説明

タッチ式電気変色装置

【課題】抵抗式またはコンデンサー式タッチパネルなどのタッチ式電気変色装置を提供する。
【解決手段】本発明を抵抗式タッチパネルに結合されたとき、第1透明導電基材と第2導電基材とを備えた抵抗式タッチパネル部と、純液体物質からなり、抵抗式タッチパネル部に注入する電気変色部材と、第1透明導電基材と第2導電基材内部の周縁に設ける絶縁体と、抵抗式タッチパネル部に電気接続され、外部からのタッチ信号により電気変色部材電気変色部材の外部電源のオンまたはオフを制御するコントローラー、とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電気変色分野に関し、特にタッチパネルに結合し、タッチ方式により、電気変色部材の変色と褪色を駆動するタッチ式電気変色装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気変色部材の運用はすでに幅広く実施されている。良く見かけるものは、スマートウィンドウがある。この種のウィンドウは通常建造物のガラスまたは自動車の天窓に応用され、太陽熱の放射または日差しを阻止する。反射率を改変可能なミラー、この種は自動車のバックミラーに多く使用されている。電気変色特性を利用した自己発光ディスプレイなど各種の特殊運用分野がある。
【0003】
電気変色の特性は、導電後の化学反応により、部材の色調または透過率に変化が起きることをいう。この種の電気変色理論は1961年、Platt氏によって提示されている。電子を励起されると、新しい光吸収帯域(もう一つの色)を形成される。その主な原因は電子の変換遷移または酸化還元により、電気の獲得と消耗を形成し、変色または褪色の機能を実現できる。たとえば、材料の応用において、酸化タングステン(WO3)はすでに幅広く研究ならび運用されており、かつ酸化タングステンに極めて良い電気変色特性を有する。その一般式(1)は以下のとおり示す。
【0004】
【化1】

(無色またはレモン色) (青色または紺青色)
【0005】
式中、M+はそれぞれイオンH+、Li+、Na+またはK+を表される。変色について、陽電位を印加すると、逆反応を引き起こして褪色状態となり、陰電位を印加すると、電流が中断した後も、色が一定の時間を維持してから完全に褪色され、記憶の特性を有する。
【0006】
前述した省エネウィンドウまたはスマートガラスなどに関する分野での応用は、通常、図1または2に示すように、2つの透明基材10の間に、内側へ順を追って透明導電層12、電気変色層14(固体がほとんど)と電解質層16(液体または固体)を設けられている。または、2つの透明基材10の間に、内側へ順を追って透明導電層12、電気変色層14(固体がほとんど)、イオン格納層18(固体のフィルム)と電解質層16(液体または固体)からなる。主に中華民国特許公報第TW200734782号(特許文献1)、中華民国特許公報第TW200801759号(特許文献2)、中華民国特許公報第TW200907523号(特許文献3)はその適用例である。このほか、電気変色素子の電源制御はすげて外付けの分離型のスイッチにより操作されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】中華民国特許公報第TW200734782号
【特許文献2】中華民国特許公報第TW200801759号
【特許文献3】中華民国特許公報第TW200907523号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上の説明から、発明者は公知技術の構造と電源切換えによる変色/褪色操作がなお改善の余地があることに気づき、当該産業で長年に従事し蓄積された経験に基づき、鋭意に研究した結果、電気変色素子全体構造を公知技術に比べ、より軽薄、かつ光透過性が優れるタッチ式電気変色装置を発明した。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述課題について、本発明の目的は一種の公知技術の電気変色素子の構造に比べ、より軽く、薄く、光透過性を優れる、さらに、タッチパネルの操作原理を利用し、本発明の電源のオン/オフによる電気変色部材の変色/褪色操作がより便利に行えるタッチ式電気変色装置を提供し、有効に省エネウィンドウ、スマートガラスなどの分野に応用できる。
【0010】
