説明

タレ・ソース類

【課題】粘度安定性に優れ、且つボディ感に富む食感を得ることができるタレ・ソース類を提供する。
【解決手段】タレ・ソース類に、膨潤度が60以下の澱粉を含有させる。澱粉は、アセチル化アジピン酸架橋澱粉であることが好ましく、該澱粉中のアジピン酸基含量は、0.020〜0.135重量%であることがより好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘度安定性に優れ、且つボディ感に富む食感を得ることができるタレ・ソース類に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼き物、蒸し物、揚げ物、煮物、麺類など様々な形態の食品にタレ・ソース類を付着させた料理が広く大衆に親しまれている。これらの料理に用いるタレ・ソース類は、主に醤油、みりん、酒、砂糖などを合わせたものであり、およそpHは5程度であるが、使用する原材料やその配合によっては、pHが2.5〜4.5程度になることもある。また、使用する食品の形態や用途によって、タレ・ソース類に求められる食感や、食品に付着させる量は異なるが、これらはタレ・ソース類の粘度によって調節されることが多い。
【0003】
このため、タレ・ソース類を製造する上で粘度管理は非常に重要である。そして、使用する食品の形態によって要求される粘度は様々であるが、タレ・ソース類に粘度を付与するに際し、澱粉や特定の増粘多糖類等を用いて粘度を付与する方法が主に行われている。
【0004】
また、下記特許文献1には、タピオカ澱粉を3〜8質量%含有する酸性ソース用原料を、F値が4〜70のレトルト殺菌加熱を行って酸性ソースを製造することが開示されている。
【特許文献1】特許第3938629号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
澱粉はpH4.5以下の条件下で酸加水分解によって低分子化しやすいことから、澱粉を用いてタレ・ソース類の粘度を上昇させた場合、酸性下では粘度が経時的に低下する傾向であり、更にレトルト処理や、加熱処理などを施すと、粘度が著しく低下しやすかった。また、上記特許文献1に開示されているように、タピオカ澱粉を用いた場合であっても、その効果は十分とはいえなかった。
【0006】
また、増粘多糖類は、澱粉に比べて高価であることから、製造コストがかかるばかりか、食感において、澱粉を使用した場合と比べると、べた付いて口溶けが悪く、ボディ感が少なくなることが問題視される場合があった。
【0007】
したがって、本発明の目的は、粘度安定性に優れ、且つボディ感に富む食感を得ることができるタレ・ソース類を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明のタレ・ソース類は、膨潤度が60以下の澱粉を含有することを特徴とする。
【0009】
澱粉を含むタレ・ソース類は、ボディ感に富む食感を得ることができるものの、澱粉は、水存在下での加熱時に吸水して粒が膨潤し、その膨潤が物理的限界に達すると粒が崩壊する。崩壊が進むと粒は細分化され、やがて完全に消失する。澱粉粒が消失した状態では、粘度安定効果が得られ難くなり、さらにその後レトルト処理や加熱調理を行なうと著しく粘度が低下してしまう。本発明によれば、タレ・ソース類に、膨潤度が60以下の澱粉を含有させたことで、澱粉粒が消失せずに保持されるので、タレ・ソース類の粘度が、経時低下しにくくなり、粘度安定性が向上する。
【0010】
また、本発明のタレ・ソース類は、前記澱粉が、ウルチ種コーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、サゴ澱粉、緑豆澱粉、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉から選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。
【0011】
