説明

タフテッド裏地材を製造する方法

本発明は、a)第1の色を示す第1の面及び第2の色を示す第2の面を含む裏地材を支持しているローラーを提供し、その際、第1の色は第2の色と異なっており、第1の面は前面であり、かつ第2の面は裏面であり、b)裏地材をローラーから巻き出し、c)裏地材をタフティングし、d)裏地材を支持しているローラーとタフト装置との間の位置で裏地材を切断し、e)裏地材を支持しているローラーを180゜の角度だけ回転させ、f)裏地材をローラーから、第1巻き出し方向とは反対の第2巻き出し方向で巻き出し、かつ裏地材をタフト装置に案内し、かつg)裏地材をタフティングする工程を含む、タフテッド裏地材を製造する方法に関する。さらに、第1の色とは異なる第2の色を有する第1の織布又は不織布層を含有するタフテッドカーペット又はフィルターのための裏地材を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タフテッド裏地材を製造するための方法に関する。
【0002】
タフテッド裏地材を製造する方法は公知である。前記方法は、ローラー上に裏地材を提供する工程、ローラーから裏地材を巻き出す工程及び裏地材中でタフティングする工程を含む。さらに特定の色を有する裏地材を使用することが公知である。裏地材の色を変更することが好ましい場合には、もはや望まない色を有する裏地材を支持しているローラーをタフティングプラントから取り外し、かつ倉庫に運搬しなければならず、新たに望ましい色を有する裏地材を支持しているもう一つのローラーを倉庫からタフティングプラントに運搬してタフティングプラントに組み込まなければならない。したがって、裏地材の色の変更は手間及び時間のかかるプロセスに相当し、これは当然、タフト機の利益率を低下させる。
【0003】
さらに重要であるのは:カーペット産業においては、1個のカーペットスタイルの範囲内でかなりの色の範囲を有することが通常である。この範囲は、種々の色を有する裏地材に対して、カーペットにおける好ましい背景を提供するのに要求されうる。タフト機に関しては、これは使用可能な種々の色から成るローラーを有することが必要であることを意味し、この場合、これは、全在庫アイテム及び原料の一般的な在庫量を増加させる。
【0004】
したがって、種々の色の裏地材を有するタフテッド裏地材の製造において、手間が少なく、かつ時間のかからないものであって、かつ原料在庫のコストを減少させる方法を提供するための強い要望が存在する。
【0005】
本発明は、以下の工程:
a)第1の色を示す第1の面及び第2の色を示す第2の面を含む裏地材を支持しているローラーを提供し、その際、第1の色は第2の色とは異なっており、第1の面は前面であり、かつ第2の面は裏面であり、
b)第1の巻き出し方向でローラーから裏地材を巻き出し、かつ裏地材を、タフティング手段を備えたタフト装置に案内し、それによって第1の色を示す第1の面が、タフティング装置の前記手段に面し、
c)タフテッド裏地材の望ましい量が製造されるまで、タフト装置のタフティング手段を用いて裏地材をタフティングするが、但し、タフトは、第2の色を示す第2面から施され、
d)裏地材を支持しているローラーとタフト装置との間の位置において、裏地材を切断し、
e)裏地材を支持しているローラーを180゜の角度だけ回転させ、それによって第1の色を示す第1の面が裏面であり、かつ第2の色を示す第2の面が前面であり、
f)第1の巻き出し方向とは反対の第2の巻き出し方向で、ローラーから裏地材を巻き出し、かつ、裏地材を、タフティング手段を備えたタフト装置に案内し、それによって、第2の色を示す第2の面は、タフト装置の前記手段に面し、かつ、
g)タフテッド裏地材の望ましい量が製造されるまで、タフト装置のタフティング手段を用いて裏地材をタフティングするが、但し、タフトは、第1の色を示す第1の面から施される、を含むタフテッド裏地材を製造する方法を提供することによって、前記要望を充足する。
【0006】
したがって本発明の方法は、従来技術の手間及び時間のかかる方法を、改善された裏地材を支持しているローラーを提供し、前記ローラーを180゜だけ回転させ、かつ前記ローラーの巻き出し方向を変更することにより簡単に置き換える。
【0007】
従来技術の方法と比較して前記置き換えは、裏地の色の変更を迅速、かつ容易にし、それにより、タフテッド裏地材の製造のフレキシビリティーを増加する。
【0008】
