説明

タンパク質と結合パートナーとの相互作用を阻害するための化合物及び方法

本発明は、Bclタンパク質に結合し、Bcl機能を阻害するヘテロ環化合物、該化合物を含有する組成物、および癌などの過剰増殖に関連する障害を処置および調整するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は米国仮出願第60/750987号(出願日:2005年12月16日)の利益を主張する。
【0002】
本発明は一般に、癌の処置に有用なヘテロ環化合物に関する。
【背景技術】
【0003】
アポトーシス、即ちプログラムされた細胞死、は正常な胚性/解剖学的発育、宿主の防御および腫瘍形成の抑制にとって重要である。アポトーシスの調節不全は、癌や、細胞分裂の過程と細胞死との間の不均衡から生じる多くの他のヒトの疾患に関わっている。アポトーシスの重要なチェックポイントは、ミトコンドリアからのチトクロームC放出の調節である。チトクロームC放出は、部分的には、Bcl−2ファミリーのメンバーによって調節される。Bcl−2ファミリーのタンパク質には、抗アポトーシス性分子(Bcl−2およびBcl−XL等)とアポトーシス誘発性分子(Bax、Bak、BidおよびBad等)の両方が含まれる。Bcl−2は、生理的な細胞−死メカニズムによる正常な細胞回転を阻止することにより、癌細胞の発育に寄与する。Bcl−2の過剰発現は、乳癌や他の多くの形態の癌の70%において観察されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
様々な小分子がBcl−2の機能を阻害することが示されている。しかしながら、Bcl−2に結合して、癌におけるその抗アポトーシス機能をブロックし、腫瘍において細胞死を促進する小さな有機分子が依然として求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の概要
本発明の一態様は、ヘテロ環化合物およびこれら化合物の医薬上許容される塩に関する。ある特定の例においては、このヘテロ環式化合物は、窒素を含有する5員のヘテロ環(ピロリジン、オキサゾリジン、チアゾリジン、イミダゾリジン、またはピラゾリジン等)およびその不飽和誘導体のコアを含んでなる。その他の例では、このヘテロ環式化合物は、窒素を含有する6員のヘテロ環(ピペリジン、モルホリン、ピペラジン、チオピペラジン)およびそのヘテロ環誘導体のコアを含んでなる。ある特定の例には、5または6員のヘテロ環は、オキソまたはチオキソ基(例えば、ピロリドン、オキサゾリジノン、イミダゾリドン、チアゾリドン)で置換されていてもよく;ヘテロ環の窒素原子は置換されたアラルキル基に結合しており;置換されたアラルキル基は置換されたベンジル基であり;ヘテロ環はヒドロキシメチルまたはヒドロキシエチル基で置換されており;ヘテロ環はヒドロキシメチルおよびヒドロキシエチル基で置換されており;および/またはヘテロ環はアミド基で置換されている。
【0006】
本発明のさらなる態様は、1またはそれ以上の本発明のヘテロ環化合物またはその塩を含有する医薬組成物に関する。本発明のさらなる態様は、癌を処置するための、単独または他の薬剤と組み合わせて上記化合物またはその医薬上許容される塩を用いる方法に関する。具体的には、本発明は、本発明の化合物の有効量を投与することにより、哺乳類細胞の病的な増殖によって特徴付けられる状態を処置することを含んでなる治療方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
発明の詳細な記載
定義
本明細書において用いられる用語の定義は、化学及び医薬の分野における各用語について認識されている現在の技術水準での定義を包含することを意味する。適宜な例を示す。定義を用語に適用する。この定義は、独立してまたはより大きな群の一部として、具体的な場合における限定を除き、本明細書全体にわたって用いるように用語に適用される。
【0008】
本明細書に用いられる各表現の定義、例えばアルキル、m、nなどは、ある構造に1つ以上存在する場合は、同構造の各場所でのその定義は独立であることを意図する。
【0009】
用語「アシルアミノ」は、一般式:
【化1】

[式中、R50は以下に定義するものであり、R54は水素、アルキル、アルケニルまたは−(CH2m−R61であり、mおよびR61は以下に定義するものである]
で示される部分を意味する。
【0010】
用語「アルケニル」および「アルキニル」は、上記アルキルと長さおよび考えられる置換基について同様であるが、それぞれ少なくとも1つの二重または三重結合を含む不飽和脂肪族基を意味する。
【0011】
用語「アルコキシル」または「アルコキシ」は、それに結合した酸素基を有する、前記と同意義のアルキル基を意味する。アルコキシル基の代表例としては、メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、tert−ブトキシなどが挙げられる。
【0012】
用語「アルキル」は、飽和脂肪族基のラジカルを意味し、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基(脂環式基)、アルキル置換されたシクロアルキル基、およびシクロアルキル置換されたアルキル基を包含する。ある態様では、直鎖または分岐鎖アルキルは30またはそれ以下の炭素原子をその骨格に有し(例えば、直鎖ではC1−C30、分岐鎖ではC3−C30)、他の態様では、20またはそれ以下である。同様に、ある特定の態様では、シクロアルキルは3〜10個の炭素原子をその間構造内に有しており、他の態様では5、6または7個の炭素を環構造に有している。ある特定の態様では、シクロアルキル、ビシクロアルキル、およびポリシクロアルキルはさらに1またはそれ以上のアルキル置換基で置換されていることもある。
【0013】
用語「アルキルチオ」は、それに結合した硫黄ラジカルを有している前記で定義したアルキル基を意味する。ある特定の態様では、「アルキルチオ」部分は−S−アルキル、−S−アルケニル、−S−アルキニル、および−S−(CH2m−R61(ここにmおよびR61は以下で定義するものである)で示される。代表的なアルキルチオ基としては、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。
【0014】
用語「アミド」は、アミノ置換されたカルボニルとして当分野において認識されており、一般式:
【化2】

[式中、R50およびR51は以下に定義するとおりである]
で示される部分を包含する。
本発明におけるアミドの特定の態様は不安定であり得るイミドは包含されない。
【0015】
用語「アミン」および「アミノ」は、置換されていないアミンおよび置換されたアミンの両方を意味すると当分野において認識され、例えば一般式:
【化3】

[式中、R50、R51およびR52は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2m−R61を示すか、またはR50およびR51はそれらが結合している窒素原子と一緒になって4〜8原子を環構造に有するヘテロ環を形成し;R61はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環または多環;およびmは、0または1〜8の整数である]
で示される部分である。他の態様では、R50およびR51(および場合によりR52)は、それぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、または−(CH2m−R61を示す。従って、用語「アルキルアミン」は、それに結合した置換されたまたは置換されていないアルキルを有する、即ち、R50およびR51の少なくとも1つがアルキル基である、前記で定義したアミン基を包含する。
【0016】
本明細書で用いられる用語「アラルキル」は、アリール基(例えば、芳香族またはヘテロ芳香族基)で置換されたアルキル基を意味する。
【0017】
本明細書において用いられる用語「アリール」は、1〜4個のへテロ原子を含んでいてもよい、5、6および7員の単環の芳香族基を包含し、例えば、ベンゼン、アントラセン、ナフタレン、ピレン、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、トリアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジンおよびピリミジンなどが挙げられる。環構造においてヘテロ原子を有するこれらアリール基はまた、「アリールヘテロ環」または「ヘテロ芳香族」とも称される。この芳香族環は、環の1またはそれ以上の位置において上で記載したような置換基、例えば、ハロゲン、アジド、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、スルホンアミド、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族またはヘテロ芳香族部分、−CF3、−CN等で置換されていてもよい。用語「アリール」はまた、2またはそれ以上の炭素が2つの隣接する環(この環は「縮合環」である)で共通しており、環の少なくとも一方が芳香族であり、例えば他方の環がシクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロ環である、2またはそれ以上の環を有する多環系を包含する。
【0018】
用語「カルボキシル」は一般式:
【化4】

[式中、X50は結合または酸素または硫黄を示し、R55およびR56はそれぞれ独立に、水素、アルキル、アルケニル、−(CH2m−R61または医薬上許容される塩、mおよびR61は前記と同意義である]
で示されるような部分を包含する。
【0019】
本明細書において用いられる用語「ジラジカル」または「2価」は交換可能なように用いられ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルキルアミノ、アルコキシル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、およびヘテロアラルキル基に由来する一連の2価の基のいずれかを意味する。例えば、
【化5】

は、2価のアルキルまたはアルキルジラジカルであり、
【化6】

もまた2価のアルキルまたはアルキルジラジカルであり、
【化7】

は、2価のアリールまたはアリールジラジカルであり、
【化8】

は、2価のアラルキルまたはアラルキルジラジカルであり;そして
【化9】

は、2価の(アルキル)ヘテロアラルキルまたは(アルキル)ヘテロアラルキルジラジカルである。典型的な例としては、一般式(CH2x[ここにxは1〜6である]で示されるアルキレンならびに2〜6炭素原子を有し、1またはそれ以上の二重結合または三重結合を有する対応するアルケニレンおよびアルキニレンリンカー;3〜8員環のシクロアルキレン基、および一方の結合手がアリール環上にありもう一方の結合手がアルキル部分に存在する、
【化10】

