説明

タッチ検出機能付き表示装置、駆動回路、タッチ検出機能付き表示装置の駆動方法および電子機器

【課題】回路の占有面積を低減し装置の小型化を図ることができるタッチ検出機能付き表示装置を得る。
【解決手段】一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極と、画素信号および表示駆動信号Vcomdに基づいて表示を行う表示素子と、タッチ検出駆動信号に基づいて外部近接物体を検出するタッチ検出素子と、表示駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、第1の走査駆動と異なる走査速度を有し、タッチ検出駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行う走査駆動部とを備える。上記走査駆動部は、第1および第2の走査駆動において、共通駆動電極を複数本単位で駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部近接物体を検出するタッチ検出機能を内蔵した表示装置、そのような表示装置の駆動回路および駆動方法、ならびにそれらを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、指等の外部近接物体を検出するタッチ検出機能を液晶表示装置等の表示装置に搭載し、その表示装置に各種のボタン画像等を表示させることにより、通常の機械式ボタンの代わりとして情報入力を可能とした表示装置が注目されている。このようなタッチ検出機能を有する表示装置は、キーボードやマウス、キーパッドのような入力装置を必要としないため、コンピュータのほか、携帯電話のような携帯情報端末などでも、使用が拡大する傾向にある。
【0003】
タッチ検出方式にはいくつかの方式が存在するが、その一つとして静電容量式がある。例えば、特許文献1には、表示装置にもともと備えられている表示用の共通電極を、一対のタッチセンサ用電極のうちの一方として兼用し、他方の電極(タッチ検出電極)をこの共通電極と交差するように配置した表示装置が提案されている。この共通電極とタッチ検出電極との間には静電容量が形成され、外部近接物体に応じてその静電容量が変化する。この表示装置は、これを利用して、共通電極にタッチ検出用の駆動信号を印加したときにタッチ検出電極に現れるタッチ検出信号を解析することにより、外部近接物体を検出するようになっている。この表示装置では、共通電極に駆動信号を順次印加し、線順次走査を行うことにより表示動作が行われるとともに、その駆動信号に応じてタッチ検出電極に現れるタッチ検出信号を解析することによりタッチ検出動作が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−258182号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タッチ検出機能を搭載した表示装置は、タッチ検出機能を搭載しないものに比べて、回路面積が大きくなってしまう。すなわち、タッチ検出機能を搭載した表示装置は、表示動作用の駆動回路に加え、タッチ検出動作用の駆動回路を配置する必要があり、その分だけ回路の占有面積が増大し、装置が大きくなってしまうおそれがある。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、回路の占有面積を低減し装置の小型化を図ることができるタッチ検出機能付き表示装置、駆動回路、タッチ検出機能付き表示装置の駆動方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置は、複数の共通駆動電極と、表示素子と、タッチ検出素子と、走査駆動部とを備えている。複数の共通駆動電極は、一方向に延在するように並設されたものである。表示素子は、画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行うものである。タッチ検出素子は、タッチ検出駆動信号に基づいて外部近接物体を検出するものである。走査駆動部は、表示駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、第1の走査駆動と異なる走査速度を有し、タッチ検出駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行うものである。上記走査駆動部は、第1および第2の走査駆動において、共通駆動電極を複数本単位で駆動するものである。
【0008】
本発明の駆動回路は、走査駆動部を備えている。走査駆動部は、一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極と、画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行う表示素子と、タッチ検出駆動信号に基づいて外部近接物体を検出するタッチ検出素子とを備えたタッチ検出機能付き表示部に対して、表示駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、第1の走査駆動と異なる走査速度を有し、タッチ検出駆動信号を複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行うものである。上記走査駆動部は、第1および第2の走査駆動において、共通駆動電極を複数本単位で駆動するものである。
【0009】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置の駆動方法は、一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極に表示駆動信号を時分割的に複数本単位で順次印加するとともに、表示駆動信号の印加に同期してその表示駆動信号の印加下にある共通駆動電極に対応した画素電極に画素信号を印加する動作を時分割的に順次行うことにより、画素信号および表示駆動信号に基づく表示を行う第1の走査駆動動作と、外部近接物体検出用のタッチ検出駆動信号を、複数の共通駆動電極に、第1の走査駆動動作とは異なる走査速度で時分割的に複数本単位で順次印加する第2の走査駆動動作とを行うものである。
【0010】
本発明の電子機器は、上記タッチ検出機能付き表示装置を備えたものであり、例えば、テレビジョン装置、デジタルカメラ、パーソナルコンピュータ、ビデオカメラあるいは携帯電話等の携帯端末装置などが該当する。
【0011】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置、駆動回路、タッチ検出機能付き表示装置の駆動方法、および電子機器では、共通駆動電極に対して、表示動作の際には、第1の走査駆動として表示駆動信号が順次印加され、タッチ検出動作の際には、第2の走査駆動として、タッチ検出駆動信号が順次印加される。その際、共通駆動電極は、複数本単位で駆動される。
【0012】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置では、例えば、走査駆動部は、第1の走査駆動の対象となる共通駆動電極と第2の走査駆動の対象となる共通駆動電極とが重なる場合には、表示駆動信号をその重複する共通駆動電極に印加するのが望ましい。さらに、例えば、走査駆動部は、第1の走査駆動において、画素信号が印加される表示素子に対応する共通駆動電極および少なくともそれに隣接した共通駆動電極に対して同じ表示駆動信号を同時に印加するのが望ましい。
【0013】
表示素子は、例えば、液晶表示素子が使用可能である。また、タッチ検出素子は、例えば、外部近接物体の近接もしくは接触に基づく静電容量の変化を利用してその外部近接物体を検出するものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタッチ検出機能付き表示装置、駆動回路、タッチ検出機能付き表示装置の駆動方法および電子機器によれば、共通駆動電極を複数本単位で駆動するようにしたので、回路の占有面積を低減し、装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のタッチ検出機能付き表示装置におけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、指が接触または近接していない状態を表す図である。
【図2】本発明のタッチ検出機能付き表示装置におけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、指が接触または近接した状態を表す図である。
【図3】本発明のタッチ検出機能付き表示装置におけるタッチ検出方式の基本原理を説明するための図であり、駆動信号およびタッチ検出信号の波形の一例を表す図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の一構成例を表すブロック図である。
【図5】第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示デバイスの概略断面構造を表す断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示デバイスの画素配列を表す回路図である。
【図7】第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示デバイスの駆動電極およびタッチ検出電極の一構成例を表す斜視図である。
【図8】第1の実施の形態に係る走査駆動部の一構成例を表すブロック図である。
【図9】第1の実施の形態に係る走査駆動部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図10】第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の一動作例を表す模式図である。
【図11】第1の実施の形態の比較例に係る走査駆動部の一構成例を表すブロック図である。
【図12】第1の実施の形態の変形例に係る走査駆動部の一構成例を表すブロック図である。
