説明

タナプロゲットの精製形態II

タナプロゲット多形形態II、タナプロゲット多形形態IIを調製するための方法、タナプロゲット多形形態IIを含む医薬組成物、ミクロ化タナプロゲット多形形態II、およびタナプロゲット形態Iへと形態IIを変換するためのプロセスが提供される。また、避妊、ホルモン補充療法、食物摂取の刺激の方法、ならびに子宮筋層類線維腫、良性前立腺肥大、良性および悪性の新生物疾患、機能不全性出血、子宮平滑筋種、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、または癌および腺癌を処置または予防する、多形形態IIを哺乳動物被験体に投与する工程を含む方法が、提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
新規タナプロゲット多形形態IIおよびこれを含む組成物が、本明細書中に記載のとおりに提供される。
【背景技術】
【0002】
細胞内レセプター(IR)は、「リガンド依存性転写因子」として公知の構造的に関連する遺伝子調節因子のクラスを形成する。ステロイドレセプターファミリーはIRファミリーの一部分集合であり、プロゲステロンレセプター(PR)、エストロゲンレセプター(ER)、アンドロゲンレセプター(AR)、グルココルチコイドレセプター(GR)、およびミネラルコルチコイドレセプター(MR)が挙げられる。
【0003】
PRに対する天然のホルモンまたはリガンドは、ステロイドのプロゲステロンであるが、合成化合物(例えば、酢酸メドロキシプロゲステロンまたはレボノルゲストレル)が作製されており、これらもまたリガンドとして役立つ。一旦リガンドが細胞を囲む流体中に存在すると、このリガンドは受動拡散を介して細胞膜を通過し、IRに結合してレセプター/リガンド複合体を形成する。この複合体は細胞のDNAに存在する特異的な遺伝子プロモーターに結合する。一旦DNAに結合すると、この複合体はその遺伝子によってコードされるmRNAおよびタンパク質の生産を調節する。
【0004】
IRに結合し、そして天然のホルモンの作用を模倣する化合物は、アゴニストと称され、一方、そのホルモンの効果を阻害する化合物はアンタゴニストである。
【0005】
PRアゴニスト(天然物および合成物)は、女性の健康に重要な役割を果たすことが公知である。PRアゴニストは、代表的にERアゴニストの存在下で出生管理組成物(birth control composition)において使用されるか、あるいはそれらアゴニストはPRアンタゴニストと組合せて使用され得る。ERアゴニストは、更年期症状を処置するために使用されるが、子宮に対する増殖効果を伴っており、この増殖効果は子宮癌のリスク増大を導き得る。PRアゴニストの同時投与は、このリスクを低減/除去する。
【0006】
タナプロゲット(tanaproget)、5−(4,4−ジメチル−2−オキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1H−ピロール−2−カルボニトリルは、プロゲステロンレセプター調節因子であり、避妊、ホルモン補充療法、ならびに癌および腺癌、機能不全性出血、子宮平滑筋種(uterine leiomyomata)、子宮内膜症、および多嚢胞性卵巣症候群を処置するのに効果的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
タナプロゲットの代替形態が、当該分野で必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
1局面において、タナプロゲット多形形態IIが提供される。
【0009】
さらなる局面において、ミクロ化タナプロゲット多形形態IIが提供される。
【0010】
別の局面において、タナプロゲット多形形態IIを調製するためのプロセスが提供される。
【0011】
なおさらなる局面において、タナプロゲット多形形態IIを含む医薬組成物が提供される。
【0012】
さらに別の局面において、タナプロゲット多形形態IIを備えるキットが提供される。
【0013】
さらなる局面において、タナプロゲット多形形態IIを含む医薬組成物を調製する方法が提供される。
【0014】
さらに別の局面において、タナプロゲット多形形態IIからタナプロゲット形態Iを調製するためのプロセスが提供される。
【0015】
さらなる局面において、タナプロゲット多形形態IIを使用して、避妊、ホルモン補充療法、および食物摂取の刺激の方法が提供される。
【0016】
さらに別の局面において、タナプロゲット多形形態IIを使用して、子宮筋層類線維腫(uterine myometrial fibroid)、良性前立腺肥大、良性および悪性の新生物疾患、機能不全性出血、子宮平滑筋種、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、ならびに下垂体、子宮内膜、腎臓、卵巣、乳房、結腸および前立腺の癌および腺癌、ならびに他のホルモン依存性腫瘍を処置および予防する方法が提供される。
【0017】
本発明の他の局面および利点は、好ましい実施形態の以下の詳細な説明にさらに記載される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
本明細書中で形態IIと称される、タナプロゲットの新規多形が記載される。形態IIは、タナプロゲット形態Iの結晶格子の構造およびその化学的特性において形態Iとは異なっている。
【0019】
本明細書中で使用される場合、「タナプロゲット」または「形態I」は、タナプロゲット、すなわち5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリルを、粒子サイズまたは純度に関係なく指す。タナプロゲットは、米国特許出願公開第US2005−0272702 A1号(これは、本明細書により参考として援用される)に記載される手順に従って精製することができる。
