説明

タンパク質キナーゼ阻害剤としての化合物および組成物

本発明は、式I


の新規化合物群、かかる化合物を含む医薬組成物およびかかる化合物を異常なまたは脱制御されたキナーゼ活性と関連する疾患または障害、特にB−Rafの異常な活性化が関与する疾患または障害の処置または予防に使用する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年8月28出願の米国仮出願61/238,073および2010年3月11日出願の米国仮出願61/313,039に基づく優先権を主張する。これらの出願の全部の開示を、全体的に引用することにより、あらゆる目的のために、本明細書に包含させる。
【0002】
発明の背景
発明の分野
本発明は、新規化合物群、かかる化合物を含む医薬組成物および異常なまたは脱制御されたキナーゼ活性と関連する疾患または障害、特にB−Rafの異常な活性化が関与する疾患または障害を処置または予防するためのかかる化合物の使用法を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
タンパク質キナーゼ類は、広範囲の細胞過程の制御および細胞機能の制御の維持に中心的役割を有するタンパク質の大きなファミリーを表す。これらのキナーゼ類の一部についての非限定的リストは:受容体チロシンキナーゼ類、例えば血小板由来増殖因子受容体キナーゼ(PDGF−R)、神経増殖因子受容体、trkB、Metおよび線維芽細胞増殖因子受容体、FGFR3;非受容体チロシンキナーゼ類、例えばAblおよび融合キナーゼBCR−Abl、Lck、Csk、Fes、Bmxおよびc−src;およびセリン/スレオニンキナーゼ類、例えばB−Raf、sgk、MAPキナーゼ類(例えば、MKK4、MKK6など)およびSAPK2α、SAPK2βおよびSAPK3を含む。異常キナーゼ活性が、良性および悪性増殖性障害ならびに免疫系および神経系の不適切な活性化に起因する疾患を含む多くの疾患状態において観察されている。
【0004】
本発明の新規化合物は、B−Rafまたはその変異形態(例えばV600E)の活性を阻害し、それ故、B−Raf関連疾患の処置に有用であると予測される。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
一つの面において、本発明は、式I:
【化1】

〔式中、
YはNおよびCRから選択され;
は水素、−X8a、−XOX8a、−XC(O)NR8a8b、−XNR8a8b、−XNR8aC(O)XOR8b、−XNR8aC(O)XNR8a8b、−XNR8aS(O)0−28bから選択され;ここで、各Xは独立してC1−4アルキレンであり;Xは、場合によりヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1−4アルキル、ハロ置換C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロ置換C1−4アルコキシから独立して選択される基で置換されている1〜3個の水素を有してよく;ここで、Xは結合およびC1−4アルキレンから選択され;ここで、R8aおよびR8bは独立して水素、C1−6アルキル、ハロ置換C1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、ヘテロアリールおよびC3−8ヘテロシクロアルキルから選択され;ここで、R8aまたはR8bのシクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロアリールは、場合によりアミノ、シアノ、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、ハロ置換C1−4アルキルおよびハロ置換C1−4アルコキシから独立して選択される基で置換されている1〜3個の水素を有してよく;ただし、Rが−XNHC(O)OR8bおよび−XNR8aS(O)0−28bから選択されるとき、R8bは水素ではなく;
、R、RおよびRは独立して水素、ハロ、シアノ、C1−4アルキル、ハロ置換C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロ置換C1−4アルコキシから選択され;ただし、Rがフルオロであり、Rが水素、−X8a、−XOX8a、−XC(O)NR8a8b、−XNR8a8b、−XNR8aC(O)XOR8bおよび−XNR8aS(O)0−28bから選択されるとき、RおよびRは両方とも水素ではなく;
【0006】
は−Rおよび−NR1011から選択され;ここで、RはC1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリール;ここで、Rの該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは、場合によりハロ、シアノ、C1−4アルキル、ハロ置換C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロ置換C1−4アルコキシから独立して選択される基で置換されている1〜3個の水素を有してよく;そしてR10およびR11は独立して水素およびRから選択され;
は水素、C1−4アルキル、C3−5シクロアルキルおよびC3−5ヘテロシクロアルキルから選択され;ここで、Rの該アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシル、C1−4アルキル、ハロ置換C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロ置換C1−4アルコキシから独立して選択される基で置換されている1〜3個の水素を有してよい。〕
の化合物およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、被保護誘導体、互変異性体、個々の異性体および異性体混合物;およびかかる化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物(例えば水和物)を提供する。
【0007】
第二の面において、本発明は、式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体混合物;またはその薬学的に許容される塩を、1種以上の適当な添加物と共に含む、医薬組成物を提供する。
【0008】
第三の面において、本発明は、動物におけるキナーゼ活性、特にB−Raf活性の阻害が疾患の病状および/または症状を予防、阻止または改善する疾患を処置する方法であって、該動物に治療有効量の式Iの化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体混合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む、方法を提供する。
【0009】
第四の面において、本発明は、動物におけるキナーゼ活性、特にB−Raf活性、特に変異B−raf(例えばV600E)が疾患の病状および/または症状に関与する疾患の処置用医薬の製造における、式Iの化合物の使用を提供する。
【0010】
第五の面において、本発明は、式Iの化合物およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、被保護誘導体、個々の異性体および異性体混合物およびその薬学的に許容される塩の製造方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、MEK小分子阻害剤が、Raf小分子阻害剤により誘発したERKシグナリング、細胞増殖および形質転換を逆転できることを説明する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
発明の詳細な記載
定義
基としておよび他の基、例えばハロ置換アルキルおよびアルコキシの構造要素としての“アルキル”は直鎖でも分枝鎖でもよい。C1−4−アルコキシはメトキシ、エトキシなどを含む。ハロ置換C1−4アルキルは、水素の何れかがハロゲンで置換されていてよいアルキル基(分枝または非分枝)を意味する。例えば、ハロ置換C1−4アルキルはトリフルオロメチル、ジフルオロエチル、ペンタフルオロエチルなどであり得る。同様に、ヒドロキシ置換C1−6アルキルは、水素の何れかがヒドロキシルで置換されていてよいアルキル基(分枝または非分枝)を意味する。例えば、ヒドロキシ置換C1−6アルキルは2−ヒドロキシエチルなどを含む。同様に、シアノ置換C1−6アルキルは、水素の何れかがシアノで置換されていてよいアルキル基(分枝または非分枝)を意味する。
【0013】
“アリール”は、6〜10個の環炭素原子を含む、単環式または縮合二環式芳香環を意味する。例えば、アリールはフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルであり得る。“アリーレン”は、アリール基由来の二価基を意味する。
【0014】
“シクロアルキル”は、示す数の環原子を含む、飽和または部分的不飽和の、単環式、縮合二環式または架橋多環式環を意味する。例えば、C3−10シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどを含む。
【0015】
“ヘテロアリール”は、1個以上の環員がヘテロ原子である場合の、上にアリールとして定義したものである。例えば、ヘテロアリールはピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニルなどを含む。
【0016】
“ヘテロシクロアルキル”は、示す環炭素の1個以上が、−O−、−N=、−NR−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)−(式中、Rは水素、C1−4アルキルまたは窒素保護基である)で置き換わっている、本明細書で定義したシクロアルキルを意味する。例えば、本発明の化合物を記載するために本明細書で使用するC3−8ヘテロシクロアルキルは、2H−ピラン、4H−ピラン、ピペリジン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、チオモルホリノ、イミダゾリジン−2−オン、テトラヒドロフラン、ピペラジン、1,3,5−トリチアン、ピロリジン、ピロリジニル−2−オン、ピペリジン、ピペリジノン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デク−8−イルなどを含む。
【0017】
“ハロゲン”(またはハロ)はクロロ、フルオロ、ブロモまたはヨードを意味する。
“pMEK”はリン酸化Mekを意味する。
“pERK”はリン酸化ERKを意味する。
【0018】
“処置”、“処置する”および“処置し”は、疾患および/またはその随伴症状を軽減または寛解させる方法を意味する。
本発明の化合物は、Chemdraw Ultra(Version 10.0)および/またはChemAxon Name Generator(JChem Version 5.3.1.0)を使用して命名する。
【0019】
好ましい態様の記載
本発明は、キナーゼ関連疾患、特にB−Rafキナーゼ関連疾患;例えば、転移性黒色腫、固形腫瘍、脳腫瘍、例えば多形神経膠芽腫(GBM)、急性骨髄性白血病(AML)、前立腺癌、胃癌、乳頭様甲状腺癌腫、卵巣低悪性度癌および結腸直腸癌の処置のための化合物、組成物および方法を提供する。
【0020】
一つの態様において、式Iの化合物を参照して、Rは−X8aおよび−XNHC(O)OR8bから選択され;ここで、各Xは独立してC1−4アルキレンであり;Xは、場合によりヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1−4アルキルおよびハロ置換C1−4アルキルから選択される基で置換されている1〜3個の水素を有してよく;ここで、R8aおよびR8bは独立して水素およびC1−6アルキルから選択され;ただし、Rが−XNHC(O)OR8bであるとき、R8bは水素ではない。
【0021】
他の態様は、式Ia:
【化2】

〔式中、YはNおよびCRから選択され;R、R、RおよびRは水素、ハロ、シアノ、C1−4アルキル、ハロ置換C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロ置換C1−4アルコキシから独立して選択され;ただし、Rがフルオロであり、Rが水素、−X8a、−XOX8a、−XC(O)NR8a8b、−XNR8a8b、−XNR8aC(O)XOR8bおよび−XNR8aS(O)0−28bから選択されるとき、RおよびRは両方とも水素ではなく;Rは−Rおよび−NR1011から選択され;ここで、RはC1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され;ここで、Rの該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ、シアノ、C1−4アルキル、ハロ置換C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロ置換C1−4アルコキシから独立して選択される基で置換されている1〜3個の水素を有してよく;R10およびR11は独立して水素およびRから選択され;Rは水素、C1−4アルキル、C3−5シクロアルキルおよびC3−5ヘテロシクロアルキルから選択され;ここで、Rの該アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシル、C1−4アルキル、ハロ置換C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロ置換C1−4アルコキシから独立して選択される基で置換されている1〜3個の水素を有してよい。〕
の化合物である。
【0022】
さらなる態様において、Rが−Rであり;ここで、RがC1−3アルキルおよびC3−8シクロアルキルから選択され;ここで、Rの該アルキルまたはシクロアルキルは場合によりハロおよびハロ置換C1−4アルキルから独立して選択される基で置換されている1〜3個の水素を有してよい。
【0023】
さらなる態様において、Rが水素およびフルオロから選択され;Rがクロロ、フルオロおよびメチルから選択され;Rが水素、クロロおよびフルオロから選択され;YがNおよびCRから選択され;Rが水素およびフルオロから選択される。
【0024】
さらなる態様は、次のものから選択される化合物である:N−[(2S)−1−({4−[3−(3−クロロ−5−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−[(4−{3−[2−フルオロ−3−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−[(4−{3−[3−クロロ−5−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(2,6−ジフルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−[(4−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−{[4−(3−{2−フルオロ−3−[(3,3,3−トリフルオロプロパン)スルホンアミド]フェニル}−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(3−クロロ−2−メタンスルホンアミドピリジン−4−イル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(3−フルオロ−2−メタンスルホンアミドピリジン−4−イル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(2−クロロ−3−エタンスルホンアミド−4,5−ジフルオロフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(2,4−ジフルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[1−(プロパン−2−イル)−3−(2,4,5−トリフルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(3−エタンスルホンアミド−2,4−ジフルオロフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−2−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(オキサン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−[(4−{3−[2,4−ジフルオロ−3−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(3−シクロプロパンスルホンアミド−2,5−ジフルオロフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−3−シクロプロパンスルホンアミド−2−フルオロフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;およびN−[(2S)−1−[(4−{3−[5−クロロ−2−フルオロ−3−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル。
【0025】
他の態様は、式Ib:
【化3】