【図13】第1の実施の形態の変形例に係る走査駆動部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図14】第2の実施の形態に係る走査駆動部の一構成例を表すブロック図である。
【図15】第2の実施の形態に係る走査駆動部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図16】第2の実施の形態に係る走査駆動部の動作を説明するための走査駆動部の一構成例を表すブロック図である。
【図17】図16に示した走査駆動部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図18】実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示デバイスの寄生容量の一例を説明するための回路図である。
【図19】第3の実施の形態に係る走査駆動部の一構成例を表すブロック図である。
【図20】第3の実施の形態に係る走査駆動部の一動作例を表すタイミング波形図である。
【図21】実施の形態を適用したタッチ検出機能付き表示装置のうち、適用例1の外観構成を表す斜視図である。
【図22】適用例2の外観構成を表す斜視図である。
【図23】適用例3の外観構成を表す斜視図である。
【図24】適用例4の外観構成を表す斜視図である。
【図25】適用例5の外観構成を表す正面図、側面図、上面図および下面図である。
【図26】各実施の形態の変形例に係るタッチ検出機能付き表示デバイスの概略断面構造を表す断面図である。
【図27】各実施の形態の変形例にかかわるタッチ検出機能付き表示装置の一動作例を表す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.静電容量式タッチ検出の基本原理
2.第1の実施の形態
3.第2の実施の形態
4.第3の実施の形態
5.適用例
【0017】
<1.静電容量型タッチ検出の基本原理>
まず最初に、図1〜図3を参照して、本発明のタッチ検出機能付き表示装置におけるタッチ検出の基本原理について説明する。このタッチ検出方式は、静電容量型のタッチセンサとして具現化されるものであり、例えば図1(A)に示したように、誘電体Dを挟んで互いに対向配置された一対の電極(駆動電極E1およびタッチ検出電極E2)を用い、容量素子を構成する。この構造は、図1(B)に示した等価回路として表される。駆動電極E1、タッチ検出電極E2および誘電体Dによって、容量素子C1が構成される。容量素子C1は、その一端が交流信号源(駆動信号源)Sに接続され、他端Pは抵抗器Rを介して接地されると共に、電圧検出器(タッチ検出部)DETに接続される。交流信号源Sから駆動電極E1(容量素子C1の一端)に所定の周波数(例えば数kHz〜数十kHz程度)の交流矩形波Sg(図3(B))を印加すると、タッチ検出電極E2(容量素子C1の他端P)に、図3(A)に示したような出力波形(タッチ検出信号Vdet)が現れる。なお、この交流矩形波Sgは、後述するタッチ検出駆動信号Vcomtに相当するものである。
【0018】
指が接触(または近接)していない状態では、図1に示したように、容量素子C1に対する充放電に伴って、容量素子C1の容量値に応じた電流I0が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3(A)の波形V0のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。
【0019】
一方、指が接触(または近接)した状態では、図2に示したように、指によって形成される容量素子C2が容量素子C1に直列に追加された形となる。この状態では、容量素子C1、C2に対する充放電に伴って、それぞれ電流I1、I2が流れる。このときの容量素子C1の他端Pの電位波形は、例えば図3(A)の波形V1のようになり、これが電圧検出器DETによって検出される。このとき、点Pの電位は、容量素子C1、C2を流れる電流I1、I2の値によって定まる分圧電位となる。このため、波形V1は、非接触状態での波形V0よりも小さい値となる。電圧検出器DETは、検出した電圧を所定のしきい値電圧Vthと比較し、このしきい値電圧以上であれば非接触状態と判断する一方、しきい値電圧未満であれば接触状態と判断する。このようにして、タッチ検出が可能となる。
【0020】
<2.第1の実施の形態>
[構成例]
(全体構成例)
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置の一構成例を表すものである。尚、本発明の実施の形態に係る駆動回路およびタッチ検出機能付き表示装置の駆動方法は、本実施の形態により具現化されるので、併せて説明する。このタッチ検出機能付き表示装置は、表示素子として液晶表示素子を用いており、その液晶表示素子により構成される液晶表示デバイスと静電容量型のタッチ検出デバイスとを一体化した、いわゆるインセルタイプの装置である。
【0021】
タッチ検出機能付き表示装置1は、制御部11と、ゲートドライバ12と、ソースドライバ13と、駆動電極ドライバ14と、タッチ検出機能付き表示デバイス10と、タッチ検出部40とを備えている。
【0022】
制御部11は、外部より供給された映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動電極ドライバ14、およびタッチ検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御するものである。
【0023】
ゲートドライバ12は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する機能を有している。具体的には、ゲートドライバ12は、後述するように、走査信号Vscanを、走査信号線GCLを介して、画素PixのTFT素子Trのゲートに印加することにより、タッチ検出機能付き表示デバイス10の液晶表示デバイス20にマトリックス状に形成されている画素Pixのうちの1行(1水平ライン)を表示駆動の対象として順次選択するようになっている。
【0024】
ソースドライバ13は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の各画素Pix(後述)に画素信号Vpixを供給するものである。具体的には、ソースドライバ13は、後述するように、画素信号Vpixを、画素信号線SGLを介して、ゲートドライバ12により順次選択される1水平ラインを構成する各画素Pixにそれぞれ供給するようになっている。
【0025】
駆動電極ドライバ14は、制御部11から供給される制御信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10の駆動電極COML(後述)に駆動信号Vcomを供給するものである。具体的には、駆動電極ドライバ14は、駆動電極COMLに対して、表示動作の為の表示駆動信号Vcomdを時分割的に順次印加するとともに、タッチ検出動作のためのタッチ検出駆動信号Vcomtを時分割的に順次印加する。その際、駆動電極ドライバ14は、駆動電極COMLを複数本単位(この例では2本単位)で駆動するようになっている。
【0026】
ゲートドライバ13および駆動電極ドライバ14は、走査駆動部50を構成する。走査駆動部50の構成については、後ほど詳細に説明する。
【0027】
タッチ検出機能付き表示デバイス10は、タッチ検出機能を内蔵した表示デバイスである。タッチ検出機能付き表示デバイス10は、液晶表示デバイス20と、タッチ検出デバイス30とを有する。液晶表示デバイス20は、ゲートドライバ12から供給される走査信号Vscanおよび駆動電極ドライバ14から供給される表示駆動信号Vcomdに従って、1水平ラインずつ順次走査して表示を行うデバイスである。タッチ検出デバイス30は、上述した静電容量型タッチ検出の基本原理に基づいて動作するものであり、駆動電極ドライバ14から供給されるタッチ検出駆動信号Vcomtに基づいて、タッチ検出信号Vdetを出力するものである。
【0028】
タッチ検出部40は、制御部11から供給される制御信号と、タッチ検出機能付き表示デバイス10のタッチ検出デバイス30から供給されたタッチ検出信号Vdetに基づいて、タッチ検出デバイス30に対するタッチの有無を検出し、タッチがある場合においてタッチ検出領域におけるその座標などを求める回路である。このタッチ検出部40はアナログLPF(Low Pass Filter)部42と、A/D変換部43と、信号処理部44と、座標抽出部45と、検出タイミング制御部46とを有している。アナログLPF部42は、タッチ検出デバイス30から供給されるタッチ検出信号Vdetに含まれる高い周波数成分(ノイズ成分)を除去し、タッチ成分を取り出してそれぞれ出力する低域通過アナログフィルタである。アナログLPF部42の入力端子のそれぞれと接地との間には、直流電位(0V)を与えるための抵抗Rが接続されている。なお、この抵抗Rに代えて、例えばスイッチを設け、所定の時間にこのスイッチをオン状態にすることにより直流電位(0V)を与えるようにしてもよい。A/D変換部43は、アナログLPF部42から出力されるアナログ信号をそれぞれデジタル信号に変換する回路である。信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、タッチ検出デバイス30におけるタッチの有無を検出する論理回路である。座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチ検出がなされたときに、そのタッチパネル座標を求める論理回路である。検出タイミング制御部46は、これらの回路が同期して動作するように制御するようになっている。
【0029】
(タッチ検出機能付き表示デバイス10)
次に、タッチ検出機能付き表示デバイス10の構成例を詳細に説明する。
【0030】
図5は、タッチ検出機能付き表示デバイス10の要部断面構造の例を表すものである。このタッチ検出機能付き表示デバイス10は、画素基板2と、この画素基板2に対向して配置された対向基板3と、画素基板2と対向基板3との間に挿設された液晶層6とを備えている。
【0031】
