説明

タバコ包装用ケース

【課題】複数本のタバコが収納されたケースを簡易な操作で開閉することができ、タバコを取り出した後は再びケース密閉して携行することができるようにする。
【解決手段】タバコTを支持する支持面部24を設けてなるケース本体2とカバー体3をヒンジ部4で連結してなるタバコ包装用ケース1において、ケース本体2を分断線23に沿って主面部2A副面部2Bに分割し、副面部2B回動して開口部5を形成し、ケース本体2の両側辺を押圧して主面部2Aを湾曲させることによりタバコTを取り出せるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコを収納して販売や展示に供するのに好適なプラスチックシート製の包装用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のタバコ包装用ケースとして、図8に示されるように、浅底皿状のケース本体100とケース本体100の上面を覆う蓋体101からなり、ケース本体100に複数本のタバコTを並べて収納し、その開口面に蓋体101を被せるとともにケース本体100のフランジ状縁部に蓋体の縁部を接着してケース内部を密封する構成のものが知られている。
このケースでは、タバコTを取り出す際、同図(B)に示されるように、蓋体101に設けられた切裂きテープなどの切除手段101aに沿って蓋体101を部分的に切除してケースに開口部102を形成し、この開口部102からタバコTを引き出すようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、禁煙パイプなどの筒状吸引具Pを包装する容器として、図9に示されるように、ヒンジ連結した容器本体110と蓋体111の面内対応位置に筒状吸引具Pが収納される複数の凹所112と互いに嵌合可能な凹部113及び凸部114を各々形成し、容器本体110に形成された各凹所112に筒状吸引具Pを収納した状態で容器本体110に蓋体111を重ね合わせ、凹部113と凸部114を嵌合させることにより前記筒状吸引具Pが収納された凹所112を密閉する構成のものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−240678号公報
【特許文献2】実用新案登録第3054584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8に示された包装用ケースは、タバコを見栄え良く収納することができるものの、タバコを取り出すためにケースに開口部102を形成すると、ケースは穴あき状態のままとなってしまう。そのため、必要数のタバコを取り出した後、ケース内に余ったタバコがあると、この開口部102からタバコがケース外側に抜け落ちてしまい易く、余ったタバコをケースに入れて携行するのには適さない。
また、図9に示された容器を筒状吸引具に代えてタバコの包装に適用した場合、各凹所112内にタバコが個別に収納されるため、一本のタバコを容器から取り出した後に他のタバコが容器から抜け落ち易くなることはなく容器の携行に支障はない。しかし、タバコを取り出すために重なり合った容器本体110と蓋体111を分離する際に、凹凸部113、114の嵌合を解除する操作に伴い容器がぶれて衝撃が伝わり、収納されていたタバコを容器の外側に散乱させてしまい易く、容器を簡易な操作で開閉することができない。
【0006】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、透明なプラスチックシートを成形してなるタバコ包装用ケースにおいて、複数本のタバコが収納されたケースを簡易な操作で開閉することができ、必要数のタバコを取り出した後は再びケース密閉して携行することができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、周辺がフランジ部により平面視矩形に縁取られていてフランジ部の内側に長手辺側壁部と短手辺側壁部が立ち上がり、長手辺側壁部間に複数本のタバコを並べて支持する支持面部を設けてなるケース本体と、ケース本体の端部に設けたヒンジ部を介して連結していて、周辺をケース本体のフランジ部に重合するフランジ部とし、その内側にケース本体の周側壁部に外嵌合する周側壁を設けるとともに周側壁部の上端にアーチ状の天面部を設けてなるカバー体からなり、ケース本体にカバー体を装着することにより支持面部に載せたタバコを当該支持面部と天面部とで挟んで保持するタバコ包装用ケースであって、前記ケース本体は、その長手辺間に形成された分断線に沿って前記支持面部が形成された面部である主面部とその他の面部である副面部とに分割されてなり、ケース本体にカバー体を装着した状態で前記副面部をヒンジ部を軸に回動してケース本体に開口部を形成するとともに、ケース本体の両長手辺間を押圧して前記主面部を湾曲させることにより、収納されたタバコを前記開口部から取り出せるようにした構成を有することを特徴とする。