のようなアラルキル基が挙げられる。
【0020】
本明細書において用いられる用語「ハロアルキル」は、1〜全ての水素がハライドに置換されているアルキル基を意味する。「過ハロアルキル」はすべての水素がハライドで置換されている。
【0021】
本明細書において用いられる用語「ヘテロ原子」は、炭素または水素以外の任意の元素の原子を意味する。ヘテロ原子の例としては、ホウ素、窒素、酸素、リン、硫黄およびセレンが挙げられる。
【0022】
用語「ヘテロ環」または「ヘテロ環基」は、3〜10員環、より好ましくは3〜7員環であって、環に1〜4個のヘテロ原子を含んでいる環を意味する。ヘテロ環はまた多環であることもある。ヘテロ環基には、例えば、チオフェン、チアントレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、フェノキサチイン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドール、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、キノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナントリジン、アクリジン、ピリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェナルサジニン、フェノチアジン、フラザン、フェノキサジン、ピロリジン、オキソラン、チオラン、オキサゾール、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ラクトン、ラクタム(アゼチジノンおよびピロリドン、スルタム、スルトン等)などが包含される。ヘテロ環は、1またはそれ以上の位置で上記の置換基、例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族またはヘテロ芳香族部分、−CF3、−CN等)で置換されていてもよい。
【0023】
本明細書において用いられる、用語「ニトロ」は−NO2を意味し;用語「ハロゲン」は−F、−Cl、−Brまたは−Iを示し;用語「スルフヒドリル」は−SHを意味し;用語「ヒドロキシル」は−OHを意味し;および用語「スルホニル」は−SO2−を意味する。
【0024】
用語「オキソ」は、カルボニル酸素(=O)を意味する。
【0025】
用語「多環」または「多環基」は、2またはそれ以上の炭素が隣接する2つの環(例えば、その環は「縮合環」である)で共通している、2またはそれ以上の環(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロアルキニル、アリールおよび/またはヘテロ環)を意味する。隣接していない原子を介して連結している環は「架橋環」と称する。多環の環はそれぞれ、上記のような置換基(例えば、ハロゲン、アルキル、アラルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヒドロキシル、アミノ、ニトロ、スルフヒドリル、イミノ、アミド、ホスホネート、ホスフィネート、カルボニル、カルボキシル、シリル、エーテル、アルキルチオ、スルホニル、ケトン、アルデヒド、エステル、ヘテロ環、芳香族またはヘテロ芳香族部分、−CF3、−CN等)で置換されていてもよい。
【0026】
本明細書において用いられる「保護基」なる用語は、反応する可能性のある官能基を望ましくない化学的変換から保護する一過性の置換基を意味する。そのような保護基の例としては、カルボン酸のエステル、アルコールのシリルエーテル、およびアルデヒドおよびケトンのそれぞれアセタールおよびケタールが挙げられる。保護基の化学の分野については解説されている(Greene, T.W.; Wuts, P.G.M. Protective Groups in Organic Synthesis, 2nd ed.; Wiley: New York, 1991)。
【0027】
用語「トリフリル」、「トシル」、「メシル」および「ノナフリル」は、それぞれ、トリフルオロメタンスルホニル、p−トルエンスルホニル、メタンスルホニル、およびノナフルオロブタンスルホニル基を意味する。用語「トリフラート」、「トシラート」、「メシラート」および「ナフレート」は、それぞれトリフルオロメタンスルホネートエステル、p−トルエンスルホン酸エステル、メタンスルホネートエステル、およびノナフルオロブタンスルホネートエステル官能基、ならびにこれら基を含む分子を意味する。
【0028】
用語「チオキソ」は、カルボニル硫黄(=S)を意味する。
【0029】
略称Me、Et、Ph、Tf、Nf、Ts、Msは、それぞれ、メチル、エチル、フェニル、トリフルオロメタンスルホニル、ノナフルオロブタンスルホニル、p−トルエンスルホニルおよびメタンスルホニルを表する。
当分野の有機化学者が用いる略称のより包括的な一覧は、Journal of Organic Chemistryの各巻の始めに載っている(この一覧は「Standard List of Abbreviations」という表に示されている)。
【0030】
「置換」または「〜で置換された」なる用語には、そのような置換は置換される原子と置換基のの許容される原子価に従うものであり、その置換によって安定な化合物(例えば転位、環化、脱離などによる変換を自発的に受けない)を生じるという、暗黙の但し書きが存在することは理解されよう。
【0031】
ある特定の化合物は、幾何異性体または立体異性体の形態で存在し得る。本発明は、シス−およびトランス−異性体、R−およびS−エナンチオマー、ジアステレオマー、(d)−異性体、(l)−異性体、それらのラセミ混合物、および他のそれらの混合物を含め、そのような化合物のすべてが本発明の範囲に含まれると企図するものである。アルキル基などの置換基にはさらなる不斉炭素原子が存在していてもよい。そのような異性体のすべて、ならびにそれらの混合物、は本発明に包含されるものと意図される。
【0032】
「Bcl介在障害」および「Bclタンパク質を発現する細胞が介在する障害」は、Bclタンパク質が役割を担っている病態および病状を意味する。そのような役割はその病態に直接関連していることもあるし、または間接的に関連していることもあり得る。このクラスの状態に共通する特徴は、それらが、Bclタンパク質の活性、機能またはBclタンパク質との関連を阻害することによって改善され得るということである。
【0033】
本明細書において用いられる用語「Bcl」および「Bclタンパク質」は、1またはそれ以上の、抗アポトーシス性タンパク質のBcl−2サブファミリー、Bcl−2、Bcl−w、Mcl−1、Bcl−XL、A1、Bfl1、Bcl−B、BOO/DIVAおよびそれらの同族体を包含することを意図する。
【0034】
ヘテロ環化合物の合成
ある特定の例において、本発明のヘテロ環化合物は5員のヘテロ環である。5員のヘテロ環は、トリホスゲン、チオホスゲン、塩化チオニル、塩化スルホニル等と、1,2アミノアルコール、1,2アミノチオール、または1,2ジアミンとの反応によって製造することができる。ある特定の例においては、本発明の5員のヘテロ環は、1,2アミノアルコール,1,2アミノチオール,または1,2ジアミンとアルデヒドまたはケトンとの反応によって製造することができる。ある特定の例では、本発明のヘテロ環は、ガンマアミノ酸の環化により2−ピリドンを得ることにより合成することができる。ある特定の例では、本発明の5員のヘテロ環は、アザアリルアニオンまたはアゾメチンイリドとアルケンとの[3+2]シクロ付加反応を用いて合成することができる。アゾメチンイリド基質およびアルケンは、ピロリジンコアの合成後の誘導体化に適当な官能基を含んでいてもよい。ある特定の例では、ルイス酸、例えば、AgOAc、を反応に加える。ある特定の例では、反応混合物を加熱する。一般に、目的の反応は液体の反応媒体中で行なわれるが、固相上でも行うことができる。ある特定の例では、ヘテロ環は、ニトロンとアリル型アルコールの[3+2]シクロ付加によって合成することができる。
次いで、得られた環状付加体の5−メチルアルコールを塩化メシルと反応させて5−メチル−メシラート−イソオキサゾリジンを得る。SmIに暴露すると、イソオキサゾリジンのN−O結合が還元され、アミンが自発的に環化してピロリジンを形成する(以下の実施例に記載(米国特許出願11/156364(出願日2005年6月17日)、公開番号20060025460も参照)。典型的には、このN−O還元は、メタノールのようなプロトン性溶媒中で起こる。
【0035】
ある特定の態様では、本発明のヘテロ環化合物は6員のヘテロ環である。これら化合物は、当分野における数多くの方法を用いて製造することができる。例えば、3つの炭素で分離された2つの求核的化学種を含む環状前駆体から、環化の方法を用いてヘテロ環を合成することができる。例えば、1,3ジアミン、1,3アミノアルコール、1,3ジオール、1,3ジチオン、1,3アミノチオール、または1,3チオールアルコールを、スルホニルクロリド、ホスゲンまたはチオホスゲンを用いて環化して6員環を形成することができる。同様に、6員環を分子間または分子内縮合反応、または[4+2]シクロ付加反応によって製造することができる。さらに、数多くの6員環のヘテロ環が商業的に入手可能であり、修飾することにより本化合物を得ることができる。
【0036】
ヘテロ環コアを合成した後、当分野で知られている種々の官能基付加反応を用いてヘテロ環化合物を誘導体化することができる。代表例としては、アルケニルハライドまたはハロゲン化アリールとのパラジウムカップリング反応、酸化、還元、求核試薬との反応、求電子試薬との反応、ペリ環状反応、保護基の導入、保護基の脱離などが挙げられる。
【0037】
本発明のヘテロ環化合物は1またはそれ以上のBclタンパク質と結合して、Bclタンパク質を発現する癌細胞および腫瘍組織におけるBcl抗アポトーシス性機能をブロックする。ある特定の態様では、本発明のヘテロ環化合物は、Bcl−2サブファミリーの抗アポトーシス性タンパク質のみ、抗アポトーシス性活性を選択的に阻害する。本発明のヘテロ環化合物は、Bclに関連する疾患を患っている患者を処置するために用いることができる。ある特定の例では、本発明のヘテロ環化合物は癌を患っている患者を処置するために用いられる。
【0038】
生物学的活性の解析
以下のインビトロ結合および細胞の解析を用いて、本発明の化合物がBcl−2に結合し細胞におけるBcl−2機能を阻害する活性および特異性を測定することができる。
【0039】
Bcl−2結合活性
種々の既知の方法を用いてBcl−2およびBcl−xL結合を測定することができる。そのような解析の1つは、Wang, J. -L.; Zhang, Z -J.; Choksi, S.; Sjam. S.; Lu, Z.; Croce, C. M.; Alnemri, E. S.; Komgold, R.; Huang, Z. Cell permeable Bcl-2 binding peptides: a chemical approach to apotosis induction in tumor cells. Cancer Res. 2000, 60, 1498-1502に記載の、蛍光偏光(FP)を用いる高感度で定量的なインビトロ結合活性である。
【0040】
細胞ベースのアッセイ
Bcl−2タンパク質が過剰発現した癌細胞において細胞の生存能力を阻害する本発明のヘテロ環化合物の能力が実証された。RL−細胞を本発明のヘテロ環化合物に暴露すると、阻害剤は用量依存的な細胞殺傷を示し、アンバーブルー細胞毒性解析でのIC50値は約100μM〜約1μMである(実施例参照)。Panc1細胞をカンプトセシンとともに本発明のヘテロ環化合物に暴露すると、阻害剤は相乗的な用量依存的細胞殺傷を示し、ヨウ化プロピジウム排除細胞生存解析でのIC50値は約100μM〜約1μMである(実施例参照)。
【0041】
Bcl−2阻害剤は、単独の薬剤として、乳癌(US2003/0119894、PCT出願公開WO02/097053およびWO02/13833;これらはすべて本明細書の一部を構成する)、リンパ腫(Nature (2005) 435, 677-681)、小細胞肺癌(Nature (2005) 435, 677-681)、頭部癌および頸部癌(PCT出願公開WO02/097053;本明細書の一部を構成する)、および白血病(PCT出願公開WO02/13833;本明細書の一部を構成する)を含むがこれらに限定されない数多くの癌細胞系に対して活性であることが示された。
【0042】
Bcl−2阻害剤は、他の抗癌剤や放射線照射と組み合わせて、乳癌(ドセタキセルとの組合せ、PCT出願公開WO02/097053;本明細書の一部を構成する)、前立腺癌(ドセタキセルとの組合せ、PCT出願公開WO02/097053;本明細書の一部を構成する)、頭部癌および頸部癌(ドセタキセルとの組合せ、PCT出願公開WO02/097053;本明細書の一部を構成する)、および非小細胞肺癌(パクリタキセルとの組合せ, Nature (2005) 435, 677-681)を含むがこれらに限定されない数多くの癌細胞系に対して活性であることが示された。上記の併用化学療法に加え、Bcl−2タンパク質の小分子阻害剤は、エトポシド、ドキソルビシン、シスプラチン、パクリタキセル、および放射線照射を含むがこれに限定されない他の抗癌剤(Nature (2005) 435, 677-681)との相乗効果を示す。
【0043】
治療および処置の方法
本発明はさらに、癌ならびに他のBcl介在障害または状態を処置し重篤度を軽減するための方法を提供する。
【0044】
本発明の化合物および組成物の投与によって処置することができる癌または腫瘍性疾患および関連障害としては、以下に列挙するものが挙げられるがこれに限定されない(そのような障害の概説はFishman et al., 1985, Medicine, 2d Ed., J. B. Lippincott Co., Philadelphiaを参照):白血病(急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、および慢性リンパ球性白血病を含む);真性赤血球増加症;リンパ腫(ホジキン病および非ホジキン病を含む);多発性骨髄腫;ヴァルデンストレームマクログロブリン血症;重鎖病;および充実性腫瘍(線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭癌、乳頭腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支癌、腎臓細胞癌、肝癌、胆管癌、絨毛腺癌、セミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、子宮癌、睾丸腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、アストロチトーム、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上皮腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、および網膜芽細胞腫を含む)。
【0045】
好ましい態様では、本発明の化合物を用いて、リンパ腫(好ましくは、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、または慢性リンパ球性白血病を含む)、前立腺癌(より好ましくはホルモン非感受性)、乳癌(好ましくは、エストロゲンレセプター陽性)、神経芽腫、結腸直腸、子宮内膜、卵巣、肺(好ましくは、小細胞)、肝細胞の癌腫、多発性骨髄腫、頭部および頸部または睾丸の癌(好ましくは、生殖細胞)を含むがこれらに限定されない癌を処置する。
【0046】
化学療法または放射線治療と組み合わせた癌の処置
1またはそれ以上の本発明化合物を用いて、メトトレキセート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、シクロホスファミド、イフォスファミド、ニトロソ尿素、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン、エトポシド、プレドニゾロン、デキサメタゾン、シタラビン、カンパテシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル、ドセタキセル、5−FU、エピポドフィロトキシン、カンプトセシン、17−AAG、またはシクロホスファミドが挙げられるがこれらに限定されない1またはそれ以上の抗癌剤、化学療法剤と組み合わせて癌または腫瘍性疾患を処置または予防することができる。好ましい態様では、以下に挙げられるがこれらに限定されない1またはそれ以上の化学療法剤または他の抗癌剤と組み合わせて、1またはそれ以上の本発明化合物を用いて癌または腫瘍性疾患を処置または予防する:
放射線、例えばγ線;ナイトロジェンマスタード(シクロホスファミド、イフォスファミド、トロフォスファミド、クロラムブチル、エストラムスチン、およびメルファランを含む);ニトロソ尿素(カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU)を含む);アルキルスルフォネート(ブスルファンおよびトレオスルファンンを含む);トリアゼン(ダカルバジン等);白金含有化合物(シスプラチン、カルボプラチン、およびオキサプラチンを含む);植物アルカロイド(ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビノレルビン、パクリタキセル、およびドセタキソールを含む);DNAトポイソメラーゼ阻害剤(エトポシド、テニポシド、トポテカン、9−アミノカンプトセシン、カンプトイリノテカン、およびクリスナトールを含む);マイトマイシンC;代謝拮抗剤;抗葉酸剤(メトトレキセート、トリメトトレキセート、ミコフェノール酸、チアゾフリン、リバビリン、EICAR、ヒドロキシ尿素、デフェロキサミンを含む);ピリミジンアナログ(5−フルオロウラシル、フロクスウリジン、ドキシフルリジン、ラチトレキセド、カペシタビン、シタラビン(araC)、シトシンアラビノシド、およびフルダラビンを含む);プリンアナログ(メルカプトプリンおよびチオグアニンを含む);ホルモン療法;レセプターアンタゴニスト(タモキシフェン、ラロキシフェン、メゲストロール、ゴスクルクリン、酢酸リュープロレリン、フルタミド、およびビカルタミドを含む);レチノイド/デルトイド(EB1089、CB1093、KH1060、ベルトポルフィン(BPD−MA)、Phtハロシアニン、光増感剤Pc4、デメトキシ−ヒポクレリンA、(2BA−2−DMHA)、インターフェロンα、インターフェロンγ、腫瘍壊死因子を含む);およびその他(ロバスタチン、1−メチル−4−フェニルピリジニウムイオン、スタウロスポリン、アクチノマイシンD、ダクチノマイシン、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ペプロマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、エピルビシン、ピラルビシン、ゾルビシン、ミトキサントロン、ベラパミル、サプシガルジン、アバスチン、エルビタックス、リツキサン、プレドニジロン、イマチニブ、サリドマイド、レナリドミド、ボルテゾミブ、ゲムシタビン、エルロチニブ、ゲフィチニブ、ソラフェニブ、およびスチニブを含む)。
【0047】
化学療法剤および/または放射線療法は、当分野においてよく知られている治療プロトコルに従って投与することができる。化学療法剤および/または放射線療法の投与は、処置する疾患や疾患に対する化学療法剤および/または放射線療法の知られている効果によって変更可能であることは当業者には明かであろう。また、当分野の臨床医の知識にしたがって治療プロトコル(例えば、投与量および投与回数)を投与した治療薬剤(即ち、抗癌剤または放射線照射)の患者に対する観察された効果および投与した治療薬剤に対する疾患の観察された応答に鑑みて変更することができる。
【0048】
本発明のヘテロ環化合物は、医薬粗製物の形態で患者に投与することができる。医薬組成物は、1またはそれ以上の本発明のヘテロ環化合物および1またはそれ以上の製薬的に許容し得る賦形剤を含んでなる。ある特定の例では、医薬組成物は、1またはそれ以上の本発明のヘテロ環化合物、1またはそれ以上の化学療法剤、および1またはそれ以上の製薬的に許容し得る賦形剤を含んでなる。
【0049】
一般に、本発明の化合物と化学療法剤は、同じ医薬組成物中で投与しなくてもよく、生理学的及び化学的特性が異なるために異なる投与経路で投与しなくてはならない場合がある。例えば、本発明の化合物を静脈内投与して良好な血中レベルを達成・維持する一方で、化学療法剤を経口投与してもよい。投与の様式および投与の妥当性、可能であれば同一の医薬組成物で、の判断は十分に当分野の臨床医の技術範囲内である。投与の開始は、当分野で知られている確立されたプロトコルにしたがって行うことができ、その後は、当分野の臨床医が、観察された効果に基づき用量、投与方法及び投与回数を修正することができる。
【0050】
化学療法剤または放射線照射についての具体的な選択は、主治医の診断と、その患者の状態および適当な治療プロトコルについての主治医の判断に依存する。
【0051】
本発明の化合物、および化学療法剤および/または放射線照射は、その増殖性疾患の性質、患者の状態および本発明の化合物と組み合わせて(即ち、1回の治療プロトコルにおいて)投与される化学療法剤および/または放射線照射の実際の選択に依存して、同時に(例えば、同時に、原則的に同時にまたは同一の治療プロトコルの範囲内で)または順次に投与してよい。
【0052】
本発明の化合物、および化学療法剤および/または放射線照射を同時にまたは原則的に同時に投与しない場合、本発明の化合物、および化学療法剤および/または放射線照射の投与の最適な順番は、腫瘍によって異なるであろう。従って、ある特定の場合では、本発明の化合物を最初に投与した後、化学療法剤および/または放射線照射を投与してよく;他の場合においては化学療法剤および/または放射線照射を最初に投与した後、本発明の化合物を投与してもよい。1回の治療プロトコルの間、この交互の投与を繰り返してもよい。処置する疾患および患者の状態を評価した後での、投与の順番の決定、および治療プロトコルの間に各治療薬剤の投与を繰り返す回数の決定は、当業者の知識の十分な範囲内である。例えば、化学療法剤および/または放射線照射は、特にそれが細胞毒性物質である場合は、最初に投与し、次いで本発明の化合物の投与によって処置を継続した後、有益であると判断した場合は、治療プロトコルが完結するまで、化学療法剤および/または放射線照射などの投与を行う。
【0053】
従って、実践する医師は、処置を行うにあたり、経験と知識に従い、個々の患者の必要に応じた治療成分(治療薬剤、即ち、本発明の化合物、化学療法剤または放射線照射)の投与についての各プロトコルを修飾することができる。
【0054】
本発明化合物
本発明の一態様は、式1:
【化11】

