説明

タンパク質含有食品用改良剤及びそれを用いたタンパク質含有食品

【課題】 タンパク質含有食品の加工調理の際の作業性が良好であり、風味と食感に優れ、更には加熱調理後に冷凍やチルドでの保存を経た後の電子レンジ加熱など、再加熱後も良好な風味と食感を損なうことがない、タンパク質含有食品用改良剤及びそれを用いたタンパク質含有食品を提供する。
【解決手段】 増粘多糖として、グルコマンナンと、その他の増粘多糖とを含む水溶液中に、澱粉を均一に分散させて改良剤を得る。この改良剤をタンパク質含有食品中に0.3〜50質量%配合する。前記増粘多糖全体の含有量が0.05〜7質量%であることが好ましく、澱粉の含有量が0.1〜25質量%であることが好ましい。更に、増粘多糖として、グルコマンナンとカラギーナンとを含むことが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質含有食品の食感や風味、物性を改善するために用いられるタンパク質含有食品用改良剤、及びそれを用いたタンパク質含有食品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、食品の食感や風味、物性を改善する目的で、グルコマンナンやそれ以外の増粘多糖、又は澱粉を食品に様々な方法で添加することが行なわれている。
【0003】
例えば、グルコマンナンはコンニャク芋に含まれる多糖類であり、水との親和性が優れており、天然の高分子多糖のなかでは最も粘度が高い。また、その水溶液は、アルカリ性にして加熱をすることで、不可逆的にゲルを生成するという特徴を有しており、飲食品に添加することで保水性を向上させ、食感を改善することができる。
【0004】
下記特許文献1には、グルコマンナンを含む水溶液中に、内層にアルカリ水溶液を含むW/O型エマルジョンが均一に分散している改良剤を、挽肉に添加してハンバーグを製造する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−000113
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の方法によれば、歩留が高く、ソフトで食感の好ましいハンバーグを製造することができるが、その一方で弾力に乏しいなどの若干の欠点があり、改善の余地があった。
【0006】
よって、本発明は、タンパク質含有食品の加工調理の際の作業性が良好であり、風味と食感に優れ、更には加熱調理後に冷凍やチルドでの保存を経た後の電子レンジ加熱など、再加熱後も良好な風味と食感を損なうことがない、タンパク質含有食品用改良剤及びそれを用いたタンパク質含有食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、増粘多糖として、グルコマンナンと、その他の増粘多糖とを含む水溶液中に、澱粉が均一に分散した水溶液をタンパク質含有食品に添加することで、これらを単独で添加したときには得られない、より優れた改良効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明のタンパク質含有食品用改良剤は、増粘多糖として、グルコマンナンと、その他の増粘多糖とを含む水溶液中に、澱粉が均一に分散していることを特徴とする。
【0009】
本発明のタンパク質含有食品用改良剤においては、前記その他の増粘多糖が、グアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ヘミセルロース、ペクチン、寒天の中から選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
【0010】
また、増粘多糖全体の含有量が0.05〜7質量%であることが好ましい。更に、澱粉の含有量が0.1〜25質量%であることが好ましい。
【0011】
更に、増粘多糖として、グルコマンナンとカラギーナンとを含むことが好ましい。
【0012】
更に、前記カラギーナンが、イオタ(ι)タイプのカラギーナン、又はイオタ(ι)タイプのカラギーナンを50質量%以上含有するカラギーナン製剤であることが好ましい。
【0013】
更にまた、増粘多糖として、グルコマンナンとその他の増粘多糖とを質量比で95:5〜5:95の比率で含有することが好ましい。
【0014】
また、本発明のタンパク質含有食品は、上記改良剤を含有することを特徴とする。
【0015】
この場合、上記改良剤が0.3〜50質量%配合されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のタンパク質含有食品用改良剤は、増粘多糖として、グルコマンナンと、その他の増粘多糖とを含む水溶液中に、澱粉を均一に分散しているタンパク質を含有する各種の食品に添加することにより、その食感や風味、物性を改善することができる。特に、加熱調理後に冷凍やチルド保存し、電子レンジ等で解凍して食される食品に添加することにより、その歩留まりを向上させ、食感、風味等を改善して、美味しさを保つことができる。
