説明

タンクローリ

【課題】 温度上昇防止手段によりタンク内に貯留される燃料油の液温上昇を防止できるタンクローリを提供する。
【解決手段】 タンク車本体11,21に複数のハッチで区画された構造のタンク12,22が搭載され、このハッチで区画されたタンク12,22の内部に燃料油が積み込まれて貯留されるタンクローリにおいて、ハッチで区画されたタンク12,22には、内部に貯留される燃料油の温度上昇防止手段として、タンクの構造を2重殻に形成し隙間を真空槽15にしたり、あるいは2重殻に形成し隙間に冷却器28から冷却液を循環するよう供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のハッチで仕切られているタンク内に燃料油を貯留して配送するタンクローリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、油槽所から給油所へ燃料油を配送する手段として、タンクローリが使用されている。このタンクローリの構造は、タンク車本体に燃料油を積み込んで貯留するタンクが搭載され、そのタンク内は複数のハッチで仕切られている。このハッチで仕切られたタンク内には、配送先の注文油種に応じて、ガソリンあるいは軽油等のように、異なる油種の燃料油が貯留されるようになっている。本出願人は、タンクローリに関連して、貯油タンクへの荷卸しの際のベーパーを特別の手間をかけることなくタンクローリのハッチ内へ簡単に回収できる給油装置に関する技術を開示している(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−68400号公報(第2〜4ページ、図1)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のタンクローリでは、複数のハッチで仕切られているタンク内に貯留されている燃料油は、配送時における液温上昇のために、ベーパー化して給油所において正確な荷卸しができない不都合があった。
【0004】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、タンク内に貯留される燃料油の液温上昇を防止できるタンクローリを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明にあっては、タンク車本体に複数のハッチで区画された構造のタンクが搭載され、このハッチで区画されたタンクの内部に燃料油が積み込まれて貯留されるタンクローリにおいて、前記ハッチで区画されたタンクには、内部に貯留される燃料油の温度上昇防止手段が設けられていることを特徴とするものである。温度上昇防止手段によりタンク内に貯留される燃料油の液温上昇を防止できる。
【0006】
請求項2に記載の発明にあっては、前記温度上昇防止手段は、前記ハッチで区画されたタンクの構造が、内側タンク部とこの内側タンク部の周囲を覆う外側タンク部とを有する2重殻に形成され、該内側タンク部と外側タンク部との間の隙間は真空槽に形成されていることを特徴とするものである。タンクの構造を2重殻に形成し隙間を真空槽にすることで燃料油の液温上昇を防止できる。
【0007】
請求項3に記載の発明にあっては、前記温度上昇防止手段は、前記ハッチで区画されたタンクの構造が、内側タンク部とこの内側タンク部の周囲を覆う外側タンク部とを有する2重殻に形成され、該内側タンク部と外側タンク部との間の隙間には、前記タンク車本体に搭載されている冷却器から冷却液が循環するよう供給されるものであることを特徴とするものである。タンクの構造を2重殻に形成し隙間に冷却器から冷却液が循環するよう供給することで燃料油の液温上昇を防止できる。
【0008】
請求項4に記載の発明にあっては、前記温度上昇防止手段は、前記タンクの周囲が断熱塗装された部材で覆われた構造を有することを特徴とするものである。タンクの周囲を断熱塗装された部材で覆うことで燃料油の液温上昇を防止できる。
【0009】
請求項5に記載の発明にあっては、前記温度上昇防止手段は、前記タンクの周囲がカバーで覆われた構造を有することを特徴とするものである。タンクの周囲をカバーで覆うことで燃料油の液温上昇を防止できる。
【発明の効果】
【0010】
タンク車本体に複数のハッチで区画された構造のタンクが搭載され、このハッチで区画されたタンクの内部に燃料油が積み込まれて貯留されるタンクローリにおいて、ハッチで区画されたタンクには、内部に貯留される燃料油の温度上昇防止手段が設けられていることで、温度上昇防止手段によりタンク内に貯留される燃料油の液温上昇を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を図示の一実施形態により具体的に説明する。図1は本発明第1実施形態のタンクローリを説明する図である。
【0012】
この図において、本実施形態のタンクローリ10は、タンク車本体11に、複数のハッチで区画された構造のタンク12が搭載されている。このハッチで区画されたタンク12の内部に、所定油種の燃料油が積み込まれて貯留されるようになっている。このハッチで区画された1つのタンク12の構造は、燃料油が直接に貯留される内側タンク部13と、この内側タンク部13の周囲を覆う外側タンク部14とを有する2重殻に形成されている。この内側タンク部13と外側タンク部14との間は、支持部材16によって一定の隙間が設けられ、この隙間は真空槽15に形成されている。他のハッチで区画されたタンク12も同様の構造に形成されている。
【0013】
上記構成のタンクローリ10では、ハッチで区画されたタンク12の構造が、内側タンク部13とその周囲を覆う外側タンク部14とを有する2重殻に形成され、その隙間が真空槽15に形成されているため、その真空槽15による断熱効果によりタンク12内に貯留される燃料油の液温上昇を防止することができる。
