説明

タフトされた不織布および結合された不織布

改善されたステッチ保持率を有するタフトされた不織布、結合された不織布およびこれらの製造方法を記載する。改善されたステッチ保持率を有するタフトされた不織布は、複数の二成分フィラメント1と複数の二成分フィラメント2との混合物からなる結合された不織布をタフトする表面材料を有し、その際、iα)少なくとも二成分フィラメント1は、コア/シース形状を有し、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースであるか、またはiβ)少なくとも二成分フィラメント1は、サイドバイサイド形状を有し、その際、成分11はサイド1であり、かつ成分12はサイド2であるか、またはiγ)少なくとも二成分フィラメント1は、海島形状を有し、その際、成分11は島であり、かつ成分12は海であり、ii)成分11は融点Tm(11)を有し、かつ成分22は融点Tm(22)を有し、iii)成分12は融点Tm(12)を有し、成分21は融点Tm(21)を有し、かつTm(12)はTm(21)より高く、かつiv)両方の成分11と22の融点および成分12と21の融点は、両方のTm(11)およびTm(22)>Tm(12)>Tm(21)の関係式に従い、かつ場合により表面材料は、成分21の固化した溶融液により二成分フィラメント2に結合している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タフトされた不織布、結合された不織布、該不織布の製造方法および使用に関する。
【0002】
WO00/12800は、結合剤ポリマーにより結合された熱可塑性ポリマーフィラメントまたは繊維からなる不織布のプライマリー・カーペット・バッキングを開示しており、この場合、バッキングは少なくとも1の区別可能な熱可塑性織布層、1の区別可能な熱可塑性連続層、または結合剤ポリマーにより結合されたフィラメントまたは繊維からなる1の区別可能な不織布層からなる。該プライマリー・カーペット・バッキングをタフトすると、ステッチロック(ステッチ保持率)の増大が観察されるが、バッキングのはく離強度が低下する。
【0003】
US2002/0144490は、異なった特性の繊維の均質な混合物からなる繊維のウェブを製造する繊維紡糸法を開示している。共通のコアポリマーと、異なったシースポリマーとを有する二成分繊維を、同一のダイプレート中の交代紡糸口金オリフィスから押し出すことができる。改善された混合繊維技術から形成される製品は、種々の環境における高効率フィルターとして、合体フィルターとして、マーキング用および筆記用器具のためのレザバーとして、医療用およびその他の適用のために液体を保持し、かつ輸送するために設計された芯またはその他の部材として、熱および水分交換体として、およびその他の多種多様な繊維マトリックスとして有用である。
【0004】
従って、本発明の1つの課題は、タフトした後に、はく離強度が低下することなく、改善されたステッチ保持率を有するタフトされた不織布が得られる不織布の製造方法を提供することである。
【0005】
前記課題は、以下の工程からなる改善されたステッチ保持率を有するタフトされた不織布の製造方法により達成される:
a)成分11と成分12とからなる複数の二成分フィラメント1と、成分21と成分22とからなる複数の二成分フィラメント2とを混合物する工程、その際、
iα)少なくとも二成分フィラメント1は、コア/シース形状を有し、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースであるか、または
iβ)少なくとも二成分フィラメント1は、サイドバイサイド形状を有し、その際、成分11はサイド1であり、かつ成分12はサイド2であるか、または
iγ)少なくとも二成分フィラメント1は、海島形状を有し、その際、成分11は島であり、かつ成分12は海であり、
ii)成分11は融点Tm(11)を有し、かつ成分22は融点Tm(22)を有し、かつTm(11)はTm(22)と同じであるか、またはTm(11)はTm(22)と同じでなく、
iii)成分12は融点Tm(12)を有し、成分21は融点Tm(21)を有し、かつTm(12)はTm(21)より高く、かつ
iv)両方の成分11と22の融点および成分12と21の融点は、両方のTm(11)およびTm(22)>Tm(12)>Tm(21)の関係式に従う、
および二成分フィラメント1が、重複帯域で二成分フィラメント2と接触する、自体公知の方法で、基本繊維層を製造する工程、
b)該基本繊維層を、不織布の製造のために、Tm(12)<Tnp<両方のTm(11)およびTm(22)の関係式に従う温度Tnpで、成分12と成分21とが重複帯域で溶融し、かつ次いでTm(21)より低い温度に冷却して結合された不織布が得られる工程、
c)表面材料を有する結合された不織布をタフトして、表面材料と二成分フィラメント1および2との間に接触を有するタフトされた不織布が得られる工程、および場合により
d)前記のタフトされた不織布を、Tm(12)>Ttn>Tm(21)の関係式に従う温度Ttnで、成分21が溶融するまで加熱して、溶融した21が表面材料と接触するタフトされた不織布が得られ、かつ次いで該不織布をTm(21)より低い温度に冷却して改善されたステッチ保持率を有するタフトされた不織布が得られる工程。
【0006】
工程a)iα)によれば、少なくとも二成分フィラメント1は、コア/シース形状を有し、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースである。本発明の範囲でこのことは、二成分フィラメント1および二成分フィラメント2がいずれもコア/シース形状を有するか、または二成分フィラメント1がコア/シース形状を有し、かつ二成分フィラメントが別の二成分の形状、例えばサイドバイサイドの形状または海島の形状を有することを意味している。従って、二成分フィラメント1および二成分フィラメント2がコア/シース形状を有する場合、成分11は二成分フィラメント1のコアであり、成分12は二成分フィラメント1のシースであり、成分22は二成分フィラメント2のコアであり、かつ成分21は二成分フィラメント2のシースである。しかし、二成分フィラメント1がコア/シース形状を有し、かつ二成分フィラメント2が別の二成分の形状、例えばサイドバイサイド形状を有する場合、成分11は二成分フィラメント1のコアであり、成分12は二成分フィラメント1のシースであり、成分22は二成分フィラメント2のサイド1であり、かつ成分21は二成分フィラメント2のサイド2である。
【0007】