〔式中、Rはクロロ、フルオロおよびメチルから選択され;Rはフルオロおよびクロロから選択され;Rはエチルおよびイソプロピルから選択される。〕
の化合物である。
【0026】
さらなる態様は、次のものから選択される化合物である化合物である:N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(2,5−ジフルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(2−フルオロ−3−メタンスルホンアミド−5−メチルフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(2−クロロ−3−メタンスルホンアミド−5−メチルフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(2−クロロ−5−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2R)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;N−[(2S)−1−({4−[3−(2,5−ジクロロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;およびN−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル。
【0027】
他の態様は、次のものから選択される化合物である:N−[5−クロロ−3−(4−{2−[(2−シアノエチル)アミノ]ピリミジン−4−イル}−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)−2−フルオロフェニル]メタンスルホンアミド;N−{5−クロロ−3−[4−(2−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}ピリミジン−4−イル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]−2−フルオロフェニル}メタンスルホンアミド;N−(5−クロロ−2−フルオロ−3−{4−[2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル}フェニル)メタンスルホンアミド;およびN−{3−[4−(2−アミノピリミジン−4−イル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]−5−クロロ−2−フルオロフェニル}メタンスルホンアミド。
【0028】
さらなる態様は、下の実施例および表から選択される化合物である。
【0029】
さらなる態様は、次のものから選択される中間体化合物である:3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロアニリン;シアノ−(2−メチルチオ−ピリミジン−4−イル)−酢酸tert−ブチルエステル;1−イソプロピル−4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−アミン;2−((2−ベンジリデン−1−エチルヒドラジニル)メチレン)−マロノニトリル;1−(3−アミノ−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン;1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン;1−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン;1−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン;3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オン;3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オン;3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オン;4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−アミン;4−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−アミン;4−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−アミン;4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−オール;2−クロロ−4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン;1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル;1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(R)−メチル;1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−tert−ブチル;3−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパンニトリル;4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン;N−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イル)−N,N−ジメチルエタン−1,2−ジアミン;N−(3−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)プロパン−1−スルホンアミド;3−フルオロ−4−ヨードピリジン−2−アミン;3−クロロ−4−ヨードピリジン−2−アミン;3−ブロモ−2,5,6−トリフルオロアニリン;2,4−ジブロモ−3,6−ジクロロアニリン;3−ブロモ−2−クロロ−5−メチルアニリン;3−ブロモ−2,5−ジフルオロアニリン;3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロ安息香酸;3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロフェニルカルバミン酸tert−ブチル;3−ブロモ−2−フルオロ−5−メチルフェニルカルバミン酸tert−ブチル;5−クロロ−2−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル;2,6−ジフルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル;N−(2,4−ジフルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパン−1−スルホンアミド;2−(2−フルオロ−3−ニトロフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン;2,5−ジフルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;2−クロロ−5−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;2,5−ジクロロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;2−クロロ−5−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;2−フルオロ−5−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル;3−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミン;2,3,6−トリフルオロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;3−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミン;3−クロロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;および3−メトキシ−2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン。
【0030】
本発明はまた本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の全ての適当な同位体置換体も含む。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位体置換体は、少なくとも1個の原子が、同じ原子番号を有するが、原子質量が通常天然で見られる原子質量と異なる原子に置き換わっているものと定義する。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩に取り込みうる同位体の例は、水素、炭素、窒素および酸素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、35S、18F、36Clおよび123Iを含むが、これらに限定されない。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩のある同位体置換体、例えば、放射活性同位体、例えばHまたは14Cが取り込まれているものは、薬物および/または基質組織分布試験に有用である。具体例として、Hおよび14C同位体はその製造の容易さおよび検出能のために使用できる。他の例において、Hのような同位体での置換は、例えば大きな代謝安定性に起因するある種の治療的利点、例えばインビボ半減期の延長または必要投与量の減少をもたらし得る。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位体置換体は、一般に適当な反応材の適当な同位体置換体を使用して、慣用法により製造できる。
【0031】
あるRaf阻害剤は、野生型B−Raf細胞におけるMEKおよびERKシグナリングの亢進に加えて、また癌細胞株で細胞増殖を誘発し、線維芽細胞の形質転換および増殖を誘発する。下流シグナリングの誘発は、以前に公開されたRaf経路フィードバックループにあるとされている。しかしながら、pMEKおよびpERKの誘発は、Raf阻害剤処置数分以内に、報告されたフィードバックリン酸化事象がB−RafおよびC−Rafで観察される前にすら起こり得る。シグナリングおよび細胞増殖の誘発は、両方とも二相性パターンで起こり、低化合物濃度(0.01−0.1μM)で最大誘発を起こし、高化合物濃度(1−10μM)であまり大きくない誘発を起こす。このような二相性パターンはまた精製野生型B−RafまたはC−Rafを用いる生化学アッセイでも観察されており、2個のシグナリングサブユニットの相互作用を含む機構を示唆する。加えて、Raf二量体化が、Raf分子のトランスリン酸化を介してではなく、恐らく、該キナーゼの立体構造的活性化により、pMEKを上方制御できる。このモデルに一致して、Raf阻害剤処置は細胞においてB−Raf/C−Raf二量体形成を誘発する。加えて、siRNAでのA−またはB−Rafのノックダウンは、pMEKおよびpERKのRaf阻害剤誘発を抑制できず、C−Rafのノックダウンのみがこの誘発を僅かに減少させる。顕著には、K−Ras変異細胞におけるK−Rasのノックダウンもまたこの誘発を僅かに減少させ、この作用が主にRasにより仲介されないことを暗示する。これらを合わせて、このデータは、1個のRaf分子に結合する阻害剤が、二量体化および該二量体におけるパートナーRaf分子の立体構造的活性化を誘発するモデルを示唆する。これは、なぜ野生型Rafおよび変異Ras腫瘍が選択的Rafキナーゼ阻害剤に非感受性であるかを説明でき、また、強い分裂促進的シグナリングの誘発が正常組織の過増殖をもたらし得るため毒性についての重要な暗示も有するはずである。Raf阻害剤誘発機構の理解が、改善された阻害剤の設計をもたらし得る。
【0032】
Raf阻害剤との組み合わせにおけるMEK阻害剤の添加は、ERKシグナリングの阻害と、その結果としての細胞増殖および形質転換の減少をもたらす。MEK阻害剤処置単独では、臨床において用量制限的毒性をもたらすため、RafとMEK阻害剤の組合せは、優れた処置戦略を提示し得る。
【0033】
本発明はまた本明細書に記載のB−Raf阻害剤と他の薬剤との組合せも含む。特に、本発明はMEK1/2阻害剤の組合せを提供する。図1は、MEK小分子阻害剤の添加がRaf小分子阻害剤による誘発されたERKシグナリング、細胞増殖および形質転換を逆転できることを説明する。例えば、式Iの化合物(本発明の化合物9、すなわち:(1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル)は、図1のSW620細胞を使用したCell Titer Gloアッセイの負の阻害として見られる、細胞増殖の誘発をもたらし得る。Y軸は負および正の阻害を示す。各実験は、10〜0.002μMの間の一連の9連続希釈として示す。化合物A1(N−(4−メチル−3−(1−(6−(4−メチルピペラジン−1−イルアミノ)ピリミジン−4−イル)−1H−イミダゾール−2−イルアミノ)フェニル)−3−(トリフルオロメチル)ベンズアミド)は対照であり、A3はMEK阻害剤(PD0325901)である。化合物9を、MEK阻害剤A3の非存在下ならびに1μM、0.1μMおよび0.01μMの存在下で試験する。
【0034】
薬理学および有用性
本発明の化合物は、キナーゼ類の活性を阻害し、それ故に、キナーゼ類が疾患の病状および/または症状に関与する疾患または障害の処置に有用である。ここに記載する化合物および組成物により阻害され、ここに記載する方法が有用であるキナーゼ類の例は、B−Rafの変異形態を含むB−Rafを含むが、これに限定されない。
【0035】
マイトージェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路は、細胞増殖、生存、分化および遊走を制御するために協調する多くのエフェクター分子の活性を仲介する。細胞の、例えば、増殖因子、サイトカインまたはホルモンによる刺激は、原形質膜関連RasをGTP結合にし、それにより活性化してRafを動員する。この相互作用は、MAPK/ERK(MEK)の直接リン酸化をもたらすRafのキナーゼ活性を誘発し、それが細胞外シグナル関連キナーゼ(ERK)をリン酸化する。続いて、活性化ERKが多様なエフェクター分子、例えば、キナーゼ類、ホスファターゼ類、転写因子および細胞骨格タンパク質をリン酸化する。それ故、Ras−Raf−MEK−ERKシグナリング経路は、細胞表面受容体から核にシグナルを伝達し、例えば、細胞増殖および生存に必須である。このシグナリングカスケードの制御は、Ras(K−Ras、N−RasおよびH−Rasを含む)、Raf(A−Raf、B−Raf、C−Raf/Raf−1)、MEK(MEK−1およびMEK−2)およびERK(ERK−1およびERK−2)の複数アイソフォームによりさらに富化される。ヒト癌の10〜20%が発癌性Ras変異体を担持し、多くのヒト癌が活性化増殖因子受容体を有するため、この経路は介入のための理想的な標的である。
【0036】
多くのシグナリング経路におけるRafの本質的役割および位置は、哺乳動物細胞における調節解除され、かつ優性な阻害性Raf変異体を使用した試験ならびに生物設計上の
生化学的および遺伝学的技術を用いた試験により証明されている。過去には、抗腫瘍剤標的としてのRafに対する焦点は、Rasの下流エフェクターとしてのその機能に絞られていた。しかしながら、最近の発見は、Rafが発癌性Ras対立遺伝子を必要とせずにある種の腫瘍の形成に顕著な役割を有し得ることを示唆する。特に、B−RafおよびN−Rasの活性化対立遺伝子が、黒色腫の〜70%、乳頭様甲状腺癌腫の40%、卵巣低悪性度癌の30%および結腸直腸癌の10%で見出されている。K−Rasの変異が膵臓癌の約90%で起こる。ほとんどのB−Raf変異はキナーゼドメイン内に見つかり、一置換(V600E)が少なくとも80%を占める。変異B−Rafタンパク質は、MEKに対する上昇したキナーゼ活性を介してまたはC−Rafの活性化を介してRaf−MEK−ERK経路を活性化する。
【0037】
それ故、B−Rafに対するキナーゼ阻害剤は、多くのタイプのヒト癌、特に転移性黒色腫、固形腫瘍、脳腫瘍、例えば多形神経膠芽腫(GBM)、急性骨髄性白血病(AML)、肺癌;乳頭様甲状腺癌腫、卵巣低悪性度癌および結腸直腸癌の新しい治療機会を提供する。数種のRafキナーゼ阻害剤がインビトロおよび/またはインビボアッセイで腫瘍細胞増殖を阻害する効果を示すとして報告されている(例えば、米国特許6,391,636、6,358,932、6,037,136、5,717,100、6,458,813、6,204,467および6,268,391参照)。他の特許および特許出願は白血病(例えば、米国特許6,268,391、6,204,467、6,756,410および6,281,193;および放棄された米国特許出願20020137774および20010006975参照)または乳癌(例えば、米国特許6,358,932、5,717,100、6,458,813、6,268,391、6,204,467および6,911,446参照)の処置のためのRafキナーゼ阻害剤の使用を示唆する。データは、Rafキナーゼ阻害剤がMAPK経路を介してシグナリングを顕著に阻害でき、B−Raf(V600E)腫瘍の劇的退縮に至ることを証明する。
【0038】
本発明の化合物は、これらの癌細胞におけるシグナルカスケードを遮断することによりB−Rafキナーゼが関与する細胞過程を阻害し、最終的に細胞の静止および/または死を誘発する。
【0039】
前記によって、本発明は、さらに肺癌、前立腺癌、胃癌、膵臓癌、膀胱癌、結腸癌、骨髄障害、前立腺癌、甲状腺癌、黒色腫、腺腫ならびに卵巣、眼、肝臓、胆管および神経系の癌の予防または処置方法を提供する。さらに、本発明は、処置を必要とする対象における上に記載した疾患または障害のいずれかを予防または処置する方法であって、該対象に治療有効量(下の“投与および医薬組成物”参照)の式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。上の使用の何れにおいても、必要投与量は投与方式、処置する特定の状態および望む処置によって異なる。
【0040】
投与および医薬組成物
一般に、本発明の化合物は、治療有効量を、当業者に通常でかつ許容される既知の方式で、単独でまたは1種以上の治療剤と組み合わせて投与する。治療有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的健康、使用する化合物の効力および他の因子によって大きく変わり得る。一般に、満足のいく結果が、約0.03〜30mg/kg体重の1日投与量での全身投与で得られることが示される。大型哺乳動物、例えばヒトにおける指示される1日量は、約0.5mg〜約2000mgの範囲であり、簡便には、例えば1日4回までの分割量でまたは遅延形態で投与する。経口投与に適当な単位投与形態は、約1〜500mgの有効成分を含む。
【0041】
本発明の化合物は、医薬組成物として任意の簡便な経路で、特に経腸的に、例えば、経口的に、例えば、錠剤またはカプセル剤の形でまたは非経腸的に、例えば、注射用溶液または懸濁液の形で、局所的に、例えば、ローション、ゲル、軟膏またはクリームの形でまたは経鼻または坐薬形態で投与できる。遊離形または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物を少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤医薬組成物は、混合、造粒またはコーティング法による簡便な方法で製造できる。例えば、経口組成物は、有効成分をa)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまたc)結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびまたはポリビニルピロリドン;所望によりd)崩壊剤、例えば、デンプン類、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩または起沸性混合物;および/またはe)吸収剤、着色剤、香味剤および甘味剤と共に含む錠剤またはゼラチンカプセル剤である。注射用組成物は、等張水溶液または懸濁液であってよく、坐薬は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造できる。組成物は滅菌してよくおよび/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用塩および/または緩衝剤を添加してよい。加えて、それらはまた他の治療的に価値ある物質を含み得る。例えば、本発明の化合物は、マイクロエマルジョン前濃縮物(MEPC)に製剤できる。式Iの化合物は、56%PEG400、29%cremophor ELおよび15%オレイン酸の混合物中で40mg/mlで調製できる。この混合物を、式Iの化合物無しで、最初にボルテックス処理/振盪により製造する。本発明の化合物を添加し、超音波を使用して粉末を媒体に分散させる。この混合物を80℃で水浴中、約1時間撹拌しながら、15分間毎に超音波処理して加熱する。この混合物は、室温で約1週間物理的および化学的に安定である。
【0042】
経皮適用のための適当な製剤は、有効量の本発明の化合物を担体と含む。担体は、宿主の皮膚を経る通過を助けるための吸収性の薬理学的に許容される溶媒を含み得る。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、化合物を所望により担体と共に含む貯蔵部、場合により該化合物を宿主の皮膚に制御されかつ予定された速度で長時間にわたり送達するための速度制御バリアおよび該デバイスを皮膚に固定するための手段を含むバンデージの形である。マトリクス経皮製剤も使用し得る。例えば、皮膚および眼への局所適用に適当な製剤は、好ましくは当分野で既知の水溶液剤、軟膏剤、クリーム剤またはゲル剤である。これらは可溶化剤、安定化剤、張性増加剤、緩衝剤および防腐剤を含んでよい。
【0043】
本発明の化合物は、治療有効量を1種以上の治療剤と組み合わせて投与できる(組合せ剤)。例えば、他の抗腫瘍剤または抗増殖剤、例えば、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、挿入(intercalating)抗生物質、増殖因子阻害剤、細胞サイクル阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答修飾剤、抗体、細胞毒、抗ホルモン剤、抗アンドロゲン、抗血管形成剤、キナーゼ阻害剤、パンキナーゼ阻害剤または増殖因子阻害剤と相乗効果が生じ得る。
【0044】
本発明の化合物は、治療有効量で、コーンデンプン、ポテトデンプン、タピオカデンプン、デンプンペースト、アルファ化デンプン、糖類、ゼラチン、天然ゴム類、合成ゴム類、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、セルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、ポリビニルピロリドン、タルク、炭酸カルシウム、粉末化セルロース、デキストレート類、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、寒天−寒天、炭酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール類、ラウリル硫酸ナトリウム、水素化植物油、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、ダイズ油、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、シリカおよびこれらの組合せから選択される1種以上の適当な添加物と組み合わせて投与できる。
【0045】
本発明の一態様は、さらに対象に付加的治療剤を投与することを含む。該付加的治療剤は抗癌剤、鎮痛剤、制吐剤、抗鬱剤または抗炎症剤を含む。さらに、該付加的治療剤は異なるRafキナーゼ阻害剤またはMEK、mTOR、HSP90、AKT、PI3K、CDK9、PAK、タンパク質キナーゼC、MAPキナーゼ、MAPKキナーゼもしくはERKの阻害剤であり、対象に本発明の化合物と同時に投与する。
【0046】
例えば、Raf阻害剤と組み合わせたMEK阻害剤の添加は、ERKシグナリングの顕著な阻害と、その結果としての細胞増殖および形質転換の減少をもたらす。MEK阻害剤処置単独が臨床において用量制限的毒性をもたらすため、RafとMEK阻害剤の組合せは、優れた処置戦略を示し得る。MEK阻害剤の例はAS703026(EMD Serono);MSC1936369B(EMD Serono);GSK1120212(GlaxoSmithKline);AZD6244(Memorial Sloan-Kettering Cancer Center);PD-0325901(Pfizer);ARRY-438162(Array BioPharma);RDEA119(Ardea Biosciences, Inc.);GDC0941(Genentech);GDC0973(Genentech);TAK-733(Millennium Pharmaceuticals, Inc.);RO5126766(Hoffmann-La Roche);およびXL-518(Exelixis)である。
【0047】
本発明の他の態様は、治療有効量の発明の概要の化合物(Raf阻害剤)および少なくとも1種のMEKタンパク質キナーゼ阻害剤を含む組合せおよび癌の処置方法である。
【0048】
本発明の化合物を他の治療剤と共に投与するとき、併用化合物の投与量は当然用いる併用剤のタイプ、用いる特定の薬物、処置すべき状態などにより変わる。
【0049】
本発明はまた、a)遊離形または薬学的に許容される塩形態のここに開示される本発明の化合物である第一剤およびb)少なくとも1種の併用剤を含む組合せ剤、例えばキットも提供する。キットはその投与のための指示を含み得る。
【0050】
用語“共投与”または“組合せ投与”またはここで使用する類似のものは、選択した複数治療剤の一患者への投与を包含することを意図し、複数薬物が必ずしも同一投与経路でまたは同時に投与されるものではない処置レジメンを含むことを意図する。
【0051】
ここで使用する用語“組合せ剤”は、1種を超える有効成分の混合または組合せ由来の製品を意味し、これらの有効成分が固定されたおよび固定されていない組合せの両方を包含する。用語“固定された組合せ”は、複数有効成分、例えば式Iの化合物と併用剤が、両方とも一患者に同時に一つのものまたは投与量として投与されることを意味する。用語“固定されていない組合せ”は、複数有効成分、例えば式Iの化合物と併用剤を、両方とも一患者に、別々の物として、一緒に、同時にまたは特定の時間制限なく逐次的に投与され、ここで、かかる投与が患者体内で2化合物の治療有効レベルを提供することを意味する。後者はまたカクテル療法、例えば3種以上の有効成分の投与にも適用される。
【0052】
本発明の化合物の製造方法
本発明はまた本発明の化合物の製造方法も包含する。記載する反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ基、アミノ基、イミノ基、チオまたはカルボキシ基を、これらが最終生成物に望まれるとき、望まない反応への参加を避けるために保護する必要があるかもしれない。慣用の保護基を標準的実務に従い使用でき、例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991を参照のこと。
【0053】
式Iの化合物を、次の反応スキームIのとおりに進行させることにより製造できる:
【化4】

〔式中、R、R、R、R、R、RおよびYは発明の概要に定義したとおりであり、Pは適当な保護基(例えば、MEM、MOM、SEM、RSOなど)であり、Mは脱離基(例えば、クロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシなど)である。〕。式Iの化合物を、式2の化合物からの保護基Pの除去により製造できる(例えば、PがMEM、MOMまたはSEMであるとき、プロトン性溶媒、例えばメタノールまたは水存在下での強酸、例えば塩化水素での処理により;またはPが第二スルホニル基RSOであるとき、場合により共溶媒、例えばトルエンの存在下、水性またはメタノール性の炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムでの処理により)。
【0054】
式2の化合物は、式3の化合物と式4のアルキル化剤の適当な溶媒(例えば、DMF、DMSOなど)および適当な塩基(例えば、炭酸カリウム、水素化ナトリウムなど)存在下での反応により製造できる。反応は約0℃から約150℃の範囲の温度で進行し、終了まで最大約24時間かかり得る。反応混合物を場合により何らかの保護基を除去するためにさらに反応させる。
【0055】
式Iの化合物はまた次の反応スキームIIのとおりに進行させることにより製造できる:
【化5】

〔式中、R、R、R、R、RおよびYは発明の概要に定義したとおりである。式Iの化合物を、式5の化合物と式6のスルホニル化剤を、適当な塩基(例えば、ピリジン、トリエチルアミン、4−(N,N−ジメチルアミノ)ピリジンなど)および適当な溶媒(例えばピリジン、ジクロロメタン、2−メチルTHFなど)の存在下で反応させることにより製造できる。反応は約0℃から約100℃の範囲の温度で進行し、終了まで最大約24時間かかり得る。反応混合物を場合により何らかの保護基を除去するためにさらに反応させる。数例では、スルホニル化剤を2回反応させて、ビス−スルホニル誘導体を製造できる。この場合は、ビス−スルホニル化合物を、式Iの化合物に、適当な塩基(例えば、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムまたは炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム)で、プロトン性溶媒、例えばメタノールまたは水の存在下、場合により共溶媒、例えばトルエンまたは2−メチルTHFの存在下で処理することにより変換できる。反応は約20℃から約100℃の範囲の温度で進行し、終了まで最大約24時間かかり得る。
【0056】
式Iの化合物はまた次ののとおりに進行させることにより製造できる反応スキームIII:
【化6】