【0020】
別の実施形態において、タナプロゲット形態Iは、再結晶によって精製される。望ましくは、タナプロゲットはアセトンおよび水から再結晶される。より望ましくは、タナプロゲットはアセトン中に溶解され、このアセトン溶液が加熱され、この加熱されたアセトン溶液に水が添加され、そしてアセトン/水の溶液が冷却されて、精製タナプロゲットを提供する。この精製は、具体的には、アセトン中に粗製タナプロゲットを溶解させる工程、および約45℃〜約51℃に溶液を加熱する工程を含む。カーボンフィルターを介して少なくとも約4時間、加熱溶液を循環させた後、当業者に公知の手順を使用して濾過溶液が濃縮される。この濃縮溶液に水を添加した後、望ましくは還流しているアセトン溶液を冷却しない速度で、アセトン/水の溶液を約−6℃〜約0℃に冷却する。望ましくは、アセトン/水の溶液は、毎分約0.5℃未満の速度で冷却される。このバッチを少なくとも約3時間その低温で保持した後、析出した精製タナプロゲットを、濾過を使用して収集する。この収集された固形物を水/アセトン混合物により洗浄する。望ましくはこの固形物を1:1の水/アセトン混合物により2回洗浄する。次いで、洗浄した精製タナプロゲットを35℃未満で約4時間乾燥させる。約50℃未満でのさらなる乾燥を実施して、分光学的方法により測定されるアセトン/水残渣を除去する。
【0021】
「タナプロゲット」または「形態I」はまた、その非ミクロ化形態およびミクロ化形態の両方を指す。タナプロゲットのミクロ化は、代表的に、窒素下、かつ非ミクロ化プロゲットに適用される従来のミクロ化技術で(例えば、Trostまたはジェットミルを用いて)達成される。非ミクロ化ナノプロゲットの調製の1つの方法は、米国特許第6,436,929号に記載され、そして別の方法は、一般的に米国特許出願公開第US−2005−0272702−A1号に記載される。これらは本明細書により参考として援用される。望ましくは、非ミクロ化タナプロゲットは、米国特許出願公開第US−2005−0272702-A1号に記載されるように調製される。しかしながら、この新規多形形態IIは、非ミクロ化タナプロゲット形態Iが生成される方法に制限されない。
【0022】
調製または使用されるミクロ化タナプロゲットは、代表的に、約20μm未満、望ましくは約15μm未満の粒子サイズを有する。望ましくは、マルバーン(Malvern)の方法によって決定される場合、90%の粒子は約20μm以下であり、そして50%は約15μm以下であり、そしてより望ましくは約10μm未満である。このことは、当業者に容易に理解される。より望ましくは、粒子の大部分は約10μm以下である。
【0023】
(A.形態IIの分光学的同定)
タナプロゲット形態Iは、約230℃の吸熱反応ピークを含む、示差走査熱量測定サーモグラムを有する。さらに、X線回折(XRD)パターンは、約6.6°、10.3°、14.4°、19.8°、23.8°、26.3°、および29.1°の2θにおけるピークを含む。
【0024】
タナプロゲット多形形態IIのXRDパターンは、形態IのXRDパターンとは異なり、そして約6.0°、8.3°、12.0°、21.4°、および23.4°の2θにおけるピークを含む。図1を参照のこと。形態IIの示差走査熱量測定(DSC)サーモグラムもまた形態IのDSCサーモグラムとは異なっており、約219℃のT開始を有する。図2を参照のこと。
【0025】
(B.形態IIタナプロゲット多形の調製)
形態IIタナプロゲット多形は、代表的に、選択される溶媒系から、非ミクロ化またはミクロ化タナプロゲット形態Iを再結晶させることによって調製される。形態IIを調製する際に使用するための好ましい溶媒系としては、非限定的に、塩化メチレンおよびペンタン溶媒系;アセトニトリルおよび水の溶媒系;ならびにメタノールおよび水の溶媒系が挙げられる。
【0026】
(i)塩化メチレン/ペンタン溶媒系
1実施形態において、形態IIは塩化メチレン/ペンタン溶媒系を使用して調製される。このプロセスにおいて、形態Iを塩化メチレン中に溶解し、必要に応じて還流温度あたりの温度まで温める。次いで、この塩化メチレン溶液を必要に応じて濃縮し、ペンタンを添加する。このペンタンは塩化メチレン溶液の上に層化し得、そしてその場所で混合することもできるし、または直接塩化メチレン溶液中に混合することもできる。それからこの塩化メチレン/ペンタン溶液を望ましくは約20℃に冷却する。これにより、タナプロゲット多形形態IIは、塩化メチレン/ペンタン溶液から析出し、そして当該分野で公知の技術を使用して収集される。次いで、収集された形態IIは、当該分野で公知の技術を使用して乾燥することができ、そしてこれは他の技術の中でも減圧かつ高温の使用を含め得る。
【0027】
(ii)アセトニトリル/水溶媒系
別の実施形態において、形態IIは、アセトニトリル/水溶媒系を使用して調製される。このプロセスにおいて、形態Iをアセトニトリル中に溶解し、必要に応じて還流温度あたりの温度まで温める。次いで、このアセトニトリル溶液を必要に応じて濃縮し、水を添加する。この水は、アセトニトリル溶液の上側に層化し得、そしてその場所で混合することもできるし、または直接アセトニトリル溶液中に混合することもできる。それからこのアセトニトリル/水の溶液を望ましくは室温以下に冷却する。これにより、タナプロゲット多形形態IIはアセトニトリル/水の溶液から析出し、そして当該分野で公知の技術を使用して収集される。次いで、収集された形態IIは、当該分野で公知の技術を使用して乾燥することができ、そしてこれは他の技術の中でも減圧かつ高温の使用を含め得る。
【0028】
(iii)メタノール/水溶媒系
