説明

タバコ関連物品用パッケージ

【解決手段】タバコ関連物品用パッケージ(1)は、前壁(10)と、後壁と、対向する二つの側壁(14)と、上面とを有するシェル(2)を備える。蓋(4)は、閉状態にあるときにシェル(2)の上面を閉じるように構成される。蓋(4)は、ヒンジ・ラインにおいてシェル(2)の後壁または一方の側壁に旋回可能に接続され、閉状態から開状態へと移行するためにヒンジ・ラインを中心に旋回可能である。蓋(4)は、前端と、後端と、二つの側端と、底面とを有する上壁を備え、この上壁は、蓋(4)が閉状態のときにシェル(2)の上面を閉じるように構成される。斜角端壁(34,36)は、蓋(4)の、ヒンジ・ラインとは反対側の上壁の端から少なくとも延び、蓋(4)が閉状態のとき、シェル(2)内に嵌合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばタバコやシガリロ等のタバコ関連物品用パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のタバコ関連物品用パッケージは、前壁と、後壁と、前壁及び後壁を接続する互いに対向する二つの側壁並びに底壁とを有するシェルを備える。シェルの上面は、蓋で閉じられる。蓋は、後壁または一方の側壁に設けられるヒンジ・ラインを中心に旋回もしくは回転することで開く。通常、蓋は、上壁と側壁とを備え、蓋が閉じているとき、蓋の側壁は、シェルと部分的に重なる。通常、このようなパッケージを開閉するには、使用者は、両手を使わなくてはならない。この種のパッケージは、例えば、下記特許文献1に示される。このデザインは、平凡で、魅力に欠ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第4,729,508号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、従来通り扱うことができ、さらに、任意で片手による操作も可能な、魅力的で廉価なタバコ関連物品用パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この問題は、請求項1の特徴を有するタバコ関連物品用パッケージによって解決される。本発明の有利な形態は、その従属項から得られる。
【発明の効果】
【0006】
このようなパッケージは、非常に便利に取り扱える。使用者が、一方の手で蓋を開ける間、もう一方の手でパッケージを持たなければならない従来のパッケージに比べ、本発明のパッケージは、片手のみで取り扱い、操作できる。使用者は、例えば、外側シェルの後壁が掌に対向するように片手でパッケージを持つことができ、親指を使って切欠きから内側シェルを掴み、軽く押して、親指をそれぞれ蓋の方向あるいは蓋の反対方向へ移動させることによって、内側シェルをシフトできる。蓋は、ヒンジ・コネクタによって自動的に開け閉めできる。このパッケージは、魅力的なデザインを持つと共に、廉価で製造できる。
【0007】
このパッケージは、片手で使用できるので、例えば、運転中、コンピュータ操作中、電話中等や、一般的に使用者が片手しか使えない状況でタバコ関連物品を取り出したい場合等、様々な状況で有利である。パッケージは、使用者の手に収まりが良く、片手での使用は手早く行なえ便利である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1(a)〜(e)は、本発明に係るタバコ関連物品用パッケージの第一実施例を示す。詳細には、図1(a)は、蓋が半開きの状態のパッケージの等角図であり、図1(b)は、蓋が全開で、パッケージの内側シェルが前進位置へ移動した状態のパッケージの等角図であり、図1(c)は、蓋が閉まった状態のパッケージの側面図であり、図1(d)は、図1(b)の状態のパッケージの側面図であり、図1(e)は、長手軸方向中央を含む面を通る、パッケージの長手方向断面図である。
【図2】図2(a)は、図1のパッケージの外側シェルのブランクの平面図であり、図2(b)は、図1のパッケージの内側シェルのブランクの平面図である。
【図3】図3(a)〜(d)は、本発明に係るタバコ関連物品用パッケージの第二実施例を示す。詳細には、図3(a)は、蓋が半開きの状態のパッケージの等角図であり、図3(b)は、蓋が全開で、パッケージの内側シェルが前進位置へ移動した状態のパッケージの等角図であり、図3(c)は、パッケージの底面図であり、図3(d)は、図3(b)の状態のパッケージの側面図である。
【図4】図4(a)は、図3のパッケージの外側シェルのブランクの平面図であり、図4(b)は、図3のパッケージの内側シェルのブランクの平面図である。
【図5】図5(a)および(b)は、本発明に係るパッケージの第三実施例の等角図であり、このパッケージは、二つの束を含む。詳細には、図5(a)は、蓋が半開きの状態を示し、図5(b)は、パッケージの内側シェルが前進位置にあり、蓋が全開の状態を示す。
【図6】図6(a)および(b)は、本発明に係るパッケージの第四実施例の等角図である。詳細には、図6(a)は、二つに分かれた蓋が半開きの状態を示し、図6(b)は、パッケージの二つの内側シェルが前進位置にあり、二つに分かれた蓋が全開の状態を示す。
【図7】図7は、本発明に係るパッケージの第五実施例を示し、蓋が半開きの状態を示す。
【図8】図8(a)および(b)は、本発明にかかるパッケージの第六実施例の概略長手方向断面図であり、蓋が半開きの状態を示す。詳細には、図8(a)は、パッケージのシェルの側壁に平行な面に沿った断面図で、図8(b)は、シェルの前壁に平行な面の断面図である。
【図9】図9は、本発明に係るパッケージの第七実施例の、パッケージのシェルの側壁に平行な面に沿った概略長手方向断面図で、二つの部分から構成される蓋が閉じられた状態を示す。
【図10】図10は、本発明に係るパッケージの第八実施例の、パッケージのシェルの側壁に平行な面に沿った概略長手方向断面図で、蓋が内側シェルにヒンジにより接続され、閉じた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るパッケージは、タバコ関連物品を収容するように設計される。このパッケージは、前壁と、後壁と、前壁及び後壁を接続する互いに対向する二つの側壁並びに任意の底壁と、上面とを有するシェルを備える。蓋は、閉状態にあるときに、シェルの上面を閉じるように構成される。蓋は、ヒンジ・ラインにおいてシェルの後壁または一方の側壁に旋回可能に接続され、閉状態から開状態へ移行するように上記ヒンジ・ラインを中心に旋回可能である。蓋は、上端と、後端と、二つの側端と、底面とを有する上壁を備える。この上壁は、蓋が閉状態のとき、シェルの上面を閉じるように構成される。
【0010】
さらに、斜角端壁が、少なくとも蓋のヒンジ・ラインとは反対側の上壁端から延び、蓋が閉状態のとき、この斜角端壁がシェル内に嵌合する。
【0011】