画素基板2は、回路基板としてのTFT基板21と、このTFT基板21上にマトリックス状に配設された複数の画素電極22とを有する。TFT基板21には、図示していないものの、各画素の薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)や、各画素電極22に画像信号Vpixを供給する画素信号線SGL、各TFTを駆動する走査信号線GCL等の配線が形成されている。
【0032】
対向基板3は、ガラス基板31と、このガラス基板31の一方の面に形成されたカラーフィルタ32と、このカラーフィルタ32の上に形成された複数の駆動電極COMLとを有する。カラーフィルタ32は、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の3色のカラーフィルタ層を周期的に配列して構成したもので、各表示画素にR、G、Bの3色が1組として対応付けられている。駆動電極COMLは、液晶表示デバイス20の共通駆動電極として機能するとともに、タッチ検出デバイス30の駆動電極としても機能するものである。駆動電極COMLは、図示しないコンタクト導電柱によって画素基板2と連結され、このコンタクト導電柱を介して、画素基板2から駆動電極COMLに交流矩形波形の駆動信号Vcom(表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出駆動信号Vcomt)が印加されるようになっている。ガラス基板31の他方の面には、タッチ検出デバイス30の検出電極であるタッチ検出電極TDLが形成され、さらに、このタッチ検出電極TDLの上には、偏光板35が配設されている。
【0033】
液晶層6は、電界の状態に応じてそこを通過する光を変調するものであり、例えば、TN(ツイステッドネマティック)、VA(垂直配向)、ECB(電界制御複屈折)等の各種モードの液晶が用いられる。
【0034】
なお、液晶層6と画素基板2との間、および液晶層6と対向基板3との間には、それぞれ配向膜が配設され、また、画素基板2の下面側には入射側偏光板が配置されるが、ここでは図示を省略している。
【0035】
図6は、液晶表示デバイス20における画素構造の構成例を表すものである。液晶表示デバイス20は、マトリックス状に配列した複数の画素Pixを有している。画素Pixは、TFT素子Trおよび液晶素子LCを有している。TFT素子Trは、薄膜トランジスタにより構成されるものであり、この例では、nチャネルのMOS(Metal Oxide Semiconductor)型のTFTで構成されている。TFT素子Trのソースは画素信号線SGLに接続され、ゲートは走査信号線GCLに接続され、ドレインは液晶素子LCの一端に接続されている。液晶素子LCは、一端がTFT素子Trのドレインに接続され、他端が駆動電極COMLに接続されている。
【0036】
画素Pixは、走査信号線GCLにより、液晶表示デバイス20の同じ行に属する他の画素Pixと互いに接続されている。走査信号線GCLは、ゲートドライバ12と接続され、ゲートドライバ12より走査信号Vscanが供給されるようになっている。画素Pixは、画素信号線SGLにより、液晶表示デバイス20の同じ列に属する他の画素Pixと互いに接続されている。画素信号線SGLは、ソースドライバ13と接続され、ソースドライバ13より画素信号Vpixが供給されるようになっている。
【0037】
さらに、画素Pixは、駆動電極COMLにより、液晶表示デバイス20の同じ行に属する他の画素Pixと互いに接続されている。駆動電極COMLは、駆動電極ドライバ14と接続され、駆動電極ドライバ14より駆動信号Vcomが供給されるようになっている。
【0038】
この構成により、液晶表示デバイス20では、ゲートドライバ12が走査信号線GCLを時分割的に線順次走査するように駆動することにより、1水平ラインが順次選択され、その1水平ラインに属する画素Pixに対して、ソースドライバ13が画素信号Vpixを供給することにより、1水平ラインずつ表示が行われるようになっている。
【0039】
図7は、タッチ検出デバイス30の一構成例を斜視的に表すものである。タッチ検出デバイス30は、対向基板3に設けられた、駆動電極COMLおよびタッチ検出電極TDLにより構成されている。駆動電極COMLは、図の左右方向に延在する複数(N本)のストライプ状の電極パターンに分割されている。タッチ検出動作を行う際は、各電極パターンには、駆動電極ドライバ14によってタッチ検出駆動信号Vcomtが順次供給され、走査駆動が行われるようになっている。タッチ検出電極TDLは、駆動電極COMLの電極パターンの延在方向と直交する方向に延びるストライプ状の電極パターンから構成されている。タッチ検出電極TDLの各電極パターンは、タッチ検出部40のアナログLPF部42の入力にそれぞれ接続されている。駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLにより互いに交差した電極パターンは、その交差部分に静電容量を形成している。
【0040】
この構成により、タッチ検出デバイス30では、タッチ検出動作を行う際、駆動電極ドライバ14が駆動電極COMLを時分割的に順次走査するように駆動し、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力することにより、タッチ検出が行われるようになっている。つまり、駆動電極COMLは、図1〜図3に示したタッチ検出の基本原理における駆動電極E1に対応し、タッチ検出電極TDLは、タッチ検出電極E2に対応するものであり、タッチ検出デバイス30はこの基本原理に従ってタッチを検出するようになっている。図7に示したように、互いに交差した電極パターンは、静電容量式タッチセンサをマトリックス状に構成している。よって、タッチ検出デバイス30のタッチ検出面全体にわたって走査することにより、外部近接物体の接触または近接が生じた位置の検出も可能となっている。
【0041】
次に、ゲートドライバ12および駆動電極ドライバ14により構成される走査駆動部50の構成例を詳細に説明する。
【0042】
(走査駆動部50)
図8は、走査駆動部50の一構成例を表すものである。走査駆動部50は、表示走査部51と、タッチ検出走査部52と、駆動部530とを備えている。表示走査部51と、駆動部530の一部はゲートドライバ12を構成している。また、タッチ検出走査部52と、駆動部530の一部は駆動電極ドライバ14を構成している。駆動部530は、N/2個の駆動部53(1)〜53(N/2)から構成されている。以後、N/2個の駆動部53(1)〜53(N/2)のうちの任意の一つをさす場合には、単に駆動部53を用いるものとする。
【0043】
表示走査部51は、シフトレジスタを含んで構成され、走査信号Vscanを順次印加する走査信号線GCLを選択するための信号Sdを生成するものである。また、この信号Sdは、表示駆動信号Vcomdを順次印加する駆動電極COMLを選択するためにも用いられるようになっている。具体的には、後述するように、表示走査部51が高レベルの信号をn番目の信号Sd(n)としてn番目の駆動部53(n)に供給したときに、この駆動部53(n)は、n行目の走査信号線GCLに対して走査信号Vscan(n)を印加するととともに、n行目および(n+1)行目の駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に対して、表示駆動信号Vcomdを印加するようになっている。すなわち、表示走査部51は、高レベルの信号Sdを出力することにより、駆動部530に対して表示駆動を指示するようになっている。
【0044】
タッチ検出走査部52は、シフトレジスタを含んで構成され、タッチ検出駆動信号Vcomtを順次印加する駆動電極COMLを選択するための信号Stを生成するものである。具体的には、後述するように、タッチ検出走査部52が高レベルの信号をm番目の信号St(m)として駆動部53(n)に供給したときに、この駆動部53(n)は、n行目および(n+1)行目の駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に対して、タッチ検出駆動信号Vcomtを印加するようになっている。すなわち、タッチ検出走査部52は、高レベルの信号Stを出力することにより、駆動部530に対してタッチ検出駆動を指示するようになっている。
【0045】
駆動部530は、表示走査部51から供給された2つの信号Sdおよびタッチ検出走査部52から供給された信号Stに基づいて、走査信号Vscanを走査信号線GCLに印加するとともに、駆動信号Vcomを2本の駆動電極COMLに印加するものである。具体的には、駆動部53(n)は、表示走査部51から供給された信号Sd(n) に基づいて、n行目の走査信号線に対して走査信号Vscan(n)を印加し、信号Sd(n+1)に基づいて、(n+1)行目の走査信号線に対してVscan(n+1)を印加するとともに、n行目および(n+1)行目の駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に対して、駆動信号Vcom(n),Vcom(n+1)として表示駆動信号Vcomdを印加するようになっている。また、駆動部53(n)は、タッチ検出走査部52から供給された信号St(m)に基づいて、n行目および(n+1)行目の駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に対して、駆動信号Vcom(n) ,Vcom(n+1)としてタッチ検出駆動信号Vcomtを印加するようになっている。
【0046】
駆動部53は、2つのゲートバッファ56と、論理和回路57と、表示優先回路54と、駆動信号バッファ55とを備えている。
【0047】
2つのゲートバッファ56は、表示走査部51から供給された2つの信号(例えばSd(n),Sd(n+1))に基づいて、対応する走査信号線GCL(例えば走査信号線GCL(n),GCL(n+1))に走査信号Vscanをそれぞれ印加する回路である。具体的には、ゲートバッファ56は、信号Sdを、液晶表示デバイス20のTFT素子Trをオンオフ制御することができる振幅レベルに増幅する機能を有している。
【0048】