工程α)iβ)によれば、少なくとも二成分フィラメント1はサイドバイサイド形状を有し、その際、成分11はサイド1であり、かつ成分12はサイド2である。本発明の範囲でこのことは、二成分フィラメント1および二成分フィラメント2がいずれもサイドバイサイド形状を有するか、または二成分フィラメント1がサイドバイサイド形状を有し、かつ二成分フィラメント2が別の二成分形状、例えばコア/シース形状または海島形状を有することを意味している。従って、二成分フィラメント1および二成分フィラメント2がサイドバイサイド形状を有する場合、成分11は二成分フィラメント1のサイド1であり、成分12は二成分フィラメント1のサイド2であり、成分22は二成分フィラメント2のサイド1であり、かつ成分21は二成分フィラメント2のサイド2である。しかし、二成分フィラメント1がサイドバイサイド形状を有し、かつ二成分フィラメント2が別の二成分形状、例えばコア/シース形状を有する場合、成分11は二成分フィラメント1のサイド1であり、成分12は二成分フィラメント1のサイド2であり、成分22は二成分フィラメント2のコアを意味し、かつ成分21は二成分フィラメント2のシースを意味する。
【0008】
工程a)iγ)によれば、少なくとも二成分フィラメント1は海島形状を有し、その際、成分11は島であり、かつ成分12は海である。本発明の範囲でこのことは、二成分フィラメント1および二成分フィラメント2がいずれも海島形状を有するか、または二成分フィラメント1が海島形状を有し、かつ二成分フィラメント2が別の二成分の形状、例えばコア/シース形状またはサイドバイサイド形状を有することを意味している。従って、二成分フィラメント1および二成分フィラメント2が海島形状を有する場合、成分11は二成分フィラメント1の島であり、成分12は二成分フィラメント1の海であり、成分22は二成分フィラメント2の島であり、かつ成分21は二成分フィラメント2の海である。しかし、二成分フィラメント1が海島形状を有し、かつ二成分フィラメント2が別の二成分の形状、例えばコア/シース形状を有する場合、成分11は二成分フィラメント1の島であり、成分12は二成分フィラメント1の海であり、成分22は二成分フィラメント2のコアを意味し、かつ成分21は二成分フィラメント2のシースを意味する。
【0009】
成分11:12および成分22:21の比率は、5:95〜95:5体積%の範囲であってよく、かつ有利には60:40〜95:5体積%である。二成分フィラメント1対二成分フィラメント2の比率は、5:95〜95:5質量%の範囲であってよく、かつ有利には60:40質量%である。
【0010】
簡潔にすることを目的として、本発明による方法により得られるタフトされた不織布の有利な特性を、以下に、a)iα)に従った実施態様で説明するが、その際、両方の二成分フィラメント1および2はコア/シース形状を有する。この場合、温度の関係は、工程iii)ではTm(シース1)>Tm(シース2)であり、かつ工程iv)では両方のTm(コア1)およびTm(コア2)>Tm(シース1)>Tm(シース2)である。
【0011】
本発明による方法により得られるタフトされた不織布は、優れたステッチ保持率を有する。というのは、工程d)において、表面材料と二成分フィラメントのシース2の溶融液とが接触する部分で、該溶融液は表面材料に沿っておよび/または表面材料の周囲を流れ始め、このことによって表面材料と二成分フィラメント2の間の接触領域が増大するからである。工程d)においてTm(シース2)よりも低い温度に冷却することによって、前記の拡大された接触領域が固化し、かつ表面材料と二成分フィラメント2のシースとの間で強力な接着が得られる。本発明による方法の範囲で、二成分フィラメント2のシースが溶融するまでTtnに加熱するとは、表面材料とシース2の溶融液との接触が、Tm(シース2)より低い温度に冷却した後で表面材料と二成分フィラメント2のシースとの間で得られる接着が、後に記載するタフトされた不織布の使用目的にとって十分に強力であるような量で、二成分フィラメント2のシースが溶融することを意味している。Tnpがタフトされた不織布に適用される時間が、シース2の溶融液が完全に表面材料の周囲を流れることができることを可能にするために十分である場合、固化したシース2ポリマーのループはTm(シース2)よりも低い温度に冷却した後に表面材料を密に包囲し、このことによってステッチ保持率が増大する。
【0012】
さらに、タフトされた不織布は、本発明による方法によってはく離に関して何の問題もなく得られる。というのは、本方法により得られる不織布は積層体ではないからである。
【0013】
最後に、本発明による方法により、以下に記載する理由によって、構造的な一体性が保持されたタフトされた不織布が得られる。工程b)において、二成分フィラメント1のシース1および二成分フィラメント2のシース2が、重複帯域で溶融するまで、二成分フィラメント1および2の混合物をTnp>Tm(シース1)に加熱する。フィラメントが重複するこれらの帯域で、外皮が結合し、これにより不織布の構造的な一体性が得られる。工程d)において、タフトされた不織布は、二成分フィラメント2のシース2の溶融温度より高い温度に加熱されるのみである。従って、重複帯域においてシース1は固体のままであり、このことによってタフトされた不織布の一体性は維持される。
【0014】
当業者であれば、本発明による方法と、本発明による方法により得られるタフトされた不織布の有利な特性についての上記の説明とを理解すれば、この説明を、例えば海島形状を有するか、またはサイドバイサイド形状を有するか、または別の二成分の形状を有する二成分の実施態様に応用することは可能である。これらの実施態様は全て、本発明の方法の範囲内に属する。
【0015】
本発明の範囲内では、スパンボンドもしくはメルトブローにより、または自体公知のその他の技術により得られるモノフィラメントもしくはマルチフィラメントを包含する、最も広い意味での「フィラメント」という用語を使用するが、当業者にとっては、これらより短い繊維、例えばステープルファイバーもまた代用できることは明らかであり、かつ本発明の範囲から離れるものではない。「フィラメント」という用語の使用は、利便性を目的としているにすぎず、繊維の長さに関する制限であるとみなすべきではない。二成分フィラメント1および2を形成するために使用することができる材料は、選択された種類の融点が、本発明の方法において教示されている制限に従う限り、多種多様な材料の種類から選択することができる。例えば合成繊維のフィラメントまたは天然由来で有機ポリマーを含有するフィラメント、たとえば熱可塑性ポリマー、エラストマーまたは熱可塑性エラストマーに属するものを使用することができる。前記のフィラメントは生分解性であってもよい。さらに、無機材料、例えばセラミック、ガラスまたは金属を含有するフィラメントを使用することもできる。本発明の方法では、ポリマーおよび特に熱可塑性ポリマーは、二成分フィラメント1および2のために使用するために有利な材料である。
【0016】
本発明の範囲内で「表面材料」とは、該材料がTm(シース1)で事実上溶融しないか、または分解しない限り、タフティングのために適切な任意の材料を意味している。このことは、表面材料の融点、または融点を有していない表面材料の場合には分解温度がTm(シース1)より高いことを意味している。表面材料は、リボン、ヤーン、コード、人工芝の形で、またはタフティングのために適切なその他の任意の形状で使用することができる。
【0017】
再び、簡潔にすることを目的として、本発明による方法の有利な実施態様を、a)iα)による実施態様において以下に説明するが、その際、両方の二成分フィラメント1および2はコア/シース形状を有する。この場合、前記で説明したように、温度の関係は、