前述の目的を達成するため、本発明は以下のタッチ式電気変色装置を提供する。主に、抵抗式タッチパネル部は、第1透明導電基材と、第1透明導電基材に対向して互いに平行して設けられ、第1透明導電基材とそれぞれ第1電源の正負端に接続する第2導電基材と、第1透明導電基材と第2導電基材との間に設け、互いに電気接触を防止する複数のスペーサーと、純液体物質からなり、第1透明導電基材と第2導電基材との間に注入され、対向する2つの端面はそれぞれ第2電源の正極と負極に導通する電気変色部材と、第1透明導電基材と第2導電基材内部の周縁に設けられ、第2電源の正極と負極がそれぞれ第1透明導電基材と第2導電基材と電気接続することを阻止し、かつ電気変色部材を完全に抵抗式タッチパネル部に封入する絶縁体と、抵抗式タッチパネル部に電気接続され、外部からのタッチ信号を処理し、第2電源のオンまたはオフを駆動するコントローラー、とを備える。
【0011】
そのうち、第1透明導電基材の表面に導電性材料が塗布されている。たとえば、インジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide, ITO)、インジウム酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide, IZO)、酸化亜鉛アルミニウム(Al−doped ZnO, AZO)、酸化アンチモン錫(Antimony Tin Oxide, ATO)、ナノカーボンチューブ(carbon nanotube)、ポリエチレンジオキシチオフェン(Poly−3,4−Ethylenedioxythiophene, PEDOT)、ポリアニリン(polyaniline)のいずれかの導電性材料のガラス、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate, PET)、ポリカーボネート(Poly Carbonate, PC)、ポリエチレン(polyethylene, PE)、塩化ポリビニール(Poly Vinyl Chloride, PVC)、ポリプロピレン(Poly Propylene, PP)、ポリエチレン(Poly Styrene, PS)、ポリメタクリル酸メチル(Polymethylmethacrylate, PMMA)あるいはその混合物のプラスチック重合物のいずれかを選択して、透明、導電性の特性の目的を実現する。このほか、スマートウィンドウまたは省エネウィンドウの実施について、第2導電基材は透明部材であり、反射ミラーの実施について、第2導電基材は不透明または反射式部材である。
なお、本発明において、抵抗式タッチパネル部に注入する電気変色部材の成分は、主に有機材料と溶剤からなる。電気変色部材は少なくとも一種の有機材料と少なくとも一種の無機材料を備えるほか、複数種の有機、無機材料の混合溶液であっても良い。そのうち、有機材料は酸化還元指示薬、PH指示薬または有機化合物である。さらに、酸化還元指示薬はメチレンブルー、ジクロロフェノールインドフェノールナトリウム、N−フェニルアントラニル酸、ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルベンジジンまたはメチルビオローゲンである。なお、PH指示薬はバリアミンブルーBジアゾニウム塩Bであり、有機化合物はフェロセン(Ferrocene, Fe(C552)、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(7,7,8,8−Tetracyanoquinodimethane)である。このほか、無機材料は遷移元素の酸化物、硫化物、塩化物または水酸化物より選択する。そのうち、遷移元素はスカンジウム亜族、チタニウム亜族、バナジウム亜族、クロム亜族、マンガン亜族、鉄族、銅亜族、亜鉛亜族または白金亜族より選択する。そのほか、無機材料はハロゲン族無機誘導体、酸素族無機誘導体、窒素族無機誘導体、カーボン族無機誘導体、ホウ素族無機誘導体、アルカリ土類無機派生物またはアルカリ土類無機誘導体である。そのうち、無機材料は塩化第一鉄(FeCl2)、塩化第二鉄(FeCl3)、三塩化チタン(TiCl3)、四塩化チタン(TiCl4)、塩化ビスマス(III)(BiCl3)、塩化銅(CuCl2)または臭化リチウム(LiBr)より選択することができる。そのうち、溶剤はジメチルスルホキシド[(CH32SO]、炭酸プロピレン(C463)、水、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、シアン化エチル、ベンゾニトリル、グルタロニトリル、メチルグルタロニトリル、3,3'−オキシジプロピオニトリル、ヒドロキシプロピオニトリル、ジメチルホルムアミ、N−メチルピロリジンケトン、スルホラン、3−メチルスルホランまたはその混合物より選択することができる。
【0012】
このほか、溶液型電気変色部材をゲル状に形成し、液体の流動を減少し液漏れの問題を避け、変色の均一化させ、光格子の線状が外力による変形を防止するため、電気変色部材はさらに電解質または高分子重合物を備えている。
【0013】
