タフト化した繊維ウェブ
第一表面及び第二表面を有する繊維ウェブ。繊維ウェブは第一区画と、少なくとも1つの別個の第二区画とを有し、第二区画は第二表面上の不連続部であり、第一表面から延びる複数のタフト化した繊維を含む房である。タフト化した繊維は遠位部を規定し、遠位部は一緒に固着されているタフト化した繊維の部分を含む。固着は熱溶融固着であり得る。別の実施形態では、ウェブの第二表面は交差しないか、又はほぼ連続する固着領域を有することが可能であり、これはまた熱溶融固着でもあり得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織布ウェブ及び不織布ウェブなどの繊維ウェブに関する。詳細には、本発明は、向上した柔軟性又は嵩高状態にするために、機械的形成によって処理される繊維ウェブに関する。
【背景技術】
【0002】
繊維ウェブは当技術分野において周知である。例えば、織物及び編物布帛などの織布ウェブは、衣類、椅子張り、カーテンなどのための材料として周知である。また、ポリマー繊維から形成されるウェブなどの不織布ウェブは、例えばおむつなどの吸収性物品上の表面仕上げ層などの使い捨て製品に有用な材料として周知である。
【0003】
多くの用途において、繊維ウェブが嵩高な質感及び/又は柔軟性を有することが望ましい。また、コストの制限によって、使い捨て吸収性製品における不織布の商業的利用はまた、最小量の材料を使用することを要求する。従って、坪量が小さく、嵩高くて柔らかい不織布を製造できる技術及び材料に対する継続的要求がある。1つの非常に有効な方法が、同一所有者の同時係属である米国特許出願第10/737,306号及び第10/737,430号に開示されており、これらの各々は房を有する不織布ウェブを記載している。
【0004】
また一方、柔らかくて嵩高い特性を有する低コストの繊維ウェブに対する継続的要求がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、柔らかくて嵩高い特性を有する繊維ウェブを比較的安価に作製するための方法に対する要求がある。
【0006】
さらに、使い捨て消費製品で商業的に使用され得る織布又は不織布材料の柔らかく多孔質ウェブを作製する低コストの方法に対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一表面及び第二表面を有する繊維ウェブが開示される。繊維ウェブは第一区画および少なくとも1つの別個の第二区画を有し、第二区画は第二表面の不連続部であり、第一表面から延びる複数のタフト化した繊維を含む房である。タフト化した繊維は遠位部を画定し、タフト化した繊維の部分を含む遠位部は一緒に固着される。固着は熱融解固着であり得る。別の実施形態では、ウェブの第二表面は、交差しない、または実質的に連続して固着される領域を有することが可能であり、この領域もまた熱融解固着であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のウェブ1を製作する好ましい方法及び装置について説明する。本発明の好ましい装置150を図1に図式的に示す。図1に示すように、ウェブ1は、第一表面12及び第二表面14を有する、大略平面の2次元不織布前駆体ウェブ20から形成され得る。前駆体ウェブ20は、例えば、ポリマーフィルム、不織布ウェブ、織布地、紙ウェブ、ティッシュ紙ウェブ、又は編布地であり得る。
【0009】
不織布前駆体ウェブ20の場合は、前駆体ウェブは、不織布技術分野で周知のように、非固着繊維、絡み合った繊維、タウ繊維などを含むことができる。繊維は延伸性があり、及び/又は弾力性があり、装置150による処理のために予め延伸されてもよい。前駆体ウェブ20の繊維は、スパンボンドされる方法によって製造される物のように連続であるか、または毛羽立てられるプロセスで通常用いられる物のようにある長さに切られ得る。繊維は吸収性であり、繊維性吸収性ゲル材料(繊維性AGM)を含むことができる。繊維は、2成分の、多成分の、成形された、しわ形成された、或いは不織布ウェブおよび繊維の技術分野で周知のその他の、構成または形態であり得る。
【0010】
前駆体ウェブ20は、2つ以上の前駆体ウェブから成る複合物又は積層体であり、例えば、2つ以上の不織布ウェブ、或いはポリマーフィルム、不織布ウェブ、織布地、紙ウェブ、ティッシュウェブ、又は編布地の組合せを含むことができる。前駆体ウェブ20は、供給ロール152(または多重ウェブ積層体が必要なときは、複数の供給ロール)或いは、当技術分野で周知のように、花綱状ウェブ(festooned web)のような、その他の供給手段から供給され得る。一実施形態では、前駆体ウェブ20は、不織布ウェブ作製生産ラインのような、ウェブ作製装置から直接供給され得る。前駆体ウェブ20は、装置150によって本発明のウェブ1を形成するために、縦方向(MD)に動かされる。縦方向(MD)は、ウェブ材料を作製または処理する技術分野で周知のように、前駆体ウェブ20の進む方向を指す。同様に、機械横方向(CD)は、前駆体ウェブ1の面内のMDに垂直方向を指す。
【0011】
第一表面12は前駆体ウェブ20の第一側面、並びにウェブ1の第一側面に相当する。第二表面14は前駆体ウェブ20の第二側面、並びにウェブ1の第二側面に相当する。通常、用語「側面」は、紙及びフィルムのような、大体2次元のウェブの2つの主表面を記述する共通用語として本明細書で用いられる。勿論、複合または積層構造では、ウェブ1の第一表面12は最も外側のウェブの1つの第一側面であり、第二表面14は他の最も外側のウェブの第二側面である。
【0012】
繊維ウェブ1又はウェブ1の積層体を作製するために、本発明の方法は織布及び編繊維を用いて実施され得る。しかしながら、好ましい実施形態では、前駆体ウェブ20は不織布ウェブであり、実質的に無作為に配向された、すなわち、少なくとも縦方向及び機械横方向について無作為に配向された繊維から成る。「実質的に無作為に配向された」は、プロセス条件により、機械横方向よりも縦方向に又はその逆に、より多くの繊維が配向されてもよい無作為配向を意味する。例えば、スパンボンド及びメルトブローンプロセスでは、繊維の連続する撚糸が縦方向に動く支持体に無作為の配向で置かれる。スパンボンド又はメルトブローン不織布ウェブの繊維の配向を忠実に「無作為」にする試みにも関わらず、大抵高いパーセンテージの繊維が、機械横方向とは反対の機械方向に配向される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、繊維のかなりの割合を、ウェブの面内の縦方向に対して所定の配向に意図的に向けることが望ましいかもしれない。例えば、ロール104における歯の空隙部及び配置によって(以下に説明するように)、例えば、ウェブの長手方向軸に対して60度の角度に優勢な繊維配向を有する不織布ウェブを製造することが望ましいかもしれない。このようなウェブは、ウェブを所望の角度でラップする工程、及び必要に応じて、ウェブを毛羽立てて仕上げる工程を組み合せるプロセスによって製造され得る。所定の角度を有する繊維の割合が高いウェブは、以下により十分に説明するように、より多くの繊維に統計的にバイアスをかけて、ウェブ1に房を形成することができる。
【0014】
不織布前駆体ウェブ20は、以下に十分に説明されるように、ウェブ1に形成されるに十分な伸び特性を有するポリマー繊維を含む周知のあらゆる不織布ウェブであることができる。一般に、ポリマー繊維は、化学的固着、すなわちラテックス又は接着剤固着か、圧力接着か、或いは熱固着によって固着可能である。熱接着技術が以下で説明する固着プロセスで使用される場合は、或る割合の熱可塑性材料、例えば熱可塑性樹脂パウダーまたは繊維などが、以下により十分に説明するように、ウェブの繊維の部分の熱固着を容易にするために、必要に応じて用いられ得る。不織布前駆体ウェブ20は、100重量%の熱可塑性樹脂繊維を含むことができるが、それは10重量%程度の低い量の熱可塑性樹脂繊維も含むことができる。同様に、不織布前駆体ウェブ20は、約10%と100%との間の1%刻みの任意の重量%の熱可塑性樹脂繊維を含むことができる。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「不織布ウェブ」は、ランダムに配向された繊維を有さない織布又は編物布帛と違って単発的に個々の繊維又は糸が組み入れられた構造を有するウェブを指す。不織布ウェブ又は布地は、多くの既知のプロセス、例えば、エアレイイングプロセス、メルトブローイングプロセス、スパンボンドプロセス、ハイドロエンタングリングプロセス、スパンレーシングプロセス、及び固着カードウエブプロセスなどから形成されている。また、マルチプル・ビーム・スパンボンド・プロセスによって作製されるスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)ウェブ及び同類のもの(例えばSMMS、SSMS)のような、多層ウェブも用いることができる。各成分(すなわち、スパンボンド又はメルトブローン成分)が同じポリマーであることは必要ではない。従って、SMSウェブでは、スパンボンド及びメルトブローン層が同じポリマーを含むことは必要ではない。
【0016】
不織布の坪量は1平方メートル当たりのグラム(gsm)(又は相当値、例えばoz/平方ヤードなど)で通常表わされ、繊維直径はミクロンで通常表わされる。繊維の大きさは、デニールで表わすこともできる。不織布前駆体ウェブ20(積層体又は多層前駆体ウェブ20を含む)の全坪量は、ウェブ1の最終的な用途に応じて8gsm〜500gsmであり、8gsmと500gsmとの間で1gsm刻みで製造され得る。例えば、ハンドタオルとして使用する場合、前駆体ウェブ20の坪量は、25gsm〜100gsmであるのが適切であり得る。バスタオルとして使用する場合、125gsm〜250gsmの坪量が適切であり得る。集塵装置を含む清浄装置で有用である、高効率微粒子エア(HEPA)フィルター、核及び生物フィルター、並びにいくつかの種類のガスタービン吸気濾過を含む、エアフィルターとして使用する場合、350gsm〜500gsmの坪量が適切であり得る(有効表面積を増大させるために必要である場合は、ひだを付けられ、グループにまとめられる)。不織布前駆体ウェブ20の構成繊維はポリマー繊維であり、1成分、2成分及び/又は2構成成分繊維、中空繊維、丸くない繊維(例えば、造形された(例えば、トリロバル(tri-lobal))繊維又は毛管チャンネル繊維)であり、そして1ミクロン刻みで0.1〜500ミクロンの主断面寸法(例えば、丸い繊維の直径、楕円形繊維の長軸、不整形の最長直線寸法)を有することができる。
【0017】
本明細書で使用する時、「スパンボンド繊維」はその従来の意味で用いられ、紡糸口金の複数の細い、通常円形の毛管からフィラメントとして溶融熱可塑性材料を押し出すことによって形成される、小さい直径の繊維を指し、押し出されたフィラメントの直径は急速に減少する。スパンボンド繊維は、集積表面に付着する時、一般には粘着性はない。スパンボンド繊維は、一般に連続しており、7ミクロンより大きい(サンプルでは少なくとも10)、及びより具体的には約10ミクロン〜40ミクロンの平均直径を有する。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「メルトブローイング」はその従来の意味で用いられ、繊維が、複数の細い、通常円形のダイキャピラリーを通じて溶融糸又はフィラメントとして溶融熱可塑性材料を、集束する高速の、通常加熱されたガス(例えば、空気)流に押し出すことによって形成され、このガス流は溶融熱可塑性材料のフィラメントを細径化させて、その直径を減らして、マイクロファイバー直径にすることができるプロセスを指す。その後、高速気体流によって、メルトブローン繊維を移動させ、集積表面上に付着させ(まだ粘着性であることが多い)、ランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、連続していても、連続していなくてもよく、一般に平均直径が10ミクロンよりも小さいマイクロ繊維である。
【0019】
本明細書で使用する時、用語「ポリマー」はその従来の意味で用いられ、ホモポリマー、共重合体、例えば、ブロック、グラフト、ランダム、及び交互共重合体、ターポリマーなど、並びにこれらの混合物及び変形を通常含むが、これらに限定されない。さらに、特に限定しない限り、用語「ポリマー」は、材料のあらゆる可能な幾何学的構成を含む。その構成としては、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチック及びランダムの対称性が挙げられるが、これらに限定されない。通例、既知のポリマーのどんな種類も本発明で用いることが可能であり、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンのようなポリオレフィンポリマーは1成分繊維か、或いは2成分繊維として使用され得る。さらに、他のポリマー、例えばPVA、PETポリエステル、メタロセン触媒エラストマー、これらの混合物などが使用され、必要に応じて、これらのポリマーのどれか又はすべてを架橋することができる。
【0020】
本明細書で使用する時、用語「1成分繊維」はその従来の意味で用いられ、唯一のポリマーを用いて1つ以上の押出機から形成される繊維を指す。これは、着色、静電気防止特性、潤滑特性、親水性などのために少量の添加剤が添加された、1つのポリマーから形成された繊維を除外することを意味するものではない。これらの添加剤、例えば着色用の二酸化チタンは、一般に、約5重量%未満、及びより典型的には約2重量%の量で存在する。
【0021】
本明細書で使用する時、用語「2成分繊維」はその従来の意味で用いられ、別々の押出機から押し出され、少なくとも2つの異なるポリマーから形成された繊維を指し、一緒に紡糸され一つの繊維を形成するものは除く。2成分繊維はまた、複合繊維又は多成分繊維を指すこともある。複数個のポリマーは、2成分繊維の横断面にわたって実質的に一定に位置決めされた明確な別個区域に配置され、2成分繊維の長さに沿って連続して延びている。このような2成分繊維の形状は、例えば、1つのポリマー(例えばポリプロピレン)が別のポリマー(例えばポリエチレン)によって囲まれるシース/コア構成配置であるか、或いは並列構成配置、パイ構成配置、又は「海中島」構成配置であっても良く、それぞれは2成分繊維を含む多成分繊維の技術分野で知られている。
【0022】
2成分繊維を含む繊維は分割可能な繊維であることができ、このような繊維は、処理前又は処理中に、元の2成分繊維よりも小さい断面寸法をそれぞれ有する、複数の繊維に長手方向に分割され得る。スプリット繊維は、それらの断面寸法が縮小されるので、より柔軟な不織布ウェブを製造することを示されてきた。繊維はナノ繊維、すなわち、小ミクロンを含むサブミクロン範囲にある直径を有する繊維であることができる。
【0023】
本明細書で使用する時、用語「2構成成分繊維」はその従来の意味で用いられ、同じ押出機から混合物として押し出される、少なくとも2つの異なるポリマーから形成された繊維を指す。2構成成分繊維は、繊維の断面領域を横切って、比較的一定に位置決めされた別個の区域に配置される様々なポリマー構成成分を有さず、様々なポリマーは、通常、繊維の全長に沿って連続しておらず、その代わり、通常、ランダムに開始し終端するフィブリルを形成している。2構成成分繊維は、多構成成分繊維と呼ばれることもある。
【0024】
本明細書で使用する時、用語「丸くない繊維」はその従来の意味で用いられ、丸くない断面を有する繊維を表わし、「造形した繊維」および「毛管チャンネル繊維」を含む。このような繊維は中身が詰まっているか、又は中空であり、それらはトリロバル(tri-lobal)、デルタ形状であることがあり、毛管チャンネルとしての機能を果たす長手方向に延びる溝を外面に有する繊維であることが好ましい。毛管チャネルは、「U字形」、「H字形」、「C字形」及び「V字形」などの様々な断面形状のものであり得る。1つの好ましい毛管チャネル繊維は、テネシー州ジョンソンシティ(Johnson City,TN)にあるファイバーイノベーションテクノロジーズ(Fiber Innovation Technologies)から入手可能な4DG繊維と称されるT−401である。T−401繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PETポリエステル)である。
【0025】
特に断りのない限り、すべての他の用語は当業者によって用いられているようにその従来の通常の意味で用いられる。
【0026】
前駆体ウェブ20は、ウェブ作製プロセスから直接か、或いは図1に示すように、供給ロール152から間接的に供給され得る。前駆体ウェブ20を、オイル加熱されたローラー上で加熱するなどの、当該技術分野で既知の手段により予め加熱することができる。前駆体ウェブ20は、しるし、模様、ロゴ、或いは他の可視又は不可視の印刷パターンで予め印刷され得る。例えば、模様及び色は、前駆体ウェブ20の少なくとも一部の色を変えるために、当技術分野で知られている手段によって、例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、又はオフセット印刷によって印刷され得る。印刷に加えて、前駆体ウェブ20はコーティング、例えば、界面活性剤、ローション、接着剤などで処理され得る。前駆体ウェブ20の処理は、当技術分野で知られている手段によって、例えば、スプレー、スロットコーティング、押出加工、或いは別の方法でコーティングを1つ又は両方の面に施すことによって達成され得る。
【0027】
前駆体ウェブ20がローラー154を越えて、逆回転する噛み合いロール102A及び104の第一セットのニップ116まで機械方向に移動されるとき、供給ロール152は矢印によって示す方向に回転する。ロール102A及び104は装置150の噛み合いロールの第一セットである。噛み合いロール102A及び104の第一セットは房をウェブ1に形成するように動作して、タフト化した前駆体ウェブ20を作製する。噛み合いロール102A及び104は図2によりはっきりと示されている。
【0028】
図2を参照すると、本発明のタフト化した前駆体ウェブ21の房を作製する装置150の一部がさらに詳細に示されている。装置150のこの部分は図2にニップローラー100として示され、1対の鋼製噛み合いロール102及び104(図1のロール102A及び104にそれぞれ相当する)を備え、各々は軸Aの周りを回転し、軸Aは同じ面で平行である。前駆体ウェブ20が或る回転角度によってロール104上にとどまるように、装置150が設計されるけれども、図2は、前駆体ウェブ20が装置150のニップ116を通ってタフト化した前駆体ウェブ21として出口に進むときに、何が起こるかを原理的に示す。従って、図2が装置150のニップ116からまっすぐに出てくるタフト化した前駆体ウェブ21を示すのに対して、房がロール104の歯110の上にとどまり、これに「嵌合された」ままであるように、タフト化した前駆体ウェブ21は所定の回転角度によってロール104上にあり続けることができる。
【0029】
ロール102は、ロール102の円周全体にとぎれずに伸張できる複数個の隆起部106と、対応する溝108とを備える。いくつかの実施形態では、前駆体ウェブ21で望まれるパターンの種類に応じて、隆起部106の幾つか又はすべてが周囲方向に連続しているが、切れ目又は隙間を有するように、ロール102(及び同様にロール102A)は、一部が例えばエッチング、フライス加工、又は他の機械加工プロセスによって除去された隆起部106を備えることができる。切れ目又は隙間は、円又は菱形のような簡単な幾何パターンだけではなく、ロゴ及び商標のような複雑なパターンも含むパターンを形成するように配置され得る。一実施形態では、ロール102は、以下により十分に説明するように、ロール104の歯と類似の歯を有することができる。このようにして、タフト化した前駆体ウェブ21の両側に房を有することが可能である。房に加えて、ウェブ21の房の種々の面外マクロ部位には、例えばロゴ及び/又は模様を示すマクロパターンなどを作製され得る。
【0030】
ロール104はロール102に類似しているが、円周全体にとぎれずに延びることができる隆起部を有さず、ロール104は、ロール104の少なくとも一部分の周りに離間した関係で延びる、周囲方向に離間した歯110の列となるように修正された、円周方向に延びる複数個の隆起部の列を備える。ロール104の歯110の個々の列は、対応する溝112により分離される。作動中、ロール102及び104は、ロール102の隆起部106がロール104の溝112内まで延び、ロール104の歯110がロール102の溝108内まで延びるように噛み合う。噛み合いが、以下に説明するように、図7の断面表現でさらに詳細に示されている。ロール102及び104の両方又はいずれかは、ホットオイルを充填したローラー又は電気的に加熱されたローラーを使用するなどの、当該技術分野において既知の手段により加熱され得る。
【0031】
タフト化した前駆体ウェブ21の一部が図3〜6に示されている。図示のように、タフト化した前駆体ウェブ21は、ほぼ平面的な二次元構成を有する前駆体ウェブ20により前駆体ウェブの両側に規定された第一区域2と、前駆体ウェブ20の繊維の一体化延出部から生じることができる、離間した房6及び不連続部16により規定された複数の別個の第二区域4とを有する。第二区域4の構造は、タフト化した前駆体ウェブ21のどちら側が配慮されるかによって異なる。図3に示すタフト化した前駆体ウェブ21の実施形態の場合、タフト化した前駆体ウェブ21の第一表面12と関連するタフト化した前駆体ウェブ21の側面で、第二区域4は房6を含み、そして各房6は、第一表面12から外側へ延びる複数のタフト化したループ状整列繊維8を含むことができる。房6はZ方向に大きな配向を有する繊維の房を含み、各房6は第一表面12の近位にあるベース5、及び第一表面12からZ方向に最も遠くにある遠位部3を有する。第二表面14と関連するタフト化した前駆体ウェブ21の側面で、第二区域4は、タフト化した前駆体ウェブ21の第二表面14の繊維配向不連続部16によって規定される不連続部16を含み、不連続部16は、ロール104の歯110が前駆体ウェブ20に食い込んだ位置に相当する。以下に示すように、タフト化した前駆体ウェブ21の他の実施形態では、房6がループ状繊維又は整列された繊維を含まないことが可能である。
【0032】
本明細書で使用する時、第二区域4の「一体化延出部」において使用する時のような用語「一体化」は、前駆体ウェブ20の繊維から始まる第二区域4の繊維を指す。従って、例えば、房6のループ状繊維8は、可塑的に変形され、及び/又は前駆体ウェブ20から延出された繊維であることができ、従って、タフト化した前駆体ウェブ21の第一区域2と一体であり得る。本明細書で使用する時、「一体化」は、例えば、従来のカーペット作製において一般的に行われるように、タフトを形成するために別個の前駆体ウェブに導入されるか、又は追加される繊維とは区別されるものである。本発明のウェブ1のいくつかの実施形態がこのような追加繊維を用いるけれども、好ましい実施形態では、房6の繊維はウェブ1と一体である。
【0033】