〔式中、R、R、R、R、RおよびYは発明の概要に定義したとおりであり、R50は脱離基(例えば、ヨード、ブロモ、クロロ、トリフルオロメタン−スルホニルオキシなど)であり、各R’は、例えば水素、メチルなどであるかまたは2個のR’基が一体となって環状ボロン酸エステルを形成できる。2個のR90基は各々水素であるかまたは2個のR90基は、一体となって適当な窒素保護基(例えば、1個のR90が水素であり、他方がBOCであり得る)を表し得る〕。式Iの化合物は、式7の化合物と式8の化合物を、適当な遷移金属触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィンパラジウム)(0)またはPdCl(dppf)、適当な溶媒(例えば、DME、ジオキサン、トルエン、エタノールなど)および適当な塩基(例えば、無水炭酸カリウムまたは炭酸ナトリウム水溶液など)の存在下で反応させることにより合成できる。反応は約20℃から約120℃の範囲の温度で進行し、終了まで最大約24時間かかり得る。反応混合物を場合により何らかの保護基を除去するためにさらに反応させる。
【0057】
式Iの化合物はまた、式7の化合物を式8の化合物と反応させて、式9の化合物を産生する類似の鈴木反応プロトコルにより製造できる。R90基の脱保護に続き、反応スキームIIに記載するスルホニル化反応により、式Iaの化合物を産生する。
【0058】
例えば錫反応材(スティルカップリング)または亜鉛反応材(根岸カップリング)を使用する他の有機金属カップリング反応も、反応スキームIIIに記載するホウ素反応材を使用する鈴木カップリング反応に変えて用いられることは当業者には当然である。
【0059】
式7の化合物を、次の反応スキームIVのとおりに進行させることにより製造できる:
【化7】

【0060】
この場合は、Mは脱離基(例えば、クロロ、ブロモ、ヨード、メタンスルホニルなど)であり、R50は脱離基(例えば、ヨード、ブロモ、クロロ、トリフルオロメタンスルホニルオキシなど)であり、Rは発明の概要に定義したとおりである。式7の化合物を、式10のアミン化合物と式11の化合物を反応させることにより製造できる。反応は適当な塩基(例えば、トリエチルアミン、炭酸カリウムなど)の存在下、溶媒中、例えばイソプロパノール、DMSO、NMPまたはジオキサン中、約25〜約120℃の温度で行う。数例では、新たに導入したR基のさらなる変換をその後に行い、最終的に意図するR基に至る。
【0061】
Mがメタンスルホニルである式11の化合物の下位群の式11aの化合物を、次の反応スキームVのとおりに進行させることにより製造できる:
【化8】

〔式中、RおよびR50は発明の概要に定義したとおりである〕。式11aの化合物は、式12の化合物と適当な酸化システム(例えば、ジクロロメタン溶媒中のm−クロロ過安息香酸または水性メタノール中OxoneTMなど)と、約−78℃〜約50℃の温度で反応させることにより製造できる。反応は終了まで最大約24時間かかる。
【0062】
50がクロロ、ブロモまたはヨードである式12の化合物を、その後、式13のアミン化合物と適当なジアゾ化剤系(例えば、銅(I)ハライド塩と組み合わせた亜硝酸、ヨウ化銅(I)/ヨウ化メチレンと組み合わせた亜硝酸イソアミル、アセトニトリル中の三フッ化ホウ素、ヨウ素およびヨウ化カリウムと組み合わせた亜硝酸イソアミルなど)と反応させることにより製造できる。反応は約0〜約80℃の温度で行い、終了まで約1〜6時間かかる。
【0063】
式13の化合物は、反応スキームIで記載したとおり、式14の化合物と式3の化合物を反応させることにより製造できる。
【0064】
式14の化合物は、式15のエナミノニトリル化合物を、ヒドラジンまたはヒドラジン塩を用いて適当な溶媒(例えば、エタノールなど)中で環化させることにより製造できる。反応は約25〜約100℃の温度で行い、終了まで約1時間から約24時間かかり得る。
【0065】
あるいは、式13の化合物を、式15の化合物から、一工程法で、式15の化合物を一置換ヒドラジンRNH−NHと反応させることにより製造できる。反応は約25〜約100℃の温度で行い、終了まで約1時間から約24時間かかり得る。
【0066】
式15の化合物を、次に、式16の化合物と、DMF DMAまたはブレデレック反応材を、場合により共溶媒、例えばDMFの存在下、約50〜約150℃の温度で反応させることにより製造できる。反応は終了まで約1〜約24時間かかる。
【0067】
式16の化合物は、式17の化合物を、適当な酸(例えば、p−トルエンスルホン酸など)で、適当な不活性溶媒(例えば、トルエンなど)の存在下処理することにより製造できる。反応は約50〜約120℃の温度で行い、終了まで約1〜約24時間かかる。
【0068】
最後に、式17の化合物を、4−クロロ−2−(メチルチオ)ピリミジンとシアノ酢酸tert−ブチルを、適当な塩基(例えば、水素化ナトリウムなど)および適当な溶媒(例えば、DMSOなど)の存在下、約25〜約80℃の温度で反応させることにより製造できる。反応は終了まで約1〜約24時間かかる。
【0069】
Mがハロゲンである式11の化合物の下位群である式11bの化合物を、次の反応スキームVIのとおりに進行させることにより製造できる:
【化9】

〔式中、RおよびR50は発明の概要に定義したとおりである〕。Mがハロゲンである式11bの化合物は、式20の化合物と適当なジアゾ化剤系(例えば、銅(I)ハライド塩と組み合わせた亜硝酸、p−トルエンスルホン酸およびヨウ化カリウムと組み合わせた亜硝酸ナトリウム)の反応により製造できる。反応は約0〜約80℃の温度で行い、終了まで約1〜6時間かかり得る。あるいは、式20の化合物を、ジアゾ化剤(例えば、亜硝酸ナトリウムなど)でカルボン酸(例えば、トリフルオロ酢酸など)の存在下、0〜40℃で約0.5〜約6時間処理し、その後塩基性水溶液(例えば炭酸カリウム水溶液など)で処理して式21の化合物(かかる化合物は互変異性形態で存在し得る)を得る。式21の化合物を続いて塩素化剤(例えば、オキシ塩化リンなど)で、場合により塩基、例えばN,N−ジメチルアニリンまたはDIPEAの存在下および場合により不活性溶媒、例えばアセトニトリルまたはトルエンおよび添加剤、例えばDMFの存在下、約50〜約110℃の温度で、約1〜約72時間処理して、Mが塩素である式11bの化合物を得る。
【0070】
式20の化合物を、続いて、式22の化合物とグアニジンまたはグアニジン塩(例えば、塩酸グアニジンまたは炭酸グアニジン)の、場合により塩基(例えば、水酸化リチウムなど)存在下、適当な溶媒(例えば、sec−ブタノール、NMPなど)中、約50〜約180℃の温度で、約2〜約48時間の反応により製造できる。
【0071】
式22の化合物を、式23の化合物とDMF DMAまたはブレデレック反応材を、場合により共溶媒、例えばDMFの存在下、約50〜約150℃の温度で反応させることにより製造できる。反応は終了まで約1〜約24時間かかる。
【0072】
50がクロロ、ブロモまたはヨードである式23の化合物は、式24のアミン化合物と適当なジアゾ化剤系(例えば、銅(I)ハライド塩と組み合わせた亜硝酸、p−トルエンスルホン酸およびヨウ化カリウムと組み合わせた亜硝酸ナトリウムまたは三フッ化ホウ素−THF、ヨウ素、ヨウ化カリウムおよびアセトニトリルと組み合わせた亜硝酸イソアミル)の反応により製造できる。反応は約0〜約80℃の温度で行い、終了まで約1〜6時間かかる。
【0073】
式24の化合物を、次いで、式25の化合物と有機金属反応材、例えばメチルリチウム、メチルリチウム−リチウムブロマイド複合体またはメチルマグネシウムハライド反応材を、不活性溶媒中、例えばTHF、エーテルまたはシクロプロピルメチルエーテル中、約0〜約100℃の温度で反応させ、続いて水性反応停止溶液で処理することにより製造する。反応は終了まで約2〜約48時間かかる。
【0074】
式25の化合物は、反応スキームIに記載のとおり式26の化合物と式3の化合物を反応させることにより製造できる。あるいは、式25の化合物を、2個のR”基が一体となって酸不安定保護基(例えば、イミン、例えばベンジリデンまたはカルバミン酸エステル、例えばカルバミン酸t−ブチル)を形成する式27の化合物から製造できる。反応は、式27の化合物を水性酸溶液(例えば、濃塩酸など)で、溶媒中、例えばエタノール中、約25〜約100℃の温度で処理することにより行う。好ましくは2個のR”基は、一体となってイミン、例えばベンジリデンを形成する。
【0075】
式27の化合物を、次に、式28の化合物と、2個のR”基が一体となって酸不安定保護基(例えば、イミン、例えばベンジリデンまたはカルバミン酸エステル、例えばカルバミン酸t−ブチル)を形成する式29の化合物を反応させることにより製造する。反応は溶媒(例えばトルエン、メタノールまたはエタノール)中、約25〜約120℃の温度で、場合により触媒、例えばDMAPの存在下で行い、終了まで約1〜約24時間かかる。場合により、本反応は、不活性溶媒(例えば、THFなど)中、塩基(例えばn−ブチルリチウムなど)の存在下、約−80〜約25℃の温度で、約0.5〜約12時間かけて行う。
【0076】
式29の化合物を当業者に既知の方法により製造できる。例えば、2個のR”基が一体となってベンジリデン基を形成する式29の化合物を、ベンズアルデヒドと一置換ヒドラジンRNHNHの、溶媒中、例えばエタノールまたはトルエン中、約1〜約24時間、約25〜約120℃の温度での反応により製造できる。あるいは、本反応を、塩基(例えば酢酸ナトリウムまたはトリエチルアミン)と組み合わせた一置換ヒドラジン塩(例えば、塩酸塩またはシュウ酸塩など)を使用して実施できる。
【0077】
式8または式8aの化合物は、次の反応スキームVIIに記載のとおり製造できる:
【化10】

〔式中、R、R、R、RおよびYは発明の概要に定義したとおりであり、Mは脱離基(例えば、ヨード、ブロモ、クロロ、トリフルオロメタンスルホニルオキシなど)であり、各R’は、例えば水素、メチルなどであってよくまたは2個のR’基が一体となって環状ボロン酸エステルを形成できる。2個のR90基は、各々水素であってよくまたは2個のR90基は、一体となって、適当な窒素保護基(例えば、1個のR90が水素であってよく、他方がBOCであってよい)を表し得る〕。式8または式8aの化合物は、各々式50または式50aの化合物と、ジボロン化合物(例えば、ビス(ピナコラト)ジボロンなど)を、適当な遷移金属触媒(例えばPdCl(dppf))および適当な塩基(例えば、酢酸カリウムなど)の存在下、適当な溶媒(例えば、トルエン、ジオキサンなど)中で反応させることにより製造できる。反応は約20℃から約120℃の範囲の温度で進行し、終了まで最大約24時間かかり得る。式50の化合物は、続いて、反応スキームIIに記載のとおり式51の化合物のスルホニル化により製造できる。当業者には、式51の化合物または式50a、例えば、3−ブロモアニリン類またはN−BOC保護3−ブロモアニリン類を、下の実施例にさらに記載する方法を含むが、これに限定されな種々の方法で製造できる。
【0078】
式70の化合物は、次の反応スキームVIIIに記載するとおりに製造できる:
【化11】

〔式中、R8bは発明の概要に定義したとおりであり、R55はC1−4アルキルまたはハロ置換C1−4アルキルから選択される〕。式70の化合物は、式71の化合物を適当な還元系(例えば、パラジウム触媒を用いる水素化など)で、適当な溶媒(例えば、エタノールまたは酢酸エチル)中、約25〜約75℃の温度で、約0.5〜約12時間の間処理することにより製造できる。
【0079】
式71の化合物は、次に、式73の化合物のヒドロキシ基の適当な脱離基への変換と、続くアジドアニオンへの置換から成る、2工程法により製造できる。第一工程について、適当な反応材は、三臭化リンまたはメタンスルホニルクロライドと適当な塩基、例えばトリエチルアミンの組合せを含む。反応は適当な溶媒(例えば、ジクロロメタンなど)中、約0〜約50℃の温度で行う。第二工程について、置換は、アジド剤(例えば、ナトリウムアジドなど)を用いて、適当な溶媒(例えば、DMFまたはDMSO)中、約25〜約150℃の温度で行う。反応は終了まで約1〜約24時間かかる。あるいは、本変換を、式73の化合物のホスフィン剤(例えば、トリフェニルホスフィンなど)およびアゾジカルボキシレート剤(例えば、ジエチルアゾジカルボキシレートなど)で、アジ化水素酸(その場でアジド塩、例えばナトリウムアジドおよび酸から形成)の存在下に処理することにより一工程で実施できる。反応は約−80℃〜約75℃の温度で行い、終了まで約1〜約24時間かかる。
【0080】
式73の化合物は、式74の化合物をクロロホルメート(例えば、クロロギ酸メチルなど)、あるいはアルコキシカルボニル化剤、例えばジカルボン酸ジ−tert−ブチルで処理することにより製造できる。反応は不活性溶媒(例えば、ジクロロメタンなど)中、約−80〜約25℃の温度で行い、終了まで約1〜約12時間かかる。塩基、例えばトリエチルアミンを場合により使用してよい。本反応はまた溶媒、例えばTHFまたはジオキサンおよび塩基性水溶液、例えば重炭酸ナトリウム水溶液から成る2相系で、約25℃の温度で、約2〜約16時間で行ってもよい。
【0081】
式70の化合物はまた次の反応スキームIXに記載するとおりにも製造できる:
【化12】