前述目的を達成するため、本発明はさらに一種のタッチ式電気変色装置を提供する。主にコンデンサー式タッチパネル部は、第3透明導電基材と、第3透明導電基材に対向して互いに平行して設ける第4基材と、純液体物質からなり、第3透明導電基材と第4基材との間に注入し、対向する2つの端面はそれぞれ第3電源の正極と負極に接続する電気変色部材と、第3透明導電基材と第4基材内部の周縁に設けられ、第3電源の正極と負極がそれぞれ第3透明導電基材と第4基材との電気接触を防止し、電気変色部材をコンデンサー式タッチパネル部の内部に封入する絶縁体と、抵抗式タッチパネル部に電気接続され、外部からのタッチ信号を処理し第2電源のオンまたはオフを駆動するコントローラー、とを備える。
【0014】
耐え引っかき性と製品寿命を向上するため、第3透明導電基材の表面はさらに保護層を設けられている。保護層の材料はガラス、プラスチックまたは二酸化ケイ素などを使用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の効果は、一種のタッチ式電気変色装置を提供し、公知技術の抵抗式タッチパネルの原理を利用する。ただし、従来で多く使用していた電気変色層に電解質またはイオン格納層を重ね合わせた電気変色素子の構造に対し、純液体物質の電気変色部材を注入することにより、本発明によれば、全体構造が薄くなり、自己清浄化機能を有し、より良い光透過性を実現できる。このほか、電源のオン/オフ制御による電気変色部材の変色/褪色操作は、タッチパネル上で直接に操作できるため、スマートウィンドウまたはスマートガラスに適用されたとき、光透過性の調整または反射状態の操作が簡単になり、使用の利便性と簡素化を大幅に向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】公知技術の電気変色素子の構造態様図である。
【図2】公知技術もう一つの電気変色素子の構造態様図である。
【図3】本発明のタッチ式電気変色装置の構造態様図である。
【図4】本発明のタッチ式電気変色装置の作動フロー図である。
【図5A】本発明のタッチ式電気変色装置を透過型素子に応用した構造態様図である。
【図5B】本発明のタッチ式電気変色装置を透過型素子に応用した構造態様図である。
【図6A】本発明のタッチ式電気変色装置を反射形素子に応用した構造態様図である。
【図6B】本発明のタッチ式電気変色装置を反射形素子に応用した構造態様図である。
【図7】本発明のタッチ式電気変色装置をコンデンサー式タッチパネルに結合された構造態様図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下図面を参照しながら本発明の内容のさらなる理解を図るため詳しく説明する。
【実施例1】
【0018】
図3は、本発明のタッチ式電気変色装置の構造態様図を示したものである。図に示すように、本発明のタッチ式電気変色装置2は主に抵抗式タッチパネル部20と電気変色部材24と絶縁体28とコントローラー(図示しない)とを備える。そのうち、抵抗式タッチパネル部20は一般の抵抗式タッチパネルを使用することができる。よって、本発明の抵抗式タッチパネル部20は少なくとも一つの第1透明導電基材202、一つの第2導電基材204と、複数のスペーサー206とを備える。
そのうち、第1透明導電基材202は表面に導電材料を塗布された透明基材であり、通常はインジウムスズ酸化物導電ガラス(ITO)、ITOプラスチックフィルム、またはインジウムスズ酸化物(Indium Tin Oxide, ITO)、インジウム酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide, IZO)、酸化亜鉛アルミニウム(Al−doped ZnO, AZO)、酸化アンチモン錫(Antimony Tin Oxide, ATO)、ポリエチレンジオキシチオフェン(Poly−3,4−Ethylenedioxythiophene, PEDOT)、ポリアニリン(polyaniline)またはナノカーボンチューブ(carbon nanotube)など導電性材料のガラス、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene Terephthalate, PET)、ポリカーボネート(Poly Carbonate, PC)、ポリエチレン(polyethylene, PE)、塩化ポリビニール(Poly Vinyl Chloride, PVC)、ポリプロピレン(Poly Propylene, PP)、ポリエチレン(Poly Styrene, PS)、ポリメタクリル酸メチル(Polymethylmethacrylate, PMMA)或いはその混合物のプラスチック重合物のいずれかを選択できる。