また、本発明のタレ・ソース類は、前記澱粉が、アセチル化アジピン酸架橋澱粉であることが好ましい。そして、前記澱粉中のアジピン酸基含量は、0.020〜0.135重量%であることが好ましい。アセチル化アジピン酸架橋澱粉は、耐酸性、耐熱性に優れているので、タレ・ソース類のpHを低下させたり、レトルト加熱などを施した場合であっても、粘度低下が生じにくく、様々な種類や用途のタレ・ソース類に好ましく用いることができる。
【0012】
本発明のタレ・ソース類は、pHが2.5〜4.5であることが好ましい。本発明のタレ・ソース類によれば、pHが2.5〜4.5であっても、粘度が経時的に低下することを防止できる。
【0013】
また、本発明のタレ・ソース類は、レトルト処理されたものであることが好ましい。本発明のタレ・ソース類によれば、レトルト処理を施しても、粘度低下が生じにくい。
【0014】
また、本発明のタレ・ソース類は、喫食時に、加熱調理又は加温調理して用いるものであることが好ましい。本発明のタレ・ソース類によれば、加熱や加温を施しても、粘度低下が生じにくい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のタレ・ソース類は、経時低下しにくく、粘度安定性に優れ、また、ボディ感に富む食感を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のタレ・ソース類は、膨潤度が60以下の澱粉を含有する。
【0017】
澱粉は、水存在下での加熱時に吸水して粒が膨潤し、その膨潤が物理的限界に達すると粒が崩壊する。崩壊が進むと粒は細分化され、やがて完全に消失する。澱粉粒が消失した状態になると、粘度安定効果が得られ難くなり、さらにその後レトルト処理や加熱調理を行なうと著しく粘度が低下してしまう。
【0018】
一方、膨潤度が60以下の澱粉は、加熱時の膨潤を抑制でき、最終製品中に澱粉粒が消失せずに保持できる。このため、タレ・ソース類に膨潤度が60以下の澱粉を含有させることで、最終製品中に澱粉粒が消失せずに保持されて、粘度安定効果が向上し、低pH条件下でレトルト処理や加熱調理を行なっても粘度が低下しにくくなる。
【0019】
上記澱粉の膨潤度は、10〜30が好ましい。膨潤度が10〜30であれば、特に優れた粘度安定効果が得られる。
【0020】
また、上記澱粉の含有量は、タレ・ソース類中に2〜15質量%であることが好ましく、4〜10質量%であることがより好ましい。含有量が2質量%未満であると、増粘効果が充分得られず、15質量%を超えると、粘度安定効果が低下する傾向がある。
【0021】
なお、本発明において、澱粉の膨潤度とは、以下の方法によって定量される値を意味する。すなわち、乾燥物重量1.0gの澱粉試料を水100mlに分散し、沸騰水中で時々攪拌しながら30分間加熱後、30℃に冷却する。次いで、この糊液を遠心分離(3000rpm、10分間)して糊層と上澄液層に分け、糊層の重量を測定してこれをAとする。次いで、上記糊層を105℃で乾固した後、再び重量を測定してこれをBとし、A/Bの値を膨潤度とする。
【0022】
また、最終製品中において澱粉粒が消失せずに保持されているかどうかは、以下の方法によって定性的に確認することができる。すなわち、澱粉を用いて製造されたタレ・ソース類をよく攪拌した後にスライドガラスに数滴取り、これにヨウ素溶液を数滴添加して混合した後、カバーガラスを乗せ、カバーガラス周辺の水分を拭き取って観察試料とする。この観察試料を、光学顕微鏡を用いて観察し、澱粉粒の有無を確認する。観察試料がヨウ素溶液で染色されるにも関わらず、澱粉粒がほとんど観察できない場合は、澱粉粒が消失していることを意味する。一方で、観察試料がヨウ素溶液で染色され、且つ澱粉粒を確認することができる場合は、澱粉粒が消失していないことを意味する。
【0023】
上記澱粉の種類としては、特に限定はなく、ウルチ種コーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、サゴ澱粉、緑豆澱粉、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉から選ばれた少なくとも一種の澱粉が好ましく挙げられる。
【0024】
