説明

タンパク質素材、畜肉または魚肉補助剤、およびこれを用いた畜肉または魚肉加工品

【課題】畜肉または魚肉加工品に用いて低カロリーでありながら食味を変化させない加工品とすることができるタンパク質素材を提供する。
【解決手段】本発明に係るタンパク質素材は、植物タンパク質に水溶性多糖類であるアルギン酸ナトリウム,コンニャクマンナン,寒天,カラギナン,ローカストビーンガム,タラガム,タマリンドガム,ペクチンのいずれか1以上を配合し、水分20wt%〜80wt%、圧力0.5MPa〜3.0MPaの範囲で加圧熱処理されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質素材、畜肉または魚肉補助剤、およびこれを用いた畜肉または魚肉加工品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年脂質の多い欧米型の食事が日常化し、過食や運動不足による肥満が増加している。このため高血圧、糖尿病、高脂血症の発症が複合化したメタボリックシンドロームが大きな問題になっている。カロリー過多の食生活を変えることが重要である。しかしながら、従来の食事形態から変えることは容易でなく、日常の食事の中で同じようなメニューでありながら低カロリー化させることが望まれていた。
【0003】
例えば、欧米型の食事の中でハンバーグやパンと合わせたハンバーガーはカロリーの多い食品で、アメリカだけでなく日本人も食べる機会がおおくなっている。ハンバーグの問題点は焼き縮みすること、そして加熱により肉がしまり硬くなりジューシーさが失われパサつくことなどである。コストダウンを目的として大豆などの植物タンパクの粉末を加えて焼き縮みをある程度防止しているがパサついて食感をより悪くしている。コンニャクをミンチにして加えるなどして低カロリー化を図っているが同様に食感が悪い、結着力がないなどの問題がある。
【0004】
このように低カロリー化を目的とすると従来より品質の劣る製品になり、おいしさを求める現代人は低カロリーの食事に変えることが難しい現状である。
特許文献1には難消化性多糖類を水分量50%ないし99%になるように加熱加圧状態で押し出すことにより極めて短時間で難消化性多糖類ゲルを製造する方法が記載されている。しかしながら低カロリー、整腸作用等の健康食品イメージを具備した難消化性多糖類ゲルはできるものの畜肉や魚肉に対して保水効果や結着効果は持たないため焼き縮みがありジューシー感もない。
【0005】
特許文献2にはコンニャクマンナンとその他のゲル形成素材、水、アルカリ性物質を添加した後、挽肉等の食品素材を混合し凍結する挽肉加工食品の製造法が記載されている。しかしながらこの方法で低カロリー食品はできるものの工程が複雑であり、大量生産で均一なコンニャクマンナンのアルカリ反応ができない、必ず冷凍変性のための冷凍工程を必要とする、冷凍解凍によるドリップ防止のための澱粉等のゲル形成素材を加えているので糊状感が出てしまうなどの問題がある。
【0006】
特許文献3には畜肉に水溶性高分子粉末を混錬し、ついで金属塩粉末を加えて混錬しゲル化凝固させることを特徴とする畜肉様食品素材の製造方法が記載されている。しかしながら大量生産で反応が不均一になりゲル化が不十分となる、ゲル化により食感が従来と異なる、焼成により保水効果が得られない、低カロリー食品ではないなどの問題がある。
【0007】
特許文献4にはマンナンを冷凍状態で裁断し畜肉などと混合して作る、マンナンを主原料として用いたことを特徴とするハンバーグが記載されている。低カロリー食品であるが、しかしながら解凍によりマンナンからの離水があり、また過剰水分を持つため保形性に劣る、焼き縮みが多いなどの問題がある。
【0008】
特許文献5にはタンパクの二軸押出機処理において水溶性多糖類としてプルラン、アラビアガム、グアーガム、キサンタンガム、ジェランガム、ヘミセルロースを添加することにより組織の毛羽立ちが少なくなることが記載されている。しかし、本願の水溶性多糖類のように吸水能力が増し、結着能力が増す効果はない。
【0009】
特許文献6には大豆タンパクとカゼインと水を加熱加圧処理することにより吸水能が5〜12重量倍の組織状タンパクができ冷凍解凍後にジューシー感のある食品ができる記載があるが水溶性多糖類の添加や結着性の記載はない。