第2導電基材204は第1透明導電基材202に対向し互いに平行して設けられ、かつ第1透明導電基材202と第2導電基材204はそれぞれ第1電源22の正負端に接続されている。通常、第1透明導電基材202と第2導電基材204は電気的導通した後、通常の電圧差は+5Vが使用されている。第1透明導電基材202と第2導電基材204との間には、スペーサー206によって仕切られている。その目的は、外部よりのタッチ信号がなくても、2つの導電基材が互いに接触して短絡による誤動作を防止する。
【0019】
さらに、電気変色部材24は純液体物質からなり、第1透明導電基材202と第2導電基材204との間に注入されている。抵抗式タッチパネル部20間の第1電源22の電圧差は+5Vである。タッチ機能より提供する電流は、電気変色を引き起こさない範囲でなければならない。よって、電気変色部材24の変色/褪色は駆動されず、影響を受けることはない。このため、電気変色部材24の対向する2つの端面はそれぞれ第2電源26の正極と負極に電気接続し、十分な電圧、電流を与えることにより、電気変色部材24の変色/褪色を駆動することができる。
【0020】
さらに、電気変色部材24は純液体物質からなり、第1透明導電基材202と第2導電基材204の間に注入さられた後は、絶縁体28を第1透明導電基材202と第2導電基材204内部の周縁に設けて置き、第2電源26の正極と負極をそれぞれ第1透明導電基材202と第2導電基材204との電気接続を阻止すると共に、電気変色部材24を抵抗式タッチパネル部20に封入することができる。電気変色部材24の主な成分は少なくとも一つの無機材料、少なくとも一種の無機材料と溶剤を組み合わせてなる。そのうち、有機材料は酸化還元指示薬、PH指示薬または有機化合物より選択することができる。
【0021】
そのうち、酸化還元指示薬はメチレンブルー(Methylene blue, C1618ClN3S・3H2O)、ジクロロフェノールインドフェノールナトリウム(Dichlorophenolindophenol sodium, C126Cl2NNaO2)、N−フェニルアントラニル酸(C1311NO2)、ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム(C1210NNaO3S)、ルアントラニル酸、ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム、(N,N’−Diphenylbenzidine, C20202)またはメチルビオローゲン(Viologen)である。そのうち、ビオローゲン(Viologen)はR置換基の炭素鎖長または構造により様々な色として現れる。なお、R置換基はメチル基(Methyl)、エチル基(Ethyl)、プロピル基(Propyl)、ブチル基(Butyl)、ペンチル基(Pentyl)、ヘキシル基(Hexyl)、ヘプチル基(Heptyl)、オクチル基(Octyl)、イソペンチル基(Iso−pentyl)またはベンジル基(Benzyl)のいずれかである。
その実施例は以下のものがある。 1,1’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド水和物(1,1’−Dimethyl−4,4’−bipyridinium Dichloride Hydrate, MV)、1,1’−ジヘプチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(1,1’−Diheptyl−4,4’−bipyridinium Dibromide, HV)、1,1’−ジベンジル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド水和物(1,1’−Dibenzyl−4,4’−bipyridinium Dichloride Hydrate, BV)、1,1’−ビス(2,4−ジニトロフェニル)−4,4’−ビピリジニウムジクロリド(1,1’−Bis(2,4−dinitrophenyl)−4,4’−bipyridinium Dichloride)、1,1’−ジ−n−オクチル−4,4’−ビピリジニウムジブロミド(1,1’−Di−n−octyl−4,4’−bipyridinium Dibromide, Octyl)、1,1’−ジフェニル−4,4’−ビピリジニウムジクロリド(1,1’−Diphenyl−4,4’−bipyridinium Dichloride)、4,4’−ビピリジル(4,4’−Bipyridyl)など。
【0022】
好ましいPH指示薬の酸塩基指示薬は、バリアミンブルーBジアゾニウム塩B(Variamine Blue B Diazonium salt、C1312ClN3O)であっても良い。
【0023】
有機化合物はフェロセン(Ferrocene, Fe(C552)、7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(7,7,8,8−Tetracyanoquinodimethane)である。