また、これらの澱粉は、化学的及び/又は物理的加工によって、澱粉分子内及び/又は澱粉分子間に架橋構造を導入して、架橋処理を施して用いることが好ましい。架橋処理としては、リン酸架橋、アセチル化アジピン酸架橋、アルデヒド架橋、アクロレイン架橋、エピクロルヒドリン架橋、グラフト重合が好ましく挙げられる。これらのうち、アセチル化アジピン酸架橋が特に好ましい。
【0025】
アセチル化アジピン酸架橋澱粉は、リン酸架橋澱粉等と比較して、増粘剤として非常に効果が高く、且つ耐酸性及び耐熱性に優れている。また、後述する実施例においても明らかなように、同程度の膨潤度となるように調整したリン酸架橋澱粉や、アセチル化リン酸架橋澱粉よりも耐酸性及び耐熱性において最も優れているという結果が得られている。詳細は不明だが、これは架橋の分子構造の違い及びその大きさや強度によるものではないかと考えられる。
【0026】
そして、アセチル化アジピン酸架橋澱粉のアジピン酸基含量は、0.020〜0.135重量%が好ましく、0.030〜0.100重量%がより好ましい。アジピン酸基含量はアセチル化アジピン酸架橋における架橋の度合いを示すものであり、上記アジピン酸基含量であれば、耐熱性、耐酸性に優れたタレ・ソース類を得ることができる。アジピン酸基含量が0.020重量%より低いと、製造時の加熱やレトルト処理もしくは喫食時の加熱調理による粘度低下が起こり易く、アジピン酸基含量が0.135重量%より高いと、澱粉が十分に糊化できずに目的とする粘度が得られない場合がある。
【0027】
アセチル化アジピン酸架橋澱粉は、無水酢酸にアジピン酸を溶解させて調製した反応液を澱粉懸濁液にゆっくりと添加し、反応液添加中の澱粉懸濁液のpHを弱アルカリ性に保つことで得ることができる。また、更に、α化、湿熱処理、酸処理、アルカリ処理、酵素処理、漂白処理、油脂加工、温水処理などから選ばれた少なくとも一種の加工方法と組み合わせることもできる。本反応によって澱粉のアセチル化とアジピン酸架橋が同時に達せられるが、無水酢酸とアジピン酸の添加量を調整することでそれぞれの反応度を調節することができる。そして、アセチル化の反応度は無水酢酸の添加量により調節することができるが、これは主として保存中の粘度安定性の向上に寄与する。また、アジピン酸架橋の反応度はアジピン酸の添加量により調節することができるが、これは主として耐酸性と耐熱性の向上に効果的である。
【0028】
なお、本発明において、澱粉中のアジピン酸基含量とは、以下の方法によって定量される値を意味する。すなわち、澱粉試料約1gを精密に量り、水50mlを加え、さらに内標準物質液1mlを正確に加えた後、4mol/l水酸化ナトリウム溶液50mlを加え、5分間振とうする。さらに、塩酸20mlを加え、室温まで冷却後、定量的に分液漏斗に移す。これを酢酸エチル100mlを用いて3回抽出し、酢酸エチル層を合わせ、無水硫酸ナトリウム20gを加えて10分間時々振り混ぜながら放置した後、ろ過する。ろ紙上の残留物を酢酸エチル50mlで2回洗い、洗液をろ紙に合わせ、減圧下、40℃以下で酢酸エチルを完全に除去する。残留物にピリジン2ml及びN,N−ビストリメチルシリルトリフルオロアセタミド1mlを加えて栓をし、1時間放置後、総アジピン酸測定用試料溶液とする。ただし、内標準物質液は、グルタール酸約100mgを精密に量り、水を加えて溶かし、正確に100mlとする。ガスクロマトグラフィーを行い、内標準物質のピーク面積に対するアジピン酸のピーク面積比を求め、検量線より澱粉試料中の総アジピン酸含量を求める。さらに乾燥物換算を行なう。次に、澱粉試料約5gを精密に量り、水100mlを加え、さらに内標準物質液1mlを正確に加える。1時間振とう後、孔径0.45μmのミリポアフィルターでろ過し、ろ紙に塩酸1mlを加え、分液漏斗に移す。酢酸エチル100mlを用いて3回抽出し、以下、総アジピン酸測定用試料溶液と同様に操作し、遊離アジピン酸測定用試料溶液とする。ガスクロマトグラフィーを行い、内標準物質に対するアジピン酸のピーク面積比を求め、検量線より澱粉試料中の遊離アジピン酸量を求める。さらに乾燥物換算を行なう。