説明

タンクローリ

【課題】液化ガスタンク3の積載量を減少させることなく、液化ガスの充填作業の効率を向上すること。
【解決手段】冷却通路15は、冷却部15bが液化ガスタンク3内に配設されるので、油圧ポンプ14によって作動油タンク12およびコンプレッサ11の間(入口側作動油通路13a及び出口側作動油通路13bの間で)で作動油が循環されると、液化ガスタンク3内の液化ガスにより冷却部15bが冷却される。よって、冷却通路15の冷却部15bを通過する作動油は液化ガスタンク3内の液化ガスを利用して冷却されるので作動油の冷却性能を向上できる。従って、液化ガスタンク3の積載量を減少させることなく、液化ガスの充填作業の効率を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はタンクローリに関し、特に、積載量を減少させることなく、荷役作業の効率を向上できるタンクローリに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタンクローリにおいて、荷下ろし等の荷役作業は、コンプレッサによってタンク内とタンク外との圧力差を発生させ、かかる圧力差を利用すること、又は、ポンプにより積み荷を直接吸引・送出することにより行われている。かかるコンプレッサ又はポンプは、現場の設備に設置される外部電源によって作動することが一般的であるが、現場の設備に外部電源がない場合も多い。よって、現場の設備に設置される外部電源ではなく、タンクローリに搭載されたエンジンを動力源としてコンプレッサ又はポンプを駆動させることが多く行われている(特許文献1、特許文献2)。
【0003】
上述したコンプレッサやポンプは、油圧ポンプや油圧モータ等の油圧装置で駆動されることが一般的である。油圧装置は、作動油の温度が上昇すると、作動油の粘度が下がり効率が低下するので、荷役作業の効率が悪化する。そこで、荷役作業の効率を確保するために、作動油タンクを大きなものとして放熱性を高めることで作動油を冷却していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−334457号公報(図1等)
【特許文献2】特開平3−15000号公報(図4等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来のタンクローリでは、作動油タンクを大きなものとすることで作動油の冷却性を高めるので、作動油タンクを大きくした分だけ積載量が減少するという問題点があった。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、積載量を減少させることなく、荷役作業の効率を向上できるタンクローリを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この目的を達成するために、請求項1記載のタンクローリによれば、タンクの内と外との間に圧力差を発生させる圧力装置を利用してタンク内の積載物の荷下ろしを行っており、圧力装置の作動油を貯留する作動油タンクと圧力装置とを連絡する作動油通路に油圧ポンプが配設されている。かかる油圧ポンプによって作動油タンクおよび圧力装置の間で作動油が循環されると、冷却通路は作動油通路に連絡するので、タンク内の積載物により冷却される。よって、冷却通路を通過する作動油はタンク内の積載物を利用して冷却される。
【0008】
一方、作動油タンクを大きくすることによっても作動油の冷却性能を向上できるが、作動油タンクを大きくすると、大きくした分だけタンクの積載量が減少する。これに対し、本発明では、タンク内の積載物を利用して作動油を冷却できるので、作動油タンクを大きくすることなく、作動油の冷却性能を向上できる。従って、タンクの積載量を減少させることなく、荷役作業の効率を向上できるという効果がある。
【0009】
請求項2記載のタンクローリによれば、請求項1記載のタンクローリの奏する効果に加え、冷却通路はタンク内に配設されているので、作動油通路はタンク内に積載される積載物によって直接的に冷却される。よって、冷却通路が積載物により間接的に冷却される場合に比べて作動油の冷却効率が高いので、作動油の冷却性能をよりいっそう向上できるという効果がある。
【0010】