【0024】
このほか、無機材料は遷移元素の酸化物、硫化物、塩化物または水酸化物より選択する。
そのうち、遷移元素は銅亜族(IB)、亜鉛亜族(IIB)、スカンジウム亜族(IIIB)、チタニウム亜族(IVB)、バナジウム亜族(VB)、クロム亜族(VIB)、マンガン亜族(VIIB)、鉄族(VIIIB)と白金亜族(第5、6周期VIIIB)より選択する。
そのほか、無機材料はハロゲン族(VIIA)無機誘導体、酸素族無機誘導体(VIA)、窒素族無機誘導体(VA)、カーボン族無機誘導体(VIA)、ホウ素族無機誘導体(IIIA)、アルカリ土類(IIA)無機派生物またはアルカリ土類(IA)無機誘導体である。
そのうち、無機材料は塩化第一鉄(FeCl2)、塩化第二鉄(FeCl3)、三塩化チタン(TiCl3)、四塩化チタン(TiCl4)、塩化ビスマス(III)(BiCl3)、塩化銅(CuCl2)または臭化リチウム(LiBr)より選択することができる。そのうち、溶剤はジメチルスルホキシド[(CH32SO]、炭酸プロピレン(C463)、水、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、シアン化エチル、ベンゾニトリル、グルタロニトリル、メチルグルタロニトリル、3,3'−オキシジプロピオニトリル、ヒドロキシプロピオニトリル、ジメチルホルムアミ、N−メチルピロリジンケトン、スルホラン、3−メチルスルホランまたはその混合物のいずれかより選択することができる。
前述した有機材料、無機材料は例示された一つまたは他種の組み合わせを選択しても、本発明の材料選択の目的を実現できる。
【0025】
このほか、イオン層24は一種以上の非活性導電塩をさらに含めることができる。導電塩はリチウム、ナトリウムまたはテトラアルキルアミン塩のいずれかを含めても良い。
【0026】
また、電気変色部材24は液体のため液漏れの問題があり、かつ変色するときに形成する光格子の線状は外部より僅かな力量を加わることで形状変化を引き起こすことを防止すため、電気変色部材24において、電解質または高分子重合物を備えている。
これにより、前述の課題が解決されるほか、変色の均一度とも純液体物質より良い。
そのうち、電解質は過塩素酸リチウム(LiClO4)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化ナトリウム(NaOH)またはケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)であっても良い。
一方、高分子重合物は高フッ化樹脂、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸) (Poly(2−acrylamido−2−methyl−1−propanesulfonic acid, PAMAS)、ポリビニルアルコールりん酸( poly(vinylalcohol phosphoric acid, PAVA)、ポリエチレンオキシド( Polyethylene oxide, PEO)、ポリエチレンイミン(polyethyleneimine, PEI)、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート(Tetrabutylammonium tetrafluoroborate)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、フェニルりん酸(Phenyl Acid Phosphate, PAP)、ポリビニルピロリドン(Polyvinyl Pyrrolidone, PVP)のうちの一種または多種の混合物を選択する。
【0027】
引き続き、図4を参照して説明する。図4は本発明のタッチ式電気変色装置の動作フロー図である。本発明によれば、抵抗式タッチパネル部20をタッチ操作することにより、電気変色部材24の変色/褪色を実現できる。具体的な操作について、使用者はまず指部その他タッチ物質を抵抗式タッチパネル部20に直接にタッチすることにより外部タッチ信号を形成させる。引き続き、外部タッチ信号は抵抗式タッチパネル部20に電気接続されたコントローラーによって、たとえば、アナログ信号をデジタル信号に変換するなど信号処理が行われる。続いて、処理された外部タッチ信号より、第2電源26のオンまたはオフを駆動することにより、電気変色部材24が変色または褪色の化学反応を引き起こす。これにより、一つの具体的なフロー操作を完了する。
【0028】
図5Aと5Bを参照して説明する。図5Aと5Bは本発明のタッチ式電気変色装置を透過型素子に応用した構造態様図である。図に示すように、本実施例は主に第1透明導電基材202と第2導電基材204とも透明な材質を使用し、たとえば、高い光透過性および高導電度のITOガラスが使用されている。
