説明

タバコパック陳列用トレイユニット

【課題】トレイユニットの中のタバコパックの在庫が1個しかない場合であっても、タバコパックはスライダー部材により前方に押し出されるため、トレイユニットの最前列にタバコパックが配置された状態が維持されてしまい、販売員は外から目視でタバコパックの在庫数を確認することができなかった。そのため、お客様がタバコパックを2個お買い上げになる際、在庫数が1個であった場合にはトレイユニット内の在庫では足らなくなる。かかる場合には、新たにタバコパックを補充する必要が生じ、タバコパックを新たに補充するために、タバコパックを梱包から開梱する作業が生じる。タバコパックの梱包を取りに行ったり、梱包を解いたり等の時間と手間がかかる。
【解決手段】ある一定の在庫量になったことを表示できるスライダー部材の移動と連動して移動する着色されたプレートを設置することにより、店員が補充のタイミングを認識することが出来るようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンビニエンスストア等で利用されるタバコ陳列用トレイユニットに関し、特に、トレイユニット内の在庫数量を簡便な方法で確認できるような構造に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
現在、いわゆるコンビニエンスストア等の店舗では、タバコパックを陳列して販売している。なお、本明細書の記載において、タバコパックとは実際に喫煙される紙巻タバコではなく、複数の紙巻タバコを収容している直方体状のパッケージを意味している。
【0003】
タバコパックの陳列方法として、例えば、20個のトレイユニットが、4行5列などの配列を有する陳列ケースに装着され、そのトレイユニットの各々に、複数のタバコパックが収容されるような陳列方法が採用されている。
【0004】
タバコパックは各面のサイズが相違する直方体状に形成されており、その最大面を代表面として銘柄などが表記されている。そして、タバコパックの銘柄を表記した面が前面に位置する状態で陳列される。
【0005】
タバコパックを販売するときには、販売員がトレイユニットの最前の位置からタバコパックを上方に抜き出せばよい。その場合、トレイユニットに収容されている次のタバコパックは、巻きバネが装着されたスライダー部材により前方に押出される。このため、陳列ケースの最前の位置からタバコパックが抜き出されても、最前列にタバコパックが配置された状態が維持されるようになっている。
【0006】
従来技術においても、物品を収納する商品収納具やシガレットパッケージのような商品の貯蔵棚において、スライド板とともに移動するテープに番号を付すことにより、テープに沿って表示された番号を、番号の位置が在庫数量となるように調整して表示することで、商品収納具の中にある物品の数が分かるような技術があった(特許文献1及び特許文献2)。しかしながら、かかる商品収納具及び商品貯蔵棚は構造が複雑であり、その複雑な構造のため、機械的な不具合を生ずることも多くメンテナンスにも手間がかかるという問題があった。構造が複雑であるがゆえ、生産コストもかかり、コスト的にも商品化が難しいという問題があった。さらには、従来の残数量を認識させるような物品収納棚及び物品収納具は、その複雑な構造上、在庫数量を表示する部分のスペース等も必要となるため、スペースの小さな販売店に備え付けるのには不向きであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−210286号公報
【特許文献2】特表2001−514950号公報
【特許文献3】特許第4340279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来からタバコの販売において、お客様にスピーディーに対応するためのトレイユニットは存在していたが(特許文献3)、販売店内においてタバコパックを販売するために陳列ケースに陳列している状態においては、外部から目視にてトレイユニット内の在庫を確認することができなかった。
【0009】
例えば、トレイユニット内のタバコパックの数量が1個しかない場合であっても、タバコパックは巻きバネが装着されたスライダー部材により最前列に押し出されているため、トレイユニットの最前列にタバコパックが配置された状態が維持されてしまい、販売員はこの状態では外部から目視でタバコパックの在庫数量を確認することができなかった。
【0010】
そのため、お客様がタバコパックを2個お買い上げになる際、トレイユニット内の在庫数が1個であった場合にはトレイユニット内の在庫では足らなくなる。かかる場合には、新たにタバコパックをトレイユニット内に補充する必要が生じ、タバコパックを新たに補充するために、タバコパックを梱包から開梱する作業が生じる。タバコパックの梱包を取りに行ったり、梱包を解いたり等の時間と手間がかかる。その結果、お客様を待たせてしまうことになるため商売上の問題がある。
【0011】