[式中、
Yは、−C(R102−、−(C=O)−、−(C=S)−、または−C(=NR10)−;
Xは、−N(R10)−、または結合;
mは、0、1、2、3、4、5、または6;
Aは−S(O)−、−S(O)2−、
【化12】

または−C(A1)(A2)−であり、ここでA1およびA2はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−C(O)N(R102、−C(O)R10、−CO210、−S(O)2N(R102、−S(O)R10、−S(O)2OR10、−S(O)210;または式1a:
【化13】

(式中、nは1、2、3、4、5、または6;
15は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、または−C(O)N(R102であるか;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、8〜14の炭素原子を含む多環である)
を有するか、またはA1およびA2は一緒になって=Oまたは=Sを形成する;またはA1およびA2は、それらが結合している炭素と一緒になって5〜8員の、1または2の環原子がは独立にS、OまたはNであるヘテロ環を形成し;
Bは、O、S、−(C=O)−、−(C=S)−または
【化14】

または式1b:
【化15】

(式中、
Dは、NまたはCR10
pは、0、1、2、3、4、または5;
7およびR8はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、シクロアルケニル、またはヘテロアリールであるか;またはR7およびR8は一緒になって3〜8員の環を形成するか;またはR7およびR8は一緒になって4〜8員の環を形成し;
9は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオである)
を有し;
1は、式1c:
【化16】

(式中、
Qは、0、1、2、3、4、または5;
Rは、0、1、2、3、4、または5;
Ar1は、6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリールであるか;またはAr1は、式1d:
【化17】

(式中、
Sは、0、1、2、3、または4;
2およびX3はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヒドロキシル、アシルオキシ、ニトリル、ニトロ、ハライド、OR11、−C(O)N(R10)(R11)、−C(O)R11、−CO211、−S(O)2N(R10)(R11)、SR11、−S(O)R11、−S(O)2OR11、−S(O)211、−C(=NR10)N(R10)(R11)、または−C(=NR10)(R11)である)
で示されるか;または式1aを有し;
Ar2は6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリール;
1は結合、−C(R102−、−S−、−(NR10)−、または−O−)
で示され;
2は、H、分岐しているまたは分岐していないアルキルまたはアルケニル、シクロアルキル、ヘテロ環、またはビシクロアルキルであるか;または式1aを有し;
3は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオ;
4、R5およびR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、またはヘテロアリールであるか;または式1aを有し;または2つのR10は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR4およびR5は一緒になって3〜8員の環を形成し;
6は、Hまたはアルキル;
11は独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、または[C(R12)(R13)]t−R14(ここでtは、0、1、2、3、4、または5)であり;
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシルである]
で示される化合物またはその不飽和の形態またはその製薬的に許容し得る塩に関する。
【0055】
本発明のさらなる態様は、式10:
【化18】

[式中、
mは独立に0、1、2、3、4、5、または6を示し;
Aは−S(O)−、−S(O)2−、
【化19】

または−C(A1)(A2)−であり、ここでA1およびA2はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−C(O)N(R102、−C(O)R10、−CO210、−S(O)2N(R102、−S(O)R10、−S(O)2OR10、−S(O)210;または式10a:
【化20】

(式中、nは1、2、3、4、5、または6;
15は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、または−C(O)N(R102であるか;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、8〜14の炭素原子を含む多環である)
を有するか、またはA1およびA2は一緒になって=Oまたは=Sを形成する;またはA1およびA2は、それらが結合している炭素と一緒になって5〜8員の、1または2の環原子がは独立にS、OまたはNであるヘテロ環を形成し;
Bは、O、S、−(C=O)−、−(C=S)−または
【化21】

または式10b:
【化22】

(式中、
Dは、NまたはCR10
pは、0、1、2、3、4、または5;
7およびR8はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、シクロアルケニル、またはヘテロアリールであるか;またはR7およびR8は一緒になって3〜8員の環を形成するか;またはR7およびR8は一緒になって4〜8員の環を形成し;
9は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオである)
を有し;
1は、式10cまたは式10d:
【化23】

