説明

タンパク質を有効に利用する方法、およびそのための試薬

【課題】本発明の目的は、保存時には高い安定性を有し、かつ使用時には結合物質との高親和性を有するタンパク質を創出することである。
【解決手段】タンパク質工学的改変により結合物質の結合する付近のフレキシブルループをジスルフィド結合で架橋することで、結合物質との親和性は低下するが安定性の向上したタンパク質を取得し、さらに該タンパク質の使用時に還元物質で処理することによりジスルフィド結合を切断し、結合物質との親和性を高める。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質の保存時には安定性を高め、かつタンパク質の使用時には結合物質との親和性を高める方法、ならびにそのための試薬、その製造法および用途に関する。
【背景技術】
【0002】
酵素、抗体、レセプターなどのタンパク質は、特異的に結合する化合物、所謂リガンドと結合することにより生体内で機能を発揮する。しかし、タンパク質の過剰な機能発現は生体活動にとって却って不都合であり、不要なタンパク質は速やかに分解される必要がある。そのため、天然のタンパク質は、リガンドとの高い結合親和性と適度な安定性を有するものである。
【0003】
一方、タンパク質を産業利用する際には、用途にもよるが、一般には十分な安定性が要求される。とりわけ、タンパク質の保存時の安定性が確保されないことには、製品化、産業利用へと繋げることは実質不可能である。そのため、タンパク質の安定性を高める種々の方策が開発され、実際に応用されている。例えば、人工的にジスルフィド結合を導入する方法、イオン対または水素結合の補強、α-ヘリックスの双極子モーメントの安定化、金属イオン結合部位の導入などが報告されている。
【0004】
一般にこれらの方法により安定化を図ろうとする場合、タンパク質分子の立体構造に基づいて改変するアミノ酸残基を決定するが、タンパク質によってはこれらの方法をうまく適用できるアミノ酸残基が存在しない場合も多く、これらの方法がすべてのタンパク質に対して適用できるというわけではない。また、安定化に成功したとしても、タンパク質の機能、特にリガンドとの親和性が元々のタンパク質に比べて劣ってしまうことも珍しくない。本来、タンパク質の安定化方策は構造上のゆらぎを抑えてリジッドな構造へと変換することになり、構造の動的変化によるリガンドとの結合にとってマイナス要因となることは十分考えられる。
【0005】
現在に至るまで、タンパク質の安定化と、結合物質との高親和性の両立を確実に果たすことのできる方法はなかった。
【0006】
【特許文献1】特願平1−77526号公報
【非特許文献1】Wetzelら著,「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」,1988年,第85巻,p401-405
【非特許文献2】Alberら著,「Nature」,1987年,第330巻,p41-46
【非特許文献3】Nicholsonら著,「Nature」,1988年,第336巻,p651-656
【非特許文献4】Kurokiら著,「Proc.Natl.Acad.Sci.USA」,1989年,第86巻,p6903-6907
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、産業上有用なタンパク質について、その保存時には安定性を高め、かつ使用時には結合物質との親和性を高める方法、ならびにそのための試薬、その製造法および用途を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、タンパク質工学的改変により結合物質の結合する付近のフレキシブルループをジスルフィド結合で架橋することで、結合物質との親和性は低下するが安定性の向上したタンパク質を得ることに成功し、さらに該タンパク質の使用時に還元物質で処理することによりジスルフィド結合を切断し、結合物質との親和性を高めることに成功し、本発明を完成させた。
【0009】
すなわち本発明は、以下のような構成からなるものである。
(1)(a)タンパク質を構成するアミノ酸配列のうち、結合物質の結合領域に位置するフレキシブルループ、もしくは該ループと相互作用する領域に位置するアミノ酸をシステインに置換し;
(b)(a)の改変タンパク質中の対となるシステイン残基がジスルフィド結合を形成する状態で、該タンパク質を保存し:次いで
(c)(b)の保存タンパク質の使用時に、還元剤で処理し、結合物質と反応させる工程を含むことを特徴とする、タンパク質の保存時には安定性を高め、かつタンパク質の使用時には結合物質との親和性を高める方法。
(2)タンパク質が酵素である、(1)記載の方法。
(3)タンパク質が抗体、抗原またはレセプターである、(1)記載の方法。
(4)結合物質が酵素反応の基質である、(2)記載の方法。
(5)酵素がウリカーゼであって、基質が尿酸である、(4)記載の方法。
(6)タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するものであることを特徴とする、(1)または(2)記載の方法。
(7)タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するものであることを特徴とする、(1)または(2)記載の方法。