論理和回路57は、表示走査部51から供給された2つの信号(例えばSd(n),Sd(n+1))の論理和(OR)を生成して出力するものである。
【0049】
表示優先回路54は、論理和回路57の出力信号およびタッチ検出走査部52から供給された信号Stに基づいて、駆動電極COMLに対する駆動信号Vcomの印加を制御する機能を有している。
【0050】
駆動信号バッファ55は、表示優先回路54から供給された信号に基づいて、駆動電極COMLに駆動信号Vcomを印加する回路である。具体的には、駆動信号バッファ55は、表示優先回路54から供給された信号に基づいて、駆動電極COMLに対して、表示駆動信号Vcomd、タッチ検出駆動信号Vcomt、直流駆動信号Vcomdcのうちのいずれか一つを印加するようになっている。この駆動信号バッファ55は、図8に示したように、2本の駆動電極COMLに対して同時に駆動信号Vcomを供給するようになっている。
【0051】
この構成により、駆動部53(n)では、表示走査部51から供給される信号Sd(n),Sd(n+1)のうちの少なくともどちらか一方が高レベルの場合には、表示優先回路54が表示駆動の指示と解釈して、駆動信号バッファ55が駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に表示駆動信号Vcomdを印加し、タッチ検出走査部52から供給される信号St(m)が高レベルの場合には、表示優先回路54がタッチ検出駆動の指示と解釈して、駆動信号バッファ55が駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方にタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。また、表示走査部51から供給される信号Sd(n),Sd(n+1)のうちの少なくともどちらか一方が高レベルであるとともに、タッチ検出走査部52から供給される信号St(m)が高レベルの場合には、駆動信号バッファ55は、駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に表示駆動信号Vcomdを印加する。つまり、表示優先回路54は、表示駆動とタッチ検出駆動の両方の指示を受けた場合には、表示駆動の指示を優先するようになっている。また、表示走査部51から供給される信号Sd(n),Sd(n+1)の両方が低レベルであるとともに、タッチ検出走査部52から供給される信号St(m)が低レベルの場合には、表示優先回路54は表示駆動の指示でもタッチ検出駆動の指示でもないと解釈し、駆動信号バッファ55は駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に直流駆動信号Vcomdcを印加する。
【0052】
このように、駆動部53(n)は、駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に対して、表示駆動においては表示駆動信号Vcomdを印加し、タッチ検出駆動においてはタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。すなわち、駆動部530は、駆動電極COMLを2本単位で駆動するようになっている。そして、タッチ検出走査部52のシフトレジスタの長さは、駆動電極COMLを2本単位で選択することに対応して、表示走査部51のものと比べて半分程度になっている。
【0053】
ここで、駆動電極COMLは、本発明における「共通駆動電極」の一具体例に対応する。液晶素子LCは、本発明における「表示素子」の一具体例に対応する。
【0054】
[動作および作用]
続いて、上述のタッチ検出機能付き表示装置1の動作および作用について説明する。
【0055】
(全体動作概要)
まず、図4を参照して、タッチ検出機能付き表示装置1の全体動作概要を説明する。制御部11は、外部より供給された映像信号Vdispに基づいて、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、駆動電極ドライバ14、およびタッチ検出部40に対してそれぞれ制御信号を供給し、これらがお互いに同期して動作するように制御する。ゲートドライバ12は、液晶表示デバイス20に走査信号Vscanを供給し、表示駆動の対象となる1水平ラインを順次選択する。ソースドライバ13は、ゲートドライバ12により選択された、1水平ラインを構成する各画素Pixに、画素信号Vpixを供給する。駆動電極ドライバ14は、駆動電極COMLを2本単位で駆動するものであり、表示動作では、表示駆動の対象となる1水平ラインに係る駆動電極COMLに表示駆動信号Vcomdを順次印加し、タッチ検出動作では、タッチ検出動作に係る駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを順次印加する。タッチ検出機能付き表示デバイス10は、ゲートドライバ12、ソースドライバ13、および駆動電極ドライバ14により供給された信号に基づいて表示動作を行うとともに、駆動電極ドライバ14により供給されたタッチ検出駆動信号Vcomtに基づいてタッチ検出動作を行い、タッチ検出電極TDLからタッチ検出信号Vdetを出力する。アナログLPF部42は、タッチ検出信号Vdetの高い周波数成分を除去して出力する。A/D変換部43は、アナログLPF部42から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換する。信号処理部44は、A/D変換部43の出力信号に基づいて、タッチ検出機能付き表示デバイス10に対するタッチの有無を検出する。座標抽出部45は、信号処理部44においてタッチ検出がなされたときに、そのタッチパネル座標を求める。検出タイミング制御部46は、アナログLPF部42、A/D変換部43、信号処理部44、座標抽出部45が同期して動作するように制御する。
【0056】
以下に、タッチ検出機能付き表示装置1の詳細動作を説明する。
【0057】
(表示動作およびタッチ検出動作)
タッチ検出機能付き表示装置1では、表示動作においては、ゲートドライバ12が、走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを印加し、駆動電極ドライバ14が、その走査信号線GCLに対応する駆動電極COMLに対して、2本単位で表示駆動信号Vcomdを順次印加することにより表示走査を行う。そして各1水平期間(1H)では、走査信号Vscanおよび表示駆動信号Vcomdが印加された1水平ラインに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを供給することにより、その1水平ラインの表示が行われる。また、タッチ検出動作においては、駆動電極ドライバ14が、例えば10本の駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加し、そのタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する駆動電極COMLを、例えば1水平期間ごとに2本ずつシフトすることにより、タッチ検出走査を行う。各1水平期間(1H)では、タッチ検出部40が、タッチ検出信号Vdetに基づいてタッチを検出する。
【0058】
図9は、走査駆動部50の表示駆動動作の一例を表すものである。図9に示したように、走査駆動部50は、2本単位で駆動電極COMLを駆動する。具体的には、走査駆動部50は、2本の駆動電極COML(例えばn行目および(n+1)行目の駆動電極COML(n),COML(n+1))に対して表示駆動信号Vcomd(例えば駆動信号Vcom(n),Vcom(n+1))を印加する。そして、まず、走査駆動部50は、最初の1水平期間(1H)において、駆動電極COML(n)に対応する走査信号線GCL(n行目の走査信号線GCL(n))に対して走査信号Vscanを印加し、その水平ラインの画素Pixに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを印加する。図9において、斜線部は、画素信号Vpixが印加された1水平ラインに対応する表示駆動信号Vcomdの部分を示している。次に、走査駆動部50は、表示駆動信号Vcomdを反転し、駆動電極COML(n+1)に対応する走査信号線GCL((n+1)行目の走査信号線GCL(n+1))に対して走査信号Vscanを印加し、その水平ラインの画素Pixに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを印加する。
【0059】
この図9は、走査駆動部50の表示駆動動作を表すものであるが、タッチ検出駆動動作もこれと同様に行われる。すなわち、走査駆動部50は、例えば10本の隣接する駆動電極COMLに対してタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。そして、走査駆動部50は、そのタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する駆動電極COMLを、例えば1水平期間ごとに2本ずつシフトすることにより、タッチ検出走査を行う。
【0060】
走査駆動部50は、表示走査部51およびタッチ検出走査部52を、独立して個別に設けている。これにより、表示走査およびタッチ検出走査を独立して行うことが可能となる。
【0061】
図10は、表示走査およびタッチ検出走査を模式的に表すものである。この例では、タッチ検出走査は、表示走査の2倍の走査速度で行われる。タッチ検出機能付き表示装置1では、走査駆動部50が、表示走査Scandおよびタッチ検出走査Scantを独立して行うことができ、表示動作のための表示駆動信号Vcomdおよびタッチ検出動作の為のタッチ検出駆動信号Vcomtを、駆動電極COMLに対してそれぞれ別々に印加することができる。これにより、タッチ検出走査Scantの速度と表示走査Scandの速度とを別々に設定することができる。例えば、図10に示したように、タッチ検出の走査速度を表示走査よりも速くした場合には、外部近接物体によるタッチにすぐに応答することができ、タッチ検出に対する応答特性を改善することができる。
【0062】
