説明

タブレット型端末用アプリケーションプログラム

【課題】傾斜角と方位角を同時に測定する機器として市販のタブレット型端末を動作させると共に2軸方向の傾斜状態の変化を動画像で画面上に表示させることが可能なアプリケーションプログラムを提供する。
【解決手段】端末本体の傾斜及び方位を検出可能なセンサを搭載したタブレット型端末で実行されるプログラムにおいて、タブレット型端末の筐体底面の縦方向をY軸、横方向をX軸として、センサの検出データに基づいて端末本体の傾斜状態を模式的に示す画像で且つY軸の傾斜角の変化に応じて変化する第1動画像を生成し画面上に表示する手段と、センサの検出データに基づいてX軸の傾斜状態を模式的に示す画像で且つX軸の傾斜角の変化に応じて変化する第2動画像を生成し画面上に表示する手段と、センサの検出データを基に求めたY軸の傾斜角とX軸の傾斜角とY軸の方位とを測定データとして出力する測定データ出力手段と、してコンピュータを機能させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末本体の傾斜及び方位を検出可能なセンサを搭載したタブレット型端末で実行されるアプリケーションプログラムに関し、特に、傾斜角と方位角とを同時に測定する測定機器として市販のタブレット型端末を動作させることが可能なアプリケーションプログラム、並びに、太陽光発電システムの導入シミュレーション装置としてタブレット型端末を動作させることが可能なアプリケーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、GPS(Global Positioning System)機能や電子コンパスを内蔵した携帯端末が市販されており、携帯端末の画面上の表示を見るだけで自分の現在位置や自分の向いている方向を知ることができるようになっている。また、筐体の傾斜角度を検出可能なセンサを内蔵した携帯端末も流通しており、そのセンサ出力を利用したものとしては、例えば、携帯端末に装備されている複数のアンテナ素子の内、受信感度の一番優れたアンテナ素子を選択使用する機能を備えたもの(例えば特許文献1参照)や、ディスプレイ部の回転角度に応じて画面表示内容が所定の向きに表示されるように補正する機能を備えたもの(例えば特許文献2参照)が提案されている。
【0003】
現在では、タッチインターフェースを搭載した液晶ディスプレイを主な入出力インターフェースとする薄板状の携帯端末(以下「タブレット型端末」と呼ぶ)が人気を博していおり、その例としては、画面サイズが9.7インチ(対角)程度の「iPad(登録商標)」と呼ばれるタブレット型コンピュータや、画面サイズが7.0インチ(対角)程度の「GALAXY Tab(登録商標)」と呼ばれるタブレット型スマートフォンが挙げられる。
【0004】
図1は、現在、市場に流通しているタブレット型端末100の一例を示す外観図である。このタブレット型端末100は、筐体の傾斜角度・方位を検出可能なセンサを搭載しており、標準のアプリケーションソフトウェア(以下「アプリケーション」又は「アプリケーションプログラム」と呼ぶ)としては、例えば、電子マップ、電子カレンダー、ウェブブラウザ、ビデオ/音楽管理・再生ソフトなどの複数のアプリケーションが予め内蔵されている(例えば非特許文献1参照)。
【0005】
そして、タブレット型端末100の操作・表示部120には、該当のアプリケーションを小さな絵や記号で表現したアイコンG1が選択可能に複数表示され、利用者によるアイコンG1のタッチ操作によって該当のアプリケーションが起動されるようになっている。また、標準装備のアプリケーション以外にも、利用者は、タブレット型端末100から仮想店舗(ウェブサイト)を通して有料若しくは無料の好みのアプリケーションをインターネット経由でダウンロードすることで、各種のアプリケーションをタブレット型端末100に搭載して利用できるようになっている。
【0006】
このようなタブレット型端末100においては、薄板状の筐体(端末本体)の傾斜及び方位を検出可能なセンサを搭載しているが、そのセンサ出力を活用したアプリケーションとしては、例えば、自分の現在位置や自分の向いている方向を知るためのツール、地図上での移動状況を知るためのツール、センサ出力を利用したゲームソフトウェア、磁気コンパスを模した電子コンパスが存在する程度であり、タブレット型端末自体を電子傾斜測定器として動作させるアプリケーションは存在しなかった。
【0007】
特に、傾斜角や方位角を同時に測定する測定機器としてタブレット型端末自体を代用できると共に、水平面に対する2軸方向の傾斜状態を一目で分かり易く視認できるようにしたものは存在しなかった。また、2軸方向の傾斜角の変化を動画像でリアルタイムに把握できるようにしたものも存在しなかった。
【0008】
さらに、タブレット型端末を太陽光発電システムの導入シミュレーション装置として動作させるアプリケーションも存在しなかった。例えば、太陽光発電システムを一般家庭に導入する際には、その導入予定者は、設置面(屋根面など)の大きさやソーラーパネルの性能、導入費用などを考慮した場合に、どのメーカーの太陽光発電システムが良いのか、導入後の発電量や節電効果は実際にどうなるのかなど、様々な検討要素を調べた上で導入の是非を検討するのが望ましいと言える。このような検討要素のうち、太陽光発電システムの年間発電量を推定する方法は、特許文献3に記載のものが公知であるが、特許文献3においては、その推定のための情報は予め入力されていることを前提としており、情報の入力方法は開示されていない。
【0009】
例えば、発電量を計算する際には、ソーラーパネルの設置予定面の傾斜角や方位を正確に測定することが重要であるが、一般の人が屋根の傾斜角や方位を測定する場合、分度器や方位磁石を用いて大凡の角度を目視で測定することはできても、正確な角度を測定することはできないと考えられる。また、特許文献3に記載の方法で年間発電量を推定することができたとしても、前述のような様々な検討要素を知ることができないため、太陽光発電システムの導入予定者にとっては活用することができないと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−187485号公報
【特許文献2】特開2008−281659号公報
【特許文献3】特開2006−093176号公報