(8)タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列の298位またはそれと同等の位置のアミノ酸がシステインに置換されているものであることを特徴とする、(1)または(2)記載の方法。
(9)該還元剤が、SH基含有化合物またはその塩であることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(10)該還元剤が、ジチオスレイトール、β−メルカプトエタノールおよびグルタチオンよりなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載の方法。
(11)該還元剤の濃度が、0.003〜1mMであることを特徴とする、(1)〜(10)のいずれかに記載の方法。
(12)(d)構成するアミノ酸配列のうち、結合物質の結合領域に位置するフレキシブルループ、もしくは該ループと相互作用する領域に位置するアミノ酸がシステインに置換されたタンパク質を含有する試薬、および
(e)還元剤を含有する試薬を含む試薬組成物。
(13)タンパク質が酵素である、(12)記載の試薬組成物。
(14)タンパク質が抗体、抗原またはレセプターである、(12)記載の試薬組成物。
(15)結合物質が酵素反応の基質である、(13)記載の試薬組成物。
(16)酵素がウリカーゼであって、基質が尿酸である、(15)記載の試薬組成物。
(17)タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するものであることを特徴とする、(12)または(13)記載の試薬組成物。
(18)タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するものであることを特徴とする、(12)または(13)記載の試薬組成物。
(19)タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列の298位またはそれと同等の位置のアミノ酸がシステインに置換されているものであることを特徴とする、(12)または(13)記載の試薬組成物。
(20)該還元剤が、SH基含有化合物またはその塩であることを特徴とする、(12)〜(19)のいずれかに記載の試薬組成物。
(21)該還元剤が、ジチオスレイトール、β−メルカプトエタノールおよびグルタチオンよりなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、(12)〜(19)のいずれかに記載の試薬組成物。
(22)該還元剤の終濃度が、0.003〜1mMであることを特徴とする、(11)〜(19)のいずれかに記載の試薬組成物。
(23)(16)〜(22)のいずれかに記載の試薬組成物を含む尿酸測定キット。
(24)(16)〜(22)のいずれかに記載の試薬組成物を含む尿酸センサー。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、保存時には高い安定性を有し、かつ使用時には結合物質との高親和性を有するタンパク質を創出することが可能となり、産業利用上有用なタンパク質およびタンパク質含有試薬を供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の一つの形態において、タンパク質の保存時には安定性を高め、かつタンパク質の使用時には結合物質との親和性を高める方法が提供される。該方法は、(a)タンパク質を構成するアミノ酸配列のうち、結合物質の結合領域に位置するフレキシブルループ、もしくは該フレキシブルループと相互作用する領域に位置するアミノ酸をシステインに置換し;(b)(a)の改変タンパク質中の対となるシステイン残基がジスルフィド結合を形成する状態で、該タンパク質を保存し:次いで、(c)(b)の保存タンパク質の使用時に、還元剤で処理し、結合物質と反応させる工程を含む。
【0012】
本発明では、目的とするタンパク質を構成するアミノ酸配列のうち、結合物質の結合領域に位置するフレキシブルループ、もしくは該ループと相互作用する領域に位置するアミノ酸をシステインに置換する。結合物質の結合領域を推定するには、目的タンパク質の立体構造が決定されるか、または立体構造が既知の立体構造を基に予測される必要がある。構造情報が得られれば、結合物質の結合領域を推定することが可能であり、また、目的タンパク質と結合物質との複合体の立体構造が決定されれば、結合領域は明確なものとなる。そして、結合物質の結合領域には通常、結合に直接あるいは間接的に関与するフレキシブルループが位置しており(例えば、FEBS J. 2006年 273(18):4199-4209.,Biochemistry. 2006年 45(35):10461-10473.,Biochemistry. 2004年 43(39):12513-12522.,J Protein Chem. 2003年 22(3):275-284.,J Biochem (Tokyo). 2002年 131(3):313-317.,Protein Sci. 1999年 8(5):1023-1031.,Biochemistry. 1998年 37(49):17120-17127.,Nat Struct Biol. 1998年 5(8):707-713.等参照)、該フレキシブルループもしくは該フレキシブルループと相互作用する領域に位置するアミノ酸を1または複数個選択し、システインに置換する遺伝子改変操作を施す。
