説明

タンパク質を使用する髄膜炎菌の血清群Yに対する免疫

【課題】1種以上の免疫原性ポリペプチドを含有する組成物を被験体に投与する工程を包含する、Neisseria meningitidisの血清群Yによる感染に対して被験体を免疫する方法を提供すること。
【解決手段】髄膜炎菌についての確立された考え方は、血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yに対する免疫は、4つの異なる莢膜糖に基づき、そして血清群Bに対する免疫は、莢膜糖に基づかないということである。対照的に、本発明は、血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yに対して(そして特に、血清群Yに対して)免疫するためにポリペプチド抗原および/またはOMVを使用する。血清群Bポリペプチドがこの防御を達成し得、従って、血清群A、血清群B、血清群C、血清群W135および血清群Yの全てに対する防御のために使用される単一のポリペプチドベースのワクチンを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に記載される全ての文献は、それらの全体が参考として援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、免疫学およびワクチン学の分野にある。特に、本発明は、Neisseri
a meningitidis(髄膜炎菌)由来の抗原およびこれらの免疫化における使
用に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景技術)
N.meningitidisは、咽頭にコロニーを形成して髄膜炎(および時折、髄
膜炎の不存在下で敗血症(septicaemia))を引き起こす、非運動性のグラム
陰性ヒト病原体である。N.meningitidisは、風土病および伝染病の両方を
引き起こす。Haemophilus influenzaeに対する結合体ワクチンの
導入後、N.meningitidisは、米国における細菌性髄膜炎の主な原因である

【0004】
生物体の莢膜多糖に基づき、N.meningitidisの種々の血清群が同定され
ている。血清群Aは、サハラ以南のアフリカにおける伝染病に最も頻繁に関係する病原体
である。血清群Bおよび血清群Cは、米国およびほとんどの先進国における症例の大部分
の原因である。血清群W135および血清群Yは、米国および先進国における症例の残り
の原因である。血清群の後に、分類は、血清型、血清亜型、および免疫型を含み、そして
この標準的な命名法は、血清群、血清型、血清亜型および免疫型を列挙し、それぞれが、
コロンによって分けられる(例えば、B:4:P1.15:L3,7,9)。血清群B内
では、いくつかの系統は、多くの場合、(超侵襲性)疾患を引き起こし、いくつかの系統
は、他の疾患よりもより重い形態の疾患(超毒性)を引き起こし、そして他の系統は、め
ったに疾患を引き起こさない。7つの高毒性系統が認知される(すなわち、亜群I、亜群
III、および亜群IV−1、ET−5複合体、ET−37複合体、A4クラスター、な
らびに系統3)。これらは、多座酵素電気泳動(MLEE)により決定されるが、多座配
列タイピング(MLST)もまた、髄膜炎菌を分類するために用いられる[非特許文献1
]。
【0005】
今日まで血清群A、血清群C、血清群W135、および血清群Yに対するワクチンは、
抗原としてこれらの血清群の莢膜糖を使用する。これらの4つの血清群に対する認可され
たヒト多糖は、長年公知である[非特許文献2、非特許文献3]。より最近、焦点は、糖
に合わせられたままであるが、キャリアタンパク質への結合体化に合わせられる。血清群
Cに対する結合体化ワクチンは、ヒトへの使用が認可されており、Menjugate
[非特許文献4]、MeningitecTMおよびNeis Vac−CTMが挙げ
られる。血清群A+C由来の結合体の混合物は、公知[非特許文献5、非特許文献6]で
あり、そして血清群A+C+W135+Y由来の結合体の混合物が、報告されている[特
許文献1、特許文献2、非特許文献7、非特許文献8]。
血清群Bの莢膜糖は、ヒトにおける自己抗原であるのでワクチン接種に使用され得ない。
化学的に改変された血清群B糖が、提案された[特許文献3]が、臨床使用に適さなかっ
た。外膜小胞に基づくワクチンがまた、試験された[例えば、非特許文献9]が、これら
のワクチンによって提供される防御は、代表的に、ワクチンを作製するための使用される
株に限定される。血清群Aのゲノム配列[非特許文献10]および血清群Bのゲノム配列
[非特許文献11、特許文献4]が報告され、そして血清群Bの配列は、ワクチン抗原を
同定するために研究された[例えば、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8
、特許文献9、非特許文献12]。候補抗原は、異種の発現を改良するために操作された
[特許文献10、特許文献11、特許文献12]。
従って、髄膜炎菌に対する確立された考え方は、血清群A、血清群C、血清群W135
および血清群Yに対する免疫は、4つの異なる莢膜糖に基づき、そして血清群Bに対する
免疫は、莢膜糖に基づかないということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第02/058737号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/007985号パンフレット
【特許文献3】欧州特許第0939647号明細書
【特許文献4】国際公開第00/66791号パンフレット
【特許文献5】国際公開第99/24578号パンフレット
【特許文献6】国際公開第99/36544号パンフレット
【特許文献7】国際公開第99/57280号パンフレット
【特許文献8】国際公開第00/22430号パンフレット
【特許文献9】国際公開第00/66741号パンフレット
【特許文献10】国際公開第01/64920号パンフレット
【特許文献11】国際公開第01/64922号パンフレット
【特許文献12】国際公開第03/020756号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Maidenら、「PNAS USA」、1998年、第95巻、p.3140〜3145
【非特許文献2】Armandら、「J.Biol.Stand.」、1982年、第10巻、p.335〜339
【非特許文献3】Cadozら、「Vaccine」、1985年、第3巻、p.340〜342
【非特許文献4】Jones、「Curr Opin Investig Drugs」、2001年、第2巻、p.47〜49
【非特許文献5】Costantinoら、「Vaccine」、1992年、第10巻、p.691〜698
【非特許文献6】Liebermanら、「JAMA」、1996年、第275巻、p.1499〜1503
【非特許文献7】Rennelsら、「Pediatr Infect Dis J」、2002年、第21巻、p.978〜979
【非特許文献8】Campbellら、「J Infect Dis」、2002年、第186巻、p.1848〜1851
【非特許文献9】Bjuneら、「Lancet」、1991年、第338巻、第8775号、p.1093〜1096
【非特許文献10】Parkhillら、「Nature」、2000年、第404巻、p.502〜506
【非特許文献11】Tettelinら、「Science」、2000年、第287巻、p.1809〜1815
【非特許文献12】Pizzaら、「Science」、2000年、第287巻、p.1816〜1820
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の開示)
この考え方とは対照的に、本発明者らは、血清群A、血清群C、血清群W135および
血清群Yに対する免疫(そして特に、血清群Yに対する免疫)がポリペプチド抗原を使用
して達成され得ることを見出した。さらに、本発明者らは、血清群Bポリペプチドがこの
防御を達成し、従って、血清群A、血清群B、血清群C、血清群W135および血清群Y
の全てに対する防御のために使用される単一のポリペプチドベースのワクチンを可能にす
ることを見出した。
従って、本発明は、Neisseria meningitidisの血清群Yによる
感染に対して被験体を免疫する方法を提供し、この方法は、1種以上の免疫原性ポリペプ
チドを含有する組成物を被験体に投与する工程を包含する。同様に、本発明は、N.me
ningitidisの血清群Yによる感染に対して被験体を免疫するための医薬の製造
における1種以上の免疫原性ポリペプチドの使用を提供する。
【0009】
本発明はまた、Neisseria meningitidisの血清群Yに対して被
験体を免疫する方法を提供し、この方法は、髄膜炎菌性OMVを含有する組成物をこの被
験体に投与する工程を包含する。同様に、本発明は、N.meningitidisの血
清群Yによる感染に対して被験体を免疫するための医薬の製造における髄膜炎菌性OMV
の使用を提供する。
【0010】
本方法および使用は、好ましくは血清群Yによる感染に対して被験体を免疫し、そして
また血清群A、血清群B、血清群Cおよび血清群W135の少なくとも1つに対して被験
体を免疫するための方法に関連する。次いで被験体が、髄膜炎菌の所定の血清群に対して
免疫された場合、この組成物は、好ましくはこの血清群由来の莢膜糖(結合体化されてい
るか、または結合体化されていない)を含有しない。したがって、好ましい組成物は、血
清群Y由来の莢膜糖を含有せず、好ましい組成物はまた、血清群A、血清群B、血清群C
および/または血清群W135由来の莢膜糖を含有しなくても良い。
【0011】
本発明に従って使用するための組成物は、公知の技術を使用して調製され得る(例えば
、参考文献15〜24に開示される髄膜炎菌性ポリペプチド抗原を調製するための技術、
または参考文献34〜38に開示されるOMVを調製するための公知の技術)。精製した
ポリペプチド抗原の使用は、外膜小胞の使用に好ましい。
【0012】
病原体に対するワクチン(例えば、B型肝炎ウイルス、ジフテリアおよび破傷風)は、
代表的に、単一のタンパク質抗原(例えば、HBV表面抗原、または破傷風毒素)を含む
。対照的に、無細胞性百日咳ワクチンは、代表的に、少なくとも3つのB.pertus
sisタンパク質を含み、PrevenarTM肺炎球菌ワクチンは、7つの分離した結
合体化された糖抗原を含む。他のワクチン(例えば、細胞性百日咳ワクチン、麻疹ワクチ
ン、不活性型ポリオワクチン(IPV)および髄膜炎菌性OMVワクチン)は、非常に多
くの抗原の天然の非常に複雑な混合物によるものである。単一の抗原、少数の同定された
抗原、または複雑な同定されていない抗原の混合物によって誘発され得、従ってこの防御
は多くの因子に依存する。
例えば、本発明は以下を提供する。
(項目1)
Neisseria meningitidisの血清群Yによる感染に対して被験体を
免疫する方法であって、該方法が、1種以上の免疫原性ポリペプチドを含有する組成物を
該被験体に投与する工程を包含する、方法。
(項目2)
Neisseria meningitidisの血清群Yによる感染に対して被験体を
免疫する方法であって、該方法が、髄膜炎菌性OMVを含有する組成物を該被験体に投与
する工程を包含する、方法。
(項目3)
Neisseria meningitidisの血清群Yによる感染に対して被験体を
免疫するための医薬の製造における1種以上の免疫原性ポリペプチドの使用。
(項目4)
Neisseria meningitidisの血清群Yによる感染に対して被験体を
免疫するための医薬の製造における髄膜炎菌性OMVの使用。
(項目5)
項目1〜4のいずれか1項に記載の方法または使用であって、被験体をまた、N.me
ningitidisの血清群A、血清群B、血清群Cおよび/または血清群W135に
よる感染に対して免疫するための、方法または使用。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(免疫原性ポリペプチド)
いくつかの実施形態において、本発明は、Neisseria meningitid
isの感染に対する防御を提供するために少なくとも1種の免疫原性ポリペプチドを被験
体に投与する工程を包含する。これらの免疫原性ポリペプチドは、一般的に、髄膜炎菌性
のアミノ酸配列(例えば、血清群B株(例えば、配列決定されたMC58株[13])中
に見出されるアミノ酸配列)を含む。
【0014】
少数の特定された抗原が、使用され得る。したがって、単一の抗原からなるよりも、1
0種または少数(例えば、9、8、7、6、5、4、3、2)の精製された抗原の混合物
を含有する本発明の組成物が好ましく、特に好ましくは、この組成物は、抗原の複合物ま
たは抗原の同定されていない混合物を含まないことが好ましい(例えば、組成物中に外膜
小胞を含まないことが好ましい)。
【0015】
本発明の使用に好ましい免疫原性ポリペプチドは、以下の参考文献24に開示されるも
のである:(1)「NadA」タンパク質;(2)「741」タンパク質;(3)「93
6」タンパク質;(4)「953」タンパク質;および(5)「287」タンパク質。こ
れらの抗原は、本明細書中に「5種の基本抗原」として参照される。本発明は、これらの
抗原のうちの1種、2種、3種、4種または5種全てを使用し得る。
【0016】
(NadAタンパク質)
N.meningitidisの血清群B由来の「NadA」(ナイセリアアドヘジン
A)は、参考文献17にタンパク質「961」(配列番号2943および配列番号294
4)として、そして参考文献13に「NMB1994」として開示される(GenBan
k登録番号:11352904および7227256もまた参照のこと)。これらのタン
パク質の詳細な説明は、参考文献25のなかに見出される。対応するタンパク質は、血清
群Aゲノム中に見出されなかった[12、25]が、NadA血清群A株は、[25]
により報告された。
【0017】
本発明に従って使用される場合、NadAは、種々の形態を採り得る。NadAの好ま
しい形態は、トランケーション改変体または欠失改変体(例えば、参考文献21〜23に
開示される改変体)である。特に、C末端の膜アンカーを有さないNadAが、好ましく
(例えば、株2996[配列番号1]の残基351〜405の欠失)、これはときとして
、本明細書中で上付き「C」の使用によって区別される(例えば、NadA(C))。E
.coliにおけるこの膜アンカードメイン(例えば、配列番号1)を有さないNadA
の発現は、23マーのリーダーペプチドの除去(例えば、株2996の327マー[配列
番号2]を残す)を伴って、このタンパク質の培養上清中への分泌を生じる。そのリーダ
ーペプチドを有さないポリペプチドは、本明細書中で、時に、上付き「NL」の使用(例
えば、NadA(NL)またはNadA(C)(NL))により区別される。
【0018】
好ましいNadA配列は、配列番号2に対して50%以上(例えば、60%、70%、
80%、90%、95%、99%またはそれ以上)の同一性を有する。これは、NadA
改変体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ(ortholog)、パラ
ログ(paralog)、変異体など)を包含する。NadAの対立遺伝子形態は、参考
文献26の図9に示される。
【0019】
他の好ましいNadA配列は、配列番号1由来の少なくともn個の連続したアミノ酸を
含み、ここでnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、
30、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250ま
たはそれ以上)である。好ましいフラグメントは、NadA由来のエピトープを含む。他
の好ましいフラグメントは、配列番号1のC末端および/またはN末端の1つ以上のアミ
ノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそ
れ以上)を欠く(例えば、NadA(C)、NadA(NL)、NadA(C)(NL)
)。N末端残基が欠失される場合、この欠失は、NadAのヒト上皮細胞に付着する能力
を除去するべきことが好ましい。配列番号1の好ましいフラグメントは、配列番号2であ
る。
【0020】
NadAは、好ましくはオリゴマー形態で使用される(例えば、トリマー形態)。
【0021】
(741タンパク質)
血清群B由来の「741」タンパク質は、参考文献17(配列番号2535および配列
番号2536)において開示され、そして参考文献13において「NMB1870」とし
て開示される(GenBank登録番号GI:7227128もまた参照のこと)。血清
群Aにおける対応するタンパク質[12]は、GenBank登録番号7379322を
有する。741は、天然には、リポタンパク質である。
【0022】
本発明に従って使用される場合、741タンパク質は、種々の形態をとり得る。741
の好ましい形態は、トランケーション改変体または欠失改変体である(例えば、参考文献
21〜23に開示されているトランケーション改変体または欠失改変体)。特に、741
のN末端は、そのポリグリシン配列まで欠失されても、およびポリグリシン配列を含めて
欠失されてもよく(すなわち、MC58株についての残基1〜残基72の欠失[配列番号
3])、この配列は、時に、本明細書中で、接頭辞「ΔG」の使用により区別される。こ
の欠失は、発現を増強し得る。この欠失はまた、741の脂質化部位を除去する。
【0023】
好ましい741配列は、配列番号3に対する50%以上の同一性(例えば、60%、7
0%、80%、90%、95%、99%またはそれ以上)を有する。これは、741改変
体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)を包含
する。741の対立遺伝子形態は、参考文献23の配列番号1〜配列番号22、ならびに
参考文献27の配列番号1〜配列番号23および配列番号123〜配列番号141に見出
され得る。参考文献28の配列番号1〜配列番号299は、さらなる741配列を与える

