説明

タンパク質のグリコシル化の制御、ならびにそれに関する組成物および方法

【課題】タンパク質のグリコシル化を制御するための新規な方法、およびそれによって産生させたタンパク質の提供。
【解決手段】グリコシル化阻害剤の存在下で宿主細胞を培養することによって、グリコシル化部位を含むタンパク質を産生させるステップを含み、生成したタンパク質はグリコシル化部位において、より少ないグリカンまたはより少ない糖を含む、タンパク質の製造方法。タンパク質の生物学的特徴がグリコシル化レベルの減少によって変化し、例えばタンパク質とその標的リガンドとの結合が改変される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質のグリコシル化レベルを減少させるための方法であって、グリコシル化阻害量のグリコシル化阻害剤の存在下、培地中で増殖させる宿主細胞中で、少なくとも1つのグリコシル化部位を含むタンパク質を発現させるステップを含み、前記阻害剤が存在しない点以外は同一の条件下で増殖させた、それ以外は同一の宿主細胞中で産生させた、それ以外は同一のタンパク質と比較して、前記タンパク質は、より低いレベルのグリコシル化を含み、それによって、前記タンパク質のグリコシル化レベルを制御する方法。
【請求項2】
前記グリコシル化部位が、リガンド結合部位中または抗原結合部位中にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グリコシル化レベルが、前記グリコシル化部位におけるグリカン部位の占有および前記グリコシル化部位におけるグリコシル化の程度からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記グリコシル化部位が、O−連結性グリコシル化部位およびN−連結性グリコシル化部位からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記グリコシル化部位が、N−連結性グリコシル化部位であり、さらに、前記グリコシル化部位は、アスパラギン−X−セリンまたはアスパラギン−X−スレオニン(式中、Xは、プロリンを除く任意のアミノ酸である)のアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記グリコシル化阻害剤は、ツニカマイシン、ツニカマイシン相同体、ストレプトビルジン、マイコスポシジン、アンフォマイシン、ツシマイシン、抗生物質24010、抗生物質MM19290、バシトラシン、コリネトキシン、ショードマイシン、ジュイマイシン、1−デオキシマンノノジリマイシン、デオキシノジリマイシン、N−メチル−1−デオキシマンノノジリマイシン、ブレフェルジンA、グルコース類似体、マンノース類似体、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシグルコース、D−(+)−マンノース、D−(+)ガラクトース、2−デオキシ−2−フルオロ−D−グルコース、1,4−ジデオキシ−1,4−イミノ−D−マンニトール(DIM)、フルオログルコース、フルオロマンノース、UDP−2−デオキシグルコース、GDP−2−デオキシグルコース、ヒドロキシメチルグルタリル−CoAレダクターゼ阻害剤、25−ヒドロキシコレステロール、ヒドロキシコレステロール、スウェインソニン、シクロヘキシミド、ピューロマイシン、アクチノマイシンD、モネンシン、m−クロロカルボニル−シアニドフェニルヒドラゾン(CCCP)、コンパクチン、ドリチル−ホスホリル−2−デオキシグルコース、N−アセチル−D−グルコサミン、ヒポキサンチン、チミジン、コレステロール、グルコサミン、マンノサミン、カスタノスペルミン、グルタミン、ブロモコンズリトール、コンズリトールエポキシド、コンズリトール誘導体、グリコシルメチル−p−ニトロフェニルトリアゼン、β−ヒドロキシノルバリン、スレオ−β−フルオロアスパラギン、D−(+)−グルコン酸δ−ラクトン、リン酸ジ(2−エチルヘキシル)、リン酸トリブチル、リン酸ドデシル、(ジフェニルメチル)−リン酸の2−ジメチルアミノエチルエステル、ヨウ化[2−(ジフェニルホスフィニルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウム、ヨード酢酸、およびフルオロアセテートからなる群から選択される少なくとも1つの阻害剤である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記グリコシル化阻害剤が、2−デオキシ−D−グルコースである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記グリコシル化阻害量が、約0.5g/L〜3g/Lの範囲である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記培地中のグルコース濃度を約0.05g/L〜10g/Lの範囲の量に維持するステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
宿主細胞が、酵母細胞、昆虫細胞および哺乳動物細胞からなる群から選択される、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記哺乳動物の宿主細胞が、CHO細胞、NS0細胞、NS0/1、Sp2/0、ヒト細胞、HEK293、BHK、COS、Hep G2、PER.C6、COS−7、TM4、CV1、VERO−76、MDCK、BRL 3A、W138、MMT060562、TR1、MRC5、およびFS4からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記宿主細胞がCHO細胞である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記グリコシル化部位が、アスパラギン−イソロイシン−スレオニン(NIT)、アスパラギン−グリシン−セリン(NGS)、アスパラギン−セリン−スレオニン(NST)、およびアスパラギン−スレオニン−セリン(NTS)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む少なくとも1つのグリコシル化部位である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法に従って産生させたタンパク質。
【請求項15】
請求項13に記載の方法に従って産生させたタンパク質。
【請求項16】
抗体またはその抗原結合部分であり、さらに、前記抗体は抗ヒトIgE抗体である、請求項15に記載のタンパク質。
【請求項17】