〔式中、R8bは発明の概要に定義したとおりであり、R55はC1−4アルキルまたはハロ置換C1−4アルキルから選択され、R56は適当な保護基、例えば、ベンジルオキシカルボニル(CBz)である〕。式70の化合物は式75の化合物の脱保護により製造できる。例えば、式70の化合物は、R56がCbzである式75の化合物を、適当な還元系(例えば、パラジウム触媒を用いる水素化など)で、適当な溶媒(例えば、エタノール、メタノール、MTBEまたは酢酸エチル)中、約25〜約75℃の温度で、場合により酸、例えば塩化水素の存在下、約0.5〜約12時間処理することにより製造できる。あるいは、脱保護は、適当な水素ドナー、例えばギ酸、ギ酸アンモニウムまたは1,4−シクロヘキサジエンを使用する水素移動条件下に行い得る。式75の化合物は、次いで、式76の化合物とクロロホルメート(例えば、クロロギ酸メチルなど)との、あるいはアルコキシカルボニル化剤、例えばジカルボン酸ジ−tert−ブチルとの反応により製造できる。本反応は、不活性溶媒(例えば、ジクロロメタンなど)中、約−80〜約25℃の温度で行い、終了まで約1〜約24時間かかる。塩基、例えばトリエチルアミンを場合により使用してよい。本反応はまた溶媒、例えばTHFまたはジオキサンおよび塩基性水溶液、例えば重炭酸ナトリウム水溶液から成る二相系で、約25℃の温度で、約2〜約16時間行ってもよい。式76の化合物は式77の化合物の保護により製造できる。保護条件は、優先的にまたは実質的に式76の一つの異性体を提供するように選択できる。あるいは、式77の一つの異性体の形成には殆どまたは全く好ましくないにもかかわらず、式76の化合物をその後の使用に十分な純度で単離できるように条件を選択することができる。かかる純度を得るための手段は、塩基または塩の結晶化を含み得る。R56がCbzである式76の化合物を、式77の化合物をクロロギ酸ベンジルで処理することにより製造できる。本反応は不活性溶媒(例えば、ジクロロメタンなど)中、約−80〜約25℃の温度で行い、終了まで約1〜約24時間かかる。塩基、例えばトリエチルアミンを場合により使用してよい。本反応はまた溶媒、例えばTHFまたはジオキサンおよび塩基性水溶液、例えば重炭酸ナトリウム水溶液から成る二相系で、約25℃の温度で、約2〜約24時間行ってもよい。式77の化合物の塩を、遊離塩基の代わりの添加物として、塩基、例えばトリエチルアミンまたは炭酸ナトリウムと共に使用できる。
【0082】
式70の化合物は一エナンチオマーであるかまたはエナンチオマー混合物であり、式70の化合物の一エナンチオマーを、式74または式77の化合物の適当な一エナンチオマーから出発して得ることができることは、当業者が理解するところである。
【0083】
式Iaの化合物の合成の詳細な例は、下の実施例に見ることができる。
【0084】
本発明の化合物を製造するための付加的工程
本発明の化合物は、遊離塩基形態の化合物を薬学的に許容される無機または有機酸と反応させることにより、薬学的に許容される酸付加塩として製造できる。あるいは、薬学的に許容される塩基付加塩の本発明の化合物を、遊離酸形態の化合物を薬学的に許容される無機または有機塩基と反応させることにより、製造できる。
【0085】
あるいは、塩形態の本発明の化合物を、塩の出発物質または中間体を使用して製造できる。
【0086】
遊離酸または遊離塩基形態の本発明の化合物を、それぞれ対応する塩基付加塩または酸付加塩形態から製造できる。例えば酸付加塩形態の本発明の化合物を、対応する遊離塩基に、適当な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することにより変換できる。塩基付加塩形態の本発明の化合物を、対応する遊離酸に適当な酸(例えば、塩酸など)で処理することにより製造できる。
【0087】
酸化されていない形態の本発明の化合物を、本発明の化合物のN−オキシドから、還元剤(例えば、硫黄、二酸化硫黄、トリフェニルホスフィン、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭化リンなど)で、適当な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサンなど)中、0〜80℃で処理することにより製造できる。
【0088】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を、当業者に既知の方法により製造できる(例えば、さらなる詳細については、Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照のこと)。例えば、適当なプロドラッグを、誘導体化されていない本発明の化合物を、適当なカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリダート、炭酸パラ−ニトロフェニルなど)で処理することにより製造できる。
【0089】
本発明の化合物の被保護誘導体を、当業者に既知の方法により製造できる。保護基の創成およびその除去に適用可能な技術の詳細な記載は、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に見ることができる。
【0090】
本発明の化合物を、簡便には、溶媒和物(例えば、水和物)として製造できまたはそれが本発明の工程中に形成する。本発明の化合物の水和物は、簡便には、水/有機溶媒混合物から、有機溶媒、例えばジオキシン、テトラヒドロフランまたはメタノールを使用して、再結晶により製造できる。
【0091】
本発明の化合物を、本化合物のラセミ混合物を光学活性分割剤と反応させて、ジアステレオ異性化合物の対を形成させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、その個々の立体異性体として製造できる。エナンチオマーの分割は、本発明の化合物の共有結合したジアステレオマー誘導体を使用して実施できるが、分離可能な複合体が好ましい(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。複数ジアステレオマーは異なる物理特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性性など)を有し、これらの差異を利用して容易に分割できる。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーによりまたは好ましくは、溶解度の差異に基づく分離/分割技術により分割できる。光学的に純粋なエナンチオマーを、次いで、分割剤と共に、ラセミ化をもたらさない何らかの実際的な方法により回収する。化合物のラセミ混合物からの立体異性体の分割に適用可能な技術のより詳細な記載は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981に見ることができる。
【0092】
要約すると、式Iの化合物は、次のものを含む方法により製造できる:
(a) 反応スキームI〜IXのもの;および
(b) 場合により本発明の化合物の薬学的に許容される塩への変換;
(c) 場合により塩形態の本発明の化合物の非塩形態への変換;
(d) 場合により酸化されていない形態の本発明の化合物の薬学的に許容されるN−オキシドへの変換;
(e) 場合によりN−オキシド形態の本発明の化合物のその酸化されていない形態への変換;
(f) 場合により異性体混合物からの本発明の化合物の個々の異性体、例えば立体異性体の分割;
(g) 場合により誘導体化されていない本発明の化合物の薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体への変換;および
(h) 場合によりプロドラッグ誘導体の本発明の化合物のその誘導体化されていない形態への変換。
【0093】
出発物質の製造が特に記載されていない限り、その化合物は既知であるかまたは当分野で既知のもしくは下の実施例に記載する方法に準じて製造できる。
【0094】
当業者は、上の変換が本発明の化合物の製造のための代表的な方法に過ぎず、他の既知方法を同様に使用できることを認識する。
【実施例】
【0095】
本発明を、本発明に従う式Iの化合物の製造を説明する、次の中間体および実施例化合物により説明するが、限定しない。
【0096】
使用する略語は次の通りである:ベンジルオキシカルボニル(Cbz);tert−ブトキシカルボニル(BOC);細胞増殖(CP);ジクロロメタン(DCM);N,N−ジ−イソプロピルエチルアミン(DIPEA);[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]ジクロロパラジウム(II)(PdCl(dppf));1,2−ジメトキシエタン(DME);N,N−ジメチルアセトアミド(DMA);N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP);N,N−ジメチルホルムアミド(DMF);N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(DMF DMA);ジメチルスルホキシド(DMSO);酢酸エチル(EtOAc);高速液体クロマトグラフィー(HPLC);酢酸イソプロピル(iPrOAc);メタンスルホニル(Ms);2−メチルテトラヒドロフラン(2−メチルTHF);N−メチルピロリジノン(NMP);テトラヒドロフラン(THF);薄層クロマトグラフィー(TLC);およびパラ−トルエンスルホン酸(pTsOH)。
【0097】
中間体. シアノ−(2−メチルチオ−ピリミジン−4−イル)−酢酸tert−ブチルエステル
【化13】

水素化ナトリウム(7.15g、179mmol、油中60%)のDMSO(100mL)懸濁液に、シアノ酢酸tert−ブチル(24.8g、170mmol)を23℃で添加した。水素の発生が止んだ後、4−クロロ−2−メチルチオピリミジン(13.7g、85mmol)を添加した。反応物を80℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、氷冷飽和塩化アンモニウム(300mL)でクエンチした。固体を濾過し、水(2×200mL)で洗浄した。300mLのヘキサンを固体に添加し、懸濁液を60℃で1時間加熱し、室温に冷却した。固体を濾過し、ヘキサンで洗浄して、表題化合物を得た;1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 7.82 (d, 1H), 6.74 (d, 1H), 2.63 (s, 3H), 2.61 (s, 1H), 1.52 (s, 9H);MS m/z:266.0 (M + 1)。
【0098】
中間体. (2−メチルチオ−ピリミジン−4−イル)−アセトニトリル
【化14】

中間体シアノ−(2−メチルチオ−ピリミジン−4−イル)−酢酸tert−ブチルエステル(5.3g、20mmol)の無水トルエン(100mL)溶液に、p−トルエンスルホン酸(800mg)を添加した。混合物を8時間加熱還流し、室温に冷却し、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N 水酸化ナトリウム水溶液および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(3:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、表題化合物を得た:1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 8.56 (d, 1H), 7.12 (d, 1H), 3.84 (s, 2H), 2.57 (s, 3H);MS m/z:166.0 (M + 1)。
【0099】
中間体. 4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−アミン
【化15】

工程1. 3−(ジメチルアミノ)−2−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)アクリロニトリル。
N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(30mL)を中間体(2−メチルチオ−ピリミジン−4−イル)−アセトニトリル(2.62g、15.7mmol)に添加し、混合物を100℃で16時間加熱した。冷却した反応混合物を濃縮し、残留物を精製せずに使用した。
【0100】
工程2. 4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−アミン。
先の工程からの粗3−(ジメチルアミノ)−2−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)アクリロニトリル(全量)およびヒドラジン一水和物(2.36mL、47mmol)の無水エタノール(75ml)中の混合物を80℃で16時間加熱した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮した。反応混合物を酢酸エチルおよび塩水に分配した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(2〜5%メタノールのジクロロメタン溶液溶離剤)で精製して、4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−アミンを得た:1H NMR 400 MHz (DMSO-d6) δ 11.9 (s, 1H), 8.3 (s, 1H), 7.87 (s, 1H), 7.23 (s, br 1H), 6.43 (s, 1H), 5.74 (s, 1H), 2.53 (s, 3H);MS m/z:208.0 (M + 1)。
【0101】
中間体. 1−イソプロピル−4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−アミン:
【化16】

中間体4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−アミン(10.0g、40mmol)をTHF(200mL)に溶解し、2−ヨードプロパン(6.3mL、63mmol)およびナトリウムメトキシド(メタノール中25%重量溶液、14.3ml、63mmol)を添加した。混合物を50℃で撹拌しながら、窒素雰囲気下、3日間加熱し、真空下濃縮した。残留物を酢酸エチル(200mL)に溶解し、炭酸カリウム水溶液および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、褐色残留物を得た。残留物をシリカゲル(ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)でクロマトグラフィーして、1−イソプロピル−4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−アミンを固体として得た;1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 8.23 (d, J=5.6 Hz, 1H), 7.60 (s, 1H), 6.83 (d, J=5.6 Hz, 1H), 5.23 (d, J=2.8 Hz, 2H), 4.21-4.25 (m, 1H), 2.50 (s, 3H), 1.37 (d, J=6.8 Hz, 6H);MS m/z:250.1 (M + 1)。
【0102】
次のものを同様に製造した:1−エチル−4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−アミンおよび1−メチル−4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−アミン。
【0103】
中間体. 4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン:
【化17】

中間体1−イソプロピル−4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−アミン(4.0g、16.0mmol)、亜硝酸イソペンチル(13.2g、112mmol)およびヨウ化メチレン(30mL)の混合物を100℃で3時間加熱した。揮発物を真空で除去して、暗色残留物を得て、それをシリカゲルクロマトグラフィー(2:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、表題化合物を固体として得た;MS m/z:361.1 (M + 1)。
【0104】
次のものを同様に製造した:4−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン;4−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン;および4−(3−ヨード−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン。
【0105】
中間体. 4−(3−ヨード−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン。
【化18】

4−(3−ヨード−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン(270mg、0.85mmol)およびp−トルエンスルホン酸一水和物(32mg、0.17mmol)の3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(1ml)の溶液を60℃で5時間加熱した。冷却した混合物を酢酸エチルで希釈し、混合物を水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル(10%酢酸エチルのヘキサン溶液溶離剤)でクロマトグラフィーして、表題化合物を得た。MS (m/z):402.7 (M+1)。
【0106】
中間体. 4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン:
【化19】

中間体4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジン(4.51g、12.5mmol)のジクロロメタン(60mL)溶液に、0℃で、m−クロロ過安息香酸(3.65g、77%純度、16.3mmol)を添加した。混合物を0℃で窒素下3時間撹拌し、酢酸エチルおよび炭酸カリウム水溶液で希釈し、塩水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジンを固体として得た。MS m/z:393.0 (M + 1)。
【0107】
次のものを同様に製造した:4−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン;および4−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルスルホニル)ピリミジン。
【0108】
中間体. 1−ベンジリデン−2−イソプロピルヒドラジン
【化20】

無水酢酸ナトリウム(8.2g、0.1mol)の125ml 50%エタノールを含む丸底フラスコに、イソプロピルヒドラジンHCl塩(11.1g、0.1mole)およびベンズアルデヒド(10.6g、0.1mole)を添加した。混合物をrtで20時間撹拌した。反応物をエーテル(3×250ml)で抽出した。有機層を合わせ、重炭酸ナトリウム水溶液および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濾過、濃縮およびトルエン(3×)との共蒸発により、表題化合物を油状物として得た。MS m/z 163.3 (M + 1)。
【0109】
次のものを同様に製造した:1−ベンジリデン−2−エチルヒドラジンをエチルヒドラジンオキサレートから出発して、メタノールおよびトリエチルアミンをそれぞれエタノールおよび酢酸ナトリウムの代わりに使用した;そして1−ベンジリデン−2−メチルヒドラジンをメチルヒドラジンから出発して、メタノールを溶媒として使用し、塩基を添加しなかった。
【0110】
中間体. 2−((2−ベンジリデン−1−イソプロピルヒドラジニル)メチレン)−マロノニトリル:
【化21】

中間体1−ベンジリデン−2−イソプロピルヒドラジン(12.9g、0.079mol)の200ml 無水THF溶液をドライアイス/アセトン浴中、アルゴン雰囲気下で冷却した。この溶液にn−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、66ml、0.106mol)をシリンジを介して添加した。添加終了後、混合物をドライアイス温度でさらに5分間撹拌した。(2−(エトキシメチレン)マロノニトリル(13.6g、0.11mol)のTHF(30ml)溶液を添加した。混合物をドライアイス温度で0.5時間撹拌し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液でクエンチした。クエンチした反応混合物をrtに温め、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を超音波処理しながらエタノールに懸濁した。得られた沈殿を濾過により回収し、少量のエタノールで洗浄して、2−((2−ベンジリデン−1−イソプロピルヒドラジニル)メチレン)マロノニトリルを黄色固体として得た。母液を濃縮し、残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、さらに2−((2−ベンジリデン−1−イソプロピルヒドラジニル)メチレン)マロノニトリルを得た。MS m/z 239.2 (M + 1)。
【0111】
中間体. 2−((2−ベンジリデン−1−エチルヒドラジニル)メチレン)−マロノニトリル:
【化22】

2−(エトキシメチレン)マロノニトリル(15.2g、0.124mole)の100ml トルエン溶液に、中間体1−ベンジリデン−2−エチルヒドラジン(18.4g、0.124mole)を添加した。混合物を室温で静置し、沈殿を形成させた。反応混合物をさらに16時間撹拌した。沈殿をフィルター上に回収し、少量のエタノールで洗浄して、2−((2−ベンジリデン−1−エチルヒドラジニル)メチレン)マロノニトリルを固体として得た。
【0112】
2−((2−ベンジリデン−1−メチルヒドラジニル)−メチレン)マロノニトリルを同様に製造した。
【0113】
中間体. 3−アミノ−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
【化23】

中間体2−((2−ベンジリデン−1−イソプロピルヒドラジニル)−メチレン)マロノニトリル(9.42g、40mmol)、濃塩酸(5ml)およびエタノール(50ml)の混合物を20分間加熱還流した。反応混合物を濃縮し、エーテル(50ml)を添加した。混合物を超音波処理し、上部エーテル層を廃棄した。残留物に20mlの5N 水酸化ナトリウム水溶液を添加し、混合物をジクロロメタン(3×)で抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を精シリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、3−アミノ−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルを褐色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.09 (s, 1H), 5.51 (s, 2H), 4.22 (m, 1H), 1.31 (d, J=7 Hz, 6H);MS m/z 151.2 (M + 1)。
【0114】
次のものを同様に製造した:3−アミノ−1−エチル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル;および3−アミノ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル。
【0115】
中間体. 1−(3−アミノ−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン
【化24】

中間体3−アミノ−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(5.29g、36.5mmol)の200ml 無水THF溶液に、0℃でメチルマグネシウムブロマイド溶液(エーテル中3M、56.5ml、0.17mol)を添加した。反応混合物を4時間加熱還流した。混合物を0℃に冷却し、中性pHまで10%塩酸でクエンチした。反応物を大量の9:1 ジクロロメタン/イソプロパノールで抽出した。有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1 酢酸エチル/ヘキサン〜9:1 酢酸エチル/メタノール溶離剤)で精製して、表題化合物を明褐色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.18 (s, 1H), 5.62 (s, 2H), 4.23 (m, 1H), 2.20 (s, 3H), 1.37 (d, J=7 Hz, 6H);MS m/z 168.2 (M + 1)。
【0116】
次のものを同様に製造した:1−(3−アミノ−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン;および1−(3−アミノ−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン。
【0117】
中間体. 1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン
【化25】

中間体1−(3−アミノ−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン(3.97g、24mmol)およびp−TsOH.HO(9.07g、48mmole、2当量)の150mlのアセトニトリル溶液に、0℃で、亜硝酸ナトリウム(2.97g、43mmole、1.8当量)およびヨウ化カリウム(8.0g、48mmol、2.0当量)の20ml 水溶液を添加した。混合物をこの温度で10分間撹拌し、rtに温め、3時間撹拌した。混合物を濃縮し、水で希釈し、炭酸ナトリウム水溶液でpH9〜10に中和した。混合物を酢酸エチル(3×)で抽出した。合わせた有機層をチオ硫酸ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、表題化合物を明褐色固体として得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.51 (s, 1H), 4.53 (m, 1H), 2.37 (s, 3H), 1.41 (d, J=7 Hz, 6H);MS m/z 279.1 (M + 1)。
【0118】
次のものを同様に製造した:1−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン;および1−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン。
【0119】
中間体. 3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オン:
【化26】

中間体1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン(5.0g、18.0mmol)およびN,N−ジメチル(dimethy)ホルムアミドジメチルアセタール(50mL)の混合物を155℃で20時間加熱した。混合物を真空下濃縮して、粗表題化合物を得た。MS m/z 334.0 (M + 1)。
【0120】
次のものを同様に製造した:3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オン;および3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オン。
【0121】
中間体. 4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−アミン
【化27】

粗中間体3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オン(4.0g、12.0mmol)、グアニジンヒドロクロライド(2.63g、27.6mmol)、水酸化リチウム(635mg、27.6mmol)およびsec−ブタノール(50ml)の混合物を、撹拌しながら、密閉反応容器中、110℃で20時間加熱した。冷却した反応混合物を濃縮し、水を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。酢酸エチルを固体残留物に添加し、混合物を超音波処理した。固体生成物をフィルター上に回収し、酢酸エチルで濯ぎ、乾燥させて、表題化合物を黄褐色固体として得た。MS m/z 330.0 (M + 1)。
【0122】
次のものを同様に製造した:4−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−アミン;および4−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−アミン。
【0123】
中間体. 4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−オール
【化28】

亜硝酸ナトリウム(314mg、4.55mmol)を、撹拌している中間体4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−アミン(500mg、1.52mmol)およびトリフルオロ酢酸(15ml)の混合物に0℃で添加した。混合物をrtに温め、1時間撹拌し、溶媒を真空下除去した。粗混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和炭酸カリウム水溶液および塩水で洗浄して、表題化合物を固体として得た。MS m/z 331.0 (M + 1)。
【0124】
次のものを同様に製造した:4−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−オール;および4−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−オール。
【0125】
中間体. 2−クロロ−4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン
【化29】

中間体4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−オール(438mg、1.33mmol)のオキシ塩化リン(10ml)溶液を110℃で16時間加熱した。混合物を真空下濃縮し、重炭酸ナトリウム水溶液を注意深く添加し、混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、表題化合物を黄色固体として得た。MS m/z 349.0 (M + 1)。
【0126】
次のものを同様に製造した:2−クロロ−4−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン;および2−クロロ−4−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン。
【0127】
中間体. 1−ヒドロキシプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル
【化30】