工程iii)では、Tm(シース1)>Tm(シース2)であり、かつ
工程iv)では、両方のTm(コア1)およびTm(コア2)>Tm(シース1)>Tm(シース2)である。
【0018】
従って、二成分フィラメント1および2のコアを形成するポリマーの選択は、工程1a)iv)において定義したとおりシース1および2の融点との関係でコアの融点により、および当然のことながらタフトされた不織布を製造するために使用することができるポリマーの二成分フィラメントのコアに関して要求される特性により限定される。当業者には、前記の要求される特性、例えば強度、伸び率、弾性率、タフト可能性、成形特性、寸法安定性等は自明である。
【0019】
従って、相応して選択されたポリマーを、本発明による方法の二成分フィラメントのためのコアとして使用することができる。例えば同じタイプのポリマーを、二成分フィラメント1および2のコアのために使用することができ、その際、二成分フィラメント1および2のコアにおいて、融点は、同じであるか、または同じではなく、融点が同じでない実施態様は、例えば同じタイプであるが、異なった分子量を有する2種類のポリマーにより実現される。あるいは、2種類の異なったタイプのポリマーを、同じか、または異なった融点を有する二成分フィラメント1および2のコアのために使用することができる。前記の実施態様のいずれの場合でも、例えば二成分フィラメント1のコアの100質量%が1種類の特定のコアポリマーからなっていてよい。しかしまた、ポリマー材料が、相応する二成分フィラメントのコアの100質量%未満の量を含有し、100質量%となるまでの差は、例えば紡糸助剤、充填剤、難燃性材料、UV防止剤、結晶化剤、可塑剤、遅延剤/促進剤、熱安定剤、抗菌剤またはこれらの組み合わせからなる二成分フィラメント1および/または2のコアに関して選択されることも可能である。
【0020】
しかしコアポリマーの量の前記の<100質量%の量は、本発明による方法のために要求されるコア特性が実現されることが確保されるために十分な高さでなくてはならない。
【0021】
本発明による方法の有利な実施態様では、二成分フィラメント1がコア/シース形状を有し、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースであり、その際、二成分フィラメント2はコア/シース形状を有し、その際、成分22はコアであり、かつ成分21はシースであり、かつその際、二成分フィラメント1および二成分フィラメント2のコアは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリ乳酸(PLA)およびポリオキシメチレン(POM)からなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる。
【0022】
本発明の方法では、二成分フィラメント1のためのシースポリマーの選択は、工程a)iv)において定義されているように、二成分フィラメント2のシースの融点およびコアの融点に関連する二成分フィラメント1のシースの融点により、および当然のことながら二成分フィラメント1および2のシースが実質的に分解することなく、つまりタフトされた不織布を製造するために適切なポリマー二成分フィラメントのために要求される二成分フィラメント1および2のシースの特性が実質的に低下することなく溶融する可能性により限定される。当業者には、前記の要求される特性、例えば強度、伸び率、弾性率、染色性、被覆特性、親水性/疎水性バランス、積層特性、融着特性及び結合強度は自明である。また、前記の要求される特性は、工程b)において得られる結合され、かつ工程d)において冷却された後の外皮において十分に維持されていなくてはならない。
【0023】
従って、相応して選択された熱可塑性ポリマーを、本発明による方法の二成分フィラメント1および2のためのシースとして使用することができる。例えば同じタイプのポリマーを、例えば異なった分子量に基づいて、シースの融点が異なる二成分フィラメント1および2のシースのために使用することができる。あるいは異なったタイプのポリマーを、シースの融点が異なる二成分フィラメント1および2のシースのために使用することができる。前記の実施態様ではいずれの場合でも、二成分フィラメント1および/または2のシースは、100質量%まで特定の熱可塑性ポリマーからなっていてよい。しかしまた、二成分フィラメント1および/または2のために選択されたポリマー材料が、100質量%未満の熱可塑性ポリマーを含有し、100質量%までの差は、例えば紡糸助剤、充填剤、着色剤、結晶化剤、遅延剤/促進剤、安定剤および可塑剤またはこれらの組み合わせを含むことも可能である。しかし、前記の<100質量%の量のシースポリマー量は、本発明による方法のために要求されるシース特性が実現されることが確保されるために十分な高さでなくてはならない。
【0024】
有利には二成分フィラメント1のシースは、ポリアミド(PA)、例えばPA6、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはこれらのコポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)および脂肪族ポリエステルからなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる。
【0025】
有利には二成分フィラメント2のシースは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはこれらのコポリマー、ポリ乳酸(PLA)、ポリ塩化ビニル(PVC)からなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる。
【0026】
本発明による方法の工程a)における混合操作のための複数の二成分フィラメント1および2の選択により、iii)によりTm(シース1)がTm(シース2)より高い二成分フィラメント1および2の組み合わせが得られる。有利にはTm(シース1)は、Tm(シース2)より少なくとも5℃、および最も有利には少なくとも50℃高い。
【0027】
さらに、本発明による方法の工程a)における混合操作のための複数の二成分フィラメント1および2の選択により、iv)により両方のTm(コア1)およびTm(コア2)がTm(シース1)より高い二成分フィラメントの組み合わせが得られる。有利には両方のTm(コア1)およびTm(コア2)は、Tm(シース1)より少なくとも20℃高い。
【0028】
本発明による方法の有利な実施態様では、二成分フィラメント1は、Tm(コア)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース1)=220℃を有するポリアミド6のシースからなる。
【0029】