【化24】

(式中、
Qは、0、1、2、3、4、または5;
Rは、0、1、2、3、4、または5;
Wは、結合;またはアルキルジラジカル、アルケニルジラジカル、またはアルキニルジラジカル;
Zは、H、−SR10、−S(O)211、−NR10S(O)211、−S(O)R10、−N(R10)(R11)、−C(O)R11、−CO211、−C(O)N(R10)(R11)、−C(S)N(R10)(R11)、−CH2C(O)ヘテロ環、−NR10C(O)R11、−NR10CO211、−OC(O)N(R10)(R11)、−NC(O)CH(R10)(R11)、−C(=NR10)N(R10)(R11)、−C(=NR10)R11、ヒドロキシアルキル、単環系アリール、二環式アリール、ヘテロアリール、またはヘテロ環;
Ar1は、6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリールであるか;またはAr1は、式10e:
【化25】

(式中、
Sは、0、1、2、3、または4;
2およびX3はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヒドロキシル、アシルオキシ、ニトリル、ニトロ、ハライド、OR11、−C(O)N(R10)(R11)、−C(O)R11、−CO211、−S(O)2N(R10)(R11)、SR11、−S(O)R11、−S(O)2OR11、−S(O)211、−C(=NR10)N(R10)(R11)、または−C(=NR10)(R11)である)
で示されるか;または式10aを有し;
Ar2は独立に6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリール;
1は結合、−C(R102−、−S−、−(NR10)−、または−O−)
で示され;
2は、H、分岐しているまたは分岐していないアルキルまたはアルケニル、シクロアルキル、ヘテロ環、またはビシクロアルキルであるか;または式10aを有し;
3は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオ;
4、R5およびR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、またはヘテロアリールであるか;または式10aを有し;または2つのR10は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR4およびR5は一緒になって3〜8員の環を形成し;
6は、Hまたはアルキル;
11は独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、または[C(R12)(R13)]t−R14(ここでtは、0、1、2、3、4、または5)であり;
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシルである]
を有する化合物またはその不飽和の形態またはその製薬的に許容し得る塩に関する。
【0056】
本発明のさらなる態様は、式14:
【化26】

[式中、
Yは、−C(R102−、−(C=O)−、−(C=S)−、または−C(=NR10)−;
Xは、−N(R10)−、または結合;
mは独立に、0、1、2、3、4、5、または6;
Aは−S(O)−、−S(O)2−、
【化27】

または−C(A1)(A2)−であり、ここでA1およびA2はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−C(O)N(R102、−C(O)R10、−CO210、−S(O)2N(R102、−S(O)R10、−S(O)2OR10、−S(O)210;または式14a:
【化28】

(式中、nは1、2、3、4、5、または6;
15は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、または−C(O)N(R102であるか;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、8〜14の炭素原子を含む多環である)
を有するか、またはA1およびA2は一緒になって=Oまたは=Sを形成する;またはA1およびA2は、それらが結合している炭素と一緒になって5〜8員の、1または2の環原子がは独立にS、OまたはNであるヘテロ環を形成し;
Bは−(C(R)2X)−、−(XC(R)2)−、または−(C(R)22−;
Xは独立に、S、−(NR10)−、または−O−;
Rは独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;または、式14aを有し;
1は、式14b:
【化29】

(式中、
Qは、0、1、2、3、4、または5;
Rは、0、1、2、3、4、または5;
Ar1は、6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリールであるか;またはAr1は、式14c:
【化30】

(式中、
Sは、0、1、2、3、または4;
2およびX3はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヒドロキシル、アシルオキシ、ニトリル、ニトロ、ハライド、OR11、−C(O)N(R10)(R11)、−C(O)R11、−CO211、−S(O)2N(R10)(R11)、SR11、−S(O)R11、−S(O)2OR11、−S(O)211、−C(=NR10)N(R10)(R11)、または−C(=NR10)(R11)である)
で示されるか;または式14aを有し;
Ar2は6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリール;
1は結合、−(C(R102)−、−S−、−(NR10)−、または−O−)
で示され;
2は、H、分岐しているまたは分岐していないアルキルまたはアルケニル、シクロアルキル、ヘテロ環、またはビシクロアルキルであるか;または式14aを有し;
3は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオ;
4、R5およびR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、またはヘテロアリールであるか;または式14aを有し;または2つのR10は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR4およびR5は一緒になって3〜8員の環を形成し;
6は、Hまたはアルキル;
11は独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、または[C(R12)(R13)]t−R14(ここでtは、0、1、2、3、4、または5)であり;
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシルである]
で示される化合物またはその不飽和の形態またはその製薬的に許容し得る塩に関する。
【0057】
上記に記載の化合物は、(適用可能であれば)以下の特徴の1またはそれ以上を有していてもよい:
Ar2(X2rは、式3:
【化31】

[式中、
18はアルキル、アルケニル、ハライド、ニトロ、またはアミノ;
20およびR21はそれぞれ独立に、H、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、または[C(R22)(R23)]t24
tは独立に、0、1、2、3、4、または5;
22およびR23はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
24は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシル]
で示される;
Yは−(C=O)−である;
Xは−NH−である;
Bは式6aまたは6b:
【化32】

[式中、
pは0、1、または2;
7およびR8はそれぞれ独立に、Hまたはアルキル;および
9は、H、−OR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−OCO210、または−OC(O)N(R102]を有する;
BはSである;
1およびA2は一緒になって=Oを形成し;および
Bは式8:
【化33】

[式中、
pは0、1または2;
7およびR8はそれぞれ独立に、Hまたはアルキル;および
9は、H、−OR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−OCO210、または−OC(O)N(R102
を有する;
1およびA2はそれぞれHである;
1は、式11:
【化34】

[式中、
Sは0、1、2、3、または4;
3はそれぞれ独立に、Hまたはハライド;
18およびR19はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、または[C(R12)(R13)]t14(ここにtは0、1、2、3、4、または5);
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシル]
を有する;
Bは式12aまたは12b:
【化35】

[式中、
pは0、1、2、3、または4;
7およびR8はそれぞれ独立に、Hまたはアルキル;および
9は、H、−OR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−OCO210、または−OC(O)N(R102]を有する;
Aは−C(A1)(A2)−である;
1およびA2は一緒になって=Oを形成する;
Bは式13:
【化36】

[式中、
pは0、1、2、3、または4;
7およびR8はそれぞれ独立に、Hまたはアルキル;および
9は、H、−OR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−OCO210、または−OC(O)N(R102;およびR2はビシクロアルキル]を有する。
【0058】
本化合物は構造式2:
【化37】

[式中、
Yは、−C(R102−、−(C=O)−、または−(C=S)−;
Xは、−N(R10)−;
mは、0、1、2、または3;
Rは、0、1、2、3、4、または5;
Sは、0、1、2、3、または4;
Aは、−S(O)−、−S(O)2−、
【化38】

または−C(A1)(A2)−;
1およびA2はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−C(O)N(R102、−C(O)R10、−CO210、−S(O)2N(R102、−S(O)R10、−S(O)2OR10、または−S(O)210;または、式2a:
【化39】

(式中、
Nは1、2、3、4、5、または6;
15はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、または−C(O)N(R102;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、8〜14の炭素原子を含む多環である)を有するか;またはA1およびA2は一緒になって=Oまたは=Sを形成し;
Bは−(C=O)−、−(C=S)−、O、またはS;または式2b:
【化40】

(式中、
DはNまたはCR10
pは0、1、2、または3;
7およびR8はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、シクロアルケニル、またはヘテロアリール;またはR7およびR8は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR7およびR8は一緒になって4〜8員の環を形成し;
9は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオ)
を有し;
Ar2は6〜10の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリール;
2は、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヒドロキシル、アシルオキシ、ニトリル、ニトロ、ハライド、OR11、−C(O)N(R10)(R11)、−C(O)R11、−CO211、−S(O)2N(R10)(R11)、SR11、−S(O)R11、−S(O)2OR11、−S(O)211、−C(=NR10)N(R10)(R11)、または−C(=NR10)(R11);または式2aを有し;
4、R5およびR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、またはヘテロアリール;または式2aを有し;または2つのR10は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR4およびR5は一緒になって3〜8員の環を形成し;
3は独立に、H、アルキル、アルケニル、−OR11、またはハライド;または式2aを有し;
RおよびR’はそれぞれ独立に、Hまたはアルキル;
6はHまたはアルキル;
11は独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、または[C(R12)(R13)]t14(ここにtは独立に、0、1、2、3、4、または5);
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシルである]
を有していてもよい。
【0059】
あるいは、本化合物は式4
【化41】

[式中、
Yは−C(R102−、−(C=O)−、または−(C=S)−;
Xは−N(R10)−;
mは0、1、2、3、または4;
Sは0、1、2、3;
1およびA2はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−C(O)N(R102、−C(O)R10、−CO210、−S(O)2N(R102、−S(O)R10、−S(O)2OR10、または−S(O)210;または、式4a:
【化42】

(式中、
nは1、2、3、4、5、または6;および
15はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、または−C(O)N(R102;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、8〜14の炭素原子を含む多環である)
を有するか;またはA1およびA2は一緒になって=Oまたは=Sを形成し;
BはO、S、−(C=O)−、または−(C=S)−;または、式4b:
【化43】

(式中、
DはNまたはCR10
pは0、1、2、3;
7およびR8はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、シクロアルケニル、またはヘテロアリール;またはR7およびR8は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR7およびR8は一緒になって4〜8員の環を形成し;
9は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオ)
を有し;
6はHまたはアルキル;
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシル;
16は、H、アルキル、アルケニル、またはOR11;式4aを有し;
3はそれぞれ独立に、Hまたはハライド;
18はアルキル、アルケニル、ハライド、ニトロ、またはアミノ;
20およびR21はそれぞれ独立に、H、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、または[C(R22)(R23)]t24(ここにtは独立に、1、2、3、4、または5);
22およびR23はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
24は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシル]
を有していてもよい。
【0060】
具体的な化合物としては、以下に示すものが包含される:
【化44】