通常、タバコパックを購入する人の購買傾向として、1個のみ購入したい場合は自動販売機にて購入することが多く、複数のタバコパックを購入する人は、例えばコンビニエンスストア等の販売店にてタバコパックを購入することが多いようである。従って、トレイユニット内の在庫数が1個である場合は、販売店では複数のタバコパックが購入される可能性が高いため、トレイユニット内での在庫切れを発生させてしまう蓋然性が極めて高いのである。
【0012】
別の問題として、10種類程度の銘柄を販売するような、例えばキオスクのような小規模な販売店であればさほど問題とはならないものの、200種類以上の銘柄を販売する販売店もあり、このような比較的大きな販売店の販売員が在庫を確認しようとすれば、前面部からしか目視できないため、いちいち、200以上ものトレイユニットを開けて確認しなければならず、在庫確認にかなりの時間を要することとなり、かつ、非常に手間がかかり面倒であるという問題もあった。そのため、販売員がタバコパックの在庫がある一定の在庫数になったタイミングで、新たなタバコパックを補充できるようにするために在庫数を表示できるようなトレイユニットが望まれていた。
【0013】
残りの数量を認識させるような物品収納棚及び物品収納具は存在したが(特許文献1及び特許文献2)、かかる物品収納棚及び物品収納具は構造が複雑であり、その複雑な構造のため、不具合を生ずることも多くメンテナンスにも手間がかかるという問題があった。構造が複雑であるがゆえ、生産コストもかかり、コスト的にも商品化が難しいという問題があった。さらには、従来の残数量を認識させるような物品収納棚及び物品収納具(特許文献1及び特許文献2)は、その複雑な構造上、在庫数量を表示する部分のスペース等も必要となるため、スペースの小さな販売店には不向きであった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明は底部にスライド用溝を備えたタバコパックを陳列する本体ケースと、前記スライド用溝に摺動可能に係合するレール摺接部を有するスライダー部材と、前記スライダー部材を前記スライド用溝に沿って前記タバコパックの押し出し方向へ付勢する巻きバネとからなるタバコパック陳列用トレイユニットであって、前記スライダー部材が前記巻バネにより付勢されることによる移動と連動して移動する着色されたプレート材を備えることによって、前記本体ケースの正面端に前記着色されたプレート材の先端が到達することで、トレイユニット内のタバコパックの在庫数が一定の在庫数量になったことを表示できることを特徴とするタバコパック陳列用トレイユニットとした。
【0015】
さらに、上記課題を解決するために、本発明は前記スライダー部材の押出方向と反対側にマクネットが貼付され、前記プレート材に前記スチール部材を取り付けることにより、前記マグネットによる磁力によりスライダー部材とプレート材を接合させることにより、前記スライダー部材の移動と連動してプレート材を移動させることを特徴とするタバコパック陳列用トレイユニットとした。
【0016】
さらに、上記課題を解決するために、本発明は、前記スライダー部材に貼付されたマグネットと前記スチール材間の磁力は、前記スライダー部材を前記スライド用溝に沿って前記タバコパックの押し出し方向へ付勢する巻きバネの付勢力よりも弱いことを特徴とするタバコパック陳列用トレイユニットとした。
【0017】
さらに、上記課題を解決するために、本発明は前記本体ケースの前面側の側面に凸部を備えるとともに、前記プレート材には前記凸部に嵌合可能な凹部を備えることにより、前記プレート材の位置を保持する機能を有することを特徴とするタバコパック陳列用トレイユニットとした。
【0018】
実際の課題は、販売員が補充のタイミングを遅れることなく認識できるようにすることにあるのであって、カウンターによる残数量表示までは必要がないのである。すなわち、ある一定の在庫量になったことを表示できる機能があれば十分であるといえる。販売員が補充のタイミングを認識するためには、色による表示で直感的にわかるようにするような機構が簡便かつ最適である。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、販売員は外部から目視にて在庫確認することができるようになったため、トレイユニット内で在庫切れをおこす前に、タバコパックをトレイユニットに補充することが出来ると同時にタバコパックを梱包から開梱して補充する作業を予めしておくことが出来るようになる。その結果、お客様を待たせてしまうこともなくなる。
【0020】
販売員が在庫を確認しようとする際、わざわざ個別にトレイユニットを開けて確認する必要も無くなり、200種類以上の銘柄を販売するケースであっても、在庫確認のための時間を大幅に短縮することになり、非常に手間がかかるという問題も無くなる。
【0021】
本発明に係るトレイユニットは構造がシンプルであり、そのシンプルな構造のため、故障することもほとんど無く、メンテナンスにも手間がかからない。構造がシンプルであるがゆえ、生産コストもかからず、商品化も容易となる。
【0022】