【非特許文献1】“iPad すべての内蔵アプリケーションを見る”、[online]、Apple Inc(アップル社)、[平成23年4月5日検索]、インターネット〈URL:http://www.apple.com/jp/ipad/built-in-apps/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述したように、タブレット型端末のセンサ出力を活用したアプリケーションは、地図上での移動状況を知るためのツールやセンサ出力を利用したゲームソフトウェアなどが知られているが、傾斜角や方位角を同時に測定する測定機器としてタブレット型端末自体を代用できると共に、水平面に対する2軸方向の傾斜状態を一目で分かり易く視認できるようにしたものは存在しなかった。また、タブレット型端末を太陽光発電システムのソーラーパネルと見なして設置面(屋根面など)に置き、その傾斜角や方位の測定データを用いて、太陽光発電システムの導入シミュレーション装置としてタブレット型端末を動作させると共に、太陽光発電システムの導入を検討している導入予定者に対して、様々な検討要素を画面上で分かり易く提示するようなアプリケーションも存在しなかった。
【0012】
本発明は上述のような事情から成されたものであり、本発明の主要な目的は、傾斜角と方位角とを同時に測定する測定機器として市販のタブレット型端末を動作させると共に、水平面に対する2軸方向の傾斜状態の変化を動画像により一目で分かり易く画面上に表示させることが可能なアプリケーションプログラムを提供することにある。
【0013】
さらに、本発明の更なる主要な目的は、測定機器としてタブレット型端末を動作させた際の傾斜角や方位の測定データを用いて、太陽光発電システムを導入した場合の精密な発電量の予測等を行うシミュレーション装置としてタブレット型端末を動作させることが可能なアプリケーションプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前記タブレット型端末の筐体底面の縦方向をY軸として、前記センサから随時出力される検出データに基づいて前記端末本体の傾斜状態を模式的に示す画像で且つ水平面に対する前記Y軸の傾斜角の変化に応じてリアルタイムに変化する第1動画像を生成し前記タブレット型端末の画面上に表示する第1傾斜状態表示制御手段と、前記筐体底面の横方向をX軸として、前記センサから随時出力される検出データに基づいて水平面に対する前記X軸の傾斜状態を模式的に示す画像で且つ水平面に対する前記X軸の傾斜角の変化に応じてリアルタイムに変化する第2動画像を生成し前記画面上に表示する第2傾斜状態表示制御手段と、前記画面上のタッチ操作又は遠隔操作による測定停止の操作信号を検出した時点で前記第1動画像及び前記第2動画像を静止画像に切替えると共に、前記測定停止の操作信号を検出した時点における前記Y軸の傾斜角と前記X軸の傾斜角と前記Y軸の方位とを測定データとしてその測定データを前記センサからの検出データを基に求めて前記タブレット型端末の記憶部に出力する測定データ出力手段と、して前記タブレット型端末のコンピュータを機能させること、によって達成される。
【0015】
また、本発明の上記目的は、前記第1傾斜状態表示制御手段は、仮想の水平面上に載置された前記タブレット型端末を前記X軸の方向から見た筐体側面部の外観形状を表す端末外観画像が、前記仮想の水平面を表す線状の水平面画像に対して前記筐体側面部の一端側を支点として回動する動画像を前記第1動画像として表示する手段を含むこと、
前記第2傾斜状態表示制御手段は、前記X軸の傾斜状態の指標となる指標線を表す指標線画像の中央部に設けた円形状の水平状態指標画像の領域内に気泡画像が位置する状態を前記X軸の方向での水平状態として、前記気泡画像が前記X軸の傾斜角の変化に応じて前記指標線画像上を移動する動画像を前記第2動画像として表示する手段を含むこと、
前記端末本体の向きを示す磁気コンパスの模式画像で且つY軸の方位の変化に応じて前記磁気コンパスの方位磁針画像が回動する第3動画像を前記第1動画像及び前記第2動画像とともに前記画面上に表示する方位画像表示制御手段として、前記タブレット型端末のコンピュータを更に機能させること、
前記測定データ出力手段は、前記センサから随時出力される検出データに基づいて逐次求めた前記測定データに含まれる前記Y軸の傾斜角の値と前記X軸の傾斜角の値と前記Y軸の方位の値とをそれぞれ小数点以下2桁の値を含む数値で前記画面上に表示する手段を含むこと、
によってそれぞれ一層効果的に達成される。
【0016】
さらに、本発明の上記目的は、太陽光発電を行うソーラーパネルの発電量変動要素の入力情報として、前記タブレット型端末を前記ソーラーパネルと見なして設置予定建物の設置面上に前記タブレット型端末が実際に置かれた状態で前記測定データ出力手段により測定された前記測定データを入力し、該測定データに含まれる前記Y軸の傾斜角の情報、前記X軸の傾斜角の情報、及び前記Y軸の方位の情報と、を用いて、前記ソーラーパネルの受光面が受ける日射強度を算出すると共に、その日射強度及び前記ソーラーパネルの定格容量の公称値に基づいて前記ソーラーパネルを含む太陽光発電システムを導入した場合の発電量を予測する太陽光発電システム・導入シミュレーション手段として、前記タブレット型端末のコンピュータを更に機能させること、
前記太陽光発電システム・導入シミュレーション手段は、前記設置予定建物の所在地及び現在の光熱費の入力情報と前記発電量の予測情報とを用いて、前記太陽光発電システムの導入後に売電による利益が生じる時期を含む前記設置予定建物の光熱費の時間的推移を示す情報を前記シミュレーション処理の結果として生成し、前記タブレット型端末の画面上に表示する手段を含むこと、
前記発電量変動要素の入力情報は、前記設置予定建物の設置面の大きさ及び形状を示す設置面情報を含み、前記シミュレーション手段は、前記タブレット型端末に搭載されているGPS機能により測定された前記タブレット型端末の現在位置、所定のウェブサイトから得た前記現在位置に対応する航空写真データ又は衛星写真データ、及び前記測定データに基づいて、前記設置面情報を求めて前記発電量変動要素の入力情報として自動的に設定すること、
によってそれぞれ一層効果的に達成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、端末本体の2軸方向における傾斜角の変化に応じてリアルタイムに変化する第1動画像と第2動画像とを画面上に表示すると共に、2軸の傾斜角と方位とを測定データとして出力する手段として、タブレット型端末のコンピュータを機能させるようにしているので、傾斜角と方位角とを同時に測定する測定機器として市販のタブレット型端末を動作させると共に、水平面に対する2軸方向の傾斜状態の変化を動画像により一目で分かり易く画面上に表示させることが可能となる。
【0018】