本発明による方法の特に有利な実施態様では、二成分フィラメント1はTm(コア)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース1)=220℃を有するポリアミド6のシースとからなり、かつ二成分フィラメント2はTm(コア)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース2)=160℃を有するポリプロピレンのシースとからなる。
【0030】
工程c)によれば、表面材料を結合された不織布のタフティングのために適用する。有利には本発明による方法の工程c)において使用される表面材料は、ポリマーの融点ならびにウールおよび木綿の分解温度がTm(シース1)よりも高い限り、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、ウールおよび木綿からなる群から選択される。
【0031】
本発明による方法の工程a)における複数の二成分フィラメント1と複数の二成分フィラメント2との混合は、選択された混合法が、二成分フィラメント1および2の十分に均一な混合物をもたらす限り、当業者に公知の任意の方法により実施することができる。本発明の範囲で、「均一な混合物」という用語は、本発明による方法の工程a)から得られる基本繊維層の全ての任意の体積要素中で、ほぼ同じ比率の二成分フィラメント1および2が実現されることを意味している。
【0032】
有利には工程a)における混合を、アセンブリングにより、またはクリールにおける混合により、または3成分スピンパックからの紡糸により実施する。
【0033】
ウェブともよばれる基本繊維層の製造は、前記の目的のために公知の任意の技術により、例えば機械的、空気式または湿式製造法により、または静電システムにより、またはポリマーからウェブを製造する方法を使用して、またはフィラメントの絡み合いを使用して、またはスプリット・フィルム法により実施することができる。前記の技術の例は、例えば"Manual of nonwovens"((1971年)、Textile Trade Press, Manchester、英国、W.R.C. Publishing Co.、Atlanta、USAとの共同)の第10.1章に記載されている。
【0034】
本発明の課題はさらに、改善されたステッチ保持率を有するタフトされた不織布により解決され、該不織布は、複数の二成分フィラメント1と複数の二成分フィラメント2との混合物からなる結合された不織布をタフトする表面材料を有し、その際、
iα)少なくとも二成分フィラメント1は、コア/シース形状を有し、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースであるか、または
iβ)少なくとも二成分フィラメント1は、サイドバイサイド形状を有し、その際、成分11はサイド1であり、かつ成分12はサイド2であるか、または
iγ)少なくとも二成分フィラメント1は、海島形状を有し、その際、成分11は島であり、かつ成分12は海であり、
ii)成分11は融点Tm(11)を有し、かつ成分22は融点Tm(22)を有し、かつTm(11)はTm(22)と同じであるか、またはTm(11)はTm(22)と同じでなく、
iii)成分12は融点Tm(12)を有し、成分21は融点Tm(21)を有し、かつTm(12)はTm(21)より高く、かつ
iv)両方の成分11と22の融点および成分12と21の融点は、両方のTm(11)およびTm(22)>Tm(12)>Tm(21)の関係式に従い、
かつ場合により表面材料は、成分21の固化した溶融液により二成分フィラメント2に結合している。
【0035】
本発明によるタフトされた不織布は、特に表面材料が二成分フィラメント2の成分21の固化した溶融液により二成分フィラメント2に結合している場合に、優れたステッチ保持率を有する。さらに、タフトされた不織布は、積層体ではないので、はく離に関して何の問題も有していない。最後に、タフトされた不織布は、すでに説明した理由により、構造的な一体性が高度に維持される。
【0036】
表面材料、
二成分フィラメントおよびその形状、
異なった二成分の形状における成分11、12、21および22の意味および
前記成分のための材料の選択に関する一般的な基準
の、可能な実施態様に関しては、本発明による方法の記載において説明されたことがなお同様に該当する。
【0037】
簡便にすることを目的として、本発明によるタフトされた不織布の有利な実施態様を、以下においてiα)に従って説明するが、その際、両方の二成分フィラメント1および2はコア/シース形状を有する。この場合、前記で説明したとおり、温度の関係は、
iii)ではTm(シース1)>Tm(シース2)であり、かつ
iv)では両方のTm(コア1)およびTm(コア2)>Tm(シース1)>Tm(シース2)である。
【0038】
有利な実施態様では、本発明によるタフトされた不織布は、複数の二成分フィラメント1および2の均一な混合物からなる。このことは、前記のタフトされた不織布の全ての任意の体積要素において、ほぼ同じ比率の二成分フィラメント1および2が実現されることを意味している。従って、タフトされた不織布の全ての体積要素において、表面材料は、二成分フィラメント2のシースの固化した溶融液によって二成分フィラメント2に結合することができる。
【0039】
本発明によるタフトされた不織布の有利な実施態様では、二成分フィラメント1は、コア/シース形状を有しており、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースであり、その際、二成分フィラメント2はコア/シース形状を有しており、その際、成分22はコアであり、かつ成分21はシースであり、かつその際、二成分フィラメント1および二成分フィラメント2のコアは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリ乳酸(PLA)およびポリオキシメチレン(POM)からなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる。
【0040】
本発明によるタフトされた不織布のもう1つの有利な実施態様では、二成分フィラメント1のシースは、ポリアミド(PA)、例えばPA6、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはこれらのコポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)および脂肪族ポリエステルからなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる。
【0041】
本発明によるタフトされた不織布のもう1つの有利な実施態様では、二成分フィラメント2のシースは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはこれらのコポリマー、ポリ乳酸(PLA)およびポリ塩化ビニル(PVC)からなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる。
【0042】
