説明

タンパク質キナーゼモジュレーターとしての6,7−ジヒドロイミダゾ[1,5−A]ピラジン−8(5H)−オン誘導体

タンパク質キナーゼの活性をモジュレートする、本明細書に定義された式Iの6,7−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−8(5H)−オン化合物の3,5−二置換誘導体又は医薬的に許容されるこれらの塩が提供される。従って、該化合物は、調節不全タンパク質キナーゼ活性に起因する疾患の治療において有用である。特に、本発明の式Iの化合物で治療される疾患は、癌、ウイルス感染、HIVに感染した個体におけるAIDS発症の予防、細胞増殖性障害、自己免疫及び神経変性障害からなる群から選択される、調節不全タンパク質キナーゼ活性に起因する及び/又はこれに伴う疾患である。本発明は、式Iの化合物、これらのコンビナトリアルライブラリー、これらを含む医薬組成物を調製するプロセス、及び式Iの化合物を含む医薬組成物を使用して疾患を治療する方法にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質キナーゼの活性をモジュレートする、6,7−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−8(5H)−オン化合物の特定の3,5−二置換誘導体に関する。従って、本発明の化合物は、調節不全タンパク質キナーゼ活性によって引き起こされる疾患の治療において有用である。本発明は、これらの化合物、これらのコンビナトリアルライブラリー、これらの化合物を含む医薬組成物を調製する方法、及びこれらの化合物を含む医薬組成物を使用して疾患を治療する方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質キナーゼ(PK)の機能不全は、多数の疾患の特徴である。ヒトの癌に関与する大部分の癌遺伝子及び癌原遺伝子は、PKをコードする。PKの高められた活性は、多くの非悪性疾患、例えば良性前立腺肥大症、家族性腺腫症、ポリープ症、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化を伴う血管平滑筋細胞増殖、肺線維症、糸球体腎炎及び術後狭窄及び再狭窄などにも関与する。
【0003】
PKは、炎症状態並びにウイルス及び寄生生物の増殖にも関与する。PKは、神経変性障害の病因及び発生にも大きな役割を果たし得る。
【0004】
PK機能不全又は調節不全の一般的な参照については、例えば、Current Opinion in Chemical Biology 1999年、3巻、459−465頁及びCarcinogenesis 2008年、29巻、1087−191頁を参照されたい。
【0005】
抗凝血剤として有用な、活性化血液凝固因子Xの阻害剤としての縮合イミダゾール誘導体は、日本の武田薬品工業株式会社の名義でWO2004048363に開示されている。
【0006】
変力効果を有する7,8−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−8−オン誘導体が、アメリカ合衆国のUSV Pharmaceutical Corp.の名義でEP152077に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2004048363号
【特許文献2】欧州特許出願公開第152077号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Current Opinion in Chemical Biology 1999年、3巻、459−465頁
【非特許文献2】Carcinogenesis 2008年、29巻、1087−191頁
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、現在、下記の新規な式(I)の化合物が、キナーゼ阻害剤であり、従って抗癌剤として治療に有用であることを発見した。
【0010】
従って、本発明の第一の目的は、式(I):
【0011】
【化1】