また、タブレット型端末をソーラーパネルと見なして設置予定建物の設置面上に置かれた状態での上記測定データを用いて、ソーラーパネルの傾斜面が受ける日射強度を算出し、発電量等を予測する手段としてコンピュータを機能させる構成とすることにより、太陽光発電システムを導入した場合の発電量の精密な予測等を行うシミュレーション装置としてタブレット型端末を動作させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明が適用される市販のタブレット型端末の一例を示す外観図である。
【図2】本発明に係るアプリケーションプログラムの機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】Y軸方向の傾斜状態の表示形態を説明するための模式図である。
【図4】X軸方向の傾斜状態の表示形態を説明するための模式図である。
【図5】方位の表示形態を説明するための模式図である。
【図6】測定開始時における傾斜状態・方位の表示画像の一例を示す模式図である。
【図7】測定中の傾斜状態・方位の表示画像の一例を示す模式図である。
【図8】太陽光発電のシミュレーション処理を説明するための第1の画面例である。
【図9】太陽光発電のシミュレーション処理を説明するための第2の画面例である。
【図10】太陽光発電のシミュレーション処理を説明するための第3の画面例である。
【図11】太陽光発電のシミュレーション処理を説明するための第4の画面例である。
【図12】太陽光発電のシミュレーション処理を説明するための第5の画面例である。
【図13】太陽光発電のシミュレーション処理を説明するための第6の画面例である。
【図14】太陽光発電のシミュレーション処理を説明するための第7の画面例である。
【図15】太陽光発電のシミュレーション処理を説明するための第8の画面例である。
【図16】太陽光発電のシミュレーション処理を説明するための第9の画面例である。
【図17】太陽光発電のシミュレーション処理を説明するための第10の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照にしながら本発明の好適な実施形態について説明する。先ず、本発明が適用される「タブレット型端末のハードウェア構成」と「本発明に係るアプリケーションプログラムの機能構成」について概説し、その後、本発明に係る情報処理手段について具体的な表示画面の例を示して詳細に説明する。
【0021】
《タブレット型端末のハードウェア構成》
本発明が適用されるタブレット型端末は、図1の外観図に例示したような一般のタブレット型端末100であり、本発明に係るアプリケーションプログラム10は、例えば、インターネット経由でダウンロードすることでタブレット型端末100に搭載される。
【0022】
図2は、タブレット型端末100のハードウェア構成と、本発明に係るアプリケーションプログラムの機能構成の一例を示すブロック図である。なお、タブレット型端末100のハードウェア構成は一般的な構成であり、ここでは概略を説明する。図2において、タブレット型端末100は、端末本体の傾斜及び方位を検出可能なセンサ110と、タッチパネル付液晶ディスプレイ等から構成される操作・表示部120と、アプリケーションプログラムや画像データ等を記憶する記憶部130と、ウェブサイトのコンピュータなどの外部コンピュータとの間の通信を行う通信部140と、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信して測位したタブレット型端末100の現在位置の情報(緯度・経度を示す情報)を出力するGPS測位部160と、を備えて構成される。これらの構成要素は、IOI(入出力インターフェース)101aを介してCPU101aと接続されている。
【0023】
また、タブレット型端末100に実装されるアプリケーション(標準AP(アプリケーション)モジュール160、本発明に係るアプリケーションプログラム10等)は、CPUのOS(Operating System)やミドルウェアが提供する機能をAPI(Application Program Interface)101bを介して利用できるようになっている。
【0024】
《本発明に係るアプリケーションプログラムの機能構成》
次に、図2を参照して、本発明に係るアプリケーションプログラムの機能構成について説明する。
【0025】
本発明に係るアプリケーションプログラム10は、タブレット型端末100のCPU101aを、第1傾斜状態表示制御手段11、第2傾斜状態表示制御手段12、方位画像表示制御手段13、測定データ出力手段14、及び太陽光発電システム・導入シミュレーション手段15、として機能させるコンピュータプログラムである。そのアプリケーションプログラム10は、例えば、標準APモジュール160が提供する仮想店舗(ウェブサイト)を通してタブレット型端末100の記憶部130にダウンロードされる。
【0026】
なお、アプリケーションプログラム10の主要な構成要素である上記各手段(データ処理手段)11〜15は、説明の便宜上、手段名を付けて機能で分類したものであり、ソフトウェア構成を限定するものではない。
【0027】
以下に、上記各手段11〜15について、より詳しく説明する。
【0028】
(1)第1傾斜状態表示制御手段11
第1傾斜状態表示制御手段11は、センサ110から出力される検出データ(端末本体の傾斜角検出データ)に基づいて端末本体(筐体)の水平面に対するY軸方向における傾斜状態を模式的に示す画像を生成し、その画像を操作・表示部120に表示する処理を実行する。なお、ここで言う「Y軸」とは、図1に例示されるようなタブレット型端末100の筐体底面(矩形状底面)における長手方向(縦方向)の辺に平行な軸のことを言い、「X軸」とは、その筐体底面における短手方向(横方向)の辺に平行な軸(Y軸と直交する軸)のことを言う。
【0029】
図3(A)及び(B)は、上記Y軸方向の傾斜状態を示す画像の一例を示しており、符号G11で示される画像は、図1のタブレット型端末100を、X軸の方向から見た筐体側面部の外観形状を表す端末外観画像を示し、符号G12で示される画像は、仮想の水平面を表す線状の水平面画像を示している。また、図3(B)中の“θy”は、タブレット型端末100の筐体底面のY軸方向における水平面に対する傾斜角を示している。
【0030】
第1傾斜状態表示制御手段11は、傾斜角θy=0度のときは、図3(A)に示すように、タブレット型端末が水平面G12上に載置された状態の端末外観画像G11を表示し、傾斜角θy>0度のときは、図3(B)に示すように、水平面G12に対して角度θy分傾斜した状態の端末外観画像G11を表示する。
【0031】