本発明によるタフトされた不織布のための二成分フィラメント1および2の選択により、iii)によりTm(シース1)がTm(シース2)より高い二成分フィラメントの組み合わせが得られる。有利にはTm(シース1)は、Tm(シース2)よりも少なくとも5℃および最も有利には少なくとも50℃高い。
【0043】
さらに、本発明によるタフトされた不織布のための二成分フィラメント1および2の選択により、iv)により両方のTm(コア1)およびTm(コア2)がTm(シース1)よりも高い二成分フィラメントの組み合わせが得られる。有利にはTm(コア)は、Tm(シース1)より少なくとも20℃高い。
【0044】
本発明によるタフトされた不織布の有利な実施態様では、二成分フィラメント1はTm(コア)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース1)=220℃を有するポリアミド6のシースからなる。
【0045】
本発明によるタフトされた不織布の特に有利な実施態様では、二成分フィラメント1はTm(コア)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース1)=220℃を有するポリアミド6のシースとからなり、かつ二成分フィラメント2はTm(コア)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース2)=160℃を有するポリプロピレンのシースとからなる。
【0046】
本発明によれば、タフトされた不織布は結合された不織布をタフトする表面材料を有する。有利には前記表面材料は、前記のポリマーの融点ならびに前記のウールおよび木綿の分解温度がTm(シース1)より高い限り、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、ウールおよび木綿からなる群から選択される。
【0047】
本発明の課題はさらに、以下の工程からなる結合された不織布の製造方法により解決される:
a)成分11と成分12とからなる複数の二成分フィラメント1と、成分21と成分22とからなる複数の二成分フィラメント2とを混合物する工程、その際、
iα)少なくとも二成分フィラメント1は、コア/シース形状を有し、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースであるか、または
iβ)少なくとも二成分フィラメント1は、サイドバイサイド形状を有し、その際、成分11はサイド1であり、かつ成分12はサイド2であるか、または
iγ)少なくとも二成分フィラメント1は、海島形状を有し、その際、成分11は島であり、かつ成分12は海であり、
ii)成分11は融点Tm(11)を有し、成分22は融点Tm(22)を有し、かつTm(11)はTm(22)と同じであるか、またはTm(11)はTm(22)と同じでなく、
iii)成分12は融点Tm(12)を有し、成分21は融点Tm(21)を有し、かつTm(12)はTm(21)より高く、かつ
iv)両方の成分11と22の融点および成分12と21の融点は、両方のTm(11)およびTm(22)>Tm(12)>Tm(21)の関係式に従う、
および二成分フィラメント1が、重複帯域で二成分フィラメント2と接触する、自体公知の方法で、基本繊維層を製造する工程、
b)該基本繊維層を、不織布の製造のために、Tm(12)<Tnp<両方のTm(11)およびTm(22)の関係式に従う温度Tnpで、成分12と成分21とが重複帯域で溶融し、かつ次いでTm(21)より低い温度に冷却して結合された不織布が得られる工程。
【0048】
前記で記載した理由により、本発明による結合された不織布の製造方法により、高い構造的一体性を有する結合された不織布が得られる。本発明の範囲で、成分12および成分21が重複帯域で溶融するまでTnpで加熱することは、前記で記載した意味と同じ意味を有している。
【0049】
本発明による結合された不織布は、構造的な一体性が維持されたタフトされた不織布を製造するために適切な中間体である。
【0050】
本発明による結合された不織布の製造方法の有利な実施態様に関して、タフトされた不織布の製造法の工程a)およびb)に関してなお有利に請求され、かつ記載されたことを参照する。
【0051】
本発明の課題はさらに、複数の二成分フィラメント1と、複数の二成分フィラメント2との混合物からなる結合された不織布により解決され、その際、
iα)少なくとも二成分フィラメント1はコア/シース形状を有し、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースであるか、または
iβ)少なくとも二成分フィラメント1はサイドバイサイド形状を有し、その際、成分11はサイド1であり、かつ成分12はサイド2であるか、または
iγ)少なくとも二成分フィラメント1は海島形状を有し、その際、成分11は島であり、かつ成分12は海であり、
ii)成分11は融点Tm(11)を有し、成分22は融点Tm(22)を有し、かつTm(11)はTm(22)と同じであるか、またはTm(11)はTm(22)と同じでなく、
iii)成分12は融点Tm(12)を有し、成分21は融点Tm(21)を有し、かつTm(12)はTm(21)より高く、かつ
iv)両方の成分11と22の融点および成分12と21の融点は、両方のTm(11)およびTm(22)>Tm(12)>Tm(21)の関係式に従い、
かつその際、二成分フィラメント1および二成分フィラメント2は重複する帯域を有し、該帯域で二成分フィラメント1と二成分フィラメント2とは成分12および成分21により結合される。
【0052】
本発明による結合された不織布の構成要素のそれぞれは、前記の条件の範囲内で相互に無関係に選択することができる。このことにより特に所望される特性を、単に適切な成分を選択することにより、前記の結合された不織布へと導入することが可能になる。従って結合された不織布は、例えば吸水性、難燃性等に関して微調整された特性面を有する。
【0053】
本発明の結合された不織布は必ずしも選択面(対称構造)を有するとは限らない。従って前記の結合された不織布を用いたその後の製造工程で、必ずしもどちらの表面が上面で、どちらの表面が底面であるかを配慮する必要がない。前記の結合された不織布がすでに最終製品として使用される場合、これは両面で使用することができる。
【0054】
前記で記載した理由により、本発明による結合された不織布は、高い構造的一体性を有し、かつ改善されたステッチ保持力を有し、かつ構造的一体性が維持された、本発明によるタフトされた不織布を製造するために適切な中間体である。
【0055】
本発明による結合された不織布の有利な実施態様に関して、本発明によるタフトされた不織布の製造方法の記載で工程a)iα)〜a)iv)に関してなお有利に請求し、かつ記載したことを参照する。
【0056】
本発明のタフトされた不織布および本発明による方法により得られるタフトされた不織布は、高度な構造的一体性およびステッチ保持率を有する。従ってバッキングは不要でありうる。それにもかかわらず、所望の場合には本発明によるタフトされた不織布および/または本発明による方法により得られるタフトされた不織布は、1もしくは複数のバッキング、例えば2つのバッキングを有していてもよい。