【化45】

【0061】
本発明の方法
本発明の一態様は、上記に記載の式1、10、または14で示される化合物またはそれらの塩の治療上有効量を必要な患者に投与する工程を含んでなる、Bcl介在障害を処置する方法に関する。さらなる態様では、本発明は、治療上有効量の化学療法剤と組み合わせて、上記に記載の式1、10、または14で示される化合物またはそれらの塩の治療上有効量を必要な患者に投与する工程を含んでなる、Bcl介在障害を処置する方法に関する。
【0062】
いずれかの態様のある特定の態様では、Bcl介在障害は、癌または腫瘍性疾患である。癌または腫瘍性疾患は、以下からなる群から選択され得る:急性白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球性、前骨髄球性、骨髄単球性、単球性、赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、真性赤血球増加症、ホジキン病、非ホジキン病;多発性骨髄腫、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、重鎖病、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、滑液腫瘍、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸癌腫、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮細胞癌腫、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌腫、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭腺癌、腺癌、髄様癌、気管支癌、腎臓細胞癌腫、肝癌、胆管癌、絨毛腺癌、セミノーマ、胎児性癌、ウィルムス腫瘍、頸部癌、子宮癌、睾丸腫瘍、肺癌腫、小細胞肺癌腫、膀胱癌腫、上皮癌腫、神経膠腫、アストロチトーム、髄芽腫、頭蓋咽頭腫、脳室上皮腫、松果体腫、血管芽細胞腫、聴神経腫、乏突起膠腫、髄膜腫、黒色腫、神経芽腫、網膜芽細胞腫、および子宮内膜癌。
【0063】
癌はまた、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、慢性リンパ球性白血病前立腺癌、乳癌、神経芽腫、結腸直腸、子宮内膜、卵巣、肺癌、肝細胞の癌腫、多発性骨髄腫、頭部および頸部または睾丸の癌であり得る。
【0064】
ある特定の態様では、癌は、Bclタンパク質を過剰に発現するおよび/またはBclタンパク質の増殖および生存に依存する。Bclタンパク質、例えば、Bcl−2またはBcl−xLであり得る。他の態様では、癌はt(14;18)染色体転座を示す。
【0065】
化合物は、非経口、筋肉内、静脈内、皮下、経口、肺、鞘内、局所または鼻内投与することができる。ある特定の態様では、化合物を全身投与する。ある特定の態様では、患者は哺乳類、好ましくは霊長類、より好ましくはヒトである。
【0066】
医薬組成物
さらなる態様では、本発明は、1またはそれ以上の製薬的に許容し得る担体(添加剤)および/または希釈剤と共に製剤化された、治療上有効量の1またはそれ以上の上記の化合物を含有する製薬的に許容し得る組成物を提供する。以下に詳細に記載するように、本発明の医薬組成物は、以下のものに適したものを包含する固体または液体での投与のために具体的に製剤化することができる:(1)経口投与、例えば、液剤(水溶液または非水溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、口腔内、舌下および全身の吸収を目的としたもの、舌への適用のための丸薬、粉末、顆粒、ペースト;(2)非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、静脈内または上皮注射、例えば、滅菌溶液または懸濁液または徐放製剤;(3)局所適用、例えば、クリーム、軟膏、または放出制御パッチまたは皮膚に適用されるスプレーとして;(4)膣内または直腸内、例えば、ペッサリー、クリームまたは泡状物;(5)舌下;(6)眼内;(7)経皮;(8)鼻内;(9)肺;または(10)鞘内。
【0067】
本発明の製剤としては、経口、鼻内、局所的(口腔内および舌下を含む)、直腸、膣および/または非経口投与に適したものが挙げられる。製剤は、便宜上単位投与剤形で提供することができ、医薬品の分野で周知の方法のいずれかによって製造することができる。。担体物質と組合せて単位投与剤形を製造することができる活性成分の量は、処置する宿主、具体的な投与の方法によって変わる。担体物質と組合せて単位投与剤形を製造することができる活性成分の量は、一般に、治療効果をもたらす化合物の量である。一般に、100パーセントのうち、活性成分の量は、約0.1%〜約99%、好ましくは約5%〜約70%、最も好ましくは約10%〜約30%である。
【0068】
経口投与に適した本発明の製剤は、それぞれ予め決められた量の本発明の化合物を活性成分として含有する、カプセル、カシェ、丸剤、錠剤、トローチ剤、粉末、顆粒、または水性または非水性の溶液または懸濁液、または油中水または水中油液体乳剤、またはエリキシル剤またはシロップ、またはトローチ、および/または洗口剤等の形態であり得る。
【0069】
経口投与のための本発明の固形投与形態(カプセル、錠剤、丸剤、糖衣錠、粉末、顆粒、トローチ等)においては、活性成分を1またはそれ以上の製薬的に許容し得る担体(クエン酸ナトリウムまたは第二リン酸カルシウム等)および/または任意の以下のものが混合されている:(1)充填剤または増量剤(デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸等);(2)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ショ糖および/またはアカシア等);(3)保湿剤(グリセリン等);(4)崩壊剤(寒天、炭酸カルシウム、馬鈴薯またはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩および炭酸ナトリウム等);(5)溶液遅延剤(パラフィン等);(6)吸収促進剤(例えば、4級アンモニウム化合物、界面活性剤(ポロクサマーおよびラウリル硫酸ナトリウム等));(7)湿潤剤(セチルアルコール、モノステアリン酸グリセロールおよび非イオン性界面活性剤等);(8)吸収剤(カオリンおよびベントナイトクレイ等);(9)滑沢剤(タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸およびそれらの混合物等);(10)着色剤;および(11)放出制御剤(クロスポビドンまたはエチルセルロース等)。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、医薬組成物は、緩衝剤もまた含んでいてもよい。
【0070】
錠剤、および本発明の医薬組成物の他の固形の投与形態(例えばトローチ、カプセル、丸剤および顆粒)は、所望により、コーティングおよびシェル(腸溶性コーティングおよび薬学処方分野で公知の他のコーティング等)で分割および製造してもよい。これらはまた、例えば、所望の放出プロファイルがもたらされるように種々の割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを用いて、製剤内の活性成分の遅延されたまたは制御された放出をもたらすように製剤化することができる。これらは迅速な放出のために、例えば凍結乾燥して、製剤化することができる。これらは、例えば、細菌保持フィルターでの濾過により、または使用直前に滅菌水または他の滅菌注射用媒体に溶解し得る固形組成物の形態では滅菌剤を添加することにより、滅菌することができる。これら組成物はまた、所望により乳白剤を含有していてもよく、消化管のある特定の部分でのみまたはその部分で優先的に、所望により遅延されるように、活性成分を溶出する組成物であってもよい。使用できる埋め込み組成物の例としては、高分子物質およびワックスが挙げられる。活性成分はまた、1またはそれ以上の上記の賦形剤とともに適宜マイクロカプセルの中に入れることができる。
【0071】
本発明の化合物の経口投与のための液体の剤形としては、製薬的に許容し得る乳剤、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性成分のほか、液体の剤形には、当分野において一般に用いられる不活性な希釈剤(例えば、水または他の溶媒)、可溶化剤および乳化剤(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(具体的には綿実油、ラッカセイ油、コーン油、肺芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセリン、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸酸エステル、およびそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0072】
非経口投与に適当な本発明の医薬組成物は、1またはそれ以上の本発明化合物を、1またはそれ以上の製薬的に許容し得る無菌の等張性の水溶液または非水溶液、分散液、懸濁液または乳剤、または使用直前に無菌注射溶液または分散液中で再構成される無菌の粉末と共に含んでなり、糖類、アルコール、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、製剤を企図する受容者の血液と等張にするための溶質、懸濁剤または増粘剤を含有してもよい。
【0073】
それら組成物はまた、保存剤、湿潤剤、乳化剤分散剤等の添加剤を含有し得る。
対象化合物に対する微生物の活動は、様々な抗菌剤や抗真菌剤(例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸など)を添加することによって防止することができる。また、等張化剤(糖類、塩化ナトリウム、および等)を組成物に添加することが望ましい場合もある。さらに、注射用医薬剤型の持続的な吸収は、吸収を遅らせる薬剤(モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン等)を添加することによってもたらすことができる。
【0074】
薬物の効果を持続させるために、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅らせることが望ましい場合もある。これは、水溶性の低い結晶性またはアモルファス物質の懸濁液を用いることによって達成することができる。薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、その溶解速度は、結晶サイズおよび結晶形態に依存する。あるいは、非経口的に投与される化合物形態の遅延した吸収を、薬物を油性のビヒクル中に溶解または懸濁することによって達成することができる。
【0075】
注射可能なデポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中に目的化合物のマイクロカプセルマトリクスを形成することによって製造される。ポリマーと薬物の比率および使用される具体的なポリマーの性質に依存して、薬物放出の速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射用製剤はまた、体の組織に適合性のあるリポソームまたはミクロエマルジョン中に薬物を取り込むことによって製造する。
【0076】
本発明の化合物の局所的投与または経皮的投与のための投薬形態としては、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチ、および吸入剤が挙げられる。活性成分は、必要に応じて、滅菌条件下で製薬的に許容し得る担体および適宜任意の保存剤、緩衝液またはプロペラントとともに混合することができる。軟膏、ペースト、クリームおよびゲルには、活性な本発明の化合物に加えて、さらに賦形剤(動物性および植物性脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛オキシド、またはそれらの混合物を含有してもよい。
【0077】
粉末およびスプレーには、本発明の化合物のほか、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれら物質の混合物等の賦形剤を含有することができる。スプレーは、慣用のプロペラント(クロロフルオロ炭化水素やブタンおよびプロパン等の揮発性の非置換の炭化水素等)を含有することができる。
【0078】
経皮パッチは、本発明の化合物の体への制御された送達をもたらすという、さらなる利点を有する。そのような投与形態は、適切な媒体中に化合物を溶解させるかまたは分散させることによって製造することができる。吸収増強剤はまた、皮膚を介する化合物の流動を増大させるために使用することができる。そのような流動の速度は、速度制御膜を提供することによるか、またはポリマーマトリクスもしくはゲル中に化合物を分散させることによって制御することができる。
【0079】
直腸投与または膣投与のための組成物は、坐剤として提供することができ、1またはそれ以上の本発明の化合物と、室温では固体であるが体温では液体であり、従って直腸もしくは膣の腔において溶けて活性化合物を放出し得る適切な非刺激性の賦形剤もしくはキャリア(例えば、ココアバター、ポリエチレングリコールもしくは坐剤ワックス)とを混合することによって、製造することができる。
【0080】
眼内製剤、眼用の軟膏、粉末、溶液等もまた、本発明の範囲に含まれると解される。
【0081】
本発明の化合物を、ヒトおよび動物に対して、医薬として投与する場合、それ自体としてか、または例えば、0.1〜99%(より好ましくは、10〜30%)の活性成分を製薬的に許容し得る担体と組み合わせて含有する医薬組成物として投与することができる。
【0082】
選択された投与経路に関わらず、適当な水和された形態で用いることができる本発明の化合物および/または本発明の医薬組成物は、当業者に知られている慣用的な方法によって製薬的に許容し得る剤型に製剤化される。
【実施例】
【0083】
本発明をここに一般的に記載したが、本発明は、本発明の特定の態様を単なる説明を目的として記載され本発明の限定を意図するものではない以下の実施例を参照することによりさらに容易に理解されるであろう。
【0084】
実施例1
【化46】

パートA
【化47】

DMF(5mL)中の0℃のフェノール2(750mg、3mmol、1当量)の溶液をNaH(130mg、3.6mmol、1.2当量)、次いでMeI(280μL、4.5mmol、1.5当量)を加えた。反応混合物を室温で24時間攪拌した後、水でクエンチした。混合物をEtOAcで希釈し、水(2回)、次いでブラインで洗浄した。溶液をMgSO4で乾燥し、濾過し、濃縮して粗製物3795mg(100%)を得た。
【0085】
パートB
【化48】

アルデヒド3(795mg、3.03mmol、1当量)およびヒドロキシルアミンハイドロクロライド(253mg、3.64mmol、1.2当量)をTHF/MeOH(3:2、10mL)に溶解した。水(2mL)を加え、6.0NのKOHでpHを9に調整した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。16時間後水素化シアノホウ素ナトリウム(381mg、6.07mmol、2当量)、次いでメチルオレンジの結晶を加えた。pHを2に調整し、1N塩酸を度々加えることにより反応中に生じたルビーレッドの色を維持した。さらに2時間攪拌した後、水素化シアノホウ素ナトリウム(381mg)をさらに加えた。計16時間攪拌した後、反応混合物のpHを7にし、DCMを加えた。混合物を、水(3回)、ブラインで洗浄した後、MgSO4で乾燥した。フラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン中50%EtOAc、次いで100%EtOAc)により粗製物を精製してヒドロキシルアミン4 706mg(83%)を得た。
【0086】
パートC
【化49】