さらなる実施形態において、形態IIは、メタノール/水溶媒系を使用して調製される。このプロセスにおいて、形態Iをメタノール中に溶解し、必要に応じて還流温度あたりの温度まで温める。次いで、このメタノール溶液を必要に応じて濃縮し、水を添加する。この水は、メタノール溶液の上側に層化し得、そしてその場所で混合することもできるし、または直接メタノール溶液中に混合することもできる。それからこのメタノール/水の溶液を望ましくは室温以下に冷却する。これにより、タナプロゲット多形形態IIは、メタノール/水の溶液から析出し、そして当該分野で公知の技術を使用して収集される。次いで、収集された形態IIは、当該分野で公知の技術を使用して乾燥することができ、そしてこれは他の技術の中でも減圧かつ高温の使用を含め得る。
【0029】
(C.ミクロ化タナプロゲット形態II)
タナプロゲット形態IIは、窒素下、かつミクロ化プロゲット形態Iについて上記で考察したように、従来のミクロ化技術で(例えば、Trostまたはジェットミルを用いて)ミクロ化することができる。
【0030】
ミクロ化タナプロゲット形態IIは、代表的に、約20μm未満、望ましくは約15μm未満、そしてより望ましくは約10μm未満のメジアン粒子サイズを有する。具体的には、マルバーン(Malvern)の方法によって決定される場合、90%の粒子は約20μm以下であり、そして50%は約15μm以下である。このことは、当業者に容易に理解される。
【0031】
1実施形態において、約20μm未満の粒子サイズを有するミクロ化5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル形態IIが提供される。
【0032】
(D.形態IIタナプロゲット多形を含む組成物)
また、タナプロゲット多形形態IIを単独で含む組成物または形態Iと組合わせて含む組成物、望ましくは医薬組成物が、提供される。組成物は代表的に薬学的に受容可能なキャリアを含むが、他の適切な成分も含み得る。代表的に、追加の成分は不活性であり、組成物の必要成分の機能を阻害しない。従って組成物はさらに、とりわけ、他のアジュバント、シロップ、エリキシル、希釈剤、結合剤、滑沢剤、界面活性剤、造粒剤、崩壊剤(disintegrating agent)、軟化剤、金属キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、充填剤、崩壊剤(disintegrant)、およびこれらの組み合わせを含み得る。
【0033】
アジュバントとしては、非限定的に、調味剤、着色剤、保存剤、および補助的な酸化防止剤が挙げられ得、これらとしては、ビタミンE、アスコルビン酸、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、およびブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられ得る。
【0034】
結合剤としては、非限定的に、とりわけ、ポビドン、セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、非結晶性セルロース、ポリプロピルピロリドン、ポリビニルピロリドン(ポビドン、PVP)、ゼラチン、アラビアゴムおよびアカシアゴム、ポリエチレングリコール、デンプン、糖(例えば、ショ糖、カオリン、デキストロースおよびラクトース)、コレステロール、トラガカント、ステアリン酸、ゼラチン、カゼイン、レシチン(ホスファチド)、セトステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルエステルワックス、デキストレート、デキストリン、モノオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンヒマシ油誘導体、ポリオキシエチレンステアレート、ポリビニルアルコール、およびゼラチンが挙げられ得る。1実施形態において、結合剤はポビドンである。
【0035】
滑沢剤としては、とりわけ、軽質無水ケイ酸、タルク、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリルフマル酸ナトリウム(sodium stearyl furamate)が挙げられ得る。1実施形態において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0036】
造粒剤としては、非限定的に、とりわけ、二酸化ケイ素、デンプン、炭酸カルシウム、ペクチン、クロスポビドン、およびポリプラスドンが挙げられ得る。
【0037】
分解剤または崩壊剤としては、とりわけ、デンプン、カルボキシメチルセルロース、置換ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、アルファー化デンプン、またはクロスポビドンが挙げられ得る。
【0038】
軟化剤としては、非限定的に、ステアリルアルコール、ミンクオイル、セチルアルコール、オレイルアルコール、イソプロピルラウレート、ポリエチレングリコール、オリーブ油、ワセリン(Petroleum jelly)、パルミチン酸、オレイン酸、およびミリスチン酸ミリスチルが挙げられ得る。
【0039】
界面活性剤としては、ポリソルベート、ソルビタンエステル、ポロキサマー、またはラウリル硫酸ナトリウムが挙げられ得る。1実施形態において、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
【0040】
金属キレート剤としては、生理学的に受容可能なキレート剤が挙げられ得、エデト酸、リンゴ酸、またはフマル酸が挙げられる。1実施形態において、金属キレート剤はエデト酸である。
【0041】
また、pH調整剤を利用して、タナプロゲットを含む溶液のpHを約4から約6に調製することができる。1実施形態において、タナプロゲットを含む溶液のpHを約4.6に調整することができる。pH調整剤としては、生理学的に受容可能な薬剤が挙げられ得、クエン酸、アスコルビン酸、フマル酸、またはリンゴ酸、およびこれらの塩が挙げられる。1実施形態において、pH調整剤はクエン酸である。
【0042】