(S)−アラニノール(10g、130mmol)および重炭酸ナトリウム(32.8g、390mmol)のTHF−HO(1:1、650mL)溶液に、0℃で、クロロギ酸メチル(11.4mL、143mmol)を滴下した。混合物を撹拌し、4時間かけてrtに温め、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N 水酸化ナトリウム水溶液および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗表題化合物を得て、それを精製せずに使用した。MS m/z 134.1(M + 1)。
【0128】
次のものを同様に製造した:1−ヒドロキシプロパン−2−イルカルバミン酸(R)−メチルを、(R)−アリノールを(S)−アラニノールの代わりに使用して;および1−ヒドロキシプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−1,1−ジメチルエチルを、二炭酸ジ−t−ブチルをクロロギ酸メチルに使用して。
【0129】
中間体. 1−アジドプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル:
【化31】

中間体1−ヒドロキシプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(2.65g、20mmol)およびトリエチルアミン(7.0ml、50mmol)の無水ジクロロメタン(100mL)溶液に、メタンスルホニルクロライド(1.91mL、23.9mmol)を添加した。混合物をrtで3時間撹拌し、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N 水酸化ナトリウム溶液および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗メシレート生成物を乾燥DMF(70mL)に溶解し、ナトリウムアジド(5.2g、80mmol)を添加した。混合物を撹拌しながら80℃で2時間加熱した。冷却した反応混合物を濃縮し、残留物を酢酸エチルおよび塩水に分配した。有機層を分離し、塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲルクロマトグラフィー(8:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、1−アジドプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチルを得た。MS m/z 159.1(M + 1)。
【0130】
次のものを同様に製造した:1−アジドプロパン−2−イルカルバミン酸(R)−メチル;および1−アジドプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−1,1−ジメチルエチル。
【0131】
中間体. 1−アミノプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル
【化32】

中間体1−アジドプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(2.86g、18.2mmol)の酢酸エチル(200ml)溶液に、10%パラジウム炭素(湿、286mg)を添加した。フラスコを脱気し、水素ガス(バルーン、1気圧)を充填し、混合物をrtで16時間撹拌した。反応混合物をセライトのパッドを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を濃縮して、粗1−アミノプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチルを得て、それを精製せずに使用した。1H NMR 400 MHz (CDCl3) δ 4.79 (s, 1H), 3.71-3.65 (m, 1H), 3.66 (s, 3H), 2.75 (dd, 1H), 2.65 (dd, 1H), 1.14 (d, 3H);MS m/z 133.1 (M + 1)。
【0132】
次のものを同様に製造した:1−アミノプロパン−2−イルカルバミン酸(R)−メチル;および1−アミノプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−1,1−ジメチルエチル。
【0133】
中間体. 1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル:
【化33】

中間体2−クロロ−4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン(1.4g、4.01mmol)、1−アミノプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(0.8g、6mmol)およびトリエチルアミン(2.8ml、20mmol)のイソプロパノール(30ml)およびジオキサン(20mL)溶液を、密閉容器中、125℃で48時間加熱した。冷却した混合物を真空下濃縮し、重炭酸ナトリウム水溶液を残留物に添加した。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:2 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、表題化合物を白色固体として得た。MS m/z 445.0 (M + 1)。
【0134】
次のものを同様に製造した:1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(R)−メチル;1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−tert−ブチル;3−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパンニトリル;4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン;およびN−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イル)−N,N−ジメチルエタン−1,2−ジアミン。
【0135】
中間体. N−(3−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)プロパン−1−スルホンアミド
【化34】

3−ブロモ−2,4−ジフルオロアニリン(4.16g、20mmol、EP184384)、n−プロパンスルホニルクロライド(4.6ml、40mmol)、ピリジン(8ml)、DMAP(97mg)およびDCM(100ml)の溶液をrtで16時間撹拌した。重炭酸ナトリウム水溶液をaddedおよび混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を重炭酸ナトリウム水溶液および塩水で洗浄した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(8:1〜3:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、表題化合物を得た。MS m/z 313.9 (M + 1)。
【0136】
中間体. 3−フルオロ−4−ヨードピリジン−2−アミン
【化35】

2−アミノ−3−フルオロピリジン(1.0g、8.9mmol)の無水THF(40ml)溶液を、−78℃で、n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、13.9ml、22.3mmol)を滴下して処理した。添加後、混合物を−78℃で1時間撹拌し、ヨウ素(10.2g、40.1mmol)のTHF(20ml)溶液を添加した。混合物を酢酸エチルで抽出し、有機抽出物をチオ硫酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(8:1〜2:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、表題化合物を得た。MS m/z 238.9 (M + 1)。
【0137】
3−クロロ−4−ヨードピリジン−2−アミンを同様に製造した。
【0138】
中間体. 3−ブロモ−2,5,6−トリフルオロアニリン
【化36】

マイクロ波チューブに、1−ブロモ−2,3,4,5−テトラフルオロベンゼン(1.0g)および28%水酸化アンモニウム水溶液(5mL)を添加した。混合物をマイクロ波照射下に150℃で2時間加熱し、混合物を水に注ぎ、ヘキサンで抽出した。有機層を分離し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(9:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、表題化合物を無色液体として得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 6.75 (m, 1H), 3.95 (br s, 2H) ppm;MS m/z:226, 228 (M+H)+
【0139】
中間体. 2,4−ジブロモ−3,6−ジクロロアニリン
【化37】

2,5−ジクロロアニリン(0.2g)、N−ブロモスクシンイミド(0.48g)およびTHF(20mL)の混合物をrtで2時間撹拌した。溶媒を除去し、残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(8:2 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、表題化合物を得た。MS m/z:318 (M+H)+
【0140】
中間体. 1,3−ジブロモ−2,5−ジクロロベンゼン
【化38】

撹拌している2,4−ジブロモ−3,6−ジクロロアニリン(5.0g)、亜硝酸tert−ブチル(3.3g)およびEtOH(50mL)の混合物を、密閉チューブ中、50℃で2時間加熱した。混合物を濃縮し、残留物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(ヘキサン溶離剤)で精製して、表題化合物を得た。MS m/z:303 (M+H)+
【0141】
中間体. 3−ブロモ−2−クロロ−5−フルオロアニリン
【化39】

工程1. 3−ブロモ−2−クロロ−N−(ジフェニルメチレン)−5−フルオロアニリン。
2,6−ジブロモ−4−フルオロ−1−クロロベンゼン(865mg、3mmol)、ベンゾフェノンイミン(0.61ml、3.6mmol)、Pd(dba)(137mg、0.15mmol)、ナトリウムt−ブトキシド(432mg、4.5mmol)、(S)−BINAP(280mg、0.45mmol)およびトルエン(30ml)の混合物を80℃で16時間加熱した。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(40:1〜20:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、表題化合物を粉末として得た。MS m/z 388.9 (M + 1)。
【0142】
工程2. 3−ブロモ−2−クロロ−5−フルオロアニリン。
3−ブロモ−2−クロロ−N−(ジフェニルメチレン)−5−フルオロアニリン(1.16g)のTHF(20ml)溶液を2N塩酸(1.5ml、1当量)で処理し、混合物をrtで2時間撹拌した。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機相を塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗残留物をシリカゲル(40:1〜15:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)でクロマトグラフィーして、ベンゾフェノンで汚染された表題化合物を得た。MS m/z 223.9 (M + 1)。
【0143】
次のものを同様に製造した:3−ブロモ−2,5−ジクロロアニリン;3−ブロモ−2−クロロ−5−メチルアニリン;および3−ブロモ−2,5−ジフルオロアニリン。
【化40】

【0144】
中間体. 3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロ安息香酸
【化41】

2−ブロモ−4−クロロ−1−フルオロベンゼン(4.31g、20mmol)溶液に、−78℃で、LDAのTHF溶液(ジイソプロピルアミン(3.38ml、24mmol)およびn−BuLi(1.6M、13.1ml、21mmol)から製造)を滴下した。混合物を−78℃で1時間撹拌し、ゆっくり(〜30〜60分間)カニューレを通して、−78℃で撹拌しているドライアイスおよびTHF(40ml)の混合物に移送した。混合物を−78℃で1時間撹拌し、rtに温めた(ガス発生)。混合物を濃縮し、50mlの1N 水酸化ナトリウム溶液で処理した。混合物を酢酸エチルで抽出した(廃棄)。水層を1N塩酸で酸性化し、クロロホルム(3×400ml)で抽出した。クロロホルム抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗表題化合物を得た。生成物は、少量の異性体生成物2−ブロモ−6−クロロ−3−フルオロ安息香酸で汚染されていた。表題化合物3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロ安息香酸のH NMR:(400 MHz, CDCl3) δ 7.93 (dd, 1H, J = 2.8, 5.6 Hz), 7.79 (dd, 1H, J = 2.8, 5.6 Hz) ppm。
【0145】
次のものを同様に製造した:3−ブロモ−2,6−ジフルオロ安息香酸;および3−ブロモ−2−フルオロ−5−メチル安息香酸。
【0146】
中間体. 3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロフェニルカルバミン酸tert−ブチル
【化42】

粗中間体3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロ安息香酸(2.03g、8mmol)、ジフェニルホスホリルアジド(2.07mL、9.6mmol、1.2当量)およびDIPEA(1.67mL、9.6mmol、1.2当量)の1:1 t−ブタノール/トルエン(25ml)溶液を、110℃で36時間加熱した。混合物を濃縮し、酢酸エチルおよび水に分配した。有機層を塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(30:1〜10:1 ヘキサン/酢酸エチル溶離剤)で精製して、表題化合物を得た。MS m/z:267.8 (M+H)+. (M-tBu)。
【0147】
次のものを同様に製造した:3−ブロモ−2,6−ジフルオロフェニルカルバミン酸tert−ブチル;および3−ブロモ−2−フルオロ−5−メチルフェニルカルバミン酸tert−ブチル。
【0148】
中間体. 3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロアニリン
【化43】

3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロフェニルカルバミン酸tert−ブチル(900mg、2.78mmol)のDCM/TFA(1:1、20mL)溶液をrtで1時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、残留物を酢酸エチルに溶解し、重炭酸ナトリウム水溶液および塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗表題化合物(736mg)。MS m/z 223.9 (M+1)。
【0149】
中間体. 5−ブロモ−3−メトキシ−2−メチルアニリン:
【化44】

4−ブロモ−2−メトキシ−6−ニトロトルエン(500mg、2.032mmol)、酢酸(20ml)および鉄(1135mg、20.32mmol)の不均質反応混合物をrtで24時間撹拌した。酢酸エチルを添加し、混合物をセライトを通して濾過し、濾液を濃縮した。残留物を酢酸エチルおよび飽和重炭酸ナトリウム水溶液に分配した。水層をさらに酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、表題化合物を得た。MS m/z:218.0 (M+H)+
【0150】
中間体. 5−クロロ−2−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル:
【化45】

中間体3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロフェニルカルバミン酸tert−ブチル(1.45g、4.46mmol)、ビス(ピナコラト)ジボロン(1.7g、6.69mmol)、酢酸カリウム(1.53g、15.6mmol)、PdCl(dppf)−CHCl(163mg、0.22mmol)およびジオキサン(100ml)の混合物を、密閉チューブ中、100℃で16時間加熱した。粗反応混合物を酢酸エチルに溶解し、重炭酸ナトリウム水溶液および塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗化合物を熱ヘキサン(600mL)で希釈し、65℃で30分間加熱し、室温に冷却した。褐色混合物をセライトを通して濾過し、フィルターケーキをヘキサンで洗浄した。合わせた濾液を濃縮して、粗表題化合物を黄色油状物として得た。MS m/z 233 (M-ピナコール-tBu)。
【0151】
次のものを同様に製造した:5−クロロ−2−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;2,6−ジフルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル;N−(2,4−ジフルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパン−1−スルホンアミド;2−(2−フルオロ−3−ニトロフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン;2,5−ジフルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;2−クロロ−5−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;2,5−ジクロロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;2−クロロ−5−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;2−フルオロ−5−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル;3−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミン;2,3,6−トリフルオロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;3−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミン;3−クロロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;3−メトキシ−2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン。
【0152】
中間体. 2−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン:
【化46】

中間体2−(2−フルオロ−3−ニトロフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(500mg)、10%パラジウム炭素(50mg)および酢酸エチル(20ml)の混合物を、1気圧の水素下、16時間撹拌した。混合物に窒素を注入して撹拌し、濾過した。濾液を濃縮して、表題化合物を得て、それを精製せずに使用した。MS m/z 237.1 (M + 1)。
【0153】
実施例1
N−[(2S)−1−[(4−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル(表1の化合物7)
【化47】

粗中間体N−(2,4−ジフルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパン−1−スルホンアミド(854mg)、中間体1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(350mg、90%純度)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(90mg)、2M 炭酸ナトリウム水溶液(6ml)、トルエン(50ml)およびエタノール(6ml)の混合物を80℃で16時間加熱した。冷却した混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出物を塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(70:1〜40:1 DCM/メタノール溶離剤)で精製して、表題化合物を得た。
【0154】
実施例2
N−[(2S)−1−({4−[3−(2−クロロ−5−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル(表1の化合物15)
【化48】

工程1. 1−(4−(3−(3−アミノ−2−クロロ−5−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル。
粗中間体2−クロロ−5−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン(214mg)、中間体1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(68mg、0.14mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(0)(16mg)、2M 炭酸ナトリウム水溶液(3ml)、トルエン(18ml)およびエタノール(3ml)の混合物を85℃で16時間加熱した。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出物を塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(60:1〜40:1 DCM/メタノール溶離剤)で精製して、1−(4−(1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチルで汚染された表題化合物(46mg)を得た。MS m/z 462.1 (M + 1)。
【0155】
工程2. 1−(4−(3−(2−クロロ−5−フルオロ−3−(メタンスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル。
工程1のアニリン生成物(46mg)、ピリジン(2ml)、トリエチルアミン(1mL)、DCM(4ml)およびメタンスルホニルクロライド(23μl、0.3mmol)の混合物をrtで16時間撹拌した。粗反応混合物を濃縮し、残留物をトルエン(9ml)、エタノール(1ml)、炭酸ナトリウム(2g)および水(10ml)の混合物に溶解した。撹拌している混合物を85℃で16時間加熱した。工程1のとおりの後処理により、粗生成物を得て、それをシリカゲルクロマトグラフィー(60:1〜40:1 DCM/メタノール溶離剤)で精製して、表題化合物を得た。
【0156】
実施例3
N−[(2S)−1−[(4−{3−[5−クロロ−2−フルオロ−3−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル(表1の化合物1)
【化49】

工程1. 1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル。
粗中間体5−クロロ−2−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル(2.0g)、中間体1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(600mg、1.34mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(150mg、0.13mmol)、2M 炭酸ナトリウム水溶液(6.7ml、13.5mmol)、トルエン(80mL)およびエタノール(6mL)の混合物を80℃で16時間加熱した。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出物を塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(80:1〜60:1 DCM/メタノール溶離剤)で精製して、トリフェニルホスフィンオキシドで汚染された表題化合物を得た。MS m/z 562.1 (M + 1)。
【0157】
工程2. 1−(4−(3−(3−アミノ−5−クロロ−2−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル。
部分的に精製した1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(1.15g)のDCM(50mL)およびTFA(20mL)溶液をrtで1時間撹拌した。溶媒を除去し、重炭酸ナトリウム水溶液を添加した。混合物を酢酸エチルで抽出し、合わせた有機抽出物を重炭酸ナトリウムおよび塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(60:1〜40:1 DCM/メタノール溶離剤)により得た;MS m/z 462.1 (M + 1)。
【0158】
工程3. N−[(2S)−1−[(4−{3−[5−クロロ−2−フルオロ−3−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル。
1−(4−(3−(3−アミノ−5−クロロ−2−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(41mg、0.09mmol)、トリエチル(trietlyl)アミン(1ml)およびDCM(4ml)の混合物をプロパンスルホニルクロライド(40mg、0.27mmol)で処理した。混合物をrtで16時間撹拌した。粗混合物を濃縮し、残留物をトルエン(9ml)、エタノール(1ml)、炭酸ナトリウム(2g)および水(10ml)の混合物に溶解した。撹拌している混合物を85℃で16時間加熱した。工程1のとおりの後処理により、粗生成物を得て、それをシリカゲルクロマトグラフィー(60:1〜40:1 DCM/メタノール溶離剤)で精製して、表題化合物を得た。
【0159】
実施例4
N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(オキサン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル(表1の化合物33)および
N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル(表1の化合物31)
【化50】

