説明

タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物、並びにその調製方法及び使用

タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物、並びにその調製方法及び使用が開示される。該タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の分子式は、C1917NaO6・nH2O(式中、nは0.5〜4.0である)である。本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の貯蔵安定性は、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム無水物の貯蔵安定性よりも良好である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製薬技術分野に関する。具体的には、本発明は、心臓−脳血管障害の治療において有用なタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を提供する。本発明は、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を調製する方法、及び心臓−脳血管障害の治療又はその方法におけるタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の使用に更に関する。
【背景技術】
【0002】
タンシノンIIAは、漢方薬である丹参(タンジン(salvia miltiorrhiza bunge))からの抽出によって得られる(非特許文献1)。タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムは、タンシノンIIAをスルホン化することによって得られ、この薬物は強い水溶性及びタンシノンIIAよりも良好な治療効果を有する。タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムは、高カリウムに起因するカルシウム流入の増大を顕著に阻害することができ、従来のカルシウム拮抗薬ベラパミルと同様の効果を有する。タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムは、血管平滑筋の自発性電気活動を顕著に低減するとともに、カリウムチャネル(KATP、KCa)の開口とカルシウムチャネルの遮断との相乗効果又は複合効果によって血管拡張を誘導することができ、そのため心臓−脳血管疾患の治療において重要な適用価値を有する。これまでのところ、国内及び国外の文献はタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム(タンシノンIIスルホン酸ナトリウム(C1917NaO6S)、分子量:396.39)について報告するものでしかなく、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶、並びにその調製方法及び使用について報告している文献はない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】Acta Chimica Sinica, 1978, 3:199-206
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは驚くべきことに、研究において、結晶水含有タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム(すなわち、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物)が結晶水を含有しないタンシノンIIAスルホン酸ナトリウムよりもはるかに低い吸湿性を有し、結晶水含有タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムが結晶水を含有しないタンシノンIIAスルホン酸ナトリウムよりも安定であり、したがって貯蔵及び輸送が容易であり、室温でのその良好な水溶性のために水溶性製剤の形成が容易であることを見出した。加えて、無水タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムと比べると、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物は良好な滑性、改善された製剤の操作性を有する。上記の発見に基づき、本発明者らは本発明を完成させた。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム2.5水和物のサーモグラムである。
【図2】タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物のサーモグラムである。
【図3】タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム0.5水和物のサーモグラムである。
【図4】タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム0.5水和物の粉末X線回折パターンである。
【図5】タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物の粉末X線回折パターンである。
【発明を実施するための形態】
【0006】
一態様では、本発明は、分子式がC1917NaO6S・nH2O(式中、nは0.5〜4.0である)である、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶を提供する。
【0007】
1つの実施の形態では、本発明は、分子式がC1917NaO6S・nH2O(式中、nは0.5〜3.0であるか、又はnは0.5〜2.5である)である、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を提供する。
【0008】
1つの実施の形態では、本発明は、nが2.5である、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を提供する。
【0009】
別の実施の形態では、本発明は、nが1.5である、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を提供する。
【0010】
別の実施の形態では、本発明は、nが0.5である、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を提供する。
【0011】
本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物は異なる結晶形を有し得る。例えば、メタノール−水、エタノール−水又はアセトン−水の結晶化系又は再結晶化系から調製されるようなタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム0.5、1.5、2.5、3.5水和物の粉末X線回折パターンは異なり得る。
【0012】
別の態様では、本発明は、粉末X線回折特性を有するタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物を提供する。
【0013】
1つの実施の形態では、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム0.5水和物は、粉末X線回折法によって測定される回折角2θ(3°〜80°)の測定範囲において、以下の2θ:約3.7、7.6、9.0、9.6、15.3、22.0、26.0、27.6、29.8で対応する特性値を有する。
【0014】
別の実施の形態では、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物は、粉末X線回折法によって測定される回折角2θ(3°〜80°)の測定範囲において、以下の2θ:約3.7、6.2、7.3、8.8、9.2、11.5、14.7、15.4、17、17.7、20.6、21.2、25.9、27.1、27.6、29.4で対応する特性値を有する。
【0015】
別の実施の形態では、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム2.5水和物は、粉末X線回折法によって測定される回折角2θ(3°〜80°)の測定範囲において、以下の2θ:約3.7、4.3、6.2、7.3、8.8、9.3、11.5、14.7、15.4、17、17.7、21.2、25.9、27.3、27.6、29.4で対応する特性値を有する。
