説明

タンデム質量分析システム

【課題】無駄な解離と分析を行うことなく高効率にタンデム質量分析を行う。
【解決手段】複数の親イオンの中から選択された特定のイオン種を複数の解離イオンに解離して、質量分析を行う質量分析手段(14,14A)を備え、前段で解離した解離イオンを前記親イオンとして前記質量分析を繰り返すタンデム質量分析システムであって、前段の質量分析で分析した複数の解離イオンの各解離情報を記憶するデータベース(10)と、前記複数の解離情報を組み合わせ、その組み合わせられた前記解離情報を用いて、前記特定のイオン種を決定する組合せ決定手段(16)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
試料をイオン化して質量分析を行うタンデム質量分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
質量分析方法には、試料をイオン化してそのまま質量分析するMS分析法(Mass-Spectrometer分析法)と、特定の試料イオン(親イオン)を質量選択し、それを解離させて生成した解離イオンを質量分析するタンデム質量分析法とがある。タンデム質量分析法には、解離イオンの中から、特定の質量対電荷比を持つイオン(前駆イオン)を選択し、更に、その前駆イオンを解離し、その際生成された解離イオンの質量分析を行うといったように、解離−質量分析を多段に行う機能(n段目の計測:以降「MS」という。)がある。
複数の測定対象に対してタンデム質量分析(MS分析)を行う方法として、ある特定質量内に検出されたすべてのイオンに対して同時に質量分析を行うものが開示されている(特許文献1)。
また、測定中に検出されたイオンの情報を判定し、内部データベースに格納してある既に分析したイオンの情報と比較することで、次の分析内容を決定する技術が開示されている(特許文献2)。この技術は、イオンの情報として、親イオンの質量、価数、液体クロマトグラフィまたはガスクロマトグラフィの保持時間を用いている。なお、分析対象は、1つのイオンのみである。
【特許文献1】特開平11−154486号公報
【特許文献2】特開2005−091344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の質量分析システムでは、検査や診断を対象とする測定の場合、多くの測定対象は既知の物質であるが、測定対象が既知の物質であることを確認するためには、各測定対象を解離させ、その測定対象の構造情報を得る必要がある。従来は、未知の物質も既知の物質も同じ条件で分析されていたため、既知の物質であると予測される場合には、無駄な解離と分析が行われていた。
【0004】
本発明は、無駄な解離と分析を行うことなく高効率に質量分析を行うことができるタンデム質量分析システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のタンデム質量分析システムは、複数の親イオンの中から選択された特定のイオン種を複数の解離イオンに解離して、質量分析を行う質量分析手段を備え、前段で解離した解離イオンを前記親イオンとして前記質量分析を繰り返すタンデム質量分析システムであって、前段の質量分析で分析した複数の解離イオンの各解離情報を記憶するデータベースと、前記複数の解離情報を組み合わせ、その組み合わせられた前記解離情報を用いて、前記特定のイオン種を決定する組合わせ決定手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
これによれば、データベースに記憶された複数の解離イオンの解離情報を用いて解離情報の組合せを決定することができる。これにより、無駄な解離及び分析を行うことなく高効率にタンデム質量分析を行うことができる。
【0007】
また、前記解離イオンの質量対電荷比及び解離イオンの量の分布を示す各解離パターンと、前記解離の起こりやすさを示す情報と、前記解離イオンの量と、前記解離イオンの価数と、の何れかの情報又はこれらの組合せである解離情報を用いる構成によれば、高精度に質量分析を行うことができる。すなわち、解離情報に解離パターンの質量対電荷比を用いて、その一致率が最も低い(悪い)組合わせの親イオンを用いることにより、解離パターンの分離が容易になる。また、解離情報に解離イオンの強度情報を用いて、所定範囲内の強度のイオン種を組み合わせることにより、低強度イオンの情報が高強度イオンの情報に埋もれることが回避される。また、価数が異なるが質量が同一となるピークを除外することが好ましい。また、解離情報に価数を用いて、価数毎に組合せの選択を行うことが好ましい。特に、多価イオンのペプチドでは、アミノ酸塩基の主鎖で起こりやすいので、元のペプチドを同定できる可能性が高くなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、無駄な解離と分析を行うことなく高効率にタンデム質量分析を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1実施形態)