図10に示した例では、表示走査Scandは、タッチ検出走査の速度が表示走査の速度よりも早いため、タイミングW1において、タッチ検出走査Scantにより追い越されることとなる。このとき、表示駆動の対象となる駆動電極COMLと、タッチ検出駆動の対象となる駆動電極COMLとは、重なるようになる。このとき、走査駆動部50は、表示駆動を優先するように動作し、駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加する。つまり、この追い越し状態において、画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLにタッチ検出駆動信号Vcomtが印加されることがない。これにより、追い越しに起因する表示の乱れを抑えることができる。
【0063】
(比較例)
次に、本実施の形態の比較例に係る走査駆動部50Rについて説明する。本比較例は、駆動電極COMLを1本単位で駆動するものである。
【0064】
図11は、走査駆動部50の一構成例を表すものである。走査駆動部50は、タッチ検出走査部52Rおよび駆動部530Rを有している。駆動部530Rは、N個の駆動部53R(1)〜53R(N)から構成されている。
【0065】
タッチ検出走査部52Rは、タッチ検出駆動信号Vcomtを順次印加する駆動電極COMLを1本単位で選択する信号Stを生成するものである。タッチ検出走査部52Rのシフトレジスタの長さは、駆動電極COMLを1本単位で選択することに対応して、表示走査部51のものと同等になっている。
【0066】
駆動部530Rは、表示走査部51から供給された信号Sdおよびタッチ検出走査部52Rから供給された信号Stに基づいて、走査信号Vscanを走査信号線GCLに印加するとともに、駆動信号Vcomを駆動電極COMLに印加するものである。駆動部53Rの駆動信号バッファ55は、図11に示したように、1本の駆動電極COMLに対して駆動信号Vcomを供給するようになっている。
【0067】
この構成により、本比較例に係る走査駆動部50Rは、表示駆動およびタッチ検出駆動を行う際、駆動電極COMLを1本単位で駆動する。
【0068】
本比較例では、タッチ検出走査部52Rのシフトレジスタの長さが、表示走査部51のものとほぼ同等になっている。また、駆動部53Rの表示優先回路54および駆動信号バッファ55は、1本の駆動電極COMLに対して1つずつ設けられている。
【0069】
一方、本実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置1では、タッチ検出走査部52のシフトレジスタの長さが、表示走査部51のものに比べて半分程度になっている。また、駆動部53の表示優先回路54および駆動信号バッファ55は、2本の駆動電極COMLに対して1つずつ設けられている。すなわち、本実施の形態に係るタッチ検出走査部52および駆動部530の回路規模は、本比較例に係るタッチ検出走査部52Rおよび駆動部530Rの回路規模の半分程度となる。このように、駆動電極COMLを複数本単位で駆動することにより、回路規模を削減することができ、回路の占有面積を低減することにより、装置の小型化を実現することができる。また、タッチ検出走査部52のシフトレジスタの長さを短くすることができるため、シフトレジスタのクロック周波数を下げることができ、消費電力を低減することができる。
【0070】
[効果]
以上のように本実施の形態では、駆動電極COMLを複数本単位で駆動するようにしたので、回路規模を削減することができ、装置の小型化を実現することができる。
【0071】
また、本実施の形態では、駆動電極COMLを複数本単位で駆動することにより、シフトレジスタの長さを短くすることができるので、シフトレジスタのクロック周波数を下げることができ、消費電力を低減することができる。
【0072】
また、本実施の形態では、画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLに常に表示駆動信号Vcomdを印加するようにしたので、追い越し走査に起因する表示の乱れを抑えることができる。
【0073】
また、本実施の形態では、表示走査とタッチ検出走査を独立して行うことができるようにしたので、タッチ検出走査の走査速度を表示走査の走査速度よりも速くすることができ、タッチ検出の応答性能を改善することができる。
【0074】
[変形例1]
上記実施の形態では、走査駆動部50が、駆動電極COMLを2本単位で駆動したが、これに限定されるものではない。以下に、4本単位で駆動する場合の一例について詳細に説明する。
【0075】
図12は、本変形例に係る走査駆動部50Bの一構成例を表すものである。走査駆動部50Bは、タッチ検出走査部52Bと、駆動部530Bとを備えている。駆動部530Bは、N/4個の駆動部53B(1)〜53B(N/4)から構成されている。
【0076】
タッチ検出走査部52Bは、タッチ検出駆動信号Vcomtを順次印加する駆動電極COMLを4本単位で選択する信号Stを生成するものである。タッチ検出走査部52Bのシフトレジスタの長さは、駆動電極COMLを4本単位で選択することに対応して、表示走査部51のものと比べて1/4程度になっている。
【0077】
駆動部530Bは、表示走査部51から供給された4つの信号Sdおよびタッチ検出走査部52Bから供給された信号Stに基づいて、走査信号Vscanを走査信号線GCLに印加するとともに、駆動信号Vcomを4本の駆動電極COMLに印加するものである。駆動部53Bは、4つのゲートバッファ56と、論理和回路58とを備えている。4つのゲートバッファ56は、表示走査部51から供給された4つの信号(例えばSd(n)〜Sd(n+3))に基づいて、対応する走査信号線GCL(例えば走査信号線GCL(n)〜GCL(n+3))に走査信号Vscanをそれぞれ印加する回路である。論理和回路58は、表示走査部51から供給された4つの信号(例えばSd(n)〜Sd(n+3))の論理和(OR)を生成して出力するものである。駆動部53Bの駆動信号バッファ55は、図12に示したように、4本の駆動電極COMLに対して同時に駆動信号Vcomを供給するようになっている。
【0078】
図13は、走査駆動部50Bの表示駆動動作の一例を表すものである。図13に示したように、走査駆動部50は、4本単位で駆動電極COMLを駆動する。具体的には、走査駆動部50は、4本の隣接する駆動電極COML(例えばn行目〜(n+3)行目の駆動電極COML(n)〜COML(n+3))に対して表示駆動信号Vcomd(例えば駆動信号Vcom(n)〜Vcom(n+3))を印加し、これらの駆動電極COMLに対応する走査信号線(例えば走査信号線GCL(n)〜GCL(n+3))に走査信号Vscanを順次印加し、その水平ラインの画素Pixに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを印加する。
【0079】
本変形例に係るタッチ検出走査部52Bおよび駆動部530Bの回路規模は、上記比較例に係るタッチ検出走査部52Rおよび駆動部530Rの回路規模の1/4程度になる。このように、同時に駆動する駆動電極COMLの本数を増やすことにより、さらなる装置の小型化や消費電力の低減を実現することができる。
【0080】
<3.第2の実施の形態>
次に、本発明の第2の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置7について説明する。タッチ検出機能付き表示装置7は、駆動電極COMLを2本単位で駆動するとともに、ソースドライバ13が画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLとそれに隣接する駆動電極COMLに対して、表示駆動信号Vcomdを印加するものである。タッチ検出機能付き表示装置7は、駆動電極COMLに対してこのような駆動を行う駆動電極ドライバ16を有する走査駆動部70を用いて構成されたものである。その他の構成は、上記第1の実施の形態(図1)と同様である。なお、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置1と実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0081】
図14は、走査駆動部70の一構成例を表すものである。走査駆動部70は、ゲートドライバ13および駆動電極ドライバ16の機能を実現するものである。走査駆動部70は、駆動部730を備えている。駆動部730は、N/2個の駆動部73(1)〜73(N/2)から構成されている。駆動部73は、表示優先回路74を有している。
【0082】
駆動部73(n)では、表示走査部51から供給される信号Sd(n-1)〜Sd(n+2)のうちの少なくとも1つが高レベルの場合には、表示優先回路74が表示駆動の指示と解釈して、駆動信号バッファ55が駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に表示駆動信号Vcomdを印加し、タッチ検出走査部52から供給される信号St(n)が高レベルの場合には、表示優先回路74がタッチ検出駆動の指示と解釈して、駆動信号バッファ55が駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方にタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。また、表示走査部51から供給される信号Sd(n-1)〜Sd(n+2)のうちの少なくとも1つが高レベルであるとともに、タッチ検出走査部52から供給される信号St(n)が高レベルの場合には、駆動信号バッファ55は、駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に表示駆動信号Vcomdを印加する。つまり、表示優先回路74は、表示駆動とタッチ検出駆動の両方の指示を受けた場合には、表示駆動の指示を優先するようになっている。また、表示走査部51から供給される信号Sd(n-1)〜Sd(n+2)の全てが低レベルであるとともに、タッチ検出走査部52から供給される信号St(n)が低レベルの場合には、表示優先回路74は表示駆動の指示でもタッチ検出駆動の指示でもないと解釈し、駆動信号バッファ55は駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に直流駆動信号Vcomdcを印加する。
