説明

タンデム型イオン加速装置及びイオンビーム調整方法

【課題】 イオンを荷電変換部へ導くためのビームライン調整を容易かつ適正に行うことができるタンデム型イオン加速装置及びイオンビーム調整方法を提供する。
【解決手段】 一対の加速管19A,19Bと、これら一対の加速管が前段側と後段側とに接続される高電圧ターミナル20と、この高電圧ターミナル20の内部に配置され、前段側の加速管19Aで加速されたイオンの極性を反転し当該イオンを後段側の加速管19Bへ導くストリッパカナル(荷電変換部)201とを有するタンデム型イオン加速装置10において、ストリッパカナル201のイオンビーム導入端側に、当該ストリッパカナル201を通るビームラインから外れて加速されたイオンの照射を受けて発光する発光部材31を設置し、この発光部材が発光しない位置にビームラインを調整する。発光部材31の発光は、ビームラインと同軸的に設置した監視窓35で監視する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン注入、イオンビーム分析等、高エネルギーでイオンビームを照射するタンデム型イオン加速装置に関し、更に詳しくは、ビームラインの調整を容易に行うことができるタンデム型イオン加速装置及びイオンビーム調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、極性の異なるイオンを各々加速させる一対の加速管と、これら一対の加速管が前段側と後段側とに接続される高電圧ターミナルと、この高電圧ターミナルの内部に配置され、前段側の加速管で加速されたイオンの極性を反転し当該イオンを後段側の加速管へ導く荷電変換部とを有するイオン加速装置が知られている(下記特許文献1参照)。この種のイオン加速装置においては、前段側の加速管入口から高電圧ターミナル迄、及び高電圧ターミナルから後段側の加速管出口迄の2段においてイオンを加速することから、タンデム型と称されている。
【0003】
タンデム型イオン加速装置において、前段側の加速管の入口と後段側の加速管の出口とは共に接地されており、これら一対の加速管の間は高電圧ターミナルで接続されている。イオンを各加速管で加速させるには、前段側の加速管と後段側の加速管とでイオンの極性を反転させる必要がある。このため、高電圧ターミナルの内部には、前段側の加速管で加速されたイオンの正負の極性を反転させる荷電変換部が設けられている。
【0004】
一般的に、荷電変換部は、上記一対の加速管の間を連絡するストリッパカナルと称される細長い直線的な導管で構成されており、このストリッパカナルの内部に供給された窒素ガスやアルゴンガス等に、ストリッパカナルに導入されたイオンを衝突させて、当該イオンの荷電変換を行うようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開平6−68984号公報
【特許文献2】特開平9−105728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
さて、ストリッパカナルは上述のように細長い導管で構成されていて、その内径は加速管の内径に比べて非常に小さい。したがって、前段側の加速管で加速させたイオンを後段側の加速管に適正に導くためには、イオンが精度良くストリッパカナルを通過する位置にビームラインを調整する必要がある。
【0007】
そこで、従来のタンデム型イオン加速装置においては、前段側の加速管に導入されるイオンビームの電流量と、後段側の加速管から導出されるイオンビームの電流量とをそれぞれ検出するファラデーカップをそれぞれ配置させ、これらの検出電流量が最大となるようにイオンビームのビームラインを調整するようにしていた。
【0008】
しかしながら、このような調整方法では、イオンビームがストリッパカナルを適正に通過しているかどうかを容易に確認することができず、調整作業に多くの時間を費やし、スループットの低下を引き起こしているという問題がある。
【0009】
また、イオンビームがストリッパカナルを適正に通過していないと、イオンの荷電変換効率が低下し所望の加速エネルギーが得られなかったり、目的とするドーズ量が得られなくなるなど、当該イオン加速装置の所期の性能を確保することができなくなる。
【0010】