具体的な応用例は、スマートウィンドウまたはフィルタなどの類似製品に適用できる。図示のように、電気変色部材24が変色される前に、光線41は一般の材質のように、直接に通過される。光線41強さの減衰においても具体的な影響はない。
一方、電気変色部材24が変色した後、電気変色部材24に通過する光線41の強さの減衰は顕著的となる。光線41通過量の多寡(減衰程度)は第1透明導電基材202と第2導電基材204の電位差、溶液のpH値、溶液の濃度、溶剤の極性、両極間の距離および誘電率によって決められる。
【0029】
さらに、図6Aと6Bを参照して説明する。図6Aと6Bは、本発明のタッチ式電気変色装置を透過型素子に応用した構造態様図である。図示のように、本実施例は主に第1透明導電基材202が透明な材質である。たとえば、高い光透過性および高導電度を有するITOガラスを使用し、第2導電基材204は不透明または反射式部材、たとえば、白金またはロジウム合金などの反射層を使用する。
具体的な応用例は、まぶしい光を消すバックミラーなどの製品に適用できる。
図示のように、電気変色部材24が変色する前に、光線41はそのまま反射され、強さの減衰は具体的な影響はない。一方、電気変色部材24が着色した後、電気変色部材24に通過する光線41の強さの減衰は顕著的のため、強い光が反射によって、まぶしい光は大幅に減衰される。光線41通過量の多寡(減衰程度)は第1透明導電基材202と第2導電基材204の電位差、溶液のpH値、溶液の濃度、溶剤の濃度、溶液の極性、両極間の距離および誘電率によって決められる。
【実施例2】
【0030】
図7を参照して説明する。図7は本発明のタッチ式電気変色装置をコンデンサー式タッチパネルに結合された構造態様図である。図3乃至図6Bは主に電気変色部材を抵抗式タッチパネル部に結合された電気変色部材による電源駆動の好ましい実施例の説明である。
本実施例は、電気変色部材の電源駆動もタッチ操作によって実施する。
ただし、タッチパネルは前述した実施例の構造の代わりに、コンデンサー式タッチパネルによって実施する。
図7に示すように、本発明のタッチ式電気変色装置3は主にコンデンサー式タッチパネル部30と電気変色部材34と絶縁体38とコントローラー(図示しない)とを備える。
コンデンサー式タッチパネル部30は主に第3透明導電基材302と第4基材304とを備える。そのうち、第4基材304は第3透明導電基材302に対向して互いに平行して設けられている。そのうち、電気変色部材34は前述実施例に同様で、純液体物質からなり、第3透明導電基材302と第4基材304との間に注入するか、または抵抗式タッチパネル部のように、ゲル状に形成してから電気変色部材34に電解質または高分子重合物を加えるなど、材料の詳細は前述通りであり、ここでの説明を省略する。電気変色部材34の対向する2つの端面は、それぞれ第3電源36の正極と負極に電気接続されている。その他、絶縁体38またはコンデンサーの構造と稼働フローは前述抵抗式タッチパネルとほぼ同じであるため、ここでの説明を省略する。たとえば、第4基材304は導電性を有しない透明基板または反射式部材を使用し、電気変色部材34の変色により、スマートウィンドウまたはガラスおよび反射ミラーの具体的な実施を実現する。耐え引っかき性と製品寿命を向上するため、保護層306をさらに第3透明導電基材302の表面に設け、タッチ回数により、第3透明導電基材302の破損を防止する。保護層の材料はガラス、プラスチックまたは硬化二酸化ケイ素などを使用する。
【0031】
前述した実施例の説明により、本発明の効果は以下のタッチ式電気変色装置を提供できることである。本発明は公知技術の抵抗式タッチパネルまたはコンデンサー式タッチパネルの原理を利用するが、従来では多く使用していた電気変色層に電解質またはイオン格納層を重ね合わせた電気変色素子の構造に対し、本発明では純液体物質の電気変色部材を注入することにより、全体構造が薄くなり、より良い光透過性を実現できる。
このほか、電源のオン/オフ制御による電気変色部材の変色/褪色操作は、タッチパネル上で直接に操作できるため、スマートウィンドウまたはスマートガラスに適用されたとき、光透過性の調整または反射状態の操作が簡単になり、使用の利便性と簡素化を大幅に向上できる。
【0032】
以上に説明したものは、本発明の好ましい実施例であり、本発明の実施範疇に制限を加わるものではない。当技術に熟知するものは、本発明の精神と範疇を逸脱されない、いかなる等効果または簡単変化と修飾とも、本発明の特許申請範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0033】
10 透明基材
12 透明導通層
14 電気変色層
16 電解質層