本発明の一実施形態である質量分析システムの構成を図1を参照して説明する。
質量分析システム20aは、前処理手段12と、イオン化手段13と、質量分析手段14と、コリジョンセル14Aと、データ処理手段16と、内部データベース10と、イオン検出手段15と、表示手段17と、ユーザ入力手段19と、これらを制御する制御手段18とを備え、衝突誘起解離(CID:Collisium Induced Dissociation)を用いたタンデム質量分析システムを構成している。なお、イオン検出手段15とデータ処理手段16とは、プログラム及びCPUにより実現される。
【0010】
前処理手段12は、ガスクロマトグラフィ(GC:Gas Chromatography)又は液体クロマトグラフィ(LC:Liquid Chromatography)を用いて、試料を分離するものである。たとえば、試料がタンパク質である場合には、消化酵素によりペプチドの大きさに分解される。すなわち、各成分の媒体であるカラムへの吸着度の相違や分配係数の差を利用して、時間的に相互分離される。また、試料を注入してから成分が検出されるまでの時間を保持時間といい、特に、液体クロマトグラフィを用いた場合の保持時間をLC保持時間という。
【0011】
糖鎖の異性体や1つのアミノ酸と同質量を持つ2つのアミノ酸の組合せを持つ化合物のように、質量的に分離することは困難な物質であっても、これらの物質は物質の化学的性質、物理的性質によりクロマトグラフィによってほとんどが時間的に分離することができる。
【0012】
イオン化手段13は、分離された試料をイオン化するものであり、EI(Electron ionization:電子イオン化)法、CI(Chemical Ionization:化学イオン化)法、DEI(Desorption Electron Ionization:脱離電子イオン化)法、DCI(Desorption Chemical Ionization:脱離化学イオン化)法、FAB(Fast Atom Bombardment:高速原子衝撃)法、FRIT−FAB(FRIT-fast Atom Bombardment:フリット高速原子衝撃)法、ESI(Electrospray Ionization:エレクトロスプレーイオン化)法、等が用いられる。
【0013】
コリジョンセル(Collision Cell)14Aは、ヘリウムなどのバッファーガスと衝突させて、分離された試料を誘起解離させる。質量分析手段14は、イオンの質量対電荷比m/zに応じて、そのイオンを分離する。ここで、mはイオンの質量、zはイオンの価数(帯電価数)である。具体的には、イオンに電界を加え、所定距離を移動する時間差によってイオンを分離する。イオン検出手段15は、分離された各イオンの量(イオンの数)を検出するものである。具体的には、質量分析手段14に設けられたフォトマル等の検出器により検出されたイオンの量と時間差を計測する。また、コリジョンセル14Aを不要とし、質量分析手段14に中性ガスを充満させて、質量分析手段14内で衝突解離させることもできる。また、解離手段として、低エネルギーの電子を照射し、親イオンに低エネルギー電子を捕獲させることにより、ターゲットイオンを解離させる電子捕獲解離(Electron Capture Dissociationや電子移動解離(Electron Transfer Dissociation)を採用してもよい。
【0014】
データ処理手段16は、データ整理及び処理を行うものであり、分析イオン種の組合わせを決定する組合せ決定手段及び積算回数等の分析条件を決定する分析条件決定手段を備える。表示手段17は、その分析結果である質量分析データをLCD,CRT上に表示する。制御手段18は、試料の前処理、試料のイオン化、試料イオンビームの質量分析手段14への輸送・入射・質量分離過程、イオン検出、及び、データ処理の全体を制御する。ユーザ入力手段19は、キーボード、ポインティングデバイスによって構成され、操作者が各種設定値を入力する。
【0015】
内部データベース10には、過去に同じ試料を分析した際に得られた特性データ、例えば、MSn+1(n≧1)分析を実行した親イオンの特性データ(検出されたイオンの質量数m、価数z、質量対電荷比m/z、強度I、LC保持時間、解離イオン情報など)が格納されている。また、解離イオン情報は、質量対電荷比m/z、価数z、強度I(intensity)の3つのパラメータから構成されている。この内部データベース10には、MSn+1分析したイオン種の情報が自動で格納される。
【0016】
具体的に、図2(a),図2(b)は、ペプチドA,ペプチドB,ペプチドC等の特性データを示し、図2(c),図2(d)は、一度同定しているために分析対象から除外したいタンパク質由来のペプチドの特性データを示している。また、図2(b),図2(d)は、強度の高い順に10本の解離イオン情報を格納している。更に、図3(a),図3(b)は、糖鎖A,糖鎖B,糖鎖C等の特性データを示し、図3(c),図3(d)は、化学物質A,化学物質B,化学物質C等の特性データを示す。また、図3(e),図3(f)は、ノイズや不純物由来の特性データである。