【0016】
別の態様では、本発明は、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶を調製する方法であって、
方法A:タンシノンIIAを反応容器に入れ、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸、及びハロゲンで置換されたC1〜C6低級炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、テトラクロロエタンの1つ又は複数を含む)を添加し、撹拌し、硫酸若しくは発煙硫酸、若しくはクロロスルホン酸中の酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸の溶液の1つ又は複数を添加し、滴加終了後、30℃以下で0.1〜6時間撹拌し、反応物を水にゆっくりと注ぎ込み、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムの溶液(好ましくは、その飽和溶液)の1つ又は複数を添加し、十分に沈殿させ、濾過し、沈殿物を飽和塩化ナトリウム溶液若しくは飽和硫酸ナトリウム溶液で1回若しくは数回洗浄し、次いで水若しくはC1〜C6低分子量アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールを含む)で1回若しくは数回洗浄し、濾過し、残留塩酸ナトリウムを無水エタノール還流で除去し、濃縮し、得られた固体を水、C1〜C6低分子量アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等を含む)、C3〜C6低級ケトン(アセトン、ブタノン、ヘキソン等を含む)、C2〜C8低級エステル(酢酸ブチル、酢酸エチル、ギ酸エチル等を含む)、ハロゲンで置換されたC1〜C6低級炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等を含む)、C2〜C6低級エーテル(エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル等を含む)、C5〜C10直鎖若しくは分岐アルカン若しくはシクロアルカン(ペンタン、n−ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサン等を含む)及び芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン等の1つ又は複数を含む)による結晶化に供し、静置し、冷却し、結晶析出後に濾過し、乾燥させてタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶を得ること(純度の更に高い生成物を得るために、この結晶化手順を1回又は数回繰り返すことができる)、又は
方法B:タンシノンIIAを反応容器に入れ、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸、及びハロゲンで置換されたC1〜C6低級炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、テトラクロロエタンの1つ又は複数を含む)を添加し、撹拌し、ハロゲンで置換されたC1〜C6低級炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、テトラクロロエタンの1つ又は複数を含む)中のクロロスルホン酸の溶液を添加し、滴加終了後、30℃以下で0.1〜6時間撹拌し、反応物を水にゆっくりと注ぎ込み、有機層を分離し、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムの飽和溶液の1つ又は複数を得られた水溶液層に添加し、静置し、十分に沈殿させ、濾過し、沈殿物を飽和塩化ナトリウム溶液若しくは飽和硫酸ナトリウム溶液で1回若しくは数回洗浄し、次いで水又はC1〜C6低分子量アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールを含む)の1つ又は複数で1回若しくは数回洗浄し、濾過し、得られた固体を水、C1〜C6低分子量アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノール等を含む)、C3〜C6低級ケトン(アセトン、ブタノン、ヘキソン等を含む)、C2〜C8低級エステル(酢酸ブチル、酢酸エチル、ギ酸エチル等を含む)、ハロゲンで置換されたC1〜C6低級炭化水素(ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム等を含む)、C2〜C6低級エーテル(エチルエーテル、メチルエチルエーテル、イソプロピルエーテル等を含む)、C5〜C10直鎖若しくは分岐アルカン若しくはシクロアルカン(ペンタン、n−ヘキサン、石油エーテル、シクロヘキサン等を含む)及び芳香族炭化水素(ベンゼン、トルエン等の1つ又は複数を含む)による結晶化に供し、静置し、冷却し、結晶析出後に濾過し、乾燥させてタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶を得ること(この結晶化手順を1回又は数回繰り返すことができる)
を含む、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶を調製する方法を提供する。
【0017】
1つの実施の形態では、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶の結晶化又は再結晶化に使用される溶媒は、好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ブタノン、ヘキソン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルエーテル、イソプロピルエーテル、石油エーテル及びベンゼンの1つ又は複数である。
【0018】
本発明の生成物の乾燥は、種々の温度(例えば20℃〜100℃)、乾燥時間(1時間〜数日間)の条件下で、又は更なる乾燥剤(シリカゲル、五酸化リン、無水塩化カルシウム、無水硫酸ナトリウム等を含む)によって、又は最終生成物を乾燥させるために常圧若しくは減圧を用いて行うことができる。乾燥温度は好ましくは60℃以下である。
【0019】
別の態様では、本発明は、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する。
【0020】
1つの実施の形態では、本発明の医薬組成物は、注射用凍結乾燥粉末、注射用無菌充填粉末、輸液、少量注射液及び消化管投与用製剤等を形成するように調製される。
【0021】
経口製剤としては、デンプン、加工デンプン、ラクトース、微結晶性セルロース、シクロデキストリン、ソルビトール、マンニトール、リン酸カルシウム、アミノ酸等の薬学的に許容可能な充填剤、デンプン、加工デンプン、微結晶性セルロース、ナトリウムカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、界面活性剤等の薬学的に許容可能な崩壊剤、ゲル化デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸及びその塩等の薬学的に許容可能な湿潤剤及び粘着剤、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ポリエチレングリコール4000〜8000、タルク粉、微粉シリカ、ドデシル硫酸マグネシウム等の薬学的に許容可能な潤滑剤及び流動促進剤、アスパルテーム、シクラミン酸ナトリウム、サッカリンナトリウム、トリクロロスクロース、食用香料等の薬学的に許容可能な甘味料及び着香料を含み得る錠剤、カプセル、顆粒が挙げられる。
【0022】
本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物は、例えば以下の方法によって注射用凍結乾燥粉末を形成するように加工することができる:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を準備し、任意で薬学的に許容可能な補助溶媒、凍結乾燥用支持剤又は賦形剤、安定剤、注射用水を添加し、撹拌して溶解させ、必要に応じて薬学的に許容可能な酸/アルカリを添加してpHを3.5〜8.5に調整し、0.005〜0.5%(W/V)の活性炭を添加し、15分間〜45分間撹拌し、濾過し、水を補充し、無菌濾過し、1ボトル当たり5mg〜80mg(主要薬物単位で表される)で分注し、凍結乾燥し、圧填し、最終生成物を得る。