【0024】
他の好ましい741配列は、配列番号3由来の少なくともn個の連続したアミノ酸を含
み、ここでnは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、3
0、35、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250また
はそれ以上)である。好ましいフラグメントは、741由来のエピトープを含む。他の好
ましいフラグメントは、配列番号3のC末端および/またはN末端の1個以上のアミノ酸
(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれ以
上)を欠く。
【0025】
タンパク質741は、抗髄膜炎菌抗体応答を惹起するのに極めて有効な抗原であり、そ
してこれは、髄膜炎菌の全ての血清群にわたって発現される。系統発生的分析は、これら
のタンパク質が2つの群に分かれること、およびそれらの分けられたもののうちの一方が
、合計3つの改変体をさらに与え[29]、そして一方で、所定の改変体に対して惹起さ
れた血清は、同じ改変体群内においては殺菌性であり、他の2つの改変体のうちの1つを
発現する株に対しては活性ではないこと(すなわち、改変体内の交差防御は存在するが、
改変体間の交差防御は存在しないこと)を示している。従って、最大の株にまたがった(
cross−strain)効力のためには、組成物が、タンパク質741の1種より多
い改変体を含有すべきことが好ましい。各々の改変体由来の例示的配列を、本明細書中で
、配列番号10、配列番号11および配列番号12に与え、これらの配列は、741のリ
ポタンパク質形態では脂質が共有結合するN末端システイン残基で始まる。
【0026】
従って、この組成物が、以下のうちの少なくとも2種を含有すべきことが好ましい:(
1)配列番号10に対して少なくともa%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、そ
して/または配列番号10由来の少なくともx個の連続するアミノ酸のフラグメントから
なるアミノ酸配列を含む、第1のタンパク質;(2)配列番号11に対して少なくともb
%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、そして/または配列番号11由来の少なく
ともy個の連続するアミノ酸のフラグメントからなるアミノ酸配列を含む、第2のタンパ
ク質;ならびに(3)配列番号12に対して少なくともc%の配列同一性を有するアミノ
酸配列を含み、そして/または配列番号12由来の少なくともz個の連続するアミノ酸の
フラグメントからなるアミノ酸配列を含む、第3のタンパク質。
【0027】
aの値は、少なくとも85(例えば、86、87、88、89、90、91、92、9
3、94、95、96、97、98、99、99.5またはそれより大きい)である。b
の値は、少なくとも85(例えば、86、87、88、89、90、91、92、93、
94、95、96、97、98、99、99.5またはそれより大きい)である。cの値
は、少なくとも85(例えば、86、87、88、89、90、91、92、93、94
、95、96、97、98、99、99.5またはそれより大きい)である。aの値、b
の値およびcの値は、本質的に、互いに関連しない。
【0028】
xの値は、少なくとも7(例えば、8、9、10、11、12、13、14、15、1
6、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29
、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、140、
160、180、200、225、250)である。yの値は、少なくとも7(例えば、
8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、
22、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、6
0、70、80、90、100、120、140、160、180、200、225、2
50)である。zの値は、少なくとも7(例えば、8、9、10、11、12、13、1
4、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27
、28、29、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、12
0、140、160、180、200、225、250)である。xの値、yの値および
zの値は、本質的に、互いに関連しない。
【0029】
いずれの所定の741アミノ酸配列も、分類(1)、分類(2)および分類(3)のう
ちの1種よりも多くに分類されないことが好ましい。従って、いずれの所定の741配列
も、分類(1)、分類(2)および分類(3)のうちのただ1種にのみ分類される。従っ
て、以下が好ましい:タンパク質(1)が、タンパク質(2)に対してi%未満の配列同
一性を有すること;タンパク質(1)が、タンパク質(3)に対してj%未満の配列同一
性を有すること;およびタンパク質(2)が、タンパク質(3)に対してk%未満の配列
同一性を有する。iの値は、60以上(例えば、61、62、63、64、65、66、
67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、8
0、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90など)であり、最大
がaである。jの値は、60以上(例えば、61、62、63、64、65、66、67
、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、
81、82、83、84、85、86、87、88、89、90など)であり、最大がb
である。kの値は、60以上(例えば、61、62、63、64、65、66、67、6
8、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81
、82、83、84、85、86、87、88、89、90など)であり、最大がcであ
る。iの値、jの値およびkの値は、本質的に、互いに関連しない。
【0030】
(936タンパク質)
血清群B由来の「936」タンパク質は、参考文献17(配列番号2883および配列
番号2884)に開示され、「NMB2091」として参考文献13に開示される(Ge
nBank登録番号GI:7227353もまた参照のこと)。血清群Aの対応する遺伝
子[12]は、GenBank登録番号7379093である。
【0031】
本発明に従って使用される場合、936タンパク質は、種々の形態をとり得る。936
の好ましい形態は、トランケーション改変体または欠失改変体(例えば、参考文献21〜
参考文献23に開示されるもの)である。特に、936のN末端リーダーペプチドは、9
36(NL)を与えるために欠失され得る(すなわち、株MC58の残基1〜残基23の
欠失[配列番号4])。
【0032】
好ましい936配列は、配列番号4に対して50%以上(例えば、60%、70%、8
0%、90%、95%、99%またはそれ以上)の同一性を有する。これは、改変体(例
えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)を包含する。
他の好ましい936配列は、配列番号4由来の少なくともn個の連続するアミノ酸を含み
、nは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、35
、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ以
上)である。好ましいフラグメントは、936由来のエピトープを含む。他の好ましいフ
ラグメントは、配列番号4のC末端および/またはN末端由来の1つ以上のアミノ酸(例
えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれ以上)
を欠く。
【0033】
(953タンパク質)
血清群B由来の「953」タンパク質は、参考文献17(配列番号2917および配列
番号2918)に開示され、そして「NMB1030」として参考文献13に開示される
(GenBank登録番号 GI:7226269もまた参照のこと)。血清群Aの対応
するタンパク質[12]は、GenBank登録番号7380108を有する。
【0034】
本発明に従って使用される場合、953タンパク質は、種々の形態をとり得る。953
の好ましい形態は、トランケーション改変体または欠失改変体(例えば、参考文献21〜
参考文献23に開示されるもの)である。特に、953のN末端リーダーペプチドは、9
53(NL)を与えるために欠失され得る(すなわち、株MC58の残基1〜残基19の
欠失[配列番号5])。
【0035】
好ましい953配列は、配列番号5に対して50%以上(例えば、60%、70%、8
0%、90%、95%、99%またはそれ以上)の同一性を有する。これは、953改変
体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)を包含
する。953の対立遺伝子形態は、参考文献19の図19に認められ得る。
【0036】
他の好ましい953配列は、配列番号5由来の少なくともn個の連続するアミノ酸を含
み、nは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、3
5、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ
以上)である。好ましいフラグメントは、953由来のエピトープを含む。他の好ましい
フラグメントは、配列番号5のC末端および/またはN末端由来の1つ以上(例えば、1
、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれ以上)のアミノ
酸を欠く。
【0037】
(287タンパク質)
血清群B由来の「287」タンパク質は、参考文献17(配列番号3103および配列
番号3104)に開示され、参考文献13において「NMB2132」として開示され、
そして参考文献20において「GNA2132」として開示される(GenBank登録
番号GI:7227388もまた参照のこと)。血清群Aにおける対応するタンパク質[
12]は、GenBank登録番号7379057を有する。
【0038】
本発明に従って使用される場合、287タンパク質は、種々の形態をとり得る。287
の好ましい形態は、トランケーション改変体または欠失改変体(例えば、参考文献21〜
23に開示されているトランケーション改変体または欠失改変体)である。特に、287
のN末端は、そのポリ−グリシン配列までおよびポリ−グリシン配列を含めて欠失され得
る(すなわち、本明細書中で接頭辞「ΔG」の使用によって区別される、MC58株につ
いての残基1〜残基24の欠失[配列番号6])。この欠失は、発現を増強し得る。
【0039】
好ましい287配列は、配列番号6に対して50%以上(例えば、60%、70%、8
0%、90%、95%、99%またはそれ以上)の同一性を有する。これは、287改変
体(例えば、対立遺伝子改変体、ホモログ、オルソログ、パラログ、変異体など)を包含
する。287の対立遺伝子形態は、参考文献19の図5および図15に認められ、そして
参考文献17の実施例13および図21に認められ得る(配列番号3179〜配列番号3
184)。
【0040】
他の好ましい287配列は、配列番号6由来の少なくともn個の連続するアミノ酸を含
み、nは、7以上(例えば、8、10、12、14、16、18、20、25、30、3
5、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250またはそれ
以上)である。好ましいフラグメントは、287由来のエピトープを含む。他の好ましい
フラグメントは、配列番号6のC末端および/またはN末端由来の1つ以上(例えば、1
、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25またはそれ以上)のアミノ
酸を欠く。
【0041】
(融合タンパク質)
5種の抗原は、5種の別個のポリペプチドとして組成物中に存在し得るが、これは、少
なくとも2つの抗原が、単一のポリペプチド鎖(「ハイブリッド」タンパク質[参考文献
21〜参考文献24])であることが好ましい。例えば、その結果、5種の抗原は、5種
よりも少ない種類のポリペプチドを形成する。ハイブリッドタンパク質は、2つの主な利
点を提供する:第1に、不安定であり得るかまたはそのままではほとんど発現されないか
もしれないタンパク質が、この問題を克服する適切なハイブリッドパートナーを付加する
ことによって補助され得る;第2に、2つの別々に有用なタンパク質を産生するためにた
った1種の発現および精製を用いることが必要とされるので、商業的製造が単純化される