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、イオンを荷電変換部へ導くためのビームライン調整を容易かつ適正に行うことができるタンデム型イオン加速装置及びイオンビーム調整方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以上の課題は、極性の異なるイオンを各々加速させる一対の加速管と、これら一対の加速管が前段側と後段側とに接続される高電圧ターミナルと、この高電圧ターミナルの内部に配置され、前記前段側の加速管で加速されたイオンの極性を反転し当該イオンを前記後段側の加速管へ導く荷電変換部とを有するタンデム型イオン加速装置において、前記荷電変換部を通るビームラインから外れて加速されたイオンの照射を受けたときに発光する発光部材を備えたことを特徴とするタンデム型イオン加速装置、によって解決される。
【0012】
また、以上の課題は、極性の異なるイオンを各々加速させる一対の加速管と、これら一対の加速管が前段側と後段側とに接続される高電圧ターミナルと、この高電圧ターミナルの内部に配置され、前記前段側の加速管で加速されたイオンの極性を反転し当該イオンを前記後段側の加速管へ導く荷電変換部とを有するタンデム型イオン加速装置におけるイオンビーム調整方法において、前記荷電変換部のイオンビーム導入端側に、当該荷電変換部を通るビームラインから外れて加速されたイオンの照射を受けて発光する発光部材を設置し、この発光部材が発光しない位置にビームラインを調整することを特徴とするイオンビーム調整方法、によって解決される。
【0013】
以上の構成により、本発明においては、前段側の加速管で加速されたイオンが正規のビームライン上にない場合、当該イオンが荷電変換部の導入端側に設置された発光部材に照射されることによって当該発光部材が発光するので、作業者にビームラインが適正でないことを容易に確認することができる。これにより、発光部材が発光しない位置にビームラインを調整することにより、イオンが適正かつ容易に荷電変換部へ導かれることになる。
【0014】
上記荷電変換部は、イオンビームが通過する通孔を有する管状部材で構成される。この場合、上記発光部材は、上記通孔と略同径の中心孔を備えた環状板部材で構成することができる。
【0015】
発光部材としては、イオンビームの照射を受けて、その照射領域が発光する材料であることが好ましく、例えば石英等の結晶材料や、これに蛍光材を塗布したもの等が好適である。
【0016】
発光部材の発光の確認は、一対の加速管及び高電圧ターミナルを収容するシールドタンクの外部に設定した監視窓を介して行うことができる。この監視窓を直接視認する方法が簡便ではあるが、監視窓にCCD(Charge Coupled Device)等の固体撮像素子を近接配置させ、その出力信号に基づいてイオンビーム調整の自動化を図るようにしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上述べたように、本発明によれば、荷電変換部を通るイオンビームの導入経路から外れて加速されたイオンの照射を受けたときに発光する発光部材を備えているので、イオンが荷電変換部を適正に通過することができる位置へビームラインを容易に調整することができるようになり、調整作業を簡素化してスループットの向上を図ることができるとともに、タンデム型イオン加速装置の所期の性能を常に確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態によるタンデム型イオン加速装置10の概略構成図である。本実施の形態において、タンデム型イオン加速装置10は、高エネルギーイオンビームを用いた材料分析装置やイオン注入装置に適用される。
【0019】
タンデム型イオン注入装置10は、イオン源11、アインツエルレンズ12、荷電変換セル13、質量分離電磁石14、スリット15、ファラデーカップ16、静電ステアラ17、イオン加速器30、四重極静電型レンズ24、偏向電磁石25及びファラデーカップ26を備えている。
【0020】
イオン源11は、例えば材料分析用途の場合、水素やヘリウムの正(プラス)のイオンを発生する。アインツエルレンズ(コンデンサレンズ)12は、イオン源11の下流側に隣接して取り付けられ、イオン源11から引き出されたイオンビームを収束する。荷電変換セル13は、ナトリウムやセシウム等の材料を蒸気にし、これにイオン源11から引き出した正イオンを衝突させて負イオンに荷電変換する。
【0021】
質量分離電磁石14は、本発明の「質量分離部」に対応しており、所望の質量のイオンを分離し下流側へ供給する。静電ステアラ17は、平行平板の電極が水平方向と垂直方向にそれぞれ一組配置されてなり、イオン加速器30に入射するイオンビームのビームライン(導入経路)を調整する。
【0022】