【0014】
図2は本発明第2実施形態のタンクローリを説明する図である。
【0015】
この図において、本実施形態のタンクローリ20は、タンク車本体21に、複数のハッチで区画された構造のタンク22が搭載されている。このハッチで区画されたタンク22の内部に、所定油種の燃料油が積み込まれて貯留されるようになっている。このハッチで区画された1つのタンク22の構造は、燃料油が直接に貯留される内側タンク部23と、この内側タンク部23の周囲を覆う外側タンク部24とを有する2重殻に形成されている。この内側タンク部23と外側タンク部24との間は、支持部材26によって一定の隙間が設けられている。また、タンク車本体21には、冷却液等を供給する冷却器28が搭載されている。この冷却器28から、タンク22の2重殻に形成された内側タンク部23と外側タンク部24と間の隙間25に配管29を介して、冷却液が循環するよう供給されるようになっている。他のハッチで区画されたタンク22も同様の構造に形成されている。
【0016】
上記構成のタンクローリ20では、ハッチで区画されたタンク22の構造が、内側タンク部23とその周囲を覆う外側タンク部24とを有する2重殻に形成され、その隙間25に同じタンク車本体21に搭載された冷却器28から配管29を介して、冷却液が循環するよう供給されるため、その隙間25の冷却液によりタンク12内に貯留される燃料油の液温上昇を防止することができる。
【0017】
図3は本発明第3実施形態のタンクローリを説明する図である。この実施形態のタンクローリ30は、タンク車本体31に、複数のハッチで区画された構造のタンク32が搭載され、このタンク32の周囲が断熱塗装された部材33で覆われた構造を有するものである。この断熱塗装による部材33は、熱伝導率の小さい断熱材料による断熱効果と、熱反射率の大きい材料によると熱反射効果を有するものが使用される。
【0018】
上記構成のタンクローリ30では、タンク32の周囲が断熱塗装された部材33で覆われた構造を有することで、タンク32内に貯留される燃料油の液温上昇を防止することができる。
【0019】
図4は本発明第4実施形態のタンクローリを説明する図である。この実施形態のタンクローリ40は、タンク車本体41に、複数のハッチで区画された構造のタンク42が搭載され、このタンク42の周囲がカバー43で覆われた構造を有するものである。
【0020】
上記構成のタンクローリ40では、タンク42の周囲がカバー43で覆われた構造を有することで、タンク42内に貯留される燃料油の液温上昇を防止することができる。
【0021】
なお、上記第1及び第2実施形態において、第3実施形態の断熱塗装された部材33、あるいは第4実施形態のカバー43で覆うようにしてもよい。これによりさらに燃料油の液温上昇を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
複数のハッチで仕切られているタンク内に燃料油を貯留して配送するタンクローリに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明第1実施形態のタンクローリを説明する図である。
【図2】本発明第2実施形態のタンクローリを説明する図である。
【図3】本発明第3実施形態のタンクローリを説明する図である。
【図4】本発明第4実施形態のタンクローリを説明する図である。
【符号の説明】
【0024】
10,20,30,40 タンクローリ
11,21,31,41 タンク車本体
12,22,32,42 タンク
13,23 内側タンク
14,24 外側タンク
15 真空槽
25 隙間
28 冷却器
33 断熱塗装された部材
43 カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク車本体に複数のハッチで区画された構造のタンクが搭載され、このハッチで区画されたタンクの内部に燃料油が積み込まれて貯留されるタンクローリにおいて、前記ハッチで区画されたタンクには、内部に貯留される燃料油の温度上昇防止手段が設けられていることを特徴とするタンクローリ。
【請求項2】
前記温度上昇防止手段は、前記ハッチで区画されたタンクの構造が、内側タンク部とこの内側タンク部の周囲を覆う外側タンク部とを有する2重殻に形成され、該内側タンク部と外側タンク部との間の隙間は真空槽に形成されていることを特徴とする請求項1記載のタンクローリ。
【請求項3】
前記温度上昇防止手段は、前記ハッチで区画されたタンクの構造が、内側タンク部とこの内側タンク部の周囲を覆う外側タンク部とを有する2重殻に形成され、該内側タンク部と外側タンク部との間の隙間には、前記タンク車本体に搭載されている冷却器から冷却液が循環するよう供給されるものであることを特徴とする請求項1記載のタンクローリ。
【請求項4】
前記温度上昇防止手段は、前記タンクの周囲が断熱塗装された部材で覆われた構造を有することを特徴とする請求項1記載のタンクローリ。
【請求項5】
前記温度上昇防止手段は、前記タンクの周囲がカバーで覆われた構造を有することを特徴とする請求項1記載のタンクローリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−153362(P2007−153362A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−348674(P2005−348674)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(000151346)株式会社タツノ・メカトロニクス (167)
【Fターム(参考)】