説明

タンクの傾斜装置

【課題】 構造が簡単且つコンパクトで外観がスマートであり、加工性、組付性に優れ、搬送、格納が容易であり、作業者が安全に操作できるタンクの傾斜装置を提供する。
【解決手段】 固定台1と、この固定台1の左右側部にヒンジ3を介して回転自在に結合させたタンク支持台2と、上記タンク支持台2の後端部とこれに対向する固定台2の後端部との間に介装されて上記タンク支持台2の後端部を常時上方に押し上げている附勢手段4と、上記タンク支持台2の先端部に起立させたストッパ6と、上記タンク支持台2の側部に設けたタンク保持手段7とからなるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンクの傾斜装置に関し、特に、タンク内の殺虫剤等の流体をホースを介してポンプなどで汲み出す際、タンク内の流体が少なくなった時自動的にタンクを傾斜させて残留液をタンクの底部のコーナに集め、上記ホースで残留液を吸い込みやすくる、これにより残留液を出来るだけ少なくして無駄を無くすようにするタンクの傾斜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に農場における植物に供給する水、又は植物に散布する殺虫溶液、工場に送る油、ガソリン、又は動物に与える飲料水等の流体をタンクT内に収容し、これを図5に示すように自動車Jで遠方に輸送し、現地でこのタンクT内の流体をホースHを介してポンプで吸引して回収する場合がある。
【0003】
この場合、タンクT内の流体が回収途中で少なくなってタンクTの底に水平にわずかしか残っていなくなると上記のホースHで流体を吸い込みにくくなる。
【0004】
そこで、従来は、図6に示すように、自動車Jの上で作業者が手動でタンクTを傾斜させて流体をタンクTの底部コーナに集め、ホースHによる吸い込みを容易にし、流体の残留を少なくし、無駄をなくしている。
【0005】
しかし、上記にように作業者が手動でタンクTを傾動させることは操作性が悪く、作業者が転倒する危険もある。
【0006】
そこで、これを解決する手段として、例えば、特許文献1に示すタンクの傾斜装置が開発されている。
【0007】
このタンクの傾斜装置は、流体を収容したドラム缶状のタンクを自動的に傾斜させるもので、基台と、この基台に重ねながら左右側部を枢着させたタンク載置台と、このタンク載置台の後部に起立した柱部材と、上記基台の後端部と上記柱部材との間に架設されて上記載置台の後端部を常時上方に押し上げているバネとで構成したものである。
【0008】
このタンクの傾斜装置によれば、タンク内の流体を回収してタンクと流体との合計の重量が軽くなると上記バネで上記柱部材と上記載置台を傾斜させ、これにより載置台上のタンクを自動的に傾斜させ、タンク内の流体をタンクの前側底部のコーナに集め、ホースによる流体の吸い込みを良くし、残留液が出来るだけ少なくするようにしたものである。
【特許文献1】特開2002−316727公報(図面、要約参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上述した従来の技術では、タンク内残留液の割合によって傾斜角度を調節できる点において優れているが、以下の不具合の改善が望まれている。
【0010】
上記従来のタンクの傾斜装置は底面の大きさに比べて座高が高い長方体状のドラム缶タイプのタンクを対象としているため、タンク載置台を傾斜したときタンクがタンク載置台の前側に転倒する可能性が高く、危険である。
【0011】
そのため、タンクの転倒を防止するためにはどうしてもタンクの座高に対応した柱部材を起立させ、この柱部材でタンクを支えておく必要がある。
【0012】
このため、柱部材が起立している分構造が複雑であって加工性、組付性に劣る。
【0013】
更に、タンクを搭載していないときにはこの柱部材やバネが外部に張り出して嵩張るから外観が悪く、邪魔になり、搬送、格納が不便であり、作業者が引っ掛る恐れもあって危険である。
【0014】
