タンパク質含有フォーム、その製造および使用
本発明は、一般に、タンパク質含有ポリウレタンフォーム、ポリウレタンフォームを製造する方法および組成物、ならびにポリウレタンフォームを含む物品に関する。一実施形態において、ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができる単離された水溶性ポリペプチド組成物が提供され、この水溶性ポリペプチド組成物は、次の特徴、(a)固体状態FTIRで測定した場合、約1633cm−1〜1680cm−1のアミド−I吸収帯、(b)固体状態FTIRで測定した場合、約1522cm−1〜1560cm−1のアミド−II吸収帯、などを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、同時係属中の米国仮特許出願第61/246,215号(2009年9月28日出願)、同時係属中の米国仮特許出願第61/246,208号(2009年9月28日出願)、および同時係属中の米国仮特許出願第61/157,944号(2009年3月6日出願)の利益および優先権を主張し、これらはそれぞれ内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、タンパク質含有フォーム、その製造およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
フォームは、例えば、発泡断熱材、包装用発泡体、安全パッド、カーペット裏地、木目調備品用の装飾用発泡体等を含む様々な工業用途および消費者用途に使用されている。これらのフォームの利用は世界中で増大し続けている。増大の原因は、とりわけ、それらが軽量であり、強度対重量比が優れていること、それらの断熱および防音特性、ならびに、フォームのエネルギー吸収特性にあると言える。ポリウレタンフォームは広く普及しており、様々な異なる形態に製造することができる。例えば、ポリウレタンフォームは軟質、半硬質、または硬質の形態に製造することができ、軟質フォームは一般に硬質フォームと比較して柔軟で、低密度で、可撓性があり、荷重を加えた後、構造的に回復し易い。
【0004】
ポリウレタンフォームの製造は、フォームの分野で広く論じられてきた。それにもかかわらず、ポリウレタンフォームの一般的な製造方法は、主鎖ウレタン基を形成するポリオールとイソシアネートの反応による。典型的には、発泡剤(例えば、不活性ガスまたはガスを生成する化合物など)を使用して、フォームに気泡を形成する。製造中に追加の調整剤(例えば、触媒および界面活性剤など)を添加して、得られるフォーム製品の特性を調整してもよい。
【0005】
最近、ポリウレタンフォームの製造におけるポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールの使用を、より汎用性があり、再生可能で、より低コストで、より環境にやさしい成分で代替するまたは低減する努力が行われてきた。例えば、フォームは、植物由来の脂肪酸トリグリセリドを使用して製造されてきた。このような材料は再生可能であり、比較的安価で、汎用性があり、環境にやさしいため、それらはフォーム製造の成分として望ましい。
【0006】
しかし、フォームの特性を調整できる、再生可能で、より低コストで、より環境にやさしい薬剤が依然として必要とされている。例えば、より高い発泡高さ、均一な気泡構造、および/またはより低密度のフォームなどのフォームの特性を改善するのに使用できる再生可能な材料が有利であろう。安価に且つ大量に得ることができる廃棄副産物中に存在する材料は特に有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一部、例えば、廃棄植物系バイオマスなどの様々な出発原料から得ることができる特定のタンパク質組成物を使用して、フォームの特性を調整することができ、例えば、より小さく、より均一な気泡をより多く含有する、より低密度のフォームを製造することができるという知見に基づく。
【0008】
一態様では、本発明は、ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができる単離された水溶性ポリペプチド組成物を提供する。単離された水溶性ポリペプチド画分は、次の特徴、即ち、(a)固体状態フーリエ変換赤外分光法(FTIR)で測定した場合、約1633cm−1〜1680cm−1のアミド−I吸収帯、(b)固体状態FTIRで測定した場合、約1522cm−1〜1560cm−1のアミド−II吸収帯、(c)固体状態FTIRで測定した場合、約3200cm−1および約3300cm−1を中心とする2つの顕著な1°アミドN−H伸縮振動吸収帯、(d)溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と、約7.6ppm−約8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核の顕著なクラスター、(e)約600〜約2,500ダルトンの平均分子量、(f)水中油型エマルションを安定化できないことであって、水86重量部に溶解または分散したタンパク質14重量部を含む水溶液を、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)14重量部と混合した場合、水溶液とPMDIが混合後5分以内に静的状態で巨視的に相分離する不安定な懸濁液を形成すること、(g)水溶性ポリペプチド組成物は、同じ出発組成物から製造されたが水溶性タンパク質組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができること、および(h)水溶性ポリペプチド組成物は、同じ出発組成物から製造されたが水溶性ポリペプチド組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームの密度を少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%)低下させることができること、の1つ以上を含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、フォームの製造に使用される単離された水溶性ポリペプチド組成物の製造方法を提供する。本方法は、(a)タンパク質含有出発原料をpH約6.5超の水溶液中に少なくとも5分間分散させ、粒子状物質を含有する懸濁液を製造する工程、(b)工程(a)の後に、任意選択によりpHを約4.0〜5.0に低下させる工程、および、(c)その後、粒子状物質から水溶液を分離し、それによって本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物用の濃縮された溶液を得る工程を含む。
【0010】
特定の実施形態では、本方法は、さらに、(i)工程(a)の前に、出発原料を酵素で消化する工程、(ii)工程(a)の後に、懸濁液を酵素で消化する工程、(iii)工程(b)の後に、懸濁液を酵素で消化する工程、または(iv)工程(c)の後に、水溶性ポリペプチド組成物用の濃縮された溶液を酵素で消化する工程、の1つ以上を含む。有用な酵素としては、例えば、セリン特異性プロテアーゼ、ロイシン特異性プロテアーゼ、リシン特異性プロテアーゼ、またはアルギニン特異性プロテアーゼが挙げられる。本方法は、任意選択により、工程(c)で得られた水溶性ポリペプチド組成物を乾燥させる工程をさらに含む。
【0011】
これらの態様のそれぞれにおいて、水溶性タンパク質組成物は、動物性材料(例えば、牛乳および乳清、魚粉、動物組織)由来であっても、または植物性材料(例えば、コーン、小麦、ヒマワリ、木綿、菜種、キャノーラ、ヒマ、大豆、アマナズナ、亜麻、ナンヨウアブラギリ、アオイ科植物、落花生、藻類、豆類、ヤシ、タバコ、サトウキビ搾りかす、およびこれらの組み合わせ)由来であってもよい。他の特定の実施形態では、水溶性タンパク質組成物の製造方法における出発原料(バイオマス)は、乳清、キャノーラミール、キャノーラタンパク質単離物、ヒマミール、ヒマタンパク質単離物、大豆ミール、大豆タンパク質単離物、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0012】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の水溶性タンパク質組成物を使用して製造されるフォームを提供する。本フォームは、(a)本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物、(b)イソシアネートをベースにする反応物、および(c)任意選択のイソシアネート反応性化合物、を含む混合物の反応生成物を含むポリウレタンフォームであってもよい。特定の実施形態では、混合物は、任意選択により、とりわけ界面活性剤および/または触媒および/または発泡剤をさらに含んでもよい。
【0013】
別の態様では、本発明は、(a)タンパク質含有組成物、(b)イソシアネートをベースにする反応物、および(c)任意選択のイソシアネート反応性成分、を含む混合物の反応生成物を含むポリウレタンフォームを提供し、タンパク質含有組成物は、同じ混合物から製造されたがタンパク質含有組成物を含まないポリウレタンフォームと比較して、ポリウレタンフォームの密度を少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%)低下させることができる。特定の実施形態では、混合物は、任意選択により、とりわけ界面活性剤および/または触媒および/または発泡剤をさらに含んでもよい。
【0014】
別の態様では、本発明は、(a)単離されたタンパク質を含有する組成物でこのタンパク質含有組成物は、水性媒体中にPMDIを分散させることができるもの、(b)イソシアネートをベースにする反応物、および(c)任意選択のイソシアネート反応性成分、を含む混合物の反応生成物を含むポリウレタンフォームを提供する。タンパク質含有組成物は、水不溶性/水分散性タンパク質画分を単独でまたは水溶性タンパク質画分と組み合わせて含む。特定の実施形態では、混合物は、任意選択により、とりわけ界面活性剤および/または触媒および/または発泡剤をさらに含んでもよい。
【0015】
前述の態様のそれぞれにおいて、イソシアネートをベースにする反応物は、有機ポリイソシアネート、例えば、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせであってもよい。代わりに、またはさらに、イソシアネートをベースにする反応物は、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン(uetonimine)、イソシアヌレート、またはこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートであってもよい。
【0016】
イソシアネート反応性化合物は、イソシアネートと求核反応する化合物であってもよい。例えば、イソシアネート反応性化合物は、例えば、イソシアネートと反応できるヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物であってもよい。特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、ポリオール、例えば、ヒマシ油、アマニ油、または大豆油由来のポリオールである。他の特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、またはこれらの混合物からなる群から選択される化合物を開始剤として用いたポリオールである。さらに、イソシアネート反応性化合物は、単独で、または前述のイソシアネート反応性化合物のいずれかと組み合わせて使用される水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物を含んでもよい。水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物は、イソシアネートをベースにする反応物と一緒に分散し、得られる硬化フォームの不可分の構造成分となることができる。しかし、水溶性ポリペプチドタンパク質と異なり、水不溶性ポリペプチド組成物は、通常、得られるフォームの密度を低下させない。
【0017】
代わりに、またはさらに、イソシアネート反応性化合物は、ヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィンまたはポリシロキサン、またはグリコールもしくはそれより高官能基数のポリオールとジカルボン酸との縮合によって得られるポリエステルであってもよい。特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、ポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、アミンアルコキシレート、またはこれらの混合物である。他の特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物はポリオキシプロピレングリコールである。
【0018】
特定の実施形態では、フォームの密度は、ASTM D−7487により測定した場合、約0.01g/cm3〜約0.5g/cm3の範囲である。特定の実施形態では、フォームの密度は、同じ出発組成物から製造されたが本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物、または得られるフォームの密度を低下させるのに十分な量の水溶性タンパク質を含有するタンパク質含有組成物を含まないフォームより5%〜80%低密度となり得る。他の特定の実施形態では、ASTM D−7487により定義されるフォームクリームタイムが、1分未満である。他の特定の実施形態では、ASTM D7487で測定されるフォーム自由発泡高さは、同じ出発組成物から製造されたが本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物、または得られるフォームの密度を低下させるのに十分な量の水溶性タンパク質を含有するタンパク質含有組成物を含まないフォームのフォーム自由発泡高さより大きい。例えば、フォーム自由発泡高さは、同じ出発組成物から製造されたがこのようなタンパク質を含まないフォームのフォーム自由発泡高さより少なくとも5%大きくなり得る。他の特定の実施形態では、本フォームは、同じ出発組成物から製造されたが本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物、または得られるフォームの密度を低下させるのに十分な量の水溶性タンパク質を含有するタンパク質含有組成物を含まないフォームと比較して、より小さく、より均一な気泡をより多く有する。
【0019】
別の態様では、本発明は、(a)タンパク質含有組成物(例えば、本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物)とイソシアネートをベースにする反応物を混合して混合物を製造する工程、および(b)混合物からポリウレタンフォームを製造する工程、を含むポリウレタンフォームの製造方法を提供する。得られるフォームの密度を低下させるのに有効であるように水溶性画分を単離する必要はないが、特定の状況では、水溶性タンパク質画分と水不溶性タンパク質画分を分離し、それらを制御された割合で添加し、得られるフォームの特性を調整することが望ましい。特定の実施形態では、工程(a)の混合物は、さらにイソシアネート反応性化合物を含む。イソシアネートをベースにする反応物とイソシアネート反応性化合物は、本発明の他の態様に関して前述されたものと同じであってもよい。
【0020】
工程(a)の混合物は、任意選択により、発泡剤、または発泡剤を生成する化合物をさらに含む。特定の状況では、水は発泡剤を生成できることが分かる。水溶性タンパク質を、水中に、イソシアネートをベースにする反応物を含有する溶液中に、またはイソシアネート反応性物質を含有する溶液中に溶解、分散、または懸濁させてもよい。
【0021】
特定の実施形態では、工程(a)の混合物は、フォームの生成を促進する触媒をさらに含んでもよい。例示的な触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、トリエチレンジアミン、2,2’−ジメチルアミノジエチルエーテル、2−ジメチルアミノエタノール、オクタン酸第一錫、オクタン酸カリウム、カルボン酸のアルカリ金属塩、またはこれらの組み合わせが挙げられる。代わりに、またはさらに、工程(a)の混合物は、界面活性剤、例えば、ポリエーテルシリコーンをさらに含む。代わりに、またはさらに、工程(a)の混合物は、難燃剤、充填剤、補強剤、煙抑制剤、殺生物剤、不活性可塑剤、帯電防止剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含んでもよい。
【0022】
特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、タンパク質含有組成物(例えば、水溶性ポリペプチド組成物)は、フォームの製造に使用される出発原料の約0.01%(w/w)〜約50%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、フォームは約250%〜約800%の範囲のインデックスで製造される。
【0023】
別の態様では、本発明は、タンパク質含有組成物(例えば、本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物、水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物、またはこれらの混合物)およびイソシアネートをベースにする反応物を含む、ポリウレタンフォームを製造するためのプレミックスを提供する。タンパク質含有組成物は、同じ混合物から製造されたがタンパク質含有組成物を含まないポリウレタンフォームと比較して、ポリウレタンフォームの密度を少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%)低下させることができることを特徴とする。プレミックスは、また、とりわけイソシアネート反応性化合物、発泡剤または発泡剤を生成する化合物、界面活性剤、およびフォームの生成を促進する触媒を含んでもよい。
【0024】
イソシアネートをベースにする反応物、イソシアネート反応性化合物、発泡剤または発泡剤を生成する化合物、界面活性剤、および触媒は前述のものと同じであってもよい。特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、プレミックスの約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、プレミックスの約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、タンパク質含有組成物(例えば、水溶性ポリペプチド組成物)は、フォームの製造に使用される出発原料の約0.1%(w/w)〜約99%(w/w)を構成する。
【0025】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のフォームを含む物品を提供する。
【0026】
本発明の前述のおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面に示す好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになるであろう。図面は必ずしも一律の縮尺通りに描かれておらず、代わりに本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施に有用な単離されたポリペプチド組成物の例示的な製造方法の工程を示すフローチャートである。
【図2】消化されたヒマ・ロット5−90から単離された水溶性タンパク質画分と水不溶性タンパク質画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図3】カルボニルアミド領域が拡大されている、消化されたヒマから単離された水溶性画分と水不溶性画分の固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図4】N−H伸縮振動領域が拡大されている、消化されたヒマから単離された水溶性画分と水不溶性画分の固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図5】カルボニルアミド領域の拡大を示す、ヒマタンパク質(ロット5−94)から単離された画分(水溶性画分と水不溶性/水分散性画分)の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図6】N−HおよびO−H伸縮振動領域が拡大されている、ヒマタンパク質(ロット5−94)から単離された水溶性画分と水不溶性画分の固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図7】ヒマタンパク質(ロット5−94)から、および酵素消化されたヒマ(ロット5−90)から単離された水不溶性/水分散性画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図8】カルボニルアミド領域が拡大されている、消化された大豆から単離された水溶性画分と水不溶性画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図であり、スペクトルは、アミド−Iカルボニル伸縮振動の吸収強度が同等になるように垂直方向に縮尺が調整された。
【図9】N−H伸縮振動領域が拡大されている、消化された大豆から単離された水溶性画分と水不溶性画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図10】消化された大豆と消化されたヒマから単離された水溶性ポリペプチド画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図11】消化された大豆と大豆粉から単離された水不溶性画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図12】カルボニルアミド領域が拡大されている、複数のタンパク質試料(消化された大豆・ロット5−81、大豆粉、ヒマタンパク質単離物・ロット5−94、消化されたヒマ・ロット5−90)から単離された水不溶性/分散性画分の重ね合わせた固体状態FTIR表面ATRスペクトルを示す図である。
【図13】領域Aおよび領域Bと表された目的とする2つの領域を示す、d6−DMSO中における消化されたヒマ(ロット5−83)の二次元HSQC1H−15N NMRスペクトルを示す図である。
【図14】再び領域Aおよび領域Bを示す、d6−DMSO中における消化されたヒマ(ロット5−83)由来の水不溶性/分散性ポリペプチド画分の二次元HSQC 1H−15N NMRスペクトルを示す図である。
【図15】実施例5の方法に従って製造されたポリウレタンフォームを示す図である。
【図16】実施例9の方法に従って製造されたポリウレタンフォームを示す図である。
【図17】実施例10の方法に従って製造されたポリウレタンフォーム示す図であり、図17(A)はポリイソシアネート:PMDIの比9:10のものを示し、図17(B)はポリイソシアネート:PMDIの比10:10のものを示す。
【図18】実施例11の方法に従って製造されたポリウレタンフォームを示す図である。
【図19】実施例13の方法に従って製造されたポリウレタンフォームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、一部、様々な出発原料(例えば、廃棄植物系バイオマスなど)から得ることができる特定のタンパク質画分を使用して、フォームの特性を調整することができ、例えば、より小さく、より均一な気泡をより多く含有するより低密度のフォームを製造することができるという知見に基づく。本発明は、ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができる単離された水溶性ポリペプチド組成物、タンパク質含有ポリウレタンフォーム、タンパク質含有ポリウレタンフォームを製造する方法および組成物、ならびに前記ポリウレタンフォームを含む物品を提供する。単離された水溶性ポリペプチド組成物は、様々な供給源、例えば、植物質(農産業の廃棄副産物として生じるバイオマスなど)または動物質(例えば、牛乳または乳清、魚粉、または動物組織)から単離することができる。
【0029】
特定のタンパク質画分(単離された水溶性タンパク質組成物と、ある一定量の水溶性タンパク質を含有する粗タンパク質含有組成物を含み得る)をポリウレタンフォーム形成組成物に添加して、得られるポリウレタンフォームの特性を変化させることができるということが見出された。例えば、得られるフォームは、例えば、同じ出発原料から生成されたがタンパク質画分を含まないフォームと比較して、より低密度、および/またはより小さく、より均一な気泡サイズを有することができる。そのため、所定の体積を満たすのに必要な原料(例えば、イソシアネートをベースにする反応物および/またはイソシアネート反応性化合物)が比較的少ないフォームを製造することが可能である。そのため、タンパク質を含まないフォームより安価に所望の物理的特性を有するフォームを製造することが可能であり、また、配合物中に既知のポリウレタンフォーム用界面活性剤を使用することなく、フォームを製造することも可能である。これらのタンパク質含有ポリウレタンフォームは、本明細書に記載の特定のタンパク質組成物、イソシアネートをベースにする反応物および任意選択のイソシアネート反応性化合物を混合して、フォームを生成するプレミックスを製造することによって製造することができる。ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができるタンパク質組成物、タンパク質含有ポリウレタンフォーム、このようなタンパク質含有ポリウレタンフォームを製造する方法および組成物、ならびに前記ポリウレタンフォームを含む物品について下記にさらに説明する。
【0030】
I.ポリペプチド組成物
動物系および植物系バイオマスから得ることができる異なるタンパク質画分は、異なる物理的特性および化学的特性を有する。そのため、そのタンパク質を使用して、得られるフォームの所望の特性を調整することができる。本明細書に記載の水溶性タンパク質画分は、水溶性タンパク質画分なしで製造されたフォームと比較して、より低密度、および/またはより小さく、より均一な気泡サイズを有するポリウレタンフォームを提供する。特定の実施形態では、また、水不溶性/水分散性タンパク質画分をさらに、フォームを生成するプレミックスに添加してもよい。水不溶性/水分散性タンパク質画分の添加により、さらに、プレミックスから製造されるフォームの特性が調整される。水不溶性/水分散性タンパク質の添加により、得られるフォームに構造的剛性を付与することができる、および/または得られるフォームの密度を調整することができる。さらに、水不溶性/水分散性タンパク質画分と水溶性タンパク質画分は共に、接着剤を製造するために、単独で、または組み合わせて使用することができるが、これは米国特許出願第12/719,521号明細書(2010年3月8日出願)に詳述されており、その開示内容は参照により本明細書に援用される。
【0031】
「タンパク質」および「ポリペプチド」の用語は、同義的に使用され、例えば、ペプチド結合または他の結合で互いに結合しているアミノ酸を含有するポリマーを指し、天然アミノ酸または修飾アミノ酸を含有し得る。ポリペプチドは、天然供給源から単離されても、または標準的な化学を使用して合成されてもよい。さらに、ポリペプチドは、翻訳後プロセシングなどの自然過程により、または当該技術分野で周知の化学修飾法により、修飾または誘導体化されてもよい。修飾または誘導体化は、例えば、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含む、ポリペプチドのどこで行われてもよい。修飾には、例えば、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、脱アミノ化、共有結合性架橋の形成、ピログルタミン酸の生成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、 メチル化、ミリストイル化(myristolyation)、酸化、ペグ化、タンパク質分解、リン酸化等が挙げられる。全体を通して使用される場合、「単離された」の用語は、元の環境(例えば、それが天然のものである場合は、天然の環境)から取り出された物質を指す。
【0032】
単離されたポリペプチド組成物を製造するための出発原料はミールであっても、またはタンパク質単離物であってもよく、植物性材料(例えば、コーン、小麦、ヒマワリ、木綿、菜種、キャノーラ、ヒマ、大豆、アマナズナ、亜麻、ナンヨウアブラギリ、アオイ科植物、落花生、ヤシ、タバコ、サトウキビ搾りかす、および藻類の1種類以上)および/または動物性材料(例えば、牛乳、乳清、魚粉、動物組織)由来であってもよい。水溶性タンパク質画分は、様々な方法で、例えば、実施例全体を通して記載されているように製造できることが分かる。
【0033】
例えば、水溶性タンパク質は、植物性材料または動物性材料を水で洗浄し、単に、洗浄水に溶解するタンパク質を得ることによって単離されてもよい。しかし、得られる洗浄水は水溶性タンパク質以外の化合物、例えば、デンプンや糖類等などの水溶性炭水化物も含有し得ることが分かる。しかし、水溶性タンパク質画分対水不溶性/水分散性タンパク質画分の割合が、出発原料の供給源や出発原料で既に行われた可能性がある加工工程などの多数の要因によって変わり得る場合、および、水不溶性/水分散性ポリペプチドが密度低下を促進せず、むしろこの効果を減少させ得る場合、2つの異なるポリペプチド画分を分離した後、それらを、得られるフォームの物理的特性または化学的特性が制御されるように且つ得られるフォームの再現性が改善されるように制御して加え合わせることが好ましい。目的とするフォームに密度低下が必要でない場合、組成物から水溶性ポリペプチドを全体的に減少させ、またはなくし、水不溶性/水分散性ポリペプチドを配合物中の単独のタンパク質ベースの成分として使用できることが分かる。これは、タンパク質を含有しない類似のフォーム、または任意の量の水溶性ポリペプチド画分を含有する類似のフォームと同等のまたはそれより高い密度(これは、弾性率、強度、透過性等に影響を及ぼす)を有するフォームを製造することが望ましい場合、望ましい可能性がある。
【0034】
同様に、水不溶性/水分散性タンパク質画分は、実施例全体を通して、および同時係属中の米国特許出願第12/719,521号明細書(2010年3月8日出願)に詳述されている多くの方法で製造できることが分かり、この特許出願の開示内容は参照により本明細書に援用される。例えば、水で洗浄して大豆タンパク質単離物から水溶性タンパク質および水溶性成分を除去することにより、大豆タンパク質単離物から粗水不溶性/水分散性タンパク質画分を単離することができる。粗水不溶性/水分散性タンパク質画分は、特定の用途に応じて多くの種類の油を分散させることができるが、より純粋な形態の水不溶性/水分散性タンパク質画分を単離することが有利な場合がある。水溶性タンパク質画分と水不溶性/水分散性タンパク質画分の両方を製造する1つの方法を図1に概略的に示す。
【0035】
図1に示すように、出発原料(例えば、粉砕ミール)を、pH6.5〜13の水性媒体(例えば、水)中に少なくとも5分間、少なくとも20分間、少なくとも40分間、または少なくとも1時間分散させ、混合物を形成する。出発原料としては、限定されないが、乳清タンパク質、キャノーラミール、キャノーラタンパク質単離物、ヒマミール、ヒマタンパク質単離物、大豆ミール、または大豆タンパク質単離物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。このとき、任意選択により、酸を添加することによって混合物のpHを低下させ(混合物のpHを、例えば4.0〜5.0の範囲にし)、水溶性タンパク質の一部と水不溶性タンパク質の両方を沈殿させてもよい。この時点で、上清を得ることによって、水溶性タンパク質を沈殿物から分離してもよい。特定の実施形態では、pHを低下させる工程の前に水溶性タンパク質画分を得てもよい(図1参照)ことが分かる。換言すれば、出発原料を水性媒体(例えば、水)中に分散させ、従来の分離方法を使用して水溶性物質(水溶性タンパク質画分を含有する)を水不溶性物質から分離する。あるいは、pHを低下させた後に水溶性タンパク質を得てもよく、または水不溶性物質の洗浄液、例えば、洗浄水から水溶性タンパク質を得てもよい(図1参照)。異なる工程で得られる水溶性タンパク質含有水性画分の2つ以上を組み合わせることにより、水溶性タンパク質を製造してもよいことが分かる。
【0036】
水不溶性残留物質(即ち、沈殿物)を得ることができる。このとき、得られた物質を水で洗浄(特定の状況では、十分に洗浄)してもよく、残りの水不溶性/水分散性物質が得られる。
【0037】
前述のタンパク質単離方法を変更し、単なる水の代わりに、水−アルコール混合物を使用してもよい。例えば、水−アルコール混合物で植物性または動物性材料を洗浄して、水−アルコール混合物に溶解するタンパク質を単に得ることにより、水溶性タンパク質を単離してもよい。様々なアルコールが単離条件に適すると考えられる。特定の実施形態では、アルコールは、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、またはPPG−2000などのポリオールである。特定の実施形態では、水−アルコール混合物中の水対アルコールの比は、10:1〜5:1、5:1〜2:1、2:1〜1:2、1:2〜1:5、または1:5〜1:10の範囲である。
【0038】
水溶性タンパク質画分および/または水不溶性/水分散性タンパク質画分をそのまま使用しても、または乾燥させて使用時まで貯蔵してもよいことが分かる。乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥、オーブン乾燥、真空乾燥、または乾燥用の塩(五酸化リンまたは塩化リチウムなど)への暴露を含む、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。
【0039】
この方法は、1つ以上の酵素消化工程および/または化学的加水分解工程を含んでもよいことが分かる。1種類以上の酵素を使用して消化を促進してもよく、1種類以上の化学物質を使用して加水分解を促進してもよく、例えば、酸またはアルカリを用いた加水分解を行ってもよい。例えば、出発原料をアルカリ性水性媒体中でインキュベートする前に、もしくはインキュベートした後に、またはインキュベートの前後両方に、出発原料(例えば、粉砕ミール)を酵素消化してもよい。代わりに、またはさらに、酸を添加して混合物のpHを4.0〜5.0の範囲にした後に、材料を酵素消化する工程を行ってもよい。代わりに、またはさらに、得られた水溶性タンパク質画分、および/またはそれを得た後の水不溶性/水分散性物質を、酵素消化してもよい。しかし、前述の酵素消化工程と共に、またはその代わりに化学的加水分解を行ってもよい。
【0040】
特定の状況では、化学的に消化されたタンパク質中に存在する残留塩基性種およびアルカリ金属は、ポリイソシアネートとの相溶性がなく、イソシアネート基の三量化を引き起こす可能性があり、これは最終的なポリイソシアネート組成物中の安定性の問題に繋がる。しかし、酵素消化を使用して、幾つかの化学的加水分解工程に関連するイソシアネートの安定性の問題を回避または低減することができる。
【0041】
タンパク質画分の消化に有用な酵素には、細菌、真菌、動物または植物起源のエンドプロテアーゼもしくはエキソプロテアーゼまたはこれらの混合物が含まれることが分かる。有用な酵素としては、例えば、セリン特異性プロテアーゼ、ロイシン特異性プロテアーゼ、リシン特異性プロテアーゼまたはアルギニン特異性プロテアーゼが挙げられる。例示的な酵素としては、トリプシン、キモトリプシンA、BおよびC、ペプシン、レンニン、微生物アルカリプロテアーゼ、パパイン、フィシン、ブロメライン、カテプシンB、コラゲナーゼ、微生物中性プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼA、BおよびC、カルノシナーゼ(camosinase)、アンセリナーゼ、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のV8プロテアーゼおよび当該技術分野で既知の他の多くのものが挙げられる。また、これらのプロテアーゼの組み合わせを使用してもよい。
【0042】
また、例えば、Alcalase(登録商標)、Chymotrypsine 800類、Savinase(登録商標)、Kannase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Flavourzyme(登録商標)(全てNovo Nordisk,Denmarkから入手可能)、Protex 6.0L、Peptidase FP、Purafect(登録商標)、Purastar OxAm(登録商標)、Properase(登録商標)(Genencor,USAから入手可能)、Corolase L10(Rohm,Germany)、Pepsin(Merck,Germany)、パパイン、パンクレアチン、プロレザー(proleather)Nおよびプロテアーゼ(Protease)N(天野エンザエム、日本)、Henkelから入手可能なBLAPおよびBLAP各種、花王から入手可能なK−16様プロテアーゼ、またはこれらの組み合わせなどの市販の酵素製剤。下記の表1は、特定の有用なエンドヌクレアーゼのアミノ酸特異性について記載する。
【0043】
【表1】
【0044】
選択する1種類または複数種類の酵素に応じて、酵素消化は、通常、水性条件で、適切なpH条件で(例えば、酵素または酵素混合物に応じて、中性または低pHで)行われる。特定の消化系では、消化は、pH9未満で、またはpH8未満で最適に行われる。特定の用途では、水性タンパク質消化系のpHは3〜9、4〜8または5〜7.5の範囲である。消化が所望の程度まで進行した後、酵素反応を停止させてもよく、得られる生成物を任意選択により洗浄し、その後、そのまま使用してもよく、または乾燥させて粉末にしてもよい。
【0045】
得られる水溶性タンパク質画分と水不溶性/水分散性タンパク質画分の物理的特性および化学的特性についてより詳細に下記に記載する。
【0046】
特定の実施形態では、単離されたタンパク質画分中のタンパク質を修飾する。ポリペプチド画分の適した修飾または誘導体化方法は、文献に記載されている。修飾の性質および程度は、大部分、出発原料の組成に依存する。誘導体は、例えば、前記単離されたタンパク質の第1級アミン基の少なくとも一部をヒドロキシル基で置換すること、タンパク質を脱アミノ化すること、またはタンパク質のアミド基の一部をカルボキシル基で置換すること等によって製造することができる。他の実施形態では、タンパク質をタンパク質変性剤、例えば、一酸化二窒素、亜硝酸、亜硝酸の塩、またはこれらの組み合わせと反応させることによって、本明細書に記載の単離されたポリペプチド組成物を得ることができる。
【0047】
A.ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができる水溶性ポリペプチド組成物
例えば、図1に記載の手順に従って単離された水溶性タンパク質画分などの水溶性タンパク質画分は、実質的にまたは完全に水に溶解する。
【0048】
水溶性タンパク質画分は、次の特徴、即ち、(a)固体状態FTIRで測定した場合、約1633cm−1〜1680cm−1のアミド−I吸収帯、(b)固体状態FTIRで測定した場合、約1522cm−1〜1560cm−1のアミド−II吸収帯、(c)固体状態FTIRで測定した場合、約3200cm−1および約3300cm−1を中心とする2つの顕著な1°アミドN−H伸縮振動吸収帯、(d)溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と、約7.6ppm−8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核の顕著なクラスター、(e)例えば、MALDI質量分析法で測定した場合、約600〜約2,500ダルトンの平均分子量、および(f)水中油型エマルションを安定化できないこと、水86重量部に溶解または分散したタンパク質14重量部を含む水溶液を、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)14重量部と混合した場合、水溶液とPMDIが混合後5分以内に静的状態で巨視的に相分離する不安定な懸濁液を形成、(g)水溶性ポリペプチド組成物は、同じ出発組成物から製造されたが水溶性タンパク質組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができる、および(h)水溶性ポリペプチド組成物は、同じ出発組成物から製造されたが水溶性ポリペプチド組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームの密度を少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%)低下させることができる、の1つ以上を有する。
【0049】
特定の実施形態では、水溶性ポリペプチド組成物は、水不溶性/水分散性タンパク質画分と比較して、かなりの量の第1級アミン、カルボン酸、アミン塩、およびカルボン酸塩を含有する。図4、図6および図9に見られるように、水溶性タンパク質画分は、第2級アミン(約3275cm−1)と比較して、比較的高濃度の第1級アミン(約3300および3200cm−1)を含む。
【0050】
B.水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物
水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物は、幾つかの物理的特性および化学的特性を特徴とする。
【0051】
水不溶性/水分散性タンパク質画分の1つの重要な特性は、それが油を水中にまたは水を油中に分散または乳化させることができることである(実施例3参照)。これらの特性を有するタンパク質画分は、一般に、次の特徴、(a)固体状態FTIRで測定した場合、約1620cm−1〜1632cm−1のアミド−I吸収帯および約1514cm−1〜1521cm−1のアミド−II吸収帯、(b)固体状態FTIRで測定した場合、約3272cm−1を中心とする顕著な2°アミドN−H伸縮振動吸収帯、(c)約600〜約2,500ダルトンの平均分子量、および(d)溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約86.2ppm−約87.3ppmの15N化学シフト範囲と、第1のクラスターに対する約7.14ppm−7.29ppmの1H化学シフト範囲および第2のクラスターに対する約6.66ppm−6.81ppmの1H化学シフト範囲とによって画定される2つのプロトン化窒素クラスター、の1つ以上を含む。
【0052】
水溶性タンパク質組成物と対照的に、水不溶性/水分散性画分は、油を水中にまたは水を油中に分散または乳化させて、目視検査で少なくとも5分間安定な均質なエマルションを製造することができる。特定の実施形態では、分散体またはエマルションは、ポリペプチド組成物を油と混合した後、少なくとも10分間、15分間、20分間、25分間、または30分間、またはさらには1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、9時間、12時間、18時間、または24時間、目視検査で実質的に相分離が認められない。実施例3に示すように、水不溶性/水分散性画分は、例えば、有機ポリイソシアネート(例えば、PMDI)、鉱油、大豆油、誘導体化された大豆油、モーター油、ヒマシ油、誘導体化されたヒマシ油、フタル酸ジブチル、エポキシ化大豆油、コーン油、植物油、カプリル酸トリグリセリド、ユーカリ油、およびo−アセチルクエン酸トリブチルを含む、様々な油を乳化または分散させることができる。例示的な評価分析では、目的とするタンパク質試料14(重量)部を水86(重量)部と混合物し、得られる溶液または分散体を油(例えば、PMDI)14(重量)部と混合する。これらの条件で、水不溶性/水分散性タンパク質画分は、ポリペプチド組成物を油と混合した後、少なくとも5分間、目視検査で実質的に相分離が認められない分散体またはエマルションを形成する。
【0053】
特定の実施形態では、水不溶性/水分散性画分は、第1級アミン、カルボン酸、アミン塩、およびカルボン酸塩を実質的に含まない。水不溶性タンパク質/水分散性タンパク質画分は、水溶性タンパク質画分と比較して第2級アミンの割合が高い(実施例1参照)。
【0054】
水不溶性/水分散性タンパク質画分は、有機ポリイソシアネート(例えば、PMDI)に対して界面活性剤の役割を果たし、水不溶性有機ポリイソシアネートが最小限のエネルギー入力で容易に乳化し、水中油型エマルションを形成する点まで界面張力を低下させることができる。原材料が大豆タンパク質である場合、未消化の実質的に不溶性の(分画された)タンパク質を使用して安定なエマルションを得ることができる。特定の実施形態では、分画・単離されたポリペプチドが水不溶性/水分散性画分だけを含む場合、または水不溶性/水分散性画分と水溶性成分との組み合わせを含む場合、水中におけるポリイソシアネート(例えば、PMDI)の安定なエマルションを達成することができる。乾燥粉末状の水不溶性/水分散性ポリペプチドもPMDIなどの油中に分散することができる。従って、特定の実施形態では、水不溶性ポリペプチドを、水の非存在下で、イソシアネートをベースにする反応物に予備分散させることができる。
【0055】
特定の実施形態では、本明細書に記載の水溶性および/または水不溶性ポリペプチド画分は、約500〜25,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。有用なポリペプチド画分は、約600〜2,500Da.、約700〜2,300Da.、約900〜2,100Da.、約1,100〜1,900Da.、約1,300〜1,700Da.、約1,000〜1,300Da.、約2,000〜2,500Da.、または約1,000〜2,500Da.の重量平均分子量を有し得る。
【0056】
単離されたポリペプチド組成物は、それらを反応性プレポリマーと組み合わせることにより、本明細書に記載のフォームの製造に使用することができる。反応性プレポリマーは、有機ポリイソシアネート、有機ポリイソシアネートとポリペプチド、ポリオール、アミンをベースにするポリオール、アミン含有化合物、ヒドロキシ含有化合物、水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物、水溶性ポリペプチド、またはこれらの組み合わせとの反応生成物からなる群から選択することができる。しかし、フォームは、必ずしもイソシアネートベースである必要はないことが分かる。任意選択のフォームとしては、重合またはゲル化して、発泡剤の存在下で剛構造を形成することができる任意の液体、液体溶液、または液体混合物を挙げることができる。液体混合物としては、例えば、PVCプラスチゾルを挙げることができ、液体としては、スチレンおよびメタクリル酸メチルなどの重合性モノマーを挙げることができ、液体溶液としては、溶媒に溶解したポリマー、例えば、超臨界CO2またはトルエンに溶解したポリスチレンなどを挙げることができる。代わりに、またはさらに、液体は、エポキシ含有化合物、エポキシ含有化合物とポリペプチド、ポリオール、アミンをベースにするポリオール、アミン含有化合物、ヒドロキシ含有化合物、またはこれらの組み合わせとの反応生成物、オルガノシラン、ポリマーラテックス、ポリウレタン、およびこれらの混合物などのプレポリマーを含んでもよい。
【0057】
フォームの製造時、単離されたポリペプチド組成物は、特定の実施形態では、反応性プレポリマーを水性媒体中に分散させ、安定な分散体または安定なエマルションを製造することができる。分散体またはエマルションは、ポリペプチド組成物を反応性プレポリマーと混合した後、少なくとも5分間、目視検査で実質的に相分離が認められない。特定の実施形態では、分散体またはエマルションは、ポリペプチド組成物を反応性プレポリマーと混合した後、少なくとも10分間、15分間、20分間、25分間、または30分間、またはさらには1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、9時間、12時間、18時間、または24時間、目視検査で実質的に相分離が認められない。特定の実施形態では、分散体またはエマルションは、ポリペプチド組成物を油と混合した後、少なくとも10分間、15分間、20分間、25分間、または30分間、またはさらには1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、9時間、12時間、18時間、または24時間、目視検査で実質的に相分離が認められない。実施例3に示すように、水不溶性/水分散性画分は、例えば、有機ポリイソシアネート(例えば、PMDI)、鉱油、大豆油、誘導体化された大豆油、モーター油、ヒマシ油、誘導体化されたヒマシ油、フタル酸ジブチル、エポキシ化された大豆油、コーン油、植物油、カプリル酸トリグリセリド、ユーカリ油、およびo−アセチルクエン酸トリブチルを含む、様々な油を乳化または分散させることができる。例示的な評価分析では、目的とするタンパク質試料14(重量)部を水86(重量)部と混合し、得られる溶液または分散体を油(例えば、PMDI)14(重量)部と混合する。これらの条件で、水不溶性/水分散性タンパク質画分は、ポリペプチド組成物を油と混合した後、少なくとも5分間、目視検査で実質的に相分離が認められない分散体またはエマルションを製造する。
【0058】