【0017】
また、上記改良剤を配合された本発明のタンパク質含有食品は、食感や風味が良好であり、加熱調理後に冷凍やチルド保存し、電子レンジ等で解凍して食しても、ドリップ等が少なく、ソフトで適度な弾力性があり、ジューシー感が維持され、美味しさが保たれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明のタンパク質含有食品用改良剤は、増粘多糖として、グルコマンナンと、その他の増粘多糖とを含む水溶液中に、澱粉を均一に分散させたものである。
【0019】
本発明で用いるグルコマンナンは、特に制限は無く、こんにゃく芋を乾燥、粉末化して得られる通常のこんにゃく粉、こんにゃく粉を精製したグルコマンナン等を用いることができる。本発明においては、風味や色の点から、除タンパクしたこんにゃく粉が好ましく用いられる。
【0020】
また、グルコマンナン以外の増粘多糖としては、食品グレードのものであれば特に制限されないが、例えばグアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ヘミセルロース、ペクチン、寒天、カードラン、プルラン、カルボキシメチルセルロースなどの天然高分子多糖類や合成高分子多糖類から広く選択することが可能であり、これらの中から1種又は2種類以上を選択して使用することが可能である。なかでも、グアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ヘミセルロース、ペクチン、寒天から選ばれた1種又は2種以上が好ましく、カラギーナンを用いることが特に好ましい。
【0021】
本発明で用いるカラギーナンは、食品グレードのものであれば特に限定されない。カラギーナンは、その構成糖の構造の違いから、κ(カッパ)タイプ、ι(イオタ)タイプ、λ(ラムダ)タイプの3種類に分類されている。本発明で用いるカラギーナンは、精製されたもの、もしくは粗精製のもののどちらでも特に制限されないが、ゲル強度及びそれを食品に添加したときの効果の面から、好ましくはιタイプを主成分として含有するものが好ましく、更にはιタイプの含有量が50質量%以上のものが特に好ましい。
【0022】
前記増粘多糖の全体量、すなわち、グルコマンナンと、その他の増粘多糖との合計量が、最終的に改良剤中に0.05〜7質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることが更に好ましい。前記増粘多糖の全体量が0.05質量%未満であると、本発明の改良剤の効果が期待できず、また、7質量%よりも多いと、粘性が著しく上昇し、製造が困難になることがある。
【0023】
また、増粘多糖中における、グルコマンナンと、その他の増粘多糖との配合比率は、質量比で95:5〜5:95であることが好ましく、50:50〜5:95であることが更に好ましく、35:65〜5:95であることが最も好ましい。増粘多糖中におけるその他の増粘多糖の配合比率が5%より少ないと、これを添加したタンパク質含有食品が好ましい食感が得られない。増粘多糖中におけるその他の増粘多糖の配合比率が95%より多いと、加熱した際の流動性が高くなりすぎ、本発明の改良剤を添加したタンパク質含有食品を加熱した際、熱により食品の外に流出してしまい、効果が充分に発揮できなくなる恐れがある。
【0024】
本発明の改良剤は、増粘多糖として、グルコマンナンと、その他の増粘剤とを含む水溶液に、澱粉を均一に分散させた混合物からなっており、この改良剤は、食品中に容易に分散させることができる。この改良剤を含む食品を加熱すると、この改良剤が食品中で溶融する一方で、澱粉が吸水して膨潤するため、食品の食感や物性を効果的に改善でき、食品に所望の物性を付与することができる。また、チルド耐性、冷凍耐性等の保存安定性を効果的に改善できる。
【0025】
本発明の改良剤に使用する澱粉については、特に制限は無く、例えばコーンスターチ、ワキシーコーンスターチ、ハイアミロースコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉、小麦澱粉、米澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉など、通常市販されているものを用いることができ、好ましくはワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、馬鈴薯澱粉の1種又は2種以上である。
【0026】
また、澱粉は未加工のものであってもよいが、好ましくは化学的又は/及び物理的に処理された加工品である。澱粉の加工方法は、例えば酸処理、エステル化処理、エーテル化処理、架橋処理、油脂加工処理、湿熱処理が挙げられ、これら加工方法を1種又は2種以上を選択して組み合わせてもよい。
【0027】