請求項3記載のタンクローリによれば、請求項1記載のタンクローリの奏する効果に加え、冷却通路は、タンクの外周面に接触し配設されているので、冷却通路を形成する配管が破損した場合であっても、冷却通路を循環する作動油がタンク内の積載物に混入しない。よって、タンク内の積み荷に影響を与えない。従って、冷却通路をタンクの内部に配設する場合に比べて、冷却通路を形成する配管等の構造等を簡易化できるという効果がある。
【0011】
請求項4記載のタンクローリによれば、請求項1から3のいずれかに記載のタンクローリの奏する効果に加え、冷却通路は、作動油通路から分岐して作動油通路に合流するように構成され、冷却通路には、作動油通路から冷却通路への作動油の流入を遮断する弁が配設される。よって、荷役作業の作業開始時等の作動油が低温の場合には、弁により冷却通路への作動油の流入を遮断することで、作動油は冷却通路により冷却されることなく、作動油通路を循環する。これにより、作動油が適温になるまで冷却通路による作動油の冷却を抑制できるので、作動油の過冷却を防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施の形態におけるタンクローリの側面図である。
【図2】タンクローリにおける液化ガス及び作動油の系統図である。
【図3】本発明の第2実施の形態におけるタンクローリにおける作動油の系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、本発明の第1実施の形態におけるタンクローリ1の概略構成について説明する。図1はタンクローリ1の側面図である。
【0014】
図1に示すように、タンクローリ1は、従来のタンクローリと同様に、走行車両2と、その走行車両2の車台に搭載される液化ガスタンク3と、液化ガスタンク3内の液化ガス充填又は回収のための補機類(図示せず)が収納される弁計器箱4とを有して構成されている。
【0015】
次に、図2を参照して、本発明の第1実施の形態におけるタンクローリ1について説明する。図2は、タンクローリ1における液化ガス及び作動油の系統図である。
【0016】
図2に示すように、本発明のタンクローリ1は、エンジンの動力取出機構2a(パワーテイクオフ:エンジンの回転力を変速機部分から作業用として取り出す装置)から自在継手2bを介して取り出した動力を利用してコンプレッサ11を駆動させており、このコンプレッサ11の駆動力により液化ガスタンク3からバルク貯槽タンク(図示せず)へ液化ガスを充填(供給)している。
【0017】
タンクローリ1は、エンジンの動力取出機構2aから取り出した動力を駆動源として液化ガスタンク3の内と外との圧力差を発生させるコンプレッサ11と、コンプレッサ11の作動油を貯留する作動油タンク12と、その作動油タンク12及びコンプレッサ11を連絡し作動油が循環する作動油通路13と、その作動油通路13に配設され作動油タンク12及びコンプレッサ11の間で作動油を循環させる油圧ポンプ14と、作動油通路13に連絡する冷却通路15と、作動油通路13に配設される電磁切換弁16と、その電磁切換弁16を駆動させるバッテリ17と、液化ガスタンク3からのガス流入又は液化ガスタンク3へのガス流出を防止するガス用緊急遮断弁18と、液化ガスタンク3からの液化ガスの流入又は液化ガスタンク3への液化ガスの流出を防止する液用緊急遮断弁19とを有している。なお、ガス用緊急遮断弁18及び液用緊急遮断弁19には配管18a,19aが接続されており、これらの配管18a,19aには、それぞれバルク貯槽タンク(図示せず、液化ガスが供給される側のタンク)のガスホース(図示せず)及びバルク貯槽タンクの液ホース(図示せず)が接続されている。地震等の緊急時には、ガス用緊急遮断弁18及び液用緊急遮断弁19を閉じることにより、液化ガス及びガスが液化ガスタンク3から流出することを防止できるので、液化ガスの充填作業における安全性を確保できる。特に、配管19aには、常時閉鎖されている充填用開閉弁19a1が配設されているので、液化ガスの充填作業時以外は、液化ガスの流出が確実に防止されるので、液化ガスの充填作業における安全性を確保できる。
【0018】