【0023】
本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物は、例えば以下の方法によって少量の注射液を形成するように更に加工することができる:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物に、注射用水及び薬学的に許容可能な添加剤(例えば、薬学的に許容可能なpH調整剤、薬学的に許容可能な酸化防止剤、不活性ガス)を添加し、濾過し、滅菌して、pH値が3.5〜8.5の滅菌した少量の注射液を得る。
【0024】
薬学的に許容可能な凍結乾燥支持剤又は賦形剤としては、ラクトース、グルコース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、デキストラン、アミノ酸又はその塩(グリシン、タウリン、アルギニン等を含む)、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム等の1つ又は複数を挙げることができる。
【0025】
薬学的に許容可能なpH調整剤は、薬学的に許容可能な無機酸又は有機酸、無機アルカリ又は有機アルカリであってもよく、より広義ではルイス酸又はルイスアルカリであってもよく、その1つ又は複数を含有してもよく、塩酸、リン酸、プロピオン酸、酢酸及び酢酸塩(酢酸ナトリウム等)、乳酸及び薬学的に許容可能な乳酸塩、薬学的に許容可能なクエン酸塩、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、リン酸塩、酒石酸及び薬学的に許容可能なその塩、ホウ砂、ホウ酸、コハク酸、ヘキサン酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、トリヒドロキシアミノメタン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−プロパン−1,3−ジオールアミン、ヘキサン−1,2−ジアミン、N−メチルグルコサミン、ジイソプロピルアミン及びその塩、ポリヒドロキシカルボン酸及び薬学的に許容可能なその塩(グルクロン酸、グルコン酸、ラクトビオン酸、リンゴ酸、トレオン酸、グルコヘプトン酸等)、アミノ酸及びアミノ酸塩等の1つ又は複数であってもよい。
【0026】
薬学的に許容可能な酸化防止剤及び安定剤は、亜硫酸、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、メタ重亜硫酸塩、亜ジチオン酸塩、チオ硫酸塩、有機硫黄化合物(チオ尿素、グルタチオン、ジメルカプトプロパノール、チオグリコール酸及びその塩、チオ乳酸及びその塩、チオジプロピオン酸及びその塩等)、フェノール化合物(没食子酸及びその塩、コーヒー酸、カフェイン酸塩、フェルラ酸、フェルラ酸塩、ジ−tert−ブチル−p−フェノール、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸塩、フェノール又は誘導体、サリチル酸及びその塩等)、アミノ酸及びその塩、アスコルビン酸及びアスコルビン酸塩、イソアスコルビン酸及びイソアスコルビン酸塩、ニコチンアミド、酒石酸、硝酸塩、リン酸塩、薬学的に許容可能な酢酸塩、クエン酸塩、EDTA及びEDTA塩(EDTA二ナトリウム、EDTA四ナトリウム等)、N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、グルコシル−シクロデキストリン(G1−CYD)、マルトシル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(2−HP−β−CYD)、3−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(3−HP−β−CYD)、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBE−β−CD)(SBE7−β−CD、SBE4−β−CD等)の1つ又は複数であり得る。
【0027】
薬学的に許容可能な補助溶媒は、グルコース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ニコチンアミド、N−メチルグルコサミン、N−エチルグルコサミン、リン酸及び薬学的に許容可能なリン酸塩(リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム等であり得る)、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウム、ポリヒドロキシカルボン酸及び薬学的に許容可能なその塩(グルクロン酸、グルコン酸、ラクトビオン酸、リンゴ酸、トレオン酸、グルコヘプトン酸又は薬学的に許容可能なその塩等)、アミノ酸及びアミノ酸塩(塩酸アルギニン、塩酸リジン等であり得る)、塩酸、硫酸、酒石酸、Tween 20〜80、ポロキサマー(ポロキサマー124、188、237、338、407等を含む)、ポリエチレングリコール200〜2000、エタノール、エチレングリコール、グリセロール、グルコシル−シクロデキストリン(G1−CYD)、マルトシル−β−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(2−HP−β−CYD)、3−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(3−HP−β−CYD)、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(SBE−β−CD)(SBE7−β−CD、SBE4−β−CD等)並びに水等の1つ又は複数であり得る。
【0028】
薬学的に許容可能な等浸透圧調整剤は、グルコース、フルクトース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、転化糖、マルトース、デキストラン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、乳酸ナトリウム等の1つ又は複数であり得る。
【0029】
本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物は、ヒト及び哺乳動物における冠動脈性心疾患、狭心症、心筋梗塞、不整脈、虚血性脳疾患(脳血栓症、脳塞栓症を含む)、各種動脈閉塞症等の末端循環障害、血管炎、糖尿病に起因する微小循環障害、高血圧又は脂質異常症等の予防又は治療においてカルシウム拮抗薬として使用することができる。
【0030】
別の態様では、本発明は、ヒト及び哺乳動物における冠動脈性心疾患、狭心症、心筋梗塞、不整脈、虚血性脳疾患、各種動脈閉塞症を含む末端循環障害、血管炎、糖尿病に起因する微小循環障害、脂質異常症の治療又は予防に有用な薬剤の製造における本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の使用を提供する。
【0031】
代替的には、本発明は、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を用いることによって上記の疾患を治療又は予防する方法であって、それを必要とする被験体に、予防的又は治療的に有効な量の本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を投与することを含む、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を用いることによって上記の疾患を治療又は予防する方法を提供する。
【0032】
投与量及び用法:一般に、成人については以下の通りである:筋肉注射:1回につき5mg〜80mg、1日1回又は2回。静脈注射:1回につき5mg〜80mg、20mlの25%グルコース注射液で希釈。静脈点滴:5mg〜80mg、250ml〜500mlの5%グルコース注射溶液又は0.9%塩化ナトリウム注射溶液で希釈、1日1回又は2回。小児については、上記の投与量の半分以下を使用する。消化管投与の投与量及び用法は以下の通りである:体重が10kg〜70kgのヒト又は動物については、一般に1日当たり10mg〜200mg、1回〜3回のバッチで投与。小児については、上記の投与量の半分以下を使用する。
【0033】
