説明

タンパク質産生のための至適化された宿主細胞

高レベルの組換えタンパク質を産生する細胞系統の選択は、バイオテクノロジーにおいて最も大きなチャレンジの1つである。本発明は、増加したレベルの関心のあるRNAまたはタンパク質を発現する細胞を単離するための方法に関連し、ここでその細胞は、増加したまたは減少した増殖速度を有する細胞、増加または減少したアポトーシスの割合、または二相性の増殖プロファイルを有する細胞のような、変化した増殖プロファイルを示す。ここでその細胞はまた、増加したレベルの関心のあるRNAまたはタンパク質を発現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2006年11月30日に出願された米国仮特許出願第60/872,281号からの優先権の利益を主張する。米国仮特許出願第60/872,281号の内容は、その全体が、本明細書中に参考として援用される。
【背景技術】
【0002】
高レベルの組換えタンパク質を産生する細胞系統の選択は、バイオテクノロジーにおいて最も大きなチャレンジの1つである。タンパク質産生のために使用する細胞の宿主集団は、多くの場合、異なる成長および他の性質を有する、遺伝的に不均一な細胞を代表する。そのような宿主集団が、1つの個々の細胞由来の集団を代表する場合でも、そのような細胞の培養は、時間につれて個々の細胞が1つまたはそれ以上の蓄積した遺伝的差異によって特徴づけられ得る細胞の集団を生じる。タンパク質産生のために、関心のあるタンパク質をコードする1つまたはそれ以上の遺伝配列を、細胞に導入する。遺伝配列を導入した集団の各細胞は、変動するコピー数の遺伝配列を取り込み得、そしてこれらはそれぞれその細胞のゲノム内の、変動する位置に組み込まれ得る。結果として、非常に多様な細胞が生じ、ここで各細胞は、関心のあるタンパク質の産生に関して異なる可能性を有し得る。タンパク質の産生に関して、遺伝配列を導入した宿主細胞の全てまたは一部のいずれかを使用することが可能である、またはこの集団から個々に単離された細胞由来のクローン集団の細胞、または細胞系統を試験して、最適なタンパク質産生および、タンパク質の産生に有利であり得る、ある成長または増殖の特徴のような、他の特徴を有するものを同定することが可能である。細胞の高い多様性を考慮して、数千または数百万の細胞の集団において、関心のあるRNA(例えば関心のあるタンパク質をコードするRNA)の増加した産生の能力を有する個々の細胞を同定および単離することは困難である。限界希釈は、タンパク質産生のために細胞系統を同定するための1つの通常の方法であり、ここで数百、およびもしロボットによって自動化されるなら数千の個々に単離された細胞を、培養してクローン集団を産生し、それを次いでタンパク質産生に関して評価する。しかし、タンパク質産生および成長または増殖速度のような他の特徴の両方に関する細胞の高い多様性のために、そのような比較的少数の細胞を試験することは、最適な細胞系統を同定する非効率的な方法である。単一細胞を分析および分離する能力を有する、フローサイトメトリーまたはセルソーティングは、より多数の個々の細胞を試験することを可能にすることによって、そのようなまれな細胞の選択を助け得る別の方法である。しかし、RNAまたはタンパク質産生を測定するためにフローサイトメトリーにおいて使用される多くの標準的な方法は、多くの場合測定する細胞を殺すことを必要とする、または個々の細胞におけるタンパク質産生を測定できない。それに加えて、現在適用されるようなこれらの方法は、細胞の増殖速度の評価ができない。よって、RNAまたはタンパク質産生の増加した速度を有する細胞を同定、単離、および培養するハイスループット法のための方法に対する必要性が存在し、ここで細胞はまた、最適化された成長および増殖性質によって選択される。
【0003】
細胞においてタンパク質産生を増加させる以前の方法は、培地の処方の最適化にも焦点を合わせた。例えば、糖、塩、アミノ酸、ビタミン等のような、様々な増殖培地の成分を増加または減少させた。例えば、非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;および非特許文献4を参照のこと。これらの努力は、不均一な細胞の集団に焦点を合わせ得る。高レベルのタンパク質を確実に産生する細胞のクローン集団を産生すること、およびそのようなクローン集団のために培地を最適化することも可能である。
【0004】
それに加えて、高レベルの関心のあるRNAを発現する細胞は、タンパク質の産生にそのエネルギーの多くを費やし、そして従って成長速度の低下を欠点として有し得る(非特許文献5および非特許文献6)。特に、細胞の非クローン集団を使用する場合、低下した成長速度は、タンパク質産生の減少した細胞による異常増殖を引き起こし得る。異なるまたは最適化された培地条件下で、最適な成長および増殖プロファイルを有する細胞を選択する方法はまた、最適なタンパク質産生のための細胞の集団を確立するために有用である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】ChuおよびRobinson、Curr Opin Biotechnol.2001年4月:12(2):180−7.
【非特許文献2】Chunら、Biotechnol Prog 2003年1−2月;19(1):52−7.
【非特許文献3】Dempseyら、Biotechnol Prog 2003年1−2月;19(1):175−8.
【非特許文献4】Sauerら、Biotechnol Bioeng.2000年3月5日;67(5):585−97.
【非特許文献5】Guら、Cytotechnology.1992;9(1−3):237−45.
【非特許文献6】Kromenakerら、Biotechnol Prog.1994年5−6月;10(3):299−307.
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】

本発明は、増加したレベルの関心のあるRNAまたはタンパク質を発現する細胞を単離する方法に関連する。本発明はまた、増加または減少した細胞増殖速度を有する細胞のような、変化した細胞増殖速度を有する細胞を単離する方法に関連する。変化した細胞増殖速度(例えば増加または減少した細胞増殖速度)を有する細胞を単離する方法も提供し、ここでその細胞はまた、増加したレベルの関心のあるRNAまたはタンパク質を発現する。
【0007】
1つの実施態様において、本発明は、増加した細胞増殖速度を有する細胞を単離する方法を提供する。その方法は、細胞の集団を、細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬と接触させる、および増加した細胞増殖と関連するレベルの、蛍光試薬の蛍光を示す細胞を単離する工程を含む。
【0008】
別の実施態様において、本発明は、増加した細胞増殖速度を有する細胞を単離する方法を提供し、ここでその細胞はまた、高レベルの関心のあるRNAを発現する。その方法は、細胞の集団を、関心のあるRNAに対するハイブリダイゼーション時に蛍光を発する蛍光原プローブ(fluorogenic probe)と接触させる;その集団を、細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬と接触させる;および蛍光原プローブの増加した蛍光および、増加した細胞増殖と関連するレベルの、蛍光試薬の蛍光を示す細胞を単離する工程を含む。蛍光原プローブの蛍光の検出を、細胞増殖速度をモニターするための試薬の蛍光の検出と同時にアッセイし得る。あるいは、蛍光原プローブの蛍光の検出を、細胞増殖速度をモニターするための試薬の蛍光の検出とは別の工程でアッセイし得る。細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬は、蛍光原プローブと同じ、または異なる波長で蛍光を発し得る。本発明の方法によって単離した細胞を、細胞培養物または細胞系統を産生するためにさらに培養し得る。ある実施態様において、上記の方法はさらに、細胞培養物の密度を測定する工程を含む。
【0009】
別の実施態様において、本発明は、増加した細胞密度を有する細胞培養物を産生するための方法を提供し、ここで細胞培養物中の細胞は、増加したレベルの関心のあるRNAを発現する。その方法は、細胞の集団を、関心のあるRNAに対するハイブリダイゼーション時に蛍光を発する蛍光原プローブと接触させる;増加した蛍光原プローブの蛍光を示す集団から細胞を単離する;単離した細胞を培養して最初の細胞培養物を産生する;前の工程を繰り返して、2番目の細胞培養物を単離する;最初および2番目の細胞培養物の密度を測定する;および増加したまたはより高い細胞密度を有する細胞培養物を同定する工程を含み、ここで細胞培養物中の細胞は、増加した高レベルの関心のあるRNAを発現する。
【0010】
ある実施態様において、本発明はまた、二相性の増殖プロファイルを有する細胞を単離する方法を提供し、ここでその細胞は、増殖プロファイルの最初の部分において増加した増殖速度を有し、そしてここでその細胞は、増殖プロファイルの2番目の部分において減少した増殖速度を有する。1つの実施態様において、その方法は、細胞の集団を、細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬と接触させる、および増殖プロファイルの最初の部分において蛍光試薬の変化した蛍光を、および増殖プロファイルの2番目の部分において蛍光試薬の変化しない、または減少した蛍光を示す細胞を単離する工程を含む。
【0011】
他のある実施態様において、本発明は、二相性の増殖プロファイルを有する細胞を単離する方法を提供し、ここでその細胞は、増殖プロファイルの最初の部分において増加した増殖速度を有する、およびここでその細胞は、増殖プロファイルの2番目の部分において、減少した増殖速度を有する、およびここでその細胞は、増殖プロファイルの2番目の部分において、増殖プロファイルの最初の部分と同じまたはより高いレベルの関心のあるRNAを発現する。他の実施態様において、本発明は、二相性の増殖プロファイルを有する細胞を単離する方法を提供し、ここでその細胞は、増殖プロファイルの最初の部分において増加した増殖速度を有し、そしてここでその細胞は、増殖プロファイルの2番目の部分において減少した増殖速度を有し、そしてここでその細胞は、増殖プロファイルの2番目の部分において、増殖プロファイルの最初の部分よりも低いレベルの関心のあるRNAを発現する。1つの実施態様において、その方法は、細胞の集団を、当該関心のあるRNAに対するハイブリダイゼーション時に蛍光を発する蛍光原プローブと接触させる;その集団を、細胞増殖の速度をモニターするための蛍光試薬と接触させる、ここでその試薬は、蛍光原プローブのものとは異なる波長で蛍光を発する;および増殖プロファイルの最初の部分において蛍光試薬の変化した蛍光を、増殖プロファイルの2番目の部分において蛍光試薬の変化しない、または減少した蛍光強度の変化を、および増殖プロファイルの2番目の部分において蛍光原プローブの増加した蛍光を示す細胞を単離する工程を含む。別の実施態様において、その方法は、細胞の集団を、関心のある当該RNAに対するハイブリダイゼーション時に蛍光を発する蛍光原プローブと接触させる;その集団を、細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬と接触させる、ここでその試薬は、蛍光原プローブのものとは異なる波長で蛍光を発する;および増殖プロファイルの最初の部分において蛍光試薬の変化した蛍光を、増殖プロファイルの2番目の部分において蛍光試薬の増加した蛍光を、および増殖プロファイルの2番目の部分において蛍光原プローブの増加した蛍光を示す細胞を単離する工程を含む。別の実施態様において、その方法は、細胞の集団を、関心のある当該RNAに対するハイブリダイゼーション時に蛍光を発する蛍光原プローブと接触させる;その集団を、細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬と接触させる、ここでその試薬は、蛍光原プローブのものとは異なる波長で蛍光を発する;および増殖プロファイルの最初の部分において蛍光試薬の変化した蛍光を、増殖プロファイルの2番目の部分において蛍光試薬の変化しない、または減少した蛍光を、および増殖プロファイルの2番目の部分において蛍光原プローブの減少した蛍光を示す細胞を単離する工程を含む。1つの実施態様において、蛍光原プローブの蛍光の検出を、増殖プロファイルの2番目の部分の間に、細胞増殖速度をモニターするための試薬の蛍光の検出と同時にアッセイする。あるいは、蛍光原プローブの蛍光の検出を、細胞増殖速度をモニターするための試薬の蛍光の検出とは別の工程でアッセイする。別の実施態様において、細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬は、蛍光原プローブと同じ波長で蛍光を発する。本発明の方法によって単離した細胞を、さらに培養して細胞培養物または細胞系統を産生し得る。ある実施態様において、上記の方法はさらに、細胞培養物の密度を測定する工程を含む。