(式中:
は、−NR又は−ORであり;
は、水素原子又は直鎖若しくは分枝C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールC−Cアルキル及びヘテロアリールC−Cアルキルから選択される場合によって置換されている基であり;
及びRは、同一であり若しくは異なり、それぞれ独立に、水素原子又は直鎖若しくは分枝C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、シクロアルキルC−Cアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリールC−Cアルキルから選択される場合によって置換されている基であり、又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、S、O、N及びNHから選択される1個の追加のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を場合によって含有する場合によって置換されている3から7員ヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環を形成し得る。)の6,7−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−8(5H)−オン化合物又は医薬的に許容されるこの塩を提供することである。
【0012】
本発明は、標準の合成変換からなるプロセスを通して調製される式(I)によって表される3,5−二置換−6,7−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−8(5H)−オン化合物を合成する方法も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、医薬としての使用のための上記で定義された式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を提供する。特に、本発明は、調節不全タンパク質キナーゼ活性、特にABL、ACK1、AKT1、ALK、AUR1、AUR2、BRK、BUB1、CDC7/DBF4、CDK2/CYCA、CHK1、CK2、EEF2K、EGFR1、EphA2、EphB4、ERK2、FAK、FGFR1、FLT3、GSK3ベータ、Haspin、IGFR1、IKK2、IR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、LCK、LYN、MAPKAPK2、MELK、MET、MNK2、MPS1、MST4、NEK6、NIM1、P38アルファ、PAK4、PDGFR、PDK1、PERK、PIM1、PIM2、PKAアルファ、PKCベータ、PLK1、RET、R0S1、SULU1、Syk、TLK2、TRKA、TYK、VEGFR2、VEGFR3、ZAP70に起因する及び/又はこれらに伴う疾患を治療するための上記に定義された式(I)の化合物を提供する。
【0014】
本発明の式(I)の化合物の好ましい医薬使用は、癌、ウイルス感染、HIVに感染した個体におけるAIDS発症の予防、細胞増殖性障害、自己免疫及び神経変性障害からなる群から選択される調節不全タンパク質キナーゼ活性に起因する及び/又はこれに伴う疾患の治療のためである。
【0015】
本発明の化合物の別の好ましい医薬使用は、それだけには限らないが、膀胱癌腫、乳癌腫、結腸癌腫、腎臓癌腫、肝臓癌腫、小細胞肺癌を含む肺癌腫、食道癌腫、胆嚢癌腫、卵巣癌腫、膵臓癌腫、胃癌腫、頸癌腫、甲状腺癌腫、前立腺癌腫、及び扁平上皮細胞癌腫を含む皮膚癌腫などの癌腫;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫及びバーキットリンパ腫を含むリンパ系の造血器腫瘍;急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び前骨髄球性白血病を含む骨髄細胞系列の造血器腫瘍;線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉由来の腫瘍;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫及び神経鞘腫を含む中枢及び末梢神経系の腫瘍;メラノーマ、セミノーマ、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角質黄色腫、甲状腺濾胞癌及びカポジ肉腫を含む他の腫瘍を含む特定のタイプの癌の治療のためである。
【0016】
本発明の化合物の別の好ましい医薬使用は、特定の細胞増殖障害、例えば、良性前立腺肥大症、家族性腺腫症、ポリープ症、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化を伴う血管平滑筋細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎及び術後狭窄及び再狭窄などの治療のためである。
【0017】
同様に、本発明は、上述の疾患のいずれかを治療する方法も提供する。本発明の化合物は、腫瘍の血管新生及び転移を阻害するうえで有用であり得、同様に移植臓器拒絶及び宿主対移植片病の治療において有用であり得る。
【0018】
本発明は、抗癌療法における同時、個別又は逐次使用のための放射線療法又は化学療法レジメンと組み合わせた式(I)の化合物を含む治療の方法をさらに提供する。さらに、本発明は、タンパク質キナーゼ活性を阻害するインビトロ方法を提供し、この方法は、前記タンパク質キナーゼを有効量の式(I)の化合物と接触させるステップを含む。
【0019】
本発明は、式(I)の1種若しくは複数の化合物又は医薬的に許容されるこれらの塩及び医薬的に許容される添加剤、担体又は賦形剤を含む医薬組成物も提供する。
【0020】
本発明は、抗癌療法における同時、個別及び逐次使用のための、式(I)の化合物を、既知の細胞増殖抑制剤又は細胞毒性剤、抗生物質型薬剤、DNA損傷剤又は挿入剤、白金ベースの薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質剤、ホルモン剤、抗エストロゲン剤、抗アンドロゲン剤及びアロマターゼ阻害薬などの抗ホルモン剤、免疫剤、インターフェロン型薬剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、COX−2阻害剤)、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、他のキナーゼ阻害剤、抗成長因子受容体剤、抗HER剤、抗EGFR剤、抗血管新生剤(例えば、血管形成阻害薬)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ras−raf信号変換経路阻害剤、細胞周期阻害剤、他のcdk阻害剤、チューブリン結合剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤、キネシンの阻害剤、治療用モノクローナル抗体、mTORの阻害剤、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤、低酸素応答の阻害剤などと一緒に含む医薬組成物も提供する。さらに、本発明は、抗癌療法における同時、個別又は逐次使用のための複合調製物としての、上記に定義された式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩、又はこの医薬組成物及び1種若しくは複数の化学療法剤を含む製品又はキットを提供する。
【0021】
さらに、本発明は、抗癌活性を有する医薬の製造における上記に定義された式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩の使用を提供する。
【0022】
最後に、本発明は、癌を治療する方法における使用のための、上記に定義された式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を提供する。
【0023】
他に特に規定がなければ、式(I)の化合物これら自体及びこれらの任意の医薬組成物又はこれらを含む任意の治療の治療方法を参照する場合、本発明は、本発明の化合物の全ての水和物、溶媒和物、Nオキシド及び医薬的に許容される塩を含む。
【0024】
Nオキシドは、窒素及び酸素が、配位結合によって結合した式(I)の化合物である。
【0025】
キラル異性体の全ての形態又は鏡像異性体及びジアステレオマーを含む異性体の他の形態は、本明細書に含まれるよう意図されている。キラル中心を含む化合物は、ラセミ混合物又は鏡像異性体富化混合物として使用することができ、又はラセミ混合物は、周知の技術を使用して分離することができ、個別の鏡像異性体は、単独で使用することができる。
【0026】
化合物が、ケト−エノール互変異性体などの互変異性型で存在し得る場合、各互変異性型は、平衡状態で又は主として一つの形態で存在するかに関わらず、本発明に含まれるものと考えられる。本明細書において、特に指定のない限り、「直鎖又は分枝C−Cアルキル」という用語で、本発明者らは、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシルなどの任意の基を表す。
【0027】
「直鎖又は分枝C−Cアルケニル」又は「直鎖又は分枝C−Cアルキニル」という用語で、本発明者らは、例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、イソプロペニル、1−、2−又は3−ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、エチニル、1−又は2−プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルなどを含む2から6個までの炭素原子を有する不飽和アルケニル又はアルキニル基のいずれかを表す。
【0028】
「C−Cシクロアルキル」という用語で、本発明者らは、他に特に規定がなければ、1個又は複数の二重結合を含有し得るが、完全に共役したπ電子系を有さない3から6員までの全ての炭素単環を表す。
【0029】
シクロアルキル基の例は、限定することなく、シクルプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロペンテン、シクロヘキサン、シクロヘキセン及びシクロヘキサジエンである。
【0030】
「ヘテロシクリル」という用語で、本発明者らは、1個又は複数の炭素原子が、窒素、酸素及び硫黄などのヘテロ原子で置換されている3から7員までの飽和又は部分不飽和炭素環を表す。ヘテロシクリル基の限定されない例は、例えば、ピラン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、チアゾリン、チアゾリジン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリンなどである。
【0031】
「アリール」という用語で、本発明者らは、場合によって単結合で互いにさらに縮合又は結合している単環から四環系を有する単環式、二環式又は多炭素環式炭化水素を表し、ここで、炭素環の少なくとも一つは、「芳香族」であり、ここで、用語「芳香族」は、完全に共役したπ電子結合系を意味する。このようなアリール基の限定されない例は、フェニル、α−若しくはβ−ナフチル又はビフェニル基である。
【0032】
「ヘテロアリール」という用語で、本発明者らは、芳香族複素環、N、O又はSから選択される1から3個までのヘテロ原子を有する一般的に5から7員までの複素環を表し、該ヘテロアリール環は、芳香族及び非芳香族炭素環及び複素環と場合によってさらに縮合又は結合していてよい。このようなヘテロアリール基の限定されない例は、例えば、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、フェニル−ピロリル、フリル、フェニル−フリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、チエニル、ベンゾチエニル、イソインドリニル、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、イソキノリニル、1,2,3−トリアゾリル、1−フェニル−1,2,3−トリアゾリル、2,3−ジヒドロインドリル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾチオフェニル;ベンゾピラニル、2,3−ジヒドロベンゾオキサジニル、2,3−ジヒドロキノキサリニルなどである。
【0033】
、R及びRに与えられた意味によれば、上述の基のいずれも、ハロゲン、ニトロ、オキソ基(=0)、カルボキシ、シアノ、C−Cアルキル、ポリフッ素化アルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール;アミノ基及びこれらの誘導体、例えば、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ウレイド、アルキルウレイド又はアリールウレイド;カルボニルアミノ基及びこれらの誘導体、例えば、ホルミルアミノ、アルキルカルボニルアミノ、アルケニルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、アルコキシカルボニルアミノ;ヒドロキシ基及びこれらの誘導体、例えば、アルコキシ、ポリフッ素化アルコキシ、アリールオキシ、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、シクロアルケニルオキシ又はアルキリデンアミノキシ;カルボニル基及びこれらの誘導体、例えば、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、シクロアルキルオキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル;硫化誘導体、例えば、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニルオキシ、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル又はジアルキルアミノスルホニルから選択される1個又は複数の基、例えば1から6個の基で、これらの遊離位置のいずれかにおいて、さらに場合によって置換されていてよい。
【0034】
同様に、適切な場合には、上述の置換基の各々は、1種又は複数の前述の基でさらに置換されていてよい。
【0035】
本明細書において、他に特に規定がなければ、「シアノ」という用語で、本発明者らは、−CN残基を表す。
【0036】
「ニトロ」という用語で、本発明者らは−NO基を表す。
【0037】
「ハロゲン」という用語で、本発明者らは、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子を表す。
【0038】
「ポリフッ素化アルキル又はアルコキシ」という用語で、本発明者らは、2個以上の水素原子が、フッ素原子で置換されている、上記に定義された直鎖又は分枝C−Cアルキル又はアルコキシ基、例えば、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエトキシ、1,2−ジフルオロエチル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル−2−イルなどを表す。
【0039】
上記の全てより、その名称が、例えば、シクロアルキルアルキル、アリールアルキル、ヘテロシクリルアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、アルキルカルボニルオキシなどの複合名称として特定される任意の基は、それが由来する部分から一般的に解釈されるよう意図されなければならないことが当業者には明らかである。これまでのところ、一例として、ヘテロシクリル−アルキル及びシクロアルキル−アルキルという用語は、それぞれ上記に定義された複素環基又はシクロアルキル基によってさらに置換された直鎖又は分枝アルキル基を表す。
【0040】
「医薬的に許容される塩」という用語は、アルカリ金属塩を形成するため及び遊離酸又は遊離塩基の付加塩を形成するために一般的に使用される塩を包含する。医薬的に許容される限り、塩の性質は重要ではない。本発明の化合物の好適な医薬的に許容される酸付加塩は、無機酸又は有機酸から調製することができる。このような無機酸の例は、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、及びリン酸である。適切な有機酸は、有機酸の脂肪族クラス、脂環式クラス、芳香族クラス、芳香脂肪族(araliphatic)クラス、複素環式クラス、カルボン酸クラス及びスルホン酸クラスから選択することができ、これらの例は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、メシル酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、スルファニル酸、ステアリン酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、アルゲン酸、ヒドロキシ酪酸、ガラクタル酸及びガラクツロン酸である。本発明の化合物の好適な医薬的に許容される塩基付加塩には、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から作られる金属塩又はΝ,Ν’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチル−グルカミン)及びプロカインから作られる有機塩が含まれる。これらの塩の全ては、対応する本発明の化合物から通常の手段によって、例えば、これらを適切な酸又は塩基と反応させることによって調製することができる。
【0041】
本発明の化合物の一つの好ましいクラスは、Rが、−NH若しくはNHRであり、Rが、直鎖若しくは分枝C−Cアルキル若しくはC−Cアルケニル基であり、又は場合によって置換されているアリール若しくはアリールアルキル基である式(I)のものである。同様に好ましいのは、Rが、水素又は場合によって置換されているアリール若しくはヘテロアリール基である式(I)の化合物である。
【0042】
場合によって医薬的に許容される塩の形態の本発明の任意の特定の式(I)の化合物への参照については、実験のセクションを参照されたい。
【0043】
本発明は、そのプロセスが、以下を含むことを特徴とする、上記に定義された式(I)の化合物の調製のためのプロセスも提供する。
a)式(II):
【0044】
【化2】

の化合物を脱カルボキシ(脱炭酸)するステップ
b)得られる式(III):
【0045】
【化3】

の化合物を、式(IV):
【0046】
【化4】

(式中、Rは、C−Cアルキル基である。)の化合物又はこの塩と反応させて式(I):
【0047】
【化5】

(式中、Rは、C−Cアルキル基であり、Rは、水素である。)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を得るステップ及び、必要又は所望に応じて、以下の追加のステップ:
−式(I)の化合物を単一の異性体に分離するステップ;
−イミダゾール部分への水素以外の上記に定義されたR基の導入によって式(I)の化合物を異なる式(I)の化合物に変換するステップ;
−基−ORを上記に定義された異なる基Rで置換することによって式(I)の化合物を異なる式(I)の化合物に変換するステップ;
−式(I)の化合物を医薬的に許容される塩に変換するステップ又は塩を遊離の化合物(I)に変換するステップ
の一つ又は複数を実施するステップ。
【0048】
本発明は、そのプロセスが、以下を含むことを特徴とする、上記に定義された式(III)の化合物の調製のためのプロセスも提供する。
a)上記に定義された式(II)の化合物を脱炭酸化するステップ。
本発明は、そのプロセスが、以下を含むことを特徴とする、上記に定義された式(I)の化合物の調製のためのプロセスをさらに提供する。
b)上記に定義された式(III)の化合物を、上記に定義された式(IV)の化合物又はこの塩と反応させて式(I):
【0049】
【化6】

(式中、Rは、C−Cアルキル基であり、Rは、水素である。)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を得るステップ及び、必要又は所望に応じて、以下の追加のステップの一つ又は複数を実施するステップ:
−式(I)の化合物を単一の異性体に分離するステップ;
−イミダゾール部分への水素以外の上記に定義されたR基の導入によって式(I)の化合物を異なる式(I)の化合物に変換するステップ;
−基−ORを上記に定義された異なる基Rで置換することによって式(I)の化合物を異なる式(I)の化合物に変換するステップ;
−式(I)の化合物を医薬的に許容される塩に変換するステップ又は塩を遊離の化合物(I)に変換するステップ。
【0050】
式(I)の化合物の別の式(I)の化合物への変換は、例えば、以下の反応の一つ又は複数を用いて実施することができる。
c)式(I)の化合物(式中、Rは、C−Cアルキルであり、Rは、水素である。)の、式R−Z(V)の化合物(式中、Rは、上記に定義されたとおりであるが水素ではなく、Zは、ハロゲンである。)との、式(I)の化合物を得るための反応:
【0051】
【化7】

