説明

タンクから液体サンプルを採取するためのデバイス

本発明はサンプル採取される液体を収容したタンク(1)のアウトレットに配置されるサンプル採取システム(3)に関し、このシステムは類似のタンク(1)の配列間を切り換えるように設定するセレクタ(4)と、特にノズル(28)内に圧縮空気を解放することによって作動する吸引ユニットとを具備している。気流の方向は、タンク(1)から液体の吸引を引き起こすアウトレット(6)に向かう方向と、バルブが閉鎖されたときに液体をタンク(1)内に戻してパイプ(2)を洗浄する反対の方向と、の間でバルブ(29)によって制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、1つまたは複数のタンクから液体サンプルを収集するためのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
そのようなデバイスは、放射性物質に暴露された特定の液体を解析するために、原子力産業において共通である。対応したデバイスは一般的にシールドされたユニット内に配置され、それらは遠隔マニピュレータを使用して操作される。解析される液体は、最初はタンク内にある。液体はタンクの頂部にあるパイプを通じて吸引され、パイプは液体をサンプル採取ホルダに向かって運搬し、一般的に容器と称されるコンテナがそこに組み付けられており、液体は部分的にこの容器を充満する。余剰の液体はアウトレットに向かって排出されるか、またはパイプを通じた流れによってタンクに戻され、パイプは吸引が停止するとすぐに傾斜される。
【0003】
これらのデバイスが持つ欠点は、タンクへの戻りが完全ではないことと、液体の滴がパイプに残存し、その後結晶化することである。これは汚染として考えられ、タンクからオリジナルの液体が別の液体に交換された場合、吸引されたサンプルと混合することによってその後の測定の質を制限する。これらのデバイスが持つ別の欠点は、任意の1つのタンクからサンプルを選択することによってサンプル採取するために、デバイスをタンクの配列に結合することが困難なことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明はこれらの欠点を排除すること、とりわけ、デバイスを概略複雑化することなく、または遠隔操作を介して作動されることが可能な機能を損なうことなく、1つおよび複数のパイプの十分な洗浄を可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一般的な形式において、それは、個々のタンクに接続され且つ前記タンクの反対側端部においてアウトレットにおいて末端となった少なくとも1つのパイプと、パイプに対して配置されたサンプル容器ホルダと、パイプ内のタンクの内容物の吸引ユニットと、を具備した少なくとも1つのタンクから液体サンプルを採取するためのデバイスであって、吸引ユニットはパイプに配置されたノズルと、ノズル内に延びた圧縮空気流入口と、を具備し、このデバイスは、パイプをシールするための、且つノズルとアウトレットとの間のパイプに配置されたバルブをさらに具備していることを特徴とするサンプル採取のための装置に関する。
【0006】
この配列は、ノズル内に圧力を解放しその後すぐにバルブが閉鎖されることによって吸引を発生するための圧縮空気を使用することを可能にし、タンクに向かう空気の循環を繰り返すことによってパイプを洗浄することを可能にしており、その内部に含まれた液体の滴を排除する。
【0007】
パイプは有利に小リザーバを具備し、サンプル採取容器ホルダは2箇所において自己シールクイックカップリングの中間によって小リザーバに接続されることが可能であり、接続箇所の第1箇所は小リザーバにあり、接続箇所の第2箇所は第1箇所を貫通することによって小リザーバ内に突き抜けるニードルを具備している。この配列は、採取のためのデバイスに組み付けられ、その後容器交換のために取り出されてデバイスから困難なく離されるために、遠隔マニピュレータを介して容易に操作されることが可能な容器ホルダを備えることを可能にしている。
【0008】
パイプは、有利にアウトレットから通じるノズルの側の方がタンクに向かって通じた反対側に向かう側よりも広くなっている。デバイスは、圧縮空気がノズルに到着したときに圧縮空気の適切な方向を補助している。その方向は、バルブが開放されたときに、こちら側から出くわす、より低い抵抗のおかげでアウトレットに向かう。
【0009】
デバイスのメンテナンスを促進するために、遠隔操作のみが可能であるが、ノズルとバルブとは、パイプの除去可能部と圧縮空気流入口の除去可能部とを備えた単一の除去可能なユニットを形成し、除去可能部はパイプの主要部とキャプスタンコネクタを介して圧縮空気流入口の主要部とに接続されている。
【0010】
完成された実施形態によれば、デバイスは複数のタンクとパイプとを具備し、パイプはセレクタに接続され、次いでノズルとバルブとが配置されたアウトレットに向かう結合部を具備している。
【0011】
その結果、デバイスは複数のタンクと複数のパイプとのために作動することが可能である。良好な実施形態は回転セレクタを具備しており、このセレクタは、円筒形可動部を具備しており、円筒形可動部は、円筒形可動部を操作するための外部部材に設けられ、円筒形可動部は、アウトレットに向かう軸方向孔と、タンクに向かう径方向孔と、セレクタの回転部に配置されたパイプの接続部と、を具備している。
【0012】
本発明は、より完全におよび図の記載と連携する目的のためにここに記載される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の全体を示した図である。