【0012】
本明細書中で記載された方法のいずれも、本発明の細胞を、アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターするための試薬と接触させることをさらに含み得る。1つの実施態様において、本明細書中で記載された方法は、増加した増殖速度または増加したRNAまたはタンパク質産生を有する細胞を、アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターする試薬と接触させる工程をさらに含む。例えば、蛍光シグナリングプローブの増加した蛍光、および細胞増殖速度をモニターするための試薬の変化した蛍光を示す細胞を、アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターするための試薬と接触させ得る。アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーを示す細胞を、ネガティブ選択し得る。
【0013】
本発明の方法を用いて検出し得るRNAは、内因性または異種起源のRNAを含み、それは制限無しに、タンパク質をコードするメッセンジャーRNA、アンチセンスRNA分子、構造RNA、リボソームRNA、hnRNA、およびsnRNAを含み得る。
【0014】
特定の実施態様において、本発明の方法を使用して、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖、1本鎖Fv、Fab、Fab’、または(Fab’)2のような抗体の断片、または免疫グロブリンの抗原結合断片をコードするmRNAを検出する。
【0015】
本発明のある実施態様において、蛍光の検出を、蛍光顕微鏡、蛍光サイトメトリー、フローサイトメトリーセルソーティング技術によって、または蛍光プレートリーダーによってアッセイする。蛍光の検出を、個々のサンプルにおいて、またはハイスループットアッセイにおけるように、複数のサンプルにおいて1度に検出し得る。
【0016】
本発明のある実施態様において、細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬を、カルボキシフルオレセインジアセタートスクシンイミジルエステル、SNARF−1カルボン酸、酢酸スクシンイミジルエステル、PKH26、Hoechst CPA1、Cyquant GRおよびNF色素、MTT、およびCTTから成る群から選択する。
【0017】
ある実施態様において、本発明の方法は、哺乳類細胞、細菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、微生物細胞、藻類細胞、または真菌細胞を単離および/または培養するために有用である。1つの実施態様において、哺乳類細胞を、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、HEK293細胞、Per.C6細胞からなる群から選択する。ある実施態様において、CHO細胞は、CHOK1細胞、CHOK1SV細胞、CHO−S細胞、またはDG44細胞である。別の実施態様において、細菌細胞は、BL21細胞である。さらに別の実施態様において、真菌細胞を、Chrysosporium細胞、Aspergillus細胞、Trichoderma細胞、Dictyostelium細胞、Candida細胞、Saccharomyces細胞、Schizosaccharomyces細胞、およびPenicillium細胞からなる群から選択する。別の実施態様において、昆虫細胞は、SF9細胞またはSF21細胞である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
1.定義
プローブの文脈において使用された場合、「隣接する」という用語は、相互作用するペアが、お互いに機能的に相互作用することを可能にするような近接の状態を指す。例えば、その近接の状態は、フルオロフォアが、消光剤部分によって、消光される、または部分的に消光されることを可能にする。現在公知のフルオロフォアおよび消光剤の相互作用に必要な距離は、約20−100Åである。
【0019】
「バイオマス」という用語は、2つまたはそれ以上の生細胞の集団を指す。その生細胞は、任意の容量の培地中にあり得る。
【0020】
「バルジ領域」という用語は、1つのヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドの、塩基対形成していない1本鎖領域を指す。バルジヌクレオチドは、相互に相補的な領域に隣接し得る。
【0021】
「ダンベル構造」という用語は、ステム領域のそれぞれからのアームの末端を介して連結した、2つのステム−ループ構造のコンフォメーションを有する核酸または改変核酸の鎖を指す。連結は、非相補的領域、または改変ありまたは無しのホスホジエステル結合であり得る。
【0022】
「相互作用ペア」という用語は、お互いに隣接する場合に、機能的に相互作用する、そしてお互いに隣接しない場合には、シグナルの欠如または相互作用する化学基によって産生されるバックグラウンドシグナルと比較して、検出可能なシグナルを産生する、または相互作用する化学基によって産生されるシグナルとは異なるシグナルを産生する、2つの化学基を指す。相互作用ペアは、フルオロフォアおよび消光剤、化学発光標識および消光剤または付加物、色素二量体およびFRETドナーおよびアクセプター、またはその組み合わせを含むがこれに限らない。シグナリングプローブは、1つ以上の相互作用ペアを含み得る。例えば、波長シフトシグナリングプローブは、両方とも消光剤と相互作用する、1番目のフルオロフォアおよび2番目のフルオロフォアを有し、そしてその2つのフルオロフォアは、FRETドナーおよびアクセプターペアである。
【0023】
「ループ領域」という用語は、塩基対形成していない、1つ以上のヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドの1本鎖領域を指す。ループはまた、相互に相補的、またはお互いに部分的に相補的な1つまたはそれ以上のヌクレオチドの2つの領域の間に位置し得る。例えば、ループの上流の領域は、ループの下流の領域と相補的、または部分的に相補的である。
【0024】
「シグナリングプローブ」という用語は、標的核酸配列に相補的な配列および少なくとも相互に相補的な領域を含む、およびさらに少なくとも1つの相互作用ペアを含むプローブを指す。シグナリングプローブがその標的配列に結合しない場合、相互作用ペアの部分は、シグナルが産生されない、またはほとんど産生されない、または異なるシグナルが産生されるように、お互いに隣接している。シグナリングプローブが標的配列に結合する場合、相互作用ペアの部分は、もはやお互いに隣接しておらず、そして検出可能なシグナルまたはプローブによってその未結合の状態で産生されるシグナルとは異なるシグナルが産生される。1つの実施態様において、シグナリングプローブは、フルオロフォアおよび消光剤部分を含む蛍光原プローブであり、そして標的配列へのハイブリダイゼーション時に蛍光の変化が生じる。相互作用ペアの部分を、シグナリングプローブの末端に結合し得る、または核酸配列内に結合し得る。シグナリングプローブの配列の内部へ組み込み得る部分の例は、制限無しに、消光剤:dabcyl dT、BHQ2 dT、およびBHQ1 dT、およびフルオロフォア:フルオレセインdT、Alexa dT、およびTamra dTを含む。
【0025】
「ミスマッチ領域」という用語は、塩基または改変塩基がワトソン−クリック型塩基の対合を形成しない、核酸分子または改変核酸分子の2本鎖領域を指す。ミスマッチ領域は、2つの塩基対形成領域に隣接する。2本鎖領域は、非水素結合、またはフーグスティーン型塩基対等を形成する水素結合、または両方であり得る。
【0026】
「相互に相補的な領域」という用語は、ワトソン−クリック型塩基対形成した、核酸分子または改変核酸分子の領域を指す。
【0027】
「非相補的な領域」という用語は、ワトソン−クリック型塩基対形成していない、核酸分子または改変核酸分子の領域を指す。例えば、非相補的な領域を、バルジヌクレオチド、1本鎖ループ、5’または3’末端におけるオーバーハングヌクレオチド、またはミスマッチ領域を有するようにデザインし得る。
【0028】
「ステム領域」という用語は、少なくとも2つのワトソン−クリック型塩基対を有する、核酸分子または改変核酸分子の領域を指す。例えば、ステム領域を、非相補的な領域によって連結された1つより多い相互に相補的な領域を有するように、または連続的な相互に相補的な領域を形成するようにデザインし得る。
【0029】
「ステム−ループ構造」という用語は、1対の5’および3’オリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドのアームに隣接した、1本鎖ループ配列を有する核酸分子または改変核酸分子を指す。5’および3’アームが、ステム領域を形成する。
【0030】
「スリーアームジャンクション構造」という用語は、ステム領域、1番目のステム−ループ領域、およびステム領域のアームを介して互いに連結した2番目のステム−ループ領域のコンフォメーションを有する、核酸または改変核酸の鎖を指す。1番目のステム−ループ領域は2番目のステム−ループ領域に対して5’である。3つの領域を、非相補的な領域、ホスホジエステル結合、または改変ホスホジエステル結合、またはその組み合わせによって連結し得る。
【0031】
他に規定されなければ、本明細書中で使用される全ての技術的および科学的用語は、当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。対立する場合、定義を含む本明細書が統制する。さらに、文脈によって他に必要とされなければ、単数形の用語は複数を含み、そして複数形の用語は単数を含む。一般的に、本明細書中で記載される、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、発生生物学、細胞生物学に関連する、およびその技術において使用される命名法は、当該分野で周知および通常使用されるものである。
【0032】
本明細書および実施態様を通じて、「含む(comprise)」という用語または「含む(comprises)」または「含む(comprising)」のようなバリエーションは、述べた整数または整数のグループを含むことを意味するが、他の任意の整数または整数のグループの除外を意味しないことが理解される。
【0033】
本明細書中で述べられた全ての出版物および他の参考文献は、その全体が参考として援用される。多くの文書が本明細書中で引用されるが、この引用は、これらの文書のいずれもが、当該分野における共通の一般的な知識の一部を形成するという容認を構成しない。