(式中、Rは、C−Cアルキルであり、Rは、上記に定義されたとおりであるが水素ではない。);
d.1)式(I)の化合物(式中、Rは、−OHである。)又はこの塩を得るための式(I)の化合物(式中、Rは、C−Cアルキルである。)の酸又は塩基性加水分解;
d.2)式(I)の化合物(式中、Rは、異なるC−Cアルキルである。)を得るための、式R−OH(VI)の化合物(式中、Rは、異なるC−Cアルキルである。)との反応による式(I)の化合物(式中、Rは、C−Cアルキルである。)のエステル交換;
d.3)式(I)の化合物(式中、Rは、−NRであり、R及びRは、上記に定義されたとおりである。)を得るための、式H−NR(VII)の化合物(式中、R及びRは、上記に定義されたとおりである。)との反応による式(I)の化合物(式中、Rは、C−Cアルキルである。)のアミノ分解;
d.4)式(I)の化合物(式中、Rは、−ORであり、Rは、上記に定義されたとおりであるが水素ではない。)を得るための、上記に定義された式(VI)の化合物との反応による式(I)の化合物(式中、Rは、−OHである。)又はこの塩のエステル化;
d.5)式(I)の化合物(式中、Rは、−NRであり、R及びRは、上記に定義されたとおりである。)を得るための、上記に定義された式(VII)の化合物との反応による式(I)(式中、Rは、−OHである。)又はこの塩のアミド化。
【0052】
同様に、当技術分野で周知の手法による、式(I)の化合物の医薬的に許容されるこの塩への変換又は、別法として、対応する塩の遊離化合物(I)への変換は、本発明の範囲に含まれる。
【0053】
全て本発明の範囲内として意図されるプロセスの任意の変形による式(I)の化合物を調製する場合、出発原料中の場合による官能基、試薬又はこれらの中間体、及び望ましくない副反応を引き起こし得るものは、従来技術によって適切に保護される必要がある。
【0054】
本発明は、そのプロセスが以下を含むことを特徴とする、上記に定義された式(I)の化合物の調製のためのプロセスをさらに提供する。
b’)式(III’)の化合物:
【0055】
【化8】

(式中、Rは、上記に定義されたとおりであるが、水素ではない。)又は好適なこの前駆基を、上記に定義された式(IV)の化合物又はこの塩と反応させて、式(I)の化合物:
【0056】
【化9】

(式中、Rは、C−Cアルキル基であり、Rは、上記に定義されたとおりであるが水素ではない。)又は医薬的に許容されるこの塩を得るステップ及び、必要又は所望に応じて、水素以外の上記に定義されたR基の前駆体部分の所望のR基への好適な化学反応を用いた変換を含む、上記に記載された必要な追加のステップの一つ又は複数を実施するステップ。
【0057】
任意の可能な変形、及びこれらの任意の反応物質を含めて本発明のプロセス対象の出発原料は、既知の化合物であり、これ自体市販されていない場合、周知の方法に従って調製することができる。
【0058】
例えば、式(II)、(III)及び(III’)の化合物は、市販されているか、既知の方法に従って調製し得る。
【0059】
式(IV)の化合物は、同様に市販されているか、周知の方法に従って調製され得る対応する4−ブロモクロトネートから出発して調製される。
【0060】
例えば、4−アミノエチルクロトネートは、以下のステップによって調製することができる。
e)式(VIII):
【0061】
【化10】

のエチル−4−ブロモエチルクロトネートを、市販の式(IX):
【0062】
【化11】

のジホルミルイミドナトリウム塩と反応させるステップ
f)得られる式(X):
【0063】
【化12】

の化合物を酸性条件において加水分解して、Rが、エチルである式(IV)の化合物を得るステップ。
【0064】
式(V)、(VI)及び(VII)の化合物は、公知であるか、公知の方法に従って容易に得られ、一般的な参照については、Smith,Michael−March’s Advanced Organic Chemistry:reactions mechanisms and structure−第5版、Michael B.Smith及びJerry March、John Wiley & Sons Inc.、New York(ニューヨーク州)、2001年を参照されたい。
【0065】
上記プロセスのステップ(a)によれば、式(II)の化合物の脱炭酸化は、様々な方法による多様なやり方で実施することができる。好ましくは、これは、1−メチルーピロリジン−2−オン又はジメチルアセトアミド(DMA)などの適切な溶媒中において、100℃及び170℃の間の温度で、4から48時間までの期間、通常の加熱又はマイクロ波照射下で実施される。
【0066】
上記プロセスのステップ(b)及び(b’)によれば、式(III)又は(III’)の化合物の上記に定義された式(I)の化合物への変換は、様々な方法による多様なやり方で実施することができる。このような方法は、対応するカルボン酸からアミド誘導体を得るために有用であり、得られた中間体を、例えば塩基の存在下で上記に定義された所望の式(I)の化合物に環化するために有用である。好ましくは、式(III)又は(III’)のカルボン酸を、最初に、塩化チオニル又は塩化オキサリルとの反応によって酸塩化物に活性化し、次いで、式(IV)の化合物のアンモニウム塩、好ましくはトリフルオロ酢酸塩と反応させ、同時に、ピリジンの存在下、還流下で6から8時間までにわたる時間、環化させる。
【0067】
変換ステップ(c)によれば、Rが水素である式(I)の化合物から出発する、Rが上記に定義されたとおりであるが水素ではない式(I)の誘導体の調製は、通常の方法によって多様なやり方で実施することができる。好ましくは、ステップ(c)の反応は、Pd触媒及びヨウ化銅(I)などの添加物の存在下の、溶媒としてN,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミドを使用する、120°から165℃までの温度における、反応がマイクロ波照射下で実施される場合に3及び5時間、又は通常の加熱下で18−36時間の間の、Rが上記に定義された基であるが水素原子ではない式(I)の化合物を得るための、上記に定義された式(V)の化合物と、RがHである式(I)の化合物の間のC−H活性化カップリングによって実施される。
【0068】
ステップ(d.1−d.5)のいずれか一つによれば、式(I)の化合物の式(I)の別の化合物への変換は、様々な方法に従って、多様なやり方で実施することができる。
【0069】
好ましくは上記プロセスのステップ(d.1)によれば、Rが、−OHである式(I)の化合物を得るための、Rが、−OCHCHである式(I)の化合物の加水分解は、酸性又は塩基性条件下で実施することができる。好ましくは、反応は、塩基性条件下で実施される。使用される操作条件に応じて、Rが−OHである式(I)の化合物は、この酸性形態で、又は塩として得ることができる。
【0070】
好ましくは上記プロセスのステップ(d.2)によれば、Rが、エチル以外のアルキルである式(I)の化合物を得るための、Rが、−OCHCHである式(I)の化合物のエステル交換は、上記に定義された式(VII)の化合物自体又は還流温度におけるジオキサンなどの適切な溶媒中の、場合によって、ジブチルスズオキシド又は、例えば、チタニウム(IV)エトキシド、チタニウム(IV)イソプロポキシドなどのチタニウムアルコキシドのような好適な金属ベースの触媒の存在下の、上記に定義された式(VII)の化合物との反応によって実施することができる。
【0071】
好ましくは上記プロセスのステップ(d.3)によれば、Rが、−NRである式(I)の化合物を得るための、Rが、−OCHCHである式(I)の化合物のアミノ分解は、ジオキサン又はジクロロメタンなどの適切な溶媒中において、場合によってトリメチルアルミニウム又はDABALのような好適な金属ベースの触媒の存在下で実施することができる。
【0072】
好ましくは上記プロセスのステップ(d.4)によれば、Rが、−ORである式(I)の化合物を得るための、Rが、基−OHである、式(I)の化合物のエステル化は、好適な縮合剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(DHBTOH)、O−ベンゾトリアゾリルテトラメチルイソウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、又はベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)の存在下で、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中において実施することができる。
【0073】
好ましくは上記プロセスのステップ(d.5)によれば、Rが、−NRである式(I)の化合物を得るための、Rが、−OHである式(I)の化合物のアミド化は、対応する酸からアミド誘導体を得るための通常の方法に従って、多様なやり方で実施することができる。好ましくは、反応は、ジクロロメタン、及び/又はジメチルホルムアミドなどの適切な溶媒中における、塩化チオニル又は塩化オキサリル、TFFHとの反応による式(I)の化合物のカルボン酸官能基の活性化後の、又は別法として、好適な縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン(HBTOH)、O−ベンゾトリアゾリルテトラメチルイソウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)又はベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)の存在下の上記に定義された式(VII)の化合物との反応によって実施される。上記に加えて、式(I)の化合物は、連続的に前述の中間体の間の反応を達成し、樹脂が、例えば、ワン樹脂(Wang resin)、トリチル樹脂、Clトリチル樹脂、リンクアミド樹脂(Rink amide resin)、Tentagel OH 樹脂及びこれらの誘導体を含む市販のポリスチレン系樹脂である固相合成(SPS)条件下で処理することによる当技術分野で広く知られているコンビナトリアルケミストリー技術によって有利に調製することができる。
【0074】
明らかに、前述のコンビナトリアルケミストリー技術によって処理することによって、式(I)の複数の化合物を得ることができる。
【0075】
従って、式(I)
【0076】
【化13】

