説明

タバコの吸殻回収装置

【課題】 包装フィルムやティッシュペーパー等の軽くて変形し易いゴミが投じられても強制的に搬送して回収できるようにする。
【解決手段】 底面に小孔3aが形成された複数の灰皿3を所定間隔おいて配置し、その灰皿3の下方に長尺の回収路4を灰皿3の配置方向に沿って設け、その回収路4内に灰皿3の小孔3aから落下する吸殻Tを受ける往路小溝4aを長手方向に沿って形成し、その往路小溝4aの底部に吸殻Tを搬送する搬送コンベヤの往路6aを配置し、その搬送コンベヤの終端の下方に搬送された吸殻Tを落下させて回収する回収箱を設けた吸殻回収装置において、前記往路小溝4aの両側の側壁の上端に内側へ向かって傾斜する斜面が形成された張出部4iを長手方向に沿って長く形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、灰皿に投じられたタバコの吸殻を自動的に回収するタバコの吸殻回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタバコの吸殻回収装置が特許文献1で開示されている。この技術は、図8に示すように、底面に小孔が形成された複数の灰皿を直線状に配置し、その灰皿の下方に長尺の回収路14を設け、その回収路14内に灰皿の小孔から落下する吸殻を搬送する搬送コンベヤ16を配置し、その搬送コンベヤ16の終端の下方に搬送された吸殻を落下させて回収する回収箱15を設けた構造を特徴としている。図中、14d,14e,14fは従動ローラ、14gは駆動スプロケット、17はモータ、18は駆動チェーン、19は搬送コンベヤ16を緊張するバネ、Wは消火水である。
【0003】
ところで、前記の技術は、実際の運用では吸殻以外にタバコの包装フィルムやティッシュペーパー等のゴミが投じられることも多い。このようなゴミは吸殻より軽くて変形し易いものであるから、ゴミが搬送コンベヤ16に接触しても、その搬送コンベヤ16の動きで上方へ逃げるように変形して浮き上がり、搬送コンベヤ16が空回りして回収が困難となることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−344212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、包装フィルムやティッシュペーパー等の軽くて変形し易いゴミが投じられても強制的に搬送して回収できるタバコの吸殻回収装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 底面に小孔が形成された複数の灰皿を所定間隔おいて配置し、その灰皿の下方に長尺の回収路を灰皿の配置方向に沿って設け、その回収路内に灰皿の小孔から落下するタバコの吸殻を受ける小溝を長手方向に沿って形成し、その小溝の底部に吸殻を搬送する搬送コンベヤの往路を配置し、その搬送コンベヤの終端の下方に搬送された吸殻を落下させて回収する回収箱を設けたタバコの吸殻回収装置において、前記小溝の両側の側壁の上端に内側へ突出する張出部を長手方向に沿って長く形成したことを特徴とする、タバコの吸殻回収装置
2) 回収路の小溝の張出部の上面が、内側に向かって傾斜する斜面を形成したものである、前記1)記載のタバコの吸殻回収装置
3) 回収路内の搬送コンベヤが1条のリンクチェーンである、前記1)又は2)記載のタバコの吸殻回収装置
4) 搬送コンベヤの搬送面に複数の突起を所定間隔おいて形成した、前記1)〜3)いずれか記載のタバコの吸殻回収装置
5) 複数の遊技機が列設された島のテーブルに取り付けられるものである、前記1)〜4)いずれか記載のタバコの吸殻回収装置
にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、軽くて変形し易いゴミが灰皿に投じられて小孔から落下すると、搬送コンベヤの動きで上方へ逃げるように変形して浮き上がろうとする。しかし、ゴミは小溝の張出部で逃げ場を抑えられて浮き上がり難くなり、張出部と搬送コンベヤに強く接触する。その摩擦でゴミは搬送コンベヤ上で転動しながら強制的に搬送され、回収箱に回収される。このように、軽くて変形し易いゴミが投じられても空回りが防止され、確実に回収できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例のタバコの吸殻回収装置の取り付け状態を示す一部切欠き斜視図である。