【0034】
2.本発明の方法
細胞の集団において、全RNAおよびタンパク質産生に影響を与える2つの培養パラメーターは、(i)細胞特異的産生速度、および(ii)RNAおよび/またはタンパク質産生のために使用する細胞の集団の増殖の特徴を含む。本発明の方法および組成物は、これらのパラメーターの1つまたは両方を最適化する。細胞の集団におけるタンパク質産生に影響を与え得る3番目の変数は、細胞の増殖速度である。例えば、増加した増殖速度を有する細胞は、減少した増殖速度を有する細胞と比較して、より短い期間で、タンパク質産生細胞の一定のバイオマスを達成し得る。従って、所定の期間に産生されるタンパク質の量が最大になる。ある場合において、細胞は、エネルギーの出力をタンパク質産生に転換するために、細胞増殖を低下させ得る。従って、別の実施態様において、本発明は、減少した増殖速度を有する細胞を単離する方法を提供し、ここでその細胞はまた、増加したレベルの関心のあるタンパク質をコードするRNAを発現する。
【0035】
本発明の方法は、細胞を固定または溶解する必要無しに、生細胞において検出可能なシグナルを産生する、増殖マーカーとして使用し得る蛍光原シグナリングプローブおよび試薬の能力に基づく。蛍光原シグナリングプローブは、生細胞において標的RNA配列とのハイブリダイゼーション時に検出可能なシグナルを産生し、そしてRNAがタンパク質をコードするRNAである場合に、細胞が産生する対応するタンパク質の量と関連し得る。本発明において使用されるシグナリングプローブおよび増殖マーカーによって産生されるシグナルは、試験した細胞の集団において産生される平均(例えばバックグラウンド蛍光)より検出可能に高い、または異なるべきである。従って、平均細胞が蛍光を全く産生しない必要はない。1つの実施態様において、本発明は、関心のあるRNAまたはタンパク質の増加した産生を有する細胞を単離する、または細胞系統を産生する方法を提供する。例えば、本発明の方法を使用して、試験した集団の細胞における関心のあるRNAまたはタンパク質の産生と比較した場合に、増加した関心のあるRNAまたはタンパク質の産生を有する細胞を単離し得る、または細胞系統を産生し得る。本明細書中で使用される場合、コントロール細胞は、本発明の単離された細胞と同一であるが、本明細書中で記載された本発明のいかなる方法によっても、増加または減少したRNAまたはタンパク質産生に関して選択されていない、または変化した細胞増殖速度に関して選択されていない細胞である。
【0036】
増加したRNAまたはタンパク質産生に関して最適化された細胞系統の産生
本明細書中で記載されたような、増殖マーカーとして使用し得るシグナリングプローブおよび試薬の使用は、関心のあるRNA(例えばタンパク質をコードするRNA)の増加した産生に関して最適化された細胞の同定を可能にする。細胞内成分を分析するために細胞の固定または溶解を必要とする試薬と異なり、シグナリングプローブおよび増殖マーカーからの蛍光を使用して、生細胞において細胞内RNAおよびタンパク質レベルを分析し得る。この特徴は、関心のあるRNAの増加した産生を有する細胞を単離および増殖させることを可能にする。1つの実施態様において、関心のあるRNAをコードする遺伝子を含むDNAコンストラクトによる、関心のあるタンパク質をコードする遺伝配列の細胞への導入(例えばトランスフェクション)後に、関心のあるRNAを認識する蛍光シグナリングプローブを細胞へ導入する。この工程を、セレクションマーカー、例えばトランスフェクトしたDNAコンストラクトが薬物耐性もコードするという条件での薬物セレクションを用いた、任意のセレクション後に行い得る。その遺伝子を転写する細胞が蛍光を発する。
【0037】
別の実施態様において、細胞を、CFSEのような増殖マーカーと接触させる。CFSEによる染色後、細胞分裂を時間につれてモニターし得る、または増殖マーカーのシグナルの定量の前に細胞分裂が一定時間起こることを可能にし得る。細胞を、増殖マーカーからのシグナルの定量の前に、1時間未満から1日まで、1から5日まで、3から10日まで、5から15日まで、1週間から2週間まで、1.5週間から4週間まで、または20週間まで増殖させ得る。1つの実施態様において、増加した細胞増殖速度を有する細胞を単離する。これらの細胞の単離は、例えば増殖マーカーの減少した蛍光シグナルに基づき得る。異なるレベルの増殖マーカーからのシグナルに基づいて、変動する増殖速度を有する細胞を単離し得る。別の実施態様において、減少した細胞増殖速度を有する細胞を単離し、ここでその細胞は、増加したレベルの関心のあるRNAまたはタンパク質を発現する。細胞を、増殖マーカーおよびシグナリングプローブに、同時にまたは異なる時に曝露させ得る。もし異なる時なら、細胞を、シグナリングプローブへの曝露の前または後に、増殖マーカーに曝露させ得る。細胞を、増殖マーカーおよびシグナリングプローブに、異なる時に曝露させ得るが、同じ時に分析し得る、例えば、細胞をある時に増殖マーカーに曝露させ、そして平均細胞倍加時間に基づいて、数回の細胞分裂に必要な時間に相当する期間の後、2番目の時にシグナリングプローブに曝露させ得る。
【0038】
CFSE染色またはシグナルプローブハイブリダイゼーションから変動するレベルで蛍光を発する細胞を、蛍光を検出するための任意の公知の技術を用いて単離し得る。例えば、CFSE染色またはシグナルプローブハイブリダイゼーションから蛍光を発する細胞を、フローサイトメトリーセルソーティング技術によって単離し得る。次いで単離された細胞を使用して、高レベルの関心のあるRNAを発現する、そしてまた増加した増殖速度または減少した増殖速度を有する細胞系統を産生し得る。
【0039】
本発明の方法および組成物をまた、細胞を選択的薬物または因子の存在下で維持する必要さえ無しに、1つより多い関心のあるRNAの増加した産生を有する細胞を単離するために使用し得る。細胞に、2つまたはそれ以上のDNAまたはRNAコンストラクトをトランスフェクトまたはさもなくば導入し得る。細胞に、同時にまたは連続的に、2つまたはそれ以上のDNAまたはRNAコンストラクトをトランスフェクトし得る。関心のある最初のRNAのシグナリングプローブは、他の関心のあるRNAのシグナリングプローブと同じ、または異なるシグナルを産生し得る。例えば、それらは同じ、または異なるフルオロフォアを有し得る。2つより多いRNAを発現する細胞または細胞系統を、工程を同時に、または連続的に繰り返すことによって提供し得る。そのDNAまたはRNAコンストラクトは、任意で1つまたはそれ以上の薬物または選択的因子マーカーを含む。トランスフェクション、および任意で薬物選択後、関心のあるRNAそれぞれに対するシグナリングプローブを、細胞に導入する。1つの実施態様において、その細胞を次いで、フローサイトメトリーセルソーティング技術によって選別し、こうして関心のある2つまたはそれ以上のRNAまたはタンパク質の任意の組み合わせを発現する細胞を単離する。
【0040】
ある実施態様において、複数回の本明細書中で記載された方法を使用して、2つまたはそれ以上の関心のあるRNAまたはタンパク質の増加した発現を有する細胞を得ることができる。例えば、細胞に、関心のあるRNAまたはタンパク質をコードする1つまたはそれ以上のRNAまたはDNAコンストラクトをトランスフェクトし、そして本明細書中で記載された方法によって単離し得る。次いで単離された細胞を、関心のあるRNAまたはタンパク質をコードする1つまたはそれ以上の他のRNAまたはDNAコンストラクトでさらなる回のトランスフェクションに付し、そしてもう一度単離し得る。例えばタンパク質の複合体、同じまたは関連する生物学的パスウェイにあるRNAまたはタンパク質、お互いに上流または下流で作用するRNAまたはタンパク質、お互いに調節、活性化、または抑制機能を有するRNAまたはタンパク質、機能または活性に関してお互いに依存しているRNAまたはタンパク質、または相同性(例えば配列、構造的、または機能的相同性)を共有するRNAまたはタンパク質の、増加した発現を有する細胞を産生するために、この方法は有用である。例えば、この方法を使用して、免疫グロブリンタンパク質(例えばIgA、IgD、IgE、IgG、およびIgM)の重鎖および軽鎖またはその抗原結合断片の増加した発現を有する細胞系統を産生し得る。その免疫グロブリンタンパク質は、完全なヒト、ヒト化、またはキメラ免疫グロブリンタンパク質であり得る。
【0041】
変化した細胞増殖速度を有する細胞を単離する方法
1つの実施態様において、本発明は、集団内の細胞の平均的な増殖と比較した場合に、増加した細胞増殖速度を有する細胞の集団から、細胞を単離する、または細胞系統を産生する方法を提供する。別の実施態様において、本発明は、集団内の細胞の平均的な増殖と比較した場合に、減少した細胞増殖速度を有する細胞の集団から、細胞を単離する、または細胞系統を産生する方法を提供する。その細胞はまた任意で、増加したレベルの関心のあるRNAまたはタンパク質を発現し得る。開始集団から単離された細胞の細胞増殖速度は、開始集団における平均細胞増殖速度と比較した場合に、少なくとも1.3倍増加または減少し得る。他の実施態様において、開始集団から単離された細胞由来の細胞の細胞増殖速度は、開始集団における平均細胞増殖速度と比較した場合に、少なくとも1.5倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3.0倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍増加または減少する。1つの実施態様において、細胞増殖速度は、培地の処方の最適化(例えば、糖、塩、アミノ酸、ビタミン等のような栄養素の濃度の最適化)によって変化(例えば増加または減少)し得る。別の実施態様において、細胞増殖速度は、遺伝または代謝操作によって変化する。例えば、細胞増殖速度は、細胞増殖速度に影響を与える遺伝子またはタンパク質の発現、過剰発現、または発現の変化によって変化し得る。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、Mazurら、Biotechnol Prog.1998;14:705−713を参照のこと。1つの実施態様において、細胞増殖速度は、例えばサイクリン、サイクリン依存性キナーゼ、細胞周期依存性ホスファターゼ、サイクリン依存性キナーゼの阻害剤、細胞周期転写因子、DNAポリメラーゼ、ヒストンおよびDNA複製の開始に関与するタンパク質をコードする遺伝子のような、細胞周期、細胞分裂、またはDNA複製を司る遺伝子またはタンパク質の発現、過剰発現、または発現の変化によって変化する。遺伝的または代謝的に操作する特定の遺伝子またはタンパク質は、本発明において使用する有機体に依存し、そして当業者によって決定され得る。1つの実施態様において、細胞増殖速度は、c−MYCのような、1つまたはそれ以上のMYC遺伝子の発現によって変化する。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、Ifandiら、Biotechnol Prog.2005;21:671−677を参照のこと。
【0042】