別に4個のフラスコに未加工の原料澱粉1.0gをそれぞれ量り入れ、各フラスコに水50mlを加え、さらに内標準物質液1mlを正確に加える。それぞれにアジピン酸試液0.25、0.50、0.75及び1.00mlを正確に加え、フラスコを揺り動かして澱粉と混和する。4mol/l 水酸化ナトリウム溶液50mlを加え、5分間振とうする。各フラスコに塩酸20mlを加え、室温まで冷却後、定量的に分液漏斗に移す。酢酸エチル100mlを用いて3回抽出し、以下、総アジピン酸測定用試料溶液と同様に操作し、アジピン酸測定用標準溶液とし、ガスクロマトグラフィーを行い、内標準物質液のピーク面積に対するアジピン酸のピーク面積比を求め、検量線を作成する。澱粉中のアジピン酸基含量は、次の計算式を用いて算出する。
【0029】
アジピン酸基含量(重量%)=総アジピン酸量(重量%)−遊離アジピン酸量(重量%)
以下にガスクロマトグラフィーの操作条件を示す。
【0030】
検出器:水素炎イオン化検出器
検出器温度:250℃
カラム:内径0.25mm、長さ15mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフィー用50%ジフェニル50%ジメチルポリシロキサンを0.25μmコーティングしたもの。
カラム温度:120℃で5分間保持、その後毎分5℃で150℃まで昇温する。
キャリヤーガス及び流量:ヘリウム又は窒素を用いる。アジピン酸のピークが約8分に、グルタール酸のピークが約5分に現れるように流量を調整する。
注入口温度:250℃
注入方式:スプリット(1:30)
注入量:1μl
【0031】
本発明のタレ・ソース類の種類としては、特に限定はなく、焼き物、蒸し物、揚げ物、煮物、麺類などに用いる調味液などが挙げられる。
【0032】
また、本発明のタレ・ソース類のpHは、2.5〜4.5が好ましく、3.0〜4.0がより好ましい。タレ・ソース類のpHが2.5より低いと、製造時において粘度低下が生じ易く、また、タレ・ソース類のpHが4.5より高いと、澱粉が十分に糊化せず、目的とする粘度が得られない場合がある。
【0033】
本発明のタレ・ソース類は、タレ・ソース原料と、膨潤度が60以下の澱粉とを混合し、必要に応じて適宜加熱、攪拌することで製造することができる。
【0034】
タレ・ソース類の基本配合原料としては、和風ならば一般に醤油、みりん、酒、砂糖などが用いられるが、近年の食生活の多様化に伴い、洋風、中華風などのタレ・ソース類も多く存在し、料理によって用いるタレ・ソース類も様々であるため、原料の種類や添加量は特に限定されるものではない。
【0035】
また、必要に応じて、更に、殺菌を目的とした加圧・加熱処理を行い、レトルト処理を行ってもよい。レトルト処理は、レトルトパウチに充填する前に行ってもよく、レトルトパウチに充填した後、行ってもよい。
【0036】
また、耐熱性の包材に包装し、更に必要に応じて米飯、麺、肉、魚、野菜、果物などの食材又はこれらの加工品と混合して、密封状態のままで電子レンジや沸騰水中で加熱や加温して、喫食時に加熱・加温調理できるようにしてもよい。
【実施例】
【0037】
以下に実施例を示すことで本発明の詳細を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0038】
(試験例1)
下記表1に示す澱粉試料の乾燥物重量20gに、蒸留水と適当量の5重量%酢酸溶液を加えて、pH3.5〜5.0の澱粉懸濁液を500g調整した。この澱粉懸濁液を95℃で20分間攪拌しながら加熱した後、25℃に冷却した。さらにこれを耐熱性のガラス容器に移して密閉し、121℃・1.2kgf/cmで10分間レトルト処理((株)トミー精工社製HIGH−PRESSURE STEAM STERILIZER/BS−325を使用)を行なった。それぞれの澱粉懸濁液のレトルト前の25℃における粘度を、BM粘度計((株)東京計器社製)を用いて測定し、これをレトルト前粘度とした。また、レトルト処理を行なった後、25℃に冷却して同様に粘度を測定し、これをレトルト後粘度とした。結果を表2に併せて示す。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
