説明

タバコ包装用ケース

【課題】複数本のタバコが収納されたケースを簡易な操作で開閉することができ、タバコを取り出した後は再びケース密閉して携行することができるようにする。
【解決手段】周辺をフランジ部21とし、その内側にタバコの収納凹所23が上面に設けられたケース本体2の一端に、前記フランジ部21に重合するフランジ部31を周辺に有するカバー体3がヒンジ連結されてなるプラスチックシート製のタバコ包装用ケース1において、収納凹所23を第1の収納凹所23aと第2の収納凹所23bとに二分し、両凹所の間に折り曲げ罫線26を設け、ケース本体2にカバー体3を装着した状態で第2の収納凹所23bを折り曲げ罫線26に沿って折り曲げることにより収納凹所23の一端を開口し、収納されたタバコを取り出せるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコを収納して販売や展示に供するのに好適なプラスチックシート製の包装用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のタバコ包装用ケースとして、図9に示されるように、浅底皿状のケース本体100とケース本体100の上面を覆う蓋体101からなり、ケース本体100に複数本のタバコTを並べて収納し、その開口面に蓋体101を被せるとともにケース本体100のフランジ状縁部に蓋体の縁部を接着してケース内部を密封する構成のものが知られている。
このケースでは、タバコTを取り出す際、同図(B)に示されるように、蓋体101に設けられた切裂きテープなどの切除手段101aに沿って蓋体101を部分的に切除してケースに開口部102を形成し、この開口部102からタバコTを引き出すようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、禁煙パイプなどの筒状吸引具Pを包装する容器として、図10に示されるように、ヒンジ連結した容器本体110と蓋体111の面内対応位置に筒状吸引具Pが収納される複数の凹所112と互いに嵌合可能な凹部113及び凸部114を各々形成し、容器本体110に形成された各凹所112に筒状吸引具Pを収納した状態で容器本体110に蓋体111を重ね合わせ、凹部113と凸部114を嵌合させることにより前記筒状吸引具Pが収納された凹所112を密閉する構成のものが知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭60−240678号公報
【特許文献2】実用新案登録第3054584号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図9に示された包装用ケースは、タバコを見栄え良く収納することができるものの、タバコを取り出すためにケースに開口部102を形成すると、ケースは穴あき状態のままとなってしまう。そのため、必要数のタバコを取り出した後、ケース内に余ったタバコがあると、この開口部102からタバコがケース外側に抜け落ちてしまい易く、余ったタバコをケースに入れて携行するのには適さない。
また、図10に示された容器を筒状吸引具に代えてタバコの包装に適用した場合、各凹所112内にタバコが個別に収納されるため、一本のタバコを容器から取り出した後に他のタバコが容器から抜け落ち易くなることはなく容器の携行に支障はない。しかし、タバコを取り出すために重なり合った容器本体110と蓋体111を分離する際に、凹凸部113、114の嵌合を解除する操作に伴い容器がぶれて衝撃が伝わり、収納されていたタバコを容器の外側に散乱させてしまい易く、容器を簡易な操作で開閉することができない。
【0006】
本発明は従来技術の有するこのような問題点に鑑み、透明なプラスチックシートを成形してなるタバコ包装用ケースにおいて、複数本のタバコが収納されたケースを簡易な操作で開閉することができ、必要数のタバコを取り出した後は再びケース密閉して携行することができるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため本発明は、周辺にフランジ部が設けられ、フランジ部の内側にタバコが収納される収納凹所が設けられたケース本体と、周辺にフランジ部が設けられていてケース本体の一端にヒンジ連結したカバー体からなり、ケース本体にカバー体を装着し両体のフランジ部を重合させて前記収納凹所を密閉するタバコ包装用ケースにおいて、ケース本体はその収納凹所がヒンジ部側の第1の収納凹所と他側の第2の収納凹所とに二分されているとともに両凹所の間に折り曲げ罫線が設けられて当該罫線に沿って第2の収納凹所が折り曲げ自在に形成されており、ケース本体にカバー体を装着した状態で前記第2の収納凹所を折り曲げることにより前記収納凹所の一端を開口して収納されたタバコを取り出せるように構成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明のタバコ包装用ケースによれば、ケース本体の収納凹所にタバコを載せて収納し、このケース本体にヒンジ連結されたカバー体を被せてケース本体の上面に装着することで収納凹所の周囲が、互いに重合したケース本体とカバー体のフランジ部で包囲されて収納凹所内が密閉された状態となり、タバコを収納したケースを販売や展示に供したりそのまま持ち運んだりすることができる。