【0057】
高度の構造的一体性およびステッチ保持率に基づいて本発明によるタフトされた不織布および本発明による方法により得られるタフトされた不織布は、バッキングを有していなくても有していても、ホームテキスタイルのため、またはクッションビニルのため、または装飾のため、または自動車、列車または航空機におけるテキスタイルのため、またはアウトドアの適用、例えば人工芝もしくは運動場のためのタフトカーペットを製造するために有利に使用することができる。
【0058】
さらに、本発明のタフトされた不織布および本発明による方法により得られるタフトされた不織布は、例えば自動車用カーペットのためのカーペット成形のために有利に使用することができる。
【0059】
極めて微細なフィラメントタイターは、例えば本発明による方法による結合された不織布を製造する方法の工程a)において、極めて微細な孔径、高い表面積および、前記で説明したように、高度の構造的一体性を有する結合された不織布の製造を可能にする3成分スピンパックから紡糸することによって、二成分フィラメント1および2を混合するためのメルトブロー技術を使用して得ることが可能である。このような結合された不織布は、構造的、技術的および接着の適用における結合のために特に適切である。例えば本発明による方法により得られる結合された不織布および本発明による結合された不織布は、技術的な適用のためのフィルター、例えばホコリ、カーボン粒子物質、花粉またはガスに対するフィルターを製造するために、または医療用のフィルター、例えば微生物もしくはウイルスに対するフィルターまたは熱および水分交換体として使用することができるフィルターを製造するために有利に使用することができる。後者の適用では、本発明の結合された不織布および本発明による方法により得られる結合された不織布は、呼息の間の患者の息から熱および水分を捕捉し、かつ捕捉した水分を冷却し、かつ放出して吸気の間に患者に戻す。前記の熱および水分交換フィルターのために有利な二成分フィラメント1および2は、たとえばポリアミドシースを有するコア/シースフィラメントにより実現される、低い熱伝導率と高い親水性とを少なくとも表面において組み合わせる。
【0060】
さらに、本発明の結合された不織布および本発明による方法により得られる結合された不織布は、疎水性の液体から親水性の液体を、例えば航空燃料から水を分離するための合体フィルターとして有利に使用することができる。前記の使用のためには、親水性の液体が保持され、かつフィラメントに沿って拡散しないために、親水性表面を有する親水性二成分フィラメント1および2が必要である。
【0061】
さらに、本発明による結合された不織布および本発明による方法により得られる結合された不織布は、マーキング用および筆記用器具においてインクを輸送する際のレザバーとして芯製品を製造するために、医療用芯のために、または液体を保持し、かつ輸送するその他の製品のために有利に使用することができる。前記の使用のために、フィラメントが所望の量の液体を吸い上げることを可能にする高い表面エネルギーを有する二成分フィラメント1および2が必要である。従って例えばポリエチレンテレフタレートからなる二成分フィラメントは、例えばポリオレフィンからなる二成分フィラメントよりも前記の吸い上げの目的のためにより適切である。
【0062】
本発明を以下の実施例においてより詳細に説明する:

工程a):
複数の二成分フィラメント1のために、コア/シース形状を有し、その際、コアは融点Tm(11)=250℃を有するポリエチレンテレフタレート(PET)であり、かつシースは融点Tm(12)=220℃を有するポリアミド(PA6)である二成分フィラメントからなるヤーンを使用する。このヤーンのシース/コアの体積比は、26体積%/74体積%である。
【0063】
複数の二成分フィラメント2のために、コア/シース形状を有し、その際、コアは融点Tm(22)=250℃を有するポリエチレンテレフタレート(PET)であり、かつシースは融点Tm(21)=165℃を有するポリプロピレン(PP)である二成分フィラメントからなるヤーンを使用する。このヤーンのシース/コアの体積比は、26体積%/74体積%である。
【0064】
二成分フィラメント1および2を質量比1:1で混合し、かつ周知の方法でコンベアベルト上に敷いた。100g/m2の単位面積あたりの質量を有する基本繊維層が製造された。参考として、二成分フィラメント1のみを有するヤーンから製造された基本繊維層もまた、100g/m2の単位面積あたりの質量を有する。
【0065】
工程b):
本発明による基本繊維層を、不織布製造のために、スルー・エアー・ボンディング・ドラム中で約12秒間、温度Tnp=227℃で加熱して、本発明による結合された不織布が得られた。同じ加熱手順を、比較用の結合された不織布を得る参照用の基本繊維層で実施する。比較用の結合された不織布は、硬い手触りを有している一方で、本発明による結合された不織布は柔軟で、かつ毛羽立った外観を有している。
【0066】
工程c):
本発明による結合された不織布および比較用の結合された不織布の両方をタフティングする前に、市販の適切なタフト仕上げ剤で公知の方法により処理し、これにより、前記不織布は、約1〜2質量%の前記の仕上げ剤を含有する。次いで、本発明による結合された不織布と、比較用の結合された不織布との両方を、Texture-Tex社から供給されるポリアミド66パイルヤーン(白色;ターン=220S、タイプ 3252O;熱硬化;Tm=250℃)を用いてタフティング装置上でループパイルにタフティングする(1/10″、スタッガード;10cmあたりのステッチ数=50)。列のパイル高さは4mmである。本発明による結合された不織布をタフティングするノイズは、比較用の結合された不織布をタフティングするノイズよりもはるかに低い。この結果から、本発明による結合された不織布におけるフィラメントの移動度は、比較用の結合された不織布におけるよりも高い。
【0067】
工程d):
比較タフトされた不織布と、本発明によるタフトされた不織布との両方を、温度Ttn=170℃で1.5分間、炉中で加熱する。前記の熱処理の前および後で、比較タフトされた不織布と、本発明によるタフトされた不織布との両方のステッチ保持率を、Colbondの試験法1.1.22(2002年3月26日)、「カーペット試験体のステッチ保持率」により、以下に記載するように測定する:タフトされた不織布からダイカット装置により約16×16cm2の代表的な試験体が得られる。前記試験体から、パイルヤーンの最初の中心列を除去する。次いで、隣の偶数列もしくは奇数列のパイルヤーンを20個除去する。装置方向の残りのパイルヤーンの10個の末端を手作業で、かつ慎重に、タフトされた不織布の裏側から引き抜く。該試験片を幅出機に固定する。パイルヤーンの一方の末端を、クランプに固定する。該クランプを、0〜100Nのロードセルを備え、かつ200mm/分の引張速度を有するインストロン引張試験器の上部のクランプに設置する。次いでパイルヤーンを垂直に、単一のタフトに関して、または60mmの間隔にわたるか、もしくは最低で3個のタフトにわたる複数のタフトに関して、タフトされた不織布の裏側から引っ張り、その力を測定する。タフトの数で平均したパイルヤーンあたりの最大の力は前記の単一のパイルヤーンのステッチ保持率の値である。同様に、その他の9個のパイルヤーンのステッチ保持率の値を測定した。最大の力の合計の平均値は、タフトされた不織布のステッチ保持率として定義される。