房6にループ状繊維を有する、本発明のウェブ1のための適切な前駆体ウェブ20は、ループ状繊維8が形成されるように、十分な繊維モビリティー及び/又は樹脂変形及び引張伸びを受けることができる繊維を含むべきであることがわかる。しかしながら、前駆体ウェブ20の第一表面12の面の外へ強制移動された繊維の或る割合がループを形成しないで、代わりにちぎれ、結んでいない端を形成することがわかる。このような繊維は図4および5に結んでいない繊維端18として示されている。結んでいない繊維端18は本発明にとって必ずしも望ましくないということではないが、房6がループ状繊維8を主に含む場合に、ウェブ1は嵩高で柔軟な特徴をより容易に保持できると考えられる。好ましい実施形態において、Z方向に強制移動された繊維の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも約70%、及び最も好ましくは少なくとも約90%はループ状繊維である。
【0034】
図2に示すタフト化した前駆体ウェブ21の実施形態の代表的房6が、図3〜6にさらに拡大して示されている。房6が別の長手方向配向及び長手方向軸線Lを有するように、房6が実質上整列させられる複数のループ状繊維8を含むように、代表的房6はロール104の細長い歯110に形成されるタイプである。房6は、MD−CD平面内の長手方向軸線Lに一般的に直交する横断方向軸線Tも有する。図2〜6に示す実施形態では、長手方向軸線LはMDと平行である。一実施形態では、すべての間隔を置いて配置された房6は、一般に平行な長手方向軸Lを有する。好ましい実施形態では、房6が長手方向配向を有するけれども、いくつかの実施形態では、このような配向は無くても良い。例えば、ロール104の歯110が長い場合は、房6はいかなる長手方向配向も表示しない。
【0035】
タフト化した前駆体ウェブ21の単位面積当たりの房6の数、すなわち房6の面積密度は、1平方センチ当たり1つの房6から1平方センチ当たり30もの房6まで変化し得る。1平方センチメートル当り少なくとも10個、又は少なくとも20個の房6が最終用途に応じて存在し得る。一般的に、面積密度は、前駆体ウェブ21の全領域に渡って一様である必要はないが、房6は、線、ストリップ、バンド、円、などのような、予め定められた形状を有する領域内のような、タフト化した前駆体ウェブ21のある領域内にのみに存在し得る。
【0036】
図4に、そして図5及び6にはより明らかに示すように、細長い歯110がロール104で用いられる場合に、タフト化した前駆体ウェブ21の一実施形態における房6の繊維8の1つの特徴は、ループ状繊維8の優勢な方向性整列である。図5及び6に示すように、ループ状繊維8の多くは、図6におけるように平面図で見た時に横断方向軸Tに対してほぼ一様な整列を有することができる。「ループ状繊維8」は、繊維8がタフト化した前駆体ウェブ21で始まり、タフト化した前駆体ウェブ21で終ることを意味する。房6のループ状繊維8に対して「整列される」は、図6におけるように平面図で見た時にループ状繊維8が横軸Тと平行である大きいベクトル成分、好ましくは横断方向軸Tと平行である主要のベクトル成分を有するように、ループ状繊維8は大体配向されることを意味する。本明細書で使用する時、図6におけるように平面図で見た時に長手方向軸Lから45°超過の角度で配向されたループ状繊維8は、横断方向軸Tに平行な主要のベクトル成分を有する。本明細書で使用する時、図6におけるように平面図で見た時に長手方向軸Lから60°超過の角度で配向されたループ状繊維8は、横断方向軸Tに平行な主要のベクトル成分を有する。好ましい実施形態において、房6の繊維8の少なくとも50%、更に好ましくは少なくとも70%、更に好ましくは少なくとも90%は、有意の、更に好ましくは横断方向軸線Tに平行の、主要ベクトル成分を有する。繊維の配向性は、必要であれば、好適な測定尺度に合わせた顕微鏡などの拡大手段を使用して測定することができる。一般に、平面図で見た繊維の線状でない区画の場合、長手方向軸L及びループ状繊維8の両方についての直線近似法を、長手方向軸Lからループ状繊維8の角度を測定するために使用することができる。
【0037】
第二区域4の房6におけるループ状繊維8の配向は、不織布前駆体ウェブ20の場合、実質的にランダムに配向される繊維整列を有すると称されるのが最もふさわしい第一区域2の繊維組成及び配向と対比さるべきである。織布ウェブ実施形態では、房6におけるループ状繊維8の配向は、上述の場合と同じであり得るが、第二区域2の繊維は、ウェブ、例えば方形織パターンを作製するために使用される特定の製織プロセスに関連する配向を有するだろう。
【0038】
図2に示す実施形態では、房6の長手方向軸LはMDに大体整列される。房6、従って長手方向軸Lは、原理的に、ロール102A及び104に対して対応する変更を加えて、MDまたはCDに対して任意の配向で整列され得る。従って一般的には、各房6に対して、ループ化整列化繊維8は、それらが、横断方向軸線Tに平行なかなりのベクトル成分、更に好ましくは横断方向軸線Tに平行な大部分のベクトル成分を有するように、長手方向軸線Lに一般に直交して配列される、と言うことができる。
【0039】
装置150について理解され得るように、従って、タフト化した前駆体ウェブ20の房6は、大略平面的かつ2次元として描かれ得る前駆体ウェブ20を機械的に変形させることによって作製される。「平面的」及び「二次元の」は、単に、ウェブが、第二区域4の形成によって付与された明確な平面外のZ方向の三次元性を有する完成ウェブ1に比べて平坦であることを意味する。「平面的」及び「2次元の」は、特定の平坦性、平滑性又は次元性を意味するものではない。前駆体ウェブ20がニップ116を通過するとき、ロール104の歯110はロール102Aの溝108に入り、繊維を前駆体ウェブ20の面の外へ同時に強制移動させて、房6及び不連続部16を含む第二区域4を形成する。実際、歯110は、前駆体ウェブ20を「押し」抜くか、又は「突き」抜く。歯110の先端が前駆体ウェブ20を押し抜くとき、CD内で歯110を横切って優勢に配向される繊維の一部が、歯110によって前駆体ウェブ20の面の外へ強制移動され、そしてZ方向に伸ばされ、引っ張られ、及び/又は塑性的に変形されて、房6のループ状繊維8を含む第二区域4の構造を生じる。長手方向軸線Lに大体平行に、すなわち前駆体ウェブ20の機械方向に優勢に配向される繊維は、歯110によって簡単にバラバラに広がり、前駆体ウェブ20の第一区域2内に実質的に留まることができる。
【0040】
図2に、装置100が、1つの模様付きロール、例えばロール104と、1つの模様の付かない溝付きロール102とを有する1つの形体で示されている。しかしながら、特定の実施形態において、それぞれのロールの同一の、又は異なる対応区域において、同一の、又は異なる模様を有する2つの模様付きロールを使用することによってニップ116を形成することが好ましいこともある。このような装置は、タフト化したウェブ21の両側から突き出る房6付きのウェブ、並びにウェブ21にエンボス加工されるマクロ模様を製造することができる。
【0041】
房6の数、空隙、及び寸法は、歯110の数、間隔、及び寸法により、並びにロール104及び/若しくはロール102に必要な対応寸法を変えることにより変わり得る。この変化は、前駆体ウェブ20で可能な変化及び処理における変化、例えばラインスピードとともに、多くの多様なタフト化したウェブ21が多くの目的のために作製されることを可能にする。例えば、MD及びCD延伸性がある糸を有する大坪量の疎水性布地から作製されるタフト化したウェブ21は、干し草(家畜飼料用)の飼料品質を改善する、通気性で撥水性もある干し草のカバーとして使用するために、以下にさらに説明するように、通気性ウェブ1に作製され得る。延伸性があるスパンボンドポリマー繊維の比較的小さい坪量の不織布ウェブから作製されるタフト化したウェブ21は、例えば、家具、床、又はドアノブを清浄にするために、家庭で使用するダスティングクロス布地として使用され得る。以下により完全に説明するように、タフト化したウェブ21及びウェブ1はまた、使い捨て吸収性製品、例えば、包帯、ラップ、失禁デバイス、おむつ、生理用ナプキン、おりものシート、及び痔処理パッドなどでも使用され得る。
【0042】
幾つかの実施形態において、以下に説明するように、房6を形成する好ましい方法に起因する、房6の別の特徴は、房6の内部に規定された開放空隙エリア10を特徴とするそれらのほぼ開放した構造である。「空隙エリア」は、いかなる繊維も全く存在しないことを意味するものではないが、そのおおよその外観に関する概略的な説明としての意味を持つ。従って、幾つかの房部6において、1つのループ状繊維8又は複数のループ状繊維8が空隙エリア10に存在してもよい。「開放」空隙エリアは、房6が、図4及び5に示すように「トンネル」構造のようなものを形成するように、房6の2つの長手方向の端部はほぼ開放であり、繊維が無いことを意味する。
【0043】
さらに、タフト化したウェブ21を作製する好ましい方法の結果として、第二表面14に関連する第二区画4は、以下に詳細に説明するように、成形構造体の歯によって房6中に一方向(すなわち、図3〜5に示すように、MD−CD面にほぼ直交する「面外」の方向を示すために、不織布技術分野で広く理解されている「Z方向」)に強制移動させられた第二表面14の以前はランダムな繊維によって規定されるほぼ線状のくぼみによって特徴付けられる不連続部16である。前駆体ウェブ20の以前にランダムに配向された繊維が示す配向性の急激な変化が不連続部16を規定し、この不連続部16は、それが房6の長手方向軸Lにほぼ平行な長手方向軸を有するものとして記述され得るような線形性を示す。前駆体ウェブ20として有用な多くの不織布ウェブの性質により、不連続部16は、房6と同じようにはっきりと目立つものではあり得ない。このために、タフト化した前駆体ウェブ21の第二側面の不連続部16は、気付かれずに済み、タフト化した前駆体ウェブ21が念入りに検査されなければ通常は検出されない。従って、いくつかの実施形態では、タフト化した前駆体ウェブ21はテリークロスの見た目を第一側面に、及び比較的滑らかな柔らかい見た目を第二側面に有することができる。他の実施形態において、不連続部16は開口のように見えてもよく、トンネルのようなループ状房6の端部を介してタフト化した前駆体ウェブ21を貫く開口であってもよい。
【0044】
さらに、前駆体ウェブ21を作製する好ましい方法の結果として、第二区域4がループ状の整列した繊維8を有しても有さなくても、各々は、前駆体ウェブ21の第一表面12及び第二表面14のそれぞれに、又はその近くに顕著な線形性を示す。ロール104の細長い歯110の形状によって、前駆体ウェブ20の第二区画4はそれに関連する線状配向をそれぞれ有することがわかる。この線状配向は、以下に説明するように、歯110も前駆体ウェブ21を有する場合に前駆体ウェブ21を作製する方法の避けられない結果である。この線状配向を理解する1つの方法は、前駆体ウェブ21の第二表面14の不連続部16の線状配向を考察することである。同様に、房6が前駆体ウェブ21の第一表面12から除去されるならば、第二区域4は前駆体ウェブ21の第一表面12上における線状の不連続部のように、例えば、あたかも線状のスリット又は切断部が房6の位置に作られたように見えるであろう。この線状のウェブ不連続部は、長手方向軸Lに方向的に対応する。
【0045】
タフト化したウェブ21に関する説明から、房6のループ状繊維8が前駆体ウェブ21の第一表面12又は第二表面14のいずれかから始まり延出することが分かる。もちろん、房6の繊維8は、その上前駆体ウェブ21の内部19から延びることができる。房6の繊維8は、前駆体ウェブ20のほぼ2次元の面の外へ強制移動された(すなわち、図3に示すように、「Z方向」に強制移動された)ことによって延びる。一般に、第二区域4の繊維8又は18は、繊維ウェブの第一区域2の繊維と一体化され、そこから延出する繊維を含む。
【0046】
ループ状繊維8の延出は、繊維の塑性変形及びポアソン比の効果に起因して、繊維の断面寸法(例えば、丸形繊維の場合は直径)が全体的に縮小されることを伴い得る。従って、房6の繊維8の一部は、前駆体ウェブ20の繊維並びに第一区域2の繊維の平均繊維直径よりも小さい平均繊維直径を有し得る。繊維の断面寸法の減少は房6のベース5と遠位部3との間で最大であることがわかった。これは、以下により十分に説明するように、房6のベース5及び遠位部3の繊維の部分が、それらが処理中摩擦によりロックされ、固定されているように、ロール104の歯110の先端に隣接していることによると考えられる。従って、房6の中間部分はより伸長しやすいか、又は細長く、その結果、対応する繊維の断面寸法の減少をよりこうむりやすい。
【0047】
図7は、隆起部106及び歯110を含む、噛み合いロール102(並びに102A及び102B、以下に説明)及び104の一部を断面図で示している。示されるように、歯110は、歯の高さTH(THはまた、隆起部106の高さにも適用することができ、好ましい実施形態において、歯の高さと隆起部の高さは等しい)と、ピッチPと呼ばれる歯間間隔(又は隆起部間の間隔)とを有する。示されるように、係合部Eの深さ(DOE)は、ロール102と104との噛み合いレベルの測定値であり、隆起部106の先端から歯110の先端までを測定する。係合部Eの深さ、歯の高さTH、及びピッチPは、本発明の前駆体ウェブ20の特性及びウェブ1の所望の特徴に依存して、必要に応じて変えられ得る。例えば、一般的に、房6においてループ状繊維を得るために、係合部Eのレベルが大きくなるにつれ、前駆体ウェブ20の繊維が所有しなければならない必要な繊維可動性及び/又は伸長特徴も大きくなる。また、所望する第二区域4の密度(ウェブ1の単位面積当たりの第二区域4)が大きくなるにつれ、ピッチは小さくなるべきであり、歯の長さTL及び歯の間隔TDも、以下に述べるように小さくなるべきである。
【0048】
図8は、坪量が約60gsm〜100gsm、好ましくは約70gsm、又は80gsm又は90gsmであるスパンボンド不織布前駆体ウェブ20から、スパンボンド不織布材のタフト化した前駆体ウェブ21又はウェブ1を作製するのに有用な複数個の歯110を有するロール104の1つの実施形態の一部を示す。図8に示す歯110の拡大図が、図9に示されている。ロール104の本実施形態において、歯110は、一般に歯の先端111の前縁LEから後縁TEまでを測定した円周の長さ寸法TLが約1.25mmで均一であり、約1.5mmの間隔TDで、互いに円周上で均一に離間している。約60〜100gsmの範囲にある坪量を有する前駆体ウェブ20から柔らかい繊維ウェブ1を作製する場合に、ロール104の歯110は、約0.5mm〜約3mmの長さТL、約0.5mm〜約3mmの間隔TD、約0.5mm〜約10mmの歯の高さTH、及び約1mm(0.040インチ)〜2.54mm(0.100インチ)のピッチPを有し得る。係合部Eの深さは、約0.5mm〜約5mm(歯の高さTHに最大に近づくまで)であり得る。勿論、E、P、TH、TD及びTLは、所望の寸法、空隙、及び房6の面積密度(ウェブ1の単位領域当りの房6の数)を実現するために互いに独立にそれぞれ変わり得る。
【0049】
図9に示すように、各歯110は、先端111と、前縁LEと、後縁TEとを有する。歯の先端111は、繊維の破断を最小にするために丸いことがあり、細長いことが好ましく、第二区域4の長手方向軸Lに相当する、ほぼ長手方向の配向を有する。タフト化したとして記述され得るウェブ1の房6を得るために、LE及びTEは、ロール104の局所的な周囲表面120に対して正にほぼ直交するべきであると考えられている。その上、先端111及びLE又はTEからの変化は、使用中歯がLE又はTEで前駆体ウェブ20を押し抜くように十分に小さい曲率半径を有する、直角のような比較的鋭い角度であるべきである。理論に束縛されるものではないが、歯110の先端とLE及びTEとの間に比較的鋭角な先端遷移部を有することにより、歯110は前駆体ウェブ20を「きれいに」、即ち、局所的且つまぎれもなく押し抜くことができ、それにより、結果生じたウェブ1は、例えば「エンボス加工された」ではなく、第二区域4において「タフト化した」ものとして記述され得ると考えられている。そのように加工処理される時、ウェブ1は、前駆体ウェブ20が元々所有していたであろうものを超えるいかなる特定の弾性をも付与されない。
【0050】
歯110が好ましい実施形態において細長いと記述されたけれども、タフト化したウェブ1を製造するために歯110が細長いことは必要ではないことがわかる。例えば、歯の長さТLは歯の幅にほぼ等しくできて、これは、例えば、所望のピッチPに依存して変えられ得る。このような歯は、1:1の歯の長さの歯の幅に対する縦横比を有することが可能であり、ほぼ方形又は丸い断面を有するとして記述され得る。歯110の寸法、形状、配向、及び空隙は、多様なウェブ1の特性及び特徴を与えるために、ロール104の外周及び幅を変更できることも考えられる。例えば、歯110は細長く、MDから或る角度で向けられることが可能であり、歯の長さТLの長さ寸法がロール104のCDに平行に向けられるように、置かれることさえできる。
【0051】
より高いラインスピード、即ち、回転するロール102及び104のニップに通す比較的より高い加工処理速度で、同様の材料は、非常に異なる房6の構造、即ちタフトを示し得る。例えば、図10及び図11は、同じ加工処理条件の同じ材料から作製されたタフト化した前駆体ウェブ21における、唯一の違いはロール102及び104の回転速度、即ち、タフト化した前駆体ウェブ21に加工処理される前駆体ウェブ20のラインスピード(長さ/時間単位)である、代表的な房6を示している。図10及び図11に示す各ウェブに使用される前駆体ウェブ20は、ポリプロピレンを含み、サウスカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville,SC)にあるBBAノンウーブンズ(BBA Nonwovens)から入手可能であって、ソフスパン(Sofspan)200(登録商標)という商品名で販売されている、25gsmの不織布ウェブであった。図10に示すウェブは、約3.4mm(約0.135インチ)の係合部Eの深さ、約1.5mm(約0.060インチ)のピッチP、約3.7mm(約0.145インチ)の歯の高さTH、1.6mm(約0.063インチ)の歯の間隔TD、及び約1.25mm(約0.050インチ)の歯の長さТLを有する、ロール102及び104のニップ116によって処理された。ウェブは、約15m/分(毎分約50フィート)のラインスピードで走行した。図11に示すウェブは、図10に示すウェブと同じであり、毎分約150m(毎分約500フィート)であったラインスピードを除いて同じ条件下で加工処理された。
【0052】
図10及び図11の精査から分かるように、示される房6は顕著に異なる。図10に示す房6は、図2〜6に示す房と構造の点で類似する。すなわち、それは、わずかな破断した繊維、例えば図5に示すような繊維18とともにほぼ整列されたループ状繊維8を示す。しかしながら、図11に示す房6は、非常に異なる構造、即ち、比較的高い速度で房6を形成するように加工処理されるいくつかのスパンボンド不織布材の典型であるように見える構造を示す。固着領域の大部分が処理中に繊維の転位及び移動を阻止するように、非常に固く固着されたスパンボンド不織布材の典型であると考えられる。この構造は、房6の近位部、即ち基部5と、房6の遠位部、即ち頂部3との間の破断した繊維を示し、これは房6の頂部における繊維の「マット」7であるように見える。マット7は、房6の頂部を含み、その頂部で、破断していないループ状の繊維8によって支持され、また、もはや前駆体ウェブ20と一体ではない破断した繊維11の一部分を含む。つまり、マット7は、前駆体ウェブ20と以前は一体であったが、図1及び図2を参照して記述されるプロセスにおいて、十分に高いラインスピードで加工処理された後は前駆体ウェブ20から完全に離れる繊維部分を含む。
【0053】
比較的大きい坪量を有する前駆体ウェブ20は、一般に、マット7において比較的大きい繊維11部分を有するタフト化した前駆体ウェブ21を生じる。ある意味では、前駆体ウェブ20の場合、製造中、歯の先端110に非常に近接した前駆体ウェブ20の繊維含有量の大部分が、房6の遠位部3に対してZ方向に単に移動され、マット7を生じるように見える。
【0054】
繊維・繊維間移動性は、前駆体ウェブ20の繊維・繊維間固着を低下又は排除することによって増大され得る。熱固着は、加熱カレンダー・ボンディング・プロセスにおける不織布の意図的アンダーボンディングにおいて完全に排除されるか、又は著しく減らされ得る。このアンダーボンディングは、加熱カレンダーの表面温度を最適状態未満に下げること、及び/又はより低いボンディング圧力の使用によって達成され得る。このようなアンダーボンディングが正しく実行される場合に、大部分またはすべての繊維は、不織布がその後に機械的応力を受けると、繊維の著しい破断なしにアンダーボンディングされた場所から引き離され得る。このアンダーボンディングは繊維・繊維間移動性を増大させ、繊維の早過ぎる破断なしにより大きな不織布伸張性を可能にする。同様に、水流絡合ウェブは繊維・繊維間移動性を増大させるために絡み合いが少ないようにできることが好ましい。どの前駆体ウェブ20の場合でも、本明細書に開示されるように処理する前にそれを潤滑にすることもまた、摩擦係数の減少によって繊維間移動性を増大させる。例えば、前駆体ウェブ20がロール102及び104のニップ116に進入する前に、鉱物油の潤滑剤を前駆体ウェブ20に塗布することができる。繊維間移動性を増大させるために前駆体ウェブ20に塗布される他の適切な潤滑剤又は局所処理剤には、水、界面活性剤、シリコーン含有材料、繊維仕上げ剤、フルオロポリマー、及びそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。繊維間移動性を増大させる別の方法は、溶融添加剤をポリマーに加えることである。適切な溶融添加剤は、シリコーン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸アミド、フルオロポリマー、ポリエチレンワックス、無機充填剤、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、及び摩擦係数を変更することが分かっている他の添加剤を含むが、それらに限定されない。
【0055】
図1を再び参照すると、房6が形成された後に、タフト化した前駆体ウェブ21は、回転ロール104上をロール104と第一ボンディングロール156との間のニップ117まで進む。ボンディングロール156は多くのボンディング技術を容易にできる。例えば、ボンディングロール156は、熱エネルギーをニップ117に付与し、それによってタフト化したウェブ21の隣接する繊維を房6の遠位端(先端)で溶融ボンディングする、加熱スチールローラーであり得る。ボンディングロール156はまた、圧力だけ、又は熱及び圧力を用いて熱ボンディングを容易にできる。一実施形態では、例えば、ニップ117は房6の遠位端を圧縮するのに十分な幅で設定されることが可能であり、これは、高速の処理で、熱エネルギーを繊維に移動させることが可能であり、そのときリフローで固着できる。
【0056】
ボンディングロール156はまた、接着剤又はラテックス接着剤のような固着剤を房6の遠位端に塗布する、及び/又は硬化させる装置の一部であり得る。例えば、ボンディングロール156は、このような固着剤に印刷するグラビア印刷装置の一部であり得る。実施されるボンディングの種類に依存して、ボンディングロール156は、滑らかなスチール面、又は比較的柔らかい可撓性面であり得る。好ましい実施形態では、以下に好ましいウェブと関連して説明するように、ボンディングロール156は、房6の遠位端の隣接する繊維を熱的に固着するために、十分な熱エネルギーをタフト化したウェブ21に付与するように設計された加熱ロールである。熱固着は、隣接する繊維を直接溶融固着することによって、又はその結果として隣接する繊維を固着する、ポリエチレンパウダーのような、中間熱可塑性樹脂剤を溶融することによって行われ得る。ポリエチレンパウダーはこのような目的のために前駆体ウェブ20に追加され得る。