さらに前記置き換えは、実際に、タフトすべき裏地材の面がタフトされることを確実にし、それというのも前記面は色によって明らかに同定されるためである。これは、タフティング方法の安全性を増加させ、かつ、望ましい面においてタフトされる裏地材の製造を確実にする。前記置き換えは、不要な標識を付けた好適なタフティング面の提供を不必要なものとする。
【0009】
最終的に、前記置き換えは、倉庫に貯蔵すべき裏地材のローラーの数を半分にする。これは、ホームテキスタイル又は装飾又は自動車、列車及び航空機におけるテキスタイル又は人工芝又は運動場のような屋外適用のための、タフトされ、かつ場合によっては成形されたカーペットを製造するのに適したタフテッド裏地材を製造する工場における倉庫のロジスティクスを簡略化する。
【0010】
本発明の工程a)で提供される裏地材は、タフトすることができる任意の材料であってもよく、例えば少なくとも1個の織布層又は好ましくは少なくとも1個の不織布層又は少なくとも1個の織布層と少なくとも1個の不織布層との任意の適した組合せであってもよいが、但し、当該裏地材は、前面において第1の色及び裏面において第2の色を示す。例えば、裏地材は1個の不織布層と隣り合う1個の織布層を含んでいてもよく、その際、不織布の層は例えば第1の色を示し、かつ織布の層は例えば第2の色を示す。
【0011】
前記に示すように、本発明の方法の工程a)で提供された裏地材は、少なくとも1個の不織布の層を含む。意図する使用条件に依存して、本発明の工程a)で提供された裏地材は、2個、3個又はそれ以上の不織布層を含んでいてもよい。
【0012】
より好ましくは、本発明の方法の工程a)で提供された裏地材は、その前面において第1の色を示し、かつその裏面において第2の色を示す1個の不織布層から成る。このような裏地材は、例えば第1の色を示す第1のウェブ層を1番目に巻き付け(twirling)、その後に前記第1ウェブ層上に第2ウェブ層を巻き付け、その際、第2ウェブ層は結果として第2の色を示す。
【0013】
本発明の方法の工程c)及びg)における裏地材のタフティングは、任意の適したタフティング材料を用いて実施してもよく、その際、好ましいタフティング材料は、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ乳酸(PLA)、羊毛及び綿からなる群から選択される。本発明の方法において使用されるタフティング材料の色は、それぞれ裏地材の第1の色及び第2の色とは同一か又は異なっていてもよい。これは、タフトされた裏地材の多くの種類を作製するための、本発明の方法の技術的フレキシビリティーをさらに増加させる。
【0014】
本発明の工程a)で提供された裏地材中に含まれる少なくとも1個の(不)織布層は、繊維を含む。本発明の方法の範囲内において用語「繊維」は、モノフィラメント又はマルチフィラメントを含む最も広い意味に理解され、この場合、これは、スパンボンド法又はメルトブロー法によるか、あるいは当業者に公知の他の技術によって製造され、かつ任意の横断面の形状、例えば球形、三葉又は多葉形又は長方形を有していてもよく、その際、長方形は、幅が高さに対して顕著に大きい幅と高さを示し、それによってこの実施態様の繊維はテープである。前記繊維は、例えば切断又は引裂によって粉砕されてよく、裏地材のための適した長さを有するステープルファイバーを形成する。さらに、前記繊維は単成分繊維又は多成分繊維であってもよい。本発明の内容の範囲内において、用語「多成分繊維」は、二成分繊維又は三成分繊維であるか、あるいは、3個以上の成分を有する繊維を意味する。
【0015】
本発明の方法の好ましい実施態様において、不織布は任意の公知構造を有する二成分繊維を含み、その際、二成分繊維の2個の成分は、例えば並列で配置されるか、あるいは、1個の成分が他の成分の海中に島を形成する。
【0016】
本発明の方法の特に好ましい実施態様において、二成分繊維は芯鞘型繊維であり、その際、芯は好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリ乳酸(PLA)及びポリオキシメチレン(POM)から成る群から選択された熱可塑性ポリマーを含む。
【0017】
本発明の方法の他の特に好ましい実施態様において、二成分繊維は芯鞘型繊維であり、その際、鞘は好ましくはポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)又はこれらのコポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)及び脂肪族ポリエステルから成る群から選択された熱可塑性ポリマーを含む。