【0013】
例えばウリカーゼの場合、以下の構造情報からの考察により、合理的にジスルフィド結合を導入することで安定性を高めることができる。
ウリカーゼのサブユニットは、共通してT-foldと呼ばれるモチーフの繰り返し構造を有することが知られている。T-foldモチーフは4つのβストランド(以下、N末側からS1,S2,S3,S4とする)と2つのαヘリックスからなる。サブユニット界面に存在するループはトポロジー構造上、S1とS2をつなぐループまたはS3とS4をつなぐループに限定されるが、本発明において好ましくは、S3とS4をつなぐループインターフェースループが選択される。
【0014】
ウリカーゼの活性中心はサブユニット界面に存在し、このサブユニット界面を形成するのはT-foldモチーフのS1とS4である。このS1とS4を構成するアミノ酸の改変は、ウリカーゼの活性に大きな影響を与えてしまう懸念がある。一方、サブユニット界面に存在するループの安定性は、タンパク質分子の安定性に大きく影響することが予想される。そこで本発明者らは、S3からS4をつないでいるインターフェースループに着目した。実際にこのループの安定性を高めることが予想される、水素結合あるいはジスルフィド結合可能な側鎖を持つアミノ酸残基を変異導入し解析した結果、安定性が向上することが実験的に確認された。
【0015】
改変の対象となるアミノ酸は、好ましくは結合物質の結合領域、もしくはその結合領域と相互作用する領域から半径10オングストローム以内に存在するアミノ酸である。
【0016】
本発明の対象となるタンパク質は、特に制限される必要は無く、立体構造が決定されるか、または立体構造が既知の立体構造を基に予測されるものであれば、どのようなタンパク質であっても構わない。例えば、酵素や抗体、抗原、レセプターなどが挙げられる。
【0017】
本発明の対象となる酵素の種類は、特に限定されるものではないが、一部例を挙げると、ペルオキシダーゼ、リパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、アスコルビン酸オキシダーゼ、β−グルグルコシダーゼ、ウリカーゼ、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ、グリセロールキナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、カタラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、クレアチニンアミドヒドロラーゼ、アルカリフォスファターゼ、β−ガラクトシダーゼなどが挙げられる。本発明の実施例では、ウリカーゼが用いられた。
【0018】
本発明の対象となる酵素として、天然に存在する各種微生物、動植物などの給源から調製されたもの、遺伝子工学的手法により製造されたもの、あるいは化学的に合成されたものを用いることができる。更にタンパク質工学などの手法により野生型から改変されたものであってもよい。あるいは、ヒスチジンタグが付与されたもの、各種融合タンパク質なども含まれる。また、本発明の酵素は、色素やビオチンまたはアビジンなどの標識化合物による標識、各種化合物による修飾、抗体、抗原とのコンジュゲート化等を受けてもよい。
【0019】
本発明の対象となる抗体、抗原も、特に限定されるものではないが、マウスIgG、β2 ミクログロブリン、癌胎児性抗原(CEA)、免疫グロブリン(IgG、IgA、IgM、IgD、IgE)、C反応性蛋白(CRP)、α1 −アンチトリプシン、α1 −マイクログロブリン、ハプトグロブリン、トランスフェリン、セルロプラスミン、フェリチン、アルブミン、ヘモグロビンA1 、ヘモグロビンA1C、ミオグロビン、ミオシン、デュパン−2、α−フェトプロテイン(AFP)、組織ポリペプチド抗原(TPA)、アポリポ蛋白A1 、アポリポ蛋白E、リウマチ因子、抗ストレプトリジンO(ASO)、フィブリン分解産物(FDP)、フィブリン分解産物D分画(FDP−D)、フィブリン分解産物D−D分画(FDP−DDimer)、フィブリン分解産物E分画(FDP−E)、アンチトロンビン−III (AT−III)等のタンパク質、アミラーゼ、前立腺由来酸性ホスファターゼ(PAP)、神経特異エノラーゼ(NSE)、フィブリノーゲン、エラスターゼ、プラスミノーゲン、クレアチンキナーゼ心筋型(CK−MB)等の酵素、インシュリン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、3,5,3'−トリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4 )、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、生長ホルモン(GH)、黄体化ホルモン(LH)等のホルモン、B型肝炎ウイルス関連抗体、B型肝炎ウイルス関連抗原、C型肝炎ウイルス抗体、HTLV(成人T細胞白血病ウイルス)抗体、HIV(エイズウイルス)抗体、クラミジア抗体、梅毒の抗体、トキソプラズマ抗体等各種感染症の原因ウイルスに対する抗体、抗原などが挙げられ、また抗体はポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、モノクローナル抗体の混合物、またあるいは酵素処理や遺伝子工学的に断片化されたF(ab‘)2,Fab’、Fabなどの抗体フラグメントなども挙げられる。