【0042】
本発明の組成物中に含まれるハイブリッドタンパク質は、5種の基本抗原のうちの2種
以上(すなわち、2種、3種、4種または5種)を含み得る。5種の基本抗原の2種から
なるハイブリッドが好ましい。
【0043】
5種の基本抗原の組み合わせ内で、ある抗原は、1種より多いハイブリッドタンパク質
において存在し得るか、そして/または非ハイブリッドタンパク質として存在し得る。し
かし、抗原は、ハイブリッドとして存在するかまたは非ハイブリッドとして存在するかの
いずれかが好ましいが、両方として存在することは好ましくない。しかし、ハイブリッド
抗原および非ハイブリッド(好ましくは、リポタンパク質)抗原の両方としてタンパク質
741を含むことは、有用であり得る(特に、1種より多い741改変体が使用される場
合)。
【0044】
本発明に使用される2種抗原のハイブリッドは、以下を含む:NadAおよび741;
NadAおよび936;NadAおよび953;NadAおよび287;741および9
36;741および953;741および287;936および953;936および2
87;953および287。好ましい2種抗原のハイブリッドは、以下を含む:741お
よび936;953および287。参考文献24のさらなる詳細を参照のこと。
【0045】
ハイブリッドタンパク質は、式NH−A−[−X−L−]−B−COOHにより表
され得、ここで:Xは、5種の基本抗原のうちの1種のアミノ酸配列であり;Lは、任意
のリンカーアミノ酸配列であり;Aは、任意のN末端アミノ酸配列であり;Bは、任意の
C末端アミノ酸配列であり;そしてnは、2、3、4または5である。
【0046】
−X−部分が、その野生型形態においてリーダーペプチド配列を有する場合、これは、
ハイブリッドタンパク質に含まれてもよくまたは削除されてもよい。いくつかの実施形態
において、このリーダーペプチドは、ハイブリッドタンパク質のN末端に位置する−X−
部分のリーダーペプチドを除いて、欠失される(すなわち、Xのリーダーペプチドは維
持されるが、X...Xのリーダーペプチドは、削除される)。このことは、全ての
リーダーペプチドを削除し、かつXのリーダーペプチドを部分−A−として使用するこ
とと等価である。
【0047】
[−X−L−]の各々のnの場合について、リンカーアミノ酸配列−L−は、存在して
もよく、存在しなくてもよい。例えば、n=2である場合、上記ハイブリッドは、NH
−X−L−X−L−COOH、NH−X−X−COOH、NH−X
−X−COOH、NH−X−X−L−COOHなどであり得る。リンカー
アミノ酸配列−L−は、代表的に、短い(例えば、20以下(すなわち、19、18、1
7、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1
)のアミノ酸)。例としては、クローニングを容易にする短いペプチド配列、ポリ−グリ
シンリンカー(すなわち、Glyを含有する(n=2、3、4、5、6、7、8、9、
10またはそれより大きい))およびヒスチジンタグ(すなわち、His(n=3、4
、5、6、7、8、9、10またはそれより大きい))が挙げられる。他の適切なリンカ
ーアミノ酸配列は、当業者に明らかである。有用なリンカーは、Gly−Serジペプチ
ドがBamHI制限酵素部位から形成されていてクローニングおよび操作が容易になるG
SGGGG(配列番号9)であり、そして(Gly)テトラペプチドは、代表的なポリ
−グリシンリンカーである。Xn+1が、ΔGタンパク質であり、かつLがグリシンリ
ンカーである場合、これは、Xn+1が、ΔGタンパク質ではなく、かつLが存在しな
いことと等価であり得る。
【0048】
−A−は、任意のN末端アミノ酸配列である。−A−は、代表的に、短い(例えば、4
0以下(すなわち、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、2
9、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16
、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)のアミ
ノ酸)。例としては、タンパク質輸送をもたらすリーダー配列またはクローニングもしく
は精製を容易にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわち、His
n=3、4、5、6、7、8、9、10またはそれより大きい))が挙げられる。他の適
切なN末端アミノ酸配列は、当業者に明らかである。Xが、それ自体のN末端メチオニ
ンを欠く場合、−A−は、好ましくは、N末端メチオニンを提供するオリゴペプチド(例
えば、1、2、3、4、5、6、7または8アミノ酸を有する)である。
【0049】
−B−は、任意のC末端アミノ酸配列である。−B−は、代表的に、短い(例えば、4
0以下(すなわち、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、2
9、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16
、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1)のアミ
ノ酸)。例としては、タンパク質輸送をもたらす配列、クローニングもしくは精製を容易
にする短いペプチド配列(例えば、ヒスチジンタグ、すなわち、His(n=3、4、
5、6、7、8、9、10またはそれより大きい)を含む)またはタンパク質安定性を増
強する配列が挙げられる。他の適切なC末端アミノ酸配列は、当業者に明らかである。
【0050】
最も好ましくは、nは、2である。この型の2つの好ましいタンパク質は、以下である
:Xは、936であり、そしてXは、741であり;Xは、287であり、そして
は、953である。
【0051】
2種の特に好ましい本発明のハイブリッドタンパク質は、以下のとおりである:
【0052】
【表1】


これらの2種のタンパク質は、(特に、配列番号2を有する)NadAと組み合わせて
使用され得る[24]。
【0053】
OMVおよび/またはリポオリゴ糖を含まない混合物が、好ましい。
【0054】
(外膜小胞)
精製したポリペプチド抗原を使用に代わる手段として、本発明は、N.meningi
tidisの微小小胞[30]、「ネイティブなOMV」[31]、ブレブまたは外膜小
胞[例えば、参考文献32〜37など]の調製物を利用し得る。これらの種々の調製物の
全ては、本明細書中で、一般的な用語「OMV」といわれる。
【0055】
いくつかの実施形態において、OMVは、遺伝子操作された細菌から調製され[38〜
41]、例えば、免疫原性の増加(例えば、超発現免疫原(hyper−express
immunogen))、毒性の減少、莢膜多糖類合成の阻害、PorA発現の下方制
御または排除、lgtB発現[42]の下方制御または排除などを行う。これらは、超ブ
レブ形成株から調製され得る[43−46]。非病原性Neisseria由来の小胞が
、含まれ得る[47]。OMVは、洗浄剤を使用せずに調製され得る[48、49]。こ
れらは、非Neisseriaタンパク質をその表面上に発現し得る[50]。これらは
、LPSが枯渇し得る。これらは、重要な抗原としてリポオリゴ糖を保持し得る[42、
51]。これらは、組換え抗原と混合され得る[32、52]。これらは、リポオリゴ糖
免疫型の相可変性(phase variability)を減少させるために処理され
得る[53]。OMVの混合物が、使用され得[30]、これは、異なる血清型および/
または血清型の亜群からの混合物を含み得る[30、54]。
【0056】
異なるクラスI外膜タンパク質の血清型(例えば、それぞれ3つの血清型を提示する2
つの異なる遺伝子操作された小胞集団を用いる6つの異なる血清型[55、56]、また
はそれぞれ3種の血清型を提示する3つの異なる遺伝子操作された小胞集団を用いる9つ
の異なる血清型など)を有する細菌由来の小胞が、使用され得る。有用な血清型としては
、以下が挙げられる:P1.7,16;P1.5−1,2−2;P1.19,15−1;
P1.5−2,10;P1.12−1,13;P1.7−2,4;P1.22,14;P
1.7−1,1;P1.18−1,3,6。
【0057】
(免疫化の結果)
免疫化の結果は、被験体中の抗体の産生であり、この抗体は、(a)この免疫原性ポリ
ペプチドを認識し、そして(b)複数の髄膜炎菌の血清型による感染に対する防御を行う
。免疫化の代表的な結果は、少なくとも血清群Yの髄膜炎菌に対して殺菌性であり、そし
てより代表的には血清群A、血清群B、血清群C、血清群W135および血清群Yの各々
に対して殺菌性である抗体応答の形成である。
【0058】
好ましい結果は、以下に対して有効な免疫化である:(a)血清群Yおよび血清群A;
(b)血清群Yおよび血清群B;(c)血清群Yおよび血清群C;(d)血清群Yおよび
血清群W135;など。少なくとも血清群A、血清群B、血清群Cおよび血清群Yに対す
る免疫化が好ましい。防御はまた、他の(非病原性)血清群(例えば、H、I、K、L、
X、Z、29Eなど)に対して提供され得る。防御は、他のNeisseria種(例え
ば、Neisseria lactamica、Neisseria gonorrho
eae、Neisseria cinereaなど)に対して提供され得る。
【0059】
免疫化の後、血清は、好ましくは、少なくとも1024(例えば、210、211、2
12、213、214、215、216、217、218またはそれより高い、好ましく
は、少なくとも214)の殺菌性力価を有する。すなわち、この血清は、参考文献20に
記載されるように、1/1024に希釈される場合、特定の株の試験細菌の少なくとも5
0%を殺傷可能である。
【0060】
(血清群および株)
本発明の方法および使用は、血清群Yによる感染に対して被験体を免疫するためであり
、そしてまた少なくとも血清群A、血清群B、血清群Cおよび血清群W135のうちの1
つに対して被験体を免疫するためである。
【0061】
本発明の好ましいタンパク質は、N.meningitidisの血清群Bにおいて見
出されるアミノ酸配列を含む。血清群Bにおいて、好ましい株は、2996、MC58、
95N477、および394/98である。394/98株は、時に、本明細書中で「N
Z」といわれ、この株は、ニュージーランド株である。
【0062】
タンパク質287は、好ましくは、2996株由来であり、より好ましくは、394/
98株由来である。
【0063】
タンパク質741は、好ましくは、血清群BのMC58株、2996株、394/98
株、または95N477株に由来するか、または血清群Cの90/18311株に由来す
る。MC58株が、より好ましい。
【0064】
タンパク質936、タンパク質953およびNadAは、好ましくは、2996株由来
である。
【0065】
株は、下付き文字として示され得る(例えば、741MC58は、MC58株由来のタ
ンパク質741である)。他に示されない限り、本明細書中に記載されるタンパク質(例
えば、下付き文字を含まない)は、N.meningitidisの2996株由来であ
り、この株は、「基準」株として理解され得る。しかし、本発明は、一般的に、株に制限
されないことが理解される。上記されるように、タンパク質についての一般的な参照(例
えば、「287」、「919」など)は、任意の株由来のタンパク質を含むことが理解さ
れ得る。これは、代表的に、2996に対して90%以上(例えば、91%、92%、9
3%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上)の配列同一性
を有する。
【0066】
組成物は、特定のタンパク質抗原(例えば、741または287)を含有する場合、こ
の組成物は、1種より多い改変体の形態で(例えば、同じタンパク質であるが、1種より
多い株由来である)、その抗原を含有し得る。これらのタンパク質は、縦列タンパク質ま
たは別個のタンパク質として含まれ得る。
【0067】
ハイブリッドタンパク質が使用される場合、ハイブリッド(すなわち、個々の−X−部
分)内の個々の抗原は、1種以上の株に由来し得る。n=2である場合、例えば、X
、Xと同じ株に由来し得るか、または異なる株に由来し得る。n=3である場合、これ
らの株は、以下:
【0068】
【化1】