18 イオン格納層
2 タッチ式電気変色装置
20 抵抗式タッチパネル部
202 第1透明導電基材
204 第2導電基材
206 スペーサー
22 第1電源
24 電気変色部材
26 第2電源
28 絶縁体
3 タッチ式電気変色装置
30 コンデンサー式タッチパネル部
302 第3透明導電基材
304 第4基材
306 保護層
36 第3電源
34 電気変色部材
38 絶縁体
41 光線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチ式電気変色装置であって、
抵抗式タッチパネル部は、
第1透明導電基材と、
前記第1透明導電基材と対向され互いに平行して設けられ、前記第1透明導電基材と合わせて第1電源の正負端に接続する第2導電基材と、
前記第1透明導電基材と前記第2導電基材との間に設けられ、相互の電気導通を防止する複数のスペーサーと、
純液体物質からなり、前記第1透明導電基材と前記第2導電基材との間に注入し、対向する2つの端面はそれぞれ第2電源の正極と負極に電気接続する電気変色部材と、
前記第2電源の正極と負極がそれぞれ前記第1透明導電基材と前記第2導電基材との電気接続を阻止するため、前記第1透明導電基材と前記第2導電基材内部の周縁に設け、かつ前記変色部材を前記抵抗式タッチパネル部に封入する絶縁体と、
前記抵抗式タッチパネル部に電気接続され、外部からのタッチ信号の処理に提供し、前記第2電源のオンまたはオフを駆動するコントローラー、とを備えることを特徴とする、タッチ式電気変色装置。
【請求項2】
前記第1透明導電基材はインジウムスズ酸化物、インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸化アンチモン錫、ナノカーボンチューブ、ポリエチレンジオキシチオフェンまたはポリアニリンのいずれかの導電性材料のガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン、塩化ポリビニール、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチルまたはその混合物のプラスチック重合物のいずれかを選択できることを特徴とする、請求項1記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項3】
前記第2導電基材は透明な部材であることを特徴とする、請求項1または2記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項4】
前記第2導電基材は不透明または反射式部材であることを特徴とする、請求項1または2記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項5】
前記電気変色部材は主に有機材料、無機材料と溶剤を組み合わせてなることを特徴とする、請求項1記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項6】
前記有機材料は酸化還元指示薬、PH指示薬または有機化合物のいずれかあるいは多種の混合物であることを特徴とする、請求項5記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項7】
前記酸化還元指示薬はメチレンブルー、ジクロロフェノールインドフェノールナトリウム、N−フェニルアントラニル酸、ジフェニルアミンスルホン酸ナトリウム、ジフェニルベンジジンまたはメチルビオローゲンであることを特徴とする、請求項6記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項8】
前記PH指示薬はバリアミンブルーBジアゾニウム塩であることを特徴とする、請求項6記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項9】
前記有機化合物は7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン、フェロセンであることを特徴とする、請求項6記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項10】
前記無機材料は遷移元素の酸化物、硫化物、塩化物または水酸化物のいずれかまたは多種を組み合わせたものであることを特徴とする、請求項5記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項11】
前記遷移元素はスカンジウム亜族、チタニウム亜族、バナジウム亜族、クロム亜族、マンガン亜族、鉄族、銅亜族、亜鉛亜族または白金亜族より選択できることを特徴とする、請求項10記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項12】