ベンゼン(15mL)中のヒドロキシルアミン4(705mg、2.53mmol、1当量)およびメチルグリオキシレート(445mg、5.05mmol、2当量)の溶液をDeanStarkトラップで一晩加熱還流した。過剰の溶媒を減圧留去し、生じたニトロン5を粗製物のまま次の工程に用いた。
【0087】
パートD
【化50】

ニトロン5(882mg、2.53mmol、1当量)、アリルアルコール6(米国特許出願第11/156364、出願日2005念6月17日)(820mg、3.79mmol、1.5当量)およびTi(iOPr)4(1.12mL、3.79mmol、1.5当量)をトルエン(5mL)に溶解し、マイクロウェーブにて120℃で10分間加熱した。反応混合物をEtOAc(15mL)で希釈し、3−(ジメチルアミノ)−1、2−プロパンジオール(500μL)を加えた。2時間攪拌した後、EtOAcを加え、混合物を水(3回)次いでブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した後、セライトで濾過し濃縮した。粗製の残留物をフラッシュクロマトグラフィー(5:1ヘキサン/EtOAc)で精製して575mg(43%)のラクトン7を得た。
【0088】
パートE
【化51】

THF(6mL)中の溶液7(225mg、0.042mmol、1当量)に、ピリジン(2mL)およびHF/ピリジン(2mL)を加えた。混合物を室温で4時間攪拌した後、TMSOMe(8mL)を加えた。溶媒を減圧留去し、粗製物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc)で精製して128mg(72%)の8を白色の泡状物として得た。
【0089】
パートF
【化52】

DCM(22mL)中のラクトン8(0.94g、2.2mmol、1当量)0℃の溶液に、トリエチルアミン(0.68mL、4.9mmol、2.2当量)を加え、次いでメタンスルホニルクロリド(0.38mL、4.9mmol、2.2当量)を滴加した。反応混合物を12時間かけて室温に温めた後、TLCおよびLC/MSによってアルコールが完全に消費されたことを確認した。次いで、混合物をDCM(100mL)および飽和炭酸水素ナトリウム溶液(25mL)に注いだ。層を分離し、水層DCM(3x30mL)で抽出した。集めた有機抽出物を乾燥(MgSO4)し、減圧下で濾過し濃縮した。粗製物をグラジェントフラッシュクロマトグラフィー(100gSiO2、30−70%EtOAc/Hex)により精製して9(1.04g、2.1mmol、94%)を得た。
【0090】
パートG
【化53】

室温にて、メシレート9(450mg、0.91mmol)にそのままヨウ化サマリウム(27mLのa0.1MTHF溶液、2.7mmol)を加えた。室温で1時間攪拌した後、反応物を5%塩化アンモニウム溶液(10mL)でクエンチすると直ぐに反応混合物の色が暗青色から黄色に変化した。次いで、反応混合物をセライトのパッドで濾過し、濾液を水(100mL)およびEtOAc(100mL)で希釈した。水層をEtOAc(2x50mL)で抽出した。集めた有機抽出物をブラインで洗浄し(50mL)、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濾過し、濃縮した。粗製物をグラジェントフラッシュクロマトグラフィー(75gSiO2、30−80%EtOAc/Hex)で精製して10を得た(190mg、2.1mmol、52%収率).
【0091】
パートH
【化54】

DCM(2mL)中の(+)−イソピノカンフェイルアミン11(0.25mL、1.5mmol)の室温の溶液に、AlMe3(0.71mLのa2M溶液inヘキサン、1.4mmol)を加えた。10分間攪拌した後、DCM(3mL)中のラクトン10(190mg、0.47mmol)の溶液を加え、混合物を室温で攪拌した。16時間攪拌した後、反応物を飽和ロッシェル塩水溶液(5mL)でクエンチし、2相性の混合物ができるまで23℃で2時間十分に攪拌した。水層を分離しDCM(2x25mL)で抽出した。集めた有機抽出物をブライン(10mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濾過し、濃縮した。粗製物をグラジェントフラッシュクロマトグラフィー(50gSiO2、2−5%MeOH/DCM)により精製して201mg(77%)の12を黄色の油として得た。
【0092】
パートI
【化55】

THF/H2O混合物(1:1、4mL)中のピロリジン12(190mg、0.34mmol)の脱気(Ar)した溶液に、ボロン酸13(120mg、0.68mmol)、酢酸パラジウム(12mg、0.05mmol)、炭酸カリウム(190mg、1.4mmol)および最後にホスフィンリガンド(Anderson、K.W.;ら、Angew.Chemie2005、44、2922)(54mg、0.1mmol)を加えた。反応物を65℃に加熱した。65℃にて4時間後、反応混合物を1時間かけて23℃に冷却して、DCMで希釈し、セライトのパッドで濾過した。次いで、濾液をpH4の水溶液(20mL)からDCM(50mL)を用いて抽出した。水層を分離しDCM(2x20mL)で抽出し、集めた有機抽出物をブライン(15mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)し、減圧下で濾過し、濃縮した。粗製の残留物は、さらに精製することなく次の反応に用いた。
【0093】
パートJ
【化56】

MeOH(4mL)中の粗製のピロリジン15(190mg、0.34mmol)の溶液に、ホルムアルデヒド(41uLofa37%水溶液、1.37mmol)、次いで水素化シアノホウ素ナトリウム(43mg、0.68mmol)を一度に加えた。23℃で12時間攪拌した後、反応溶液を減圧下で濃縮した。粗製物をグラジェントフラッシュクロマトグラフィー(75gSiO2、2−10%MeOH/DCM)により精製して130mg(2工程で64%)の16を白色の固体として得た。
【0094】
パートK
【化57】

THF/DMF(4:1、1mL)中のピロリジン17(11mg、0.02mmol)の溶液に、HBTU(10mg、0.04mmol)、次いでフェネチルアミン(5uL、0.04mmol)を加えた。23℃で1時間攪拌した後、反応混合物をメタノール(0.5mL)で希釈し、40mM炭酸水素アンモニウム/アセトニトリル水溶液グラジェントを溶離液として用いる調製用逆相HPLCで直接精製して5mg(40%)の1を得た。MS(ESI(+))m/z697.3.(M+H)+
【0095】
実施例2
【化58】

パートA
【化59】

アルゴン雰囲気下、臭化アリール3(2.32mmol)、ボロン酸14(2.8mmol)、ホスフィンリガンド(0.1mmol)、酢酸パラジウム(0.5mmol)、および炭酸カリウム(9.3mmol)を脱気した水に懸濁し、60℃にて攪拌しながら8時間加熱した(K.W. AndersonおよびS.L. Buchwald, Ang. Chem. Int. Ed., 2005, 44, 2)。混合物をDCM(40mL)および水(20mL)に注ぎ、水層のpHを2NHClで3に調整した。層を混合し、分離し、水層をDCM(20mL)で抽出した。有機層を集め、飽和NaCl水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮して淡黄色の油を得た。シリカゲルクロマトグラフィー(0.5%HOAc/20−40%酢酸エチル/ヘキサン)による精製により淡黄色の固形物(33%収率)を得た。
【0096】
パートB
【化60】

ビフェニル酸15(0.76mmol)および(S)−ジアミン16(1.1mmol)をTHF/水(10mL、4:1)に溶解し、HOBt(0.9mmol)およびEDC−HCl(0.9mmol)で処理した。23℃で12時間攪拌した後、混合物を酢酸エチル(30mL)および水(15mL)に注いだ。有機層を5%NaHCO3、飽和NaCl水溶液で洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。
残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(0.5%NH4OH/2−8%MeOH/DCM)により精製して淡黄色の油状物を得た(65%収率)。
【0097】
パートC
【化61】

Boc−L−プロリン18(0.46mmol)および(+)−イソピノカンフェイルアミン(0.46mmol)をジイソプロピルエチルアミンと共にDMF(2mL)およびDCM(1mL)に溶解し、HBTU(0.46mmol)で処理した。混合物を23℃で12時間攪拌した後、エーテル(40mL)および水(20mL)に注いだ。有機層をさらに水(20mL)、5%NaHCO3、1NHCl、飽和NaCl水溶液で洗浄した後、MgSO4で乾燥した。濃縮して得られた油状物をエーテル(5mL)に再溶解し、HClのジオキサン溶液(4N、5mL)で4時間攪拌した。凍溶液を減圧下で濃縮し、乾燥して白色の固体(収率80%)を得た。
【0098】
パートD
【化62】

アミン19(0.16mmol)およびアルデヒド17(0.54mmol)をメタノール(1.2mL)に溶解し、酢酸(0.05mL)および水素化シアノホウ素ナトリウム(0.16mmol)で処理した。12時間攪拌した後、生成物を逆相HPLC(MeCN/0.1%NH4HCO3(水中))を用いて精製し、凍結乾燥して白色の固体(6.2mg)を得た。MS(ESI(+))m/z696.4(M+H)+
【0099】
実施例3
【化63】

化合物18は、Boc−L−プロリンの代わりにBoc−D−プロリンを用いて、実施例2に記載の手順にしたがって合成した。MS(ESI(+))m/z696.4(M+H)+
【0100】
実施例4
【化64】

化合物19は、Boc−L−プロリンの代わりにヒドロキシ−Boc−L−プロリンを用いて、実施例2に記載の手順にしたがって合成した。
【0101】
実施例5
【化65】

【化66】

化合物20は、フェネチルアミンの代わりにN、N−ジメチルアミノエチルアミンを用いて、実施例1に記載の手順にしたがって合成した。全体の収率70%。ペアレントMS(ESI(+))m/z664.16(M+H)+、主イオンフラグメントm/z332.56(M+2H/2)+
【0102】
実施例6
【化67】

【化68】

化合物21は、フェネチルアミンの代わりに(S)−N’N’−4−トリメチルペンタン−1、2−ジアミンを用いて実施例1に記載の手順にしたがって合成した。全体の収率70%。ペアレントMS(ESI(+))m/z720.25(M+H)+、主イオンフラグメントm/z360.52(M+2H/2)+.
【0103】
実施例7
【化69】

【化70】

化合物22は、フェネチルアミンの代わりに(S)−N’N’−ジメチル−3−フェニルプロパン−1、2−ジアミンを用いて実施例1に記載の手順にしたがって合成した。全体の収率70%。ペアレントMS(ESI(+))m/z754.23(M+H)+、主イオンフラグメントm/z377.59(M+2H/2).
【0104】
実施例8
【化71】

【化72】

化合物22は、フェネチルアミンの代わりに1−エチル−(S)−2−ピロリジンメタンアミンを用いて、実施例1に記載の手順にしたがって合成した。全体の収率70%。ペアレントMS(ESI(+))m/z704.3(M+H)+、主イオンフラグメントm/z352.65(M+2H/2).
【0105】
実施例9
【化73】

【化74】

アルゴン雰囲気下、化合物25(実施例1に記載の手順にしたがって合成、化合物12)(100mg)、4−(ジメチルアミノカルボニル)フェニルボロン酸(71mg)、Cs2CO3(120mg)、KOAc(20mg)、およびPd(dppf)Cl2(10mg)をDMSO(6mL)に懸濁し、60℃にて3時間加熱した。2.5時間後、さらにPd(dppf)Cl2(5mg)を反応混合物に加えた。次いで、反応混合物を室温に冷却し、DCM(25mL)で希釈した後、NaS2CNMe2(8mL)の水溶液で抽出した。水層を分離し、DCM(3×25mL)で抽出した。集めた有機物を水(25mL)およびブライン(25mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーを用いて精製して所望の生成物を得た。
【0106】