組成物中で使用され得るさらなる充填剤としては、マンニトール、リン酸カルシウム、予めゼラチン化したデンプン、またはショ糖が挙げられる。
【0043】
(E.形態IIタナプロゲット多形を使用する方法)
タナプロゲット多形形態IIを患者に送達する方法がさらに提供される。ここでこの方法は、形態IIを投与する工程を含む。
【0044】
形態IIの必要投薬量は、提示される症状の重篤度および処置される特定の被験体に基づき変動し得る。処置は、形態IIの最適用量未満の小さな投薬量で開始され得る。その後、この投薬量は、その状況下での最適な効果が達されるまで増加される。正確な投薬量は、個々の被験体が処置される体験に基づき、投与する医者により決定される。一般に、形態IIは、最も望ましくは、許容不能な損害性の(harmful)副作用も有害な(deleterious)副作用も引き起こすことなく有効な結果を概ねもたらす濃度にて投与される。例えば、形態IIの有効量は一般に、例えば、約0.05mg〜約1mg、約0.05mg〜約0.3mg、約0.05mg、約0.075mg、約0.1mg、約0.15mg、約0.2mg、または約0.3mgである。
【0045】
従って、形態IIは、避妊およびホルモン補充療法において有用である。形態IIはまた、避妊ならびに以下の処置および/または予防に有用である:子宮筋層類線維腫、良性前立腺肥大、良性および悪性の新生物疾患、機能不全性出血、子宮平滑筋種、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、ならびに下垂体、子宮内膜、腎臓、卵巣、乳房、結腸および前立腺の癌および腺癌、ならびに他のホルモン依存性腫瘍。形態IIのさらなる使用としては、食物摂取の刺激が挙げられる。
【0046】
タナプロゲット多形形態IIは、薬学的有効量の形態IIを使用して、所望の送達経路に適した任意の形態に処方することができる。例えば、形態IIは、経口、経皮、気管支内、鼻腔内、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、腹腔内、鼻腔内、膣、直腸、舌下、頭蓋内、硬膜外、気管内のような経路によって、または徐放性により送達され得る。好ましくは、送達は経口である。
【0047】
例えば、形態IIは、錠剤、カプセル、ミクロカプセル、分散性粉末、顆粒、または懸濁剤(例えば、約0.05%〜5%の懸濁剤を含む)、シロップ(例えば、約10%〜50%の糖を含む)、およびエリキシル(例えば、約20%〜50%のエタノールを含む)、などのような形態で、経口投与のために処方することができる。調製および投与の容易さの観点から好ましい医薬組成物は、固形組成物、特に錠剤および硬質充填カプセルまたは液体充填カプセルである。
【0048】
形態IIはまた、非経口または腹腔内に投与され得る。形態IIの溶液または懸濁液は、界面活性剤(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)と適切に混合された水中で調製され得る。分散剤もまた、オイル中のグリセロール、液体、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物において調製され得る。保存および使用の通常条件下では、これらの調製物は微生物の増殖を防ぐために保存剤を含み得る。代表的に、そのような滅菌の注射可能な溶液または懸濁液は、等張媒体中に約0.05%〜5%の懸濁剤を含む。そのような医薬調製物は、例えば、約25%〜約90%の活性成分を、通常は約5重量%〜60重量%の間のキャリアと組合せて含み得る。
【0049】
別の実施形態において、形態IIは、静脈内、筋肉内、皮下、非経口および腹腔内に、滅菌注射可能な溶液、懸濁物、分散物および粉末の形態で送達され、これら形態は、容易なシリンジ能(syringe ability)が存在する範囲まで流体である。このような注射可能な組成物は滅菌されており、製造および保存の条件下で安定であり、そして微生物(例えば、細菌および真菌)の汚染作用がない。
【0050】
キャリアは、例えば、水、エタノール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、オイルおよびこれらの混合物を含む、溶媒または分散媒体であり得る。好ましくは、液体キャリアは水である。1実施形態において、オイルは植物油である。必要に応じて、液体キャリアは懸濁剤を含む。別の実施形態において、液体キャリアは等張媒体であり、0.05%〜約5%の懸濁剤を含む。
【0051】
さらなる実施形態において、形態IIは、従来の坐薬形態で直腸に送達される。
【0052】
別の実施形態において、形態IIは、従来の坐剤、クリーム、ゲル、リング、またはコーティングされた子宮内デバイス(IUD)の形態で膣に送達される。
【0053】
なお別の実施形態において、形態IIはエアロゾルの形態で鼻腔内または気管支内に送達される。
【0054】
さらなる実施形態において、形態IIは、形態IIおよび任意のキャリアを含む経皮パッチの使用を介して経皮的または徐方性放出により送達され、このキャリアは、形態IIに対して不活性であり皮膚に対して無毒性であり、そして血流中への全身性吸収のための形態IIの送達を可能にする。このようなキャリアは、クリーム、軟膏、ペースト、ゲルまたは閉塞性デバイスであり得る。これらのクリームおよび軟膏は、粘性液体または半固形エマルジョンであり得る。ペーストは、ワセリンまたは親水ワセリン中に分散された吸収性粉末を含む。さらに、種々の閉塞性デバイスは、形態IIを血流中に放出するように利用され得、そして活性試薬を収容するレザバまたは反応性試薬を収容するマトリクスを覆う半透膜を備え得る。
【0055】
