説明

タブリード用輸送箱

【課題】タブリードの損傷を防止するとともに、収容されたタブリードを容易に搬送することができるタブリード用輸送箱を提供すること。
【解決手段】長方形状の導電タブの中間部分に絶縁フィルムを両面から貼り合わせたタブリードを複数積み重ねて収容するタブリード用輸送箱10は、本体部11と蓋部12とを備える。本体部11の底面は、複数積み重ねられたタブリードのうちの最下層にあるタブリードの周縁部を面接触で支持するように形成される。そして、蓋部12を用いて本体部11に蓋がされた場合に、複数のタブリードのうちの最上層にあるタブリードの表面と蓋部12の内面とが平行となるように蓋部12の内面が形成され、本体部11の底面と蓋部12の内面とで複数のタブリードを挟み込むことにより複数のタブリードを固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のタブリードを収容して輸送するためのタブリード用輸送箱に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池やキャパシタなどから電気を取り出すためのリード部材であるタブリードの利用が拡大している。タブリードを輸送する際には、タブリードが損傷しないように、タブリードを固定する必要がある。
【0003】
特許文献1には、運搬時などにウェハに傷や衝撃を与えることのないウェハ収納用トレイが開示されている。このウェハ収納用トレイの内側側面には段部が設けられ、その段部の角部にウェハが当接することによりウェハが支持される。このウェハ収納用トレイの底外面は凸曲面状にされ、ウェハ収納用トレイを複数積み重ねた場合に、その凸曲面で下にあるウェハ収納用トレイに収納されたウェハを押さえることによりウェハを固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−37381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1のトレイを、タブリードを収容するトレイとして用い、そのトレイを複数積み重ねて輸送するとした場合、上にあるトレイの底外面の凸曲面が、下にあるトレイに収納されたタブリードに接触することになるので、輸送中の振動や外圧により、タブリードが損傷する可能性がある。特に、タブリードの導体部分は、ニッケルやニッケルメッキ銅板、あるいは、アルミニウムなどの金属材料により形成されるので、振動が発生した場合にその重量により損傷する可能性がある。
【0006】
また、特許文献1では、トレイ1つにウェハ1つが収容されるので、複数のトレイが積み重ねられている場合に、トレイに収納されたウェハをトレイから取り出して搬送しようとすると、トレイからウェハを搬送する毎に、トレイを除去する手間がかかる。特許文献1のトレイを、タブリードを収容するトレイとして用いる場合にも同様の問題が生じる。
【0007】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたもので、タブリードの損傷を防止するとともに、収容されたタブリードを容易に搬送することができるタブリード用輸送箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるタブリード用輸送箱は、長方形状の導電タブの中間部分に絶縁フィルムを両面から貼り合わせたタブリードを複数積み重ねて収容するものであり、本体部と蓋部とを備える。本体部の底面は、複数積み重ねられたタブリードのうちの最下層にあるタブリードの周縁部を面接触で支持するように形成される。そして、蓋部を用いて本体部に蓋がされた場合に、複数のタブリードのうちの最上層のタブリードの表面と蓋部の内面とが平行となるように蓋部の内面が形成され、本体部の底面と蓋部の内面とで複数のタブリードを挟み込むことにより複数のタブリードを固定する。
【0009】
また、本発明によるタブリード用輸送箱の蓋部には、強度補強用のリブを設けることができる。また、タブリード用輸送箱の本体部および蓋部の材質は、ポリエステルとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、面接触により複数のタブリードをしっかり保持することができ、タブリードの損傷を防止することができる。また、複数のタブリードが重ねて収容されるので、各タブリードをタブリード用輸送箱から次々に取り出し、搬送することが容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係るタブリード用輸送箱の一例を示す斜視図である。
【図2】タブリード用輸送箱に収容されるタブリードの一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るタブリード用輸送箱の一例を示す平面図である。
【図4】蓋部が閉じられた状態のタブリード用輸送箱の一例を示す断面斜視図である。
【図5】図4に示した断面の一部を拡大した図である。
【図6】タブリードの自動搬送の一例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係るタブリード用輸送箱10の一例を示す斜視図である。このタブリード用輸送箱10は、本体部11と蓋部12とからなる。
【0013】
図2は、タブリード用輸送箱10に収容されるタブリード17の一例を示す図である。タブリード17は、電池やキャパシタなどから電気を取り出すために用いられ、長方形状の導電タブ18の一方の端部側を絶縁フィルム19で電気的に絶縁したリード部材である。
【0014】
図1に示す本体部11には、タブリード17を複数重ねて収容する空間が設けられており、その底面13は凹部14を有している。図1の例では、タブリード17を複数重ねて収容する収容空間は5つあるが、これに限定されず、5つよりも多くても少なくてもよい。
【0015】
上記収容空間の最も底に収容される最下層のタブリード17の周縁部は、底面13により面接触で支持される。例えば、タブリード17が底面13に接触する面積は、導電タブ18片面の面積の25%以上あることが好ましい。例えば、導電タブ18片面の面積が3000mm程度である場合、上記接触面積は、750mm以上あればよい。
【0016】
一方、蓋部12には、凸部15が設けられている。この凸部15は、蓋部12を閉めた場合に、本体部11の上記収納空間に嵌り込む。また、蓋部12には、タブリード用輸送箱10の剛性を増すため、リブ16が形成される。これにより、タブリード用輸送箱10の輸送中に、外圧でタブリード用輸送箱10が変形して潰れることを防止でき、また、タブリード17が損傷することを防止することができる。