【図2】実施例のタバコの吸殻回収装置の縦断面図である。
【図3】実施例のタバコの吸殻回収装置の終端部の一部切欠き斜視図である。
【図4】実施例のタバコの吸殻回収装置の始端部の一部切欠き斜視図である。
【図5】図2のA−A’線断面図である。
【図6】実施例のゴミの動きを示す説明図である。
【図7】実施例の他の例のゴミの動きを示す説明図である。
【図8】従来のタバコの吸殻回収装置の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明では、回収路の小溝の張出部の上面を内側へ向かって傾斜する斜面に形成すると、左右の張出部がシュートの形となり、吸殻やゴミが小溝内に落下し易くなる。搬送コンベヤはベルト材や金属製のリンクチェーン等があり、撓みが無く耐火性に優れるリンクチェーンが望ましい。搬送コンベヤには突起を形成し、その突起で吸殻やゴミを引っ掛けてより搬送し易くしてもよい。搬送コンベヤは吸殻やゴミの量及び装置の規模に応じて1条又は2条設けてもよい。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例】
【0010】
図1〜6に示す実施例は、複数のパチンコ台が列設された島に本発明のタバコの吸殻回収装置を取り付けた例である。図1は実施例のタバコの吸殻回収装置の取り付け状態を示す一部切欠き斜視図、図2は実施例のタバコの吸殻回収装置の縦断面図、図3は実施例のタバコの吸殻回収装置の終端部の一部切欠き斜視図、図4は実施例のタバコの吸殻回収装置の始端部の一部切欠き斜視図、図5は図2のA−A’線断面図、図6は実施例のゴミの動きを示す説明図である。
【0011】
図中、1はパチンコ台、2はテーブル、3は灰皿、3aは小孔、4は回収路、4aは往路小溝、4bは復路小溝、4cは路端壁、4d,4e,4fは従動ローラ、4gは駆動スプロケット、4hは従動歯車、4iは張出部、5は回収箱、6は搬送コンベヤ、6aは往路、6bは復路、7はモータ、7aは駆動歯車、8は駆動チェーン、9はバネ、Tは吸殻、Taはゴミ、Wは消火水である。
【0012】
本実施例のタバコの吸殻回収装置は、図1〜5に示すように、複数台が列設されたパチンコ台1の下方に細長のテーブル2を取り付け、底面に小孔3aが形成された灰皿3をテーブル2のパチンコ台1毎の位置に取り付け、テーブル2の下面に長尺の回収路4を灰皿3の設置方向に沿って取り付けている。
【0013】
回収路4は、深底の往路小溝4aを灰皿3の小孔3aの真下に形成し、浅底の復路小溝4bを往路小溝4aの隣接位置に形成し、路端には路端壁4cを形成してその下方に回収箱5を脱着可能に取り付けている。往路小溝4aの両側の側壁の上端には、内側へ向かって傾斜する斜面が形成された張出部4iを長手方向に沿って長く形成している。張出部4i間の間隔は、吸殻Tが容易に通過できる間隔に形成している。
【0014】
回収路4の始端部には従動ローラ4dを軸支し、回収箱5の上方には従動ローラ4e,4fを軸支し、従動ローラ4e,4f間に駆動スプロケット4gを軸支し、従動ローラ4d・駆動スプロケット4g・従動ローラ4f間に金属製のリンクチェーンからなる搬送コンベヤ6の往路6aを掛架して往路小溝4aの底部に配置し、従動ローラ4d,4e,4f間に搬送コンベヤ6の復路6bを掛架して復路小溝4bの底部に配置している。
【0015】
回収路4の下部にはモータ7を取り付け、そのモータ7の出力軸に軸着した駆動歯車7aと駆動スプロケット4gに軸着した従動歯車4h間に駆動チェーン8を掛架し、従動ローラ4fを下方へ付勢して搬送コンベヤ6を緊張するバネ9を従動ローラ4fの軸端位置に取り付けている。回収路4の始端部の底部には消火水Wを貯水している。
【0016】
本実施例では、モータ7を作動させると、駆動スプロケット4gが搬送コンベヤ6の往路6aを路端壁4c側へ引っ張って回動させる。図5に示すように、吸殻Tが灰皿3に投じられると、小孔3aを通じて搬送コンベヤ6の往路6a上に落下し、搬送コンベヤ6で路端壁4c側へ搬送されて回収箱5に落下して回収される。搬送コンベヤ6は消火水Wで濡れて冷却されるとともに、吸殻Tの火を消火する。