【0020】
本発明において、対象となる酵素としてウリカーゼが、結合物質として尿酸が好適なもののひとつに挙げられる。本発明に供されるウリカーゼは、バチルス属、キャンディダ属、エンテロバクター属、セルロモナス属、アースロバクター属などの微生物由来のウリカーゼ等が例示されるが、特に限定されるものではない。具体的には例えば、Bacillus sp.TB90株に由来するウリカーゼが例示され、そのアミノ酸配列は配列表の配列番号1、当該アミノ酸配列をコードする遺伝子は配列番号2でそれぞれ示される。これらはいずれも特許第1966484号公報に記載されている。なお、配列番号1において、アミノ酸の表記は、メチオニンを1として番号付けされている。
【0021】
本発明の対象となるウリカーゼは、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列と好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上の相同性を有し、結合物質の結合領域に位置するフレキシブルループ、もしくは該ループと相互作用する領域に位置するアミノ酸の1もしくは数個をシステインに置換、もしくは置換または付加されたものである。結合物質の結合領域に位置するフレキシブルループ、もしくは該ループと相互作用する領域に位置するアミノ酸は、好ましくはサブユニットのインターフェースに位置するループ領域から半径10オングストローム以内に存在するアミノ酸であり、具体的にはウリカーゼの立体構造データより、Swiss−Pdb Viewer(SPDBV)を使用して定義することができる。
【0022】
このような改変部位としては、例えば、バチルス・エスピー(Bscillus sp.)TB−90株由来のウリカーゼをコードするアミノ酸配列(配列番号1)では、298位のアミノ酸が例示される。なお、上記の変換位置は、バチルス・エスピー(Bscillus sp.)TB−90株以外の起源に由来するウリカーゼ活性を有するタンパク質のアミノ酸配列における同等の位置であってもよい。ウリカーゼの立体構造は、上記バチルス属由来のもの以外に、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)、アースロバクター・グロビフォルミス(Arthrobacter globiformis)由来のウリカーゼについてもProtein Data Bank(http://www.rcsb.org/pdb/Welcome.do)などで公開されている。同等の位置かどうかは、一次構造、立体構造の知見を基に判断することができる。
【0023】
本発明者らは、公知のウリカーゼの立体構造より試行錯誤と考察を重ねた結果、サブユニットのインターフェースに位置するループ領域もしくは該ループ領域と相互作用する領域が、ウリカーゼの安定性に影響することを見出した。具体的には該ループ領域の運動性を直接あるいは間接的に変化させることにより、ウリカーゼの安定性を向上させることができることを見出した。一例として、配列番号1の298位に位置するアミノ酸を変換することで、ウリカーゼの安定性が向上させることができる。
なお、当業者であれば、上記で例示した298位に限らず、該当領域のアミノ酸を適宜選択してシステインに変換することで、高い確率で安定性が向上する変異体を取得することが期待できる。
【0024】
本発明によれば、上記以外の他起源に由来するウリカーゼ活性を有するタンパク質についても、一次構造、立体構造の情報を用いて、変換するアミノ酸を選択し、安定性が向上する改変体を、過度の検討なくして得ることが可能であるが、好ましくは、ウリカーゼ改変体をコードする遺伝子が、配列番号2に記載の塩基配列と相補的な塩基配列からなるDNAと、ストリンジェントな条件、すなわち、相同性が高い核酸同士、例えば完全にマッチしたハイブリッドのTmから該Tmより15℃、好ましくは10℃低い温度までの範囲の温度でハイブリダイズする条件(例えば、×6 SSC、×5 デンハルト、0.1% SDS、100μg/ml サケ精子DNAのごとき一般的なハイブリダイゼーション用緩衝液中で、68℃、20時間)下でハイブリダイズし、かつウリカーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNAを有するウリカーゼ改変体である。このウリカーゼ改変体は、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するウリカーゼ改変体であり、より好ましくは、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するウリカーゼ改変体に相当する。
【0025】
