説明

タンパク質とキレート剤とのコンジュゲートを調製するための改良された方法

タンパク質とキレート剤とのコンジュゲートを調製するための改良された合成方法が提供される。本合成方法では、例えばクエンチング剤を用いてコンジュゲートを処理するステップによって、前記コンジュゲートが合成された後に非安定性結合が加水分解される。本合成方法は、前記コンジュゲートが長期間にわたり保管された後にキレート剤がコンジュゲートと解離する可能性が低いように、タンパク質とキレート剤との間の非安定性結合を実質的に含んでいないコンジュゲートを提供する。前記コンジュゲートは、治療または診断方法のために有用な可能性がある。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本特許出願は、2003年12月1日に出願された、その内容が全体として本明細書に組み込まれる米国仮特許出願第60/526,044号に対する優先権を主張する。
【0002】
[発明の分野]
放射性核種および遷移金属などの金属イオンは、数多くの診断技術および治療技術のために有用である。例えば、金属イオンは、詳細には放射免疫検出法、放射免疫療法、磁気共鳴イメージング法、光力学療法またはその他の類似様式に関して、診断薬または治療薬として使用できる。しかし、これらの技術は、選択された組織にその金属イオンを特異的にターゲッティングすることを必要とする。ターゲッティング分子(抗体もしくは結合分子など)および/またはターゲッティング可能な分子(ハプテンペプチドなど)を使用すると、選択された組織へ金属イオンをターゲッティングすることができるが、このときターゲッティング分子またはターゲッティング可能な分子はキレーターへコンジュゲートされる。抗体−キレーターのコンジュゲート(もしくはペプチド−キレーターのコンジュゲート)は、これらのコンジュゲートのキレーター部分が金属イオンに結合して金属キレートを形成できるために有用である。
【0003】
抗体−キレーターのコンジュゲートを使用すると、標的組織へ金属キレートを直接的にターゲッティングすることができるが、他方ペプチド−キレーターのコンジュゲートは典型的には二重特異性結合分子と組み合わせて使用される。例えば、ペプチド−キレーターのコンジュゲートは、標的組織も認識する二重特異性結合分子によって認識されるハプテンを含んでいてよい。したがって、二重特異性結合分子を使用するとペプチド−キレーターのコンジュゲート(すなわち、ターゲッティング可能な分子)を標的組織へ局在化させることができる。
【0004】
キレーターが抗体またはペプチドから解離すると、遊離キレーターがコンジュゲートと競合し、診断的または治療的金属イオンへ結合する可能性があるため、これらのコンジュゲートの安定性が重要である。最終的には、この場合、抗体−またはペプチド−キレーターコンジュゲートへの金属イオンの取り込み率は低くなる。
【0005】
そこで、合成されたコンジュゲートが長期間にわたって金属の取り込み率が高く有用であるように、キレート剤および金属キレートとタンパク質、ポリマー、ポリペプチドおよびペプチドとの安定なコンジュゲートを調製する継続的な必要がある。キレート剤が、キレーター−タンパク質コンジュゲートの製造後の長期間にわたって、対象の金属イオンへ安定的かつ再生可能に結合することができ、高い取り込み率(incorporation yield)で結合し続けることが保証されなければならない。コンジュゲート合成反応にクエンチングステップを組み込むことによって、本発明者らはキレーター−タンパク質コンジュゲート(例えば、タンパク質アミノ基上でのアシル化反応によって産生するコンジュゲート)の保管寿命の安定性に関する問題に対応してきた。
【0006】
以前に、他の研究者らは、例えばペプチド−メトトレキサートコンジュゲートを処理するために、合成反応においてクエンチングステップを使用している。Endo et al.,の米国特許第5,106,955号を参照;さらにBrinkley,Bioconjugate Chem.1992,Vol.3,No.1,pp.1-13も参照されたい。しかし、クエンチングステップはこれまで、1,4,7,10-tetraaazacyclododecaneN,N',N'',N'''-tetraaacetic acid(DOTA)−ペプチドコンジュゲートもしくはその誘導体を処理するためには使用されてはいない。Lewis et al.,Bioconjugate Chem.1994,5,565-576;Govindan et al.,Bioconjugate Chem.,Vol.9,No.6,1998,773-782;Min et al.,Bioconjugate Chem.Vol.5,No.2,1994,101-104;米国特許第5,082,930号;米国特許第5,435,990号;米国特許第5,739,323号;および米国特許第5,756,065号を参照されたい。
【0007】
DOTA−ペプチドコンジュゲートを合成する大多数の方法は、DOTA分子とペプチドのリシン残基上で1つ以上のε−アミノ基との安定性アミド結合が形成されることに基づいている。以前に記載されたDOTA−ペプチドコンジュゲートを形成する方法は、DOTA−ペプチド合成反応が典型的には高いpH(>8.0)で実施され、あらゆる不安定なエステル結合は容易に加水分解されると予想されるために、ペプチド(例えば、セリン、トレオニン、もしくはチロシンのヒドロキシル基)との不安定なDOTA−エステル結合の形成も生じさせる可能性がある。さらに、DOTA−ペプチド合成反応は、典型的には1ペプチド当たりのDOTAの低い置換比率を生じさせる。例えば、約100:1のDOTA対ペプチドのモル比を用いた合成反応は、合成されたコンジュゲート内で1ペプチド当たり4個未満のDOTA分子の置換比を典型的には生じさせる。Lewis et al.,Bioconjugate Chem.1994,5,565-576;およびGovindan et al.,Bioconjugate Chem.,Vol.9,No.6,1998を参照;さらにGriffiths et al.,J.Nucl.Med.Vol.44,No.1,Jan.2003,77-84も参照されたい。低い置換率は、合成されたDOTA−ペプチドコンジュゲートが安定な結合(例、リシンアミド)に比較して不安定な結合(例、セリン、トレオニン、および/またはチロシンエステル)をほとんど含有しないことを示唆するであろう。そこで、クエンチングステップの組み込みは、長期間にわたり保管されたDOTA−ペプチドコンジュゲートの安定性、したがって標識効率を有意に改善するとは予想されないであろう。
【発明の開示】
【0008】
本明細書では、コンジュゲートを調製する方法であって、該コンジュゲートを形成するためにキレート剤とタンパク質またはペプチドとを反応させるステップと、その後該コンジュゲートをクエンチング剤と反応させるステップとを含む方法が開示される。典型的には、コンジュゲートはアミノアシル反応によって形成される。1つの実施形態では、キレート剤は、該コンジュゲートを形成するために該キレート剤とタンパク質を反応させるステップの前に、同時に、または後に、該キレート剤をアクリル化試薬と反応させるステップによって活性化される。好ましくは、キレート剤は、該キレート剤とタンパク質とを反応させるステップの前にアクリル化試薬と反応させられる。活性化キレート剤は、アシルアジド、アシルシアニド、アシルハライド、活性化アシルエステル、エノールエステル、イソキサゾリウム剤、イソチオシアネート、N−アシルイミダゾール、N−アシルピラゾール、N−アシルトリアゾール、カルボジイミド、混合無水炭酸、混合カルボン酸無水物、混合ホスフィン酸無水物、混合ホスホン酸無水物、または上記化合物の混合物を含んでいてよい。