蓋が閉状態のとき、斜角端壁は、シェル内に収容されているので、通常見えない。よって、蓋がヒンジ・ラインとは反対側に側壁を有する従来のパッケージと異なり、この蓋は、基本的にパッケージの平坦な閉鎖部の如き外観を呈する。本発明に係るパッケージは、使用者にとって魅力的かつ人目を惹くデザインとなる。
【0012】
さらに、この蓋は、斜角端壁により補強されており、その「平坦さ」にも関わらず強固である。また、蓋は、閉状態において、パッケージの上部を歪みに対して補強する。端壁は、斜角形状を有するため、閉動作の際に、シェル内に良好に嵌合する。よって、蓋は、外側シェルの上面スペース内に案内されるため、閉動作が容易になるとともに、閉状態においてパッケージを安定させ、パッケージの中身の保護を高める。
【0013】
本発明の有利な実施形態では、蓋のヒンジ・ラインは、上壁の後端または一方の側端に位置し、それにより「平坦さ」という点における蓋の全体的な印象を向上させる。斜角端壁は、蓋のヒンジ・ラインを備える端とは異なる他の上壁端から延びていてもよい。例えば、斜角端壁は、蓋のヒンジ・ラインを備える端以外の全ての上壁端から延びていてもよい。これにより、閉状態における蓋の「平坦さ」効果に影響が出ることも、簡単な閉動作に支障を来すこともなく、蓋の全体強度が高まる。
【0014】
代替実施形態において、蓋は、上壁の後端から延びる後壁または一方の側端から延びる側壁を備え、蓋のヒンジ・ラインは、この後壁または側壁の自由端に位置する。「平坦さ」効果は、完全にヒンジ・ラインとは反対側の端の外観に向けられているため、このような後壁または側壁により「平坦さ」効果が著しく低減することはない。一方で、この壁により蓋のヒンジ・ラインに旋回軸を持つレバーが提供され、開動作が容易となる。例えば、使用者は、蓋のヒンジ・ラインを有する壁が掌に向かうようにパッケージを手に取り、親指で蓋の上面を掴むことができる。親指を掌の方へ動かし少し下へ押すと、蓋が開く。任意に、蓋は、蓋のヒンジ・ラインとは反対側の斜角端壁とは別に、少なくとも一つの端壁をさらに備える。例えば、蓋は、蓋の上壁の、ヒンジ・ラインで終端する後壁または側壁が延びる端を除いた全ての端に沿って延びる斜角端壁を有してもよい。この斜角端壁の端を蓋の後壁または側壁に固定することにより、蓋の強度が一層高まる。
【0015】
有利な形態において、斜角端壁は、蓋のブランクを備えるシェルのブランクから折り返される。斜角端壁は、様々な断面形状を有しうる。ブランクから簡単に折り返し可能で安定感があるため、三角形状が有利である。その他考えられる形状としては、四角形、多角形が一般的であるが、少なくとも一つの曲面を有する形状でもよい。
【0016】
本発明の有利な実施形態では、シェルは、外側シェルとして設計され、パッケージは、複数のタバコ関連物品を収容するように構成された内側シェルをさらに備える。内側シェルは、外側シェル内に取り付けられ、退避位置から、喫煙物品へのアクセスを可能とする前進位置へ移動可能である。任意に、退避位置において、内側シェルは、外側シェルの内側に収納される。しかし、外側シェルは、外側シェルと閉状態の蓋とが退避位置の内側シェルを完全に包み込まないような、より包括的ではない構造のデザインでもよい。この後者のデザインの例において、蓋が閉じた状態で、内側シェルは、外側シェルの下端から部分的に突出する。
【0017】
このデザインは、パッケージが、さらに、コネクタ、好ましくは、ヒンジ・コネクタを内側シェルの一部と蓋との間に備える場合に特に有利である。コネクタは、ヒンジ・ラインからの距離が、ヒンジ・ラインに垂直の方向における蓋の寸法よりも短い位置で蓋と係合し、内側シェルが前進位置に移動すると、蓋を開状態まで押し、内側シェルが退避位置に移動すると、蓋を閉状態まで引くため、使用者が内側シェルを移動させると、蓋が対応して自動的に開閉する。
【0018】
この場合、外側シェルの前壁および/または側壁に設けられる切欠きは、内側シェルを部分的に露出させ、内側シェルを移動させる力を内側シェルに(任意に、例えば、ノブやピン等のアクチュエータによって)伝達する、または、(例えば、親指によって)加えることを可能とするように構成される。切欠きは、例えば、前壁と一方の側壁との間の角部等、二つ以上の壁に亘って延びてもよい。さらに、切欠きを複数設けることも考えられる。また、外側シェルの底壁が、切欠きの一部または追加の切欠きを有することも可能である。
【0019】
このようなパッケージは、非常に便利に取り扱える。使用者が、一方の手で蓋を開ける間、もう一方の手でパッケージを持たなければならない従来のパッケージに比べ、本発明のパッケージは、片手のみで取り扱い、操作できる。使用者は、例えば、外側シェルの後壁が掌に対向するように片手でパッケージを持つことができ、親指を使って切欠きから内側シェルを掴み、軽く押して、親指をそれぞれ蓋の方向あるいは蓋の反対方向へ移動させることによって(またはアクチュエータを操作して)、内側シェルをシフトできる。蓋は、ヒンジ・コネクタによって自動的に開け閉めできる。上述したようにこのパッケージは、魅力的なデザインを持つと共に、廉価で製造できる。
【0020】
このパッケージは、片手で使用できるので、例えば、運転中、コンピュータ操作中、電話中等や、一般的に使用者が片手しか使えない状況でタバコ関連物品を取り出したい場合等、様々な状況で有利である。パッケージは、使用者の手に収まりが良く、片手での使用は手早く行なえ便利である。
【0021】
内側シェルは、上端を有する後壁または側壁を備え、コネクタは、この上端から延び、この上端またはこの上端の周辺領域に第一ヒンジ・ラインを有し、コネクタは、上壁の底面に第二ヒンジ・ラインを有する。蓋の確実な動作のための有利な寸法的な条件としては、蓋が閉状態のときの、コネクタの第一ヒンジ・ラインと蓋のヒンジ・ラインとの間の距離と、蓋のヒンジ・ラインとコネクタの第二ヒンジ・ラインとの間の距離との比が、0.5〜1.0の範囲内で、好ましくは、0.70〜0.85の範囲内、例えば、約0.78である。内側シェルと蓋とをコンパクト且つ確実にスムーズに接続するためのその他の有用な寸法的条件として、コネクタの第一ヒンジ・ラインと第二ヒンジ・ラインとの間の距離は、蓋のヒンジ・ラインとコネクタの第二ヒンジ・ラインとの間の距離より、例えば、0.4mm〜1.8mmの範囲内で、または、約0.7mmだけ大きい。
【0022】
パッケージの内側シェルは、内側シェルが前進位置にあるときの内側シェルの中身へのアクセスを容易にするフリーアクセス領域を提供する前壁を備えうる。このフリーアクセス領域は、例えば、前壁から切り欠かれた切欠きとして、または、低くなった上端を有する前壁の一部分によって、または、概して低い上端を有する前壁によって、設計されうる。内側シェルが退避位置にあるとき、内側シェルのフリーアクセス領域は、外側シェルの切欠きと重ならない、すなわち、パッケージの閉状態においてフリーアクセス領域が目に見えないことが好ましい。これにより、パッケージの外観が向上する。
【0023】
通常、内側シェルは、前壁と、後壁と、前壁及び後壁を接続する互いに対向する二つの側壁並びに底壁とを備えうる。しかし、内側シェルが、上記の壁が全て壁パネルとして設計されない、より軽量の構造を有することも考えられる。軽量の構造では、パッケージの中身を追加的に支持するためのインナ・カバーや束カバーを使用可能である。