中華人民共和国薬局方(2005年版)に従って行った吸湿性試験により、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の吸湿性が、無水タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムよりもはるかに低いことが確認された。
【0034】
加えて、中華人民共和国薬局方(2005年版)に従って行った加速安定性試験により、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶が、無水タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムよりも良好な貯蔵安定性を有しており、したがって、より長期間安定に貯蔵することができることが確認された。
【0035】
本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物は、赤色又は赤れんが色又は茶褐色の結晶性粉末である。無水タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムの処理中には、潮解による付着を回避するために空気遮断(air isolation)が必要とされることに加えて、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶は良好な滑性を有し、それにより製剤の操作性を改善する。得られる固体製剤は良好な溶解性を有するため、容易に吸収されて血液循環に入り、バイオアベイラビリティを改善し、その作用の速やかな発現を促進することができる。
【実施例】
【0036】
熱分析の方法
アッセイ条件:Setsys 16、NETZSCH STA449C(Setaram Company製)、サンプル量:約5mg、温度勾配速度:10K/分、N2流量:50ml/分、温度:一般に室温〜約400℃。
【0037】
驚くべきことに、本発明の水和物は特徴的に、サーモグラム(TG−DTA又はTG−DSC)における重量減少プラットフォームで対応する吸熱ピークを有し、サーモグラムはタンシノンIIAスルホン酸ナトリウムの結晶性水和物(その0.5水和物、1.5水和物、2.5水和物等)を示す。
【0038】
粉末X線回折法
武漢科技大学材料試験センター内のD/MX−IIIA X線回折装置を使用して、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物のX線回折パターンを回折角2θ走査範囲3°〜80°で測定した。
【0039】
吸湿性試験
タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物及び無水タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムのサンプル:各々約5gの無水タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム及び本発明の水和物を一定重量の乾燥時計皿に入れ、正確に秤量し、25℃及び相対湿度(RH)75%で試験に供し、試験の0時間及び48時間の時点で別個にサンプリングし、吸湿性による重量増加率を算出した。結果は、無水タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムが、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物よりもはるかに高い吸湿性を有することを示す。
【0040】
【表1】

【0041】
安定性試験
RH75%、30℃及び遮光の条件下で、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶及び無水タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムのサンプルを、加速安定性試験用のアンプル内に別個に密封し、クロマトグラフ条件:Kromasil C18カラム(250mm×4.6mm、5μm)、移動相:メタノール−0.02mol/Lリン酸二水素カリウム溶液(リン酸でpH4に調整)(60:40)、検出波長:271nm、流量:1ml/分で関連物質の増加分を測定した(表1及び表2の結果を参照されたい)。
【0042】
【表2】

【0043】
表の結果から、本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶が、無水タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムよりもはるかに安定であることが確認される。
【0044】
実施例1:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム2.5水和物の調製
4gのタンシノンIIA(市販)、30mlの氷酢酸及び45mlの無水酢酸を、乾燥三つ口フラスコに入れ、撹拌して溶解させ、36mlの氷酢酸−濃硫酸の混合溶液(体積比1/1)を滴加し、25℃以下で0.5時間〜3時間、撹拌下で反応させ、反応物をゆっくりと水に注ぎ込み、20mlの飽和塩化ナトリウム溶液を添加し、固体の沈殿が完了した後に濾過し、沈殿物を飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、95%冷エタノールで2回洗浄し、吸引濾過し、固体を5mlのメタノール、12mlのエタノール、10mlのクロロホルム、20mlのエチルエーテル、2mlの水の溶媒で再結晶化し、0℃に置き、結晶析出が完了した後に吸引濾過し、得られた固体を再度10mlのメタノール、15mlのクロロホルム、15mlのエチルエーテル、1mlの水の溶媒で再結晶化させ、0℃に置き、結晶折出が完成した後に吸引濾過し、結晶を約50℃で6時間乾燥させて、約0.6gの赤色の結晶を得た。融点:205℃〜207℃(ELECTROTHERMAL MELTING POINT APPARATUS、未較正);λH2Omax200、228nm、256nm、271nm;1H−NMR(300MHz、DMSO):δ7.86(1H)、δ7.57(1H)、δ3.08(2H)、δ2.33(3H)、δ1.73(2H)、δ1.62(2H)、δ1.29(6H)、1H−NMRスペクトルにおけるδ3.4での水ピークは重水交換後に消失した;13C−NMRは総炭素数19を示す、13C−NMR(300MHz、DMSO):δ182.9、δ175.9、δ158.7、δ154.6、δ150.1、δ143.5、δ134.1、δ127.6、δ127.1、δ120.6、δ120.3、δ117.5、δ38.0、δ35.0、δ32.1(2C)、δ30.2、δ19.4、δ10.0(ppm);DEPTスペクトル:3個の第1級炭素原子:δ32.1(2C)、δ10.0;3個の第2級炭素原子:δ38.0、δ30.2、δ19.4;2個の第3級炭素原子。ESI−MS:m/z:396;EI:m/z:[M−Na]373、[M+Na]419;赤外スペクトル:νKBrmaxcm-13464(ワイド)、2958、2929、2867、1674、1644、1578、1463、1429、1364、1331、1217、1144、1120、1076、1040、923、841、709、654;カールフィッシャー法による水分含量は10.46%であった、熱分析:プラットフォーム重量減少は約10.26%であり、これは2.5結晶水を含有するサンプルの結果の誤差範囲内であった(理論値:10.21%)(図1を参照されたい)、元素分析、理論値:C 51.70%、H 5.02%、Na 5.21%、S 7.26%;測定値:C 51.54%、H 5.16%、Na 5.08%、S 7.39%。
【0045】
実施例2:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム3水和物の調製
結晶化の溶媒を上記の実施例と同様の比率のエタノール、クロロホルム、エチルエーテル、水に変更した以外は上記の操作及び工程を採用し、結晶固体物質を約30℃で4時間乾燥させて、0.5gの橙赤色の結晶を得た。融点:188℃〜193℃(未較正);λH2Omax200、228nm、256nm、271nm、ESI−MS:m/z:396;EI:m/z:[M−Na]373、[M+Na]419;カールフィッシャー法による水分含量は14.07%であった、熱分析:プラットフォーム重量減少は約13.22%(理論値:13.28%)であった。
【0046】
実施例3:無水タンシノンIIAスルホン酸ナトリウムの調製(比較例)
実施例2の物質を約80℃、P25の存在下で24時間〜48時間以上真空乾燥させて、その無水物質を得た。カールフィッシャー法によるその水分含量は概して約1.3%未満であった。