例えば、アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus株由来のウリカーゼは、バチルス・エスピー(Bscillus sp.)TB−90株と一次配列上の相同性は26%と低いことが知られているが(J.Biochem.119,80-84,1996)、立体構造上高い類似性を有しており、本発明を用いてウリカーゼの安定性を向上させることができる。
なお、アミノ酸配列の相同性は、例えば、GENETYX等の市販の遺伝子解析ソフトウェアを利用した2種類の配列のhomology searchにより検索することができる。
【0026】
本発明では、改変タンパク質中の対となるシステイン残基がジスルフィド結合を形成する状態で、該タンパク質を保存する。ジスルフィド結合を形成する状態とは、タンパク質中のジスルフィド結合の酸化が実質上起こらない状態である。具体的には、乾燥状態、粉末状態、あるいは液状であっても還元剤を含まない状態が挙げられる。ただし、還元剤は対象となるタンパク質によっては微量であればジスルフィド結合の酸化が実質上起こらないと考えられ、その濃度は対象となるタンパク質によって異なる。
【0027】
改変タンパク質の保存を液状で行う場合、適当な緩衝液中での保存が好ましい。緩衝液の種類としては、ホウ酸や酢酸といった緩衝剤や、BES、Bicine、Bis−Tris、CHES、EPPS、HEPES、HEPPSO、MES、MOPS、MOPSO、PIPES、POPSO、TAPS、TAPSO、TES、Tricineといったグッド緩衝剤が挙げられ、緩衝液のpHは5.0以上、好ましくはpH5.0〜10、さらに好ましくはpH6.0〜9.0の範囲が挙げられる。
改変タンパク質の保存条件は、実用的には冷蔵(2〜10℃)で長期間(1〜2年間)が一般的であるが、保存加速試験として、通常はより高温(40〜80℃)で短期間(数分間〜数日間)が採用される。
【0028】
本発明では、上記保存タンパク質の使用時に、還元剤で処理し、結合物質と反応させる。
使用する還元剤としては、改変タンパク質中のジスルフィド結合の全部または一部を還元することのできる薬剤であれば特に限定されないが、SH基含有化合物またはその塩などが、好適なものとして選ばれる。さらには、ジチオスレイトール、β−メルカプトエタノール、グルタチオンなどが好適なものとして選ばれる。これらの還元剤の1種類を使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用しても構わない。
使用する還元剤の濃度としては、0.003〜1mMであることが好ましく、より好ましくは0.01〜1mMの範囲であるが、使用する還元剤の種類により好適な範囲が異なるのはいうまでもない。
【0029】
本発明の別の一形態は、タンパク質の保存時には安定性を高め、かつタンパク質の使用時には結合物質との親和性を高める試薬組成物である。
本発明の別の一形態は、ウリカーゼの保存時には安定性を高め、かつウリカーゼの使用時には尿酸との親和性を高める試薬組成物を含む尿酸測定キットである。
本発明の別の一形態は、ウリカーゼの保存時には安定性を高め、かつウリカーゼの使用時には尿酸との親和性を高める試薬組成物を含む尿酸測定センサーである。
【0030】
上記各形態において、本発明の試薬組成物、ならびに尿酸測定キットやセンサーは、液状(水溶液、懸濁液等)、凍結乾燥粉末など種々の形態をとることができる。凍結乾燥法としては、特に制限されるものではなく常法に従って行えばよい。本発明のタンパク質を含む試薬組成物は凍結乾燥物に限られず、凍結乾燥物を再溶解した溶液状態であってもよい。
【0031】
さらに上記各形態において、本発明の試薬組成物、ならびに尿酸キットやセンサーは、その形態や使用方法に応じて、精製された状態であってもよいし、必要により他の成分、例えば、界面活性剤、安定化剤、賦形剤など種々の添加物が加えられていてもよい。
【0032】
本発明へのそれらの添加物の配合法は特に制限されるものではない。例えば、タンパク質改変体を含む緩衝液に添加剤を配合する方法、添加剤を含む緩衝液にタンパク質改変体を配合する方法、あるいはタンパク質改変体と安定化剤を緩衝液に同時に配合する方法などが挙げられる。また、本発明の形態のうち、還元剤を含む試薬中に添加物を配合してもよい。
【0033】
含有される緩衝液としては特に限定されるものではないが、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、グッド緩衝液などが挙げられる。該緩衝液のpHは5.0〜10.0程度の範囲で使用目的に応じて調整される。凍結乾燥物中においては緩衝剤の含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.1%(重量比)以上、特に好ましくは0.1〜30%(重量比)の範囲で使用される。
【0034】
また、タンパク質分解酵素やタンパク質変性剤などからの攻撃を希釈するために、他の非酵素タンパク質、例えば血清アルブミン、カゼイン、ゼラチンなどを更に含有させてもよい。特に、血清アルブミンが一般的なタンパク質性安定化剤として使用されており、好ましい。前記の水性組成物に血清アルブミンを添加する場合、その含有量は0.05〜0.5重量%であることが好ましい。
使用できるアルブミンとしては、牛血清アルブミン(BSA)、卵白アルブミン(OVA)などが挙げられる。特にBSAが好ましい。該アルブミンの含有量は、好ましくは1〜80%(重量比)、より好ましくは5〜70%(重量比)の範囲で使用される。