【0068】
パイルヤーンをタフトされた不織布の裏側から引き抜く前記のColbondステッチ保持率試験法では、パイルヤーンをタフトされた不織布の全面から引き抜くASTM D 1335(1998)より低いステッチ保持率の値が得られる。後者の場合、パイルヤーンはプライマリー・バッキングを通って引き抜かれるので、はるかに高いステッチ保持率の値が生じる。
【0069】
以下の表は、Ttn=170℃での前記の1.5分間の熱処理の前および後の両方の上記のColbond試験法によるステッチ保持率の測定の結果を示している。
【0070】
【表1】

【0071】
上記の表は、加熱前に本発明によるタフトされた不織布のステッチ保持率が、比較用のタフトされた不織布のステッチ保持率よりも78%高いことを示している。加熱後に、本発明によるタフトされた不織布のステッチ保持率は、比較用のタフトされた不織布のステッチ保持率よりも48%高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程:
a)成分11と成分12とからなる複数の二成分フィラメント1と、成分21と成分22とからなる複数の二成分フィラメント2とを混合物する工程、その際、
iα)少なくとも二成分フィラメント1は、コア/シース形状を有し、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースであるか、または
iβ)少なくとも二成分フィラメント1は、サイドバイサイド形状を有し、その際、成分11はサイド1であり、かつ成分12はサイド2であるか、または
iγ)少なくとも二成分フィラメント1は、海島形状を有し、その際、成分11は島であり、かつ成分12は海であり、
ii)成分11は融点Tm(11)を有し、かつ成分22は融点Tm(22)を有し、
iii)成分12は融点Tm(12)を有し、成分21は融点Tm(21)を有し、かつTm(12)はTm(21)より高く、かつ
iv)両方の成分11と22の融点および成分12と21の融点は、両方のTm(11)およびTm(22)>Tm(12)>Tm(21)の関係式に従う、
および二成分フィラメント1が、重複帯域で二成分フィラメント2と接触する、自体公知の方法で、基本繊維層を製造する工程、および
b)該基本繊維層を、不織布の製造のために、Tm(12)<Tnp<両方のTm(11)およびTm(22)の関係式に従う温度Tnpで、成分12と成分21とが重複帯域で溶融し、かつ次いでTm(21)より低い温度に冷却して結合された不織布が得られる工程
を有する方法。
【請求項2】
改善されたステッチ保持率を有するタフトされた不織布を得るために、さらに以下の工程:
c)結合された不織布を表面材料によりタフトして、表面材料と二成分フィラメント1および2との間に接触部を有するタフトされた不織布が得られる工程、および場合により
d)タフトされた不織布を、Tm(12)>Ttn>Tm(21)の関係式に従う温度Ttnで、成分21が溶融するまで加熱して、溶融した21が表面材料と接触するタフトされた不織布が得られ、かつ次いで該不織布をTm(21)より低い温度に冷却する工程、
を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
二成分フィラメント1が、コア/シース形状を有し、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースであり、その際、二成分フィラメント2が、コア/シース形状を有し、その際、成分22はコアであり、かつ成分21はシースであり、かつその際、二成分フィラメント1および二成分フィラメント2は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリ乳酸(PLA)およびポリオキシメチレン(POM)からなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
二成分フィラメント1のシースが、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはこれらのコポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)および脂肪族ポリエステルからなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
二成分フィラメント2のシースが、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはこれらのコポリマー、ポリ乳酸(PLA)およびポリ塩化ビニル(PVC)からなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
工程a)iii)で、Tm(12)が二成分フィラメント1のシースの融点Tm(シース1)を表し、Tm(21)が二成分フィラメント2のシースの融点Tm(シース2)を表し、かつTm(シース1)はTm(シース2)よりも少なくとも5℃高い、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
工程a)iv)で、Tm(11)が二成分フィラメント1のコアの融点Tm(コア1)を表し、Tm(22)が二成分フィラメント2のコアの融点Tm(コア2)を表し、かつ両方のTm(コア1)およびTm(コア2)はTm(シース1)よりも少なくとも20℃高い、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
二成分フィラメント1が、Tm(コア1)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース1)=220℃を有するポリアミド6のシースとからなる、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
二成分フィラメント1が、Tm(コア1)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース1)=220℃を有するポリアミド6のシースとからなり、かつ二成分フィラメント2が、Tm(コア2)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース2)=160℃を有するポリプロピレンのシースとからなる、請求項8記載の方法。
【請求項10】
工程c)において、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、ウールおよび木綿からなる群から選択される表面材料を使用する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