【0047】
実施例4:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物の調製
4gのタンシノンIIA(市販)、30mlのプロピオン酸及び45mlの無水プロピオン酸を乾燥三つ口フラスコに入れ、撹拌し、36mlの氷酢酸−濃硫酸の混合溶液(体積比1/1)を滴加し、撹拌下、25℃以下で0.5時間〜3時間反応させ、反応物を水にゆっくりと注ぎ込み、75mlの飽和塩化ナトリウム溶液を添加し、固体の沈殿が完了した後に真空濾過し、沈殿物を飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、75%冷エタノールで洗浄し、吸引濾過し、得られた固体を無水エタノールで還流させ、吸引濾過し、液体を真空濃縮し、濃縮した残渣を16mlのメタノール、10mlのクロロホルム、25mlのエチルエーテル、1.5mlの水、4mlのアセトンで再結晶化させ、0℃に置き、沈殿が完了した後に吸引濾過し、得られた固体をもう一度同様の割合の溶媒で再結晶化させ、0℃に置き、沈殿が完了した後に吸引濾過し、得られた固体を約60℃で約4時間乾燥させて、約0.5gの赤色結晶を得た。融点:214℃で分解(未較正);紫外スペクトル:5μl/mlのその水溶液を準備し、分光光度法に従って測定した。最大吸収は200nm、228nm、256nm及び271nmの波長で得られ、特性吸収は280nmで見られた;赤外スペクトル:νKBrmaxcm-13446(ワイド)、2959、2932、2867、1674、1646、1578、1537、1480、1463、1429、1364、1331、1219、1144、1120、1077、1042、923、844、709、653;1H−NMR(300MHz、DMSO)δ7.84(1H)、δ7.54(1H)、δ3.06(2H)、δ2.34(3H)、δ1.72(2H)、δ1.62(2H)、δ1.29(6H)、1H−NMRスペクトルにおけるδ3.4での水ピークは重水交換後に消失した;13C−NMRは総炭素数19を示した、13C−NMR(300MHz、DMSO):δ182.8、δ175.7、δ158.6、δ154.6、δ150.0、δ143.4、δ134.0、δ127.6、δ127.1、δ120.6、δ120.3、δ117.5、δ38.0、δ35.0、δ32.1(2C)、δ30.1、δ19.3、δ10.0(ppm);DEPTスペクトル:3個の第1級炭素原子:δ32.1(2C)、δ10.0;3個の第2級炭素原子:δ38.0、δ30.1、δ19.3;2個の第3級炭素原子。ESI−MS:m/z:396;EI:m/z:[M−Na]373、[M+Na]419;カールフィッシャー法による水分含量は6.62%であった、熱分析:プラットフォーム重量減少は約5.91%であり、これは1.5結晶水を含有するサンプルの結果の誤差範囲内であった(理論値:6.38%)(図2を参照されたい)、元素分析、理論値:C 53.90%、H 4.76%、Na 5.43%、S 7.57%;測定値:C 53.72%、H 4.91%、Na 5.27%、S 7.43%。粉末X線回折パターンは図5に示した。
【0048】
実施例5:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム0.5水和物の調製
3.5gのタンシノンIIA(市販)、30mlのプロピオン酸及び45mlの無水プロピオン酸を乾燥三つ口フラスコに入れ、撹拌し、36mlのプロピオン酸−濃硫酸の混合溶液(体積比1/1)を滴加し、撹拌下、25℃以下で0.5時間〜3時間反応させ、反応物を水にゆっくりと注ぎ込み、5mlの飽和炭酸ナトリウムを撹拌下でゆっくりと滴加し、次いで60mlの飽和塩化ナトリウム溶液を添加し、固体の沈殿が完了した後に吸引濾過し、沈殿物を飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、50%冷エタノールで洗浄し、吸引濾過し、得られた結晶を無水エタノールで還流させ、濾過し、濃縮し、高度に濃縮された残渣を15mlのメタノール、20mlのクロロホルム、10mlのエチルエーテル、1mlの水で結晶化し、0℃に置き、沈殿が完了した後に吸引濾過し、得られた固体をもう一度同様の割合の溶媒で再結晶化させ、0℃に置き、沈殿が完了した後に吸引濾過し、得られた固体をP25の存在下、約60℃で約6時間乾燥させて、約0.4gの赤色の結晶を得た。融点:195℃〜198℃で分解(未較正);紫外スペクトル:5μg/mlのその水溶液を準備し、分光光度法に従って測定した。λH2Omax200nm、228nm、256nm、271nm;1H−NMR(300MHz、DMSO)δ7.85(1H)、δ7.56(1H)、δ3.07(2H)、δ2.34(3H)、δ1.72(2H)、δ1.62(2H)、δ1.29(6H)、1H−NMRスペクトルにおけるδ3.4での水ピークは重水交換後に消失した;13C−NMRは総炭素数19を示した。13C−NMR(300MHz、DMSO):δ182.9、δ175.9、δ158.7、δ154.6、δ150.1、δ143.5、δ134.1、δ127.6、δ127.1、δ120.6、δ120.3、δ117.5、δ38.0、δ35.0、δ32.1(2C)、δ30.2、δ19.4、δ10.O(ppm);DEPTスペクトル:3個の第1級炭素原子:δ32.1(2C)、δ10.0;3個の第2級炭素原子:δ38.0、δ30.2、δ19.4;2個の第3級炭素原子。ESI−MS:m/z:396;EI:m/z:[M−Na]373、[M+Na]419;赤外スペクトル:νKBrmaxcm-13486(ワイド)、2933、1672、1620、1574、1536、1460、1330、1216、1040、922、842、656、カールフィッシャー法による水分含量は2.57%であった。熱分析TG−DSC:プラットフォーム重量減少は約2.14%であり、これは0.5結晶水を含有するサンプルの結果の誤差範囲内であった(理論値:2.22%)(図3を参照されたい);元素分析、理論値:C 56.29%、H 4.48%、Na 5.67%、S 7.91%;測定値:C 56.15%、H 4.62%、Na 5.48%、S 7.76%。粉末X線回折特性は図4に示した。
【0049】
実施例6:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物の調製
4gのタンシノンIIA(市販)、250mlの乾燥ジクロロメタン及び50mlの乾燥テトラクロロエタンを三つ口フラスコに入れ、撹拌して溶解させ、6.5mlのクロロスルホン酸(予め40mlの乾燥ジクロロメタンに溶解させる)を滴加し、TLCによってモニタリングされる反応物のスポットが消失するまで撹拌下、10℃以下で反応させ、反応物を40mlの水にゆっくりと注ぎ込み、水溶液層を分離し、飽和炭酸ナトリウム溶液をpHが約5に達するまで撹拌下でゆっくりと滴加し、0℃以下に置き、沈殿が完了した後に吸引濾過し、得られた固体を約16mlのメタノール、約10mlのクロロホルム、約25mlのエチルエーテル、約1mlの水、約2mlのアセトンで結晶化し、0℃以下に置き、沈殿が完了した後に吸引濾過し、得られた固体をもう一度同様の割合の溶媒で再結晶化させ、0℃以下に置き、沈殿が完了した後に吸引濾過し、得られた固体を約60℃で約4時間真空乾燥させて、約0.2gの赤色の結晶を得た。融点:212℃で分解(未較正);紫外スペクトル:5μg/mlのその水溶液を準備し、分光光度法に従って測定した:λH2Omax200nm、228nm、256nm、271nm;ESI−MS:m/z:396;EI:m/z:[M−Na]373、[M+Na]419;1H−NMR(300MHz、DMSO)δ7.84(1H)、δ7.54(1H)、δ3.06(2H)、δ2.34(3H)、δ1.72(2H)、δ1.62(2H)、δ1.29(6H)、1H−NMRスペクトルにおけるδ3.4の水ピークは重水交換後に消失した;13C−NMRは総炭素原子数19を示した、13C−NMR(300MHz、DMSO):δ182.9、δ175.7、δ158.6、δ154.6、δ150.1、δ143.4、δ134.0、δ127.6、δ127.1、δ120.6、δ120.3、δ117.4、δ38.0、δ35.0、δ32.1(2C)、δ30.1、δ19.3、δ10.0(ppm);赤外スペクトル:νKBrmaxcm-13448(ワイド)、2959、2932、2867、1674、1646、1578、1537、1480、1463、1429、1364、1331、1218、1144、1120、1076、1042、923、844、709、654;カールフィッシャー法による水分含量は6.57%であった。熱分析TG−DSC:プラットフォーム重量減少は約6.16%であり、これは理論値6.38%に対する誤差範囲内であった。