【0057】
第一ボンディングロール156は、房6の遠位端3で繊維8又は18を溶融、又は部分的に溶融するために十分に加熱され得る。第一ボンディングロール156で必要な熱量又は熱容量は、房6の繊維の溶融特性及びロール104の回転速度に依存する。第一ボンディングロール156で必要な熱量はまた、ボンディングロール156とロール104の歯110の先端との間に生じる圧力、並びに房6の遠位端3で所望される溶融の度合に依存する。一実施形態では、ボンディングロール156は、房6の遠位端3で固着繊維を溶融するだけでなく、実質的に、房6の端部を切り開くように固着部分を切り開くために、十分な熱及び圧力を提供できる。このような実施形態では、房は2つの部分に分割されるが、もはやループ状ではない。一実施形態では、圧力だけが、房のループ状部分を切り開いて、房6を繊維の自由端の非ループ状房にすることを可能にする。スピニング・ワイヤー・ブラッシュ・ホイールの使用のような、当技術分野で周知の他の方法も同様に、ループ状繊維のループを切断して非ループ状房を形成するために利用され得る。
【0058】
一実施形態では、第一ボンディングロール156は、加熱スチール円筒ロールであり、房6の隣接する繊維の固着を溶融するのに十分な表面温度を有するまで加熱される。第一ボンディングロールは、内部電気抵抗ヒーター、ホットオイル、又は当技術分野で周知の加熱ロールを作製するその他の手段によって加熱され得る。第一ボンディングロール156は、適切なモーター及び当技術分野で周知の連結装置によって駆動され得る。同様に、第一ボンディングロールは、ニップ117が正確に調整され、設定され得るように、調整可能な支持体に取り付けられ得る。
【0059】
一実施形態では、ボンディングロール156による固着は、必要に応じて、ローション、感圧性接着剤、インク、塗料、又は他のコーティングの塗布と組み合され得る。例えば、加熱ボンディングロール156は、高温のインクを十分に供給して、印刷模様をタフト化した前駆体ウェブ21に付与することができるグラビアロールであり得る。同様に、スキン効果を与えるのに適切なローションはボンディングロール156によって供給され得る。この方法でインク又は他のコーティングを塗布する重要な利点は、コーティングが房6の遠位端に堆積されて、ウェブ1の片面を有効に覆うために必要なコーティングの量を節約することができることである。別の実施形態では、ローション、コーティング、インクなどの塗布が、ボンディングロール156による固着なしに加えられ得る。
【0060】
図12は、ニップ117によって処理されて、中間ウェブ22になった後のタフト化した前駆体ウェブ21の一部を示し、これはさらなる処理なしに本発明のウェブ1であり得る。中間ウェブ22は、房6の遠位端3が固着されていることを除いて、前述のタフト化した前駆体ウェブ21と類似であり、少なくとも部分的に固着されて、遠位にある溶融固着部分9を形成するように、隣接する繊維が熱的に溶融固着されることが好ましい。一実施形態では、中間ウェブ22は、100%のポリエチレン/ポリエチレン(シース/コア)2成分繊維を含む80gsmのスパンボンド不織布を含む前駆体ウェブ20から作製され得る。上述のプロセスによって房6を形成した後に、隣接する繊維部分が互いに固着されて、溶融固着部分9を有する房6を形成するように、房6の遠位部3は加熱されて、個別2成分繊維のポリエチレン部分を熱的に固着することができる。
【0061】
遠位にある溶融固着部分9は、熱エネルギー及び圧力を房6の遠位部に加えることによって作製され得る。遠位にある溶融固着部分9の大きさ及び質量は、房6の遠位部に付与される熱エネルギーの量、装置159のラインスピード、及び熱印加の方法を変更することによって変更され得る。
【0062】
別の実施形態では、遠位にある溶融固着部分9は放射熱を加えることによって作製され得る。つまり、一実施形態では、放射熱が、房6の遠位にある溶融固着部分の繊維部分を柔らかく又は溶融するのに十分な距離で、かつ対応する十分な時間で、房のある前駆体ウェブ21に向けられ得るように、ボンディングロール156は放射熱源によって置き換えられるか、又は補完され得る。放射熱はどんな既知の放射熱ヒーターによっても加えられ得る。一実施形態では、放射熱は、ウェブがワイヤーの方へ動かされるとき、放射熱エネルギーが房6の遠位にある部分を少なくとも部分的に溶融するに十分に近く、かつ、均一に離間してCD方向に延長されて、タフト化した前駆体ウェブ21に対して配置される抵抗加熱ワイヤーによって供給され得る。別の実施形態では、加熱された平らなアイロン、例えば、衣類にアイロンをかけるための手持ちアイロンなどは、溶融がアイロンによって達成されるように房6の遠位端3に隣接して保持され得る。
【0063】
上述のように、中間ウェブ22を処理する利点は、房6の遠位端3が房6を圧縮せずに、又は平らにせずにニップ117の或る量の圧力の下で溶融され得ることである。そのようにして、三次元ウェブは製造され、セットされ、又は形状に「ロックドイン」されて、いわば、フォーミング後に熱固着を施すことによって形状化することができる。従って、実質的に固着されてないウェブは装置150によって処理されて、ウェブがその三次元性を維持することを確実にすることに役立つ方法で固着され、形成され得る。このようなセットされた三次元ウェブは、使用されるウェブ材料の種類及び生じるセットの量に依存して、所望の伸張又は弾性特性を有することができる。さらに、ウェブ1が圧縮又はせん断力を受ける場合に、遠位にある固着又は溶融された部分9は房6のタフト化したロフテイ構造を維持するのに役立ち得る。例えば、第一区画2と一体であるが、それから延びる繊維を含み、かつ遠位にある溶融固着部分9を有する房6を有するために、上に開示したように処理されるウェブ1は、供給ロールへの巻き付け、及びその後の巻き戻しに因る圧縮後に、改善された形状保持力を有することができる。房6の遠位部で隣接する繊維をともに固着することによって、房は圧縮によるランダムな圧壊を受けることが少ない、つまり、房6の全構造はどちらかといえばともに動き、それによって、ウェブの表面の摩擦に付随する圧縮及び/又はせん断力などで秩序を乱された時により良い形状保持力を可能にすると考えられる。拭き取る又は擦る応用に用いる場合に、房6の固着遠位端はまた、ウェブ1の毛羽たち又は毛玉を減らす、又は排除することができる。
【0064】
別の実施形態では、ウェブ1は、房6の遠位にある部分にない、又はそこにだけない溶融固着部分を有することができる。例えば、ボンディングロール156について平らな円筒ロールの代わりに噛み合う隆起ローラーを使用することによって、房6の他の部分はベース5と遠位端3との間にはいる。同様に、溶融固着材料の連続線が房6の列の間の第一表面12上に作製され得る。
【0065】
一般に、1つの第一ボンディングロール156が示されているものの、固着が一連のニップ117で、及び/又は様々な種類のボンディングロール156を伴って行われるように、プロセスのこの段階で1つより多いボンディングロールがあって良い。さらに、唯一のボンディングロールであるよりはむしろ、類似のロールは、機能的利益を付与する種々の表面処理剤のような、種々の物質を前駆体ウェブ20又はタフト化したウェブ21に移動させるために設けられ得る。例えば、タフト化したウェブ21又は中間ウェブ22の第一側面12は、種々の模様又はしるしを付与するためにインクで印刷され得る。ボンディングロール156と類似するロールは、例えば、グラビア印刷ロールであり得る。さらに、スキンケアローション、界面活性剤、疎水性物質などは、房6の遠位端3を含む、タフト化したウェブ21又は中間ウェブ22の第一側面12に付与され得る。このための追加ロールは、ボンディングロール156の前に、及び/又は後に装置150内に配置され得る。このような処理剤の塗布の技術分野で周知のどんなプロセスも利用できる。
【0066】
さらに、ローション、インク、界面活性剤などの物質が、ボンディングロール156の前又は後で、タフト化したウェブ21又は中間ウェブ22にスプレーされ、被覆され、スロット被覆され、押し出され、又は別の方法で塗布され得る。このような処理剤の塗布の技術分野で周知のどんなプロセスも利用できる。
【0067】
さらに、一実施形態では、追加ウェブがニップ117で導入され(図1に示さず)、ニップ117でタフト化した前駆体ウェブ21に固着され得る。つまり、追加ウェブは例えばロールストックから供給されて、ニップ117に持ち込まれて、積層構造を形成することが可能であり、積層体は房6の遠位端3と追加ウェブとの間に固着される。このようにして、ほぼ平らで滑らかな外面を有し、かつ、ほぼ空の容積を有する積層体を製造できる。このような実施形態では、房6は内部にあり、積層体の2つの外面を分離する。房6に比較的堅い繊維を用いることによって、このような積層体は柔らかい圧縮抵抗力のある不織布複合ウェブであり得る。
【0068】
中間ウェブ22は、本発明のウェブ1としてさらに処理するために、供給ロールで処理され得る。しかしながら、ウェブ1の好ましい実施形態では、中間ウェブ22は、図1に示すように、ニップ118の後でロール104から取り外されることによってさらに処理される。ニップ118はロール104と102Bとの間に形成され、ロール102Bはロール102Aと同じであることが好ましい。ロール102Bの周りを進む目的は、中間ウェブ22をロール104からそこに形成される房6を阻害することなく取り外すことである。ロール102Aが噛み合うのと同時に、ロール102Bがロール104と噛み合うので、中間ウェブ22がロール102Bに巻き取られるとき、房6はロール102Bの溝108に嵌合することができる。
【0069】
中間ウェブ22は、ロール102Bと第二ボンディングロール158との間のニップ119を通って処理され得る。第二ボンディングロール158は第一ボンディングロール156と設計が同じであり得る。第二ボンディングロール158は、十分な熱を中間ウェブ22の第二表面14の少なくとも部分的に溶融した部分に供給して、ロール102Bの隆起部106の先端とロール158のほぼ平らで滑らかな表面との間のニップ圧力に対応する、複数の交差しない、ほぼ連続する溶融固着領域11を形成することができる。
【0070】
第二ボンディングロールは、プロセスにおける唯一の固着工程として使用され得る(すなわち、房6の遠位端を固着することによって形成される中間ウェブ22を最初に有しないで)。このような場合に、ウェブ1はその第二側面14上に固着部分を有するタフト化したウェブであろう。しかしながら、一般に、ウェブ1は、房6の固着遠位端と、その第二側面14上の複数の交差しない、ほぼ連続する溶融固着領域11とを有する二重固着ウェブ1であることが好ましい。
【0071】
一般に、第一ボンディングロール156と同様に、第二ボンディングロール158は、化学的固着、例えば接着剤又はラテックス接着剤の塗布による固着、或いは圧力だけ、又は熱と組み合せた固着を容易にできる。同様に、第一ボンディングロール156と同様に、好ましい実施形態では、第二ボンディングロール158は加熱ロールであり、ウェブ22がニップ119を通過するとき、中間ウェブ22の隣接する繊維を溶融固着するために十分な温度に加熱されて、二重固着ウェブ23を形成し、これは本発明のウェブ1であり得る。
【0072】
図14に示すように、溶融固着領域11は溶融固着材料から成るほぼ直線で平行なストライプ又はバンドであり得る。この説明は加熱ロール158に関するものであることを留意すべきである。接着剤による固着の実施形態の場合、固着領域の同じ構造を達成できるが、勿論、それは「溶融固着」ではないだろう。一般に、溶融固着材料のバンド又はストライプが、不連続部16のすべての列の間に(すなわち、房6のすべての列の間に)配置されることは必要ではない。溶融固着材料11のストライプの数及び配置が必要に応じて変えられ得るように、第二ボンディングロール158は所定の位置でだけニップ119と接触するように設計され得る。さらに、ロール104の隆起部106が不連続である場合は、溶融固着部分は、例えばMD配向でダッシュ又はドットに見える材料から成る不連続なストライプ又はバンドであり得る。
【0073】
ウェブ1の使用に基づいて生じ得る多くの変更形態がある。溶融固着領域11は、引き裂くための穿孔の一種を形成するか、又は材料を機械的に弱体化させるかもしれない列を成し得る。あるいは、いくつかのウェブ1で中間又はジグザグ状の溶融固着領域11を有するだけであることが望ましいかもしれない。これは材料の強度が重要である場合に望ましいかもしれない。中間又はジグザグ状の溶融固着領域11は歯110をジグザグにするか、又は他の機械的調整によって生じ得る。
【0074】
図15の断面図に示すように、本発明のウェブ1は、房6の遠位端に溶融固着領域、並びに第二表面14上に溶融固着領域11のストライプ又はバンドを有することができる。溶融固着領域11は実質上表面固着されているだけであるかもしれず、又は、ニップ119の時間、圧力、及び温度との関係に応じて、ウェブ1を通して実質上固着されて、第一表面12上のいくつかの繊維さえも固着できる。第一ボンディングロール156と同様に、第二ボンディングロール158の熱出力は、領域11で必要な溶融固着の量を生成するのに必要な移動熱量を供給するために調整され得る。
【0075】
一般に、1つの第二ボンディングロール158が図1に示されているものの、固着が一連のニップ119において、及び/又は様々な種類のボンディングロール158を伴って行われるように、プロセスのこの段階で1つより多いボンディングロールがある。このような場合に、もしかしたら、複数のロール158がロール102Bの外周の周りにニップ119を形成するように、ロール102B及び158の周辺がそれ相応に調整されるかもしれない。さらに、唯一のボンディングロールであるよりはむしろ、類似のロールは、機能的利益を付与する種々の表面処理剤のような、種々の物質をウェブ1に移動させるために設けられ得る。例えば、タフト化したウェブ21又は中間ウェブ22の第一側面12は、種々の模様又はしるしを付与するためにインクで印刷され得る。ボンディングロール156と類似するロールは、例えば、グラビア印刷ロールであり得る。さらに、スキンケアローション、界面活性剤、疎水性物質などは、房6の遠位端3を含む、タフト化したウェブ21又は中間ウェブ22の第一側面12に付与され得る。このための追加ロールは、ボンディングロール156の前に、及び/又は後に装置150内に配置され得る。このような処理剤の塗布の技術分野で周知のどんなプロセスも利用できる。
【0076】
さらに、ローション、インク、界面活性剤などの物質が、ボンディングロール156の前又は後で、房状ウェブ21又は中間ウェブ22にスプレーされ、被覆され、スロット被覆され、押し出され、又は別の方法で塗布され得る。このような処理剤の塗布の技術分野で周知のどんなプロセスも利用できる。
【0077】
いくつかの実施形態では、溶融固着領域に開口を形成することが望ましいかもしれない。房6の遠位端の溶融固着領域及び第二表面14上の溶融固着領域11は開放であるか、又は溶融固着領域が形成された後に伸張工程を利用することによって、開口に形成されるかもしれない。伸張工程はリングローリング又はその他の種類の伸張であり得る。開口がループの基部に必要である場合に、第二表面14上の溶融固着領域11は形成され、次にウェブ11はリングロールされる。
【0078】
ウェブ1を形成した後に、それは保管及び他の製品の部品としてのさらなる処理のために供給ロール160に巻き取られる。
【0079】
本発明のウェブ1は、選択された特徴を有する工学的材料を製造する多くの機会を提供する。例えば、ウェブ1は、カード前駆体ウェブ20における短繊維の長さを選択することにより作製されることができ、それにより、房6において露出した繊維端部を有する可能性を統計的に予測することができる。また、短繊維のカードウェブは、スパンボンド不織布ウェブとブレンドされるか、又は積層され、ハイブリッドを作り出すことができ、それにより、第二区域4の房6は主にループ状のスパンボンド繊維を含み、第一区域2はカード繊維及びスパンボンド繊維の両方を含む。繊維の種類、短繊維の長さ、繊維の層化及び前駆体ウェブ20の他の変形は、ウェブ1の所望の機能的特徴を生むように所望により変更することができる。
【0080】
本発明のプロセス及び装置の利点の1つは、最小の繊維・繊維間固着がある前駆体ウェブ20からの固着不織布ウェブの製造である。例えば、前駆体ウェブは、不織布ウェブの分野において一般に既知であるように、区別される熱点結合の模様を有する不織布ウェブであり得る。一般に、また一方、最大の繊維移動性及び転位を可能にするために、固着点の数を最小にし、その間隔を最大にすることが望ましい。あるいは、もし適切な配慮及び技術が非固着ウェブをニップ116に呈するために使用されるならば、非固着前駆体ウェブ20を使用できる。適切な配慮及び技術は、例えば、繊維置き場からニップ116への真空コンベヤーベルトの使用によって達成され得る。このようなウェブでは、繊維は最大の繊維移動性を有することが可能であり、ウェブ固着は、安定したタフト化したウェブを形成するために第一ボンディングロール156で起こり得る。一般に、比較的大きな直径、及び/又は比較的高い破壊するまでの伸張、及び/又は比較的高い繊維移動度を有する繊維を使用することは、より優れた、より個別に形成される房6を生じる。
【0081】
ウェブ1は、好ましい実施形態において、単層の前駆体ウェブ20から作製された単層ウェブとして開示されているが、必ずしもそうである必要はない。例えば、2つ又はそれ以上の層又はプライを有する積層又は複合前駆体ウェブ20を使用することができる。一般に、ウェブ1についての上の説明は、例えば積層前駆体ウェブから形成されるループ状整列繊維8が、積層体の1つ、又は両方(又はすべて)の層による繊維から成り得ることを認めている。このようなウェブ構造では、従って、すべての層の繊維が、伸長に先立って破断せず、かつ積層体のすべての層からの繊維が房6に寄与することが要求される場合は房になるように、十分な直径、伸び特性、及び繊維移動性を有することは重要であり得る。
【0082】
多層ウェブ1は単層ウェブ1よりも大きな利点を有し得る。例えば、2つの前駆体ウェブ20A及び20Bを用いる多層ウェブ1による房6は、2つの前駆体ウェブをともに「ロック」して、層の間の接着剤又は熱固着の使用または必要性無しに積層ウェブを形成する「入れ子になった」関係で繊維を含み得る。他の実施形態では、多層ウェブは、層内の繊維が同じ伸張性を有しないように選ばれ得る。このようなウェブは、繊維を下層から、繊維を房6に寄与させることが少ないか、又は全く寄与させない上層へ押し抜くことによって、房6を生成できる。例えば、積層ウェブの上層は、本発明の装置によって処理される場合に簡単に「突き通される」ポリマー膜であり得る。このようなウェブでは、第二ボンディングロール158は、例えば、ポリマー膜を不織布上層に溶融固着するために使用されるかもしれない。一般に、追加ウェブ層を含む材料の追加層は、固着などによって、ウェブ1のどちらかの側面に積層することによりウェブ1に固着され得る。
【0083】
多層ウェブ1において、各前駆体ウェブは異なる材料特性を有し、それによりウェブ1に有益な特性を提供することができる。例えば、2つ(又はそれ以上)の前駆体ウェブ、例えば、第一前駆体ウェブ20A及び第二前駆体ウェブ20Bを含むウェブ1は、以下により十分に記述されるように、使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用するのに有益な流体処理特性を有することができる。優れた流体処理特性に関して、例えば、第一前駆体ウェブ20Aは、上側層(即ち、使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用する時には身体に接触する)を形成し、比較的疎水性の繊維から成ることができる。第二前駆体ウェブ20Bは、比較的親水性の繊維から成る下側層(即ち、使い捨て吸収性物品で使用される時、トップシートと吸収性コアとの間に配置される)を形成し得る。上側の比較的疎水性の層上に付着した流体は、下側の比較的親水性の層へ迅速に移送される。観察された迅速な流体移送の1つの理由は、房6の概ね整列した繊維8、18により形成された毛管構造である。繊維8、18は、隣接する繊維の間に方向的に整列した毛管を形成し、毛管現象は、房6の近位部分5近くで繊維が概ね集合することによって高められる。
【0084】
急速な流体輸送が、房6によって生成される空隙10を経由してウェブ1に入る流体の能力によってさらに向上すると考えられる。この「横への進入」能力、及び/又は毛管現象、及び/又はウェブ1の構造により提供された親水性勾配により、ウェブ1は使い捨て吸収性物品に最適な流体処理用の理想的な材料となる。特に、多層ウェブ1は流体処理特徴の点で更に大きな向上を提供し得る。ウェブ1が使い捨て吸収性製品で流体処理部材として使用される場合に、第一表面12が着用者の身体に向けられるか、又は着用者の身体から外れるように、ウェブ1は向けられ得る。従って、一実施形態では、房は着用者の皮膚に向って延びているだろうし、他の実施形態では、房は着用者から離れ、使い捨て吸収性物品の他の部品、又は着用者の衣服に向って延びるだろう。
【0085】
別の実施形態において、第一前駆体ウェブ20Aは、比較的柔らかい繊維(例えば、ポリエチレン)から成ることができ、一方、第二前駆体ウェブ20Bは、比較的剛性の繊維(例えば、ポリエステル)から成ることができる。このような多層ウェブ1において、房6は、圧力が加えられた後でさえも、図15に示すように一定の高さhを保有するか、又は回復できる。特に上述のような親水性勾配と組み合せた時の構造としてのそのような利益(当該技術分野において既知の手段により、繊維を疎水性又は親水性にすることができる)は、優れた流体獲得特性及び優れた再湿潤特性(即ち、トップシートの表面へ戻る流体の移動が少ない)を提供する女性用衛生製品におけるトップシートとして使用するのに好適なウェブ1である。第二前駆体ウェブ20Bの比較的剛性の繊維により提供される増大した剛性は、ウェブの増大した耐圧縮性のキャリパー(厚さ)を提供し、一方、第一前駆体ウェブ20Aの比較的柔軟な繊維は、ウェブ/皮膚の境界面に柔軟性を与えると考えられている。この余分なキャリパーは、流体を比較的含まない状態(隣接する繊維が一緒に固着されるための毛管現象の欠如に因る)を保持するための房6の遠位にある部分3の能力とともに、女性用衛生製品、並びに幼児用おむつ、成人用失禁用品、包帯などで使用するための優れた柔らかく乾いた(かつ乾いた感触の)トップシートをもたらす。
【0086】
図16〜18は、前駆体ウェブ20A又は20Bの材料特性に応じた房6についての可能な構造の代表的な概略図を示す。他の構造(図示せず)が達成され得るが、様々な構造に対する唯一の制限は、前駆体ウェブの材料特性に固有の制限である。
【0087】