【0017】
ここで、特許文献2の技術と異なる点は、格納する情報として、MSn+1分析で得られた解離イオン情報(質量対電荷比m/zと価数zと強度Iとのセット)を格納している点である。解離イオンの情報としては、ユーザが格納するデータ量を設定することが可能である。なお、測定中には、内部データベース10の各種データは、装置の保有するメモリ上にすべてのデータが読み込まれており、高速にデータ照合を行うことが可能である。またメモリ上のデータは、分析終了時に、ハードディスクドライブにファイルとして出力することが可能である。
【0018】
本実施形態の質量分析システム20aは、大元である試料中の物質の質量分析分布をマススペクトルデータ(MS)として計測後、あるm/z値を持つ親イオンを選択し、それを解離し、得られた解離イオンの質量分析データ(MS)を計測後、MSマススペクトルデータのうち、選択された前駆イオンを更に解離し、得られた解離イオンの質量分析データ(MS)を計測するといったように、解離・質量分析を多段に行う。解離段階毎に、解離前の状態である前駆体イオンの分子構造情報が得られるので、前駆体イオンの構造推定に非常に有効である。これら前駆体の構造情報が詳細になるほど、大元の構造である親イオン構造を推定する際の推定精度が向上する。
【0019】
本実施形態では、前記のような方法で得られた質量分析スペクトルを測定中に解析し、分析内容を自動で判定する。本実施形態の処理フローを、図4及び図5を用いて説明する。
【0020】
図4のS1において、前段で分析した質量分析データ(以下、MS質量分析データという。)が読み込まれる。特に、初期値n=1の場合には、解離を行わないMS分析の分析データが読み込まれる。さらにS2では、マススペクトルに対してピーク総数Npのピーク判定が実行され、S3において、Np個のピークに対して、同位体ピーク判定が実行される。
【0021】
例えば、隣接するピークの間隔が所定範囲以内の場合に同位体ピークの可能性があると推定される。これにより、同位体無しのピーク(モノアイソトピックピーク)数Npiが決定される。なお、試料がペプチドや蛋白質の場合は、構成元素は、C,O,N,H,Sに限られ、自然存在比とペプチド内での包含数を考えると、炭素Cの同位体数が多くなる。C12とその同位体であるC13との間の質量数差は、1.003354である。
【0022】
次に、処理はS4に進み、同位体無しのピークと内部データベース10との照合が実行される。この内部データベースとの照合処理を図5を参照して説明する。
S21において、各ピークiの質量数m、価数z、カウント数に相当する強度Iを特定し、S22において、分析開始から現在までの時間に相当するLC保持時間τが特定される。そして、処理がS23に進み、特定されたイオン種情報が内部DB格納値と一致しないピークが有るか否かが判定される。不一致のピークがある場合には(S23においてYes)、S24に進み、不一致イオンを対象としたMSn+1分析の実行イオンを選択する。すなわち、不一致ピークの分析が優先して行われる。不一致ピークは内部データベース10に格納されていないイオンであるため、変異等の未知のイオンである可能性があり、優先してMSn+1分析を行う 。この際に行われる分析は、1種のイオン種を対象とした通常のMSn+1分析(n≧1)である。そして、元のルーチンに戻る。
【0023】
一方、すべてのピーク情報が内部データベース10と一致する場合には(S23においてNo)、S25に進み、複数の一致イオンを対象としたMSn+1分析の実行イオンを選択する。これは、内部データベース10と一致したピークが既知の物質であることの確認のために行われ、この際、一致したNpiのイオン種に対して、どの組合せでMSn+1分析を行うかを選択する。そして、元のルーチンに戻る。
【0024】
ここで、一致したイオン種に対して行なわれる組合せ決定の詳細について、図6,図7を用いて説明する。
複数の親イオンを同時にMSn+1分析する際に、異なる親イオン種の解離パターンが一致する場合又は重なる場合には、分離又は解析が困難となるため、可能なだけ解離パターンが一致しない組合わせを選択することが望ましい。本実施形態では、前段で測定したスペクトルパターン情報を内部データベース10に格納するように構成されているため、このパターン情報を用いて選択イオンを分析した際に得られるMSスペクトルを予測し、スペクトルの一致率を計算する。この一致率を用いて組合わせの順位付けを行う。また、一致の判定を行う際の裕度は、分析開始前にユーザが指定する。また、ユーザはMSn+1分析を実行するイオン種の最大数(何種類まで同時にMSn+1分析を行うか)を分析開始前に指定する。
【0025】
図6は、複数の一致イオンを対象としたMSn+1分析実行イオンの選択(図5のS25)において、判定の基準にイオン種の解離パターンを用いた場合のフローS25aを示している。