【図2A】ユニットとしてのサンプル採取部を示した図である。
【図2B】サンプル採取部を示した分解図である。
【図3】セレクタを示した図である。
【図4】ノズルを示した図である。
【図5】キャプスタンコネクタを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
最初に図1を参照する。サンプル採取される液体は貯蔵タンク1内に収容されている。サンプル採取機器3を通じてタンク1の頂部からサンプル採取するためのパイプ2は、結合セレクタ4に個々に接続され、次いで吸引ユニット5を通じて、最終的に吸引された余剰液体を収集するためのリザーバであるアウトレット6に向かっている。デバイスの主要素は引き続いてここに記載されている。パイプ2は最初にタンク1からサンプル採取機器3へと立ち上がり、次いでアウトレット6に向かってタンク1の反対に少しずつ下降しており、したがって、それらから離間している。
【0015】
サンプル採取機器3は図2に詳細に示されている。機器はまず手動バルブ7から成る可動部を具備し、このバルブの頂部は円筒ケース8によって占められている。このケースの頂部は開放されており、容器10に組み込まれることが可能な上部ニードル9と、ハウジング9内に容器10を収容することを可能にした回動部17と、を具備している。機器は、ニードル11を介したベースも具備し、ニードルは雌型自己シールクイックカップリング18に固定され、ニードルを通じてサンプル採取が実行される。複数のタンクからサンプル採取される場合、この可動部は移動され、新しい容器が提供される。
【0016】
ユニットはさらに小リザーバ12を具備した固定部を含み、小リザーバは雄型自己シールクイックカップリング13によって閉鎖され、タンク1に通じたパイプ2の底面14、およびセレクタ4に通じたパイプ2へと出ている。サンプルを採取するために、可動部はカップリング13へのニードル11の挿入を通じて固定部に組み込まれ、雌型自己シールクイックカップリング18を雄型自己シールクイックカップリングに接続している。新しい容器10はあらかじめ可動部のニードル9に組み付けられ、手動バルブ7は閉鎖位置にある。これらの容器は密封されており且つ始めは真空とされている。それらの隔壁16はゴム製であり、容器10がニードル9に対して押圧されたときに、ニードル9によって穿孔されることが可能である。吸引によりサンプル採取される液体で小リザーバ12を充填することが可能とされたときに、このことが実行され、このとき、手動バルブ7は開放され、次いで容器10内に形成された真空がニードル11、手動バルブ7、およびニードル9を介して液体の一部を吸引する。その後、手動バルブ7は閉鎖され、可動部はクイックカップリング13,18の分離を通じて引き抜かれることが可能となる。容器10は引き抜かれ、隔壁17に形成された穿孔は自己的に閉鎖する。
【0017】
セレクタ4の記載のために、再度図1および図3を参照する。セレクタは円筒プラグ20によって占められたケーシング19を具備し、プラグにはケーシング19の外側に突出した正方形シャフトチップ21の形状とされた操作のための部材が設けられている。ケーシング19にはパイプ2の第2面13を引き伸ばしたコネクタ22が接続され、回転部を超えてケーシング19から径方向に延びている。別のコネクタ23はケーシング19に接続されているが、今回は軸方向であり、正方形シャフトチップ21の反対側である。このコネクタ23は吸引ユニット5に接続されている。プラグ20は軸部によってコネクタ23に続いた孔23を含んでおり、正方形シャフトチップの回転にしたがって、径方向部を介してコネクタ22のどれか1つに通じている。セレクタ4は液体がサンプル採取されるタンク1を選択することを可能にしており、その操作にしたがって、ここに記載された機器を利用している。
【0018】
吸引ユニット5はパイプ2の除去可能部24、圧縮空気源27に接続された圧縮空気流入口26の除去可能部25、ならびに除去可能部24に組み付けられたノズル28およびバルブ29を具備している。図4に示されたノズル28はベンチュリ30と、そこに入り込んだ圧縮空気流入口26の除去可能部25と、を具備している。ベンチュリ30内への圧力の解放を伴った圧縮空気はパイプ2によって液体の吸引を実行することが可能な超音速を得る。バルブ29は除去可能部24の上に延びたアクチュエータ31と、ロッド33の中間部によって除去可能部24を開閉するための制御バルブ32と、を具備している。
【0019】
吸引ユニット5は他のデバイスから引き出され、次いで所定の場所に下げられ、3つのキャプスタンコネクタ34を介して圧縮空気流入口26に、セレクタ4の出口においてコネクタ23に、およびアウトレット6に続いたバルブ29の後のパイプ2の第3面35に、接続される。キャプスタンコネクタ34は図5においてより完全に示されており、一体に組み立てられたケース36と端部37とを含み、それらの間に配置されたダブルコーンシール38によってシールが形成されている。ケース36は、チップ37の端部を受け入れ且つ保持する桶形のコンテナ39を坦持している。さらに、チップ37の外ネジに係合するキャプスタンナット40も、コンテナ39の外部リップ41によって保持される。キャプスタンナット40に加えられた回転はコンテナ39内において軸方向にチップ37を変位させ、ダブルコーンシール38を潰すことによってケース36に対してチップ37を押し付けている。
【0020】
図1および3は、ケーシング19の内部をアウトレット6に接続し、且つセレクタ4内の湿気を排出することを目的とした放出パイプ42を示している。