【0083】
図15は、走査駆動部70の表示駆動動作の一例を表すものである。図15に示したように、走査駆動部70は、駆動電極COMLを2本単位で駆動し、常に4本の駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加する。そして、走査駆動部70は、表示駆動信号Vcomdが印加された駆動電極COMLに対応する走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを順次印加し、その水平ラインの画素Pixに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを印加する。その際、走査駆動部70は、画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLに加え、これに隣接する駆動電極COMLに対しても表示駆動信号Vcomdを印加するように駆動を行う。すなわち、走査駆動部70は、駆動電極COMLを2本単位で駆動する際、画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COML(斜線部)と、隣接する駆動電極COMLとを含む4本の駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加する。
【0084】
本実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置7では、画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLおよびそれに隣接する駆動電極COMLに表示駆動信号Vcomdを印加することにより、隣接する駆動電極COMLに起因する表示の乱れを抑えることができる。以下に、いくつかの図を用いてこの効果を説明する。なお、説明の便宜上、駆動電極COMLを1本単位で駆動する場合を例に説明を行うこととする。
【0085】
図16は、走査駆動部70Sの一構成例を表すものである。走査駆動部70Sは、駆動電極COMLを1本単位で駆動するものである。走査駆動部70Sは、駆動部730Sを備えている。駆動部730Sは、N個の駆動部73S(1)〜73S(N)から構成されている。
【0086】
駆動部73S(n)では、表示走査部51から供給される信号Sd(n-1)〜Sd(n+1)のうちの少なくとも1つが高レベルの場合には、表示優先回路74が表示駆動の指示と解釈して、駆動信号バッファ55が駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に表示駆動信号Vcomdを印加し、タッチ検出走査部52から供給される信号St(n)が高レベルの場合には、表示優先回路74がタッチ検出駆動の指示と解釈して、駆動信号バッファ55が駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方にタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。また、表示走査部51から供給される信号Sd(n-1)〜Sd(n+1)のうちの少なくとも1つが高レベルであるとともに、タッチ検出走査部52から供給される信号St(n)が高レベルの場合には、駆動信号バッファ55は、駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に表示駆動信号Vcomdを印加する。つまり、表示優先回路74は、表示駆動とタッチ検出駆動の両方の指示を受けた場合には、表示駆動の指示を優先するようになっている。また、表示走査部51から供給される信号Sd(n-1)〜Sd(n+1)の全てが低レベルであるとともに、タッチ検出走査部52から供給される信号St(n)が低レベルの場合には、表示優先回路74は表示駆動の指示でもタッチ検出駆動の指示でもないと解釈し、駆動信号バッファ55は駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に直流駆動信号Vcomdcを印加する。
【0087】
駆動部73S(n)は、表示駆動において、信号Sd(n-1)〜Sd(n+1)のうちの1つが高レベルの場合に、駆動電極COML(n)に表示駆動信号Vcomdを印加する。つまり、(n−1)行目から(n+1)行目の走査信号線GCL(n-1)〜GCL(n+1)のうちの1本に対して走査信号Vscanが印加されて、画素信号Vpixを印加する水平ラインが選択されたときには、駆動部73S(n)は、n行目の駆動電極COML(n)に表示駆動信号Vcomdを印加するようになっている。言い換えれば、駆動部730Sは、画素信号Vpixを印加する水平ラインに係る駆動電極COMLおよびそれに隣接する駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加する。
【0088】
図17は、走査駆動部70Sの表示駆動動作の一例を表すものである。図17に示したように、走査駆動部70Sは、3本の隣接する駆動電極COML(例えば(n−1)行目から(n+1)行目の駆動電極COML(n-1)〜COML(n+1))に対して表示駆動信号Vcomd(例えば駆動信号Vcom(n-1)〜Vcom(n+1))を印加する。そして、走査駆動部70Sは、その3つの隣接する駆動電極COMLのうちの中央に位置する駆動電極COML(例えばn行目の駆動電極COML(n))に対応する走査信号線GCL(例えばn行目の走査信号線GCL(n))に対して走査信号Vscanを印加し、その水平ラインの画素Pixに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを印加する。言い換えれば、走査駆動部70Sは、ソースドライバ13が画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLに加え、それに隣接する駆動電極COMLに対して、表示駆動信号Vcomdを印加する。
【0089】
この場合において、図10に示したように、表示走査Scandがタッチ検出走査Scantにより追い越される場合を考える。このとき、表示駆動の対象となる駆動電極COMLと、タッチ検出駆動の対象となる駆動電極COMLとが、重なるようになる。このときでも、走査駆動部70Sは、表示駆動を優先するように動作し、図17に示したように、3本の隣接する駆動電極COMLに表示駆動信号Vcomdを印加する。つまり、この追い越し状態においても、走査駆動部70Sは、ソースドライバ13が画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLと、それに隣接する駆動電極COMLに対して、表示駆動信号Vcomdを印加する。
【0090】
図18は、液晶表示デバイス20における寄生容量を表すものである。図18に示したように、液晶素子LCの両端子には、隣接する駆動電極COMLとの間に寄生容量Cp1〜Cp4が等価的に接続されている。寄生容量Cp1,Cp2は、着目した液晶素子LCに隣接する駆動電極COMLとその液晶素子LCの一方の端子(図5における画素電極22)との間に存在する容量である。寄生容量Cp3,Cp4は、着目した液晶素子LCに隣接する駆動電極COMLとその液晶素子LCの他方の端子(共通電極COML)との間に存在する容量である。このように、液晶素子LCと、隣接する駆動電極COMLとの間に寄生容量Cp1〜Cp4が存在する。
【0091】
例えば、ソースドライバ13が画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLに隣接する駆動電極COMLに、表示駆動信号Vcomdが印加されていない場合には、その隣接する駆動電極COMLには、追い越し状態でない場合には直流駆動信号Vcomdcが印加され、追い越し状態ではタッチ検出駆動信号Vcomtが印加される。したがって、これらの信号が寄生容量Cp1〜Cp4を介して液晶素子LCに伝わることにより、その液晶素子LCに係る表示が乱れるおそれがある。すなわち、例えば、追い越し状態において、この隣接する駆動電極COMLに印加されたタッチ検出駆動信号Vcomtが寄生容量を介して液晶素子LCに伝わることにより、その水平ラインの表示は、追い越し状態でない場合と比べて異なったものになるおそれがある。具体的には、追い越し状態において画素信号Vpixが印加された水平ラインが“すじ”のように見えるおそれがある。
【0092】
一方、走査駆動部70Sでは、ソースドライバ13が画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLに隣接する駆動電極COMLには、追い越し状態であるか否かにかかわらず、常に表示駆動信号Vcomdが印加される。よって、その水平ラインの表示は、追い越し状態であるか否かによって影響されることはないため、隣接する駆動電極COMLに起因する表示の乱れを最低限に抑えることができる。
【0093】
以上、駆動電極COMLを1本単位で駆動する走査駆動部70Sを用いて、隣接する駆動電極COMLに起因する表示の乱れの抑制方法を説明した。本実施の形態に係る走査駆動部70も、まったく同様に、この表示の乱れを抑えることができる。すなわち、走査駆動部70は、少なくとも、ソースドライバ13が画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLと、それに隣接する駆動電極COMLに対して、表示駆動信号Vcomdを印加する。これにより、図10に示したように、表示走査Scandがタッチ検出走査Scantにより追い越される場合でも、ソースドライバ13が画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLに隣接する駆動電極COMLには、追い越し状態であるか否かにかかわらず、表示駆動信号Vcomdが印加される。よって、その水平ラインの表示は、追い越し状態であるか否かによって影響されることはないため、隣接する駆動電極COMLに起因する表示の乱れを最低限に抑えることができる。