更に、従来技術では、タンクを固定するために上記柱部材の上部に付設したタンク落下防止用のタンク上縁止具のみにて固定しているため、タンクの形状によってはタンクの上縁に引っかかるところがない若しくは引っ掛かりが不十分によりタンクが傾斜装置から落下する危険性がある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、構造が簡単且つコンパクトで外観がスマートであり、加工性、組付性に優れ、搬送、格納が容易であり、作業者が安全に操作できるタンクの傾斜装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するため、本発明の一つの手段は、固定台と、この固定台の先端側部にヒンジを介して回転自在に結合させたタンク支持台と、上記タンク支持台の後端部とこれに対向する固定台の後端部との間に介装されて上記タンク支持台の後端部を常時上方に押し上げている附勢手段と、上記タンク支持台の先端部に起立させたストッパと、上記タンク支持台の側部に設けたタンク保持手段とからなることを特徴とするものである。
【0017】
この場合、上記固定台が前後枠と、左右の側枠とで矩形の枠体に構成され、上記タンク支持台が前後枠と、左右の側枠と、上記前後枠と上記側枠との間に架設した格子状の補強枠とからなる枠体で構成され、上記附勢手段が、上記タンク支持台の左右の側枠に設けた上側ブラケットと、上記固定台の左右の側枠にスライド自在に取り付けた下側ブラケットと、上記上側ブラケットと下側ブラケットとの間にそれぞれ上下端部を回転自在に軸支したリンクと、上記下側ブラケットと上記固定台の後枠との間に介装されて常時下側ブラケットを引っ張って上記リンクを起立させるバネとで構成させているのが好ましい。
【0018】
同じく、固定台とタンク支持台との間に上記附勢手段と並列に常時タンク支持台を上方に押し上げている附勢補助手段を設けても良い。
【0019】
同じく、他の手段は、固定台と、この固定台上に設けた軸受に回転自在に取り付けた回転軸と、この回転軸に結合されて上記固定台に対向するタンク支持台と、上記固定台の左右側部と上記タンク支持台の左右側部との間に介装されて上記タンク支持台の左右側部を常に下方に引っ張り込む附勢手段と、上記タンク支持台の先端部に起立させたストッパと、上記固定台の後端部上に設けられて上記タンク支持台の後端部に対向させた台座と、上記タンク支持台の左右側に起立したタンク保持板とからなることを特徴とするものである。
【0020】
この場合、上記タンク支持台の重心から先端側にずらした位置に回転軸を取り付け、上記固定台の左右側部と上記タンク支持台の左右側部とにそれぞれブラケットを起立させ、これらの各ブラケットとの間にコイルバネからなる附勢手段を設けているのが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
各請求項の発明によれば、次の効果を達成できる。
【0022】
A 請求項1、2、3の発明によれば、固定台1とタンク支持台2との間にタンク支持台2の後端部を常時上方に押し上げている附勢手段4を設けているから、タンク支持台2に消毒液等の流体を収容したタンク搭載している状態において、上記タンク内の流体が回収されて次第にタンク内の流体が減少し、タンクと流体との合計の重量が流体の満タン時に比べて軽くなったとき、上記の附勢手段4によってタンク支持台2の後端部側が押し上げられて左右側部のヒンジ3を支点にして回転する。
【0023】
このため、タンク内の流体がタンクの底部のコーナに集まって溜まりホースで吸引し易くなる。したがって、流体の吸い込み残りを防止し、全量もしくは全量近くまで流体を回収できるので流体の無駄を防止できる。
【0024】
B 同じく、附勢手段7が固定台1の後端部とこれに対向するタンク支持台2の後端部との間に附勢手段7を介装させているからこの附勢手段7が外部に大きく露出せず、固定台1とタンク支持台2の外側には大幅に邪魔になる部材が存在せず、全体の構造がシンプル且つコンパクトで、加工性、組付性、経済性にすぐれ、外観もスマートである。
【0025】
C 同じく、タンク支持台2の先端部にストッパ起立させているからタンクが先端側に滑ってもこのストッパ2がそれ以上タンクの移動を阻止し、併せてタンク支持台2にタンク保持手段7を設けているから、この保持手段でしっかりとタンクをタンク支持台上に保持させ、タンクの転倒や落下を防止できる。
【0026】
D 同じく、固定枠1が矩形の枠体で構成され、タンク支持枠2が前後左右の枠と格子状の補強枠とで構成されているから構造が簡単で重量の軽減化を図れる。
【0027】
E 同じく、附勢手段4がリンク機構を利用しているから単純なコイルスプリングからなるものに比べて当該リンク機構を扁平に折り畳むことができ、単一のタンクの傾斜装置全体をコンパクトに格納でき、その結果複数のタンクの傾斜装置を多段に重ねて搬送でき、又は倉庫に重ねて収容できる。
【0028】