実施例10
【化75】

パートA
【化76】

Boc−L−3−トランス−ヒドロキシプロリン27(250mg、1.08mmol、1.0当量)および(+)−イソピノカンフェイルアミン(166mg、1.08mmol、1.0当量)をジイソプロピルエチルアミン(280mg、2.16mmol、2.0当量)とともにDCM(5mL)に溶解し、HBTU(492.0mg、1.3mmol、1.2当量)で処理した。混合物を室温で12時間攪拌した後、ジエチルエーテル(40mL)および水(20mL)に注いだ。有機層を、水(20mL)、5%炭酸水素ナトリウム、1M塩酸、飽和塩化ナトリウム水溶液で順次に洗浄した後、硫酸ナトリウムで乾燥した。濃縮して得られた油状物をジエチルエーテル(5mL)に再溶解し、塩酸のジオキサン溶液(4M、5mL)とともに4時間攪拌した。溶液を減圧下で濃縮し、乾燥して3を白色の固体として得た。収率80%。
【0107】
パートB
【化77】

THF/水混合物(1:5、18mL)中のヨウ化物29(1.0g、3.8mmol、1.0当量)およびボロン酸5(1.37g、7.6mmol、2.0当量)の脱気した溶液に、酢酸パラジウム(22mg、0.09mmol、0.025当量)、炭酸カリウム(2.1g、15mmol、4当量)および最後に硫酸化S−Phosリガンド(100mg、0.19mmol、0.050当量)(およびerson、K.W.;ら、Angew.Chemie2005、44、2922)を加えた。アルゴン雰囲気下、透明な混合物を、十分に攪拌しながら65℃に2時間加熱した。反応混合物を室温に冷却した後、THF(3mL)および酢酸(3mL)で希釈した。この攪拌した混合物に、ホルマリン溶液(2.4mL、30mmol、8.0当量)および水素化シアノホウ素ナトリウム(710.0mg、11mmol、3.0当量)を加えた。
15分間攪拌した後、混合物を水(50mL)で希釈し、EtOAc(2x75mL)で2回抽出した。集めた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮して淡黄色の油状物30を得、これをさらに精製することなく次の反応に用いた。
【化78】

前の工程で得られた黄色の油状物30(3.8mmol、1.0当量)をジアミン7(810mg、4.5mmol、1.2当量)およびジイソプロピルエチルアミン(2.0mL、11mmol、3.0当量)と共にDCM(10mL)に溶解しHBTU(1.7g、4.5mmol、1.2当量)で処理し、室温で2時間攪拌した。透明な溶液を5%炭酸水素ナトリウム水溶液(50mL)と混合し、DCM(2x50mL)で2回抽出した。集めた有機抽出物をブライン(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で濃縮した。粗製の混合物をシリカゲルクロマトグラフィー(0.5%アンモニウムhydrオキシド/3−10%メタノール/DCM)により精製して白色の泡状物31(610mg、3工程で35%)を得た。MS(ESI(+))462.4m/z(M+H)+
【化79】

アルコール31(165mg、0.35mmol、1.0当量)のDCM溶液(4mL)にトリエチルアミン(0.3mL、2.1mmol、6.0当量)、次いでデス−マーチンペルヨージナン(212mg、0.5mmol、1.4当量)を加えた。反応物を室温で1.5時間攪拌した後、DCM(30mL)で希釈した。有機の混合物を5%チオ硫酸ナトリウム水溶液、5%炭酸水素ナトリウム、水、およびブライン(各25mL)で順次に洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で濃縮して薄琥珀色の油状物32を次の工程に直接使用した。MS(ESI(+))460.4m/z(M+H)+
【0108】
パートC
【化80】

アミン塩酸塩28(60.0mg、0.2mmol、3.0当量)およびアルデヒド32(30.0mg、0.065mmol、1.0当量)をメタノール(1.2mL)に溶解し、トリエチルアミン(20.0mg、0.2mL、3.0当量)および水素化トリアセトキシホウ素ナトリウム(55.0mg、0.26mmol、4.0当量)で処理した。
12時間攪拌した後、生成物を逆相HPLC(MeCN/0.1%ギ酸in水)を用いて精製し、凍結乾燥により濃縮して26を白色の粉末(4.0mg)として得た。MS(ESI(+))710.7m/z(M+H)+
【0109】
実施例11
【化81】

化合物33は、Boc−L−3−トランス−ヒドロキシプロリンの代わりにBoc−L−4−チアプロリンを用いて実施例10に記載の手順にしたがって合成した。MS(ESI(+))m/z712.5(M+H)+
【0110】
実施例12
【化82】

化合物34は、Boc−L−3−トランス−ヒドロキシプロリンの代わりにBoc−L−3−ジメチル−4−チアプロリンを用いて、実施例10に記載の手順にしたがって合成した。MS(ESI(+))m/z740.5(M+H)+
【0111】
実施例13
【化83】

化合物35は、Boc−L−3−トランス−ヒドロキシプロリンの代わりにBoc−L−4−トランス−Fmoc−アミノプロリンを用いて実施例10に記載の手順にしたがって合成した。最終の精製の前に、メタノール中の15%ピペリジンで処理することによりFmoc基を脱離した。このメタノール溶液を逆相HPLCに直接付した。MS(ESI(+))m/z708.5(M+H)+
【0112】
実施例14
【化84】

化合物36は、Boc−L−3−トランス−ヒドロキシプロリンの代わりにBoc−L−4−シス−Fmoc−アミノプロリンを用いて実施例10に記載の手順にしたがって合成した。最終の精製の前に、メタノール中の15%ピペリジンで処理することによりFmoc基を脱離した。このメタノール溶液を逆相HPLCに直接付した。MS(ESI(+))m/z708.5(M+H)+
【0113】
実施例15
【化85】

化合物37は、Boc−L−3−トランス−ヒドロキシプロリンの代わりにBoc−L−ピペコリン酸を用いて実施例10に記載の手順にしたがって合成した。MS(ESI(+))m/z708.5(M+H)+
【0114】
実施例16
【化86】

化合物38は、Boc−L−3−トランス−ヒドロキシプロリンの代わりにBoc−S−2−モルホリンカルボン酸を用いて実施例1に記載の手順にしたがって合成した。MS(ESI(+))m/z710.5(M+H)+
【0115】
実施例17
様々な本発明化合物についてのBcl−2結合アフィニティー解析データを以下に示す。「****」はKiが<0.1μMであることを示し;「***」はKiが0.1〜0.3μMであることを示し;「**」はKiが0.3〜50μMであることを示し;「*」はKiが>50μMであることを示す。
【表1】

【0116】
本明細書の一部としての援用
すべての米国特許、米国特許出願公開公報および米国を指定国とするPCT特許出願公開公報は、本明細書の一部として援用する。
【0117】
均等
当業者は、本明細書に記載した具体的な態様の多くの均等物を認識する、または常套的な範囲を超えることなく実験により確認することができる。そのような均等物は以下の特許請求の範囲に包含されるものと企図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1:
【化1】

[式中、
Yは、−C(R102−、−(C=O)−、−(C=S)−、または−C(=NR10)−;
Xは、−N(R10)−、または結合;
mは、0、1、2、3、4、5、または6;
Aは−S(O)−、−S(O)2−、
【化2】

または−C(A1)(A2)−であり、ここでA1およびA2はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−C(O)N(R102、−C(O)R10、−CO210、−S(O)2N(R102、−S(O)R10、−S(O)2OR10、−S(O)210;または式1a:
【化3】

(式中、nは1、2、3、4、5、または6;
15は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、または−C(O)N(R102であるか;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、8〜14の炭素原子を含む多環である)
を有するか、またはA1およびA2は一緒になって=Oまたは=Sを形成する;またはA1およびA2は、それらが結合している炭素と一緒になって5〜8員の、1または2の環原子がは独立にS、OまたはNであるヘテロ環を形成し;
Bは、O、S、−(C=O)−、−(C=S)−または
【化4】

または式1b:
【化5】

(式中、
Dは、NまたはCR10
pは、0、1、2、3、4、または5;
7およびR8はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、シクロアルケニル、またはヘテロアリールであるか;またはR7およびR8は一緒になって3〜8員の環を形成するか;またはR7およびR8は一緒になって4〜8員の環を形成し;
9は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオである)
を有し;
1は、式1c:
【化6】

(式中、
Qは、0、1、2、3、4、または5;
Rは、0、1、2、3、4、または5;
Ar1は、6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリールであるか;またはAr1は、式1d:
【化7】

(式中、
Sは、0、1、2、3、または4;
2およびX3はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヒドロキシル、アシルオキシ、ニトリル、ニトロ、ハライド、OR11、−C(O)N(R10)(R11)、−C(O)R11、−CO211、−S(O)2N(R10)(R11)、SR11、−S(O)R11、−S(O)2OR11、−S(O)211、−C(=NR10)N(R10)(R11)、または−C(=NR10)(R11)である)
で示されるか;または式1aを有し;
Ar2は6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリール;
1は結合、−C(R102−、−S−、−(NR10)−、または−O−)
で示され;
2は、H、分岐しているまたは分岐していないアルキルまたはアルケニル、シクロアルキル、ヘテロ環、またはビシクロアルキルであるか;または式1aを有し;
3は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオ;
4、R5およびR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、またはヘテロアリールであるか;または式1aを有し;または2つのR10は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR4およびR5は一緒になって3〜8員の環を形成し;
6は、Hまたはアルキル;
11は独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、または[C(R12)(R13)]t−R14(ここでtは、0、1、2、3、4、または5)であり;
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシルである]
で示される化合物またはその不飽和の形態またはその製薬的に許容し得る塩。
【請求項2】
構造式2:
【化8】

[式中、
Yは、−C(R102−、−(C=O)−、または−(C=S)−;
Xは、−N(R10)−;
mは、0、1、2、または3;
Rは、0、1、2、3、4、または5;
Sは、0、1、2、3、または4;
Aは、−S(O)−、−S(O)2−、
【化9】

または−C(A1)(A2)−;
1およびA2はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−C(O)N(R102、−C(O)R10、−CO210、−S(O)2N(R102、−S(O)R10、−S(O)2OR10、または−S(O)210;または、式2a:
【化10】

(式中、
Nは1、2、3、4、5、または6;
15はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、または−C(O)N(R102;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、8〜14の炭素原子を含む多環である)を有するか;またはA1およびA2は一緒になって=Oまたは=Sを形成し;
Bは−(C=O)−、−(C=S)−、O、またはS;または式2b:
【化11】

(式中、
DはNまたはCR10
pは0、1、2、または3;
7およびR8はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、シクロアルケニル、またはヘテロアリール;またはR7およびR8は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR7およびR8は一緒になって4〜8員の環を形成し;
9は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオ)
を有し;
Ar2は6〜10の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリール;
2は、独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヒドロキシル、アシルオキシ、ニトリル、ニトロ、ハライド、OR11、−C(O)N(R10)(R11)、−C(O)R11、−CO211、−S(O)2N(R10)(R11)、SR11、−S(O)R11、−S(O)2OR11、−S(O)211、−C(=NR10)N(R10)(R11)、または−C(=NR10)(R11);または式2aを有し;
4、R5およびR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、またはヘテロアリール;または式2aを有し;または2つのR10は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR4およびR5は一緒になって3〜8員の環を形成し;
3は独立に、H、アルキル、アルケニル、−OR11、またはハライド;または式2aを有し;
RおよびR’はそれぞれ独立に、Hまたはアルキル;
6はHまたはアルキル;
11は独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、または[C(R12)(R13)]t14(ここにtは独立に、0、1、2、3、4、または5);
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシルである]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Ar2(X2rが、式3:
【化12】