【0035】
一方、上記各形態において、本発明の試薬組成物、ならびに尿酸キットやセンサーは、宿主由来のタンパク質成分以外のタンパク質成分を含有しない構成とすることもできる。
宿主由来のタンパク質成分以外のタンパク質成分としては、例えば、BSA等の生体由来物質が挙げられる。
【0036】
緩衝剤としては、一般的に使用されるものであれば良く、通常、組成物のpHを5〜10とするものが好ましい。緩衝剤としてさらに好ましくは、ホウ酸や酢酸といった緩衝剤や、BES、Bicine、Bis−Tris、CHES、EPPS、HEPES、HEPPSO、MES、MOPS、MOPSO、PIPES、POPSO、TAPS、TAPSO、TES、Tricineといったグッド緩衝剤が挙げられる。
また、粉末組成物において、緩衝剤の含有量(W/W)は、1.0%〜50%であることが望ましい。
【0037】
また、タンパク質改変体と緩衝剤から基本的に成る組成物に、アミノ酸、あるいは有機酸をさらに加えてもかまわない。また、これらを含有するものであれば、水性組成物、凍結乾燥物を問わない。
後述の実施例にも記載されているように、本願発明のタンパク質改変体は、改変前のタンパク質に対して安定性が向上している。このことは、例えば、尿酸測定用臨床検査薬におけるウリカーゼ含量を低下させることができ、低コスト化が見込める。
【実施例】
【0038】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
実施例では、タンパク質としてウリカ―ゼを用いているが、本発明の対象はこれに限定されない。
実施例中、ウリカーゼの活性は、以下のように測定した。試薬はナカライテスク社より購入したものを使用した。
【0039】
<ウリカーゼ活性測定法>
ウリカーゼ活性は、尿酸を基質とし、ウリカーゼ反応による尿酸の消失を吸光度の変化で測定した。0.04mMの尿酸、0.00083%(W/V)のTriton X−100及び0.83mMのEDTAを含む42mM ホウ酸緩衝液(pH8.0) 2.5mlを37℃で5分間予備加温後、予め、酵素希釈液(0.001%(W/V)のTriton X−100及び0.1mMのEDTAを含む50mM ホウ酸緩衝液(pH8.0))で希釈したウリカーゼ溶液0.5mlを加え、反応を開始する。37℃で正確に5分間反応させた後、20%(W/V)のKOH水溶液0.2mlを加えて反応を停止させ、290nmの吸光度を測定する(ΔODtest)。盲検は酵素溶液の代わりに酵素希釈液0.5mlを加え、上記同様に操作を行って吸光度を測定した(ΔODblank)。得られた吸光度より、下記計算式に基づきウリカーゼの酵素活性を算出した。尚、上記条件で1分間に1マイクロモルの尿酸を酸化する酵素量を1単位(U)とする。
計算式
活性値(U/ml)={ΔOD/min(ΔODtest−ΔODblank)×3.2(ml)×希釈倍率}/{12.5×1.0(cm)×0.5(ml)}
3.2(ml):全液量
13.3:尿酸を上記測定条件下で測定した時のミリモル吸光係数
1.0cm:セルの光路長
0.5(ml):酵素サンプル液量
【0040】
実施例1 ウリカーゼ改変体をコードする遺伝子の作製
バチルス・エスピー(TB90株)由来のウリカーゼ遺伝子を含む発現プラスミドpKU1(特許第1966484号公報)と、配列表の配列番号3記載の合成オリゴヌクレオチドおよびこれと相補的な合成オリゴヌクレオチドを用いて、QuickChangeTM Site-Directed Mutagenesis Kit(STRATAGENE製)を用いて、そのプロトコールに従って変異処理操作を行い、更に塩基配列を決定して、配列番号1に記載のアミノ酸配列の298番目のアルギニンがシステインに置換されたウリカーゼ改変体をコードする組換えプラスミドpUOD−R298Cを取得した。
【0041】
実施例2 ウリカーゼ改変体の作製
実施例1で取得した組換えプラスミドpUOD−R298Cを用いて、エシェリヒア・コリーDH5α株コンピテントセル(東洋紡績製)を形質転換し、該形質転換体を取得した。
得られた形質転換体は、エシェリヒア・コリーJM109(pUOD−R298C)と命名した。
500mlのTB培地を2L容坂口フラスコに分注し、121℃、20分間オートクレーブを行い、放冷後別途無菌濾過したアンピシリンとイソプロピル−β−D−チオガラクトシドをそれぞれ終濃度が100μl/mlと0.1mMになるように添加した。この培地に100μl/mlのアンピシリンを含むLB培地で予め30℃、16時間培養したエシェリヒア・コリーJM109(pUOD−R298C)の培養液を5ml接種し、37℃で24時間通気攪拌培養を行った。
【0042】
培養終了より菌体を遠心分離により集菌し、50mMホウ酸緩衝液(pH8.0)に懸濁した後、フレンチプレスにて破砕し、更に遠心分離を行い、上清液を粗酵素液として得た。得られた粗酵素液をポリエチレンイミンによる除核酸および硫安分画を行い、55℃、1時間の熱処理後、50mMホウ酸緩衝液(pH8.0)で透析を行った。更にDEAEセファロースCL−6B(GEヘルスケアバイオサイエンス製)、およびオクチルセファロース(GEヘルスケアバイオサオエンス製)の各カラムクロマトグラフィーにより分離・精製することにより、精製酵素標品R298Cを得た。本方法により得られたこれらの標品は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により、単一であることが確認された。