【0024】
内側シェルを含む有利な実施形態では、内側シェルの移動を目的とした使用者の、切欠きを通じた前壁の接触に対する反作用性を強めるために、内側シェルの前壁が補強構造を有する。このような構造は、二層または三層の厚紙から形成でき、例えば、内側シェルのブランクから折り返される厚紙パネルを使用する。内側シェルの残りの部分に別の補強パネルを取り付けることも考えられる。
【0025】
この補強構造に代わって、または、追加して、内側シェルの中に補強インサートを挿入することもできる。この補強インサートは、好ましくは、射出成形によって作られる、例えば、プラスチック容器として形成可能である。このような設計でも、例えば、厚紙のブランクから作られてコネクタを介して蓋に接続されうる内側シェルが使用される。
【0026】
このような厚紙の内側シェルを使用せず、所望の剛性を提供するプラスチック容器として内側シェルを設計してもよい。この場合、コネクタの少なくとも一部をプラスチック容器の一部として形成可能だが、パッケージの組み立て時に、(例えば、外側シェルのブランクの一部としての)蓋のブランクのみから形成されたコネクタをプラスチック容器に取り付けることも考えられる。
【0027】
外側シェルの切欠きは、外側シェルの前壁に設けられることが好ましい。この切欠きの位置は、パッケージの便利な使用を可能にする。しかし、切欠きを他の壁や二つの壁に亘って延びる領域に配置することや、複数の切欠きを設けることも可能である。
【0028】
外側シェルの切欠きは、外側シェルの前壁の、中央領域ではなく、端の領域に位置してもよい。これにより、内側シェルに上述のフリーアクセス領域が設けられている場合において、退避位置にある内側シェルのフリーアクセス領域と重ならない位置に外側シェルの切欠きを設けることができるので、特に有利である。さらに、この設計では、外側シェルの前壁が、例えば、警告表示に使用可能な連続した領域を提供する。
【0029】
外側シェルの切欠きは、外側シェルのブランクから形成可能で、切欠き領域のブランク材料のうち少なくとも一部が外側シェルの内面に折り返される。このようにすると、切欠きの縁は、尖ったり凸凹だったりせず、対応する折り線によって定まる。これらの折り線は、滑らかな場合が多く、切欠きの周りの壁領域に厚みを与える。ブランク材料が切欠きの上端において折り返されないのが有利となりうる。なぜなら、この端は、使用者が通常通りにパッケージを持つときにあまり目に入らず、この切欠きの折り返されるフラップは、パッケージのスムーズな組み立てを妨げる可能性があるからである。
【0030】
内側シェルは、外側シェルの切欠きに対向する位置にグリップ性向上面を備えることができる。このようなグリップ性向上面は、例えば、内側シェルの壁材料に組み込まれるリレーフ構造、または、内側シェルの当該領域に接着されるステッカによって設けられるリレーフ構造によって提供されうる。その他には、例えば、外側の層が一連の切欠きを備えて、外側層に折り返される内側層が滑らかな内側シェルの二層壁構造として切欠き構造を備えることができる。その他の実施形態としては、内側シェルの当該領域に接着されるステッカ、または、内側シェルの壁や壁領域に適用される高摩擦コーティングもしくはゴム状コーティングを含む。グリップ性向上面は、例えば、使用者の親指に対する摩擦力を高めるので、パッケージを操作し易くする。
【0031】
上述のように、外側シェルの切欠きを、内側シェルの移動を親指で操作する比較的大きなアクセス領域としてではなく、内側シェルを移動させるためのアクチュエータ用の開口部として設計することも考えられうる。
【0032】
コネクタの設計には、多数の選択肢がある。例えば、外側シェルのブランクの一部分と内側シェルのブランクの一部分とを折り返して、パッケージの組み立て時に互いを接着することもできるし、外側シェルのブランクの一部分を折り返して直接内側シェルに接着してもよい。もしくは、内側シェルのブランクの一部分を折り返して、好ましくは、外側シェルのブランクの一部として形成される蓋に接着することもできる。コネクタの形状に関しては、蓋のヒンジ・ラインに沿う方向における寸法は、比較的狭くてもいいし、この方向で測られる最長または略最長の幅を有してもよい。一般的に、幅が広いと、構造の剛性が増す。例えば、台形状のコネクタは、強度を高めるために必要な大きな延長部を提供する一方で、パッケージの組み立てを容易にしうる傾斜端も提供する。
【0033】
別の実施形態では、外側シェルがその前壁、後壁および側壁に切欠きを有さない。この場合、外側シェルは、その底壁に切欠きを備える(底がない場合も含む)。この実施形態のその他は、上述のように構成されうる。使用者は、内側シェルを前進させるには(外側シェルの底の開口部から)内側シェルの底を押し、内側シェルを退避させるには蓋を手動で閉める必要がある。
【0034】
外側シェルと内側シェルを含むパッケージの実施形態は、タバコ関連物品を単一分量または一束のみ収容する内側シェルを一つ備える設計に限らない。パッケージが、二つ以上の束を収容する内側シェルを一つ含むこと、また、二つ以上の内側シェルを有することも考えらえる。パッケージは、例えば、並設される少なくとも二つの内側シェルを備えうる。この場合、外側シェルの後壁に蓋が旋回可能に接続されることが好ましい。蓋は、並設されて外側シェルの後壁に旋回可能に接続する少なくとも二つの別個の部分から形成することができ、蓋の別個の部分はそれぞれ、内側シェルの一方と連携している。外側シェルの前壁には、内側シェルのそれぞれの一部を露出させ、各内側シェルをそれぞれ移動させる力を内側シェルに伝達または加え、ヒンジ・コネクタを介して蓋の各部分を作動可能とする少なくとも一つの切欠きが設けられうる。この少なくとも一つの切欠きは、全ての内側シェルにアクセスできる領域に設けられる一つの切欠きでもよいし、各内側シェルに一つずつ、少なくとも二つの切欠きを含んでもよい。
【0035】
蓋を操作するコネクタを必ずしも含まない、本発明のより全体的な実施形態に説明を戻す。
【0036】
シェル(または外側シェル)は、箱型でもよいし、曲線状の縁を備えてもよい。前壁と両側壁との間の長手方向の縁は、それぞれ曲線状であることが好ましい。外側シェルは、他の形状として、六角形や八角形の断面形状を有する。側壁または前壁は、パッケージの長手軸と平行に延びる折り線に沿ってそれぞれ側壁の残りの部分または前壁の残りの部分を折り返したサイドパネルを備える。このような形状により、大きく製造コストが増すことなくパッケージが魅力的な外観となる。内側シェルを備える場合には、その形状も合わせて調整できる。
【0037】
本発明の他の実施形態では、(ヒンジ・ラインによって蓋が接続される)シェルは、外側シェルに少なくとも部分的に覆われる内側シェルとして設計される。例えば、内側シェルは、喫煙物品を収容・保護し、このような外側シェルは、例えば、蓋の開閉用の操作手段としての役割を持つ。これは、後述の具体的な実施例において、より明らかとなる。