【0050】
実施例7:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の凍結乾燥製剤の製造
5gのタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム2.5水和物に、15gのマンニトール、4gのリン酸二水素ナトリウム、2gの酒石酸ナトリウム、1gのアスコルビン酸、0.02gのEDTA二ナトリウム、約800mlの注射用水を30℃〜50℃で添加し、撹拌して溶解させ、1M〜5Mのクエン酸の溶液及び水酸化ナトリウムの溶液を添加してpHを4.0〜7.0に調節し、1000mlになるまで注射用水を補充し、活性炭を0.01%〜0.5%(W/V)の量で添加し、15分間〜30分間撹拌し、濾過し、0.22μmの微多孔膜で濾過するか、又は6000〜20000の分子カットオフ値を有する限外濾過膜で濾過し、準最終生成物の含量を測定し、5mg/ボトル、10mg/ボトル又は20mg/ボトル(無水主要薬物単位で表される)で分注し、真空凍結乾燥させて、圧填し、凍結乾燥生成物を得た。
【0051】
実施例8:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の凍結乾燥製剤の製造
10gのタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物又は0.5水和物に、20gのソルビトール、4gのリン酸二水素ナトリウム、2gのクエン酸ナトリウム、0.02gのEDTA二ナトリウム、約800mlの注射用水を30℃〜50℃で添加し、撹拌して溶解させ、1M〜5Mのクエン酸の溶液及び水酸化ナトリウムの溶液を添加してpHを5.0〜7.5に調節し、1000mlになるまで注射用水を補充し、活性炭を0.01%〜0.5%(W/V)の量で添加し、15分間〜30分間撹拌し、濾過し、0.22μmの微多孔膜で濾過し、準最終生成物の含量を測定し、10mg/ボトル又は20mg/ボトル又は40mg/ボトル(タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム単位で表される)で分注し、真空凍結乾燥させ、圧填し、凍結乾燥生成物を得た。
【0052】
実施例9:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の製造
5gのタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム2.5水和物又は1.5水和物又は0.5水和物(乾燥生成物単位で表される)に、4gのグルコン酸ナトリウム、2gのクエン酸ナトリウム、1gのアスコルビン酸、3mlのプロピルグリコール、0.06gのEDTA二ナトリウムを添加し、強い光を避けて注射用水を添加し、窒素ガスを供給し、撹拌して溶解させ、1M〜5Mのクエン酸の溶液及びクエン酸ナトリウムの溶液を添加してpHを4.0〜7.0に調節し、活性炭を0.01%(W/V)の量で添加し、15分間〜45分間撹拌し、濾過し、2000mlになるまで注射用水を補充し、0.22μmの微多孔膜又は6000〜20000の分子カットオフ値を有する限外濾過膜で濾過し、溶液に窒素ガスを供給して飽和させ、10mg/ボトル、20mg/ボトル又は40mg/ボトルで分注し、滅菌して生成物を得た。
【0053】
実施例10:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の製造
300gのグルコースを秤量し、注射用水に添加し、撹拌して完全に溶解させ、活性炭を調合された溶液の量に対して0.5%の量で添加し、10分間〜30分間加熱し、砂濾過棒で濾過して炭素を除去した。10gのタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物を上記の濾液と均一に混合し、10gのリン酸二水素ナトリウム、2gの酒石酸ナトリウム、1gのスルホブチル−β−シクロデキストリン、0.1gのEDTA二ナトリウムを添加し、撹拌して溶解させ、5000mlになるまで注射用水を補充し、1M〜3Mの塩酸又は乳酸又はクエン酸の溶液及びクエン酸ナトリウムの溶液を添加してpHを3.5〜6.0に調節し、活性炭を調合された溶液の量に対して0.05%の量で添加し、10分間〜30分間加熱及び撹拌し、濾過して炭を除去し、次いで0.22μmの微多孔膜又は6000〜20000の分子カットオフ値を有する限外濾過膜で1回若しくは複数回濾過し、溶液に高純度窒素ガスを供給して飽和させ、準最終生成物を含量、pH値及び透明度についてアッセイし、適切な溶液を10mg/ボトル、20mg/ボトル、40mg/ボトル又は80mg/ボトルで分注し、滅菌して生成物を得た。
【0054】
実施例11:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の塩化ナトリウム輸液の製造
20gのタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物又は0.5水和物(無水生成物単位で表される)、425gの塩化ナトリウム、5gのクエン酸ナトリウム、5gの酒石酸、0.6gのEDTA二ナトリウムを注射用水に添加し、溶液に高純度窒素ガスを供給して飽和させ、撹拌して完全に溶解させ、クエン酸溶液及びクエン酸ナトリウム溶液を添加してpHを3.5〜6.5に調節し、50000mlになるまで注射用水を添加し、活性炭を調合された溶液の量に対して0.05%の量で添加し、10分間〜30分間加熱及び撹拌し、濾過して炭を除去し、0.22μmの膜又は6000〜20000の分子カットオフ値を有する限外濾過膜で濾過し、準最終生成物を含量、pH値及び透明度についてアッセイし、高純度窒素ガス雰囲気下で50ml、100ml又は250ml容のボトル又はプラスチック袋に分注し、滅菌して生成物を得た。
【0055】
実施例12:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の錠剤又はカプセル(1個の錠剤又はカプセル当たり20mg)
配合:
タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム2.5水和物 20g
微結晶性セルロース 65g
ラクトース 10g
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 5g
β−シクロデキストリン 5g
5%PVP−K30(50%エタノール水溶液) 適量
ステアリン酸マグネシウム 2g
タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム2.5水和物、微結晶性セルロース、ラクトース、β−シクロデキストリン、100メッシュの篩に通した低置換度ヒドロキシプロピルセルロースに、適当量の5%PVP−K30の50%エタノール水溶液を粘着剤として添加して軟物質を形成し、18メッシュ〜24メッシュの篩に通し、乾燥させ、14メッシュ〜20メッシュの篩に通して整粒し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、カプセル充填又は打錠した。
【0056】
実施例13:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の錠剤又はカプセル(1個の錠剤又はカプセル当たり50mg)
配合:
タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物 50g
ラクトース 165g
カルボキシメチルナトリウムデンプン 5g
5%PVP−K30(50%エタノール水溶液) 適量
ステアリン酸マグネシウム 2g
タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物、ラクトース、100メッシュの篩に通したカルボキシメチルナトリウムデンプンに、適当量の5%PVP−K30の50%エタノール水溶液を粘着剤として添加して軟物質を形成し、18メッシュ〜24メッシュの篩に通し、乾燥させ、顆粒を形成し、14メッシュ〜20メッシュの篩に通して整粒し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、カプセル充填又は打錠した。
【0057】
実施例14:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の錠剤又はカプセル(1個の錠剤又はカプセル当たり100mg)