コンプレッサ11は、駆動軸11dを回転させることで駆動力を発生させ、その駆動力によりガス(空気)を圧縮する装置であって、その圧縮されたガスを液化ガスタンク3内に供給することで、液化ガスタンク3の内と外との圧力差を発生させ、かかる圧力差を利用して液化ガスの充填作業を行っている。コンプレッサ11は、切換弁(図示せず)を介して配管18aに接続される第1圧縮ガス通路11aと、バルク貯槽タンクに連絡する第2圧縮ガス通路11bとが接続されており、配管19a及び液ホース(図示せず)を介してバルク貯槽タンクに液化ガスを充填している。第1圧縮ガス通路11a及び第2圧縮ガス通路11bには、それぞれ常時閉鎖されているコンプレッサ出入り口弁11a1,11b1が配設されている。よって、液化ガスの充填作業時のみコンプレッサ出入り口弁11a1,11b1が開かれるので、液化ガスの充填作業時以外に液化ガスの外部への流出が確実に防止されている。
【0019】
また、コンプレッサ11は、油圧モータ11cにより駆動される。油圧モータ11cは、後述する油圧ポンプ14から吐出された作動油の油圧により、駆動軸11dを回転させる駆動装置であって、油圧ポンプ14から吐出された作動油が流入する入口11eと流出する出口11fとを有している。油圧モータ11cに供給される作動油の圧力を制御することで、駆動軸11dの出力トルクを制御でき、また供給する作動油の流量を制御することで、駆動軸11dの回転速度を制御することができる。よって、コンプレッサ11の出力トルク及び回転速度の制御を簡易に行うことができる。
【0020】
油圧ポンプ14は、エンジンの動力取出機構2aから取り出された動力により直接的に駆動される装置であって、作動油タンク12から吸引した作動油を加圧し、その加圧された作動油を油圧モータ11c側に吐出している。油圧ポンプ14の吸引側には、オイルフィルタ14aが設けられている。このオイルフィルタ14aにより作動油に含まれる異物が除去されるので、異物による油圧ポンプ14の動作不良を防止できる。
【0021】
電磁切換弁16は、磁力を用いて弁を開閉する仕組みを持つ弁体であって、通路を切り換えることで作動油の流れを切り換えることができる。電磁切換弁16は、励磁すると、X状態で全てのポートが開放され、消磁すると、平行状態で全てのポートが開放される。これにより、作動油の流れが切り換えられる。
【0022】
作動油通路13は、コンプレッサ11(油圧モータ11c)を作動させるための作動油が流れるオイル通路であって、油圧ポンプ14のオイルフィルタ14aから油圧モータ11cの入口11eまでの入口側作動油通路13aと、油圧モータ11cの出口11fから作動油タンク12までの出口側作動油通路13bと、油圧モータ11cに接続されコンプレッサ11側で高圧になった作動油を作動油タンク12に戻す第1リリーフ作動油通路13cと、入口側作動油通路13a及び出口側作動油通路13bに接続される第2リリーフ作動油通路13dと、電磁切換弁16に接続される第1作動油通路13eとを有している。なお、第1作動油通路13eには逆止弁13e1が配設されており、作動油タンク12側への作動油の流出が禁止されている。
【0023】
入口側作動油通路13aは、油圧ポンプ14により吸引された作動油を油圧モータ11cの入口11eに流入させるためのオイル通路であって、油圧ポンプ14のオイルフィルタ14aから電磁切換弁16までの第1入口側作動油通路13a1と、電磁切換弁16から油圧モータ11cの入口11eまでの第2入口側作動油通路13a2と、電磁切換弁16から第1リリーフ作動油通路13cまでの第3入口側作動油通路13a3とを有している。なお、図2は電磁切換弁16の通路が平行状態に切り換えられた状態が図示されている。
【0024】
図2で示すように、電磁切換弁16の通路が平行状態に切り換えられると、第1入口側作動油通路13a1と第3入口側作動油通路13a3とが接続され、油圧ポンプ14から吐出された作動油は第1リリーフ作動油通路13cに流入し作動油タンク12に戻される。また、電磁切換弁16には第1作動油通路13eが接続される。よって、油圧ポンプ14の停止時においても油圧モータ11cの入口11eに作動油が流入できるようになっている。これにより、油圧ポンプ14の停止により、油圧ポンプ14によって作動油が吐出されない場合であっても、油圧モータ11cの入口11e側への作動油の流れが確保される。よって、コンプレッサ11(油圧モータ11c)の故障を防止できる。
【0025】
一方、電磁切換弁16の通路がX状態に切り換えられると、第1入口側作動油通路13a1と第2入口側作動油通路13a2とが接続され、油圧ポンプ14から吐出された作動油は、油圧モータ11cの入口11eに流入し、油圧モータ11cを駆動させる。
【0026】