徐方性送達デバイスの使用は、患者が1日ベースで医薬を摂取する必要性を避けるため、望ましくあり得る。用語「徐方性送達」とは本明細書中で使用される場合、送達環境に配置された後、続くその後の薬剤の徐方性放出まで活性剤(すなわち、タナプロゲット多形形態II)の放出を遅延させることを指す。多くの徐方性送達デバイスが当該分野で公知であり、これらとしては以下が挙げられる:ヒドロゲル(米国特許第5,266,325号;同第4,959,217号;同第5,292,515号)、浸透圧ポンプ(とりわけ、米国特許第4,295,987号および同第5,273,752号および欧州特許第314,206号);疎水性膜材料(例えば、エチレンメタクリル酸(EMA)およびエチレン酢酸ビニル(EVA));生体吸収性ポリマー系(国際特許公開第WO98/44964号および米国特許第5,756,127号および同第5,854,388号);および他の生体吸収性移植デバイス(例えば、ポリエステル、ポリ無水物、または乳酸/グリコール酸コポリマー(米国特許第5,817,343号)を含む)。このような徐方性送達デバイスにおける使用のため、形態IIは、本明細書中に記載されるように処方することができる。米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号;同第3,536,809号;同第3,598,123号;および同第4,008,719号を参照のこと。
【0056】
望ましくは、形態IIは、患者への送達に適切な投薬量単位に形成される。適切な投薬量単位としては、経口投薬量単位(例えば、直接圧縮錠、カプセル、粉末、懸濁物、ミクロカプセル、分散性粉末、顆粒、懸濁物、シロップ、エリキシルおよびエアロゾル)が挙げられる。望ましくは、形態IIは、錠剤へと圧縮され、これは必要に応じてカプセルに加えられるか、または形態IIは、カプセルに直接加えられる。形態IIはまた、他の適切な経路によって送達することができる。これらの投薬量単位は、本明細書中に記載される方法および当業者に公知の方法を使用して、容易に調製される。
【0057】
固体形態(タナプロゲット形態IIを含む錠剤、カプレット、およびカプセルが挙げられる)は、上記の成分と一緒にタナプロゲットを乾燥混合(dry blend)することによって、形成することができる。1実施形態において、利用されるカプセルとしては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセル、ヒプロメロースカプセル、または硬質殻のゼラチンカプセルが挙げられる。タナプロゲットを含む錠剤またはカプレットは、必要に応じてフィルムコーティングされる。適切なフィルムコーティングは当業者に公知である。例えば、フィルムコーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせのようなポリマーの中から選択され得る。
【0058】
形態IIの薬学的有効量は、送達される組成物の他の成分、送達様式、処置される状態の重篤度、患者の外的病原因子(agent)および体重、ならびにその組成物中に使用される他の任意の活性成分に依存して、変動し得る。投薬量レジメンもまた、最適な治療応答をもたらすように調節することができる。いくつかの分割用量(例えば、1日あたり2〜4回の分割用量)が毎日送達され得るか、または単回用量が送達され得る。しかしながら、この用量は、治療状態の緊急性によって必要性が示される場合、比率を低減されても増加されてもよい。1実施形態において、送達は毎日ベース、1週間ベース、または1ヶ月ベースである。別の実施形態において、送達は、毎日の送達である。しかしながら、毎日の投薬量は、定期的な送達に基づき、低下されても上昇されてもよい。
【0059】
形態IIが避妊またはホルモン補充療法において使用される場合、とりわけ、1つ以上の他のプロゲステロンレセプターアゴニスト、エストロゲンレセプターアゴニスト、プロゲステロンレセプターアンタゴニスト、および選択的エストロゲンレセプター調節因子と組合せて投与され得ることが企図される。
【0060】
新生物疾患、癌および腺癌を処置するために利用される場合、形態IIは、当業者により容易に選択され得る1つ以上の化学療法剤と組み合わせて投与することができる。
【0061】
(F.タナプロゲット多形形態IIを備えるキット)
また、タナプロゲット多形形態IIを備えるキットまたは包装物が提供される。キットは、形態IIを備え得るか、または形態Iおよび上記で考察した哺乳動物被験体への投与に適したキャリアとの組み合わせで備え得る。代表的に、錠剤またはカプセルはブリスターパックに包装され、望ましくはUltrx(商標)2000ブリスターパックに包装される。
【0062】
形態IIを備えるキットまたは包装物は、本明細書中に記載されるレジメンにおける使用のために設計される。望ましくは、これらのキットは、とりわけ21日サイクル、28日サイクル、30日サイクルまたは31日サイクルにわたる毎日の経口送達のため、そしてより好ましくは1日あたり1回の経口送達のために設計される。形態IIが連続的に送達されるべき場合、包装物またはキットは、それぞれの錠剤中に形態IIを含み得る。形態IIが定期的な中止期間を伴って送達され得る場合、包装物またはキットは、形態IIが送達されない日におけるプラセボを備え得る。
【0063】
さらなる成分を形態IIと同時投与することができ、それらとしては妊娠誘発剤、エストロゲン、および選択的エストロゲンレセプター調節因子が挙げられ得る。
【0064】
望ましくは、キットはまた、サイクルのそれぞれの日に摂取される単回の経口処方物または経口処方物の組み合わせを示すように構成される。好ましくは、各々の特定の日において摂取されるべき経口錠剤を備え、より望ましくは、1経口錠は、指示される1日の各投薬量の組み合わせを含む。
【0065】
1実施形態において、キットは、21日サイクル、28日サイクル、30日サイクルまたは31日サイクルにわたる、形態IIの1日投薬量について単一のフェーズ(phase)を含み得る。あるいは、キットは、28日サイクル、30日サイクルまたは31日サイクルのうちの最初の21日にわたる、形態IIの1日投薬量について単一のフェーズを含み得る。キットはまた、30日サイクルまたは31日サイクルのうちの最初の28日にわたる、形態IIの1日投薬量について単一のフェーズを含み得る。