イオン加速器30は、第1,第2の一対の加速管19A,19Bと、高電圧ターミナル20と、高電圧発生回路21とを備え、これら加速管19A,19B、高電圧ターミナル20及び高電圧発生回路21は、高圧タンク18内に収容されている。なお、高圧タンク18と、第1加速管19Aの入口端及び第2加速管19Bの出口端は、それぞれ接地されている。
【0023】
高圧タンク18には、通常3〜6気圧の絶縁ガスが充填されている。一対の加速管19A,19Bは、高電圧ターミナル20の前段側および後段側にそれぞれ接続されている。高電圧ターミナル20は曲面形状の金属製で、高電圧発生部21に接続されている。この高電圧発生部21には、シェンケル型回路(並列昇圧)、コッククロフト・ウォルトン型回路(直列昇圧)が適用可能である。なお、22は昇圧トランス、23は発振器である。
【0024】
高電圧ターミナル20の内部には、荷電変換部としてのストリッパカナル201、レギュレータ202、ボンベ203及び絶縁性操作軸204が収納されている。ボンベ203には例えば窒素ガスが充填されていて、これを操作軸204で開度が調節されるレギュレータ202を介してストリッパカナル201に導入するようになっている。
【0025】
そして、タンデム型イオン加速装置10は、イオン源11から約10〜25kVでHeイオン(He+)を引き出し、ファラデーカップ16をビームライン上に移動させてビーム電流を測定しながら、アインツエルレンズ12を用いてイオンビームを収束する。次に、ファラデーカップ16をビームラインから退避させた後、イオン源11から引き出したHeイオンを荷電変換セル13に入射させ、He+イオンをHe-イオンに変換する。
【0026】
変換されたHe-イオンは、質量分離電磁石14で所望の質量のイオンに分離され、ファラデーカップ16を再びビームライン上に移動させて電流値が最大となるように、質量分離電磁石の励磁電流を調整する。この状態で、イオン加速器30の前段側の第1加速管19AにHe-イオンを入射させる。
【0027】
高電圧ターミナル20は、高電圧発生回路21により500〜1000kVの正電圧に印加されており、第1加速管19Aに入射したHe-イオンは500〜1000keVに加速され、ストリッパカナル201に導入される。このストリッパカナル201において、導入されたHe-イオンは窒素ガスと衝突することにより、He-イオンから電子が2個剥ぎ取られてHe+イオンに変換される。
【0028】
変換されたHe+イオンは、後段側の第2加速管19Bに導かれ、更に500〜1000keV加速され、最大1000〜2000keVのエネルギーを持ってイオン加速器30から出射される。イオン加速器30で加速されたHe+イオンは、四重極静電型レンズ24で収束され、更に偏向電磁石25で偏向されて、照射チャンバ内のファラデーカップ26で電流値が検出される。
【0029】
さて、イオン源11から引き出したイオンをイオン加速器30で所望のエネルギーにまで加速するためには、各々直線的に接続された第1加速管19A、ストリッパカナル201及び第2加速管19Bの内部をイオンビームが適正に通過する必要がある。
【0030】
そこで、本実施の形態のタンデム型イオン加速装置10は、図2に示すように、ストリッパカナル201を通るビームラインから外れて加速されたイオンの照射を受けたときに発光する発光部材31を備え、この発光部材31が発光しない位置にイオンビームのビームラインを調整するようにしている。
【0031】
図2は、ストリッパカナル201の模式断面図である。ストリッパカナル201は、イオンビームIB1を通過させるための通孔201aを有する細長い管状部材で構成されており、例えば通孔201aの内径は6mm、長さは200mmに形成されている。一方、ストリッパカナル201の上流側(前段側)及び下流側(後段側)には、第1加速管19A及び第2加速管19Bがそれぞれ接続されており、これら加速管19A,19Bの内径は例えば100mmとされている。
【0032】
なお、第1加速管19Aとストリッパカナル201の間は、ストリッパカナル201のフランジ部201bを介して接続され、ストリッパカナル201と第2加速管19Bの間は、ストリッパカナル201のフランジ部201cを介して接続されている。
【0033】
発光部材31は、ストリッパカナル201のイオンビーム導入端側に設置されている。本実施の形態において、発光部材31は、ストリッパカナル201の通孔201aと略同径の中心孔32aを備えた環状板部材32と、この環状板部材32の第1加速管19A側表面に塗布形成された蛍光塗膜33とで構成されている。
【0034】