別の実施態様において、本発明は、開始細胞培養物集団由来の細胞の細胞培養物の平均細胞密度と比較した場合に、細胞培養物中の細胞密度を増加させる方法を提供する。その細胞はまた任意で、増加したレベルの関心のあるRNAまたはタンパク質を発現し得る。細胞培養物の細胞密度は、開始細胞培養物集団由来の細胞の平均細胞密度と比較した場合に、少なくとも1.2倍増加し得る。他の実施態様において、細胞密度は、開始細胞集団由来の細胞の細胞培養物の平均細胞密度と比較した場合に、少なくとも1.5倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.5倍、少なくとも3.0倍、少なくとも5倍、または少なくとも10倍増加する。1つの実施態様において、細胞培養物密度は、培地処方の最適化(例えば糖、塩、アミノ酸、ビタミン等のような栄養素の濃度の最適化)によって増加する。別の実施態様において、細胞培養物密度は、遺伝または代謝操作によって増加する。例えば、Bcl−2、Bcl−X、またはp21CIP1の発現によって、アポトーシスを細胞において抑制する。アポトーシスの抑制は、細胞の培養の密度ならびにタンパク質産生を増加させ得る。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、Itohら、Biotechnology and Bioengineering 2004;48:118−122;Chiangら、Biotechnology and Bioengineering 2005;91:779−792;およびJungら、Biotechnology and Bioengineering 2002;79:180−187を参照のこと。ある実施態様において、1つまたはそれ以上のMYC遺伝子をBcl−2と共発現して、細胞増殖速度および細胞密度の両方を増加させる。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、Ifandiら、Biotechnol Prog.2005;21:671−677およびBissonnetteら、Nature 1992;359:552−554を参照のこと。
【0043】
細胞増殖速度は、本発明の方法において使用する細胞の型によって変動する。例えば、細菌細胞は分裂して、2つの生きた娘細胞を30分またはそれ未満で産生し得、一方哺乳類細胞は、10−24時間ごとに1回分裂し得る、または細胞分裂1回あたり1日より多くかかり得る。例えば、真核細胞は12−30時間ごとに1回分裂し得る。細胞の倍加時間は、細胞の増殖周期の増殖期に、集団中の生細胞の数の増加をモニターすることによって、熟練した働き手によって決定され得る。
【0044】
細胞増殖の増加はまた、栄養状態にも依存する。ある実施態様において、細胞増殖速度は、培地処方の最適化(例えば、糖、塩、アミノ酸、ビタミン等のような、栄養素濃度の最適化)によって増加する。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、ChuおよびRobinson、Curr Opin Biotechnol.2001年4月;12(2):180−7;Chunら、Biotechnol Prog.2003年1−2月;19(1):52−7;Dempseyら、Biotechnol Prog.2003年1−2月;19(1):175−8;およびSauerら、Biotechnol Bioeng.2000年3月5日;67(5):585−97を参照のこと。
【0045】
環境条件も、増加した組換えタンパク質収量のために最適化し得る。例えば、哺乳類細胞を、生理学的温度より下の温度(sub−physiological temperatures)に付すことは、組換えタンパク質収量の増加を引き起こし得る。例えば、本明細書中でその全体が援用される、Al−Fageehら、Biotechnology and Bioengineering 2006;93:829−835およびBaikら、Biotechnology and Bioengineering 2006;93:361−371を参照のこと。
【0046】
標準的な方法および手段を用いて、細胞を定量し得る。例えば、細胞の一部を固体増殖培地上にまいて、集団中のコロニー形成細胞単位の数を測定し得る。あるいは、分光光度計またはヘモサイトメーターのような装置を使用し得る。Guava ViaCountアッセイおよびBeckman Coulter Vi−CELL生死細胞オートアナラーザーのような、細胞密度を測定するための自動化技術および装置も使用し得る。
【0047】
細胞を単離するための、本発明のいずれの方法においても、細胞を培養して、細胞培養物を産生し得る、または細胞系統を産生し得る。
【0048】
増加した細胞増殖速度を有する細胞を単離するために、または細胞系統を産生するために、本明細書中で記載された方法のいずれも、アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーに関して細胞をモニターする工程も含み得る。アポトーシスおよびプレアポトーシスマーカーは、例えばDNA裂開、核断片化、染色体の凝縮、ネクローシス、細胞膜の小胞形成、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼの裂開、カスパーゼ3の活性化、またはアポトーシスに関与する他の遺伝子の発現を含む。アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーはまた、ヨウ化プロピジウムまたは7−AADに対する透過性を含む。1つの実施態様において、本明細書中で記載された方法はさらに、増加した増殖速度、または増加したRNAまたはタンパク質産生を有する細胞を、アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターするための試薬と接触させる工程を含む。例えば、増加した蛍光原シグナリングプローブの蛍光および細胞増殖速度をモニターするための試薬の変化した蛍光を示す細胞を、アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターするための試薬と接触させ得る。アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターするための因子は、当該分野で周知である。アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターするための蛍光試薬の例は、蛍光標識したアネキシン−Vおよびヨウ化プロピジウムを含む。
【0049】
増加した密度を有する細胞培養物を産生する方法
1つの実施態様において、本発明は、増加した細胞密度に対するより大きな性質を有する細胞培養物を産生する方法を提供する。例えば、タンパク質を産生し得る生細胞の数、またはバイオマスが増加して(例えば細胞培養物密度が増加する)、バイオマスによって産生されるタンパク質の総量が増加する。細胞培養物密度は、1から10倍(例えば1.5倍、2倍、3倍、5倍、または10倍)、10から100倍(例えば15倍、25倍、50倍、または100倍)、100から1000倍(例えば150倍、250倍、500倍、または1000倍)、または1000倍よりも多く増加し得る。例えば、最終的な細胞培養物密度は、約1×10細胞/mlから1×10細胞/mlの培養まで、1×10細胞/mlから1×10細胞/mlの培養まで、1×10細胞/mlから1×10細胞/mlの培養まで、1×10細胞/mlから1×10細胞/mlの培養まで、または1×10細胞/mlの培養よりもさらに多くの範囲であり得る。細胞培養物密度の増加は、栄養素および環境条件に依存し、そして本発明で使用される細胞の型によって変化する。1つまたはそれ以上の増殖マーカーによる様々なレベルの標識によって単離された細胞を培養し得、そしてできた集団を試験して、より高い細胞密度を達成するより大きな性質を有するものを同定し得る。
【0050】
ある実施態様において、タンパク質産生細胞のバイオマスは、培地の処方の最適化(例えば糖、塩、アミノ酸、ビタミン等のような、栄養素の濃度の最適化)によって増加する。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、ChuおよびRobinson、Curr Opin Biotechnol.2001年4月;12(2):180−7;Chunら、Biotechnol Prog 2003年1−2月;19(1):52−7;Dempseyら、Biotechnol Prog 2003年1−2月;19(1):175−8;およびSauerら、Biotechnol Bioeng.2000年3月5日;67(5):585−97を参照のこと。別の実施態様において、タンパク質産生細胞のバイオマスは、タンパク質産生細胞の集団における細胞死またはアポトーシスを防止することによって増加する。他の実施態様において、本発明は、増加した細胞密度を有する細胞培養物を産生する方法を提供し、ここでその細胞培養物中の細胞は、増加したレベルの関心のあるRNAを発現する。例えば、高濃度の生きた、および生産的な、急速に増殖もしている細胞を産生する方法を提供する。
【0051】
別の実施態様において、本発明は、遺伝または代謝操作によって、細胞集団の細胞培養物密度を変化させる方法を提供する。例えば、細胞密度は、アポトーシス細胞死を阻害することによって増加し得る。1つの実施態様において、bcl−2またはbcl−xLのような、抗アポトーシス生存タンパク質を発現する。他の実施態様において、カスパーゼ阻害または分子シャペロンHSP70の発現を用いて、細胞密度を増加させる。他の実施態様において、代謝操作アプローチを使用し得る。乳酸およびアンモニアのような、代謝の毒性副産物の蓄積を阻害することによって、または代謝経路の操作した改善によって、代謝操作を使用して、細胞密度を増加させ得る。例えば、ピルビン酸カルボキシラーゼの発現は、グルコースのトリカルボン酸回路への流入を増加させ得る。
【0052】
増加した細胞密度を有する細胞培養物を産生するために本明細書中で記載されたいずれの方法も、アポトーシス細胞死に関して細胞をモニターする工程も含み得る。1つの実施態様において、本明細書中で記載された方法はさらに、細胞培養物中の細胞を、アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターするための試薬と接触させる工程を含む。アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターするための因子は、当該分野で周知である。アポトーシスをモニターするための蛍光試薬の例は、蛍光標識したアネキシン−Vおよびヨウ化プロピジウムを含む。ある実施態様において、アポトーシス細胞またはアポトーシスの性質を有する細胞を、ネガティブ選択する。
【0053】
二相性の増殖プロファイルを有する細胞を単離する方法
本発明は、二相性の増殖プロファイルを有する細胞を単離する方法を提供する。二相性の増殖プロファイルは、増殖プロファイルの最初の部分における急速な増殖によって特徴付けられ得る。この急速な増殖が、短期間におけるタンパク質産生細胞集団の蓄積を可能にする。急速な増殖期間に続いて、急速から遅い増殖、または増殖なしへの移行が起こる。減少した、またはより低い増殖の期間は、増加したタンパク質産生によって特徴付けられ得る。従って、本発明の方法によって単離した細胞は、増殖プロファイルの最初の部分において、増加した増殖速度を有し得る。増殖プロファイルのこの部分はまた、増加した、または減少したタンパク質産生速度によっても特徴付けられ得る。増殖プロファイルの2番目の部分において、細胞または複数の細胞は、減少した、またはより低い増殖速度を有し、ここでその細胞は、増殖プロファイルの最初の部分の間の発現レベルと比較して、増加したレベルの関心のあるRNAを発現する。ある実施態様において、その細胞をまた、細胞死およびアポトーシスに関してモニターして、アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーが最低限しか存在しない細胞の集団を選択する。
【0054】
蛍光を検出する方法
蛍光セルソーターまたは関連する技術を、蛍光原プローブまたは増殖マーカーと共に使用して、1つまたはそれ以上の波長であるレベルまたは複数のレベルの蛍光を示す細胞を同定および/または分離し得る。例えば、シグナリングプローブおよび増殖マーカーの蛍光を、蛍光顕微鏡、蛍光サイトメトリー(fluorocytometry)、フローサイトメトリーセルソーティング技術によって、または蛍光プレートリーダーによって検出および/または定量し得る。フローサイトメトリーセルソーティング技術は現在、1秒あたり70,000個の細胞までのソーティングを可能にする。5,000,000個の細胞を、2分以内で選別し得る。