【0009】
クエンチング剤は、典型的には求核剤を含む。例えば、クエンチング剤は、アンモニア性溶液、アルキルもしくはアリールアミン、アルキルもしくはアリールヒドロキサム酸、ヒドロキシアミンもしくはヒドロキシルアミン誘導体またはそれらの塩(例、ヒドロキシルアミン塩酸塩もしくは他のヒドロキシルアミン酸性塩)、またはこれらの化合物の混合物を含んでいてよい。ヒドロキシルアミン誘導体は、例えばO−アルキルヒドロキシルアミンなどのO−置換ヒドロキシルアミンであってよい。その他の置換ヒドロキシルアミンは当分野において知られている。
【0010】
キレート剤は、非環式もしくは多環式カルボン酸誘導体を含んでいてよい。適切なキレート剤には、DOTA、DTPA、TETA、DOTP、EDTA、DOTMA、DOP3、またはこれらのキレート剤の誘導体が含まれるが、それらに限定されない。好ましくは、キレート剤はDOTAを含む。
【0011】
キレート剤は、任意の有用な金属種をキレート化するために使用できる。詳細には、キレート剤は放射性核種をキレート化するために使用でき、そのようなものとして、キレート剤は放射標識することができる。有用な放射性核種には、47Sc、51Mn、52Mn、52Fe、59Fe、55Co、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、72As、77As、83Sr、89Sr、86Y、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、110In、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、197Pt、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、225Ac、またはこれらの放射性核種の組み合わせが含まれてよい。
【0012】
コンジュゲートを調製するために、任意の有用なタンパク質を使用できる。特に有用なタンパク質には、抗体、抗体フラグメント、サイトカインもしくは免疫調節剤、ポリプロテイン、ペプチド、またはこれらの代表的なタンパク質の混合物が含まれる。コンジュゲートを調製するために抗体が使用される場合は、抗体はモノクローナルもしくはポリクローナルであってよい。コンジュゲートを調製するためには、マウス、キメラ、霊長類化、ヒト化、またはヒト抗体を選択するのが望ましいことがある。コンジュゲートを調製するために、多重特異性抗体(例、二重特異性抗体)もしくは多価抗体が特に望ましいことがある。三価もしくは四価結合分子を使用することができる。
【0013】
典型的には、コンジュゲートを調製するために抗体が使用される場合、抗体もしくは抗体フラグメントは、標的組織、例えば悪性腫瘍疾患、心血管疾患、感染性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、もしくは神経系疾患に関連する抗原を含む標的組織へ特異的に結合する少なくとも1つのアームを含む。特異的抗原には、結腸特異的抗原−p(CSAp)、癌胎児性抗原(CEA)、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD45、CD74、CD80、HLA−DR、la、li、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、NCA、EGFR、HER2/neu、PAM−4、TAG−72、EGP−1、EGP−2、A3、KS−1、Le(y)、S100、PSMA、PSA、テネイシン、葉酸塩受容体、VEGF、PIGF、ILGF−1、壊死性抗原、IL−2、IL−6、T101、MAGE、またはこれらの抗原の組み合わせが含まれてよい。詳細には、抗原は、癌胎児性抗原、テネイシン、上皮成長因子受容体、血小板由来成長因子受容体、線維芽細胞成長因子受容体、血管内皮成長因子受容体、ガングリオシド、HER/2neu受容体およびこれらの抗原の組み合わせが含まれてよい。
【0014】
抗体は、細菌性疾患、真菌性疾患、寄生物病、ウイルス病、またはこれらの疾患の組み合わせなどの感染性疾患に関連する特定抗原を認識できる。特定の感染性疾患には、小胞子菌属、白癬菌属、表皮菌属、スポロトリックス・シェンキイ(Sporothrix schenckii)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、シミアンウイルス40、RS(呼吸器合胞体)ウイルス、マウス乳癌ウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、デング熱ウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタインバーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球脈絡髄膜炎ウイルス、疣ウイルス、ブルータングウイルス、炭疽菌、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、レジオネラ・ニューモフィラ菌(Legionella pneumophilia)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、大腸菌(Escherichia coli)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Pneumococcus)、B型インフルエンザ菌(Hemophilis influenzae B)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ライム病スピロヘータ菌(Lyme disease spirochetes)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ライ菌(Mycobacterium leprae)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、破傷風菌(Tetanus)、蠕虫、マラリア原虫、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、ランゲルトリパノソーマ・ランゲリ(Trypanosoma rangeli)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ・ロデシエンセイ(Trypanosoma rhodesiensei)、ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)、日本住血吸虫(Schistosoma japanicum)、バベシア・ボービス(Babesia bovis)、エルメリア・テネラ(Elmeria tenella)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、タイレリア・パルバ(Theileria parva)、胞状条虫(Taenia hydatigena)、ヒツジ条虫(Taenia ovis)、無鉤条虫(Taenia saginata)、単包条虫(Echinococcus granulosus)、メソセストイド・コルティ(Mesocestoides corti)、マイコプラズマ関節炎、マイコプラズマ・ヒオリニス(Mycoplasma hyorhinis)、マイコプラズマ・オラーレ(Mycoplasma orale)、マイコプラズマ・アルギニニ(Mycoplasma arginini)、アコレプラズマ・レイドロウイィ(Acholeplasma laidlawii)、マイコプラズマ・サリバリウム(Mycoplasma salivarum)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、またはこれらの病原菌の組み合わせから選択される病原によって惹起された疾患が含まれてよい。