(式中、R及びRは、上記に定義されたとおりである。)の2種以上の化合物のライブラリーは、本発明の一つのさらなる目的である。
【0077】
本発明の好ましい一実施形態によれば、前述のライブラリーは、Rが、−NH若しくはNHRであり、Rが、直鎖若しくは分枝C−Cアルキル若しくはC−Cアルケニル基であるか、又は場合によって置換されているアリール若しくはアリールアルキル基である式(I)の化合物を含む。
【0078】
同様に好ましいのは、Rが、水素又は場合によって置換されているアリール若しくはヘテロアリール基である式(I)の化合物のライブラリーである。
【0079】
式(I)の化合物の上記のライブラリーへの一般的な参照について、実験セクションを参照されたい。
【0080】
上記の全てから、例えば38種の式(I)の化合物からなる6,7−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−8(5H)−オン誘導体のライブラリーが、調製され次第、前記ライブラリーは、先に報告されたとおり、所与のキナーゼに対するスクリーニングのために非常に有利に使用し得ることは、当業者には明らかである。
【0081】
化合物のライブラリー及び生物活性をスクリーニングするためのツールとしてのこれらの使用への一般的な参照について、J.Med.Chem.1999年、42、2373−2382頁;及びBioorg.Med.Chem.Lett.10(2000),223−226頁を参照されたい。
【0082】
薬理学
推定上のキナーゼ阻害剤の阻害活性及び選択された化合物の効能は、Kinase−Glo(登録商標)Luminescent Kinase Assayの使用に基づくアッセイの方法によって求められる(Promega corporationから市販されており、Koresawa,M.及びOkabe,T.(2004年)High−throughput screening with quantitation of ATP consumption:A universal non−radioisotope,homogeneous assay for protein kinase.Assay Drug Dev.Technol.2巻、153−60頁に記載されている。)。
【0083】
キナーゼ活性の結果としてのATPの減少は、オキシルシフェリン及び光を生ずる反応において基質としてルシフェリン、酸素及びATPを使用するKinase−Glo(登録商標)又はKinase−Glo(登録商標)Plus Reagentの使用によって高い感受性でモニターすることができる。
【0084】
本明細書で使用される短縮形式及び略語は、以下の意味を有する:
ATP アデノシン三リン酸
BSA ウシ血清タンパク
Tris 2−アミノ−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール
Hepes N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)
DTT トレオ−1,4−ジメルカプト−2,3−ブタンジオール
TFFH テトラメチルフルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート
THF テトラヒドロフラン
MTBE メチル第三級ブチルエーテル
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
PyBOP ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウム エキサフルオロホスフェート
DABAL トリメチルアルミニウム及び1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンの付加物
EDC 1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド
DHBTOH 3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ−1,2,3−ベンゾトリアジン
TFA トリフルオロ酢酸
TMOF トリメチルオルトホルメート
DCE ジクロロエタン
DCM ジクロロメタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMA ジメチルアセトアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
KDa キロダルトン
mg ミリグラム
μg ミクログラム
ng ナノグラム
L リットル
mL ミリリットル
μL ミクロリットル
M モル
mM ミリモル
μΜ ミクロモル
nM ナノモル
r.t. 保持時間
【0085】
キナーゼ反応条件は、ターゲット(酵素)依存性であり、従って、個別の適合を受ける。Kinase−Glo(登録商標)Luminescent Kinase Assayは、事実上いずれのキナーゼ及び基質の組合せでも使用することができる。
【0086】
同様に、緩衝条件は、興味のあるキナーゼに応じて変化し得る(例えば、PKAについて、50μlの最終体積中の40mM Tris pH 7.5、20mM MgCl、0.1mg/ml BSAの組成物が使用される。)。一般的に、ATP滴定の範囲は、0.1μMから10μMまでである。
【0087】
キナーゼ反応ウェルを、キナーゼを含まないウェルと比べた場合、最適なキナーゼ基質は、発光における最大変化をもたらす。
【0088】
キナーゼの最適な量は、ATPの最適な量及び最適なキナーゼ基質を使用して、プレートにわたって2倍の連続希釈を行うことによって求められる。その後の化合物スクリーン及びIC50測定における使用に対するキナーゼの最適な量は、発光が、キナーゼ滴定曲線(シグモイド用量応答)の線形領域に含まれるために必要な量である。
【0089】
自動化Kinase−Glo(登録商標)アッセイ
このアッセイは、キナーゼ活性及び/又は阻害の測定のために構成された。これは、均質であり、全てのタイプのタンパク質キナーゼに適し、迅速で放射能フリーである。
本発明者らは、384ウェル−プレートにおけるアッセイを確立した。試験ミックスは、以下から構成された。
1)3×酵素ミックス(3×キナーゼ緩衝液中でなされた)、5μl/ウェル
2)3×基質及びATPミックス(DO中でなされた)、5μl/ウェル
3)3×式(I)の化合物(D0−3%DMSOに希釈された)−5μl/ウェル)
結果として、10μMにおける阻害の百分率を、各試験化合物について評価した。化合物の希釈及びアッセイスキームについて以下を参照されたい。各酵素が、これ自体の緩衝液組成、基質タイプ及び濃度を有した。代わりに、インキュベーション時間は、全てのターゲットについて90分であった。
【0090】
試験化合物は、100%DMSO中の1mM溶液として96ウェルプレートに受けた。プレートを、DO、3%DMSO中の30μMに希釈し;各96wpの5μlを4つの四半分の384wpに分配することによって、4枚のプレートを、384ウェルプレートに再編成する。ウェルP23及びP24に、内部標準阻害剤スタウロスポリンを添加した。
【0091】
アッセイスキーム
試験プレートに、最初に、5μlの化合物希釈液(30μM、3×希釈に対応する)を添加し、次いで、試験中の各ターゲットに対して特異的な酵素ミックス(3×)用の一つの容器及びATPミックス(3×)用の一つの容器と一緒に自動化ステーションに装填した。
【0092】
アッセイを開始するために、ロボットは、5μlのATP/基質ミックスを吸引し、先端(5μl)内にエアギャップを作り、5μlの酵素ミックスを吸引した。ロボット自体によってなされた、上方及び下方へのピペット操作による3サイクルの混合後に、試験プレートへの続いての分配によって、キナーゼ反応が開始された。この時点で、全ての試薬について、正しい濃度が回復された。
【0093】
ロボットは、プレートを室温で90分間インキュベートし、次いで、15μlのKinase−Glo(登録商標)試薬を反応ミックス中にピペット操作することによって反応を停止した。3サイクルの混合を、試薬の添加直後に行った。
【0094】
Kinase−Glo(登録商標)技術の本質は、酸素、ルシフェリン及びフシフェラーゼ酵素の試薬混合物中の存在である。キナーゼ反応から残っているATPの存在下で、オキシルシフェリンが、ATPの量に直接応じて、光の照射で生成される。この技術の最適な実施について、キナーゼ反応は、少なくとも15−20%の利用可能なATPを利用するはずである。
【0095】
発光シグナルを安定化させるためにさらに60分インキュベーションした後、プレートをViewLux(登録商標)装置で読み取った。パーセント阻害データを提供するソフトウェアパッケージAssay Explorer(登録商標)を使用してデータを分析した。
【0096】
一例として本明細書に、式(I)の化合物を、ALKtide YFF APCoキナーゼに対して試験するために使用されるアッセイ条件を報告する。
ATP濃度:1μΜ
酵素濃度:100nM
反応緩衝液:Hepes 50mM pH7.5、MgCl 5mM、MnCl 1mM、DTT 1mM、NaV0 uM、0.2mg/ml BSA
アッセイ手順:5ulの式(I)の化合物(3×)を添加し、緩衝液1×中の5μlのATP/Sミックス(3×)を添加し;緩衝液2×+3×BSA中の5μlの酵素を添加し;ブランク用に、酵素を含まない5μlの緩衝液2×+3×BSAを添加する。90分のインキュベーション後、15μl/ウェルのKinase−Glo試薬を添加する。発光シグナルを安定化させるための60−90分のインキュベーション後、ViewLux装置でプレートを読んだ。
【0097】
推定上のキナーゼ阻害剤の阻害活性及び選択化合物の効能も、リン酸転移アッセイを使用して測定した。
【0098】
特定のペプチド又はタンパク質基質を、33Ρ−γ−ΑΤΡでトレースされたATPの存在下、及びこれら自体の最適な緩衝液及び共同因子の存在下で、これらの特異的なser−thr又はtyrキナーゼによってリン酸転移する。リン酸化反応の最後に、98%超の非標識ATP及び放射性ATPを、過剰なイオン交換dowex樹脂によって捕捉し;次いで、この樹脂は、重力によって反応プレートの底に沈殿する。次いで、上澄みを回収し、計数プレートに移し、次いでβ計数によって評価した。
【0099】
反応条件は、ターゲット(酵素)依存性であり、従って、個別の適応を受ける。同様に、緩衝条件は、興味のあるキナーゼに応じて変化し得る。アッセイは、実質的にいずれのキナーゼ及び基質の組合せでも使用することができ、全てのタイプのタンパク質キナーゼ、例えばABL、ACK1、AKT1、ALK、AUR1、AUR2、BRK、BUB1、CDC7/DBF4、CDK2/CYCA、CHK1、CK2、EEF2K、EGFR1、EphA2、EphB4、ERK2、FAK、FGFR1、FLT3、GSK3ベータ、Haspin、IGFR1、IKK2、IR、JAK1、JAK2、JAK3、KIT、LCK、LYN、MAPKAPK2、MELK、MET、MNK2、MPS1、MST4、NEK6、NIM1、P38アルファ、PAK4、PDGFR、PDK1、PERK、PIM1、PIM2、PKAアルファ、PKCベータ、PLK1、RET、ROS1、SULU1、Syk、TLK2、TRKA、TYK、VEGFR2、VEGFR3、ZAP70に適する。
【0100】
一例として本明細書で、式(I)の化合物を、MPS1及びCDK2/CYCAに対して試験するために使用されるアッセイ条件を報告する。
【0101】
MPS1活性の阻害アッセイ
i.Dowex樹脂調製
500gの湿潤樹脂(SIGMA、特別注文の樹脂DOWEX 1×8 200−400メッシュ、2.5Kg)を検量し、150mMギ酸ナトリウム中の2l、pH3.00に希釈する。
この樹脂を、沈殿させ(数時間)、次いで上澄みを捨てる。
2、3日にわたる上記のとおりの3回の洗浄後、この樹脂を、沈殿させ、2体積(樹脂体積に対して)の150mMギ酸ナトリウム緩衝液を添加する。次いで、pHを、測定し、約3.00であるはずである。洗浄した樹脂は、一週より長い間安定であり;ストック樹脂は、使用前4℃に保つ。
【0102】
ii.キナーゼ緩衝液(KB)
MPS1アッセイ用緩衝液は、pH7.5におけるHEPES 50mM、2.5mM MgCl、1mM MnCl、1mM DTT、3マイクロM NaV0、2mM β−グリセロホスフェート及び0.2mg/mL BSAから構成された。
【0103】
iii.アッセイ条件
アッセイを、5nMの最終濃度MPS1で、15マイクロM ATP及び1.5nM 33Ρ−γ−ATPの存在下で行い;基質は、200マイクロMで使用されたΡ38−β−tideであった。
【0104】
Cdk2/サイクリンA活性の阻害アッセイ
キナーゼ反応:100μlの最終体積の緩衝液(TRIS HCl 10mM pH7.5、MgCl 10mM、7.5mM DTT)中の1.5μΜ ヒストンH1基質、25μΑΤΡ(0.2μCi Ρ33γ−ΑΤΡ)、30ngのバキュロウイルス共発現Cdk2/サイクリンA、10μΜ 阻害剤を、96 Uボトムウェルプレートの各ウェルに添加した。37℃における10分のインキュベーション後、反応を、20l EDTA 120mMによって停止した。
捕捉:100μlを、各ウェルからマルチスクリーンプレートに移し、基質をホスホセルロースフィルターに結合させた。次いで、プレートを、150μl/ウェルのPBS Ca++/Mg++フリーで3回洗浄し、マルチスクリーン濾過システムで濾過した。
検知:フィルターを、37℃で乾燥させ、次いで、100μl/ウェルのシンチラント(scintillant)を添加し、33P標識ヒストンH1を、Top−Count装置で放射能計数によって検知した。
結果:データを、一次アッセイの%阻害又は二次アッセイ/ヒット確認ルーチンにおけるIC50測定のための10種の希釈物曲線のシグモイドフィッティングを提供するSWパッケージ「Assay Explorer」の社内特注版によって分析する。
【0105】
一例として、以下の表Aに、異なるキナーゼに対して試験された本発明のいくつかの化合物の%阻害データが報告されている。
【0106】
表A:%阻害
【0107】
【表1】