特定の実施形態では、水不溶性/水分散性タンパク質画分は、油約1%〜約90%(w/w)および単離されたポリペプチド組成物約1%〜約99%(w/w)を含む、安定なエマルションまたは分散体、例えば、水性エマルションまたは分散体を提供し、ここで、単離されたポリペプチド組成物は、水性媒体中における油の安定なエマルションまたは分散体を形成する。水性エマルションまたは分散体は、任意選択により、油約1%〜約50%(w/w) および単離されたポリペプチド組成物約1%〜約99%(w/w)を含む。「安定な」の用語は、分散体およびエマルションに関して使用する場合、本明細書に記載のポリペプチド画分が、分散体またはエマルションの意図された使用時間中、動力学的に安定なエマルションを形成できる能力を指す。「エマルション」、「分散体」および「懸濁液」の用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0059】
II.イソシアネートをベースにする反応物
「イソシアネートをベースにする反応物」の用語は、本明細書で使用する場合、イソシアネート基を含む化合物を意味するものと理解される。様々なイソシアネート含有化合物が、ポリウレタンフォームの製造に関連する分野で知られおり、このような化合物は、本発明の実施に有用であると考えられる。
【0060】
特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレートまたは組み合わせを含む。イソシアネートをベースにする反応物がウレタンを含有する場合、これらは、有機イソシアネートとポリオールまたは他のヒドロキシル化合物との反応によって製造することができる。
【0061】
特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、有機ポリイソシアネートである。「ポリイソシアネート」の用語は、本明細書で使用する場合、二官能性イソシアネート種、それより高官能基数のイソシアネート種、およびこれらの混合物を指す。本明細書に記載の組成物を形成するため、状況に応じて、反応性ポリイソシアネートを本明細書に記載の単離および分画されたポリペプチドと組み合わせる。あるいは、イソシアネートをベースにする反応物は、有機ポリイソシアネートと、イソシアネート基と反応することができる求核性官能基を含有する化合物とを反応させることによって生成する生成物であってもよい。イソシアネート基と反応することができる求核性官能基を含有する例示的な化合物としては、ポリペプチド、ポリオール、アミンをベースにするポリオール、アミン含有化合物、ヒドロキシ含有化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。他の特定の実施形態では、アロファネートプレポリマーを使用する。アロファネートプレポリマーは、通常、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進してアロファネートプレポリマーを生成するのに、比較的高い温度(またはアロファネート触媒)を必要とする。
【0062】
前述のように、有機ポリイソシアネートは、「ベースポリイソシアネート」から製造されてもよい。「ベースイソシアネート」の用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも2つのイソシアネート基を含有するモノマー化合物またはポリマー化合物を指す。ベースポリイソシアネートとして使用される特定の化合物は、ある一定の所望の特性を有するフォームを提供するように選択されてもよい。例えば、ベースポリイソシアネートは、化合物の数平均イソシアネート官能基数に基づいて選択することができる。例えば、特定の実施形態では、ベースポリイソシアネートの数平均イソシアネート官能基数は、2.0以上であっても、または、2.1、2.3もしくは2.4より大きくてもよい。特定の実施形態では、ポリイソシアネート成分の反応性基官能基数は、1超〜数百、2〜20、または2〜10の範囲であってもよい。他の特定の実施形態では、ポリイソシアネート成分の反応性基官能基数は少なくとも1.9である。他の特定の実施形態では、ポリイソシアネート成分の反応性基官能基数は、約2である。典型的な市販のポリイソシアネート(イソシアネート基官能基数が2〜3の範囲である)は、純粋な化合物、純粋な化合物の混合物、オリゴマーの混合物(重要な例はポリメリックMDIである)およびこれらの混合物であってもよい。
【0063】
一実施形態では、有用なベースポリイソシアネートの数平均分子量は、約100〜約5,000g/mol、約120〜約1,800g/mol、約150〜約1,000g/mol、約170〜約700g/mol、約180〜約500g/mol、約200〜約400g/molである。他の特定の実施形態では、ベースポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の少なくとも80モルパーセント、または95モルパーセント超が芳香族基に直接結合している。特定の実施形態では、本明細書に記載のフォームの遊離した有機結合イソシアネート(−NCO)基の濃度は、約5%〜35%(wt/wt)、約7%〜31%(wt/wt)、10%〜25%(wt/wt)、10%〜20%(wt/wt)、15%〜27%(wt/wt)の範囲である。
【0064】
特定の実施形態では、ベースポリイソシアネートは、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’−MDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、およびこれらの混合物等などの芳香族ポリイソシアネートである。特定の実施形態では、数平均官能基数が2より大きいポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(MDIシリーズのポリイソシアネート)がベースポリイソシアネートとして使用される。
【0065】
特定の実施形態では、MDIベースポリイソシアネートは、2,4’−MDIと2,2’−MDIを合わせた含有率が18.0%未満、15.0%未満、10.0%未満、または5.0%未満である。
【0066】
他の特定の実施形態では、MDIジイソシアネート異性体、これらの異性体と3官能以上のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートとの混合物、3官能以上のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート自体、およびMDIシリーズのポリイソシアネートの非プレポリマー誘導体(カルボジイミド、ウレトンイミンおよび/またはイソシアヌレート変性誘導体など)が、ベースポリイソシアネートとして使用されるポリイソシアネートとして使用される。他の特定の実施形態では、ベースポリイソシアネート組成物は、脂肪族ポリイソシアネート(例えば、少量)、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、または前述の芳香族ポリイソシアネートの飽和類似体、またはこれらの混合物を含む脂肪族ポリイソシアネートを含む。
【0067】
他の特定の実施形態では、ベースポリイソシアネートは、ポリメリックポリイソシアネート、例えば、官能基数が3、4、5またはそれより大きいポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)種を含む。特定の実施形態では、MDIシリーズのポリメリックポリイソシアネートは、RUBINATE−M(登録商標)ポリイソシアネート、またはMDIジイソシアネート異性体とそれより高官能基数のMDIシリーズのオリゴマーとの混合物を含む。特定の実施形態では、ベースポリイソシアネート製品は、遊離−NCO含有率が約31.5重量%であり、数平均官能基数が約2.7である。
【0068】
特定の実施形態では、イソシアネート基末端プレポリマーは、ウレタンプレポリマーである。これらは、ヒドロキシル官能性化合物とイソシアネート官能性化合物との反応により製造できる。他の特定の実施形態では、アロファネートプレポリマーが使用される。アロファネートプレポリマーは、通常、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進してアロファネートプレポリマーを形成するのに、比較的高い温度(またはアロファネート触媒)を必要とする。
【0069】
前述の組成物に使用されるポリイソシアネートは、式R(NCO)n(式中、nは2であり、Rは、それぞれ炭素数2〜約20の芳香族、脂環式、脂肪族であってもよい)を有し得る。ポリイソシアネートの例としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、トルエン−2,4−ジイソシアネート(TDI)、トルエン−2,6−ジイソシアネート(TDI)、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(Hi2MDI)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDl)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、m−キシレンジイソシアネート(XDI)、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート、異性体、二量体、三量体、およびこれらの2つ以上の混合物または組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。「PMDI」の用語は、モノメリックMDI、例えば、4,4’−MDI、2,2’−MDIおよび/または2,4’−MDIが中に存在するPMDI混合物を包含する。PMDIは、一実施形態では、不活性有機溶媒の存在下で対応するPMDAをホスゲン化することによって製造される。一方PMDAは、酸アニリン−ホルムアルデヒド縮合によって得られ、それは工業的に、連続式にまたは回分式に行うことができる。PMDA中のジフェニルメタンジアミンと均質なポリフェニルポリメチレンポリアミンとそれらの位置異性体の割合は、アニリンとホルムアルデヒドと酸触媒の比を選択することによって、また、適した温度および滞留時間プロファイルによって制御される。塩酸などの強鉱酸をアニリン−ホルムアルデヒド縮合に触媒として使用することにより、高含有率の4,4’−ジフェニルメタンジアミンと共に、同時に低い割合のジフェニルメタンジアミンの2,4’異性体が工業的な規模で得られる。
【0070】
フォームの剛性に影響を及ぼす共有結合性架橋のレベルは、モノマーの反応性基官能基数に左右される可能性がある。本明細書に記載の反応性基官能基数は、ポリマー材料またはオリゴマー材料(ポリマーポリオール、ポリイソシアネートプレポリマー、ウレトンイミン−カルボジイミド変性ポリイソシアネート、および、MDIシリーズのポリメリックイソシアネートなど)について平均された数であり、純粋な化合物に対する絶対値であると理解されるものとする。ポリイソシアネート成分の反応性基官能基数は、1超〜数百、2〜20、または2〜10の範囲である。特定の実施形態では、ポリイソシアネート官能基数は、少なくとも1.9または少なくとも2.0である。
【0071】
市販されているポリイソシアネートは、純粋な化合物、純粋な化合物の混合物、オリゴマー混合物(重要な例はポリメリックMDIである)、およびこれらの混合物であってもよい。市販のポリイソシアネートのイソシアネート基官能基数の範囲は、当該技術分野では2〜3であると理解される。フォーム配合物に使用されるモノマーの反応性基官能基数が高いほど、架橋密度が高くなる。架橋度が非常に高いポリウレタンフォームは、剛性(硬質)となる傾向がある。
【0072】
架橋度は、セルラーポリウレタンの剛性(または柔軟性)を決定する唯一の要因ではない。前駆体モノマーの剛直性によって決定されるマトリックスポリマーの主鎖の剛直性は、フォームの剛性にも影響を及ぼし得る。剛直性の高い主鎖を有するモノマーは、架橋されていないまたは架橋度がごく低い硬質フォームを製造することができる。比較的剛直なモノマーの例としては、高濃度の芳香環を有するものがある。芳香族ポリイソシアネートと芳香族ポリオールの組み合わせでは、剛直な主鎖を有するポリマーが生成する傾向があり、従って、ポリマーは剛直である傾向があり、それから製造されるフォームは硬質である。
【0073】
ポリマーの柔軟性は、水素結合や結晶性などの副次的な鎖間力の影響も受ける。ポリイソシアネートと多官能性活性水素モノマーとの反応により生成するポリウレタンおよびポリ尿素は、ポリマー主鎖に沿って高濃度の「−NH」基を有する傾向があるため、それらは水素結合していることが多い。モノマーの当量によって、ポリマー主鎖に沿った「−NH」基の数が決まる。そのため、官能基当量が比較的低いモノマーを使用すると、構造中に比較的多くの「−NH」基を有するポリマーが生成する。従って、これらは、鎖間に比較的多くの水素結合を有する傾向があり、従って、比較的剛直であることが多い。他の全ての要因が等しい場合、使用するモノマーの当量が大きい方が、ポリマー鎖間の水素結合の量が少なくなり、より柔軟なポリマーが生成する傾向がある。尿素基はウレタン基より多くの水素結合を形成する傾向があるため、ポリマー構造中の尿素濃度が高いと、ウレタン基だけを有するものより硬質の材料が得られる傾向がある。
【0074】
ポリマー主鎖がバルク材料中に結晶または微結晶領域を形成する能力も、材料の剛性に重大な影響を及ぼす可能性がある。この能力は、非常に規則的な繰り返し構造を有するポリウレタンで具現化することがあり、これらの材料は剛性が高い可能性がある。しかし、結晶性は、共有結合性架橋および主鎖構造中の他の不規則性によって容易に妨げられることがある。これは、1つの要因(例えば、結晶性)が別の要因(例えば、架橋)と競合し得る場合の一例である。フォームの剛性の程度を制御する様々な要因の影響は、常に付加的であるとは限らず、当業者に既知の方法を使用して所望の特性を有するフォームが得られるように調整できることが分かる。
【0075】
III.イソシアネート反応性化合物
「イソシアネート反応性化合物」の用語は、本明細書で使用する場合、イソシアネート基と反応する化学的官能基を含有する化合物を指す。様々なイソシアネート反応性化合物が当該技術分野で知られており、本発明の実施に有用であると考えられる。特定のイソシアネート反応性化合物およびフォーム形成組成物に使用されるこのような化合物の相対量の選択は、所望の化学的特性および物理的特性を有するフォームを提供するように行うことができる。
【0076】
A.イソシアネート反応性化合物の種類
イソシアネート反応性化合物は、通常、イソシアネートをベースにする反応物と求核反応する。ポリウレタンフォームの製造に有用なイソシアネート反応性化合物は、イソシアネートとの反応によりポリマーを生成できる複数の活性水素基を含有する有機化合物であってもよい。本発明に適していると考えられる反応性官能基としては、例えば、第1級アルコール、第2級アルコール、ポリオール、第1級アミン、第2級アミン、およびカルボン酸が挙げられる。例示的な第1級アルコールおよび第2級アルコールとしては、脂肪族アルコールが挙げられ、一方、第1級アミンおよび第2級アミンとしては芳香族アミンおよび脂肪族アミンが挙げられる。さらに、イソシアネート反応性化合物としては、単独でまたは前述のイソシアネート反応性化合物のいずれかと組み合わせて使用される、水不溶性/水分散性タンパク質組成物および/または水溶性タンパク質組成物を挙げることができる。
【0077】
所与のイソシアネート反応性化合物の選択は、得られるフォームの特性に影響を及ぼし得る。例えば、軟質ポリウレタンフォームの際立った特徴は、少なくとも1種類の軟質用ポリオールを(全配合物重量と比較して)高い重量濃度で使用することである。軟質用ポリオールは、例えば、フォーム組成物の約25%〜約90%(wt/wt)または約50%〜約70%(wt/wt)を構成し、これらのフォームの柔軟性に寄与し得る。軟質用ポリオール自体は、鎖末端にヒドロキシル基を含有し、通常は液体または低融点の固体のポリマー材料である。例示的な軟質用ポリオールは、分子量が1,500〜12,000g/mol、または2,000〜8,000g/molの範囲であり、公称−OH官能基数が2〜4、通常、2〜3である。軟質用ポリオールは、名前が示すように、柔軟な主鎖を有し、主に脂肪族である。柔軟な主鎖は、ガラス転移温度が低い(例えば、0℃未満、または−10℃未満の)ポリマーである。さらに、化合物が周囲温度で液体であることが望ましい。このような軟質用ポリオールは、主鎖のポリマーの種類により、ポリエーテル、ポリエステルおよび炭化水素の3種類に分類することができる。3つの基本的な主鎖の種類のうちの1つをポリオールに使用することができるが、特定のポリオールがこれらの基本的な主鎖の種類のうちの2つまたは3つを含有することも考えられる。さらに、異なる種類の軟質用ポリオールの混合物をフォームの製造に使用してもよい。炭化水素主鎖の種類の非限定例としては、ポリブタジエンおよびポリイソプレン、ならびにこれらの水素化誘導体が挙げられる。ブタジエンとイソプレンの共重合体、およびこれらの共重合体の水素化物も使用することができる。ポリエーテル主鎖の種類の非限定例としては、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン、ポリテトラメチレン、ポリオキシブチレン、およびこれらの可能な共重合体のいずれか挙げられる。好ましいポリエーテル主鎖の種類としては、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン共重合体、およびポリテトラメチレンが挙げられる。
【0078】
特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、ポリオキシエチレンでキャップされたポリオキシプロピレンポリオールであり、これは主として第1級−OH末端である。
【0079】
ポリエーテルポリオールは、最も一般的には、1種類以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、またはテトラメチレンオキサイドなど)を低分子量の開始剤分子(水、アンモニア、グリコール、トリオール、またはアミンなど、分子量150未満)と、触媒の存在下にて重合させることによって製造される。開始剤の混合物を合成に使用することもできる。
【0080】
広く使用されているポリエーテルポリオールの種類は、重量で大部分プロピレンオキサイドを含む、ポリオキシエチレンでキャップされたポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールである。他の広く使用されているポリエーテルポリオールの種類は、ポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールである。ポリオキシプロピレンポリオールは、連続製造される軟質スラブストックフォームに重要である。ポリオキシエチレンでキャップされたポリオキシプロピレンポリオールは、モールド成形軟質フォーム用途に重要である。これらのポリオキシエチレンでキャップされたポリオールは、主要なイソシアネート反応性官能基として第1級−OH基が存在するため、コールドキュアに特に好適である。ポリエステルタイプの軟質用ポリオールの非限定例としては、ヒドロキシル停止を促進する条件で、分子量150未満の低分子量脂肪族ジオールと分子量300未満の脂肪族ジカルボン酸を縮合することにより生成するものが挙げられる。これらのポリエステルの製造に好ましい脂肪族ジオールは、ジ第1級ジオールである。ポリエステルジオールの幾つかの具体例としては、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ジエチレングリコールアジペート)、およびこれらの共重合体がある。これらの脂肪族ポリエステルは、場合によっては、ヒドロキシル官能基数を増加させるため、トリメチロールプロパンなどのごく少量のトリオールをさらに含有する。プロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドから誘導されるポリエーテルタイプの軟質用ポリオールは、低コストであるため、とりわけ好ましい。
【0081】
本明細書に記載のフォームの製造に有用なポリオールとしては、既知の全てのポリオール、例えば、ポリウレタン分野で使用されるポリオールが挙げられる。特定の実施形態では、ポリオールは、第1級および/または第2級ヒドロキシル(即ち、−OH)基を含む。他の特定の実施形態では、ポリオールは、1分子当たり少なくとも2つの第1級および/または第2級ヒドロキシル基を含む。一官能性アルコール(脂肪族アルコール、芳香族アルコールまたはヒドロキシル官能性アクリレートなどのヒドロキシル官能性モノマーなど(UVまたは熱硬化性材料を得るため))を使用して、イソシアネート基をキャップしてもよい。他の特定の実施形態では、ポリオールのヒドロキシル基官能基数は、1.6〜10、1.7〜6、2〜4、または2〜3である。他の特定の実施形態では、任意選択のポリオールの重量平均分子量は、100〜10,000g/mol、400〜6,000g/mol、または800〜6,000g/molの範囲である。
【0082】
他の特定の実施形態では、有用なポリオールは、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール(脂肪族ポリエーテルポリオールなど)である。1つの例示的な脂肪族ポリエーテルポリオールは、数平均分子量が1,500〜2,500g/molの範囲のポリオキシプロピレングリコールである。
【0083】
特定の実施形態では、イソシアネート反応性成分中の1種類または複数種類の全てのポリオールの全量は、合計の1重量%〜80重量%、または3重量%〜70重量%、または5重量%〜60重量%である。
【0084】
他の特定の実施形態では、第1級、第2級および/または第3級アミン基を含むアルカノールアミンを使用することができる。
【0085】
B.フォームの形成に使用されるイソシアネート反応性化合物の量
フォームの形成に使用される成分の相対量は、フォームの化学的特性および物理的特性に影響を及ぼし得る。例えば、イソシアネートをベースにする反応物中のイソシアネート基の数、対、イソシアネート反応性基の総数(即ち、発泡剤が寄与するものを含む加工条件下で反応すると考えられるイソシアネート反応性官能基の総数)の比は、重要なパラメータである。反応当量の比(イソシアネート:イソシアネート反応性基)はインデックスと称され、パーセントで表すことができる。
【0086】
100%未満のインデックスを有する材料からのフォームの製造は、未反応の鎖末端が存在するため架橋度が低くなり、それによって平均架橋密度が低くなることを含意しうる。しかし、1つの例外として、水(発泡剤)が大過剰に含まれる場合がある。このような状況では、水分子の一部が物理的発泡剤の役割をする(発泡反応の熱が発泡プロセス中に水を揮発させるのに十分である場合)。さもなければ大過剰の水は単にフォーム中に残存し(最終的に乾燥してなくなる)、非反応性ポリマー鎖末端の数を必ずしも実質的に増加させない。
【0087】
100%超のインデックスを有する材料からのフォームの製造は、架橋度の増加を含意し得る。架橋度の増加は、イソシアネート基(−NCO基)の様々な自己反応、ならびにアロファネート基やビウレット基の形成により生じる。フォーム製造工程におけるイソシアネート基の例示的な自己反応としては、カルボジイミド生成、ウレトンイミンの生成、およびイソシアヌレートの生成(三量化)が挙げられる。これらの自己反応生成物の一部は、場合によっては、液体ポリイソシアネート前駆体流(ベースポリイソシアネート)中にも存在し得るが、ウレタンフォーム配合物のインデックスを計算する場合、残りの遊離イソシアネート基だけを考慮する。例えば、大過剰のイソシアネート(−NCO)基が配合物中に存在し(150%超のインデックスに対応する)、イソシアネート基を三量化するための触媒(三量化触媒)が存在する場合、フォームはかなりの量のイソシアヌレート結合を含有することになる。イソシアヌレート結合は、架橋密度を大幅に増加させる。これらの結合は耐熱性であり、耐燃焼性を向上させるために、硬質フォームに組み込まれることが多い。
【0088】
フォーム配合物のインデックスは、フォームがどれくらい軟質または硬質になるかを示す重要な指標である。一般に、共有結合性架橋が多いほど(インデックスが高いほど)、剛性が大きいことを意味する。軟質ウレタンフォームの製造には、10%以下(水が非常に大過剰に使用される極端な場合)〜150%、または70%〜125%のインデックス範囲を使用することができる。ほとんどの軟質熱硬化性ウレタンフォームに望ましいインデックス範囲は、80%〜110%である。これは、また、半硬質フォームおよび半軟質フォームに最も好ましいインデックス範囲である。半硬質および半軟質の用語は互換的に使用される。
【0089】
ポリウレタン−ポリイソシアヌレートフォームの製造には、200%〜2,500%、250%〜1,500%、または250%〜800%のインデックス範囲を使用してもよい。これらのフォームは、建設業で断熱フォームとして使用される重要な種類の硬質ウレタンフォームである。しかし、ポリイソシアヌレート結合が望ましくない場合、インデックス範囲は90%〜150%、または100%〜125%の範囲であってもよい。
【0090】
フォーム配合物の(1種類または複数種類の)イソシアネート反応性成分に使用するのに適した有機イソシアネート反応性(活性水素)モノマーの反応性基官能基数は、1超〜数百の範囲であるが、よりずっと一般的には、1.5〜20、より一般的には1.6〜10の範囲である。反応する基が1より多く存在するため、官能基数が1.0より大きいことは鎖延長(成長/重合)に重要である。モノアルコールのように官能基数が1.0であった場合、イソシアネートはエンドキャップされ、分子には反応性基がもはや存在しないため、反応は停止することになる。
【0091】
特定の実施形態では、配合物に使用される全てのポリマー生成イソシアネート反応性種の反応性基官能基数は、少なくとも1.5、理想的には少なくとも2である。しかし、工業的に重要な種類の有用なイソシアネート反応性モノマーの官能基数は、1.5〜2の範囲である。これらは、ポリオキシアルキレンジオールである(公称はジオールである)が、実際は、ヒドロキシル官能基数は2未満である。
【0092】
IV.発泡剤
特定の状況では、フォームの形成を促進するため、プレミックス中に追加の発泡剤を含んでもよい。発泡剤はポリマー中に泡(気泡)を発生させ、フォーム製品を生じさせる。多くの発泡剤が当該技術分野で知られており、本発明の実施に有用であると考えられる。例えば、発泡剤は、気体であるまたはフォームの製造に使用される条件下で気体に変化する揮発性組成物である物理的発泡剤であってもよい。あるいは、プレミックスの成分の1つと反応して発泡剤を生成する化合物(例えば、水)をプレミックスに添加することにより、フォームの製造中にその場で(in situ)発泡剤(例えば、CO2)を生成してもよい。この種の発泡剤は化学的発泡剤である。別の種類の発泡剤は、フォーム形成プロセス中に分解して気体を放出するもの(例えば、アゾビスジカルボンアミドなどのアゾ官能性化合物)である。
【0093】
一般的に使用される物理的発泡剤としては、空気、窒素、および二酸化炭素が挙げられ、これらをポリウレタンフォームの液体の化学的前駆体に吹き込んで起泡させる。この方法を使用して、高密度フォームを製造することができる。しかし、この方法は、低密度フォームの製造には最適ではない可能性がある。一般的に使用される他の物理的発泡剤としては、沸点(1気圧)が0〜50℃、10〜40℃、20〜35℃の揮発性不活性有機化合物が挙げられる。特定の場合、有機物理的発泡剤は、C1−C5炭化水素、C1−C5フルオロカーボン、C1−C5ハイドロフルオロカーボン、C1−C5クロロカーボン、またはこれらの組み合わせである。このような物理的発泡剤の非限定例としては、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、塩化メチレン、n−ペンタン、イソペンタン、およびシクロペンタンが挙げられる。
【0094】
一般的な化学的発泡剤は水であり、この場合、水は、2当量の有機イソシアネート基と反応して、1モルの二酸化炭素(水1分子当たり)を放出し、尿素結合を形成する。あまり一般的に使用されない化学的発泡剤としてはカルボン酸化合物が挙げられ、これはイソシアネートと反応して二酸化炭素を放出し、アミド結合を形成することができる。
【0095】
フォームを形成する配合物に使用される1種類または複数種類の発泡剤の量を調整して、所望の密度を有するフォームを製造することができる。セルラーポリウレタンの密度範囲は、1立方フィート当たり0.1lbから、完全な密度(完全な密度とは、発泡していない(即ち、泡を含まない)ポリマーの固有密度である)を幾らか下回る密度までの範囲である。当業者には、所与のフォーム配合物から特定の密度のフォームを製造するのに必要な(1種類または複数種類の)発泡剤の量が分かる。使用される場合、水は、反応性ポリマー生成モノマーの0.1重量%〜100重量%以上、しかし、より典型的には0.2%〜20%の量で使用される。使用される場合、物理的発泡剤は、反応性(ポリマー生成)モノマーの1重量%〜50重量%、しかし、より典型的には2重量%〜30重量%の量で使用される。
【0096】
V.添加剤
さらに、フォームの特性を最適化するために、フォーム形成プレミックスに添加剤を添加してもよい。例示的な添加剤としては、触媒、増量剤、充填剤、界面活性剤、増粘剤、酸化防止剤、抗菌剤、殺真菌剤、顔料、無機粒子、および架橋剤が挙げられる。
【0097】
特定の実施形態では、1種類または複数種類の触媒は、フォーム形成組成物の約5重量%以下を構成することができる。一般的に使用される触媒としては、第3級アミンおよび特性の有機金属化合物が挙げられる。例えば、触媒は、トリエチレンジアミン、2,2’−ジメチルアミノジエチルエーテル、2−ジメチルアミノエタノール、オクタン酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、またはこれらの組み合わせであってもよい。これらの触媒は、イソシアネートをアルコールと、および水と反応させる。他の触媒は、イソシアネート基を三量化させて、イソシアヌレート基を形成する。これらの例としては、オクタン酸カリウム(2−エチルヘキサン酸カリウム)、酢酸カリウム、および、他の可溶性カルボン酸アルカリ金属塩が挙げられる。本明細書に記載のフォームの製造に適していると考えられるその他の触媒を下記に記載する。
【0098】
その他の例示的な触媒としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、有機金属化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。例示的な第1級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、シクロヘキシルアミン、およびベンジルアミンが挙げられる。例示的な第2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、およびジイソプロピルアミンが挙げられる。例示的な第3級アミンとしては、例えば、ジアザビシクロオクタン(Dabco)、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ビス−ジメチルアミノエチルエーテル、テトラメチルグアニジン、ビス−ジメチルアミノメチルフェノール、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−エタノール、2−ジメチルアミノエチル−3−ジメチルアミノプロピルエーテル、ビス−(2−ジアミノエチル)−エーテル、N,N−ジメチルピペラジン、N−(2−ヒドロキシエトキシエチル)−2−アザノルボルナン、Tacat DP−914(Texaco Chemical)、Jeffcat(登録商標)、N,N,N,N−テトラメチルブタン−1,3−ジアミン、N,N,N,N−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N,N,N,N−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、またはこれらの混合物が挙げられる。例示的な有機金属化合物としては、例えば、ジ−n−オクチル錫メルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロリド、ビス−ドデシルメルカプチド、酢酸錫(II)、エチルヘキサン酸錫(II)およびジエチルヘキサン酸錫(II)、Fe+3 2,4−ペンタンジオネート(FeAcAc)またはフェニルエチルジチオカルバミン酸鉛が挙げられる。
【0099】
例示的な増量剤としては、例えば、不活性増量剤または活性増量剤が挙げられる。特定の実施形態では、不活性増量剤は、植物性粒子状物質、植物油、鉱油、二塩基性エステル、炭酸プロピレン、非反応性変性芳香族石油炭化水素、および、一般に、フォームに混合することができる任意の非活性水素含有液体が挙げられる。活性増量剤は、ピロリドンモノマーまたはポリマー、オキシゾリドンモノマーまたはポリマー、エポキシ化油、または、アマニ油などの不飽和油であってもよい。
【0100】
さらに、フォームの化学的特性と物理的特性を変化させるため、1種類以上の界面活性剤をフォーム形成組成物に添加してもよい。特定の実施形態では、1種類または複数種類の界面活性剤は、フォーム形成組成物の約5重量%以下を構成することができる。例示的な界面活性剤としては、例えば、モノマータイプ、ポリマータイプ、またはこれらの混合物が挙げられる。一般的に使用される界面活性剤の1つには、ポリエーテルシリコーンなどの有機官能性シリコーン化合物がある。発泡中のフォームの安定性を、(連続気泡フォーム中の)気泡の開放の必要性と均衡させるため、異なるシリコーンの組み合わせを選択してもよい。
【0101】
他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、消泡剤、抗菌剤、殺真菌剤、顔料、 増粘剤、ゲル化剤、噴射剤、無機粒子(例えば、二酸化チタン、鉄黄、ベンガラ、鉄黒、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、炭酸カルシウム)、モンモリロナイトなどの粘土、および湿潤剤等が挙げられる。
【0102】
特定の実施形態では、添加剤は、水分散性添加剤または水溶性添加剤である。水溶性添加剤としては、ポリメリックイソシアネート、例えば、PMDIと反応できるヒドロキシル官能性またはアミン官能性化合物(グリセリン、尿素、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンおよびその付加物等など)が挙げられる。
【0103】
他の実施形態では、添加剤は、架橋剤、例えば、リグノセルロース材料をガラスに結合させるのに使用できる架橋剤であってもよい。例示的な架橋剤としては、ジメチルジクロロシラン(DMDCS)、アルキルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン(MTCS)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AAPS)、またはこれらの組み合わせなどのオルガノシランが挙げられる。他の実施形態では、ポリペプチド画分をオルガノシランと組み合わせる。「オルガノシラン」の用語は、一般式、
(RO)3Si−R’
(式中、Rは、好ましくは、プロピル基、エチル基、メチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、またはアセチル基であり、R’は有機官能基であり、その官能基としてはアミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、アルキル基、ビニル基、フェニル基、メルカプト基、スチリルアミノ基、メタクリルオキシプロピル基、グリシドキシ基、またはイソシアネート基等を挙げることができる)
を有するトリアルコキシシランのモノマー、加水分解モノマー、加水分解ダイマー、オリゴマー、および縮合生成物を含む任意の分子群を指す。
【0104】
同様に、一般式(RO)3Si−R’−Si(OR)3を有するビストリアルコキシシランを「オルガノシラン」として単独で、またはトリアルコキシシランと組み合わせて使用することもでき、上式中、Rは、好ましくは、プロピル基、エチル基、メチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、またはアセチル基であり、R’は、アミノ基、アルキル基、ビニル基、フェニル基、およびメルカプト基等からなる群から選択される官能基を含有し得る架橋有機官能基である。同様に、一般式(RO)4Siを有するテトラアルコキシシランを、「オルガノシラン」として単独で、またはトリアルコキシシランもしくはビス−トリアルコキシシランと組み合わせて使用してもよく、上式中、Rは、好ましくは、プロピル基、エチル基、メチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、またはアセチル基である。
【0105】
より任意選択の、用途に特有の性質を有する他の種類の添加剤としては、難燃剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、ウォラストナイトなどの小板状鉱物、および繊維プリフォームなど)、煙抑制剤、殺生物剤、不活性可塑剤、帯電防止剤、これらの組み合わせ、および他の多くのものが挙げられる。当業者は、フォームに望ましい特性に基づいて、このような添加剤の適切な量を選択することができる。例えば、充填剤を非常に高濃度で使用してもよく、状況によっては、配合物中の全ポリマー生成モノマーの重量を超えてもよい。充填剤は、炭酸カルシウム、粘度鉱物、鋸屑、および木質繊維などの安価な粒子を含んでもよい。繊維補強剤を、配合物中の全ポリマー生成モノマーの重量を超える濃度で使用してもよい。他の種類の任意選択の添加剤は、仮にも使用される場合、通常、全ポリマー配合物の15重量%未満、または10重量%未満の濃度で使用される。ほとんどの種類の任意選択の添加剤は、全配合物の5重量%未満の濃度で使用される。
【0106】
難燃剤の例としては、有機リン化合物、ハロゲン化有機リン化合物、ハロゲン化芳香族化合物、メラミン(充填剤として)、黒鉛(充填剤)、アルミナ三水和物(充填剤)、酸化アンチモン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。この列挙は、限定的なものとして解釈されるべきではない。可溶性難燃剤が一般に好ましく、充填剤タイプの難燃剤より低濃度で有効な場合がある。
【0107】
セルラーポリウレタンの反応系の配合物中における添加剤の適切な使用は、当業者に分かるであろう。添加剤にはイソシアネート反応性官能基を含有するものがあり、従って、これらの添加剤を含有するフォーム配合物のインデックスの計算にそれを算入しなければならない。
【0108】
VI.得られるフォームの製造および特性
本発明は、異なる物理的特性および化学的特性を特徴とする様々なフォームの製造を提供する。例えば、フォームは熱硬化性フォームであっても、または熱可塑性フォームであってもよい。
【0109】
熱硬化性フォームは、通常、液体の前駆体を反応させることによって製造される。前駆体(イソシアネートをベースにする反応物、イソシアネート反応性物質、発泡剤、およびポリペプチド組成物)の混合により重合反応が開始し、熱が発生する。反応熱はフォームの発泡を助ける。最終的なフォーム物品の成形は、発泡および重合プロセス中、反応混合物にまだ流動性がある時に行われる。熱硬化性ウレタンフォームでは、マトリックスポリマーは架橋されることが多い。架橋度は、ポリマー生成反応の化学量論および使用されるモノマーの反応性基官能基数に依存する。架橋の量は著しく異なることがあり、フォームの特性を最適化するように架橋の量を製造することができる。例えば、硬質ウレタンフォームは、一般に、軟質ウレタンフォームより架橋度が高い。
【0110】
熱硬化性ウレタンフォームの製造時、通常、イソシアネート反応性成分を発泡剤(とりわけ、水の場合のように、発泡剤がイソシアネート反応性官能基を含む場合)および任意選択の添加剤と組み合わせて、液体混合物を製造する。次いで、液体混合物を、イソシアネートをベースにする反応物と混合して、重合および発泡を開始させる。この一般的プロセスの幾つかの変形では、イソシアネート反応性成分の一部を、任意選択により化学量論的に過剰のポリイソシアネートと予備反応させて、液体のイソシアネート末端プレポリマーを生成してもよい。後で、プレポリマーを最終工程でイソシアネート反応性成分の残部と反応させ(重合を完了させ、発泡を開始させ)る。プレポリマー法の最も一般的な変形では、プレポリマーは、残留モノメリックポリイソシアネート種(ベースポリイソシアネート)も含む。これらは、半プレポリマー、擬似プレポリマー、または準プレポリマーと称されることもある。これらの用語は、互換的に使用される。イソシアネート末端プレポリマーがモノメリックポリイソシアネート種を含有しない場合、それは完全なプレポリマーと称される。プレポリマーを使用するか否かにかかわらず、熱硬化性ウレタンフォームの最も一般的な加工方法は、2種類の液体成分(即ち、ポリイソシアネート成分、および、イソシアネート反応性モノマーと発泡剤と任意選択の添加剤とのブレンド)の使用である。しかし、この規則には幾つかの重要な例外がある。軟質フォームスラブストックおよび硬質フォーム積層体の連続製造中、3種類以上の成分を使用することが多い。追加の成分は、配合物の反応性ポリマー生成成分(ポリイソシアネートまたはポリオール)を含んでもよい。
【0111】
熱可塑性フォームは、二段法を使用して製造されることが多い。例えば、特定の実施形態では、ポリマー生成成分は固体ペレットに加工され、これらは任意の所望の添加剤および発泡剤と配合される。最終的な形成および発泡作業は、通常、押出機内で、外部熱を加えることによって行われる。外部熱は、揮発性発泡剤を揮発させることにより、化学的発泡剤を分解して気体を放出することにより、またはこれらの方法のいずれかの組み合わせにより、発泡プロセスを進行させる。熱可塑性フォームはモールド成形手段内で成形され、マトリックスポリマーが冷却して凝固するときに、その形状が固定される。形成プロセス中、僅かに架橋が起こり得るが、熱可塑性ウレタンフォームは、通常、直鎖状である。
【0112】
本明細書に記載のフォーム形成材料を使用して、軟質フォーム、硬質フォーム、または半硬質フォームを製造することができる。ポリウレタンから製造される軟質フォームは、例えば、相分離したエラストマーであるポリマーマトリックスを有することが多い。ポリマーの軟質相は、軟質用ポリオールから誘導される部分である。この軟質相は重量でポリマーの大部分であるため、軟質相は連続相である。ポリマーの非軟質部分は、ポリイソシアネートと水および(任意選択により)分子量200未満の低分子量グリコールとの反応により誘導されたものである。ポリマーのこの「硬質」相は、通常、重合中に軟質相から分離する。「相」は互いに共有結合しているが、分離するかのように挙動する。従って、マトリックスポリマーはエラストマー性であるが、その硬度は硬質相と軟質相の相対的割合によって決まる。これらの相対的割合は、全配合物のパーセンテージとして軟質用ポリオールをどれくらい使用するかを選択することにより、調整可能である。
【0113】
軟質フォーム配合物は、通常、ほとんど、またはもっぱら水発泡される(場合によっては、液体の化学的前駆体流に空気または二酸化炭素を吹き込んで補う)。より低密度のフォームを製造するには、通常、より多くの水を必要とし(発泡用のCO2を発生させるため)、それによって、より多くの尿素基が硬質相に生じ、このようにしてフォームの硬度が高くなる。硬く弾性のある軟質フォームが望ましい場合、少量の低分子量グリコール(分子量200未満、好ましくは150未満)が配合物に含まれることがある。これらのグリコールは、通常、全配合物の10%未満、望ましくは5%未満であり、連鎖延長剤と称されることもある。好ましいグリコールは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、およびこれらの組み合わせなどの直鎖ジ第1級ジオールである。この種のフォームは、「高弾性」(またはHR)フォームと称される。軟質フォームの密度は、典型的には1立方フィート当たり5lb未満、より典型的には1立方フィート当たり3lb未満であり、大部分、連続気泡である。
【0114】
非常に低密度(1立方フィート当たり1lb未満)の軟質フォームは、マトリックスポリマー相中に少量の軟質用ポリオールを含有する硬質フォームをクラッシングすることによって製造することができる。クラッシングは、フォームの気泡間の境界(「気泡柱」と称される)を形成する硬質のロッド状セグメントを破壊する効果を有する。このような軟質フォームは、自動車の座席、家具、および寝具にクッション材料として使用することができる。これらの用途ではフォーム密度は、1立方フィート当たり約1.5〜4lb、より典型的には1立方フィート当たり1.8〜3lbの範囲である。
【0115】
軟質フォームは、通常、非常に高い密度(1立方フィート当たり4lb超)の場合を除いて、連続気泡フォームである。その連続気泡構造のため、水発泡は、好ましいフォーム発泡法である。軟質フォームは、通常、軟質ポリマーマトリックスで製造される。ポリマーマトリックス中の架橋密度は低く、インデックスが105%を超えることは稀である(100%未満であることが多い)。軟質フォームに使用されるポリイソシアネートの数平均官能基数は低く、通常、2〜2.4、より典型的には2〜2.3である。
【0116】
硬質フォームは、通常、硬質のプラスチックマトリックスを有する。マトリックスポリマーは、通常、ポリウレタンまたはポリウレタン−ポリイソシアヌレートである。どちらの場合も、使用されるポリオールは、軟質フォームに使用される種類とはかなり異なる。硬質用ポリオールは、分子量が軟質用ポリオールとある程度重なり、典型的には400〜2,000、より一般的には500〜1,500の範囲である。硬質用ポリオールは、2つの部類に大別することができる。第1は、主鎖が剛直で低官能基数の芳香族ポリエステルである。通常、これらは、ポリウレタン−ポリイソシアヌレートフォームの製造に使用され、通常、二官能性である。第2の部類は、3〜10の官能基数を有する高官能基数のポリエーテルを含む。
【0117】
硬質フォームに使用される芳香族ポリエステルポリオールは、通常、フタル酸タイプの酸(市販の3つの異性体のいずれか)、フタル酸エステルタイプのエステル、無水フタル酸、または、それと低分子量グリコール(典型的には分子量200未満)との反応によるPETなどのフタレートポリマーから製造される。この目的に好ましいグリコールは、ジエチレングリコール(DEG)である。このグリコールは、動力付混合装置(mixing activated system)内で処理するのに十分低い粘度を有する液体のポリエステル樹脂を生成する傾向がある。DEGは、一般に、芳香族前駆体より大過剰に使用され、それによってヒドロキシル末端ポリエステル樹脂の反応性溶媒の役割を果たす。
【0118】
高官能基数ポリエーテルポリオールは、通常、プロピレンオキサイドを高官能基数の開始剤と反応させることによって製造される。これらの硬質用ポリオールは、当量(−OH基当たり)が軟質用ポリオールより低いことを特徴とする。これは、比較的低分子量で官能基数が比較的高いことによる。これらのポリオールの当量は、典型的には300未満、より典型的には50〜200である。これは、典型的にはヒドロキシル当量が500超である軟質用ポリオールに匹敵する。ポリエーテルタイプの硬質用ポリオールの製造に通常使用される開始剤としては、ショ糖などの糖類、トルエンジアミンなどの芳香族ポリアミン、およびホルムアルデヒドとアニリンのオリゴマー縮合物が挙げられる。これらの芳香族ポリアミンの第1級アミン基はそれぞれ、2モル以上のプロピレンオキサイドと反応する。芳香族エステルポリオールのような硬質ポリエーテルポリオールは、動力付混合装置内で処理を行うのに十分低い粘度にするために、通常、DEGなどの低分子量グリコールで希釈される。
【0119】
硬質用ポリオール(どちらの種類も)は、さらに、比較的低分子量の脂肪族グリコール、トリオール、テトラオール、およびアルカノールアミンと配合されることが多い。これらの比較的低分子量のポリオール(一般に分子量が200未満である)の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0120】
硬質フォームに使用されるポリマーマトリックスは、たいていの場合、軟質フォームに使用されるものより架橋度が高い。これらのポリマー中の架橋の多くは、ポリイソシアネートから生じる。硬質フォームに使用されるポリイソシアネートの数平均官能基数は、通常、2.5〜3の範囲である。硬質ポリイソシアヌレート−ポリウレタンは、ポリマー中のイソシアヌレート(三量体)結合のため、架橋度が非常に高い。
【0121】
「軟質」と「硬質」の間に一連の中間的なフォームの種類がある。これらは、半硬質または半軟質と称されることがある。これらのフォームは、硬質用ポリオールと軟質用ポリオールの組み合わせ、および2〜3、最も典型的には2.5〜2.8の任意のポリイソシアネート官能基数を使用して製造することができる。これらのフォームは、様々な構造用途、エネルギー吸収用途、および装飾用途に使用される。半硬質/半軟質フォームの特に重要な用途は、自動車の現場注入ダッシュボードパッドおよび膝当てである。これらのフォームは、通常、布帛またはPVCなどの軟質の装飾表面材料の後ろに現場注入される。密度は、用途に応じて、通常1立方フィート当たり2〜10ポンド(場合によっては、これより高い)の範囲である。これらは非断熱用途であるため、フォームは最も典型的には水発泡される。
【0122】