【0015】
コンジュゲートを形成するために使用された抗体は、特発性血栓性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血栓血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺内分泌症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、スロンボアンジチビテランス(thromboangitisubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺機能亢進症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、線維化肺胞炎、およびこれらの自己免疫疾患の組み合わせなどの自己免疫疾患に関連する抗原もさらに認識することができる。
【0016】
コンジュゲートを調製するために選択された抗体は、心血管疾患に関連する抗原もまた認識できる。例えば、抗体はさらにまた心筋梗塞、虚血性心疾患、アテローム斑、フィブリンクロット、塞栓、またはこれらの心血管疾患の組み合わせに関連する抗原を認識するために選択することができる。抗体は、顆粒球、リンパ球、単球、またはこれらの細胞タイプの混合物に対して特異的な抗原もまた認識でき、これらの細胞タイプの存在により心血管疾患が示唆される。
【0017】
コンジュゲートを調製するために選択される抗体もしくは抗体フラグメントは、さらにまた神経系疾患に関連する抗原へ特異的に結合することもできる(例えば、抗体もしくはフラグメントはアミロイド沈着物に関連する抗原へ特異的に結合することができる)。
【0018】
コンジュゲートを調製するために使用される選択された抗体もしくはフラグメントは、多発性骨髄腫、B細胞性悪性腫瘍、T細胞性悪性腫瘍、またはこれらの疾患の組み合わせに関連する抗原を認識することができる。特定のB細胞性悪性腫瘍は、B細胞性リンパ腫、侵攻型のB細胞性リンパ腫、慢性白血病、および急性リンパ性白血病の形状を含んでいてよい。その他の悪性腫瘍は、非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫を含んでいてよい。
【0019】
抗体もしくはフラグメントは、さらにまた黒色腫、癌腫、肉腫、神経膠腫を含む充実性腫瘍、またはこれらの充実性腫瘍の組み合わせに関連する抗原も認識することができる。特定癌腫には、腎癌、肺癌、腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、および卵巣癌が含まれる。
【0020】
コンジュゲートを調製するためには、サイトカインもしくは免疫調節剤もまた選択することができる。適切なサイトカインもしくは免疫調節剤には、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、およびGM−CSF、またはこれらの分子の混合物が含まれる。
【0021】
コンジュゲートを調製するための方法のまた別の実施形態では、本方法は、コンジュゲートを形成するためにキレート剤とタンパク質とを反応させるステップと、その後該キレート剤と該タンパク質との間で形成された任意の非安定性結合を加水分解するステップとを含む。非安定性結合を加水分解するために適切な方法は、化学的方法(例、サンプルを求核剤で処理するステップ、またはサンプルのpHを調整するステップ)を含んでいてよいが、しかし他の方法(例、サンプルへ熱を適用するステップ)も同様に利用することができる。
【0022】
コンジュゲートを調製するための方法のまた別の実施形態では、本方法は、活性化キレート剤を形成するためにキレート剤とアシル化剤とを反応させるステップと;該コンジュゲートを形成するために該活性化キレート剤とタンパク質とを反応させるステップと;任意の非安定性結合を加水分解するために該コンジュゲートとクエンチング剤とを反応させるステップとを含んでいてよい。
【0023】
本明細書には上記の方法によって調製されたコンジュゲートであって、当該コンジュゲートがキレート剤とタンパク質との間の非安定性結合を実質的に含んでいないコンジュゲートがさらに開示される。例えば、上記の方法によって調製されたコンジュゲートは、キレート剤とタンパク質との間の非アミド結合またはエステル結合を実質的に含んでいなくてよい。したがって、コンジュゲートは、コンジュゲートが長期間にわたって溶液中へ保管された後に標識(例、放射標識)を極めて効率的に組み込むことができる。典型的には、標識は、コンジュゲートが約4℃で6カ月もにわたり保管された後でさえ、標識が上記の方法によって合成されたコンジュゲートと反応させられた場合に、およそ97%もの取り込み率で組み込まれる。さらに、上記の方法によって合成されたコンジュゲートは非安定な結合またはエステル結合を実質的に含んでいないので、コンジュゲートが約4℃で6カ月もにわたり保管された後でさえ、典型的には約3%ものキレート剤がコンジュゲートから加水分解される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下の考察では、より一般的な用語「タンパク質」には、タンパク質、ポリマー、ポリペプチド、およびペプチドを含むカテゴリーを組み込むことも理解されている。以下の工程において有用なタンパク質は、抗体(モノクローナルもしくはポリクローナル)、高分子アミノ酸、サイトカイン、ポリペプチド、もしくはペプチド、またはキレーター−タンパク質コンジュゲートを形成するためにアシル化できる十分なアミン残基を含有する任意のタンパク質であってよい。アミン残基は、タンパク質鎖中に自然に存在するアミン残基(例、リシンもしくはオルニチン)であってよい、またはそれらはタンパク質鎖内へ人工的に配置されたアミノ基(例、KEPYなどのコポリマー)であってよい。本明細書に記載した方法は、遊離アミノ基上でのアシル化反応を用いてキレート剤(すなわち、キレーター)を、アミノ含有高分子材料へコンジュゲートさせるステップを含む任意の合成方法のために使用できる。タンパク質は、アミノアシル化反応中にアシル化できるアミノ基以外の基をしばしば含有している。そのような基は極めてしばしばヒドロキシル−もしくはチオ−(メルカプト)基であるが、アミノ基の求核性を模倣できる任意の官能基であってよい。本発明者らは、アミノ基(例、リシン残基のε−アミノ基)でキレート剤をタンパク質へ付着させる試みが、非晶質生成物の産生を生じさせる可能性があることを見いだしたが、このときキレート剤は他の官能基(例、チロシン、トレオニンもしくはセリンなどの残基上のヒドロキシル基;システインのチオール基;およびヒスチジンのイミダゾリル基)へも付着させられている。これは望ましいことではなく不安定なコンジュゲートを導くが、このときキレート剤の一部分は、必要に応じて生理的に安定なアミド以外のエステル、チオエステル、チオカルバミン酸塩、炭酸塩およびチオ炭酸塩などの結合によってタンパク質へ連結されている。
【0025】