従って、上の説明から分かるように、用いられる前駆体ウェブ20、歯110を含むロール102及び104の寸法パラメータ、並びに第一及び/又は第二ボンディングロール156及び158の加熱特性に依存して、本発明のウェブ1は広範囲の物理的特性を示すことができる。ウェブ1は、考慮される化学物質、及び遮蔽性能、耐アルカリ性、不透明度、拭き取り性能、吸水性、吸油性、水分透過性、断熱特性、耐候性、高強度、高引裂力、磨耗耐性、静電制御性、風合い、染料の親和性、安全性などとして一般に記述される他の多くの多様なパラメータに応じて、柔軟から粗いまでの主観的に体感する質感の範囲、非吸収性から非常に吸収性までの範囲の吸収性、比較的嵩が低いから比較的嵩が高いまでの範囲の嵩高性、低い引き裂き強さから高い引き裂き強さまでの範囲の引き裂き強さ、非弾性から少なくとも100%の弾性的延伸性までの範囲の弾性、比較的低い耐性から高い耐性までの範囲の耐化学性を示し得る。一般に、前駆体ウェブ20の繊維の伸張特性に応じて、装置150の寸法は、高さh(図15に示す)、間隔、及び個別房6の面積密度を含む、第二区画4と関連する広範囲の寸法を有するウェブ1を製造するために変えられ得る。
【0088】
一実施形態では、2層の積層ウェブ1は、第一及び第二加熱ロール156及び158について135℃(華氏275度)の加熱ロール温度を有する、本明細書に開示される方法及び装置によって製造され得る。ニップ116の係合部Eの深さは約1.8mm(約0.070インチ)〜約2.54mm(約0.100インチ)であり、そして約3.4mm(約0.130インチ)であり得る。歯の高さTHは約1.8mm(約0.070インチ)〜約3.4mm(約0.130インチ)であり、ピッチPは約1.5mm(約0.060インチ)〜約3.4mm(約0.130インチ)であり得る。積層ウェブは、約15メートル/分(約50フィート/分)〜約150メートル/分(約500フィート/分)のライン速度で通され得る。
【0089】
多層実施形態では、1つの層は45gsm50%/50%6デニールPET/2成分熱点固着カードウェブであり得る。PET繊維は、タイプ204という名称でノースカロライナ州シャルロッテのウエルマン社(Wellman, Inc., Charlotte, NC)から得られる、丸い断面形状を有する、界面活性剤処理PETのしわ形成された5.1cm(2インチ)カット長の繊維であり得る。2成分繊維は、タイプТ425という名称でジョージア州アトランタのファイバービジョンLB(Fibervision LB, Atlanta, GA)から得られる、比較的親水性の6デニールポリエチレン/ポリプロピレンのしわ形成された5.1cm(2インチ)カット長の2成分バインダー繊維(融点がより高いポリプロピレンコア/融点が低いポリエチレンシース)であり得る。すべてのパーセンテージは重量パーセンテージを指す。
【0090】
ウェブ1の別の2成分実施形態は上述のものと同様に作製され得るが、第一及び第二加熱ロール156及び158について146℃(華氏295度)の加熱ロール温度、並びに約152メートル/分(500フィート/分)のライン速度を有する。
【0091】
上述のウェブ1の2層実施形態の両方とも、その比較的親水性であることに少なくとも差異を有する不織布前駆体ウェブを使用し、生理用品で、具体的に言えば、以下により完全に説明するように、生理用ナプキンのカバーシート(例えば、トップシース)として使用するのに適している。別の実施形態では、第一前駆体ウェブは不織布であり、第二前駆体ウェブはポリマー膜であり、それにより、房6が形成される場合に、ポリマー膜は房を覆ってカバー又はキャップを形成する。例えば、図16に図式的に示す実施形態では、前駆体ウェブ20Aはポリマー膜であり、これは前駆体ウェブ20Bのタフト化した部分を覆うカバーを形成することが分かる。
【0092】
別の実施形態では、前駆体ウェブの1つは紙ウェブ、例えば、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Co.)によって販売されているバウンテイ(BOUNTY)(登録商標)ペーパータオルに類似するティッシュペーパーウェブなどであり得る。一実施形態では、メルトブローン又はスパンボンド不織布ウェブは紙ウェブに積層され、装置150によって処理されて、紙/不織布複合積層体を形成できる。不織布ウェブは予熱されるか、又は加熱状態にある間に紙ウェブに直接付着され得る。一実施形態では、約3〜約20グラム/平方メートルの坪量を有するポリマー繊維のスパンボンド又はメルトブローン層は、SMSラインの1つ以上のビームからティッシュペーパーの動くウェブに直接供給されて、ティッシュ/不織布積層体を形成できる。ティッシュ/不織布積層体は別のティッシュ層にさらに積層されて、ティッシュ/不織布(例えば、メルトブローン)/ティッシュを形成し、次に装置150のニップ116を通って処理され得る。上に開示のウェブの次の加熱がなくても、結果として生じる房のあるウェブは、例えば、拭き取り応用のための優れた一体性を有することが分かった。
【0093】
別の実施形態では、紙ウェブは、紙ウェブが熱可塑性樹脂繊維を含む不織布ウェブ20として使用され得る。例えば、熱可塑性樹脂繊維は、抄紙の湿った段階中にパルプ完成紙料に十分な量を追加されて、熱可塑性樹脂繊維の熱固着が房のあるウェブ1に向上した一体性を与えることを可能にする。例えば、十分な量とは抄紙完成紙料においてセルロース繊維の約10〜約20重量%のポリマー繊維であり得る。
【0094】
図19は、月経用物品、具体的に言えば、本発明のウェブ1をその構成部品の1つとして有する生理用ナプキンの部分切り欠け平面図を示している。一般に、生理用ナプキン200は、バックシート202と、トップシート206と、トップシート206とバックシート202との間に配置された吸収性コア204とを具備し、これらトップシート206及びバックシート202は、周辺部210の周囲で接合され得る。生理用ナプキン200は、一般には「ウィング」208と呼ばれる、生理用ナプキン200のユーザーのパンティの股領域の両側を包むように設計された側部伸張部を有し得る。生理用ナプキン200のトップシート206は、その身体に面する側に房6を有するウェブ1を含む。その身体面表面として使用するトップシートを含む生理用ナプキンは、当該技術分野において周知であり、様々な代替設計及び任意設計についての詳細な説明を必要としない。パンティーライナー、陰唇間装置などの他の月経用物品も、生理用ナプキンと同様の構造を有する。ウェブ1が、バックシート、吸収性コア材料、トップシート、二次トップシート、又はウィング材料の1以上として、又はコンポーネントとして、使用できることに留意する。
【0095】
図20は、本発明のウェブ1をそのコンポーネントの1つとして有する月経用タンポン300を一部切り取った斜視図を示す。一般に、タンポン300は、圧縮した吸収性コア302と、吸収性コア302を被覆する流体透過性のカバーラップ304とを具備する。カバーラップ304は、吸収性コア302の一端を超えて延出し、スカート部分306を形成してもよい。使用後のタンポンの除去を容易にするために、ストリング308のような除去手段を設けることができる。その身体に接触する表面として使用するカバーラップを含むタンポンは、当該技術分野において周知であり、様々な代替設計及び任意設計についての詳細な説明を必要としない。しかしながら、ウェブ1が、カバーラップ、吸収性コア材料、又は除去手段材料の1つ若しくはそれ以上のものとして、又はそのコンポーネントとして使用可能であることが注目される。機械的ファスナを有する幼児用おむつのような、他の使い捨て吸収性物品において、ウェブ1は、例えば、フック・ループ式ファスナの構成部品の1つであり得る。ウェブ1は、このようなファスナのランディングゾーンか、或いはこのようなランディングゾーンに係合するように設計されたテープ状ひものフック部分であり得る。
【0096】
本発明のウェブはまた、身体を清潔にし、かつ湿気を与えるための織り目加工されたボディクロスのような、拭き取り物品でも使用され得る。一実施形態では、ウェブ1は、シャワーにおいて身体を清潔にするための二重織り目加工された泡立て物品に組み込まれ得る。拭き取り繊維1は、下の表1に示す成分から調整される泡立て界面活性剤構成成分を含むことができる。
【0097】
【表1】
【0098】
成分を、陽イオン性ポリマーをグリコール及び界面活性剤と共に加熱下で塊にならないように連続的に攪拌しながら混合することにより調製できる。香料は冷却中に添加され得る。約60℃以上に加熱することにより発泡性界面活性剤構成成分は溶融し、冷却により硬い固体に固化する。パーセンテージは、それが含有する水を含む成分の重量パーセンテージである。
【0099】
上の成分は、図1の装置に関して上述したプロセスによって調整される重構造の積層ウェブ1に適用され得る。ウェブ1は、サウスカロライナ州シンプソンビルのBBAノンウォーベン(BBA Nonwovens, Simpsonville, SC)から調達できる、かつソフトスパン200(Softspan 200)(登録商標)という商品名で販売されている、ポリプロピレンを含む25gsm不織布ウェブであり、本発明の装置によって処理されて、房6の遠位端の溶融固着領域と、第二表面14上の溶融固着領域11のストライプ又はバンドとを有することができる。そのように調整されたウェブ1は詰め物に密封され、これは、ベルギーのリベルテックスNV(Libeltex, NV, Belgium)製の65gsmの坪量及び2.7mmの厚さを有するカーディング繊維の嵩張ったエアレイドブレンド(50%PET、50%PE/PPコア・シース2成分)である。不織布ウェブは物品に対して織り目加工された感触及び使用時の安定性の増大を与える。発泡性界面活性剤構成成分は液体まで加熱され、完成品当たり4グラムの割合で不織布とエアレイド層との間に3列にスロットコーティングされ得る。層は、ブランソンモデル9000超音波シーラー(Branson Model 9000 Ultrasonic Sealer)のような、超音波シーラーを用いて封止可能であり、この超音波シーラーは、3cm間隔で物品を横切る等間隔の直径4mmの封止ポイントの格子から成るドットパターンを封止する。封止ウェブは11.9cm×9.0cmの長方形に切断されて、完成品を生成できる。
【0100】
本発明のウェブ1を用いる重構造の積層品の第二例は、約16%の界面活性剤を有する市販ボディソープを組み入れることができる。ボディソープは市販されており、バス・アンド・ボディ・ワークス(Bath & Body Works)によって販売され、水、硫酸ラウレス(laureth)ナトリウム、ラウラミド(lauramide)DEA、TEAグルタミン酸ココイル、コカミドプロピル・ベタイン、芳香剤、ナトリウムPCA、アロエ葉ジュース、カリーカパパイヤ果実エキス、プロピレングリコール、ポリクオタニウム(polyquatemium)−10、防腐剤、芳香剤、PEG−150ジステアリン酸、塩化ナトリウム、及び染料を含む。重構造の不織布/エアレイドウェブは上の例におけるように調整されることが可能であり、次に上述の市販ボディソープに浸され、これは1100gsmの割合でウェブに追加されることが好ましい。ウェブは強制空気オーブンで乾燥されて、部分的に乾燥したときそれをひっくり返し、それがひっくり返されたとき余分のボディソープを拭き取ることができる。約16%の水分まで乾燥させた後に、ウェブは11.9cm×9.0cmの長方形に切断され得る。
【0101】
本発明のウェブ1を用いる重構造の積層品の第三例はメイクアップ・リムーバー・パッドであり得る。表2に示す次の化学成分は調整されることが可能であり、これはメイクアップを除去するのに有用である。相Aは75℃の水で調整されることが可能であり、これはこの例の界面活性剤成分であり得る。示された処方は添加された水を包含しない。成分相Bは、成分を別々に混合し、室温で相Bにブレンドすることによって調整され得る。
【0102】
【表2】
【0103】
物品は、界面活性剤成分を本明細書に記載のプロセス及び変更態様のどれかによって作製されるウェブ1に、ウェブの重量に基づいて約150%の追加割合で吹き付けることによって調整され得る。この物品は密閉容器に保管することができる。
【0104】
本発明のウェブ1及び装置150についての上の説明から理解できるように、ウェブ1の多くの種々の構造は、添付の特許請求範囲に請求されている本発明の範囲から逸脱せずに作製され得る。例えば、ウェブ1は、ローション、薬剤、洗浄用流体、抗菌溶液、エマルション、芳香剤、界面活性剤でコーティングされるか、又は処理されることができる。同様に、装置150は、房6をウェブ1の一部に形成するだけのために、或いは房6のいろいろなサイズ又は面積密度を形成するために構成され得る。さらに、構成前駆体ウェブ20は、装置150による処理に先立って、開口、エンボス加工、コーティングなどを有するように予め処理又は加工され得る。例えば、膜前駆体ウェブ20は真空成形又はハイドロフォーミングされて、米国特許第4,609,518号、第4,629,643号、第4,695,422号、第4,839,216号、第4,342,314号、又は第4,463,045号のいずれかに記載の三次元開口形成膜になり得る。
【0105】
さらに、本発明のウェブ1及び装置150についての上の説明から理解できるように、当業者には、当技術分野で既知である種々の追加プロセスは、種々の追加の構造を提供するために述べたプロセスと組み合され得ることが分かる。例えば、第一ニップ116に入るのに先立って、前駆体ウェブ20は、開口を設けるためにニップ116で少しずつ伸張され得る、複数の弱い溶融安定化させた位置とオーバーボンドされ得る。このようなプロセスは米国特許第5,628,097号に記載されている。さらに、異なる伸長特性を有する多重層が、米国特許第20030028165A1号に記載の方法と類似の方法で処理され得る。一般に、「リングローリング」又は「セルフィング」と当技術分野で通例称される既知のプロセスのいずれかが、特定の応用のためにウェブ1を製造するために必要に応じて装置150に組み込まれ得る。
【0106】
ウェブ1は多種多様な応用、例えば、エアフィルター、バッグフィルター、液体フィルター、真空フィルター、排水フィルター、及び細菌遮蔽フィルターのような種々のフィルターシート、コンデンサの分離ペーパー及びフロッピー(登録商標)ディスクの包装材料のような種々の電気器具用のシート、粘着性接着テープのベースクロス、オイル吸収材、及びフェルト紙のような種々の工業用シート、塗装面清掃、床の手入れ、及び他のホームケア用途のような種々のドライ又はウエットタイプの雑巾、家庭、サービス、及び医療用の雑巾、印刷ロール雑巾、コピー機を清掃する雑巾、幼児用雑巾、及び光学装置用雑巾のような種々の拭き取りシート、手術着、診察着、創部のケア、布製カバー、キャップ、マスク、シーツ、タオル、ガーゼ、パップのベースクロス、おむつ、おむつライナー、おむつカバー、女性用ナプキンカバー、女性用ナプキン又はおむつ確保層(カバー層の下に)、おむつのコア、タンポンライナー、ばんそうこうのベースクロス、ウェットタオル、紙タオル、ティッシュのような種々の医療及び衛生用のシート、心地、パッド、ジャンパーライナー、及び使い捨て下着のような種々の衣類用のシート、人工皮革及び合成皮革用のベースクロス、テーブルトップ、壁紙、ブラインド、ラッピング、乾燥剤用のパッケージ、ショッピングバッグ、スーツカバー、及び枕カバーのような種々の生活用具のシート、グランドカバー、砂防装置、寒冷及び日光遮蔽クロス、カーテン裏地、オーバーオールカバー用のシート、光遮蔽シート、農薬の包装材料、蒔種用ポットの裏地紙のような種々の農業用シート、ガス防止マスク、実験着、及び防塵服のような種々の保護シート、ハウスラップ、被覆材、濾材、分離材、オーバーレイ、屋根ふき材、房及びカーペットのベースクロス、内壁材、防音又は振動減衰シート、及び養生シートのような種々の土木建造物用のシート、並びに、フロアマット、トランクマット、成形天井材、ヘッドレスト、及び裏地、更にはアルカリ電池の分離シートのような種々の自動車の内部シートに使用され得る。他の用途は、おしり拭き、洗顔クロス、又は顔ふきのような個人の清浄又は衛生のための拭き取り用の布、或いはベビーウェアとしてウェブ1を用いることを含む。
【0107】
一実施形態では、ウェブ1又はウェブ1を含む複合物は糞便物質貯蔵要素として使用され得る。ウェブ1は、排便後、低粘度の糞便又は粘稠な体外排泄物を受容し、着用者の皮膚から離して保持するべく孔あきウェブ又はフィルムの下に配置される時、第二トップシート又は副層として利用することができる。ウェブ内又は房間の全三次元容量が更に大きい本発明の実施形態は、一般に、低粘度の糞便を貯蔵する能力がより高い。かかる糞便物質の貯蔵要素又は副層を採用する吸収性物品は、とりわけ、米国特許第5,941,864号、米国特許第5,957,906号、米国特許第6,018,093号、米国特許第6,010,491号、米国特許第6,186,992号及び6,414,215号に記載されている。
【0108】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。
【0109】
本発明の特定の実施形態が例示及び説明されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明のウェブを製造するプロセスの模式図。
【図2】図1で示される装置の一部分の拡大図。
【図3】タフト化したウェブの部分斜視図。
【図4】図3で示されるウェブの拡大部分。
【図5】図4で示されるウェブの一部の断面図。
【図6】図5で示されるウェブの一部の平面図。
【図7】図2で示される装置の一部の断面図。
【図8】本発明のウェブの1つの実施形態を形成する装置の一部の斜視図。
【図9】本発明のウェブを形成する装置の一部の拡大斜視図。
【図10】本発明のウェブの一部の顕微鏡写真。
【図11】本発明のウェブの一部の顕微鏡写真。
【図12】房の溶融固着部分を有するタフト化したウェブの部分斜視図。
【図13】図12で示されるウェブの拡大部分。
【図14】本発明のウェブの一部の平面図。
【図15】図14で示されるウェブの一部の断面図。
【図16】本発明の多層ウェブの房の断面の模式図。
【図17】本発明の多層ウェブの房の断面の模式図。
【図18】本発明の多層ウェブの房の断面の模式図。
【図19】本発明の生理用ナプキンの部分的切欠平面図。
【図20】本発明のタンポンを一部切り取った斜視図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、織布ウェブ及び不織布ウェブなどの繊維ウェブに関する。詳細には、本発明は、向上した柔軟性又は嵩高状態にするために、機械的形成によって処理される繊維ウェブに関する。
【背景技術】
【0002】
繊維ウェブは当技術分野において周知である。例えば、織物及び編物布帛などの織布ウェブは、衣類、椅子張り、カーテンなどのための材料として周知である。また、ポリマー繊維から形成されるウェブなどの不織布ウェブは、例えばおむつなどの吸収性物品上の表面仕上げ層などの使い捨て製品に有用な材料として周知である。
【0003】
多くの用途において、繊維ウェブが嵩高な質感及び/又は柔軟性を有することが望ましい。また、コストの制限によって、使い捨て吸収性製品における不織布の商業的利用はまた、最小量の材料を使用することを要求する。従って、坪量が小さく、嵩高くて柔らかい不織布を製造できる技術及び材料に対する継続的要求がある。1つの非常に有効な方法が、同一所有者の同時係属である米国特許出願第10/737,306号及び第10/737,430号に開示されており、これらの各々は房を有する不織布ウェブを記載している。
【0004】
また一方、柔らかくて嵩高い特性を有する低コストの繊維ウェブに対する継続的要求がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、柔らかくて嵩高い特性を有する繊維ウェブを比較的安価に作製するための方法に対する要求がある。
【0006】
さらに、使い捨て消費製品で商業的に使用され得る織布又は不織布材料の柔らかく多孔質ウェブを作製する低コストの方法に対する要求がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第一表面及び第二表面を有する繊維ウェブが開示される。繊維ウェブは第一区画および少なくとも1つの別個の第二区画を有し、第二区画は第二表面の不連続部であり、第一表面から延びる複数のタフト化した繊維を含む房である。タフト化した繊維は遠位部を画定し、タフト化した繊維の部分を含む遠位部は一緒に固着される。固着は熱融解固着であり得る。別の実施形態では、ウェブの第二表面は、交差しない、または実質的に連続して固着される領域を有することが可能であり、この領域もまた熱融解固着であり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のウェブ1を製作する好ましい方法及び装置について説明する。本発明の好ましい装置150を図1に図式的に示す。図1に示すように、ウェブ1は、第一表面12及び第二表面14を有する、大略平面の2次元不織布前駆体ウェブ20から形成され得る。前駆体ウェブ20は、例えば、ポリマーフィルム、不織布ウェブ、織布地、紙ウェブ、ティッシュ紙ウェブ、又は編布地であり得る。
【0009】
不織布前駆体ウェブ20の場合は、前駆体ウェブは、不織布技術分野で周知のように、非固着繊維、絡み合った繊維、タウ繊維などを含むことができる。繊維は延伸性があり、及び/又は弾力性があり、装置150による処理のために予め延伸されてもよい。前駆体ウェブ20の繊維は、スパンボンドされる方法によって製造される物のように連続であるか、または毛羽立てられるプロセスで通常用いられる物のようにある長さに切られ得る。繊維は吸収性であり、繊維性吸収性ゲル材料(繊維性AGM)を含むことができる。繊維は、2成分の、多成分の、成形された、しわ形成された、或いは不織布ウェブおよび繊維の技術分野で周知のその他の、構成または形態であり得る。
【0010】
前駆体ウェブ20は、2つ以上の前駆体ウェブから成る複合物又は積層体であり、例えば、2つ以上の不織布ウェブ、或いはポリマーフィルム、不織布ウェブ、織布地、紙ウェブ、ティッシュウェブ、又は編布地の組合せを含むことができる。前駆体ウェブ20は、供給ロール152(または多重ウェブ積層体が必要なときは、複数の供給ロール)或いは、当技術分野で周知のように、花綱状ウェブ(festooned web)のような、その他の供給手段から供給され得る。一実施形態では、前駆体ウェブ20は、不織布ウェブ作製生産ラインのような、ウェブ作製装置から直接供給され得る。前駆体ウェブ20は、装置150によって本発明のウェブ1を形成するために、縦方向(MD)に動かされる。縦方向(MD)は、ウェブ材料を作製または処理する技術分野で周知のように、前駆体ウェブ20の進む方向を指す。同様に、機械横方向(CD)は、前駆体ウェブ1の面内のMDに垂直方向を指す。
【0011】
第一表面12は前駆体ウェブ20の第一側面、並びにウェブ1の第一側面に相当する。第二表面14は前駆体ウェブ20の第二側面、並びにウェブ1の第二側面に相当する。通常、用語「側面」は、紙及びフィルムのような、大体2次元のウェブの2つの主表面を記述する共通用語として本明細書で用いられる。勿論、複合または積層構造では、ウェブ1の第一表面12は最も外側のウェブの1つの第一側面であり、第二表面14は他の最も外側のウェブの第二側面である。
【0012】