【0017】
タブリード用輸送箱10は、1.0mmのポリエステル系の板を金型に入れて成形される。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート、または、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルが用いられる。ポリエステルは、タブリード用輸送箱10の強度を確保するという点で好ましい材料である。
【0018】
なお、本発明のタブリード用輸送箱10をポリプロピレンで形成し、タブリード17を数十個タブリード用輸送箱10に収容してランダムな振動を与えたところ、タブリード17が変形し、さらにタブリード17とタブリード用輸送箱10とが擦れてポリプロピレンの屑が生じた。このようなことから、ポリプロピレンは強度の面で不適切であることがわかった。
【0019】
また、本発明のタブリード用輸送箱10をポリスチレンで形成し、同様の振動試験を行ったところ、タブリード用輸送箱10が振動により変形・摩耗したため、ポリスチレンも強度の面で不適切であることがわかった。
【0020】
一方、本発明のタブリード用輸送箱10をポリエチレンテレフタレートで形成し、同様の振動試験を行ったところ、タブリード17が変形することもなく、また、タブリード17とタブリード用輸送箱10とが擦れてポリエチレンテレフタレートの屑が生じるようなこともなかったため、ポリエチレンテレフタレートは強度の面で適切であることがわかった。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係るタブリード用輸送箱10の一例を示す平面図である。図3には、タブリード用輸送箱10に収容されるタブリード17と、スポンジ20が示されている。スポンジ20は、蓋部12が閉じられた場合に、最上層のタブリード17と蓋部12の凸部15との間の空間を埋め、タブリード17が浮き上がらないように押さえるものである。また、スポンジ20は、輸送中の衝撃を和らげるクッションとして、タブリード17を弾性的に保持する。なお、弾性のある他の材料をスポンジ20の代わりに用いることとしてもよい。
【0022】
図4は、蓋部12が閉じられた状態のタブリード用輸送箱10の一例を示す断面斜視図である。図4に示す断面は、本体部11に蓋部12で蓋をした場合の図3に示したA−A’における断面である。
【0023】
図4の例では、本体部11の5つの収容空間にタブリード17が5枚ずつ積み重ねられている場合が示されているが、これに限定されず、タブリード17を10〜20枚積み重ねることとしてもよい。また、蓋部12の凸部15の長さ、幅は、例えば、タブリード17の長さが70mm、幅が60mmである場合、それと同程度の数十mmのオーダーとなる。
【0024】
なお、蓋部12の凸部15の内面は、蓋部12が本体部11に嵌め込まれた場合に、タブリード17の表面と平行となるよう形成される。図5は、図4に示した断面の一部を拡大した図である。
【0025】
図5に示すように、タブリード17の一方の端部表面に絶縁フィルム19が貼り付けられているので、複数のタブリード17が重ねられると、上にあるタブリード17ほど傾斜する。そのため、蓋部12が本体部11に嵌め込まれた場合に、蓋部12の凸部15の内面21の傾斜が、最上層のタブリード17の本体表面22の傾斜と平行となるよう形成される。これにより、スポンジ20を介して、蓋部12の凸部15の内面全体でタブリード17を押さえることができ、タブリード17を確実に保持することができる。
【0026】
また、このタブリード用輸送箱10を用いれば、タブリード17を自動搬送することも容易になる。図6は、タブリード17の自動搬送の一例について説明する図である。図6には、ノズル23で吸引してタブリード17を搬送する例が示されている。例えば、本発明のタブリード用輸送箱10を用いれば、蓋部12を開き、スポンジ20を取り除くだけで、図6(A)に示すように、複数のタブリード17をノズル23で次々に取り出し、搬送することが容易にできる。
【0027】
また、図6(B)に示すように、最下層のタブリード17が搬出された後にさらにノズル23が下がって来た場合、ノズル23と凹部14との間に隙間ができるので、タブリード用輸送箱10自体がノズル23に吸着されることがない。そのため、タブリード用輸送箱10自体が吸着され、誤って搬送されることを防止することができる。
【0028】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能である。
【符号の説明】
【0029】
10…タブリード用輸送箱、11…本体部、12…蓋部、13…底面、14…凹部、15…凸部、16…リブ、17…タブリード、18…導電タブ、19…絶縁フィルム、20…スポンジ、21…蓋部の凸部の内面、22…タブリード本体表面、23…ノズル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長方形状の導電タブの中間部分に絶縁フィルムを両面から貼り合わせたタブリードを複数積み重ねて収容するタブリード用輸送箱であって、
本体部と蓋部とを備え、前記本体部の底面は、複数積み重ねられた前記タブリードのうちの最下層にあるタブリードの周縁部を面接触で支持するように形成され、前記蓋部を用いて前記本体部に蓋がされた場合に、前記複数のタブリードのうちの最上層にあるタブリードの表面と前記蓋部の内面とが平行となるように該蓋部の内面が形成され、
前記本体部の底面と前記蓋部の内面とで前記複数のタブリードを挟み込むことにより該複数のタブリードを固定することを特徴とするタブリード用輸送箱。
【請求項2】
前記蓋部には、強度補強用のリブが設けられていることを特徴とする請求項1に記載のタブリード用輸送箱。
【請求項3】
前記本体部および前記蓋部の材質は、ポリエステルであることを特徴とする請求項1または2に記載のタブリード用輸送箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−52909(P2013−52909A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192765(P2011−192765)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】