このように、第1傾斜状態表示制御手段11は、センサ110から随時出力される検出データに基づいて、水平面に対するY軸の傾斜状態を模式的に示す画像で且つ水平面に対するY軸の傾斜角の変化に応じてリアルタイムに変化する画像(端末外観画像G11が筐体側面部の一端側を支点として水平面画像G12に対して回動する画像)を第1動画像G10として生成し、その第1動画像G10をタブレット型端末100の画面上に表示する処理を実行する。
【0032】
(2)第2傾斜状態表示制御手段12
上記第1傾斜状態表示制御手段11が、Y軸の傾斜角の変化に応じてY軸方向の傾斜状態の表示制御を行うのに対し、第2傾斜状態表示制御手段12は、X軸の傾斜角の変化に応じてX軸方向の傾斜状態の表示制御を行う。
【0033】
図4(A)及び(B)は、X軸方向の傾斜状態を示す画像の一例を示しており、本例では、第2傾斜状態表示制御手段12は、仮想の水準器を表す動画像G20によってX軸方向の傾斜状態を表すようにしている。図4(A)及び(B)において、符号G22で示される線状の画像は、X軸の傾斜状態の指標となる指標線を表す指標線画像を示し、符号G21で示される円形状の画像は、水平状態の指標となる指標領域を表す水平状態指標画像を示し、符号G23で示される円形状の画像は、水準器の気泡を表す気泡画像を示している。
【0034】
第2傾斜状態表示制御手段12は、X軸方向における傾斜角θx=0度のときは、図4(A)に示すように、気泡画像G23が水平状態指標画像21の領域内中央部に位置する画像20を表示し、傾斜角θx>0度のときは、図4(B)に示すように、気泡画像G23が、水平状態指標画像21の領域内中央部から傾斜角θxに応じた距離分離間した場所に位置する画像20を表示する。
【0035】
このように、第2傾斜状態表示制御手段12は、指標線画像の中央部に設けた円形状の水平状態指標画像21の領域内に気泡画像G23が位置する状態をX軸方向での水平状態として、センサ110から随時出力される検出データに基づいて、傾斜角θxの変化に応じて気泡画像G23が指標線画像G22上を移動する動画像を第2動画像G20として生成し、その第2動画像20をタブレット型端末100の画面上に表示する処理を実行する。
【0036】
(3)方位画像表示制御手段13
方位画像表示制御手段13は、タブレット型端末100を電子コンパスとして機能させる手段であり、センサ110から随時出力される検出データに基づいてY軸の方位を検出し、端末本体の向きを方位磁針で模式的に示す磁気コンパスの画像を生成し、その画像を操作・表示部120に表示する処理を実行する。
【0037】
図5は、本実施形態における方位の表示形態を示しており、符号G31で示される画像は、磁気コンパスを表す画像(「方位磁針画像」と呼ぶ)、符号G32で示される画像は、Y軸方向の指標となる画像(「Y軸方向指標画像」と呼ぶ)を示している。本例での方位磁針画像G31は、東西南北(0から360度)の目盛が描かれた円盤状の目盛板を回転板とし、その回転板が中心軸の回りに回動する画像としている。
【0038】
また、本実施の形態では、方位画像表示制御手段13は、端末本体の向きを示す磁気コンパスの模式画像で且つY軸の方位の変化に応じて磁気コンパスの方位磁針画像G31が回動する画像をY軸方向指標画像G32とともに第3動画像G30として生成し、その第3動画像G30を前述の第1動画像G10及び第2動画像G20とともに、タブレット型端末100の画面上に表示する処理を実行する。なお、円盤状の目盛板は固定とし、方位磁針が回動する表示形態としても良い。
【0039】
(4)測定データ出力手段14
測定データ出力手段14は、センサ110から出力される検出データに基づいて、端末本体の水平面に対する2軸方向(X軸及びY軸方向)における各傾斜角(θx,θy)、及び端末本体の方位(方位角)を測定データとして測定し、その測定データをタブレット型端末100の操作・表示部120に数値で表示する処理を実行する。
【0040】
また、測定データ出力手段14は、画面上のタッチ操作又は遠隔操作による測定開始の操作信号を検出した時点で上記測定データを求める処理を開始し、測定停止の操作信号を検出した時点で処理を停止する。その際、測定停止の操作信号を検出した時点で前述の第1動画像G10及び第2動画像G20を静止画像に切替えると共に、その時点における測定データを記憶部130に出力する処理を実行する。
【0041】
なお、測定データに含まれる方位角は、本例でY軸を基準とした水平方向の方位角であり、その角度の単位は角度計測の標準単位(1度は円の360、度の小数部は10進数値)としている。なお、その方位角は、X軸を基準とした水平方向の方位角に切替えることが可能であり、角度の単位も所定の単位(度/分/秒、ラジアン、グラジアンなど)に切替えることが可能である。
【0042】
(5)太陽光発電システム・導入シミュレーション手段15
太陽光発電システム・導入シミュレーション手段(以下「シミュレーション手段」と略称する)15は、太陽光発電システムを導入した場合の費用に関するシミュレーション処理を実行する手段であり、本実施の形態では、このシミュレーション手段15によって、タブレット型端末100をシミュレーション装置として動作させる形態としている。
【0043】
太陽光発電システムの発電量は、設置予定建物の場所(住所)、ソーラーパネルの設置面の傾斜角(屋根勾配)、ソーラーパネルの方位(屋根面の方位)、設置するソーラーパネルの量(太陽電池モジュールの数)、ソーラーパネルの性能(出力電力)等によって変動する。
【0044】
本実施の形態では、シミュレーション手段15は、上記のようなソーラーパネルの発電量変動要素の入力情報として、測定データ出力手段14から出力された測定データに含まれるY軸の傾斜角θyの情報とX軸の傾斜角θxの情報とY軸の方位の情報とを用いて、太陽光発電システムを導入した場合の費用に関する有効性のシミュレーション処理を実行するようにしている。
【0045】
また、シミュレーション手段15は、現在の電気代と設置後の電気代との対比、将来における電気代の削減コストの経年変化や売電量などを示す予測情報をシミュレーション結果として、解説文やグラフ表示により分かり易く表示するようにしている。
【0046】
このシミュレーション手段15による太陽光発電システムの導入シミュレーション処理については、具体的な画面例を示して後述する。
【0047】
《傾斜角・方位の測定時の動作例》
次に、傾斜角と方位の測定時におけるタブレット型端末100の動作例について、図6及び図7を参照して説明する。
【0048】
図6は、測定開始時における傾斜状態・方位の表示画像の一例を示す模式図であり、操作・表示部120の上部に表示される測定値は、端末本体の“方位”、Y軸方向における“傾斜角θy”と“寸勾配”、“傾き”(X軸方向における傾斜角θx)であり、小数点以下2桁の値を含む数値(初期値0.00)で表示される。