詳細には、本発明者らは、DOTA−MAbコンジュゲートを合成する際に以下の問題に遭遇した。例えば、図3のスキーム1を参照されたい。このスキームでは、キレート剤は、インサイチューで活性化され、その後にタンパク質結合のために使用できる。しかしながら、キレート剤中間物が最初に分離および/または精製される反応スキームもまた本発明の範囲内に含まれる。活性化キレート剤(この場合にはDOTA)が多官能タンパク質(この場合には抗体)へ添加された場合に、本発明者らは、低いパーセンテージのDOTAが、アミノ基と結合するのではなく、1つ以上の他の残基、最も可能性が高いのはチロシンもしくはトレオニンと結合できることを見いだした。その後、DOTA−MAbコンジュゲートが調製された直後にDOTA−MAbが放射標識されると、高率(>90%)のインジウム−111またはイットリウム−90のいずれかをコンジュゲート内へ組み込むことができた。しかし、DOTA−MAbコンジュゲートが長期間(>1カ月間)にわたり保管された場合は、In−111またはY−90のDOTA−MAbコンジュゲート内への取り込み率は90%未満へ低下し、しばしば調製後初期1〜6カ月間にわたってたった40〜80%へ低下する。そのような放射取り込み率の減少すると、望ましいコンジュゲート生成物を低分子量生成物(例えば、加水分解されたDOTA分子へキレート化されたIn−111/Y−90)から分離するために放射標識DOTA−MAbコンジュゲートを投与前に精製しなければならないので望ましくない。精製ステップは、放射性物質の追加の処理を必要とし、追加の費用を生じさせ、そしてさらに、汚染物質の導入を生じさせることがある、または生成物を商業的に使用不能にすることがある。
【0026】
本発明者らは、標識率(labeling yield)の減少は保管中のMAbからのDOTAの解離の結果であると仮説を立てた。例えば、非アミド結合によって抗体へ連結した少量のDOTAの存在は、経時的に、DOTA−MAbが保管された水性環境内で、当該不安定に結合したDOTAの解離を引き起こすことがある。より詳細には、エステルまたはイミダゾリル結合によってチロシン、トレオニン、セリン、もしくはヒスチジン残基上のMAbへコンジュゲートされたDOTAの分画は経時的に加水分解し、DOTA−MAb溶液中へ遊離DOTAを放出する可能性がある。逆に、DOTA−MAb溶液中の遊離DOTAの緩徐な蓄積は、In−111またはY−90が放射標識化溶液中で混合された際、DOTA−MAbに対する遊離DOTAの競合を引き起こすことがある。したがって、遊離DOTAは放射標識(すなわち、In−111およびY−90)への結合についてDOTA−MAbを打ち勝ことができ、そしてIn−111−またはY−90−DOTAとIn−111−DOTA−MAbまたはY−90−DOTA−MAb各々との混合物が結果として生じる可能性がある。取り込み率は経時的に減少したが、例えば水溶液中の経時的なエステルまたはイミダゾリル結合の緩徐な加水分解と一致している表1、2、および3を参照されたい。本発明者らは、最初に調製された時点に効率的に放射標識されていたことが証明されたDOTA−MAbサンプルを採取することによって我々の仮説について試験した。次にDOTA−MAbのサンプルを約6カ月間にわたり約2〜8℃で保管された後に試験した。最初に、保管されたサンプルの半分をサイズ排除クロマトグラフィーによって、したがって経時的に遊離させられた可能性がある全ての遊離DOTAを除去するステップによって「再精製」した。DOTA−MAbの「再精製」および「非精製」分画を放射標識した。再精製分画は>90%の率で放射標識を組み込んでいたが、他方非再精製分画は<80%の率で放射標識を組み込んでいた。これは、サイズ排除再精製ステップが、保管期間にわたって形成されるあらゆる遊離DOTAを除去し、そしてDOTA−MAbコンジュゲートが最初に合成された場合と同様に、DOTA−MAb内へのほぼ完全な放射金属の組み込みを可能にする。
【0027】
DOTA−MAbコンジュゲートを作製するための工程に加水分解ステップを組み込むことによって、不安定な結合によって結合されたあらゆるDOTAは保管前に除去することができる。そこで、活性化DOTAを抗体へコンジュゲートさせた後、コンジュゲートは不安定な結合を開裂または加水分解させるために求核剤もしくは他の物質と短時間に反応させられる(例、熱またはpH変化)。この反応(例えば、求核剤との)は、任意の不安定に結合したDOTA(例、ヒドロキシル結合DOTA)がDOTA−MAbコンジュゲートから開裂させられ、そして安定に結合したDOTA(例、アミド結合DOTA−MAb)だけが保管のための調製においてコンジュゲートへ結合されたままとなることを保証する。この戦略は、長期保管期間にわたりDOTA−MAbの有用性が劣化する問題を解決し、6カ月間を超える保管期間後にDOTA−MAbコンジュゲート内へのIn−111/Y−90の>95%の組み込みを可能にした。例えば、実施例5、表3を参照されたい。不安定な結合(例、エステル)はインサイチューで調製されたコンジュゲートを用いた場合だけではなく、化学的に規定されて分離された中間物から調製されたコンジュゲートを用いた場合にも発生できることを理解されたい。例えば、DOTA大環状化合物の予め形成された活性エステルの使用は、MAb上の利用可能なチロシンまたは他の反応性残基の所定のパーセンテージと反応すると同等に予期できるであろう。さらに、望ましくない反応は活性エステルとだけではなく、カルボジイミド、イソシアネートもしくはイソチオシアネートなどの他の活性化中間物とも発生する可能性がある。
【0028】
本明細書に記載した方法は、様々なキレート剤および関連ペプチドコンジュゲートにとって有用なことがある。治療用および診断用キレート剤、ペプチド、キレーター−(および/またはキレート−)ペプチドコンジュゲート、ならびにそのようなコンジュゲートを合成するための方法については記載されている。それらの全部が全体として参照して組み込まれる、米国特許第4,472,509号;米国特許第4,678,667号;米国特許第4,824,986号;米国特許第4,831,175号;米国特許第4,861,869号;米国特許第5,057,302号;米国特許第5,082,928号;米国特許第5,082,930号;米国特許第5,087,696号;米国特許第5,099,069号;米国特許第5,106,955号;米国特許第5,112,953号;米国特許第5,130,118号;米国特許第5,217,704号;米国特許第5,246,692号;米国特許第5,271,927号;米国特許第5,286,850号;米国特許第5,310,535号;米国特許第5,367,080号;米国特許第5,434,287号;米国特許第5,435,990号;米国特許第5,612,016号;米国特許第5,625,075号;米国特許第5,739,323号;米国特許第5,756,065号;米国特許第5,756,685号;米国特許第5,760,191号;米国特許第5,808,003号;The peptides:Analysis,Synthesis,Biology.E.Gross and J.Meienhofer,editors.Academic Press,NY,1979;Brinkley M.Bioconjugate Chem.,1992;3:2-13;Carraway KL and Koshland DE,Jr.,Biochem Biophys Acta,1968;160:272-274;Chinn PC,et al.,Int J Oncol.,1999;15:1017-1025;Cummins CH,et al.,Bioconjug Chem.,1991;2:180-186;Deshpande SV,et al.,J Nucl Med.,1990;31:473-479;Esteban