【0043】
比較例1 野生型ウリカーゼの作製
ウリカーゼ遺伝子を含む発現プラスミドpKU1を用いて、エシェリヒア・コリーJM109株コンピテントセル(東洋紡績製)を形質転換して、形質転換体を取得した。該形質転換体より、実施2の方法と同様にして培養および精製を行い、野生型ウリカーゼの精製酵素標品を取得した。本方法により得られた標品は、SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動により、単一であることが確認された。
【0044】
実施例3 ウリカーゼ改変体の安定性、および基質親和性評価
実施例2で取得したウリカーゼ改変体R298C、および比較例1で取得した野生型ウリカーゼの各精製酵素標品の安定性を測定した結果、野生型酵素が70℃、10分間の熱処理で残存活性31.5%であったのに対し、改変型酵素R298Cでは同様の熱処理で残存活性89.4%となり、改変前と比べて安定性が向上していることが確認された。
一方、基質である尿酸との親和性について評価するため、それぞれの酵素の尿酸に対するミカエリス定数Km値を測定した。終濃度0.02〜0.2mMの尿酸を含む活性測定試薬にて、それぞれ活性を測定し、ラインバークウェーバープロットにてKm値を計測した。結果として、野生型酵素のKm値が0.014mMに対し、R298CのKm値は0.064mMと、安定性を向上させる改変により予想通り基質との親和性が低下する結果となった。
【0045】
実施例4 ウリカーゼ改変体の還元剤処理
改変型酵素の使用時に基質との親和性を回復させる手段として、還元剤処理を検討した。野生型酵素および改変型酵素R298Cそれぞれ5U/mlに対し0.5〜1mMの還元剤ジチオスレイトール(DTT)を加え、37℃で30分間処理した。この処理液を希釈し、尿酸に対するKm値をそれぞれ求めたところ、野性型酵素のKm値は未処理と処理後で変化が見られなかったが、R298Cは未処理のKm値0.064mMに対し、処理後のKm値はDTT0.5mMで0.041mM、DTT1mMで0.035mMと、基質との親和性が還元剤処理により回復した。
【0046】
実施例5 改変タンパク質、還元剤、それぞれ2種類の試薬より成る試薬組成物の評価
実施例4記載の還元剤処理による基質親和性回復効果について、その実用性をさらに検討するため、以下に示すウリカーゼ改変体R298Cを用いた尿酸測定試薬を調製した。
尿酸測定試薬:0.03〜0.05U/mlウリカーゼ改変体R298C
20U/ml西洋ワサビペルオキシダーゼ(PEO−302;東洋紡製)
0.04% 4−アミノアンチピリン
0.02% TOOS
42mM ホウ酸緩衝液(pH8.0)
250μLの尿酸測定試薬に0.001〜0.01mMのDTT水溶液を10μL加え、37℃で5分間予備加温後、検体として2〜10mg/dLの尿酸溶液を10μL添加し、37℃で5分間546nmの吸光度を測定し、タイムコースを求めた。コントロールとして、DTT水溶液の替わりに水を10μL添加し、同様の測定を行った。0.03U/mlおよび0.05U/mlのウリカーゼ改変体R298Cを用いた場合の結果を各々、図1および図2に示す。図1では、尿酸溶液として(a)2mg/dLおよび(b)4mg/dL、図2では、尿酸溶液として(a)2mg/dL、(b)4mg/dL、(c)6mg/dL、および(d)8mg/dLの濃度を用いた(○:DTT添加無し(コントロール),●:0.01mM DTT,▲:0.003mM DTT,■:0.001mM DTT)。図より明らかなように、還元剤DTTで処理することによりドーズレスポンスが向上し、反応がより速やかに進んでいる。0.03U/mlのR298Cを含む試薬の場合、0.003〜0.01mMのDTTを添加することで、尿酸検体2mg/dLに対する反応性が向上している。また、0.01mMのDTTを添加することで、尿酸検体4mg/dLに対する反応性が向上している(図1)。一方、0.05U/mlのR298Cを含む試薬の場合、0.01mMのDTTを添加することで、尿酸検体2〜8mg/dLに対する反応性が向上している(図2)。
このように、実用的な場においても、還元剤処理による基質親和性回復効果により酵素の反応性向上が見られ、本発明を実際に応用することが可能であると証明された。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明によって、保存時には高い安定性を有し、かつ使用時には結合物質高親和性を有するタンパク質を創出することが可能となり、産業利用上有用なタンパク質およびタンパク質含有試薬を供給することが可能となる。例えば、本発明を尿酸測定用臨床検査薬用原料酵素に適用することで、該試薬のコスト低減に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、実施例5の試薬(0.03U/mlウリカーゼ改変体使用)にて尿酸を測定した際のタイムコースを示す(横軸の1ポイントは10秒に相当)。