配合:
タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム0.5水和物 100g
ラクトース 155g
デンプン 40g
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 5g
5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース(50%エタノール水溶液) 適量
ステアリン酸マグネシウム 2g
タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム0.5水和物、微結晶性セルロース、ラクトース、100メッシュの篩に通した低置換度ヒドロキシプロピルセルロースに、適当量の5%ヒドロキシプロピルメチルセルロースの50%エタノール水溶液を粘着剤として添加して軟物質を形成し、18メッシュ〜24メッシュの篩に通し、顆粒を形成し、乾燥させ、14メッシュ〜20メッシュの篩に通して整粒し、ステアリン酸マグネシウムと混合し、カプセル充填又は打錠した。
【0058】
実施例15:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の顆粒の製造
内容物:タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム4水和物又はタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム3水和物又はタンシノンIIAスルホン酸ナトリウムの顆粒(1つのバッグ当たり50mg)
配合:
タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物 50g(無水生成物単位で表される)
マンニトール 155g
ラクトース 20g
固形食用エッセンス 1g
5%ヒドロキシプロピルメチルセルロース 適量
タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物、マンニトール、ラクトース、食用エッセンスを100メッシュの篩に通し、適当量の5%ヒドロキシプロピルメチルセルロースの50%エタノール水溶液を粘着剤として添加して軟物質を形成し、18メッシュ〜24メッシュの篩に通して顆粒を形成し、60℃以下で乾燥させ、14メッシュ〜20メッシュの篩に通して整粒し、分注した。
【0059】
実施例16:薬理試験
1.ラットにおける塩化カルシウムによって誘導される不整脈に対する効果
50匹のSDラット(雄及び雌、体重226±31g)を準備し、無作為に5つの群に分け、6mg・kg-1の生理食塩水、キニジン、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物(生理食塩水に溶解させる)を静脈注射によって別個に投与した。ラットを40mg・kg-1の3%ペントバルビタールナトリウムで麻酔し、手術台に仰臥位で固定し、6分間かけて舌静脈から注射し、100mg・kg-1(0.4m1/100g)の2.5%塩化カルシウムを迅速に静脈注射し(5秒で注射を完了)、心室細動を起こした動物の数及び死亡した動物の数を記録した。
【0060】
結果は、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の群において、ラットにおける塩化カルシウムによって誘導される心室細動が有意に阻害され得ること(p<0.05)、及びタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の群において、ラットにおける塩化カルシウムによって誘導される不整脈死が有意に阻害され得ることを示す(表3)。
【0061】
【表3】

【0062】
2.ラットの虚血再灌流に対する効果
36匹の雄ウィスターラット(体重250g〜300g)を、無作為に3つの群(偽手術群、虚血再灌流群及び本発明の薬物の群)に1群当たり12匹のラットで分けた。本発明の薬物の群については、ラットに生理食塩水中のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物を、40mg/kgの用量(dose)で1日2回、連続7日間腹膜投与し、最後の投与の60分後に脳虚血手術に供した。偽手術群及び虚血再灌流群のラットには、同容量の(same volume of isometric)生理食塩水をそれぞれ投与した。
【0063】
ラットを10%抱水クロラール(3.5ml/kg)で腹膜注射によって麻酔し、仰臥位で固定し、文献(Journal of Shanghai Jiaotong University (Medicine), 2007, 27(10):1218-1222)の改善されたZea Longaの糸閉塞法によってモデル化した。偽手術群においては、糸を単に10mm挿入し、他の工程はモデル群と同様にして、手術側にホルネル症候群、反対側に運動障害を発現した動物を確立に成功したモデルとみなした。モデルの確立に成功した後、動物に上記と同じ用量を1日2回投与し、偽手術群及び虚血再灌流群にそれぞれ同容量の生理食塩水を投与した。モデルの確立の2時間後に抜糸し、再灌流の24時間後にラットを屠殺し、その脳を迅速に取り出し、秤量した。生理食塩水を使用して10%脳組織ホモジネート溶液を低温で調製し、低温、3000r/分で10分間遠心分離し、沈殿物を捨て、上清を取り、対応する市販のSOD、MDA、NO、NOSキットの仕様書に従って試験してSOD、MDA、NO、NOSの含量又は活性を求めた。結果を表4に示す。
【0064】
【表4】

【0065】
結果は、偽手術群と比較して、虚血再灌流群のラットの脳組織におけるSOD活性が有意に低下し、MDA含量、NO含量及びNOS活性が有意に増大したこと(P<0.01)、虚血再灌流群と比較して、本発明の薬物の群がラットの脳組織におけるSOD活性の有意な増大、NOS活性の低下、並びにMDA含量及びNO含量の有意な低下を有していたこと(P<0.01)を示す。本発明のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム0.5水和物及びタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム2.5水和物を別個に上記の虚血再灌流試験に供したところ、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム1.5水和物と同様の結果が得られた。これらの結果から、本発明の薬物がNOS活性及びNO含量を調節することによって脳虚血再灌流傷害に対する保護効果をもたらすことが確認される。
【0066】
3.心筋カルシウムパラドックスに対する保護効果
文献(XU Shuyun, et al.編, Pharmacological Test Method, 3rd edition, p986-1000; Chinese Journal of Pathophysiology, 1987, 3:154-158)を参照して、モルモットにおいてex vivo心臓灌流を作り出すことによって心筋カルシウムパラドックスモデルを確立した。48匹の健常モルモット(体重280g〜360g)を別個に正常対照群、カルシウムパラドックス群、イプロベラトリル陽性対照群、3つの薬物投与群を含む6つの群に1つの群当たり8匹のモルモットで分け、動物を試験前に一晩絶食させ、ヘパリンを0.5mg/kgで腹腔内注射し、20分後に30mg/kgのペントバルビタールナトリウムを腹腔内注射し、麻酔後に開胸し、心臓を迅速に取り出し、氷冷したクレブス−ヘンゼライト(K−H)灌流液に浸漬し、大動脈挿管後、心臓を恒温恒圧のex vivo心臓灌流装置に入れた。文献(Chinese Journal of Pathophysiology, 1987, 3:154-158)を参照して、心臓をランゲンドルフ法によって37℃で灌流した。ここでは、3つの薬物投与群をカルシウムパラドックス+32mg/Lの本発明の化合物の投与に供し、正常対照群をカルシウム含有クレブス−ヘンゼライト液での連続灌流に35分間供して、最後の20分間の冠状動脈の流出液を回収し、他の5つの群をカルシウム含有K−H液での灌流に10分間供して心臓の安定状態を達成し、無カルシウムK−H液で5分間、次いで再度カルシウム含有K−H液で20分間の灌流に供した。このようにしてカルシウムパラドックスモデルをかかる灌流手順によって確立した。陽性対照群は全手順において2.1mg/Lのイプロベラトリルを含む灌流液での灌流に供し、薬物投与群は32mg/LのタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を別個に添加した灌流液での灌流に供した。カルシウム含有灌流液が回復した時点で20分間の冠状動脈の流出液を回収し、回収した冠状動脈流出液におけるタンパク質放出量(mg/分/g乾燥重量)及び心筋組織のカルシウム取り込み(μmol/g乾燥重量)を参考文献に従って測定した。カルシウムパラドックス群と比べた薬物投与群の結果の違いは有意であることが見出されている(P<0.01)。表5及び表6を参照されたい。