【0055】
本明細書中で記載された方法をまた、細胞内イベント、状態、または組成(例えばアポトーシス、ネクローシス、Ca2+/イオン流入、pH流入、細胞接着、細胞分裂および増殖、またはDNA含有量)を検出するための蛍光リポーターを利用するアッセイと同時に使用し得る。細胞内イベントを検出する蛍光アッセイの例は、例えば蛍光染色(例えば核酸、タンパク質、および/または膜の)、およびタンパク質間、またはタンパク質および核酸の間の相互作用を検出するために使用されるアッセイを含む。これらのアッセイで使用するために蛍光標識し得る試薬は、タンパク質(蛍光分子で標識する、または自己蛍光タンパク質);蛍光代謝指標(例えばC12レサズリン);蛍光基質または副産物;蛍光標識レクチン;蛍光化学物質;ケージド蛍光化合物;蛍光核酸色素;および蛍光ポリマー、脂質、アミノ酸残基およびヌクレオチド/サイドアナログ(side analogues)を含むがこれに限らない。
【0056】
細胞
本発明の方法を、本明細書中で記載されたシグナリングプローブおよび増殖マーカーと共に使用するために適当な任意の細胞と共に使用し得る。1つの実施態様において、その細胞を、哺乳類細胞、細菌細胞、植物、微生物、藻類および真菌細胞から成る群から選択する。いくつかの実施態様において、その細胞は、ヒト、マウス、ラット、ヤギ、ウマ、ウサギ、ハムスターまたはウシ細胞のような、哺乳類細胞である。例えば、その細胞は、HeLa、NS0、SP2/0、HEK293T、Vero、Caco、Caco−2、MDCK、COS−1、COS−7、K562、Jurkat、CHO−K1、DG44、CHOK1SV、CHO−S、Huvec、CV−1、HuH−7、NIH3T3、HEK293、293、A549、HepG2、IMR−90、MCF−7、U−2OS、Per.C6、SF9、SF21、またはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を含むがこれに限らない、任意の樹立細胞系統由来であり得る。ある実施態様において、その細胞はChrysosporium細胞、Aspergillus細胞、Trichoderma細胞、Dictyostelium細胞、Candida細胞、Saccharomyces細胞、Schizosaccharomyces細胞、およびPenicillium細胞から成る群から選択される細胞のような、真菌細胞である。ある他の実施態様において、その細胞は、E.coli、B.subtilis、またはBL21細胞のような、細菌細胞である。
【0057】
組換えDNAコンストラクト
1つの実施態様において、本発明の方法および組成物を使用して、関心のあるRNA(例えば関心のあるタンパク質をコードするRNA)の増加した産生を有する細胞を単離する。関心のあるRNAは、DNAコンストラクト上の遺伝子から発現し得る。例えば、関心のあるRNAへ転写されるDNAコンストラクトを、細胞へ導入する。そのDNAコンストラクトは、細胞のゲノム内の異なる位置へ組み込まれ得る、または細胞の細胞質に留まり得る。1つまたはそれ以上の特定の位置への組み込みも達成され得る。次いで、トランスフェクトした細胞を、シグナリングプローブおよび/または増殖マーカーに曝露させる。シグナリングプローブおよび増殖マーカーを、同時に、お互いの直後に、完全に異なる時に、および任意の順番で曝露させ得る。細胞をシグナリングプローブおよび/または増殖マーカーに曝露させた後に、検出可能なシグナルが産生され、そして関心のある細胞を単離する。細胞を、当該分野における任意の方法によって単離および培養し得る、例えば細胞を単離し、そして個々にまたはバッチで平板培養し得る。単離した細胞を増殖させることによって、細胞系統を産生し得る。
【0058】
本発明の方法のいずれも、セレクションマーカーを用いて行い得る。薬物セレクション(または他の任意の適当なセレクションマーカーを用いるセレクション)は必要な工程ではないが、トランスフェクトしたコンストラクトが、薬物耐性を与えるようデザインされるという条件で、それを使用して細胞集団を、関心のあるタンパク質をコードするDNAコンストラクトで安定にトランスフェクトされた細胞に関して富化し得る。シグナリングプローブを用いたセレクションを、トランスフェクションのあとに行うのが早過ぎるなら、いくつかの陽性細胞は、一時的にトランスフェクトされただけであり、そして安定にトランスフェクトされていないかもしれない。しかし、非安定的にトランスフェクトされた細胞由来のトランスフェクトプラスミドの希釈または喪失を可能にする十分な細胞の継代であり、または本明細書中で記載された方法による複数回のセレクションであれば、これを最小限にし得る。
【0059】
代表的な関心のあるRNAおよびタンパク質
本発明の細胞にトランスフェクトするDNAコンストラクトは、1つまたはそれ以上の、以下の異なる役割を有する、関心のあるタンパク質をコードするRNAへ転写される配列を含み得る:タンパク質をコードするメッセンジャーRNA、融合タンパク質、タンパク質に融合したペプチド、搬出(export)シグナル、移入(import)シグナル、細胞内局在化シグナル、または他のシグナル、それらはタンパク質またはペプチドに融合し得る。本明細書中で記載された方法によって、任意のタンパク質を産生し得る。本発明の方法によって産生し得るタンパク質の例は、制限無しに、ペプチドホルモン(例えばインスリン)、糖タンパク質ホルモン(例えばエリスロポエチン)、抗生物質、サイトカイン、酵素、ワクチン(例えばHIVワクチン、HPVワクチン、HBVワクチン)、抗癌治療薬(例えばMuc1)、および治療抗体を含む。特定の実施態様において、そのRNAは、免疫グロブリンタンパク質、または免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖、1本鎖Fvのような、その抗原結合断片、Fab、Fab’、または(Fab’)2のような抗体の断片、または免疫グロブリンの抗原結合断片をコードする。特定の実施態様において、そのRNAはエリスロポエチンをコードする。別の特定の実施態様において、そのRNAは、Erbitux(登録商標)(セツキシマブ)のような、上皮増殖因子受容体(EGFR)、HER1、またはc−ErbB−1に結合する、1つまたはそれ以上の免疫グロブリンタンパク質、またはその断片をコードする。本発明の方法および組成物によって産生されるRNAはまた、1つまたはそれ以上の以下の役割を有し得る:アンチセンスRNA、siRNA、構造RNA、例えばリボソームRNA、tRNA、hnRNA、snRNAを含むがこれに限らない細胞RNA;ランダムRNA、cDNAまたはESTに対応するRNA;多様な種由来のRNA、オリゴヌクレオチドに対応するRNA、細胞全体、組織、または有機体cDNA調製物に対応するRNA;他の核酸、タンパク質、他の細胞成分、または薬物分子にいくらかの結合活性を有するRNA;様々な高分子複合体に組み込まれ得るRNA;いくつかの細胞機能に影響を与え得るRNA;または前述の機能または活性を有さないが、それにもかかわらず細胞によって発現され得るRNA;ウイルスまたは外来性RNAに対応するRNA、リンカーRNA、または1つまたはそれ以上のRNAを連結する配列;またはタグとして働くRNA、または上記の任意の1つまたはそれ以上の、未改変の、突然変異誘発した、ランダム化した、またはシャッフルした配列の組み合わせまたは組換え。
【0060】
本発明のDNAコンストラクトは、誘導性、抑制性、組織特異的、ヒートショック、発達、細胞系統特異的、または時間的(temporal)プロモーターまたは、上記の任意の1つまたはそれ以上の、未改変の、または突然変異誘発した、ランダム化した、シャッフルした配列の組み合わせまたは組換えを含むがこれに限らない、構成的(constitutive)または条件的(conditional)プロモーターに、操作可能に連結する関心のあるRNAをコードするDNAを含み得る。
【0061】
3.シグナリングプローブ
特定の核酸配列の存在を認識および報告する核酸プローブを使用して、特定の核酸を検出した。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、米国特許第5,925,517号を参照のこと。プローブの1つの型を、標的配列に相補的な中央のヌクレオチドの伸張、および短い相互に相補的な配列を含む末端を有する、ヘアピンまたはステム−ループ形の構造を有するようにデザインする。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、TyagiおよびKramer、Nature Biotechnology、14、303−308(1996)を参照のこと。プローブの1つの末端はフルオロフォアと、そして他方は消光部分と共有結合する。末端がハイブリダイズしたその天然の状態において、フルオロフォアおよび消光剤の近傍は、比較的殆ど蛍光が産生されない、または実質的に蛍光が産生されない。そのプローブは、その標的核酸にハイブリダイズした場合にコンフォメーション変化をおこし、その結果はフルオロフォアからの蛍光の産生の検出可能な変化を引き起こす。そのようなプローブを用いて、生きた細胞内でメッセンジャーRNAを視覚化した(Matsuo、1998、Biochim.Biophys.Acta 1379:178−184)。同様のプローブを用いて、RNA配列の発現に基づいて生きた細胞を単離した。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、米国特許第6,692,965号を参照のこと。
【0062】
本発明で使用されるシグナリングプローブを、関心のあるRNAの一部、またはその5’または3’非翻訳領域の一部のいずれかに相補的であるようにデザインする。関心のあるRNAをコードする遺伝子を、タグ配列でタグを付し得、そしてシグナリングプローブを、それがタグ配列を認識するようにデザインし得る。そのタグ配列は、産生されるタンパク質にタグを付したいかどうかに依存して、遺伝子のメッセージのタンパク質をコードする部分のフレーム内にあるか、またはそのフレーム外にあり得る。タグ配列は、シグナリングプローブの配列に相補的または部分的に相補的である、任意のヌクレオチド配列であり得る。タンパク質タグの例は、制限無しに、c−myc、ヘマグルチニン、およびグルタチオンS−転移酵素を含む。
【0063】
相互作用ペア