【図2−1】図2−1は、実施例5の試薬(0.05U/mlウリカーゼ改変体使用)にて尿酸を測定した際のタイムコースを示す(横軸の1ポイントは10秒に相当)。
【図2−2】図2−2は、実施例5の試薬(0.05U/mlウリカーゼ改変体使用)にて尿酸を測定した際のタイムコースを示す(横軸の1ポイントは10秒に相当)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)タンパク質を構成するアミノ酸配列のうち、結合物質の結合領域に位置するフレキシブルループ、もしくは該ループと相互作用する領域に位置するアミノ酸をシステインに置換し;
(b)(a)の改変タンパク質中の対となるシステイン残基がジスルフィド結合を形成する状態で、該タンパク質を保存し:次いで
(c)(b)の保存タンパク質の使用時に、還元剤で処理し、結合物質と反応させる工程を含むことを特徴とする、タンパク質の保存時には安定性を高め、かつタンパク質の使用時には結合物質との親和性を高める方法。
【請求項2】
タンパク質が酵素である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
タンパク質が抗体、抗原またはレセプターである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
結合物質が酵素反応の基質である、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
酵素がウリカーゼであって、基質が尿酸である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列の298位またはそれと同等の位置のアミノ酸がシステインに置換されているものであることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
該還元剤が、SH基含有化合物またはその塩であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該還元剤が、ジチオスレイトール、β−メルカプトエタノールおよびグルタチオンよりなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項1〜8いずれか1記載の方法。
【請求項11】
該還元剤の濃度が、0.003〜1mMであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
(d)構成するアミノ酸配列のうち、結合物質の結合領域に位置するフレキシブルループ、もしくは該ループと相互作用する領域に位置するアミノ酸がシステインに置換されたタンパク質を含有する試薬、および
(e)還元剤を含有する試薬を含む試薬組成物。
【請求項13】
タンパク質が酵素である、請求項12に記載の試薬組成物。
【請求項14】
タンパク質が抗体、抗原またはレセプターである、請求項12に記載の試薬組成物。
【請求項15】
結合物質が酵素反応の基質である、請求項13に記載の試薬組成物。
【請求項16】
酵素がウリカーゼであって、基質が尿酸である、請求項15に記載の試薬組成物。
【請求項17】
タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列と50%以上の相同性を有するものであることを特徴とする、請求項12または13に記載の試薬組成物。
【請求項18】
タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列と80%以上の相同性を有するものであることを特徴とする、請求項12または13に記載の試薬組成物。
【請求項19】
タンパク質が、配列表の配列番号1に記載されるアミノ酸配列の298位またはそれと同等の位置のアミノ酸がシステインに置換されているものであることを特徴とする、請求項12または13記載の試薬組成物。
【請求項20】
該還元剤が、SH基含有化合物またはその塩であることを特徴とする、請求項12〜19のいずれか1項に記載の試薬組成物。
【請求項21】
該還元剤が、ジチオスレイトール、β−メルカプトエタノールおよびグルタチオンよりなる群から選択される少なくとも1つであることを特徴とする、請求項12〜19のいずれか1項に記載の試薬組成物。
【請求項22】
該還元剤の終濃度が、0.003〜1mMであることを特徴とする、請求項11〜19のいずれか1項に記載の試薬組成物。
【請求項23】
請求項16〜22のいずれか1項に記載の試薬組成物を含む尿酸測定キット。
【請求項24】
請求項16〜22のいずれか1項に記載の試薬組成物を含む尿酸センサー。

【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【公開番号】特開2008−278835(P2008−278835A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128100(P2007−128100)
【出願日】平成19年5月14日(2007.5.14)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【出願人】(507157045)公立大学法人福井県立大学 (22)
【Fターム(参考)】