【0094】
以上のように本実施の形態では、画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLと、それに隣接する駆動電極COMLに常に表示駆動信号Vcomdを印加するようにしたので、隣接する駆動電極COMLに起因する表示の乱れを抑えることができる。
【0095】
<4.第3の実施の形態>
次に、本発明の第3の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置8について説明する。上記第2の実施の形態では、駆動電極COMLを2本単位で駆動したが、本実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置は、3本以上の単位で駆動するものである。その一例として、ここでは駆動電極COMLを4本単位で駆動する場合について説明する。タッチ検出機能付き表示装置8は、駆動電極COMLに対してこのような駆動を行う駆動電極ドライバ17を有する走査駆動部80を用いて構成されたものである。その他の構成は、上記第1の実施の形態(図1)などと同様である。なお、上記第1の実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置1などと実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0096】
図19は、本実施の形態に係る走査駆動部80の一構成例を表すものである。走査駆動部80は、駆動部830とを備えている。駆動部830は、N/4個の駆動部83(1)〜83(N/4)から構成されている。
【0097】
駆動部83(n)では、表示走査部51から供給される信号Sd(n-1)〜Sd(n+4)のうちの少なくとも1つが高レベルの場合には、表示優先回路74が表示駆動の指示と解釈して、駆動信号バッファ55が駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に表示駆動信号Vcomdを印加し、タッチ検出走査部52Bから供給される信号St(n)が高レベルの場合には、表示優先回路74がタッチ検出駆動の指示と解釈して、駆動信号バッファ55が駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方にタッチ検出駆動信号Vcomtを印加する。表示走査部51から供給される信号Sd(n-1)〜Sd(n+4)のうちの少なくとも1つが高レベルであるとともに、タッチ検出走査部52Bから供給される信号St(n)が高レベルの場合には、駆動信号バッファ55は、駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に表示駆動信号Vcomdを印加する。つまり、表示優先回路74は、表示駆動とタッチ検出駆動の両方の指示を受けた場合には、表示駆動の指示を優先するようになっている。また、表示走査部51から供給される信号Sd(n-1)〜Sd(n+4)の全てが低レベルであるとともに、タッチ検出走査部52Bから供給される信号St(n)が低レベルの場合には、表示優先回路74は、表示駆動の指示でもタッチ検出駆動の指示でもないと解釈し、駆動信号バッファ55は駆動電極COML(n),COML(n+1)の両方に直流駆動信号Vcomdcを印加する。
【0098】
図20は、走査駆動部80の表示駆動動作の一例を表すものである。図20に示したように、走査駆動部80は、駆動電極COMLを4本単位で駆動し、表示駆動信号Vcomdを印加する。そして、走査駆動部80は、表示駆動信号Vcomdが印加された駆動電極COMLに対応する走査信号線GCLに対して走査信号Vscanを順次印加し、その水平ラインの画素Pixに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを印加する。その際、走査駆動部80は、画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COML(斜線部)に隣接する駆動電極COMLに対しても表示駆動信号Vcomdを印加するように駆動を行う。すなわち、走査駆動部80は、駆動電極COMLを4本単位で駆動する際、その4本のうちの両端以外の2本に係る水平ラインに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを印加する場合には、その4本の駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加する。一方、走査駆動部80は、4本のうちの両端の2本に係る水平ラインに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを印加する場合には、隣接する4本と合わせて8本の駆動電極COMLに対して表示駆動信号Vcomdを印加する。
【0099】
本実施の形態に係るタッチ検出機能付き表示装置8では、駆動電極COMLを4本単位で駆動する場合において、画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLおよびそれに隣接する駆動電極COMLに表示駆動信号Vcomdを印加することにより、4本の駆動電極COMLとその水平ラインとの相対的な位置関係に起因する表示の乱れを最低限に抑えることができる。以下に、上記第1の実施の形態の変形例で説明した走査駆動部50B(図13)を参照して、その効果を説明する。
【0100】
図13に示したように、走査駆動部50Bは、常に4本の駆動電極COMLにのみ表示駆動信号Vcomdを印加する。このとき、その4本の駆動電極COMLのうちの両端以外の2本に係る水平ラインに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを印加する場合には、走査駆動部50Bは、波形W11に示したように、画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COML(斜線部)と、隣接する駆動電極COMLに対して、同じ表示駆動信号Vcomdを印加している。一方、4本の駆動電極COMLのうちの両端の2本に係る水平ラインに対してソースドライバ13が画素信号Vpixを印加する場合には、走査駆動部50Bは、波形W12に示したように、画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COML(斜線部)と、隣接する駆動電極COMLのうちの一方に対して、同じ表示駆動信号Vcomdを印加するとともに、隣接する駆動電極COMLのうちの他方に対して直流駆動信号Vcomdcを印加する。すなわち、走査駆動部50Bが表示駆動信号Vcomdを印加する4本の駆動電極COMLと、ソースドライバ13が画素信号Vpixを印加する水平ラインとの相対的な位置関係によって、その水平ラインに隣接する駆動電極COMLに印加される駆動信号Vcomが異なることとなる。この隣接する駆動電極COMLの信号が、図18に示したように、寄生容量Cp1〜Cp4を介して液晶素子LCに伝わる場合には、上述した相対的な位置関係に起因する駆動電極COMLの信号の違いが液晶素子LCに伝わることにより、その液晶素子LCに係る表示が乱れるおそれがある。
【0101】
このように、走査駆動部50Bでは、寄生容量Cp1〜Cp4の影響が強い場合には、表示動作のみを考慮した場合でも(すなわち追い越し状態を考慮しない場合でも)、表示が乱れるおそれがある。さらに、上記第2の実施の形態において示したように、表示動作に加えてタッチ検出動作を考慮した場合、隣接する駆動電極COMLに起因する表示の乱れも生じるおそれがある。
【0102】
一方、本実施の形態では、上述した相対的な位置関係にかかわらず、ソースドライバ13が画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLおよび隣接する駆動電極COMLには、常に表示駆動信号Vcomdが印加される。よって、その水平ラインの表示は、表示動作のみを考慮した場合においても、その相対的な位置関係に影響されることはないため、表示の乱れを最低限に抑えることができる。
【0103】
さらに、タッチ検出動作を考慮しても、追い越し状態であるか否かにかかわらず、ソースドライバ13が画素信号Vpixを印加している水平ラインに係る駆動電極COMLに隣接する駆動電極COMLには、常に表示駆動信号Vcomdが印加される。よって、上記第2の実施の形態と同様に、隣接する駆動電極COMLに起因する表示の乱れを最低限に抑えることができる。
【0104】
以上のように本実施の形態では、駆動電極COMLを4本単位で駆動した場合において、画素信号Vpixを印加している水平ラインに隣接する駆動電極COMLにも表示駆動信号Vcomdを印加するようにしたので、その4本の駆動電極COMLとその水平ラインとの相対的な位置関係に起因する表示の乱れを最低限に抑えることができる。その他の効果は、上記第1および第2の実施の形態の場合と同様である。
【0105】
<5.適用例>
次に、図21〜図25を参照して、上記実施の形態および変形例で説明したタッチ検出機能付き表示装置の適用例について説明する。上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置は、テレビジョン装置、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。言い換えると、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置は、外部から入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0106】
(適用例1)
図21は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるテレビジョン装置の外観を表すものである。このテレビジョン装置は、例えば、フロントパネル511およびフィルターガラス512を含む映像表示画面部510を有しており、この映像表示画面部510は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