繊維ウェブ1又はウェブ1の積層体を作製するために、本発明の方法は織布及び編繊維を用いて実施され得る。しかしながら、好ましい実施形態では、前駆体ウェブ20は不織布ウェブであり、実質的に無作為に配向された、すなわち、少なくとも縦方向及び機械横方向について無作為に配向された繊維から成る。「実質的に無作為に配向された」は、プロセス条件により、機械横方向よりも縦方向に又はその逆に、より多くの繊維が配向されてもよい無作為配向を意味する。例えば、スパンボンド及びメルトブローンプロセスでは、繊維の連続する撚糸が縦方向に動く支持体に無作為の配向で置かれる。スパンボンド又はメルトブローン不織布ウェブの繊維の配向を忠実に「無作為」にする試みにも関わらず、大抵高いパーセンテージの繊維が、機械横方向とは反対の機械方向に配向される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態では、繊維のかなりの割合を、ウェブの面内の縦方向に対して所定の配向に意図的に向けることが望ましいかもしれない。例えば、ロール104における歯の空隙部及び配置によって(以下に説明するように)、例えば、ウェブの長手方向軸に対して60度の角度に優勢な繊維配向を有する不織布ウェブを製造することが望ましいかもしれない。このようなウェブは、ウェブを所望の角度でラップする工程、及び必要に応じて、ウェブを毛羽立てて仕上げる工程を組み合せるプロセスによって製造され得る。所定の角度を有する繊維の割合が高いウェブは、以下により十分に説明するように、より多くの繊維に統計的にバイアスをかけて、ウェブ1に房を形成することができる。
【0014】
不織布前駆体ウェブ20は、以下に十分に説明されるように、ウェブ1に形成されるに十分な伸び特性を有するポリマー繊維を含む周知のあらゆる不織布ウェブであることができる。一般に、ポリマー繊維は、化学的固着、すなわちラテックス又は接着剤固着か、圧力接着か、或いは熱固着によって固着可能である。熱接着技術が以下で説明する固着プロセスで使用される場合は、或る割合の熱可塑性材料、例えば熱可塑性樹脂パウダーまたは繊維などが、以下により十分に説明するように、ウェブの繊維の部分の熱固着を容易にするために、必要に応じて用いられ得る。不織布前駆体ウェブ20は、100重量%の熱可塑性樹脂繊維を含むことができるが、それは10重量%程度の低い量の熱可塑性樹脂繊維も含むことができる。同様に、不織布前駆体ウェブ20は、約10%と100%との間の1%刻みの任意の重量%の熱可塑性樹脂繊維を含むことができる。
【0015】
本明細書で使用する時、用語「不織布ウェブ」は、ランダムに配向された繊維を有さない織布又は編物布帛と違って単発的に個々の繊維又は糸が組み入れられた構造を有するウェブを指す。不織布ウェブ又は布地は、多くの既知のプロセス、例えば、エアレイイングプロセス、メルトブローイングプロセス、スパンボンドプロセス、ハイドロエンタングリングプロセス、スパンレーシングプロセス、及び固着カードウエブプロセスなどから形成されている。また、マルチプル・ビーム・スパンボンド・プロセスによって作製されるスパンボンド・メルトブローン・スパンボンド(SMS)ウェブ及び同類のもの(例えばSMMS、SSMS)のような、多層ウェブも用いることができる。各成分(すなわち、スパンボンド又はメルトブローン成分)が同じポリマーであることは必要ではない。従って、SMSウェブでは、スパンボンド及びメルトブローン層が同じポリマーを含むことは必要ではない。
【0016】
不織布の坪量は1平方メートル当たりのグラム(gsm)(又は相当値、例えばoz/平方ヤードなど)で通常表わされ、繊維直径はミクロンで通常表わされる。繊維の大きさは、デニールで表わすこともできる。不織布前駆体ウェブ20(積層体又は多層前駆体ウェブ20を含む)の全坪量は、ウェブ1の最終的な用途に応じて8gsm〜500gsmであり、8gsmと500gsmとの間で1gsm刻みで製造され得る。例えば、ハンドタオルとして使用する場合、前駆体ウェブ20の坪量は、25gsm〜100gsmであるのが適切であり得る。バスタオルとして使用する場合、125gsm〜250gsmの坪量が適切であり得る。集塵装置を含む清浄装置で有用である、高効率微粒子エア(HEPA)フィルター、核及び生物フィルター、並びにいくつかの種類のガスタービン吸気濾過を含む、エアフィルターとして使用する場合、350gsm〜500gsmの坪量が適切であり得る(有効表面積を増大させるために必要である場合は、ひだを付けられ、グループにまとめられる)。不織布前駆体ウェブ20の構成繊維はポリマー繊維であり、1成分、2成分及び/又は2構成成分繊維、中空繊維、丸くない繊維(例えば、造形された(例えば、トリロバル(tri-lobal))繊維又は毛管チャンネル繊維)であり、そして1ミクロン刻みで0.1〜500ミクロンの主断面寸法(例えば、丸い繊維の直径、楕円形繊維の長軸、不整形の最長直線寸法)を有することができる。
【0017】
本明細書で使用する時、「スパンボンド繊維」はその従来の意味で用いられ、紡糸口金の複数の細い、通常円形の毛管からフィラメントとして溶融熱可塑性材料を押し出すことによって形成される、小さい直径の繊維を指し、押し出されたフィラメントの直径は急速に減少する。スパンボンド繊維は、集積表面に付着する時、一般には粘着性はない。スパンボンド繊維は、一般に連続しており、7ミクロンより大きい(サンプルでは少なくとも10)、及びより具体的には約10ミクロン〜40ミクロンの平均直径を有する。
【0018】
本明細書で使用する時、用語「メルトブローイング」はその従来の意味で用いられ、繊維が、複数の細い、通常円形のダイキャピラリーを通じて溶融糸又はフィラメントとして溶融熱可塑性材料を、集束する高速の、通常加熱されたガス(例えば、空気)流に押し出すことによって形成され、このガス流は溶融熱可塑性材料のフィラメントを細径化させて、その直径を減らして、マイクロファイバー直径にすることができるプロセスを指す。その後、高速気体流によって、メルトブローン繊維を移動させ、集積表面上に付着させ(まだ粘着性であることが多い)、ランダムに分散したメルトブローン繊維のウェブを形成する。メルトブローン繊維は、連続していても、連続していなくてもよく、一般に平均直径が10ミクロンよりも小さいマイクロ繊維である。
【0019】
本明細書で使用する時、用語「ポリマー」はその従来の意味で用いられ、ホモポリマー、共重合体、例えば、ブロック、グラフト、ランダム、及び交互共重合体、ターポリマーなど、並びにこれらの混合物及び変形を通常含むが、これらに限定されない。さらに、特に限定しない限り、用語「ポリマー」は、材料のあらゆる可能な幾何学的構成を含む。その構成としては、アイソタクチック、アタクチック、シンジオタクチック及びランダムの対称性が挙げられるが、これらに限定されない。通例、既知のポリマーのどんな種類も本発明で用いることが可能であり、例えば、ポリプロピレン又はポリエチレンのようなポリオレフィンポリマーは1成分繊維か、或いは2成分繊維として使用され得る。さらに、他のポリマー、例えばPVA、PETポリエステル、メタロセン触媒エラストマー、これらの混合物などが使用され、必要に応じて、これらのポリマーのどれか又はすべてを架橋することができる。
【0020】
本明細書で使用する時、用語「1成分繊維」はその従来の意味で用いられ、唯一のポリマーを用いて1つ以上の押出機から形成される繊維を指す。これは、着色、静電気防止特性、潤滑特性、親水性などのために少量の添加剤が添加された、1つのポリマーから形成された繊維を除外することを意味するものではない。これらの添加剤、例えば着色用の二酸化チタンは、一般に、約5重量%未満、及びより典型的には約2重量%の量で存在する。
【0021】
本明細書で使用する時、用語「2成分繊維」はその従来の意味で用いられ、別々の押出機から押し出され、少なくとも2つの異なるポリマーから形成された繊維を指し、一緒に紡糸され一つの繊維を形成するものは除く。2成分繊維はまた、複合繊維又は多成分繊維を指すこともある。複数個のポリマーは、2成分繊維の横断面にわたって実質的に一定に位置決めされた明確な別個区域に配置され、2成分繊維の長さに沿って連続して延びている。このような2成分繊維の形状は、例えば、1つのポリマー(例えばポリプロピレン)が別のポリマー(例えばポリエチレン)によって囲まれるシース/コア構成配置であるか、或いは並列構成配置、パイ構成配置、又は「海中島」構成配置であっても良く、それぞれは2成分繊維を含む多成分繊維の技術分野で知られている。
【0022】
2成分繊維を含む繊維は分割可能な繊維であることができ、このような繊維は、処理前又は処理中に、元の2成分繊維よりも小さい断面寸法をそれぞれ有する、複数の繊維に長手方向に分割され得る。スプリット繊維は、それらの断面寸法が縮小されるので、より柔軟な不織布ウェブを製造することを示されてきた。繊維はナノ繊維、すなわち、小ミクロンを含むサブミクロン範囲にある直径を有する繊維であることができる。
【0023】
本明細書で使用する時、用語「2構成成分繊維」はその従来の意味で用いられ、同じ押出機から混合物として押し出される、少なくとも2つの異なるポリマーから形成された繊維を指す。2構成成分繊維は、繊維の断面領域を横切って、比較的一定に位置決めされた別個の区域に配置される様々なポリマー構成成分を有さず、様々なポリマーは、通常、繊維の全長に沿って連続しておらず、その代わり、通常、ランダムに開始し終端するフィブリルを形成している。2構成成分繊維は、多構成成分繊維と呼ばれることもある。
【0024】
本明細書で使用する時、用語「丸くない繊維」はその従来の意味で用いられ、丸くない断面を有する繊維を表わし、「造形した繊維」および「毛管チャンネル繊維」を含む。このような繊維は中身が詰まっているか、又は中空であり、それらはトリロバル(tri-lobal)、デルタ形状であることがあり、毛管チャンネルとしての機能を果たす長手方向に延びる溝を外面に有する繊維であることが好ましい。毛管チャネルは、「U字形」、「H字形」、「C字形」及び「V字形」などの様々な断面形状のものであり得る。1つの好ましい毛管チャネル繊維は、テネシー州ジョンソンシティ(Johnson City,TN)にあるファイバーイノベーションテクノロジーズ(Fiber Innovation Technologies)から入手可能な4DG繊維と称されるT−401である。T−401繊維は、ポリエチレンテレフタレート(PETポリエステル)である。
【0025】
特に断りのない限り、すべての他の用語は当業者によって用いられているようにその従来の通常の意味で用いられる。
【0026】
前駆体ウェブ20は、ウェブ作製プロセスから直接か、或いは図1に示すように、供給ロール152から間接的に供給され得る。前駆体ウェブ20を、オイル加熱されたローラー上で加熱するなどの、当該技術分野で既知の手段により予め加熱することができる。前駆体ウェブ20は、しるし、模様、ロゴ、或いは他の可視又は不可視の印刷パターンで予め印刷され得る。例えば、模様及び色は、前駆体ウェブ20の少なくとも一部の色を変えるために、当技術分野で知られている手段によって、例えば、インクジェット印刷、グラビア印刷、又はオフセット印刷によって印刷され得る。印刷に加えて、前駆体ウェブ20はコーティング、例えば、界面活性剤、ローション、接着剤などで処理され得る。前駆体ウェブ20の処理は、当技術分野で知られている手段によって、例えば、スプレー、スロットコーティング、押出加工、或いは別の方法でコーティングを1つ又は両方の面に施すことによって達成され得る。
【0027】
前駆体ウェブ20がローラー154を越えて、逆回転する噛み合いロール102A及び104の第一セットのニップ116まで機械方向に移動されるとき、供給ロール152は矢印によって示す方向に回転する。ロール102A及び104は装置150の噛み合いロールの第一セットである。噛み合いロール102A及び104の第一セットは房をウェブ1に形成するように動作して、タフト化した前駆体ウェブ20を作製する。噛み合いロール102A及び104は図2によりはっきりと示されている。
【0028】
図2を参照すると、本発明のタフト化した前駆体ウェブ21の房を作製する装置150の一部がさらに詳細に示されている。装置150のこの部分は図2にニップローラー100として示され、1対の鋼製噛み合いロール102及び104(図1のロール102A及び104にそれぞれ相当する)を備え、各々は軸Aの周りを回転し、軸Aは同じ面で平行である。前駆体ウェブ20が或る回転角度によってロール104上にとどまるように、装置150が設計されるけれども、図2は、前駆体ウェブ20が装置150のニップ116を通ってタフト化した前駆体ウェブ21として出口に進むときに、何が起こるかを原理的に示す。従って、図2が装置150のニップ116からまっすぐに出てくるタフト化した前駆体ウェブ21を示すのに対して、房がロール104の歯110の上にとどまり、これに「嵌合された」ままであるように、タフト化した前駆体ウェブ21は所定の回転角度によってロール104上にあり続けることができる。
【0029】
ロール102は、ロール102の円周全体にとぎれずに伸張できる複数個の隆起部106と、対応する溝108とを備える。いくつかの実施形態では、前駆体ウェブ21で望まれるパターンの種類に応じて、隆起部106の幾つか又はすべてが周囲方向に連続しているが、切れ目又は隙間を有するように、ロール102(及び同様にロール102A)は、一部が例えばエッチング、フライス加工、又は他の機械加工プロセスによって除去された隆起部106を備えることができる。切れ目又は隙間は、円又は菱形のような簡単な幾何パターンだけではなく、ロゴ及び商標のような複雑なパターンも含むパターンを形成するように配置され得る。一実施形態では、ロール102は、以下により十分に説明するように、ロール104の歯と類似の歯を有することができる。このようにして、タフト化した前駆体ウェブ21の両側に房を有することが可能である。房に加えて、ウェブ21の房の種々の面外マクロ部位には、例えばロゴ及び/又は模様を示すマクロパターンなどを作製され得る。
【0030】
ロール104はロール102に類似しているが、円周全体にとぎれずに延びることができる隆起部を有さず、ロール104は、ロール104の少なくとも一部分の周りに離間した関係で延びる、周囲方向に離間した歯110の列となるように修正された、円周方向に延びる複数個の隆起部の列を備える。ロール104の歯110の個々の列は、対応する溝112により分離される。作動中、ロール102及び104は、ロール102の隆起部106がロール104の溝112内まで延び、ロール104の歯110がロール102の溝108内まで延びるように噛み合う。噛み合いが、以下に説明するように、図7の断面表現でさらに詳細に示されている。ロール102及び104の両方又はいずれかは、ホットオイルを充填したローラー又は電気的に加熱されたローラーを使用するなどの、当該技術分野において既知の手段により加熱され得る。
【0031】
タフト化した前駆体ウェブ21の一部が図3〜6に示されている。図示のように、タフト化した前駆体ウェブ21は、ほぼ平面的な二次元構成を有する前駆体ウェブ20により前駆体ウェブの両側に規定された第一区域2と、前駆体ウェブ20の繊維の一体化延出部から生じることができる、離間した房6及び不連続部16により規定された複数の別個の第二区域4とを有する。第二区域4の構造は、タフト化した前駆体ウェブ21のどちら側が配慮されるかによって異なる。図3に示すタフト化した前駆体ウェブ21の実施形態の場合、タフト化した前駆体ウェブ21の第一表面12と関連するタフト化した前駆体ウェブ21の側面で、第二区域4は房6を含み、そして各房6は、第一表面12から外側へ延びる複数のタフト化したループ状整列繊維8を含むことができる。房6はZ方向に大きな配向を有する繊維の房を含み、各房6は第一表面12の近位にあるベース5、及び第一表面12からZ方向に最も遠くにある遠位部3を有する。第二表面14と関連するタフト化した前駆体ウェブ21の側面で、第二区域4は、タフト化した前駆体ウェブ21の第二表面14の繊維配向不連続部16によって規定される不連続部16を含み、不連続部16は、ロール104の歯110が前駆体ウェブ20に食い込んだ位置に相当する。以下に示すように、タフト化した前駆体ウェブ21の他の実施形態では、房6がループ状繊維又は整列された繊維を含まないことが可能である。
【0032】
本明細書で使用する時、第二区域4の「一体化延出部」において使用する時のような用語「一体化」は、前駆体ウェブ20の繊維から始まる第二区域4の繊維を指す。従って、例えば、房6のループ状繊維8は、可塑的に変形され、及び/又は前駆体ウェブ20から延出された繊維であることができ、従って、タフト化した前駆体ウェブ21の第一区域2と一体であり得る。本明細書で使用する時、「一体化」は、例えば、従来のカーペット作製において一般的に行われるように、タフトを形成するために別個の前駆体ウェブに導入されるか、又は追加される繊維とは区別されるものである。本発明のウェブ1のいくつかの実施形態がこのような追加繊維を用いるけれども、好ましい実施形態では、房6の繊維はウェブ1と一体である。
【0033】
房6にループ状繊維を有する、本発明のウェブ1のための適切な前駆体ウェブ20は、ループ状繊維8が形成されるように、十分な繊維モビリティー及び/又は樹脂変形及び引張伸びを受けることができる繊維を含むべきであることがわかる。しかしながら、前駆体ウェブ20の第一表面12の面の外へ強制移動された繊維の或る割合がループを形成しないで、代わりにちぎれ、結んでいない端を形成することがわかる。このような繊維は図4および5に結んでいない繊維端18として示されている。結んでいない繊維端18は本発明にとって必ずしも望ましくないということではないが、房6がループ状繊維8を主に含む場合に、ウェブ1は嵩高で柔軟な特徴をより容易に保持できると考えられる。好ましい実施形態において、Z方向に強制移動された繊維の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも約70%、及び最も好ましくは少なくとも約90%はループ状繊維である。
【0034】
図2に示すタフト化した前駆体ウェブ21の実施形態の代表的房6が、図3〜6にさらに拡大して示されている。房6が別の長手方向配向及び長手方向軸線Lを有するように、房6が実質上整列させられる複数のループ状繊維8を含むように、代表的房6はロール104の細長い歯110に形成されるタイプである。房6は、MD−CD平面内の長手方向軸線Lに一般的に直交する横断方向軸線Tも有する。図2〜6に示す実施形態では、長手方向軸線LはMDと平行である。一実施形態では、すべての間隔を置いて配置された房6は、一般に平行な長手方向軸Lを有する。好ましい実施形態では、房6が長手方向配向を有するけれども、いくつかの実施形態では、このような配向は無くても良い。例えば、ロール104の歯110が長い場合は、房6はいかなる長手方向配向も表示しない。
【0035】
タフト化した前駆体ウェブ21の単位面積当たりの房6の数、すなわち房6の面積密度は、1平方センチ当たり1つの房6から1平方センチ当たり30もの房6まで変化し得る。1平方センチメートル当り少なくとも10個、又は少なくとも20個の房6が最終用途に応じて存在し得る。一般的に、面積密度は、前駆体ウェブ21の全領域に渡って一様である必要はないが、房6は、線、ストリップ、バンド、円、などのような、予め定められた形状を有する領域内のような、タフト化した前駆体ウェブ21のある領域内にのみに存在し得る。
【0036】
図4に、そして図5及び6にはより明らかに示すように、細長い歯110がロール104で用いられる場合に、タフト化した前駆体ウェブ21の一実施形態における房6の繊維8の1つの特徴は、ループ状繊維8の優勢な方向性整列である。図5及び6に示すように、ループ状繊維8の多くは、図6におけるように平面図で見た時に横断方向軸Tに対してほぼ一様な整列を有することができる。「ループ状繊維8」は、繊維8がタフト化した前駆体ウェブ21で始まり、タフト化した前駆体ウェブ21で終ることを意味する。房6のループ状繊維8に対して「整列される」は、図6におけるように平面図で見た時にループ状繊維8が横軸Тと平行である大きいベクトル成分、好ましくは横断方向軸Tと平行である主要のベクトル成分を有するように、ループ状繊維8は大体配向されることを意味する。本明細書で使用する時、図6におけるように平面図で見た時に長手方向軸Lから45°超過の角度で配向されたループ状繊維8は、横断方向軸Tに平行な主要のベクトル成分を有する。本明細書で使用する時、図6におけるように平面図で見た時に長手方向軸Lから60°超過の角度で配向されたループ状繊維8は、横断方向軸Tに平行な主要のベクトル成分を有する。好ましい実施形態において、房6の繊維8の少なくとも50%、更に好ましくは少なくとも70%、更に好ましくは少なくとも90%は、有意の、更に好ましくは横断方向軸線Tに平行の、主要ベクトル成分を有する。繊維の配向性は、必要であれば、好適な測定尺度に合わせた顕微鏡などの拡大手段を使用して測定することができる。一般に、平面図で見た繊維の線状でない区画の場合、長手方向軸L及びループ状繊維8の両方についての直線近似法を、長手方向軸Lからループ状繊維8の角度を測定するために使用することができる。
【0037】
第二区域4の房6におけるループ状繊維8の配向は、不織布前駆体ウェブ20の場合、実質的にランダムに配向される繊維整列を有すると称されるのが最もふさわしい第一区域2の繊維組成及び配向と対比さるべきである。織布ウェブ実施形態では、房6におけるループ状繊維8の配向は、上述の場合と同じであり得るが、第二区域2の繊維は、ウェブ、例えば方形織パターンを作製するために使用される特定の製織プロセスに関連する配向を有するだろう。
【0038】
図2に示す実施形態では、房6の長手方向軸LはMDに大体整列される。房6、従って長手方向軸Lは、原理的に、ロール102A及び104に対して対応する変更を加えて、MDまたはCDに対して任意の配向で整列され得る。従って一般的には、各房6に対して、ループ化整列化繊維8は、それらが、横断方向軸線Tに平行なかなりのベクトル成分、更に好ましくは横断方向軸線Tに平行な大部分のベクトル成分を有するように、長手方向軸線Lに一般に直交して配列される、と言うことができる。
【0039】
装置150について理解され得るように、従って、タフト化した前駆体ウェブ20の房6は、大略平面的かつ2次元として描かれ得る前駆体ウェブ20を機械的に変形させることによって作製される。「平面的」及び「二次元の」は、単に、ウェブが、第二区域4の形成によって付与された明確な平面外のZ方向の三次元性を有する完成ウェブ1に比べて平坦であることを意味する。「平面的」及び「2次元の」は、特定の平坦性、平滑性又は次元性を意味するものではない。前駆体ウェブ20がニップ116を通過するとき、ロール104の歯110はロール102Aの溝108に入り、繊維を前駆体ウェブ20の面の外へ同時に強制移動させて、房6及び不連続部16を含む第二区域4を形成する。実際、歯110は、前駆体ウェブ20を「押し」抜くか、又は「突き」抜く。歯110の先端が前駆体ウェブ20を押し抜くとき、CD内で歯110を横切って優勢に配向される繊維の一部が、歯110によって前駆体ウェブ20の面の外へ強制移動され、そしてZ方向に伸ばされ、引っ張られ、及び/又は塑性的に変形されて、房6のループ状繊維8を含む第二区域4の構造を生じる。長手方向軸線Lに大体平行に、すなわち前駆体ウェブ20の機械方向に優勢に配向される繊維は、歯110によって簡単にバラバラに広がり、前駆体ウェブ20の第一区域2内に実質的に留まることができる。
【0040】
図2に、装置100が、1つの模様付きロール、例えばロール104と、1つの模様の付かない溝付きロール102とを有する1つの形体で示されている。しかしながら、特定の実施形態において、それぞれのロールの同一の、又は異なる対応区域において、同一の、又は異なる模様を有する2つの模様付きロールを使用することによってニップ116を形成することが好ましいこともある。このような装置は、タフト化したウェブ21の両側から突き出る房6付きのウェブ、並びにウェブ21にエンボス加工されるマクロ模様を製造することができる。