F 請求項3の発明によれば、附勢補助手段5を附勢手段4と並列に設けているので附勢手段4より先に始動してタンク支持台2を押し上げることができ、附勢手段4の押し上げ作動スムースに行うことができる。
【0029】
G 請求項4、5の発明によれば、固定台11とタンク支持台12との間にタンク支持台12を傾斜方向に附勢する附勢手段16を設けているから、タンク支持台12に消毒液等の流体を収容したタンク搭載している状態において、上記タンク内の流体が回収されて次第にタンク内の流体が減少し、タンクと流体との合計の重量が流体の満タン時に比べて軽くなったとき、上記の附勢手段16によってタンク支持台12の先端部側が引き下げられて左右側部の軸受14を支点にして回転する。
【0030】
このため、タンク内の流体がタンクの底部のコーナに集まって溜まりホースで吸引し易くなる。したがって、流体の吸い込み残りを防止し、全量もしくは全量近くまで流体を回収できるので流体の無駄を防止できる。
【0031】
H 同じく、固定台11にタンク支持台12の後端部に対向する台座17を設けているから、タンク支持台12上にタンクを載置した時タンク支持台12を支えて当該タンク支持台12を水平の保持させることが出来る。
【0032】
I 同じく、タンク支持台12の先端部にストッパ18起立させているからタンクが滑っててもこのストッパ18がそれ以上タンクの移動を阻止し、併せてタンク支持台12にタンク保持板19を設けているから、この保持板19でタンクをタンク支持台18の横方からタンクが転倒したり落下したりするのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下本発明の実施の一例を図に基づいて説明する。
【0034】
図1乃至図3は請求項1から請求項3の発明に対応する第1の実施の形態を示し、図4、図5は請求項4、請求項5の発明に対応する第2の実施の形態を示す。
【0035】
これらの実施の形態に係わるタンクの傾斜装置は、流体、例えば、農場の植物に噴霧する消毒液を収容するタンクTを自動的に傾斜させるのに適用するものである。特に使用されるタンクTはその座高がドラム缶等に比べて低いものの使用に適する
第1の実施の形態に係わるタンクの傾斜装置の基本構造は、固定台1と、この固定台1の先端側部にヒンジ3を介して回転自在に結合させたタンク支持台2と、上記タンク支持台2の後端部とこれに対向する固定台1の後端部との間に介装されて上記タンク支持台2の後端部を常時上方に押し上げている附勢手段4と、上記タンク支持台2の先端部に起立させたストッパ6と、上記タンク支持台2の側部に設けたタンク保持手段7とからなるものである。
【0036】
そして、上記固定台1が前後枠1a、1bと、左右の側枠1c、1dとで矩形の枠体に構成されている。
【0037】
また、上記タンク支持台が前後枠2a、2bと、左右の側枠2c、2dと、上記前後枠2a、2bと上記側枠2c、2dとの間に架設した格子状の補強枠2e、2fとからなる枠体で構成されている。
【0038】
さらに、上記附勢手段4が、上記タンク支持台2の左右の側枠2c、2dに設けた上側ブラケット4bと、上記固定台1の左右の側枠にスライド自在に取り付けた下側ブラケット4cと、上記上側ブラケット4bと下側ブラケット4cとの間にそれぞれ上下端部を回転自在に軸支したリンク4dと、上記下側ブラケット4cと上記固定台1の後枠1bとの間に介装されて常時下側ブラケット4cを引っ張って上記リンク4dを起立させるバネ4aとで構成させている。
【0039】
また、固定台1とタンク支持台2との間に上記附勢手段4と並列に常時タンク支持台2を上方に押し上げている附勢補助手段5を設けている。
【0040】
上記固定台1とタンク支持台2の後枠1b、2bにそれぞれにブラケット9、10を取り付け、このブラケット9、10間に着脱自在に引っ掛けられるチェーン等からなる引っ掛け具8を設けている。このため、引っ掛け具8をブラケット10に係合することにより、タンクTに消毒液等の流体を入れた状態でこのタンクTを水平に搭載する時にタンク支持台2が水平状態を保て、併せてタンクTが水平に安定して保たれる。
【0041】
この引っ掛け具8は車両のシャーシに設けたフック等に引っ掛けてタンクの傾斜装置を移動しないように保持させることもできる。
【0042】
上記固定台1及びタンク支持台2は上記のように枠体状に成形されているが、その形状はこれに限定されるものではなく、例えば板状であってもよく、タンクTに流体を満たしたときの荷重に耐え得る強度を得られればこの限りではない。特に上記補強枠2e、2fは格子状に形成されているが、その形状はこれに限定されるものではない。