【0038】
本発明は、対向して並ぶ二つの別個の部分から蓋が形成されるパッケージも含む。蓋の一方の部分は、シェルの後壁または一方の側壁に、ヒンジ・ラインにおいて旋回可能に接続され、蓋の他方の部分は、シェルの前壁または他方の側壁に、別のヒンジ・ラインにおいて旋回可能に接続される。蓋の各部分は、少なくともそれぞれのヒンジ・ラインとは反対側に斜角端壁を備える。この場合、蓋をまとめて一つと見なした場合、蓋は、さらに二つの端、すなわち、上記一方の部分のヒンジ・ラインとは反対側の端と、上記他方の部分のヒンジ・ラインとは反対側の端とを備え、これらの端は、蓋が閉じているときに対向する。少なくともこれらの端が斜角端壁を備えるため、蓋の各部分が蓋の閉状態まで旋回する際の閉動作を容易にする。
【0039】
このようなパッケージの有利な実施形態では、蓋の両部分は、互いに対して一般的な鏡面対称となるよう設計されるが、対称的ではない構成も考えられる。これらの実施形態では、蓋が一つの部分で構成される場合を想定して、蓋の各部分を上述の如く設計できる。例えば、内側シェルを備えたパッケージでは、蓋の一方の部分を操作するためのコネクタを内側シェルの後壁に接続でき、蓋の他方の部分を操作するためのコネクタを内側シェルの前壁に接続できる。
【0040】
一般的に、蓋は、例えば、タブ、ノーズ、グリップ凹部、グリップ孔等のグリップ装置を備えうる。蓋が自動的に開かない構成の場合には、開動作を容易にするためにこのようなグリップ装置が役立ちうる。
【0041】
本発明の有利な実施形態では、パッケージのシェル(または、外側シェルおよび/または内側シェル)は、重量が180g/m2〜290g/m2の範囲の厚紙で作られるそれぞれのブランクから折り返される(厚紙という表現は、ラミネート加工された厚紙を含む。)。これは、既知の技術で行われる。厚紙のブランクは、様々な形態で設計可能である。パッケージの各部分としては、その他の材料も考えられ、例えば、前述の範囲外の重量の厚紙や、積層材やプラスチック材料や金属等がある。
【0042】
本発明に係るパッケージには、例えば、タバコ、シガリロ、葉巻、タバコ含有ロッド、無煙タバコ、擬似喫煙具(電子タバコ等)、非燃焼型タバコ吸入器、アロマ容器等の多種なタバコ関連物品を入れることができる。
【0043】
パッケージは、タバコ関連物品を入れた状態で、初めてパッケージを開ける前に少なくとも部分的に取り除かれる、例えば、セロファンや透明な(ポリプロピレン等の)プラスチックカバーで包まれていてもよい。このようなカバーによって、タバコ関連物品の香りと鮮度が保たれるとともに不正開封の跡がすぐ分かるようになる。
【実施例】
【0044】
以下に、実施例によって本発明をさらに説明する。
【0045】
図1は、タバコ関連物品用パッケージ1の第一実施例を説明する。
【0046】
パッケージ1は、外側シェル2と、外側シェル2を閉じるように構成された蓋4と、外側シェル2の中で退避位置(図1(a)参照)から前進位置(図1(b)参照)へ移動可能な内側シェル6とを備える。
【0047】
内側シェル6は、例えば、タバコの束といった、タバコ関連物品の束8を収容する。束8は、例えば、アルミホイルやアルミニウム・ラミネート紙で複数のタバコを包む等、従来の方法で提供される。図1(b)に示すパッケージ1の状態では、タバコを取り出すために束8を簡単に開けることができる。
【0048】
外側シェル2は、前壁10と、後壁12と、二つの側壁14と、底壁16とを備える。本実施例では、上面18は、自由断面領域を提供する。
【0049】
前壁10は、切欠き20、すなわち、前壁10を完全に貫通する開口部を備える。本実施例では、切欠き20は、前壁10の略中央領域に位置する。
【0050】
蓋4は、後壁12の上端にヒンジ・ライン22を介して接続されており、閉状態(図1(c)参照)から全開状態(図1(b),図1(d),図1(e)参照)へ旋回可能になっている。本実施例では、蓋4は、前端26及び後端28(図1(d)参照)並びに二つの側端30(図1(a)参照)を有する上壁24を備える。蓋4の底面は、符号32(図1(e)参照)で示される。ヒンジ・ライン22は、蓋4の後端28に沿って延び、外側シェルが形成されるブランクの折り線から設計される。
【0051】
蓋4は、さらに、蓋4の上壁24の前端26から延びる前端壁34と、二つの側端30からそれぞれ延びる二つの側端壁36とを備える。図1(a),(b),(d)および(e)に示すように、端壁34,36は、「斜角」形状を有している。つまり、端壁34,36は、蓋4を閉じたときに外側シェル2の内部スペースに入り込むように、それぞれ前端26および側端30から幾分内側に傾斜して延びている。したがって、蓋4が閉まっている状態では、端壁34,36は見えない(図1(c)参照)。言い換えると、蓋4が閉じているときは、上壁24のみが見えるので、パッケージ1に魅力的なデザインを与える。
【0052】
蓋4の閉状態では、端壁34,36は、外側シェル2の内部に位置し、パッケージ1を安定させる。本実施例では、端壁34,36は、三角断面形状を有し(図1(e)参照)、これにより、端壁34,36は、概して高い強度を持つ。さらに、端壁34,36の斜角または傾斜形状により、蓋4が閉め易くなる。図1による本実施例の変形例では、端壁の断面形状は、三角形ではなく、例えば、多少丸みを帯びる等、異なった形状を有する。
【0053】
内側シェル6は、前壁40および後壁42(図1(e)参照)と、二つの側壁44(図1(d)参照)と、底壁46(図1(e)参照)とを備える。前壁40の上端と、側壁44の上端の一部とは、後壁42の上端より下に配置される(図1(b)および図1(d)参照)。これにより、束8のタバコ関連物品の取り出しを容易にするフリーアクセス領域48が提供される。
【0054】
内側シェル6の前壁40の、外側シェル2の切欠き20に対する領域は、例えば、ゴム状の素材の掴みやすい高摩擦性の材料でコーティングされる。
【0055】
内側シェル6は、ヒンジ・コネクタ50によって蓋4に接続される。図1(b)に示すように、コネクタ50は、パッケージ1の幅の大部分に亘って延びる。図1(e)は、コネクタ50の詳細を示し、その動作を説明する。
【0056】
本実施例では、コネクタ50は、第一ヒンジ・ライン52において、内側シェル6の後壁42の上端から延びる。コネクタ50は、第二ヒンジ・ライン54において、蓋4の上壁24の底面32に取り付けられる。コネクタ50は、ヒンジ・ライン52,54を中心に旋回できる。
【0057】
さらに、本実施例では、第一ヒンジ・ライン52と第二ヒンジ・ライン54との間の距離が、第二ヒンジ・ライン54と蓋4のヒンジ・ライン22との距離よりも、例えば、約0.7mm大きい。
【0058】