【0108】
本発明の化合物は、単剤として、又は、別法として、細胞増殖抑制剤又は細胞毒性剤、抗生物質型薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質剤、ホルモン剤、免疫剤、インターフェロン型薬剤、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(例えば、COX−2阻害剤)、マトリクスメタロプロテアーゼ阻害剤、テロメラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、抗成長因子受容体剤、抗HER剤、抗EGFR剤、抗血管新生剤(例えば、血管形成阻害薬)、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、ras−raf信号変換経路阻害剤、細胞周期阻害剤、他のcdk阻害剤、チューブリン結合剤、トポイソメラーゼI阻害剤、トポイソメラーゼII阻害剤などと組み合わせた放射線療法又は化学療法レジメンなどの既知の抗癌治療と組み合わせて投与することができる。
【0109】
固定用量として製剤化される場合、このような複合製品は、以下に記載された用量範囲内の本発明の化合物及び承認された用量範囲内の他の医薬的に活性な薬剤を用いる。
【0110】
式(I)の化合物は、複合製剤が不適切である場合、既知の抗癌剤と逐次的に使用することができる。
【0111】
哺乳類、例えば、ヒトへの投与に好適な本発明の式(I)の化合物は、通常の経路で投与することができ、用量レベルは、患者の年齢、体重、状態及び投与経路に応じて決まる。
【0112】
例えば、式(I)の化合物の経口投与に採用される好適な用量は、一服当たり約10から約500mgまで、1日当たり1から5回までの範囲であり得る。本発明の化合物は、多様な剤形、例えば、錠剤、カプセル剤、糖衣錠又はフィルムコート錠、液体溶液剤又は懸濁剤の形態で経口的に、坐剤の形態で経直腸的に、非経口的に、例えば、筋肉内、又は静脈内及び/又はくも膜下及び/又は髄腔内注射又は注入によって投与することができる。
【0113】
本発明は、担体又は賦形剤であり得る医薬的に許容される添加剤と一緒に、式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を含む医薬組成物も含む。
【0114】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、通常、従来の方法に従って調製され、好適な医薬形態で投与される。例えば、固体経口形態は、活性化合物と一緒に、賦形剤、例えば、乳糖、ブドウ糖、サッカロース、スクロース、セルロース、トウモロコシデンプン又はバレイショデンプン;滑沢剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム又はカルシウム、及び/又はポリエチレングリコール;結合剤、例えば、デンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えば、デンプン、アルギン酸、アルギネート又はデンプングリコール酸ナトリウム;発泡混合物;染料;甘味剤;湿潤剤、例えばレシチン、ポリソルベート、ラウリルスルフェート;及び、一般的に、医薬製剤に使用される非毒性及び薬理学的に不活性な物質を含有することができる。これらの医薬調製物は、既知の方法で、例えば、混合、造粒、錠剤化、糖衣、又はフィルムコーティングプロセスによって製造することができる。
【0115】
経口投与用の液体分散液は、例えば、シロップ剤、乳剤及び懸濁剤であり得る。一例として、シロップ剤は、担体として、サッカロース又はグリセリンを含むサッカロース及び/又はマンニトール及びソルビトールを含有し得る。
【0116】
懸濁剤及び乳剤は、担体の例として、天然のガム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、又はポリビニルアルコールを含有し得る。筋肉内注射用の懸濁剤又は溶液剤は、活性化合物と一緒に、医薬的に許容される担体、例えば、滅菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えば、プロピレングリコール及び、必要に応じて、好適な量の塩酸リドカインを含有し得る。静脈注射又は注入用の溶液剤は、担体として、滅菌水を含有することができ、又は、好ましくは、これらは、無菌、水性、等張、食塩水の形態であってよく、又は、これらは、担体としてプロピレングリコールを含有することができる。
【0117】
坐剤は、活性化合物と一緒に、医薬的に許容される担体、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル界面活性剤又はレシチンを含有することができる。
【0118】
より良く本発明を例示する目的で、これに何ら制限を課すことなく、以下の実施例が与えられる。
【0119】
実験セクション
一般的方法
フラッシュクロマトグラフィーを、シリカゲル(Merck grade 9395、60A)上で実施した。高圧液体クロマトグラフィー保持時間(HPLC:r.t.値)は、以下によって決定された。
【0120】
HPLC方法1:
可変UV検出器mod 2487、Chemiluminescence Nitrogen検出器(CLND、Antek 8060)及びWaters ZQ2000質量検出器(ESIインターフェース)を備えたWaters Alliance LC mod.2795を、本出願において使用した。全体の流れを、分割し、三つの検出器に固定した比率(64:15:21 UV:MS:CLND)で分配した。液体クロマトグラフは、30×3.0mm I.D.カラム(Waters xBridge C18、3.5um 粒子)を備え、50℃に自動温度調節された。二つの移動相が使用された。相Aは、0.05%w/vギ酸(高純度水中の1mL/Lの50%ギ酸Fluka 09676)であり、相Bは、0.035%w/vのギ酸(700uL/Lの50%ギ酸Fluka 09676)を含有する70/25/5(v/v/v)MeOH/iPrOH/H20であった。
【0121】
DMSO中の1mM 基準サンプル溶液の5uL体積を、注入(逐次、エアギャップのない部分ループモード)し、一般的逆相勾配分析(方法「#IN63SEQ79」と分類される)を、0.8mL/分で実施し、5分かけて0%から100%の相B(v/v)まで、100%Bで0.7分保持し、5.71分で0%Bまで急勾配で戻し、運転停止時間は6.3分に設定した。合計分析時間(「注入と注入の間」)は、7.9分であった。
【0122】
UV検出器を、220nm、5Hzのサンプリングレートで操作した。MSデバイスを、3.2kVのキャピラリー電圧、30Vコーン、2Vエクストラクター、0.5VのRFレンズ、400L/時の脱溶媒和フロー、100L/時のコーンフロー、100℃のソース温度、150℃の脱溶媒和温度、ESI(+)完全走査120−1200amu捕捉、1.7Hzのサンプリングレートで操作した。CLND検出器を、1050℃の炉温、280mL/分の入口酸素流れ、80mL/分の入口アルゴン、25mL/分の補給アルゴン、30mL/分のオゾン、28トルの真空、750VのPMT電圧、+10℃におけるPMTチャンバー、高感度、選択5、4Hzサンプリングレートで操作した。
【0123】
HPLC方法2:
HPLC−MS分析を、ESI(エレクトロスプレー)イオン源を備えたFinnigan MAT mod.LCQイオントラップ質量分析計で実施し、この質量分析計は、オートサンプラーLc Pal(CTC Analytics)及びUV6000LP PDA検出器を備えたHPLC SSP4000(Thermo Separation)に直接接続されている。
【0124】
HPLC条件:
カラム:Phenomenex Gemini C18,3μm、50×4.6mm(デフォルト)
温度 40℃
移動相A:緩衝酢酸溶液 5mM pH4.5:アセトニトリル 95:5(v:v)
移動相B:緩衝酢酸溶液 5mM pH4.5:アセトニトリル 5:95(v:v)
【0125】
溶離液勾配:
【0126】
【表2】