【0107】
(適用例2)
図22は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるデジタルカメラの外観を表すものである。このデジタルカメラは、例えば、フラッシュ用の発光部521、表示部522、メニュースイッチ523およびシャッターボタン524を有しており、その表示部522は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
【0108】
(適用例3)
図23は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を表すものである。このノート型パーソナルコンピュータは、例えば、本体531、文字等の入力操作のためのキーボード532および画像を表示する表示部533を有しており、その表示部533は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
【0109】
(適用例4)
図24は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用されるビデオカメラの外観を表すものである。このビデオカメラは、例えば、本体部541、この本体部541の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ542、撮影時のスタート/ストップスイッチ543および表示部544を有している。そして、その表示部544は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
【0110】
(適用例5)
図25は、上記実施の形態等のタッチ検出機能付き表示装置が適用される携帯電話機の外観を表すものである。この携帯電話機は、例えば、上側筐体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディスプレイ740、サブディスプレイ750、ピクチャーライト760およびカメラ770を有している。そのディスプレイ740またはサブディスプレイ750は、上記実施の形態等に係るタッチ検出機能付き表示装置により構成されている。
【0111】
以上、いくつかの実施の形態および変形例、ならびに電子機器への適用例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0112】
上記の各実施の形態等では、TNやVA、ECB等の各種モードの液晶を用いた液晶表示デバイス20とタッチ検出デバイス30とを一体化してタッチ検出機能付き表示デバイス10を構成したが、これに代えて、FFS(フリンジフィールドスイッチング)やIPS(インプレーンスイッチング)等の横電界モードの液晶を用いた液晶表示デバイスとタッチ検出デバイスとを一体化しても良い。例えば、横電界モードの液晶を用いた場合には、タッチ検出機能付き表示デバイス90を、図26に示したように構成可能である。この図は、タッチ検出機能付き表示デバイス90の要部断面構造の一例を表すものであり、画素基板2Bと対向基板3Bとの間に液晶層6Bを挟持された状態を示している。その他の各部の名称や機能等は図5の場合と同様なので、説明を省略する。この例では、図5の場合とは異なり、表示用とタッチ検出用の双方に兼用される駆動電極COMLは、TFT基板21の直ぐ上に形成され、画素基板2Bの一部を構成する。駆動電極COMLの上方には、絶縁層23を介して画素電極22が配置される。この場合、駆動電極COMLとタッチ検出電極TDLとの間の、液晶層6Bをも含むすべての誘電体が容量C1の形成に寄与する。
【0113】
上記の各実施の形態等では、タッチ検出走査を表示走査の2倍の速度で行うようにしたが、これに限定されるものではなく、追い越し走査をするものであれば、どのような速度であってもよい。例えば、図27(A)に示したように、タッチ検出走査を表示走査の3倍の速度で行ってもよいし、図27(B)に示したように表示走査の4倍の速度でおこなってもよい。
【符号の説明】
【0114】
1,7,8…タッチ検出機能付き表示装置、2,2B…画素基板、3,3B…対向基板、6,6B…液晶層、10…タッチ検出機能付き表示デバイス、11…制御部、12…ゲートドライバ、13…ソースドライバ、14,16,17…駆動電極ドライバ、20…液晶表示デバイス、21…TFT基板、22…画素電極、30…タッチ検出デバイス、31…ガラス基板、32…カラーフィルタ、35…偏光板、40…タッチ検出部、42…アナログLPF部、43…A/D変換部、44…信号処理部、45…座標抽出部、46…検出タイミング制御部、50,50B,70,70S,80…走査駆動部、51…表示走査部、52,52B…タッチ検出走査部、53,53B,73,73S,83,530,530B,730,730S,830…駆動部、54,74…表示優先回路、55…駆動信号バッファ、56…ゲートバッファ、57,58…論理和回路、COML…駆動電極、Cp1〜Cp4…寄生容量、GCL…走査信号線、LC…液晶素子、Out…出力信号、Pix…画素、Scand…表示走査、Scant…タッチ検出走査、SGL…画素信号線、Sd,St…信号、TDL…タッチ検出電極、Tr…TFT素子、Vcom…駆動信号、Vcomd…表示駆動信号、Vcomt…タッチ検出駆動信号、Vcomdc…直流駆動信号、Vdet…タッチ検出信号、Vdisp…映像信号、Vpix…画素信号、Vscan…走査信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極と、
画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行う表示素子と、
タッチ検出駆動信号に基づいて外部近接物体を検出するタッチ検出素子と、
前記表示駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、前記第1の走査駆動と異なる走査速度を有し、前記タッチ検出駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行う走査駆動部と
を備え、
前記走査駆動部は、前記第1および第2の走査駆動において、前記共通駆動電極を複数本単位で駆動する
タッチ検出機能付き表示装置。
【請求項2】
前記走査駆動部は、前記第1の走査駆動の対象となる共通駆動電極と前記第2の走査駆動の対象となる共通駆動電極とが重なる場合には、前記表示駆動信号をその重複する共通駆動電極に印加する
請求項1に記載のタッチ検出機能付き表示装置。
【請求項3】
前記走査駆動部は、前記第1の走査駆動において、前記画素信号が印加される表示素子に対応する共通駆動電極および少なくともそれに隣接した共通駆動電極に対して同じ前記表示駆動信号を同時に印加する
請求項2に記載のタッチ検出機能付き表示装置。
【請求項4】
前記表示素子は液晶表示素子である
請求項2に記載のタッチ検出機能付き表示装置。
【請求項5】
前記タッチ検出素子は、外部近接物体の近接もしくは接触に基づく静電容量の変化を利用してその外部近接物体を検出する
請求項2に記載のタッチ検出機能付き表示装置。
【請求項6】
一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極と、画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行う表示素子と、タッチ検出駆動信号に基づいて外部近接物体を検出するタッチ検出素子とを備えたタッチ検出機能付き表示部に対して、前記表示駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、前記第1の走査駆動と異なる走査速度を有し、前記タッチ検出駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行う走査駆動部を備え、
前記走査駆動部は、前記第1および第2の走査駆動において、前記共通駆動電極を複数本単位で駆動する
駆動回路。
【請求項7】
一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極に表示駆動信号を時分割的に複数本単位で順次印加するとともに、前記表示駆動信号の印加に同期してその表示駆動信号の印加下にある共通駆動電極に対応した画素電極に画素信号を印加する動作を時分割的に順次行うことにより、前記画素信号および前記表示駆動信号に基づく表示を行う第1の走査駆動動作と、
外部近接物体検出用のタッチ検出駆動信号を、前記複数の共通駆動電極に、前記第1の走査駆動動作とは異なる走査速度で時分割的に複数本単位で順次印加する第2の走査駆動動作とを行う
タッチ検出機能付き表示装置の駆動方法。
【請求項8】
タッチ検出機能付き表示装置と、
前記タッチ検出機能付き表示装置を利用した動作制御を行う制御部と
を備え、
前記タッチ検出機能付き表示装置は、
一方向に延在するように並設された複数の共通駆動電極と、
画素信号および表示駆動信号に基づいて表示を行う表示素子と、
タッチ検出駆動信号に基づいて外部近接物体を検出するタッチ検出素子と、
前記表示駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第1の走査駆動と、前記第1の走査駆動と異なる走査速度を有し、前記タッチ検出駆動信号を前記複数の共通駆動電極に時分割的に順次印加する第2の走査駆動とを行う走査駆動部と
を有し、
前記走査駆動部は、前記第1および第2の走査駆動において、前記共通駆動電極を複数本単位で駆動する
電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate


【公開番号】特開2012−42861(P2012−42861A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−186196(P2010−186196)
【出願日】平成22年8月23日(2010.8.23)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】