蓋4が閉状態のとき(図1(c)参照)、使用者は、パッケージ1を掌に置き、外側シェル2の切欠き20から内側シェル6の前壁40を親指で触れ、親指を上方に移動できる。このように、使用者は、内側シェル6が退避位置から完全に前進位置になるまで内側シェル6を上方に移動させる。この内側シェル6が移動する際、コネクタ50は、蓋4をヒンジ・ライン22を中心に旋回させることにより、蓋4を開ける。この移動の間、ヒンジ・ライン22,52,54は、図1(e)の紙面上で三角形を形成するので、蓋4の旋回移動が明確に定められる。
【0059】
本実施例において、まず、蓋4の閉状態では、コネクタ50の第一ヒンジ・ライン52と蓋4のヒンジ・ライン22との間の距離と、蓋4のヒンジ・ライン22とコネクタ50の第二ヒンジ・ライン54との間の距離との比は、約0.78である。これが意味するのは、蓋4が開移動の初期段階で十分なトルクを持つ一方で、内側シェル6の上端、つまり、第一ヒンジ・ライン52は、ヒンジ・ライン22に対し大幅に下方には位置していない。つまり、このコネクタの仕組みでは、内側シェル6が退避位置にあるときの内側シェル6の上方のスペースがほとんど無駄にならない。
【0060】
使用者が親指を下方に移動させると、内側シェル6は、退避位置へと戻され、コネクタ50は、蓋4を下方へ閉状態へと引く。
【0061】
上述の値以外の数値も設定できる。当業者は、外側シェル2と内側シェル6の実際の寸法を基に、コネクタ50の寸法を最適化できる。
【0062】
図2は、外側シェル2のブランク60(図2(a)参照)及び内側シェル6のブランク70(図2(b)参照)を示す。本実施例において、両ブランクは、例えば、180g/m2〜290g/m2の範囲の重さの、通常の厚さの厚紙で形成される。ブランクとしては、例えば、ラミネート加工の厚紙やプラスチック材料等他の材料も考えられる。
【0063】
図2(a)において、外側シェル2の前壁10、後壁12、側壁14、および底壁16がそれぞれの符号によって示される。さらに、各接着タブは、符号62で、各切り取り線は、符号63で示される。符号で示されない線は、通常、折り線である。斜線の箇所は、完全に切り取られる。
【0064】
切欠き20の領域には三つのタブ64が設けられ、切欠き20の縁が滑らかで外観が良好となるように、パッケージの組み立ての際に折り返されて前壁10の内側に接着される。
【0065】
符号65は、警告表示用の領域を示す。この領域の大きさは、国内規制により定められている。ブランク60では、切欠き20の下に領域65が位置する。
【0066】
外側シェル2の組み立て時、外側シェル2を補強するため、また、前壁10の上端の外観を良くするため、タブ64と同様に補強パネル66が折り返される。
【0067】
また、図2(a)は、上壁24及び端壁34,36を含む蓋4がどのようにブランク60から形成されるかを説明する。端壁34,36は、それぞれの折れ線に沿って折り返され、対応する接着タブ62によって上壁24の下面に固定される。ヒンジ・コネクタ50の第一部分68が、前端壁34の接着タブ62に組み込まれている。
【0068】
ブランク60から外側シェル2を組み立てる個々のステップは、当業者には明らかである。
【0069】
同様に、図2(b)に示す内側シェル6のブランク70は、内側シェル6の前壁40、後壁42、両側壁44および底壁46を備え、さらに、接着タブ72をいくつか備える。符号73は、切り取り線を示す。符号74の部分は、補強部であり、折り返されて後壁42に接着されると、後壁42を安定させるとともに後壁42の上端の外観を良好にする。
【0070】
補強パネル76は、内側シェル6の前壁40を安定させるため、前壁40の内面に折り返される(そして、好ましくは、接着される)。使用者が切欠き20の中に親指を当てる際、内側シェル6の前壁40にある程度力が加わる。内側シェル6の中の束8が完全に揃っている又は略完全に揃っていれば、内側シェル6の前壁40は、この圧力に大きく屈することはない。しかしながら、パッケージ1の使用に従い、束8の残量は、徐々に減り、内側シェル6を安定させなくなる。このため、強固な前壁40が有利である。補強パネル76に加えて、他の補強パネルも追加使用できる。この追加の補強パネルは、内側シェル6のブランクの一部とすることができる。内側シェル6の組み立て時に、例えば、より剛性の高い材料で形成される別個の補強パネルを取り付けることも考えうる。さらに、内側シェルを、例えば、射出成形された十分な剛性を有するプラスチックの材料で形成することもできる。
【0071】
図2(b)は、三つの切り取り線73に沿って補強部74から切り欠かれる、コネクタ50の第二部分78を示す。
【0072】
ブランク70から内側シェル6を組み立てる方法についても、当業者には明らかである。
【0073】
外側シェル2及び内側シェル6を、それぞれブランク60,70から組み立てた後は、内側シェル6を外側シェル2に上面18から挿入し、コネクタ50の第一部分68及び第二部分78が、例えば、図1(a)に示すような蓋4の位置で互いに接着される。
【0074】
コネクタとしては、例えば、外側シェルのブランクと一体になっているコネクタや、内側シェルのブランクと一体になっているコネクタ等、異なるデザインも考えられうる。さらに、コネクタの形状も図2に示すものと異なってもよく、例えば、パッケージ1のコネクタ50よりもさらにパッケージを安定させるような幅の広いコネクタも可能である。
【0075】
図3は、符号80で示される、タバコ関連物品用パッケージの別の実施例を説明する。
【0076】
パッケージ80は、上述したパッケージ1に類似している。このため、パッケージ80の大部分において、パッケージ1と同一の符号が使用される。蓋4を開く仕組みを含め、これらの部分についての説明は省略する。
【0077】
パッケージ80とパッケージ1との主な相違点は、その外形である。パッケージ80では、外側シェル2が八角形の断面形状を有する(特に、図3(c)の底面図を参照)。この八角形形状は、折り線83に沿って前壁10及び後壁12からそれぞれ折り返されるサイドパネル82によって形成される。定義上、サイドパネル82は、それぞれ前壁10及び後壁12の一部として見なされるが、側壁14の一部として見なすこともできる。
【0078】
図4(a)にパッケージ80の外側シェルのブランク84を示す。パッケージ80では、警告表示領域85が前壁の切欠きの上方に位置する。一般的に、外側シェルの前壁の切欠きは、内側シェルが退避位置にある場合において、内側シェルのフリーアクセス領域と重なるべきではない。
【0079】
パッケージ80の内側シェルのブランク86を図4(b)に示す。内側シェルの形状は、外側シェルの形状に対応する。つまり、内側シェルも八角形の断面形状を有する。図4(b)において、対応するサイドパネル及び折り線は、それぞれ符号88と89で示される。
【0080】
その他は、ブランク60,70を使用したパッケージ1の組み立てについて説明したのと同様に、パッケージ80もブランク84,86から組み立てられる。
【0081】
図5は、符号90で示されるタバコ関連物品用パッケージの第三実施例を説明する。本実施例では、前壁に切欠き93を備える外側シェル92の上面が、旋回可能な蓋94で閉じられる。内側シェル96は、外側シェル92の内部にシフト可能に取り付けられて退避位置から前進位置へ移動可能である。蓋94は、コネクタによって内側シェル96に接続される。