【0049】
そして、本実施形態では、それらの測定値の下方に、X軸方向の傾斜状態を表す第2動画像G20、Y軸方向の傾斜状態を表す第1動画像G10、及び、端末本体の方位を表す第3動画像G30をそれぞれ表示する。
【0050】
図6中の測定開始ボタンG41は、測定の開始を指示するボタンであり、測定データ出力手段14では、その測定開始ボタンG41の画面上でのタッチ操作を検出すると、センサ110から随時出力される検出データに基づいて2軸方向における各傾斜角(θx,θy)と方位角とをリアルタイムに測定する処理を開始すると共に、その測定データを第1傾斜状態表示制御手段11、第2傾斜状態表示制御手段12、及び方位画像表示制御手段13に随時送出する。
【0051】
図7は、測定中の傾斜状態・方位の表示画像の一例を示す模式図であり、測定データ出力手段14は、上記測定処理を開始すると、操作・表示部120の画面上において、図6中の測定開始ボタンG41を同図7に示すように測定停止ボタンG42に切替えると共に、第1傾斜状態表示制御手段11、第2傾斜状態表示制御手段12、及び方位画像表示制御手段13を通して、X軸及びY軸方向における傾斜角(θx,θy)の変化と方位の変化に応じて該当の指標画像が変化する動画像G10〜G30を画面上に表示させる。
【0052】
そして、測定停止ボタンG42のタッチ操作を検出した時点で測定処理を停止し、第1動画像〜第3動画像を静止画像に切替えると共に、その時点における測定データ(及び第1動画像〜第3動画像の画像データ)を測定日時や現在位置(緯度・経度を示す位置情報)に対応付けて記憶部130に記録する。なお、図6、図7の例では、タブレット型端末100の現在位置の情報は表示を省略しているが、現在位置の情報(例えば、緯度・経度、及び/又は、地図データから得た住所)を同一画面上に表示する形態としても良い。
【0053】
《太陽光発電システムの導入シミュレーション処理》
次に、太陽光発電システムの導入シミュレーション処理について、具体的な画面例を示して説明する。
【0054】
図8は、本発明に係る料金シミュレーション処理に用いる画面SG1の一例を示している。図8中に示すように、料金シミュレーション処理のステップは、「設置予定情報」を入力するステップ1、「光熱費について」の情報を入力するステップ2、「料金について」の情報を入力及び説明するステップ3、「結果表示」を行うステップ4に大別され、それらのステップ1〜ステップ4の流れに沿ってシミュレーション処理が実行される。
【0055】
〈ステップ1〉
先ず、「設置予定情報」を入力するステップ1について説明する。
【0056】
図8の画面SG1は、上記ステップ1における情報入力・表示画面の一例を示しており、料金シミュレーションの入力パラメータとなる設置予定情報Aとしては、同図8に示すように、次のような情報がある。
(設置予定情報A)
A1.設置予定建物の所在地(都道府県、エリア)
A2.建物の戸建情報:屋根の方位角,屋根の傾斜角,設置面情報(屋根の広さ(軒と流の長さ),及び屋根の形状)
A3.設置タイプ(架台設置型、屋根設置型、健在一体型)
A4.パネル情報(公称最大出力(定格容量の公称値),パネル幅,パネル長さ)
これらの設置予定情報A1〜A4のうち、シミュレーション手段15は、所在地の情報A1については、GPS測位部160を搭載しているタブレット型端末100の場合には、そのGPS測位部160で測位した現在位置(及び地図データ)から得た所在地の情報をシミュレーションの入力パラメータとして自動的に設定し、GPS測位部160を搭載していないタブレット型端末100の場合には、画面上で選択又は入力された所在地の情報を入力パラメータとして設定する。
【0057】
また、建物の戸建情報A2の要素である「屋根の方位角と屋根の傾斜角」については、測定データ出力手段14から出力された測定データに含まれるY軸の方位角の情報と、Y軸の傾斜角θy及びX軸の傾斜角θx(通常はθx=0)の各情報と、をシミュレーションの入力パラメータとして自動的に設定して画面上に表示する。これらの方位角と傾斜角の測定データは、タブレット型端末100を太陽光発電システムのソーラーパネルと見なして、設置予定建物の設置面にタブレット型端末100が実際に置かれた状態で測定されたデータであり、その測定データを用いることにより、発電量の正確なシミュレーションが可能となる。
【0058】
ここで、「屋根の方位角と屋根の傾斜角」の測定方法について説明する。
【0059】
図9は、太陽光発電システム・導入シミュレーション用のホーム画面SGHの一例を示している。詳しくは、図9のホーム画面SGHは、図1のタブレット型端末100を、設置予定建物の設置面に設置されるソーラーパネルの傾斜角度と方位の測定機器として動作させると共に、太陽光発電システムの導入シミュレーション装置として動作させる場合のホーム画面である。
【0060】
前述の図6の画面例(測定機器単独として動作させる場合の画面例)と比較すると、図9のホーム画面SGHには、ソーラーパネル設置面の識別情報(本例では“屋根n”、nは1以上の整数)が表示される「設置面表示領域」G51と、その設置面を測定した後に他の設置面を追加測定する場合の「屋根追加ボタン」G52と、シミュレーションの開始を指示するための「シミュレート開始ボタン」G53が設けられている。
【0061】
「屋根の方位角と屋根の傾斜角」を測定する場合、利用者は、ソーラパネルが設置される実際の屋根の面上にタブレット型端末100を載せ、その状態で、ホーム画面SGH上の測定開始ボタン(本例では、STARTボタンG41A)のタッチ操作又は遠隔操作により測定を開始させ、測定停止ボタン(STOPボタン)のタッチ操作又は遠隔操作により、測定を停止させる。
【0062】
測定データ出力手段14では、測定停止の操作信号を検出すると、その時点における屋根の傾斜角と方位角の測定データを、その屋根面の識別情報(本例では“屋根1”)と紐付けて記憶部120に記憶する。他の面(例えば切妻屋根の他方の傾斜面)にもソーラパネルを設置する場合、利用者は、「屋根追加ボタン」G52のタッチ操作又は遠隔操作により、次の設置面の測定を指令した後、その屋根面にタブレット型端末100を載せ、次の設置面(“屋根2”)についても同様に測定する。そして、測定を終えた後、シミュレーションを開始する場合、利用者はシミュレート開始ボタンG53を押す。本例では、このシミュレート開始ボタンG53の操作により、図9のホーム画面SGHを図8の画面SG1に切り替えるようにしている。
【0063】