1立方フィート当たり10ポンド超〜完全な密度を僅かに下回る範囲の密度を有する比較的高密度のセルラーポリウレタンは、「マイクロセルラー」ポリウレタンと称されることがある。これらは、軟質の靴底〜硬質の合成木材代替品、およびこれらの両極端の間にある一連の半硬質/半軟質用途を含む、様々な用途に使用される。マイクロセルラー軟質ポリウレタン靴底は、インテグラルスキンを有するように製造されてもよい。スキンは、金型表面付近におけるフォーム気泡の局所的な崩壊のため自然発生的に形成する。フォームのコアは、気泡状のままである。このインテグラルスキンの形成機構は、周囲温度で液体であるハイドロフルオロカーボンなどの揮発性の物理的発泡剤を使用することによって促進される。金型表面の温度が物理的発泡剤の沸点より低い場合、自然発生的なスキンの形成が起こる。インテグラルスキンフォームは、自動車のアームレストおよび様々な家具用途などの他の用途にも使用される。靴底フォームは、一般に、全部(またはほとんど全部)二官能性モノマーからなる配合物から製造される。通常、インデックスは100%、または場合によってはそれより僅かに低い(99%)こともある。これらのポリマーは、軟質ジオール(とりわけポリエステル)、低分子量ジオール連鎖延長剤(1,4−ブタンジオールまたはエチレングリコールなど)、およびジイソシアネート(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなど)、およびこれらの半プレポリマーから製造されてもよい。靴底フォームに使用されるポリマーは、従って、本質的に直鎖状である。発泡剤は、通常、少量の水を含む。対照的に、硬質および半硬質/半軟質のマイクロセルラーフォームは、架橋度がより高い。モノマーの選択は、比較的低密度の類似体に類似している。しかし、比較的高密度のフォームは、通常、独立気泡である。ポリウレタンフォームの密度が最も高いのは、反応射出成形(RIM)エラストマーである。これらは、全部、少量の空気(または窒素)を液体の前駆体流中に混入させることによって、発泡させることができる。この混入プロセス(核形成と称されることもある)により、向流の混合および処理の前に気体が液体の化学物質中に吹き込まれて起泡する。RIMエラストマーは、通常、軟質用ポリオールと連鎖延長剤の両方を含むポリイソシアネート反応性流から生成される。連鎖延長剤の量は、エラストマーの剛性(または柔軟性)を制御するように調整される。これらのエラストマーの製造に使用される典型的な連鎖延長剤の例としては、低分子量グリコールおよび芳香族ジアミンが挙げられる。
【0123】
当業者は、本明細書に記載の方法および組成物(例えば、水溶性タンパク質画分および/または水不溶性/水分散性タンパク質画分、特定のイソシアネートをベースにする反応物、特定のイソシアネート反応性化合物、および特定の添加剤)を使用して、所望の物理的特性および化学的特性、例えば、密度、剛性、圧縮性、弾性等を有するフォームを製造できることが分かる。例えば、比較的低密度のフォームが望ましい場合、プレミックス中に水溶性タンパク質組成物を含んでもよい。対照的に、水不溶性/水分散性タンパク質画分の含有により、タンパク質添加剤(例えば、水溶性タンパク質)を含まずに達成できるものより高い密度および/または高い構造的完全性を有するフォームを製造することができる。或いは、水不溶性/水分散性タンパク質のブレンドを使用して、必要な特性を有するフォームを製造することができる。
【0124】
特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、タンパク質含有組成物(例えば、水溶性ポリペプチド組成物)は、フォームの製造に使用される出発原料の約0.01%(w/w)〜約50%(w/w)、または約0.01%(w/w)〜約30%(w/w)、または約0.01%(w/w)〜約10%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、フォームは約250%〜約800%の範囲のインデックスで製造される。
【0125】
また、例えば、実施例11に示すように、フォームプレミックス中に添加される少量のタンパク質組成物(例えば、原料、タンパク質単離物、または単離された水溶性および/または水不溶性タンパク質)は、得られるフォームの物理的特性に大きな影響を及ぼし得ることも分かる。特定の実施形態では、プレミックスは、タンパク質組成物を10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%、0.1重量%、0.05重量%、または0.01重量%未満含有する。例として、実施例11では、水溶性タンパク質画分を約0.09重量%含有するポリオールブレンド(B部)で、得られるフォームの密度を調整することができた。
【0126】
さらに、ポリペプチド組成物を、特定の多分散性指数を有するように設計することができる。さらに、ポリペプチド組成物および接着剤組成物を、多分散性指数を有するように設計することができる。「多分散性指数」(PDI)の用語は、重量平均分子量
【数1】
と数平均分子量
【数2】
の比を指す。
【0127】
記号Mnで表される「数平均分子量」および記号Mwで表される「重量平均分子量」の用語は、開示された文献に見ることができるような、それらの通常の定義に従って使用される。重量平均分子量および数平均分子量は、当該技術分野に記載の分析法、例えば、クロマトグラフィー法、沈降法、光散乱法、溶液粘度法、官能基分析法、および質量分析法(例えば、MALDI質量分析法)などを使用して測定することができる。例えば、実施例2に示すように、ポリペプチド組成物の平均分子量と数平均分子量はMALDI質量分析法で測定した。さらに、異なる分子量を有するポリペプチド組成物は、異なる特性を有するフォーム組成物を提供し得ることが考えられる。このようなものとして、重量平均分子量、数平均分子量、および多分散性指数は、フォーム組成物の特性を最適化する場合、重要な指標となり得る。さらに、本明細書に記載のように、ポリペプチド組成物の分子量は、その中のタンパク質を酵素消化または分画することにより、変えることができる。
【0128】
さらに、異なる分子量を有するポリペプチド組成物は、異なる特性を有する接着剤組成物を提供し得ることが考えられる。このようなものとして、重量平均分子量、数平均分子量、および多分散性指数は、接着剤組成物の特性を最適化する場合、重要な指標となり得る。特に、ポリペプチド組成物の分子量特性を最適化することができると、特定の用途の接着剤組成物を製造する場合に有利であると考えられる。他の利点には、ポリペプチド組成物が異なる供給源(例えば、大豆とヒマ)から得られる場合でも、または、異なる季節に、様々な期間にわたって、または世界の異なる地域から類似のタンパク質供給源が得られる場合でも、類似の特性を有する接着剤組成物が得られることが含まれる。例えば、大豆およびヒマから単離されたタンパク質(それぞれ、異なる分子量分布を有する)を、本明細書に記載の消化および分画方法により、類似の分子量分布を有するように製造することができる。従って、分子量分布の一貫性を測定および制御することができると、接着剤組成物の様々な特性、例えば、配合された接着剤の物理的特性の長期再現性および加工特性などを最適化する場合に有利であると考えられる。ポリペプチド組成物中のタンパク質を本明細書に記載の方法に従って酵素消化または分画することにより、ポリペプチド組成物の分子量特性を変化させることができる。
【0129】
特定の実施形態では、本明細書に記載のフォーム組成物の製造に使用されるプレミックスのPDIは、約1〜約3、1〜1.5、1.5〜2、2〜2.5、2.5〜3、1〜2、1.5〜2.5、または2〜3である。
【0130】
VII.フォームの用途
当該技術分野ではフォームの多くの用途が記載されてきたが、本明細書に記載のフォームは様々な用途に適していると考えられる。例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造される軟質フォームは、モールド成形されても(自動車の座席におけるように)、またはスラブストックとして注入され、その後、所定の形状に切断されてもよい(家具や寝具におけるように)。軟質ポリウレタンフォームの他の重要な用途としては、カーペット下敷が挙げられる。
【0131】
フォームは断熱材として使用されてもよい。断熱材フォームの重要な物理的特性は熱伝導率であることが分かる。熱伝導率をできるだけ低くするために、硬質フォームを揮発性ハイドロフルオロカーボン(ペンタフルオロプロパンなど)で発泡させてもよい。これらの物理的発泡剤は、空気または二酸化炭素より熱伝導率が低い。副次的発泡剤として水を使用してもよい。硬質断熱フォームの密度範囲は、通常、1立方フィート当たり1.5〜4ポンド、または2〜2.5ポンドである。硬質フォームは現場で注入または射出されてもよいが、より一般的には積層ボード素材として製造される。その後、積層ボードを所定の形状に切断し、建造に使用する。硬質断熱フォームは、低熱伝導率(ハイドロフルオロカーボン)発泡剤を保持するため、通常、独立気泡フォームである。
【0132】
また、硬質フォームを、熱伝導率が要素とならない純粋に構造的な用途に使用してもよい。硬質フォームの純粋に構造的な用途の重要な例には、自動車内装ドアパネルがある。これらの材料を所定の形状にモールド成形し、完全に水発泡させる。これらは、構造的強度を向上させるため、ガラス繊維で補強されることが多い。ガラス短繊維を液体の前駆体流、通常、イソシアネート反応成分に添加してもよい。より一般的には、構造用補強剤は、ガラスマットまたはプレフォームの形態で提供され、それらは金型内に予め配置される。次いで、反応性フォーム形成混合物を、(金型を閉じる前に)マット上に注入するまたはマットを通して射出する。その後、フォームは発泡し、金型内のマットを通って流動する。
【0133】
フォームを包装材料として使用してもよい。包装材料用のフォームは、通常、水発泡、連続気泡で、非常に低密度である。包装材料中のフォーム密度は、通常、1立方フィート当たり2ポンド未満であり、1立方フィート当たり1ポンド未満であってもよい。包装される物体の周囲にこれらのフォームを注入または射出してもよい。
【実施例】
【0134】
本発明は全般的に記載されており、以下の実施例を参照することによりさらに容易に理解され、以下の実施例は、本発明の特定の態様および実施形態を説明するために記載されるに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0135】
実施例1:ポリペプチド組成物の単離
水溶性ポリペプチド組成物、水不溶性ポリペプチド組成物、またはこれらの混合物を単離し、キャラクタリゼーションを行う方法を下記に記載する。
【0136】
方法A:水溶性ポリペプチド組成物および水不溶性ポリペプチド組成物の製造。
Everlaseで消化されたヒマのタンパク質(実験試料ロット5−90)は、Prof.S.Braun(the Laboratory of the Department of Applied Biology at the Hebrew University of Jerusalem,Israel)から入手した。消化されたヒマは、次のように製造することができる。すなわち、ヒマミールタンパク質を水中に約1:10w/wの比で懸濁させる。塩化カルシウムを約10mMの有効濃度まで添加し、10N NaOHを添加することにより懸濁液のpHをpH9に調整する。次いで、この反応を、撹拌しながら55℃に加熱する。次に、Everlase 16L Type EX(登録商標)(NOVOZYMES’)を、ヒマミールタンパク質1kg当たり20gの割合で添加し、混合物を同じ温度で約4時間撹拌する。最後に、得られた混合物をクエン酸でpH3.5にし、噴霧乾燥させて粉末を得る。
【0137】
Everlaseで消化されたヒマのタンパク質(ロット5−90)を分画し、水溶性画分と水不溶性分散性画分を得た。第1の工程で、消化されたヒマ300gを蒸留水1リットルに入れてスラリーにした。この混合物を手で振盪した後、30分間超音波浴に入れた。次いで、スラリーを取り出し、最大2日間放置し、不溶部分を沈殿させた(別の実験では、遠心分離でも同様に十分であることが分かった)。その時点で、透明な黄色/琥珀色の上清をピペットで取り出し、後の用途のために取っておいた。次いで、新たに蒸留水を沈殿物に加え、全量を容器の1リットルの標線まで戻した。振盪、超音波処理、沈殿、上清抽出、および新たに蒸留水を補充する(洗浄)工程を繰り返した(合計6回)。最終工程では、灰黒色の沈殿物の上からピペットで水を取り出した後、沈殿物を45℃の真空オーブンで乾燥させた。水不溶性/水分散性ポリペプチド画分は、沈殿物の乾燥重量に基づいて、消化されたヒマの約50重量%を構成することが測定により分かった。別に、1回目と2回目の上清を合わせた後、乾燥させて透明な黄色の水溶性ポリペプチド画分を得た。
【0138】
画分を乾燥させた後、灰黒色の沈殿物(水不溶性分散性画分)は水に再溶解できないことが確認された。他方、乾燥した上清画分(透明/琥珀色でガラス質の固体)は水に完全に溶解した。
【0139】
2つの画分を別々に固体状態FTIRで分析した(図2〜図4参照)。図2のスペクトルから、カルボン酸イオンおよびアミン塩部分は主に水溶性画分に関連していることが分かる。図3から、アミドカルボニル伸縮振動吸収帯およびアミドN−H変角振動吸収帯は、水溶性ポリペプチド画分では高波数側にシフトしていることが分かる。これらの成分は、水不溶性分散性ポリペプチド画分中にも存在するように思われるが、顕著なアミド−Iおよびアミド−II吸収帯は低波数側にシフトしている。水素結合効果の他に、これらの差は、また、水溶性ポリペプチド画分中には比較的多くの第1級アミド基が存在し、水分散性ポリペプチド画分(主鎖ポリペプチド鎖由来)中には比較的多くの第2級アミド基が存在することに関連するように思われる。これは、図4に示すN−H伸縮振動領域によって裏付けられる。
【0140】
図4は、消化されたヒマから単離された画分の固体状態FTIRスペクトルを示し、図2のN−H伸縮振動領域が拡大されている。スペクトルは、3275cm−1を中心とする第2級アミドN−H伸縮振動吸収帯の吸収強度が同等になるように、垂直方向に縮尺が調整された。図4から、水分散性画分中の主要なアミドの種類は、3275cm−1を中心とする単一の対称性の高い吸収帯によって明示されるように、第2級主鎖アミドであることが分かる。水溶性画分はこの種のアミドも含有するが、それぞれ約3200cm−1(対称)および約3300cm−1(非対称)に2つの第1級N−H伸縮振動吸収帯が存在することによって明示されるように、それよりかなり多くの第1級アミドも含有する。
【0141】
これらのスペクトルから、水溶性ポリペプチド画分は、比較的高濃度の第1級アミン、遊離カルボン酸、酸塩、およびアミン塩を合わせたものであったことが分かる。逆に、水不溶性/水分散性ポリペプチド画分は、比較的多くの第2級アミドを有した。さらに、水不溶性/分散性の画分のアミド−Iカルボニル吸収帯は、約1625cm−1の波数に現れることが観測されたが、水溶性画分のアミド−Iカルボニル吸収帯は約1640cm−1に観測された。他の実施例で記載されるように、この特徴は、ヒマタンパク質だけでなく大豆タンパク質でも、水溶性ポリペプチド画分と水不溶性ポリペプチド画分の際立った差の1つである。
【0142】
方法B:水溶性ポリペプチド組成物および水不溶性ポリペプチド組成物の他の製造方法。
消化された大豆タンパク質は、Prof.S.Braun(the Laboratory of Applied Biology at the Hebrew University of Jerusalem,Israel)から実験試料(ロット5−81)として入手した。消化された大豆タンパク質は次のように製造した。大豆タンパク質単離物(大豆タンパク質単離物SOLPRO 958(登録商標)Solbar Industries Ltd,POB 2230,Ashdod 77121,Israel)を水中に1:10(w/w)の比で懸濁させた。懸濁液のpHを10N NaOHでpH7に調整した後、撹拌しながら55℃に加熱した。次いで、Neutrase 0.8 L(登録商標)(NOVOZYMES’)を大豆タンパク質1kg当たり20gの割合で添加し、混合物を同じ温度で4時間撹拌した。得られた混合物(pH6.5)を噴霧乾燥し、淡黄褐色の粉末を得た。
【0143】
消化された大豆(ロット5−81)を分画し、水溶性ポリペプチド画分と水不溶性/水分散性ポリペプチド画分を得た。第1の工程では、消化された大豆300gを蒸留水1リットルに入れてスラリーにした。混合物を手で振盪した後、30分間超音波浴に入れた。アリコートを遠心管に入れ、その遠心管を3,400rpmで約35分間回転させた。水溶性画分を含有する遠心分離上清を、残りの水不溶性沈殿物からデカントし、後で使用するために別の容器に注ぎ入れた(この透明な黄色の上清を開放した皿状容器に入れ、37℃の温度で蒸発乾燥させた)。最初の洗浄工程の後、新たに蒸留水を遠心管に加え、残った沈殿物を、スパチュラを用いて手で撹拌することにより水中に分散させた。遠心分離、デカンテーション、および再分散を組み合わせた手順を合計5サイクル行った。最終サイクルの後、残留水溶性タンパク質を含有する遊離した液体をペースト状の残留分散体(色は黄色っぽい桃色)からデカントした。得られた分散体(重量測定により、固形分16.24重量%であることが分かった)は、水不溶性/水分散性タンパク質を含有した。
【0144】
ペースト状の分散体は、数週間安定であることが観察された。また、分散体は水溶性ポリマーと、および水分散性ポリマーラテックスと容易に混合できることも分かった。さらに、分散体はPMDIと容易に相溶可能であった(スラリーにPMDIを添加したとき安定な分散体を形成し、24時間後でもPMDIの相分離は認められなかった)。対照的に、消化された大豆から抽出した水溶性抽出物も、消化された大豆自体も、PMDIの水分散体を安定化させることができなかった。
【0145】
両方の画分のアリコートを乾燥させた後、黄色の沈殿物(水不溶性/分散性抽出物)は水に再溶解できないことが確認された。他方、乾燥した上清画分(透明/黄色の固体)は水に完全に溶解することができた。この2つの乾燥抽出物を別々に固体状態FTIRで分析した(図5〜図8参照)。図6は、消化された大豆から単離された画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示し、N−H領域が拡大されている。スペクトルは、3275cm−1を中心とする第2級アミドN−H伸縮振動吸収帯の吸収強度が同等になるように、垂直方向に縮尺が調整された。図6から、水分散性画分中の主要なアミドの種類は、3275cm−1を中心とする単一の対称性の高い吸収帯によって明示されるように、第2級主鎖アミドであることが分かる。水溶性ポリペプチド画分はこの種のアミドも含有するが、それぞれ約3200cm−1(対称)および約3300cm−1(非対称)に2つの第1級N−H伸縮振動吸収帯が存在することによって明示されるように、それよりかなり多くの第1級アミドも含有する。まとめて、これらのスペクトルから、水溶性ポリペプチド画分は比較的高濃度の第1級アミンを含むことが判明した。逆に、水不溶性分散性ポリペプチド画分は、比較的多くの第2級アミンを含んだ。
【0146】
図5に示すように、水溶性画分ではアミドカルボニル伸縮振動吸収帯およびアミドN−H変角振動吸収帯が高波数側にシフトしている。これらの成分は水不溶性分散性画分中にも存在するように思われるが、主要なアミド−Iおよびアミド−II吸収帯は低波数側にシフトしている。水素結合効果の他に、これらの差は、水溶性ポリペプチド画分(比較的低分子量のアミノ酸断片由来)中には比較的多くの第1級アミド基(および/または第1級アミン)が存在し、水分散性ポリペプチド画分(主鎖ポリペプチド鎖由来)中には比較的多くの第2級アミド基が存在することに関連するように思われる。これは、図6に示すN−H伸縮振動領域によって裏付けられる。
【0147】
図6から、水分散性画分中の主要なアミドの種類は、3275cm−1を中心とする単一の対称性の高い吸収帯によって明示されるように、第2級主鎖アミドであることが分かる。水溶性画分はこの種のアミドも含有するが、それぞれ3200cm−1(対称)および約3300cm−1(非対称)に2つの第1級N−H伸縮振動吸収帯が存在することによって明示されるように、それよりかなり多くの第1級アミンも含有する。
【0148】
異なる植物性供給源に由来するにもかかわらず、消化された大豆と消化されたヒマの水不溶性分散性画分は、スペクトル的に互いに類似している(図7参照)。逆に、水溶性ポリペプチド画分は、異なるFTIRスペクトル特性を有するよう思われる(図8参照)。さらに、MALDI質量スペクトルから、消化された大豆と消化されたヒマの水溶性ポリペプチド画分は異なる分子量特性を有することが分かる。2種類の水溶性画分の共通性は、それらが両方とも第1級アミン/アミドを含有するように思われることである。
【0149】
方法C:水溶性ポリペプチド組成物および水不溶性ポリペプチド組成物の他の製造方法
ヒマミール(4.0kg、タンパク質24.8%含有)を0.1M NaOH中に、ミール対アルカリ比10:1w/wで懸濁させた。懸濁液を18時間、周囲温度で撹拌した後、遠心分離により固形物を除去した。上清(約32リットル)を10N HClでpH4.5に酸性化した。タンパク質を約10℃で12時間沈殿させ、透明な上清溶液デカントし、重い沈殿物(約2kg)を遠心分離により収集した。湿潤沈殿物を凍結乾燥し、タンパク質単離物670gを得た。
【0150】
水で抽出することにより、水不溶性ポリペプチド画分と水溶性ポリペプチド画分を得た。第1の工程では、ヒマタンパク質単離物(ロット5−94)10gを蒸留水50gに入れてスラリーにした。混合物を機械的撹拌により2時間分散させた。次いで、アリコートを遠心管に入れた後、その遠心管を3,400rpmで約35分間回転させた。水溶性画分を含有する遠心分離上清を、残りの水不溶性沈殿物からデカントし、別の容器に注ぎ入れた(この透明な黄色の上清を取っておき、後の分散実験および固体状態FTIR分析のために37℃の温度で乾燥させた)。最初の洗浄工程の後、新たに蒸留水を遠心管に加え、残った沈殿物をスパチュラを用いて手で撹拌することにより水中に分散させた。遠心分離、デカンテーション、および再分散を組み合わせた手順を合計13サイクル行った。最終サイクルの後、遊離した液体をペースト状の残留分散体(出発ヒマタンパク質の水不溶性ポリペプチド画分)からデカントした。乾燥時、ペーストは固形物を28.58%含有することが測定により分かり、水不溶性画分の全収率は62.87%であることが測定により分かった。従って、出発ヒマタンパク質自体は、水不溶性ポリペプチド物質62.87%および水溶性ポリペプチド物質37.12%を含有した。
【0151】
方法D:消化された乳清タンパク質の製造.
消化された乳清タンパク質(ロット5−72、本明細書では、消化された乳清タンパク質pH6.5と称される)は、Prof.S.Braun(the Laboratory of Applied Biology at the Hebrew University of Jerusalem,Israel)から実験試料として入手し、次のように製造した。すなわち乳清タンパク質(WPI−95(登録商標)Whey Protein Isolate、 Nutritteck,24 Seguin Street,Rigaud,QC,Canada J0P 1P0)を水中に1:6(w/w)の比で懸濁させた。懸濁液のpHを5N NaOHでpH7に調整し、撹拌しながら55℃に加熱した。次いで、FLAVOURZYME 500MG(登録商標)(NOVOZYMES’製)を乳清タンパク質1kg当たり20gの割合で添加し、混合物を同じ温度で4時間撹拌した。得られた水性混合物はpH6.5であった。次いで、得られた混合物を噴霧乾燥し、消化された乳清タンパク質を、水溶性ポリペプチドと水不溶性ポリペプチドの混合物を含有する淡黄色の粉末として得た。
【0152】
方法E:消化され、硝酸ナトリウムと反応したヒマタンパク質の製造。
ヒマミールタンパク質を水中に1:10(w/w)の比で懸濁させた。塩化カルシウムを10mMの有効濃度で添加し、10N NaOHを添加することにより懸濁液のpHを pH9に調整した。反応を、撹拌しながら55℃に加熱した。次いで、Everlase 16L Type EX(登録商標)(NOVOZYMES’)をヒマミールタンパク質1kg当たり10gの割合で添加し、混合物を同じ温度で4時間撹拌した。次いで、L−乳酸(90%、ヒマタンパク質1kg当たり120g)を添加し、混合物をpH4.4にした後、撹拌しながら硝酸ナトリウム水溶液(0.4kg/l、ヒマタンパク質1kg当たり0.4リットル)を徐々に(20時間にわたって)添加した。次いで、反応を周囲温度で40時間放置した。次いで、Na2S2O5(ヒマタンパク質1kg当たり0.2kg)を添加し、反応を60℃に加熱し、15分間撹拌した。周囲温度に冷却した後、濃HClで反応をpH2.0にした。その後、それを10℃で18時間放置し、得られた沈殿物を、15分間24,000xgで遠心分離することにより分離した。沈殿物を10mMクエン酸(沈殿物の体積の3倍の体積)中に再懸濁させた後、それを収集し、その後凍結乾燥させて、水溶性ポリペプチドと水不溶性ポリペプチドの混合物を含有する黄褐色の粉末を得た。
【0153】
実施例2:質量分析法によるポリペプチド組成物のキャラクタリゼーション
この実施例は、Bruker製のUltraflex III装置を使用する、MALDI質量分析法による様々なタンパク質試料のキャラクタリゼーションについて記載する。
【0154】
イオン化プロセス中に発生する陽イオンを検出するため、装置を陽イオンモードに設定した。イオンを加速してTOF分析器に到達させるために印加する電圧は、25KVに設定された。分解能を向上させる反射モードで装置を使用することにより、分析を行った。固体試料をDMSOに10mg/mLの濃度で溶解させた。水溶性上清画分を水中で溶媒和させた。
【0155】
各試料溶液をマトリックス溶液(分析用)と混合した。マトリックスは、同じレーザー波長、Nd:YAG355nmを吸収する低分子量の不活性化合物であった。使用したマトリックスは、TFAを0.1%有するACN/H2O(70:30)の溶液に10mg/mLの濃度で溶解したα−CHCA、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸、およびTHFに10mg/mLの濃度で溶解したDCTB、T−2−[3−(4−t−ブチル−フェニル)−2−メチル−2−プロペニリデン]マロノニトリルであった。第1のマトリックスは主にペプチドおよびタンパク質の分析に使用したが、第2のマトリックス、即ちDCTBはポリマーの分析に適していた。
【0156】
マトリックス溶液と試料溶液をそれぞれ10:1の体積比で混合した。マトリックスとしてDCTBを使用した分析では、溶液マトリックス/試料にカチオン化剤としてNaTFA(10mg/mL、THF中)を10:2:1の体積比(それぞれマトリックス:試料:塩)で添加した。得られた溶液0.8μLを研磨された鋼製のターゲットプレート上にスポットし、溶媒を完全に乾燥させてから、ターゲットを装置に装入した。Bruker Daltonicsにより発売されているFlexAnalysisソフトウェアを使用して、スペクトルを収集し、処理した。
【0157】
相対的なフラグメント強度を規格化し、それを使用して、様々な試料について数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、およびz−平均分子量(Mz)のパラメータを算出した。結果を表2に要約する。
【0158】
【表2】
【0159】
結果から、ポリペプチド組成物の分子量特性(MALDI質量分析法により測定した場合)は、ポリペプチド組成物を得るために使用する方法に依存し得ることが分かる。例えば、ヒマタンパク質単離物は、消化されたものより数平均分子量が大きいことが観測された。さらに、消化すると数平均分子量は低下するが、多分散性は増大することが観測された。大豆タンパク質単離物とその消化されたものについても、同じ傾向が観測された。
【0160】
他の実験結果から、消化されたヒマから得られた水溶性ポリペプチド組成物中のタンパク質は、その親タンパク質単離物より数平均分子量が大きいことが分かる。しかし、消化された大豆から得られた水溶性ポリペプチド組成物中のタンパク質は、その親大豆タンパク質単離物より数平均分子量が小さかった。
【0161】
それにもかかわらず、これらの水溶性ポリペプチド組成物はそれぞれ、ポリペプチド組成物なしで製造されたフォームと比較して、ポリウレタンフォームの密度の低下を促進することができた。さらに、大豆タンパク質単離物およびヒマタンパク質単離物の酵素消化により、類似の分子量と分子量分布を有する水溶性ポリペプチド組成物を得ることができた(大豆タンパク質単離物の方が、酵素消化前のヒマタンパク質単離物より高分子量のタンパク質を有するにもかかわらず)。まとめて、これらの結果から様々なポリペプチド組成物から低密度のフォームを製造できることが分かる。
【0162】
実施例3:水溶性タンパク質画分と水不溶性タンパク質画分の油分散性.
水不溶性/水分散性ポリペプチド画分と水溶性ポリペプチド画分は、実施例1に記載の方法(方法A)に基づいて、消化されたヒマ(ロット5−108)から単離された。消化されたヒマは次のように製造することができる。すなわちヒマミールタンパク質を水中に約1:10w/wの比で懸濁させる。塩化カルシウムを約10mMの有効濃度まで添加し、10N NaOHを添加することにより懸濁液のpHをpH9に調整する。次いで、反応を、撹拌しながら55℃に加熱する。次に、Everlase 16L Type EX(登録商標)(NOVOZYMES’)を、ヒマミールタンパク質1kg当たり10gの割合で添加し、混合物を同じ温度で約4時間撹拌する。最後に、得られた混合物をクエン酸でpH3.5にし、噴霧乾燥して粉末を得る。
【0163】
単離された画分のMALDI断片化分子量特性を実施例2(表2)に記載する。単離された水不溶性/分散性ポリペプチド画分の固体状態FTIR分光学的吸収特性は、図2、図3、図4、図7、図9、図10、図11および図12に記載のもの(アミド−I吸収域:1620−1632cm−1、アミド−II吸収域:1514−1521cm−1)と一致する。単離された水不溶性/分散性ポリペプチド画分についての溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRは、約86.2ppm−87.3ppmの15N化学シフト範囲と、第1のクラスターに対する約7.14−7.29ppmおよび第2のクラスターに対する約6.66−6.81ppmの1H化学シフト範囲とによって囲まれた2つのプロトン化窒素クラスターを示す。単離された水溶性ポリペプチド画分についての溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRは、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と、約7.6ppm−約8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核のクラスターを示す。
【0164】
意外なことに、これらのスペクトル特性を有する水不溶性/水分散性ポリペプチド画分は(水溶性ポリペプチド画分とは異なり)、油を水中におよび水を油中に乳化させ、その分散を安定化させる独自の能力を示す。この独自の油分散能は、以下に限定されないが、(1)pH中性条件でまたはその付近で水溶性ポリペプチド成分が抽出される大豆、キャノーラ、またはヒマの全粒ミールまたはタンパク質単離物、(2)塩基触媒で加水分解された後、酸を添加し、その後水溶性ポリペプチド成分が抽出される大豆、キャノーラまたはヒマの全粒ミールまたはタンパク質単離物、(3)酸触媒で加水分解された後、塩基を添加し、その後水溶性ポリペプチド成分が抽出される大豆、キャノーラまたはヒマの全粒ミールまたはタンパク質単離物、(4)塩基触媒による加水分解と酵素消化を組み合わせて行った後、酸を添加し、その後水溶性ポリペプチド成分が抽出される大豆、ヒマ、またはキャノーラの全粒ミールまたはタンパク質単離物、を含む複数の供給源から抽出され、単離される水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物で観察される。
【0165】
水中油型または油中水型エマルション/分散体の安定化は、以下に限定されないが、界面活性剤または分散剤などの安定化成分の有無、油の性質(即ち、その極性、親水性、疎水性、溶解性パラメータ等)、界面活性剤または分散剤の性質(即ち、HLB値、電荷特性、分子量、水溶性、油溶性等)、水相のイオン強度、油相または水相における添加剤および不純物の有無、油の濃度(即ち、水中におけるその重量パーセント)、および安定化成分の濃度、を含む幾つかの要因に依存することが分かる。安定化成分(「安定化成分」とは、分散剤、乳化剤、界面活性剤または本発明の水不溶性/分散性ポリペプチド組成物である)の有効性は、ある特定の時間、エマルションを安定化させる(即ち、剪断条件または静的状態における不混和性の油成分と水成分の巨視的相分離を防止する)能力により判断されることが多いということがさらに分かる。
【0166】
この知見の一般性をさらに実証するため、消化されたヒマタンパク質から単離された水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物で、幾つかの水中油型分散体を製造した。水不溶性/水分散性ポリペプチド画分は、ペースト状の水分散体として単離された。ペーストを水で希釈して固形分16%にし、また別に固形分14%にした。次の工程で、各ペーストの3グラムのアリコートを別々に計量して15mLのプラスチックビーカーに入れた。次に、表3に示す油のアリコートを個々のペーストアリコートに、油1重量部対固体の水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物1重量部の割合で、別々に添加した(合計20の混合物)。混合物を、スパチュラを用いて手で撹拌すると、均質なクリームを形成することが観察された。クリームは均質な状態を維持し、混合後長時間にわたり、例えば、混合の1分後、混合の5分後、混合の10分後、混合の15分後、混合の30分後、混合の1時間後、および混合の2時間後にわたり、巨視的な相分離が認められなかった。対照的に、消化されたヒマから抽出した類似の水溶性抽出物は、水中における油の分散を安定化させることができなかった。
【0167】
【表3】
【0168】
水不溶性/水分散性画分が濃縮されていないタンパク質組成物は、油を分散させることができない。例えば、大豆タンパク質単離物32グラムをpH約4〜6の水168グラムに添加することにより、大豆タンパク質単離物、ロット5−81(大豆タンパク質単離物SOLPRO 958(登録商標)Solbar Industries Ltd,POB 2230,Ashdod 77121,Israel、タンパク質含有率約90%)の固形分16%の分散体を製造した(JM−570−1)。JM−570−1の10グラムのアリコートを7つ計量し、20mLの使い捨てビーカーに入れた。10グラムのアリコートは、大豆タンパク質単離物1.6グラムと水8.4グラムを含有した。7種類の異なる油(即ち、PMDI、鉱油、大豆油、モーター油、ヒマシ油、フタル酸ジブチルおよびエポキシ化大豆油、表53参照)を別々に、油1部対タンパク質固形物1部のw/w比で添加した(各10グラムのアリコートに油1.6グラムを添加した)。混合物を、スパチュラを用いて手で撹拌した。どの油も大豆タンパク質単離物の固形分16%分散体中に分散できないことが観察された。
【0169】
実施例4:二次元プロトン−窒素NMR相関スペクトルによるポリペプチド組成物のキャラクタリゼーション、および水不溶性/水分散性ポリペプチド画分のキャラクタリゼーション
水不溶性タンパク質画分および水溶性タンパク質画分は次のように製造した。消化されたヒマ(ロット5−83)を水中に1:10w/wの比で懸濁させた。塩化カルシウムを10mMの有効濃度まで添加し、10N NaOHを添加して懸濁液のpHをpH9に調整した。反応を、撹拌しながら55℃に加熱した。次いで、Everlase 16L Type EX(登録商標)(NOVOZYMES’)を、ヒマミールタンパク質1kg当たり10gの割合で添加し、混合物を同じ温度で約4時間撹拌した。得られた混合物をクエン酸でpH3.5にし、噴霧乾燥させて黄褐色の粉末を得た。次いで、実施例1(方法A)に記載のように、水不溶性タンパク質画分と水溶性タンパク質画分を得、23℃で空気乾燥させた。
【0170】
水不溶性タンパク質画分を含有する乾燥粉末をd6−DMSOに溶解させ(6.8重量%)、赤色の均質な溶液(試料A)を得た。消化、乾燥して作製したままのヒマのアリコートをd6−DMSOに溶解させて(固形分6.8重量%)、比較の均質な赤色溶液(試料B)を得た。同じ乾燥粉末の固体状態FTIR分析から、固体状態FTIRスペクトルのN−H伸縮振動領域とカルボニル伸縮振動領域の両方に明確な差があることが判明した。これらのスペクトルの差は、ポリペプチドN−H部分の結合環境の差によるものであり、これは、おそらく第2級構造と第3級構造の差から生じたと考えられる。明確な差の1つには、水不溶性/水分散性画分中のアミド−Iカルボニル吸収帯の低波数側へのシフトが含まれた。このような差についてさらにキャラクタリゼーションを行うため、非常に特殊な一部の結合原子核、即ち、窒素に結合したプロトンのキャラクタリゼーションを行う目的で二次元NMR法を使用した。
【0171】
試料をDMSO−d6に溶解し、5mmのNMR管に入れた。1H NMRスペクトルは全て、30℃で、HCN−PFG(パルス磁場勾配)三重共鳴クライオプローブを備えるVarian INOVA 750MHz分光器で記録した。一次元(1D)1H NMRスペクトルでは、3秒の取得時間と5秒の緩和遅延で10000Hzのスペクトル幅(spectral window)を使用した。スペクトルは、8.6マイクロ秒のプロトン90°パルス幅を使用して16の過渡事象(transients)について平均したシグナルであった。積分してプロットする前に、スペクトルデータを132kポイントにゼロフィリングし、1Hzのラインブロードニングで処理した後、ベースライン補正を行い、2.50ppmの内部残留溶媒DMSO−d6のピークを参照した。
【0172】
F2次元では2048の取得ポイントおよびF1次元では768のポイントで移相敏感二次元(2D)1H−15N傾斜−HSQC(異種核単量子コヒーレンス)データを収集し(プロトンおよび窒素に関してそれぞれ6.3マイクロ秒および33.5マイクロ秒の90°パルス幅を使用した)、各増分について、取得中、GARPデカップリングして1.2秒のパルス遅延時間および0.124秒の取得時間で48の過渡事象を収集した。最終変換して2D補正データを作成する前に、取得したデータを正弦波で重み付けして(sine bell weighting)処理し、F2およびF1次元において8196×8196ポイントにゼロフィリングした。
【0173】
結果を図13および図14に示す。図13は、d6−DMSO中における消化されたヒマ・ロット5−83の二次元HSQC1H−15N NMRスペクトルを示す。y軸は、15N化学シフトのスケール(ppm)を表し、x軸は、1H化学シフトのスケール(ppm)を表す。スペクトル中のピークは、消化して作製したままのヒマ(即ち、水不溶性/水分散性ポリペプチド画分と水溶性ポリペプチド画分を合わせたもの)中に存在する全ての画分のプロトン化窒素原子を表す。領域Bの複数のピークは、水溶性画分(図14参照)を取り除くと消えることが観測された。このことから、これらのプロトン化窒素は水溶性ポリペプチド画分に特有のものであるが、領域Aのピークの少なくとも一部は水不溶性/水分散性画分に特有のものであることが分かる。
【0174】
図14は、d6−DMSO中における、消化されたヒマ・ロット5−83から抽出した水不溶性/分散性ポリペプチド抽出物の二次元HSQC 1H−15N NMRスペクトルを示す。y軸は、15N化学シフトスケール(ppm)を表し、x軸は、1H化学シフトスケール(ppm)を表す。スペクトル中のピークは、水不溶性/水分散性ポリペプチド画分のプロトン化窒素原子を表す。領域Bの複数のピークは、抽出前の消化されたヒマ中の類似のピークと比較して非常に弱いことが観測された(図13参照)。逆に、残りのピークは、主として領域Aのプロトン化窒素のものであった。このことから、これらの特定のプロトン化窒素は、水不溶性ポリペプチド画分に特有のものであることが分かる。
【0175】
図14に示すように、スペクトル中のピークは、水不溶性/水分散性ポリペプチド画分に特有のプロトン化窒素原子を示す。拡大すると、2つの「ピーク」は、それらを確定する15Nおよび1H化学シフト範囲によって容易に画定され得る狭いクラスターとして現れ、両方のクラスターの15N化学シフト範囲は約86.2ppm−87.3ppmとなり、1H化学シフト範囲は、第1のクラスターでは約7.14−7.29ppm、第2のクラスターでは約6.66−6.81ppmとなる。
【0176】
これらの研究の結果から、水溶性ポリペプチド画分は複数種のプロトン化窒素原子で構成され(図13参照)、水不溶性/水分散性画分は、含有するプロトン化窒素の種類が著しく少なく、主として2つの主なプロトン−窒素クロスピーククラスターの存在によって特徴付けられる(図14参照)ことが判明した。これらの差から、固体状態FTIRで見られるものと同様に、水溶性ポリペプチド画分中の化学結合環境が、水不溶性/分散性画分中に存在するものとは明確に異なることが分かる。
【0177】
合わせて、固体状態FTIRおよびNMRデータで水不溶性/分散性ポリペプチド画分のキャラクタリゼーションも行われ、1620−1632cm−1の固体状態赤外アミド−I吸収帯、1514−1521cm−1の固体状態赤外アミド−II吸収帯、および1H−15N核磁気共鳴相関法によって測定される溶液状態プロトン化窒素クラスター対が存在する。より具体的には、プロトン化窒素クラスター対が、重水素化d6−DMSOを溶媒として用いたNMRにより、二次元HSQC 1H−15N NMR法を使用して観測した場合、クラスターは、それらを画定する15N化学シフト範囲と1H化学シフト範囲によって画定され、両方のクラスターの15N化学シフト範囲は、約86.2ppm−87.3ppmとなり、1H化学シフト範囲は、第1のクラスターでは約7.14−7.29ppm、第2のクラスターでは約6.66−6.81ppmとなる。
【0178】
合わせて、固体状態FTIRおよびNMRデータで水溶性ポリペプチド画分のキャラクタリゼーションが行われ、約1633−1680cm−1の固体状態赤外アミド−I吸収帯、1522−1560cm−1の固体状態赤外アミド−II吸収帯、固体状態FTIRで測定した場合、約3200cm−1および約3300cm−1を中心とする2つの顕著な1°アミドN−H伸縮振動吸収帯、ならびに溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と約7.6ppm−約8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核の顕著なクラスターが存在する。
【0179】
実施例5:タンパク質含有ポリウレタンフォームの製造
この実施例では、水溶性の消化されたヒマタンパク質を含有するポリウレタンフォームを製造し、キャラクタリゼーションを行った。
【0180】
A−ポリオールブレンドによるタンパク質の抽出
試料JM−69−1は、ポリオール(即ち、Huntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000)45部をガラス反応容器に添加することによって製造した。次いで、加熱下に高速回転ミキサーを使用して撹拌しながら、消化されたヒマタンパク質(ロット5−83)5グラムをポリオールに添加し、1時間の全反応時間、95℃の温度に保持した。
【0181】
試料JM−69−2は、ポリオール(即ち、Huntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000)43部および蒸留水2部をガラス反応容器に添加することによって製造した。ポリオール/水ブレンドを、均質で透明になるまで、高速回転ミキサーを使用して撹拌した。次いで、ブレンドを撹拌しながら、消化されたヒマタンパク質(ロット5−83)5グラムを添加した。試料を、加熱しながら高速回転ミキサーを用いて撹拌し、1時間の全反応時間、95℃の温度に保持した。
【0182】
反応中と反応後の両方とも、試料JM−69−1は均質で、茶色の半透明な物質であった。対照的に、試料JM−69−2は、反応中、非常に異なる挙動を示した。反応の開始時、試料はJM−69−1に類似しているように見えた。約85℃の温度で相分離が観察され、ヒマタンパク質は凝集して沈殿し、上清物質は透明で僅かに黄色であった。24時間、実験台上に静置して沈殿させた後、試料JM−69−1は、沈殿上に濁った上清を有し、JM−69−2試料は、反応直後と同じに見えた。
【0183】
室温で製造した(JM−69−1およびJM−69−2のように加熱および反応を行わなかった)試料、JM−69−3およびJM−69−4では、上清について同様の傾向が観察された。唯一の視覚的差は、水を含有する試料中の消化されたヒマタンパク質が、加熱および反応を行った試料(JM−69−2)ほど凝集しないことであるように思われた。
【0184】
その後の一連の実験シリーズでは、消化された大豆タンパク質(ロット5−81)および消化された乳清タンパク質(ロット5−80)は、試料JM−69−2に関して記載した方法を使用して製造した。これらの実験では、タンパク質は、反応中、凝集・沈殿しなかった。しかし、実験台上に清置して冷却した後、大豆および乳清タンパク質は反応容器の底に沈殿し、沈殿したタンパク質の上に上清層が生じた。
【0185】
B−ポリウレタンフォームの製造
タンパク質組成物から抽出した化学種がフォームの発泡に適合していることを確認するため、幾つかのフォーム試料を試料JM−69−2、JM−71−1およびJM−71−2の上清から製造した。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、上清は、ポリオールによって抽出された水溶性ポリペプチドを含有すると考えられる(実施例14参照)ため、上清を使用した。さらに、ポリオール/水ブレンドに水溶性タンパク質を添加しなかったこと以外、試料JM−69−2、JM−71−1およびJM−71−2と同様に、対照試料を製造した。前述の同じ加熱プロファイルを使用して、対照のポリオール/水ブレンドを加熱した。対照のブレンドは、試料JM−74−1と標示した。
【0186】
次の成分、すなわち対照のブレンドJM−74−1、7.1グラム、Huntsman Corporation製のJeffol A−630、1.6グラム、Huntsman Corporation製のJEFFCAT DMDLC0.06グラム、およびAir Products & Chemicals,Inc.製のジブチル錫ジラウレート0.06部を150mlの使い捨てビーカー内で混合することによりフォーム75−3を製造した。スパチュラおよびボルテックスミキサーを用いてポリオールブレンドを十分混合した。次いで、PMDI(Huntsman Corporation製のRUBINATE−M)9グラムをビーカーに添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。
【0187】
フォームJM−75−4は、JM−74−1の代わりに、試料JM−69−2の上清7.1グラムを使用したこと以外、同様に製造した。フォームJM−75−5は、JM−74−1の代わりに、試料JM−71−1の上清7.1グラムを使用し、フォームJM−75−6は、JM−74−1の代わりに、試料JM−71−2の上清7.1グラムを使用した。
【0188】
次の配合、すなわちHuntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000、7.1グラム、Huntsman Corporation製のJEFFOL A−630、1.6グラム、Huntsman Corporation製のJEFFCAT DMDL0.06グラム、およびAir Products & Chemicals,Inc.製のジブチル錫ジラウレート0.06部、および蒸留水0.39グラムを有する別のフォーム対照試料(JM−75−2)を製造した。ポリオールブレンドを、150mLの使い捨てビーカーで製造し、スパチュラおよびボルテックスミキサーを用いて十分混合した。次いで、PMDI(Huntsman Corporation製のRUBINATE−M)9グラムをビーカーに添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。この対照配合物は、対照のポリオールブレンドJM−74−1の製造に使用したものと同じ水対ポリオール比を使用したが、但し、この試料は「加熱処理」されなかった。
【0189】
タンパク質上清を使用して得られたフォームは、それぞれ、発泡高さが高く、気泡構造が緻密であった。フォームの写真を図16に記載し、実験のさらなる観察結果を下記の表4に記載する。
【0190】
【表4】
【0191】
データから、消化されたヒマに由来する上清から得られた水溶性タンパク質は、ポリウレタンフォームの発泡高さを高くし、フォームに非常に均一で小さい気泡構造を促進することが分かる。理論に束縛されることを望むものではないが、タンパク質は、反応成分の効率的な混合と、発生した二酸化炭素ガスの核形成を可能にする界面活性剤の役割を果たし、高いフォーム発泡高さ、均一な気泡構造、および比較的低密度のフォームを可能にすると考えられる(ポリペプチド以外、フォームの製造に使用されるどの材料も界面活性剤の役割を果たすとは考えられない)。
【0192】
実施例6:消化されたタンパク質を含有するポリウレタンフォームの製造
この実施例では、イソシアネート、ポリオールブレンド、および分散された農産物タンパク質を組み合わせることによって、一連のポリウレタンフォームを製造した。分散したタンパク質の存在により、発泡高さがより高く、気泡構造がより小さく、密度がより低いポリウレタンフォームが得られた。
【0193】