【0018】
一般に、二成分繊維の芯中に含まれるポリマーは、二成分繊維の鞘中に含まれるポリマーの溶融温度よりも高い溶融温度を示す。好ましくは、溶融温度における前記差異は少なくとも20℃である。
【0019】
本発明の方法の最も好ましい実施態様において、二成分繊維は、ポリエチレンテレフタレートの芯、この場合、これは好ましくは250℃の溶融温度を有するものと、ポリアミドの鞘、この場合、これは好ましくは220℃の溶融温度を有するもの又はポリプロピレンの鞘、この場合、これは好ましくは160℃の溶融温度を有するものとを含有する芯鞘型繊維である。
【0020】
本発明の方法は、互いに異なる第1の色と第2の色との多くの組合せを有するタフテッド裏地材の簡単かつ迅速な製造を可能にする。本発明の目的のために、これは第1の色が第2の色とは肉眼により区別することができることを意味する。
【0021】
好ましい実施態様において、第1の色は黒色であり、かつ第2の色は灰色である。
【0022】
他の好ましい実施態様において、第1の色は白色であり、かつ第2の色は灰色である。
【0023】
さらに他の好ましい実施態様において、第1の色は黒色であり、かつ第2の色は白色である。
【0024】
さらに本発明は、
−第1の面、この場合、これは前面であり、かつ、横断面を有する第1の単成分繊維又は横断面を有する第1の成分を含む第1の多成分繊維を含有し、その際、前記繊維は第1の色を有する第1の織布又は不織布層中に配置されており、
及び
−第2の面、この場合、これは裏面であり、かつ、横断面を有する第2の単成分繊維又は横断面を有する第1の成分を含む第2の多成分繊維を含有し、その際、前記繊維は第1の色とは異なる第2の色を有する第2の織布又は不織布層中に配置されており、かつ、前記第2の層は前記第1の層と結合され、その際、
i)前記第1の色は、第1の色を示す第1の顔料又は染料にその由来を有し、かつ、
iα)前記第1の単成分繊維の範囲内で、前記第1の色は、前記第1の単成分繊維の全横断面上に分布されており、かつ、
iβ)前記第1の多成分繊維の範囲内で、前記第1の色は、前記第1の多成分繊維の前記第1の成分の少なくとも全横断面に亘って分布されており、かつ、
ii)前記第2の色は、第2の色を示す第2の顔料又は染料にその由来を有し、かつ、
iχ)前記第2の単成分繊維の範囲内で、前記第2の色は、前記第2の単成分繊維の全横断面に亘って分布されており、かつ、
iδ)前記第2の多成分繊維の範囲内で、前記第2の色は、前記第2の多成分繊維の前記第1の成分の少なくとも全横断面に亘って分布されている、
を含む、裏地材に関する。
【0025】
本発明の裏地材の範囲内において、用語「繊維」は最も広い意味と理解され、この場合、これはモノ又はマルチフィラメントを含むものであって、スパンボンド法又はメルトブロー法によってか、あるいは、他の当業者に公知の技術によって製造されてもよく、かつ任意の横断面形状、例えば球形、三葉形又多葉形は角形を有していてもよく、その際、角形は、幅が高さに対して顕著に大きい幅と高さを示し、それによってこの実施態様の繊維はテープである。前記繊維は、例えば切断又は追切により粉砕され、裏地材のための適した長さのステープルファイバーを形成してもよい。
【0026】
実施態様iα)において、本発明の裏地材は、第1の単成分繊維を含有し、かつ前記第1の単成分繊維の範囲内において前記第1の色は、前記第1の単成分繊維の全横断面に亘って分布する。本発明の裏地材の内容の範囲内において、これは、第1の色、すなわち、第1の色の由来となる顔料粒子又は染料分子が、前記第1の単成分繊維の全横断面に亘って分布されることを意味する。これは、顔料粒子又は染料分子がほとんど前記単成分繊維の表面に存在することはない実施態様を明らかに排除する。
【0027】
本発明による裏地材の実施態様iα)に属する、その全横断面に亘って分布された第1の色を有している第1の単成分繊維は、公知のスパン染色法によって製造することができる。例えば、前記第1の単成分繊維が、第1のポリマーの溶融物又は溶液から製造される場合には、第1の顔料又は染料を前記第1のポリマー溶液又は溶融物と一緒に混合し、かつ得られた混合物を溶融物−スパン又は溶液−スパンすることにより、第1の色を有するスパン染色された第1の単成分繊維を製造し、この場合、この色は、第1のポリマーと第1の顔料又は染料との混合物の結果としてのものであり、前記第1の単成分繊維の全横断面上に分布される。