S41では、内部データベース10と一致したイオン種の数Naを特定する。そして、S42で、内部データベース10から解離パターンをNaの数だけ読み込む。そして、S43で、イオン種の全組合せについて解離パターンが、ユーザ指定された選択イオン種の最大数内で合成される。S44では、すべての選択候補イオンに対して組合せの順位付けが行われる。この際に、各スペクトルの一致率が導出され、予測スペクトルに順位付けを行う。一致率には、或る一定の裕度以内で一致する(重なる)ピーク数/全ピークの値が用いられる。そしてS45で、最も一致率の低い組合せが選択するイオン種の組合せとして決定され、元のルーチンに戻る。
【0026】
図7は、解離パターンを用いた判定の例である。ここでは、最大2つのイオン種に対してMS分析を実行するよう設定した例を示す。
まず、符号27に示されるMSで検出された3本のピークと、内部データベース10に記憶されたイオン種の情報とが一致する解離パターン(符号23)が内部データベース10から読み出される(S42)。すなわち、イオンA、イオンB及びイオンCの解離パターンが読み出される。更に、同時にMS分析するイオン種の最大数が2であると設定されている為、(A,B)、(A,C)、(B,C)の3種類の組合せで解離パターンが合成される(符号24、S43)。この場合、イオンAのピーク数は4であり、イオンBのピーク数は4であり、イオンCのピーク数は5である。また、一致するピーク数は、(A,B)=0本、(A,C)=6本、(B,C)=2本である。一致率は一致するピーク数/全ピーク数であり、A+B=0/8、A+C=6/9、B+C=2/9と算出される(符号28)。そして、組合せの順位付けが行われ(符号25、S44)、一致率の最も悪い(A,B)の組合せがMSn+1分析を実行するイオン種として決定される(符号26、S45)。これにより、異なる親イオンから生成される解離ピークが混在することなく、高精度な質量分析を行うことが可能になる。
【0027】
再び図4に戻り、MSn+1分析の対象候補が有るか否かが判定される(S5)。対象候補がない場合には(S5においてNo)、MSn+1分析は実行されず、計測終了か否かの判定が行われる(S6)。一方、MSn+1分析の候補が有る場合には(S5においてYes)、S8に進む。S8においては、MSn+1分析条件の設定が行われ、例えば、選択したイオンの強度情報に基づいた分析条件と選択したイオンの解離特性に基づいた分析条件とが設定され、分析条件設定手段として機能する。
【0028】
図8は、選択したイオンの強度情報に基づいた分析条件の設定方法を示す図である。ここでは、選択した親イオンの強度Iの和ΣIから、MS分析の積算回数が設定される。例えば、親イオンがイオンA,イオンB,イオンCの3種類であり各イオンの強度がI,I,Iであるとき、強度Iの和はΣI=I+I+Iとなる。イオンの強度が大きい場合には、何度もデータを積算しなくともシグナル/ノイズ比(S/N比)の高いスペクトルが得られることが多い。このため、イオンの強度Iから、以下の式を用いて積算回数Nを決定する。
N=A*Nmax/ΣI (1)
ここで、Aはユーザ指定の係数、Nmax はユーザ指定の最大積算回数である。(1)式より、イオンの強度が高い場合には、積算回数が小さく設定され、一方、イオン強度が低い場合には、積算回数が大きく設定される。また、積算回数の最大値Nmax 、最小値Nminはユーザ入力手段19を介してユーザが設定できる。また、計算の結果得られた積算回数Nが設定したNmax よりも大きくなった場合には、Nmax を採用し、Nmin 未満となった場合には、Nmin を採用し、設定した範囲内で強度Iに応じて積算回数を変更する。
【0029】
次に、図9は、選択したイオンの解離特性(符号35)に基づいた分析条件の設定を示している。解離の特性は、イオン種によって異なっており、例えば、測定対象がペプチドであった場合など、各アミノ酸残基間のペプチド結合の解離エネルギーは大きく異なる。このため、選択された親イオンの解離のし易さを評価することにより、積算回数を判定することができる。本実施形態では、内部データベース10に格納された、前段までに分析したイオン種のMSn+1分析情報から、イオンの解離特性を判定する。判定の指標としては、選択されたイオン種の解離特性をPとし、以下の式により算出する。
P=(内部データベース10に格納された解離イオン強度の総和)/(内部データベース10に格納された親イオンの強度)
すなわち、解離イオンの強度の総和が大きいほど、Pの値は大きくなる。なお、Pを算出する際、解離せずにMSスペクトルに残ってしまった親イオンや親イオンからの脱水、脱アンモニアなどの情報は除外する。
【0030】
ここでは、選択イオンの解離特性を平均化し、平均化されたPave=(P+P+P)/3から以下の式を用いて積算回数Nを導出する。
N=B*Nmax/Pave (2)
ここで、Bはユーザ指定の係数、Nmaxはユーザ指定の最大積算回数である。式(2)より、イオンの解離特性が高い(解離イオンが多く検出されやすい)場合ほど、積算回数を減少させることが可能である。ここでも、イオンの強度Iを用いた積算回数の判定と同様に積算回数の最大値、最小値を設定でき、設定した範囲内で積算回数を決定する。
【0031】