【0008】
本発明のタバコ包装用ケースによれば、ケース本体の支持面部にタバコを載せて収納し、このケース本体にヒンジ連結されたカバー体を被せてケース本体の上面に装着することでケース内部が密閉されるとともに、支持面部に載せたタバコが支持面部と天面部に挟まれて挟持状態で保持され、タバコを収納したケースを販売や展示に供したりそのまま持ち運んだりすることができる。タバコは支持面部と天面部に挟まれて収納位置に保持されるので、ケースを持ち運んだ際にケースが揺れたり衝撃が加わったりしても、ケース内でタバコが散乱したり折れ曲がったりすることがない。
また、ケース本体はその表面に形成された分断線に沿って主面部と副面部とに分割した構造となっており、タバコを取り出す際に、副面部のみをヒンジ部を軸としてカバー体から離間する方向に回動させればケース本体に開口部が形成され、この状態でカバー体が装着されたケース本体の両長手側辺間を押圧すれば、主面部が自身の弾性によって湾曲変形して開口部が広がり、同時に支持面部と天面部との間に挟まれたタバコの保持が解除されて、収納されていたタバコを開口部から抜き取ることが可能となる。
この場合、副面部を回動して開口部を形成しても、ケース本体を湾曲変形させない限り、前記支持面部と天面部とによるタバコの挟持状態は維持されたままであり、開口部からタバコが抜け落ちる虞はない。また、タバコを取り出した後は、副面部を元の位置に戻して開口部を閉鎖すれば、ケースは再び密閉された状態となる。
【0009】
前記構成のタバコ包装用ケースにおいて、支持面部はその上面に載せたタバコを一本又は複数本毎に仕切る突起や凹凸面などを表面に設けて形成することができる。その場合、突起や凹凸面を設けることによるリブ効果によって支持面部は湾曲し難くなることから、支持面部は主面部の開口端部から若干離れた位置、例えば主面部内の面内であって開口端部から5mm以上離れた位置に設けることが好ましい。
さらに、主面部の開口端部に沿った面部は、ケース本体の両側を押圧したときに当該部分が湾曲し易い形状、例えばフラットな平板状に設けたり湾曲断面形状に設けたりすることが好ましい。ケース本体の両側を押圧したときに主面部が開口端部に沿って湾曲し、タバコを抜き取ることが可能な大きさに開口部を押し開くことが可能であれば、前記主面部の開口端部に沿った面部にタバコを仕切る突起やリブを設けてもよく、また、主面部全体を表面に突起や凹凸面を設けた支持面としてもよい。また、タバコを抜き取る際のケース本体の湾曲操作がし易いように、ケース本体の両長手側辺の外面に指をかける窪みを設けてもよい。
【0010】
本発明のタバコ包装用ケースは、耐折性が良好なポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、或いはポリ乳酸などの生物由来性樹脂、その他の樹脂単体又はこれらの複合体からなるプラスチックシートを用い、これらシートを圧空・真空成形して形成することができる。特にポリエチレンテレフタレート製のシートは、透明性が良好で剛性が高い点で好ましく、中でもアモルファスPET(A−PET)は、より透明性が良好で且つ未延伸であるためシートの方向に関係なく強度が高い点で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態のタバコ包装用ケースの閉蓋状態(A)と開蓋状態(B)の外観斜視図である。
【図2】図1の閉蓋状態のケースの短手辺側の側面図である。
【図3】図1の閉蓋状態のケースの中央横断面図である。
【図4】図1の閉蓋状態のケースの底面側外観斜視図(A)とケース本体の一部を回動させて開口部を形成した状態の同じく外観斜視図(B)である。
【図5】タバコを収納した状態のケースの断面図(A)とタバコを取り出すためにケース本体を湾曲させた状態のケースの断面図(B)である。
【図6】(A)、(B)は本発明の他の実施形態のケースを示した図である。
【図7】(A)、(B)、(C)は主面部の開口端部に沿った面部の形態例を要部断面で示した図である。
【図8】従来のタバコ包装用ケースの外観図(A)と同ケースに収納したタバコを取り出すときの断面図である。