本発明の改良剤への澱粉の添加量は0.1〜25質量%が好ましく、1〜10質量%であることが更に好ましい。本発明の改良剤への澱粉の添加量が0.1質量%未満であると、澱粉によって期待できる食感の改善効果が乏しくなり、25質量%より多いと、澱粉の食感が強くなりすぎ、食感のバランスが崩れる恐れがある。
【0028】
また、本発明の改良剤には、更に糖類を添加してもよい。糖類としては、特に制限は無く、砂糖、ブドウ糖、異性化糖、マルトース、トレハロース、ソルビトール、ラクチトール、エリスリトール等の糖並びに糖アルコール、各種オリゴ糖、及びそれらの混合物を用いることができる。上記オリゴ糖としては、マルトオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パノースオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖及びそれらのシロップ等が挙げられる。これらの糖類は水溶液にして、改良剤中に均一に分散又は溶解させることが好ましい。
【0029】
糖液を添加することで、グルコマンナンとその他の増粘多糖とを含む水溶液がゲル状に変化することを抑制することができ、該改良剤を食品原料に添加して加工する際に、混合しやすくするなどの作業性を改善することができる。また、糖液がタンパク素材の物性や食感、食味を効果的に改善することが期待できる。
【0030】
また、本発明の改良剤には、有機塩類や無機塩類を添加することが可能である。有機塩類や無機塩類を添加することで、この改良剤とそれを添加したタンパク質含有食品に所望の効果、機能を付与することが可能となる。これら有機塩類や無機塩類は、直接添加する方法、水溶液にして添加する方法、更には乳化液にして添加する方法のいずれの方法でも添加が可能である。
【0031】
本発明の改良剤は、タンパク質含有食品に0.3〜50質量%配合されることが好ましく、0.5〜25質量%配合されることが更に好ましく、0.5〜20質量%配合されることが最も好ましい。タンパク質含有食品への改良剤の配合率は、0.3質量%より少ないと、本発明の改良剤の効果が殆ど期待できず、また、50質量%より多いと、それを配合したタンパク質含有食品の食味、食感が、本来のそれらから大きく異なってしまい、好ましくない。
【0032】
本発明の改良剤の対象となるタンパク質とは、例えば、牛肉、豚肉、羊肉、山羊肉、馬肉、家兎肉、鹿肉などの畜肉や、鶏肉、アヒル肉、ガチョウ肉、七面鳥肉等の家禽肉や、魚、イカ、タコ、エビ、カニ等の魚介肉など、加熱などの処理が施されていない肉類の他、牛、山羊、羊などの家畜類の乳や、これらの乳から抽出又は精製したタンパク質や、鶏、鶉、アヒルなど家禽類の卵や、大豆や小麦等の植物性タンパク質や、これを加工した食品、これらの植物から抽出又は精製されたタンパク質、などを含むものである。
【0033】
本発明におけるタンパク質含有食品としては、タンパク質を含んでいるものであれば特に制限はされないが、例えば、食パン、フランスパン、ロールパン、菓子パン、デニッシュなどのパン類;スポンジケーキ、パウンドケーキ、シュー皮、ホットケーキ、クッキー、ワッフル、クレープ、スフレ、パイ、ウエハース、パネトーネ、ババロア、プリン、ムース、マシュマロなどの洋菓子類;クリーム類;アイスクリーム、ソフトクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベットなどの冷菓類;ソーセージ類、ハンバーグ、ハンバーグパティ、ナゲット、つくね、肉団子、メンチカツ、コロッケ、ギョウザ、シュウマイ、中華まんの具、カマボコ、ハンペン、つみれ、エビ団子、イカ団子、ちくわ、魚肉ソーセージなどの獣畜肉や魚介肉を用いた加工食品類;厚揚げ、がんもどき、豆腐ハンバーグなどの大豆加工品;うどん、そば、中華面、パスタ等の麺類;ヨーグルトやチーズなどの乳製品;卵焼き、厚焼き玉子、オムレツ等の卵加工品が挙げられ、更にはこれらの食品を加工途中にレトルト処理、冷蔵、冷凍処理を行なったもの、及び最終商品形態としてレトルト食品、冷蔵・冷凍食品、缶詰用等に加工したものが挙げられる。
【0034】
本発明の改良剤の食品原料への添加方法は、特に制限はなく、例えばタンパク素材として肉類を用いる場合、上記改良剤を原料肉類と併せてカッティング又はチョッピングする方法、上記改良剤をピックル液に配合してインジェクション、タンブリング、カッティングする方法、上記改良剤を挽肉などの比較的細かい形状の肉類と併せて練りこむ方法などがあるが、この限りではない。
【実施例】
【0035】
(1)改良剤の調製
ジェランガム(三栄源FFI製)ι−カラギナン(商品名「GJ−300」、中央フーズマテリアル株式会社製)、グルコマンナン(商品名「プロポールA」、清水化学株式会社製)、リン酸架橋タピオカ澱粉(「日食ネオビスT−100」、日本食品化工株式会社製)、並びに水を下記表1に記載のとおりに配合し、均一なペーストとした。