【0066】
さらなる実施形態において、キットは、21日サイクル、28日サイクル、30日サイクルまたは31日サイクルにわたる、形態IIおよび妊娠誘発剤の1日投薬量について単一の組合せのフェーズを含み得る。あるいは、キットは、28日サイクル、30日サイクルまたは31日サイクルの最初の21日にわたる、形態IIおよび妊娠誘発剤の1日投薬量について単一の組合せのフェーズを含み得る。キットはまた、30日サイクルまたは31日サイクルの最初の28日にわたる、形態IIおよび妊娠誘発剤の1日投薬量について単一の組合せのフェーズを含み得る。
【0067】
別の実施形態において、28日キットは、形態IIの14〜28回の1日投薬量単位の第一フェーズ;妊娠誘発剤の1〜11回の1日投薬量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、このサイクルの残りの日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボの第三フェーズを含み得る。
【0068】
なおさらなる実施形態において、28日キットは、形態IIの14〜21回の1日投薬量単位の第一フェーズ;妊娠誘発剤の1〜11回の1日投薬量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、そのサイクルの残りの日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボの第三フェーズを含み得る。
【0069】
別の実施形態において、28日キットは、形態IIの18〜21回の1日投薬量単位の第一フェーズ;妊娠誘発剤の1〜7回の1日用量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、その28日サイクルの残りの0〜9日の各日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボを含み得る。
【0070】
なおさらなる実施形態において、28日キットは、形態IIの21回の1日投薬量単位の第一フェーズ;妊娠誘発剤の22〜24日目の間の3回の1日投薬量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、25〜28日目の各日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボの4回の1日投薬量単位の第三フェーズを含み得る。
【0071】
別の実施形態において、28日キットは、約35〜約150μgのレボノルゲストレルと妊娠誘発活性が等しい妊娠誘発剤についての14〜21回の1日投薬量単位の第一フェーズ;形態IIについての1〜11回の1日投薬量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、抗プロゲスチンもプロゲスチンもエストロゲンも投与されないそのサイクルの残りの日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボの第三フェーズを含み得る。
【0072】
さらなる実施形態において、28日キットは、約35〜約100をμgのレボノルゲストレルと妊娠誘発活性が等しい妊娠誘発剤についての14〜21回の1日投薬量単位の第一フェーズ;形態IIについての1〜11回の1日投薬量単位の第二フェーズ;および必要に応じて、抗プロゲスチンもプロゲスチンもエストロゲンも投与されないそのサイクルの残りの日に対する経口の薬学的に受容可能なプラセボの第三フェーズを含み得る。
【0073】
望ましくは、形態IIの1日投薬量は、それが送達される特定の各フェーズの中で固定されたままである。さらに好ましくは、記載の1日用量単位が記載の順番で送達され得、この第一フェーズは順に第二フェーズおよび第三フェーズへと続けられる。各々のレジメンを用いるコンプライアンスを容易にするのを助けるため、キットがサイクルの最終日のために記載されるプラセボを備えることも好ましい。
【0074】
経口使用のための医薬品を分配する使用のための多くの包装またはキットが、当該分野で公知である。望ましくは、包装は28日のサイクルの各日に対する指標を有し、より望ましくは包装はラベルの付いたブリスター包装であるか、ダイヤル式ディスペンサー包装であるか、またはボトルである。
【0075】
キットはさらに、形態IIを投与するための指示書を備え得る。
【0076】
(G.形態IIタナプロゲット多形を形態Iへと変換するためのプロセス)
また、タナプロゲット多形形態IIからタナプロゲット形態Iを調製するためのプロセスが提供される。代表的に、形態IIは、溶媒系からの結晶化を介して、または溶媒を使用せずに形態IIから直接的に形態Iへと変換される。
【0077】
1実施形態において、形態IIは、望ましくは1:1のアセトン 対 水の比で、アセトンおよび水と形態IIとを合わせることによって形態Iへと変換される。形態IIは、形態IIを形態Iへと変換するのに十分な時間の間、アセトン/水の溶液と混合される。代表的に、形態IIの形態Iへの変換は、形態IIが溶解して形態Iが再結晶される場合に生じる。この変換は、XRDおよびDSCを使用して、そして具体的には形態IIのXRDピークおよびDSC吸熱(endotherm)の存在をモニタリングすることによって、容易にモニタリングされ得る。完全な変換は、形態IIのXRDピークおよびDSCの吸熱の不在によって示される。
【0078】
形態Iは、約1日、2日、3日、4日、5日または6日でアセトン/水溶媒から析出し得る。代表的に、形態Iは、約1週間後にアセトン/水の溶液から析出し、そして当業者に公知の技術を使用して収集される。しかしながら、形態Iへの変換は、変換の間に利用される条件および変換の際存在する任意の環境因子に依存して、1週間未満または1日よりずっと短い時間で完了することができる。