[式中、
18はアルキル、アルケニル、ハライド、ニトロ、またはアミノ;
20およびR21はそれぞれ独立に、H、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、または[C(R22)(R23)]t24
tは独立に、0、1、2、3、4、または5;
22およびR23はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
24は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシル]
で示される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式4
【化13】

[式中、
Yは−C(R102−、−(C=O)−、または−(C=S)−;
Xは−N(R10)−;
mは0、1、2、3、または4;
Sは0、1、2、3;
1およびA2はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−C(O)N(R102、−C(O)R10、−CO210、−S(O)2N(R102、−S(O)R10、−S(O)2OR10、または−S(O)210;または、式4a:
【化14】

(式中、
nは1、2、3、4、5、または6;および
15はアリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、または−C(O)N(R102;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、8〜14の炭素原子を含む多環である)
を有するか;またはA1およびA2は一緒になって=Oまたは=Sを形成し;
BはO、S、−(C=O)−、または−(C=S)−;または、式4b:
【化15】

(式中、
DはNまたはCR10
pは0、1、2、3;
7およびR8はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、シクロアルケニル、またはヘテロアリール;またはR7およびR8は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR7およびR8は一緒になって4〜8員の環を形成し;
9は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオ)
を有し;
6はHまたはアルキル;
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシル;
16は、H、アルキル、アルケニル、またはOR11;式4aを有し;
3はそれぞれ独立に、Hまたはハライド;
18はアルキル、アルケニル、ハライド、ニトロ、またはアミノ;
20およびR21はそれぞれ独立に、H、アルキル、アラルキル、ヘテロアラルキル、アルコキシ、または[C(R22)(R23)]t24(ここにtは独立に、1、2、3、4、または5);
22およびR23はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
24は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシル]
を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Yが-(C=O)-であり、Xが-NHである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Bは式6aまたは6b:
【化16】

[式中、
pは0、1、または2;
7およびR8はそれぞれ独立に、Hまたはアルキル;および
9は、H、−OR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−OCO210、または−OC(O)N(R102]を有する、請求項4に記載の化合物。
【請求項7】
BがSである請求項4に記載の化合物。
【請求項8】
1およびA2は一緒になって=Oを形成し、
Bは式8:
【化17】

[式中、
pは0、1または2;
7およびR8はそれぞれ独立に、Hまたはアルキル;および
9は、H、−OR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−OCO210、または−OC(O)N(R102
を有する、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
1およびA2はそれぞれHである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
式10:
【化18】

[式中、
mは独立に0、1、2、3、4、5、または6を示し;
Aは−S(O)−、−S(O)2−、
【化19】

または−C(A1)(A2)−であり、ここでA1およびA2はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−C(O)N(R102、−C(O)R10、−CO210、−S(O)2N(R102、−S(O)R10、−S(O)2OR10、−S(O)210;または式10a:
【化20】

(式中、nは1、2、3、4、5、または6;
15は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、または−C(O)N(R102であるか;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、8〜14の炭素原子を含む多環である)
を有するか、またはA1およびA2は一緒になって=Oまたは=Sを形成する;またはA1およびA2は、それらが結合している炭素と一緒になって5〜8員の、1または2の環原子がは独立にS、OまたはNであるヘテロ環を形成し;
Bは、O、S、−(C=O)−、−(C=S)−または
【化21】

または式10b:
【化22】

(式中、
Dは、NまたはCR10
pは、0、1、2、3、4、または5;
7およびR8はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、シクロアルケニル、またはヘテロアリールであるか;またはR7およびR8は一緒になって3〜8員の環を形成するか;またはR7およびR8は一緒になって4〜8員の環を形成し;
9は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオである)
を有し;
1は、式10cまたは式10d:
【化23】

【化24】

(式中、
Qは、0、1、2、3、4、または5;
Rは、0、1、2、3、4、または5;
Wは、結合;またはアルキルジラジカル、アルケニルジラジカル、またはアルキニルジラジカル;
Zは、H、−SR10、−S(O)211、−NR10S(O)211、−S(O)R10、−N(R10)(R11)、−C(O)R11、−CO211、−C(O)N(R10)(R11)、−C(S)N(R10)(R11)、−CH2C(O)ヘテロ環、−NR10C(O)R11、−NR10CO211、−OC(O)N(R10)(R11)、−NC(O)CH(R10)(R11)、−C(=NR10)N(R10)(R11)、−C(=NR10)R11、ヒドロキシアルキル、単環系アリール、二環式アリール、ヘテロアリール、またはヘテロ環;
Ar1は、6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリールであるか;またはAr1は、式10e:
【化25】

(式中、
Sは、0、1、2、3、または4;
2およびX3はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヒドロキシル、アシルオキシ、ニトリル、ニトロ、ハライド、OR11、−C(O)N(R10)(R11)、−C(O)R11、−CO211、−S(O)2N(R10)(R11)、SR11、−S(O)R11、−S(O)2OR11、−S(O)211、−C(=NR10)N(R10)(R11)、または−C(=NR10)(R11)である)
で示されるか;または式10aを有し;
Ar2は独立に6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリール;
1は結合、−C(R102−、−S−、−(NR10)−、または−O−)
で示され;
2は、H、分岐しているまたは分岐していないアルキルまたはアルケニル、シクロアルキル、ヘテロ環、またはビシクロアルキルであるか;または式10aを有し;
3は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオ;
4、R5およびR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、またはヘテロアリールであるか;または式10aを有し;または2つのR10は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR4およびR5は一緒になって3〜8員の環を形成し;
6は、Hまたはアルキル;
11は独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、または[C(R12)(R13)]t−R14(ここでtは、0、1、2、3、4、または5)であり;
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシルである]
で示される化合物またはその不飽和の形態またはその製薬的に許容し得る塩。
【請求項11】
1が、式11:
【化26】

[式中、
Sは0、1、2、3、または4;
3はそれぞれ独立に、Hまたはハライド;
18およびR19はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、または[C(R12)(R13)]t14(ここにtは0、1、2、3、4、または5);
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシル]
を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Bは式12aまたは12b:
【化27】

[式中、
pは0、1、2、3、または4;
7およびR8はそれぞれ独立に、Hまたはアルキル;および
9は、H、−OR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−OCO210、または−OC(O)N(R102]を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項13】
Aは−C(A1)(A2)−であり;
1およびA2は一緒になって=Oを形成し;
Bは式13:
【化28】

[式中、
pは0、1、2、3、または4であり;
7およびR8はそれぞれ独立に、Hまたはアルキルであり;
9は、H、−OR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−OCO210、または−OC(O)N(R102である]
を有する、請求項10に記載の化合物。
【請求項14】
式14:
【化29】

[式中、
Yは、−C(R102−、−(C=O)−、−(C=S)−、または−C(=NR10)−;
Xは、−N(R10)−、または結合;
mは独立に、0、1、2、3、4、5、または6;
Aは−S(O)−、−S(O)2−、
【化30】

または−C(A1)(A2)−であり、ここでA1およびA2はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、−C(O)N(R102、−C(O)R10、−CO210、−S(O)2N(R102、−S(O)R10、−S(O)2OR10、−S(O)210;または式14a:
【化31】

(式中、nは1、2、3、4、5、または6;
15は、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、または−C(O)N(R102であるか;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、8〜14の炭素原子を含む多環である)
を有するか、またはA1およびA2は一緒になって=Oまたは=Sを形成する;またはA1およびA2は、それらが結合している炭素と一緒になって5〜8員の、1または2の環原子がは独立にS、OまたはNであるヘテロ環を形成し;
Bは−(C(R)2X)−、−(XC(R)2)−、または−(C(R)22−;
Xは独立に、S、−(NR10)−、または−O−;
Rは独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、アラルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;または、式14aを有し;
1は、式14b:
【化32】

(式中、
Qは、0、1、2、3、4、または5;
Rは、0、1、2、3、4、または5;
Ar1は、6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリールであるか;またはAr1は、式14c:
【化33】

(式中、
Sは、0、1、2、3、または4;
2およびX3はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロ環、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、ヒドロキシル、アシルオキシ、ニトリル、ニトロ、ハライド、OR11、−C(O)N(R10)(R11)、−C(O)R11、−CO211、−S(O)2N(R10)(R11)、SR11、−S(O)R11、−S(O)2OR11、−S(O)211、−C(=NR10)N(R10)(R11)、または−C(=NR10)(R11)である)
で示されるか;または式14aを有し;
Ar2は6〜14の環原子を有する単環系または二環式アリール;または環原子の1、2または3個が独立にS、OまたはNである、5〜14の環原子を有する単環系または二環式のヘテロアリール;
1は結合、−(C(R102)−、−S−、−(NR10)−、または−O−)
で示され;
2は、H、分岐しているまたは分岐していないアルキルまたはアルケニル、シクロアルキル、ヘテロ環、またはビシクロアルキルであるか;または式14aを有し;
3は、H、ヘテロ環、ヘテロアリール、−OR10、−SR10、−N(R102、−N(R10)CO210、−N(R10)C(O)N(R102、−CO210、−OCO210、−OC(O)N(R102、−C(O)N(R102、ハライド、ニトリル、ニトロ、またはアシルチオ;
4、R5およびR10はそれぞれ独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、またはヘテロアリールであるか;または式14aを有し;または2つのR10は一緒になって3〜8員の環を形成し;またはR4およびR5は一緒になって3〜8員の環を形成し;
6は、Hまたはアルキル;
11は独立に、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、アラルキル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロアリール、または[C(R12)(R13)]t−R14(ここでtは、0、1、2、3、4、または5)であり;
12およびR13はそれぞれ独立に、H、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキル、ヘテロ環、ヘテロ環アルキル、ヘテロアリール、またはヘテロアラルキル;および
14は独立に、H、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ環アルキル、アルコキシ、アミノ、アミド、またはカルボキシルである]
で示される化合物またはその不飽和の形態またはその製薬的に許容し得る塩。
【請求項15】
式15
【化34】

を有する、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
式16
【化35】

を有する、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
以下からなる群から選択される化合物。
【化36】

【化37】

【請求項18】
請求項1、10、14、または17記載の化合物および少なくとも1つの製薬的に許容し得る賦形剤を含有する医薬組成物。
【請求項19】
治療上有効量の請求項1、10、14、または17記載の化合物を必要とする患者に投与する工程を含んでなる、癌を処置する方法。
【請求項20】
治療上有効量の1またはそれ以上の化学療法剤と治療上有効量の請求項1、10、14、または17記載の化合物を、必要とする患者に共に投与する工程を含んでなる、癌を処置する方法。

【公表番号】特表2009−519946(P2009−519946A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−545837(P2008−545837)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/047861
【国際公開番号】WO2007/075387
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(506418758)インフィニティ・ディスカバリー・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】INFINITY DISCOVERY, INC.
【Fターム(参考)】