【0036】
【表1】

【0037】
(2)改良剤を用いたハンバーグの調製1
下記表2に示す配合により、ハンバーグを調製した。
【0038】
【表2】

【0039】
表1に記載のハンバーグ原材料を1500gになるよう測り取り、十分に練り合わせた後、150gずつ小分けして円盤状に成型した。円盤状に成型したハンバーグ生地をホットプレートで中心温度が80〜85℃になるまで焼成した。調製した焼成済みハンバーグの重量を測定した後、その一部は凍結し、7日後にレンジ加温した。焼成直後の重量から次の式により焼成後歩留を算出した。
【0040】
焼成歩留(%)=100×焼成後重量÷焼成前重量
【0041】
また、焼成直後、ならびに冷凍したハンバーグのレンジ加温後について、熟練したパネラー10名により官能検査を行い、ソフトさ、弾力、ジューシーさ、美味しさの4項目について5点評価法で評価し、各項目それぞれの平均値を求めた。更に、官能検査によって得られた4項目の評価の平均値を総合評価とした。7日間凍結したハンバーグについては、冷凍したハンバーグをレンジ加温し、ソフトさ、弾力、ジューシーさ、美味しさの4項目について5点評価法で評価し、これら4項目の評価結果の平均値を、解凍品の美味しさとして示した。焼成歩留と官能検査の結果を下記表3に示す。
【0042】
【表3】

【0043】
試作例1は、本発明の改良剤を添加しない場合のハンバーグである。官能検査の結果、特に優れた項目は無く、冷凍品を解凍して評価した結果、食感が著しく劣化していた。試作例2は、本発明の改良剤として、実施例1である、増粘多糖にグルコマンナンとジェランガムを用いたものをハンバーグに配合した。焼成歩留が向上し、官能検査の結果も好ましく、また、解凍品の美味しさも、試作例1に比べて著しく向上した。試作例3は、本発明の改良剤として、実施例2である、増粘多糖にグルコマンナンとカラギーナンを用いたものをハンバーグに配合した。焼成歩留の向上効果が大きく、また、官能検査の結果も非常に優れたものとなった。更には、解凍品の美味しさも、試作例2よりも好ましい結果となった。試作例4は、改良剤として比較例1である、増粘多糖としてグルコマンナンしか含まないものをハンバーグに配合した。焼成歩留は高いものの、官能検査項目の中で弾力の結果が低く、解凍品の美味しさも試作例2又は3に大きく劣った。試作例5は、改良剤として比較例2である、増粘多糖としてカラギーナンは用いたがグルコマンナンを含まないものをハンバーグに配合した。焼成歩留は試作例1よりも高い値を示したが、官能検査の結果は総合評価として試作例4の結果と大きな差はなく、試作例2又は3よりも劣った結果となった。試作例6は、改良剤として比較例3である、増粘多糖としてカラギーナンを含み、グルコマンナンは用いたが、澱粉を使用しなかったものをハンバーグに配合した。焼成歩留が低く、官能検査の結果も特段好ましくなく、総合評価では試作例1よりは上回ったものの、試作例2又は3よりも大きく下回った。
【0044】
(3)改良剤を用いたハンバーグの調製2
実施例2の改良剤を使用し、表4の配合でハンバーグを調製した。ここでは、試験(2)の結果、最も好ましい評価であった実施例2の改良剤を用い、ハンバーグへ様々な添加率で配合した場合の効果を調べた。
【0045】
【表4】