ケース本体はタバコが収納される収納凹所が第1の収納凹所と第2の収納凹所に二分され、その間に設けた折り曲げ罫線に沿って第2の収納凹所が折り曲げ自在に形成してあるので、ケースからタバコを取り出す際に、前記罫線に沿って第2の収納凹所を外側に折り曲げれば、第2の収納凹所の端部とカバー体との間に収納凹所に連通する開口部が形成され、この開口部から収納凹所内のタバコを抜き取ることができる。タバコを取り出した後は、第2の収納凹所を前記とは逆方向に折り曲げて元の位置に戻せば、カバー体が第2の収納凹所の外側に装着して収納凹所内は密閉された状態に維持される。
【0009】
前記構成のタバコ包装用ケースにおいて、第1の収納凹所と第2の収納凹所は収納されたタバコを区画する仕切面部を有することが好ましい。
収納凹所に仕切面部が設けてあれば、収納凹所内でタバコが仕切面部で仕切られて保持されるので、タバコを見栄え良く収納することができ、また、仕切面部でタバコの移動が規制されるので、ケースを持ち運んだ際にケースが揺れたり衝撃が加わったりしても、タバコは収納位置に保持され、ケース内でタバコが散乱したり折れ曲がったりすることがない。仕切面部は、タバコを一本又は複数本に仕切る突起や凹凸面などにより形成することができる。
【0010】
また、前記構成のタバコ包装用ケースにおいて、第1の収納凹所がヒンジ部側から折り曲げ罫線側に向けて下り傾斜した傾斜面部を有することが好ましい。
第1の収納凹所に傾斜面部が設けてあれば、タバコを取り出すために第2の収納凹所を折り曲げて開口部を形成したときに、収納凹所内でタバコが前記傾斜面部に沿って傾斜しつつ開口部に向かってスライドし、タバコを容易に抜き取ることができる。第1の収納凹所に仕切面部を形成する場合、各仕切面部間で傾斜面部の傾斜角度を揃えたり異ならせたりすることができる。複数ある仕切面部間のうち、一カ所の仕切面部の傾斜角度を大きくし、当該大角度の傾斜面部からのみタバコが取り出せるように設けてもよい。
【0011】
本発明のタバコ包装用ケースは、耐折性が良好なポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、或いはポリ乳酸などの生物由来性樹脂、その他の樹脂単体又はこれらの複合体からなるプラスチックシートを用い、これらシートを圧空・真空成形して形成することができる。特にポリエチレンテレフタレート製のシートは、透明性が良好で剛性が高い点で好ましく、中でもアモルファスPET(A−PET)は、より透明性が良好で且つ未延伸であるためシートの方向に関係なく強度が高い点で好ましい。
第1の収納凹所と第2の収納凹所の間に設ける折り曲げ罫線は、ミシン目などのスリットを断続させた罫線や凹穴状の押し罫線、V字やU字状、台形状の溝を断続又は連続させた罫線、溝内を二段溝状とした二段罫線、筋状の溝を平行に近接配置した罫線など、ケース本体を構成するシートを罫線に沿って折り曲げることが可能な適宜な種類の罫線をケースの寸法やシートの材質、剛性、厚みなどに応じて設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施形態のタバコ包装用ケースのカバー体側の外観斜視図(A)とケース本体側の外観斜視図(B)である。
【図2】図1のケースの展開状態の外観斜視図である。
【図3】図1(A)に示したケースの中央横断面図である。
【図4】図1のケースにおいてケース本体の一部を折り曲げて開口部を形成した状態の外観斜視図である。
【図5】タバコを収納した状態の図1のケースの断面図(A)とタバコを取り出すためにケース本体の一部を折り曲げた状態の断面図(B)である。
【図6】本発明の他の実施形態におけるケースの展開状態の外観斜視図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態におけるケースの中央横断面図であり、(A)は閉蓋状態、(B)は開口部を形成した状態である。
【図8】(A)、(B)は図7に示したケースにおけるケース本体とカバー体の連結手段の例示図である。