【0082】
上述のように、使用者が、例えば、親指で切欠き93の中を掴んで内側シェル96を上方にスライドさせることによって内側シェル96を移動させると、自動的に蓋94が開く。ここまでは、パッケージ1とパッケージ90とは、非常に似ている。
【0083】
しかし、パッケージ1と比べて、パッケージ90は、幅が広く、内側シェル96が巻きタバコ等のタバコ関連物品の二つの束98,99を収容できる。実際には、一つの束がまず消費され、もう片方は、新鮮さを保つために最初は閉じられている。その後、この片方の束が消費される。
【0084】
図6は、タバコ関連物品用パッケージの第四実施例を示す。このパッケージは、符号100で示される。
【0085】
パッケージ100は、その前壁に二つの切欠き103を有する外側シェル102を備える。外側シェル102の後壁の上端に旋回可能に接続される蓋は、第一部分104及び第二部分105の二つの部分により構成される。蓋の両部分104,105は、互いに独立している。
【0086】
外側シェル102は、第一内側シェル106及び第二内側シェル107の二つの内側シェルを収納する。第一内側シェル106は、タバコ関連物品の束108を一つ収容し、第二内側シェル107も一つの束109を収容する。
【0087】
蓋の第一部分104は、図1の実施例のコネクタ50として設計されるコネクタによって第一内側シェル106に接続される。同様に、蓋の第二部分105は、対応するコネクタによって第二内側シェル107に接続される。よって、蓋のそれぞれの部分、すなわち、第一部分104及び第二部分105が接続される両内側シェル106,107は、互いに独立して移動可能である。言い換えると、パッケージ100は、二つのパッケージ1が並設されて共通の外側シェル102を有するものと考えられる。
【0088】
図7は、タバコ関連物品用パッケージの第五実施例を示す。このパッケージは、符号110で示され、第一実施例のパッケージ1と外観は似ているが、外側シェル及び内側シェルの両方を備えるのではなく、シェル112のみを備える。
【0089】
蓋114は、シェル112の後壁にヒンジにより接続される。図7において、蓋114は、半開きである。タバコの束118は、まだ閉じている。
【0090】
シェル112は、前壁120と、二つの側壁122と、前述の後壁および底壁とを備える。第一実施例とは異なり、パッケージ110は、切欠き20に相当する切欠きを有さない。これは、そもそも切欠きを介して移動させる内側シェルがないからである。また、パッケージ110は、蓋114を自動的に開けるためのコネクタを含まない。
【0091】
その他は、蓋114は、蓋4と同様に設計される。蓋114は、その上壁の前端に斜角端壁124を、また、左右に二つの斜角端壁126を備える。使用者は、斜角端壁124を形成するのに使用されるブランクの一部から切り抜かれて蓋の上壁から突出するタブ128を掴むことによって蓋114を開けることができる。
【0092】
よって、パッケージ110は、技術的に見てシンプルであるにも関わらず、その蓋114の構造により、魅了的なデザインを有する。
【0093】
図8は、符号130で示されるタバコ関連物品用パッケージの第六実施例を説明する。この実施例も、シェル132のみを備え、内側シェルを追加的に有さない。
【0094】
図8(a)の長手方向断面図、つまり、シェル132の側壁に平行する面の断面図から分かるように、パッケージ130は、前壁134と、後壁135と、底壁136とを備える。前壁134に平行する面の長手方向断面がシェル132の側壁138を示す(図8(b)参照)。本実施例では、シェル132の側壁138は、長方形で、パッケージ130の高さ全体に亘って延びる。シェル132の上面は、蓋140によって閉じられる。蓋140は、上壁142及び後壁144を備える。蓋140は、その後壁144の自由端が、ヒンジ・ライン145に沿ってシェル132の後端135に接続される(図8(a)参照)。
【0095】
三角形断面形状の斜角端壁146は、上壁142の、ヒンジ・ライン145とは反対側の端から延びる(図8(a)参照)。図8(b)に、斜角端壁146を点線で概略的に示す。斜角端壁148は、上壁142の左右に設けられる(図8(b)および図8(a)の点線で示す箇所参照)。蓋140を安定させるために、斜角端壁148は、その端149が蓋140の後壁144に接着される。
【0096】
使用者は、図8(a)の矢印で示される箇所および方向で蓋140の上壁142を押すことにより蓋140を開けられる。このような力の作用により、蓋140は、開状態まで旋回する。蓋140を閉めるには、その上壁142を下方へ押すだけで十分である。斜角端壁146,148は、その形状により、シェル132に容易に入り込む。
【0097】
図9は、タバコ関連物品用パッケージの第七実施例としての、パッケージ150を示す。パッケージ150では、蓋が二つの別個の部分から構成される。さらに、パッケージ150は、蓋の両部分を自動的に開けるために前進位置に移動可能な内側シェルを含む。
【0098】
パッケージ150は、前壁154と、後壁155と、底壁158とを有する外側シェル152を備える。
【0099】
符号160により示される一般的な上壁161を有する蓋は、第一部分162及び第二部分163により構成される。第一部分162は、ヒンジ・ライン164に沿って外側シェル152の後壁155に接続される。同様に、第二部分163は、ヒンジ・ライン165に沿って外側シェル152の前壁154に接続される。第一部分162は、そのヒンジ・ライン164とは反対側の端に斜角端壁166を備える。同様にして、第二部分163は、斜角端壁167を備える。さらに、蓋160の第一部分162及び第二部分163のそれぞれの左右端に、図9に点線で示される斜角端壁168が設けられる。
【0100】
符号170で示される内側シェルは、前壁172と、後壁173と、底壁174と、二つの側壁とを有する。コネクタ176が、内側シェル170の後壁173の上端と、蓋160の第一部分の底面のヒンジ・ライン164と斜角端壁166との間の領域とに、ヒンジにより接続される。同様に、ヒンジ・コネクタ177が蓋160の第二部分163の前記領域に配置される。
【0101】
パッケージ180を開けるには、使用者は、本実施例では外側シェル152の側壁の一方に設けられる切欠きから内側シェル170を掴んで上方に移動させる。これにより、コネクタ176,177が蓋160の部分162,163を開状態まで旋回させる。内側シェル170を下方へシフトすると、コネクタ176,177が蓋160を閉状態になるまで引く。斜角端壁166,167の三角形断面形状により、この閉動作時に寸法的な問題は生じない。
【0102】
図10は、蓋が内側シェル182にヒンジで接続されるパッケージ180を第八実施例として示す。
【0103】