【0028】
実施態様iχ)において、本発明の裏地材は第2の単成分繊維を含有し、かつ前記第2の単成分繊維の範囲内で、前記第2の色は、前記第2の単成分繊維の全横断面に亘って分布される。本発明の裏地材の内容の範囲内において、これは第2の色、すなわち、第2の色の由来となる顔料粒子又は染料分子が、前記第2の単成分繊維の全横断面に亘って分布されることを意味する。これは、顔料粒子又は染料分子がほとんど前記単成分繊維の表面に存在することがない実施態様を明らかに排除するものである。
【0029】
本発明による裏地材の実施態様iχ)に属する、その全横断面に亘って分布された第2の色を有している第2の単成分繊維は、公知のスパン染色法によって製造することができる。例えば、前記第2の単成分繊維が、第2のポリマーの溶融物又は溶液から製造される場合には、この場合、このポリマーは第1のポリマーと同じか又は異なっていてもよく、第2の顔料又は染料を前記第2のポリマー溶液又は溶融物と一緒に混合し、かつ得られた混合物を溶融物−スパン又は溶液−スパンすることにより、第2の色を有するスパン染色された第2の単成分繊維を製造し、この場合、この色は、第2のポリマーと第2の顔料又は染料との混合物の結果としてのものであり、前記第2の単成分繊維の全横断面上に分布される。
【0030】
実施態様において、本発明の裏地材は第1の多成分繊維を含有し、かつ前記第1の多成分繊維の範囲内で前記第1の色が、前記第1の多成分繊維の前記第1の成分の全横断面に亘って少なくとも分布されている。本発明の裏地材の内容の範囲内において、これは、第1の色、すなわち第1の色の由来となる顔料粒子又は染料分子が、前記第1の多成分繊維の前記第1の成分の全横断面に亘って少なくとも分布されていることを意味する。これは、顔料粒子又は染料分子がほとんど前記多成分繊維の前記第1成分の表面に存在しない実施態様を明らかに排除するものである。
【0031】
しかしながら、実施態様iβ)は、第1の色が第1の多成分繊維の第1の成分の全横断面に亘ってのみ分布する実施態様を含む。
【0032】
さらに実施態様iβ)は、第1の色が、第1の多成分繊維の
−第2の成分又は
−第3の成分又は
−それ以上の任意の成分
の全横断面に亘ってのみ分布する実施態様を含む。
【0033】
そして実施態様iβ)は、第1の色が、第1の多成分繊維の
−任意の2個の成分又は
−任意の3個の成分又は
−任意のすべての成分
の全横断面に亘って分布する実施態様を含む。
【0034】
本発明による裏地材の実施態様iβ)に属する、その第1成分の全横断面に亘って少なくとも分布された第1の色を有する第1の多成分繊維は、第1の色を有する単成分繊維に関して記載したのと同様の方法で、公知のスパン染色法によって製造することができるが、しかしながら、製造すべき多成分繊維の成分の数と同数のポリマー溶液又は溶融物を製造しなければならない点で異なっており、かつ第1の顔料又は染料は、好ましい1個又は複数個の溶融物又は溶液と一緒に混合される。1個又は複数個の溶融物又は溶液を含有する得られる第1の色及び相当する1個又は複数個の無着色の溶融物又は溶液を、その後に任意の公知の多成分スパン法をおこない、スパン染色された第1の色を有する第1の多成分繊維を製造し、この場合、この色は好ましい1個又は複数個のポリマーと第1の顔料又は染料を有する好ましい1個又は複数個の溶融物又は溶液との混合物に基づくものであって、前記第1の多成分繊維の好ましい1個又は複数個の繊維の全横断面に亘って分布される。
【0035】
実施態様iδ)において本発明の裏地材は、第2の多成分繊維を含有し、かつ前記第2の多成分繊維の範囲内で前記第2の色は、前記第2の多成分繊維の前記第1の成分の全横断面に亘って少なくとも分布されている。実施態様iδ)の内容及び前記第2の多成分繊維の製造に関しては、実施態様iβ)に関して説明したもの同様に適用される。
好ましい実施態様iβ)及びiδ)において、本発明の裏地材は、それぞれ第1の色及び第2の色を有する、第1の二成分繊維及び第2の二成分繊維をそれぞれ含有し、この場合、これらの色は、それぞれ前記第1及び第2の二成分繊維の
−第1の成分のいずれか
−又は第2の成分
−又は第1及び第2の成分
の全横断面上に分布されている。
【0036】