【0041】
房6の数、空隙、及び寸法は、歯110の数、間隔、及び寸法により、並びにロール104及び/若しくはロール102に必要な対応寸法を変えることにより変わり得る。この変化は、前駆体ウェブ20で可能な変化及び処理における変化、例えばラインスピードとともに、多くの多様なタフト化したウェブ21が多くの目的のために作製されることを可能にする。例えば、MD及びCD延伸性がある糸を有する大坪量の疎水性布地から作製されるタフト化したウェブ21は、干し草(家畜飼料用)の飼料品質を改善する、通気性で撥水性もある干し草のカバーとして使用するために、以下にさらに説明するように、通気性ウェブ1に作製され得る。延伸性があるスパンボンドポリマー繊維の比較的小さい坪量の不織布ウェブから作製されるタフト化したウェブ21は、例えば、家具、床、又はドアノブを清浄にするために、家庭で使用するダスティングクロス布地として使用され得る。以下により完全に説明するように、タフト化したウェブ21及びウェブ1はまた、使い捨て吸収性製品、例えば、包帯、ラップ、失禁デバイス、おむつ、生理用ナプキン、おりものシート、及び痔処理パッドなどでも使用され得る。
【0042】
幾つかの実施形態において、以下に説明するように、房6を形成する好ましい方法に起因する、房6の別の特徴は、房6の内部に規定された開放空隙エリア10を特徴とするそれらのほぼ開放した構造である。「空隙エリア」は、いかなる繊維も全く存在しないことを意味するものではないが、そのおおよその外観に関する概略的な説明としての意味を持つ。従って、幾つかの房部6において、1つのループ状繊維8又は複数のループ状繊維8が空隙エリア10に存在してもよい。「開放」空隙エリアは、房6が、図4及び5に示すように「トンネル」構造のようなものを形成するように、房6の2つの長手方向の端部はほぼ開放であり、繊維が無いことを意味する。
【0043】
さらに、タフト化したウェブ21を作製する好ましい方法の結果として、第二表面14に関連する第二区画4は、以下に詳細に説明するように、成形構造体の歯によって房6中に一方向(すなわち、図3〜5に示すように、MD−CD面にほぼ直交する「面外」の方向を示すために、不織布技術分野で広く理解されている「Z方向」)に強制移動させられた第二表面14の以前はランダムな繊維によって規定されるほぼ線状のくぼみによって特徴付けられる不連続部16である。前駆体ウェブ20の以前にランダムに配向された繊維が示す配向性の急激な変化が不連続部16を規定し、この不連続部16は、それが房6の長手方向軸Lにほぼ平行な長手方向軸を有するものとして記述され得るような線形性を示す。前駆体ウェブ20として有用な多くの不織布ウェブの性質により、不連続部16は、房6と同じようにはっきりと目立つものではあり得ない。このために、タフト化した前駆体ウェブ21の第二側面の不連続部16は、気付かれずに済み、タフト化した前駆体ウェブ21が念入りに検査されなければ通常は検出されない。従って、いくつかの実施形態では、タフト化した前駆体ウェブ21はテリークロスの見た目を第一側面に、及び比較的滑らかな柔らかい見た目を第二側面に有することができる。他の実施形態において、不連続部16は開口のように見えてもよく、トンネルのようなループ状房6の端部を介してタフト化した前駆体ウェブ21を貫く開口であってもよい。
【0044】
さらに、前駆体ウェブ21を作製する好ましい方法の結果として、第二区域4がループ状の整列した繊維8を有しても有さなくても、各々は、前駆体ウェブ21の第一表面12及び第二表面14のそれぞれに、又はその近くに顕著な線形性を示す。ロール104の細長い歯110の形状によって、前駆体ウェブ20の第二区画4はそれに関連する線状配向をそれぞれ有することがわかる。この線状配向は、以下に説明するように、歯110も前駆体ウェブ21を有する場合に前駆体ウェブ21を作製する方法の避けられない結果である。この線状配向を理解する1つの方法は、前駆体ウェブ21の第二表面14の不連続部16の線状配向を考察することである。同様に、房6が前駆体ウェブ21の第一表面12から除去されるならば、第二区域4は前駆体ウェブ21の第一表面12上における線状の不連続部のように、例えば、あたかも線状のスリット又は切断部が房6の位置に作られたように見えるであろう。この線状のウェブ不連続部は、長手方向軸Lに方向的に対応する。
【0045】
タフト化したウェブ21に関する説明から、房6のループ状繊維8が前駆体ウェブ21の第一表面12又は第二表面14のいずれかから始まり延出することが分かる。もちろん、房6の繊維8は、その上前駆体ウェブ21の内部19から延びることができる。房6の繊維8は、前駆体ウェブ20のほぼ2次元の面の外へ強制移動された(すなわち、図3に示すように、「Z方向」に強制移動された)ことによって延びる。一般に、第二区域4の繊維8又は18は、繊維ウェブの第一区域2の繊維と一体化され、そこから延出する繊維を含む。
【0046】
ループ状繊維8の延出は、繊維の塑性変形及びポアソン比の効果に起因して、繊維の断面寸法(例えば、丸形繊維の場合は直径)が全体的に縮小されることを伴い得る。従って、房6の繊維8の一部は、前駆体ウェブ20の繊維並びに第一区域2の繊維の平均繊維直径よりも小さい平均繊維直径を有し得る。繊維の断面寸法の減少は房6のベース5と遠位部3との間で最大であることがわかった。これは、以下により十分に説明するように、房6のベース5及び遠位部3の繊維の部分が、それらが処理中摩擦によりロックされ、固定されているように、ロール104の歯110の先端に隣接していることによると考えられる。従って、房6の中間部分はより伸長しやすいか、又は細長く、その結果、対応する繊維の断面寸法の減少をよりこうむりやすい。
【0047】
図7は、隆起部106及び歯110を含む、噛み合いロール102(並びに102A及び102B、以下に説明)及び104の一部を断面図で示している。示されるように、歯110は、歯の高さTH(THはまた、隆起部106の高さにも適用することができ、好ましい実施形態において、歯の高さと隆起部の高さは等しい)と、ピッチPと呼ばれる歯間間隔(又は隆起部間の間隔)とを有する。示されるように、係合部Eの深さ(DOE)は、ロール102と104との噛み合いレベルの測定値であり、隆起部106の先端から歯110の先端までを測定する。係合部Eの深さ、歯の高さTH、及びピッチPは、本発明の前駆体ウェブ20の特性及びウェブ1の所望の特徴に依存して、必要に応じて変えられ得る。例えば、一般的に、房6においてループ状繊維を得るために、係合部Eのレベルが大きくなるにつれ、前駆体ウェブ20の繊維が所有しなければならない必要な繊維可動性及び/又は伸長特徴も大きくなる。また、所望する第二区域4の密度(ウェブ1の単位面積当たりの第二区域4)が大きくなるにつれ、ピッチは小さくなるべきであり、歯の長さTL及び歯の間隔TDも、以下に述べるように小さくなるべきである。
【0048】
図8は、坪量が約60gsm〜100gsm、好ましくは約70gsm、又は80gsm又は90gsmであるスパンボンド不織布前駆体ウェブ20から、スパンボンド不織布材のタフト化した前駆体ウェブ21又はウェブ1を作製するのに有用な複数個の歯110を有するロール104の1つの実施形態の一部を示す。図8に示す歯110の拡大図が、図9に示されている。ロール104の本実施形態において、歯110は、一般に歯の先端111の前縁LEから後縁TEまでを測定した円周の長さ寸法TLが約1.25mmで均一であり、約1.5mmの間隔TDで、互いに円周上で均一に離間している。約60〜100gsmの範囲にある坪量を有する前駆体ウェブ20から柔らかい繊維ウェブ1を作製する場合に、ロール104の歯110は、約0.5mm〜約3mmの長さТL、約0.5mm〜約3mmの間隔TD、約0.5mm〜約10mmの歯の高さTH、及び約1mm(0.040インチ)〜2.54mm(0.100インチ)のピッチPを有し得る。係合部Eの深さは、約0.5mm〜約5mm(歯の高さTHに最大に近づくまで)であり得る。勿論、E、P、TH、TD及びTLは、所望の寸法、空隙、及び房6の面積密度(ウェブ1の単位領域当りの房6の数)を実現するために互いに独立にそれぞれ変わり得る。
【0049】
図9に示すように、各歯110は、先端111と、前縁LEと、後縁TEとを有する。歯の先端111は、繊維の破断を最小にするために丸いことがあり、細長いことが好ましく、第二区域4の長手方向軸Lに相当する、ほぼ長手方向の配向を有する。タフト化したとして記述され得るウェブ1の房6を得るために、LE及びTEは、ロール104の局所的な周囲表面120に対して正にほぼ直交するべきであると考えられている。その上、先端111及びLE又はTEからの変化は、使用中歯がLE又はTEで前駆体ウェブ20を押し抜くように十分に小さい曲率半径を有する、直角のような比較的鋭い角度であるべきである。理論に束縛されるものではないが、歯110の先端とLE及びTEとの間に比較的鋭角な先端遷移部を有することにより、歯110は前駆体ウェブ20を「きれいに」、即ち、局所的且つまぎれもなく押し抜くことができ、それにより、結果生じたウェブ1は、例えば「エンボス加工された」ではなく、第二区域4において「タフト化した」ものとして記述され得ると考えられている。そのように加工処理される時、ウェブ1は、前駆体ウェブ20が元々所有していたであろうものを超えるいかなる特定の弾性をも付与されない。
【0050】
歯110が好ましい実施形態において細長いと記述されたけれども、タフト化したウェブ1を製造するために歯110が細長いことは必要ではないことがわかる。例えば、歯の長さТLは歯の幅にほぼ等しくできて、これは、例えば、所望のピッチPに依存して変えられ得る。このような歯は、1:1の歯の長さの歯の幅に対する縦横比を有することが可能であり、ほぼ方形又は丸い断面を有するとして記述され得る。歯110の寸法、形状、配向、及び空隙は、多様なウェブ1の特性及び特徴を与えるために、ロール104の外周及び幅を変更できることも考えられる。例えば、歯110は細長く、MDから或る角度で向けられることが可能であり、歯の長さТLの長さ寸法がロール104のCDに平行に向けられるように、置かれることさえできる。
【0051】
より高いラインスピード、即ち、回転するロール102及び104のニップに通す比較的より高い加工処理速度で、同様の材料は、非常に異なる房6の構造、即ちタフトを示し得る。例えば、図10及び図11は、同じ加工処理条件の同じ材料から作製されたタフト化した前駆体ウェブ21における、唯一の違いはロール102及び104の回転速度、即ち、タフト化した前駆体ウェブ21に加工処理される前駆体ウェブ20のラインスピード(長さ/時間単位)である、代表的な房6を示している。図10及び図11に示す各ウェブに使用される前駆体ウェブ20は、ポリプロピレンを含み、サウスカロライナ州シンプソンビル(Simpsonville,SC)にあるBBAノンウーブンズ(BBA Nonwovens)から入手可能であって、ソフスパン(Sofspan)200(登録商標)という商品名で販売されている、25gsmの不織布ウェブであった。図10に示すウェブは、約3.4mm(約0.135インチ)の係合部Eの深さ、約1.5mm(約0.060インチ)のピッチP、約3.7mm(約0.145インチ)の歯の高さTH、1.6mm(約0.063インチ)の歯の間隔TD、及び約1.25mm(約0.050インチ)の歯の長さТLを有する、ロール102及び104のニップ116によって処理された。ウェブは、約15m/分(毎分約50フィート)のラインスピードで走行した。図11に示すウェブは、図10に示すウェブと同じであり、毎分約150m(毎分約500フィート)であったラインスピードを除いて同じ条件下で加工処理された。
【0052】
図10及び図11の精査から分かるように、示される房6は顕著に異なる。図10に示す房6は、図2〜6に示す房と構造の点で類似する。すなわち、それは、わずかな破断した繊維、例えば図5に示すような繊維18とともにほぼ整列されたループ状繊維8を示す。しかしながら、図11に示す房6は、非常に異なる構造、即ち、比較的高い速度で房6を形成するように加工処理されるいくつかのスパンボンド不織布材の典型であるように見える構造を示す。固着領域の大部分が処理中に繊維の転位及び移動を阻止するように、非常に固く固着されたスパンボンド不織布材の典型であると考えられる。この構造は、房6の近位部、即ち基部5と、房6の遠位部、即ち頂部3との間の破断した繊維を示し、これは房6の頂部における繊維の「マット」7であるように見える。マット7は、房6の頂部を含み、その頂部で、破断していないループ状の繊維8によって支持され、また、もはや前駆体ウェブ20と一体ではない破断した繊維11の一部分を含む。つまり、マット7は、前駆体ウェブ20と以前は一体であったが、図1及び図2を参照して記述されるプロセスにおいて、十分に高いラインスピードで加工処理された後は前駆体ウェブ20から完全に離れる繊維部分を含む。
【0053】
比較的大きい坪量を有する前駆体ウェブ20は、一般に、マット7において比較的大きい繊維11部分を有するタフト化した前駆体ウェブ21を生じる。ある意味では、前駆体ウェブ20の場合、製造中、歯の先端110に非常に近接した前駆体ウェブ20の繊維含有量の大部分が、房6の遠位部3に対してZ方向に単に移動され、マット7を生じるように見える。
【0054】
繊維・繊維間移動性は、前駆体ウェブ20の繊維・繊維間固着を低下又は排除することによって増大され得る。熱固着は、加熱カレンダー・ボンディング・プロセスにおける不織布の意図的アンダーボンディングにおいて完全に排除されるか、又は著しく減らされ得る。このアンダーボンディングは、加熱カレンダーの表面温度を最適状態未満に下げること、及び/又はより低いボンディング圧力の使用によって達成され得る。このようなアンダーボンディングが正しく実行される場合に、大部分またはすべての繊維は、不織布がその後に機械的応力を受けると、繊維の著しい破断なしにアンダーボンディングされた場所から引き離され得る。このアンダーボンディングは繊維・繊維間移動性を増大させ、繊維の早過ぎる破断なしにより大きな不織布伸張性を可能にする。同様に、水流絡合ウェブは繊維・繊維間移動性を増大させるために絡み合いが少ないようにできることが好ましい。どの前駆体ウェブ20の場合でも、本明細書に開示されるように処理する前にそれを潤滑にすることもまた、摩擦係数の減少によって繊維間移動性を増大させる。例えば、前駆体ウェブ20がロール102及び104のニップ116に進入する前に、鉱物油の潤滑剤を前駆体ウェブ20に塗布することができる。繊維間移動性を増大させるために前駆体ウェブ20に塗布される他の適切な潤滑剤又は局所処理剤には、水、界面活性剤、シリコーン含有材料、繊維仕上げ剤、フルオロポリマー、及びそれらの組合せが挙げられるが、それらに限定されない。繊維間移動性を増大させる別の方法は、溶融添加剤をポリマーに加えることである。適切な溶融添加剤は、シリコーン、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、脂肪酸アミド、フルオロポリマー、ポリエチレンワックス、無機充填剤、ポリエチレングリコールオレイルエーテル、及び摩擦係数を変更することが分かっている他の添加剤を含むが、それらに限定されない。
【0055】
図1を再び参照すると、房6が形成された後に、タフト化した前駆体ウェブ21は、回転ロール104上をロール104と第一ボンディングロール156との間のニップ117まで進む。ボンディングロール156は多くのボンディング技術を容易にできる。例えば、ボンディングロール156は、熱エネルギーをニップ117に付与し、それによってタフト化したウェブ21の隣接する繊維を房6の遠位端(先端)で溶融ボンディングする、加熱スチールローラーであり得る。ボンディングロール156はまた、圧力だけ、又は熱及び圧力を用いて熱ボンディングを容易にできる。一実施形態では、例えば、ニップ117は房6の遠位端を圧縮するのに十分な幅で設定されることが可能であり、これは、高速の処理で、熱エネルギーを繊維に移動させることが可能であり、そのときリフローで固着できる。
【0056】
ボンディングロール156はまた、接着剤又はラテックス接着剤のような固着剤を房6の遠位端に塗布する、及び/又は硬化させる装置の一部であり得る。例えば、ボンディングロール156は、このような固着剤に印刷するグラビア印刷装置の一部であり得る。実施されるボンディングの種類に依存して、ボンディングロール156は、滑らかなスチール面、又は比較的柔らかい可撓性面であり得る。好ましい実施形態では、以下に好ましいウェブと関連して説明するように、ボンディングロール156は、房6の遠位端の隣接する繊維を熱的に固着するために、十分な熱エネルギーをタフト化したウェブ21に付与するように設計された加熱ロールである。熱固着は、隣接する繊維を直接溶融固着することによって、又はその結果として隣接する繊維を固着する、ポリエチレンパウダーのような、中間熱可塑性樹脂剤を溶融することによって行われ得る。ポリエチレンパウダーはこのような目的のために前駆体ウェブ20に追加され得る。
【0057】
第一ボンディングロール156は、房6の遠位端3で繊維8又は18を溶融、又は部分的に溶融するために十分に加熱され得る。第一ボンディングロール156で必要な熱量又は熱容量は、房6の繊維の溶融特性及びロール104の回転速度に依存する。第一ボンディングロール156で必要な熱量はまた、ボンディングロール156とロール104の歯110の先端との間に生じる圧力、並びに房6の遠位端3で所望される溶融の度合に依存する。一実施形態では、ボンディングロール156は、房6の遠位端3で固着繊維を溶融するだけでなく、実質的に、房6の端部を切り開くように固着部分を切り開くために、十分な熱及び圧力を提供できる。このような実施形態では、房は2つの部分に分割されるが、もはやループ状ではない。一実施形態では、圧力だけが、房のループ状部分を切り開いて、房6を繊維の自由端の非ループ状房にすることを可能にする。スピニング・ワイヤー・ブラッシュ・ホイールの使用のような、当技術分野で周知の他の方法も同様に、ループ状繊維のループを切断して非ループ状房を形成するために利用され得る。
【0058】
一実施形態では、第一ボンディングロール156は、加熱スチール円筒ロールであり、房6の隣接する繊維の固着を溶融するのに十分な表面温度を有するまで加熱される。第一ボンディングロールは、内部電気抵抗ヒーター、ホットオイル、又は当技術分野で周知の加熱ロールを作製するその他の手段によって加熱され得る。第一ボンディングロール156は、適切なモーター及び当技術分野で周知の連結装置によって駆動され得る。同様に、第一ボンディングロールは、ニップ117が正確に調整され、設定され得るように、調整可能な支持体に取り付けられ得る。
【0059】
一実施形態では、ボンディングロール156による固着は、必要に応じて、ローション、感圧性接着剤、インク、塗料、又は他のコーティングの塗布と組み合され得る。例えば、加熱ボンディングロール156は、高温のインクを十分に供給して、印刷模様をタフト化した前駆体ウェブ21に付与することができるグラビアロールであり得る。同様に、スキン効果を与えるのに適切なローションはボンディングロール156によって供給され得る。この方法でインク又は他のコーティングを塗布する重要な利点は、コーティングが房6の遠位端に堆積されて、ウェブ1の片面を有効に覆うために必要なコーティングの量を節約することができることである。別の実施形態では、ローション、コーティング、インクなどの塗布が、ボンディングロール156による固着なしに加えられ得る。
【0060】
図12は、ニップ117によって処理されて、中間ウェブ22になった後のタフト化した前駆体ウェブ21の一部を示し、これはさらなる処理なしに本発明のウェブ1であり得る。中間ウェブ22は、房6の遠位端3が固着されていることを除いて、前述のタフト化した前駆体ウェブ21と類似であり、少なくとも部分的に固着されて、遠位にある溶融固着部分9を形成するように、隣接する繊維が熱的に溶融固着されることが好ましい。一実施形態では、中間ウェブ22は、100%のポリエチレン/ポリエチレン(シース/コア)2成分繊維を含む80gsmのスパンボンド不織布を含む前駆体ウェブ20から作製され得る。上述のプロセスによって房6を形成した後に、隣接する繊維部分が互いに固着されて、溶融固着部分9を有する房6を形成するように、房6の遠位部3は加熱されて、個別2成分繊維のポリエチレン部分を熱的に固着することができる。
【0061】
遠位にある溶融固着部分9は、熱エネルギー及び圧力を房6の遠位部に加えることによって作製され得る。遠位にある溶融固着部分9の大きさ及び質量は、房6の遠位部に付与される熱エネルギーの量、装置159のラインスピード、及び熱印加の方法を変更することによって変更され得る。
【0062】
別の実施形態では、遠位にある溶融固着部分9は放射熱を加えることによって作製され得る。つまり、一実施形態では、放射熱が、房6の遠位にある溶融固着部分の繊維部分を柔らかく又は溶融するのに十分な距離で、かつ対応する十分な時間で、房のある前駆体ウェブ21に向けられ得るように、ボンディングロール156は放射熱源によって置き換えられるか、又は補完され得る。放射熱はどんな既知の放射熱ヒーターによっても加えられ得る。一実施形態では、放射熱は、ウェブがワイヤーの方へ動かされるとき、放射熱エネルギーが房6の遠位にある部分を少なくとも部分的に溶融するに十分に近く、かつ、均一に離間してCD方向に延長されて、タフト化した前駆体ウェブ21に対して配置される抵抗加熱ワイヤーによって供給され得る。別の実施形態では、加熱された平らなアイロン、例えば、衣類にアイロンをかけるための手持ちアイロンなどは、溶融がアイロンによって達成されるように房6の遠位端3に隣接して保持され得る。
【0063】
上述のように、中間ウェブ22を処理する利点は、房6の遠位端3が房6を圧縮せずに、又は平らにせずにニップ117の或る量の圧力の下で溶融され得ることである。そのようにして、三次元ウェブは製造され、セットされ、又は形状に「ロックドイン」されて、いわば、フォーミング後に熱固着を施すことによって形状化することができる。従って、実質的に固着されてないウェブは装置150によって処理されて、ウェブがその三次元性を維持することを確実にすることに役立つ方法で固着され、形成され得る。このようなセットされた三次元ウェブは、使用されるウェブ材料の種類及び生じるセットの量に依存して、所望の伸張又は弾性特性を有することができる。さらに、ウェブ1が圧縮又はせん断力を受ける場合に、遠位にある固着又は溶融された部分9は房6のタフト化したロフテイ構造を維持するのに役立ち得る。例えば、第一区画2と一体であるが、それから延びる繊維を含み、かつ遠位にある溶融固着部分9を有する房6を有するために、上に開示したように処理されるウェブ1は、供給ロールへの巻き付け、及びその後の巻き戻しに因る圧縮後に、改善された形状保持力を有することができる。房6の遠位部で隣接する繊維をともに固着することによって、房は圧縮によるランダムな圧壊を受けることが少ない、つまり、房6の全構造はどちらかといえばともに動き、それによって、ウェブの表面の摩擦に付随する圧縮及び/又はせん断力などで秩序を乱された時により良い形状保持力を可能にすると考えられる。拭き取る又は擦る応用に用いる場合に、房6の固着遠位端はまた、ウェブ1の毛羽たち又は毛玉を減らす、又は排除することができる。
【0064】