流速:1mL/分
注入体積:10μL
カラム温度:40℃
MS条件:
LCQ質量分析計は、表1に報告された操作パラメータに従う正及び負イオンモードのエレクトロスプレーイオン化(ESI)インターフェースで動作する。MS/MS実験は、Xcaliburソフトウェアで自動的に各走査の最強のイオンで実施される。45%衝突エネルギーを、前駆イオンのフラグメンテーションに使用した。
表1.質量分析装置パラメータ
【0127】
【表3】

【0128】
HPLC方法3:
HPLC−MS分析を、ESI(エレクトロスプレー)イオン源を備えたFinnigan MAT mod.LCQイオントラップ質量分析計で実施し、この質量分析計は、オートサンプラーLc Pal(CTC Analytics)及びUV6000LP PDA検出器を備えたHPLC SSP4000(Thermo Separation)に直接接続されている。
【0129】
HPLC条件:
カラム:Phenomenex Gemini C18,3μm、50×4.6mm(デフォルト)
温度 40℃
移動相A:緩衝酢酸溶液 5mM pH4.5:アセトニトリル 95:5(v:v)
移動相B:緩衝酢酸溶液 5mM pH4.5:アセトニトリル 5:95(v:v)
【0130】
溶離液勾配:
【0131】
【表4】

流速:1mL/分
注入体積:10μL
カラム温度:40℃
MS条件:
LCQ質量分析計は、表1に報告された操作パラメータに従う正及び負イオンモードのエレクトロスプレーイオン化(ESI)インターフェースで動作する。MS/MS実験は、Xcaliburソフトウェアで自動的に各走査の最強のイオンで実施される。45%衝突エネルギーを、前駆イオンのフラグメンテーションに使用した。
【0132】
保持時間(HPLC r.t.)は、200nm又は254nmにおいて分で与えられる。質量は、m/z比として与えられる。
【0133】
HPLC方法4:
HPLC−MS分析を、996 Waters PDA検出器及びエレクトロスプレー(ESI)イオン源を備えたMicromass mod.ZQ単一四重極質量分析計を備えたWaters 2795 HPLCシステムで実施した。
【0134】
クロマトグラフ条件:Waters Atlantis dC18,3μm、4.6×50mmカラム;移動相Aは、酢酸アンモニウム5mM緩衝液(酢酸によりpH5.2)/アセトニトリル(95:5)であり、移動相Bは、H20/アセトニトリル(5:95)であった。8分間に50から90%までの勾配範囲。UV検出を、200nm及び254nm、流速1ml/分及び20μlの注入体積で実施した。100から800amuまでの完全走査質量範囲。キャピラリー電圧は、3.59KVであり;ソース温度は、120℃であり;コーンは、14Vであった。保持時間(HPLC r.t.)を、220nm又は254nmにおいて分単位で記録する。質量は、m/z比として与えられる。
【0135】
LC条件:
【0136】
【表5】

【0137】
質量条件:
【0138】
【表6】

【0139】
HPLC方法5:
HPLC−MS分析は、Waters Acquity UPLC(商標)2996 PDA検出器、Waters Acquity ELSD(商標)検出器及びエレクトロスプレー(ESI)イオン源を備えたWaters Acquity SQ(商標)(単一四重極)質量分析計を備えたWaters Acquity UPLC(商標)システムで実施した。
【0140】
クロマトグラフ条件:Waters Acquity UPLC(商標)BEH C18、1.7μm、2.1×50mmカラム;移動相Aは、H20 pH10/アセトニトリル 95/5中の0.05%NH40Hであり、移動相Bは、H20/アセトニトリル(5:95)であった。勾配は、2分間に50から100%Bの範囲であった。UVは、220nm及び254nmで検出した。流速1ml/分。注入体積20μl。100から800amuまでの完全走査質量範囲。キャピラリー電圧は、3.59KVであり;ソース温度は、120℃であり;コーンは、14Vであった。保持時間(HPLC r.t.)を、220nm又は254nmにおいて分単位で記録する。質量は、m/z比として与えられる。
【0141】
LC条件:
【0142】
【表7】

【0143】
質量条件:
【0144】
【表8】

必要な場合、化合物を、996 Waters PDA検出器及びMicromass mod.ZQ、単一四重極質量分析計、電子スプレーイオン化、ポジティブモードを備えたWaters FractionLynx Autopurification Systemを使用して、Waters X−Bridge Prep Shield RP18(19×100mm、5μm)カラム又はPhenomenex Gemini C18(21.2×250mm、10μm)カラム上の分取HPLCによって精製した。移動相Aは、水0.05%NH3/アセトニトリル95:5であり、移動相Bは、アセトニトリルであった。8分又は15分での50から90%Bまでの勾配。流速20ml/分。
【0145】
H−NMR分析法を、勾配を有する単体装置Bruker AVANCE 400MHzで実施した。これには、QNPプローブ(互換性のある4つの核プローブ−H、13C、19F及び31P)(NMR方法1)が備えられており、又は400.45MHzで動作するMercury VX 400には、5mm二重共鳴プローブ[1H(15N−31P)ID_PFG Varian]が備えられている(NMR方法2)。
【0146】
不斉炭素原子を有し、ラセミ混合物として得られる式(I)の化合物は、キラルカラム上のHPLC分離によって分割された。特に、例えば、分取カラムCHIRALPACK(登録商標)AD、CHIRALPACK(登録商標)AS、CHIRALCELL(登録商標)OJを使用することができる。
【0147】
先に示されたとおり、本発明のいくつかの式(I)の化合物が、溶液化学技術によって合成された。
【0148】
この点で、こうして調製されたいくつかの化合物は、HPLC保持時間(方法1、2及び3)及び質量と一緒に、表IIIの記号化体系のとおり、便宜上明確に特定されている。
【0149】
式(I)の単一の個別の化合物を特定する各コードは、三つの単位A−M−Bから構成される。
【0150】
Aは、任意の置換基R−[式(I)を参照されたい]を表し、6,7−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−8(5H)−オン部分の3位に結合しており;A基の限定されない例は、以下の表Iに示されている。
【0151】
Bは、任意の置換基R−[式(I)を参照されたい]を表し、6,7−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−8(5H)−オン誘導体を得るために、カルボニル基の炭素原子を介して6,7−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−8(5H)−オン部分の残りに結合しており;B基の限定されない例は、以下の表IIに示されている。
【0152】
Mは、実質的に以下のとおり、3位を基Aによって及びカルボニル基を基Bによって置換されている二価の6,7−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−8(5H)−オン部分の中核を意味する。
【0153】
【化14】

参照を容易にするために、表I及びIIの各A基又はB基は、分子の残りMとの結合点も含めた適切な化学式で特定されている。
【0154】
一例として、表III(エントリー27)の化合物A3−M−B3は、以下のとおり、3位を基A3によって及びカルボニル基を介してB3によって置換されている6,7−ジヒドロイミダゾ[1,5−a]ピラジン−8(5H)−オンのMを示している。
【0155】
【化15】