JM,et al.,J Nucl Med.,1987;28:861-870;Govindan SV,et al.,Bioconjug Chem.,1998;9:773-782,Griffiths,et al.,J.Nucl.Med.,2003;44:77-84;Harrison A,et al.,Nucl Med Biol Int J Radiat Appl Instrum Part B 1991;5:469-476;Hnatowich DJ,et al.,J Immunol Methods.1993;65:147-157,Kozak RW,et al.Cancer Res.,1989;49:2639-2644;Lewis MR,et al.,Bioconjug.Chem.,1994;6:565-576,Li M,et al.,Bioconjug Chem.,1994;5:101-104,Meares CF,et al.,Anal Biochem.,1984;142:68-78,Sharkey RM,et al.,Int J Cancer.1990;46:79-85;Stimmel JB,et al.,Bioconjug.Chem.,1995;6:219-225;and Zoghbi SS,et al.,Int J Nucl Med Biol.,1985;12:159-166、を参照されたい。
【実施例】
【0029】
以下では本発明について下記の実施例によってさらに具体的に説明するが、決して実施例には限定されない。
【0030】
[実施例1]
〔DOTA−抗体コンジュゲートの調製〕
DOTA−MAbコンジュゲートを形成するために使用されたMAbは、相補性決定領域グラフト化[ヒト化]LL2(hLL2;抗CD22)であった。LL2抗体は、それらの全てが全体として参照して組み込まれる、米国特許第5,789,544号;米国特許第6,187,287号;米国特許第2002-0102254号および米国特許出願第10/446,689号に記載されている。
【0031】
a)室温でのDOTAコンジュゲーションバッファー中へのhLL2−IgGのダイアフィルトレーション:
Amicon stir cell装置を組み立て、200mLのMilliQ水を装置内に流動させ、コンジュゲーションバッファー(0.1M NaHCO3−0.1M K2HPO4、pH8.45)を用いてすすぎ洗いした。この装置の250mLの表示までコンジュゲーションバッファーを充填し、このバッファーに348mg部分のhLL2−IgGを添加した。この溶液を約35mLへ濃縮し、その時間中にバッファー交換の進行を、stir cell装置からの溶離液のpHおよび導電性を様々な時点に監視するステップ、およびコンジュゲーションバッファー自体についての数値とこれらの数値を比較するステップによって追跡した。同一条件下の2回のダイアフィルトレーションもまた設定した。最後に結合したダイアフィルトレーションしたIgGは、0.22μmフィルターを装備した、事前にすすぎ洗いした60mLの酸洗浄プラスチック製シリンジに通して濾過した。2回のランからの回収:83mL、7.89mg/mLまたは655mg。サンプルは、使用時まで4℃で酸洗いした250mLボトル(酸洗いした攪拌棒を含有する)中に保管した。
【0032】
b)DOTAの活性化:
1.212gのDOTA(2.96mmoL)の溶液を20mLの0.4M重炭酸ナトリウム(8mmoL)中へ溶解させ、完全溶解を保証するために4℃で5分間攪拌した。次に、0.574gのスルホスクシンイミド−N−ヒドロキシスクシンイミド(2.645mmoL)を添加し、穏やかに振とうすることによって溶解した。この溶液に0.753mLの新しく調製した50mg/mLの、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸(EDC−HCl)の0.26M水溶液を添加した。活性化混合液を4℃で45分間攪拌した。
【0033】
c)コンジュゲーション反応:
ダイアフィルトレーションしたhLL2−IgG溶液をDOTA活性化中に15分間にわたり室温へ加温させた(ステップ1、b)。次に、活性化DOTAの全溶液を1分間にわたり10回に分けて添加した。結合溶液中の活性化DOTA対hLL2−IgGのモル比は約45:1であった。pHは、0.1mLのアリコート中に添加した1.2mLの1N NaOHを用いて7.37から8.24へ調整した。コンジュゲーション混合物は周囲温度(23℃)で2時間にわたり穏やかに攪拌した。反応混合液の全容量は約104mLであった。
【0034】
d)ヒドロキシルアミンを用いたクエンチング:
コンジュゲーション混合物は酸洗いした攪拌棒を含有する250mLの酸洗いしたボトル内の2つの同等分画(各52mL)へ分割した。1つの分画へは3.75mLの1.5Mヒドロキシルアミン塩酸塩溶液を添加した。pHは、3.5mLの1N水酸化ナトリウム(最終ヒドロキシルアミン濃度:0.095M)を用いて6.83から8.0へ再調整した。この反応液を1時間攪拌した。第2分画は、ヒドロキシルアミンとは相違するクエンチャーとしてのグリシンアミドを用いてクエンチングした。2つのクエンチングされた分画は、ヒドロキシルアミン処理コンジュゲートについて以下で詳細に記載する方法と同様に処理した。
【0035】
e)硫酸アンモニウム沈降法:
クエンチングした後、分画は60mLの飽和硫酸アンモニウムと混合し、穏やかに30分間攪拌した。沈降した溶液を5000RPMで10分間にわたり遠心し(3℃〜5℃)、そして4200RPMでさらに20分間遠心した。上清をデカントし、ペレットを120mLの50%硫酸アンモニウム中に再懸濁させ、そして5000RPMで30分間遠心した。再懸濁および遠心ステップをもう1回繰り返した。最終ペレットは60mLの0.25M酢酸アンモニウム(pH5.5)中へ溶解させ、そしてサンプルは4℃で一晩(約18時間)保管した。
【0036】
f)室温の保管用バッファー中での生成物のダイアフィルトレーション:
ダイアフィルトレーションは、最初に0.25酢酸アンモニウム(pH5.5)を用いて最終生成物(ステップ1eの)を350mLへ希釈するステップによって実施した。次にこの生成物を約50mLへ濃縮した。希釈−濃縮ステップをさらに2回繰り返した。次にこの生成物を約25mLへ濃縮し、50mLの酸洗い無菌遠心管中へ無菌ろ過した。回収:33.5mL、8.97mg/mL(300mg)。
【0037】
[実施例2]
〔DOTA−抗体コンジュゲートの調製〕
DOTA−MAbコンジュゲートを形成する使用した抗体は、抗MUC−1抗体であるhPAM4であった。どちらも全体として参照して組み込まれる2003年6月16日に提出された米国特許出願第10/461,885号および2002年6月14日に提出された米国特許出願第60/388,314号を参照されたい。
【0038】
a)室温でのコンジュゲーションバッファー中へのhPAM4−IgGのダイアフィルトレーション:
350mLのAmicon stir cell装置を組み立て、200mLのMilliQ水を装置内に流動させ、コンジュゲーションバッファーを用いてすすぎ洗いした。この装置にコンジュゲーションバッファーを約250mLまで充填した。hPAM4−IgGの一部分(250mg)を添加した。容量を350mLにして、そしてこの溶液を約25mLへ濃縮した。ダイアフィルトレーションしたIgGは、0.22μmフィルターを装備した、事前にすすぎ洗いした60−mLの酸洗いプラスチック製シリンジに通して酸洗いバイアル中へ濾過した。回収:hPAM4−IgG約29mL、7.4mg/mLまたは214mg。サンプルは、使用時まで4℃で50mLの酸洗いしたバイアル中に保管した。