シグナリングプローブは、1つまたはそれ以上の相互作用ペアを含み、そして異なる相互作用ペアを有し得る。1つの実施態様において、そのシグナリングプローブは、蛍光原プローブである。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、米国特許第6,692,965号、および国際公開WO2005/079462を参照のこと。1つの実施態様において、その蛍光原プローブは、そのハイブリダイズしていない状態で、バックグラウンドレベルの蛍光を発しないかまたは発するが、その標的に結合した場合に、バックグラウンドレベルの、またはそれを超える蛍光を発する。シグナルを増加させるために、または異なる色範囲の蛍光を提供するために、複数のフルオロフォアを使用し得る。標的配列の非存在下で、シグナルを減少させる、または排除するために、複数の消光剤を使用し得る。消光剤の例は、DABCYL、EDAC、セシウム、p−キシレン−ビス−臭化ピリジニウム、タリウムおよび金ナノ粒子を含むがこれに限らない。フルオロフォアの例は、スルホローダミン101、アクリジン、5−(2’−アミノエチル)アミノナフタレン−1−スルホン酸(5−(2’−aminoethyl)aminoaphthaline−1−sulfonic acid)(EDANS)、テキサスレッド、エオシン、およびBodipyおよびAlexa Fluor350、Alexa Fluor405、Alexa Fluor430、Alexa Fluor488、Alexa Fluor500、Alexa Fluor514、Alexa Fluor532、Alexa Fluor546、Alexa Fluor555、Alexa Fluor568、Alexa Fluor594、Alexa Fluor610、Alexa Fluor633、Alexa Fluor635、Alexa Fluor647、Alexa Fluor660、Alexa Fluor680、Alexa Fluor700、Alexa Fluor750、アロフィコシアニン、アミノクマリン、Bodipy−FL、Cy2、Cy3、Cy3.5、Cy5、Cy5.5、カルボキシフルオレセイン(FAM)、カスケードブルー、APC−Cy5、APC−Cy5.5、APC−Cy7、クマリン、ECD(Red613)、フルオレセイン(FITC)、ヘキサクロロフルオレセイン(HEX)、ヒドロキシクマリン、リサミン、ローダミンB、ルシファーイエロー、メトキシクマリン、オレゴングリーン488、オレゴングリーン514、パシフィックブルー、PE−Cy7結合物、PerC、PerCP−Cy5.5、R−フィコエリトリン(PE)、ローダミン、ローダミングリーン、ローダミンレッド−X、テトラクロロフルオレセイン(Tetratchlorofluoroscein)(TET)、TRITC、テトラメチルローダミン、テキサスレッド−X、TRITC、XRITC、および量子ドットを含むがこれに限らない。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、Tyagiら、Nature Biotechnology 16:49−53(1998)およびDubertretら、Nature Biotechnology 19:365−370(2001)を参照のこと。
【0064】
本発明はまた、波長がシフトするシグナリングプローブも提供する。1つの実施態様において、プローブの1つの末端は、少なくとも1つのハーベスターフルオロフォアおよび1つのエミッターフルオロフォアを有し、プローブの隣接する末端は、少なくとも1つの消光剤部分を有する。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、Tyagiら、Nature Biotechnology、18、1191−1196(2000)を参照のこと。1つの実施態様において、ハーベスターフルオロフォアおよびエミッターフルオロフォアは、同じ末端にあり、ここでそのエミッターフルオロフォアは遠位末端にあり、そして消光剤部分はハーベスターフルオロフォアに対して反対の末端にある。エミッターフルオロフォアは、少数のヌクレオチドのスペーサーアームによって、ハーベスターフルオロフォアから分離され得る。ハーベスターフルオロフォアは、単色光源の波長範囲において強力に吸収する。標的配列の非存在下で、両方のフルオロフォアが消光される。標的の存在下で、プローブは、エミッターフルオロフォアの発光範囲で蛍光を発する。発光スペクトルのシフトは、蛍光共鳴エネルギー移動による、吸収されたエネルギーのハーベスターフルオロフォアからエミッターフルオロフォアへの移動による。これらの型のシグナリングプローブは、単色光源からのエネルギーを効率的に吸収できないフルオロフォアを含むシグナリングプローブより強いシグナルを提供し得る。1つの実施態様において、ハーベスターフルオロフォアはフルオレセインであり、そしてエミッターフルオロフォアは6−カルボキシローダミン6G、テトラメチルローダミン、またはテキサスレッドである。
【0065】
別の実施態様において、プローブの1つの末端は、少なくともフルオロフォアF1を有し、そして別の隣接する末端は、少なくとも別のフルオロフォアF2を有する。それらが近接した場合に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)が起こるように、2つのフルオロフォアを選択する。プローブがその標的配列に結合していない場合、F1の吸収帯における励起時に、F1の蛍光はF2によって消光され、そしてF2の蛍光が観察される。プローブがその標的配列に結合する場合、FRETは減少または排除され、そしてF1の蛍光が生じ、一方F2の蛍光は減少または消滅する。この蛍光強度における差異をモニターし得、そしてF1およびF2の蛍光の間の比を計算し得る。フルオロフォア−消光剤システムにおいて、残留蛍光が観察される場合があるので、このシステムは、標的配列の定量的検出においてより有利であり得る。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、Zhangら、Angrew.Chem.Int.Ed.、40、2、402−405頁(2001)を参照のこと。FRETドナー−アクセプターペアの例は、それぞれクマリン基および6−カルボキシフルオレセイン基を含むがこれに限らない。
【0066】
1つの実施態様において、シグナリングプローブは、発光標識および付加物ペアを含む。付加物の発光標識との相互作用は、標識から産生されるシグナルを減少させる。本明細書中でその全体が参考として援用される、BeckerおよびNelson、米国特許第5,731,148号を参照のこと。
【0067】
別の実施態様において、シグナリングプローブは、少なくとも1つの色素ダイマーを含む。プローブがその標的配列に結合している場合、色素からのシグナルは、ダイマーコンフォメーションにおける色素のシグナルとは異なる。
【0068】
シグナリングプローブまたは他のプローブのコンフォメーション
2本鎖構造
本発明は、お互いにアニーリングする、または少なくとも相互に相補的な領域を形成するようデザインされた、少なくとも2本の別々の核酸の鎖を含む、シグナリングプローブまたは他のプローブを提供する。1つの鎖の少なくとも1つの末端は、他の鎖の末端と隣接する。その核酸は、DNA、RNA、または改変DNAまたはRNAであり得る。その2本の鎖は、セルフダイマーを形成する同一の鎖であり得る。その鎖はまた、配列において同一ではないことがあり得る。
【0069】
2本の別々の鎖を、完全に相補的に、または相補的領域および非相補的領域を含むようにデザインし得る。1つの実施態様において、2本の別々の鎖を、お互いに完全に相補的にデザインする。1つの実施態様において、2本の鎖は、それぞれの末端において、4から9、5から6、2から10、10から40、または40から400の連続的な塩基対の相互に相補的な領域を形成する。その鎖は、5−7、8−10、11−15、16−22、30より多い、3−10、11−80、81−200、または200より多いヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドを含み得る。その2本の鎖は、同じまたは異なる数のヌクレオチドを有し得る。例えば、1つの鎖は、他方よりも長くあり得る。1つの実施態様において、1つの鎖の5’末端は、他の鎖から片寄っている、またはその鎖の3’末端は、他の鎖から片寄っている、または両方であり、ここでその片寄りは10まで、20まで、または30までのヌクレオチドまたは改変ヌクレオチドである。
【0070】
標的配列にハイブリダイズする領域は、相補的領域、1つまたは両方の鎖の非相補的領域、またはその組み合わせにあり得る。1つより多い標的核酸配列を、同じシグナリングプローブによって標的とし得る。1つまたはそれ以上の標的は、同じまたは異なる配列にあり得、そしてそれらは標的に結合するようデザインされたプローブの一部に正確に相補的であるか、または少なくとも十分相補的であり得る。1つの実施態様において、2つの鎖は、各末端において相互に相補的な領域を形成し、そして標的に相補的な配列は、末端における相互に相補的な領域より他の領域に存在する。
【0071】
1つの実施態様において、少なくとも2本の別々の鎖を有するシグナリングプローブは、蛍光原プローブである。1つの実施態様において、1本の鎖は、1つの末端に少なくとも1つの消光剤部分を、そして他の鎖の隣接する末端にフルオロフォアを有する。1つの実施態様において、1本の鎖の5’および3’末端はそれぞれ、同じまたは異なるフルオロフォアを有し、そして他の鎖の5’および3’末端はそれぞれ、同じまたは異なる消光剤部分を有する。1つの実施態様において、1本の鎖の5’末端はフルオロフォアを有し、そして3’末端は消光剤部分を有し、そして他の鎖の3’末端は同じまたは異なる消光剤部分を有し、そして5’末端は同じまたは異なるフルオロフォアを有する。
【0072】
ステム−ループ構造
別の実施態様において、シグナリングプローブは、少なくとも1つの相互に相補的な領域および少なくとも1つの非相補的な領域を含む、核酸または改変核酸の鎖である。1つの実施態様において、そのプローブは、ステム−ループ構造を形成する。ステム領域は相互に相補的であり得る、または相互に相補的な領域および非相補的な領域を含み得る。例えば、ステム領域は、塩基対形成していないバルジヌクレオチドを有し得る。ステム領域はまた、塩基対形成していない、5’または3’末端のオーバーハングヌクレオチドを含み得る。
【0073】
ステム領域が完全に相補的である場合、ステム領域は、3−4、5−6、7−8、9−10、2−6、7−10、または11−30の塩基対を含み得る。ループ領域は、10−16、17−26、27−36、37−45、3−10、11−25、または25−60ヌクレオチドを含み得る。1つの実施態様において、ステム領域は4−10、4、または5つの連続的な塩基対を形成する。
【0074】
1つの実施態様において、ステム−ループ構造は、2つの化学基を含む、少なくとも1つの相互作用ペアを含み、そして1つの化学基は鎖の各末端にある。1つの実施態様において、そのシグナリングプローブは、鎖の各末端に、少なくとも1つのフルオロフォアおよび消光剤部分を有する。
【0075】
1つの実施態様において、ステム領域は、非相補的な領域によって連結された、2つの相互に相補的な領域を含み、相互作用ペアに隣接するその相互に相補的な領域は、5から9塩基対を形成し、そしてループ領域に隣接する相互に相補的な領域は4から5塩基対を形成する。1つの実施態様において、非相補的な領域は、1本鎖ループ領域、ミスマッチ領域または両方である。別の実施態様において、ステム領域は、2つの非相補的領域によって連結された、3つの相互に相補的な領域を含み、相互作用ペアに隣接する最初の相互に相補的な領域は4から5塩基対を形成し、2番目の相互に相補的な領域は2から3塩基対を形成し、そしてループ領域に隣接する3番目の相互に相補的な領域は2から3塩基対を形成する。
【0076】
ステム−ループ構造において、標的配列に相補的な領域は、1つまたはそれ以上のステム領域、またはループ領域、または両方にあり得る。標的にハイブリダイズするステムにおける領域は、相互に相補的な領域、非相補的領域、または両方にあり得る。1つの実施態様において、標的相補的配列は、1本鎖ループ領域にある。1つの実施態様において、相互作用ペアに隣接するステム領域以外の領域が、標的相補的配列である。同じプローブによって、1つより多い標的核酸配列を標的とし得る。1つまたはそれ以上の標的が、同じまたは異なる配列にあり得、そしてそれらは標的に結合するようデザインされたプローブの一部に正確に相補的、または少なくとも十分相補的であり得る。
【0077】
ステムの長さの増加は、その閉じたコンフォメーションにおけるシグナリングプローブの安定性を増加させ得、そして従って、検出可能なシグナルのシグナル対ノイズ比を増加させ得る。これらのシグナリングプローブの細胞への曝露を、依然として細胞に安全である、わずかに上昇した温度で行い、続いて通常の温度に戻し得る。より高い温度において、シグナリングプローブは、もし存在するならその標的に対して開き、そして結合する。一旦冷却すると、標的に結合しなかったシグナリングプローブはその閉じた状態に戻り、それはステムの増加した安定性によって助けられる。同様に、他の力、例えば塩基対形成をゆるめると考えられるDMSOを使用して同じ結果を達成し得る。