さらに、本発明では、タバコパックの数量が、ある一定の数量になった、まさにその瞬間に、巻きバネによってスライダー部材と連動してプレート材が前方に押し出されるために、プレート材の先端部が外部から認識できるように表示されるということに非常に優れた特徴がある。なぜならば、販売員はタバコを販売するために、タバコパックのトレイユニットからタバコパックを取り出す時、まさにその瞬間は、トレイユニットの前面に意識が集中しており、プレート材先端部の表示を認識しやすい状態にあるからである。かかる理由により販売員は必ず、在庫が一定の量になり、新たに補充する必要があることを認識するのである。かかる状態であることを認識した販売員が、このタイミングでタバコパックを補充すれば、トレイユニット内での在庫切れという事態を招くことは無い。
【0023】
さらに言えば、従来(特許文献3)と同じ構造を有するタバコパック陳列用トレイユニットに、表示板として機能させる目的で、薄いプレート材を1枚付加しただけで、容易に在庫の表示ができるようになる。つまり非常にシンプルな構造であり、かつ、在庫の表示をするための新たなスペースを必要とせず、省スペースを実現することができる。さらに、本体ケースの前面の構造は従来品と同じ構造であるため、販売する側にとって必要なPOP(品名、価格、バーコード)などを挿入する部分は全く改造する必要も無く、そのまま使用できるという利点がある。
【0024】
本発明はスライダー部材の押出方向と反対側にマクネットが貼付され、樹脂からなるプレート材にスチール板を取り付けることにより、マグネットによる磁力によりスライダー部材とプレート材が接合するため、前記スライダー部材の移動と連動してプレート材を移動させることができる。
【0025】
さらに、本発明は本体ケースの前面側の内側の側面に凸部を備えるとともに、プレート材には凸部に嵌合可能な凹部を備えることにより、プレート材の位置を保持する機能を有するようにしたので、プレート材の位置を本体ケースの前面に到達した状態を保持することができるようになる。


【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】トレイユニット全体図及び表示部拡大図である。
【図2】トレイユニットにタバコパックが充填された状態を示す斜視図である。
【図3】一定の在庫数量になったことが表示された状態を示す斜視図及び平面図である。
【図4】一定の在庫数量になったことが表示された状態のトレイユニットからタバコパックを1ケ取り出す状態を示す平面図である。
【図5】プレート材全体図である。
【符号の説明】
【0027】
10 本体ケース
20 スライダー部材
30 プレート材
40 スチール板
50 マグネット
60 巻きバネ
70 レール摺動部
80 凹部(プレート材)
90 凸部(本体ケース)
100 トレイユニット
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について図1〜図5に基づいて説明する。図1はトレイユニット全体図である。本発明に係るトレイユニット100は、底部にスライド用溝を備えたタバコパックTPを陳列するための本体ケース10と、一端を本体ケース10の前面端に固定した巻きバネ60を装着した、スライド用溝に摺動可能に係合するレール摺接部70を有するスライダー部材20と、
スライダー部材20が、スライダー部材20に取り付けられた巻きバネ60により付勢されることによる移動と連動して移動する着色されたプレート材30とからなっている。ここで本体ケース10は少なくとも前面は、着色されたプレート材30を目視できるように透明になっている。
【0029】
タバコパックTPがトレイユニット100から取り出されると、スライダー部材20と連動してプレート材30が本体ケース10の前面に移動する。タバコパックTPの在庫量が一定の数量になった瞬間、すなわち、本体ケース10の正面端に前記着色されたプレート材30の先端が本体ケース10の前面に到達した瞬間に、販売員は着色されたプレート材30を目視することによって、トレイユニット100内のタバコパックTPの在庫数が一定の在庫数量になったことを認識できるのである。さらに、本体ケース10の前面の側面には凸部90があり、プレート材30には凹部80があり、これらが嵌め合わされることでプレート材の位置を保持する働きをしている。この保持力は、プレート材30の先端の位置を軽く保持する程度のもので、タバコパックTPを補充する際の販売員の力よりはかなり弱いものであるので販売員はタバコパックTPを補充する際に不都合は全くない。
【0030】
図2は、トレイユニット100にタバコパックTPが充てんされた状態を表している。この状態から前面側よりタバコパックTPを取り出していくと、その分、スライダー部材20とスライダー部材20が巻きバネ60により付勢されることによる移動と連動して移動する着色されたプレート材30とが前面方向に移動していくことになる。本発明はスライダー部材20の押出方向と反対側にマクネット50が貼付されており、スチール材40が取り付けられたプレート材30とが、マグネット50の磁力により接合しているため、スライダー部材20が巻きバネ60により付勢されることによる移動と連動して移動するようになっている。