【0010】
特許文献7には植物タンパク、澱粉、多糖類を組み合わせてエクストルージョンクッキングをすると喉通りの改良された肉用タンパク素材ができることが書かれているが、結着効果や吸水効果に関する記述がない。
【0011】
特許文献8には大豆タンパクと澱粉、5%以下の水不溶性多糖類についての記載があるが、水不溶性多糖類は喉通りを悪くするという問題がある。
【0012】
特許文献1:特開昭62−29947号公報
特許文献2:特開平1−153060号公報
特許文献3:特開平4−365461号公報
特許文献4:特開2000−41628
特許文献5:特開平10−14499号公報
特許文献6:特開2003−235461
特許文献7:特開平2−49545号公報
特許文献8:特開平8−66157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、低カロリーでありながら食味を変化させない畜肉または魚肉加工品、およびこれらに用いて好適なタンパク質素材、畜肉または魚肉補助剤を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るタンパク質素材は、植物タンパク質に水溶性多糖類であるアルギン酸ナトリウム,コンニャクマンナン,寒天,カラギナン,ローカストビーンガム,タラガム,タマリンドガム,ペクチンのいずれか1以上を配合し、水分20wt%〜80wt%、圧力0.5MPa〜3.0MPaの範囲で加圧熱処理されたことを特徴とする。
【0015】
また、前記植物タンパク質および水溶性多糖類に分散剤を配合して加圧熱処理されたことを特徴とする。
分散剤が単糖,二糖,オリゴ糖,デキストリンなどの糖類であることを特徴とする。
前記水溶性多糖類の割合が植物タンパク質に対し10〜90%であることを特徴とする。
前記タンパク質素材の吸水能力が13重量倍以上であることを特徴とする。
【0016】
上記タンパク質素材は畜肉または魚肉加工品の補助剤として好適に用いることができる。
この場合、畜肉または魚肉に対して0.1wt%〜10wt%添加すると好適である。
【0017】
また上記タンパク質素材の製造方法は、植物タンパク質に水溶性多糖類であるアルギン酸ナトリウム,コンニャクマンナン,寒天,カラギナン,ローカストビーンガム,タラガム,タマリンドガム,ペクチンのいずれか1以上を配合し、水分20wt%〜80wt%の水を添加し、圧力0.5MPa〜3.0MPaの下で加圧熱処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、畜肉または魚肉加工食品が加熱により離水して焼き縮みしないように保水させることができる。また、単に保水性を高めるだけでなく咀嚼により肉汁が出てくるようなジューシー感を持たせることができる。また、畜肉または魚肉加工するときに結着力を持たせることができ、保形性に優れる。そして低カロリーでダイエット効果をもつ食品を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明者らは鋭意検討の結果、植物タンパク質に水溶性多糖類であるアルギン酸ナトリウム,コンニャクマンナン,寒天,カラギナン,ローカストビーンガム,タラガム,タマリンドガム,ペクチンのいずれか1以上を配合し、水分20wt%〜80wt%、圧力0.5MPa〜3.0MPaの範囲で加圧熱処理されたタンパク質素材を畜肉または魚肉加工食品に加えた時に目的とする効果を発揮することを見出した。
【0020】
このタンパク質素材の製造においては上記加圧加熱処理後、乾燥工程を設けても良い。なお、上記加圧加熱処理は上記加圧下で温度80℃〜300℃で行うのが好適である。
【0021】
この乾物が畜肉または魚肉加工品に加えられた時、加熱により離水して焼き縮みすることを防止し、かつ咀嚼により肉汁が出てくるようなジューシー感を有していることが分かった。また畜肉または魚肉加工するときに一部が溶解して結着力を有することも分かった。さらにこの乾物をあらかじめ加水しておくことにより、保水効果を有し、低カロリーの食品を作ることができることが分かった。
【0022】