出口側作動油通路13bは、油圧モータ11cの出口11fから流出した作動油を作動油タンク12に戻すためのオイル通路であり、逆止弁13b4により油圧モータ11cの出口11f側へ作動油の流出が防止されている。また、出口側作動油通路13bは、後述する冷却通路15が分岐する分岐部13b1と、分岐した冷却通路15が再度流入する合流部13b2とが設けられており、その合流部13b2及び分岐部13b1の間には第1開閉弁13b3が配設されている。第1開閉弁13b3は常時開放されており、油圧モータ11cの出口11fから流出した作動油が後述する冷却通路15側にも作動油タンク12側にも流出できるように構成されている。なお、この冷却通路15については後に詳述する。
【0027】
第1リリーフ作動油通路13cは、油圧モータ11c内が高圧になった場合に、圧力を下げるために作動油を流出させるためのオイル通路であり、油圧モータ11c側への作動油の流入を禁止する逆止弁13c1が配設されている。よって、第1リリーフ作動油通路13cにより、油圧モータ11c内のオイル通路が高圧になりすぎることを防止できるので、油圧モータ11cの破損を防止できる。
【0028】
第2リリーフ作動油通路13dは、油圧ポンプ14により第1入口側作動油通路13a1が高圧になった場合に、圧力を下げるために作動油を出口側作動油通路13bに流出させるオイル通路であり、リリーフ弁13d1が配設されている。リリーフ弁13d1は、油圧ポンプ14からの吐出圧を調整したり2次的に発生した圧力を逃がしたりするための弁である。よって、油圧ポンプ14により異常な圧力が発生した場合であっても、リリーフ弁13d1により圧力を調整できるので、作動油通路13を形成する配管や油圧ポンプ14の破損を防止できる。
【0029】
冷却通路15は、出口側作動油通路13bの分岐部13b1から分岐して出口側作動油通路13bの合流部13b2に合流するように構成されるオイル通路であって、本発明の第1実施の形態では、その冷却部15bが液化ガスタンク3内に配設されている。また、冷却通路15は、冷却部15bの上流側と下流側とに、それぞれ第2開閉弁15cと第3開閉弁15dとが配設されている。
【0030】
冷却通路15は、冷却部15bが液化ガスタンク3内に配設されるので、油圧ポンプ14によって作動油タンク12およびコンプレッサ11の間(入口側作動油通路13a及び出口側作動油通路13bの間で)で作動油が循環されると、液化ガスタンク3内の液化ガスにより冷却部15bが冷却される。よって、冷却通路15の冷却部15bを通過する作動油は液化ガスタンク3内の液化ガスを利用して直接冷却される。
【0031】
一方、作動油タンク12を大きくすることによっても作動油の冷却性能を向上できるが、作動油タンク12を大きくすると、大きくした分だけ液化ガスタンク3の積載される液化ガスの積載量が減少する。これに対し、本発明の第1実施の形態では、液化ガスタンク3内の液化ガスを利用して作動油を冷却できるので、作動油タンク12を大きくすることなく、作動油の冷却性能を向上できる。従って、液化ガスタンク3の積載量を減少させることなく、液化ガスの充填作業の効率を向上できる。
【0032】
液化ガスタンク3に貯留される液化ガスの温度は略一定であり、液化ガスタンク3に貯留される液化ガスの量は作動油タンク12に貯留される作動油の量に比べて大量である。よって、略一定の温度に保たれた多量の液化ガスにより少量の作動油を冷却するので、作動油の冷却性能が高い一方、液化ガスを作動油の冷却に利用しても液化ガスに影響を与えない。よって、作動油の冷却性能は安定している。
【0033】
さらに、冷却通路15の冷却部15bが液化ガスタンク3内に配設されるので、液化ガスにより、直接的に冷却される。よって、冷却通路15が液化ガスにより間接的に冷却される場合に比べて作動油の冷却効率が高いので、作動油の冷却性能をよりいっそう向上できる。
【0034】
第2開閉弁15cと第3開閉弁15dとは、常時開放される弁であって、第2開閉弁15cと第3開閉弁15dとの両方を閉じない場合は、冷却通路15に流入した作動油は冷却部15bを通過して出口側作動油通路13bに合流する。一方、第2開閉弁15cを閉じた場合には、出口側作動油通路13bの分岐部13b1から冷却通路15に流入した作動油の流れが冷却部15bの手前で遮断され、冷却部15bによって作動油を冷却できないようになっている。よって、液化ガスの充填作業の開始時等の作動油が低温の場合には、第2開閉弁15cを閉じ冷却通路15の冷却部15bへの作動油の流入を遮断することで、作動油は冷却通路15の冷却部15bにより冷却されることなく、作動油通路13を循環する。これにより、作動油が適温になるまで冷却通路15の冷却部15bによる作動油の冷却を抑制できるので、作動油の過冷却を防止できる。
