるための垂直移動載置台を備え、
前記タッチ式入力装置は、前記水平移動載置台を前記表示部に対して水平方向に移動させる移動機構と、前記垂直移動載置台を前記表示部に対して垂直方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチ式入力装置。
【請求項4】
1台の前記載置台と、該1台の載置台を前記表示部に対して水平方向及び垂直方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチ式入力装置。
【請求項1】
入力部材を載置するための載置台と、表示部とを備え、前記入力部材でタッチされた前記表示部における入力位置を検出するタッチ式入力装置であって、
前記載置台に前記入力部材を載置した状態で前記入力位置のキャリブレーションを実行するキャリブレーション部を備えることを特徴とするタッチ式入力装置。
【請求項2】
前記入力部材は、充電池を内部に有し、前記載置台は、前記充電池を充電する充電台を兼ねることを特徴とする請求項1に記載のタッチ式入力装置。
【請求項3】
前記載置台として、前記表示部に対して水平方向に移動させるための水平移動載置台、及び前記表示部に対して垂直方向に移動させるための垂直移動載置台を備え、
前記タッチ式入力装置は、前記水平移動載置台を前記表示部に対して水平方向に移動させる移動機構と、前記垂直移動載置台を前記表示部に対して垂直方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチ式入力装置。
【請求項4】
1台の前記載置台と、該1台の載置台を前記表示部に対して水平方向及び垂直方向に移動させる移動機構とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載のタッチ式入力装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−128762(P2012−128762A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−281252(P2010−281252)
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月17日(2010.12.17)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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