【0078】
シグナリングプローブの化学的改変
本発明はまた、化学的に改変されたシグナリングプローブまたは他のプローブを提供する。1つまたはそれ以上の糖−ホスホジエステル型バックボーン、2’OH、塩基を改変し得る。ホスホジエステル結合の置換は、−OP(OH)(O)O−、−OP(O)(O)O−、−OP(SH)(O)O−、−OP(S)(O)O−、−NHP(O)O−、−OC(O)O−、−OCHC(O)NH−、−OCHC(O)O−、−OP(CH)(O)O−、−OP(CH)(O)O−、−P(S)(O)O−、および−OC(O)NH−を含むがこれに限らない。Mは、無機または有機陽イオンである。バックボーンはまた、ペプチド核酸であり得、ここでデオキシリボースリン酸バックボーンが、偽ペプチドバックボーンで置換される。ペプチド核酸は、HyrupおよびNielsen、Bioorganic&Medicinal Chemistry 4:5−23、1996およびHydig−HielsenおよびGodskesen、WO95/32305によって記載されており、それらはそれぞれ、これによって本明細書中でその全体が参考として援用される。
【0079】
糖の2’位置は、H、OH、C−Cアルコキシ、OCH−CH=CH、OCH−CH=CH−CH、OCH−CH=CH−(CHCH3(n=0、1…30)、ハロゲン(F、Cl、Br、I)、C−CアルキルおよびOCHを含むがこれに限らない。C−CアルコキシおよびC−Cアルキルは、直鎖、分岐、または環状の基であり得る、またはそれらを含み得る。
【0080】
ヌクレオチドの塩基は、アデニン、グアニン、シトシン、チミン、ウラシル、イノシン、または改変を有する前述のもののいずれか1つであり得る。改変塩基は、N4−メチルデオキシグアノシン、デアザまたはアザプリンおよびピリミジンを含むがこれに限らない。アデニンのN1、グアニンのN7、シトシンのN3のような環窒素をアルキル化し得る。ピリミジン塩基を、5位または6位で置換し得る、およびプリン塩基を、2、6または8位で置換し得る。例えば、本明細書中でその全体が参考として援用される、Cook、WO93/13121;Sanger、Principles of Nucleic Acid Structure、Springer−Verlag、New York(1984)を参照のこと。
【0081】
通常のヌクレオチドの誘導体が、当該分野で周知であり、そして例えば異なる型の糖を有する分子を含む。糖のO4’位置を、SまたはCHで置換し得る。例えばヌクレオチド塩基認識配列は、連結部分によって結合したシクロブチル部分を有し得、ここでそのシクロブチル部分は、それに結合した複素環式塩基を有する。例えば、Cookら、国際公開WO94/19023を参照のこと(これによって本明細書中でその全体が参考として援用される)。
【0082】
プローブの細胞への送達を促進するのに有用な、プローブの他の化学的改変は、コレステロール、トランスダクションペプチド(例えばTAT、ペネトラチン等)を含むがこれに限らない。
【0083】
4.増殖マーカー
ある実施態様において、本発明の方法において細胞分裂の蛍光マーカーを使用する。標識細胞の蛍光の変化は、細胞が分裂したことを示すので、細胞を標識する蛍光マーカーは、細胞分裂をモニターするために有用である。蛍光を時間につれてモニターして、細胞増殖速度を確立し得る。細胞増殖の増加は、細胞を標識するために用いた蛍光マーカーの増加または減少いずれかと関連する。1つの実施態様において、細胞分裂の蛍光マーカーの蛍光の減少は、細胞増殖の増加と関連する。別の実施態様において、細胞分裂の蛍光マーカーの蛍光の増加は、細胞増殖の増加と関連する。
【0084】
特定の実施態様において、細胞をカルボキシフルオレセインジアセタートスクシンイミジルエステル(CFSE)、リシン側鎖および他の利用可能なアミン基との反応によって、細胞タンパク質と自然におよび不可逆的に結合する蛍光色素によって標識する。CFSE色素を、インビトロで細胞に添加し、そして蛍光を時間につれてモニターする;CFSE標識に関して細胞集団を分析する前に、ある期間細胞分裂させる。分裂時に、CFSEは娘細胞の間に等しく分離するので、連続する世代それぞれで、細胞内の蛍光強度は2倍減少する。このCFSEの性質は、所定の細胞が経験した分裂の数を正確に追跡することを可能にする(WestonおよびParish、J Immunol Methods.1990年10月4日;133(1):87−97;LyonsおよびParish、J Immunol Methods.1994年5月2日;171(1):131−7;Parish、Immunol Cell Biol.1999年12月;77(6):499−508;Lyons、J Immunol Methods.2000年9月21日;243(1−2):147−54)。CFSEで標識した細胞の蛍光強度を、例えばフローサイトメトリーセルソーター、フルオロサイトメーター(fluorocytometer)、蛍光顕微鏡、または蛍光プレートリーダーのような、蛍光シグナルをモニターするために適当な任意の装置によって検出し得る。
【0085】
本発明において使用し得る、細胞分裂の他の蛍光マーカーは、制限無しに、CFSE誘導体、カルボン酸二酢酸スクシンイミジルエステル色素、およびオレゴングリーン488カルボン酸二酢酸(カルボキシ−DFFDA SE)のようなその誘導体、5−(および6−)カルボキシエオシン二酢酸スクシンイミジルエステル(CEDA SE)、PKH26、Hoechst CPA1、Cyquant GRおよびNF色素、MTT、CTT、およびSNARF−1カルボン酸、酢酸スクシンイミジルエステルを含む。
【実施例】
【0086】
実施例1
増加したレベルの関心のあるRNAを産生する、二相性の増殖プロファイルを有する細胞
細胞を、組換えDNAプラスミド(例えば上皮増殖因子受容体に結合する、1本鎖Fv免疫グロブリン断片をコードする)でトランスフェクトする。細胞をトランスフェクトする標準的な方法は周知である。細胞のトランスフェクションを、市販で入手可能な試薬またはキット(Qiagen、Promega、Invitrogen、Stratagene)を用いて、および製造会社の指示に従って、様々な方法によって達成し得る。もし必要なら、均質化およびさらなる化学的処理によるような、標準的な、およびよく確立された方法によって、細胞をお互いに分離し得る。次いで細胞を、同じ(または異なる)プラスミドによってその耐性が与えられた、選択的な抗生物質に曝露させて、関心のある組換え遺伝子を細胞ゲノムへ組み込んだ細胞を富化する。次いでその細胞を、カルボキシフルオレセインジアセタートスクシンイミジルエステル(CSFE)で染色し、そして規定した時間、低密度で増殖させる。その細胞を次いで、関心のあるRNA(例えば上皮増殖因子受容体に結合する、1本鎖Fv免疫グロブリン断片をコードするRNA)にハイブリダイズする蛍光原プローブに曝露する。
【0087】
プローブが関心のあるRNAにハイブリダイズした場合にプローブの蛍光が増加するように、蛍光原プローブを選択する。細胞を、そのより速いCFSE蛍光の喪失および高程度の蛍光原プローブの蛍光に基づいて選択する(関心のある遺伝子の高レベルのRNA発現を維持しながら、低密度で迅速に増殖する細胞)。単離した細胞を、十二分の数まで増殖させる。
【0088】
単離した細胞を、CFSEで再び染色し、そして高密度で増殖させる。数日間の間定期的に、フローサイトメトリーを行う。細胞を、2つの基準に基づいて単離する:1)より高密度の細胞培養物における、CFSEの蛍光の喪失速度の減少、および2)蛍光原プローブの増加した蛍光。その細胞をまた、ヨウ化プロピジウムまたはアネキシンVで染色して、アポトーシス細胞を除去する。最も高密度の細胞培養物は、蛍光原プローブの増加した蛍光および低レベルのアポトーシスの維持に依存し得る。できた細胞培養物に対してフローサイトメトリーを行って、二相性の増殖プロファイルを有し、高レベルの関心のあるRNAを産生し得、そして低レベルのアポトーシスで高密度に増殖し得る細胞クローンを単離する。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
増加した細胞増殖速度を有する細胞を単離するための方法であって、以下:
細胞の集団を、細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬と接触させる工程;および
増加した細胞増殖と相関する該蛍光試薬の蛍光レベルを示す該細胞を単離する工程、
を包含する方法。
【請求項2】
フローサイトメトリーセルソーティング技術を用いて蛍光の検出を実行する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
増加した細胞増殖速度を有する細胞を単離するための方法であって、該細胞が高レベルの関心のあるRNAをまた発現し、以下:
細胞の集団を、関心のある該RNAに対するハイブリダイゼーション時に蛍光を発する蛍光原プローブと接触させる工程;
該集団を、細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬と接触させる工程であって、該試薬が該蛍光原プローブの波長とは異なる波長で蛍光を発する工程;および
該蛍光原プローブの増加した蛍光および、増加した細胞増殖と関連するレベルの該蛍光試薬の蛍光を示す細胞を単離する工程、
を包含する方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法であって、前記蛍光原プローブの蛍光の検出を、前記蛍光試薬の蛍光の検出と同時にアッセイする方法。
【請求項5】
フローサイトメトリーセルソーティング技術を用いて蛍光の検出を実行する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬が、カルボキシフルオレセインジアセタートスクシンイミジルエステル、SNARF−1カルボン酸、または酢酸スクシンイミジルエステルからなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞が、哺乳類細胞、細菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、微生物細胞、藻類細胞、または真菌細胞である、請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記哺乳類細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、HEK293細胞、およびPer.C6細胞からなる群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記細菌細胞がBL21細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法であって、前記真菌細胞が、Chrysosporium細胞、Aspergillus細胞、Trichoderma細胞、Dictyostelium細胞、Candida細胞、Saccharomyces細胞、Schizosaccharomyces細胞、およびPenicillium細胞からなる群より選択される方法。
【請求項11】
前記昆虫細胞が、SF9細胞またはSF21細胞である、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
請求項3に記載の方法であって、前記蛍光原プローブの蛍光の増加および前記蛍光試薬の蛍光の変化を示す細胞を、アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターするための試薬と接触させる工程をさらに含む方法。