などであり得る。
【0069】
(超毒性系統および殺菌性抗体応答)
一般的に、本発明の組成物は、被験体に投与された後、血清殺菌性抗体応答を誘導し得
る。これらの応答は、これらの抗体応答は、マウスにおいて簡便に測定され、そしてワク
チン効力の標準的な指標である[例えば、参考文献20の巻末の注14を参照のこと]。
血清殺菌活性(SBA)は、補体によって媒介される細菌殺傷を測定し、そしてヒトまた
はウサギ乳仔の補体を用いてアッセイされ得る。WHO基準は、ワクチンが、レシピエン
トの90%より多くにおいて、少なくとも4倍のSBA上昇を誘導することを要求してい
る。
【0070】
狭い防御を提供するよりもむしろ、本発明の組成物は、1種より多い髄膜炎菌の血清群
に対する殺菌性抗体応答を誘導し得る。血清群において、組成物は、1種より多い超毒性
系統に対する抗体応答を誘導し得る。特に、この組成物は、以下の3種の超毒性系統のう
ちの2種または3種に対する殺菌性応答を誘導し得る:(i)クラスターA4;(ii)
ET5複合体;および(iii)系統3。この組成物は、さらに、超毒性系統の亜群I、
亜群III、亜群IV−1またはET−37複合体のうちの1種以上、および他の系統(
例えば、超侵襲性系統)に対する殺菌性抗体応答を誘導し得る。しかし、組成物は、特定
の超毒性系統の各株およびあらゆる株に対する殺菌性抗体を誘導することを必要としない

【0071】
好ましい組成物は、以下に対する殺菌性応答を誘導し得る:(a)血清群Yの髄膜炎菌
の860800株、ES13822株、ES15085株および/またはES14487
株;(b)血清群Aの髄膜炎菌のF6124株;(c)血清群W135の髄膜炎菌のLP
N17592株;(d)血清群Cの髄膜炎菌のC11株;(e)血清群Bの髄膜炎菌の(
i)クラスターA4由来の961−5945株(B:2b:P1.21,16)および/
またはG2136株(B:−);(ii)ET−5複合体由来のMC58株(B:15:
P1.7,16b)および/または44/76株(B:15:P1.7,16);(ii
i)系統3由来の394/98株(B:4:P1.4)および/またはBZ198株(B
:NT:−)。
【0072】
血清群Yの860800株は、参考文献1の29行目、および参考文献57に認められ
る。血清群AのF6124株は、参考文献20、参考文献57および参考文献58に認め
られる。血清群CのC11株は、参考文献59に開示される基準株のうちの1つである。
血清群Bの961−5945株およびG2136株は、両方ともNeisseria M
LST基準株である[参考文献60におけるids 638および1002]。MC58
株は、広範に利用可能であり(例えば、ATCC BAA−335)、そして参考文献1
3において配列決定された株であった。44/76株は、広範に使用され、そして特徴付
けられており(例えば、参考文献61)、そしてNeisseria MLST基準株の
1つである[参考文献60におけるid 237;参考文献1における表2の32行目]
。394/98株は、元々、ニュージーランドにおいて1998年に単離され、そしてこ
の株を用いたいくつかの公開された研究が存在している(例えば、参考文献62および6
3)。BZ198株は、別のMLST基準株である[参考文献60におけるid 409
;参考文献1における表2の41行目]。
【0073】
(免疫原性組成物および医薬)
本発明の組成物は、免疫原性であり、そしてより好ましくはワクチン組成物である。本
発明のワクチンは、予防的(すなわち、感染を防ぐため)または治療的(すなわち、感染
を処置するため)のいずれかであり得るが、代表的には予防的である。
【0074】
上記組成物のpHは、好ましくは6と8との間であり、好ましくは約7である。適切な
pHは、緩衝剤の使用によって維持され得る。組成物が水酸化アルミニウム塩を含有する
場合、ヒスチジン緩衝剤を使用することが好ましい[64]。この組成物は、無菌であり
得るか、そして/または発熱物質を含まないかもしれない。本発明の組成物は、ヒトに対
して等張であり得る。
【0075】
組成物は、バイアル中に存在してもよく、またはこれらは充填済み(ready−fi
lled)注射器中に存在してもよい。この注射器は針を備えて供給されても、針なしで
供給されても良い。注射器は、単回用量のこの組成物を含み、一方、バイアルは、単回用
量または複数回用量を含み得る。注射可能な組成物は、通常、液体溶液または液体懸濁物
である。代替的に、これらは、注射前に水性ビヒクル中に溶解するか、または懸濁するた
めの固形物形態(例えば、凍結乾燥された)で存在し得る。
【0076】
本発明の組成物は、単位用量形態または複数用量形態でパッケージングされ得る。複数
用量形態については、バイアルが、充填済み注射器よりも好ましい。有効投薬容量は、慣
用的に確立され得るが、注射用組成物の代表的なヒト用量は、0.5mlの容量を有する

【0077】
本発明の組成物が、使用前に即座の調製のために用いられるべき場合(例えば、成分が
凍結乾燥形態である場合)、本発明は、キットを提供し、このキットは、2つのバイアル
を備えてもよく、またはこのキットは、1つの充填済み注射器および1つのバイアルを備
えてもよく、この注射器の内容物は、注射前にこのバイアルの内容物を再活性化するため
に用いられる。
【0078】
本発明の免疫化は、哺乳動物(好ましくは、ヒト)におけるものである。このワクチン
が、予防的用途のためのものである場合、ヒトは好ましくは小児(例えば、よちよち歩き
の幼児または乳児)である;このワクチンが治療用途のためのものである場合、ヒトは好
ましくは成人である。小児が意図されるワクチンはまた、例えば、安全性、投薬量、免疫
原性などを評価するために、成人にも投与され得る。
【0079】
これらの使用および方法は、好ましくは以下によって引き起こされる疾患の予防および
/または処置のために好ましい:Neisseria(例えば、髄膜炎、敗血症(sep
ticaemia)、菌血症、淋病など)。細菌性および/または髄膜炎菌性の髄膜炎の
予防および/または処置が好ましい。
【0080】
治療処置の効力をチェックする1つの方法は、本発明の組成物の投与後にNeisse
riaの感染をモニタリングすることを含む。予防的処置の効力をチェックする1つの方
法は、この組成物の投与後に5つの基本抗原に対する免疫応答をモニタリングすることを
含む。本発明の組成物の免疫原性は、この組成物を、試験被験体(例えば、12ヶ月齢〜
16ヶ月齢の小児、または動物モデル[65])に投与し、次いでIgG全体および高ア
ビディティIgGの血清殺菌性抗体(SBA)およびELISA力価(GMT)を含む標
準的なパラメータを決定することにより、決定され得る。これらの免疫応答は、一般的に
、この組成物の投与後約4週間で決定され、そして、この組成物の投与前に決定された値
と比較される。少なくとも4倍または8倍のSBA増加が好ましい。1用量より多くのこ
の組成物が投与される場合、1回より多くの投与後決定が行われ得る。
【0081】
本発明の好ましい組成物は、患者において、容認可能な百分率のヒト被験体に対して各
々の抗原成分についての血清防御基準より優れた抗体力価を与え得る。宿主がその力価よ
り上ではその抗原に対してセロコンバージョンされると考えられる関連する抗体力価を有
する抗原は周知であり、そしてこのような力価は、WHOのような機関により公開されて
いる。好ましくは、被験体の統計学的に有意なサンプルのうちの80%より多く、より好
ましくは90%より多く、さらにより好ましくは93%より多く、そして最も好ましくは
96〜100%が、セロコンバージョンされる。
【0082】
本発明の組成物は一般に、患者に直接的に投与される。直接的な送達は、非経口注射(
例えば、皮下に、腹腔内に、静脈内に、筋肉内に、または組織の間隙空間への)、または
直腸投与、経口投与、膣投与、局所投与、経皮投与、鼻腔内投与、眼内投与、耳投与、肺
投与もしくは他の粘膜投与によって達成され得る。大腿または上腕への筋肉内投与が好ま
しい。注射は、針(例えば、皮下針)を介し得るが、針なしでの注射が、代替的に使用さ
れ得る。代表的な筋肉内用量は、0.5mlである。
【0083】
本発明は、全身免疫および/または粘膜免疫を惹起するために用いられ得る。
【0084】
投薬処置は、単回用量スケジュールまたは複数回用量スケジュールであり得る。複数回
用量は、初回免疫スケジュールおよび/または追加免疫スケジュールにおいて用いられ得
る。初回投与スケジュールには、追加免疫投与スケジュールが続き得る。初回免疫投与の
間(例えば、4〜16週間の間)および初回免疫投与と追加免疫投与との間の適切なタイ
ミングは、慣用的に決定され得る。
【0085】
Neisseria感染は、身体の種々の領域に罹患し得、それゆえ、本発明の組成物
は、種々の形態で調製され得る。例えば、この組成物は、液体溶液または懸濁物のいずれ
かとしての、注射可能物として調製され得る。注射前に液体ビヒクル中に溶解または懸濁
するのに適した固形物形態もまた、調製され得る(例えば、凍結乾燥組成物)。この組成
物は、例えば、軟膏、クリームまたは粉末として局所投与のために調製され得る。この組
成物は、例えば、錠剤もしくはカプセル、またはシロップ(必要に応じて香り付けされた
)として経口投与のために調製され得る。この組成物は、微細粉末またはスプレーを用い
て(例えば、吸入器として)肺投与のために調製され得る。この組成物は、坐剤またはペ
ッサリーとして調製され得る。この組成物は、例えば、スプレー、点滴剤、ゲルまたは散
剤として、鼻腔投与、耳投与または眼投与のために調製され得る[例えば、参考文献66
および67]。肺炎球菌糖[68、69]、肺炎球菌ポリペプチド[70]、Hib糖[
71]、MenC糖[72]、およびHib糖結合体およびMenC糖結合体の混合物[
73]の鼻投与に関する成功が報告されている。
【0086】
ワクチンとして使用される免疫原性組成物は、免疫学的有効量の抗原、ならびに必要に
応じて、任意の他の成分を含有する。「免疫学的有効量」により、単回用量においてかま
たはある一連のものの一部としてのいずれかでの、個体に対するその量の投与が、処置ま
たは予防のために有効であることを意味する。この量は、処置されるべき個体の健康状態
および身体状態、年齢、処置されるべき個体の分類学群(例えば、非ヒト霊長類、霊長類
など)、その個体の免疫系の抗体合成能力、所望される防御の程度、そのワクチンの処方
、処置医によるその医学的状態の評価および他の関連因子に依存して変化する。この量が
、慣習的な試験を通して決定され得る比較的広範な範囲にわたり、1用量あたりの個々の
髄膜炎菌糖抗原の一般的な量は、(糖の質量として示して)1μg〜20μgの間(例え
ば、約1μg、約2.5μg、約4μg、約5μgまたは約10μg)であることが予想
される。
【0087】
(組成物のさらなる非抗原成分)
本発明の組成物は、上述の成分に加えて、代表的に、1以上の「薬学的に受容可能なキ
ャリア」を含有し、このようなキャリアとしては、それ自体ではその組成物を受容する個
体に有害な抗体の産生を誘導しない、任意のキャリアが挙げられる。適切なキャリアは、
代表的に、大きく、ゆっくりと代謝される高分子(例えば、タンパク質、多糖、ポリ乳酸
、ポリグリコール酸、ポリマーアミノ酸、アミノ酸コポリマー、スクロース[74]、ト
レハロース[75]、ラクトース、および脂質凝集物(例えば、油小滴またはリポソーム
)である。このようなキャリアは、当業者に周知である。上記ワクチンはまた、希釈剤(
例えば、水、生理食塩水、グリセロールなど)を含有し得る。さらに、補助物質(例えば
、湿潤剤または乳化剤、pH緩衝物質など)が存在し得る。無菌で発熱物質を含まず、リ
ン酸緩衝化された生理食塩水は、代表的なキャリアである。薬学的に受容可能な賦形剤の
徹底的な考察は、参考文献76において入手可能である。
【0088】
本発明の組成物は、特に、複数用量様式でパッケージングされる場合、抗菌剤を含有し
得る。
【0089】
本発明の組成物は、洗浄剤(例えば、Tween(ポリソルベート)(例えば、Twe
en 80))を含有し得る。洗浄剤は、一般に、低いレベル(例えば、0.01%未満
)で存在する。
【0090】
本発明の組成物は、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を含有して張度を与え得
る。10±2mg/ml NaClの濃度が、代表的である。
【0091】
本発明の組成物は、一般的に、緩衝剤を含有する。リン酸緩衝剤が、代表的である。
【0092】
本発明の組成物は、特にそれらが凍結乾燥される場合か、またはそれらが凍結乾燥され
た材料から再構成された材料を含む場合に、糖アルコール(例えば、マンニトール)また
は二糖類(例えば、ショ糖またはトレハロース)を、例えば、約15mg/ml〜30m
g/ml(例えば、25mg/ml)で含有し得る。凍結乾燥のための組成物のpHは、
凍結乾燥の前に、約6.1に調整され得る。
【0093】
本発明のワクチンは、他の免疫調節剤とともに投与され得る。特に、組成物は通常、ア
ジュバントを含む。本発明の組成物において使用され得るアジュバントとしては、以下が
挙げられるがこれらに限定されない:
(A.無機質含有組成物)
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切な無機質含有組成物としては、
無機塩(例えば、アルミニウム塩およびカルシウム塩)が挙げられる。本発明は、無機塩
(例えば、水酸化物(例えば、オキシヒドロキシド)、リン酸塩(例えば、ヒドロキシリ
ン酸塩、オルトリン酸塩)、硫酸塩など)[例えば、参考文献77の第8章および第9章
を参照のこと]、または異なる無機化合物の混合物を含み、この化合物は、任意の適切な
形態(例えば、ゲル、結晶、非晶質など)をとり、そして、吸着が好ましい。この無機質
含有組成物はまた、無機塩の粒子として処方され得る[78]。
【0094】
アルミニウムリン酸塩は、特に、H.influenzae糖抗原を含有する組成物に
おいて好ましく、そして代表的なアジュバントは、0.84と0.92の間のPO/A
lのモル比で、かつ0.6mg Al3+/mlで含有される非晶質のアルミニウムヒド
ロキシリン酸塩である。アルミニウムリン酸塩の低用量での吸着が使用され得る(例えば
、一用量当たりの一結合体当たり、50μgと100μgの間のAl3+)。組成物にお
いて一より多くの結合体がある場合、全ての結合体が、吸着に必要とは限らない。
【0095】
(B.油エマルジョン)
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切な油エマルジョン組成物として
は、スクアレン−水エマルジョン(例えば、MF59)が挙げられる[参考文献77の第
10章;参考文献79もまた参照のこと。](5%スクアレン、0.5% Tween
80および0.5% Span 85、マイクロフルイダイザー(microfluid
izer)を用いて、サブミクロン粒子に処方される)。完全フロイントアジュバント(
CFA)および不完全フロイントアジュバント(IFA)もまた、使用され得る。
【0096】
(C.サポニン処方物[参考文献77の第22章])
サポニン処方物はまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。サポニンは
、広範な植物種の樹皮、葉、茎、根および花においてさえ見られる、不均一な群のステロ
ールグリコシドおよびトリテルペノイドグリコシドである。Quillaia sapo
naria(モリナの木(Molina tree))の樹皮由来のサポニンは、アジュ
バントとして広範に研究されている。サポニンはまた、Smilax ornata(サ
ルサパリラ(sarsaprilla))、Gypsophilla panicula
ta(ブライドベール(brides veil))およびSaponaria off
icianalis(サボンソウ(soap root))から市販され得る。サポニン
アジュバント処方物としては、精製された処方物(例えば、QS21)および液体処方物
(例えば、ISCOM)が挙げられる。QS21は、StimulonTMとして市販さ
れる。
【0097】
サポニン組成物は、HPLCおよびRP−HPLCを用いて精製されている。これらの
技術を用いる特定の精製フラクションが同定されており、これらのフラクションとしては
、QS7、QS17、QS18、QS21、QH−A、QH−BおよびQH−Cが挙げら
れる。好ましくは、このサポニンは、QS21である。QS21の生成方法は、参考文献
80に開示されている。サポニン処方物はまた、ステロール(例えば、コレステロール)
を含有し得る[81]。
【0098】
サポニンとコレステロールとの組み合わせが使用されて、免疫刺激複合体(immun
ostimulating complex)(ISCOM)と呼ばれる独特な粒子を形
成し得る[参考文献77の第23章]。ISCOMとしてはまた、代表的に、リン脂質(
例えば、ホスファチジルエタノールアミンまたはホスファチジルコリン)が挙げられる。
任意の公知のサポニンが、ISCOMにおいて使用され得る。好ましくは、このISCO
Mは、QuilA、QHAおよびQHCのうちの1つ以上を含む。ISCOMは、参考文
献81〜83にさらに記載されている。必要に応じて、このISCOMは、さらなる洗剤
を含まなくてもよい[84]。
【0099】
サポニンベースのアジュバントの開発の概説は、参考文献85および86に見られ得る