【0067】
【表5】

【0068】
【表6】

【0069】
本発明の化合物が心筋カルシウムパラドックス傷害に対する有意な保護効果を有し、カルシウムイオン拮抗作用を有し、カルシウム流入を阻害することができ、カルシウムパラドックス手順中の心筋組織カルシウム沈着及び心筋損傷に起因するタンパク質放出を減少させることが分かる。
【0070】
本発明の精神及び範囲を限定しない細部の多くの変更が可能であり、本発明が上記の実施例に限定されないことを当業者は理解することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子式がC1917NaO6S・nH2O(式中、nは0.5〜4.0である)である、タンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物。
【請求項2】
nが2.5である、請求項1に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物。
【請求項3】
nが1.5である、請求項1に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物。
【請求項4】
nが0.5である、請求項1に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物。
【請求項5】
粉末X線回折法を用いて回折角2θ(3°〜80°)の範囲内で測定することにより、前記水和物が以下の2θ:約3.7、4.3、6.2、7.3、8.8、9.3、11.5、14.7、15.4、17、17.7、21.2、25.9、27.3、27.6、29.4で対応する特性値を有することを特徴とする、請求項2に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物。
【請求項6】
粉末X線回折法を用いて回折角2θ(3°〜80°)の範囲内で測定することにより、前記水和物が以下の2θ:約3.7、6.2、7.3、8.8、9.2、11.5、14.7、15.4、17、17.7、20.6、21.2、25.9、27.1、27.6、29.4で対応する特性値を有することを特徴とする、請求項3に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物。
【請求項7】
粉末X線回折法を用いて回折角2θ(3°〜80°)の範囲内で測定することにより、前記水和物が以下の2θ:約3.7、7.6、9.0、9.6、15.3、22.0、26.0、27.6、29.8で対応する特性値を有することを特徴とする、請求項4に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物。
【請求項8】
粉末X線回折法を用いて回折角2θ(3°〜80°)の範囲内で測定することにより、前記水和物が図5に示されるような粉末X線回折特性を有することを特徴とする、請求項6に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物。
【請求項9】
粉末X線回折法を用いて回折角2θ(3°〜80°)の範囲内で測定することにより、前記水和物が図4に示されるような粉末X線回折特性を有することを特徴とする、請求項7に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を調製する方法であって、
方法A:タンシノンIIAを反応容器に入れ、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸、及びハロゲンで置換されたC1〜C6低級炭化水素の1つ又は複数を添加し、撹拌し、硫酸若しくは発煙硫酸、若しくはクロロスルホン酸中の酢酸、無水酢酸、プロピオン酸及び無水プロピオン酸の溶液の1つ又は複数を添加し、滴加終了後、30℃で0.1〜6時間撹拌し、反応物を水にゆっくりと注ぎ込み、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムの溶液の1つ又は複数を添加し、十分に沈殿させ、濾過し、沈殿物を飽和塩化ナトリウム溶液若しくは飽和硫酸ナトリウム溶液で1回若しくは数回洗浄し、次いで水若しくはC1〜C6低分子量アルコール若しくはそれらの組合せで1回若しくは数回洗浄し、濾過し、得られた固体を水、C1〜C6低分子量アルコール、C3〜C6低級ケトン、C2〜C8低級エステル、ハロゲンで置換されたC1〜C6低級炭化水素、C2〜C6低級エーテル及び芳香族炭化水素の1つ又は複数による結晶化に供し、冷却し、静置し、結晶析出後に濾過し、乾燥させてタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶を得て、該生成物を精製すること、又は
方法B:タンシノンIIAを反応容器に入れ、酢酸、無水酢酸、プロピオン酸、無水プロピオン酸、及びハロゲンで置換されたC1〜C6低級炭化水素の1つ又は複数を添加し、撹拌し、ハロゲンで置換されたC1〜C6低級炭化水素の1つ又は複数中のクロロスルホン酸の溶液を添加し、滴加終了後、30℃で0.1〜6時間撹拌し、反応物を水にゆっくりと注ぎ込み、有機層を分離し、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムの1つ又は複数の飽和溶液を得られた水溶液層に添加し、静置し、十分に沈殿させ、濾過し、沈殿物を飽和塩化ナトリウム溶液若しくは飽和硫酸ナトリウム溶液で1回若しくは数回洗浄し、次いで水若しくはC1〜C6低分子量アルコール若しくはそれらの組合せの1つ又は複数で1回若しくは数回洗浄し、得られた固体を水、C1〜C6低分子量アルコール、C3〜C6低級ケトン、C2〜C8低級エステル、ハロゲンで置換されたC1〜C6低級炭化水素、C2〜C6低級エーテル及び芳香族炭化水素の1つ又は複数による結晶化に供し、静置し、冷却し、結晶析出後に濾過し、乾燥させてタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物結晶を得ること
を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物を調製する方法。
【請求項11】
結晶化に使用される前記溶媒が水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ブタノン、ヘキソン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、エチルエーテル及びベンゼンから選択される1つ又は複数である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれか一項に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項13】
注射用凍結乾燥粉末、注射用無菌充填粉末、輸液、少量注射液及び消化管投与用製剤を形成するように加工される、請求項12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
ヒト及び哺乳動物における冠動脈性心疾患、狭心症、心筋梗塞、不整脈、虚血性脳疾患、各種動脈閉塞症を含む末端循環障害、血管炎、糖尿病に起因する微小循環障害、高血圧又は脂質異常症の治療又は予防における薬剤の製造における請求項1〜9のいずれか一項に記載のタンシノンIIAスルホン酸ナトリウム水和物の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−510097(P2013−510097A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537283(P2012−537283)
【出願日】平成22年11月3日(2010.11.3)
【国際出願番号】PCT/CN2010/001761
【国際公開番号】WO2011/054182
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(511009019)
【Fターム(参考)】