別の実施形態では、ウェブ1は、房6の遠位にある部分にない、又はそこにだけない溶融固着部分を有することができる。例えば、ボンディングロール156について平らな円筒ロールの代わりに噛み合う隆起ローラーを使用することによって、房6の他の部分はベース5と遠位端3との間にはいる。同様に、溶融固着材料の連続線が房6の列の間の第一表面12上に作製され得る。
【0065】
一般に、1つの第一ボンディングロール156が示されているものの、固着が一連のニップ117で、及び/又は様々な種類のボンディングロール156を伴って行われるように、プロセスのこの段階で1つより多いボンディングロールがあって良い。さらに、唯一のボンディングロールであるよりはむしろ、類似のロールは、機能的利益を付与する種々の表面処理剤のような、種々の物質を前駆体ウェブ20又はタフト化したウェブ21に移動させるために設けられ得る。例えば、タフト化したウェブ21又は中間ウェブ22の第一側面12は、種々の模様又はしるしを付与するためにインクで印刷され得る。ボンディングロール156と類似するロールは、例えば、グラビア印刷ロールであり得る。さらに、スキンケアローション、界面活性剤、疎水性物質などは、房6の遠位端3を含む、タフト化したウェブ21又は中間ウェブ22の第一側面12に付与され得る。このための追加ロールは、ボンディングロール156の前に、及び/又は後に装置150内に配置され得る。このような処理剤の塗布の技術分野で周知のどんなプロセスも利用できる。
【0066】
さらに、ローション、インク、界面活性剤などの物質が、ボンディングロール156の前又は後で、タフト化したウェブ21又は中間ウェブ22にスプレーされ、被覆され、スロット被覆され、押し出され、又は別の方法で塗布され得る。このような処理剤の塗布の技術分野で周知のどんなプロセスも利用できる。
【0067】
さらに、一実施形態では、追加ウェブがニップ117で導入され(図1に示さず)、ニップ117でタフト化した前駆体ウェブ21に固着され得る。つまり、追加ウェブは例えばロールストックから供給されて、ニップ117に持ち込まれて、積層構造を形成することが可能であり、積層体は房6の遠位端3と追加ウェブとの間に固着される。このようにして、ほぼ平らで滑らかな外面を有し、かつ、ほぼ空の容積を有する積層体を製造できる。このような実施形態では、房6は内部にあり、積層体の2つの外面を分離する。房6に比較的堅い繊維を用いることによって、このような積層体は柔らかい圧縮抵抗力のある不織布複合ウェブであり得る。
【0068】
中間ウェブ22は、本発明のウェブ1としてさらに処理するために、供給ロールで処理され得る。しかしながら、ウェブ1の好ましい実施形態では、中間ウェブ22は、図1に示すように、ニップ118の後でロール104から取り外されることによってさらに処理される。ニップ118はロール104と102Bとの間に形成され、ロール102Bはロール102Aと同じであることが好ましい。ロール102Bの周りを進む目的は、中間ウェブ22をロール104からそこに形成される房6を阻害することなく取り外すことである。ロール102Aが噛み合うのと同時に、ロール102Bがロール104と噛み合うので、中間ウェブ22がロール102Bに巻き取られるとき、房6はロール102Bの溝108に嵌合することができる。
【0069】
中間ウェブ22は、ロール102Bと第二ボンディングロール158との間のニップ119を通って処理され得る。第二ボンディングロール158は第一ボンディングロール156と設計が同じであり得る。第二ボンディングロール158は、十分な熱を中間ウェブ22の第二表面14の少なくとも部分的に溶融した部分に供給して、ロール102Bの隆起部106の先端とロール158のほぼ平らで滑らかな表面との間のニップ圧力に対応する、複数の交差しない、ほぼ連続する溶融固着領域11を形成することができる。
【0070】
第二ボンディングロールは、プロセスにおける唯一の固着工程として使用され得る(すなわち、房6の遠位端を固着することによって形成される中間ウェブ22を最初に有しないで)。このような場合に、ウェブ1はその第二側面14上に固着部分を有するタフト化したウェブであろう。しかしながら、一般に、ウェブ1は、房6の固着遠位端と、その第二側面14上の複数の交差しない、ほぼ連続する溶融固着領域11とを有する二重固着ウェブ1であることが好ましい。
【0071】
一般に、第一ボンディングロール156と同様に、第二ボンディングロール158は、化学的固着、例えば接着剤又はラテックス接着剤の塗布による固着、或いは圧力だけ、又は熱と組み合せた固着を容易にできる。同様に、第一ボンディングロール156と同様に、好ましい実施形態では、第二ボンディングロール158は加熱ロールであり、ウェブ22がニップ119を通過するとき、中間ウェブ22の隣接する繊維を溶融固着するために十分な温度に加熱されて、二重固着ウェブ23を形成し、これは本発明のウェブ1であり得る。
【0072】
図14に示すように、溶融固着領域11は溶融固着材料から成るほぼ直線で平行なストライプ又はバンドであり得る。この説明は加熱ロール158に関するものであることを留意すべきである。接着剤による固着の実施形態の場合、固着領域の同じ構造を達成できるが、勿論、それは「溶融固着」ではないだろう。一般に、溶融固着材料のバンド又はストライプが、不連続部16のすべての列の間に(すなわち、房6のすべての列の間に)配置されることは必要ではない。溶融固着材料11のストライプの数及び配置が必要に応じて変えられ得るように、第二ボンディングロール158は所定の位置でだけニップ119と接触するように設計され得る。さらに、ロール104の隆起部106が不連続である場合は、溶融固着部分は、例えばMD配向でダッシュ又はドットに見える材料から成る不連続なストライプ又はバンドであり得る。
【0073】
ウェブ1の使用に基づいて生じ得る多くの変更形態がある。溶融固着領域11は、引き裂くための穿孔の一種を形成するか、又は材料を機械的に弱体化させるかもしれない列を成し得る。あるいは、いくつかのウェブ1で中間又はジグザグ状の溶融固着領域11を有するだけであることが望ましいかもしれない。これは材料の強度が重要である場合に望ましいかもしれない。中間又はジグザグ状の溶融固着領域11は歯110をジグザグにするか、又は他の機械的調整によって生じ得る。
【0074】
図15の断面図に示すように、本発明のウェブ1は、房6の遠位端に溶融固着領域、並びに第二表面14上に溶融固着領域11のストライプ又はバンドを有することができる。溶融固着領域11は実質上表面固着されているだけであるかもしれず、又は、ニップ119の時間、圧力、及び温度との関係に応じて、ウェブ1を通して実質上固着されて、第一表面12上のいくつかの繊維さえも固着できる。第一ボンディングロール156と同様に、第二ボンディングロール158の熱出力は、領域11で必要な溶融固着の量を生成するのに必要な移動熱量を供給するために調整され得る。
【0075】
一般に、1つの第二ボンディングロール158が図1に示されているものの、固着が一連のニップ119において、及び/又は様々な種類のボンディングロール158を伴って行われるように、プロセスのこの段階で1つより多いボンディングロールがある。このような場合に、もしかしたら、複数のロール158がロール102Bの外周の周りにニップ119を形成するように、ロール102B及び158の周辺がそれ相応に調整されるかもしれない。さらに、唯一のボンディングロールであるよりはむしろ、類似のロールは、機能的利益を付与する種々の表面処理剤のような、種々の物質をウェブ1に移動させるために設けられ得る。例えば、タフト化したウェブ21又は中間ウェブ22の第一側面12は、種々の模様又はしるしを付与するためにインクで印刷され得る。ボンディングロール156と類似するロールは、例えば、グラビア印刷ロールであり得る。さらに、スキンケアローション、界面活性剤、疎水性物質などは、房6の遠位端3を含む、タフト化したウェブ21又は中間ウェブ22の第一側面12に付与され得る。このための追加ロールは、ボンディングロール156の前に、及び/又は後に装置150内に配置され得る。このような処理剤の塗布の技術分野で周知のどんなプロセスも利用できる。
【0076】
さらに、ローション、インク、界面活性剤などの物質が、ボンディングロール156の前又は後で、房状ウェブ21又は中間ウェブ22にスプレーされ、被覆され、スロット被覆され、押し出され、又は別の方法で塗布され得る。このような処理剤の塗布の技術分野で周知のどんなプロセスも利用できる。
【0077】
いくつかの実施形態では、溶融固着領域に開口を形成することが望ましいかもしれない。房6の遠位端の溶融固着領域及び第二表面14上の溶融固着領域11は開放であるか、又は溶融固着領域が形成された後に伸張工程を利用することによって、開口に形成されるかもしれない。伸張工程はリングローリング又はその他の種類の伸張であり得る。開口がループの基部に必要である場合に、第二表面14上の溶融固着領域11は形成され、次にウェブ11はリングロールされる。
【0078】
ウェブ1を形成した後に、それは保管及び他の製品の部品としてのさらなる処理のために供給ロール160に巻き取られる。
【0079】
本発明のウェブ1は、選択された特徴を有する工学的材料を製造する多くの機会を提供する。例えば、ウェブ1は、カード前駆体ウェブ20における短繊維の長さを選択することにより作製されることができ、それにより、房6において露出した繊維端部を有する可能性を統計的に予測することができる。また、短繊維のカードウェブは、スパンボンド不織布ウェブとブレンドされるか、又は積層され、ハイブリッドを作り出すことができ、それにより、第二区域4の房6は主にループ状のスパンボンド繊維を含み、第一区域2はカード繊維及びスパンボンド繊維の両方を含む。繊維の種類、短繊維の長さ、繊維の層化及び前駆体ウェブ20の他の変形は、ウェブ1の所望の機能的特徴を生むように所望により変更することができる。
【0080】
本発明のプロセス及び装置の利点の1つは、最小の繊維・繊維間固着がある前駆体ウェブ20からの固着不織布ウェブの製造である。例えば、前駆体ウェブは、不織布ウェブの分野において一般に既知であるように、区別される熱点結合の模様を有する不織布ウェブであり得る。一般に、また一方、最大の繊維移動性及び転位を可能にするために、固着点の数を最小にし、その間隔を最大にすることが望ましい。あるいは、もし適切な配慮及び技術が非固着ウェブをニップ116に呈するために使用されるならば、非固着前駆体ウェブ20を使用できる。適切な配慮及び技術は、例えば、繊維置き場からニップ116への真空コンベヤーベルトの使用によって達成され得る。このようなウェブでは、繊維は最大の繊維移動性を有することが可能であり、ウェブ固着は、安定したタフト化したウェブを形成するために第一ボンディングロール156で起こり得る。一般に、比較的大きな直径、及び/又は比較的高い破壊するまでの伸張、及び/又は比較的高い繊維移動度を有する繊維を使用することは、より優れた、より個別に形成される房6を生じる。
【0081】
ウェブ1は、好ましい実施形態において、単層の前駆体ウェブ20から作製された単層ウェブとして開示されているが、必ずしもそうである必要はない。例えば、2つ又はそれ以上の層又はプライを有する積層又は複合前駆体ウェブ20を使用することができる。一般に、ウェブ1についての上の説明は、例えば積層前駆体ウェブから形成されるループ状整列繊維8が、積層体の1つ、又は両方(又はすべて)の層による繊維から成り得ることを認めている。このようなウェブ構造では、従って、すべての層の繊維が、伸長に先立って破断せず、かつ積層体のすべての層からの繊維が房6に寄与することが要求される場合は房になるように、十分な直径、伸び特性、及び繊維移動性を有することは重要であり得る。
【0082】
多層ウェブ1は単層ウェブ1よりも大きな利点を有し得る。例えば、2つの前駆体ウェブ20A及び20Bを用いる多層ウェブ1による房6は、2つの前駆体ウェブをともに「ロック」して、層の間の接着剤又は熱固着の使用または必要性無しに積層ウェブを形成する「入れ子になった」関係で繊維を含み得る。他の実施形態では、多層ウェブは、層内の繊維が同じ伸張性を有しないように選ばれ得る。このようなウェブは、繊維を下層から、繊維を房6に寄与させることが少ないか、又は全く寄与させない上層へ押し抜くことによって、房6を生成できる。例えば、積層ウェブの上層は、本発明の装置によって処理される場合に簡単に「突き通される」ポリマー膜であり得る。このようなウェブでは、第二ボンディングロール158は、例えば、ポリマー膜を不織布上層に溶融固着するために使用されるかもしれない。一般に、追加ウェブ層を含む材料の追加層は、固着などによって、ウェブ1のどちらかの側面に積層することによりウェブ1に固着され得る。
【0083】
多層ウェブ1において、各前駆体ウェブは異なる材料特性を有し、それによりウェブ1に有益な特性を提供することができる。例えば、2つ(又はそれ以上)の前駆体ウェブ、例えば、第一前駆体ウェブ20A及び第二前駆体ウェブ20Bを含むウェブ1は、以下により十分に記述されるように、使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用するのに有益な流体処理特性を有することができる。優れた流体処理特性に関して、例えば、第一前駆体ウェブ20Aは、上側層(即ち、使い捨て吸収性物品のトップシートとして使用する時には身体に接触する)を形成し、比較的疎水性の繊維から成ることができる。第二前駆体ウェブ20Bは、比較的親水性の繊維から成る下側層(即ち、使い捨て吸収性物品で使用される時、トップシートと吸収性コアとの間に配置される)を形成し得る。上側の比較的疎水性の層上に付着した流体は、下側の比較的親水性の層へ迅速に移送される。観察された迅速な流体移送の1つの理由は、房6の概ね整列した繊維8、18により形成された毛管構造である。繊維8、18は、隣接する繊維の間に方向的に整列した毛管を形成し、毛管現象は、房6の近位部分5近くで繊維が概ね集合することによって高められる。
【0084】
急速な流体輸送が、房6によって生成される空隙10を経由してウェブ1に入る流体の能力によってさらに向上すると考えられる。この「横への進入」能力、及び/又は毛管現象、及び/又はウェブ1の構造により提供された親水性勾配により、ウェブ1は使い捨て吸収性物品に最適な流体処理用の理想的な材料となる。特に、多層ウェブ1は流体処理特徴の点で更に大きな向上を提供し得る。ウェブ1が使い捨て吸収性製品で流体処理部材として使用される場合に、第一表面12が着用者の身体に向けられるか、又は着用者の身体から外れるように、ウェブ1は向けられ得る。従って、一実施形態では、房は着用者の皮膚に向って延びているだろうし、他の実施形態では、房は着用者から離れ、使い捨て吸収性物品の他の部品、又は着用者の衣服に向って延びるだろう。
【0085】
別の実施形態において、第一前駆体ウェブ20Aは、比較的柔らかい繊維(例えば、ポリエチレン)から成ることができ、一方、第二前駆体ウェブ20Bは、比較的剛性の繊維(例えば、ポリエステル)から成ることができる。このような多層ウェブ1において、房6は、圧力が加えられた後でさえも、図15に示すように一定の高さhを保有するか、又は回復できる。特に上述のような親水性勾配と組み合せた時の構造としてのそのような利益(当該技術分野において既知の手段により、繊維を疎水性又は親水性にすることができる)は、優れた流体獲得特性及び優れた再湿潤特性(即ち、トップシートの表面へ戻る流体の移動が少ない)を提供する女性用衛生製品におけるトップシートとして使用するのに好適なウェブ1である。第二前駆体ウェブ20Bの比較的剛性の繊維により提供される増大した剛性は、ウェブの増大した耐圧縮性のキャリパー(厚さ)を提供し、一方、第一前駆体ウェブ20Aの比較的柔軟な繊維は、ウェブ/皮膚の境界面に柔軟性を与えると考えられている。この余分なキャリパーは、流体を比較的含まない状態(隣接する繊維が一緒に固着されるための毛管現象の欠如に因る)を保持するための房6の遠位にある部分3の能力とともに、女性用衛生製品、並びに幼児用おむつ、成人用失禁用品、包帯などで使用するための優れた柔らかく乾いた(かつ乾いた感触の)トップシートをもたらす。
【0086】
図16〜18は、前駆体ウェブ20A又は20Bの材料特性に応じた房6についての可能な構造の代表的な概略図を示す。他の構造(図示せず)が達成され得るが、様々な構造に対する唯一の制限は、前駆体ウェブの材料特性に固有の制限である。
【0087】
従って、上の説明から分かるように、用いられる前駆体ウェブ20、歯110を含むロール102及び104の寸法パラメータ、並びに第一及び/又は第二ボンディングロール156及び158の加熱特性に依存して、本発明のウェブ1は広範囲の物理的特性を示すことができる。ウェブ1は、考慮される化学物質、及び遮蔽性能、耐アルカリ性、不透明度、拭き取り性能、吸水性、吸油性、水分透過性、断熱特性、耐候性、高強度、高引裂力、磨耗耐性、静電制御性、風合い、染料の親和性、安全性などとして一般に記述される他の多くの多様なパラメータに応じて、柔軟から粗いまでの主観的に体感する質感の範囲、非吸収性から非常に吸収性までの範囲の吸収性、比較的嵩が低いから比較的嵩が高いまでの範囲の嵩高性、低い引き裂き強さから高い引き裂き強さまでの範囲の引き裂き強さ、非弾性から少なくとも100%の弾性的延伸性までの範囲の弾性、比較的低い耐性から高い耐性までの範囲の耐化学性を示し得る。一般に、前駆体ウェブ20の繊維の伸張特性に応じて、装置150の寸法は、高さh(図15に示す)、間隔、及び個別房6の面積密度を含む、第二区画4と関連する広範囲の寸法を有するウェブ1を製造するために変えられ得る。
【0088】
一実施形態では、2層の積層ウェブ1は、第一及び第二加熱ロール156及び158について135℃(華氏275度)の加熱ロール温度を有する、本明細書に開示される方法及び装置によって製造され得る。ニップ116の係合部Eの深さは約1.8mm(約0.070インチ)〜約2.54mm(約0.100インチ)であり、そして約3.4mm(約0.130インチ)であり得る。歯の高さTHは約1.8mm(約0.070インチ)〜約3.4mm(約0.130インチ)であり、ピッチPは約1.5mm(約0.060インチ)〜約3.4mm(約0.130インチ)であり得る。積層ウェブは、約15メートル/分(約50フィート/分)〜約150メートル/分(約500フィート/分)のライン速度で通され得る。
【0089】
多層実施形態では、1つの層は45gsm50%/50%6デニールPET/2成分熱点固着カードウェブであり得る。PET繊維は、タイプ204という名称でノースカロライナ州シャルロッテのウエルマン社(Wellman, Inc., Charlotte, NC)から得られる、丸い断面形状を有する、界面活性剤処理PETのしわ形成された5.1cm(2インチ)カット長の繊維であり得る。2成分繊維は、タイプТ425という名称でジョージア州アトランタのファイバービジョンLB(Fibervision LB, Atlanta, GA)から得られる、比較的親水性の6デニールポリエチレン/ポリプロピレンのしわ形成された5.1cm(2インチ)カット長の2成分バインダー繊維(融点がより高いポリプロピレンコア/融点が低いポリエチレンシース)であり得る。すべてのパーセンテージは重量パーセンテージを指す。
【0090】
ウェブ1の別の2成分実施形態は上述のものと同様に作製され得るが、第一及び第二加熱ロール156及び158について146℃(華氏295度)の加熱ロール温度、並びに約152メートル/分(500フィート/分)のライン速度を有する。
【0091】
上述のウェブ1の2層実施形態の両方とも、その比較的親水性であることに少なくとも差異を有する不織布前駆体ウェブを使用し、生理用品で、具体的に言えば、以下により完全に説明するように、生理用ナプキンのカバーシート(例えば、トップシース)として使用するのに適している。別の実施形態では、第一前駆体ウェブは不織布であり、第二前駆体ウェブはポリマー膜であり、それにより、房6が形成される場合に、ポリマー膜は房を覆ってカバー又はキャップを形成する。例えば、図16に図式的に示す実施形態では、前駆体ウェブ20Aはポリマー膜であり、これは前駆体ウェブ20Bのタフト化した部分を覆うカバーを形成することが分かる。
【0092】
別の実施形態では、前駆体ウェブの1つは紙ウェブ、例えば、プロクター・アンド・ギャンブル社(Procter & Gamble Co.)によって販売されているバウンテイ(BOUNTY)(登録商標)ペーパータオルに類似するティッシュペーパーウェブなどであり得る。一実施形態では、メルトブローン又はスパンボンド不織布ウェブは紙ウェブに積層され、装置150によって処理されて、紙/不織布複合積層体を形成できる。不織布ウェブは予熱されるか、又は加熱状態にある間に紙ウェブに直接付着され得る。一実施形態では、約3〜約20グラム/平方メートルの坪量を有するポリマー繊維のスパンボンド又はメルトブローン層は、SMSラインの1つ以上のビームからティッシュペーパーの動くウェブに直接供給されて、ティッシュ/不織布積層体を形成できる。ティッシュ/不織布積層体は別のティッシュ層にさらに積層されて、ティッシュ/不織布(例えば、メルトブローン)/ティッシュを形成し、次に装置150のニップ116を通って処理され得る。上に開示のウェブの次の加熱がなくても、結果として生じる房のあるウェブは、例えば、拭き取り応用のための優れた一体性を有することが分かった。
【0093】
別の実施形態では、紙ウェブは、紙ウェブが熱可塑性樹脂繊維を含む不織布ウェブ20として使用され得る。例えば、熱可塑性樹脂繊維は、抄紙の湿った段階中にパルプ完成紙料に十分な量を追加されて、熱可塑性樹脂繊維の熱固着が房のあるウェブ1に向上した一体性を与えることを可能にする。例えば、十分な量とは抄紙完成紙料においてセルロース繊維の約10〜約20重量%のポリマー繊維であり得る。
【0094】
図19は、月経用物品、具体的に言えば、本発明のウェブ1をその構成部品の1つとして有する生理用ナプキンの部分切り欠け平面図を示している。一般に、生理用ナプキン200は、バックシート202と、トップシート206と、トップシート206とバックシート202との間に配置された吸収性コア204とを具備し、これらトップシート206及びバックシート202は、周辺部210の周囲で接合され得る。生理用ナプキン200は、一般には「ウィング」208と呼ばれる、生理用ナプキン200のユーザーのパンティの股領域の両側を包むように設計された側部伸張部を有し得る。生理用ナプキン200のトップシート206は、その身体に面する側に房6を有するウェブ1を含む。その身体面表面として使用するトップシートを含む生理用ナプキンは、当該技術分野において周知であり、様々な代替設計及び任意設計についての詳細な説明を必要としない。パンティーライナー、陰唇間装置などの他の月経用物品も、生理用ナプキンと同様の構造を有する。ウェブ1が、バックシート、吸収性コア材料、トップシート、二次トップシート、又はウィング材料の1以上として、又はコンポーネントとして、使用できることに留意する。
【0095】