【0031】
図3は、一定の在庫数量になったことが表示された状態、すなわち、プレート材30の先端が透明な本体ケース10の前面壁に到達した瞬間を示した図である。この瞬間販売員は着色されたプレート材30の先端を目視にて認識することができる。販売員はタバコパックTPを補充すべきタイミングになったことを認識し、実際に新たにタバコパックTPを補充することができるのである。
【0032】
図4はプレート材30の先端が本体ケース10の前面壁に到達した後にタバコパックTPを取り出した状態の図である。スライダー部材20とプレート材30はマグネット50の磁力にて接合していたが、さらにタバコパックTPを取り出すことにより、巻きバネ60の付勢力がマグネット50の磁力よりも大きいため、スライダー部材20とプレート材30は離れることになる。
【0033】
図5はプレート材30の全体図である。プレート材30にスチール板40が装着されている。先端部側には凹状の切り欠きを備えている。尚、表示用プレートの材質はポリアセタール等の樹脂である。プレート材の凹部80と本体ケース前面側の内側の側面にある凸部90とが嵌り合い、プレート材の位置を保持する。
【0034】
本発明に係るタバコパックTP陳列用トレイユイット100において、タバコパックTP用トレイユニット100の本体サイズは、タバコパックTP収容許容数と1つの梱包におけるタバコパックTP数の関係を考慮に入れて、自由に在庫数を表示するプレート材30の長さを決めることで、作業性を向上することが出来る。
【0035】
具体的には、在庫が5個になったタイミングで着色されたプレート材30からなる表示が前面に現れるような長さのプレート材30を設置すると以下のような利点がある。この利点について説明すると、通常、タバコパックTPは10個で1つの梱包がなされており、タバコパックTP用トレイユニット100にはタバコパックTP15個分が入るようになっている。このため、開梱して補充する場合は10ケ全て補充しないと残りの在庫を収納する場所が必要となるわけであるが、本発明では在庫が5ケになったとき、すなわち、空間が10個分になったときに補充の表示がされるので好都合である。1つの梱包に含まれるすべてのタバコパックTPがトレイユニット100に収容されるので、残りの在庫は発生せず、それらを置くためのスペースを確保する必要がないからである。
【0036】
尚、いわゆる製品の先入れ先出しを実現するために、本発明は、本体ケース10内に残存しているタバコパックTPの位置を維持したままスライダー部材20とプレート材30を奥に押し込み、スライダー部材30の手前と前記本体ケース内10に残存しているタバコパックTPとの間に新たなタバコパックTPを補充する必要がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部にスライド用溝を備えたタバコパックを陳列する本体ケースと、
前記スライド用溝に摺動可能に係合するレール摺接部を有するスライダー部材と、
前記スライダー部材を前記スライド用溝に沿って前記タバコパックの押し出し方向へ付勢する巻バネとからなるタバコパック陳列用トレイユニットであって、
前記スライダー部材が前記巻バネにより付勢されることによる移動と連動して移動する着色されたプレート材を備えることによって、前記本体ケースの正面端に前記着色されたプレート材の先端が到達することで、トレイユニット内のタバコパックの在庫数が一定の在庫数量になったことを表示できることを特徴とするタバコパック陳列用トレイユニット。
【請求項2】
前記スライダー部材の押出方向と反対側にマクネットが貼付され、
前記プレート材に前記スチール部材を取り付けることにより、前記マグネットによる磁力によりスライダー部材とプレート材を接合させることにより、前記スライダー部材の移動と連動してプレート材を移動させることを特徴とする請求項1に記載のタバコパック陳列用トレイユニット。
【請求項3】
前記スライダー部材に貼付されたマクネットと前記スチール材間の磁力は
前記スライダー部材を前記スライド用溝に沿って前記タバコパックの押し出し方向へ付勢する巻きバネの付勢力よりも弱いことを特徴とする請求項2に記載のタバコパック陳列用トレイユニット。
【請求項4】
前記本体ケースの前面側の側面に凸部を備えるとともに、前記プレート材には前記凸部に嵌合可能な凹部を備えることにより、前記プレート材の位置を保持する機能を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のタバコパック陳列用トレイユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−24131(P2012−24131A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162682(P2010−162682)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(000209223)棚橋工業株式会社 (23)