【0043】
次に、上記附勢手段4の形態については、図3に示すように、タンク支持台2の左右の側枠2c、2dの後方外側面に設けた上側ブラケット4bと、上記固定台1の左右の側枠1c、1dに設けたレール4fにローラ4eを介してスライド自在に取り付けた下側ブラケット4cと、上記上側ブラケット4bと下側ブラケット4cとにそれぞれ回転自在に 軸支したリンク4dと、上記固定台1の後側枠1bと上記下側ブラケット4cとの間に介装した引っ張りバネ4aとで構成されている。
【0044】
梃子の原理により効率よく上記タンク支持台2の後方を持ち上げるため、上記附勢手段4は上記ヒンジ3から離れた位置に設置することが望ましいが、必要に応じてタンク支持台2のヒンジ3より後方部分であれば何れに取り付けてもよい。
【0045】
固定台1とタンク支持台2の後方2箇所に附勢手段4を設けているが、タンクTを傾斜されるのに十分な附勢を得ることができれば1箇所でも良く、2箇所以上に取り付けても良い。
【0046】
また、引っ張りバネとしてコイルバネ4aを用いているが、その他のバネでもよく、ゴムその他同様の弾性体であっても良い。
【0047】
また、上記下側ブラケット4cをスライド自在に取り付けるため、レール4fを取り付けているが、固定台枠1の側枠に溝を掘るなど別の方法を用いてもよい。
【0048】
また、上記の実施の形態では、上記リンク4dの上端部を軸を介して上記上側ブラケット4bに回転自在に枢着させているが、上記リンク4dの上部に外方に開放された例えば側面から見てU字状の切欠き溝を形成し、この切欠き溝に上記軸を挿入させてもよい。これにより、上側ブラケット4bに上記リンク4dを着脱自在に取り付けることができ、上記リンク4dを上記上側ブラケット4bから外したときに、上記タンク支持台2に荷重がかからなくとも容易に上記固定台1と上記タンク支持台2とを水平にすることが可能となり、タンクの傾斜装置を重ねる際や梱包の際の利便性が向上する。
【0049】
次に、上記タンク保持手段7については、図1に示すように、上記タンク支持台1における左右側枠2c、2dの任意の位置と格子枠2fに設けたブラケット7aと、このブラケット7aに結合したベルト、ワイヤ又は紐からなるタンク締結手段7bとから構成されている。
【0050】
上記タンク保持手段7としては、必ずしもベルトやワイヤ又は紐である必要はなく、タンクを固定するのに十分な強度を確保することができれば、この限りではない。上記タンク保持手段7は後述で説明する図4にあるような、タンク支持枠の側面にタンク保持板19a、19bを設けたタンク保持手段19でもよく、また上記両方のタンク保持手段7、19を併せて使用してもよい。
【0051】
次に、上記附勢補助手段5については、図3に示すように、上記タンク支持台2の左右の側枠2c、2d後端部に起立する補助バネ用ブラケット5bと、このブラケット5bとタンク固定台1の左右の側枠1c、1d後端部部との間に介装される補助バネ5aとからなる。好ましくは上記補助バネ5aが伸縮する時に上記固定枠1や補助バネ用ブラケット5aに緩衝しないよう保護カバー5cで保護する。
【0052】
上記附勢補助手段5としては、附勢手段4と並列に上記固定台1とタンク支持台2の後方端部2箇所に設けているが、取り付け箇所は2箇所である必要はなく、必ずしも取り付ける必要はない。また、弾性体としてコイルバネを用いているが、その他の公知の弾性体であっても良い。
【0053】
タンクT内の流体が満水の時には、タンク支持台2がタンク及びタンク内流体の重量による荷重で下方に押され、ヒンジ3を介してこのタンク支持台2が時計方向に回転して図2に示すように水平状態となる。
【0054】
この際附勢補助手段4が圧縮し、同時にリンク4dがバネ4aに抗して時計方向に回転しながらほぼ水平状態となる。
【0055】
この作動中では、下側ブラケット4cがローラを4eを介して固定台1の左右側部側にスライドし、バネ4aが伸びて張力が大きくなる。
【0056】
つまり、タンク支持台2にタンク及びタンク内流体によりタンク支持台2に荷重がかかると、リンク4fを押し下げ、このリンク4fに回転自在に取り付けられ下側ブラケット4cがローラ4eを介してスライドし、この下側ブラケット4cに取り付けられたバネ4aが左右側部側に蓄勢復帰力を持って伸びる。これと同時に、上記補助バネ用ブラケット5bを介して上記タンク支持台2に設けられた補助バネ5aが蓄勢復帰力を持って縮む。
【0057】