前記二成分繊維は、任意の公知の二成分構造を有していてもよく、その際、二成分繊維の第1の成分及び第2の成分は、例えば隣り合って配置されているか、あるいは、第1の成分が第2の成分の海中で島を形成するか、あるいは、特に好ましい実施態様では、第1の成分が芯鞘構造の芯を形成し、かつ第2の成分が鞘を形成し、かつ、芯及び鞘それぞれについての適したポリマー及び溶融温度に関しては、本発明による方法で記載したすべてのものが、本発明による裏地材のそれぞれの二成分の第1及び第2繊維についても同様に適用される。
【0037】
このような第1及び第2の二成分繊維は、単成分繊維に関して記載するように公知のスパン染色法によって製造することができるが、しかしながら、顔料又は染料がポリマーの溶融物又は溶液と一緒に混合されることについては、実施態様iβ)及びiδ)にしたがって、得られる二成分繊維の特定の成分を形成するために変更される。従って、得られる二成分繊維において、顔料又は染料は前記1個又は複数個の特定の成分の全横断面に亘って分布される。
【0038】
本発明による裏地材を達成するために、第1の色を有する繊維を第1の層中に配置し、第2の色を有する繊維を第2の層中に配置し、かつ最終的には前記第1及び第2の層を、任意の適した方法によって結合して、本発明による裏地材を得る。
【0039】
例えば、第1層及び第2層が熱可塑性ポリマーから製造される繊維を含有する場合には、結合のための適した方法はサーマルボンド法であってもよい。例えば、前記第1又は第2の層の1個のみが熱可塑性ポリマーから製造される繊維を含有する場合か、あるいは、いずれもが熱可塑性ポリマーから製造される繊維を含有しない場合には、適した方法は、接着法、ニードル法又はステッチ法である。
【0040】
本発明による裏地材の好ましい実施態様において、第1の層は不織布層であり、かつ第2の層は不織布層であり、その際、第1の層は、第1のスパン染色された繊維から成る1番目に巻き付けられたウェブ層であってもよく、かつ第2の層は、第2のスパン染色された繊維からなる2番目に巻き付けられたウェブ層であってもよく、かつその際、次に巻き付けられたウェブ層は、1番目に巻き付けられたウェブ層上に巻き付けられ、かつそれによって1番目に巻き付けられたウェブ層とサーマルボンド法により結合される。意図される使用に依存して、生じる不織布/不織布−裏地材はそのまま使用されるか、あるいは、このような裏地材の2個又はそれ以上を製造し、かつ互いにステープルで留めてステープルされた裏地材を得てもよいが、但し、得られる裏地材はその前面に第1の色を有する第1の不織布層及びその裏面に第2の層を有する第2の不織布層を示す。
【0041】
本発明による裏地材の他の好ましい実施態様において、第1の層は不織布層であり、かつ第2の層は織布層であり、その際、第1の層は、第1のスパン染色された繊維から成る1番目に巻き付けられたウェブ層であってもよく、かつ第2の層は、第2のスパン染色された熱可塑性繊維からなる織布層であってもよく、かつその際、最初に、巻き付けられたウェブ層を第2の織布層上に巻き付け、かつそれによって第2の織布層とサーマルボンド法によって結合するか、あるいは、ニードル法、ステッチ法又は接着法等の他の公知の結合技術によって結合する。意図する使用に依存して、得られた不織布/織布−裏地材はそのまま使用してもよいか、あるいは、このような裏地材の2個又はそれ以上を製造し、かつ互いにステープルで留めてステープルされた裏地材を得てもよいが、但し、得られたステープルされた裏地材は、その前面において第1の色を有する第1の不織布層及びその裏面において第2の層を有する第2の織布層を示す。
【0042】
本発明による裏地材のもう一つの好ましい実施態様において、第1の層は織布層であり、かつ第2の層は織布層であり、その際、第1の層は、第1のスパン染色された熱可塑性繊維から成る織布層であってもよく、かつ第2の層は、第2のスパン染色された熱可塑性繊維から成る織布層であってもよく、かつその際、第1の織布層は第2の織布層とサーマルボンド法により結合されるか、あるいは、ニードル法、ステッチ法又は接着法等の他の公知の結合技術によって結合される。意図される使用に依存して、生じる織布/織布−裏地材はそのまま使用してもよいか、あるいは、このような裏地材の2個又はそれ以上を製造し、かつ互いにステープル留めしてステープルされた裏地材を得てもよいが、但し、得られたステープルされた裏地材は、その前面において第1の色を有する第1の織布層及びその裏面において第2の層を有する第2の織布層を示す。