環状板部材32は、例えば石英やサファイア等、イオンビームの照射を受けてその照射領域が発光する材料が適用されている。発光色は特に限定されず、例えば石英であれば青白い発光色が認められる。また、この環状板部材32を発光性の材料で構成することにより、表面の蛍光塗膜33がイオンの照射で滅失しても所期の発光作用が得られるので、当該発光部材31が長期にわたって使用可能となり、メンテナンス性が高められる。
【0035】
蛍光塗膜33は、真空雰囲気に影響を与えないものであれば特に限定されず、例えばMgO等の蛍光材が適用可能である。イオンビームの照射により、MgO製の蛍光塗膜33は、緑色に発光する。
【0036】
発光部材31は、第1加速管19Aの出口端とストリッパカナル201のフランジ部201bとの間に介装される。この構成により、ストリッパカナル201の通孔201aを通過する正規のイオンビームIB1以外の、通孔201aを通過しないビームライン上を走行する不適正なイオンビームIB2は、発光部材31表面の何れかの領域に衝突することになる。
【0037】
ビームラインの調整は、イオン加速器30の前段に配置されたビーム軸調整手段としての静電ステアラ17によって行われる。静電ステアラ17は、質量分離電磁石14から出射するイオンビームをX方向(図2において紙面垂直方向)とY方向(図2において矢印Y方向)に静電的にビームラインの軸位置調整を行う。なお、静電ステアラ17によって軸位置調整されるビームラインは、加速管19A,19B及びストリッパカナル201の各々の軸方向とほぼ平行であるとみなすことができる。
【0038】
本実施の形態のタンデム型イオン加速装置10において、発光部材31のビーム照射による発光は、高圧タンク18の外部から観察できるように構成されている。図1に示すように、質量分離電磁石14には、イオン加速器30の内部に設置された発光部材31の発光を外部から監視・観察するための監視窓35が設けられている。
【0039】
図3及び図4は、質量分離電磁石14の概略平面図及びその要部の概略断面図である。図3に示すように、監視窓35は、質量分離電磁石14の内部を通りイオンの走行領域を区画する通路36に対して、質量分離電磁石14から第1加速管19Aへ導入されるイオンのビーム経路と同軸的に分岐形成された分岐管37の端部に設置されている。この監視窓35はガラス等の透明板で形成され、分岐管37の一端フランジ部37aに真空封止されることによって、通路36及びこれに連接されている分岐管37内の所定の真空度が維持されている。
【0040】
質量分離電磁石14は、図4に示すように、通路36内を通過するイオンをローレンツ力で所望の質量のイオンのみ抽出し下流側へ導く構造を備え、励磁コイル38が巻装されたヨーク39と、通路36を上下方向に挟むように対向配置された一対のコア40a,40bとが設置されている。監視窓35を上記構成の分岐管37の端部に設置することにより、イオンの進行経路に影響を与えることなく発光部材31の発光面を視認できる。
【0041】
以上の構成により、監視窓35を介して、図4に示すように、第1加速管19Aの終端に設置された発光部材31と、この発光部材31の中心孔32aと整列するストリッパカナル201の通孔201aとを同時に視認することができる。これにより、質量分離電磁石14を通過したイオンビームがストリッパカナル201の通孔201aを通過する適正なビームライン上に位置する場合には発光部材31の発光作用は認められない。従って、第1加速管19Aで加速されたイオンは、適正にストリッパカナル201を通過していることを確認できる。
【0042】
一方、イオンビームが通孔201aを通過しない不適正なビームライン上に位置する場合には、当該イオンビームの照射を受けて発光部材31の被照射領域が発光する様子を、当該監視窓35を介して視認できる。従って、発光部材31の発光領域に基づいて静電ステアラ17を調整することによりビームラインを正規の位置に調整してイオンをストリッパカナル201へ導き、発光部材31が発光しないことを確認して、ビームラインの軸位置調整作業が完了する。
【0043】
なお、上述したストリッパカナル201に対するビームラインの軸位置調整は、ファラデーカップ16,26を用いたビーム電流の検出作業と並行して行うようにしているが、これらファラデーカップ16,26を用いずとも上述した発光部材31を用いる本発明のビームライン調整方法のみでビームラインの軸位置調整を行ってもよい。
【0044】
以上のように、本実施の形態のタンデム型イオン加速装置10によれば、ストリッパカナル201を通るビームラインから外れて加速されたイオンの照射を受けたときに発光する発光部材31を備えているので、イオンがストリッパカナル201を適正に通過することができる位置へビームラインを容易に調整することができるようになる。これにより、イオンビームのビームライン調整作業を簡素化してスループットの向上を図ることができるとともに、タンデム型イオン加速装置の所期の性能を常に確保することができるようになる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