【図9】従来の筒状吸引具を包装する容器の展開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図5は本発明の一実施形態のタバコ包装用ケースを示しており、このケース1は、上面にタバコが載る支持面部24を有するケース本体2と、ケース本体2の上面に装着してケース本体2内を密閉するカバー体3とを、両体の一端に設けたヒンジ部4で一体に連結して形成してある。
【0013】
ケース本体2は、長手寸法がタバコTよりも若干長い平面視矩形状を呈し、その周辺を外方へ張り出したフランジ部21とし、フランジ部21の内方にフランジ部21から上方へ立ち上がった長手辺側壁部22a、22aと短手辺側壁部22b、22bを適宜な高さに設けるとともに、その表面に両長手辺間に亘り且つ短手辺と平行な分断線23を形成し、当該分断線23の両側を長手方向に沿って幅広な主面部2Aと幅狭な副面部2Bとに分割した構造に設けてある。
【0014】
より詳しくは、図1に示されるように、主面部2Aと副面部2Bは、ともにその周囲が長手辺側壁部22aと短手辺側壁部22bで包囲され、主面部2Aの両長手側壁部22a、22a間に適宜な幅の支持面部24を帯状に設けるとともに、主面部2Aのその他の面部と副面部2Bの両長手辺側壁部22a、22a間の面部をフラットな平板状の底面部25としてある。
長手辺側壁部22aと短手辺側壁部22bは、ともにフランジ部21から略直角に上方に立ち上がり、且つ上端を適宜な幅で水平に屈曲した後に下折れして底面部25に連ねた略逆U字形の断面形状を呈し、長手辺側壁部22aは全体を一定の高さに設け、短手辺側壁部22bはその短手辺中央が最も高くなる山形に設けてある。
支持面部24は、タバコTの外周面を包持する湾曲凹面24aを主面部2Aの両長手側壁部22a、22a間に列設した形状を呈しており、図3に示されるように、主面部2Aの開口端部である分断線23との間に適宜な幅(D)の底面部25を挟んで主面部2Aの略中央に配置してある。本形態では、五つの湾曲凹面24aを並設して支持面部24に5本のタバコTを収納し、各湾曲凹面24aでタバコTを位置決めして収納位置に支持するように設けてある。
ケース本体2の主面部2Aと副面部2Bは、それぞれ個別にヒンジ部4を軸として回動可能となっており、副面部2Bのヒンジ部4とは反対側の側端部には回動操作用の突片2B1を設けてある。
【0015】
カバー体3は、ヒンジ部4を介してケース本体2の端部に連結していて、周辺をケース本体2のフランジ部21に重合するフランジ部31とし、その内側にケース本体2の長手辺側壁部22a、22a及び短手片側壁部22b、22bに外嵌合する周側壁32を設けるとともに周側壁32の上端にアーチ状の天面部33を一体に連ねて形成してある。
カバー体3は、ヒンジ部4でケース本体2の上面側に折り曲げ、これをケース本体2に被せると、前記周側壁32がケース本体2の周側壁部22a、22bの外側に圧嵌し、且つフランジ部31がケース本体2のフランジ部21に重合して、ケース本体2の上面全体を天面部33で覆ってケース1の内部を密閉するようになっている。
なお、カバー体3の周側壁32と天面部33は、カバー体3をケース本体2に装着した状態で、図5(A)に示されるように、天面部33の下面が支持面部24に載せたタバコTの表面に接合し、支持面部24と天面部33とでタバコTを挟持状態で保持し得る高さ及び形状に設けてある。
【0016】
このように形成された本形態のケース1は、ケース本体2の支持面部24にタバコTを載せて収納し、このケース本体2にヒンジ連結されたカバー体3を被せてケース本体2の上面に装着することで、ケース1内が密閉された状態となり、タバコTを収納したケース1を販売や展示に供したり持ち運んだりすることができる。
【0017】
ケース1に収納されたタバコTを取り出す操作は以下のようにして行うことができる。
先ず、図4(A)に示されるように、ケース1をカバー体3が下側、ケース本体2が上側となるように向けて把持し、ケース本体2の副面部2Bの側端部に設けた突片2B1を摘んで副面部2Bをヒンジ部4の軸廻りでカバー体3から離間する方向に回動し、同図(B)に示されるように、ケース本体2に開口部5を形成する。
開口部5を形成したならば、主面部2Aの開口端部の近傍でケース本体2の両長手辺間を把持し、ケース中央部に向け力を加えて、ケース本体2をその両側から押圧する。
ケース本体2が両側から押圧されると、主面部2Aは自身の弾性により開口端部が湾曲変形し、これにより開口部5が大きく開口するとともに、主面部2Aの開口端部が湾曲変形するのと連動して支持面部24が湾曲変形して、図5(B)に示されるように、支持面部24と天面部33との間に挟まれたタバコTの保持が解除され、収納されていたタバコTを開口部5から抜き取ることが可能となる。