【0021】
バルブ29が開放されて、圧縮空気が供給された場合、液体は選択されたタンク1から吸引ユニット5に向かって吸引され、アウトレット6はリザーバ12を充満させ、そこでサンプル採取可能となる。吸気口はベンチュリ30内に直交するように出ているが、空気循環の適切な方向はパイプ2の面14,15,35を選択することによって保証され、そのパイプ径はタンク1からアウトレット6まで(ノズル28における径を考慮しなければ)連続的に広がっており、タンク1に関連して真空にすることも可能である。したがって、圧縮空気の流れに対する抵抗はアウトレット6に向かってより小さくなる。しかし、吸引が停止した場合、バルブ29の閉鎖は除去可能部24を閉鎖する効果、およびその内部に液体を返すことによってタンク1に向かう圧縮空気の流れの方向を逆転する効果を有し、液体はデバイス内、特に小リザーバ12とパイプ2とに停留する。他の操作は必要ない。
【0022】
これら全ての動作は容易であり、限られた器用さを伴った一般的な遠隔マニピュレータを介して達成される。
【符号の説明】
【0023】
1 ・・・貯蔵タンク、 2 ・・・パイプ、 3 ・・・サンプル採取機器、 4 ・・・結合セレクタ、 5 ・・・吸引ユニット、 6 ・・・アウトレット、 7 ・・・手動バルブ、 8 ・・・円筒ケース、 9 ・・・上部ニードル、 10 ・・・容器、 11 ・・・ニードル、 12 ・・・小リザーバ、 13 ・・・雄型自己シールクイックカップリング、 16 ・・・隔壁、 17 ・・・回動部、 18 ・・・雌型自己シールクイックカップリング、 19 ・・・ケーシング、 20 ・・・円筒プラグ、 21 ・・・正方形シャフトチップ、 22,23 ・・・コネクタ、 26 ・・・圧縮空気流入口、 27 ・・・圧縮空気源、 28 ・・・ノズル、 29 ・・・バルブ、 30 ・・・ベンチュリ、 34 ・・・キャプスタンコネクタ、 39 ・・・コンテナ、 40 ・・・キャプスタンナット、 42 ・・・放出パイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個々のタンクに接続され且つ前記タンクの反対側端部においてアウトレット(6)に出た少なくとも1つのパイプ(2)と、
サンプルを採取する容器(10)のための、パイプに対して配置された容器ホルダ(8)と、
前記パイプ内の前記タンクの内容物の吸引ユニットと、
を具備した少なくとも1つのタンク(1)から液体サンプルを採取するためのデバイスにおいて、
前記吸引ユニットは前記パイプに配置されたノズル(28)と、該ノズル内に延びた圧縮空気流入口(26)と、を具備し、前記デバイスは、前記パイプをシールするための、且つ前記ノズル(28)と前記アウトレット(6)との間のパイプに配置されたバルブ(29)をさらに具備していることを特徴とするサンプル採取のための装置。
【請求項2】
前記パイプ(2)は前記アウトレット(6)に向かうノズル(28)の側の方が前記タンクに向かうノズルの側よりも広くなっていることを特徴とする請求項1に記載のサンプル採取のための装置。
【請求項3】
前記ノズルとバルブとは、前記パイプ(2)の除去可能部(24)と前記圧縮空気流入口(26)の除去可能部(25)とを備えた単一の除去可能なユニットを形成し、前記除去可能部は前記パイプの主要部と、キャプスタンコネクタ(34)を介して前記圧縮空気流入口の主要部と、に接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載のサンプル採取のための装置。
【請求項4】
前記デバイスは複数のタンク(1)とパイプ(2)とを具備し、前記パイプはセレクタにおいて互いに接続され、次いで前記ノズル(28)とバルブ(29)とが配置された前記アウトレット(6)に向かう結合部を具備していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のサンプル採取のための装置。
【請求項5】
前記セレクタは回転し、且つ円筒形可動部(20)を具備しており、該円筒形可動部は、該円筒形可動部を操作するための外部部材(21)に設けられ、前記円筒形可動部は、前記アウトレットに向かう軸方向孔と、前記タンクに向かう径方向孔と、前記セレクタの回転部に配置されたパイプのコネクタ(22)と、を具備していることを特徴とする請求項4に記載のサンプル採取のための装置。
【請求項6】
前記パイプ(2)は小リザーバ(12)を具備し、前記サンプル容器ホルダ(8)は2箇所(13,18)において自己シールクイックカップリングの中間によって前記小リザーバ(12)に接続されることが可能であり、前記接続箇所の第1箇所は前記小リザーバにあり、前記接続箇所の第2箇所は前記第1箇所を貫通することによって前記小リザーバ(12)内に突き抜けるニードル(11)を具備していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のサンプル採取のための装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−506121(P2013−506121A)
【公表日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530275(P2012−530275)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064161
【国際公開番号】WO2011/036257
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】