【0100】
(D.ビロソームおよびウイルス様粒子)
ビロソームおよびウイルス様粒子(VLP)もまた、本発明においてアジュバントとし
て使用され得る。これらの構造体は、一般的に、必要に応じてリン脂質と組み合わされる
かまたはリン脂質とともに処方されたウイルス由来の1つ以上のタンパク質を含む。それ
らは、一般的に、非病原性で非複製性であり、そして一般的に、あらゆる天然ウイルスゲ
ノムを含まない。このウイルスタンパク質は、組換え的に生成されてもよく、またはウイ
ルス全体から単離されてもよい。ビロソームまたはVLPにおける使用のために適切なこ
れらのウイルスタンパク質としては、インフルエンザウイルス由来のタンパク質(例えば
、HAまたはNA)、B型肝炎ウイルス由来のタンパク質(例えば、コアタンパク質また
はキャプシドタンパク質)、E型肝炎ウイルス由来のタンパク質、麻疹ウイルス由来のタ
ンパク質、シンドビスウイルス由来のタンパク質、ロタウイルス由来のタンパク質、口蹄
疫ウイルス由来のタンパク質、レトロウイルス由来のタンパク質、ノーウォークウイルス
由来のタンパク質、ヒトパピローマウイルス由来のタンパク質、HIV由来のタンパク質
、RNAファージ由来のタンパク質、Qβファージ由来のタンパク質(例えば、コートタ
ンパク質)、GAファージ由来のタンパク質、frファージ由来のタンパク質、AP20
5ファージ由来のタンパク質およびTy由来のタンパク質(例えば、レトロトランスポゾ
ンTyタンパク質p1)が挙げられる。VLPは、参考文献87〜92においてさらに考
察されている。ビロソームは、例えば、参考文献93においてさらに考察されている。
【0101】
(E.細菌誘導体または微生物誘導体)
本発明における使用のために適切なアジュバントとしては、細菌誘導体または微生物誘
導体(例えば、腸内細菌リポポリサッカリド(LPS)の無毒性誘導体、リピドA誘導体
、免疫刺激オリゴヌクレオチドならびにADPリボシル化トキシンおよびそれらの無毒性
誘導体)が挙げられる。
【0102】
LPSの無毒性誘導体としては、モノホスホリルリピドA(MPL)および3−O−脱
アシル化MPL(3dMPL)が挙げられる。3dMPLは、3 脱O−アシル化モノホ
スホリルリピドAと、4、5または6アシル化鎖との混合物である。3 脱O−アシル化
モノホスホリルリピドAの好ましい「小さい粒子」形態は、参考文献94に開示されてい
る。3dMPLのこのような「小さい粒子」は、0.22μmメンブレンを通って滅菌濾
過されるために充分小さい[94]。他の無毒性LPS誘導体としては、モノホスホリル
リピドA模倣物(例えば、アミノアルキルグルコサミニドホスフェート誘導体(例えば、
RC−529))が挙げられる[95,96]。
【0103】
リピドA誘導体としては、Escherichia coli由来のリピドA誘導体(
例えば、OM−174)が挙げられる。OM−174は、例えば、参考文献97および9
8に記載されている。
【0104】
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切な免疫刺激性オリゴヌクレオチ
ドとしては、CpGモチーフ(グアノシンへのホスフェート結合により連結された非メチ
ル化シトシンを含むジヌクレオチド配列)を含むヌクレオチド配列が挙げられる。パリン
ドローム配列またはポリ(dG)配列を含む、二本鎖RNAおよびオリゴヌクレオチドも
また、免疫刺激性であることが示されている。
【0105】
CpGは、ヌクレオチド改変体/アナログ(例えば、ホスホロチオエート改変体)を含
み得、そして、二本鎖または一本鎖であり得る。参考文献99、100および101は、
可能なアナログ置換(例えば、グアノシンの2’−デオキシ−7−デアザグアノシンによ
る置換)を開示している。CpGオリゴヌクレオチドのアジュバント効果は、参考文献1
02〜107において、さらに考察されている。
【0106】
このCpG配列(例えば、GTCGTTモチーフまたはTTCGTTモチーフ)は、T
LR9に導かれ得る[108]。このCpG配列(例えば、CpG−A ODN)は、T
h1免疫応答誘導に特異的であってもよく、または、このCpG配列(例えば、CpG−
B ODN)は、B細胞応答誘導に、より特異的であってもよい。CpG−A ODNお
よびCpG−B ODNは、参考文献109〜111において考察されている。好ましく
は、このCpGは、CpG−A ODNである。
【0107】
好ましくは、このCpGオリゴヌクレオチドは、5’末端がレセプター認識のために接
近可能であるように構築される。必要に応じて、2つのCpGオリゴヌクレオチド配列が
それらの3’末端で結合されて、「イムノマー(immunomer)」を形成し得る。
例えば、参考文献108および112〜114を参照のこと。
【0108】
細菌ADP−リボシル化トキシンおよびその無毒化誘導体は、本発明においてアジュバ
ントとして使用され得る。好ましくは、このタンパク質は、E.coli由来(E.co
li熱不安定性エンテロトキシン「LT」)、コレラ由来(「CT」)または百日咳由来
(「PT」)である。粘膜アジュバントとしての無毒化ADP−リボシル化トキシンの使
用は、参考文献115に記載されており、そして、非経口的アジュバントとしての無毒化
ADP−リボシル化トキシンの使用は、参考文献116に記載されている。このトキシン
またはトキソイドは、好ましくは、AサブユニットおよびBサブユニットの両方を含むホ
ロトキシンの形態である。好ましくは、このAサブユニットは、無毒化変異を含み;好ま
しくは、このBサブユニットは、変異していない。好ましくは、このアジュバントは、無
毒化LT変異体(例えば、LT−K63、LT−R72およびLT−G192)である。
ADP−リボシル化トキシンおよびその無毒化誘導体(特に、LT−K63およびLT−
R72)のアジュバントとしての使用は、参考文献117〜124において見出され得る
。アミノ酸置換についての多くの参考文献は、好ましくは、参考文献125に記載のAD
P−リボシル化トキシンのAサブユニットおよびBサブユニットのアラインメントに基づ
く。参考文献125は、特に、本明細書中で、その全体が参考として援用される。
【0109】
(F.ヒト免疫調節因子)
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切なヒト免疫刺激因子としては、
サイトカイン(例えば、インターロイキン(例えば、IL−1、IL−2、IL−4、I
L−5、IL−6、IL−7、IL−12[126]など)[127]、インターフェロ
ン(例えば、インターフェロン−γ)、マクロファージコロニー刺激因子および腫瘍壊死
因子)が挙げられる。
【0110】
(G.生体接着因子および粘膜接着因子)
生体接着因子および粘膜接着因子もまた、本発明においてアジュバントとして使用され
得る。適切な生体接着因子としては、エステル化ヒアルロン酸マイクロスフェア[128
]または粘膜接着因子(例えば、ポリ(アクリル酸)、ポリビニルアルコール、ポリビニ
ルピロリドン、ポリサッカリドおよびカルボキシメチルセルロースの架橋誘導体)が挙げ
られる。キトサンおよびその誘導体もまた、本発明においてアジュバントとして使用され
得る[129]。
【0111】
(H.微粒子)
微粒子もまた、本発明においてアジュバントとして使用され得る。生分解性かつ無毒性
の材料(例えば、ポリ(α−ヒドロキシ酸)、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル
、ポリ無水物、ポリカプロラクトンなど)と、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)とから
形成される微粒子(すなわち、直径約100nm〜約150μm、より好ましくは、直径
約200nm〜約30μm、そして、最も好ましくは、直径約500nm〜約10μmの
粒子)が好ましく、必要に応じて処理されて、(例えば、SDSによって)負に荷電した
表面または(例えば、カチオン性洗剤(例えば、CTAB)によって)正に荷電した表面
を有する。
【0112】
(I.リポソーム(参考文献77の第13章および第14章))
アジュバントとしての使用のために適切なリポソーム処方物の例は、参考文献130〜
132に記載されている。
【0113】
(J.ポリオキシエチレンエーテル処方物およびポリオキシエチレンエステル処方物)
本発明における使用のために適切なアジュバントとしては、ポリオキシエチレンエーテ
ルおよびポリオキシエチレンエステルが挙げられる[133]。このような処方物は、オ
クトキシノールと組み合わせたポリオキシエチレンソルビタンエステル界面活性剤[13
4]、ならびに少なくとも1つのさらなる非イオン性界面活性剤(例えば、オクトキシノ
ール)と組み合わせたポリオキシエチレンアルキルエーテル界面活性剤またはポリオキシ
エチレンアルキルエステル界面活性剤[135]をさらに含む。好ましいポリオキシエチ
レンエーテルは、以下の群より選択される:ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル
(laureth 9)、ポリオキシエチレン−9−ステオリルエーテル、ポリオキシエ
チレン−8−ステオリルエーテル、ポリオキシエチレン−4−ラウリルエーテル、ポリオ
キシエチレン−35−ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン−23−ラウリルエー
テル。
【0114】
(K.ポリホスファゼン(PCPP))
PCPP処方物は、例えば、参考文献136および137において記載されている。
【0115】
(L.ムラミルペプチド)
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切なムラミルペプチドの例として
は、N−アセチル−ムラミル−L−トレオニル−D−イソグルタミン(thr−MDP)
、N−アセチル−ノルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミン(nor−MDP)
およびN−アセチルムラミル−L−アラニル−D−イソグルタミニル−L−アラニン−2
−(1’,2’−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)
−エチルアミン(MTP−PE)が挙げられる。
【0116】
(M.イミダゾキノロン化合物)
本発明におけるアジュバントとしての使用のために適切なイミダゾキノロン化合物の例
としては、参考文献138および139にさらに記載される、Imiquamodおよび
そのホモログ(例えば、「Resiquimod 3M」)が挙げられる。
【0117】
本発明はまた、上に同定されるアジュバントの1つ以上の局面の組み合わせを含み得る
。例えば、以下のアジュバント組成物が、本発明において使用され得る:(1)サポニン
および水中油型エマルジョン[140];(2)サポニン(例えば、QS21)+無毒性
LPS誘導体(例えば、3dMPL)[141]:(3)サポニン(例えば、QS21)
+無毒性LPS誘導体(例えば、3dMPL)+コレステロール;(4)サポニン(例え
ば、QS21)+3dMPL+IL−12(必要に応じて、+ステロール)[142];
(5)3dMPLと、例えば、QS21および/または水中油型エマルジョンとの組み合
わせ[143];(6)マイクロフルイダイズされてサブミクロンエマルジョンにされる
か、またはボルテックスされてより大きい粒子サイズのエマルジョンを生じるかのいずれ
かの、10% スクアレン、0.4% Tween 80TM、5% プルロニックブロ
ック(pluronic−block)ポリマーL121およびthr−MDPを含有す
るSAF;(7)2% スクアレン、0.2% Tween 80、ならびにモノホスホ
リピドA(MPL)、トレハロースジミコレート(TDM)および細胞壁骨格(CWS)
からなる群由来の1つ以上の細菌細胞壁成分を含むRibiTMアジュバント系(RAS
)(Ribi Immunochem)(好ましくは、MPL+CWS(DetoxTM
));ならびに(8)1つ以上の無機塩(例えば、アルミニウム塩)+LPSの無毒性誘
導体(例えば、3dMPL)。
【0118】
免疫刺激因子として作用する他の物質は、参考文献77の第7章に開示されている。
【0119】
水酸化アルミニウムアジュバントの使用またはリン酸アルミニウムアジュバントの使用
が、特に好ましく、そして抗原は、概して、これらの塩に吸着される。この組成物がHi
b抗原を含有する場合、水酸化アルミニウムは、好ましくは、アジュバントとして回避さ
れる。アジュバントにリン酸アルミニウムが使用され、かつ抗原がアジュバントに吸着し
ないことが望まれる場合、これは、溶液中に遊離型のリン酸イオンを含むことにより(例
えば、リン酸緩衝液の使用により)好まれる。吸着の防止はまた、抗原/アジュバントを
混合する間、正しいpHを選択すること、適切な電荷ゼロの点を有するアジュバントを選
択すること、および組成物中の異なる抗原に対して適切な混合順序を選択することによっ
て、成し遂げられ得る[144]。
【0120】
リン酸カルシウムは、別の好ましいアジュバントである。
【0121】
(さらなる抗原)
本発明の組成物は、5つの基本髄膜炎菌性タンパク質抗原を含有する。これらの組成物
はまた、5つの基本抗原以外の髄膜炎菌性タンパク質抗原は含有し得ないにもかかわらず
、さらなる抗原を含有し得る。封入用のさらなる抗原は、例えば、以下のものであり得る