工程a)における混合を、アセンブリングにより、またはクリールにおける混合により、または3成分スピンパックからの紡糸により実施する、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
複数の二成分フィラメント1と、複数の二成分フィラメント2との混合物からなる結合された不織布をタフトする表面材料を有する、改善されたステッチ保持率を有するタフトされた不織布において、
iα)少なくとも二成分フィラメント1は、コア/シース形状を有し、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースであるか、または
iβ)少なくとも二成分フィラメント1は、サイドバイサイド形状を有し、その際、成分11はサイド1であり、かつ成分12はサイド2であるか、または
iγ)少なくとも二成分フィラメント1は、海島形状を有し、その際、成分11は島であり、かつ成分12は海であり、
ii)成分11は融点Tm(11)を有し、かつ成分22は融点Tm(22)を有し、
iii)成分12は融点Tm(12)を有し、成分21は融点Tm(21)を有し、かつTm(12)はTm(21)より高く、かつ
iv)両方の成分11と22の融点および成分12と21の融点は、両方のTm(11)およびTm(22)>Tm(12)>Tm(21)の関係式に従う、
および場合によりその際、表面材料が、成分21の固化した溶融液により二成分フィラメント2と結合されている、改善されたステッチ保持率を有するタフトされた不織布。
【請求項13】
二成分フィラメント1が、コア/シース形状を有し、その際、成分11はコアであり、かつ成分12はシースであり、その際、二成分フィラメント2が、コア/シース形状を有し、その際、成分22はコアであり、かつ成分21はシースであり、かつその際、二成分フィラメント1および二成分フィラメント2のコアは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンイミド(PEI)、ポリ乳酸(PLA)およびポリオキシメチレン(POM)からなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる、請求項12記載のタフトされた不織布。
【請求項14】
二成分フィラメント1のシースが、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはこれらのコポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリ乳酸(PLA)および脂肪族ポリエステルからなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる、請求項12または13記載のタフトされた不織布。
【請求項15】
二成分フィラメント2のシースが、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)またはこれらのコポリマー、ポリ乳酸(PLA)およびポリ塩化ビニル(PVC)からなる群から選択される熱可塑性ポリマーからなる、請求項12から14までのいずれか1項記載のタフトされた不織布。
【請求項16】
iii)において、Tm(12)が二成分フィラメント1のシースの融点Tm(シース1)を表し、Tm(21)が二成分フィラメント2のシースの融点Tm(シース2)を表し、かつTm(シース1)はTm(シース2)よりも少なくとも5℃高い、請求項12から15までのいずれか1項記載のタフトされた不織布。
【請求項17】
iv)において、Tm(11)が、二成分フィラメント1のコアの融点Tm(コア1)を表し、Tm(22)が、二成分フィラメント2のコアの融点Tm(コア2)を表し、かつ両方のTm(コア1)およびTm(コア2)は、Tm(シース1)よりも少なくとも20℃高い、請求項12から16までのいずれか1項記載のタフトされた不織布。
【請求項18】
二成分フィラメント1は、Tm(コア1)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース1)=220℃を有するポリアミド6のシースとからなる、請求項12から17までのいずれか1項記載のタフトされた不織布。
【請求項19】
二成分フィラメント1は、Tm(コア1)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース1)=220℃を有するポリアミド6のシースからなり、かつ二成分フィラメント2は、Tm(コア2)=250℃を有するポリエチレンテレフタレートのコアと、Tm(シース2)=160℃を有するポリプロピレンのシースとからなる、請求項12から18までのいずれか1項記載のタフトされた不織布。
【請求項20】
表面材料が、ポリアミド(PA)、ポリプロピレン(PP)、ポリ乳酸(PLA)、ウールおよび木綿からなる群から選択される、請求項12から19までのいずれか1項記載のタフトされた不織布。
【請求項21】
ホームテキスタイル用、またはクッションビニル用、または装飾用、または自動車、列車または航空機中のテキスタイル用、または人工芝もしくは遊技場のようなアウトドア適用のためのタフトされた・カーペットを製造するための、請求項12から20までのいずれか1項記載のタフトされた不織布または請求項2から11までのいずれか1項記載の方法により得られるタフトされた不織布の使用。
【請求項22】
カーペット成形のための請求項12から20までのいずれか1項記載のタフトされた不織布または請求項2から11までのいずれか1項記載の方法により得られるタフトされた不織布の使用。
【請求項23】
工業用または医療用の適用のためのフィルターを製造するための請求項12記載の結合された不織布または請求項1記載の方法により得られる結合された不織布の使用。
【請求項24】
親水性の液体を疎水性の液体から分離するための合体フィルターとしての請求項12記載の結合された不織布または請求項1記載の方法により得られる結合された不織布の使用。
【請求項25】
医療用の芯のためのマーキング用および筆記用器具におけるインクの輸送におけるレザバーとして、または液体を保持し、かつ輸送するその他の製品のための芯製品を製造するための、請求項12記載の結合された不織布または請求項1記載の方法により得られる結合された不織布の使用。

【公表番号】特表2008−528820(P2008−528820A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552565(P2007−552565)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000629
【国際公開番号】WO2006/079511
【国際公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(501080701)コルボント ベスローテン フェンノートシャップ (7)
【Fターム(参考)】