【0079】
別の実施形態において、タナプロゲット多形形態IIは、溶媒を使用せずにタナプロゲット形態Iへ変換される。代表的に、形態IIは最初にその融点(代表的に約219℃〜約229℃、より望ましくは約219℃〜約216℃)まで加熱される。加熱工程は、種々の技術(非限定的に、熱ステージ顕微鏡が挙げられる)を使用して達成され得る。一旦形態IIが溶解すると、その液体サンプルは代表的に約219℃〜約229℃に維持されて、形態Iタナプロゲット多形の結晶化を促進する。次いで、形態Iは当業者に公知の技術を使用して収集される。
【0080】
形態Iへの結晶化が219℃〜229℃の間で受容可能な時間以内に生じない場合、結晶化が生じるまでそのサンプルを219℃未満に徐々に冷却する。
【0081】
以下の実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲を制限しない。当業者は、特定の試薬および条件が以下の実施例に概説されているが改変がなされ得、これら改変が本発明の本質および範囲に包含されると意味されることを、理解する。
【実施例】
【0082】
(実施例1−塩化メチレン/ペンタンを使用するタナプロゲット形態Iからのタナプロゲット形態II多形の調製)
タナプロゲット形態I多形(6.8g)を塩化メチレン(100mL)に29℃で溶解した。この溶液を20℃に冷却した後、ペンタン(150mL)をこの溶液に滴下して加え、懸濁物を生じた。次いで、この懸濁物を濾過し、そしてフィルターケークを乾燥させて、タナプロゲット形態II多形(6.1g)を得た。
【0083】
(実施例2−アセトニトリル/水を使用するタナプロゲット形態Iからのタナプロゲット形態II多形の調製)
タナプロゲット形態I多形(73.9mg)をアセトニトリル(2mL)に55℃で溶解した。次いで、水(約1mL)をこのアセトニトリル溶液に滴下して加えた。懸濁物を室温で一晩維持し、次いで4℃にて2日間維持した。このサンプルを遠心分離し、そして結晶化ナプロゲット形態II多形(約15mg)を回収し、風乾させた。
【0084】
(実施例3−タナプロゲット形態IIからのタナプロゲット形態I多形の調製)
タナプロゲット多形形態II(117.5mg)を秤量して4mLのシンチレーションバイアルに入れた。水(1mL)およびアセトン(1mL)を加え、そしてこのスラリーを室温で5日間撹拌した。次いでこのサンプルを遠心分離し、回収した固形物を減圧下で室温で2日間乾燥させて、タナプロゲット多形形態Iを得た。XRD分析およびDSC分析は、形態Iへの完全な変換を示した。
【0085】
(実施例4−メタノール/水を使用するタナプロゲット形態Iからのタナプロゲット形態II多形の調製)
タナプロゲット形態I多形をメタノールに溶解する。次いで水をこのメタノール溶液に滴下して加える。この懸濁物を室温で一晩維持し、次いで低温の4℃にて2日間維持する。このサンプルを遠心分離し、そして結晶化タナプロゲット形態II多形を回収し、風乾させる。
【0086】
(実施例5−熱を使用するタナプロゲット形態Iからのタナプロゲット形態II多形の調製)
形態IIタナプロゲット多形のサンプルを、サンプル全体が溶解するまで、約219℃〜約229℃の温度に加熱する。一旦液体が形成すると、この温度を約219℃〜約229℃の間で維持し、そして形態Iタナプロゲット多形への結晶化が生じる。必要に応じてこのサンプルを219℃未満に冷却して、形態Iタナプロゲット多形をさらに結晶化させる。
【0087】
本明細書に引用される全ての刊行物は、本明細書中に参考として援用される。本発明は、特定の好ましい実施形態を参照して記載されているが、本発明の本質から逸脱することなく改変がなされ得ることが理解されよう。このような改変は、添付の特許請求の範囲の範囲内に帰することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、タナプロゲット多形形態IIのX線回折パターンを提供する。
【図2】図2は、タナプロゲット多形形態IIの示差走査熱量測定サーモグラフを提供する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
(a)約230℃における吸熱温度ピークを欠く示差走査熱量測定サーモグラム;および
(b)6.6°、10.3°、14.4°、19.8°、23.8°、26.3°、および29.1°の2θにおけるピークを欠くX線回折ピークパターン
を有する、タナプロゲットの多形形態II。
【請求項2】
以下:
(a)約6.0°、8.3°、12.0°、21.4°および23.4°の2θにおけるピークを含むX線回折ピークパターン;および
(b)約219℃のT開始を有する示差走査熱量測定サーモグラム
を有する、タナプロゲットの多形形態II。
【請求項3】
前記サーモグラムが約230℃の吸熱温度ピークを欠く、請求項2に記載の多形形態II。
【請求項4】
以下:
(i)塩化メチレンおよびペンタン;
(ii)アセトニトリルおよび水;または
(iii)メタノールおよび水
からタナプロゲット形態Iを再結晶させることによって得られる、タナプロゲットの多形形態II。
【請求項5】
(i)により調製され、かつタナプロゲットが熱塩化メチレンに溶解されて溶液を形成し、該塩化メチレン溶液が濃縮され、該濃縮された塩化メチレン溶液とペンタンが混合され、そして該濃縮された塩化メチレン/ペンタン溶液が冷却される、請求項4に記載の多形形態II。
【請求項6】
(ii)により調製され、かつタナプロゲットがアセトニトリルに溶解されて溶液を形成し、該アセトニトリル溶液が濃縮され、該濃縮されたアセトニトリル溶液と水が混合され、そして該濃縮されたアセトニトリル/水の溶液が冷却される、請求項4に記載の多形形態II。
【請求項7】
(iii)により調製され、かつタナプロゲットがメタノールに溶解されて溶液を形成し、該メタノール溶液が濃縮され、該濃縮されたメタノール溶液と水が混合され、そして該濃縮されたメタノール/水の溶液が冷却される、請求項4に記載の多形形態II。