「A」成分に使用されるイソシアネートは、Huntsman Corporation製のRUBINATE−M、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)であった。ポリオールブレンドの組成物または「B」の成分は、Huntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000、71.4部、Huntsman Corporation製のJeffol A−630、15.6部、蒸留水3.0部、Huntsman Corporation製のJEFFCAT DMDLC、0.6部、およびAir Products & Chemicals,Inc.製のジブチル錫ジラウレート0.6部を含有した。「B」成分は、試料JM−37−1と表された。消化された大豆タンパク質単離物(ロット5−81)、Flavourzymeでタンパク質分解された乳清タンパク質(ロット5−80)、およびEverlastで消化されたヒマミールタンパク質(ロット番号5−83)は、Prof.Sergei Braun(The Hebrew University of Jerusalem)から入手した。
【0194】
前述のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250 mLの使い捨てビーカーに添加することにより、一連の比較のカップフォーム試料を製造した後、前述のリストの特定のタンパク質1グラムを添加した。スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用してタンパク質/ポリオールブレンドを混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は、10グラムであった。成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。タンパク質を含有するフォームを、対照のフォーム(前述のポリオールブレンド(JM−37−1)10グラムをPMDI10グラムと反応させたものからなる)と比較した。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム反応は全て周囲温度で行った。
【0195】
分散された大豆、乳清、およびヒマタンパク質を含有するフォームは発泡高さが、対照のフォームより高かった。得られたこれらのフォームの密度を表5に記載する。
【0196】
【表5】
【0197】
密度変化の他に、得られたフォームの気泡構造に差があった。大豆タンパク質および乳清タンパク質(それぞれJM−67−1およびJM67−3)で作製されたフォームは、ヒマタンパク質(JM−67−5)および対照(JM−67−7)で作製されたフォーム(これらは両方とも比較的大きく粗い気泡構造を有した)と比較して気泡が小さく、緻密であった。
【0198】
実施例7:消化されたヒマタンパク質、または消化され誘導体化されたヒマタンパク質を使用して製造されたフォーム
この実施例では、消化されたヒマタンパク質を使用して、および消化され誘導体化されたヒマタンパク質を使用してポリウレタンフォームを製造した。
【0199】
実施例6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、消化されたヒマタンパク質(ロット5−83)または消化され誘導体化されたヒマタンパク質(ロット5−82)1グラムを添加することにより、一連の比較のカップフォーム試料を製造した。スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用してタンパク質とポリオールブレンドを混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は、10グラムであった。成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。タンパク質を含有するフォームを、2つの対照フォーム、即ち、前述のポリオールブレンド(JM−37−1)9グラムをPMDI10グラムと反応させたものからなる対照−1、および前述のポリオールブレンド(JM−37−1)10グラムをPMDI10グラムと反応させたものからなる対照−2と比較した。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム形成反応は周囲温度で行った。
【0200】
分散されたヒマタンパク質を含有するフォームは、対照のフォームより発泡高さが高かった。得られたこれらのフォームの密度を表6に示す。
【0201】
【表6】
【0202】
実施例8:消化された乳清タンパク質の添加量を変えた場合の、得られるフォームについての比較
この実施例では、消化された乳清タンパク質を10%(wt/wt)または20%(wt/wt)使用して、ポリウレタンフォームを製造した。
【0203】
2つの比較のカップフォーム試料を製造した。第1の試料、JM−43−1は、実施例−6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250 mLの使い捨てビーカーに添加した後、Flavourzymeで消化された乳清タンパク質(ロット番号5−80)1グラムをポリオールブレンドに添加することにより製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。次いで、成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。
【0204】
第2の試料、JM−43−2は、実施例−2に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)8グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、 Flavourzymeで消化された乳清タンパク質(ロット番号5−80)2グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム反応は全て周囲温度で行った。
【0205】
試料JM−43−2のポリオール/タンパク質ブレンドは、ポリオール/タンパク質ブレンドJM−43−1と比較して粘度が高かった。しかし、得られたフォームの発泡高さはほぼ同じであった。各フォームの気泡構造は類似していた。各試料の中央部の相対嵩密度を表7に記載するが、M1は、発泡したフォームの中心より下で切断した厚さ1インチの断面を表し、M2は、発泡したフォームの中心より上で切断した厚さ1インチの断面を表す。
【0206】
【表7】
【0207】
得られたフォームでは、カップフォームの底部は厚さ約1インチであり、M−1は底部より上のフォームの第1の中央部で、厚さ約1インチであり、M−2はM−1より上のフォームの第2の中央部で、厚さ約1インチであった。ポリオールブレンドは、消化された乳清タンパク質から水溶性タンパク質を抽出し、効率的なフォーム発泡や小さい気泡構造に寄与するものと考えられる。これらのフォームを実施例7の対照のフォーム(JM−59−3およびJM−59−4)と比較すると、表7の全てのフォームの密度は対照のフォームより低密度であることが観察された。
【0208】
実施例9:異なるpHのFlavourzyme消化乳清タンパク質を使用して作製されたポリウレタンフォーム
この実施例は、異なるpHのFlavourzyme消化乳清タンパク質を使用するポリウレタンフォームの製造およびキャラクタリゼーションを記載する。
【0209】
一連のカップフォーム試料を製造し、2つの方法で製造されたFlavourzyme消化乳清タンパク質を比較した。第1の試料、JM−40−1は、実施例6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、Flavourzymeで消化された乳清タンパク質(ロット5−72)1グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。次いで、成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。
【0210】
第2の試料、JM−40−2は、実施例−6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、Flavourzymeで消化された乳清タンパク質(ロット番号5−80)1グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は、10グラムであった。成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム反応は全て周囲温度で行った。
【0211】
第3の試料、JM−40−5は、実施例−6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)8グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、Flavourzymeで消化された乳清タンパク質(ロット番号5−80)2グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。次いで、成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム反応は全て周囲温度で行った。
【0212】
タンパク質を含有するフォームを、2つの対照フォーム、即ち、前述のポリオールブレンド(JM−37−1)9グラムをPMDI10グラムと反応させたものを含有する対照−1(JM−40−3)、および前述のポリオールブレンド(JM−37−1)10グラムをPMDI10グラムと反応させたものを含有する対照−2(JM−40−4)と比較した。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム反応は全て周囲温度で行った。
【0213】
上記の方法で製造したフォームの画像を図17に示す。pH約3.5のFlavourzyme消化乳清タンパク質・ロット番号5−80で製造されたフォーム(試料JM−40−2およびJM−40−5)は、pH約6.0のFlavourzyme消化乳清タンパク質・ロット番号5−72で製造されたフォーム試料JM−40−1より発泡高さが高かった。さらに、pH約3.5のFlavourzyme消化乳清タンパク質・ロット番号5−80で製造されたフォーム(試料JM−40−2およびJM−40−5)は、対照のフォーム試料(即ち、JM−40−3およびJM−40−4)より発泡高さが高かった。フォーム試料のそれぞれの密度を表8に記載する。
【0214】
【表8】
【0215】
実施例10:消化されたヒマタンパク質から得られた水溶性ポリペプチド組成物を使用して製造されたフォーム
この実施例は、消化されたヒマタンパク質から得られた水溶性ポリペプチド組成物を使用して製造したポリウレタンフォームの製造を記載する。
【0216】
A−ポリペプチド組成物の製造
消化されたヒマタンパク質(ロット番号5−108)は、Prof. S. Braun(the Laboratory of the Department of Applied Biology at the Hebrew University of Jerusalem,Israel)から実験試料(「消化されたヒマ」)として入手した。消化されたヒマは次のように製造した、すなわちヒマミールタンパク質を水中に約 1:10w/wの比で懸濁させた。塩化カルシウムを10mMの有効濃度まで添加し、10N NaOHを添加することによって懸濁液のpHをpH9に調整した。この反応を、撹拌しながら55℃に加熱した。次に、Everlase 16L Type EX(登録商標)(NOVOZYMES’)を、ヒマミールタンパク質1kg当たり10gの割合で添加し、混合物を同じ温度で約4時間撹拌した。次いで、得られた混合物をクエン酸でpH3.5に低下させ、噴霧乾燥させて黄褐色の粉末を得た。
【0217】
消化されたヒマを分画し、水溶性ポリペプチド画分と水不溶性/水分散性ポリペプチド画分を得た。第1の工程で、消化されたヒマ100gを蒸留水0.5リットルに入れてスラリーにした。この混合物を撹拌機で30分間混合した。次いで、スラリーのアリコートを3,400rpmで約15分間遠心分離した。得られた上清(水溶性ポリペプチド画分を含有した)をデカントし、この実施例のフォーム実験に使用した。残った水不溶性沈殿物を中性の水で洗浄し、再度遠心分離した。水不溶性沈殿物を得るため、この工程を5回繰り返した。水不溶性沈殿物が得られた。
【0218】
試料をオーブンで乾燥した後、洗浄した水不溶性/水分散性画分の固形分率を測定した。固形分率は16.36%であることが分かった。同様に第1の遠心分離サイクル(前述の)により単離された水溶性画分をオーブンで乾燥した。水不溶性分散性画分と比較するため、乾燥した水溶性残留物を収集して固形分16.36%の溶液を作製した。消化されたヒマ、ロット5−108、3.272グラムを水16.728グラムと混合して、本質的に水溶性画分と水不溶性分散性画分の両方を含有する固形分16.36%の混合物を得ることにより、固形分16.36%の第3の試料を製造した。
【0219】
B−ポリウレタンフォームの製造
イソシアネート、ポリオールブレンド、および様々な消化されたヒマポリペプチド画分を組み合わせることにより、一連のポリウレタンフォームを製造した。これらの実験に使用したポリオールブレンドは、使用した水が、消化されたヒマタンパク質から単離された画分を含有したこと以外、実施例6に記載のものと類似していた。全てのポリオールブレンド中の含水率が同じになるように、適切な水濃度で対照試料を製造した。様々な配合物を表9に示す。
【0220】
【表9】
【0221】
「A」成分に使用したイソシアネートは、Huntsman Corporation製のRUBINATE−M、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)であった。ポリオールブレンドの組成物または「B」成分は、Huntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000、71.4部、Huntsman Corporation製のJeffol A−630、15.6部、Huntsman Corporation製のJEFFCAT DMDLC、0.6部、およびAir Products & Chemicals,Inc製のジブチル錫ジラウレート0.6部、および対照用の蒸留水2.51部または固形分を16.36%含有する画分3.0部を含有した。
【0222】
イソシアネート(「A」成分)とポリオールブレンド(「B」成分)は、「B」9部対「A」10部、および「B」10部対「A」10部の2つの比で混合されたため、2つの異なるイソシアネートインデックスとなった。これらの混合物から、異なる特性を有するフォームが製造された。フォームの画像を図18に示すが、図18Aは、「B」9部:「A」10部を含有する試料(9/10 PolyI/PMDIと表される)を示し、図18Bは、「B」10部:「A」10部を含有する試料(10/10 PolyI/PMDIと表される)を示す。両方のポリオール/イソシアネート比で、水溶性ポリペプチドの存在により、発泡高さが著しく高く、対照と比較して気泡構造が小さいポリウレタンフォームが得られた。水不溶性分散性画分を含有する試料(JM−582−4)は、水溶性ポリペプチド画分を含有する試料ほど発泡高さが高くなかった。理論に拘束されることを望むものではないが、水不溶性ポリペプチド画分に関するこのようなフォームの高さの増大は、水不溶性タンパク質組成物中には水溶性タンパク質の量が少なかったことによるものと考えることができる。
【0223】
実施例11:ヒマミールまたはキャノーラミール由来の水溶性ポリペプチド組成物から製造されたフォーム.
この実施例では、ヒマミールまたはキャノーラミールから得られた水溶性ポリペプチド組成物を使用してポリウレタンフォームを製造した。
【0224】
A−ポリペプチド組成物の製造
同一条件で2つの試料を製造したが、一方は全粒キャノーラミールを使用し、他方は全粒ヒマミールで作製した。キャノーラ製造物は次のように製造した、すなわち全粒キャノーラミール(Viterra Canola Processing,Ste Agatha,MBから入手したCanola Meal MA Viterra 00200、タンパク質を約37重量%含有すると報告されている)を、1.0%水酸化ナトリウム溶液中に分散させた後、1 M HCl溶液と混合して最終pH値約4〜5にした。同様に、全粒ヒマミール(Kopco Oil Products,Rajkot,India製)を1.0%水酸化ナトリウム溶液中に分散させた後、1 M HCl溶液と混合して最終pH値約4〜5にした。
【0225】
ヒマ試料とキャノーラ試料を実験台上に静置した。水不溶性/水分散性ポリペプチド含有成分は沈殿し、水溶性ポリペプチド成分は上清として観察された。試料をオーブンで乾燥させることにより、上清の固形分を測定した。ヒマミールの上清の固形分は2.85パーセントであり、キャノーラミールの上清の固形分は3.25パーセントであった。フォームの実験では、ヒマ試料の固形分と同等にするため、キャノーラの上清を蒸留水で希釈して、固形分を2.85%にした。
【0226】
B−ポリウレタンフォームの製造
イソシアネート、ポリオールブレンド、および様々な上清画分を組み合わせることにより、一連のポリウレタンフォームを製造した。これらの実験に使用したポリオールブレンドは、実施例10に記載のものと類似していた。全てのポリオールブレンド中の含水率が同じになるように、適切な水分濃度で対照試料を製造した。比較の配合物を表10に記載する。
【0227】
【表10】
【0228】
「A」成分に使用したイソシアネートは、Huntsman Corporation製のRUBINATE−M、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)であった。ポリオールブレンドの組成物または「B」成分は、Huntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000、71.4部、Huntsman Corporation製のJeffol A−630、15.6部、Huntsman Corporation製のJEFFCAT DMDLC、0.6部、およびAir Products & Chemicals,Inc製のジブチル錫ジラウレート0.6部、および蒸留水2.91部または固形分を2.85%含有する可溶性画分3.0部を含有した。
【0229】
イソシアネート(「A」成分)とポリオールブレンド(「B」成分)を、「B」7部対「A」10部の比で混合した。
【0230】
上記の方法で製造したフォームの画像を図19に示す。水溶性ポリペプチド画分の存在により、水溶性タンパク質画分を含まない対照と比較して、発泡高さが高く、気泡構造が小さいポリウレタンフォームが得られた。
【0231】
実施例12:消化されたヒマミールに由来する水溶性ポリペプチド組成物を使用して製造されたフォーム.
この実施例では、消化されたヒマミールから得られた水溶性ポリペプチド組成物を使用してポリウレタンフォームを製造した。
【0232】
実施例10に報告した単離方法を使用して、消化されたヒマ(ロット5−108)を分画し、水溶性画分と水不溶性/水分散性画分を得た。フォーム実験のため、デカントすることにより、水溶性ポリペプチド画分を含有する上清を得、残った水不溶性沈殿物を別の容器に入れた。実施例10では、水溶性ポリペプチド画分の16.36%溶液を作製するために、上清画分を収集し乾燥させた。対照的に、この実施例では、第1の遠心分離サイクルで得られる上清を収集し、乾燥させずにそのまま使用した。アリコートをオーブンで乾燥させることにより、消化されたヒマの上清の固形分を測定した。第1の遠心分離工程で得られる消化されたヒマの上清は、固形分を8.93%有することが分かった。
【0233】
イソシアネート、ポリオールブレンド、および上清画分を組み合わせることにより、一連のポリウレタンフォームを製造した。これらの実験に使用したポリオールブレンドは、実施例10に記載のものと類似していた。両方のポリオールブレンド中の含水率が同じになるように、適切な水分濃度で対照試料を製造した。様々な配合物を表11に示す。
【0234】
【表11】
【0235】
イソシアネート(「A」成分)とポリオールブレンド(「B」成分)は、「B」9部対「A」10部、および「B」8部対「A」10部の2つの比で混合されたため、2つの異なるイソシアネートインデックスとなった。
【0236】
水溶性ポリペプチド画分の存在により、対照と比較して発泡高さが高く、気泡構造が小さいポリウレタンフォームが得られた。この2つの混合物、すなわち「B」9部対「A」10部のものと、「B」8部対「A」10部のものは同様の挙動を示した。
【0237】
実施例13:粉砕された全粒ヒマミールまたは消化されたヒマミールを使用して製造されたフォーム
この実施例では、粉砕された全粒ヒマミールまたは消化されたヒマミールを使用してポリウレタンフォームを製造した。
【0238】
全粒キャノーラミール(Viterra Canola Processing,Ste Agatha,MBから入手したCanola Meal MA Viterra 00200、タンパク質を約37重量%含有すると報告されている)を、Retch工業用粉砕機を使用して80ミクロンの粒度に粉砕した。消化されたヒマ(ロット5−108)は実施例10に記載のように製造した。この実施例では、粉砕された全粒ミールおよび消化されたヒマ試料は、水溶性ポリペプチド組成物と水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物の両方を含有する乾燥固体粉末であった。
【0239】
イソシアネート、ポリオールブレンドを組み合わせ、ポリオールブレンドに乾燥ヒマ粒子を添加することによって、ポリウレタンフォームを製造した。これらの実験に使用したポリオールブレンドは、実施例6に記載のものと類似していた。
【0240】
特に、2つの比較のカップフォーム試料を製造した。第1の試料、JM−560−1は、実施例−6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、80ミクロンに粉砕された全粒ヒマミール1グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。次いで、成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。
【0241】
第2の試料、JM−553−3は、実施例−6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、消化されたヒマ(ロット番号5−108)2グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。次いで、成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。
【0242】
2つの試料を、乾燥タンパク質含有粉末が添加されていない対照のフォーム(JM−37−1)と比較した。
【0243】
タンパク質含有粉末の存在により、対照と比較して発泡高さが高く、気泡構造が小さいポリウレタンフォームが得られた。
【0244】
実施例14:ポリオール組成物にタンパク質組成物を添加することにより形成された混合物のキャラクタリゼーション
これらの成分間で特定の化学反応が起こり得るかどうかを調べるため、ポリオール化合物PPG 200とタンパク質組成物(例えば、消化されたヒマ、消化された大豆、および消化された乳清)を水の存在下および水の非存在下で混合した。特に、FTIR分析により、消化されたタンパク質中に遊離カルボン酸官能基が存在することが分かったため、ポリオールのヒドロキシル末端基と消化されたタンパク質の遊離酸部分とのエステル化反応の存在を確認する試験を行った。起こり得る反応を特定できるように、これはイソシアネート成分の非存在下で行った。ポリオールとタンパク質組成物の混合に使用した方法を、ポリオール/タンパク質混合物の物理的観察結果と共に実施例5に報告する。
【0245】
混合工程が完了した後、試料瓶を周囲条件で数日間放置した。様々な混合物の沈殿成分が容器の底部に沈殿した後、上清のアリコートを、沈殿生成物の特定の試料と一緒に回収した。抽出されたおよび/または反応した成分の有無を試験するために、得られたアリコートを溶液状態FTIRで分析し、減算スペクトル(subtraction spectra)を生成した。
【0246】
上清のスペクトルから純粋なPPG2000のスペクトルを差し引くことによって減算スペクトルを生成した(乗算係数=1)。次いで、化学的に変化した反応生成物の可能性を試験するため、得られた減算スペクトルを重ね合わせ、出発成分(PPG2000および消化されたタンパク質)と比較した。
【0247】
水とともにポリオール中に消化されたヒマを混合して作製した混合物の上清の減算スペクトルから、上清中に化合物が存在することが分かった。減算スペクトルを、純粋な消化されたヒマのスペクトルと比較することにより、上清化合物は、約3540cm−1および3423cm−1に主要な吸収帯を有することが分かった。3423cm−1の基は、出発消化ヒマ化合物にはショルダーとしてのみ現れる(消化されたヒマの主要なN−H伸縮振動は約3270cm−1に現れた)。さらに、純粋な消化されたヒマの主要なN−H吸収帯は上清化合物中には存在しなかった。さらに、上清化合物は、1638cm−1付近を中心とする消化されたヒマの主要な吸収帯を含有するが、1717cm−1にはカルボニルの吸収は認められなかった(消化されたヒマの1717cm−1における吸収は、遊離カルボン酸の存在と一致する)。代わりに、上清化合物は、1739cm−1に著しく異なるカルボニル伸縮振動の存在を示したが、これはエステルの存在と一致する。
【0248】
重要なことに、1639cm−1付近のピークの吸収強度と1739cm−1付近のエステルピークの吸収強度との比は、約2/1であることが測定により分かったが、これは、消化されたヒマの1639cm−1のピークの吸収強度と1717cm−1付近のカルボニルピークの吸収強度との相対比とほぼ同じであった。さらに、消化されたヒマのスペクトルに現れる1531cm−1のピークは上清化合物から無くなっていた。上清は、3550cm−1付近のブロードなピークによって、および2300cm−1〜1900cm−1のピークの集合によって証明されるように水の存在を示す。
【0249】
上清化合物のスペクトルをPPG2000ポリオールのスペクトルと重ね合わせると、3474cm−1付近を中心とするポリオールヒドロキシルピークは、明らかに、上清化合物には存在しないことが分かる。まとめて、これらのスペクトルの比較から、上清化合物は、出発消化ヒマタンパク質自体の可溶化された画分の成分であるか、または消化されたヒマ成分とポリオール化合物との可溶化された反応生成物であることが分かる。
【0250】
これらの知見に基づいて、水のもたらし得る影響を明らかにするため、消化されたヒマとPPG2000との類似の混合物の上清を、水の非存在下で作製した。化合物は上清中には検出されなかった。JM−69−2試料から沈殿した物質(実施例5参照)を別々に収集し、FTIRで分析し、そのスペクトルを出発消化ヒマ材料のスペクトルと、およびPPG2000ポリオールのスペクトルと重ね合わせた。スペクトルの解析から、沈殿物は、出発消化ヒマタンパク質と組成がかなり類似していることが判明した。沈殿物は洗浄されず、ポリオール不純物の存在と一致する1092cm−1のスペクトル成分を含有した。
【0251】
消化された乳清タンパク質と消化された大豆タンパク質を用いた類似の実験で、上清を同様に収集し、FTIRで分析した。消化されたヒマで作製された上清化合物のスペクトルと重ね合わせたとき、得られた減算スペクトルから、上清化合物は著しく類似した構造的性質を有するように思われることが分かる。これらの類似性は、さらにヒドロキシル領域とカルボニル領域の重なりによって例証される。
【0252】
実施例5に記載のように、消化されたタンパク質をポリウレタンフォーム配合物に大量に添加すると(フォームの約5重量%)、フォーム密度が驚くほど低下する。この観察結果に鑑みて、またFTIRが示す上清化合物間の著しい類似性に鑑みて、タンパク質自体を大量に使用する代わりに上清化合物を使用することによって発泡ポリウレタン配合物を製造する研究を行った。上清化合物で作製されたフォームは、全て、密度が驚くほど低かった。従って、好ましい消化されたタンパク質の大量添加は好結果に繋がり得るが、意外なことに、本実施例で得られる上清中に見出されるものと同様の構造的性質を有する化合物を低濃度で添加することによって類似の結果を達成することができる。従って、消化されたタンパク質の大量添加によって観察された傾向は、水不溶性タンパク質画分の非存在下で、溶媒和された上清化合物(即ち、ポリオールと水の混合物を使用して、消化されたタンパク質から抽出した水溶性画分)を添加するだけで再現され、ポリオール/水ブレンドから沈殿した水不溶性画分の非存在下で所望の密度低下効果が得られた。
【0253】
参照による援用
本明細書で参照される特許文献および科学論文はそれぞれ、その開示内容全体が、参照により、あらゆる目的に援用される。
【0254】
同等物
本発明は、本発明の精神または本質的特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することができる。前述の実施形態は、従って、本明細書に記載の本発明を限定するものではなく、全ての点において説明を目的としたものであると見なされるべきである。従って、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の同等物の意味および範囲に入る全ての変更は、本発明に包含されるものとする。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、同時係属中の米国仮特許出願第61/246,215号(2009年9月28日出願)、同時係属中の米国仮特許出願第61/246,208号(2009年9月28日出願)、および同時係属中の米国仮特許出願第61/157,944号(2009年3月6日出願)の利益および優先権を主張し、これらはそれぞれ内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般に、タンパク質含有フォーム、その製造およびその使用に関する。
【背景技術】
【0003】
フォームは、例えば、発泡断熱材、包装用発泡体、安全パッド、カーペット裏地、木目調備品用の装飾用発泡体等を含む様々な工業用途および消費者用途に使用されている。これらのフォームの利用は世界中で増大し続けている。増大の原因は、とりわけ、それらが軽量であり、強度対重量比が優れていること、それらの断熱および防音特性、ならびに、フォームのエネルギー吸収特性にあると言える。ポリウレタンフォームは広く普及しており、様々な異なる形態に製造することができる。例えば、ポリウレタンフォームは軟質、半硬質、または硬質の形態に製造することができ、軟質フォームは一般に硬質フォームと比較して柔軟で、低密度で、可撓性があり、荷重を加えた後、構造的に回復し易い。
【0004】
ポリウレタンフォームの製造は、フォームの分野で広く論じられてきた。それにもかかわらず、ポリウレタンフォームの一般的な製造方法は、主鎖ウレタン基を形成するポリオールとイソシアネートの反応による。典型的には、発泡剤(例えば、不活性ガスまたはガスを生成する化合物など)を使用して、フォームに気泡を形成する。製造中に追加の調整剤(例えば、触媒および界面活性剤など)を添加して、得られるフォーム製品の特性を調整してもよい。
【0005】
最近、ポリウレタンフォームの製造におけるポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールの使用を、より汎用性があり、再生可能で、より低コストで、より環境にやさしい成分で代替するまたは低減する努力が行われてきた。例えば、フォームは、植物由来の脂肪酸トリグリセリドを使用して製造されてきた。このような材料は再生可能であり、比較的安価で、汎用性があり、環境にやさしいため、それらはフォーム製造の成分として望ましい。
【0006】
しかし、フォームの特性を調整できる、再生可能で、より低コストで、より環境にやさしい薬剤が依然として必要とされている。例えば、より高い発泡高さ、均一な気泡構造、および/またはより低密度のフォームなどのフォームの特性を改善するのに使用できる再生可能な材料が有利であろう。安価に且つ大量に得ることができる廃棄副産物中に存在する材料は特に有用である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、一部、例えば、廃棄植物系バイオマスなどの様々な出発原料から得ることができる特定のタンパク質組成物を使用して、フォームの特性を調整することができ、例えば、より小さく、より均一な気泡をより多く含有する、より低密度のフォームを製造することができるという知見に基づく。
【0008】
一態様では、本発明は、ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができる単離された水溶性ポリペプチド組成物を提供する。単離された水溶性ポリペプチド画分は、次の特徴、即ち、(a)固体状態フーリエ変換赤外分光法(FTIR)で測定した場合、約1633cm−1〜1680cm−1のアミド−I吸収帯、(b)固体状態FTIRで測定した場合、約1522cm−1〜1560cm−1のアミド−II吸収帯、(c)固体状態FTIRで測定した場合、約3200cm−1および約3300cm−1を中心とする2つの顕著な1°アミドN−H伸縮振動吸収帯、(d)溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と、約7.6ppm−約8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核の顕著なクラスター、(e)約600〜約2,500ダルトンの平均分子量、(f)水中油型エマルションを安定化できないことであって、水86重量部に溶解または分散したタンパク質14重量部を含む水溶液を、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)14重量部と混合した場合、水溶液とPMDIが混合後5分以内に静的状態で巨視的に相分離する不安定な懸濁液を形成すること、(g)水溶性ポリペプチド組成物は、同じ出発組成物から製造されたが水溶性タンパク質組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができること、および(h)水溶性ポリペプチド組成物は、同じ出発組成物から製造されたが水溶性ポリペプチド組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームの密度を少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%)低下させることができること、の1つ以上を含む。
【0009】
別の態様では、本発明は、フォームの製造に使用される単離された水溶性ポリペプチド組成物の製造方法を提供する。本方法は、(a)タンパク質含有出発原料をpH約6.5超の水溶液中に少なくとも5分間分散させ、粒子状物質を含有する懸濁液を製造する工程、(b)工程(a)の後に、任意選択によりpHを約4.0〜5.0に低下させる工程、および、(c)その後、粒子状物質から水溶液を分離し、それによって本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物用の濃縮された溶液を得る工程を含む。
【0010】
特定の実施形態では、本方法は、さらに、(i)工程(a)の前に、出発原料を酵素で消化する工程、(ii)工程(a)の後に、懸濁液を酵素で消化する工程、(iii)工程(b)の後に、懸濁液を酵素で消化する工程、または(iv)工程(c)の後に、水溶性ポリペプチド組成物用の濃縮された溶液を酵素で消化する工程、の1つ以上を含む。有用な酵素としては、例えば、セリン特異性プロテアーゼ、ロイシン特異性プロテアーゼ、リシン特異性プロテアーゼ、またはアルギニン特異性プロテアーゼが挙げられる。本方法は、任意選択により、工程(c)で得られた水溶性ポリペプチド組成物を乾燥させる工程をさらに含む。
【0011】
これらの態様のそれぞれにおいて、水溶性タンパク質組成物は、動物性材料(例えば、牛乳および乳清、魚粉、動物組織)由来であっても、または植物性材料(例えば、コーン、小麦、ヒマワリ、木綿、菜種、キャノーラ、ヒマ、大豆、アマナズナ、亜麻、ナンヨウアブラギリ、アオイ科植物、落花生、藻類、豆類、ヤシ、タバコ、サトウキビ搾りかす、およびこれらの組み合わせ)由来であってもよい。他の特定の実施形態では、水溶性タンパク質組成物の製造方法における出発原料(バイオマス)は、乳清、キャノーラミール、キャノーラタンパク質単離物、ヒマミール、ヒマタンパク質単離物、大豆ミール、大豆タンパク質単離物、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0012】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載の水溶性タンパク質組成物を使用して製造されるフォームを提供する。本フォームは、(a)本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物、(b)イソシアネートをベースにする反応物、および(c)任意選択のイソシアネート反応性化合物、を含む混合物の反応生成物を含むポリウレタンフォームであってもよい。特定の実施形態では、混合物は、任意選択により、とりわけ界面活性剤および/または触媒および/または発泡剤をさらに含んでもよい。
【0013】
別の態様では、本発明は、(a)タンパク質含有組成物、(b)イソシアネートをベースにする反応物、および(c)任意選択のイソシアネート反応性成分、を含む混合物の反応生成物を含むポリウレタンフォームを提供し、タンパク質含有組成物は、同じ混合物から製造されたがタンパク質含有組成物を含まないポリウレタンフォームと比較して、ポリウレタンフォームの密度を少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%)低下させることができる。特定の実施形態では、混合物は、任意選択により、とりわけ界面活性剤および/または触媒および/または発泡剤をさらに含んでもよい。
【0014】
別の態様では、本発明は、(a)単離されたタンパク質を含有する組成物でこのタンパク質含有組成物は、水性媒体中にPMDIを分散させることができるもの、(b)イソシアネートをベースにする反応物、および(c)任意選択のイソシアネート反応性成分、を含む混合物の反応生成物を含むポリウレタンフォームを提供する。タンパク質含有組成物は、水不溶性/水分散性タンパク質画分を単独でまたは水溶性タンパク質画分と組み合わせて含む。特定の実施形態では、混合物は、任意選択により、とりわけ界面活性剤および/または触媒および/または発泡剤をさらに含んでもよい。
【0015】
前述の態様のそれぞれにおいて、イソシアネートをベースにする反応物は、有機ポリイソシアネート、例えば、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせであってもよい。代わりに、またはさらに、イソシアネートをベースにする反応物は、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン(uetonimine)、イソシアヌレート、またはこれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートであってもよい。
【0016】
イソシアネート反応性化合物は、イソシアネートと求核反応する化合物であってもよい。例えば、イソシアネート反応性化合物は、例えば、イソシアネートと反応できるヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物であってもよい。特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、ポリオール、例えば、ヒマシ油、アマニ油、または大豆油由来のポリオールである。他の特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、またはこれらの混合物からなる群から選択される化合物を開始剤として用いたポリオールである。さらに、イソシアネート反応性化合物は、単独で、または前述のイソシアネート反応性化合物のいずれかと組み合わせて使用される水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物を含んでもよい。水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物は、イソシアネートをベースにする反応物と一緒に分散し、得られる硬化フォームの不可分の構造成分となることができる。しかし、水溶性ポリペプチドタンパク質と異なり、水不溶性ポリペプチド組成物は、通常、得られるフォームの密度を低下させない。
【0017】
代わりに、またはさらに、イソシアネート反応性化合物は、ヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィンまたはポリシロキサン、またはグリコールもしくはそれより高官能基数のポリオールとジカルボン酸との縮合によって得られるポリエステルであってもよい。特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、ポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、アミンアルコキシレート、またはこれらの混合物である。他の特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物はポリオキシプロピレングリコールである。
【0018】
特定の実施形態では、フォームの密度は、ASTM D−7487により測定した場合、約0.01g/cm3〜約0.5g/cm3の範囲である。特定の実施形態では、フォームの密度は、同じ出発組成物から製造されたが本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物、または得られるフォームの密度を低下させるのに十分な量の水溶性タンパク質を含有するタンパク質含有組成物を含まないフォームより5%〜80%低密度となり得る。他の特定の実施形態では、ASTM D−7487により定義されるフォームクリームタイムが、1分未満である。他の特定の実施形態では、ASTM D7487で測定されるフォーム自由発泡高さは、同じ出発組成物から製造されたが本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物、または得られるフォームの密度を低下させるのに十分な量の水溶性タンパク質を含有するタンパク質含有組成物を含まないフォームのフォーム自由発泡高さより大きい。例えば、フォーム自由発泡高さは、同じ出発組成物から製造されたがこのようなタンパク質を含まないフォームのフォーム自由発泡高さより少なくとも5%大きくなり得る。他の特定の実施形態では、本フォームは、同じ出発組成物から製造されたが本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物、または得られるフォームの密度を低下させるのに十分な量の水溶性タンパク質を含有するタンパク質含有組成物を含まないフォームと比較して、より小さく、より均一な気泡をより多く有する。
【0019】
別の態様では、本発明は、(a)タンパク質含有組成物(例えば、本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物)とイソシアネートをベースにする反応物を混合して混合物を製造する工程、および(b)混合物からポリウレタンフォームを製造する工程、を含むポリウレタンフォームの製造方法を提供する。得られるフォームの密度を低下させるのに有効であるように水溶性画分を単離する必要はないが、特定の状況では、水溶性タンパク質画分と水不溶性タンパク質画分を分離し、それらを制御された割合で添加し、得られるフォームの特性を調整することが望ましい。特定の実施形態では、工程(a)の混合物は、さらにイソシアネート反応性化合物を含む。イソシアネートをベースにする反応物とイソシアネート反応性化合物は、本発明の他の態様に関して前述されたものと同じであってもよい。
【0020】
工程(a)の混合物は、任意選択により、発泡剤、または発泡剤を生成する化合物をさらに含む。特定の状況では、水は発泡剤を生成できることが分かる。水溶性タンパク質を、水中に、イソシアネートをベースにする反応物を含有する溶液中に、またはイソシアネート反応性物質を含有する溶液中に溶解、分散、または懸濁させてもよい。
【0021】
特定の実施形態では、工程(a)の混合物は、フォームの生成を促進する触媒をさらに含んでもよい。例示的な触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、トリエチレンジアミン、2,2’−ジメチルアミノジエチルエーテル、2−ジメチルアミノエタノール、オクタン酸第一錫、オクタン酸カリウム、カルボン酸のアルカリ金属塩、またはこれらの組み合わせが挙げられる。代わりに、またはさらに、工程(a)の混合物は、界面活性剤、例えば、ポリエーテルシリコーンをさらに含む。代わりに、またはさらに、工程(a)の混合物は、難燃剤、充填剤、補強剤、煙抑制剤、殺生物剤、不活性可塑剤、帯電防止剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含んでもよい。
【0022】
特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、タンパク質含有組成物(例えば、水溶性ポリペプチド組成物)は、フォームの製造に使用される出発原料の約0.01%(w/w)〜約50%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、フォームは約250%〜約800%の範囲のインデックスで製造される。
【0023】
別の態様では、本発明は、タンパク質含有組成物(例えば、本明細書に記載の水溶性ポリペプチド組成物、水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物、またはこれらの混合物)およびイソシアネートをベースにする反応物を含む、ポリウレタンフォームを製造するためのプレミックスを提供する。タンパク質含有組成物は、同じ混合物から製造されたがタンパク質含有組成物を含まないポリウレタンフォームと比較して、ポリウレタンフォームの密度を少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%または90%)低下させることができることを特徴とする。プレミックスは、また、とりわけイソシアネート反応性化合物、発泡剤または発泡剤を生成する化合物、界面活性剤、およびフォームの生成を促進する触媒を含んでもよい。
【0024】
イソシアネートをベースにする反応物、イソシアネート反応性化合物、発泡剤または発泡剤を生成する化合物、界面活性剤、および触媒は前述のものと同じであってもよい。特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、プレミックスの約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、プレミックスの約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、タンパク質含有組成物(例えば、水溶性ポリペプチド組成物)は、フォームの製造に使用される出発原料の約0.1%(w/w)〜約99%(w/w)を構成する。
【0025】
別の態様では、本発明は、本明細書に記載のフォームを含む物品を提供する。
【0026】
本発明の前述のおよび他の目的、特徴および利点は、添付の図面に示す好ましい実施形態についての以下の説明から明らかになるであろう。図面は必ずしも一律の縮尺通りに描かれておらず、代わりに本発明の原理を説明することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施に有用な単離されたポリペプチド組成物の例示的な製造方法の工程を示すフローチャートである。
【図2】消化されたヒマ・ロット5−90から単離された水溶性タンパク質画分と水不溶性タンパク質画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図3】カルボニルアミド領域が拡大されている、消化されたヒマから単離された水溶性画分と水不溶性画分の固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図4】N−H伸縮振動領域が拡大されている、消化されたヒマから単離された水溶性画分と水不溶性画分の固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図5】カルボニルアミド領域の拡大を示す、ヒマタンパク質(ロット5−94)から単離された画分(水溶性画分と水不溶性/水分散性画分)の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図6】N−HおよびO−H伸縮振動領域が拡大されている、ヒマタンパク質(ロット5−94)から単離された水溶性画分と水不溶性画分の固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図7】ヒマタンパク質(ロット5−94)から、および酵素消化されたヒマ(ロット5−90)から単離された水不溶性/水分散性画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図8】カルボニルアミド領域が拡大されている、消化された大豆から単離された水溶性画分と水不溶性画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図であり、スペクトルは、アミド−Iカルボニル伸縮振動の吸収強度が同等になるように垂直方向に縮尺が調整された。
【図9】N−H伸縮振動領域が拡大されている、消化された大豆から単離された水溶性画分と水不溶性画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図10】消化された大豆と消化されたヒマから単離された水溶性ポリペプチド画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図11】消化された大豆と大豆粉から単離された水不溶性画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示す図である。