【0039】
b)DOTAの活性化:
4.8mLの0.4M重炭酸ナトリウム(1.92mmoL)中の258.1mgのDOTA(0.639mmoL)および138.7mgのスルホスクシンイミド−N−ヒドロキシスクシンイミド(0.639mmoL)の溶液を調製し、完全な溶解を保証するために静かに振とうした。この溶液に0.164mL(0.0426mmoL)の新しく調製した50mg/mLの、1−エチル−3−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸の0.26M水溶液を添加した。活性化混合液は4℃で45分間攪拌した。
【0040】
c)hPAM4のコンジュゲーション:
ダイアフィルトレーションしたhPAM4−IgGへ4.96mL(42.64μmoL)の活性化DOTA溶液(上記のステップ2bから)を添加した。結合溶液中の活性化DOTA対hPAM4−IgGのモル比は約30:1であった。pHは、0.07mLの1N水酸化ナトリウムを用いて8.21から8.40へ調整した。コンジュゲーション混合液は周囲温度(23℃)で2時間にわたり攪拌した。全容量:33.1mL。
【0041】
d)DOTA/hPAM4コンジュゲーション反応のクエンチング:
コンジュゲーションバッファー中で調製した1.5Mヒドロキシルアミン(2.61g/25mL)の溶液を上述したとおりに調製し、そして6.1mLの6N水酸化ナトリウムを用いてpH4.5から8.1へ調整した。コンジュゲーション反応(ステップ2c)は、2.38mLの1.5Mヒドロキシルアミン溶液(最終濃度0.1Mヒドロキシルアミン)の添加によってクエンチした。混合液は室温で1時間にわたり穏やかに攪拌した。全容量:35.5mL。
【0042】
e)硫酸アンモニウム沈降法:
クエンチングした反応液を等量(35.5mL)の飽和硫酸アンモニウムと混合し、穏やかに30分間攪拌した。沈降した溶液は5000RPMで30分間遠心した(4℃);上清をデカントし、そしてペレットは71mLの50%硫酸アンモニウム中に再懸濁させた。この混合液を5000RPMで25分間遠心した。再懸濁および遠心ステップをもう1回繰り返した。最終ペレットは40mLの0.25M酢酸アンモニウム(pH5.5)中へ溶解させ、4℃で一晩(約18時間)保管した。
【0043】
f)hPAM4−DOTAのダイアフィルトレーション:
コンジュゲートサンプルは、350mLのstir-cell装置内で、0.25Mの酢酸ナトリウム(pH5.5)を用いて350mLへ希釈し、25mLへ濃縮した。最終ダイアフィルトレーション時に容量を約20mLにするためにこの工程を2回繰り返した。ダイアフィルトレーションしたDOTA−hPAM4を次に0.22μmフィルターに通して酸洗いポリプロピレンチューブ内へ濾過した。DOTA−hPAM4コンジュゲートの全回収量は、7.85mg/mLの濃度で約23.5mLであった。
【0044】
[実施例3]
〔ヒドロキシルアミン処理を実施せずに調製した6月齢ロットのDOTA−hLL2のY−60放射標識、および再精製後の同一ロットのDOTA−hLL2のY−60放射標識との比較〕
a)DOTA−hLL2の再精製:
放射標識は、「再精製」および「非再精製」DOTA−MAbコンジュゲート両方について同一方法で実施した。初期容量1.4mL(12mg)のDOTA−hLL2(ヒドロキシルアミンを用いたクエンチングステップを含んでいない工程によって約6カ月前に最初に製造された)を2つの0.7mL(6mg)部分へ分割した。第1部分は0.25M酢酸アンモニウム(pH5.4)中で平衡化させたSephadex G50/80(商標)の3mLサイズの遠心したサイズ排除カラムに通して通過させて再精製した。第2の0.7mL分画は再精製せずに試験した。どちらのサンプルも、以下の3b)に記載したとおりにY−90を用いて放射標識した。
【0045】
b)再精製および非再精製DOTA−hLL2のY−90放射標識:
Perkin-Elmer life Sciences社(マサチューセッツ州ビルリカ)製の塩化Y−90(約6mCi)は、0.2mLの0.25M酢酸アンモニウム(pH5.4)を用いて緩衝した。緩衝したY−90のアリコート(0.1mL)を2つのサンプル各々へ添加した(上記の3a)から)。サンプル1は2.57mCiのY−90を含有し、そしてサンプル2は2.50mCiのY−90を含有していた。サンプルは、Y−90放射標識をできるように45℃で1時間にわたりインキュベートし、次に任意の非DOTA−hLL2結合Y−90を取り除くために同一温度で10分間にわたり0.08mLの0.1M DTPA水溶液を用いて処理した。放射標識サンプルは2つの別個のクロマトグラフィーシステムで分析した。これらのサンプルは、10mM EDTA中で展開させたシリカゲル含浸ガラスファイバーストリップ(Gelman Sciences社製、ミシガン州アナーバー)上でのITLC(瞬間薄層クロマトグラフィー)、または1amL/分の流量で0.2Mリン酸ナトリウム/0.02%アジ化ナトリウム(pH6.8)を用いるSE−HPLC(サイズ排除高性能液体クロマトグラフィー)のいずれかによって分析した。図1および2を参照されたい。ITLCの結果は、再精製されていたDOTA−hLL2内へは>96%のY−90が組み込まれたが、再精製されていなかったDOTA−hLL2内へはY−90が81%しか組み込まれなかったことを示した。以下の、取り込み率(%)を示している表を参照されたい。
【0046】
【表1】

【0047】
c)結論:
一部の低分子量物質(遊離DOTAなど)は、サイズ排除クロマトグラフィーによって除去可能であった。hLL2−DOTAのバイアルロット中のこの低分子量物質の量は、保管中に増加した。この低分子量物質は放射標識中に添加されたY−90へ結合し、DOTA−hLL2コンジュゲートへ添加されたY−90の完全結合を阻害することができた。そこで、DOTAの所定のパーセンテージは保管期間中に抗体から解離または分離されることがあり、これは安定な結合(例えば、アミン基のアミド)よりむしろ、不安定な結合(例、ヒドロキシル基のエステル)によって最初に結合している低率の付着したキレート剤と一致している。
【0048】
[実施例4]
〔クエンチング反応を使用せずに調製されたDOTA−hLL2およびDOTA−hMN−14のサンプル中へのY−90の取り込み率〕
【0049】
【表2】

【0050】
a)表1.
数個の個別ロットのDOTA−hLL2内へのY−90の取り込み率。DOTA−hLL2およびDOTA−hMN−14のサンプルは、上記の実施例1にしたがって調製した。取り込み率(%)は、製造後の指示した時点でのDOTA−hLL2を放射標識するステップについて示した(保管期間=製造日からの経過期間)。製造においてはクエンチングステップは使用されなかった。データは、*表示した以外は、3回ずつまたは2回ずつ実施した分析を用いた平均取り込み率で示した(N.D.=実施されていない)。
【0051】
【表3】

【0052】
b)表2.
製造後の指示した時点でのDOTA−hMN−14コンジュゲートの数個の個別ロットを放射標識するステップについての結果を示す(保管期間=製造日からの経過期間)。コンジュゲートの製造においてはクエンチングステップは使用しなかった。データは、*表示した以外は、3回ずつまたは2回ずつ実施した分析を用いた平均取り込み率で示した(N.D.=実施されていない)。
【0053】
[実施例5]
〔実施例1のDOTA−hLL2コンジュゲート(ヒドロキシルアミンを用いた処理を含む工程によって調製)の経時的な放射標識分析。〕
【0054】
【表4】

【0055】
表3.