−Haemophilus influenzae B由来の糖抗原;
−N.meningitidis血清群A、N.meningitidis血清群C、N
.meningitidis血清群W135ならびに/またはN.meningitid
is血清群Y由来の糖抗原(参考文献5に開示される血清群C由来のオリゴ糖または参考
文献8のオリゴ糖)(以下を参照のこと);
−Streptococcus pneumoniae由来の糖抗原[例えば、180、
181 182];
−A型肝炎ウイルス由来の抗原(例えば、不活性化ウイルス)[例えば、145、146
];
−B型肝炎ウイルス由来の抗原(例えば、表面抗原および/またはコア抗原)[例えば、
146、147];
−ジフテリア抗原(例えば、ジフテリアトキソイド)[例えば、参考文献148の第3章
](例えば、CRM197変異体[例えば、149]);
−破傷風抗原(例えば、破傷風トキソイド[例えば、参考文献148の第4章]);
−必要に応じて、またパータクチン(pertactin)および/または凝集原2およ
び凝集原3との組合わせで、Bordetella pertussis由来の抗原(例
えば、B.pertussis由来の百日咳ハロ毒素(PT)および線維状赤血球凝集素
(FHA))[例えば、参考文献150および151]。細胞性百日咳抗原が使用され得
る;
−N.meningitidis血清群B由来の外膜小胞(OMV)調製物(例えば、参
考文献34、参考文献35、参考文献37、参考文献152などに開示される調製物);
−ポリオ抗原[例えば、153、154」(例えば、OPVまたは、好ましくはIPV)

【0122】
この組成物は、一以上のこれらさらなる抗原を含有し得る。抗原は、各々代表的に、少
なくとも1μg/mlの濃度で存在する。概して、任意の所定の抗原の濃度は、この抗原
に対する免疫応答を誘発するのに十分である。実際の免疫原性(例えば、ELISA力価
)は減少され得るが、個々の糖抗原の防御効果は、これらを結合することによって除去さ
れないことが好ましい。
【0123】
ジフテリア抗原がこの組成物に含有される場合、破傷風抗原および百日咳抗原を含有す
ることもまた、好ましい。同様に、破傷風抗原が含有される場合、ジフテリア抗原および
百日咳抗原を含有することもまた、好ましい。同様に、百日咳抗原が含有される場合、ジ
フテリア抗原および破傷風抗原を含有することもまた、好ましい。このようなDTP組合
わせは、凍結乾燥された結合体の再構成に使用され得る。
【0124】
糖抗原または炭水化物抗原が使用される場合、この抗原は、好ましくは、免疫原性を増
強するためにキャリアタンパク質に結合体化される(以下を参照のこと)。
【0125】
有毒性タンパク質抗原は、必要に応じて、解毒され得る(例えば、化学的手法および/
または遺伝子的手法による百日咳毒素の解毒[151])。
【0126】
本発明の組成物において、タンパク質抗原を使用することの代替手段として、この抗原
をコードする核酸が使用され得る[例えば、参考文献155〜163]。したがって、本
発明の組成物のタンパク質成分は、このタンパク質をコードする核酸(好ましくは、DN
A、例えば、プラスミド形態のDNA)によって置き換えられ得る。同様に、本発明の組
成物は、糖抗原を模倣するタンパク質(例えば、ミモトープ(mimotope)[16
4]または抗イディオタイプ抗体)を含有し得る。これらは、個々の糖成分に置き換えら
れ得るか、または個々の糖成分を追加し得る。例として、ワクチンは、糖自身の代わりに
、MenC[165]莢膜多糖のペプチド模倣物、またはMenA[166]莢膜多糖の
ペプチド模倣物を含み得る。
【0127】
特に好ましい本発明の組成物は、以下のいずれかまたは両方を含有する:(a)Hae
mophilus influenzae B型由来の糖抗原;および/または(b)S
treptococcus pneumoniae由来の抗原。これらはまた、所定の血
清群に由来する糖が、この血清群に対する防御を提供するためのものではないポリペプチ
ドおよび/またはOMV中にのみ包含され得るときを除いて、髄膜炎菌血清群Y、髄膜炎
菌血清群W135、髄膜炎菌血清群C、および髄膜炎菌血清群A由来の糖抗原を含有する

【0128】
(Haemophilus influenzae B型)
この組成物が、H.influenzae B型抗原を含有する場合、それは、代表的
に、Hib莢膜糖抗原である。H.influenzae b由来の糖抗原は周知である