【図12】カルボニルアミド領域が拡大されている、複数のタンパク質試料(消化された大豆・ロット5−81、大豆粉、ヒマタンパク質単離物・ロット5−94、消化されたヒマ・ロット5−90)から単離された水不溶性/分散性画分の重ね合わせた固体状態FTIR表面ATRスペクトルを示す図である。
【図13】領域Aおよび領域Bと表された目的とする2つの領域を示す、d6−DMSO中における消化されたヒマ(ロット5−83)の二次元HSQC1H−15N NMRスペクトルを示す図である。
【図14】再び領域Aおよび領域Bを示す、d6−DMSO中における消化されたヒマ(ロット5−83)由来の水不溶性/分散性ポリペプチド画分の二次元HSQC 1H−15N NMRスペクトルを示す図である。
【図15】実施例5の方法に従って製造されたポリウレタンフォームを示す図である。
【図16】実施例9の方法に従って製造されたポリウレタンフォームを示す図である。
【図17】実施例10の方法に従って製造されたポリウレタンフォーム示す図であり、図17(A)はポリイソシアネート:PMDIの比9:10のものを示し、図17(B)はポリイソシアネート:PMDIの比10:10のものを示す。
【図18】実施例11の方法に従って製造されたポリウレタンフォームを示す図である。
【図19】実施例13の方法に従って製造されたポリウレタンフォームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明は、一部、様々な出発原料(例えば、廃棄植物系バイオマスなど)から得ることができる特定のタンパク質画分を使用して、フォームの特性を調整することができ、例えば、より小さく、より均一な気泡をより多く含有するより低密度のフォームを製造することができるという知見に基づく。本発明は、ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができる単離された水溶性ポリペプチド組成物、タンパク質含有ポリウレタンフォーム、タンパク質含有ポリウレタンフォームを製造する方法および組成物、ならびに前記ポリウレタンフォームを含む物品を提供する。単離された水溶性ポリペプチド組成物は、様々な供給源、例えば、植物質(農産業の廃棄副産物として生じるバイオマスなど)または動物質(例えば、牛乳または乳清、魚粉、または動物組織)から単離することができる。
【0029】
特定のタンパク質画分(単離された水溶性タンパク質組成物と、ある一定量の水溶性タンパク質を含有する粗タンパク質含有組成物を含み得る)をポリウレタンフォーム形成組成物に添加して、得られるポリウレタンフォームの特性を変化させることができるということが見出された。例えば、得られるフォームは、例えば、同じ出発原料から生成されたがタンパク質画分を含まないフォームと比較して、より低密度、および/またはより小さく、より均一な気泡サイズを有することができる。そのため、所定の体積を満たすのに必要な原料(例えば、イソシアネートをベースにする反応物および/またはイソシアネート反応性化合物)が比較的少ないフォームを製造することが可能である。そのため、タンパク質を含まないフォームより安価に所望の物理的特性を有するフォームを製造することが可能であり、また、配合物中に既知のポリウレタンフォーム用界面活性剤を使用することなく、フォームを製造することも可能である。これらのタンパク質含有ポリウレタンフォームは、本明細書に記載の特定のタンパク質組成物、イソシアネートをベースにする反応物および任意選択のイソシアネート反応性化合物を混合して、フォームを生成するプレミックスを製造することによって製造することができる。ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができるタンパク質組成物、タンパク質含有ポリウレタンフォーム、このようなタンパク質含有ポリウレタンフォームを製造する方法および組成物、ならびに前記ポリウレタンフォームを含む物品について下記にさらに説明する。
【0030】
I.ポリペプチド組成物
動物系および植物系バイオマスから得ることができる異なるタンパク質画分は、異なる物理的特性および化学的特性を有する。そのため、そのタンパク質を使用して、得られるフォームの所望の特性を調整することができる。本明細書に記載の水溶性タンパク質画分は、水溶性タンパク質画分なしで製造されたフォームと比較して、より低密度、および/またはより小さく、より均一な気泡サイズを有するポリウレタンフォームを提供する。特定の実施形態では、また、水不溶性/水分散性タンパク質画分をさらに、フォームを生成するプレミックスに添加してもよい。水不溶性/水分散性タンパク質画分の添加により、さらに、プレミックスから製造されるフォームの特性が調整される。水不溶性/水分散性タンパク質の添加により、得られるフォームに構造的剛性を付与することができる、および/または得られるフォームの密度を調整することができる。さらに、水不溶性/水分散性タンパク質画分と水溶性タンパク質画分は共に、接着剤を製造するために、単独で、または組み合わせて使用することができるが、これは米国特許出願第12/719,521号明細書(2010年3月8日出願)に詳述されており、その開示内容は参照により本明細書に援用される。
【0031】
「タンパク質」および「ポリペプチド」の用語は、同義的に使用され、例えば、ペプチド結合または他の結合で互いに結合しているアミノ酸を含有するポリマーを指し、天然アミノ酸または修飾アミノ酸を含有し得る。ポリペプチドは、天然供給源から単離されても、または標準的な化学を使用して合成されてもよい。さらに、ポリペプチドは、翻訳後プロセシングなどの自然過程により、または当該技術分野で周知の化学修飾法により、修飾または誘導体化されてもよい。修飾または誘導体化は、例えば、ペプチド主鎖、アミノ酸側鎖およびアミノ末端またはカルボキシル末端を含む、ポリペプチドのどこで行われてもよい。修飾には、例えば、環化、ジスルフィド結合の形成、脱メチル化、脱アミノ化、共有結合性架橋の形成、ピログルタミン酸の生成、ホルミル化、γ−カルボキシル化、グリコシル化、GPIアンカーの形成、ヒドロキシル化、ヨウ素化、 メチル化、ミリストイル化(myristolyation)、酸化、ペグ化、タンパク質分解、リン酸化等が挙げられる。全体を通して使用される場合、「単離された」の用語は、元の環境(例えば、それが天然のものである場合は、天然の環境)から取り出された物質を指す。
【0032】
単離されたポリペプチド組成物を製造するための出発原料はミールであっても、またはタンパク質単離物であってもよく、植物性材料(例えば、コーン、小麦、ヒマワリ、木綿、菜種、キャノーラ、ヒマ、大豆、アマナズナ、亜麻、ナンヨウアブラギリ、アオイ科植物、落花生、ヤシ、タバコ、サトウキビ搾りかす、および藻類の1種類以上)および/または動物性材料(例えば、牛乳、乳清、魚粉、動物組織)由来であってもよい。水溶性タンパク質画分は、様々な方法で、例えば、実施例全体を通して記載されているように製造できることが分かる。
【0033】
例えば、水溶性タンパク質は、植物性材料または動物性材料を水で洗浄し、単に、洗浄水に溶解するタンパク質を得ることによって単離されてもよい。しかし、得られる洗浄水は水溶性タンパク質以外の化合物、例えば、デンプンや糖類等などの水溶性炭水化物も含有し得ることが分かる。しかし、水溶性タンパク質画分対水不溶性/水分散性タンパク質画分の割合が、出発原料の供給源や出発原料で既に行われた可能性がある加工工程などの多数の要因によって変わり得る場合、および、水不溶性/水分散性ポリペプチドが密度低下を促進せず、むしろこの効果を減少させ得る場合、2つの異なるポリペプチド画分を分離した後、それらを、得られるフォームの物理的特性または化学的特性が制御されるように且つ得られるフォームの再現性が改善されるように制御して加え合わせることが好ましい。目的とするフォームに密度低下が必要でない場合、組成物から水溶性ポリペプチドを全体的に減少させ、またはなくし、水不溶性/水分散性ポリペプチドを配合物中の単独のタンパク質ベースの成分として使用できることが分かる。これは、タンパク質を含有しない類似のフォーム、または任意の量の水溶性ポリペプチド画分を含有する類似のフォームと同等のまたはそれより高い密度(これは、弾性率、強度、透過性等に影響を及ぼす)を有するフォームを製造することが望ましい場合、望ましい可能性がある。
【0034】
同様に、水不溶性/水分散性タンパク質画分は、実施例全体を通して、および同時係属中の米国特許出願第12/719,521号明細書(2010年3月8日出願)に詳述されている多くの方法で製造できることが分かり、この特許出願の開示内容は参照により本明細書に援用される。例えば、水で洗浄して大豆タンパク質単離物から水溶性タンパク質および水溶性成分を除去することにより、大豆タンパク質単離物から粗水不溶性/水分散性タンパク質画分を単離することができる。粗水不溶性/水分散性タンパク質画分は、特定の用途に応じて多くの種類の油を分散させることができるが、より純粋な形態の水不溶性/水分散性タンパク質画分を単離することが有利な場合がある。水溶性タンパク質画分と水不溶性/水分散性タンパク質画分の両方を製造する1つの方法を図1に概略的に示す。
【0035】
図1に示すように、出発原料(例えば、粉砕ミール)を、pH6.5〜13の水性媒体(例えば、水)中に少なくとも5分間、少なくとも20分間、少なくとも40分間、または少なくとも1時間分散させ、混合物を形成する。出発原料としては、限定されないが、乳清タンパク質、キャノーラミール、キャノーラタンパク質単離物、ヒマミール、ヒマタンパク質単離物、大豆ミール、または大豆タンパク質単離物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。このとき、任意選択により、酸を添加することによって混合物のpHを低下させ(混合物のpHを、例えば4.0〜5.0の範囲にし)、水溶性タンパク質の一部と水不溶性タンパク質の両方を沈殿させてもよい。この時点で、上清を得ることによって、水溶性タンパク質を沈殿物から分離してもよい。特定の実施形態では、pHを低下させる工程の前に水溶性タンパク質画分を得てもよい(図1参照)ことが分かる。換言すれば、出発原料を水性媒体(例えば、水)中に分散させ、従来の分離方法を使用して水溶性物質(水溶性タンパク質画分を含有する)を水不溶性物質から分離する。あるいは、pHを低下させた後に水溶性タンパク質を得てもよく、または水不溶性物質の洗浄液、例えば、洗浄水から水溶性タンパク質を得てもよい(図1参照)。異なる工程で得られる水溶性タンパク質含有水性画分の2つ以上を組み合わせることにより、水溶性タンパク質を製造してもよいことが分かる。
【0036】
水不溶性残留物質(即ち、沈殿物)を得ることができる。このとき、得られた物質を水で洗浄(特定の状況では、十分に洗浄)してもよく、残りの水不溶性/水分散性物質が得られる。
【0037】
前述のタンパク質単離方法を変更し、単なる水の代わりに、水−アルコール混合物を使用してもよい。例えば、水−アルコール混合物で植物性または動物性材料を洗浄して、水−アルコール混合物に溶解するタンパク質を単に得ることにより、水溶性タンパク質を単離してもよい。様々なアルコールが単離条件に適すると考えられる。特定の実施形態では、アルコールは、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、またはPPG−2000などのポリオールである。特定の実施形態では、水−アルコール混合物中の水対アルコールの比は、10:1〜5:1、5:1〜2:1、2:1〜1:2、1:2〜1:5、または1:5〜1:10の範囲である。
【0038】
水溶性タンパク質画分および/または水不溶性/水分散性タンパク質画分をそのまま使用しても、または乾燥させて使用時まで貯蔵してもよいことが分かる。乾燥は、噴霧乾燥、凍結乾燥、オーブン乾燥、真空乾燥、または乾燥用の塩(五酸化リンまたは塩化リチウムなど)への暴露を含む、当該技術分野で既知の方法で行うことができる。
【0039】
この方法は、1つ以上の酵素消化工程および/または化学的加水分解工程を含んでもよいことが分かる。1種類以上の酵素を使用して消化を促進してもよく、1種類以上の化学物質を使用して加水分解を促進してもよく、例えば、酸またはアルカリを用いた加水分解を行ってもよい。例えば、出発原料をアルカリ性水性媒体中でインキュベートする前に、もしくはインキュベートした後に、またはインキュベートの前後両方に、出発原料(例えば、粉砕ミール)を酵素消化してもよい。代わりに、またはさらに、酸を添加して混合物のpHを4.0〜5.0の範囲にした後に、材料を酵素消化する工程を行ってもよい。代わりに、またはさらに、得られた水溶性タンパク質画分、および/またはそれを得た後の水不溶性/水分散性物質を、酵素消化してもよい。しかし、前述の酵素消化工程と共に、またはその代わりに化学的加水分解を行ってもよい。
【0040】
特定の状況では、化学的に消化されたタンパク質中に存在する残留塩基性種およびアルカリ金属は、ポリイソシアネートとの相溶性がなく、イソシアネート基の三量化を引き起こす可能性があり、これは最終的なポリイソシアネート組成物中の安定性の問題に繋がる。しかし、酵素消化を使用して、幾つかの化学的加水分解工程に関連するイソシアネートの安定性の問題を回避または低減することができる。
【0041】
タンパク質画分の消化に有用な酵素には、細菌、真菌、動物または植物起源のエンドプロテアーゼもしくはエキソプロテアーゼまたはこれらの混合物が含まれることが分かる。有用な酵素としては、例えば、セリン特異性プロテアーゼ、ロイシン特異性プロテアーゼ、リシン特異性プロテアーゼまたはアルギニン特異性プロテアーゼが挙げられる。例示的な酵素としては、トリプシン、キモトリプシンA、BおよびC、ペプシン、レンニン、微生物アルカリプロテアーゼ、パパイン、フィシン、ブロメライン、カテプシンB、コラゲナーゼ、微生物中性プロテアーゼ、カルボキシペプチダーゼA、BおよびC、カルノシナーゼ(camosinase)、アンセリナーゼ、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のV8プロテアーゼおよび当該技術分野で既知の他の多くのものが挙げられる。また、これらのプロテアーゼの組み合わせを使用してもよい。
【0042】
また、例えば、Alcalase(登録商標)、Chymotrypsine 800類、Savinase(登録商標)、Kannase(登録商標)、Everlase(登録商標)、Neutrase(登録商標)、Flavourzyme(登録商標)(全てNovo Nordisk,Denmarkから入手可能)、Protex 6.0L、Peptidase FP、Purafect(登録商標)、Purastar OxAm(登録商標)、Properase(登録商標)(Genencor,USAから入手可能)、Corolase L10(Rohm,Germany)、Pepsin(Merck,Germany)、パパイン、パンクレアチン、プロレザー(proleather)Nおよびプロテアーゼ(Protease)N(天野エンザエム、日本)、Henkelから入手可能なBLAPおよびBLAP各種、花王から入手可能なK−16様プロテアーゼ、またはこれらの組み合わせなどの市販の酵素製剤。下記の表1は、特定の有用なエンドヌクレアーゼのアミノ酸特異性について記載する。
【0043】
【表1】
【0044】
選択する1種類または複数種類の酵素に応じて、酵素消化は、通常、水性条件で、適切なpH条件で(例えば、酵素または酵素混合物に応じて、中性または低pHで)行われる。特定の消化系では、消化は、pH9未満で、またはpH8未満で最適に行われる。特定の用途では、水性タンパク質消化系のpHは3〜9、4〜8または5〜7.5の範囲である。消化が所望の程度まで進行した後、酵素反応を停止させてもよく、得られる生成物を任意選択により洗浄し、その後、そのまま使用してもよく、または乾燥させて粉末にしてもよい。
【0045】
得られる水溶性タンパク質画分と水不溶性/水分散性タンパク質画分の物理的特性および化学的特性についてより詳細に下記に記載する。
【0046】
特定の実施形態では、単離されたタンパク質画分中のタンパク質を修飾する。ポリペプチド画分の適した修飾または誘導体化方法は、文献に記載されている。修飾の性質および程度は、大部分、出発原料の組成に依存する。誘導体は、例えば、前記単離されたタンパク質の第1級アミン基の少なくとも一部をヒドロキシル基で置換すること、タンパク質を脱アミノ化すること、またはタンパク質のアミド基の一部をカルボキシル基で置換すること等によって製造することができる。他の実施形態では、タンパク質をタンパク質変性剤、例えば、一酸化二窒素、亜硝酸、亜硝酸の塩、またはこれらの組み合わせと反応させることによって、本明細書に記載の単離されたポリペプチド組成物を得ることができる。
【0047】
A.ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができる水溶性ポリペプチド組成物
例えば、図1に記載の手順に従って単離された水溶性タンパク質画分などの水溶性タンパク質画分は、実質的にまたは完全に水に溶解する。
【0048】
水溶性タンパク質画分は、次の特徴、即ち、(a)固体状態FTIRで測定した場合、約1633cm−1〜1680cm−1のアミド−I吸収帯、(b)固体状態FTIRで測定した場合、約1522cm−1〜1560cm−1のアミド−II吸収帯、(c)固体状態FTIRで測定した場合、約3200cm−1および約3300cm−1を中心とする2つの顕著な1°アミドN−H伸縮振動吸収帯、(d)溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と、約7.6ppm−8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核の顕著なクラスター、(e)例えば、MALDI質量分析法で測定した場合、約600〜約2,500ダルトンの平均分子量、および(f)水中油型エマルションを安定化できないこと、水86重量部に溶解または分散したタンパク質14重量部を含む水溶液を、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)14重量部と混合した場合、水溶液とPMDIが混合後5分以内に静的状態で巨視的に相分離する不安定な懸濁液を形成、(g)水溶性ポリペプチド組成物は、同じ出発組成物から製造されたが水溶性タンパク質組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができる、および(h)水溶性ポリペプチド組成物は、同じ出発組成物から製造されたが水溶性ポリペプチド組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームの密度を少なくとも5%(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%)低下させることができる、の1つ以上を有する。
【0049】
特定の実施形態では、水溶性ポリペプチド組成物は、水不溶性/水分散性タンパク質画分と比較して、かなりの量の第1級アミン、カルボン酸、アミン塩、およびカルボン酸塩を含有する。図4、図6および図9に見られるように、水溶性タンパク質画分は、第2級アミン(約3275cm−1)と比較して、比較的高濃度の第1級アミン(約3300および3200cm−1)を含む。
【0050】
B.水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物
水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物は、幾つかの物理的特性および化学的特性を特徴とする。
【0051】
水不溶性/水分散性タンパク質画分の1つの重要な特性は、それが油を水中にまたは水を油中に分散または乳化させることができることである(実施例3参照)。これらの特性を有するタンパク質画分は、一般に、次の特徴、(a)固体状態FTIRで測定した場合、約1620cm−1〜1632cm−1のアミド−I吸収帯および約1514cm−1〜1521cm−1のアミド−II吸収帯、(b)固体状態FTIRで測定した場合、約3272cm−1を中心とする顕著な2°アミドN−H伸縮振動吸収帯、(c)約600〜約2,500ダルトンの平均分子量、および(d)溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約86.2ppm−約87.3ppmの15N化学シフト範囲と、第1のクラスターに対する約7.14ppm−7.29ppmの1H化学シフト範囲および第2のクラスターに対する約6.66ppm−6.81ppmの1H化学シフト範囲とによって画定される2つのプロトン化窒素クラスター、の1つ以上を含む。
【0052】
水溶性タンパク質組成物と対照的に、水不溶性/水分散性画分は、油を水中にまたは水を油中に分散または乳化させて、目視検査で少なくとも5分間安定な均質なエマルションを製造することができる。特定の実施形態では、分散体またはエマルションは、ポリペプチド組成物を油と混合した後、少なくとも10分間、15分間、20分間、25分間、または30分間、またはさらには1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、9時間、12時間、18時間、または24時間、目視検査で実質的に相分離が認められない。実施例3に示すように、水不溶性/水分散性画分は、例えば、有機ポリイソシアネート(例えば、PMDI)、鉱油、大豆油、誘導体化された大豆油、モーター油、ヒマシ油、誘導体化されたヒマシ油、フタル酸ジブチル、エポキシ化大豆油、コーン油、植物油、カプリル酸トリグリセリド、ユーカリ油、およびo−アセチルクエン酸トリブチルを含む、様々な油を乳化または分散させることができる。例示的な評価分析では、目的とするタンパク質試料14(重量)部を水86(重量)部と混合物し、得られる溶液または分散体を油(例えば、PMDI)14(重量)部と混合する。これらの条件で、水不溶性/水分散性タンパク質画分は、ポリペプチド組成物を油と混合した後、少なくとも5分間、目視検査で実質的に相分離が認められない分散体またはエマルションを形成する。
【0053】
特定の実施形態では、水不溶性/水分散性画分は、第1級アミン、カルボン酸、アミン塩、およびカルボン酸塩を実質的に含まない。水不溶性タンパク質/水分散性タンパク質画分は、水溶性タンパク質画分と比較して第2級アミンの割合が高い(実施例1参照)。
【0054】
水不溶性/水分散性タンパク質画分は、有機ポリイソシアネート(例えば、PMDI)に対して界面活性剤の役割を果たし、水不溶性有機ポリイソシアネートが最小限のエネルギー入力で容易に乳化し、水中油型エマルションを形成する点まで界面張力を低下させることができる。原材料が大豆タンパク質である場合、未消化の実質的に不溶性の(分画された)タンパク質を使用して安定なエマルションを得ることができる。特定の実施形態では、分画・単離されたポリペプチドが水不溶性/水分散性画分だけを含む場合、または水不溶性/水分散性画分と水溶性成分との組み合わせを含む場合、水中におけるポリイソシアネート(例えば、PMDI)の安定なエマルションを達成することができる。乾燥粉末状の水不溶性/水分散性ポリペプチドもPMDIなどの油中に分散することができる。従って、特定の実施形態では、水不溶性ポリペプチドを、水の非存在下で、イソシアネートをベースにする反応物に予備分散させることができる。
【0055】
特定の実施形態では、本明細書に記載の水溶性および/または水不溶性ポリペプチド画分は、約500〜25,000ダルトンの重量平均分子量を有し得る。有用なポリペプチド画分は、約600〜2,500Da.、約700〜2,300Da.、約900〜2,100Da.、約1,100〜1,900Da.、約1,300〜1,700Da.、約1,000〜1,300Da.、約2,000〜2,500Da.、または約1,000〜2,500Da.の重量平均分子量を有し得る。
【0056】
単離されたポリペプチド組成物は、それらを反応性プレポリマーと組み合わせることにより、本明細書に記載のフォームの製造に使用することができる。反応性プレポリマーは、有機ポリイソシアネート、有機ポリイソシアネートとポリペプチド、ポリオール、アミンをベースにするポリオール、アミン含有化合物、ヒドロキシ含有化合物、水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物、水溶性ポリペプチド、またはこれらの組み合わせとの反応生成物からなる群から選択することができる。しかし、フォームは、必ずしもイソシアネートベースである必要はないことが分かる。任意選択のフォームとしては、重合またはゲル化して、発泡剤の存在下で剛構造を形成することができる任意の液体、液体溶液、または液体混合物を挙げることができる。液体混合物としては、例えば、PVCプラスチゾルを挙げることができ、液体としては、スチレンおよびメタクリル酸メチルなどの重合性モノマーを挙げることができ、液体溶液としては、溶媒に溶解したポリマー、例えば、超臨界CO2またはトルエンに溶解したポリスチレンなどを挙げることができる。代わりに、またはさらに、液体は、エポキシ含有化合物、エポキシ含有化合物とポリペプチド、ポリオール、アミンをベースにするポリオール、アミン含有化合物、ヒドロキシ含有化合物、またはこれらの組み合わせとの反応生成物、オルガノシラン、ポリマーラテックス、ポリウレタン、およびこれらの混合物などのプレポリマーを含んでもよい。
【0057】
フォームの製造時、単離されたポリペプチド組成物は、特定の実施形態では、反応性プレポリマーを水性媒体中に分散させ、安定な分散体または安定なエマルションを製造することができる。分散体またはエマルションは、ポリペプチド組成物を反応性プレポリマーと混合した後、少なくとも5分間、目視検査で実質的に相分離が認められない。特定の実施形態では、分散体またはエマルションは、ポリペプチド組成物を反応性プレポリマーと混合した後、少なくとも10分間、15分間、20分間、25分間、または30分間、またはさらには1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、9時間、12時間、18時間、または24時間、目視検査で実質的に相分離が認められない。特定の実施形態では、分散体またはエマルションは、ポリペプチド組成物を油と混合した後、少なくとも10分間、15分間、20分間、25分間、または30分間、またはさらには1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、9時間、12時間、18時間、または24時間、目視検査で実質的に相分離が認められない。実施例3に示すように、水不溶性/水分散性画分は、例えば、有機ポリイソシアネート(例えば、PMDI)、鉱油、大豆油、誘導体化された大豆油、モーター油、ヒマシ油、誘導体化されたヒマシ油、フタル酸ジブチル、エポキシ化された大豆油、コーン油、植物油、カプリル酸トリグリセリド、ユーカリ油、およびo−アセチルクエン酸トリブチルを含む、様々な油を乳化または分散させることができる。例示的な評価分析では、目的とするタンパク質試料14(重量)部を水86(重量)部と混合し、得られる溶液または分散体を油(例えば、PMDI)14(重量)部と混合する。これらの条件で、水不溶性/水分散性タンパク質画分は、ポリペプチド組成物を油と混合した後、少なくとも5分間、目視検査で実質的に相分離が認められない分散体またはエマルションを製造する。
【0058】
特定の実施形態では、水不溶性/水分散性タンパク質画分は、油約1%〜約90%(w/w)および単離されたポリペプチド組成物約1%〜約99%(w/w)を含む、安定なエマルションまたは分散体、例えば、水性エマルションまたは分散体を提供し、ここで、単離されたポリペプチド組成物は、水性媒体中における油の安定なエマルションまたは分散体を形成する。水性エマルションまたは分散体は、任意選択により、油約1%〜約50%(w/w) および単離されたポリペプチド組成物約1%〜約99%(w/w)を含む。「安定な」の用語は、分散体およびエマルションに関して使用する場合、本明細書に記載のポリペプチド画分が、分散体またはエマルションの意図された使用時間中、動力学的に安定なエマルションを形成できる能力を指す。「エマルション」、「分散体」および「懸濁液」の用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0059】
II.イソシアネートをベースにする反応物
「イソシアネートをベースにする反応物」の用語は、本明細書で使用する場合、イソシアネート基を含む化合物を意味するものと理解される。様々なイソシアネート含有化合物が、ポリウレタンフォームの製造に関連する分野で知られおり、このような化合物は、本発明の実施に有用であると考えられる。
【0060】
特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレートまたは組み合わせを含む。イソシアネートをベースにする反応物がウレタンを含有する場合、これらは、有機イソシアネートとポリオールまたは他のヒドロキシル化合物との反応によって製造することができる。
【0061】
特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、有機ポリイソシアネートである。「ポリイソシアネート」の用語は、本明細書で使用する場合、二官能性イソシアネート種、それより高官能基数のイソシアネート種、およびこれらの混合物を指す。本明細書に記載の組成物を形成するため、状況に応じて、反応性ポリイソシアネートを本明細書に記載の単離および分画されたポリペプチドと組み合わせる。あるいは、イソシアネートをベースにする反応物は、有機ポリイソシアネートと、イソシアネート基と反応することができる求核性官能基を含有する化合物とを反応させることによって生成する生成物であってもよい。イソシアネート基と反応することができる求核性官能基を含有する例示的な化合物としては、ポリペプチド、ポリオール、アミンをベースにするポリオール、アミン含有化合物、ヒドロキシ含有化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。他の特定の実施形態では、アロファネートプレポリマーを使用する。アロファネートプレポリマーは、通常、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進してアロファネートプレポリマーを生成するのに、比較的高い温度(またはアロファネート触媒)を必要とする。
【0062】
前述のように、有機ポリイソシアネートは、「ベースポリイソシアネート」から製造されてもよい。「ベースイソシアネート」の用語は、本明細書で使用する場合、少なくとも2つのイソシアネート基を含有するモノマー化合物またはポリマー化合物を指す。ベースポリイソシアネートとして使用される特定の化合物は、ある一定の所望の特性を有するフォームを提供するように選択されてもよい。例えば、ベースポリイソシアネートは、化合物の数平均イソシアネート官能基数に基づいて選択することができる。例えば、特定の実施形態では、ベースポリイソシアネートの数平均イソシアネート官能基数は、2.0以上であっても、または、2.1、2.3もしくは2.4より大きくてもよい。特定の実施形態では、ポリイソシアネート成分の反応性基官能基数は、1超〜数百、2〜20、または2〜10の範囲であってもよい。他の特定の実施形態では、ポリイソシアネート成分の反応性基官能基数は少なくとも1.9である。他の特定の実施形態では、ポリイソシアネート成分の反応性基官能基数は、約2である。典型的な市販のポリイソシアネート(イソシアネート基官能基数が2〜3の範囲である)は、純粋な化合物、純粋な化合物の混合物、オリゴマーの混合物(重要な例はポリメリックMDIである)およびこれらの混合物であってもよい。
【0063】
一実施形態では、有用なベースポリイソシアネートの数平均分子量は、約100〜約5,000g/mol、約120〜約1,800g/mol、約150〜約1,000g/mol、約170〜約700g/mol、約180〜約500g/mol、約200〜約400g/molである。他の特定の実施形態では、ベースポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の少なくとも80モルパーセント、または95モルパーセント超が芳香族基に直接結合している。特定の実施形態では、本明細書に記載のフォームの遊離した有機結合イソシアネート(−NCO)基の濃度は、約5%〜35%(wt/wt)、約7%〜31%(wt/wt)、10%〜25%(wt/wt)、10%〜20%(wt/wt)、15%〜27%(wt/wt)の範囲である。
【0064】
特定の実施形態では、ベースポリイソシアネートは、p−フェニレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,2’−MDI)、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、およびこれらの混合物等などの芳香族ポリイソシアネートである。特定の実施形態では、数平均官能基数が2より大きいポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート(MDIシリーズのポリイソシアネート)がベースポリイソシアネートとして使用される。
【0065】
特定の実施形態では、MDIベースポリイソシアネートは、2,4’−MDIと2,2’−MDIを合わせた含有率が18.0%未満、15.0%未満、10.0%未満、または5.0%未満である。
【0066】
他の特定の実施形態では、MDIジイソシアネート異性体、これらの異性体と3官能以上のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネートとの混合物、3官能以上のポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート自体、およびMDIシリーズのポリイソシアネートの非プレポリマー誘導体(カルボジイミド、ウレトンイミンおよび/またはイソシアヌレート変性誘導体など)が、ベースポリイソシアネートとして使用されるポリイソシアネートとして使用される。他の特定の実施形態では、ベースポリイソシアネート組成物は、脂肪族ポリイソシアネート(例えば、少量)、例えば、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート、または前述の芳香族ポリイソシアネートの飽和類似体、またはこれらの混合物を含む脂肪族ポリイソシアネートを含む。
【0067】
他の特定の実施形態では、ベースポリイソシアネートは、ポリメリックポリイソシアネート、例えば、官能基数が3、4、5またはそれより大きいポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)種を含む。特定の実施形態では、MDIシリーズのポリメリックポリイソシアネートは、RUBINATE−M(登録商標)ポリイソシアネート、またはMDIジイソシアネート異性体とそれより高官能基数のMDIシリーズのオリゴマーとの混合物を含む。特定の実施形態では、ベースポリイソシアネート製品は、遊離−NCO含有率が約31.5重量%であり、数平均官能基数が約2.7である。
【0068】
特定の実施形態では、イソシアネート基末端プレポリマーは、ウレタンプレポリマーである。これらは、ヒドロキシル官能性化合物とイソシアネート官能性化合物との反応により製造できる。他の特定の実施形態では、アロファネートプレポリマーが使用される。アロファネートプレポリマーは、通常、ポリオールとポリイソシアネートとの反応を促進してアロファネートプレポリマーを形成するのに、比較的高い温度(またはアロファネート触媒)を必要とする。
【0069】
前述の組成物に使用されるポリイソシアネートは、式R(NCO)n(式中、nは2であり、Rは、それぞれ炭素数2〜約20の芳香族、脂環式、脂肪族であってもよい)を有し得る。ポリイソシアネートの例としては、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、トルエン−2,4−ジイソシアネート(TDI)、トルエン−2,6−ジイソシアネート(TDI)、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)(Hi2MDI)、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチル−シクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDl)、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート(NDI)、1,3−および1,4−フェニレンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−トリイソシアネート、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)、m−キシレンジイソシアネート(XDI)、1,4−シクロヘキシルジイソシアネート(CHDI)、イソホロンジイソシアネート、異性体、二量体、三量体、およびこれらの2つ以上の混合物または組み合わせが挙げられるが、これらに限定されるものではない。「PMDI」の用語は、モノメリックMDI、例えば、4,4’−MDI、2,2’−MDIおよび/または2,4’−MDIが中に存在するPMDI混合物を包含する。PMDIは、一実施形態では、不活性有機溶媒の存在下で対応するPMDAをホスゲン化することによって製造される。一方PMDAは、酸アニリン−ホルムアルデヒド縮合によって得られ、それは工業的に、連続式にまたは回分式に行うことができる。PMDA中のジフェニルメタンジアミンと均質なポリフェニルポリメチレンポリアミンとそれらの位置異性体の割合は、アニリンとホルムアルデヒドと酸触媒の比を選択することによって、また、適した温度および滞留時間プロファイルによって制御される。塩酸などの強鉱酸をアニリン−ホルムアルデヒド縮合に触媒として使用することにより、高含有率の4,4’−ジフェニルメタンジアミンと共に、同時に低い割合のジフェニルメタンジアミンの2,4’異性体が工業的な規模で得られる。
【0070】
フォームの剛性に影響を及ぼす共有結合性架橋のレベルは、モノマーの反応性基官能基数に左右される可能性がある。本明細書に記載の反応性基官能基数は、ポリマー材料またはオリゴマー材料(ポリマーポリオール、ポリイソシアネートプレポリマー、ウレトンイミン−カルボジイミド変性ポリイソシアネート、および、MDIシリーズのポリメリックイソシアネートなど)について平均された数であり、純粋な化合物に対する絶対値であると理解されるものとする。ポリイソシアネート成分の反応性基官能基数は、1超〜数百、2〜20、または2〜10の範囲である。特定の実施形態では、ポリイソシアネート官能基数は、少なくとも1.9または少なくとも2.0である。
【0071】
市販されているポリイソシアネートは、純粋な化合物、純粋な化合物の混合物、オリゴマー混合物(重要な例はポリメリックMDIである)、およびこれらの混合物であってもよい。市販のポリイソシアネートのイソシアネート基官能基数の範囲は、当該技術分野では2〜3であると理解される。フォーム配合物に使用されるモノマーの反応性基官能基数が高いほど、架橋密度が高くなる。架橋度が非常に高いポリウレタンフォームは、剛性(硬質)となる傾向がある。
【0072】
架橋度は、セルラーポリウレタンの剛性(または柔軟性)を決定する唯一の要因ではない。前駆体モノマーの剛直性によって決定されるマトリックスポリマーの主鎖の剛直性は、フォームの剛性にも影響を及ぼし得る。剛直性の高い主鎖を有するモノマーは、架橋されていないまたは架橋度がごく低い硬質フォームを製造することができる。比較的剛直なモノマーの例としては、高濃度の芳香環を有するものがある。芳香族ポリイソシアネートと芳香族ポリオールの組み合わせでは、剛直な主鎖を有するポリマーが生成する傾向があり、従って、ポリマーは剛直である傾向があり、それから製造されるフォームは硬質である。
【0073】
ポリマーの柔軟性は、水素結合や結晶性などの副次的な鎖間力の影響も受ける。ポリイソシアネートと多官能性活性水素モノマーとの反応により生成するポリウレタンおよびポリ尿素は、ポリマー主鎖に沿って高濃度の「−NH」基を有する傾向があるため、それらは水素結合していることが多い。モノマーの当量によって、ポリマー主鎖に沿った「−NH」基の数が決まる。そのため、官能基当量が比較的低いモノマーを使用すると、構造中に比較的多くの「−NH」基を有するポリマーが生成する。従って、これらは、鎖間に比較的多くの水素結合を有する傾向があり、従って、比較的剛直であることが多い。他の全ての要因が等しい場合、使用するモノマーの当量が大きい方が、ポリマー鎖間の水素結合の量が少なくなり、より柔軟なポリマーが生成する傾向がある。尿素基はウレタン基より多くの水素結合を形成する傾向があるため、ポリマー構造中の尿素濃度が高いと、ウレタン基だけを有するものより硬質の材料が得られる傾向がある。
【0074】
ポリマー主鎖がバルク材料中に結晶または微結晶領域を形成する能力も、材料の剛性に重大な影響を及ぼす可能性がある。この能力は、非常に規則的な繰り返し構造を有するポリウレタンで具現化することがあり、これらの材料は剛性が高い可能性がある。しかし、結晶性は、共有結合性架橋および主鎖構造中の他の不規則性によって容易に妨げられることがある。これは、1つの要因(例えば、結晶性)が別の要因(例えば、架橋)と競合し得る場合の一例である。フォームの剛性の程度を制御する様々な要因の影響は、常に付加的であるとは限らず、当業者に既知の方法を使用して所望の特性を有するフォームが得られるように調整できることが分かる。
【0075】
III.イソシアネート反応性化合物
「イソシアネート反応性化合物」の用語は、本明細書で使用する場合、イソシアネート基と反応する化学的官能基を含有する化合物を指す。様々なイソシアネート反応性化合物が当該技術分野で知られており、本発明の実施に有用であると考えられる。特定のイソシアネート反応性化合物およびフォーム形成組成物に使用されるこのような化合物の相対量の選択は、所望の化学的特性および物理的特性を有するフォームを提供するように行うことができる。
【0076】
A.イソシアネート反応性化合物の種類
イソシアネート反応性化合物は、通常、イソシアネートをベースにする反応物と求核反応する。ポリウレタンフォームの製造に有用なイソシアネート反応性化合物は、イソシアネートとの反応によりポリマーを生成できる複数の活性水素基を含有する有機化合物であってもよい。本発明に適していると考えられる反応性官能基としては、例えば、第1級アルコール、第2級アルコール、ポリオール、第1級アミン、第2級アミン、およびカルボン酸が挙げられる。例示的な第1級アルコールおよび第2級アルコールとしては、脂肪族アルコールが挙げられ、一方、第1級アミンおよび第2級アミンとしては芳香族アミンおよび脂肪族アミンが挙げられる。さらに、イソシアネート反応性化合物としては、単独でまたは前述のイソシアネート反応性化合物のいずれかと組み合わせて使用される、水不溶性/水分散性タンパク質組成物および/または水溶性タンパク質組成物を挙げることができる。
【0077】
所与のイソシアネート反応性化合物の選択は、得られるフォームの特性に影響を及ぼし得る。例えば、軟質ポリウレタンフォームの際立った特徴は、少なくとも1種類の軟質用ポリオールを(全配合物重量と比較して)高い重量濃度で使用することである。軟質用ポリオールは、例えば、フォーム組成物の約25%〜約90%(wt/wt)または約50%〜約70%(wt/wt)を構成し、これらのフォームの柔軟性に寄与し得る。軟質用ポリオール自体は、鎖末端にヒドロキシル基を含有し、通常は液体または低融点の固体のポリマー材料である。例示的な軟質用ポリオールは、分子量が1,500〜12,000g/mol、または2,000〜8,000g/molの範囲であり、公称−OH官能基数が2〜4、通常、2〜3である。軟質用ポリオールは、名前が示すように、柔軟な主鎖を有し、主に脂肪族である。柔軟な主鎖は、ガラス転移温度が低い(例えば、0℃未満、または−10℃未満の)ポリマーである。さらに、化合物が周囲温度で液体であることが望ましい。このような軟質用ポリオールは、主鎖のポリマーの種類により、ポリエーテル、ポリエステルおよび炭化水素の3種類に分類することができる。3つの基本的な主鎖の種類のうちの1つをポリオールに使用することができるが、特定のポリオールがこれらの基本的な主鎖の種類のうちの2つまたは3つを含有することも考えられる。さらに、異なる種類の軟質用ポリオールの混合物をフォームの製造に使用してもよい。炭化水素主鎖の種類の非限定例としては、ポリブタジエンおよびポリイソプレン、ならびにこれらの水素化誘導体が挙げられる。ブタジエンとイソプレンの共重合体、およびこれらの共重合体の水素化物も使用することができる。ポリエーテル主鎖の種類の非限定例としては、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン、ポリテトラメチレン、ポリオキシブチレン、およびこれらの可能な共重合体のいずれか挙げられる。好ましいポリエーテル主鎖の種類としては、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレン共重合体、およびポリテトラメチレンが挙げられる。
【0078】
特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、ポリオキシエチレンでキャップされたポリオキシプロピレンポリオールであり、これは主として第1級−OH末端である。
【0079】
ポリエーテルポリオールは、最も一般的には、1種類以上のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、またはテトラメチレンオキサイドなど)を低分子量の開始剤分子(水、アンモニア、グリコール、トリオール、またはアミンなど、分子量150未満)と、触媒の存在下にて重合させることによって製造される。開始剤の混合物を合成に使用することもできる。
【0080】
広く使用されているポリエーテルポリオールの種類は、重量で大部分プロピレンオキサイドを含む、ポリオキシエチレンでキャップされたポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールである。他の広く使用されているポリエーテルポリオールの種類は、ポリオキシプロピレンジオールおよびトリオールである。ポリオキシプロピレンポリオールは、連続製造される軟質スラブストックフォームに重要である。ポリオキシエチレンでキャップされたポリオキシプロピレンポリオールは、モールド成形軟質フォーム用途に重要である。これらのポリオキシエチレンでキャップされたポリオールは、主要なイソシアネート反応性官能基として第1級−OH基が存在するため、コールドキュアに特に好適である。ポリエステルタイプの軟質用ポリオールの非限定例としては、ヒドロキシル停止を促進する条件で、分子量150未満の低分子量脂肪族ジオールと分子量300未満の脂肪族ジカルボン酸を縮合することにより生成するものが挙げられる。これらのポリエステルの製造に好ましい脂肪族ジオールは、ジ第1級ジオールである。ポリエステルジオールの幾つかの具体例としては、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(ブチレンアジペート)、ポリ(ジエチレングリコールアジペート)、およびこれらの共重合体がある。これらの脂肪族ポリエステルは、場合によっては、ヒドロキシル官能基数を増加させるため、トリメチロールプロパンなどのごく少量のトリオールをさらに含有する。プロピレンオキサイドおよび/またはエチレンオキサイドから誘導されるポリエーテルタイプの軟質用ポリオールは、低コストであるため、とりわけ好ましい。
【0081】
本明細書に記載のフォームの製造に有用なポリオールとしては、既知の全てのポリオール、例えば、ポリウレタン分野で使用されるポリオールが挙げられる。特定の実施形態では、ポリオールは、第1級および/または第2級ヒドロキシル(即ち、−OH)基を含む。他の特定の実施形態では、ポリオールは、1分子当たり少なくとも2つの第1級および/または第2級ヒドロキシル基を含む。一官能性アルコール(脂肪族アルコール、芳香族アルコールまたはヒドロキシル官能性アクリレートなどのヒドロキシル官能性モノマーなど(UVまたは熱硬化性材料を得るため))を使用して、イソシアネート基をキャップしてもよい。他の特定の実施形態では、ポリオールのヒドロキシル基官能基数は、1.6〜10、1.7〜6、2〜4、または2〜3である。他の特定の実施形態では、任意選択のポリオールの重量平均分子量は、100〜10,000g/mol、400〜6,000g/mol、または800〜6,000g/molの範囲である。
【0082】
他の特定の実施形態では、有用なポリオールは、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオール(脂肪族ポリエーテルポリオールなど)である。1つの例示的な脂肪族ポリエーテルポリオールは、数平均分子量が1,500〜2,500g/molの範囲のポリオキシプロピレングリコールである。
【0083】
特定の実施形態では、イソシアネート反応性成分中の1種類または複数種類の全てのポリオールの全量は、合計の1重量%〜80重量%、または3重量%〜70重量%、または5重量%〜60重量%である。
【0084】
他の特定の実施形態では、第1級、第2級および/または第3級アミン基を含むアルカノールアミンを使用することができる。
【0085】
B.フォームの形成に使用されるイソシアネート反応性化合物の量
フォームの形成に使用される成分の相対量は、フォームの化学的特性および物理的特性に影響を及ぼし得る。例えば、イソシアネートをベースにする反応物中のイソシアネート基の数、対、イソシアネート反応性基の総数(即ち、発泡剤が寄与するものを含む加工条件下で反応すると考えられるイソシアネート反応性官能基の総数)の比は、重要なパラメータである。反応当量の比(イソシアネート:イソシアネート反応性基)はインデックスと称され、パーセントで表すことができる。