【図9】従来のタバコ包装用ケースの外観図(A)と同ケースに収納したタバコを取り出すときの断面図である。
【図10】従来の筒状吸引具を包装する容器の展開斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の好適な一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図5は本発明の一実施形態のタバコ包装用ケースを示しており、このケース1は、周辺がフランジ部21で囲われていて複数本のタバコ載せて収納する収納凹所23を有するケース本体2と、ケース本体2のフランジ部21に重合するフランジ部31が周辺に設けられていてケース本体2の上面に装着して前記収納凹所23を密閉するカバー体3とを、両体の一端に設けたヒンジ部4で一体に連結して形成してある。
【0014】
ケース本体2は、長手寸法がタバコTよりも若干長い平面視矩形状を呈し、その周辺を外方へ張り出したフランジ部21とし、フランジ部21の内方にフランジ部21から上方へ折れた長手辺側壁22a、22aと短手辺側壁22b、22bを適宜な高さに立ち上げ、これら周側壁の内側上面にタバコTを収納する収納凹所23を設けてある。
【0015】
より詳しくは、長手辺側壁22a、22aとヒンジ部4側の短手辺側壁22bはフランジ部21に対して略直角に折れて立ち上げ、ヒンジ部4とは反対側となるケース先端側の短手辺側壁22bはフランジ部21から内側へ傾斜させて前記各側壁と同じ高さに立ち上げてある。また、ケース先端側のフランジ部21にはシートを摘むための突片21aを設けてある。
収納凹所23は、5本のタバコTを横に並べて収納することができる凹状の空間部であり、図2に示されるように、ヒンジ部4側の第1の収納凹所23aとケース先端側の第2の収納凹所23bとに二分して設けてある。
両収納凹所23a、23bの表面には、各タバコTの外周面に接合する湾曲断面形状の凹凸面からなる仕切面部24が形成されており、各仕切面部24、24間に収納したタバコTを仕切面部24で位置決めし保持することができるようになっている。
また、図2及び図3に示されるように、第1の収納凹所23aの各仕切面部24、24間は、ヒンジ部4側からケース先端側に向けて下り傾斜した傾斜面部25としてある。一方、第2の収納凹所23bの各仕切面部24、24間はフランジ部21と平行に延びた凹面としてある。
さらに、ケース本体2の第1の収納凹所23aと第2の収納凹所23bの間のシート面には折り曲げ罫線26がヒンジ部4と平行に付設してあり、図4に示されるように、この折り曲げ罫線26に沿って第2の収納凹所23bを外側へ折り曲げることができるように設けてある。
【0016】
カバー体3は、ケース本体2と同様に平面視矩形状を呈し、その周辺を外方へ張り出したフランジ部31とし、フランジ部31の内方に、前記ケース本体2の長手辺側壁22a、22aと短手辺側壁22b、22bに外嵌合する長手辺側壁32a、32a及び短手辺側壁32b、32bをフランジ部31から立ち上げて形成してある。カバー体3は、ヒンジ部4でケース本体2の上面側に折り曲げ、これをケース本体2に被せると、前記周側壁23a、23bがケース本体2の周側壁22a、22bの外側に圧嵌し、且つフランジ部31がケース本体2のフランジ部21に重合して、ケース本体2の上面全体をカバー体3で覆って前記収納凹所23内を密閉するように設けてある。なお、図5(A)に示されるように、カバー体3の前記周側壁32a、32bは、カバー体3をケース本体2の上面に装着した状態で、収納凹所23内にタバコTの収納空間が確保され得る高さに設けてある。
【0017】
このように形成された本形態のケース1は、ケース本体2の収納凹所23内にタバコTを載せて収納し、このケース本体2にヒンジ連結されたカバー体3を被せてケース本体2の上面に装着することで、収納凹所23の周囲がカバー体3で覆われ、且つケース本体2のフランジ部21とカバー体3のフランジ部31が重合して収納凹所23内が密閉された状態となり、タバコTを収納したケース1を販売や展示に供したり持ち運んだりすることができる。
【0018】
ケース1に収納されたタバコTを取り出す操作は以下のようにして行うことができる。
先ず、図5(A)に示されるように、ケース1をカバー体3が上側、ケース本体2が下側となるように向けて把持し、ケース本体2のケース先端側に設けた突片21aを摘んで下方へ引っ張る。
すると、ケース本体2の第2の収納凹所23b側の半面が折り曲げ罫線26に沿って下方へ折れ曲がり、第2の収納凹所23bの端部とカバー体3との間に収納凹所23に連通する開口部5が形成される。