DOTAから抗体へのコンジュゲーション反応中に形成される不安定性エステル結合を「クエンチ」するために、ヒドロキシルアミンを用いて新しく調製されたコンジュゲートのインキュベーションを使用して、上記の実施例1によって調製されたDOTA−hLL2のサンプル内へのY−90の取り込み率:
【0056】
本明細書で言及した全ての特許およびその他の参考文献は、本発明が関係する分野の当業者の技術水準の指標であり、各参考文献があたかも個別に全体として引用することにより組み込まれているのと同程度まで、任意の表および図面を含めて、それらの全体が参照して組み込まれる。
【0057】
当業者は、本発明が、本明細書に言及した結果および長所、ならびにその中に記載された固有の結果および長所を入手するために明確に適応させられていることを容易に理解するであろう。好ましい実施形態の現在の代表として本明細書に記載した方法、変量、および組成物は、典型であり、本発明の範囲の限度であるとは企図されていない。当業者であればその中の変化およびその他の使用は思い付くと思われ、これらは本発明に含まれる。
【0058】
当業者には、本発明の範囲および精神から逸脱せずに、本明細書に開示した本発明に様々な置換および修飾を加えられることは容易に明白になるであろう。例えば、多種多様な結合対、ならびに多種多様な治療薬および診断薬を利用することができる。そこで、そのような追加の実施形態は本発明の範囲内に含まれる。
【0059】
本明細書に具体的に記載した本発明は、本明細書に詳細に開示されていない任意の1つ以上の要素、1つ以上の限定の不在下で適切に実施することができる。そこで、例えば各場合において用語「含む」、「実質的に〜からなる」および「〜からなる」のいずれかは他の2つの用語のどちらかと置換されてよい。使用している用語および表現は、説明するためで制限するためではなく使用され、そしてそのような用語および表現の使用において本明細書に示した特徴およびそれらの記載した部分の任意の同等物を除外することは企図しておらず、様々な修飾が本発明の範囲内で可能であると認識されている。そこで、本発明を好ましい実施形態および任意の特徴によって詳細に開示してきたが、本明細書に開示した概念の修飾および変形は当業者であれば再分類できる、そしてそのような修飾および変形は本発明の範囲内に含まれると見なされることを理解されたい。
【0060】
さらに、本発明の特徴または態様がマーカッシュ群もしくはそれに代わる他の分類法によって記載された場合は、当業者は、本発明がマーカッシュ群もしくは他の群の任意の個別メンバーまたはメンバーのサブグループによってさらに記載されることを認識するであろう。
【0061】
さらに、反対のことを表示しない限り、様々な数値が実施形態に対して提供される場合は、追加の実施形態は範囲の終点として任意の2つの数値を取り入れることによって記載される。そのような範囲もまた、本明細書に記載した発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】非再精製hLL2−DOTAのY−90標識についてのSE−HPLC分析のグラフ表示である。
【図2】精製hLL2−DOTAのY−90標識についてのSE−HPLC分析のグラフ表示である。
【図3】DOTA上のカルボキシル基の活性化およびhLL2上のリシンアミノ基との反応によるDOTAとhLL2との間の結合反応の略図である。この工程は、シングルステップまたは多段階ステップで実施されてよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンジュゲートを調製する方法であって、
(a)前記コンジュゲートを形成するためにキレート剤とタンパク質とを反応させるステップと;
(b)前記コンジュゲートをクエンチング剤と反応させるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記コンジュゲートがアミノアシル反応によって形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記キレート剤が、前記コンジュゲートを形成するために前記キレート剤と前記タンパク質とを反応させるステップの前に、アシル化剤との反応によって活性化される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記活性化キレート剤が、アシルアジド、アシルシアニド、アシルハライド、活性化アシルエステル、エノールエステル、イソキサゾリウム剤、イソチオシアネート、N−アシルイミダゾール、N−アシルピラゾール、N−アシルトリアゾール、カルボジイミド、混合無水炭酸、混合カルボン酸無水物、混合ホスフィン酸無水物、混合ホスホン酸無水物、またはそれらの混合物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記クエンチング剤が求核剤を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記クエンチング剤が、アンモニア性溶液、アルキルもしくはアリールアミン、アルキルもしくはアリールヒドロキサム酸、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシルアミン誘導体、もしくはそれらの塩、またはそれらの混合物を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記クエンチング剤が、ヒドロキシルアミン塩酸塩または他のヒドロキシルアミン酸性塩を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記キレート剤が、非環式または多環式カルボン酸誘導体を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記キレート剤が、DTPA、DOTA、TETA、DOTP、EDTA、DOTMA、DOP3、またはそれらの誘導体を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記キレート剤がDOTAを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
47Sc、51Mn、52Mn、52Fe、59Fe、55Co、62Cu、64Cu、67Cu、67Ga、68Ga、72As、77As、83Sr、89Sr、86Y、89Zr、90Y、94Tc、94mTc、99Mo、99mTc、105Pd、105Rh、111Ag、110In、111In、123I、124I、125I、131I、142Pr、143Pr、149Pm、153Sm、154-158Gd、161Tb、166Dy、166Ho、169Er、175Lu、177Lu、186Re、188Re、189Re、194Ir、197Pt、198Au、199Au、211At、211Pb、212Bi、212Pb、213Bi、223Ra、または225Acを用いて前記キレート剤を放射標識するステップをさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記キレート剤を金属イオンと反応させるステップをさらに含む、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記タンパク質が、抗体、抗体フラグメント、サイトカインもしくは免疫調節剤、ポリプロテイン、またはそれらの混合物を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記タンパク質が、モノクローナルまたはポリクローナル抗体である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記抗体が、マウス、キメラ、霊長類化、ヒト化、またはヒト起源である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記抗体または抗体フラグメントが多重特異性である、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体または抗体フラグメントが二重特異性である、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体または抗体フラグメントが多価である、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記抗体または抗体フラグメントが、標的組織へ特異的に結合する少なくとも1つのアームを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
前記標的組織が、悪性腫瘍疾患、心血管疾患、感染性疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患、または神経系疾患に関連する抗原を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記抗原が、結腸特異的抗原−p(CSAp)、癌胎児性抗原(CEA)、CD4、CD5、CD8、CD14、CD15、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD30、CD45、CD74、CD80、HLA−DR、la、li、MUC1、MUC2、MUC3、MUC4、NCA、EGFR、HER2/neu、PAM−4、TAG−72、EGP−1、EGP−2、A3、KS−1、Le(y)、S100、PSMA、PSA、テネイシン、葉酸塩受容体、VEGF、PIGF、ILGF−1、壊死性抗原、IL−2、IL−6、T101、およびMAGEからなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記抗体または抗体フラグメントが、癌胎児性抗原、テネイシン、上皮成長因子受容体、血小板由来成長因子受容体、線維芽細胞成長因子受容体、血管内皮成長因子受容体、ガングリオシド、HER/2neu受容体、およびそれらの混合物からなる群から選択される抗原へ特異的に結合する、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記抗原が、細菌性疾患、真菌性疾患、寄生虫病、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される感染性疾患に関連する、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記抗原が、小胞子菌属、白癬菌属、表皮菌属、スポロトリックス・シェンキイ(Sporothrix schenckii)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、コクシジオイデス・イミティス(Coccidioides