【0046】
例えば以上の実施の形態では、発光部材31の発光を監視する監視窓35を直線的な分岐管37の一端に設置したが、反射ミラーを適宜配置して、分岐管37を屈曲形成することも可能である。
【0047】
また、以上の実施の形態では、監視窓35を介して作業者の目視により発光部材31の発光を確認するようにしたが、これに代えて、監視窓35にCCDカメラ等の固体撮像素子を近接配置させてもよい。この場合、作業者は別の場所でコンピュータ画像を介して発光部材31の発光を確認できる。また、CCDカメラの出力信号に基づいて直接静電ステアラの調整制御を行うようにすれば、イオンビームの調整作業の自動化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態によるタンデム型イオン加速装置10の概略構成図である。
【図2】本発明の作用を説明するストリッパカナル201の断面模式図である。
【図3】監視窓35の設置形態を説明する質量分離電磁石14の平面図である。
【図4】図3における[4]−[4]線方向断面図である。
【符号の説明】
【0049】
10 タンデム型イオン加速装置
11 イオン源
14 質量分離電磁石
17 静電ステアラ
18 高圧タンク
19A 第1加速管
19B 第2加速管
20 高電圧ターミナル
21 高電圧発生回路
30 イオン加速器
31 発光部材
32 環状板部材
32a 中心孔
33 蛍光塗膜
35 監視窓
37 分岐管
201 ストリッパカナル
201a 通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極性の異なるイオンを各々加速させる一対の加速管と、これら一対の加速管が前段側と後段側とに接続される高電圧ターミナルと、この高電圧ターミナルの内部に配置され、前記前段側の加速管で加速されたイオンの極性を反転し当該イオンを前記後段側の加速管へ導く荷電変換部とを有するタンデム型イオン加速装置において、
前記荷電変換部を通るビームラインから外れて加速されたイオンの照射を受けたときに発光する発光部材を備えたことを特徴とするタンデム型イオン加速装置。
【請求項2】
前記発光部材は、前記荷電変換部のイオンビーム導入端側に設置されている請求項1に記載のタンデム型イオン加速装置。
【請求項3】
前記荷電変換部は、前記イオンビームが通過する通孔を有する管状部材であり、前記発光部材は、前記通孔と略同径の中心孔を備えた環状板部材である請求項2に記載のタンデム型イオン加速装置。
【請求項4】
前記環状板部材は石英である請求項3に記載のタンデム型イオン加速装置。
【請求項5】
前記環状板部材は石英であり、その表面に蛍光材が塗布されている請求項3に記載のタンデム型イオン加速装置。
【請求項6】
前記一対の加速管及び前記高電圧ターミナルを収容するタンクを備え、このタンクの外部には、前記発光部材の発光を外部から監視するための監視窓が設けられている請求項1に記載のタンデム型イオン加速装置。
【請求項7】
前記監視窓は、イオン源から発生したイオンを選別する質量分離部であって、この質量分離部から前記加速管へ導入されるイオンのビーム経路と同軸的に設置されている請求項6に記載のタンデム型イオン加速装置。
【請求項8】
極性の異なるイオンを各々加速させる一対の加速管と、これら一対の加速管が前段側と後段側とに接続される高電圧ターミナルと、この高電圧ターミナルの内部に配置され、前記前段側の加速管で加速されたイオンの極性を反転し当該イオンを前記後段側の加速管へ導く荷電変換部とを有するタンデム型イオン加速装置におけるイオンビーム調整方法において、
前記荷電変換部のイオンビーム導入端側に、当該荷電変換部を通るビームラインから外れて加速されたイオンの照射を受けて発光する発光部材を設置し、この発光部材が発光しない位置にビームラインを調整することを特徴とするイオンビーム調整方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−120420(P2006−120420A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−305928(P2004−305928)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】