図20は、本発明のウェブ1をそのコンポーネントの1つとして有する月経用タンポン300を一部切り取った斜視図を示す。一般に、タンポン300は、圧縮した吸収性コア302と、吸収性コア302を被覆する流体透過性のカバーラップ304とを具備する。カバーラップ304は、吸収性コア302の一端を超えて延出し、スカート部分306を形成してもよい。使用後のタンポンの除去を容易にするために、ストリング308のような除去手段を設けることができる。その身体に接触する表面として使用するカバーラップを含むタンポンは、当該技術分野において周知であり、様々な代替設計及び任意設計についての詳細な説明を必要としない。しかしながら、ウェブ1が、カバーラップ、吸収性コア材料、又は除去手段材料の1つ若しくはそれ以上のものとして、又はそのコンポーネントとして使用可能であることが注目される。機械的ファスナを有する幼児用おむつのような、他の使い捨て吸収性物品において、ウェブ1は、例えば、フック・ループ式ファスナの構成部品の1つであり得る。ウェブ1は、このようなファスナのランディングゾーンか、或いはこのようなランディングゾーンに係合するように設計されたテープ状ひものフック部分であり得る。
【0096】
本発明のウェブはまた、身体を清潔にし、かつ湿気を与えるための織り目加工されたボディクロスのような、拭き取り物品でも使用され得る。一実施形態では、ウェブ1は、シャワーにおいて身体を清潔にするための二重織り目加工された泡立て物品に組み込まれ得る。拭き取り繊維1は、下の表1に示す成分から調整される泡立て界面活性剤構成成分を含むことができる。
【0097】
【表1】
【0098】
成分を、陽イオン性ポリマーをグリコール及び界面活性剤と共に加熱下で塊にならないように連続的に攪拌しながら混合することにより調製できる。香料は冷却中に添加され得る。約60℃以上に加熱することにより発泡性界面活性剤構成成分は溶融し、冷却により硬い固体に固化する。パーセンテージは、それが含有する水を含む成分の重量パーセンテージである。
【0099】
上の成分は、図1の装置に関して上述したプロセスによって調整される重構造の積層ウェブ1に適用され得る。ウェブ1は、サウスカロライナ州シンプソンビルのBBAノンウォーベン(BBA Nonwovens, Simpsonville, SC)から調達できる、かつソフトスパン200(Softspan 200)(登録商標)という商品名で販売されている、ポリプロピレンを含む25gsm不織布ウェブであり、本発明の装置によって処理されて、房6の遠位端の溶融固着領域と、第二表面14上の溶融固着領域11のストライプ又はバンドとを有することができる。そのように調整されたウェブ1は詰め物に密封され、これは、ベルギーのリベルテックスNV(Libeltex, NV, Belgium)製の65gsmの坪量及び2.7mmの厚さを有するカーディング繊維の嵩張ったエアレイドブレンド(50%PET、50%PE/PPコア・シース2成分)である。不織布ウェブは物品に対して織り目加工された感触及び使用時の安定性の増大を与える。発泡性界面活性剤構成成分は液体まで加熱され、完成品当たり4グラムの割合で不織布とエアレイド層との間に3列にスロットコーティングされ得る。層は、ブランソンモデル9000超音波シーラー(Branson Model 9000 Ultrasonic Sealer)のような、超音波シーラーを用いて封止可能であり、この超音波シーラーは、3cm間隔で物品を横切る等間隔の直径4mmの封止ポイントの格子から成るドットパターンを封止する。封止ウェブは11.9cm×9.0cmの長方形に切断されて、完成品を生成できる。
【0100】
本発明のウェブ1を用いる重構造の積層品の第二例は、約16%の界面活性剤を有する市販ボディソープを組み入れることができる。ボディソープは市販されており、バス・アンド・ボディ・ワークス(Bath & Body Works)によって販売され、水、硫酸ラウレス(laureth)ナトリウム、ラウラミド(lauramide)DEA、TEAグルタミン酸ココイル、コカミドプロピル・ベタイン、芳香剤、ナトリウムPCA、アロエ葉ジュース、カリーカパパイヤ果実エキス、プロピレングリコール、ポリクオタニウム(polyquatemium)−10、防腐剤、芳香剤、PEG−150ジステアリン酸、塩化ナトリウム、及び染料を含む。重構造の不織布/エアレイドウェブは上の例におけるように調整されることが可能であり、次に上述の市販ボディソープに浸され、これは1100gsmの割合でウェブに追加されることが好ましい。ウェブは強制空気オーブンで乾燥されて、部分的に乾燥したときそれをひっくり返し、それがひっくり返されたとき余分のボディソープを拭き取ることができる。約16%の水分まで乾燥させた後に、ウェブは11.9cm×9.0cmの長方形に切断され得る。
【0101】
本発明のウェブ1を用いる重構造の積層品の第三例はメイクアップ・リムーバー・パッドであり得る。表2に示す次の化学成分は調整されることが可能であり、これはメイクアップを除去するのに有用である。相Aは75℃の水で調整されることが可能であり、これはこの例の界面活性剤成分であり得る。示された処方は添加された水を包含しない。成分相Bは、成分を別々に混合し、室温で相Bにブレンドすることによって調整され得る。
【0102】
【表2】
【0103】
物品は、界面活性剤成分を本明細書に記載のプロセス及び変更態様のどれかによって作製されるウェブ1に、ウェブの重量に基づいて約150%の追加割合で吹き付けることによって調整され得る。この物品は密閉容器に保管することができる。
【0104】
本発明のウェブ1及び装置150についての上の説明から理解できるように、ウェブ1の多くの種々の構造は、添付の特許請求範囲に請求されている本発明の範囲から逸脱せずに作製され得る。例えば、ウェブ1は、ローション、薬剤、洗浄用流体、抗菌溶液、エマルション、芳香剤、界面活性剤でコーティングされるか、又は処理されることができる。同様に、装置150は、房6をウェブ1の一部に形成するだけのために、或いは房6のいろいろなサイズ又は面積密度を形成するために構成され得る。さらに、構成前駆体ウェブ20は、装置150による処理に先立って、開口、エンボス加工、コーティングなどを有するように予め処理又は加工され得る。例えば、膜前駆体ウェブ20は真空成形又はハイドロフォーミングされて、米国特許第4,609,518号、第4,629,643号、第4,695,422号、第4,839,216号、第4,342,314号、又は第4,463,045号のいずれかに記載の三次元開口形成膜になり得る。
【0105】
さらに、本発明のウェブ1及び装置150についての上の説明から理解できるように、当業者には、当技術分野で既知である種々の追加プロセスは、種々の追加の構造を提供するために述べたプロセスと組み合され得ることが分かる。例えば、第一ニップ116に入るのに先立って、前駆体ウェブ20は、開口を設けるためにニップ116で少しずつ伸張され得る、複数の弱い溶融安定化させた位置とオーバーボンドされ得る。このようなプロセスは米国特許第5,628,097号に記載されている。さらに、異なる伸長特性を有する多重層が、米国特許第20030028165A1号に記載の方法と類似の方法で処理され得る。一般に、「リングローリング」又は「セルフィング」と当技術分野で通例称される既知のプロセスのいずれかが、特定の応用のためにウェブ1を製造するために必要に応じて装置150に組み込まれ得る。
【0106】
ウェブ1は多種多様な応用、例えば、エアフィルター、バッグフィルター、液体フィルター、真空フィルター、排水フィルター、及び細菌遮蔽フィルターのような種々のフィルターシート、コンデンサの分離ペーパー及びフロッピー(登録商標)ディスクの包装材料のような種々の電気器具用のシート、粘着性接着テープのベースクロス、オイル吸収材、及びフェルト紙のような種々の工業用シート、塗装面清掃、床の手入れ、及び他のホームケア用途のような種々のドライ又はウエットタイプの雑巾、家庭、サービス、及び医療用の雑巾、印刷ロール雑巾、コピー機を清掃する雑巾、幼児用雑巾、及び光学装置用雑巾のような種々の拭き取りシート、手術着、診察着、創部のケア、布製カバー、キャップ、マスク、シーツ、タオル、ガーゼ、パップのベースクロス、おむつ、おむつライナー、おむつカバー、女性用ナプキンカバー、女性用ナプキン又はおむつ確保層(カバー層の下に)、おむつのコア、タンポンライナー、ばんそうこうのベースクロス、ウェットタオル、紙タオル、ティッシュのような種々の医療及び衛生用のシート、心地、パッド、ジャンパーライナー、及び使い捨て下着のような種々の衣類用のシート、人工皮革及び合成皮革用のベースクロス、テーブルトップ、壁紙、ブラインド、ラッピング、乾燥剤用のパッケージ、ショッピングバッグ、スーツカバー、及び枕カバーのような種々の生活用具のシート、グランドカバー、砂防装置、寒冷及び日光遮蔽クロス、カーテン裏地、オーバーオールカバー用のシート、光遮蔽シート、農薬の包装材料、蒔種用ポットの裏地紙のような種々の農業用シート、ガス防止マスク、実験着、及び防塵服のような種々の保護シート、ハウスラップ、被覆材、濾材、分離材、オーバーレイ、屋根ふき材、房及びカーペットのベースクロス、内壁材、防音又は振動減衰シート、及び養生シートのような種々の土木建造物用のシート、並びに、フロアマット、トランクマット、成形天井材、ヘッドレスト、及び裏地、更にはアルカリ電池の分離シートのような種々の自動車の内部シートに使用され得る。他の用途は、おしり拭き、洗顔クロス、又は顔ふきのような個人の清浄又は衛生のための拭き取り用の布、或いはベビーウェアとしてウェブ1を用いることを含む。
【0107】
一実施形態では、ウェブ1又はウェブ1を含む複合物は糞便物質貯蔵要素として使用され得る。ウェブ1は、排便後、低粘度の糞便又は粘稠な体外排泄物を受容し、着用者の皮膚から離して保持するべく孔あきウェブ又はフィルムの下に配置される時、第二トップシート又は副層として利用することができる。ウェブ内又は房間の全三次元容量が更に大きい本発明の実施形態は、一般に、低粘度の糞便を貯蔵する能力がより高い。かかる糞便物質の貯蔵要素又は副層を採用する吸収性物品は、とりわけ、米国特許第5,941,864号、米国特許第5,957,906号、米国特許第6,018,093号、米国特許第6,010,491号、米国特許第6,186,992号及び6,414,215号に記載されている。
【0108】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関して先行技術であることを容認するものとして解釈すべきではない。
【0109】
本発明の特定の実施形態が例示及び説明されてきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのような全ての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明のウェブを製造するプロセスの模式図。
【図2】図1で示される装置の一部分の拡大図。
【図3】タフト化したウェブの部分斜視図。
【図4】図3で示されるウェブの拡大部分。
【図5】図4で示されるウェブの一部の断面図。
【図6】図5で示されるウェブの一部の平面図。
【図7】図2で示される装置の一部の断面図。
【図8】本発明のウェブの1つの実施形態を形成する装置の一部の斜視図。
【図9】本発明のウェブを形成する装置の一部の拡大斜視図。
【図10】本発明のウェブの一部の顕微鏡写真。
【図11】本発明のウェブの一部の顕微鏡写真。
【図12】房の溶融固着部分を有するタフト化したウェブの部分斜視図。
【図13】図12で示されるウェブの拡大部分。
【図14】本発明のウェブの一部の平面図。
【図15】図14で示されるウェブの一部の断面図。
【図16】本発明の多層ウェブの房の断面の模式図。
【図17】本発明の多層ウェブの房の断面の模式図。
【図18】本発明の多層ウェブの房の断面の模式図。
【図19】本発明の生理用ナプキンの部分的切欠平面図。
【図20】本発明のタンポンを一部切り取った斜視図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一表面(12)と、第二表面(14)とを有する繊維ウェブ(1)であって、前記繊維ウェブは第一区域(2)と、少なくとも1つの別個の第二区域(4)によって特徴付けられ、前記第二区画(4)は第二表面(14)上の不連続部(16)であり、前記第一表面(12)から延びる複数のタフト化した繊維(8、18)を含む房(6)であり、前記タフト化した繊維は遠位部(3)を規定し、前記遠位部(3)は一緒に固着されている前記タフト化した繊維(8、18)の部分を含む繊維ウェブ。
【請求項2】
前記ウェブが複数の区別されるが一体化された第二区画を含む、請求項1に記載の繊維ウェブ。
【請求項3】
前記複数の別個の一体の第二区画が一様に前記繊維ウェブ上に配置される、請求項2に記載の繊維ウェブ。
【請求項4】
第一表面(12)と、第二表面(14)とを有する繊維ウェブ(1)であって、前記繊維ウェブは第一区域(2)と、複数の別個の第二区域(4)によって特徴付けられ、各前記第二区画(4)は前記第二表面(14)上の不連続部(16)と、前記第一表面(12)と一体であるが、それから延びる複数のタフト化した繊維(8、18)を含む房(6)とを含み、前記タフト化した繊維は遠位部(3)を規定し、前記第二表面(14)はその上に複数の交差しないセグメント化された固着領域を有する繊維ウェブ。
【請求項5】
第一表面(12)と、第二表面(14)とを有する繊維ウェブ(1)であって、前記繊維ウェブは第一区域(2)と、複数の別個の第二区域(4)によって特徴付けられ、各前記第二区画(4)は前記第二表面(14)上の不連続部(16)と、前記第一表面(12)と一体であるが、それから延びる複数のタフト化した繊維(8、18)を含む房(6)とを含み、前記タフト化した繊維は遠位部(3)を規定し、前記遠位部(3)は一緒に固着されている前記タフト化した繊維(8、18)の部分を含むものであって、かつ、前記第二表面(14)はその上に複数の交差しない、ほぼ連続する固着領域を含む繊維ウェブ。
【請求項6】
一緒に固着された房の前記部分が、遠位に配置された溶融固着部分を含む請求項5に記載の繊維ウェブ。
【請求項7】
第一区域(2)と、複数の区別されるが一体化された第二区域(4)とを含む繊維ウェブ(1)を特徴とする少なくとも1つのコンポーネントを有する使い捨て吸収性物品であって、前記第二区域(4)は、繊維不連続部(16)の領域である少なくとも1つの部分と、前記第一区域(2)と一体であるが、そこから延びる複数のタフト化した繊維(8、18)を含む房(6)である少なくとも別の部分とを有するものであって、前記ウェブ(1)は固着領域を前記房(6)の遠位部に含む使い捨て吸収性物品。
【請求項8】
少なくとも第一及び第二前駆体ウェブを含む多層タフト化したウェブ(1)であって、前記多層繊維ウェブは第一表面(12)及び第二表面(14)、第一区域(2)、並びに複数の区別されるが一体化された第二区域(4)によって特徴付けられ、前記第二区画(4)は、繊維不連続部(16)の領域である少なくとも1つの部分と、前記第一表面(12)と一体であるが、そこから延びる複数のタフト化した繊維(8、18)を含む房(6)である少なくとも別の部分とを有するものであって、前記タフト化した繊維(8,18)は、前記第一及び第二前駆体の少なくとも一つからの繊維を含み、かつ、前記タフト化した繊維は遠位部(3)を規定し、前記遠位部(3)は一緒に固着されている前記タフト化した繊維(8,18)の部分を含む多層タフト化したウェブ。
【請求項9】
繊維ウェブ材料を形成する装置であって、
a.円周方向に延びる溝によって分離される、複数の間隔を置いて配置された歯付きの隆起部を有する第一ロールと、
b.複数の隆起部と、その全外周の周りに連続して延びる対応する溝とを含み、前記第一ロールとともにニップを形成するために噛み合って配置される第二ロールと、
c.前記第一ロールとともにニップを形成するために配置される第一ボンディングロールと、
d.複数の隆起部と、その全外周の周りに連続して延びる対応する溝とを含み、前記第一ロールとともにニップを形成するために噛み合って配置される第三ロールと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
房に固着部分を有するタフト化したウェブを作製する方法であって、
a.円周方向に延びる溝によって分離される、複数の間隔を置いて配置された歯付きの隆起部を有する第一ロールを提供する工程と、
b.複数の隆起部と、その全外周の周りに連続して延びる対応する溝とを含み、前記第一ロールとともにニップを形成するために噛み合って配置される第二ロールを提供する工程と、
c.前記第一ロールとともにニップを形成するために配置される第一ボンディングロールを提供する工程と、
d.複数の隆起部と、その全外周の周りに連続して延びる対応する溝とを含み、前記第一ロールとともにニップを形成するために噛み合って配置される第三ロールを提供する工程と、
e.繊維材料のウェブを少なくとも含むウェブ材料を提供する工程と、
f.前記第二ロール、前記第一ボンディングロール、及び前記第三ロールに対して前記第一ロールを逆回転させる工程と、
g.前記ウェブを前記逆回転する第一ロールと第二ロールとの間の前記ニップに通す工程と、
h.前記ウェブを前記第一ロールから取り外さずに、前記ウェブを前記逆回転する第一ロールと前記第一ボンディングロールとの間の前記ニップに通す工程と、
i.前記ウェブを前記第一ロールから取り外す工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項1】
第一表面(12)と、第二表面(14)とを有する繊維ウェブ(1)であって、前記繊維ウェブは第一区域(2)と、少なくとも1つの別個の第二区域(4)によって特徴付けられ、前記第二区画(4)は第二表面(14)上の不連続部(16)であり、前記第一表面(12)から延びる複数のタフト化した繊維(8、18)を含む房(6)であり、前記タフト化した繊維は遠位部(3)を規定し、前記遠位部(3)は一緒に固着されている前記タフト化した繊維(8、18)の部分を含む繊維ウェブ。
【請求項2】
前記ウェブが複数の区別されるが一体化された第二区画を含む、請求項1に記載の繊維ウェブ。
【請求項3】
前記複数の別個の一体の第二区画が一様に前記繊維ウェブ上に配置される、請求項2に記載の繊維ウェブ。
【請求項4】
第一表面(12)と、第二表面(14)とを有する繊維ウェブ(1)であって、前記繊維ウェブは第一区域(2)と、複数の別個の第二区域(4)によって特徴付けられ、各前記第二区画(4)は前記第二表面(14)上の不連続部(16)と、前記第一表面(12)と一体であるが、それから延びる複数のタフト化した繊維(8、18)を含む房(6)とを含み、前記タフト化した繊維は遠位部(3)を規定し、前記第二表面(14)はその上に複数の交差しないセグメント化された固着領域を有する繊維ウェブ。
【請求項5】
第一表面(12)と、第二表面(14)とを有する繊維ウェブ(1)であって、前記繊維ウェブは第一区域(2)と、複数の別個の第二区域(4)によって特徴付けられ、各前記第二区画(4)は前記第二表面(14)上の不連続部(16)と、前記第一表面(12)と一体であるが、それから延びる複数のタフト化した繊維(8、18)を含む房(6)とを含み、前記タフト化した繊維は遠位部(3)を規定し、前記遠位部(3)は一緒に固着されている前記タフト化した繊維(8、18)の部分を含むものであって、かつ、前記第二表面(14)はその上に複数の交差しない、ほぼ連続する固着領域を含む繊維ウェブ。
【請求項6】
一緒に固着された房の前記部分が、遠位に配置された溶融固着部分を含む請求項5に記載の繊維ウェブ。
【請求項7】
第一区域(2)と、複数の区別されるが一体化された第二区域(4)とを含む繊維ウェブ(1)を特徴とする少なくとも1つのコンポーネントを有する使い捨て吸収性物品であって、前記第二区域(4)は、繊維不連続部(16)の領域である少なくとも1つの部分と、前記第一区域(2)と一体であるが、そこから延びる複数のタフト化した繊維(8、18)を含む房(6)である少なくとも別の部分とを有するものであって、前記ウェブ(1)は固着領域を前記房(6)の遠位部に含む使い捨て吸収性物品。
【請求項8】
少なくとも第一及び第二前駆体ウェブを含む多層タフト化したウェブ(1)であって、前記多層繊維ウェブは第一表面(12)及び第二表面(14)、第一区域(2)、並びに複数の区別されるが一体化された第二区域(4)によって特徴付けられ、前記第二区画(4)は、繊維不連続部(16)の領域である少なくとも1つの部分と、前記第一表面(12)と一体であるが、そこから延びる複数のタフト化した繊維(8、18)を含む房(6)である少なくとも別の部分とを有するものであって、前記タフト化した繊維(8,18)は、前記第一及び第二前駆体の少なくとも一つからの繊維を含み、かつ、前記タフト化した繊維は遠位部(3)を規定し、前記遠位部(3)は一緒に固着されている前記タフト化した繊維(8,18)の部分を含む多層タフト化したウェブ。
【請求項9】
繊維ウェブ材料を形成する装置であって、
a.円周方向に延びる溝によって分離される、複数の間隔を置いて配置された歯付きの隆起部を有する第一ロールと、
b.複数の隆起部と、その全外周の周りに連続して延びる対応する溝とを含み、前記第一ロールとともにニップを形成するために噛み合って配置される第二ロールと、
c.前記第一ロールとともにニップを形成するために配置される第一ボンディングロールと、
d.複数の隆起部と、その全外周の周りに連続して延びる対応する溝とを含み、前記第一ロールとともにニップを形成するために噛み合って配置される第三ロールと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項10】
房に固着部分を有するタフト化したウェブを作製する方法であって、
a.円周方向に延びる溝によって分離される、複数の間隔を置いて配置された歯付きの隆起部を有する第一ロールを提供する工程と、
b.複数の隆起部と、その全外周の周りに連続して延びる対応する溝とを含み、前記第一ロールとともにニップを形成するために噛み合って配置される第二ロールを提供する工程と、
c.前記第一ロールとともにニップを形成するために配置される第一ボンディングロールを提供する工程と、
d.複数の隆起部と、その全外周の周りに連続して延びる対応する溝とを含み、前記第一ロールとともにニップを形成するために噛み合って配置される第三ロールを提供する工程と、
e.繊維材料のウェブを少なくとも含むウェブ材料を提供する工程と、
f.前記第二ロール、前記第一ボンディングロール、及び前記第三ロールに対して前記第一ロールを逆回転させる工程と、
g.前記ウェブを前記逆回転する第一ロールと第二ロールとの間の前記ニップに通す工程と、
h.前記ウェブを前記第一ロールから取り外さずに、前記ウェブを前記逆回転する第一ロールと前記第一ボンディングロールとの間の前記ニップに通す工程と、
i.前記ウェブを前記第一ロールから取り外す工程と、
を含むことを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2008−546924(P2008−546924A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518097(P2008−518097)
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/021753
【国際公開番号】WO2007/001270
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月21日(2005.6.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/021753
【国際公開番号】WO2007/001270
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】
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