なお、本実施の形態では、水平面に対するY軸の傾斜状態を示す第1動画像は、図6の画面例では、タブレット型端末100の側部外観形状を示す端末外観画像G11を用いているのに対し、図9の第1動画像(G10A)の例では、ソーラーパネルの設置面(本例では“屋根”)を模式的に示す線状の屋根画像G11Aを用いている。また、水平面に対するX軸の傾斜状態を示す第2動画像は、図6の画面例では、棒状の水準器を表す動画像G20としているのに対し、図9の画面例では、円形の水準器を表す動画像G20Aとしている。そして、図9のSTARTボタンG41Aは、図6中の測定開始ボタンG41に対応しており、STARTボタンG41をタッチ操作した後は、STOPボタンに切り替わるようになっている。
【0064】
上述の第1,第2動画像等の表示形態は、図6や図9に限るものではなく、測定機器単独として動作させる場合も、図9の表示形態としても良く、シミュレーション装置として併用する場合に図6の表示形態を採用した実施形態としても良い。
【0065】
続いて、設置予定情報Aの他の情報の設定方法について説明する。
【0066】
シミュレーション手段15は、建物の戸建情報A2の要素である設置面情報(屋根の広さと屋根の形状)については、例えば、GPS測位部160を搭載しているタブレット型端末100の場合には、そのGPS測位部160で測位した現在位置と、所定のウェブサイト(地図データ提供サイト等)から得た現在位置に対応する航空写真データ又は衛星写真データに基づいて、屋根の広さと屋根の形状を示す情報をシミュレーションの入力パラメータとして自動的に設定する。具体的には、例えば、航空写真又は衛星写真の画像データを処理して屋根の輪郭線を抽出し、その輪郭線の情報と傾斜角(θy,θx)の情報に基づいて屋根の広さと屋根の形状を求める。一方、GPS測位部160を搭載していないタブレット型端末100の場合には、画面上の模式図の中から選択された屋根の形状(切り妻,寄棟,片流れ,入母屋,方形等)と、画面上で選択又は入力された屋根の広さの情報と、をシミュレーションの入力パラメータとして設定する。
【0067】
また、設置タイプA3については、画面上で選択された設置タイプをシミュレーションの入力パラメータとして設定し、パネル情報A4については、ステップ1(又は後記ステップ3)で選択されたメーカー(及び型名)のパネル情報を記憶部130から得て、そのパネル情報をシミュレーションの入力パラメータとして設定する。
【0068】
〈ステップ2〉
次に、「光熱費について」の情報を入力するステップ2について説明する。
【0069】
図10の画面SG2は、上記ステップ2における情報入力・表示画面の一例を示しており、料金シミュレーションの入力パラメータとなる光熱費の情報Bとしては、同図10に示すように、次のような情報がある。
(光熱費についての情報B)
B1.基本料/アンペア
B2.現在の光熱費(月別の電気代、電力量)
B3.システム料金(太陽光発電システムの価格)
B4.補助金
B5.支払い条件(現金払い、分割払い(頭金あり)、分割払い(頭金なし))
これらの設置予定情報B1〜B5のうち、情報B1、B2、B5については、画面上で選択又は入力された情報をシミュレーションの入力パラメータとして設定する。基本料/アンペアの情報B1は、電力会社により異なる。すなわち、電力会社毎にアンペア制と最低料金制との2つの制度があり、アンペア制の場合は、例えば、画面上で選択入力された契約アンペアから求めることができる。その際、シミュレーション手段15は、電力会社については設置予定建物の所在地の情報A2から自動的に特定し、その電力会社に対応して予め記憶されている当該電力会社の料金を基本料として設定する。
【0070】
システム料金B3については、シミュレーション手段15は、ステップ1(又は後記ステップ3)で選択されたメーカーのシステム料金(予め記憶されている当該メーカーの太陽光発電システムの料金)をシミュレーションの入力パラメータとして設定する。また、補助金B4については、各自治体によって様々な形態があるため、予め記憶されている自治体別の補助金・助成金のデータを用いて設定する。本実施の形態では、ステップ1で設定された設置予定建物の所在地A1を基に、導入予定者が属する自治体を自動的に判定し、その自治体に対応して予め記憶されている補助金・助成金の情報を得て、その情報をシミュレーションの入力パラメータとして設定する。
【0071】
〈ステップ3〉
次に、「料金について」の情報を入力及び説明するステップ3について説明する。
【0072】
太陽光発電システムを導入した場合に現在の電気代が将来どのようになるのかをシミュレーションする際、家族の生活パターンを考慮することが重要である。
【0073】
例えば、電力会社と契約する電気料金メニューには、従量電灯、時間帯別電灯(夜間8時間型、夜間10時間型)、深夜電力、季節別時間帯別電灯などがある。太陽光発電システムを導入した場合、例えば、時間帯別電灯契約を利用して、電力単価が高い昼間は、太陽光発電で電気をまかなうとともに太陽光発電の余剰分を電力会社に売電し、夜間は、割安な深夜電力を購電して活用するパターンとすれば、将来的に、システム導入コスト等の元が取れて以降は売電による利益が生じる時期(「償却年数」と呼ぶ)が早くなることになる。
【0074】
本実施の形態では、家族の生活パターンに応じて、太陽光発電システム導入後の時間帯毎の電気使用量を計算し、システム導入後の買電電力の内訳(時間帯別(例えば、朝、昼、晩、夜の4区分)の買電料金の内訳)、売電電力の内訳、導入前後の月々の電気代の比較、償却年数の時期を含む設置予定建物の光熱費の時間的推移、などのシミュレーション結果をグラフや表で示すようにしている。
【0075】
ここで、家族の生活パターンの指定方法と、時間帯別の電気使用量の計算方法について説明する。
【0076】
図11の画面SG3は、「家族の生活パターン」の情報入力画面の一例を示しており、図中に示すように、朝、昼、晩、夜の4区分を時間帯の区分として、時間帯毎の電気使用量の割合(家族生活モデルの実測値の平均値)によって、「中間型」、「昼型」、「夜型」の3パターンに「家族の生活パターン」を分類した例を示している。
【0077】
言い換えると、画面SG3中の「家族の生活パターン」を示す表は、画面SG3上の説明文に記述されているように、「昼型」、「夜型」、「中間型」、それぞれの型の生活モデルが時間帯別にどのような比率で電気を使用するか、目安の割合を算出したものである。
【0078】
シミュレーション手段15は、図11の画面SG3上での利用者(導入予定者若しくは販売代理店等の担当者)によるタッチ操作によって「昼型」、「夜型」、「中間型」のいずれかが選択されると、「現在の光熱費」(契約内容,契約アンペア,基本料金,月平均の電気代等)を画面SG3の下部に表示すると共に、頁めくり操作がされると、図12の画面SG4に切り替え、その画面SG4上に「時間帯別の現在の電気使用量」等を表示する。