【0156】
【表9】


【0157】
【表10】


【0158】
3H−イミダゾール−4−カルボン酸(III)の調製:
方法A:
N−メチルピロリジノン(198mL)中の1H−イミダゾール−4,5−ジカルボン酸(II)(24.7g、158.23mmol)の混合物を、窒素下で23時間、160℃に加熱した。次いで、この反応物塊を、+4℃に冷却し、48時間熟成した。固体を濾過によって回収し、N−メチルピロリジノン(50mL)及びメチルtert−ブチルエーテル(100mL)で洗浄し、最後に50℃で真空乾燥してオフホワイトの固体(17.74g、75.6%収率)m.p.288−290℃として表題生成物3H−1イミダゾール−4−カルボン酸(III)を得た。
LCMS(HPLC法4):m/z 113[M+H]、室温、0.72分。H NMR(401MHz,DMSO−d)δ ppm:7.68(s,1H)7.77(s,1H)。
【0159】
方法B:
密封したバイアル中において、1H−イミダゾール−4,5−ジカルボン酸II(1g、6.4mmol)の無水DMA(10 ml)中懸濁液を、マイクロ波照射下165℃で1時間加熱した。連続加熱により生成物の分解が生じるのを避けるために、この手順を5回繰り返した。各操作の間、バイアルを開いて、反応によって生じるCOを漏らした。次いで、反応混合物を、室温に温め、所望の生成物IIIの一部の沈殿が観察された。溶媒を、減圧下で蒸発し、粗製固体を、無水メチルt−ブチルエーテルを用いて粉砕し、量的な収量でオフホワイトの固体として3H−イミダゾール−4−カルボン酸を得た。
LCMS(HPLC法4):m/z 113[M+H]、室温、0.72分。H NMR(401MHz,DMSO−d)δ ppm:7.68(s,1H)7.77(s,1H)。
【実施例】
【0160】
(実施例1)
(8−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−5−イル)−酢酸エチルエステル(I、A15−M−B1、R=H、R=−OCHCH
3H−イミダゾール−4−カルボン酸(0.50g、4.46mmol)(III)を、無水テトラヒドロフラン(34mL)中に懸濁し、塩化水素(2Nエーテル溶液、6mL、12mmol)を添加した。この混合物を、室温で1時間撹拌した。この懸濁液に、無水DMF(0.52mL、6.70mmol)及び塩化チオニル(3.26mL、44.70mmol)を添加し、この混合物を終夜還流下で撹拌し、減圧下で濃縮した。淡黄色の残留物に、ピリジン(50mL)及びエチル(2E)−4−アミノブト−2−エノエートトリフルオロアセテート(IV)(2.17g、8.92mmol)を添加し、反応混合物を還流下で5時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発して、油を得、この油を、飽和水性炭酸水素溶液(15mL)及びテトラヒドロフラン(10mL)の混合物中に溶解し、室温で2時間撹拌した。
【0161】
溶媒を真空下で蒸発し、残渣をジクロロメタンに溶解し、無水硫酸ナトリウムで脱水し濾過した。濾液を濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH 9:1)によって精製した。精製は、褐色固体をもたらし、これをジクロロメタン及び無水ジエチルエーテル中で再結晶化した。終夜静置して得られた懸濁液を濾過し、白色固体(0.56g、56%収率)として表題化合物を得た。
LCMS(HPLC法2):m/z 224[M+H]、室温、2.66分。H NMR(401MHz,DMSO−d)δ ppm:1.18(t,J=7.08Hz,2H)2.90(d,J=6.84Hz,1H)3.34−3.40(m,1H)3.66(ddd,J=13.24,4.27,2.01Hz,1H)4.10(q,J=7.08Hz,1H)4.79(tt,J=6.73,4.50Hz,1H)7.45(d,J=0.61Hz,1H)7.81(s,1H)7.85(br.s.,1H)。
【0162】
(実施例2)
A2−M−B1
アルゴンを満たしたマイクロ波用密封チューブ中において、無水の脱ガスしたDMF(0.7mL、Iに対して0.23M)中の8−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−5−イル)−酢酸エチルエステル(I、R=H、R=−OCHCH)(35mg、0.16mmol)、Pd(OAc)(5mmol%)、CuI(60mg、0.32mmol)及びアリールハロゲン化物(Rが、表IのフラグメントA2に対応する。)(0.48mmol)の混合物をアルゴン雰囲気下160℃で3時間撹拌した。室温に冷却後、反応混合物をMeOH(1mL)で希釈し、Stratospheres(商標)SPE PL−チオールMP SPEチューブ(MeOHで洗浄された)を通して濾過し、濾液を真空下で蒸発した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(DCM/MeOH 9:1)で精製して表題化合物A2−M−B1(0.041g、80%収率)を得た。
LCMS(HPLC法2):m/z 300[M+H]、室温、4.31分。H NMR(DMSO−d)δ ppm:7.93(d,J=4.6Hz,1H)、7.76(dd,J=7.6,1.7Hz,2H)、7.62(s,1H)、7.44−7.57(m,3H)、5.02−5.18(m,J=4.2Hz,1H)、3.82−3.95(m,2H)、3.76(dq,J=10.8,7.1Hz,1H)、2.80(dd,J=15.3,8.3Hz,1H)、1.05(t,J=7.1Hz,3H)
【0163】
(実施例3)
A2−M−B12
A2−M−B1(0.032g、0.117mmol)及び水酸化リチウム一水和物(0.005g、0.214mmol)のTHF−HOの混合物(1:1、A2−M−B1に対して0.1M)中溶液を、室温で30分間撹拌した。反応混合物を、HCl(濃)でpH<1となるまで酸性化し、減圧下で濃縮して褐色固体として表題化合物A2−M−B12を得た。
【0164】
(実施例4)
A2−M−B2
誘導体A2−M−B12(0.104mmol)の無水DCM(2.0mL、0.05M)中懸濁液に、EDC(0.030g、0.156mmol)、DHBTOH(0.025g、0.156mmol)、ピリジン(0.025mL、0.312mmol)及び4−メトキシベンジルアミン(0.027mL、0.208mmol)を添加し、反応混合物を室温で36時間撹拌した。溶媒を蒸発し、残渣を水で溶解し、EtOAc(2回)で抽出した。合わせた有機層を、NaS0で脱水し、溶媒を真空下で蒸発し、残渣をRP−HPLCで精製して、固体(0.020g、50%収率)として表題化合物A2−M−B2を得た。
LCMS(HPLC法2):m/z 391[M+H]、室温、4.34分。H NMR(DMSO−d)δ ppm:8.42(t,J=5.7Hz,1H)、7.92(d,J=4.9Hz,1H)、7.72−7.83(m,2H)、7.60(s,1H)、7.47−7.54(m,3H)、7.05−7.15(m,2H)、6.80−6.95(m,2H)、5.03−5.13(m,1H)、4.02−4.18(m,2H)、3.83(dd,J=13.4,3.7Hz,1H)、3.71−3.74(m,3H)、2.78(dd,J=15.1,10.0Hz,1H)。
【0165】
(実施例5)
A3−M−B2
誘導体A3−M−B12(0.117mmol)の無水ジオキサン−アセトニトリル1:1(1.17mL、0.1M)の混合物中の懸濁液に、DIEA(0.060mL、3.50mmol)及びTFFH(0.040g、0.152mmol)を添加し、反応混合物を室温で1時間、勢いよく撹拌した。得られた懸濁液は、反応中に黄色になった。プロピルアミン(0.020mL、0.24mmol)及びルチジン(0.021mL、0.176mmol)を添加し、反応混合物を60℃で3時間撹拌した。溶媒を蒸発し、残渣を水で溶解し、Alltech(商標)セパレーターチューブを使用してDCM(1mL、2回)で抽出した。合わせた有機層を、NaS0で脱水し、溶媒を、体積が半分になるまで真空下で濃縮し、沈殿を濾過により単離して白色固体(0.019g、52%収率)として表題化合物A3−M−B2を得た。
LCMS(HPLC法2):m/z 459[M+H]、室温、5.09分。H NMR(DMSO−d)δ ppm:8.09(d,J=7.8Hz,1H)、8.06(s,1H)、7.96(d,J=5.0Hz,1H)、7.89(t,J=4.3Hz,1H)、7.84(d,J=8.2Hz,1H)、7.69−7.79(m,1H)、7.64(s,1H)、5.12(t,J=8.4Hz,1H)、3.81−3.93(m,1H)、3.34(br.s.,1H)、2.77−2.85(m,2H)、2.62−2.69(m,1H)、2.36(d,J=14.9Hz,1H)、1.23−1.34(m,1H)、0.77(t,J=7.4Hz,1H)。
【0166】
(実施例6)
(8−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−5−イル)−酢酸(I、A15−M−B12、R=−OH、R=H)
水酸化リチウム一水和物(0.055g、2.33mmol)を、(8−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−5−イル)−酢酸エチルエステル(I、R=−OCHCH、R=H)(0.260g、1.16mmol)のTHF−HO(1:1、22mL、Iに対して0.05M)の混合物中の溶液に添加し、反応混合物を室温で30分間撹拌した。反応混合物を、pH<1になるまでHCl(濃)で酸性にし、これを減圧下で濃縮して、褐色個体(0.268g、100%収率)として(8−オキソ−5,6,7、8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−5−イル)−酢酸塩酸塩(I、R=R=H)を得た。
LCMS(HPLC法4):m/z 196[M+H]、室温、0.8分。H NMR(DMSO−d)δ ppm:12.73(br.s.,1H)、8.69(br.s.,1H)、8.28(br.s.,1H)、7.97(br.s.,1H)、4.88(五重線,J=5.5Hz,1H)、3.73(ddd,J=13.3,3.6,2.4Hz,1H)、3.46(dt,J=13.3,4.4Hz,1H)、2.94−3.02(m,1H)、2.85−2.93(m,1H)。
【0167】
(実施例7)
A15−M−B9
(8−オキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−イミダゾ[1,5−a]ピラジン−5−イル)−酢酸塩酸塩I(0.030g、0.153mmol)の無水DCM−無水DMF(9:1;0.05M)の混合物中の懸濁液に、EDC(0.044g、0.230mmol)、DHBTOH(0.037g、0.230mmol)、ピリジン(0.037mL、0.459mmol)及びシクロヘキシルアミン(0.035mL、0.306mmol)を添加し、反応混合物を室温で36時間撹拌した。溶媒を蒸発し、残渣を水で溶解し、過剰なDHBTOHを濾別した。水層を真空下で蒸発し、残渣をHPLCで精製して白色固体(0.020g、48%収率)として表題化合物A15−M−B9を得た。
LCMS(HPLC法2):m/z 277[M+H]、室温、3.87分。H NMR(DMSO−d)δ ppm:7.83(br.s.,2H)、7.66(d,J=0.6Hz,1H)、7.43(d,J=0.7Hz,1H)、4.69−4.83(m,1H)、3.59−3.69(m,1H)、3.51(br.s.,1H)、3.27−3.37(m,1H)、2.63−2.72(m,1H)、2.50−2.61(m,1H)、1.46−1.75(m,4H)、1.01−1.32(m,6H)。
【0168】
(実施例8)
前述の実施例に記載されたとおり操作して、以下の化合物を調製した。
【0169】
【表11】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