工程1. 5−クロロ−2−フルオロ−3−(4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)アニリン。
実施例3、工程1の方法に従い、中間体4−(3−ヨード−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)−2−(メチルチオ)ピリミジンおよび中間体5−クロロ−2−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリンから出発して製造した。MS m/z 420.0 (M + 1)。
【0160】
工程2. N−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)フェニル)メタンスルホンアミド)およびN−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)フェニル)−N−(メチルスルホニル)メタンスルホンアミド。
5−クロロ−2−フルオロ−3−(4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)アニリン(233mg、0.55mmol)およびトリエチルアミン(2mL)のジクロロメタン(10mL)溶液に、メタンスルホニルクロライド(0.13mL、1.66mmol)を添加した。混合物を室温で16時間撹拌し、表題化合物の混合物を得た(LCMS分析)。酢酸エチルを添加し、混合物を水および塩水で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、粗表題混合物を得て、それを精製せずに使用した。MS m/z モノ−スルホンアミド498.0 (M + 1);ビス−スルホンアミド576.0 (M + 1)
【0161】
工程3. N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(オキサン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル。
工程2からの粗生成物混合物をTHF−HO(1:1、30mL)に溶解し、rtでOxone(登録商標)(1.68g、2.75mmol)で処理した。混合物をrtで16時間撹拌し、酢酸エチルを添加した。有機層を重炭酸ナトリウム水溶液、水および塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗残留物をNMP(5mL)に溶解し、中間体1−アミノプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(146mg、1.1mmol)および炭酸ナトリウム(233mg、2.2mmol)で処理した。混合物を撹拌しながら110℃で16時間加熱した。冷却した反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシリカゲル(2%メタノールのジクロロメタン溶液溶離剤)でクロマトグラフィーして、表題化合物を得た。
【0162】
工程4. N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル。
(2S)−1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(メチルスルホンアミド)フェニル)−1−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸メチル(94mg、0.16mmol)のMeOH(15mL)溶液に、濃塩酸(0.5mL)を添加した。混合物をrtで16時間撹拌した。重炭酸ナトリウム水溶液を添加して、pHを9に調節し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を重炭酸ナトリウム水溶液および塩水で洗浄した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(30:1〜15:1 ジクロロメタン/メタノール溶離剤)で精製して、表題化合物を得た。
【0163】
実施例5
N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル(表1の化合物9)
【化51】

メタンスルホニルクロライド(0.277mL、3.57mmol)を、1−(4−(3−(3−アミノ−5−クロロ−2−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(550mg、1.2mmol)のDCM(30mL)およびピリジン(10mL)溶液に添加し、混合物をrtで16時間撹拌した。重炭酸ナトリウム水溶液を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出し、塩水で洗浄した。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(60:1〜40:1 DCM/メタノール)で精製して、表題化合物を得た。別の合成を下の実施例6に記載する。
【0164】
次のものがまた反応混合物から単離された:N−[(2S)−2−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]カルバミン酸メチル(表1の化合物32);N−{3−[4−(2−アミノピリミジン−4−イル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]−5−クロロ−2−フルオロフェニル}メタンスルホンアミド(表1の化合物30)。
【0165】
実施例6
N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル(表1の化合物9)
【化52】

工程1. 1−ベンジリデン−2−イソプロピルヒドラジン。
メカニカルスターラー、温度計および添加漏斗を備えた反応器に、窒素下パージ下、イソプロピルヒドラジン塩化水素塩(712g、6.43mol)、酢酸ナトリウム(528g、6.43mol)および50%エタノール(4500mL)を仕込んだ。混合物を20℃で5分間撹拌した。ベンズアルデヒド(683g、6.43mol)を、バッチ温度を23℃以下に維持しながら添加した。混合物を20℃で20時間以上撹拌した。トルエン(6500mL)を添加し、撹拌を5分間維持した。有機層を分離した。飽和重炭酸ナトリウム水溶液(4800mL)を、激しく撹拌している有機層に添加した(注:水層のpHは8.0)。有機層を分離し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(3000mL)で洗浄した。有機層を分離し、真空下(50→20torr),40℃で濃縮して、表題化合物を黄色油状物として得た(精製せずに使用した)。
【0166】
工程2. 2−((2−ベンジリデン−1−イソプロピルヒドラジニル)メチレン)−マロノニトリル。
メカニカルスターラー、温度計および添加漏斗を備えたフラスコに、窒素下パージ下、(エトキシエチリジン)マロノニトリル(755g、6.18mol)、DMAP(150g、1.23mol)およびエタノール(6400mL)を仕込んだ。混合物を撹拌して、暗色橙色溶液を得て、20℃から12℃への吸熱が観察された。1−ベンジリデン−2−イソプロピルヒドラジン(1101g、粗製)15分間かけてゆっくり添加して、32℃までの発熱および橙色懸濁液を得た。橙色懸濁液を50℃に加熱し、50℃で30分間維持して、暗色褐色懸濁液を得た。エタノール(3200mL)を混合物に添加し、混合物を20℃に冷却し、20℃で1時間維持した。スラリーを濾過し、固体ケーキをエタノール(3000mL)で濯いだ。固体を回収し、40℃/5torrの真空下、3時間乾燥させて、表題化合物を黄色固体として得た。HPLC純度>99%。
【0167】
工程3. 3−アミノ−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル。
メカニカルスターラー、温度計、凝縮器および添加漏斗を備えたフラスコに、窒素パージ下、2−((2−ベンジリデン−1−イソプロピルヒドラジニル)メチレン)−マロノニトリル(632.6g、2.65mol)、MeOH(2.5L)および濃(12N) HCl(329.0mL、3.94mol)を仕込んだ。混合物を63℃に加熱し、63℃で30分間維持して、橙色溶液を得た。混合物を15℃に冷却した。ヘプタン(4L)およびMTBE(1L)を添加し、混合物を5分間撹拌した。水(7.5L)を、15℃〜25℃で、30分間かけて、連続的に添加した。水添加完了後、混合物を10分間、25℃で撹拌した。ヘプタン/MTBE層を分離した。水層を、洗浄液として(4:1 v/v) ヘプタン/MTBE混合物(2×5L)を使用し、各洗浄を10分間、25℃で撹拌することに実施した。層を分離した。固体塩化ナトリウム(1Kg)を水層に添加した。飽和炭酸カリウム水溶液を水層にゆっくり添加して、CO発生を制御し、pHを〜9.0に調節した。水層を2回CHCl(1×2.2L、1×800mL)で抽出した。合わせたCHCl層をMgSOで乾燥させ、濾過し、濾液を真空下(200torr)、30℃の浴温度で残存重量が〜1Kgとなるまで濃縮した。ヘプタン(6.0L)をゆっくり(〜20分間)かけてCHCl溶液に撹拌しながら添加し、スラリーを形成させた。混合物を真空下(60torr)、内部温度25℃で残存容積が〜6.2Lとなるまで濃縮した。スラリーを15℃に冷却し、この温度で10分間維持した。生成物を濾過し、固体をヘプタン(1L)で洗浄した。固体を真空下(5torr)、30℃で4時間乾燥させて、表題化合物を黄色固体として得た。HPLC純度>99%。
【0168】
工程4. 1−(3−アミノ−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−エタノン。
メカニカルスターラー、温度計、還流凝縮器、加熱/冷却装置、添加漏斗および窒素注入口/排出口を備えたフラスコに、3−アミノ−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(274g、1.82mole)およびシクロペンチルメチルエーテル(2600mL)を20℃で窒素下に仕込んだ。懸濁液を−10℃に冷却した。1.5M メチルリチウム/リチウムブロマイド複合体のジエチルエーテル溶液(6.0L、9.00mol)を2.5時間かけて、−10℃〜0℃で滴下した。メチルリチウム添加完了時、反応懸濁液を5℃〜10℃に急速に温め、この温度範囲に1時間維持した。混合物を0℃に冷却し、2N HCl(6.0L)を5〜10℃で滴下した。(上層)有機層を分離し、2N HCl(500mL)で抽出した。合わせた水層をrtで16時間以上撹拌した。混合物を15℃に冷却し、50%NaOH(260.0g)で塩基性化して、〜11.0のpHを得た。混合物をCHCl(1×2.0L、1×1L)で抽出した。合わせたCHCl層をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空下濃縮して、黄色固体(278g)を得た。固体を、65℃に加熱して、EtOAc(750mL)に溶解した。溶液をrtに冷却し、スラリーを得た。ヘプタン(1500mL)を、40分間かけて、rtでゆっくり添加した。スラリーを−10℃に冷却し、−10℃で30分間維持した。スラリーを濾過し、フィルターケーキをヘプタン(300mL)で濯いだ。固体を真空下(5torr)、40℃で3時間乾燥させて、表題化合物を明褐色固体として得た。HPLC純度>99%。M.P. 136−139℃。
【0169】
工程5. 1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−エタノン。
メカニカルスターラー、温度計および添加漏斗を備えたフラスコに、窒素パージ下、1−(3−アミノ−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−エタノン(250.0g、1.49mol)およびアセトニトリル(3725mL)を仕込んだ。混合物を−20℃に冷却した。BF.THF(313.1g、2.23mol)を、内部温度を<−10℃に維持しながら滴下した。亜硝酸イソアミル(227.5g、1.94mol)を、内部温度を<−10℃に維持しながら滴下した。混合物を10℃に温め10℃で30分間撹拌した。混合物を、I(28.5g、0.112mol)、KI(371.9g、2.24mol)およびアセトニトリル(1160mL)の混合物を含むフラスコに、10〜15℃で激しく撹拌しながらゆっくり添加した。添加は窒素ガス発生とわずかな発熱を引き起こした。混合物をrtで30分間撹拌した。HPLCはジアゾニウム中間体が残っていないことを示した。重亜硫酸ナトリウム(157.1g、1.51mol)の8%塩化ナトリウム溶液(4360mL)を15〜20℃で添加した。混合物を飽和炭酸カリウムで〜8.5のpHに塩基性化した。上層のアセトニトリル層を分離し、真空下濃縮して、油状残留物を得た。油状物をiPrOAc(2770mL)に溶解し、飽和炭酸ナトリウム水溶液(1100mL)で洗浄した。iPrOAc層を分離し、残量〜1.5Lまで濃縮した。懸濁液を得た。懸濁液にヘプタン(5.5L)を30分間かけて、20℃で添加した。懸濁液をヘプタン完了後、10分間、20℃で撹拌した。スラリーを濾過し、固体をヘプタン(1L)で濯ぎ、20℃で、真空下(5torr)、16時間乾燥させて、表題化合物を得た。MP:90−92℃。
【0170】
工程6. 3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−プロプ−2−エン−1−オン。
メカニカルスターラー、温度計および添加漏斗を備えたフラスコに、窒素パージ下、1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−エタノン(640g、2.30mol)およびDMF(6.4L)を仕込んだ。得られた橙色溶液を120℃に加熱した。ブレデレック反応材(598.6g、3.43mol)を一度に添加した。添加により混合物温度が114℃に下がり、溶液は、暗い橙色に変わった。混合物を120℃で20分間撹拌した。混合物をrtに冷却し、5mmHgで、60℃で濃縮して、油状残留物を得た。残留物を74℃に加熱することによりiPrOAc(2400mL)に溶解した。混合物を35℃に冷却し、撹拌して、スラリーを得た。ヘプタン(6000mL)を35℃〜rtで1時間かけて添加した。混合物を−15℃に冷却し、濾過し、固体を真空で、40℃で3時間乾燥させて、表題化合物を固体として得た。HPLC純度>98%。MP:106−109℃。
【0171】
工程7. 4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−アミン。
メカニカルスターラー、温度計、Dean-Starkトラップおよび凝縮器を備えたフラスコに、窒素パージ下、(E)−3−ジメチルアミノ−1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−プロプ−2−エン−1−オン(735g、2.2mol)、炭酸グアニジン(596g、3.3mol)およびNMP(5200mL)を仕込んだ。混合物を130℃に加熱し、130℃で5時間維持した。(注:すべての低沸点画分をDean-Starkトラップで回収した)。混合物を80℃に冷却し、15%塩化ナトリウム水溶液(7500mL)を、80℃〜35℃で〜1時間かけて添加した。生成物が、塩化ナトリウム水溶液添加のおよそ中程で沈殿し始めた。混合物をさらにrtに冷却し、30分間維持した。固体生成物を濾過により回収し、真空で、65℃で16時間乾燥させて、表題化合物を固体として得た。HPLC純度>99%。MP:167−169℃。
【0172】
工程8. 4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−オール。
メカニカルスターラーおよび温度計を備えたフラスコに、窒素パージ下、TFA(748.8mL)を仕込んだ。4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−アミン(300g、0.91mol)を、冷水浴を使用して30℃以下の内部温度を維持しながら、少しずつ固体として添加した。混合物をrtで10分間撹拌して、溶液を得た。混合物を20℃に冷却し、亜硝酸ナトリウム(79.7g、1.27mol)を、急速に撹拌しながら、5時間かけて、22〜28℃で少しずつ添加した。(注:幾分かのガス発生が観察され、穏やかな発熱反応があり、それは冷水浴を使用して容易に制御された)。DCM(12L)を添加し、混合物を27℃に温めた。水(4400mL)を添加した(注:開始時にガス発生)。飽和炭酸カリウム溶液(〜1500mL)をpH〜9.0に塩基性化するために混合物に添加した(注:大量のガスが発生した)。混合物に重亜硫酸ナトリウム(32g、0.30mol)の水(100mL)溶液を添加した。混合物を27℃で15分間撹拌し、pHを〜9.0に再調節した。DCM層を分離し、真空下(200−100mmHg)、40℃の浴温度で、残留物の重量が〜2300g(〜1750mL)になるまで濃縮した。残留物にMTBE(1500mL)を20℃で添加した。混合物を10分間、20℃で撹拌し、濾過した。固体を16時間、30℃で真空下(5torr)乾燥させて、表題化合物を灰白色固体として得た。HPLC純度>99%。MP:216−218℃。
【0173】
工程9. 2−クロロ−4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン。
スターラー、温度計、凝縮器、添加漏斗および窒素注入口/排出口を備えたフラスコに、4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン−2−オール(311g、942mmol)を仕込んだ。固体にアセトニトリル(2500mL)を20℃で添加した。混合物を撹拌して、懸濁液を得た。懸濁液にDIPEA(246.2mL、1.41mol)、DMF(218.8mL、2.83mol)を添加した。得られた懸濁液を5分間、20℃で撹拌した。懸濁液にPOCl(217g、1.41mol)を20〜40℃で添加して、橙色溶液を得た。混合物を80℃に温め、80℃で3時間維持した。混合物を10℃に冷却し、水酸化アンモニウム(622mLの28%)の脱イオン水(5550mL)溶液を温度を20℃以下に維持しながら、1.5時間かけてゆっくり添加した。水酸化アンモニウム完了後、得られた懸濁液を40分間、10〜20℃で撹拌した。固体生成物を濾過により回収し、一夜、40℃で真空下(5torr)乾燥させて、表題化合物を褐色固体として得た。HPLC純度>99%。
【0174】
工程10. 2−(メトキシカルボニルアミノ)プロピルカルバミン酸(S)−ベンジル。
(S)−1,2−ジアミノプロパンジヒドロクロライド(50g、340mmol)のジクロロメタン(500mL)懸濁液に、炭酸カリウム(1190mmol)を添加した。懸濁液を撹拌し、f濾過して、濾液を集めた。濾液を0〜5℃に冷却し、クロロギ酸ベンジル(51ml、357mmol)を滴下中、撹拌した。添加終了後、反応混合物を3時間、0〜5℃で撹拌し、rtに温め、rtで一夜撹拌した。この混合物にトリエチルアミン(71ml、510mmol)を滴下し、混合物を0〜5℃に冷却した。クロロギ酸メチル(28ml、357mmol)を0〜5℃でゆっくり添加し、混合物をrtに温め、一夜撹拌した。混合物を水に注いだ。有機揮発物を真空下除去した。得られた水性スラリーを濾過して固体を集め、フィルターケーキを酢酸エチルで洗浄して、白色固体(65g、92−94%HPLC純度)を得た。酢酸エチルからの複数回の再結晶により、表題化合物を白色固体として得た。HPLC純度99.5%。
【0175】
工程11. 1−アミノプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル塩酸塩。
2−(メトキシカルボニルアミノ)プロピルカルバミン酸(S)−ベンジルのメタノール溶液を、5%パラジウム/C触媒で、50〜60psiで水素化した。反応混合物を濾過し、濾液を真空下濃縮して、無色油状物を得た。60gの無色油状物を200mLの無水ジクロロメタンに溶解し、溶液を氷−水浴で0〜5℃に冷却した。メタノール中のHCl溶液(約75mL)を溶液のpHが<1になるまで滴下した。得られた懸濁液を0〜5℃で30分間撹拌し、固体を濾過により回収した。固体をジクロロメタン、ヘキサンで洗浄して、表題化合物を白色固体として得た。
【0176】
工程12. 3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロベンズアルデヒド。
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン(327g、98%、2.274mol)およびTHF(1.9L、HPLCグレード)の溶液を、−75℃(ドライアイス−メタノール浴)に、アルゴン雰囲気下冷却した。1.6M n−BuLi/ヘキサン溶液(1.47L、2.35mol)を、混合物に、−72〜−67℃で1時間かけて添加した。混合物を−72〜−67℃で30分間撹拌して、淡黄色懸濁液を得た。2−ブロモ−4−クロロ−1−フルオロベンゼン(435g、97%、2.02mol)を混合物に−72〜−67℃で30分間かけてゆっくり添加し、混合物を−72〜−67℃でさらに30分間撹拌した。ジメチルホルムアミド(230g、99.5%、3.14mol)を混合物に−70〜−65℃で30分間かけてゆっくり添加し、混合物を−70〜−65℃で30分間撹拌して、明褐色溶液を得た。冷却浴を外し、飽和塩化アンモニウム溶液(720mL)を少しずつ−60〜−30℃で15分間かけて添加して、濁った混合物を得た。6N塩酸を、急速に混合物に−30〜10℃で15分間かけてpH1まで添加し、酢酸エチル(2.0L)を10〜20℃で添加した。層を分離し、水層を酢酸エチル(1×300mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を水(1×800mL)および塩水(1×500mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過した。濾液を真空下濃縮して(60−65℃)、表題化合物を黄褐色粘性油状物として得て、それは数時間静置後に固化した。1H NMR (CDCl3):δ 7.76-8.30 (m, 2H), 10.0-10.8 (br s, 1H);MS m/z 238.0 (M+1)。
【0177】
工程13. 3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロ安息香酸。
撹拌している3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロベンズアルデヒド(415g)、tert−ブタノール(1.2L)および水(1.2L)の混合物を30℃に温め、過マンガン酸カリウム(335g、2.12mol)を40〜45℃の浴中1時間かけてバッチに添加した(5回)。暗色紫色内容物を、段階的に45〜50℃で30分間、50〜55℃で30分間および55〜60℃で30分間加熱して、紫色−褐色懸濁液を得た。反応混合物を20℃に冷却し、飽和亜硫酸ナトリウム溶液を過酸化物試験で負になるまで22〜27℃で添加した。温水(2.5L、〜50℃)および飽和炭酸ナトリウム溶液(100mL)を、連続的に混合物に15分間かけて添加した。暗色懸濁液を1cmのセライト床を通して濾過し、フィルターケーキを温水(4×1L、〜50℃)で洗浄した。合わせた濾液を6N塩酸溶液でpH1まで酸性化して、黄色油状懸濁液を得た。酢酸エチル(3L)を混合物に添加し、混合物を10分間撹拌した。(上層)有機層を水(1.2L)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空下濃縮して(60−65℃)、濃黄色懸濁液を得た。ヘキサン(700mL)を残留物に添加し、懸濁液を5〜10℃に冷却した。固体を濾過により回収し、フィルターケーキを真空下(65℃)、一夜乾燥させて、表題化合物を黄色固体として得た。mp 150−152℃;HPLC純度(225nm):97.5%;1H NMR (d6-DMSO):δ 7.82 (s, 1H), 8.10 (s, 1H), 13.82 (br s, 1H);MS m/z 254 (M+H)。
【0178】
工程14. 3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロフェニルカルバミン酸tert−ブチル。
3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロ安息香酸(243g、97.5%、0.935mol)、トリエチルアミン(105g、99.5%、1.02mol)およびtert−ブタノール(1.4L)の混合物を74℃に加熱した。ジフェニルホスホリルアジド(260g、97%、0.916mol)のトルエン(960mL)溶液を、混合物に75−79℃で1時間かけて、ゆっくり添加した(穏やかに還流)。混合物を30分間かけてゆっくり83℃に加熱し、83〜84℃(穏やかに還流)を1時間維持した。内容物を真空下(65−70℃)濃縮して、粘性油状物を得た。トルエン(2L)および水(1.5L)を連続的にバッチに添加し、混合物を35℃で15分間撹拌した。水層を廃棄した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液(400mL)および水(400mL)で洗浄した。有機層を真空下(60−65℃)、〜350mL残留物(〜94%純度)まで濃縮した。10%酢酸エチル/ヘキサン(〜1.2L、v/v)をバッチに添加し、混合物を50℃で15分間加熱して、明黄色均質溶液を得た。酢酸エチル/ヘキサン溶液を、4Lパイレックス・ブフナー漏斗(粗フリットディスク使用、40〜60μm、直径16cm、高さ18cm)上に予め製造したシリカゲル(1.8kg、70−200メッシュ)/ヘキサン床に移した。カルバミン酸t−ブチル生成物を3−5%酢酸エチル/ヘキサン(総量〜5L、v/v)でゆっくり溶出(重力による)して、表題化合物を灰白色固体として得た。mp 87−88℃;HPLC純度(225nm):97−98%;1H NMR (d6-DMSO):δ 1.48 (s, 9H), 7.48-7.49 (m, 1H), 7.80-7.82 (m, 1H), 9.42 (s, 1H);MS m/z 325 (M+H)。
【0179】
工程15. 1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル。
メカニカルスターラー、温度計および凝縮器を備えた4首フラスコに、窒素パージ下、2−クロロ−4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−ピリミジン(300.0g)、1−アミノプロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル塩酸塩(174.3g),炭酸ナトリウム(365.7g)およびDMSO(2400mL)を仕込んだ。混合物を撹拌しながら、18時間、90℃の内部温度で加熱した。混合物を40℃に冷却した。トルエン(3870mL)を37〜43℃で撹拌しながら添加した。水(7200mL)を37〜43℃で添加した。トルエン層を37〜43℃で分離した。トルエン層に、15%塩化ナトリウム水溶液(3870mL)を添加し、水層のpHを、37〜43℃で10%クエン酸水溶液を添加することによりpH〜5.0に調節した。pH調節には〜20mLの10%クエン酸水溶液が必要であった。トルエン層を飽和重炭酸ナトリウム水溶液(2880mL)で37〜43℃で洗浄した。表題化合物含有トルエン層を工程17に投入した。
【0180】
工程16. 5−クロロ−2−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル。
メカニカルスターラー、温度計、凝縮器および加熱マントルを備えたフラスコに、窒素パージ下、3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロフェニルカルバミン酸tert−ブチル(33.0g)、ビス(ピナコラト)ジボロン(447.0g)、酢酸カリウム(405.6g)およびトルエン(2700mL)を仕込んだ。混合物をrtで15分間撹拌し、PdCl(dppf)(50.4g)を添加した。混合物を108±2℃で加熱した(注:混合物は、50〜60℃で暗色に変わった)。3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロフェニルカルバミン酸tert−ブチル(414g)のトルエン(1770mL)溶液を108±2℃で70分間かけて添加した。混合物を108±2℃で15時間維持した。混合物を窒素流下rtに冷却し、セライトを通して濾過した。表題化合物含有濾液を工程17に投入した。
【0181】
工程17. 1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル。
フラスコに1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(3870mlトルエン溶液、〜382g、0.861mol)および5−クロロ−2−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル(4470mlトルエン溶液、〜467.0g、1.26mol)を仕込んだ。得られた褐色溶液に、炭酸ナトリウム(349.8g、3.30mol)の水(1400mL)溶液を添加した。混合物にPdCl(dppf)(34.5g、0.047mol)を添加した。混合物を撹拌しながら80℃に温め、この温度に2時間維持した。混合物を40℃に冷却し、セライトを通して濾過した。濾液の層を分離した。表題化合物含有トルエン層を直接工程18に投入した。
【0182】
工程18. 1−(4−(3−(3−アミノ−5−クロロ−2−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル。
フラスコに、1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(〜7.3Lトルエン溶液、〜483.3g、0.86mol)を20℃で、窒素雰囲気下に仕込んだ。溶液に12N HCl(574.3mL、6.95mol)を〜20分間かけて、25℃以下の温度を維持しながら添加した。HCl添加により19℃から24℃への発熱が起こった。混合物を20〜23℃で1時間撹拌した。反応混合物に水(3100mL)を添加した。混合物を10分間、20℃で撹拌した。水層を分離し、2−メチルTHF(3100mL)で洗浄した。水層に、飽和炭酸カリウム水溶液(〜778mL)をゆっくり添加した。水層のpHは〜8.5であった。水層を2−メチルTHF(3825mL)で抽出した。2−メチルTHF層を真空下(60mmHg、40℃)濃縮した。残留物を2−メチルTHF(〜3800mL)で希釈して表題化合物の溶液を得て、それを直接工程19に投入した。HPLC純度:95%。
【0183】
工程19. 1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(N−(メチルスルホニル)メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル。
フラスコに1−(4−(3−(3−アミノ−5−クロロ−2−フルオロフェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(〜3.8LメチルTHF溶液、〜396.5g、0.86mol)を20℃で仕込んだ。溶液にトリエチルアミン(435.0g、4.3mol)を添加した。溶液を0〜−5℃に冷却した。溶液にメタンスルホニルクロライド(246.0g、2.15mol)を20分間かけて、0〜−5℃で撹拌しながら滴下した。混合物を18〜20℃に温め、この温度で20分間維持した。反応混合物に水(2115mL)を30分間かけて、18〜20℃で添加した。混合物を添加完了後10分間、20℃で撹拌した。pHを2N HCl(〜1230mL)で6.0〜6.5に調節した。その後pHを飽和重炭酸ナトリウム水溶液で7〜7.5に調節した。混合物を10分間、20℃で撹拌した。層を分離した。表題化合物含有2−メチルTHF層を工程20に直接使用した。
【0184】
工程20. N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル。
フラスコに1−(4−(3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−(N−(メチルスルホニル)メチルスルホンアミド)フェニル)−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル(〜3.8LメチルTHF溶液、〜531.5g、0.86mol)を仕込んだ。溶液に3N 水酸化ナトリウム水溶液(1782.8mL、5.34mol)を15〜20℃で撹拌しながら添加した。混合物を20〜23℃で30分間激しく撹拌し、次いで撹拌を停止した。水層を廃棄した。2N HCl(〜410mL)を有機層に添加して、pHを6.0〜6.5に調節した、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(〜300mL)を添加して、pHを〜8.5に調節した。水層を廃棄した。有機層を15%塩化ナトリウム水溶液(2000mL)で洗浄した。有機層を真空下(80torr)、45℃の浴温度で濃縮して、褐色溶液(780g)を得た。溶液を2−メチルTHF(3500mL)で希釈し、PICA HP 120N活性化炭素(90g、CDH858)の2−メチルTHF(1L)懸濁液を添加した。得られた黒色懸濁液を60℃に温め、60℃で16時間維持した。16時間維持後、Pd含量は309ppmであった。混合物を20℃に冷却し、セライトパッド(2−メチルTHFで予め湿潤)を通して濾過した。反応フラスコを2−メチルTHF(500mL)で濯いだ。この濯ぎ液を、PICA/セライトのフィルターケーキを通して注いだ。濾液にPL−TMT樹脂(90g)を添加した。得られた懸濁液を撹拌しながら60℃に加熱し、この温度に4時間維持した。4時間、60℃の後、Pd含量は2.3ppmであった。混合物を20℃に冷却し、一夜20℃で撹拌した。混合物をセライトパッド(2−メチルTHFで予め湿潤)を通して濾過した。濾液を真空下(100〜80torr)、40〜45℃で濃縮して、橙色油状物を得た。この残存油状物を3Lの純エタノール(200 proof)に78℃に温めながら溶解した。得られた透明橙色溶液を20℃に3時間かけて冷却し、沈殿を形成させた。混合物を0℃に冷却し、1時間、0℃に維持した。混合物を濾過し、フィルターケーキをエタノール(300mL)で洗浄した。固体を14時間、40℃で乾燥させて、表題化合物を得た;MP:186−189℃。
【0185】
次の表1の化合物を上の実施例に準じて、適当な出発物質を使用して製造した:
【表1】