【0043】
本発明による裏地材は、この場合、特に技術的特徴において、第1の色を示す第1の面及び第2の色を有する第2の面を含有し、その際、第1の色は第2の色と異なっており、第1の面は前面であり、かつ第2側面は裏面であって、本発明による方法の工程a)中で提供されるのに特に適しており、かつこれによって種々の色を有するタフテッド裏地材を製造するための従来技術による手間及び時間のかかる方法と置き換えるのに役立つ。
【0044】
本発明による裏地材は、有利には技術的又は医学的適用のためのフィルターを製造するために有利に使用することができるが、それというのも、第1の色及び第2の色はいずれの面が浸透面となり、かついずれの面が保持面となるかを瞬時に決定することを可能とするためである。これは、
−例えば、ダスト、カーボン−粒子状物質、花粉又は草の濾過であるか、あるいは、親水性液体、例えば水と疎水性液体、例えば航空燃料との分離のような技術的適用において、及び
−例えば、細菌及びウイルスの濾過のような医学的適用において、
フィルターの最適化された技術的機能を保証する。
【0045】
さらに、本発明による裏地材を含有するタフテッド裏地材、この場合、前記裏地材は、前面又は裏面からタフティング材料でタフトされているもの、もまた本発明の一部である。タフティング材料として、任意の適したタフティング材料を使用することができ、例えば、すでに好ましいものとして本発明による方法の記載中で示したタフティング材料である。
【0046】
本発明によるタフテッド裏地材は、有利には、ホームテキスタイル又は装飾のための、あるいは、自動車、列車又は航空機のテキスタイルのための、あるいは、人工芝又は運動場等の屋外適用のためのタフテッドカーペットを製造するために使用することができる。
【0047】
さらに、本発明による前記タフテッド裏地材は、有利には成形されたカーペットを製造するために使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程
a)第1の色を示す第1の面及び第2の色を示す第2の面を含む裏地材を支持しているローラーを提供し、その際、第1の色は第2の色とは異なっており、第1の面は前面であり、かつ第2の面は裏面であり、
b)裏地材を、第1の巻き出し方向でローラーから巻き出し、かつ裏地材を、タフティング手段を備えたタフト装置に案内し、それによって、第1の色を示す第1面がタフト装置の前記手段と面し、
c)タフテッド裏地材の望ましい量が製造されるまで、タフト装置のタフティング手段を用いて裏地材をタフティングするが、但し、タフトは、第2の色を示す第2の面から施され、
d)裏地材を支持しているローラーとタフト装置との間の位置において、裏地材を切断し、
e)裏地材を支持しているローラーを180゜の角度だけ回転させることで、第1の色を示す第1の面が裏面であり、かつ第2の色を示す第2の面が前面であり、
f)第1の巻き出し方向とは反対の第2の巻き出し方向で、ローラーから裏地材を巻き出し、かつ裏地材を、タフティング手段を備えたタフト装置に案内し、その結果、第2の色を示す第2の面は、タフト装置の前記手段と面し、かつ、
g)タフテッド裏地材の望ましい量が製造されるまで、タフト装置のタフティング手段を用いて裏地材をタフティングするが、但し、タフトは、第1の色を示す第1の面から施される、を含むタフテッド裏地材を製造する方法。
【請求項2】
裏地材が、少なくとも1個の不織布層を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
不織布が二成分繊維を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
二成分繊維が芯鞘型繊維である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
芯が、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリ乳酸(PLA)及びポリオキシメチレン(POM)から成る群から選択された熱可塑性ポリマーを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