タンク内の残留液量が少なくなった時には、重量が軽くなりタンク支持台2に対する荷重が減少する。この為、最初に附勢補助手段たるバネ5aの蓄勢復帰力によりタンク支持台が押し上げられ、次いで附勢手段4におけるバネ4aの復元力で下側ブラケット4cが後端部側に引っ張られ、したがってリンク4dが反時計方向に回転しながら起立してタンク支持台2の後端部側を上方に押し上げ、ヒンジ3を介して反時計方向に回転させて傾斜させる。
【0058】
この場合、附勢補助手段5は無くても作動させることが出来るがスピードアップを図るためにはこれが存在するほうが好ましい。
【0059】
上記の作動では、上記下側ブラケット4cがレール4f上を後方にスライドし、下側ブラケット4cと回転自在に取り付けられたリンク4dが垂直方向に立ち上がることでタンク支持台2に取り付けられた上側ブラケット4bが押し上げられ、タンク支持台2の後方枠2bを押し上げる附勢力となる。
【0060】
第2の実施の形態に係わるタンクの傾斜装置の基本構造は、固定台11と、この固定台11上に設けた軸受14に回転自在に取り付けた回転軸13と、この回転軸13に結合されて上記固定台11に対向するタンク支持台12と、上記固定台11の左右側部と上記タンク支持台12の左右側部部との間に介装されて上記タンク支持台12の左右側部部を常に下方に引っ張り込む附勢手段16と、上記タンク支持台12の先端部に起立させたストッパ18と、上記固定台11の後端部上に設けられて上記タンク支持台12の後端部に対向させた台座17と、上記タンク支持台12の左右側に起立したタンク保持板19とからなるものである。
【0061】
この場合、上記タンク支持台12の重心から先端側ずらした位置に回転軸13を取り付け、上記固定台11の左右側部と上記タンク支持台12の左右側部とにそれぞれブラケット23、24を起立させ、これらの各ブラケット23、24との間にコイルバネからなる附勢手段16を設けている。
【0062】
上記固定台11及びタンク支持台12の形状はタンクに流体を満たしたときの荷重に耐え得る強度を得られれば図示の形状に限定されるものではない。
また、タンク支持台12の前方枠12aを常時下方に引っ張る附勢手段としてバネを使用しているが、バネと同様の公知のゴムその他の弾性体であっても良い。
【0063】
効率よくタンク支持台12の前方たる左右側部側を引っ張るために上記回転軸13から上記附勢手段16の取り付け位置は離れていることが望ましいが、必要に応じて上記附勢手段16の取り付け位置及び取り付け数量を変更することが可能である。
【0064】
タンクTに流体を入れタンクを水平に積載する時に水平が安定に保たれるよう、上記固定台11とタンク支持台12の後方枠11b、12bにそれぞれブラケット21、22を取り付け、これらのブラケット21、22間に着脱自在に引っ掛けられる引っ掛け具20を設けるのが好ましい。
【0065】
次に、上記タンク保持手段19については、図4に示すように、上記タンク支持台12の左右の側枠12c、12dに起立した一対のタンク保持板19a、19bから構成されている。
【0066】
上記タンク保持手段19としては、必ずしも一対のタンク保持板である必要はなく、図1に示す先の実施の形態と同じようにブラケットとこれに結合するベルト、ワイヤ又は紐などのタンク締結手段を用いても良い。
【0067】
流体が満水の時には、タンクT及びタンク内流体の荷重により図5に示すようにタンク支持台12が水平な状態となる。つまり、タンク支持台12にタンクT及びタンク内流体によりタンク支持台12に下向きの荷重がかかると、上記タンク支持台12の回転軸13の設置位置がタンク支持台12の重心よりも前方にあるため上記タンク支持台12の前方が上方に持ち上げられることにより附勢手段16であるバネが蓄勢復帰力を持って伸ばされ、同時に後方が下方に押し下げられ上記台座17に当接し安定する。よって、上記タンク支持台12は上記固定台11に対して平行となりタンクは水平に載置される。
【0068】
タンク内の残留液量が少なくなった時には、上記附勢手段16であるバネの蓄勢復帰力によってバネが縮み、バネと結合されているタンク保持台12左右側部が下方に引っ張られ上記回転軸13を支点として後方が上方に持ち上げられることにより上記タンク支持台12が傾斜する。
【0069】
この為、タンク内の流体が例えばタンクTの底部コーナに集まりホースでの流体の吸引をしやすくする。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】請求項1の実施の形態に係わるタンクの傾斜装置においてタンク支持台が傾斜した状態の斜視図である。