【表2】

【0186】
【表3】

【表4】

【0187】
【表5】

【表6】

【0188】
【表7】

【表8】

【0189】
【表9】

【表10】

【表11】

【0190】
実施例122
B−RafV600E/Mek増幅型ルミネッセンスプロキシミティホモジニアスアッセイ(B−RafV600E生化学)
B−Raf(V600E;4pM)およびビオチニル化Mek(キナーゼ死亡;10nM)を、2倍最終濃度でアッセイ緩衝液(50mM Tris、pH7.5、15mM MgCl、0.01%BSAおよび1mM DTT)中で合わせ、100%DMSOに希釈した0.5μlの40倍の本発明の化合物を含むアッセイプレート(Greiner白色384ウェルアッセイプレート#781207)のウェルあたり10μlで分配した。プレートを60分間、室温でインキュベートした。
【0191】
B−Rafキナーゼ活性反応を、ウェルあたりアッセイ緩衝液で希釈した10μlの2倍ATP(10μM)の添加により開始させた。3時間後、反応を10μlの停止反応材(60mM EDTA、0.01%Tween 20)添加により停止させた。リン酸化生成物をウサギ抗p−MEK(Cell Signaling, #9121)抗体およびAlpha Screen IgG(ProteinA)検出キット(PerkinElmer #6760617R)を使用して、30μlを、ビーズ緩衝液(50mM Tris、pH7.5、0.01%Tween 20)中の抗体(1:2000希釈)および検出ビーズ(両方のビーズの1:1000希釈)混合物のウェルに添加することにより測定した。添加は、検出ビーズを光から保護するため、暗条件下で行った。蓋をプレートの上に置き、プレートを1時間、室温でインキュベートした。ルミネッセンスをPerkinElmer Envision装置で読んだ。50%阻害する各化合物の濃度(IC50)を、XL Fitデータ解析ソフトウエアを使用する非線形回帰により計算した。
【0192】
遊離形または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物は、例えば、本明細書に記載するインビトロ試験により示されるとおり、価値ある薬理学的特性を有する。例えば、本発明の化合物好ましくはV600E B−Rafに対して1×10−10〜1×10−5Mの範囲、好ましくは500nM未満、250nM未満、100nM未満および50nM未満のIC50を示す。
【0193】
例えば、ルミネッセンスプロキシミティホモジニアスアッセイにおける本発明の化合物のいくつかのIC50データを下の表に示す。
【0194】
実施例123
A375細胞増殖アッセイ(A375 CP)
A375は、B−RafV600E変異を担持する黒色腫細胞株である。ルシフェラーゼを発現するように操作したA375−luc細胞を、384ウェル白色透明底プレートに、10%FBS含有DMEM中1,500細胞/50μl/ウェルとして播種する。適当な濃度で100%DMSOに溶解した本発明の化合物を、自動Pin Tool(100nl)により細胞に移す。細胞を2日間、25℃でインキュベートし、25μlのBrightGloTMを各ウェルに添加し、プレートをルミネッセンスにより読む。50%阻害する各化合物の濃度(IC50)を、XL Fitデータ解析ソフトウエアを使用する非線形回帰により計算した。
【0195】
遊離形または薬学的に許容される塩形態の本発明の化合物は、例えば、本明細書に記載するインビトロ試験で示されるとおり、価値ある薬理学的特性を示す。例えば、本発明の化合物は、好ましくは野生型およびV600E B−Rafに対して500nM未満、250nM未満、100nM未満および50nM未満の範囲のIC50を示す。
【0196】
例えば、A375細胞増殖アッセイにおける本発明の化合物のいくつかのIC50データを下の表に示す。
【0197】
実施例124
免疫アッセイ
細胞を、組織培養処理プレートの96ウェルあたり、1640 RPMI+10%FBS中、30×10細胞で播種し、37℃および5%COで24時間インキュベートし、化合物を添加した。試験化合物をDMSOで連続的に希釈し、細胞(最終DMSO濃度0.1%)に添加し、37℃および5%COで3時間インキュベートした。pMEKおよびpERKレベルをサンドイッチ免疫アッセイキット(Meso Scale Discovery)を使用して測定した。培養上清を除き、細胞を冷溶解緩衝液(キット中に存在)を添加し、30分間、穏やかに振盪することにより溶解した。pMEK1/2(Ser217/221)およびpERK1/2(Thr/Tyr202/204, Thr/Tyr185/187)検出のために、溶解物を、キットに入った遮断した抗体被覆プレートに添加し、一夜、4℃で振盪しながらインキュベートした。プレートを洗浄し、ホスホタンパク質を備えられた標識抗体を使用して検出し、Sector 6000装置で読んだ。
【0198】
実施例125
SW620細胞生存能アッセイ
SW620細胞を、黒色壁、透明底組織培養処理プレートにおいて、96ウェルあたり、1640 RPMI+10%FBS中1500細胞の密度で播種した。試験化合物をDMSOで連続的に希釈し、細胞(最終DMSO濃度0.1%)に添加し、37℃および5%COで4日間インキュベートした。細胞生存能測定のために、細胞プレートを室温にし、培養培地を除去し、200μlの細胞Titer-Glo試薬(Promega、キットの中身を製造者のプロトコルに従い混合し、増殖培地で1:2希釈した)を各ウェルに添加した。プレートを5分間振盪し、室温で5分間インキュベートし、ルミネッセンスを測定した(Trilux, Perkin Elmer)。
【0199】
実施例126
Rat1軟アガロースアッセイ
Rat1細胞を、96ウェルあたり、1%アガロース(Lonza)中1000細胞密度で懸濁させた。アガロース/細胞混合物を固化させた。試験化合物をDMSOで連続的に希釈し、アガロース細胞混合物(最終DMSO濃度0.2%)の上に添加し、37℃および5%COでインキュベートした。17日間後、コロニー増殖を、細胞をalamarBlue(TREK Diagnostics)とインキュベートし、代謝活性をSpectramaxプレートリーダー(Molecular Devices, Inc;吸光度測定562nm)で測定した。
【0200】
実施例127
肝臓ミクロソームクリアランスアッセイ
インビトロミクロソームクリアランスアッセイを、化合物の肝臓代謝安定性と関連するリスクの可能性を評価するために設計する。試験化合物(1μM)を、様々な動物種(マウス、ラット、サル、イヌおよびヒト)由来の肝臓ミクロソーム(0.5mg/mL)およびNADPH(1mM)の100mM リン酸カリウム緩衝液と、37℃でインキュベートした。特定の反応時間(0、5、10および30分間)に、反応物を定量除き、質量分析内部標準含有アセトニトリル添加により反応を停止させた。サンプルを遠心し、上清をLC−MS/MSにより分析した。インビトロ代謝半減期(t1/2、分)および固有クリアランス(CLint、μL/分/mg)は、反応混合物からの親化合物の消失により決定される試験化合物の代謝の速度および程度に基づく。これらの値を評価して、肝臓代謝クリアランス速度(CLh、mL/分/kg)および除去率(ER、その種の予測肝臓代謝クリアランス対肝臓血流の比)を予測し得る。一般に、インビトロで高い予測CLintまたはERを有する化合物は、インビボで暴露制限的代謝(exposure-limiting metabolism)の高いリスクがあると見なされる。
【0201】
本発明の化合物のいくつかの測定した排泄速度を下の表に示す。
【表12】