加水量としては畜肉または魚肉に加えて加工したときに出る離水をこの乾物が保水するための量を差し引いた量が好ましい。例えば、畜肉または魚肉補助食品としては、畜肉または魚肉に対し0.1wt%〜10wt%含むのが良く、0.3wt%〜5wt%が好ましく、0.5wt%〜3wt%がさらに好ましい。10wt%より多いと肉製品の結着性が弱く、また保水性が高すぎてジューシー感が出ない。0.1wt%より少ないとジューシー感が不足し結着性も出ない。
【0023】
植物性タンパク質と水溶性多糖類を併用することにより保水性が増し、ジューシー感が付与され、結着性が良好になるかについては、植物性タンパク質が高温高圧処理され多孔質になる時に水溶性多糖類がこの多孔質構造中に取り込まれ、多孔質中に入ってきた水分により徐々に溶けることにより多孔質中の水分の保持をよくしているものと考えられる。また適度に粘性のある液が多孔質中から出ることによりジューシー感が付与され、多孔質中から出た水溶性多糖類と多孔質構造の表面の凹凸により結着性が増すものと考えられる。
【0024】
水溶性多糖類としてはアルギン酸ナトリウム,コンニャクマンナン,寒天,カラギナン,ローカストビーンガム,タラガム,タマリンドガム,ペクチンのいずれか1以上を配合することが好ましく、さらにコンニャクマンナン、カラギナンを併用することが特に好ましい。
植物性タンパク質としては、大豆タンパクが好適であるが、小麦タンパク、その他の植物性タンパクも用いることができる。
植物性タンパク質と水溶性多糖類との配合割合(重量%)は10:90〜90:10が好ましく、30:70〜70:30がさらに好ましい。
加圧加熱処理する段階において機械特性を上げる目的、また食感を改良させる目的、吸水性を調整する目的で分散剤を添加しても良い。具体的には単糖、二糖、オリゴ糖,デキストリンなどの糖類などがある。添加量は植物タンパクと水溶性多糖類に対して50wt%以下が好ましい。
【0025】
畜肉加工品、魚肉加工品は特に限定されないが、ハンバーグ、ミートボール、蒲鉾、はんぺんなどの補助食品として好適である。
なお、本発明に係るタンパク質素材は、畜肉または魚肉加工品の補助添加食品としてのみならず、他の食品添加剤としても用いることができる。
【実施例】
【0026】
以下に実施例を示す。
〔実施例1〜4〕
表1の多糖類にて畜肉または魚肉補助剤の作製を行った。具体的には表1の多糖類30部、植物タンパクとして大豆タンパク(フジプロ:不二製油社製)60部、分散剤としてデキストリン(#2 松谷化学工業社製)10部を加えて混合し、二軸エクストルーダー(日本製鋼所社製 TEX−32F)を用いて連続的に倍量の水と共に供給して加熱加圧処理を行った。処理条件は温度160℃、加圧圧力2MPa、スクリュー回転数460rpmとした。処理後乾燥し粉砕機にて粉末化した。
【0027】
このものにつき膨潤量を測定した。測定方法は粉末(目開き850μmの篩にパスし、38μmの篩にオンした粉末)1gに水100gを添加し20℃で10分放置後、グラスウールで濾過し濾過された水の重量を測定し次の式により計算し表2に記した。
吸水量(g)=100−濾過された水の量
【0028】
また比較例1〜7として本願に含まれない多糖類を使用したもの、比較例8として多糖類を含まないもの(替わりにデキストリンを配合)、比較例9として大豆タンパクのみで製造したもの(多糖類とデキストリンを含まない)についても同様に作製した。さらに比較例として実施例1〜4の水溶性多糖類を使用したものでエクストルーダー処理していないものも作製した(比較例10〜13)。
【0029】
以後使用した多糖類は以下の通りである。
アルギン酸ナトリウム(I−5 キミカ社製)
コンニャクマンナン(マンナンS 伊那食品工業社製)
寒天(S−7 伊那食品工業社製)
カラギナン(E−150 伊那食品工業社製)
ローカストビーンガム(L−15 伊那食品工業社製)
タラガム(タラガムA 伊那食品工業社製)
タマリンドガム(グリロイド2A 大日本住友製薬社製)
LMペクチン(LM104AS CPケルコ社製)
HMペクチン(D-slowSet CPケルコ社製)
プルラン(PI−20 林原商事社製)
アラビアガム(アラビアガムA 伊那食品工業社製)
グアーガム(GR−10 伊那食品工業社製)
キサンタンガム(V−10 伊那食品工業社製)
ジェランガム(ケルコゲル CPケルコ社製)
大豆多糖類(SM−1200 三栄源FFI社製)
澱粉(馬鈴薯澱粉 松谷化学工業社製)
【0030】
表1