この場合、ケース本体2を湾曲変形させない限り、支持面部24と天面部33とによるタバコTの挟持状態は維持されるので、副面部2Bを回動して開口部5が形成されていても、開口部5からタバコTが抜け落ちる虞はない。
タバコTを取り出した後は、副面部2Bを元の位置に戻してその周側面部22a、22bをカバー体3の周側壁32に内嵌合させれば、開口部5が閉鎖されてケース1内は再び密閉された状態となり、そのまま持ち運ぶことができる。
【0018】
なお、本発明のタバコ包装用ケース1は、例えば図6(A)に示されるようにケース本体2内に分断線23を斜めに形成し、副面部2Bを回動したときに形成される開口部5が傾斜面を含んで開口するようにしてもよく、また、同図(B)に示されるように、ケース本体2の短手辺の両側にヒンジ部4、4を設けてカバー体3、3が観音開き状に分割して開閉する構造としてもよい。
また、図示した形態では、ケース本体2の両側から押圧した際に主面部2Aを湾曲させ易いように、主面部2Aの開口端部から適宜な距離を開けて支持面部24を配置するのが好ましい。開口端部と支持面部24との間の面部は図7(A)に示されるような平板状の底面部25としたが、当該位置の底面部25は、同図(B)に示されるような突起付き平板状としたり、ケース外方に湾曲した湾曲断面形状としたりしてもよい。
また、図示したケース1ではケース本体2にカバー体3を外嵌合させることによりカバー体3をケース本体2の外周面に固定してケース1内が密閉されるよう設けたが、接着テープなどの止着手段を用いてケース本体2の主面部2Aをカバー体3に留め付けてもよい。
【0019】
なお、図示したケースは本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明のタバコ包装用ケースはこれに限定されず、収納するタバコの本数、包装の態様などに応じて適宜な形態で構成することが可能である。
【符号の説明】
【0020】
1 タバコ包装用ケース、2 ケース本体、2A 主面部、2B 副面部、21 フランジ部、22 側壁部、22a 長手辺側壁部、22b 短手片側壁部、23 分断線、24 支持面部、24a 湾曲凹面、25 底面部、3 カバー体、31 フランジ部、32 周側壁、33 天面部、4 ヒンジ部、5 開口部、T タバコ




【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺がフランジ部(21)により平面視矩形に縁取られていてフランジ部(21)の内側に長手辺側壁部(22a、22a)と短手辺側壁部(22b、22b)が立ち上がり、長手辺側壁部(22a、22a)間に複数本のタバコ(T)を並べて支持する支持面部(24)を設けてなるケース本体(2)と、
ケース本体(2)の端部に設けたヒンジ部(4)を介して連結していて、
周辺をケース本体(2)のフランジ部(21)に重合するフランジ部(31)とし、その内側にケース本体(2)の周側壁部(22a、22b)に外嵌合する周側壁(32)を設けるとともに周側壁部(32)の上端にアーチ状の天面部(33)を設けてなるカバー体(3)からなり、
ケース本体(2)にカバー体(3)を装着することにより支持面部(24)に載せたタバコ(T)を当該支持面部(24)と天面部(33)とで挟んで保持するタバコ包装用ケース(1)であって、
前記ケース本体(2)は、その長手辺間に形成された分断線(23)に沿って前記支持面部(24)が形成された面部である主面部(2A)とその他の面部である副面部(2B)とに分割されてなり、
ケース本体(2)にカバー体(3)を装着した状態で前記副面部(2B)をヒンジ部(4)を軸に回動してケース本体(2)に開口部(5)を形成するとともに、ケース本体(2)の両長手辺間を押圧して前記主面部(2A)を湾曲させることにより、収納されたタバコ(T)を前記開口部(5)から取り出せるようにした構成を有することを特徴とするタバコ包装用ケース。
【請求項2】
主面部(2A)の開口端部から5mm以上離れた位置に支持面部(24)が設けてあることを特徴とする請求項1に記載のタバコ包装用ケース。
【請求項3】
主面部(2A)の開口端部を湾曲した断面形状に設けた請求項1又は2に記載のタバコ包装用ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−34599(P2012−34599A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175996(P2010−175996)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(591123252)菱江産業株式会社 (18)