【0017】
ここで、軽くて変形し易いゴミTaが灰皿3に投じられて小孔3aから落下すると、搬送コンベヤ6の動きで上方へ逃げるように変形して浮き上がろうとする。しかし、張出部4iで逃げ場を抑えられて浮き上がり難くなり、張出部4iと搬送コンベヤ6に強く接触する。図6に示すように、その摩擦でゴミTaは搬送コンベヤ6上で転動しながら強制的に搬送され、回収箱5に回収される。このように、軽くて変形し易いゴミTaが投じられても空回りが防止され、確実に回収される。
【0018】
また、ゴミTaの大きさが小さく、張出部4iと搬送コンベヤ6との摩擦が弱くて空回りする場合も、後続の吸殻Tや別のゴミTaに押された際に上方へ浮き上がろうとし、前記と同様に張出部4iで逃げ場を抑えられて張出部4iと搬送コンベヤ6に強く接触する。したがって、ゴミTaが投じられた直後に搬送されなくても、いずれは後続の吸殻Tや別のゴミTaによって張出部4i及び搬送コンベヤ6との摩擦が強められ、確実に回収される。
【0019】
図7に示すのは、搬送コンベヤの搬送面に突起を形成した実施例のタバコの吸殻回収装置の他の例である。図7は実施例の他の例のゴミの動きを示す説明図である。図中、6cは突起である。この例では、搬送コンベヤ6の搬送面に複数の突起6cを所定間隔おいて突設している。突起6cは、往路小溝4aの深さのおよそ1/4の高さに形成している。
【0020】
図7に示すように、ゴミTaが往路小溝4aの途中で止まって搬送コンベヤ6に接触しない場合、突起6cがゴミTaを後方から引っ掛け、ゴミTaはその際に張出部4iに強く接触して転動する。したがって、ゴミTaは突起6cに引っ掛けられる度に転動して少しずつ搬送され、いずれは往路6aの終端まで搬送されて確実に回収される。その他、符号、構成、作用効果は実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明の技術は、遊技場・食堂・喫茶店・会議室・待合室等に利用できる。
【符号の説明】
【0022】
1 パチンコ台
2 テーブル
3 灰皿
3a 小孔
4 回収路
4a 往路小溝
4b 復路小溝
4c 路端壁
4d,4e,4f 従動ローラ
4g 駆動スプロケット
4h 従動歯車
4i 張出部
5 回収箱
6 搬送コンベヤ
6a 往路
6b 復路
6c 突起
7 モータ
7a 駆動歯車
8 駆動チェーン
9 バネ
14 回収路
14d,14e,14f 従動ローラ
14g 駆動スプロケット
15 回収箱
16 搬送コンベヤ
17 モータ
18 駆動チェーン
19 バネ
T 吸殻
Ta ゴミ
W 消火水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に小孔が形成された複数の灰皿を所定間隔おいて配置し、その灰皿の下方に長尺の回収路を灰皿の配置方向に沿って設け、その回収路内に灰皿の小孔から落下するタバコの吸殻を受ける小溝を長手方向に沿って形成し、その小溝の底部に吸殻を搬送する搬送コンベヤの往路を配置し、その搬送コンベヤの終端の下方に搬送された吸殻を落下させて回収する回収箱を設けたタバコの吸殻回収装置において、前記小溝の両側の側壁の上端に内側へ突出する張出部を長手方向に沿って長く形成したことを特徴とする、タバコの吸殻回収装置。
【請求項2】
回収路の小溝の張出部の上面が、内側に向かって傾斜する斜面を形成したものである、請求項1記載のタバコの吸殻回収装置。
【請求項3】
回収路内の搬送コンベヤが1条のリンクチェーンである、請求項1又は2記載のタバコの吸殻回収装置。
【請求項4】
搬送コンベヤの搬送面に複数の突起を所定間隔おいて形成した、請求項1〜3いずれか記載のタバコの吸殻回収装置。
【請求項5】
複数の遊技機が列設された島のテーブルに取り付けられるものである、請求項1〜4いずれか記載のタバコの吸殻回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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