上記結果より、膨潤度が60以上の澱粉試料を用いた試料1,6,7,13は、粘度がさほど上昇せず、また、pHが低くなるにつれ、レトルト後粘度が低い値を示し、低pHタレ・ソース類における増粘剤としての効果が劣るものであった。
【0042】
これに対し、膨潤度が60以下の澱粉試料を用いた試料2〜5,8〜12は、高い粘度を有しており、なかでもアジピン酸基含量が0.020〜0.135重量%のアセチル化アジピン酸架橋澱粉を用いた試料2,3,8,9は、特に低pH条件下におけるレトルト後粘度が高い値を示しており、低pHタレ・ソース類における増粘剤として優れた効果を示した。
【0043】
(試験例2)
澱粉試料として上記表1に示す澱粉試料を用いて、下記表3に示す配合の甘酢あんソース用原料を混合し、攪拌しながら昇温した後、90℃で4分間加熱した。加熱終了後、25℃に冷却した状態でのpHは3.7であった。これをレトルト用パウチに300g充填したものを3個作成した。このうち1個をレトルト前甘酢あんソースとし、このうちの2個を121℃・1.2kgf/cmで10分間レトルト処理((株)トミー精工社製HIGH−PRESSURE STEAM STERILIZER/BS−325を使用)を行い、レトルト後甘酢あんソースとした。さらに、レトルト後甘酢あんソースの1個を25℃で6ヶ月間保存し、6ヶ月保存後甘酢あんソースとした。
【0044】
【表3】

【0045】
レトルト前甘酢あんソースの25℃における粘度を、BM粘度計((株)東京計器社製)を用いて測定し、これをレトルト前粘度とした。また、レトルト後甘酢あんソースについても同様に粘度を測定し、これをレトルト後粘度とした。さらに、6ヶ月保存後甘酢あんソースについても同様に粘度を測定し、これを6ヶ月保存後粘度とした。得られた結果を表4に示す。なお、それぞれの試料において、レトルト処理及び6ヶ月間の保存によってpHが変化することはなかった。
【0046】
【表4】

【0047】
上記結果より、膨潤度が60以上の澱粉試料を用いた試料21,22は、6ヶ月保存後の粘度低下率が大きく、長期保存には適しにくいものであった。
【0048】
これに対し、膨潤度が60以下の澱粉試料を用いた試料14〜20は、高い粘度を有しており、なかでもアジピン酸基含量が0.020〜0.135重量%のアセチル化アジピン酸架橋澱粉を用いた試料14〜17は、レトルト処理後においても高い粘度を保ち、さらに長期保存後においても粘度変化が生じにくいものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨潤度が60以下の澱粉を含有することを特徴とするタレ・ソース類。
【請求項2】
前記澱粉が、ウルチ種コーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、サゴ澱粉、緑豆澱粉、小麦澱粉、米澱粉、馬鈴薯澱粉、甘藷澱粉、タピオカ澱粉から選ばれた少なくとも一種である、請求項1記載のタレ・ソース類。
【請求項3】
前記澱粉が、アセチル化アジピン酸架橋澱粉である、請求項1又は2に記載のタレ・ソース類。
【請求項4】
前記澱粉中のアジピン酸基含量が0.020〜0.135重量%である、請求項3に記載のタレ・ソース類。
【請求項5】
タレ・ソース類のpHが2.5〜4.5である、請求項1〜4のいずれか一つに記載のタレ・ソース類。
【請求項6】
レトルト処理されたものである、請求項1〜5のいずれか一つに記載のタレ・ソース類。
【請求項7】
喫食時に、加熱調理又は加温調理して用いるものである、請求項1〜6のいずれか一つに記載のタレ・ソース類。

【公開番号】特開2009−39017(P2009−39017A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206064(P2007−206064)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000231453)日本食品化工株式会社 (68)
【Fターム(参考)】