の化合物
(式中:
は、−NR又は−ORであり;
は、水素原子又は直鎖若しくは分枝C−Cアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールC−Cアルキル及びヘテロアリールC−Cアルキルから選択される場合によって置換されている基であり;
及びRは、同一であり若しくは異なり、それぞれ独立に、水素原子又は直鎖若しくは分枝C−Cアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルキニル、C−Cシクロアルキル、シクロアルキルC−Cアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルC−Cアルキル、アリール、アリールC−Cアルキル、ヘテロアリール及びヘテロアリールC−Cアルキルから選択される場合によって置換されている基であり、又はR及びRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、S、O、N及びNHから選択される1個の追加のヘテロ原子若しくはヘテロ原子基を場合によって含有する場合によって置換されている3から7員ヘテロシクリル若しくはヘテロアリール環を形成し得る。)又は医薬的に許容されるこの塩。
【請求項2】
が、−NH若しくはNHRであり、Rが、直鎖若しくは分枝C−Cアルキル若しくはC−Cアルケニル基であり、又は場合によって置換されているアリール若しくはアリールアルキル基である、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
が、水素又は場合によって置換されているアリール若しくはヘテロアリール基である、請求項1又は2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
R2が、コードA1−A18のいずれかによって表されるフラグメントであり、R1が、コードB1−B32のいずれかによって表されるフラグメントである、請求項1から3までのいずれか一項に記載の式(I)の化合物。
【表1】


【表2】


【請求項5】
a)式(II):
【化2】

の化合物を脱カルボキシするステップ
b)得られる式(III):
【化3】

の化合物を、
式(IV):
【化4】

(式中、Rは、C−Cアルキル基である。)の化合物又はこの塩と反応させて式(I):
【化5】

(式中、Rは、C−Cアルキル基であり、Rは、水素である。)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を得るステップ及び、必要又は所望に応じて、以下の追加のステップ:
−式(I)の化合物を単一の異性体に分離するステップ;
−イミダゾール部分への水素以外の請求項1に定義されたR基の導入によって式(I)の化合物を異なる式(I)の化合物に変換するステップ;
−基−ORを請求項1に定義された異なる基Rで置換することによって式(I)の化合物を異なる式(I)の化合物に変換するステップ;
−式(I)の化合物を医薬的に許容される塩に変換するステップ又は塩を遊離の化合物(I)に変換するステップ
の一つ又は複数を実施するステップ
を含む、請求項1に記載の式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を調製する方法。
【請求項6】
b)請求項5に定義された式(III)の化合物を、請求項5に定義された式(IV)の化合物又はこの塩と反応させて、式(I):
【化6】

(式中、Rは、C−Cアルキル基であり、Rは、水素である。)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を得るステップ及び、必要又は所望に応じて、以下の追加のステップ:
−式(I)の化合物を単一の異性体に分離するステップ;
−イミダゾール部分への水素以外の請求項1に定義されたR基の導入によって式(I)の化合物を異なる式(I)の化合物に変換するステップ;
−基−ORを請求項1に定義された異なる基Rで置換することによって式(I)の化合物を異なる式(I)の化合物に変換するステップ;
−式(I)の化合物を医薬的に許容される塩に変換するステップ又は塩を遊離の化合物(I)に変換するステップ
の一つ又は複数を実施するステップ
を含むことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を調製するプロセス。
【請求項7】
式(I)の化合物の式(I)の別の化合物への変換が、必要又は所望に応じて、以下の反応:
c)式(I)の化合物(式中、Rは、C−Cアルキルであり、Rは、水素である。)の、式R−Z(V)の化合物(式中、Rは、請求項1に定義されたとおりであるが水素ではなく、Zは、ハロゲンである。)との、式(I):
【化7】

(式中、Rは、C−Cアルキルであり、Rは、請求項1に定義されたとおりであるが水素ではない。)の化合物を得るための反応;
d.1)式(I)の化合物(式中、Rは、−OHである。)又はこの塩を得るための式(I)の化合物(式中、Rは、C−Cアルキルである。)の酸又は塩基性加水分解;
d.2)式(I)の化合物(式中、Rは、異なるC−Cアルキルである。)を得るための、式R−OH(VI)の化合物(式中、Rは、異なるC−Cアルキルである。)との反応による式(I)の化合物(式中、Rは、C−Cアルキルである。)のエステル交換;
d.3)式(I)の化合物(式中、Rは、−NRであり、R及びRは、上記に定義されたとおりである。)を得るための、式H−NR(VII)の化合物(式中、R及びRは、請求項1に定義されたとおりである。)との反応による式(I)の化合物(式中、Rは、C−Cアルキルである。)のアミノ分解;
d.4)式(I)の化合物(式中、Rは、−ORであり、Rは、上記に定義されたとおりであるが水素ではない。)を得るための、上記に定義された式(VI)の化合物との反応による式(I)の化合物(式中、Rは、−OHである。)又はこの塩のエステル化;
d.5)式(I)の化合物(式中、Rは、−NRであり、R及びRは、上記に定義されたとおりである。)を得るための、上記に定義された式(VII)の化合物との反応による式(I)(式中、Rは、−OHである。)又はこの塩のアミド化
の一つ又は複数によって実施されることを特徴とする、請求項5又は6に記載のプロセス。
【請求項8】
b’)式(III’):
【化8】

(式中、Rは、請求項1に定義されたとおりであるが、水素ではない。)の化合物又は好適なこの前駆基を、請求項5に定義された式(IV)の化合物又はこの塩と反応させて、式(I):
【化9】

(式中、Rは、C−Cアルキル基であり、Rは、請求項1に定義されたとおりであるが水素ではない。)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を得るステップ及び、必要又は所望に応じて、水素以外の上記に定義されたR基の前駆体部分の所望のR基への好適な化学反応を用いた変換を含む、請求項5に記載された必要な追加のステップの一つ又は複数を実施するステップ
を含む請求項1に記載の式(I)の化合物又は医薬的に許容されるこの塩を調製するプロセス。
【請求項9】
式(I):
【化10】

(式中、R及びRは、請求項1に定義されたとおりである。)の2種以上の化合物のライブラリー。
【請求項10】
が、−NH若しくはNHRであり、Rが、直鎖若しくは分枝C−Cアルキル若しくはC−Cアルケニル基であり、又は場合によって置換されているアリール若しくはアリールアルキル基である、請求項9に記載のライブラリー。
【請求項11】
が、水素又は場合によって置換されているアリール若しくはヘテロアリール基である、請求項9又は10に記載のライブラリー。
【請求項12】
化合物が、式:
【化11】

(式中、フラグメントA及びBは、請求項4に定義されたとおりである。)を有し、以下に挙げられたものの一つである、請求項9に記載のライブラリー。
【表3】

【請求項13】
請求項1に記載の式(I)の化合物の治療有効量、並びに少なくとも1種の医薬的に許容される担体及び/又は賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項14】
1種又は複数の化学療法剤をさらに含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
抗癌療法における同時、個別又は逐次使用のための複合調製物としての、請求項1に記載の式(I)の化合物又は請求項13に記載のこの医薬組成物、及び1種又は複数の化学療法剤を含む製品。
【請求項16】
医薬としての使用のための、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項17】
変化したキナーゼ活性に起因する及び/又はこれに伴う疾患を治療するための、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項18】
変化したキナーゼ活性に起因する及び/又はこれに伴う疾患が、癌であることを特徴とする、請求項17に記載の式(I)の化合物。
【請求項19】
癌が、膀胱癌腫、乳癌腫、結腸癌腫、腎臓癌腫、肝臓癌腫、小細胞肺癌を含む肺癌腫、食道癌腫、胆嚢癌腫、卵巣癌腫、膵臓癌腫、胃癌腫、頸癌腫、甲状腺癌腫、前立腺癌腫、及び扁平上皮細胞癌腫を含む皮膚癌腫などの癌腫;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、ヘアリー細胞リンパ腫及びバーキットリンパ腫を含むリンパ系の造血器腫瘍;急性及び慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群及び前骨髄球性白血病を含む骨髄細胞系列の造血器腫瘍;線維肉腫及び横紋筋肉腫を含む間葉由来の腫瘍;星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫及び神経鞘腫を含む中枢及び末梢神経系の腫瘍;メラノーマ、セミノーマ、奇形癌腫、骨肉腫、色素性乾皮症、角質黄色腫、甲状腺濾胞癌及びカポジ肉腫を含む他の腫瘍から選択されることを特徴とする、請求項18に記載の式(I)の化合物。
【請求項20】
変化したキナーゼ活性に起因する及び/又はこれに伴う疾患が、特定の細胞増殖障害であることを特徴とする、請求項17に記載の式(I)の化合物。
【請求項21】
細胞増殖障害が、良性前立腺肥大症、家族性腺腫症、ポリープ症、神経線維腫症、乾癬、アテローム性動脈硬化を伴う血管平滑筋細胞増殖、肺線維症、関節炎、糸球体腎炎及び術後狭窄及び再狭窄から選択されることを特徴とする、請求項20に記載の式(I)の化合物。
【請求項22】
少なくとも1種の細胞増殖抑制剤若しくは細胞毒性剤と組み合わせた放射線療法又は化学療法レジメンと一緒に疾患を治療するために使用されることを特徴とする、請求項17に記載の式(I)の化合物。
【請求項23】
請求項1に記載の式(I)の化合物の有効量を、これを必要とする哺乳類に投与するステップを含む、変化したキナーゼ活性に起因する及び/又はこれに伴う疾患を治療する方法。
【請求項24】
それを必要とする哺乳類が、ヒトである、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
抗腫瘍活性を有する医薬の製造における、請求項1に記載の式(I)の化合物の使用。
【請求項26】
前記酵素を、請求項1に記載の式(I)の化合物の有効量と接触させるステップを含む、キナーゼ活性を阻害するインビトロ方法。

【公表番号】特表2013−518072(P2013−518072A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550400(P2012−550400)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2011/050846
【国際公開番号】WO2011/092120
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(307012403)ネルビアーノ・メデイカル・サイエンシーズ・エツセ・エルレ・エルレ (55)
【Fターム(参考)】