以上の分析条件の設定を行った後、図4のS9において、指定された条件でMSn+1分析を実行する。そして、S10に進み、MSn+1分析の親イオンが内部データベース10に記憶されているイオン種に不一致であるか否かを判定する。解離イオンのスペクトルが不一致の場合には(S10においてYes)、分析したイオン種の情報(質量数、価数、保持時間、解離パターン)を内部データベース10すなわち装置のメモリ上に記録する(S11)。その後、分析終了か否かの判定が行われる(S6)。一方、解離イオンのスペクトルが一致すると判定される場合には(S10においてNo)、計測終了か否かの判定が行われる(S6)。
【0032】
S6において、計測終了でなければ(S6においてNo)、S7において、MS分析が実行され、S1に進み、分析されたMS質量分析データが読み込まれる。このようにして、分析終了まで前記処理が繰り返される。一方、計測終了と判定されれば(S6においてYes)、計測が終了する。なお、データ処理手段16にて実行されるS2,S3,S4,S5,S6,S8,S10の合計処理時間は、10ミリ秒以内であり、測定に対して影響を及ぼさない。
【0033】
なお、複数のイオン種に対して同時にMS分析(n≧2)を行う際には、測定中(イオンが検出されてから次の分析を実施するまでの時間、例えば10ミリ秒、100ミリ秒など)に、分析して得られるスペクトルが解析の容易な(例えば、ピークの重ならない)組合せか否かを判定し、その結果を元にイオン種の組合せを決定することが望ましい。
【0034】
以上説明したように、本実施形態によれば、複数のイオン種を対象としたMS分析(n≧2)を実行する際に、分析を行う複数イオン種の組合せおよび分析条件を測定中に自動で評価することにより、次の分析内容を決定するので、高効率に測定を行うことが可能となる。
【0035】
また、複数のイオン種を同時にMS分析(n≧2)する方法が報告されており、分析開始前にユーザが同時に分析したいイオン種を登録しておく方法と、検出されたイオン種すべてに対してMS分析(n≧2)を行う方法とがある。
しかし、分析前にイオン種を登録しておく方法では、実験の条件(例えば、試料を分離する液体クロマトグラフィなど)により、イオンの検出時間がずれることがあり、指定しておいたイオン種が同時に検出されない場合がある。このような場合、他に分析すべきイオン種が検出されたとしても、指定されたイオン種は優先して別々に分析されるため、分析のスループットが低下する。しかし、本実施形態によれば、次段の分析までに分析条件を決定するので、スループットの低下がない。
【0036】
一方、各時間で検出されたイオン種すべてに対してMS分析(n≧2)を行う方法では、イオン種によっては、解離して得られるイオンの質量が等しくなる場合があり、このような場合には、複数のピークが重なるため、元のイオン種を推定することが非常に困難になる。また、得られる解離イオンの強度(量)が極端に異なる場合には、微量なイオン種のピークは、高強度なイオンピークに埋もれてしまい、解析が困難になる。しかし、本実施形態によれば、ピークが異なるイオン種の組合せを選択するので、元のイオン種の推定が容易となる。
【0037】
また、疾病や健康状態の指標となるバイオマーカを探索する際には、生体中に多数存在するバイオマーカ候補すべてに対して、分析を行う必要がある。通常のタンデム質量分析では、1つ1つの測定対象に対して、スペクトルを取得しており、スループットが低い。複数のペプチドを同時に測定することができれば、スループットの向上が図れるが、得られるスペクトルには、異なるイオンに由来する解離ピークが混在するため、スペクトルの解析が困難となる。しかし、本実施形態によれば、測定済みの解離スペクトルを内部データベースに記憶しておくので、スループットが高い。
【0038】
(第2実施形態)
第1実施形態では、複数の一致イオンを対象としたMSn+1分析実行イオンの選択S25において、解離パターンすなわち質量対電荷比m/zを判定の基準に用いていたが、判定の基準にイオンの強度I、質量m、価数z、あるいはこれらの組合せを用いることができる。
【0039】
まず、図10の実行イオン選択フローS25bを参照して、イオンの強度に応じて、選択する組合せを判定する方法を説明する。
S51では、内部データベース10と一致したイオン種の数Naを特定する。そして、S52で、イオン強度毎に分類し、S53で、組合せの順位付けを行い、S54で組合せが決定され、元のルーチンに戻る。
【0040】
通常、強度の高い(量の多い)親イオンは得られる解離イオンも強度が高く(量が多く)、高強度と低強度の親イオンでは、得られる解離イオンの強度が異なる。このため、高強度イオンと低強度イオンとを組み合せて解離させた場合には、低強度のイオンから生成される解離イオンの情報が高強度イオンに埋もれる可能性がある。この場合、低強度イオンから得られる解離ピークを分離することは困難な場合が多く、親イオンの強度条件に応じて、選択するイオンの組合せを判定することが望ましい。本システムでは、ユーザが分析前に強度情報に関して条件(強度毎に分類する閾値)を設定し、この強度範囲内に含まれるイオン種を自動で判定する。
【0041】