【0086】
100%未満のインデックスを有する材料からのフォームの製造は、未反応の鎖末端が存在するため架橋度が低くなり、それによって平均架橋密度が低くなることを含意しうる。しかし、1つの例外として、水(発泡剤)が大過剰に含まれる場合がある。このような状況では、水分子の一部が物理的発泡剤の役割をする(発泡反応の熱が発泡プロセス中に水を揮発させるのに十分である場合)。さもなければ大過剰の水は単にフォーム中に残存し(最終的に乾燥してなくなる)、非反応性ポリマー鎖末端の数を必ずしも実質的に増加させない。
【0087】
100%超のインデックスを有する材料からのフォームの製造は、架橋度の増加を含意し得る。架橋度の増加は、イソシアネート基(−NCO基)の様々な自己反応、ならびにアロファネート基やビウレット基の形成により生じる。フォーム製造工程におけるイソシアネート基の例示的な自己反応としては、カルボジイミド生成、ウレトンイミンの生成、およびイソシアヌレートの生成(三量化)が挙げられる。これらの自己反応生成物の一部は、場合によっては、液体ポリイソシアネート前駆体流(ベースポリイソシアネート)中にも存在し得るが、ウレタンフォーム配合物のインデックスを計算する場合、残りの遊離イソシアネート基だけを考慮する。例えば、大過剰のイソシアネート(−NCO)基が配合物中に存在し(150%超のインデックスに対応する)、イソシアネート基を三量化するための触媒(三量化触媒)が存在する場合、フォームはかなりの量のイソシアヌレート結合を含有することになる。イソシアヌレート結合は、架橋密度を大幅に増加させる。これらの結合は耐熱性であり、耐燃焼性を向上させるために、硬質フォームに組み込まれることが多い。
【0088】
フォーム配合物のインデックスは、フォームがどれくらい軟質または硬質になるかを示す重要な指標である。一般に、共有結合性架橋が多いほど(インデックスが高いほど)、剛性が大きいことを意味する。軟質ウレタンフォームの製造には、10%以下(水が非常に大過剰に使用される極端な場合)〜150%、または70%〜125%のインデックス範囲を使用することができる。ほとんどの軟質熱硬化性ウレタンフォームに望ましいインデックス範囲は、80%〜110%である。これは、また、半硬質フォームおよび半軟質フォームに最も好ましいインデックス範囲である。半硬質および半軟質の用語は互換的に使用される。
【0089】
ポリウレタン−ポリイソシアヌレートフォームの製造には、200%〜2,500%、250%〜1,500%、または250%〜800%のインデックス範囲を使用してもよい。これらのフォームは、建設業で断熱フォームとして使用される重要な種類の硬質ウレタンフォームである。しかし、ポリイソシアヌレート結合が望ましくない場合、インデックス範囲は90%〜150%、または100%〜125%の範囲であってもよい。
【0090】
フォーム配合物の(1種類または複数種類の)イソシアネート反応性成分に使用するのに適した有機イソシアネート反応性(活性水素)モノマーの反応性基官能基数は、1超〜数百の範囲であるが、よりずっと一般的には、1.5〜20、より一般的には1.6〜10の範囲である。反応する基が1より多く存在するため、官能基数が1.0より大きいことは鎖延長(成長/重合)に重要である。モノアルコールのように官能基数が1.0であった場合、イソシアネートはエンドキャップされ、分子には反応性基がもはや存在しないため、反応は停止することになる。
【0091】
特定の実施形態では、配合物に使用される全てのポリマー生成イソシアネート反応性種の反応性基官能基数は、少なくとも1.5、理想的には少なくとも2である。しかし、工業的に重要な種類の有用なイソシアネート反応性モノマーの官能基数は、1.5〜2の範囲である。これらは、ポリオキシアルキレンジオールである(公称はジオールである)が、実際は、ヒドロキシル官能基数は2未満である。
【0092】
IV.発泡剤
特定の状況では、フォームの形成を促進するため、プレミックス中に追加の発泡剤を含んでもよい。発泡剤はポリマー中に泡(気泡)を発生させ、フォーム製品を生じさせる。多くの発泡剤が当該技術分野で知られており、本発明の実施に有用であると考えられる。例えば、発泡剤は、気体であるまたはフォームの製造に使用される条件下で気体に変化する揮発性組成物である物理的発泡剤であってもよい。あるいは、プレミックスの成分の1つと反応して発泡剤を生成する化合物(例えば、水)をプレミックスに添加することにより、フォームの製造中にその場で(in situ)発泡剤(例えば、CO2)を生成してもよい。この種の発泡剤は化学的発泡剤である。別の種類の発泡剤は、フォーム形成プロセス中に分解して気体を放出するもの(例えば、アゾビスジカルボンアミドなどのアゾ官能性化合物)である。
【0093】
一般的に使用される物理的発泡剤としては、空気、窒素、および二酸化炭素が挙げられ、これらをポリウレタンフォームの液体の化学的前駆体に吹き込んで起泡させる。この方法を使用して、高密度フォームを製造することができる。しかし、この方法は、低密度フォームの製造には最適ではない可能性がある。一般的に使用される他の物理的発泡剤としては、沸点(1気圧)が0〜50℃、10〜40℃、20〜35℃の揮発性不活性有機化合物が挙げられる。特定の場合、有機物理的発泡剤は、C1−C5炭化水素、C1−C5フルオロカーボン、C1−C5ハイドロフルオロカーボン、C1−C5クロロカーボン、またはこれらの組み合わせである。このような物理的発泡剤の非限定例としては、テトラフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン、塩化メチレン、n−ペンタン、イソペンタン、およびシクロペンタンが挙げられる。
【0094】
一般的な化学的発泡剤は水であり、この場合、水は、2当量の有機イソシアネート基と反応して、1モルの二酸化炭素(水1分子当たり)を放出し、尿素結合を形成する。あまり一般的に使用されない化学的発泡剤としてはカルボン酸化合物が挙げられ、これはイソシアネートと反応して二酸化炭素を放出し、アミド結合を形成することができる。
【0095】
フォームを形成する配合物に使用される1種類または複数種類の発泡剤の量を調整して、所望の密度を有するフォームを製造することができる。セルラーポリウレタンの密度範囲は、1立方フィート当たり0.1lbから、完全な密度(完全な密度とは、発泡していない(即ち、泡を含まない)ポリマーの固有密度である)を幾らか下回る密度までの範囲である。当業者には、所与のフォーム配合物から特定の密度のフォームを製造するのに必要な(1種類または複数種類の)発泡剤の量が分かる。使用される場合、水は、反応性ポリマー生成モノマーの0.1重量%〜100重量%以上、しかし、より典型的には0.2%〜20%の量で使用される。使用される場合、物理的発泡剤は、反応性(ポリマー生成)モノマーの1重量%〜50重量%、しかし、より典型的には2重量%〜30重量%の量で使用される。
【0096】
V.添加剤
さらに、フォームの特性を最適化するために、フォーム形成プレミックスに添加剤を添加してもよい。例示的な添加剤としては、触媒、増量剤、充填剤、界面活性剤、増粘剤、酸化防止剤、抗菌剤、殺真菌剤、顔料、無機粒子、および架橋剤が挙げられる。
【0097】
特定の実施形態では、1種類または複数種類の触媒は、フォーム形成組成物の約5重量%以下を構成することができる。一般的に使用される触媒としては、第3級アミンおよび特性の有機金属化合物が挙げられる。例えば、触媒は、トリエチレンジアミン、2,2’−ジメチルアミノジエチルエーテル、2−ジメチルアミノエタノール、オクタン酸第一錫、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、またはこれらの組み合わせであってもよい。これらの触媒は、イソシアネートをアルコールと、および水と反応させる。他の触媒は、イソシアネート基を三量化させて、イソシアヌレート基を形成する。これらの例としては、オクタン酸カリウム(2−エチルヘキサン酸カリウム)、酢酸カリウム、および、他の可溶性カルボン酸アルカリ金属塩が挙げられる。本明細書に記載のフォームの製造に適していると考えられるその他の触媒を下記に記載する。
【0098】
その他の例示的な触媒としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、有機金属化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。例示的な第1級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、シクロヘキシルアミン、およびベンジルアミンが挙げられる。例示的な第2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、およびジイソプロピルアミンが挙げられる。例示的な第3級アミンとしては、例えば、ジアザビシクロオクタン(Dabco)、トリエチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ビス−ジメチルアミノエチルエーテル、テトラメチルグアニジン、ビス−ジメチルアミノメチルフェノール、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−エタノール、2−ジメチルアミノエチル−3−ジメチルアミノプロピルエーテル、ビス−(2−ジアミノエチル)−エーテル、N,N−ジメチルピペラジン、N−(2−ヒドロキシエトキシエチル)−2−アザノルボルナン、Tacat DP−914(Texaco Chemical)、Jeffcat(登録商標)、N,N,N,N−テトラメチルブタン−1,3−ジアミン、N,N,N,N−テトラメチルプロパン−1,3−ジアミン、N,N,N,N−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、2,2’−ジモルホリノジエチルエーテル(DMDEE)、またはこれらの混合物が挙げられる。例示的な有機金属化合物としては、例えば、ジ−n−オクチル錫メルカプチド、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジクロリド、ビス−ドデシルメルカプチド、酢酸錫(II)、エチルヘキサン酸錫(II)およびジエチルヘキサン酸錫(II)、Fe+3 2,4−ペンタンジオネート(FeAcAc)またはフェニルエチルジチオカルバミン酸鉛が挙げられる。
【0099】
例示的な増量剤としては、例えば、不活性増量剤または活性増量剤が挙げられる。特定の実施形態では、不活性増量剤は、植物性粒子状物質、植物油、鉱油、二塩基性エステル、炭酸プロピレン、非反応性変性芳香族石油炭化水素、および、一般に、フォームに混合することができる任意の非活性水素含有液体が挙げられる。活性増量剤は、ピロリドンモノマーまたはポリマー、オキシゾリドンモノマーまたはポリマー、エポキシ化油、または、アマニ油などの不飽和油であってもよい。
【0100】
さらに、フォームの化学的特性と物理的特性を変化させるため、1種類以上の界面活性剤をフォーム形成組成物に添加してもよい。特定の実施形態では、1種類または複数種類の界面活性剤は、フォーム形成組成物の約5重量%以下を構成することができる。例示的な界面活性剤としては、例えば、モノマータイプ、ポリマータイプ、またはこれらの混合物が挙げられる。一般的に使用される界面活性剤の1つには、ポリエーテルシリコーンなどの有機官能性シリコーン化合物がある。発泡中のフォームの安定性を、(連続気泡フォーム中の)気泡の開放の必要性と均衡させるため、異なるシリコーンの組み合わせを選択してもよい。
【0101】
他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、消泡剤、抗菌剤、殺真菌剤、顔料、 増粘剤、ゲル化剤、噴射剤、無機粒子(例えば、二酸化チタン、鉄黄、ベンガラ、鉄黒、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、アルミニウム三水和物、炭酸カルシウム)、モンモリロナイトなどの粘土、および湿潤剤等が挙げられる。
【0102】
特定の実施形態では、添加剤は、水分散性添加剤または水溶性添加剤である。水溶性添加剤としては、ポリメリックイソシアネート、例えば、PMDIと反応できるヒドロキシル官能性またはアミン官能性化合物(グリセリン、尿素、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパンおよびその付加物等など)が挙げられる。
【0103】
他の実施形態では、添加剤は、架橋剤、例えば、リグノセルロース材料をガラスに結合させるのに使用できる架橋剤であってもよい。例示的な架橋剤としては、ジメチルジクロロシラン(DMDCS)、アルキルトリクロロシラン、メチルトリクロロシラン(MTCS)、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(AAPS)、またはこれらの組み合わせなどのオルガノシランが挙げられる。他の実施形態では、ポリペプチド画分をオルガノシランと組み合わせる。「オルガノシラン」の用語は、一般式、
(RO)3Si−R’
(式中、Rは、好ましくは、プロピル基、エチル基、メチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、またはアセチル基であり、R’は有機官能基であり、その官能基としてはアミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、アルキル基、ビニル基、フェニル基、メルカプト基、スチリルアミノ基、メタクリルオキシプロピル基、グリシドキシ基、またはイソシアネート基等を挙げることができる)
を有するトリアルコキシシランのモノマー、加水分解モノマー、加水分解ダイマー、オリゴマー、および縮合生成物を含む任意の分子群を指す。
【0104】
同様に、一般式(RO)3Si−R’−Si(OR)3を有するビストリアルコキシシランを「オルガノシラン」として単独で、またはトリアルコキシシランと組み合わせて使用することもでき、上式中、Rは、好ましくは、プロピル基、エチル基、メチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、またはアセチル基であり、R’は、アミノ基、アルキル基、ビニル基、フェニル基、およびメルカプト基等からなる群から選択される官能基を含有し得る架橋有機官能基である。同様に、一般式(RO)4Siを有するテトラアルコキシシランを、「オルガノシラン」として単独で、またはトリアルコキシシランもしくはビス−トリアルコキシシランと組み合わせて使用してもよく、上式中、Rは、好ましくは、プロピル基、エチル基、メチル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、またはアセチル基である。
【0105】
より任意選択の、用途に特有の性質を有する他の種類の添加剤としては、難燃剤、充填剤、補強剤(ガラス繊維、ウォラストナイトなどの小板状鉱物、および繊維プリフォームなど)、煙抑制剤、殺生物剤、不活性可塑剤、帯電防止剤、これらの組み合わせ、および他の多くのものが挙げられる。当業者は、フォームに望ましい特性に基づいて、このような添加剤の適切な量を選択することができる。例えば、充填剤を非常に高濃度で使用してもよく、状況によっては、配合物中の全ポリマー生成モノマーの重量を超えてもよい。充填剤は、炭酸カルシウム、粘度鉱物、鋸屑、および木質繊維などの安価な粒子を含んでもよい。繊維補強剤を、配合物中の全ポリマー生成モノマーの重量を超える濃度で使用してもよい。他の種類の任意選択の添加剤は、仮にも使用される場合、通常、全ポリマー配合物の15重量%未満、または10重量%未満の濃度で使用される。ほとんどの種類の任意選択の添加剤は、全配合物の5重量%未満の濃度で使用される。
【0106】
難燃剤の例としては、有機リン化合物、ハロゲン化有機リン化合物、ハロゲン化芳香族化合物、メラミン(充填剤として)、黒鉛(充填剤)、アルミナ三水和物(充填剤)、酸化アンチモン、およびこれらの組み合わせが挙げられる。この列挙は、限定的なものとして解釈されるべきではない。可溶性難燃剤が一般に好ましく、充填剤タイプの難燃剤より低濃度で有効な場合がある。
【0107】
セルラーポリウレタンの反応系の配合物中における添加剤の適切な使用は、当業者に分かるであろう。添加剤にはイソシアネート反応性官能基を含有するものがあり、従って、これらの添加剤を含有するフォーム配合物のインデックスの計算にそれを算入しなければならない。
【0108】
VI.得られるフォームの製造および特性
本発明は、異なる物理的特性および化学的特性を特徴とする様々なフォームの製造を提供する。例えば、フォームは熱硬化性フォームであっても、または熱可塑性フォームであってもよい。
【0109】
熱硬化性フォームは、通常、液体の前駆体を反応させることによって製造される。前駆体(イソシアネートをベースにする反応物、イソシアネート反応性物質、発泡剤、およびポリペプチド組成物)の混合により重合反応が開始し、熱が発生する。反応熱はフォームの発泡を助ける。最終的なフォーム物品の成形は、発泡および重合プロセス中、反応混合物にまだ流動性がある時に行われる。熱硬化性ウレタンフォームでは、マトリックスポリマーは架橋されることが多い。架橋度は、ポリマー生成反応の化学量論および使用されるモノマーの反応性基官能基数に依存する。架橋の量は著しく異なることがあり、フォームの特性を最適化するように架橋の量を製造することができる。例えば、硬質ウレタンフォームは、一般に、軟質ウレタンフォームより架橋度が高い。
【0110】
熱硬化性ウレタンフォームの製造時、通常、イソシアネート反応性成分を発泡剤(とりわけ、水の場合のように、発泡剤がイソシアネート反応性官能基を含む場合)および任意選択の添加剤と組み合わせて、液体混合物を製造する。次いで、液体混合物を、イソシアネートをベースにする反応物と混合して、重合および発泡を開始させる。この一般的プロセスの幾つかの変形では、イソシアネート反応性成分の一部を、任意選択により化学量論的に過剰のポリイソシアネートと予備反応させて、液体のイソシアネート末端プレポリマーを生成してもよい。後で、プレポリマーを最終工程でイソシアネート反応性成分の残部と反応させ(重合を完了させ、発泡を開始させ)る。プレポリマー法の最も一般的な変形では、プレポリマーは、残留モノメリックポリイソシアネート種(ベースポリイソシアネート)も含む。これらは、半プレポリマー、擬似プレポリマー、または準プレポリマーと称されることもある。これらの用語は、互換的に使用される。イソシアネート末端プレポリマーがモノメリックポリイソシアネート種を含有しない場合、それは完全なプレポリマーと称される。プレポリマーを使用するか否かにかかわらず、熱硬化性ウレタンフォームの最も一般的な加工方法は、2種類の液体成分(即ち、ポリイソシアネート成分、および、イソシアネート反応性モノマーと発泡剤と任意選択の添加剤とのブレンド)の使用である。しかし、この規則には幾つかの重要な例外がある。軟質フォームスラブストックおよび硬質フォーム積層体の連続製造中、3種類以上の成分を使用することが多い。追加の成分は、配合物の反応性ポリマー生成成分(ポリイソシアネートまたはポリオール)を含んでもよい。
【0111】
熱可塑性フォームは、二段法を使用して製造されることが多い。例えば、特定の実施形態では、ポリマー生成成分は固体ペレットに加工され、これらは任意の所望の添加剤および発泡剤と配合される。最終的な形成および発泡作業は、通常、押出機内で、外部熱を加えることによって行われる。外部熱は、揮発性発泡剤を揮発させることにより、化学的発泡剤を分解して気体を放出することにより、またはこれらの方法のいずれかの組み合わせにより、発泡プロセスを進行させる。熱可塑性フォームはモールド成形手段内で成形され、マトリックスポリマーが冷却して凝固するときに、その形状が固定される。形成プロセス中、僅かに架橋が起こり得るが、熱可塑性ウレタンフォームは、通常、直鎖状である。
【0112】
本明細書に記載のフォーム形成材料を使用して、軟質フォーム、硬質フォーム、または半硬質フォームを製造することができる。ポリウレタンから製造される軟質フォームは、例えば、相分離したエラストマーであるポリマーマトリックスを有することが多い。ポリマーの軟質相は、軟質用ポリオールから誘導される部分である。この軟質相は重量でポリマーの大部分であるため、軟質相は連続相である。ポリマーの非軟質部分は、ポリイソシアネートと水および(任意選択により)分子量200未満の低分子量グリコールとの反応により誘導されたものである。ポリマーのこの「硬質」相は、通常、重合中に軟質相から分離する。「相」は互いに共有結合しているが、分離するかのように挙動する。従って、マトリックスポリマーはエラストマー性であるが、その硬度は硬質相と軟質相の相対的割合によって決まる。これらの相対的割合は、全配合物のパーセンテージとして軟質用ポリオールをどれくらい使用するかを選択することにより、調整可能である。
【0113】
軟質フォーム配合物は、通常、ほとんど、またはもっぱら水発泡される(場合によっては、液体の化学的前駆体流に空気または二酸化炭素を吹き込んで補う)。より低密度のフォームを製造するには、通常、より多くの水を必要とし(発泡用のCO2を発生させるため)、それによって、より多くの尿素基が硬質相に生じ、このようにしてフォームの硬度が高くなる。硬く弾性のある軟質フォームが望ましい場合、少量の低分子量グリコール(分子量200未満、好ましくは150未満)が配合物に含まれることがある。これらのグリコールは、通常、全配合物の10%未満、望ましくは5%未満であり、連鎖延長剤と称されることもある。好ましいグリコールは、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、およびこれらの組み合わせなどの直鎖ジ第1級ジオールである。この種のフォームは、「高弾性」(またはHR)フォームと称される。軟質フォームの密度は、典型的には1立方フィート当たり5lb未満、より典型的には1立方フィート当たり3lb未満であり、大部分、連続気泡である。
【0114】
非常に低密度(1立方フィート当たり1lb未満)の軟質フォームは、マトリックスポリマー相中に少量の軟質用ポリオールを含有する硬質フォームをクラッシングすることによって製造することができる。クラッシングは、フォームの気泡間の境界(「気泡柱」と称される)を形成する硬質のロッド状セグメントを破壊する効果を有する。このような軟質フォームは、自動車の座席、家具、および寝具にクッション材料として使用することができる。これらの用途ではフォーム密度は、1立方フィート当たり約1.5〜4lb、より典型的には1立方フィート当たり1.8〜3lbの範囲である。
【0115】
軟質フォームは、通常、非常に高い密度(1立方フィート当たり4lb超)の場合を除いて、連続気泡フォームである。その連続気泡構造のため、水発泡は、好ましいフォーム発泡法である。軟質フォームは、通常、軟質ポリマーマトリックスで製造される。ポリマーマトリックス中の架橋密度は低く、インデックスが105%を超えることは稀である(100%未満であることが多い)。軟質フォームに使用されるポリイソシアネートの数平均官能基数は低く、通常、2〜2.4、より典型的には2〜2.3である。
【0116】
硬質フォームは、通常、硬質のプラスチックマトリックスを有する。マトリックスポリマーは、通常、ポリウレタンまたはポリウレタン−ポリイソシアヌレートである。どちらの場合も、使用されるポリオールは、軟質フォームに使用される種類とはかなり異なる。硬質用ポリオールは、分子量が軟質用ポリオールとある程度重なり、典型的には400〜2,000、より一般的には500〜1,500の範囲である。硬質用ポリオールは、2つの部類に大別することができる。第1は、主鎖が剛直で低官能基数の芳香族ポリエステルである。通常、これらは、ポリウレタン−ポリイソシアヌレートフォームの製造に使用され、通常、二官能性である。第2の部類は、3〜10の官能基数を有する高官能基数のポリエーテルを含む。
【0117】
硬質フォームに使用される芳香族ポリエステルポリオールは、通常、フタル酸タイプの酸(市販の3つの異性体のいずれか)、フタル酸エステルタイプのエステル、無水フタル酸、または、それと低分子量グリコール(典型的には分子量200未満)との反応によるPETなどのフタレートポリマーから製造される。この目的に好ましいグリコールは、ジエチレングリコール(DEG)である。このグリコールは、動力付混合装置(mixing activated system)内で処理するのに十分低い粘度を有する液体のポリエステル樹脂を生成する傾向がある。DEGは、一般に、芳香族前駆体より大過剰に使用され、それによってヒドロキシル末端ポリエステル樹脂の反応性溶媒の役割を果たす。
【0118】
高官能基数ポリエーテルポリオールは、通常、プロピレンオキサイドを高官能基数の開始剤と反応させることによって製造される。これらの硬質用ポリオールは、当量(−OH基当たり)が軟質用ポリオールより低いことを特徴とする。これは、比較的低分子量で官能基数が比較的高いことによる。これらのポリオールの当量は、典型的には300未満、より典型的には50〜200である。これは、典型的にはヒドロキシル当量が500超である軟質用ポリオールに匹敵する。ポリエーテルタイプの硬質用ポリオールの製造に通常使用される開始剤としては、ショ糖などの糖類、トルエンジアミンなどの芳香族ポリアミン、およびホルムアルデヒドとアニリンのオリゴマー縮合物が挙げられる。これらの芳香族ポリアミンの第1級アミン基はそれぞれ、2モル以上のプロピレンオキサイドと反応する。芳香族エステルポリオールのような硬質ポリエーテルポリオールは、動力付混合装置内で処理を行うのに十分低い粘度にするために、通常、DEGなどの低分子量グリコールで希釈される。
【0119】
硬質用ポリオール(どちらの種類も)は、さらに、比較的低分子量の脂肪族グリコール、トリオール、テトラオール、およびアルカノールアミンと配合されることが多い。これらの比較的低分子量のポリオール(一般に分子量が200未満である)の例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブタンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0120】
硬質フォームに使用されるポリマーマトリックスは、たいていの場合、軟質フォームに使用されるものより架橋度が高い。これらのポリマー中の架橋の多くは、ポリイソシアネートから生じる。硬質フォームに使用されるポリイソシアネートの数平均官能基数は、通常、2.5〜3の範囲である。硬質ポリイソシアヌレート−ポリウレタンは、ポリマー中のイソシアヌレート(三量体)結合のため、架橋度が非常に高い。
【0121】
「軟質」と「硬質」の間に一連の中間的なフォームの種類がある。これらは、半硬質または半軟質と称されることがある。これらのフォームは、硬質用ポリオールと軟質用ポリオールの組み合わせ、および2〜3、最も典型的には2.5〜2.8の任意のポリイソシアネート官能基数を使用して製造することができる。これらのフォームは、様々な構造用途、エネルギー吸収用途、および装飾用途に使用される。半硬質/半軟質フォームの特に重要な用途は、自動車の現場注入ダッシュボードパッドおよび膝当てである。これらのフォームは、通常、布帛またはPVCなどの軟質の装飾表面材料の後ろに現場注入される。密度は、用途に応じて、通常1立方フィート当たり2〜10ポンド(場合によっては、これより高い)の範囲である。これらは非断熱用途であるため、フォームは最も典型的には水発泡される。
【0122】
1立方フィート当たり10ポンド超〜完全な密度を僅かに下回る範囲の密度を有する比較的高密度のセルラーポリウレタンは、「マイクロセルラー」ポリウレタンと称されることがある。これらは、軟質の靴底〜硬質の合成木材代替品、およびこれらの両極端の間にある一連の半硬質/半軟質用途を含む、様々な用途に使用される。マイクロセルラー軟質ポリウレタン靴底は、インテグラルスキンを有するように製造されてもよい。スキンは、金型表面付近におけるフォーム気泡の局所的な崩壊のため自然発生的に形成する。フォームのコアは、気泡状のままである。このインテグラルスキンの形成機構は、周囲温度で液体であるハイドロフルオロカーボンなどの揮発性の物理的発泡剤を使用することによって促進される。金型表面の温度が物理的発泡剤の沸点より低い場合、自然発生的なスキンの形成が起こる。インテグラルスキンフォームは、自動車のアームレストおよび様々な家具用途などの他の用途にも使用される。靴底フォームは、一般に、全部(またはほとんど全部)二官能性モノマーからなる配合物から製造される。通常、インデックスは100%、または場合によってはそれより僅かに低い(99%)こともある。これらのポリマーは、軟質ジオール(とりわけポリエステル)、低分子量ジオール連鎖延長剤(1,4−ブタンジオールまたはエチレングリコールなど)、およびジイソシアネート(4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなど)、およびこれらの半プレポリマーから製造されてもよい。靴底フォームに使用されるポリマーは、従って、本質的に直鎖状である。発泡剤は、通常、少量の水を含む。対照的に、硬質および半硬質/半軟質のマイクロセルラーフォームは、架橋度がより高い。モノマーの選択は、比較的低密度の類似体に類似している。しかし、比較的高密度のフォームは、通常、独立気泡である。ポリウレタンフォームの密度が最も高いのは、反応射出成形(RIM)エラストマーである。これらは、全部、少量の空気(または窒素)を液体の前駆体流中に混入させることによって、発泡させることができる。この混入プロセス(核形成と称されることもある)により、向流の混合および処理の前に気体が液体の化学物質中に吹き込まれて起泡する。RIMエラストマーは、通常、軟質用ポリオールと連鎖延長剤の両方を含むポリイソシアネート反応性流から生成される。連鎖延長剤の量は、エラストマーの剛性(または柔軟性)を制御するように調整される。これらのエラストマーの製造に使用される典型的な連鎖延長剤の例としては、低分子量グリコールおよび芳香族ジアミンが挙げられる。
【0123】
当業者は、本明細書に記載の方法および組成物(例えば、水溶性タンパク質画分および/または水不溶性/水分散性タンパク質画分、特定のイソシアネートをベースにする反応物、特定のイソシアネート反応性化合物、および特定の添加剤)を使用して、所望の物理的特性および化学的特性、例えば、密度、剛性、圧縮性、弾性等を有するフォームを製造できることが分かる。例えば、比較的低密度のフォームが望ましい場合、プレミックス中に水溶性タンパク質組成物を含んでもよい。対照的に、水不溶性/水分散性タンパク質画分の含有により、タンパク質添加剤(例えば、水溶性タンパク質)を含まずに達成できるものより高い密度および/または高い構造的完全性を有するフォームを製造することができる。或いは、水不溶性/水分散性タンパク質のブレンドを使用して、必要な特性を有するフォームを製造することができる。
【0124】
特定の実施形態では、イソシアネートをベースにする反応物は、フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、イソシアネート反応性化合物は、フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、タンパク質含有組成物(例えば、水溶性ポリペプチド組成物)は、フォームの製造に使用される出発原料の約0.01%(w/w)〜約50%(w/w)、または約0.01%(w/w)〜約30%(w/w)、または約0.01%(w/w)〜約10%(w/w)を構成する。他の特定の実施形態では、フォームは約250%〜約800%の範囲のインデックスで製造される。
【0125】
また、例えば、実施例11に示すように、フォームプレミックス中に添加される少量のタンパク質組成物(例えば、原料、タンパク質単離物、または単離された水溶性および/または水不溶性タンパク質)は、得られるフォームの物理的特性に大きな影響を及ぼし得ることも分かる。特定の実施形態では、プレミックスは、タンパク質組成物を10重量%、9重量%、8重量%、7重量%、6重量%、5重量%、4重量%、3重量%、2重量%、1重量%、0.5重量%、0.1重量%、0.05重量%、または0.01重量%未満含有する。例として、実施例11では、水溶性タンパク質画分を約0.09重量%含有するポリオールブレンド(B部)で、得られるフォームの密度を調整することができた。
【0126】
さらに、ポリペプチド組成物を、特定の多分散性指数を有するように設計することができる。さらに、ポリペプチド組成物および接着剤組成物を、多分散性指数を有するように設計することができる。「多分散性指数」(PDI)の用語は、重量平均分子量
【数1】
と数平均分子量
【数2】
の比を指す。
【0127】
記号Mnで表される「数平均分子量」および記号Mwで表される「重量平均分子量」の用語は、開示された文献に見ることができるような、それらの通常の定義に従って使用される。重量平均分子量および数平均分子量は、当該技術分野に記載の分析法、例えば、クロマトグラフィー法、沈降法、光散乱法、溶液粘度法、官能基分析法、および質量分析法(例えば、MALDI質量分析法)などを使用して測定することができる。例えば、実施例2に示すように、ポリペプチド組成物の平均分子量と数平均分子量はMALDI質量分析法で測定した。さらに、異なる分子量を有するポリペプチド組成物は、異なる特性を有するフォーム組成物を提供し得ることが考えられる。このようなものとして、重量平均分子量、数平均分子量、および多分散性指数は、フォーム組成物の特性を最適化する場合、重要な指標となり得る。さらに、本明細書に記載のように、ポリペプチド組成物の分子量は、その中のタンパク質を酵素消化または分画することにより、変えることができる。
【0128】
さらに、異なる分子量を有するポリペプチド組成物は、異なる特性を有する接着剤組成物を提供し得ることが考えられる。このようなものとして、重量平均分子量、数平均分子量、および多分散性指数は、接着剤組成物の特性を最適化する場合、重要な指標となり得る。特に、ポリペプチド組成物の分子量特性を最適化することができると、特定の用途の接着剤組成物を製造する場合に有利であると考えられる。他の利点には、ポリペプチド組成物が異なる供給源(例えば、大豆とヒマ)から得られる場合でも、または、異なる季節に、様々な期間にわたって、または世界の異なる地域から類似のタンパク質供給源が得られる場合でも、類似の特性を有する接着剤組成物が得られることが含まれる。例えば、大豆およびヒマから単離されたタンパク質(それぞれ、異なる分子量分布を有する)を、本明細書に記載の消化および分画方法により、類似の分子量分布を有するように製造することができる。従って、分子量分布の一貫性を測定および制御することができると、接着剤組成物の様々な特性、例えば、配合された接着剤の物理的特性の長期再現性および加工特性などを最適化する場合に有利であると考えられる。ポリペプチド組成物中のタンパク質を本明細書に記載の方法に従って酵素消化または分画することにより、ポリペプチド組成物の分子量特性を変化させることができる。
【0129】
特定の実施形態では、本明細書に記載のフォーム組成物の製造に使用されるプレミックスのPDIは、約1〜約3、1〜1.5、1.5〜2、2〜2.5、2.5〜3、1〜2、1.5〜2.5、または2〜3である。
【0130】
VII.フォームの用途
当該技術分野ではフォームの多くの用途が記載されてきたが、本明細書に記載のフォームは様々な用途に適していると考えられる。例えば、本明細書に記載の方法を使用して製造される軟質フォームは、モールド成形されても(自動車の座席におけるように)、またはスラブストックとして注入され、その後、所定の形状に切断されてもよい(家具や寝具におけるように)。軟質ポリウレタンフォームの他の重要な用途としては、カーペット下敷が挙げられる。
【0131】
フォームは断熱材として使用されてもよい。断熱材フォームの重要な物理的特性は熱伝導率であることが分かる。熱伝導率をできるだけ低くするために、硬質フォームを揮発性ハイドロフルオロカーボン(ペンタフルオロプロパンなど)で発泡させてもよい。これらの物理的発泡剤は、空気または二酸化炭素より熱伝導率が低い。副次的発泡剤として水を使用してもよい。硬質断熱フォームの密度範囲は、通常、1立方フィート当たり1.5〜4ポンド、または2〜2.5ポンドである。硬質フォームは現場で注入または射出されてもよいが、より一般的には積層ボード素材として製造される。その後、積層ボードを所定の形状に切断し、建造に使用する。硬質断熱フォームは、低熱伝導率(ハイドロフルオロカーボン)発泡剤を保持するため、通常、独立気泡フォームである。
【0132】
また、硬質フォームを、熱伝導率が要素とならない純粋に構造的な用途に使用してもよい。硬質フォームの純粋に構造的な用途の重要な例には、自動車内装ドアパネルがある。これらの材料を所定の形状にモールド成形し、完全に水発泡させる。これらは、構造的強度を向上させるため、ガラス繊維で補強されることが多い。ガラス短繊維を液体の前駆体流、通常、イソシアネート反応成分に添加してもよい。より一般的には、構造用補強剤は、ガラスマットまたはプレフォームの形態で提供され、それらは金型内に予め配置される。次いで、反応性フォーム形成混合物を、(金型を閉じる前に)マット上に注入するまたはマットを通して射出する。その後、フォームは発泡し、金型内のマットを通って流動する。
【0133】
フォームを包装材料として使用してもよい。包装材料用のフォームは、通常、水発泡、連続気泡で、非常に低密度である。包装材料中のフォーム密度は、通常、1立方フィート当たり2ポンド未満であり、1立方フィート当たり1ポンド未満であってもよい。包装される物体の周囲にこれらのフォームを注入または射出してもよい。
【実施例】
【0134】
本発明は全般的に記載されており、以下の実施例を参照することによりさらに容易に理解され、以下の実施例は、本発明の特定の態様および実施形態を説明するために記載されるに過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0135】
実施例1:ポリペプチド組成物の単離
水溶性ポリペプチド組成物、水不溶性ポリペプチド組成物、またはこれらの混合物を単離し、キャラクタリゼーションを行う方法を下記に記載する。
【0136】
方法A:水溶性ポリペプチド組成物および水不溶性ポリペプチド組成物の製造。
Everlaseで消化されたヒマのタンパク質(実験試料ロット5−90)は、Prof.S.Braun(the Laboratory of the Department of Applied Biology at the Hebrew University of Jerusalem,Israel)から入手した。消化されたヒマは、次のように製造することができる。すなわち、ヒマミールタンパク質を水中に約1:10w/wの比で懸濁させる。塩化カルシウムを約10mMの有効濃度まで添加し、10N NaOHを添加することにより懸濁液のpHをpH9に調整する。次いで、この反応を、撹拌しながら55℃に加熱する。次に、Everlase 16L Type EX(登録商標)(NOVOZYMES’)を、ヒマミールタンパク質1kg当たり20gの割合で添加し、混合物を同じ温度で約4時間撹拌する。最後に、得られた混合物をクエン酸でpH3.5にし、噴霧乾燥させて粉末を得る。
【0137】
Everlaseで消化されたヒマのタンパク質(ロット5−90)を分画し、水溶性画分と水不溶性分散性画分を得た。第1の工程で、消化されたヒマ300gを蒸留水1リットルに入れてスラリーにした。この混合物を手で振盪した後、30分間超音波浴に入れた。次いで、スラリーを取り出し、最大2日間放置し、不溶部分を沈殿させた(別の実験では、遠心分離でも同様に十分であることが分かった)。その時点で、透明な黄色/琥珀色の上清をピペットで取り出し、後の用途のために取っておいた。次いで、新たに蒸留水を沈殿物に加え、全量を容器の1リットルの標線まで戻した。振盪、超音波処理、沈殿、上清抽出、および新たに蒸留水を補充する(洗浄)工程を繰り返した(合計6回)。最終工程では、灰黒色の沈殿物の上からピペットで水を取り出した後、沈殿物を45℃の真空オーブンで乾燥させた。水不溶性/水分散性ポリペプチド画分は、沈殿物の乾燥重量に基づいて、消化されたヒマの約50重量%を構成することが測定により分かった。別に、1回目と2回目の上清を合わせた後、乾燥させて透明な黄色の水溶性ポリペプチド画分を得た。
【0138】
画分を乾燥させた後、灰黒色の沈殿物(水不溶性分散性画分)は水に再溶解できないことが確認された。他方、乾燥した上清画分(透明/琥珀色でガラス質の固体)は水に完全に溶解した。
【0139】
2つの画分を別々に固体状態FTIRで分析した(図2〜図4参照)。図2のスペクトルから、カルボン酸イオンおよびアミン塩部分は主に水溶性画分に関連していることが分かる。図3から、アミドカルボニル伸縮振動吸収帯およびアミドN−H変角振動吸収帯は、水溶性ポリペプチド画分では高波数側にシフトしていることが分かる。これらの成分は、水不溶性分散性ポリペプチド画分中にも存在するように思われるが、顕著なアミド−Iおよびアミド−II吸収帯は低波数側にシフトしている。水素結合効果の他に、これらの差は、また、水溶性ポリペプチド画分中には比較的多くの第1級アミド基が存在し、水分散性ポリペプチド画分(主鎖ポリペプチド鎖由来)中には比較的多くの第2級アミド基が存在することに関連するように思われる。これは、図4に示すN−H伸縮振動領域によって裏付けられる。
【0140】
図4は、消化されたヒマから単離された画分の固体状態FTIRスペクトルを示し、図2のN−H伸縮振動領域が拡大されている。スペクトルは、3275cm−1を中心とする第2級アミドN−H伸縮振動吸収帯の吸収強度が同等になるように、垂直方向に縮尺が調整された。図4から、水分散性画分中の主要なアミドの種類は、3275cm−1を中心とする単一の対称性の高い吸収帯によって明示されるように、第2級主鎖アミドであることが分かる。水溶性画分はこの種のアミドも含有するが、それぞれ約3200cm−1(対称)および約3300cm−1(非対称)に2つの第1級N−H伸縮振動吸収帯が存在することによって明示されるように、それよりかなり多くの第1級アミドも含有する。
【0141】
これらのスペクトルから、水溶性ポリペプチド画分は、比較的高濃度の第1級アミン、遊離カルボン酸、酸塩、およびアミン塩を合わせたものであったことが分かる。逆に、水不溶性/水分散性ポリペプチド画分は、比較的多くの第2級アミドを有した。さらに、水不溶性/分散性の画分のアミド−Iカルボニル吸収帯は、約1625cm−1の波数に現れることが観測されたが、水溶性画分のアミド−Iカルボニル吸収帯は約1640cm−1に観測された。他の実施例で記載されるように、この特徴は、ヒマタンパク質だけでなく大豆タンパク質でも、水溶性ポリペプチド画分と水不溶性ポリペプチド画分の際立った差の1つである。
【0142】
方法B:水溶性ポリペプチド組成物および水不溶性ポリペプチド組成物の他の製造方法。
消化された大豆タンパク質は、Prof.S.Braun(the Laboratory of Applied Biology at the Hebrew University of Jerusalem,Israel)から実験試料(ロット5−81)として入手した。消化された大豆タンパク質は次のように製造した。大豆タンパク質単離物(大豆タンパク質単離物SOLPRO 958(登録商標)Solbar Industries Ltd,POB 2230,Ashdod 77121,Israel)を水中に1:10(w/w)の比で懸濁させた。懸濁液のpHを10N NaOHでpH7に調整した後、撹拌しながら55℃に加熱した。次いで、Neutrase 0.8 L(登録商標)(NOVOZYMES’)を大豆タンパク質1kg当たり20gの割合で添加し、混合物を同じ温度で4時間撹拌した。得られた混合物(pH6.5)を噴霧乾燥し、淡黄褐色の粉末を得た。
【0143】
消化された大豆(ロット5−81)を分画し、水溶性ポリペプチド画分と水不溶性/水分散性ポリペプチド画分を得た。第1の工程では、消化された大豆300gを蒸留水1リットルに入れてスラリーにした。混合物を手で振盪した後、30分間超音波浴に入れた。アリコートを遠心管に入れ、その遠心管を3,400rpmで約35分間回転させた。水溶性画分を含有する遠心分離上清を、残りの水不溶性沈殿物からデカントし、後で使用するために別の容器に注ぎ入れた(この透明な黄色の上清を開放した皿状容器に入れ、37℃の温度で蒸発乾燥させた)。最初の洗浄工程の後、新たに蒸留水を遠心管に加え、残った沈殿物を、スパチュラを用いて手で撹拌することにより水中に分散させた。遠心分離、デカンテーション、および再分散を組み合わせた手順を合計5サイクル行った。最終サイクルの後、残留水溶性タンパク質を含有する遊離した液体をペースト状の残留分散体(色は黄色っぽい桃色)からデカントした。得られた分散体(重量測定により、固形分16.24重量%であることが分かった)は、水不溶性/水分散性タンパク質を含有した。
【0144】
ペースト状の分散体は、数週間安定であることが観察された。また、分散体は水溶性ポリマーと、および水分散性ポリマーラテックスと容易に混合できることも分かった。さらに、分散体はPMDIと容易に相溶可能であった(スラリーにPMDIを添加したとき安定な分散体を形成し、24時間後でもPMDIの相分離は認められなかった)。対照的に、消化された大豆から抽出した水溶性抽出物も、消化された大豆自体も、PMDIの水分散体を安定化させることができなかった。
【0145】
両方の画分のアリコートを乾燥させた後、黄色の沈殿物(水不溶性/分散性抽出物)は水に再溶解できないことが確認された。他方、乾燥した上清画分(透明/黄色の固体)は水に完全に溶解することができた。この2つの乾燥抽出物を別々に固体状態FTIRで分析した(図5〜図8参照)。図6は、消化された大豆から単離された画分の重ね合わせた固体状態FTIRスペクトルを示し、N−H領域が拡大されている。スペクトルは、3275cm−1を中心とする第2級アミドN−H伸縮振動吸収帯の吸収強度が同等になるように、垂直方向に縮尺が調整された。図6から、水分散性画分中の主要なアミドの種類は、3275cm−1を中心とする単一の対称性の高い吸収帯によって明示されるように、第2級主鎖アミドであることが分かる。水溶性ポリペプチド画分はこの種のアミドも含有するが、それぞれ約3200cm−1(対称)および約3300cm−1(非対称)に2つの第1級N−H伸縮振動吸収帯が存在することによって明示されるように、それよりかなり多くの第1級アミドも含有する。まとめて、これらのスペクトルから、水溶性ポリペプチド画分は比較的高濃度の第1級アミンを含むことが判明した。逆に、水不溶性分散性ポリペプチド画分は、比較的多くの第2級アミンを含んだ。
【0146】
図5に示すように、水溶性画分ではアミドカルボニル伸縮振動吸収帯およびアミドN−H変角振動吸収帯が高波数側にシフトしている。これらの成分は水不溶性分散性画分中にも存在するように思われるが、主要なアミド−Iおよびアミド−II吸収帯は低波数側にシフトしている。水素結合効果の他に、これらの差は、水溶性ポリペプチド画分(比較的低分子量のアミノ酸断片由来)中には比較的多くの第1級アミド基(および/または第1級アミン)が存在し、水分散性ポリペプチド画分(主鎖ポリペプチド鎖由来)中には比較的多くの第2級アミド基が存在することに関連するように思われる。これは、図6に示すN−H伸縮振動領域によって裏付けられる。
【0147】
図6から、水分散性画分中の主要なアミドの種類は、3275cm−1を中心とする単一の対称性の高い吸収帯によって明示されるように、第2級主鎖アミドであることが分かる。水溶性画分はこの種のアミドも含有するが、それぞれ3200cm−1(対称)および約3300cm−1(非対称)に2つの第1級N−H伸縮振動吸収帯が存在することによって明示されるように、それよりかなり多くの第1級アミンも含有する。
【0148】
異なる植物性供給源に由来するにもかかわらず、消化された大豆と消化されたヒマの水不溶性分散性画分は、スペクトル的に互いに類似している(図7参照)。逆に、水溶性ポリペプチド画分は、異なるFTIRスペクトル特性を有するよう思われる(図8参照)。さらに、MALDI質量スペクトルから、消化された大豆と消化されたヒマの水溶性ポリペプチド画分は異なる分子量特性を有することが分かる。2種類の水溶性画分の共通性は、それらが両方とも第1級アミン/アミドを含有するように思われることである。
【0149】
方法C:水溶性ポリペプチド組成物および水不溶性ポリペプチド組成物の他の製造方法
ヒマミール(4.0kg、タンパク質24.8%含有)を0.1M NaOH中に、ミール対アルカリ比10:1w/wで懸濁させた。懸濁液を18時間、周囲温度で撹拌した後、遠心分離により固形物を除去した。上清(約32リットル)を10N HClでpH4.5に酸性化した。タンパク質を約10℃で12時間沈殿させ、透明な上清溶液デカントし、重い沈殿物(約2kg)を遠心分離により収集した。湿潤沈殿物を凍結乾燥し、タンパク質単離物670gを得た。
【0150】
水で抽出することにより、水不溶性ポリペプチド画分と水溶性ポリペプチド画分を得た。第1の工程では、ヒマタンパク質単離物(ロット5−94)10gを蒸留水50gに入れてスラリーにした。混合物を機械的撹拌により2時間分散させた。次いで、アリコートを遠心管に入れた後、その遠心管を3,400rpmで約35分間回転させた。水溶性画分を含有する遠心分離上清を、残りの水不溶性沈殿物からデカントし、別の容器に注ぎ入れた(この透明な黄色の上清を取っておき、後の分散実験および固体状態FTIR分析のために37℃の温度で乾燥させた)。最初の洗浄工程の後、新たに蒸留水を遠心管に加え、残った沈殿物をスパチュラを用いて手で撹拌することにより水中に分散させた。遠心分離、デカンテーション、および再分散を組み合わせた手順を合計13サイクル行った。最終サイクルの後、遊離した液体をペースト状の残留分散体(出発ヒマタンパク質の水不溶性ポリペプチド画分)からデカントした。乾燥時、ペーストは固形物を28.58%含有することが測定により分かり、水不溶性画分の全収率は62.87%であることが測定により分かった。従って、出発ヒマタンパク質自体は、水不溶性ポリペプチド物質62.87%および水溶性ポリペプチド物質37.12%を含有した。
【0151】
方法D:消化された乳清タンパク質の製造.