【0035】
第2開閉弁15cを開いた場合であっても第3開閉弁15dを閉じた場合は、出口側作動油通路13bの分岐部13b1から冷却通路15に流入した作動油は冷却部15bに到達するものの作動油の流れが分岐部13b1の手前で遮断される。よって、冷却通路15に流入した作動油は出口側作動油通路13bの合流部13b2に合流できない。従って、液化ガスの充填作業の開始後、所定時間を経過した場合に、第2開閉弁15cを開きつつ第3開閉弁15dを閉じることにより、作動油の一部を冷却できるので、作動油の冷却温度を調整できる。
【0036】
一方、液化ガスの充填作業が長時間に亘った場合等の作動油が高温となった場合は、出口側作動油通路13bに配設される第1開閉弁13b3を閉じることが好ましい。この場合は、油圧モータ11cの出口11fから流出した作動油は、冷却通路15を必ず通過する(油圧モータ11cの出口11fから流出した全作動油を冷却できる)ので、第1開閉弁13b3が開放されている場合に比べて、作動油の冷却性能を向上できる。よって、第1開閉弁13b3を閉じることで、液化ガスの充填作業の効率低下を防止できる。
【0037】
なお、第2開閉弁15cと第3開閉弁15dとの少なくともいずれか一方を閉じた場合は、第1開閉弁13b3を開放し、第1開閉弁13b3を閉じた場合は、第2開閉弁15cと第3開閉弁15dとの両方を開放することが必要である。これにより、作動油通路13における作動油の循環をスムーズに行うことができる。
【0038】
次に、図3を参照して、本発明の第2実施の形態におけるタンクローリ101について説明する。図3は、本発明の第2実施の形態におけるタンクローリ101における作動油の系統図である。なお、図3は、図2に対応するものであるが、図3において液化ガスの充填構造及び液化ガスの流れは省略されている。なお、上記した第1実施の形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0039】
第1実施の形態におけるタンクローリ1では、バルク貯槽タンク内のガス(空気)を吸引圧縮し、その圧縮されたガスを液化ガスタンク3に供給することで、液化ガスタンク3の内と外との圧力差を発生させるのに対して、第2実施の形態におけるタンクローリ101では、オイルポンプ111により液化ガスタンク103内の液化ガスを直接吸引することで、液化ガスタンク103の内と外との圧力差を発生させている。
【0040】
また、第1実施の形態におけるタンクローリ1では、冷却通路15は、出口側作動油通路13bの分岐部13b1から分岐して出口側作動油通路13bの合流部13b2に合流するように構成されるのに対して、第2実施の形態におけるタンクローリ101では、冷却通路15は、出口側作動油通路113bから分岐することなく出口側作動油通路113bと一連に形成されている。
【0041】
出口側作動油通路113bは、油圧モータ111cの出口111fに接続される第1出口側作動油通路113b1と、作動油タンク12に接続される第2出口側作動油通路113b2とを有しており、第1出口側作動油通路113b1及び第2出口側作動油通路113b2の間に冷却通路15が介設されている。即ち、冷却通路15は、出口側作動油通路113bから分岐することなく出口側作動油通路113bと一連に形成されている。よって、出口側作動油通路113bには分岐部13b1及び合流部13b2や第2開閉弁15c(図2参照)及び第3開閉弁15d(図2参照)等が不要となるので、出口側作動油通路113bの構成を簡素化できる。
【0042】
オイルポンプ111は、液化ガスタンク103に接続され配管111gを介して液化ガスタンク103内の液化ガスを吸引する装置であって、その駆動軸111dが油圧モータ111cにより駆動される。油圧モータ111cは、油圧ポンプ14から吐出された作動油の油圧により駆動する駆動装置であって、油圧ポンプ14から吐出された作動油が流入する入口111eと流出する出口111fとを有している。オイルポンプ111により、液化ガスを直接吸引するので、コンプレッサ11により充填作業を行う場合に比べて、液化ガスの充填量等の調整を簡易に行うことができ、液化ガスの充填作業を簡易化できる。
【0043】