開口部5の形成に伴い、収納凹所23内に収納されていたタバコTは、その一端を支持していた第2の収納凹所23bが外れるため、同図(B)に示されるように、第1の収納凹所23aに形成された傾斜面部25に沿って傾き、そのまま開口部5に向かってスライドし、開口部5からケース1の外側に抜き取ることができる。
タバコTを取り出した後は、第2の収納凹所23bを前記とは逆方向に折り曲げて元の位置に戻せば、第2の収納凹所23bの外周面にカバー体3が嵌着し、収納凹所23内は再び密閉された状態となって、ケース1をそのまま持ち運ぶことが可能となる。
【0019】
なお、第1の収納凹所23aに形成する傾斜面部25は、各仕切面部24、24間でその傾斜角度を適宜に設定することができ、例えば図6に示されるように、第1の収納凹所23内の端の部分のみその傾斜面部25の傾斜角度を大きく(急な角度に)設け、開口部5を形成した際に、当該傾斜面部25に収納されたタバコTのみが傾斜面部25に沿ってスライドして開口部5から取り出せるように設けてもよい。
【0020】
さらに、図7に示されるように、ケース本体2をドーム形に形成してその内部に収納凹所23を設ける一方、ヒンジ部4を介して連結したカバー体3を平板状に設け、ケース本体2にカバー体3を被せてケース本体2の上部開口面を閉鎖し、ケース本体2のドーム形の外周面に沿って形成した折り曲げ罫線26に沿ってケース本体2の第2の収納凹所23bを第1の収納凹所23aに対して折り曲げることにより開口部5が形成されるようにケース1を構成してもよい。
この場合、ドーム形のケース本体2の開口面に平板状のカバー体3を固定するには、例えば両体の周辺のフランジ部21、31に図8(A)に示されるような雄形突起81aと雌形突起81bをそれぞれ設け、両体のフランジ部21、31を重合させるとともに両突起を互いに嵌合する固定手段を用いることができる。
また、フランジ部4とは反対側のケース本体2のカバー体3の端部に、同図(B)に示されるような係合フック82a、82bをそれぞれ形成し、両フックを係合させて両端の端部が連結するように設けてもよい。
【0021】
図示したケース1ではケース本体2にカバー体3を外嵌合させることによりカバー体3をケース本体2の外周面に固定してケース1内が密閉されるよう設けたが、接着テープなどの止着手段を用いてカバー体3をケース本体2に留め付けてもよい。
なお、図示したケースは本発明の実施形態の一例を示すものであり、本発明のタバコ包装用ケースはこれに限定されず、収納するタバコの本数、包装の態様などに応じて適宜な形態で構成することが可能である。
【符号の説明】
【0022】
1 タバコ包装用ケース、2 ケース本体、21 フランジ部、21a 突片、22 側壁、22a 長手辺側壁、22b 短手片側壁、23 収納凹所、23a 第1の収納凹所、23b 第2の収納凹所、24 仕切面部、25 傾斜面部、26 折り曲げ罫線、3 カバー体、31 フランジ部、32 側壁、32a 長手辺側壁、32b 短手片側壁、4 ヒンジ部、5 開口部、T タバコ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周辺にフランジ部が設けられ、フランジ部の内側にタバコが収納される収納凹所が設けられたケース本体と、周辺にフランジ部が設けられていてケース本体の一端にヒンジ連結したカバー体からなり、ケース本体にカバー体を装着し両体のフランジ部を重合させて前記収納凹所を密閉するタバコ包装用ケースにおいて、
ケース本体はその収納凹所がヒンジ部側の第1の収納凹所と他側の第2の収納凹所とに二分されているとともに両凹所の間に折り曲げ罫線が設けられて当該罫線に沿って第2の収納凹所が折り曲げ自在に形成されており、
ケース本体にカバー体を装着した状態で前記第2の収納凹所を折り曲げることにより前記収納凹所の一端を開口して収納されたタバコを取り出せるように構成されていることを特徴とするタバコ包装用ケース。
【請求項2】
第1の収納凹所と第2の収納凹所はタバコを仕切る仕切面部を有することを特徴とする請求項1に記載のタバコ包装用ケース。
【請求項3】
第1の収納凹所はヒンジ部側から折り曲げ罫線側に向けて下り傾斜した傾斜面部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のタバコ包装用ケース。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−34602(P2012−34602A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176089(P2010−176089)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(591123252)菱江産業株式会社 (18)