【0129】
有利なことに、Hib糖は、この免疫原性を増強するため、とりわけ子供において、キ
ャリアタンパク質に共有結合される。概して、多糖結合体の調製、および特にHib莢膜
多糖の調製は、よく記録される[例えば、参考文献167〜175など]。本発明は、任
意の適切なHib結合体を使用し得る。適切なキャリアタンパク質は、以下に記載され、
Hib糖に対する好ましいキャリアはCRM197(「HbOC」)、破傷風トキソイド
(「PRP−T」)およびN.meningitidisの外膜複合体(「PRP−OM
P」)である。
【0130】
この結合体の糖部分は多糖であり得る(例えば、全長ポリリボシルリビトールホスフェ
ート(PRP))が、しかしオリゴ糖(例えば、分子量約1〜約5kDa)を形成するた
めに多糖を加水分解することが好ましい。
【0131】
好ましい結合体は、アジピン酸リンカーを介してCRM197に共役結合したHibオ
リゴ糖を含む[176、177]。破傷風トキソイドはまた、好ましいキャリアである。
【0132】
Hib抗原の投与は、好ましくは≧0.15μg/ml、およびより好ましくは≧1μ
g/mlの濃度の抗PRP抗体を生じる。
【0133】
本発明の組成物は、一より多くのHib抗原を含み得る。
【0134】
組成物が、Hib糖抗原を含有する場合、この組成物は水酸化アルミニウムアジュバン
トも含有しないことが好ましい。この組成物が、リン酸アルミニウムアジュバントを含有
する場合、Hib抗原はアジュバントに吸着されても[178]、吸着されなくてもよい
[179]。
【0135】
Hib抗原は、(例えば、髄膜炎菌性抗原とともに)凍結乾燥され得る。
【0136】
(Streptococcus pneumoniae)
この組成物が、S.pneumoniae抗原を含有する場合、これは、代表的に、好
ましくは、キャリアタンパク質に結合体化される莢膜糖抗原である[例えば、参考文献1
80〜182]。一より多くのS.pneumoniaeの血清型由来の糖を含有するこ
とが好ましい。例えば、23の異なる血清型由来の多糖の混合物が、5と11との間の異
なる血清型由来の多糖との結合体化ワクチンとして広く使用される[183]。例えば、
PrevNarTM[184]は、各糖が還元的アミノ化によりCRM197に個々に結
合される状態で、各糖が0.5mlの用量当たり2μg(4μgの血清型6B)で、かつ
、結合体がリン酸アルミニウムアジュバントに吸着される状態で、7つの血清型(4、6
B、9V、14、18C、19Fおよび23F)由来の抗原を含む。本発明の組成物は、
好ましくは、少なくとも血清型6B、14、19Fおよび23Fを含有する。結合体は、
リン酸アルミニウム上に吸着され得る。
【0137】
肺炎球菌由来の糖抗原を使用することの代替手段として、この組成物は、一以上のポリ
ペプチド抗原を含有し得る。肺炎球菌のいくつかの株のゲノム配列は入手可能であり[1
85、186]、ワクチン学を覆す対象となり[187〜190]、適切なポリペプチド
抗原を同定し得る[191、192]。例えば、この組成物は、以下の抗原のうち一以上
を含有し得る:参考文献193で規定される、PhtA、PhtD、PhtB、PhtE
、SpsA、LytB、LytC、LytA、Sp125、Sp101、Sp128、S
p130およびSp130。この組成物は、一より多く(例えば、2、3、4、5、6、
7、8、9、10、11、12、13、または14)のこれら抗原を含み得る。
【0138】
いくつかの実施形態において、この組成物は、肺炎球菌由来の糖抗原およびポリペプチ
ド抗原の両方を含有し得る。これらは、単純な混合で使用され得るか、または肺炎球菌の
糖抗原は、肺炎球菌のタンパク質に結合体化され得る。このような実施形態にとって適切
なキャリアタンパク質としては、前の段落において列挙される抗原が挙げられる[193
]。
【0139】
肺炎球菌抗原は(例えば、髄膜炎菌抗原および/またはHib抗原とともに)凍結乾燥
され得る。
【0140】
(髄膜炎菌血清群Y、髄膜炎菌血清群W135、髄膜炎菌血清群Cおよび髄膜炎菌血清
群A)
上記のように、血清群A、血清群C、血清群W135および血清群Yに対する多糖ワク
チンが、長年知られてきた。これらのワクチン(MENCEVAX ACWYTMおよび
MENOMUNETM)は、生物の莢膜多糖ベースであり、青年および成人において有効
であるにもかかわらず、それらは、乏しい免疫応答および防御の短い継続時間を生じ、そ
して乳児において使用され得ない。
【0141】
これらのワクチンにおける結合体化されていない多糖抗原とは対照的に、最近認可され
た血清群Cワクチン(MenjugateTM[4]、MeningitecTMおよび
NeisVac−CTM)は結合体化された糖を含有する。MenjugateTMおよ
びMeningitecTMは、CRM197キャリアに結合体化されたオリゴ糖抗原を
有し、一方で、NeisVac−CTMは、破傷風トキソイドキャリアに結合体化された
完全な多糖(脱O−アセチル化多糖)を使用する。
【0142】
本発明の組成物は、好ましくは、一以上の髄膜炎菌血清群Y、髄膜炎菌血清群W135
、髄膜炎菌血清群Cおよび髄膜炎菌血清群A由来の莢膜糖抗原を含有し、ここでこの抗原
はキャリアタンパク質に結合体化され、そして必要に応じて、オリゴ糖である。Meni
ngococcal莢膜多糖およびそれらの結合体は、参考文献7および8に記載のよう
に調製され得る。
【0143】
一用量当たりの各髄膜炎菌性糖抗原の代表的な量は、1μgと20μgとの間(例えば
、約1μg、約2.5μg、約4μg、約5μg、または約10μg(糖として表示))
である。
【0144】
混合物が、血清群Aおよび血清群Cの両方由来の莢膜糖を含む場合、MenA糖:Me
nC糖の比(w/w)は、1より大きく(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、1
0:1以上)あり得る。混合物が、血清群Yならびに、血清群Cおよび血清群W135の
一方、あるいは両方に由来する莢膜糖を含む場合、MenY糖:MenW135糖の比(
w/w)は、1より大きく(例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、10:1以上)
あり得、そして/または、MenY糖:MenC糖の比(w/w)は、1より小さく(例
えば、1:2、1:3、1:4、1:5以下)あり得る。血清群A由来の糖:血清群C由
来の糖:血清群W135由来の糖:血清群Y由来の糖についての好ましい比(w/w)は
、以下である: 1:1:1:1; 1:1:1:2; 2:1:1:1; 4:2:1
:1; 8:4:2:1; 4:2:1:2; 8:4:1:2; 4:2:2:1;
2:2:1:1; 4:4:2:1; 2:2:1:2; 4:4:1:2;および2:
2:2:1。血清群C由来の糖:血清群W135由来の糖:血清群Y由来の糖についての
好ましい比(w/w)は、以下である: 1:1:1; 1:1:2; 1:1:1;
2:1:1; 4:2:1; 2:1:2; 4:1:2; 2:2:1;および2:1
:1。実質的に各糖の同等の質量を使用することが好ましい。
【0145】
莢膜糖は、概して、オリゴ糖形態で使用される。これらは、精製された莢膜多糖の断片
化によって(例えば、加水分解によって)簡便に形成され、その後に、通常、所望のサイ
ズのフラグメントが精製される。
【0146】
多糖の断片化は、好ましくは、30より小さい(例えば、血清群Aについて10と20
の間、好ましくは約10;血清群W135および血清群Yについて15と25の間;好ま
しくは約15〜20;血清群Cについて12と22の間など)オリゴ糖において、最終的
な平均重合度(DP)を生じるように実施される。DPは、イオン交換クロマトグラフィ
ーによってかまたは比色アッセイによって、簡便に測定され得る[194]。
【0147】
加水分解が実施される場合、この加水分解物は、概して、短い長さのオリゴ糖を除去す
るための大きさにされ得る[195]。これは、種々の方法(例えば、限外濾過後のイオ
ン交換クロマトグラフィー)において、成し遂げられ得る。好ましくは、血清群Aについ
て、約6以下の重合度を有するオリゴ糖は除去され、そして好ましくは、血清群W135
および血清群Yについて、約4より少ない重合度を有するオリゴ糖は除去される。
【0148】
好ましいMenC糖抗原は、MenjugateTMにおいて使用されたように、参考
文献5に開示される。
【0149】
糖は、好ましくは、(任意の断片化、結合体化、修飾などを含めて)別々に調製され、
次いで本発明の組成物を生じるために混合される。
【0150】
しかしながら、この組成物が、血清群A由来の莢膜糖を含有する場合、加水分解の可能
性を最小限に抑えるために、血清群Aの糖は、使用直前まで、他の糖に混合されないこと
が好ましい。これは、血清群A成分(代表的には適切な賦形剤とともに)を凍結乾燥形態
にし、そして他の血清群成分(これもまた適切な賦形剤とともに)を液体形態にすること
により、使用準備が整ったときに、液体成分を、この凍結乾燥MenA成分を再構成する
ように使用することによって、簡便に成し遂げられ得る。アルミニウム塩アジュバントが
使用される場合、液体ワクチンを含むバイアル内にアジュバントを含むこと、およびMe
nA成分をアジュバントなしで凍結乾燥させることが好ましい。したがって、本発明の組
成物は、以下のものを備えるキットから調製され得る:(a)凍結乾燥形態の、N.me
ningitidis血清群A由来の莢膜糖;および(b)液体形態の、この組成物由来
のさらなる抗原。
【0151】
(共有結合性結合)
本発明の組成物における莢膜糖は、通常、キャリアタンパク質に結合される。結合は、
糖をT非依存性抗原からT依存性抗原へ転換し、よって、免疫記憶のための初回抗原刺激
を可能とすることから、一般に、結合は、糖の免疫原性を増強する。結合は、小児ワクチ
ンにとって特に有用であり、周知の技術である[例えば、参考文献196および167〜
175で概説される]。
【0152】
好ましいキャリアタンパク質は、細菌性毒素または細菌性トキソイド(例えば、ジフテ
リアトキソイドまたは破傷風トキソイド)である。CRM197ジフテリア毒素変異体[
197〜199]は特に好ましい。他の適したキャリアタンパク質としては、N.men
ingitidis外膜タンパク質[200]、合成ペプチド[201、202]、熱シ
ョックタンパク質[203、204]、百日咳タンパク質[205、206]、サイトカ
イン[207]、リンホカイン[207]、ホルモン[207]、増殖因子[207]、
種々の病原体由来抗原由来の複数のヒトCD4T細胞エピトープを含む人工タンパク質
[208]、H.influenzae由来のタンパク質D[209、210]、肺炎球
菌の表面タンパク質PspA[211]、鉄取り込みタンパク質[212]、C.dif
ficile由来の毒素Aまたは毒素B[213]などが挙げられる。好ましいキャリア
は、ジフテリアトキソイド、破傷風トキソイド、H.influenzaeタンパク質D
、およびCRM197である。
【0153】
本発明の組成物内で、(例えば、キャリア抑制の危険を減少させるため)一より多くの
キャリアタンパク質を使用することが可能である。従って、異なるキャリアタンパク質は
、異なる血清群に使用され得る(例えば、血清群Aの糖はCRM197に結合され得、一
方で血清群Cの糖は破傷風トキソイドに結合され得る)。特定の糖抗原に一より多くのタ
ンパク質を使用することもまた可能である(例えば、血清群Aの糖は二つの群であり得、
CRM197に結合されたものと、破傷風トキソイドに結合されるものとを含む)。しか
しながら、概して、同一のキャリアタンパク質を全ての糖に使用することが好ましい。
【0154】
単一キャリアタンパク質は一より多くの糖抗原を保有し得る[214]。例えば、単一
キャリアタンパク質は、そのキャリアタンパク質に結合された血清群Aおよび血清群C由
来の糖を有し得る。この目的を成し遂げるため、糖は結合反応の前に混合され得る。しか
しながら、概して、各血清群のための別個の結合体を有することが好ましい。
【0155】
1:5(すなわち、過剰のタンパク質)と5:1(すなわち、過剰の糖)の間の糖:タ
ンパク質の比(w/w)での結合が好ましい。1:2と5:1の間の比が好ましく、1:
1.25と1:2.5の間の比はより好ましい。過剰のキャリアタンパク質は、MenA
およびMenCについて好ましくあり得る。
【0156】
結合体は、遊離のキャリアタンパク質との結合において使用され得る[215]。ある
所定のキャリアタンパク質が、本発明の組成物中に遊離型形態および結合体化形態の両方
おいて存在する場合、非結合体化形態は、好ましくは、全体として、その組成物中のキャ
リアタンパク質の総量の5%以下であり、より好ましくは、2重量%以下で与える。
【0157】
任意の適した結合反応は、必要な場合、任意の適したリンカーとともに使用され得る。
【0158】
糖は、典型的に、結合の前に活性化されるか、または官能化される。例えば、活性化は
、CDAP(例えば、1−シアノ−4−ジメチルアミノピリジウムテトラフルオロボレー
ト[216、217など])のようなシアン化試薬を含む。他の適した技術は、カルボジ
イミド、ヒドラジド、活性エステル、ノルボラン、p−ニトロ安息香酸、N−ヒドロキシ
スクシンイミド、S−NHS、EDC、TSTUを使用する;参考文献173への序論を
また参照のこと)。
【0159】
リンカー基を介した連結は、任意の公知の手順(例えば、参考文献218および219
に記載された手順)を利用して作られ得る。一つの型の連結は、多糖の還元的アミノ化、
アジピン酸リンカー基の一端と、結果として生じるアミノ基とのカップリング、およびそ
の後、アジピン酸リンカー基の他の一端へのタンパク質のカップリングを含む[171、
220、221]。他のリンカーとしては、B−プロピオンアミド[222]、ニトロフ
ェニル−エチルアミン[223]、ハロゲン化ハロアシル[224]、グリコシド結合[
225]、6−アミノカプロン酸[226]、ADH[227]、C〜C12部分[2
28]などが挙げられる。リンカーの使用に代わる手段として、直接的結合が使用され得
る。そのタンパク質への直接的結合は、例えば、参考文献229および参考文献230に
記載されるような多糖の酸化とその後のタンパク質との還元的アミノ化を含み得る。
【0160】
糖へのアミノ基の導入(例えば、−NHでの末端=O基の交換による導入)およびそ
の後のアジピン酸ジエステル(例えば、アジピン酸N−ヒドロキシスクシンイミドジエス
テル)での誘導化、ならびにキャリアタンパク質との反応を包含するプロセスは、好まし
い。別の好ましい反応は、プロテインDキャリア(例えば、MenAまたはMenCのた
めのキャリア)でのCDAP活性化を使用する。
【0161】
結合後、遊離型糖および結合体化糖は、分離され得る。疎水性クロマトグラフィー、タ
ンジェンシャル限外濾過、ダイアフィルトレーションなどを包含する多くの適した方法が
ある[参考文献231および232などをまた参照のこと]。
【0162】
本発明の組成物が結合体化されたオリゴ糖を含有する場合、オリゴ糖の調製は結合に先
行することが好ましい。
【0163】
精製に代わる手段として、莢膜糖は、全合成または部分合成によって得られ得る(例え
ば、Hibの合成は参考文献223に開示され、そしてMenAの合成は参考文献234
に開示される)。
【0164】
(さらなるかつ代わりの血清群Bポリペプチド抗原)
本発明は、被験体に投与後、その被験体内において抗体反応を誘導し得る組成物を使用
し、ここでその抗体反応は、少なくとも髄膜炎菌の血清群Yに対して防御的である。Na
dA、741、936、953、および287は、この防御を成し遂げるための好ましい
抗原であるが、本発明の組成物(必要に応じて5つの基本抗原のうちの一以上との組合わ
せた組成物)内に含有され得る他のMenBポリペプチド抗原は、以下のアミノ酸配列の
うちの一つを含むものを含む:参考文献15由来の配列番号650;参考文献15由来の
配列番号878;参考文献15由来の配列番号884;参考文献16由来の配列番号4;
参考文献17由来の配列番号598;参考文献17由来の配列番号818;参考文献17
由来の配列番号864;参考文献17由来の配列番号866;参考文献17由来の配列番
号1196;参考文献17由来の配列番号1272;参考文献17由来の配列番号127
4;参考文献17由来の配列番号1640;参考文献17由来の配列番号1788;参考
文献17由来の配列番号2288;参考文献17由来の配列番号2466;参考文献17
由来の配列番号2554;参考文献17由来の配列番号2576;参考文献17由来の配
列番号2606;参考文献17由来の配列番号2608;参考文献17由来の配列番号2
616;参考文献17由来の配列番号2668;参考文献17由来の配列番号2780;
参考文献17由来の配列番号2932;参考文献17由来の配列番号2958;参考文献
17由来の配列番号2970;参考文献17由来の配列番号2988、または(a)上記
の配列に対して50%以上の同一性(例えば、60%、70%、80%、90%、95%
、99%以上)を有し;そして/または(b)上記配列由来の少なくともnの連続的アミ
ノ酸のフラグメントを含むものであって、ここでnは7以上(例えば、8、10、12、
14、16、18、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、1
00、150、200、250以上)のアミノ酸配列を含むポリペプチド。(b)のため
の好ましいフラグメントは、関連する配列由来のエピトープを含む。これらのポリペプチ
ドのうちの一より多く(例えば、2、3、4、5、6)が含まれ得る。
【0165】
抗原であるトランスフェリン結合タンパク質および/またはHsfタンパク質もまた使
用され得る[235]。NspAタンパク質もまた、好ましくは、参考文献237のよう
に、組換え発現され、そして精製されて、使用され得る[236]。
【0166】
(一般)
用語「含む(comprising)」は、「含有する、含む(including)
」および「構成する(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む」組成物
は、もっぱらXから構成されるか、またはさらなる何か(例えば、X+Y)を含有し得る