【図2】請求項1の実施の形態に係わるタンクの傾斜装置においてタンク支持台を水平にした状態の斜視図である。
【図3】請求項1の実施の形態に係わるタンクの傾斜装置の附勢手段の拡大斜視図である。
【図4】請求項5の実施の形態に係わるタンクの傾斜装置においてタンク支持台を傾斜した状態の斜視図である。
【図5】請求項5の実施の形態に係わるタンクの傾斜装置においてタンク支持台を水平にした状態の斜視図である。
【図6】従来のタンク支持装置を車両に搭載した状態の背面図である。
【図7】図6のタンクを手動で傾斜させた状態の背面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 固定台
2 タンク支持台
3 ヒンジ
4 附勢手段
5 附勢補助手段
6 ストッパ
7 タンク保持手段
8 引っ掛け具
9 ブラケット
10 ブラケット
11 固定台
12 タンク支持台
13 回転軸
14 軸受
15 ブラケット
16 附勢手段
17 台座
18 ストッパ
19 タンク保持手段
20 引っ掛け具
21 ブラケット
22 ブラケット
23 ブラケット
24 ブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定台(1)と、この固定台(1)の先端側部にヒンジ(3)を介して回転自在に結合させたタンク支持台(2)と、上記タンク支持台(2)の後端部とこれに対向する固定台(2)の後端部との間に介装されて上記タンク支持台(2)の後端部を常時上方に押し上げている附勢手段(4)と、上記タンク支持台(2)の先端部に起立させたストッパ(6)と、上記タンク支持台(2)の側部に設けたタンク保持手段(7)とからなるタンクの傾斜装置。
【請求項2】
上記固定台(1)が前後枠(1a)、(1b)と、左右の側枠(1c)、(1d)とで矩形の枠体に構成され、上記タンク支持台が前後枠(2a)、(2b)と、左右の側枠(2c)、(2d)と、上記前後枠(2a)、(2b)と上記側枠(2c)、(2d)との間に架設した格子状の補強枠(2e)、(2f)とからなる枠体で構成され、上記附勢手段(4)が上記タンク支持台(2)の左右の側枠(2c)、(2d)に設けた上側ブラケット(4b)と、上記固定台(1)の左右の側枠にスライド自在に取り付けた下側ブラケット(4c)と、上記上側ブラケット(4b)と下側ブラケット(4c)との間にそれぞれ上下端部を回転自在に軸支したリンク(4d)と、上記下側ブラケット(4c)と上記固定台(1)の後枠(1b)との間に介装されて常時下側ブラケット(4c)を引っ張って上記リンク(4d)を起立させるバネ(4a)とで構成させている請求項1に記載のタンクの傾斜装置。
【請求項3】
固定台(1)とタンク支持台(2)との間に上記附勢手段(4)と並列に常時タンク支持台(2)を上方に押し上げている附勢補助手段(5)を設けている請求項1又は2に記載のタンクの傾斜装置。
【請求項4】
固定台(11)と、この固定台(11)上に設けた軸受(14)に回転自在に取り付けた回転軸(13)と、この回転軸(13)に結合されて上記固定台(11)に対向するタンク支持台(12)と、上記固定台(11)の左右側部と上記タンク支持台(12)の左右側部との間に介装されて上記タンク支持台(12)の左右側部を常に下方に引っ張り込む附勢手段(16)と、上記タンク支持台(12)の先端部に起立させたストッパ(18)と、上記固定台(11)の後端部上に設けられて上記タンク支持台(12)の後端部に対向させた台座(17)と、上記タンク支持台(12)の左右側部に起立したタンク保持手段(19)とからなるタンクの傾斜装置。
【請求項5】
上記タンク支持台(12)の重心から先端側にずらした位置に回転軸(13)を取り付け、上記固定台(11)の左右側部と上記タンク支持台(12)の左右側部とにそれぞれブラケット(23)、(24)を起立させ、これらの各ブラケット(23)、(24)との間に介装したコイルバネからなる附勢手段(16)を設けている請求項4に記載のタンクの傾斜装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−52904(P2010−52904A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220742(P2008−220742)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000221568)東都興業株式会社 (57)
【Fターム(参考)】