【0079】
図12に例示される画面SG4は、「従量電灯の電気代」を画面上段に、「時間帯別の現在の電気使用量」を画面下段に表示した例であり、後者の電気使用量は、利用者によって選択された生活パターンに対応する時間帯別の割合、及び予め記憶されている時間帯別の電力単価(当該電力会社の電力単価)に基づいて算出した時間帯別の電気使用量である。
【0080】
図12の画面SG4において頁めくり操作がされると、シミュレーション手段15は、図13の画面SG5に切替える。
【0081】
ここで、画面SG5の説明の前に、太陽光発電システムの設計に関して説明する。
【0082】
太陽光発電システムを導入する場合は、導入コストや設置効果(電気代の削減コスト)、ローンの負担などの観点から、最適なメーカーや最適なパネルレイアウトの検討、償却年数の検討などを行うのが望ましい。
【0083】
本実施の形態では、シミュレーション手段15は、導入予定者に対して、償却年数や削減コストなどの様々な検討要素を、画面上で分かり易く模式図や解説文で説明しながら、どのメーカーの太陽光発電システムが最適なのか、パネル枚数を屋根のどの面に何枚設置するのが最適なのか、売電による利益が生じる時点はいつ頃になるのか、導入後の発電量や節電効果は実際にどうなるのか、などのシミュレーション結果を画面上に提示するようにしている。
【0084】
図13に例示される画面SG5は、太陽光発電システムの設計に関する検討用画面SG5の一例を示している。図13中に示すように、太陽光発電システムの設計に関する主要な検討要素としては、パネル情報(メーカー、パネル品番、パネル枚数、最大出力、年間予想発電量)、償却年数、システム導入コストがある。
【0085】
シミュレーション手段15は、図13の画面SG5上で選択されたメーカー等のパネル情報(又はステップ1で設定されたパネル情報)などの入力パラメータに基づいて、現在のまま光熱費を払い続ける場合と、太陽光発電システムを設置した場合の電気代の累積を比較し、図13の画面SG5の下段に示すように、縦軸を電気代の累積、横軸を年数として、両者の比較を表すグラフを表示する。
【0086】
なお、図13のグラフにおいて、実線が、現在のまま光熱費を払い続ける場合の「電気代累計」、破線が、太陽光発電システムを設置した場合の「システム代+電気代累計」を示し、実線と破線との交点が「償却年数」、実線と破線との開きが「削減コスト」を示している。
【0087】
導入予定者は、画面SG5上のグラフを見ながら、太陽光発電システムの設計要素(メーカー、パネル枚数等の)を適宜変更して、最適なメーカーやパネル枚数等を決定する。そして、決定された情報は、シミュレーションの入力パラメータとして設定され、記憶部130に記憶される。
【0088】
〈ステップ4〉
次に、「結果表示」を行うステップ4について説明する。
【0089】
シミュレーション手段15は、ステップ1〜ステップ3で設定された入力パラメータの情報、及び予めデータベースに記憶されている情報(太陽光発電システム及び周辺機器のメーカー別のカタログ情報、電力会社別の電力単価等の電気代計算要素情報、標準気象データ、自治体の補助金データ(国、都道府県、市区町村の各補助金データ)、所定の電気代計算アルゴリズムなど)に基づいて、太陽光発電システム導入前後の電気代を計算し、各種のシミュレーション結果を自動的に作成して、導入予定者に対してグラフや表で提示するようにしている。
【0090】
上記標準気象データは、所定の機関(例えば日本気象協会)のウェブサイトから得た標準気象データ(公開データ)であり、その標準気象データは、省エネ効果を計算する熱負荷シミュレーションのために作成された気温,絶対湿度,直達日射量,天空日射量,雲量,風向,風速の7項目に関する1時間毎、1年間分のデータ群で構成される。
【0091】
シミュレーション手段15では、その標準気象データと、設置予定建物の設置面にタブレット型端末100が実際に置かれた状態で測定データ出力手段14により測定されたデータ(2軸の傾斜角及びY軸の方位の情報)と、を用いて、設置予定建物に設置されたときのソーラーパネルの受光面が受ける日射強度(kW/m2),気温(℃),風速(m/s)等の発電量要素を求め、それらの発電量要素の値、ソーラーパネルの定格容量の値等を所定の演算式に代入して、太陽光発電システム導入後の発電量や電気代の予測値を算出するようにしている。
【0092】
図14〜図17は、シミュレーション手段15によるシミュレーション結果を示す画面例である。図14に例示される画面SG6は、太陽光発電システムの見積内容を示し、図15に例示される画面SG7は、太陽光発電システムが作る電気量の計算式の解説内容を示し、図16に例示される画面SG8は、システム導入後の電気代の内訳(時間帯別の買電電力の内訳表、売電電力の内訳表、設置後の電気代の内訳)を示している。そして、図17に例示される画面SG9は、現在の光熱費と、太陽光発電システム設置後の電気代,支払い金額とを対比して、表とグラフで示している。
【0093】
なお、上述した実施の形態にいては、Y軸方向における傾斜状態を示す第1動画像とX軸方向における傾斜状態を示す第2動画像は、異なる表示形態の動画像を表示する場合を例として説明したが、同一の表示形態とする実施形態、若しくは切替指示に応じて表示形態を切り替える実施形態としても良い。
【0094】
また、上述した実施の形態にいては、コンピュータを各手段として機能させるプログラムを単一のアプリケーションプログラムで構成した場合を例として説明したが、測定データ出力手段14と太陽光発電システム・導入シミュレーション手段15を別プログラムモジュールとする形態など、所定の機能別にアプリケーションプログラムを分離した形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0095】
10 データ処理手段(アプリケーションプログラム)
11 第1傾斜状態表示制御手段
12 第2傾斜状態表示制御手段
13 方位画像表示制御手段
14 測定データ出力手段
15 太陽光発電システム・導入シミュレーション手段
100 タブレット型端末
101 CPU
101a IOインターフェース
101b APインターフェース
110 センサ
120 操作・表示部
130 記憶部
140 通信部
150 GPS測位部
160 標準アプリケーションモジュール
G1 アイコン画像
G10,G10A 第1動画像
G11 端末外観画像
G11A 屋根画像
G12 仮想水平面画像
G20,G20A 第2動画像
G21 水平状態指標画像
G22 指標線画像