前記抗体が、配列番号8のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号10のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含むヒト抗体である、請求項16に記載のタンパク質。
【請求項18】
前記抗体が、占有されておらず、かつ/または前記グリコシル化阻害剤の非存在下で産生させた点以外は同一の前記抗体よりも少なくとも1つ少ない炭水化物部分を含む、少なくとも1つのN−連結性グリコシル化部位を含み、前記部位は、配列番号8のアミノ酸配列に関する重鎖のアスパラギン73(N73)におけるグリコシル化部位およびアスパラギン301(N301)におけるグリコシル化部位からなる群から選択される、請求項17に記載のタンパク質。
【請求項19】
前記抗体が、占有されていない、アスパラギン73におけるN−連結性グリコシル化部位を含む、請求項18に記載のタンパク質。
【請求項20】
前記タンパク質が、配列番号13、配列番号14および配列番号15からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む終末糖化産物受容体(RAGE)のリガンド結合部位(LBS)を含む、請求項15に記載のタンパク質。
【請求項21】
アミノ酸残基1からアミノ酸残基番号23までを含むシグナル配列を有さない配列番号1のアミノ酸配列を含むRAGE融合タンパク質であり、前記融合タンパク質は、末端のリシン残基(Lys438)を欠く、請求項20に記載のタンパク質。
【請求項22】
前記RAGE融合タンパク質が、占有されておらず、かつ/または前記グリコシル化阻害剤の非存在下で産生させた点以外は同一のRAGE融合タンパク質よりも少なくとも1つ少ない炭水化物部分を含む、少なくとも1つのN−連結性グリコシル化部位を含み、前記部位は、いずれもシグナル配列(アミノ酸1から23まで)を有しない配列番号1のアミノ酸配列に関する、アミノ酸残基番号2におけるアスパラギン(N2)、アミノ酸残基番号58におけるアスパラギン(N58)、およびアミノ酸残基番号288におけるアスパラギン(N288)からなる群から選択される少なくとも1つの部位である、請求項21に記載のタンパク質。
【請求項23】
占有されておらず、かつ/または少なくとも1つ少ない炭水化物部分を含む、少なくとも2つのN−連結性グリコシル化部位を含む、請求項22に記載のタンパク質。
【請求項24】
3つのN−連結性グリコシル化部位を含み、それらのうちの少なくとも1つが、占有されておらず、かつ/または少なくとも1つ少ない炭水化物部分を含む、請求項22に記載のタンパク質。
【請求項25】
前記阻害剤の非存在下で産生させた点以外は同一の前記タンパク質と比較して、抗原との結合の増加を示す、請求項18に記載のタンパク質。
【請求項26】
前記阻害剤の非存在下で産生させた点以外は同一の前記タンパク質と比較して、RAGEリガンドとの結合の増加を示す、請求項22に記載のタンパク質。
【請求項27】
約34℃〜39℃の範囲の温度から、約28℃〜33℃の範囲の温度への温度シフトをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項28】
約34℃〜37℃の範囲の温度から、約30.5℃〜31.5℃の範囲の温度への温度シフトを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項14に記載のタンパク質および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項30】
請求項15に記載のタンパク質および薬学的に許容できる担体を含む医薬組成物。
【請求項31】
ある量の融合タンパク質を含む組成物であって、前記融合タンパク質は、免疫グロブリンポリペプチドに連結しているRAGEポリペプチドを含み、
a)前記RAGEポリペプチドは、ヒトRAGE(配列番号3)の断片を含み、ヒトRAGEの前記断片は、リガンド結合部位、およびグリコシル化され得る少なくとも1つのアミノ酸残基を含み、
b)前記免疫グロブリンポリペプチドは、免疫グロブリンのC2ドメインまたはC2ドメインの一部、および免疫グロブリンのC3ドメインを含み、
c)前記免疫グロブリンポリペプチドのN末端残基が、前記RAGEポリペプチドのC末端残基に連結しており、
前記融合タンパク質の前記量の少なくとも0.5%がアグリコシル化されている組成物。
【請求項32】
前記融合タンパク質の総量の少なくとも30%がアグリコシル化されている、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
完全グリコシル化形態の前記融合タンパク質の量のパーセントが、非完全グリコシル化形態全ての前記融合タンパク質の量のパーセントよりも少ない、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
前記融合タンパク質が、グリコシル化され得る少なくとも3つのアミノ酸残基を含み、グリコシル化の第1の潜在的な部位が前記RAGEのリガンド結合部位のアミノ酸残基であり、グリコシル化の第2の潜在的な部位が前記RAGEポリペプチドのアミノ酸残基であり、グリコシル化の第3の潜在的な部位が前記免疫グロブリンポリペプチドのアミノ酸残基である、請求項31に記載の組成物。
【請求項35】
少なくとも1つの潜在的なグリコシル化部位を含むタンパク質を含む組成物であって、完全グリコシル化タンパク質の量が、完全にはグリコシル化されていないタンパク質の量よりも少なく、薬学的に許容できる担体をさらに含む組成物。
【請求項36】
前記タンパク質が、2つの潜在的なグリコシル化部位を含み、完全グリコシル化タンパク質の量が、グリコシル化されていない1つの部位および/またはより低いレベルのグリコシル化を含む1つの部位を含むタンパク質の量と、グリコシル化されていない2つの部位および/またはより低いレベルのグリコシル化を含む2つの部位を含むタンパク質の量とを組み合わせた量よりも少ない、請求項35に記載の組成物。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図13−3】
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【図13−4】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2010−246541(P2010−246541A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−95600(P2010−95600)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【出願人】(593141953)ファイザー・インク (302)
【Fターム(参考)】