図11は、イオン種の強度情報を用いた判定の例である。ここでは、強度の高い順にMS分析を実行するよう設定した例を示す。符号36に示すようなMSスペクトルが得られた際、符号30のスペクトルにおける破線のように、ユーザが分析前にイオンの強度情報に関する閾値(閾値1,閾値2)を設定しておくことにより、イオン種を分類1,分類2,分類3の3つに分類することが可能である。符号31のスペクトルのように、閾値1以上の強度のイオン種の組合せが分類1であり、閾値2以上閾値1未満の強度のイオン種の組合せが分類2であり、閾値2未満の強度のイオン種の組合せが分類3である。すなわち、強度の高い順に、分類1、分類2、分類3の順番に順位付けができる(符号32、S53)。そして、順位が最も高い分類1に組合せが決定される(符号34、S54)。ここでは3分類の例を示したが、最大9分類まで設定することが可能である。システムは、強度の情報から各イオン種を自動で分類する。ここでは、強度の高い分類順にMS分析を実施するよう設定した場合だが、分析開始前に、ユーザが各分類に優先順位をつけることも可能である。
【0042】
これらの処理により、解離して得られるイオンの質量が等しくなる場合であっても、質量分析が容易となる。
【0043】
次に、図12の実行イオン選択フローS25cを参照して、イオンの質量に応じて、選択する組合せを判定する方法を説明する。以下、図10の各ステップと同一の機能は同一のステップの番号を付している。
S51では、内部データベース10と一致したイオン種の数Naを特定する。S62では、イオン質量毎に分類される。なお、この分類は、ユーザによって指定される。S53では、組合せの順位付けが行われる。S54では、その順位付けに基づいて組合せが決定され、元のルーチンに戻る。
【0044】
これにより、通常のタンパク質消化物のサンプルでは、イオン化の際に、1つのペプチドから様々な価数zのイオンが生成される。このため、価数zは異なるが質量mが同じとなるピークは、組合せから除外する。本システムでは、リアルタイムに判定したイオンの質量情報から、イオン種を自動判定し、組合せを決定する。
また、その他、質量領域の分割数を設定しておき、設定された分割数から割り当てられる分割領域に含まれるイオン種を組み合せることも可能である。これらの情報は、分析開始前にユーザが指定可能である。
【0045】
次に、図13の実行イオン選択フローS25dを参照して、イオンの価数に応じて、選択する組合せを判定する方法を説明する。
S51では、内部データベース10と一致したイオン種の数Naを特定する。S72では、イオン種がイオン価数毎に分類される。なお、この分類はユーザによって指定される。S53では、組合せの順位付けが行われる。S54では、その順位付けに基づいて組合せが決定され、元のルーチンに戻る。
【0046】
同じ物質であってもイオンの価数が異なることにより解離の傾向は異なることが報告されている(J.Mass Spectrom,35,1399-1406(2000))。測定対象がペプチドである場合、特に多価イオンでは、アミノ酸残基の主鎖で解離が起こりやすくなるため、元のペプチドを同定できる可能性が高い。このため、本システムでは、リアルタイムに判定したイオンの価数情報から、同一の価数zであるイオンを自動判定し、価数毎に組合せを決定する。価数の優先順位付けは分析開始前にユーザが設定可能である。
【0047】
以上の判定は、測定中に行う複数の一致イオンを対象としたMSn+1分析実行イオンの選択S25の際の判定方法は、前記のそれぞれの判定のみ、あるいは、図14に示すように、複数の判定を組合せることが可能である。すなわち、イオン強度毎の分類(S52)、イオン質量毎の分類(S62)及びイオン価数毎の分類(S72)が組み合わされる(S53)。組合せ後に、組合せ決定が行われ(S54)、元のルーチンに戻る。また、判定のフロー及び各判定の条件は、分析開始前にユーザが設定可能である。
【0048】
(第3実施形態)
前記各実施形態は、コリジョンセル14Aを用いて試料を衝突誘起解離させたが、イオントラップ型の質量分析装置を用いても、本発明の実施が可能である。
図15に示すように、質量分析手段14及びコリジョンセル14Aの代わりに、イオントラップ型質量分析手段37が設置されている点が図1と異なる。次に、図16を参照してイオントラップ型質量分析手段37の構成を説明する。イオントラップは、対向して設けられた半楕円形状の2つのリング電極55a,55bと、これらを挟むように対向して設けられた2つのエンドキャップ電極54a,54bとから構成される。2つのリング電極55a,55bには、RF電圧(高周波電圧)VRFcosΩtが印加され、2つのエンドキャップ電極54a,54bには、共鳴電圧±Vrecosωtが印加される。これにより、イオントラップ内には、高周波の四重極電界が主に生成される。そして、エンドキャップ電極54a,54bに設けられた入射口から入射したイオンはそのm/z値に応じて、異なる振動周波数で振動してトラップ(蓄積)される。すなわち、イオントラップ自身がコリジョンセルの役割を果たす為、コリジョンセルを別途設ける必要が無い。