【0167】
数値xに関する用語「約(about)」は、例えば、x±10%を意味する。
【0168】
単語「実質的に(substantially)」は、「完全に(completel
y)」を除外せず、例えば、Yを「実質的に含まない(substantially f
ree)」の組成物は、Yを完全に含まなくてもよい。必要に応じて、その単語「実質的
に(substantially)」は、本発明の定義から省略され得る。
【0169】
二つのアミノ酸配列間の配列同一性割合の言及は、整列化された場合に、その割合のア
ミノ酸が、二つの配列を比較した際に同一であることを意味する。この整列化および相同
性パーセントまたは配列同一性は、当該分野で公知のソフトウェア・プログラム(例えば
、参考文献238の第7.7.18章に記載されるソフトウェア・プログラム)を使用し
て決定され得る。好ましい整列化は、12のギャップオープンペナルティおよび2のギャ
ップ伸長ペナルティを有するアフィンギャップ検索(62のBLOSUMマトリクス)を
利用したSmith−Waterman相同性検索アルゴリズムによって決定される。S
mith−Waterman相同性検索アルゴリズムは、参考文献239において教示さ
れる。
【0170】
用語「ポリペプチド」は、一般に、アミノ酸残基のポリマーをいい、そしてその生成物
の最短の長さに制限されない。従って、ペプチド、オリゴペプチド、二量体、多量体など
が、この定義に包含される。全長タンパク質およびそのフラグメントの両方は、この定義
により包含される。代表的に、本発明において有用なポリペプチドは、意図される用途に
対して適切な最長の長さを有し得る。一般に、最長の長さは重要でなく、そして当業者に
よって容易に選択され得る。
【0171】
本発明のポリペプチドは、多くの方法によって、例えば、化学合成によって(少なくと
も部分的に)、プロテアーゼを使用するより長いポリペプチドの消化によって、RNAの
翻訳によって、細胞培養物(例えば、組換え発現由来の細胞培養物)からの精製によって
、生物体自体(例えば、細菌培養後の生物体)からの精製によって、細胞株供給源からの
精製、などによって、調製され得る。40未満のアミノ酸長のペプチドの産生のための好
ましい方法は、インビトロ化学合成[240、241]を含む。固相ペプチド合成、例え
ば、tBoc化学反応またはFmoc化学反応[242]に基づく方法は、特に好ましい
。酵素的合成[243]もまた、部分的かまたは完全に使用され得る。化学合成に対する
代替物として、生物学的合成がまた使用され得、例えば、翻訳によってポリペプチドが産
生され得る。この生物学的合成は、インビトロまたはインビボで実行され得る。生物学的
方法は、一般に、L−アミノ酸に基づくポリペプチドの産生に限定されるが、翻訳機構の
操作(例えば、アミノアシルtRNA分子の操作)を使用して、D−アミノ酸の導入(ま
たは、他の非天然アミノ酸(例えば、ヨードチロシンまたはメチルフェニルアラニン、ア
ジドホモアラニンなど)の導入[244])も可能であり得る。しかしながら、D−アミ
ノ酸が含まれる場合、化学合成を使用することが好ましい。本発明のポリペプチドは、C
末端および/またはN末端において共有結合性の改変を有し得る。
【0172】
本発明のポリペプチドは、種々の形態(例えば、天然の形態、融合形態、グリコシル化
形態、非グリコシル化形態、脂質付加形態、非脂質付加形態、リン酸化形態、非リン酸化
形態、ミリストイル化形態、非ミリストイル化形態、単量体形態、多量体形態、部分的形
態、変性形態、など)をとり得る。精製されたポリペプチドは、それが発現される生物体
全体から分かれており、そして分離されている。
【0173】
用語「核酸」は、一般に、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、および/ま
たはそれらのアナログを含む、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を意味する。こ
れはまた、DNA、RNA、DNA/RNAハイブリッドを含む。この用語はまた、DN
AアナログまたはRNAアナログ(例えば、改変された骨格(例えば、ペプチド核酸(P
NA)またはホスホロチオエート)または改変された塩基を含むもの)を含む。従って、
本発明は、mRNA、tRNA、rRNA、リボザイム、DNA、cDNA、組換え核酸
、分枝核酸、プラスミド、ベクター、プローブ、プライマーなどを含む。本発明の核酸が
RNA形態をとる場合、この核酸は5’キャップを有してもよいし、有さなくてもよい。
【0174】
本発明の核酸は、多く方法によって、例えば、化学合成によって(少なくとも部分的に
)、ヌクレアーゼ(例えば、制限酵素)を使用するより長い核酸の消化によって、より短
い核酸の(例えば、リガーゼまたはポリメラーゼを使用する)接続によって、遺伝子ライ
ブラリーまたはcDNAライブラリーから、などによって調製され得る。
【0175】
クローニングまたは精製などを容易にするために核酸中またはポリペプチド中に含まれ
る配列は、必ずしも本発明に寄与するのではなく、省略され得るかまたは除外され得る。
【実施例】
【0176】
(発明を実施するための形態)
(ポリペプチド)
ΔG287−953ハイブリッドポリペプチド、936−ΔG741ハイブリッドポリ
ペプチド、およびNadA(NL)(C)ポリペプチドを、参考文献24に開示されるよ
うに調製した。これらのポリペプチドは、髄膜炎菌の血清型B株の遺伝子から取られた配
列によってコードされる。
【0177】
これら3つのポリペプチドを混合して、合わせた処方物(これは、水酸化アルミニウム
アジュバントを含む)を得た。この処方物を使用してマウスを免疫し、そして免疫血清の
殺菌力価を、血清群A、血清群B、血清群C、血清群W135および血清群Yにおける髄
膜炎菌株に対して評価した。11株に対する結果は、以下のとおりであった:
【0178】
【表2】


従って、これらの混合組成物は、血清群Bに対して殺菌活性である血清を惹起するのに
有効であった。この血清群Bは、ポリペプチド中に含まれるアミノ酸配列に対する起源の
血清群である。同範囲の力価は、血清群Aおよび血清群Cに対しても認められ、そしてわ
ずかに低い力価が、血清群Wに対して認められた。驚くべきことに、最も高い力価は、血
清群Yにおける株に対して認められた。
【0179】
さらに、血清群Y株に対して認められた力価は、4価のA/C/W135/Yの複合ワ
クチン[8]を使用して得られた力価と等価であった。
【0180】
【表3】


従って、本発明者らは、病原性血清群(A、B、C、W135およびY)の各々に由来
する髄膜炎菌に対して、ポリペプチド抗原を使用し、かつ莢膜糖を使用せずに、有効な免
疫反応を初めて達成した。
【0181】
本発明は、例示として記載されているにすぎずないこと、および本発明の範囲と精神を
保持しつつ、改変がなされ得ることが理解される。
【0182】
(参考文献 これらの内容は参考として本明細書中に援用される)
【0183】
【化2】

【0184】
【化3】

【0185】
【化4】

【0186】
【化5】

【0187】
【化6】

【0188】
【化7】

【0189】
【化8】

【0190】
【化9】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2011−105777(P2011−105777A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−46993(P2011−46993)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【分割の表示】特願2007−509008(P2007−509008)の分割
【原出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(592243793)ノバルティス ヴァクシンズ アンド ダイアグノスティクス エスアールエル (107)
【Fターム(参考)】