以上、各実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記各実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0044】
例えば、上記各実施の形態では、その冷却部15bが液化ガスタンク3,103内に配設されているが、必ずしもこれに限られるものではなく、液化ガスタンク3,103の外周面に接触し配設されていてもよい。この場合は、冷却通路15を形成する配管が破損した場合であっても、冷却通路15を循環する作動油が液化ガスタンク3,103内の積載物に混ざらず、液化ガスタンク3,103内の積み荷に影響を与えない。よって、冷却通路15を液化ガスタンク3,103の内部に配設する場合に比べて、冷却通路15を形成する配管等の構造等を簡易化できる。
【0045】
また、上記各実施の形態では、液化ガスタンク3,103内に液化ガスが充填されていたが、必ずしもこれに限られるものではなく、液化ガスタンク3,103に積載される積み荷は固体以外のもの、即ち、液体又は気体であればよく、また、上記各実施の形態とは異なり、飲料水等であってもよい。この場合は、冷却部15bを液化ガスタンク3,103の外周面に配設することが望ましい。これにより、飲料水を、作動油オイルの冷却に利用する場合であっても、飲料水に異物が混入することを確実に防止できる。
【0046】
さらに、上記各実施の形態では、冷却通路15に第2開閉弁15cと第3開閉弁15dとが設けられていたが、必ずしもこれに限られるものではなく、第2開閉弁15cと第3開閉弁15dとのいずれか一方のみであってもよい。この場合は、部品点数を削減できるので、コストを抑えることができる。
【符号の説明】
【0047】
1,101 タンクローリ
3,103 液化ガスタンク(タンク)
11 コンプレッサ(圧力装置)
12 作動油タンク
13 作動油通路
13a 入口側作動油通路(作動油通路の一部)
13a1 第1入口側作動油通路(作動油通路の一部)
13a2 第1入口側作動油通路(作動油通路の一部)
13a3 第1入口側作動油通路(作動油通路の一部)
13b,113b 出口側作動油通路(作動油通路の一部)
13c 第1リリーフ作動油通路(作動油通路の一部)
13d 第2リリーフ作動油通路(作動油通路の一部)
13e 作動油通路(作動油通路の一部)
14 油圧ポンプ
15 冷却通路
15b 冷却部(冷却通路の一部)
15c 第2開閉弁(弁)
15d 第3開閉弁(弁)
111 オイルポンプ(圧力装置)
113b1 第1出口側作動油通路(作動油通路の一部)
113b2 第2出口側作動油通路(作動油通路の一部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンクと、そのタンクの内と外との間に圧力差を発生させる圧力装置とを備え、前記圧力差を利用して前記タンク内の積載物の荷下ろしを行うタンクローリにおいて、
前記圧力装置の作動油を貯留する作動油タンクと、
その作動油タンク及び前記圧力装置を連絡し前記作動油が循環する作動油通路と、
その作動油通路に配設され前記作動油を前記作動油タンク及び前記圧力装置の間で循環させる油圧ポンプと、
前記作動油通路に連絡し前記タンク内の積載物により冷却される冷却通路とを備えることを特徴とするタンクローリ。
【請求項2】
前記冷却通路は、前記タンク内に配設されていることを特徴とする請求項1記載のタンクローリ。
【請求項3】
前記冷却通路は、前記タンクの外周面に接触し配設されていることを特徴とする請求項1記載のタンクローリ。
【請求項4】
前記冷却通路は、前記作動油通路から分岐して前記作動油通路に合流するように構成され、
前記冷却通路には、前記作動油通路から前記冷却通路への前記作動油の流入を遮断する弁が配設されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のタンクローリ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−103543(P2013−103543A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247124(P2011−247124)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000004617)日本車輌製造株式会社 (722)
【Fターム(参考)】