【0049】
タンデム質量分析MS(n≧2)のターゲットが本実施形態により自動判定された後、そのm/z値を持つ特定イオン種のみを残して、その他のすべてのイオン種を共鳴出射させる。そして、イオントラップ内に残された特定イオン種をイオントラップから出射しない程度に共鳴振動させることにより、中性ガスと強制衝突させて、タンデム質量分析MS(n≧2)のターゲットイオン種を解離させる。このとき、エンドキャップ電極間に共鳴電圧を印加する。この共鳴電圧とは、特定イオン種がイオントラップ内での振動の振動周波数ωとほぼ同じ周波数ω(≒ω)で、位相を逆転させた電圧±Vrecosωtであり、+Vrecosωt、−Vrecosωtは、各々、各エンドキャップ電極に印加される。本実施形態の質量分析システムにより自動的に判定された、次のターゲットイオン種の質量対電荷比m/z値に応じて、タンデム質量分析の際に、高周波電圧の振幅値や、共鳴電圧の周波数、振幅などが自動的に調整され、最適化制御される。前記のように、イオントラップは、タンデム質量分析MS(n≧2)が実行できる為、本実施形態のような、自動的に次のターゲットを判定するシステムは非常に有効である。
【0050】
次に、図17を用いて、図1の質量分析手段14及びコリジョンセル14Aの代わりに、イオントラップ38及び飛行時間型(TOF:Time Of Field)質量分析手段39を設けた場合について説明する。この場合、イオントラップは、イオンの蓄積、親イオンの選択、及び、コリジョンセルとしての役割を果たす。このとき、本実施形態のシステムにより自動的に判定された、次のターゲットイオン種の質量対電荷比m/z値に応じて、前記のタンデム質量分析の際に、イオントラップの印加電圧である、高周波電圧の振幅値や、共鳴電圧の周波数、振幅などが自動的に調整され、最適化制御される。実際の質量分析は、TOF部にて高分解能分析される。本実施形態の内部データベース10との照合により、タンデム分析が必要と判定された場合は、イオントラップにて親イオンを選択・解離し、TOFにて質量分析し、タンデム分析が必要と判定されない場合は、イオントラップを通過してTOFにて質量分析される。従って、本実施形態によれば、タンデム分析の必要性を自動的に判定できる為、非常に高効率な分析が可能となる。
【0051】
次に、図18を参照して、図1の質量分析手段14及びコリジョンセル14Aの代わりに、リニアトラップ40及び飛行時間型(TOF)質量分析手段39を設けた場合について説明する。
リニアトラップ40の構成を図19に示す。リニアトラップは、ポール状の4本の電極(四重極電極)59a〜59dを含み、四重極電極間に中性ガスが充填され、イオンの蓄積、親イオンの選択、及び、コリジョンセルとしての役割を行う。このとき、対向する電極59a,59bと、他の対向する電極59c,59dとの間に、逆位相の高周波電圧±VRFcosΩtが各々印加される。これにより、リニアトラップ内には、高周波の四重極電界が主に生成され、イオンはそのm/z値に応じて、異なる振動周波数で振動してトラップ(蓄積)される。
【0052】
タンデム質量分析MS(n≧2)のターゲットが本実施形態により自動判定された後、そのm/z値を持つ、1つ或いは複数の特定イオン種のみを残して、その他のすべてのイオン種を共鳴出射させ、リニアトラップ内に残された特定イオン種をリニアトラップから出射しない程度に共鳴振動させ、中性ガスと強制衝突させて、タンデム質量分析MS(n≧2)のターゲットイオン種を解離させる。このとき、対向する1組の電極間に共鳴電圧を印加する。この共鳴電圧とは、特定イオン種がリニアトラップ内での振動の振動周波数ωとほぼ同じ周波数ω(≒ω)で、位相を逆転させた電圧±Vrecosωtであり、+Vrecosωt 、−VREcosωt は、各々、対向する1組の各電極に印加される。本実施形態のシステムにより自動的に判定された、次のターゲットイオン種の質量対電荷比m/z値に応じて、タンデム質量分析の際に、高周波電圧の振幅値や、共鳴電圧の周波数、振幅などが自動的に調整・最適化制御される。図15に比べて、イオンのトラップ率が大幅(約8倍)に向上する。したがって、本実施形態によれば、高感度データに基づいて、次の分析内容を決定する為、非常に高精度に、判定を実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態である質量分析システムの構成図である。
【図2】内部データベースに格納されている特性データを示す図である。
【図3】内部データベースに格納されている他の特性データを示す図である。
【図4】本発明の一実施形態である質量分析システムの制御フローチャートである。
【図5】イオン種と内部データベースとの照合を実行するフローチャートである。
【図6】解離パターンを用いてMSn+1分析実行イオンの選択のためのフローチャートである。
【図7】MSn+1分析実行イオンの選択を説明するための図である。
【図8】イオン強度を用いて分析条件を設定する方法を説明するための図である。
【図9】イオンの解離特性を用いて分析条件を設定する方法を説明するための図である。