【表13】

【0202】
実施例128
A549 p38α MAPキナーゼBright-Gloレポーター遺伝子アッセイ
A549細胞を、IL−8プロモーター駆動レポーターであるpGL3−IL8−Lucで安定にトランスフェクトした。細胞を、384ウェル固体白色プレート(40μl/ウェル、5%CD−FBS、1×P/S、DMEM)に4×10/mlで播種し、一夜(18〜20時間)、37℃でインキュベートした。試験化合物をDMSOで連続的に希釈し、50nlの試験溶液を添加してインキュベートした(最終DMSO濃度0.1%)。試験化合物と30分間インキュベーション後、細胞を1ng/ml IL−1ベータ(10μlの5ng/ml溶液/ウェル)で刺激した。Bright-Glo(25μl/ウェル)を添加して、刺激7〜8時間後にルシフェラーゼ発現を測定した。本発明の化合物のいくつかのIC50データデータを、下の表に示す。
【0203】
【表14】

【0204】
実施例129
インビボ薬物動態アッセイ
完全薬物動態試験:雄Balb/cマウス(n=3、体重22〜25g)または雄Wistarラット(n=3、体重250〜300g)に、試験化合物を外側尾静脈への静脈内投与または矯正喫食による経口投与で投与した。製剤は典型的に75%PEG300および25%D5W中、化合物の2.5mg/mL溶液であった。各50μLの6サンプルを投与後24時間まで連続的に採取した。血液サンプルを遠心して血漿を分離した。血漿サンプルをLC−MS/MSで分析し、定量した。
【0205】
急速薬物動態試験:雄Balb/cマウス(n=3、体重22〜25g)または雄Wistarラット(n=3、体重250〜300g)に、試験化合物を外側尾静脈への静脈内投与(IV)または胃管による経口投与(PO)で投与した。製剤は典型的に75%PEG300および25%D5W中、化合物の2.5mg/mL溶液であった。各50μLの6サンプルを投与後24時間まで連続的に採取した。血液サンプルを遠心して血漿を分離し、投与経路毎に各辞典で3匹の動物分をまとめてプールした。血漿サンプルをLC−MS/MSで分析し、定量した。
【0206】
完全および加速薬物動態試験の両方について、次のパラメータを、Winnonlin 5.0ソフトウエア(Pharsight, Mountain View, CA, USA)を使用する非コンパートメント回帰分析により計算した:血漿クリアランス(Cl)、血漿最大濃度(Cmax)、濃度時間曲線下血漿面積(AUC0−inf)および経口バイオアベイラビリティ%(F%)。
【0207】
マウスでの本発明の化合物のいくつかの薬物動態パラメータを下の表に示す。
【表15】

【表16】

【0208】
遊離形または薬学的に許容される塩形態の式Iの化合物は、例えば、本明細書に記載するインビトロおよびインビボ試験により示されるとおり、価値ある薬理学的特性を有する。例えば、式Iの化合物は、好ましくはA375 CP細胞増殖アッセイにおいて250nMまたはそれより良い、好ましくは200nM未満、150nM未満、100nM未満および50nM未満の範囲のIC50を示す。
【0209】
の2−(メトキシカルボニルアミノ)−1−プロピル基が、好ましいレベルの活性およびp38を含む他のキナーゼ類を超える選択性を提供する。例えば、化合物9と29の間に活性の30倍を超える増加があり、それぞれA375 IC50は2nMおよび76nMである。
【0210】
式Ibの化合物のフェニル置換パターンは、R位にフルオロまたはクロロおよびR位にフルオロ、クロロまたはメチルで、代謝安定性(マウスおよびヒトでのER)について最適化する。比較のために、例えば、化合物9および6のER(ヒト)はそれぞれ<0.21および0.69である。
【0211】
の2−(メトキシカルボニルアミノ)−1−プロピル基、R/R置換パターンおよびRのメチル基の組合せは、総薬剤暴露(AUC)に驚くべき影響を有する。例えば、AUCが、10mg/kgの経口投与量で30±4マイクロモル*時間である化合物9(化合物1、3、4、6および7と比較)を参照のこと。
【0212】
実施例130
インビボ有効性14日間A375マウス異種移植片モデル
A375細胞を、37℃インキュベーターで、5%COで2〜4週間無菌条件下で増殖させた。細胞を10%FBSを添加したRPMI−1640培地で培養した。細胞を週に2回、0.05%トリプシン/EDTAを使用して継代した。インプラントの日に、細胞をHBSS(ハンクス平衡塩類溶液)中に回収した。Fe雄Nu/Nuマウス(Charles River、試験開始時10〜11週齢)に、1日目に右脇腹に50%マトリゲル、0.2mL SQ中5×10 A375細胞/マウスでインプラントした。インプラント19日後、マウスを6群(1群あたり9匹のマウス)に無作為に分け、平均腫瘍容積215mmおよび平均体重24gであった。試験化合物を19日目から開始して14日間、投与あたり0.2mLで、所望の投与量レベルを得るために適当に濃度で製剤した化合物を1日2回(BID)投与した。臨床観察を毎日行った。腫瘍容積および体重を週に2回測定した。エンドポイント:いずれかのマウスまたは群で最初の25%を超える体重減少および/または3000mmを超える腫瘍容積。
【0213】
化合物9(20%PEG300/3%ETPGS/77%水中に製剤)を、上のプロトコルに従い、下の投与レジメンで投与した:
グループ1:媒体、qd×14
グループ2:1mg/kg 化合物9、bid×14
グループ3:3mg/kg 化合物9、bid×14
グループ4:10mg/kg 化合物9、bid×14
グループ5:20mg/kg 化合物9、bid×14
【0214】
腫瘍容積結果を最初の投与から14日後に評価した。部分応答は、対照腫瘍増殖の20〜50%の腫瘍増殖と定義する。安定疾患は、最初の腫瘍サイズの±20%内の最終腫瘍容積と定義する。部分的寛解は、最初の腫瘍容積の<80%である最終腫瘍容積と定義する。
グループ2:部分的応答
グループ3:病態安定
グループ4:部分的寛解
グループ5:部分的寛解
【0215】
ここに記載する実施例および態様は単に説明の目的のためのみであって、それに照らした種々の修飾または変化が当業者には示唆され、本明細書および添付する特許請求の範囲内に包含させることは理解されるべきである。ここに引用する全ての刊行物、特許および特許出願は全ての目的のために引用により本明細書に包含させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Ia:
【化1】

〔式中、
YはNおよびCRから選択され;
、R、RおよびRは独立して水素、ハロ、シアノ、C1−4アルキル、ハロ置換C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロ置換C1−4アルコキシから選択され;ただし、Rがフルオロであり、Rが水素、−X8a、−XOX8a、−XC(O)NR8a8b、−XNR8a8b、−XNR8aC(O)XOR8bおよび−XNR8aS(O)0−28bから選択されるとき、RおよびRは両方とも水素ではなく;
は−Rおよび−NR1011から選択され;ここで、RはC1−6アルキル、C3−8シクロアルキル、C3−8ヘテロシクロアルキル、アリールおよびヘテロアリールから選択され;ここで、Rの該アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールまたはヘテロアリールは場合によりハロ、シアノ、C1−4アルキル、ハロ置換C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロ置換C1−4アルコキシから独立して選択される基で置換されている1〜3個の水素を有してよく;R10およびR11は独立して水素およびRから選択され;
は水素、C1−4アルキル、C3−5シクロアルキルおよびC3−5ヘテロシクロアルキルから選択され;ここで、Rの該アルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルは場合によりハロ、シアノ、ヒドロキシル、C1−4アルキル、ハロ置換C1−4アルキル、C1−4アルコキシおよびハロ置換C1−4アルコキシから独立して選択される基で置換されている1〜3個の水素を有してよい。〕
の化合物またはその互変異性体、プロドラッグ、立体異性体または薬学的に許容される塩。
【請求項2】
が−Rであり;ここで、RがC1−3アルキルおよびC3−8シクロアルキルから選択され;ここで、Rの該アルキルまたはシクロアルキルは場合によりハロおよびハロ置換C1−4アルキルから独立して選択される基で置換されている1〜3個の水素を有してよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が水素およびフルオロから選択され;Rがクロロ、フルオロおよびメチルから選択され;Rが水素、クロロおよびフルオロから選択され;YがNおよびCRから選択され;Rが水素およびフルオロから選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
次のものから選択される、請求項3に記載の化合物:
N−[(2S)−1−({4−[3−(3−クロロ−5−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−[(4−{3−[2−フルオロ−3−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−[(4−{3−[3−クロロ−5−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(2,6−ジフルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−[(4−{3−[2,6−ジフルオロ−3−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−{[4−(3−{2−フルオロ−3−[(3,3,3−トリフルオロプロパン)スルホンアミド]フェニル}−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イル]アミノ}プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(3−クロロ−2−メタンスルホンアミドピリジン−4−イル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(3−フルオロ−2−メタンスルホンアミドピリジン−4−イル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(2−クロロ−3−エタンスルホンアミド−4,5−ジフルオロフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(2,4−ジフルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[1−(プロパン−2−イル)−3−(2,4,5−トリフルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(3−エタンスルホンアミド−2,4−ジフルオロフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−2−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(オキサン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−[(4−{3−[2,4−ジフルオロ−3−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(3−シクロプロパンスルホンアミド−2,5−ジフルオロフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−3−シクロプロパンスルホンアミド−2−フルオロフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;および
N−[(2S)−1−[(4−{3−[5−クロロ−2−フルオロ−3−(プロパン−1−スルホンアミド)フェニル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル}ピリミジン−2−イル)アミノ]プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル。
【請求項5】
式Ib:
【化2】

〔式中、
はクロロ、フルオロおよびメチルから選択され;
はフルオロおよびクロロから選択され;
はエチルおよびイソプロピルから選択される。〕
である、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
次のものから選択される、請求項5に記載の化合物:
N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(2,5−ジフルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(2−フルオロ−3−メタンスルホンアミド−5−メチルフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(2−クロロ−3−メタンスルホンアミド−5−メチルフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(2−クロロ−5−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2R)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;
N−[(2S)−1−({4−[3−(2,5−ジクロロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル;および
N−[(2S)−1−({4−[3−(5−クロロ−2−フルオロ−3−メタンスルホンアミドフェニル)−1H−ピラゾール−4−イル]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロパン−2−イル]カルバミン酸メチル。
【請求項7】
次のものから選択される、化合物:
N−[5−クロロ−3−(4−{2−[(2−シアノエチル)アミノ]ピリミジン−4−イル}−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル)−2−フルオロフェニル]メタンスルホンアミド;
N−{5−クロロ−3−[4−(2−{[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ}ピリミジン−4−イル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]−2−フルオロフェニル}メタンスルホンアミド;
N−(5−クロロ−2−フルオロ−3−{4−[2−(メチルアミノ)ピリミジン−4−イル]−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル}フェニル)メタンスルホンアミド;および
N−{3−[4−(2−アミノピリミジン−4−イル)−1−(プロパン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−イル]−5−クロロ−2−フルオロフェニル}メタンスルホンアミド。
【請求項8】
次のものから選択される、化合物:
3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロアニリン;
シアノ−(2−メチルチオ−ピリミジン−4−イル)−酢酸tert−ブチルエステル;
1−イソプロピル−4−(2−(メチルチオ)ピリミジン−4−イル)−1H−ピラゾール−3−アミン;
2−((2−ベンジリデン−1−エチルヒドラジニル)メチレン)−マロノニトリル;
1−(3−アミノ−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン;
1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン;
1−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン;
1−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)エタノン;
3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オン;
3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オン;
3−(ジメチルアミノ)−1−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)プロプ−2−エン−1−オン;
4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(3−ヨード−1−エチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(3−ヨード−1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−アミン;
4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−オール;
2−クロロ−4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン;
1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−メチル;
1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(R)−メチル;
1−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパン−2−イルカルバミン酸(S)−tert−ブチル;
3−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イルアミノ)プロパンニトリル;
4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)−N−メチルピリミジン−2−アミン;
−(4−(3−ヨード−1−イソプロピル−1H−ピラゾール−4−イル)ピリミジン−2−イル)−N,N−ジメチルエタン−1,2−ジアミン;
N−(3−ブロモ−2,4−ジフルオロフェニル)プロパン−1−スルホンアミド;
3−フルオロ−4−ヨードピリジン−2−アミン;
3−クロロ−4−ヨードピリジン−2−アミン;
3−ブロモ−2,5,6−トリフルオロアニリン;
2,4−ジブロモ−3,6−ジクロロアニリン;
3−ブロモ−2−クロロ−5−メチルアニリン;
3−ブロモ−2,5−ジフルオロアニリン;
3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロ安息香酸;
3−ブロモ−5−クロロ−2−フルオロフェニルカルバミン酸tert−ブチル;
3−ブロモ−2−フルオロ−5−メチルフェニルカルバミン酸tert−ブチル;
5−クロロ−2−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル;
2,6−ジフルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル;
N−(2,4−ジフルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパン−1−スルホンアミド;
2−(2−フルオロ−3−ニトロフェニル)−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン;
2,5−ジフルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;
2−クロロ−5−フルオロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;
2,5−ジクロロ−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;
2−クロロ−5−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;
2−フルオロ−5−メチル−3−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニルカルバミン酸tert−ブチル;
3−フルオロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミン;
2,3,6−トリフルオロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;
3−クロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−2−アミン;
3−クロロ−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン;および
3−メトキシ−2−メチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)アニリン。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれかに記載の化合物を、少なくとも1種の薬学的に許容される添加物と共に含む、医薬組成物。
【請求項10】
添加物がコーンデンプン、ポテトデンプン、タピオカデンプン、デンプンペースト、アルファ化デンプン、糖類、ゼラチン、天然ゴム類、合成ゴム類、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、セルロース、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、ポリビニルピロリドン、タルク、炭酸カルシウム、粉末化セルロース、デキストレート類、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、寒天−寒天、炭酸ナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール類、ラウリル硫酸ナトリウム、水素化植物油、ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、ダイズ油、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、シリカおよびこれらの組合せから成る群から選択される、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
さらなる治療剤を含む、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
さらなる治療剤が抗癌化合物、鎮痛剤、制吐剤、抗鬱剤および抗炎症剤から選択される、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
癌の処置のための請求項1〜7のいずれかに記載の化合物。
【請求項14】
処置する癌が、肺癌、膵臓癌、膀胱癌、結腸癌、骨髄障害、前立腺癌、甲状腺癌、黒色腫、腺腫ならびに卵巣、眼、肝臓、胆管および神経系の癌から成る群から選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
癌の処置方法であって、かかる処置を必要とする対象に有効量の請求項1〜7のいずれかに記載の化合物または請求項9〜11のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項16】
癌が肺癌、膵臓癌、膀胱癌、結腸癌、骨髄障害、前立腺癌、甲状腺癌、黒色腫、腺腫ならびに卵巣、眼、肝臓、胆管および神経系の癌から成る群から選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
さらなる治療剤をさらに投与することを含む、請求項15または16に記載の方法。
【請求項18】
さらなる治療剤が抗癌剤、鎮痛剤、制吐剤、抗鬱剤または抗炎症剤を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
さらなる治療剤が異なるRafキナーゼ阻害剤またはMEK、mTOR、HSP90、AKT、PI3K、CDK9、PAK、タンパク質キナーゼC、MAPキナーゼ、MAPKキナーゼもしくはERKの阻害剤である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
MEK阻害剤が:AS703026;MSC1936369B;GSK1120212;AZD6244;PD−0325901;ARRY−438162;RDEA119;GDC0941;GDC0973;TAK−733;RO5126766;およびXL−518から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
さらなる治療剤を本化合物と同時に投与する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
Rafキナーゼが仲介する状態の処置方法であって、それを必要とする対象に有効量の請求項1〜7のいずれかに記載の化合物または請求項9〜11のいずれかに記載の医薬組成物を投与することを含む、方法。
【請求項23】
Rafキナーゼが変異b−Rafキナーゼである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
変異b−Rafキナーゼがb−Raf(V600E)である、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2013−503186(P2013−503186A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−527014(P2012−527014)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/046930
【国際公開番号】WO2011/025927
【国際公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】