消化された乳清タンパク質(ロット5−72、本明細書では、消化された乳清タンパク質pH6.5と称される)は、Prof.S.Braun(the Laboratory of Applied Biology at the Hebrew University of Jerusalem,Israel)から実験試料として入手し、次のように製造した。すなわち乳清タンパク質(WPI−95(登録商標)Whey Protein Isolate、 Nutritteck,24 Seguin Street,Rigaud,QC,Canada J0P 1P0)を水中に1:6(w/w)の比で懸濁させた。懸濁液のpHを5N NaOHでpH7に調整し、撹拌しながら55℃に加熱した。次いで、FLAVOURZYME 500MG(登録商標)(NOVOZYMES’製)を乳清タンパク質1kg当たり20gの割合で添加し、混合物を同じ温度で4時間撹拌した。得られた水性混合物はpH6.5であった。次いで、得られた混合物を噴霧乾燥し、消化された乳清タンパク質を、水溶性ポリペプチドと水不溶性ポリペプチドの混合物を含有する淡黄色の粉末として得た。
【0152】
方法E:消化され、硝酸ナトリウムと反応したヒマタンパク質の製造。
ヒマミールタンパク質を水中に1:10(w/w)の比で懸濁させた。塩化カルシウムを10mMの有効濃度で添加し、10N NaOHを添加することにより懸濁液のpHを pH9に調整した。反応を、撹拌しながら55℃に加熱した。次いで、Everlase 16L Type EX(登録商標)(NOVOZYMES’)をヒマミールタンパク質1kg当たり10gの割合で添加し、混合物を同じ温度で4時間撹拌した。次いで、L−乳酸(90%、ヒマタンパク質1kg当たり120g)を添加し、混合物をpH4.4にした後、撹拌しながら硝酸ナトリウム水溶液(0.4kg/l、ヒマタンパク質1kg当たり0.4リットル)を徐々に(20時間にわたって)添加した。次いで、反応を周囲温度で40時間放置した。次いで、Na2S2O5(ヒマタンパク質1kg当たり0.2kg)を添加し、反応を60℃に加熱し、15分間撹拌した。周囲温度に冷却した後、濃HClで反応をpH2.0にした。その後、それを10℃で18時間放置し、得られた沈殿物を、15分間24,000xgで遠心分離することにより分離した。沈殿物を10mMクエン酸(沈殿物の体積の3倍の体積)中に再懸濁させた後、それを収集し、その後凍結乾燥させて、水溶性ポリペプチドと水不溶性ポリペプチドの混合物を含有する黄褐色の粉末を得た。
【0153】
実施例2:質量分析法によるポリペプチド組成物のキャラクタリゼーション
この実施例は、Bruker製のUltraflex III装置を使用する、MALDI質量分析法による様々なタンパク質試料のキャラクタリゼーションについて記載する。
【0154】
イオン化プロセス中に発生する陽イオンを検出するため、装置を陽イオンモードに設定した。イオンを加速してTOF分析器に到達させるために印加する電圧は、25KVに設定された。分解能を向上させる反射モードで装置を使用することにより、分析を行った。固体試料をDMSOに10mg/mLの濃度で溶解させた。水溶性上清画分を水中で溶媒和させた。
【0155】
各試料溶液をマトリックス溶液(分析用)と混合した。マトリックスは、同じレーザー波長、Nd:YAG355nmを吸収する低分子量の不活性化合物であった。使用したマトリックスは、TFAを0.1%有するACN/H2O(70:30)の溶液に10mg/mLの濃度で溶解したα−CHCA、α−シアノ−4−ヒドロキシ桂皮酸、およびTHFに10mg/mLの濃度で溶解したDCTB、T−2−[3−(4−t−ブチル−フェニル)−2−メチル−2−プロペニリデン]マロノニトリルであった。第1のマトリックスは主にペプチドおよびタンパク質の分析に使用したが、第2のマトリックス、即ちDCTBはポリマーの分析に適していた。
【0156】
マトリックス溶液と試料溶液をそれぞれ10:1の体積比で混合した。マトリックスとしてDCTBを使用した分析では、溶液マトリックス/試料にカチオン化剤としてNaTFA(10mg/mL、THF中)を10:2:1の体積比(それぞれマトリックス:試料:塩)で添加した。得られた溶液0.8μLを研磨された鋼製のターゲットプレート上にスポットし、溶媒を完全に乾燥させてから、ターゲットを装置に装入した。Bruker Daltonicsにより発売されているFlexAnalysisソフトウェアを使用して、スペクトルを収集し、処理した。
【0157】
相対的なフラグメント強度を規格化し、それを使用して、様々な試料について数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、およびz−平均分子量(Mz)のパラメータを算出した。結果を表2に要約する。
【0158】
【表2】
【0159】
結果から、ポリペプチド組成物の分子量特性(MALDI質量分析法により測定した場合)は、ポリペプチド組成物を得るために使用する方法に依存し得ることが分かる。例えば、ヒマタンパク質単離物は、消化されたものより数平均分子量が大きいことが観測された。さらに、消化すると数平均分子量は低下するが、多分散性は増大することが観測された。大豆タンパク質単離物とその消化されたものについても、同じ傾向が観測された。
【0160】
他の実験結果から、消化されたヒマから得られた水溶性ポリペプチド組成物中のタンパク質は、その親タンパク質単離物より数平均分子量が大きいことが分かる。しかし、消化された大豆から得られた水溶性ポリペプチド組成物中のタンパク質は、その親大豆タンパク質単離物より数平均分子量が小さかった。
【0161】
それにもかかわらず、これらの水溶性ポリペプチド組成物はそれぞれ、ポリペプチド組成物なしで製造されたフォームと比較して、ポリウレタンフォームの密度の低下を促進することができた。さらに、大豆タンパク質単離物およびヒマタンパク質単離物の酵素消化により、類似の分子量と分子量分布を有する水溶性ポリペプチド組成物を得ることができた(大豆タンパク質単離物の方が、酵素消化前のヒマタンパク質単離物より高分子量のタンパク質を有するにもかかわらず)。まとめて、これらの結果から様々なポリペプチド組成物から低密度のフォームを製造できることが分かる。
【0162】
実施例3:水溶性タンパク質画分と水不溶性タンパク質画分の油分散性.
水不溶性/水分散性ポリペプチド画分と水溶性ポリペプチド画分は、実施例1に記載の方法(方法A)に基づいて、消化されたヒマ(ロット5−108)から単離された。消化されたヒマは次のように製造することができる。すなわちヒマミールタンパク質を水中に約1:10w/wの比で懸濁させる。塩化カルシウムを約10mMの有効濃度まで添加し、10N NaOHを添加することにより懸濁液のpHをpH9に調整する。次いで、反応を、撹拌しながら55℃に加熱する。次に、Everlase 16L Type EX(登録商標)(NOVOZYMES’)を、ヒマミールタンパク質1kg当たり10gの割合で添加し、混合物を同じ温度で約4時間撹拌する。最後に、得られた混合物をクエン酸でpH3.5にし、噴霧乾燥して粉末を得る。
【0163】
単離された画分のMALDI断片化分子量特性を実施例2(表2)に記載する。単離された水不溶性/分散性ポリペプチド画分の固体状態FTIR分光学的吸収特性は、図2、図3、図4、図7、図9、図10、図11および図12に記載のもの(アミド−I吸収域:1620−1632cm−1、アミド−II吸収域:1514−1521cm−1)と一致する。単離された水不溶性/分散性ポリペプチド画分についての溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRは、約86.2ppm−87.3ppmの15N化学シフト範囲と、第1のクラスターに対する約7.14−7.29ppmおよび第2のクラスターに対する約6.66−6.81ppmの1H化学シフト範囲とによって囲まれた2つのプロトン化窒素クラスターを示す。単離された水溶性ポリペプチド画分についての溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRは、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と、約7.6ppm−約8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核のクラスターを示す。
【0164】
意外なことに、これらのスペクトル特性を有する水不溶性/水分散性ポリペプチド画分は(水溶性ポリペプチド画分とは異なり)、油を水中におよび水を油中に乳化させ、その分散を安定化させる独自の能力を示す。この独自の油分散能は、以下に限定されないが、(1)pH中性条件でまたはその付近で水溶性ポリペプチド成分が抽出される大豆、キャノーラ、またはヒマの全粒ミールまたはタンパク質単離物、(2)塩基触媒で加水分解された後、酸を添加し、その後水溶性ポリペプチド成分が抽出される大豆、キャノーラまたはヒマの全粒ミールまたはタンパク質単離物、(3)酸触媒で加水分解された後、塩基を添加し、その後水溶性ポリペプチド成分が抽出される大豆、キャノーラまたはヒマの全粒ミールまたはタンパク質単離物、(4)塩基触媒による加水分解と酵素消化を組み合わせて行った後、酸を添加し、その後水溶性ポリペプチド成分が抽出される大豆、ヒマ、またはキャノーラの全粒ミールまたはタンパク質単離物、を含む複数の供給源から抽出され、単離される水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物で観察される。
【0165】
水中油型または油中水型エマルション/分散体の安定化は、以下に限定されないが、界面活性剤または分散剤などの安定化成分の有無、油の性質(即ち、その極性、親水性、疎水性、溶解性パラメータ等)、界面活性剤または分散剤の性質(即ち、HLB値、電荷特性、分子量、水溶性、油溶性等)、水相のイオン強度、油相または水相における添加剤および不純物の有無、油の濃度(即ち、水中におけるその重量パーセント)、および安定化成分の濃度、を含む幾つかの要因に依存することが分かる。安定化成分(「安定化成分」とは、分散剤、乳化剤、界面活性剤または本発明の水不溶性/分散性ポリペプチド組成物である)の有効性は、ある特定の時間、エマルションを安定化させる(即ち、剪断条件または静的状態における不混和性の油成分と水成分の巨視的相分離を防止する)能力により判断されることが多いということがさらに分かる。
【0166】
この知見の一般性をさらに実証するため、消化されたヒマタンパク質から単離された水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物で、幾つかの水中油型分散体を製造した。水不溶性/水分散性ポリペプチド画分は、ペースト状の水分散体として単離された。ペーストを水で希釈して固形分16%にし、また別に固形分14%にした。次の工程で、各ペーストの3グラムのアリコートを別々に計量して15mLのプラスチックビーカーに入れた。次に、表3に示す油のアリコートを個々のペーストアリコートに、油1重量部対固体の水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物1重量部の割合で、別々に添加した(合計20の混合物)。混合物を、スパチュラを用いて手で撹拌すると、均質なクリームを形成することが観察された。クリームは均質な状態を維持し、混合後長時間にわたり、例えば、混合の1分後、混合の5分後、混合の10分後、混合の15分後、混合の30分後、混合の1時間後、および混合の2時間後にわたり、巨視的な相分離が認められなかった。対照的に、消化されたヒマから抽出した類似の水溶性抽出物は、水中における油の分散を安定化させることができなかった。
【0167】
【表3】
【0168】
水不溶性/水分散性画分が濃縮されていないタンパク質組成物は、油を分散させることができない。例えば、大豆タンパク質単離物32グラムをpH約4〜6の水168グラムに添加することにより、大豆タンパク質単離物、ロット5−81(大豆タンパク質単離物SOLPRO 958(登録商標)Solbar Industries Ltd,POB 2230,Ashdod 77121,Israel、タンパク質含有率約90%)の固形分16%の分散体を製造した(JM−570−1)。JM−570−1の10グラムのアリコートを7つ計量し、20mLの使い捨てビーカーに入れた。10グラムのアリコートは、大豆タンパク質単離物1.6グラムと水8.4グラムを含有した。7種類の異なる油(即ち、PMDI、鉱油、大豆油、モーター油、ヒマシ油、フタル酸ジブチルおよびエポキシ化大豆油、表53参照)を別々に、油1部対タンパク質固形物1部のw/w比で添加した(各10グラムのアリコートに油1.6グラムを添加した)。混合物を、スパチュラを用いて手で撹拌した。どの油も大豆タンパク質単離物の固形分16%分散体中に分散できないことが観察された。
【0169】
実施例4:二次元プロトン−窒素NMR相関スペクトルによるポリペプチド組成物のキャラクタリゼーション、および水不溶性/水分散性ポリペプチド画分のキャラクタリゼーション
水不溶性タンパク質画分および水溶性タンパク質画分は次のように製造した。消化されたヒマ(ロット5−83)を水中に1:10w/wの比で懸濁させた。塩化カルシウムを10mMの有効濃度まで添加し、10N NaOHを添加して懸濁液のpHをpH9に調整した。反応を、撹拌しながら55℃に加熱した。次いで、Everlase 16L Type EX(登録商標)(NOVOZYMES’)を、ヒマミールタンパク質1kg当たり10gの割合で添加し、混合物を同じ温度で約4時間撹拌した。得られた混合物をクエン酸でpH3.5にし、噴霧乾燥させて黄褐色の粉末を得た。次いで、実施例1(方法A)に記載のように、水不溶性タンパク質画分と水溶性タンパク質画分を得、23℃で空気乾燥させた。
【0170】
水不溶性タンパク質画分を含有する乾燥粉末をd6−DMSOに溶解させ(6.8重量%)、赤色の均質な溶液(試料A)を得た。消化、乾燥して作製したままのヒマのアリコートをd6−DMSOに溶解させて(固形分6.8重量%)、比較の均質な赤色溶液(試料B)を得た。同じ乾燥粉末の固体状態FTIR分析から、固体状態FTIRスペクトルのN−H伸縮振動領域とカルボニル伸縮振動領域の両方に明確な差があることが判明した。これらのスペクトルの差は、ポリペプチドN−H部分の結合環境の差によるものであり、これは、おそらく第2級構造と第3級構造の差から生じたと考えられる。明確な差の1つには、水不溶性/水分散性画分中のアミド−Iカルボニル吸収帯の低波数側へのシフトが含まれた。このような差についてさらにキャラクタリゼーションを行うため、非常に特殊な一部の結合原子核、即ち、窒素に結合したプロトンのキャラクタリゼーションを行う目的で二次元NMR法を使用した。
【0171】
試料をDMSO−d6に溶解し、5mmのNMR管に入れた。1H NMRスペクトルは全て、30℃で、HCN−PFG(パルス磁場勾配)三重共鳴クライオプローブを備えるVarian INOVA 750MHz分光器で記録した。一次元(1D)1H NMRスペクトルでは、3秒の取得時間と5秒の緩和遅延で10000Hzのスペクトル幅(spectral window)を使用した。スペクトルは、8.6マイクロ秒のプロトン90°パルス幅を使用して16の過渡事象(transients)について平均したシグナルであった。積分してプロットする前に、スペクトルデータを132kポイントにゼロフィリングし、1Hzのラインブロードニングで処理した後、ベースライン補正を行い、2.50ppmの内部残留溶媒DMSO−d6のピークを参照した。
【0172】
F2次元では2048の取得ポイントおよびF1次元では768のポイントで移相敏感二次元(2D)1H−15N傾斜−HSQC(異種核単量子コヒーレンス)データを収集し(プロトンおよび窒素に関してそれぞれ6.3マイクロ秒および33.5マイクロ秒の90°パルス幅を使用した)、各増分について、取得中、GARPデカップリングして1.2秒のパルス遅延時間および0.124秒の取得時間で48の過渡事象を収集した。最終変換して2D補正データを作成する前に、取得したデータを正弦波で重み付けして(sine bell weighting)処理し、F2およびF1次元において8196×8196ポイントにゼロフィリングした。
【0173】
結果を図13および図14に示す。図13は、d6−DMSO中における消化されたヒマ・ロット5−83の二次元HSQC1H−15N NMRスペクトルを示す。y軸は、15N化学シフトのスケール(ppm)を表し、x軸は、1H化学シフトのスケール(ppm)を表す。スペクトル中のピークは、消化して作製したままのヒマ(即ち、水不溶性/水分散性ポリペプチド画分と水溶性ポリペプチド画分を合わせたもの)中に存在する全ての画分のプロトン化窒素原子を表す。領域Bの複数のピークは、水溶性画分(図14参照)を取り除くと消えることが観測された。このことから、これらのプロトン化窒素は水溶性ポリペプチド画分に特有のものであるが、領域Aのピークの少なくとも一部は水不溶性/水分散性画分に特有のものであることが分かる。
【0174】
図14は、d6−DMSO中における、消化されたヒマ・ロット5−83から抽出した水不溶性/分散性ポリペプチド抽出物の二次元HSQC 1H−15N NMRスペクトルを示す。y軸は、15N化学シフトスケール(ppm)を表し、x軸は、1H化学シフトスケール(ppm)を表す。スペクトル中のピークは、水不溶性/水分散性ポリペプチド画分のプロトン化窒素原子を表す。領域Bの複数のピークは、抽出前の消化されたヒマ中の類似のピークと比較して非常に弱いことが観測された(図13参照)。逆に、残りのピークは、主として領域Aのプロトン化窒素のものであった。このことから、これらの特定のプロトン化窒素は、水不溶性ポリペプチド画分に特有のものであることが分かる。
【0175】
図14に示すように、スペクトル中のピークは、水不溶性/水分散性ポリペプチド画分に特有のプロトン化窒素原子を示す。拡大すると、2つの「ピーク」は、それらを確定する15Nおよび1H化学シフト範囲によって容易に画定され得る狭いクラスターとして現れ、両方のクラスターの15N化学シフト範囲は約86.2ppm−87.3ppmとなり、1H化学シフト範囲は、第1のクラスターでは約7.14−7.29ppm、第2のクラスターでは約6.66−6.81ppmとなる。
【0176】
これらの研究の結果から、水溶性ポリペプチド画分は複数種のプロトン化窒素原子で構成され(図13参照)、水不溶性/水分散性画分は、含有するプロトン化窒素の種類が著しく少なく、主として2つの主なプロトン−窒素クロスピーククラスターの存在によって特徴付けられる(図14参照)ことが判明した。これらの差から、固体状態FTIRで見られるものと同様に、水溶性ポリペプチド画分中の化学結合環境が、水不溶性/分散性画分中に存在するものとは明確に異なることが分かる。
【0177】
合わせて、固体状態FTIRおよびNMRデータで水不溶性/分散性ポリペプチド画分のキャラクタリゼーションも行われ、1620−1632cm−1の固体状態赤外アミド−I吸収帯、1514−1521cm−1の固体状態赤外アミド−II吸収帯、および1H−15N核磁気共鳴相関法によって測定される溶液状態プロトン化窒素クラスター対が存在する。より具体的には、プロトン化窒素クラスター対が、重水素化d6−DMSOを溶媒として用いたNMRにより、二次元HSQC 1H−15N NMR法を使用して観測した場合、クラスターは、それらを画定する15N化学シフト範囲と1H化学シフト範囲によって画定され、両方のクラスターの15N化学シフト範囲は、約86.2ppm−87.3ppmとなり、1H化学シフト範囲は、第1のクラスターでは約7.14−7.29ppm、第2のクラスターでは約6.66−6.81ppmとなる。
【0178】
合わせて、固体状態FTIRおよびNMRデータで水溶性ポリペプチド画分のキャラクタリゼーションが行われ、約1633−1680cm−1の固体状態赤外アミド−I吸収帯、1522−1560cm−1の固体状態赤外アミド−II吸収帯、固体状態FTIRで測定した場合、約3200cm−1および約3300cm−1を中心とする2つの顕著な1°アミドN−H伸縮振動吸収帯、ならびに溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と約7.6ppm−約8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核の顕著なクラスターが存在する。
【0179】
実施例5:タンパク質含有ポリウレタンフォームの製造
この実施例では、水溶性の消化されたヒマタンパク質を含有するポリウレタンフォームを製造し、キャラクタリゼーションを行った。
【0180】
A−ポリオールブレンドによるタンパク質の抽出
試料JM−69−1は、ポリオール(即ち、Huntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000)45部をガラス反応容器に添加することによって製造した。次いで、加熱下に高速回転ミキサーを使用して撹拌しながら、消化されたヒマタンパク質(ロット5−83)5グラムをポリオールに添加し、1時間の全反応時間、95℃の温度に保持した。
【0181】
試料JM−69−2は、ポリオール(即ち、Huntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000)43部および蒸留水2部をガラス反応容器に添加することによって製造した。ポリオール/水ブレンドを、均質で透明になるまで、高速回転ミキサーを使用して撹拌した。次いで、ブレンドを撹拌しながら、消化されたヒマタンパク質(ロット5−83)5グラムを添加した。試料を、加熱しながら高速回転ミキサーを用いて撹拌し、1時間の全反応時間、95℃の温度に保持した。
【0182】
反応中と反応後の両方とも、試料JM−69−1は均質で、茶色の半透明な物質であった。対照的に、試料JM−69−2は、反応中、非常に異なる挙動を示した。反応の開始時、試料はJM−69−1に類似しているように見えた。約85℃の温度で相分離が観察され、ヒマタンパク質は凝集して沈殿し、上清物質は透明で僅かに黄色であった。24時間、実験台上に静置して沈殿させた後、試料JM−69−1は、沈殿上に濁った上清を有し、JM−69−2試料は、反応直後と同じに見えた。
【0183】
室温で製造した(JM−69−1およびJM−69−2のように加熱および反応を行わなかった)試料、JM−69−3およびJM−69−4では、上清について同様の傾向が観察された。唯一の視覚的差は、水を含有する試料中の消化されたヒマタンパク質が、加熱および反応を行った試料(JM−69−2)ほど凝集しないことであるように思われた。
【0184】
その後の一連の実験シリーズでは、消化された大豆タンパク質(ロット5−81)および消化された乳清タンパク質(ロット5−80)は、試料JM−69−2に関して記載した方法を使用して製造した。これらの実験では、タンパク質は、反応中、凝集・沈殿しなかった。しかし、実験台上に清置して冷却した後、大豆および乳清タンパク質は反応容器の底に沈殿し、沈殿したタンパク質の上に上清層が生じた。
【0185】
B−ポリウレタンフォームの製造
タンパク質組成物から抽出した化学種がフォームの発泡に適合していることを確認するため、幾つかのフォーム試料を試料JM−69−2、JM−71−1およびJM−71−2の上清から製造した。特定の理論に束縛されることを望むものではないが、上清は、ポリオールによって抽出された水溶性ポリペプチドを含有すると考えられる(実施例14参照)ため、上清を使用した。さらに、ポリオール/水ブレンドに水溶性タンパク質を添加しなかったこと以外、試料JM−69−2、JM−71−1およびJM−71−2と同様に、対照試料を製造した。前述の同じ加熱プロファイルを使用して、対照のポリオール/水ブレンドを加熱した。対照のブレンドは、試料JM−74−1と標示した。
【0186】
次の成分、すなわち対照のブレンドJM−74−1、7.1グラム、Huntsman Corporation製のJeffol A−630、1.6グラム、Huntsman Corporation製のJEFFCAT DMDLC0.06グラム、およびAir Products & Chemicals,Inc.製のジブチル錫ジラウレート0.06部を150mlの使い捨てビーカー内で混合することによりフォーム75−3を製造した。スパチュラおよびボルテックスミキサーを用いてポリオールブレンドを十分混合した。次いで、PMDI(Huntsman Corporation製のRUBINATE−M)9グラムをビーカーに添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。
【0187】
フォームJM−75−4は、JM−74−1の代わりに、試料JM−69−2の上清7.1グラムを使用したこと以外、同様に製造した。フォームJM−75−5は、JM−74−1の代わりに、試料JM−71−1の上清7.1グラムを使用し、フォームJM−75−6は、JM−74−1の代わりに、試料JM−71−2の上清7.1グラムを使用した。
【0188】
次の配合、すなわちHuntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000、7.1グラム、Huntsman Corporation製のJEFFOL A−630、1.6グラム、Huntsman Corporation製のJEFFCAT DMDL0.06グラム、およびAir Products & Chemicals,Inc.製のジブチル錫ジラウレート0.06部、および蒸留水0.39グラムを有する別のフォーム対照試料(JM−75−2)を製造した。ポリオールブレンドを、150mLの使い捨てビーカーで製造し、スパチュラおよびボルテックスミキサーを用いて十分混合した。次いで、PMDI(Huntsman Corporation製のRUBINATE−M)9グラムをビーカーに添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。この対照配合物は、対照のポリオールブレンドJM−74−1の製造に使用したものと同じ水対ポリオール比を使用したが、但し、この試料は「加熱処理」されなかった。
【0189】
タンパク質上清を使用して得られたフォームは、それぞれ、発泡高さが高く、気泡構造が緻密であった。フォームの写真を図16に記載し、実験のさらなる観察結果を下記の表4に記載する。
【0190】
【表4】
【0191】
データから、消化されたヒマに由来する上清から得られた水溶性タンパク質は、ポリウレタンフォームの発泡高さを高くし、フォームに非常に均一で小さい気泡構造を促進することが分かる。理論に束縛されることを望むものではないが、タンパク質は、反応成分の効率的な混合と、発生した二酸化炭素ガスの核形成を可能にする界面活性剤の役割を果たし、高いフォーム発泡高さ、均一な気泡構造、および比較的低密度のフォームを可能にすると考えられる(ポリペプチド以外、フォームの製造に使用されるどの材料も界面活性剤の役割を果たすとは考えられない)。
【0192】
実施例6:消化されたタンパク質を含有するポリウレタンフォームの製造
この実施例では、イソシアネート、ポリオールブレンド、および分散された農産物タンパク質を組み合わせることによって、一連のポリウレタンフォームを製造した。分散したタンパク質の存在により、発泡高さがより高く、気泡構造がより小さく、密度がより低いポリウレタンフォームが得られた。
【0193】
「A」成分に使用されるイソシアネートは、Huntsman Corporation製のRUBINATE−M、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)であった。ポリオールブレンドの組成物または「B」の成分は、Huntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000、71.4部、Huntsman Corporation製のJeffol A−630、15.6部、蒸留水3.0部、Huntsman Corporation製のJEFFCAT DMDLC、0.6部、およびAir Products & Chemicals,Inc.製のジブチル錫ジラウレート0.6部を含有した。「B」成分は、試料JM−37−1と表された。消化された大豆タンパク質単離物(ロット5−81)、Flavourzymeでタンパク質分解された乳清タンパク質(ロット5−80)、およびEverlastで消化されたヒマミールタンパク質(ロット番号5−83)は、Prof.Sergei Braun(The Hebrew University of Jerusalem)から入手した。
【0194】
前述のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250 mLの使い捨てビーカーに添加することにより、一連の比較のカップフォーム試料を製造した後、前述のリストの特定のタンパク質1グラムを添加した。スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用してタンパク質/ポリオールブレンドを混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は、10グラムであった。成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。タンパク質を含有するフォームを、対照のフォーム(前述のポリオールブレンド(JM−37−1)10グラムをPMDI10グラムと反応させたものからなる)と比較した。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム反応は全て周囲温度で行った。
【0195】
分散された大豆、乳清、およびヒマタンパク質を含有するフォームは発泡高さが、対照のフォームより高かった。得られたこれらのフォームの密度を表5に記載する。
【0196】
【表5】
【0197】
密度変化の他に、得られたフォームの気泡構造に差があった。大豆タンパク質および乳清タンパク質(それぞれJM−67−1およびJM67−3)で作製されたフォームは、ヒマタンパク質(JM−67−5)および対照(JM−67−7)で作製されたフォーム(これらは両方とも比較的大きく粗い気泡構造を有した)と比較して気泡が小さく、緻密であった。
【0198】
実施例7:消化されたヒマタンパク質、または消化され誘導体化されたヒマタンパク質を使用して製造されたフォーム
この実施例では、消化されたヒマタンパク質を使用して、および消化され誘導体化されたヒマタンパク質を使用してポリウレタンフォームを製造した。
【0199】
実施例6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、消化されたヒマタンパク質(ロット5−83)または消化され誘導体化されたヒマタンパク質(ロット5−82)1グラムを添加することにより、一連の比較のカップフォーム試料を製造した。スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用してタンパク質とポリオールブレンドを混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は、10グラムであった。成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。タンパク質を含有するフォームを、2つの対照フォーム、即ち、前述のポリオールブレンド(JM−37−1)9グラムをPMDI10グラムと反応させたものからなる対照−1、および前述のポリオールブレンド(JM−37−1)10グラムをPMDI10グラムと反応させたものからなる対照−2と比較した。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム形成反応は周囲温度で行った。
【0200】
分散されたヒマタンパク質を含有するフォームは、対照のフォームより発泡高さが高かった。得られたこれらのフォームの密度を表6に示す。
【0201】
【表6】
【0202】
実施例8:消化された乳清タンパク質の添加量を変えた場合の、得られるフォームについての比較
この実施例では、消化された乳清タンパク質を10%(wt/wt)または20%(wt/wt)使用して、ポリウレタンフォームを製造した。
【0203】
2つの比較のカップフォーム試料を製造した。第1の試料、JM−43−1は、実施例−6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250 mLの使い捨てビーカーに添加した後、Flavourzymeで消化された乳清タンパク質(ロット番号5−80)1グラムをポリオールブレンドに添加することにより製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。次いで、成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。
【0204】
第2の試料、JM−43−2は、実施例−2に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)8グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、 Flavourzymeで消化された乳清タンパク質(ロット番号5−80)2グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム反応は全て周囲温度で行った。
【0205】
試料JM−43−2のポリオール/タンパク質ブレンドは、ポリオール/タンパク質ブレンドJM−43−1と比較して粘度が高かった。しかし、得られたフォームの発泡高さはほぼ同じであった。各フォームの気泡構造は類似していた。各試料の中央部の相対嵩密度を表7に記載するが、M1は、発泡したフォームの中心より下で切断した厚さ1インチの断面を表し、M2は、発泡したフォームの中心より上で切断した厚さ1インチの断面を表す。
【0206】
【表7】
【0207】
得られたフォームでは、カップフォームの底部は厚さ約1インチであり、M−1は底部より上のフォームの第1の中央部で、厚さ約1インチであり、M−2はM−1より上のフォームの第2の中央部で、厚さ約1インチであった。ポリオールブレンドは、消化された乳清タンパク質から水溶性タンパク質を抽出し、効率的なフォーム発泡や小さい気泡構造に寄与するものと考えられる。これらのフォームを実施例7の対照のフォーム(JM−59−3およびJM−59−4)と比較すると、表7の全てのフォームの密度は対照のフォームより低密度であることが観察された。
【0208】
実施例9:異なるpHのFlavourzyme消化乳清タンパク質を使用して作製されたポリウレタンフォーム
この実施例は、異なるpHのFlavourzyme消化乳清タンパク質を使用するポリウレタンフォームの製造およびキャラクタリゼーションを記載する。
【0209】
一連のカップフォーム試料を製造し、2つの方法で製造されたFlavourzyme消化乳清タンパク質を比較した。第1の試料、JM−40−1は、実施例6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、Flavourzymeで消化された乳清タンパク質(ロット5−72)1グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。次いで、成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。
【0210】
第2の試料、JM−40−2は、実施例−6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、Flavourzymeで消化された乳清タンパク質(ロット番号5−80)1グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は、10グラムであった。成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム反応は全て周囲温度で行った。
【0211】
第3の試料、JM−40−5は、実施例−6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)8グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、Flavourzymeで消化された乳清タンパク質(ロット番号5−80)2グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。次いで、成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム反応は全て周囲温度で行った。
【0212】
タンパク質を含有するフォームを、2つの対照フォーム、即ち、前述のポリオールブレンド(JM−37−1)9グラムをPMDI10グラムと反応させたものを含有する対照−1(JM−40−3)、および前述のポリオールブレンド(JM−37−1)10グラムをPMDI10グラムと反応させたものを含有する対照−2(JM−40−4)と比較した。実験に用いた成分は全て周囲温度(23℃)であった。フォーム反応は全て周囲温度で行った。
【0213】
上記の方法で製造したフォームの画像を図17に示す。pH約3.5のFlavourzyme消化乳清タンパク質・ロット番号5−80で製造されたフォーム(試料JM−40−2およびJM−40−5)は、pH約6.0のFlavourzyme消化乳清タンパク質・ロット番号5−72で製造されたフォーム試料JM−40−1より発泡高さが高かった。さらに、pH約3.5のFlavourzyme消化乳清タンパク質・ロット番号5−80で製造されたフォーム(試料JM−40−2およびJM−40−5)は、対照のフォーム試料(即ち、JM−40−3およびJM−40−4)より発泡高さが高かった。フォーム試料のそれぞれの密度を表8に記載する。
【0214】
【表8】
【0215】
実施例10:消化されたヒマタンパク質から得られた水溶性ポリペプチド組成物を使用して製造されたフォーム
この実施例は、消化されたヒマタンパク質から得られた水溶性ポリペプチド組成物を使用して製造したポリウレタンフォームの製造を記載する。
【0216】
A−ポリペプチド組成物の製造
消化されたヒマタンパク質(ロット番号5−108)は、Prof. S. Braun(the Laboratory of the Department of Applied Biology at the Hebrew University of Jerusalem,Israel)から実験試料(「消化されたヒマ」)として入手した。消化されたヒマは次のように製造した、すなわちヒマミールタンパク質を水中に約 1:10w/wの比で懸濁させた。塩化カルシウムを10mMの有効濃度まで添加し、10N NaOHを添加することによって懸濁液のpHをpH9に調整した。この反応を、撹拌しながら55℃に加熱した。次に、Everlase 16L Type EX(登録商標)(NOVOZYMES’)を、ヒマミールタンパク質1kg当たり10gの割合で添加し、混合物を同じ温度で約4時間撹拌した。次いで、得られた混合物をクエン酸でpH3.5に低下させ、噴霧乾燥させて黄褐色の粉末を得た。
【0217】
消化されたヒマを分画し、水溶性ポリペプチド画分と水不溶性/水分散性ポリペプチド画分を得た。第1の工程で、消化されたヒマ100gを蒸留水0.5リットルに入れてスラリーにした。この混合物を撹拌機で30分間混合した。次いで、スラリーのアリコートを3,400rpmで約15分間遠心分離した。得られた上清(水溶性ポリペプチド画分を含有した)をデカントし、この実施例のフォーム実験に使用した。残った水不溶性沈殿物を中性の水で洗浄し、再度遠心分離した。水不溶性沈殿物を得るため、この工程を5回繰り返した。水不溶性沈殿物が得られた。
【0218】
試料をオーブンで乾燥した後、洗浄した水不溶性/水分散性画分の固形分率を測定した。固形分率は16.36%であることが分かった。同様に第1の遠心分離サイクル(前述の)により単離された水溶性画分をオーブンで乾燥した。水不溶性分散性画分と比較するため、乾燥した水溶性残留物を収集して固形分16.36%の溶液を作製した。消化されたヒマ、ロット5−108、3.272グラムを水16.728グラムと混合して、本質的に水溶性画分と水不溶性分散性画分の両方を含有する固形分16.36%の混合物を得ることにより、固形分16.36%の第3の試料を製造した。
【0219】
B−ポリウレタンフォームの製造
イソシアネート、ポリオールブレンド、および様々な消化されたヒマポリペプチド画分を組み合わせることにより、一連のポリウレタンフォームを製造した。これらの実験に使用したポリオールブレンドは、使用した水が、消化されたヒマタンパク質から単離された画分を含有したこと以外、実施例6に記載のものと類似していた。全てのポリオールブレンド中の含水率が同じになるように、適切な水濃度で対照試料を製造した。様々な配合物を表9に示す。
【0220】
【表9】
【0221】
「A」成分に使用したイソシアネートは、Huntsman Corporation製のRUBINATE−M、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)であった。ポリオールブレンドの組成物または「B」成分は、Huntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000、71.4部、Huntsman Corporation製のJeffol A−630、15.6部、Huntsman Corporation製のJEFFCAT DMDLC、0.6部、およびAir Products & Chemicals,Inc製のジブチル錫ジラウレート0.6部、および対照用の蒸留水2.51部または固形分を16.36%含有する画分3.0部を含有した。
【0222】
イソシアネート(「A」成分)とポリオールブレンド(「B」成分)は、「B」9部対「A」10部、および「B」10部対「A」10部の2つの比で混合されたため、2つの異なるイソシアネートインデックスとなった。これらの混合物から、異なる特性を有するフォームが製造された。フォームの画像を図18に示すが、図18Aは、「B」9部:「A」10部を含有する試料(9/10 PolyI/PMDIと表される)を示し、図18Bは、「B」10部:「A」10部を含有する試料(10/10 PolyI/PMDIと表される)を示す。両方のポリオール/イソシアネート比で、水溶性ポリペプチドの存在により、発泡高さが著しく高く、対照と比較して気泡構造が小さいポリウレタンフォームが得られた。水不溶性分散性画分を含有する試料(JM−582−4)は、水溶性ポリペプチド画分を含有する試料ほど発泡高さが高くなかった。理論に拘束されることを望むものではないが、水不溶性ポリペプチド画分に関するこのようなフォームの高さの増大は、水不溶性タンパク質組成物中には水溶性タンパク質の量が少なかったことによるものと考えることができる。
【0223】
実施例11:ヒマミールまたはキャノーラミール由来の水溶性ポリペプチド組成物から製造されたフォーム.