内側シェル182は、前壁184と、後壁185と、底壁188と、図10の長手方向断面図では見えない二つの側壁とを備える。
【0104】
190で示される蓋は、上壁191と、ヒンジ・ライン193を介して内側シェル182の後壁185の上端に接続される後壁192とを含む。蓋190は、図10の点線で示すように、上壁191の前端の斜角端壁194及び左右の斜角端壁195により安定している。
【0105】
パッケージ180は、さらに、外側シェル196を備える。外側シェル196は、内側シェル182を覆い、短い袖のような形をしている。図10に示すように、コネクタ198は、外側シェル196と蓋190の上壁191の後端とに二つのヒンジ・ライン199に沿ってヒンジにより接続される。
【0106】
外側シェル196を下方向にシフトすると、コネクタ198が蓋190を開状態まで引く。外側シェル196を上方に移動させると、蓋190が閉まり、斜角端壁194,195が容易に内側シェル182内に嵌合する。
【符号の説明】
【0107】
1,80,90,100,110,130,150,180 パッケージ
2,92,102,152,196 外側シェル
4,94,104,105,114,140,160,190 蓋
6,96,106,107,170,182 内側シェル
10,120,134,154,184 前壁
12,42,135,144,155,173,185,192 後壁
14,44,122,138 側壁
16,136,158,188 底壁
18 上面
20,93,103 切欠き
22,145,164,165,193 ヒンジ・ライン
24,142,161,191 上壁
26 前端
28 後端
30 側端
32 底面
34,36,124,126,146,148,166,167,168,194,195 斜角端壁
50,176 コネクタ
52 第一ヒンジ・ライン
54 第二ヒンジ・ライン
60,84 ブランク
112,132 シェル
128 グリップ装置
148,195 端壁
162,163 部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前壁(10;120;134;154;184)、後壁(12;135;155;185)、前記前壁(10;120;134;154;184)と前記後壁(12;135;155;185)とを接続する互いに対向する二つの側壁(14;122;138)、上面(18)を有するシェル(2;92;102;112;132;152;182)と、
閉状態にあるときに前記シェル(2;92;102;112;132;152;182)の前記上面(18)を閉じるように構成された蓋(4;94;104,105;114;140;160;190)であって、ヒンジ・ライン(22;145;164;193)において前記シェル(2;92;102;112;132;152;182)の前記後壁(12;135;155;185)または一方の前記側壁(14;122;138)に旋回可能に接続され、閉状態から開状態へと移行するために前記ヒンジ・ライン(22;145;164;193)を中心に旋回可能である前記蓋(4;94;104,105;114;140;160;190)とを備え、
前記蓋(4;94;104,105;114;140;160;190)は、上壁(24;142;161;191)を備え、該上壁(24;142;161;191)が、前端(26)、後端(28)、二つの側端(30)、底面(32)を有し、前記蓋(4;94;104,105;114;140;160;190)が閉状態のときに前記シェル(2;92;102;112;132;152;182)の前記上面(18)を閉じるように構成され、
斜角端壁(34;124;146;166;194)は、前記蓋(4;94;104,105;114;140;160;190)の前記ヒンジ・ライン(22;145;164;193)とは反対側の、前記上壁(24;142;161;191)の前記端(26)から少なくとも延び、前記蓋(4;94;104,105;114;140;160;190)が閉状態のとき、前記斜角端壁(34;124;146;166;194)が前記シェル(2;92;102;112;132;152;182)内に嵌合する、
タバコ関連物品用パッケージ。
【請求項2】
前記蓋(4;94;104,105;114;160)の前記ヒンジ・ライン(22;164)は、前記上壁(24;161)の前記後端(28)または一方の側端(30)に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項3】
前記斜角端壁(34,36;124,126;166,168)は、前記蓋(4;94;104,105;114;160)の前記ヒンジ・ライン(22;164)を備える前記端(28)とは異なる、前記上壁(24;161)のその他の端(30)からも延びる
ことを特徴とする請求項2に記載のパッケージ。
【請求項4】
前記蓋(140;190)は、前記上壁(142;191)の後端から延びる後壁(144;192)、または、前記上壁(142;191)の一方の側端から延びる側壁を備え、前記蓋(140;190)の前記ヒンジライン(145;193)は、この後壁(144;192)または側壁の自由端に位置し、任意に、前記蓋(140;190)は、前記蓋(140;190)の前記ヒンジ・ライン(145;193)とは反対側の前記斜角端壁(146;194)に加えて、少なくとも一つの端壁(148;195)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項5】
前記斜角端壁(34,36;124,126;146,148;166,167,168;194,195)は、前記蓋(4;94;104,105;114;140;160;190)のブランクを備える前記シェル(2;92;102;112;132;152;182)のブランク(60;84)から折り返される
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項6】
前記斜角端壁(34,36;124,126;146,148;166,167,168;194,195)は、三角形、四角形、多角形または少なくとも一つの曲面を含む形状の中から選択される断面形状を有する
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項7】
前記シェル(2;92;102;112;132;152;182)は、底壁(16;136;158;188)を備え、前記二つの側壁(14;122;138)及び前記底壁(16;136;158;188)によって、前記前壁(10;120;134;154;184)と前記後壁(12;135;155;185)とが接続される
ことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項8】