前記無機材料はハロゲン族無機誘導体、酸素族無機誘導体、窒素族無機誘導体、カーボン族無機誘導体、ホウ素族無機誘導体、アルカリ土類無機派生物またはアルカリ土類無機誘導体のいずれかまたは多種を組み合わせたものであることを特徴とする、請求項5記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項13】
前記無機材料は塩化第一鉄、塩化第二鉄、三塩化チタン、四塩化チタン、塩化ビスマス(III)、塩化銅または臭化リチウムであることを特徴とする、請求項5記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項14】
前記溶剤はジメチルスルホキシド、炭酸プロピレン、水、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、シアン化エチル、ベンゾニトリル、グルタロニトリル、メチルグルタロニトリル、3,3'−オキシジプロピオニトリル、ヒドロキシプロピオニトリル、ジメチルホルムアミ、N−メチルピロリジンケトン、スルホラン、3−メチルスルホランまたはその混合物のいずれかより選択することができることを特徴とする、請求項5記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項15】
前記電気変色部材は一種の非活性導電塩をさらに含めることを特徴とする、請求項5記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項16】
前記非活性導電塩はリチウム、ナトリウムまたはテトラアルキルアミン塩であることを特徴とする、請求項15記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項17】
前記電気変色部材は一種の電解質または高分子重合物をさらに含めることを特徴とする、請求項5記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項18】
前記電解質は過塩素酸リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムまたはケイ酸ナトリウムであることを特徴とする、請求項17記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項19】
前記高分子重合物は高フッ化樹脂、ポリ(2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸)、ポリビニルアルコールりん酸、ポリエチレンオキシド、ポリエチレンイミン、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボラート、ポリメタクリル酸メチル、フェニルりん酸、ポリビニルピロリドンのうち一種または多種の混合物を選択することを特徴とする、請求項17記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項20】
タッチ式電気変色装置であって、
コンデンサー式タッチパネル部は、
第3透明導電基材と、
前記第3透明導電基材に対向し互いに平行して設ける第4基材と、
純液体物質からなり、前記第3透明導電基材と前記第4導電基材との間に注入し、対向する2つの端面はそれぞれ第3電源の正極と負極に電気接続する電気変色部材と、
前記第3電源の正極と負極がそれぞれ前記第3透明導電基材と前記第4基材との電気接続を阻止するため、前記第3透明導電基材と前記第4導電基材内部の周縁に設け、かつ前記変色部材を前記抵抗式タッチパネル部に封入する絶縁体と、
前記抵抗式タッチパネル部に電気接続され、外部からのタッチ信号の処理に提供し、前記第2電源のオンまたはオフを駆動するコントローラー、とを備えることを特徴とする、タッチ式電気変色装置。
【請求項21】
前記コンデンサー式タッチパネル部はさらに、前記第3透明導電基材の表面に設ける保護層を備えることを特徴とする、請求項20記載のタッチ式電気変色装置。
【請求項22】
前記保護層は、ガラス、プラスチックまたは二酸化ケイ素のいずれかであることを特徴とする、請求項21記載のタッチ式電気変色装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−113683(P2012−113683A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−46273(P2011−46273)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【出願人】(507294753)介面光電股▲ふん▼有限公司 (29)
【Fターム(参考)】