【図10】イオン強度により分類を行う場合のMSn+1分析実行イオンの選択のためのフローチャートである。
【図11】イオン強度を用いて分析条件を設定する方法を説明するための図である。
【図12】質量を用いてMSn+1分析実行イオンの選択を説明するための図である。
【図13】価数を用いてMSn+1分析実行イオンの選択を説明するための図である。
【図14】イオン強度、質量、価数の組合せを用いてMSn+1分析実行イオンの選択を説明するための図である。
【図15】イオントラップ型質量分析部の構成の構成図である。
【図16】イオントラップの構成図である。
【図17】イオントラップ型質量分析システムの構成図である。
【図18】リニアトラップ型質量分析システムの構成図である。
【図19】リニアトラップの構成図である。
【符号の説明】
【0054】
10 内部データベース
12 イオン化手段
12 前処理手段
13 イオン化手段
14 質量分析手段
14A コリジョンセル
15 イオン検出手段
16 データ処理手段
17 表示手段
18 制御手段
19 ユーザ入力手段
20a 質量分析システム
37 質量分析手段
37 イオントラップ型質量分析手段
38 イオントラップ
39 飛行時間型型質量分析手段
40 リニアトラップ
51,53,58a,58b 共鳴電圧
52,56a,56b RF電圧
54a,54b エンドキャップ電極
55a,55b リング電極
59a,59b,59c,59d 電極
I 強度
MSn タンデム質量分析
m 質量数
z 価数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の親イオンの中から選択された特定のイオン種を複数の解離イオンに解離して、質量分析を行う質量分析手段を備え、
前段で解離した解離イオンを前記親イオンとして前記質量分析を繰り返すタンデム質量分析システムであって、
前段の質量分析で分析した複数の解離イオンの各解離情報を記憶するデータベースと、
前記複数の解離情報を組み合わせ、その組み合わせられた前記解離情報を用いて、前記特定のイオン種を決定する組合わせ決定手段と
を備えることを特徴とするタンデム質量分析システム。
【請求項2】
前記解離情報は、前記解離イオンの質量対電荷比及び解離イオンの量の分布を示す各解離パターンと、前記解離の起こりやすさを示す情報と、前記解離イオンの量と、前記解離イオンの価数と、の何れかの情報又はこれらの組合わせの情報であることを特徴とする請求項1に記載のタンデム質量分析システム。
【請求項3】
前記解離情報は、前記解離イオンの質量対電荷比の分布を示す各解離パターンであり、
前記特定のイオン種は、解離パターンの前記質量対電荷比の一致率が最も低い組合わせである複数のイオン種である
ことを特徴とする請求項1に記載のタンデム質量分析システム。
【請求項4】
媒体を通過する保持時間の相違により測定対象物質を分離する前処理手段と、
前記分離された測定対象物質をイオン化するイオン化手段と、
を備え、
前記複数の親イオンは、イオン化された測定対象物質と、前記前段の質量分析により解離された複数のイオン種との何れか一方のイオンであることを特徴とする請求項1に記載のタンデム質量分析システム。
【請求項5】
前記特定のイオン種に関する情報を用いて前記質量分析の分析条件を設定する分析条件設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のタンデム質量分析システム。
【請求項6】
前記特定のイオン種に関する情報は、前記特定のイオン種の価数と、前記特定のイオン種の強度と、前記解離イオンの強度との何れか1つの情報又はこれらの組合わせの情報であることを特徴とする請求項5に記載のタンデム質量分析システム。
【請求項7】
前記特定のイオン種に関する情報を用いて前記質量分析の積算回数を設定する分析条件設定手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のタンデム質量分析システム。
【請求項8】
前記組合わせ決定手段は、特定時間内に処理を実行することを特徴とする請求項1に記載のタンデム質量分析システム。
【請求項9】
前記特定時間は、実行中の前記質量分析から次段の前記質量分析への移行時間であることを特徴とする請求項8に記載のタンデム質量分析システム。
【請求項10】
前記質量分析手段は、衝突誘起解離を用いた質量分析手段と、イオントラップ型質量分析手段と、飛行時間型質量分析手段との何れかの手段を用いることを特徴とする請求項1に記載のタンデム質量分析システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−121134(P2007−121134A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−314393(P2005−314393)
【出願日】平成17年10月28日(2005.10.28)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】