【請求項8】
前記タナプロゲット形態Iがミクロ化される、請求項4〜7のいずれか1項に記載の多形形態II。
【請求項9】
以下:
(i)塩化メチレンおよびペンタン;
(ii)アセトニトリルおよび水;または
(iii)メタノールおよび水
からタナプロゲット形態Iを再結晶させる工程を含む、多形タナプロゲット形態IIを調製するためのプロセス。
【請求項10】
請求項9に記載のプロセスであって、前記形態Iが(i)から再結晶され、そして該プロセスが、以下の工程:
(a)塩化メチレン中にタナプロゲット形態Iを溶解する工程:
(b)工程(a)の塩化メチレン溶液を加熱する工程;
(c)工程(b)の生成物とペンタンを合わせる工程;
(d)工程(c)の生成物を20℃に冷却する工程;および
(e)多形タナプロゲット形態IIを収集する工程
を含む、プロセス。
【請求項11】
請求項9に記載のプロセスであって、前記形態Iが(ii)から再結晶され、そして該プロセスが、以下の工程:
(a)アセトニトリル中にタナプロゲット形態Iを溶解する工程:
(b)工程(a)のアセトニトリル溶液を加熱する工程;
(c)工程(b)の生成物と水を合わせる工程;
(d)工程(c)の生成物を室温に冷却する工程;および
(e)多形タナプロゲット形態IIを収集する工程
を含む、プロセス。
【請求項12】
請求項9に記載のプロセスであって、前記形態Iが(iii)から再結晶され、そして該プロセスが、以下の工程:
(a)メタノール中にタナプロゲット形態Iを溶解する工程:
(b)工程(a)のメタノール溶液を加熱する工程;
(c)工程(b)の生成物と水を合わせる工程;および
(d)多形タナプロゲット形態IIを収集する工程
を含む、プロセス。
【請求項13】
多形タナプロゲット形態IIを加熱する工程を含む、多形タナプロゲット形態Iを調製するためのプロセス。
【請求項14】
前記多形タナプロゲット形態IIが約219℃〜約226℃の温度に加熱される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記多形タナプロゲット形態Iが溶解した形態IIタナプロゲット多形から再結晶される、請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
多形タナプロゲット形態IIをアセトンおよび水と合わせる工程を含む、多形タナプロゲット形態Iを調製するためのプロセス。
【請求項17】
アセトン 対 水の比が1:1である、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
図1のX線回折パターンまたは図2の示差走査熱量測定サーモグラフを有する、タナプロゲットの多形形態II。
【請求項19】
化合物のミクロ化形態であって、該化合物が5−(4,4−ジメチル−2−チオキソ−1,4−ジヒドロ−2H−3,1−ベンゾキサジン−6−イル)−1−メチル−1H−ピロール−2−カルボニトリル形態IIであり、約20μm未満のメジアン粒子サイズを有する、ミクロ化形態。
【請求項20】
多形タナプロゲット形態IIおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む、医薬組成物。
【請求項21】
以下:
(i)多形タナプロゲット形態II;および
(ii)哺乳動物被験体への投与に適したキャリア
を備える、キット。
【請求項22】
多形タナプロゲット形態IIを含む医薬組成物を調製する方法であって、該方法が、多形タナプロゲット形態II、ならびに以下:
(i)金属キレート剤;
(ii)pH調節剤;
(iii)界面活性剤;
(iv)少なくとも1つの充填剤;
(v)結合剤;
(vi)崩壊剤;および
(vii)滑沢剤
のうちの1つ以上を混合する工程を含む、方法。
【請求項23】
請求項1〜8および18のいずれか1項に記載の多形タナプロゲット形態II、または請求項19に記載のミクロ化形態を、出産世代の女性に投与する工程を含む、避妊方法。
【請求項24】
請求項1〜8および18のいずれか1項に記載の多形タナプロゲット形態II、または請求項19に記載のミクロ化形態を、女性に投与する工程を含む、ホルモン補充療法の方法。
【請求項25】
請求項1〜8および18のいずれか1項に記載の多形タナプロゲット形態II、または請求項19に記載のミクロ化形態を、哺乳動物被験体に投与する工程を含む、食物摂取を刺激する方法。
【請求項26】
子宮筋層類線維腫、良性前立腺肥大、良性および悪性の新生物疾患、機能不全性出血、子宮平滑筋種、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、または癌および腺癌を、処置または予防する方法であって、請求項1〜8および18のいずれか1項に記載の多形タナプロゲット形態II、または請求項19に記載のミクロ化形態を、哺乳動物被験体に投与する工程を含む、方法。
【請求項27】
ホルモン補充療法もしくは食物摂取を刺激するための医薬、または子宮筋層類線維腫、良性前立腺肥大、良性および悪性の新生物疾患、機能不全性出血、子宮平滑筋種、子宮内膜症、多嚢胞性卵巣症候群、もしくは癌および腺癌を処置または予防するための医薬の調製のための、多形タナプロゲット形態IIの使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−539258(P2008−539258A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509091(P2008−509091)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2006/015852
【国際公開番号】WO2006/116526
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】