この実施例では、ヒマミールまたはキャノーラミールから得られた水溶性ポリペプチド組成物を使用してポリウレタンフォームを製造した。
【0224】
A−ポリペプチド組成物の製造
同一条件で2つの試料を製造したが、一方は全粒キャノーラミールを使用し、他方は全粒ヒマミールで作製した。キャノーラ製造物は次のように製造した、すなわち全粒キャノーラミール(Viterra Canola Processing,Ste Agatha,MBから入手したCanola Meal MA Viterra 00200、タンパク質を約37重量%含有すると報告されている)を、1.0%水酸化ナトリウム溶液中に分散させた後、1 M HCl溶液と混合して最終pH値約4〜5にした。同様に、全粒ヒマミール(Kopco Oil Products,Rajkot,India製)を1.0%水酸化ナトリウム溶液中に分散させた後、1 M HCl溶液と混合して最終pH値約4〜5にした。
【0225】
ヒマ試料とキャノーラ試料を実験台上に静置した。水不溶性/水分散性ポリペプチド含有成分は沈殿し、水溶性ポリペプチド成分は上清として観察された。試料をオーブンで乾燥させることにより、上清の固形分を測定した。ヒマミールの上清の固形分は2.85パーセントであり、キャノーラミールの上清の固形分は3.25パーセントであった。フォームの実験では、ヒマ試料の固形分と同等にするため、キャノーラの上清を蒸留水で希釈して、固形分を2.85%にした。
【0226】
B−ポリウレタンフォームの製造
イソシアネート、ポリオールブレンド、および様々な上清画分を組み合わせることにより、一連のポリウレタンフォームを製造した。これらの実験に使用したポリオールブレンドは、実施例10に記載のものと類似していた。全てのポリオールブレンド中の含水率が同じになるように、適切な水分濃度で対照試料を製造した。比較の配合物を表10に記載する。
【0227】
【表10】
【0228】
「A」成分に使用したイソシアネートは、Huntsman Corporation製のRUBINATE−M、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート(PMDI)であった。ポリオールブレンドの組成物または「B」成分は、Huntsman Corporation製のJEFFOL PPG−2000、71.4部、Huntsman Corporation製のJeffol A−630、15.6部、Huntsman Corporation製のJEFFCAT DMDLC、0.6部、およびAir Products & Chemicals,Inc製のジブチル錫ジラウレート0.6部、および蒸留水2.91部または固形分を2.85%含有する可溶性画分3.0部を含有した。
【0229】
イソシアネート(「A」成分)とポリオールブレンド(「B」成分)を、「B」7部対「A」10部の比で混合した。
【0230】
上記の方法で製造したフォームの画像を図19に示す。水溶性ポリペプチド画分の存在により、水溶性タンパク質画分を含まない対照と比較して、発泡高さが高く、気泡構造が小さいポリウレタンフォームが得られた。
【0231】
実施例12:消化されたヒマミールに由来する水溶性ポリペプチド組成物を使用して製造されたフォーム.
この実施例では、消化されたヒマミールから得られた水溶性ポリペプチド組成物を使用してポリウレタンフォームを製造した。
【0232】
実施例10に報告した単離方法を使用して、消化されたヒマ(ロット5−108)を分画し、水溶性画分と水不溶性/水分散性画分を得た。フォーム実験のため、デカントすることにより、水溶性ポリペプチド画分を含有する上清を得、残った水不溶性沈殿物を別の容器に入れた。実施例10では、水溶性ポリペプチド画分の16.36%溶液を作製するために、上清画分を収集し乾燥させた。対照的に、この実施例では、第1の遠心分離サイクルで得られる上清を収集し、乾燥させずにそのまま使用した。アリコートをオーブンで乾燥させることにより、消化されたヒマの上清の固形分を測定した。第1の遠心分離工程で得られる消化されたヒマの上清は、固形分を8.93%有することが分かった。
【0233】
イソシアネート、ポリオールブレンド、および上清画分を組み合わせることにより、一連のポリウレタンフォームを製造した。これらの実験に使用したポリオールブレンドは、実施例10に記載のものと類似していた。両方のポリオールブレンド中の含水率が同じになるように、適切な水分濃度で対照試料を製造した。様々な配合物を表11に示す。
【0234】
【表11】
【0235】
イソシアネート(「A」成分)とポリオールブレンド(「B」成分)は、「B」9部対「A」10部、および「B」8部対「A」10部の2つの比で混合されたため、2つの異なるイソシアネートインデックスとなった。
【0236】
水溶性ポリペプチド画分の存在により、対照と比較して発泡高さが高く、気泡構造が小さいポリウレタンフォームが得られた。この2つの混合物、すなわち「B」9部対「A」10部のものと、「B」8部対「A」10部のものは同様の挙動を示した。
【0237】
実施例13:粉砕された全粒ヒマミールまたは消化されたヒマミールを使用して製造されたフォーム
この実施例では、粉砕された全粒ヒマミールまたは消化されたヒマミールを使用してポリウレタンフォームを製造した。
【0238】
全粒キャノーラミール(Viterra Canola Processing,Ste Agatha,MBから入手したCanola Meal MA Viterra 00200、タンパク質を約37重量%含有すると報告されている)を、Retch工業用粉砕機を使用して80ミクロンの粒度に粉砕した。消化されたヒマ(ロット5−108)は実施例10に記載のように製造した。この実施例では、粉砕された全粒ミールおよび消化されたヒマ試料は、水溶性ポリペプチド組成物と水不溶性/水分散性ポリペプチド組成物の両方を含有する乾燥固体粉末であった。
【0239】
イソシアネート、ポリオールブレンドを組み合わせ、ポリオールブレンドに乾燥ヒマ粒子を添加することによって、ポリウレタンフォームを製造した。これらの実験に使用したポリオールブレンドは、実施例6に記載のものと類似していた。
【0240】
特に、2つの比較のカップフォーム試料を製造した。第1の試料、JM−560−1は、実施例−6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、80ミクロンに粉砕された全粒ヒマミール1グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。次いで、成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。
【0241】
第2の試料、JM−553−3は、実施例−6に記載のポリオールブレンド(試料JM−37−1)9グラムを250mLの使い捨てビーカーに添加した後、消化されたヒマ(ロット番号5−108)2グラムをポリオールブレンドに添加することによって製造した。タンパク質をポリオールブレンドに添加した後、スパチュラおよびボルテックスミキサーを使用して組成物を混合し、タンパク質を分散させた。ポリオール/タンパク質「B」成分の全試料重量は10グラムであった。次いで、成分「A」(PMDI)10グラムをビーカー内の「B」成分に添加し、スパチュラを用いて手で十分混合した後、ビーカー内で自由発泡させた。
【0242】
2つの試料を、乾燥タンパク質含有粉末が添加されていない対照のフォーム(JM−37−1)と比較した。
【0243】
タンパク質含有粉末の存在により、対照と比較して発泡高さが高く、気泡構造が小さいポリウレタンフォームが得られた。
【0244】
実施例14:ポリオール組成物にタンパク質組成物を添加することにより形成された混合物のキャラクタリゼーション
これらの成分間で特定の化学反応が起こり得るかどうかを調べるため、ポリオール化合物PPG 200とタンパク質組成物(例えば、消化されたヒマ、消化された大豆、および消化された乳清)を水の存在下および水の非存在下で混合した。特に、FTIR分析により、消化されたタンパク質中に遊離カルボン酸官能基が存在することが分かったため、ポリオールのヒドロキシル末端基と消化されたタンパク質の遊離酸部分とのエステル化反応の存在を確認する試験を行った。起こり得る反応を特定できるように、これはイソシアネート成分の非存在下で行った。ポリオールとタンパク質組成物の混合に使用した方法を、ポリオール/タンパク質混合物の物理的観察結果と共に実施例5に報告する。
【0245】
混合工程が完了した後、試料瓶を周囲条件で数日間放置した。様々な混合物の沈殿成分が容器の底部に沈殿した後、上清のアリコートを、沈殿生成物の特定の試料と一緒に回収した。抽出されたおよび/または反応した成分の有無を試験するために、得られたアリコートを溶液状態FTIRで分析し、減算スペクトル(subtraction spectra)を生成した。
【0246】
上清のスペクトルから純粋なPPG2000のスペクトルを差し引くことによって減算スペクトルを生成した(乗算係数=1)。次いで、化学的に変化した反応生成物の可能性を試験するため、得られた減算スペクトルを重ね合わせ、出発成分(PPG2000および消化されたタンパク質)と比較した。
【0247】
水とともにポリオール中に消化されたヒマを混合して作製した混合物の上清の減算スペクトルから、上清中に化合物が存在することが分かった。減算スペクトルを、純粋な消化されたヒマのスペクトルと比較することにより、上清化合物は、約3540cm−1および3423cm−1に主要な吸収帯を有することが分かった。3423cm−1の基は、出発消化ヒマ化合物にはショルダーとしてのみ現れる(消化されたヒマの主要なN−H伸縮振動は約3270cm−1に現れた)。さらに、純粋な消化されたヒマの主要なN−H吸収帯は上清化合物中には存在しなかった。さらに、上清化合物は、1638cm−1付近を中心とする消化されたヒマの主要な吸収帯を含有するが、1717cm−1にはカルボニルの吸収は認められなかった(消化されたヒマの1717cm−1における吸収は、遊離カルボン酸の存在と一致する)。代わりに、上清化合物は、1739cm−1に著しく異なるカルボニル伸縮振動の存在を示したが、これはエステルの存在と一致する。
【0248】
重要なことに、1639cm−1付近のピークの吸収強度と1739cm−1付近のエステルピークの吸収強度との比は、約2/1であることが測定により分かったが、これは、消化されたヒマの1639cm−1のピークの吸収強度と1717cm−1付近のカルボニルピークの吸収強度との相対比とほぼ同じであった。さらに、消化されたヒマのスペクトルに現れる1531cm−1のピークは上清化合物から無くなっていた。上清は、3550cm−1付近のブロードなピークによって、および2300cm−1〜1900cm−1のピークの集合によって証明されるように水の存在を示す。
【0249】
上清化合物のスペクトルをPPG2000ポリオールのスペクトルと重ね合わせると、3474cm−1付近を中心とするポリオールヒドロキシルピークは、明らかに、上清化合物には存在しないことが分かる。まとめて、これらのスペクトルの比較から、上清化合物は、出発消化ヒマタンパク質自体の可溶化された画分の成分であるか、または消化されたヒマ成分とポリオール化合物との可溶化された反応生成物であることが分かる。
【0250】
これらの知見に基づいて、水のもたらし得る影響を明らかにするため、消化されたヒマとPPG2000との類似の混合物の上清を、水の非存在下で作製した。化合物は上清中には検出されなかった。JM−69−2試料から沈殿した物質(実施例5参照)を別々に収集し、FTIRで分析し、そのスペクトルを出発消化ヒマ材料のスペクトルと、およびPPG2000ポリオールのスペクトルと重ね合わせた。スペクトルの解析から、沈殿物は、出発消化ヒマタンパク質と組成がかなり類似していることが判明した。沈殿物は洗浄されず、ポリオール不純物の存在と一致する1092cm−1のスペクトル成分を含有した。
【0251】
消化された乳清タンパク質と消化された大豆タンパク質を用いた類似の実験で、上清を同様に収集し、FTIRで分析した。消化されたヒマで作製された上清化合物のスペクトルと重ね合わせたとき、得られた減算スペクトルから、上清化合物は著しく類似した構造的性質を有するように思われることが分かる。これらの類似性は、さらにヒドロキシル領域とカルボニル領域の重なりによって例証される。
【0252】
実施例5に記載のように、消化されたタンパク質をポリウレタンフォーム配合物に大量に添加すると(フォームの約5重量%)、フォーム密度が驚くほど低下する。この観察結果に鑑みて、またFTIRが示す上清化合物間の著しい類似性に鑑みて、タンパク質自体を大量に使用する代わりに上清化合物を使用することによって発泡ポリウレタン配合物を製造する研究を行った。上清化合物で作製されたフォームは、全て、密度が驚くほど低かった。従って、好ましい消化されたタンパク質の大量添加は好結果に繋がり得るが、意外なことに、本実施例で得られる上清中に見出されるものと同様の構造的性質を有する化合物を低濃度で添加することによって類似の結果を達成することができる。従って、消化されたタンパク質の大量添加によって観察された傾向は、水不溶性タンパク質画分の非存在下で、溶媒和された上清化合物(即ち、ポリオールと水の混合物を使用して、消化されたタンパク質から抽出した水溶性画分)を添加するだけで再現され、ポリオール/水ブレンドから沈殿した水不溶性画分の非存在下で所望の密度低下効果が得られた。
【0253】
参照による援用
本明細書で参照される特許文献および科学論文はそれぞれ、その開示内容全体が、参照により、あらゆる目的に援用される。
【0254】
同等物
本発明は、本発明の精神または本質的特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具体化することができる。前述の実施形態は、従って、本明細書に記載の本発明を限定するものではなく、全ての点において説明を目的としたものであると見なされるべきである。従って、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の同等物の意味および範囲に入る全ての変更は、本発明に包含されるものとする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができる単離された水溶性ポリペプチド組成物であって、次の特徴、
(a)固体状態FTIRで測定した場合、約1633cm−1〜1680cm−1のアミド−I吸収帯、
(b)固体状態FTIRで測定した場合、約1522cm−1〜1560cm−1のアミド−II吸収帯、
(c)固体状態FTIRで測定した場合、約3200cm−1および約3300cm−1を中心とする2つの顕著な1°アミドN−H伸縮振動吸収帯、
(d)溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と、約7.6ppm−約8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核の顕著なクラスター、
(e)約600〜約2,500ダルトンの平均分子量、
(f)水中油型エマルションを安定化できないことであって、水86重量部に溶解または分散したタンパク質14重量部を含む水溶液を、PMDI14重量部と混合した場合、前記水溶液と前記PMDIが混合後5分以内に静的状態で巨視的に相分離する不安定な懸濁液を形成すること、
(g)前記水溶性ポリペプチド組成物は、同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性タンパク質組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができること、または、
(h)前記水溶性ポリペプチド組成物は、前記同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性ポリペプチド組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームの密度を少なくとも5%低下させることができること、
の1つ以上を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、乳清、コーン、小麦、ヒマワリ、木綿、菜種、キャノーラ、ヒマ、大豆、アマナズナ、亜麻、ナンヨウアブラギリ、アオイ科植物、落花生、タバコ、藻類、サトウキビ搾りかす、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるバイオマスに由来する、請求項1に記載のポリペプチド組成物。
【請求項3】
前記組成物が、乳清、キャノーラ、ヒマ、または大豆に由来する、請求項1に記載のポリペプチド組成物。
【請求項4】
フォームの製造に使用される単離された水溶性ポリペプチド組成物の製造方法であって、
(a)タンパク質含有出発原料をpH約6.5超の水溶液中に少なくとも5分間分散させ、粒子状物質を含有する懸濁液を製造する工程、
(b)工程(a)の後に、任意選択によりpHを約4.0〜5.0に低下させる工程、および、
(c)その後、前記粒子状物質から前記水溶液を分離し、それによって請求項1に記載の水溶性ポリペプチド組成物用の濃縮された溶液を得る工程、
を含む方法。
【請求項5】
前記出発原料が、乳清、キャノーラミール、キャノーラタンパク質単離物、ヒマミール、ヒマタンパク質単離物、大豆ミール、大豆タンパク質単離物、またはこれらの組み合わせである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(i)工程(a)の前に、前記出発原料を酵素で消化する工程、
(ii)工程(a)の後に、前記懸濁液を酵素で消化する工程、
(iii)工程(b)の後に、前記懸濁液を酵素で消化する工程、または
(iv)工程(c)の後に、前記水溶性ポリペプチド組成物用の濃縮された溶液を酵素で消化する工程、
の1つ以上をさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記酵素が、セリン特異性プロテアーゼ、ロイシン特異性プロテアーゼ、リシン特異性プロテアーゼ、またはアルギニン特異性プロテアーゼである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)で得られた前記水溶性ポリペプチド組成物を乾燥させる工程をさらに含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性タンパク質を使用して製造されるフォーム。
【請求項10】
(a)イソシアネートをベースにする反応物、
(b)任意選択のイソシアネート反応性化合物、および
(c)
i.請求項1〜4のいずれか一項に記載の水溶性ポリペプチド組成物、または
ii.前記同じ混合物から製造されたが前記タンパク質含有組成物を含まないポリウレタンフォームと比較して、前記ポリウレタンフォームの密度を少なくとも5%低下させることができるタンパク質含有組成物、
を含むタンパク質含有組成物、
を含む混合物の反応生成物を含むポリウレタンフォーム。
【請求項11】
(a)単離されたタンパク質を含有する組成物であって、前記タンパク質が水性媒体中にPMDIを分散させることができる組成物、
(b)イソシアネートをベースにする反応物、および
(c)任意選択のイソシアネート反応性化合物、
を含む混合物の反応生成物を含むポリウレタンフォーム。
【請求項12】
前記イソシアネートをベースにする反応物が有機ポリイソシアネートである、請求項10または11に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項13】
前記有機ポリイソシアネートが、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせである、請求項12に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項14】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレート、またはこれらの組み合わせを含む、請求項10または11に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項15】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートである、請求項10または11に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項16】
前記イソシアネート反応性化合物が、イソシアネートと求核反応する化合物である、請求項10〜15のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項17】
前記イソシアネート反応性化合物が、前記イソシアネートと反応できるヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物である、請求項16に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項18】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオールである、請求項10〜17のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項19】
前記イソシアネート反応性化合物が、ヒマシ油、アマニ油、または大豆油由来のポリオールである、請求項10〜18のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項20】
前記イソシアネート反応性化合物が、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、またはこれらの混合物からなる群から選択される化合物を開始剤として用いたポリオールである、請求項10〜18のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項21】
前記イソシアネート反応性化合物が、ヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィンまたはポリシロキサンであるか、またはグリコールもしくはそれより高官能基数のポリオールとジカルボン酸との縮合によって得られるポリエステルである、請求項10〜18のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項22】
前記イソシアネート反応性化合物が、ポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、アミンアルコキシレート、またはこれらの混合物である、請求項10〜18のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項23】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオキシプロピレングリコールである、請求項10〜18のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項24】
前記混合物が界面活性剤をさらに含む、請求項10〜23のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項25】
前記フォームの密度が、ASTM D−7487で測定した場合、約0.01g/cm3〜約0.5g/cm3の範囲である、請求項10〜24のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項26】
前記フォームの密度が、前記同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性ポリペプチド組成物または前記タンパク質含有組成物を含まないフォームより5%〜80%低密度である、請求項10〜25のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項27】
ASTM D−7487で定義されるフォームクリームタイムが、1分未満である、請求項10〜26のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項28】
ASTM D7487で測定されるフォーム自由発泡高さが、前記同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性ポリペプチド組成物または前記タンパク質含有組成物を含まないフォームのフォーム自由発泡高さより大きい、請求項10〜27のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項29】
前記フォーム自由発泡高さが、前記同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性ポリペプチド組成物または前記タンパク質含有組成物を含まないフォームのフォーム自由発泡高さより少なくとも5%大きい、請求項28に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項30】
前記フォームが、前記同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性ポリペプチド組成物または前記タンパク質含有組成物を含まないフォームと比較して、小さく、均一な気泡をより多く有する、請求項10〜28のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項31】
ポリウレタンフォームの製造方法であって、
(a)タンパク質含有組成物とイソシアネートをベースにする反応物を混合して混合物を製造する工程、および
(b)前記混合物からポリウレタンフォームを製造可能にする工程、
を含み、前記タンパク質含有組成物は、前記同じ混合物から製造されたが前記タンパク質含有成分を含まないポリウレタンフォームと比較して、前記ポリウレタンフォームの密度を少なくとも5%低下させることができる方法。
【請求項32】
前記タンパク質含有組成物が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性ポリペプチド組成物を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記工程(a)の混合物が、イソシアネート反応性化合物をさらに含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記イソシアネートをベースにする反応物が有機ポリイソシアネートである、請求項31〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記有機ポリイソシアネートが、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレート、またはこれらの組み合わせを含む、請求項31〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートである、請求項31〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記イソシアネート反応性化合物が、イソシアネートと求核反応する、請求項31〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記イソシアネート反応性化合物が、前記イソシアネートと反応できるヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオールである、請求項33〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記イソシアネート反応性化合物が、ヒマシ油、アマニ油、または大豆油由来のポリオールである、請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記イソシアネート反応性化合物が、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、またはこれらの混合物からなる群から選択される化合物を開始剤として用いたポリオールである、請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記イソシアネート反応性化合物が、グリコールもしくはそれより高官能基数のポリオールとジカルボン酸との縮合によって得られるポリエステル、またはヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィンまたはポリシロキサンである、請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記イソシアネート反応性化合物が、ポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、アミンアルコキシレート、またはこれらの混合物である、請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオキシプロピレングリコールである、請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記工程(a)の混合物が、発泡剤、または発泡剤を生成する化合物をさらに含む、請求項31〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記発泡剤を生成する化合物が水である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記水溶性タンパク質を、水中に、前記イソシアネートをベースにする反応物を含有する溶液中に、または前記イソシアネート反応性物質を含有する溶液中に溶解、分散、または懸濁させる、請求項31〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記工程(a)の混合物が、前記フォームの生成を促進する触媒をさらに含む、請求項31〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記触媒が、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、トリエチレンジアミン、2,2’−ジメチルアミノジエチルエーテル、2−ジメチルアミノエタノール、オクタン酸第一錫、オクタン酸カリウム、カルボン酸のアルカリ金属塩、またはこれらの組み合わせである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記工程(a)の混合物が界面活性剤をさらに含む、請求項31〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記界面活性剤がポリエーテルシリコーンである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記工程(a)の混合物が、難燃剤、充填剤、補強剤、煙抑制剤、殺生物剤、不活性可塑剤、帯電防止剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項31〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、前記フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する、請求項31〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記イソシアネート反応性化合物が、前記フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する、請求項31〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記フォームが、約250%〜約800%の範囲のインデックスで製造される、請求項31〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記水溶性ポリペプチド組成物または前記タンパク質含有バイオマスが、前記フォームの製造に使用される出発原料の約0.1%(w/w)〜約50%(w/w)を構成する、請求項31〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
ポリウレタンフォームを製造するためのプレミックスであって、
(a)タンパク質含有組成物、および
(b)イソシアネートをベースにする反応物、
を含み、前記タンパク質含有組成物は、前記同じ混合物から製造されたが前記タンパク質含有成分を含まないポリウレタンフォームと比較して、前記ポリウレタンフォームの密度を少なくとも5%低下させることができるプレミックス。
【請求項59】
前記タンパク質含有組成物が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性ポリペプチド組成物を含む、請求項58に記載のプレミックス。
【請求項60】
前記イソシアネートをベースにする反応物が有機ポリイソシアネートである、請求項58または59に記載のプレミックス。
【請求項61】
前記有機ポリイソシアネートが、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせである、請求項60に記載のプレミックス。
【請求項62】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレート、またはこれらの組み合わせを含む、請求項58または59のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項63】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートである、請求項58または59に記載のプレミックス。
【請求項64】
イソシアネート反応性化合物をさらに含む、請求項58〜63のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項65】
前記イソシアネート反応性化合物が、イソシアネートと求核反応する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記イソシアネート反応性化合物が、前記イソシアネートと反応できるヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物である、請求項65に記載のプレミックス。
【請求項67】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオールである、請求項64〜66のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項68】
前記イソシアネート反応性化合物が、ヒマシ油、アマニ油、または大豆油由来のポリオールである、請求項64〜66のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項69】
前記イソシアネート反応性化合物が、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、またはこれらの混合物からなる群から選択される化合物を開始剤として用いたポリオールである、請求項64〜66のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項70】
前記イソシアネート反応性化合物が、グリコールもしくはそれより高官能基数のポリオールとジカルボン酸との縮合によって得られるポリエステル、またはヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィンまたはポリシロキサンである、請求項64〜66のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項71】
前記イソシアネート反応性化合物が、ポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、アミンアルコキシレート、またはこれらの混合物である、請求項64〜66のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項72】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオキシプロピレングリコールである、請求項64〜66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
発泡剤、または発泡剤を生成する化合物をさらに含む、請求項58〜72のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項74】
前記フォームの生成を促進する触媒をさらに含む、請求項58〜73のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項75】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、前記プレミックスの約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する、請求項58〜74のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項76】
前記イソシアネート反応性化合物が、前記プレミックスの約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する、請求項58〜75のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項77】
前記タンパク質含有組成物が、前記フォームの製造に使用される出発原料の約0.1%(w/w)〜約99%(w/w)を構成する、請求項58〜76のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項78】
請求項10〜30のいずれか一項に記載のフォームを含む物品。
【請求項79】
前記タンパク質含有組成物が、PMDIを水性媒体中に分散させることができるタンパク質をさらに含む、請求項10に記載のポリウレタンフォームまたは請求項59に記載のプレミックス。
【請求項80】
前記タンパク質が次の特徴、
(a)固体状態FTIRで測定した場合、約1633cm−1〜1680cm−1のアミド−I吸収帯、
(b)固体状態FTIRで測定した場合、約1522cm−1〜1560cm−1のアミド−II吸収帯、
(c)固体状態FTIRで測定した場合、約3200cm−1および約3300cm−1を中心とする2つの顕著な1°アミドN−H伸縮振動吸収帯、
(d)溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と、約7.6ppm〜約8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核の顕著なクラスター、
(e)約600〜約2,500ダルトンの平均分子量、
(f)水中油型エマルションを安定化できないことであって、水86重量部に溶解または分散したタンパク質14重量部を含む水溶液を、PMDI14重量部と混合した場合、前記水溶液と前記PMDIが混合後5分以内に静的状態で巨視的に相分離する不安定な懸濁液を形成すること、
の1つ以上を有する、請求項11または79に記載のポリウレタンフォームまたは請求項79に記載のプレミックス。
【請求項1】
ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができる単離された水溶性ポリペプチド組成物であって、次の特徴、
(a)固体状態FTIRで測定した場合、約1633cm−1〜1680cm−1のアミド−I吸収帯、
(b)固体状態FTIRで測定した場合、約1522cm−1〜1560cm−1のアミド−II吸収帯、
(c)固体状態FTIRで測定した場合、約3200cm−1および約3300cm−1を中心とする2つの顕著な1°アミドN−H伸縮振動吸収帯、
(d)溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と、約7.6ppm−約8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核の顕著なクラスター、
(e)約600〜約2,500ダルトンの平均分子量、
(f)水中油型エマルションを安定化できないことであって、水86重量部に溶解または分散したタンパク質14重量部を含む水溶液を、PMDI14重量部と混合した場合、前記水溶液と前記PMDIが混合後5分以内に静的状態で巨視的に相分離する不安定な懸濁液を形成すること、
(g)前記水溶性ポリペプチド組成物は、同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性タンパク質組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームを安定化させることができること、または、
(h)前記水溶性ポリペプチド組成物は、前記同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性ポリペプチド組成物を含まないポリウレタンをベースにするフォームと比較して、ポリウレタンをベースにするフォームの密度を少なくとも5%低下させることができること、
の1つ以上を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、乳清、コーン、小麦、ヒマワリ、木綿、菜種、キャノーラ、ヒマ、大豆、アマナズナ、亜麻、ナンヨウアブラギリ、アオイ科植物、落花生、タバコ、藻類、サトウキビ搾りかす、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されるバイオマスに由来する、請求項1に記載のポリペプチド組成物。
【請求項3】
前記組成物が、乳清、キャノーラ、ヒマ、または大豆に由来する、請求項1に記載のポリペプチド組成物。
【請求項4】
フォームの製造に使用される単離された水溶性ポリペプチド組成物の製造方法であって、
(a)タンパク質含有出発原料をpH約6.5超の水溶液中に少なくとも5分間分散させ、粒子状物質を含有する懸濁液を製造する工程、
(b)工程(a)の後に、任意選択によりpHを約4.0〜5.0に低下させる工程、および、
(c)その後、前記粒子状物質から前記水溶液を分離し、それによって請求項1に記載の水溶性ポリペプチド組成物用の濃縮された溶液を得る工程、
を含む方法。
【請求項5】
前記出発原料が、乳清、キャノーラミール、キャノーラタンパク質単離物、ヒマミール、ヒマタンパク質単離物、大豆ミール、大豆タンパク質単離物、またはこれらの組み合わせである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(i)工程(a)の前に、前記出発原料を酵素で消化する工程、
(ii)工程(a)の後に、前記懸濁液を酵素で消化する工程、
(iii)工程(b)の後に、前記懸濁液を酵素で消化する工程、または
(iv)工程(c)の後に、前記水溶性ポリペプチド組成物用の濃縮された溶液を酵素で消化する工程、
の1つ以上をさらに含む、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記酵素が、セリン特異性プロテアーゼ、ロイシン特異性プロテアーゼ、リシン特異性プロテアーゼ、またはアルギニン特異性プロテアーゼである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(c)で得られた前記水溶性ポリペプチド組成物を乾燥させる工程をさらに含む、請求項4〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性タンパク質を使用して製造されるフォーム。
【請求項10】
(a)イソシアネートをベースにする反応物、
(b)任意選択のイソシアネート反応性化合物、および
(c)
i.請求項1〜4のいずれか一項に記載の水溶性ポリペプチド組成物、または
ii.前記同じ混合物から製造されたが前記タンパク質含有組成物を含まないポリウレタンフォームと比較して、前記ポリウレタンフォームの密度を少なくとも5%低下させることができるタンパク質含有組成物、
を含むタンパク質含有組成物、
を含む混合物の反応生成物を含むポリウレタンフォーム。
【請求項11】
(a)単離されたタンパク質を含有する組成物であって、前記タンパク質が水性媒体中にPMDIを分散させることができる組成物、
(b)イソシアネートをベースにする反応物、および
(c)任意選択のイソシアネート反応性化合物、
を含む混合物の反応生成物を含むポリウレタンフォーム。
【請求項12】
前記イソシアネートをベースにする反応物が有機ポリイソシアネートである、請求項10または11に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項13】
前記有機ポリイソシアネートが、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせである、請求項12に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項14】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレート、またはこれらの組み合わせを含む、請求項10または11に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項15】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートである、請求項10または11に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項16】
前記イソシアネート反応性化合物が、イソシアネートと求核反応する化合物である、請求項10〜15のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項17】
前記イソシアネート反応性化合物が、前記イソシアネートと反応できるヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物である、請求項16に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項18】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオールである、請求項10〜17のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項19】
前記イソシアネート反応性化合物が、ヒマシ油、アマニ油、または大豆油由来のポリオールである、請求項10〜18のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項20】
前記イソシアネート反応性化合物が、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、またはこれらの混合物からなる群から選択される化合物を開始剤として用いたポリオールである、請求項10〜18のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項21】
前記イソシアネート反応性化合物が、ヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィンまたはポリシロキサンであるか、またはグリコールもしくはそれより高官能基数のポリオールとジカルボン酸との縮合によって得られるポリエステルである、請求項10〜18のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項22】
前記イソシアネート反応性化合物が、ポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、アミンアルコキシレート、またはこれらの混合物である、請求項10〜18のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項23】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオキシプロピレングリコールである、請求項10〜18のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項24】
前記混合物が界面活性剤をさらに含む、請求項10〜23のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項25】
前記フォームの密度が、ASTM D−7487で測定した場合、約0.01g/cm3〜約0.5g/cm3の範囲である、請求項10〜24のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項26】
前記フォームの密度が、前記同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性ポリペプチド組成物または前記タンパク質含有組成物を含まないフォームより5%〜80%低密度である、請求項10〜25のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項27】
ASTM D−7487で定義されるフォームクリームタイムが、1分未満である、請求項10〜26のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項28】
ASTM D7487で測定されるフォーム自由発泡高さが、前記同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性ポリペプチド組成物または前記タンパク質含有組成物を含まないフォームのフォーム自由発泡高さより大きい、請求項10〜27のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項29】
前記フォーム自由発泡高さが、前記同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性ポリペプチド組成物または前記タンパク質含有組成物を含まないフォームのフォーム自由発泡高さより少なくとも5%大きい、請求項28に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項30】
前記フォームが、前記同じ出発組成物から製造されたが前記水溶性ポリペプチド組成物または前記タンパク質含有組成物を含まないフォームと比較して、小さく、均一な気泡をより多く有する、請求項10〜28のいずれか一項に記載のポリウレタンフォーム。
【請求項31】
ポリウレタンフォームの製造方法であって、
(a)タンパク質含有組成物とイソシアネートをベースにする反応物を混合して混合物を製造する工程、および
(b)前記混合物からポリウレタンフォームを製造可能にする工程、
を含み、前記タンパク質含有組成物は、前記同じ混合物から製造されたが前記タンパク質含有成分を含まないポリウレタンフォームと比較して、前記ポリウレタンフォームの密度を少なくとも5%低下させることができる方法。
【請求項32】
前記タンパク質含有組成物が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性ポリペプチド組成物を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記工程(a)の混合物が、イソシアネート反応性化合物をさらに含む、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記イソシアネートをベースにする反応物が有機ポリイソシアネートである、請求項31〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記有機ポリイソシアネートが、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせである、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレート、またはこれらの組み合わせを含む、請求項31〜35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートである、請求項31〜33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記イソシアネート反応性化合物が、イソシアネートと求核反応する、請求項31〜37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記イソシアネート反応性化合物が、前記イソシアネートと反応できるヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物である、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオールである、請求項33〜38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記イソシアネート反応性化合物が、ヒマシ油、アマニ油、または大豆油由来のポリオールである、請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記イソシアネート反応性化合物が、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、またはこれらの混合物からなる群から選択される化合物を開始剤として用いたポリオールである、請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記イソシアネート反応性化合物が、グリコールもしくはそれより高官能基数のポリオールとジカルボン酸との縮合によって得られるポリエステル、またはヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィンまたはポリシロキサンである、請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記イソシアネート反応性化合物が、ポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、アミンアルコキシレート、またはこれらの混合物である、請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオキシプロピレングリコールである、請求項31〜39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記工程(a)の混合物が、発泡剤、または発泡剤を生成する化合物をさらに含む、請求項31〜45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記発泡剤を生成する化合物が水である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記水溶性タンパク質を、水中に、前記イソシアネートをベースにする反応物を含有する溶液中に、または前記イソシアネート反応性物質を含有する溶液中に溶解、分散、または懸濁させる、請求項31〜47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記工程(a)の混合物が、前記フォームの生成を促進する触媒をさらに含む、請求項31〜48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記触媒が、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、トリエチレンジアミン、2,2’−ジメチルアミノジエチルエーテル、2−ジメチルアミノエタノール、オクタン酸第一錫、オクタン酸カリウム、カルボン酸のアルカリ金属塩、またはこれらの組み合わせである、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記工程(a)の混合物が界面活性剤をさらに含む、請求項31〜50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記界面活性剤がポリエーテルシリコーンである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記工程(a)の混合物が、難燃剤、充填剤、補強剤、煙抑制剤、殺生物剤、不活性可塑剤、帯電防止剤、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される添加剤をさらに含む、請求項31〜52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、前記フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する、請求項31〜53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記イソシアネート反応性化合物が、前記フォームの製造に使用される出発原料の約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する、請求項31〜54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記フォームが、約250%〜約800%の範囲のインデックスで製造される、請求項31〜55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記水溶性ポリペプチド組成物または前記タンパク質含有バイオマスが、前記フォームの製造に使用される出発原料の約0.1%(w/w)〜約50%(w/w)を構成する、請求項31〜56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
ポリウレタンフォームを製造するためのプレミックスであって、
(a)タンパク質含有組成物、および
(b)イソシアネートをベースにする反応物、
を含み、前記タンパク質含有組成物は、前記同じ混合物から製造されたが前記タンパク質含有成分を含まないポリウレタンフォームと比較して、前記ポリウレタンフォームの密度を少なくとも5%低下させることができるプレミックス。
【請求項59】
前記タンパク質含有組成物が、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水溶性ポリペプチド組成物を含む、請求項58に記載のプレミックス。
【請求項60】
前記イソシアネートをベースにする反応物が有機ポリイソシアネートである、請求項58または59に記載のプレミックス。
【請求項61】
前記有機ポリイソシアネートが、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ベンゼンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、ジアニシジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、またはこれらの組み合わせである、請求項60に記載のプレミックス。
【請求項62】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ウレタン、アロファネート、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、イソシアヌレート、またはこれらの組み合わせを含む、請求項58または59のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項63】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、ポリメリックジフェニルメタンジイソシアネートである、請求項58または59に記載のプレミックス。
【請求項64】
イソシアネート反応性化合物をさらに含む、請求項58〜63のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項65】
前記イソシアネート反応性化合物が、イソシアネートと求核反応する、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記イソシアネート反応性化合物が、前記イソシアネートと反応できるヒドロキシル基またはアミノ基を有する化合物である、請求項65に記載のプレミックス。
【請求項67】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオールである、請求項64〜66のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項68】
前記イソシアネート反応性化合物が、ヒマシ油、アマニ油、または大豆油由来のポリオールである、請求項64〜66のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項69】
前記イソシアネート反応性化合物が、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ショ糖、ジアミン、トリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ポリメチレンポリフェニレンポリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、またはこれらの混合物からなる群から選択される化合物を開始剤として用いたポリオールである、請求項64〜66のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項70】
前記イソシアネート反応性化合物が、グリコールもしくはそれより高官能基数のポリオールとジカルボン酸との縮合によって得られるポリエステル、またはヒドロキシル末端ポリチオエーテル、ポリアミド、ポリエステルアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリオレフィンまたはポリシロキサンである、請求項64〜66のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項71】
前記イソシアネート反応性化合物が、ポリオキシプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイド−エチレンオキサイド、プロピレングリコール、プロパンジオール、グリセリン、アミンアルコキシレート、またはこれらの混合物である、請求項64〜66のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項72】
前記イソシアネート反応性化合物がポリオキシプロピレングリコールである、請求項64〜66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
発泡剤、または発泡剤を生成する化合物をさらに含む、請求項58〜72のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項74】
前記フォームの生成を促進する触媒をさらに含む、請求項58〜73のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項75】
前記イソシアネートをベースにする反応物が、前記プレミックスの約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する、請求項58〜74のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項76】
前記イソシアネート反応性化合物が、前記プレミックスの約10%(w/w)〜約90%(w/w)を構成する、請求項58〜75のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項77】
前記タンパク質含有組成物が、前記フォームの製造に使用される出発原料の約0.1%(w/w)〜約99%(w/w)を構成する、請求項58〜76のいずれか一項に記載のプレミックス。
【請求項78】
請求項10〜30のいずれか一項に記載のフォームを含む物品。
【請求項79】
前記タンパク質含有組成物が、PMDIを水性媒体中に分散させることができるタンパク質をさらに含む、請求項10に記載のポリウレタンフォームまたは請求項59に記載のプレミックス。
【請求項80】
前記タンパク質が次の特徴、
(a)固体状態FTIRで測定した場合、約1633cm−1〜1680cm−1のアミド−I吸収帯、
(b)固体状態FTIRで測定した場合、約1522cm−1〜1560cm−1のアミド−II吸収帯、
(c)固体状態FTIRで測定した場合、約3200cm−1および約3300cm−1を中心とする2つの顕著な1°アミドN−H伸縮振動吸収帯、
(d)溶液状態二次元プロトン−窒素相関NMRで測定した場合、約94ppm−約100ppmの15N化学シフト範囲と、約7.6ppm〜約8.1ppmの1H化学シフト範囲とによって画定されるプロトン化窒素核の顕著なクラスター、
(e)約600〜約2,500ダルトンの平均分子量、
(f)水中油型エマルションを安定化できないことであって、水86重量部に溶解または分散したタンパク質14重量部を含む水溶液を、PMDI14重量部と混合した場合、前記水溶液と前記PMDIが混合後5分以内に静的状態で巨視的に相分離する不安定な懸濁液を形成すること、
の1つ以上を有する、請求項11または79に記載のポリウレタンフォームまたは請求項79に記載のプレミックス。
【図15】
【図16】
【図17(A)】
【図17(B)】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図18】
【図19】
【図16】
【図17(A)】
【図17(B)】
【図1】
【図2】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図18】
【図19】
【公表番号】特表2012−519760(P2012−519760A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553168(P2011−553168)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/026553
【国際公開番号】WO2010/102297
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511215001)バイオポリマー テクノロジーズ, リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/026553
【国際公開番号】WO2010/102297
【国際公開日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(511215001)バイオポリマー テクノロジーズ, リミテッド (1)
【Fターム(参考)】
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