【0046】
調製した焼成済みハンバーグの重量を測定した後、その一部は凍結し、7日後にレンジ加温した。焼成直後の重量から次の式により焼成後歩留を算出した。
【0047】
焼成歩留(%)=100×焼成後重量÷焼成前重量
【0048】
また、焼成直後、ならびに冷凍したハンバーグのレンジ加温後について、熟練したパネラー10名により官能検査を行い、ソフトさ、弾力、ジューシーさ、美味しさの4項目について5点評価法で評価し、各項目それぞれの平均値を求めた。更に、官能検査によって得られた4項目の評価の平均値を総合評価とした。7日間凍結したハンバーグについては、冷凍したハンバーグをレンジ加温し、ソフトさ、弾力、ジューシーさ、美味しさの4項目について5点評価法で評価し、これら4項目の評価結果の平均値を、解凍品の美味しさとして示した。焼成歩留と官能検査の結果を下記表5に示す。






【0049】
【表5】

【0050】
試作例6は本発明の改良剤を含まないハンバーグである。ソフトさ、弾力、ジューシーさ、美味しさの全ての項目において、特段優れてもおらず、標準的なハンバーグであった。これを7日間冷凍してレンジ加温したものは、硬く、弾力に乏しく、パサついた食感のハンバーグとなり、美味しさの点でも独特の臭みを有して低い評価となった。試験例7は、実施例2に示した改良剤をハンバーグに対して0.2%配合したものである。この場合、焼成歩留と官能検査の結果は、試作例1のそれらと違いが無く、本発明の効果が明確に確認されなかった。一方、試作例8および9は、当該発明であるペースト状改質剤を全量中5又は15%配合したハンバーグである。焼成歩留はペースト状改質剤の添加率が増えるに応じて増加した。また、官能検査の結果も、ソフトさ、弾力、ジューシーさ、美味しさ全ての点で添加率に応じて向上し、冷凍したものをレンジ加温しても、各項目の評点が殆ど低下しなかった。試作例10は、実施例2に示した改良剤をハンバーグ中に25%配合したものである。配合率が25%では、幾つかの項目で官能検査結果が試作例9より低くなるものがあったが、総合評価は試作例6に比べて高かった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、タンパク質含有食品の食感や風味、物性を改善するために用いられるタンパク質含有食品用改良剤、及びそれを用いたタンパク質含有食品として利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
増粘多糖として、グルコマンナンと、その他の増粘多糖とを含む水溶液中に、澱粉が均一に分散していることを特徴とするタンパク質含有食品用改良剤。
【請求項2】
前記その他の増粘多糖が、グアーガム、タマリンドガム、ローカストビーンガム、タラガム、キサンタンガム、ジェランガム、カラギーナン、ヘミセルロース、ペクチン、寒天の中から選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の改良剤。
【請求項3】
増粘多糖全体の含有量が0.05〜7質量%である請求項1又は2記載の改良剤。
【請求項4】
澱粉の含有量が0.1〜25質量%である請求項1〜3のいずれか1つに記載の改良剤。
【請求項5】
増粘多糖として、グルコマンナンとカラギーナンとを含む請求項1〜4のいずれか1つに記載の改良剤。
【請求項6】
前記カラギーナンが、イオタ(ι)タイプのカラギーナン、又はイオタ(ι)タイプのカラギーナンを50質量%以上含有するカラギーナン製剤である請求項5記載の改良剤。
【請求項7】
増粘多糖として、グルコマンナンとその他の増粘多糖とを質量比で95:5〜5:95の比率で含有する請求項1〜6のいずれか1つに記載の改良剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載の改良剤が配合されていることを特徴とするタンパク質含有食品。
【請求項9】
前記改良剤が0.3〜50質量%配合されている請求項8記載のタンパク質含有食品。

【公開番号】特開2006−262858(P2006−262858A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−89507(P2005−89507)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(000231453)日本食品化工株式会社 (68)
【Fターム(参考)】