鞘が、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)又はこれらのコポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)及び脂肪族ポリエステルから成る群から選択された熱可塑性ポリマーを含む、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
二成分繊維が、ポリエチレンテレフタレートから成る芯及びポリアミド又はポリプロピレンから成る鞘を含む、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
第1の色が黒色であり、かつ第2の色が灰色である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
第1の色が白色であり、かつ第2の色が灰色である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
第1の色が黒色であり、かつ第2の色が白色である、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
以下のもの:
−第1の面、この場合、この面は前面であり、かつ、横断面を有する第1の単成分繊維又は横断面を有する第1の成分を含む第1の多成分繊維を含有し、その際、前記繊維は第1の色を有する第1の織布又は不織布層中に配置されており、
及び
−第2の面、この場合、この面は裏面であり、かつ、横断面を有する第2の単成分繊維又は横断面を有する第1の成分を含む第2の多成分繊維を含有し、その際、前記繊維は第1の色とは異なる第2の色を有する第2の織布又は不織布層中に配置されており、かつ、前記第2の層は前記第1の層と結合され、
その際、
i)前記第1の色は、第1の色を示す第1の顔料又は染料にその由来を有し、かつ、
iα)前記第1の単成分繊維の範囲内で、前記第1の色は、前記第1の単成分繊維の少なくとも全横断面上に分布されており、かつ、
iβ)前記第1の多成分繊維の範囲内で、前記第1の色は、前記第1の多成分繊維の前記第1の成分の少なくとも全横断面に亘って分布されており、かつ、
ii)前記第2の色は、第2の色を示す第2の顔料又は染料にその由来を有し、かつ、
iχ)前記第2の単成分繊維の範囲内で、前記第2の色は、前記単成分繊維の全横断面に亘って分布されており、かつ、
iδ)前記第2の多成分繊維の範囲内で、前記第2の色は、前記第2の多成分繊維の前記第1の成分の少なくとも全横断面に亘って分布されている、
を含む、裏地材。
【請求項12】
第1の層は不織布層であり、かつ第2の層は不織布層である、請求項11に記載の裏地材。
【請求項13】
第1の層は不織布層であり、かつ第2の層は織布層である、請求項11に記載の裏地材。
【請求項14】
第1の層は織布層であり、かつ第2の層は織布層である、請求項11に記載の裏地材。
【請求項15】
技術的又は医学的適用のためのフィルターを製造するための、請求項11から14までのいずれか1項に記載の裏地材の使用。
【請求項16】
裏地材が、前面又は裏面からタフティング材料でタフトされている、請求項11から14までのいずれか1項に記載の裏地材を含む、タフテッド裏地材。
【請求項17】
ホームテキスタイル、装飾あるいは自動車、列車又は航空機におけるテキスタイルのためのタフテッドカーペットを製造するため、あるいは、人工芝又は運動場のような屋外適用のためのタフテッドカーペットを製造するための、請求項16に記載のタフテッド裏地材の使用。
【請求項18】
成形されたカーペットを製造するための、請求項16に記載のタフテッド裏地材の使用。

【公表番号】特表2010−526215(P2010−526215A)
【公表日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504518(P2010−504518)
【出願日】平成20年4月19日(2008.4.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/003184
【国際公開番号】WO2008/131883
【国際公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(501080701)コルボント ベスローテン フェンノートシャップ (7)
【氏名又は名称原語表記】Colbond B.V.
【住所又は居所原語表記】Westervoortsedijk 73, 6827 AV Arnhem, The Netherlands
【Fターム(参考)】