【請求項13】
前記試薬が、アネキシン−Vまたはヨウ化プロピジウムである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記関心のあるRNAが、タンパク質をコードするメッセンジャーRNA、アンチセンスRNA分子、構造RNA、リボソームRNA、hnRNA、およびsnRNAからなる群より選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項15】
前記メッセンジャーRNAが、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖、1本鎖Fv、Fab、Fab’、もしくは(Fab’)2抗体断片、または免疫グロブリンの抗原結合断片をコードする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記関心のあるRNAが内因性RNAである、請求項3に記載の方法。
【請求項17】
前記関心のあるRNAが異種起源のRNAである、請求項3に記載の方法。
【請求項18】
細胞培養物を産生するために、単離した前記細胞を培養する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項19】
前記細胞培養物の密度を測定する工程をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
細胞密度の増加した細胞培養物を産生するための方法であって、ここで該細胞培養物中の細胞が高レベルの関心のあるRNAを発現し、以下:
細胞の集団を、該関心のあるRNAに対するハイブリダイゼーション時に蛍光を発する蛍光原プローブと接触させる工程;
蛍光原プローブの蛍光の増加を示す集団から細胞を単離する工程;
該単離した該細胞を培養して第1の細胞培養物を産生する工程;
第2の細胞培養物を単離するために先の工程を繰り返す工程;
該第1の細胞培養物および該第2の細胞培養物の、達成された最大密度を比較する工程;および
細胞密度の増加した細胞培養物を同定する工程であって、ここで該細胞培養物中の細胞が、高レベルの該関心のあるRNAを発現する工程、
を包含する方法。
【請求項21】
蛍光の検出が、フローサイトメトリーセルソーティング技術を用いて実行される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記細胞が、哺乳類細胞、細菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、藻類細胞、または真菌細胞である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記哺乳類細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、HEK293細胞、およびPer.C6細胞からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記細菌細胞がBL21細胞である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記真菌細胞が、Chrysosporium細胞、Aspergillus細胞、Trichoderma細胞、Dictyostelium細胞、Candida細胞、Saccharomyces細胞、Schizosaccharomyces細胞、およびPenicillium細胞からなる群より選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記昆虫細胞が、SF9細胞またはSF21細胞である、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
請求項20に記載の方法であって、前記蛍光原プローブの蛍光の増加を示す細胞を、アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターするための試薬と接触させる工程をさらに含む方法。
【請求項28】
前記試薬が、アネキシン−Vまたはヨウ化プロピジウムである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記関心のあるRNAが、タンパク質をコードするメッセンジャーRNA、アンチセンスRNA分子、構造RNA、リボソームRNA、hnRNA、およびsnRNAからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記メッセンジャーRNAが、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖、1本鎖Fv、Fab、Fab’、もしくは(Fab’)2抗体断片、または免疫グロブリンの抗原結合断片をコードする、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記関心のあるRNAが内因性RNAである、請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記関心のあるRNAが異種起源のRNAである、請求項20に記載の方法。
【請求項33】
二相性の増殖プロファイルを有する細胞を単離するための方法であって、ここで該細胞は、該増殖プロファイルの最初の部分において増加した増殖速度を有し、そしてここで該細胞は、該増殖プロファイルの2番目の部分において減少した増殖速度を有し、以下:
第1の細胞の集団を、細胞増殖の速度をモニターするための蛍光試薬と接触させる工程;
該細胞の集団を低細胞密度で培養する工程;
該増殖プロファイルの該最初の部分において蛍光試薬の変化した蛍光を示す該細胞の集団から細胞を単離する工程;
単離した該細胞を培養して第2の細胞集団を産生する工程;
該第2の細胞集団を、細胞増殖速度をモニターするための蛍光試薬と接触させる工程;
該第2の細胞集団を高密度で培養する工程;および
該増殖プロファイルの該最初の部分における該蛍光試薬の該変化した蛍光と比較して、該増殖プロファイルの該2番目の部分において、該蛍光試薬の変化しない蛍光を、または該蛍光試薬の変化の速度がより緩慢な蛍光を示す細胞を単離する工程であって、それによって、二相性の増殖プロファイルを有する細胞を単離する工程であり、ここで該細胞が、該増殖プロファイルの最初の部分において増加した増殖速度を有し、そして該細胞が、該増殖プロファイルの2番目の部分において、減少した増殖速度を有する工程、
を含む方法。
【請求項34】
二相性の増殖プロファイルを有する細胞を単離するための方法であって、ここで該細胞は、該増殖プロファイルの最初の部分において増加した増殖速度を有し、そしてここで該細胞は、該増殖プロファイルの2番目の部分において減少した増殖速度を有し、そしてここで該細胞は、該増殖プロファイルの該2番目の部分において、高レベルの関心のあるRNAを発現し、以下:
細胞の集団を、該関心のあるRNAに対するハイブリダイゼーション時に蛍光を発する蛍光原プローブと接触させる工程;
該集団を、細胞増殖の速度をモニターするための蛍光試薬と接触させる工程であって、ここで該試薬は、該蛍光原プローブのものとは異なる波長で蛍光を発する工程;および
該増殖プロファイルの該最初の部分において該蛍光試薬の変化した蛍光を、該増殖プロファイルの該2番目の部分において該蛍光試薬の変化しない蛍光を、または該蛍光試薬の減少した変化の蛍光を、および該増殖プロファイルの該2番目の部分において該蛍光原プローブの増加した蛍光を示す細胞を単離する工程、
を含む方法。
【請求項35】
前記細胞が、該増殖プロファイルの該最初の部分において増加した密度に増殖する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記蛍光原プローブの蛍光の検出が、前記増殖プロファイルの前記2番目の部分の間の前記蛍光試薬の蛍光の検出と同時にアッセイされる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
フローサイトメトリーセルソーティング技術を用いて蛍光の検出を実行する、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
請求項34に記載の方法であって、前記細胞増殖の速度をモニターするための前記蛍光試薬が、カルボキシフルオレセインジアセタートスクシンイミジルエステル、SNARF−1カルボン酸、酢酸スクシンイミジルエステルからなる群より選択される方法。
【請求項39】
前記細胞が、哺乳類細胞、細菌細胞、昆虫細胞、植物細胞、微生物細胞、藻類細胞、または真菌細胞である、請求項34に記載の方法。
【請求項40】
前記哺乳類細胞が、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、NS0細胞、HEK293細胞、およびPer.C6細胞からなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記細菌細胞がBL21細胞である、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記真菌細胞が、Chrysosporium細胞、Aspergillus細胞、Trichoderma細胞、Dictyostelium細胞、Candida細胞、Saccharomyces細胞、Schizosaccharomyces細胞、およびPenicillium細胞からなる群より選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記昆虫細胞が、SF9細胞またはSF21細胞である、請求項39に記載の方法。
【請求項44】
請求項34に記載の方法であって、前記蛍光原プローブの増加した蛍光および前記蛍光試薬の変化しない蛍光を示す細胞を、アポトーシスまたはプレアポトーシスマーカーをモニターするための試薬と接触させる工程をさらに含む方法。
【請求項45】
前記試薬が、アネキシン−Vまたはヨウ化プロピジウムである、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項34に記載の方法であって、前記関心のあるRNAが、タンパク質をコードするメッセンジャーRNA、アンチセンスRNA分子、構造RNA、リボソームRNA、hnRNA、およびsnRNAからなる群より選択される、方法。
【請求項47】
前記メッセンジャーRNAが、免疫グロブリン重鎖、免疫グロブリン軽鎖、1本鎖Fv、Fab、Fab’、もしくは(Fab’)2抗体断片、または免疫グロブリンの抗原結合断片をコードする、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記関心のあるRNAが内因性RNAである、請求項34に記載の方法。
【請求項49】
前記関心のあるRNAが異種起源のRNAである、請求項34に記載の方法。
【請求項50】
細胞培養物を産生するために、単離した前記細胞を培養する工程をさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項51】
前記細胞培養物の密度を測定する工程をさらに含む、請求項50に記載の方法。

【公表番号】特表2010−511385(P2010−511385A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−539343(P2009−539343)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【国際出願番号】PCT/US2007/024650
【国際公開番号】WO2008/066909
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(505069085)クロモセル コーポレイション (6)
【Fターム(参考)】