G23 気泡画像
G30 第3動画像
G31 磁気コンパス画像
G32 Y軸方向指標画像
G41,G41A 測定開始ボタン
G42 測定停止ボタン
G51 設置面表示領域
G52 屋根追加ボタン
G53 シミュレート開始ボタン
SGH ホーム画面
SG1 設置予定情報入力画面
SG2 光熱費・支払条件入力画面
SG3 生活パターン入力画面
SG4 電気代・電気量検証画面
SG5 最適メーカー等検討支援画面
SG6 シミュレーション結果画面1
SG7 シミュレーション結果画面2
SG8 シミュレーション結果画面3
SG9 シミュレーション結果画面4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末本体の傾斜及び方位を検出可能なセンサを搭載したタブレット型端末において実行されるアプリケーションプログラムであって、
前記タブレット型端末の筐体底面の縦方向をY軸として、前記センサから随時出力される検出データに基づいて前記端末本体の傾斜状態を模式的に示す画像で且つ水平面に対する前記Y軸の傾斜角の変化に応じてリアルタイムに変化する第1動画像を生成し前記タブレット型端末の画面上に表示する第1傾斜状態表示制御手段と、
前記筐体底面の横方向をX軸として、前記センサから随時出力される検出データに基づいて水平面に対する前記X軸の傾斜状態を模式的に示す画像で且つ水平面に対する前記X軸の傾斜角の変化に応じてリアルタイムに変化する第2動画像を生成し前記画面上に表示する第2傾斜状態表示制御手段と、
前記画面上のタッチ操作又は遠隔操作による測定停止の操作信号を検出した時点で前記第1動画像及び前記第2動画像を静止画像に切替えると共に、前記測定停止の操作信号を検出した時点における前記Y軸の傾斜角と前記X軸の傾斜角と前記Y軸の方位とを測定データとしてその測定データを前記センサからの検出データを基に求めて前記タブレット型端末の記憶部に出力する測定データ出力手段と、
して前記タブレット型端末のコンピュータを機能させることを特徴とするアプリケーションプログラム。
【請求項2】
前記第1傾斜状態表示制御手段は、仮想の水平面上に載置された前記タブレット型端末を前記X軸の方向から見た筐体側面部の外観形状を表す端末外観画像が、前記仮想の水平面を表す線状の水平面画像に対して前記筐体側面部の一端側を支点として回動する動画像を前記第1動画像として表示する手段を含むことを特徴とする請求項1に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項3】
前記第2傾斜状態表示制御手段は、前記X軸の傾斜状態の指標となる指標線を表す指標線画像の中央部に設けた円形状の水平状態指標画像の領域内に気泡画像が位置する状態を前記X軸の方向での水平状態として、前記気泡画像が前記X軸の傾斜角の変化に応じて前記指標線画像上を移動する動画像を前記第2動画像として表示する手段を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項4】
前記端末本体の向きを示す磁気コンパスの模式画像で且つY軸の方位の変化に応じて前記磁気コンパスの方位磁針画像が回動する第3動画像を前記第1動画像及び前記第2動画像とともに前記画面上に表示する方位画像表示制御手段として、前記タブレット型端末のコンピュータを更に機能させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のアプリケーションプログラム。
【請求項5】
前記測定データ出力手段は、前記センサから随時出力される検出データに基づいて逐次求めた前記測定データに含まれる前記Y軸の傾斜角の値と前記X軸の傾斜角の値と前記Y軸の方位の値とをそれぞれ小数点以下2桁の値を含む数値で前記画面上に表示する手段を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のアプリケーションプログラム。
【請求項6】
太陽光発電を行うソーラーパネルの発電量変動要素の入力情報として、前記タブレット型端末を前記ソーラーパネルと見なして設置予定建物の設置面上に前記タブレット型端末が実際に置かれた状態で前記測定データ出力手段により測定された前記測定データを入力し、該測定データに含まれる前記Y軸の傾斜角の情報、前記X軸の傾斜角の情報、及び前記Y軸の方位の情報と、を用いて、前記ソーラーパネルの受光面が受ける日射強度を算出すると共に、その日射強度及び前記ソーラーパネルの定格容量の公称値に基づいて前記ソーラーパネルを含む太陽光発電システムを導入した場合の発電量を予測する太陽光発電システム・導入シミュレーション手段として、前記タブレット型端末のコンピュータを更に機能させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のアプリケーションプログラム。
【請求項7】
前記太陽光発電システム・導入シミュレーション手段は、前記設置予定建物の所在地及び現在の光熱費の入力情報と前記発電量の予測情報とを用いて、前記太陽光発電システムの導入後に売電による利益が生じる時期を含む前記設置予定建物の光熱費の時間的推移を示す情報を前記シミュレーション処理の結果として生成し、前記タブレット型端末の画面上に表示する手段を含むことを特徴とする請求項6に記載のアプリケーションプログラム。
【請求項8】
前記発電量変動要素の入力情報は、前記設置予定建物の設置面の大きさ及び形状を示す設置面情報を含み、前記シミュレーション手段は、前記タブレット型端末に搭載されているGPS機能により測定された前記タブレット型端末の現在位置、所定のウェブサイトから得た前記現在位置に対応する航空写真データ又は衛星写真データ、及び前記測定データに基づいて、前記設置面情報を求めて前記発電量変動要素の入力情報として自動的に設定することを特徴とする請求項6又は7に記載のアプリケーションプログラム。

【図2】
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【図4】
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【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−233955(P2012−233955A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−100800(P2011−100800)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(511107533)media・mobile株式会社 (1)
【Fターム(参考)】