前記シェル(2;92;102;152)は、外側シェル(2;92;102;152)として設計され、前記パッケージは、さらに、複数のタバコ関連物品を収容するように構成されて前記外側シェル(2;92;102;152)の中にシフト可能に取り付けられる内側シェル(6;96;106,107;170)を備え、前記内側シェル(6;96;106,107;170)は、退避位置から、喫煙物品へのアクセスを可能とする前記前進位置へ移動可能であり、任意に、前記内側シェル(6;96;106,107;170)は、その退避位置において前記外側シェル(2;92;102;152)の中に収納される
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項9】
前記前壁(10)、前記後壁(12)、または前記二つの側壁(14)から選択される、前記外側シェル(2;92;102;152)の少なくとも一つの壁に設けられ、前記内側シェル(6;96;106,107;170)の一部を露出し、前記内側シェル(6;96;106,107;170)を移動させるための力を前記内側シェル(6;96;106,107;170)に伝達可能とするように構成された切欠き(20;93;103)と、
前記内側シェル(6;96;106,107;170)の一部分と前記蓋(4;94;104,105;160,162)との間に設けられる、好ましくは、ヒンジ・コネクタであるコネクタ(50;176)であって、前記ヒンジ・ライン(22)からの距離が、前記ヒンジ・ライン(22)に垂直の方向における前記蓋(4;94;104,105;160,162)の寸法よりも短い位置で前記蓋(4;94;104,105;160,162)と係合し、前記内側シェル(6;96;106,107;170)が前記前進位置に移動すると、前記蓋(4;94;104,105;160,162)を開状態まで押し、前記内側シェル(6;96;106,107;170)が前記退避位置に移動すると、前記蓋(4;94;104,105;160,162)を閉状態まで引く前記コネクタ(50;176)と
をさらに備える請求項8に記載のタバコ関連物品用パッケージ。
【請求項10】
前記内側シェル(6;96;106,107;170)を移動させるための力を前記内側シェル(6;96;106,107;170)に伝達できるように構成された前記切欠き(20;93;103)は、前記内側シェル(6;96;106,107;170)を移動させるための力を前記内側シェル(6;96;106,107;170)に加ることを可能とするように構成される
ことを特徴とする請求項9に記載のパッケージ。
【請求項11】
前記内側シェル(6;96;106,107;170)は、上端を有する後壁(42;173)または側壁(44)を備え、前記コネクタ(50;176)は、前記上端から延び、前記上端または前記上端の周辺領域に第一ヒンジ・ライン(52)を有し、前記コネクタ(50;176)は、前記上壁(24;161)の前記底面(32)に第二ヒンジ・ライン(54)を有する
ことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載のパッケージ。
【請求項12】
前記蓋(4;94;104,105;160,162)の前記閉状態において、前記コネクタ(50;176)の前記第一ヒンジ・ライン(52)と前記蓋(4;94;104,105;160,162)の前記ヒンジ・ライン(22;164)との間の距離と、前記蓋(4;94;104,105;160,162)の前記ヒンジ・ライン(22;164)と前記コネクタ(50;176)の前記第二ヒンジ・ライン(54)との間の距離との比は、0.5〜1.0の範囲内で、好ましくは、0.70〜0.85の範囲内、より好ましくは、約0.78である
ことを特徴とする請求項11に記載のパッケージ。
【請求項13】
前記パッケージは、並設される少なくとも二つの内側シェル(106,107)を備え、任意に、前記蓋(104,105)は、前記外側シェル(102)の前記後壁に旋回可能に接続する少なくとも二つの、並設される別個の部分(104,105)によって形成され、前記蓋の前記別個の部分(104,105)は、それぞれ前記内側シェル(106,107)の一方と連携している
ことを特徴とする請求項8から請求項12のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項14】
前記シェル(182)は、内側シェル(182)として設計され、少なくとも部分的に外側シェル(196)に覆われる
ことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項15】
前記蓋(160)は、互いに対向して配置される二つの別個の部分(162,163)から形成され、前記蓋(160)の一方の部分(162)は、前記シェル(152)の前記後壁(155)または一方の前記側壁に、前記ヒンジ・ライン(164)において旋回可能に接続され、前記蓋(160)の他方の部分(163)は、前記シェル(152)の前記前壁(154)または他方の前記側壁に、別のヒンジ・ライン(165)において旋回可能に接続され、前記蓋(160)の前記各部分(162,163)は、少なくともそれぞれの前記ヒンジ・ライン(164,165)とは反対側に斜角端壁(166,167)を備える
ことを特徴とする請求項1に記載のパッケージ。
【請求項16】
前記蓋(160)の両部分(162,163)は、互いに対して略鏡面対称となるよう設計され、任意に、前記パッケージ(150)は、請求項2から請求項12のいずれか一項又は請求項14に対応する特徴を備える
ことを特徴とする請求項15に記載のパッケージ。
【請求項17】
前記蓋(114)が、好ましくは、タブ(128)、ノーズ、グリップ凹部、およびグリップ孔から選択されるグリップ装置(128)を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか一項に記載のパッケージ。
【請求項18】
前記パッケージ(1;80;90;100;110;130;150;180)は、タバコ関連物品を収容し、前記タバコ関連物品は、タバコ、シガリロ、葉巻、タバコ含有ロッド、無煙タバコ、擬似喫煙具、非燃焼型タバコ吸入器、およびアロマ容器の中から選択される
ことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか一項に記載のパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−511442(P2013−511442A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539227(P2012−539227)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2010/007008
【国際公開番号】WO2011/060931
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(507086376)インペリアル タバコ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】