immitis)、ヒストプラスマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、ブラストミセス・デルマティティディス(Blastomyces dermatitidis)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、狂犬病ウイルス、インフルエンザウイルス、B型肝炎ウイルス、センダイウイルス、ネコ白血病ウイルス、レオウイルス、ポリオウイルス、ヒト血清パルボ様ウイルス、シミアンウイルス40、RS(呼吸器合胞体)ウイルス、マウス乳癌ウイルス、水痘−帯状疱疹ウイルス、デング熱ウイルス、風疹ウイルス、麻疹ウイルス、アデノウイルス、ヒトT細胞白血病ウイルス、エプスタインバーウイルス、マウス白血病ウイルス、流行性耳下腺炎ウイルス、水疱性口内炎ウイルス、シンドビスウイルス、リンパ球脈絡髄膜炎ウイルス、疣ウイルス、ブルータングウイルス、炭疽菌、ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、レジオネラ・ニューモフィラ菌(Legionella pneumophilia)、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、大腸菌(Escherichia coli)、淋菌(Neisseria gonorrhoeae)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、肺炎球菌(Pneumococcus)、B型インフルエンザ菌(Hemophilis influenzae B)、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)、ライム病スピロヘータ菌(Lyme disease spirochetes)、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ライ菌(Mycobacterium leprae)、ウシ流産菌(Brucella abortus)、ヒト結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、破傷風菌(Tetanus)、蠕虫、マラリア原虫、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)、三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)、トキソプラズマ原虫(Toxoplasma gondii)、ランゲルトリパノソーマ・ランゲリ(Trypanosoma rangeli)、クルーズトリパノソーマ(Trypanosoma cruzi)、トリパノソーマ・ロデシエンセイ(Trypanosoma rhodesiensei)、ブルーストリパノソーマ(Trypanosoma brucei)、マンソン住血吸虫(Schistosoma mansoni)、日本住血吸虫(Schistosoma japanicum)、バベシア・ボービス(Babesia bovis)、エルメリア・テネラ(Elmeria tenella)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、熱帯リーシュマニア(Leishmania tropica)、旋毛虫(Trichinella spiralis)、回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)、タイレリア・パルバ(Theileria parva)、胞状条虫(Taenia hydatigena)、ヒツジ条虫(Taenia ovis)、無鉤条虫(Taenia saginata)、単包条虫(Echinococcus granulosus)、メソセストイド・コルティ(Mesocestoides corti)、マイコプラズマ関節炎、マイコプラズマ・ヒオリニス(Mycoplasma hyorhinis)、マイコプラズマ・オラーレ(Mycoplasma orale)、マイコプラズマ・アルギニニ(Mycoplasma arginini)、アコレプラズマ・レイドロウイィ(Acholeplasma laidlawii)、マイコプラズマ・サリバリウム(Mycoplasma salivarum)、肺炎マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)、またはこれらの組み合わせからなる群から選択される病原体によって惹起された感染性疾患に関連する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記抗原が、特発性血栓性血小板減少性紫斑病、慢性特発性血栓血小板減少性紫斑病、皮膚筋炎、シデナム舞踏病、重症筋無力症、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、リウマチ熱、多腺内分泌症候群、水疱性類天疱瘡、糖尿病、ヘノッホ−シェーンライン紫斑病、溶連菌感染後腎炎、結節性紅斑、高安動脈炎、アジソン病、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、サルコイドーシス、潰瘍性大腸炎、多形性紅斑、IgA腎症、結節性多発性動脈炎、強直性脊椎炎、グッドパスチャー症候群、スロンボアンジチビテランス(thromboangitisubiterans)、シェーグレン症候群、原発性胆汁性肝硬変、橋本甲状腺炎、甲状腺機能亢進症、強皮症、慢性活動性肝炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、多発性軟骨炎、尋常性天疱瘡、ヴェーゲナー肉芽腫症、膜性腎症、筋萎縮性側索硬化症、脊髄癆、巨細胞性動脈炎/多筋痛、悪性貧血、急速進行性糸球体腎炎、乾癬、線維化肺胞炎、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される自己免疫疾患に関連する、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記抗体または抗体フラグメントが、心血管疾患に関連する抗原へ特異的に結合し、前記抗体または抗体フラグメントが、顆粒球、リンパ球、単球、またはそれらの混合物に対して特異的である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記心血管疾患が、心筋梗塞、虚血性心疾患、アテローム斑、フィブリンクロット、および塞栓、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記抗体または抗体フラグメントが、神経系疾患に関連する抗原へ特異的に結合し、前記抗原がアミロイド沈着物を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記抗原が、多発性骨髄腫、B細胞悪性腫瘍、T細胞悪性腫瘍、またはそれらの組み合わせに関連する、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記抗原が、無痛性B細胞リンパ腫、侵攻型B細胞リンパ腫、慢性白血病、および急性リンパ球性白血病からなる群から選択されるB細胞悪性腫瘍に関連する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記B細胞悪性腫瘍が、非ホジキンリンパ腫またはホジキンリンパ腫である、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記抗体または抗体フラグメントが、充実性腫瘍に関連する抗原へ特異的に結合する、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記充実性腫瘍が、黒色腫、癌腫、肉腫、および神経膠腫からなる群から選択される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記充実性腫瘍が、腎癌、肺癌、腸癌、胃癌、乳癌、前立腺癌、および卵巣癌からなる群から選択される癌である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記サイトカインもしくは免疫調節剤が、IL−1、IL−2、IL−3、IL−6、IL−10、IL−12、IL−18、IL−21、インターフェロン−α、インターフェロン−β、インターフェロン−γ、G−CSF、およびGM−CSF、またはそれらの混合物を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項36】
コンジュゲートを調製する方法であって、
(a)前記コンジュゲートを形成するためにキレート剤とタンパク質とを反応させるステップと;
(b)その後、前記キレート剤と前記タンパク質との間に形成された任意の非安定性結合を加水分解するステップと、
を含む方法。
【請求項37】
前記コンジュゲートが、前記キレート剤と前記タンパク質との間の非安定性結合を実質的に含んでいない、請求項1に記載の方法によって調製されたコンジュゲート。
【請求項38】
前記コンジュゲートが、前記キレート剤と前記タンパク質との間の非安定性結合を実質的に含んでいない、請求項36に記載の方法によって調製されたコンジュゲート。
【請求項39】
標識が、前記コンジュゲートがおよそ4℃でおよそ6カ月以上にわたり保管された後に前記標識が前記コンジュゲートと反応させられたときに約97%以上の取り込み率を有する、請求項1に記載の方法によって調製されたコンジュゲート。
【請求項40】
前記コンジュゲートがおよそ4℃で約6カ月間以上にわたり保管された後に、前記キレート剤の約3%以下が前記コンジュゲートから加水分解される、請求項1に記載の方法によって調製されたコンジュゲート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−535492(P2007−535492A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−542675(P2006−542675)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/040046
【国際公開番号】WO2005/084179
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(599176263)イムノメディクス, インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】