【0031】
表2

【0032】
以上のように大豆タンパクに本願の水溶性多糖類を加えたものは水の吸水が比較例に比べ多く、畜肉または魚肉加工品に添加された場合低カロリーの製品を作ることが可能であることが示された。また比較例10〜13のエクストルーダー処理していないものの中で比較例10,11は見かけの吸水量は上がっていたが粉末が吸水しているのみであり各成分が複合化されていなく且つ比較例10,11はぬるつき感が強かった。
【0033】
〔実施例10〜13〕
次に多糖類を併用した場合について検討した。
表3に示す多糖類にて畜肉または魚肉補助剤の作製を行った。具体的には表2の多糖類30部、植物タンパクとして大豆タンパク(フジプロ:不二製油社製)60部、分散剤としてデキストリン(#2 松谷化学工業社製)10部を加えて混合し、二軸エクストルーダー(日本製鋼所社製 TEX−32F)を用いて連続的に倍量の水と共に供給して加熱加圧処理を行った。処理条件は温度160℃、加圧圧力2MPa、スクリュー回転数460rpmとした。処理後乾燥し粉砕機にて粉末化した。このものにつき膨潤量を測定した。測定方法は粉末1gに水100gを添加し20℃で10分放置後、グラスウールで濾過し濾過された水の重量を測定し次の式により計算し表4に記載した。
吸水量(g)=100−濾過された水の量
【0034】
表3

【0035】
表4

【0036】
以上のように本願の水溶性多糖類を併用した場合においても水の吸水が比較例1〜13に比べて多く、畜肉または魚肉加工品に添加された場合低カロリーの製品を作ることが可能であることが示された。
【0037】
〔実施例14〜25〕
次に植物性タンパク質と水溶性多糖類の配合割合を変えて畜肉または魚肉補助剤の作製を行った。具体的には表5に示す多糖類と、植物タンパクとしての大豆タンパク(フジプロ:不二製油社製)とを割合を替えて使用し、二軸エクストルーダー(日本製鋼所社製 TEX−32F)を用いて連続的に倍量の水と共に供給して加熱加圧処理を行った。処理条件は温度160℃、加圧圧力2MPa、スクリュー回転数460rpmとした。処理後乾燥し粉砕機にて粉末化した。このものにつき膨潤量を測定した。測定方法は粉末1gに水100gを添加し20℃で10分放置後、グラスウールで濾過し濾過された水の重量を測定し次の式により計算し表6に記載した。
吸水量(g)=100−濾過された水の量
【0038】
表5

【0039】
表6

【0040】
以上のように水溶性多糖類と大豆タンパク質との配合割合は1:9〜9:1が良くこれ以外であると吸水が悪くなったり、食感にぬめり感が出てきて良くなかった。
【0041】
〔実施例26〜29〕
次に、加圧加熱工程における、処理検体の水分量および加圧条件と、吸水量とのそれぞれの関係を調べた。
水溶性多糖類としてコンニャクマンナンを使用してタンパク質素材の作製を行った。具体的にはコンニャクマンナン30部、植物タンパクとして大豆タンパク(フジプロ:不二製油社製)60部、分散剤としてデキストリン(#2 松谷化学工業社製)10部を加えて混合し、二軸エクストルーダー(日本製鋼所社製 TEX−32F)を用いて連続的に水と共に供給して加熱加圧処理を行った。処理検体の水分値、処理圧力は表7に示す条件とした。なお、スクリュー回転数を460rpmとした。処理後乾燥し粉砕機にて粉末化した。このものにつき膨潤量を測定した。測定方法は粉末(目開き850μmの篩にパスし、38μmの篩にオンした粉末)1gに水100gを添加し20℃で10分放置後、グラスウールで濾過し濾過された水の重量を測定し次の式により計算し表8に記載した。
吸水量(g)=100−濾過された水の量
また比較例として水分値20wt%未満のもの、80wt%より多いもの、圧力0.5MPa未満のもの、3.0MPaより大きいものも試験した。
【0042】
表7

【0043】
表8

【0044】
以上のように水分値20wt%未満のもの、水分値80wt%より多いもの、圧力0.5MPa未満のもの、3.0MPaより大きいものもは吸水量が13g以下であり、実施例に比べ少なく、畜肉、魚肉加工品に添加した場合、十分な保水性が得られない。
したがって、植物タンパク質に水溶性多糖類であるアルギン酸ナトリウム,コンニャクマンナン,寒天,カラギナン,ローカストビーンガム,タラガム,タマリンドガム,ペクチンのいずれか1以上を配合し、水分20wt%〜80wt%、圧力0.5MPa〜3.0MPaの範囲で加圧熱処理することが肝要である。
【0045】
次に実施例1〜25,比較例1〜21で作製した畜肉または魚肉補助剤を使って表9の配合にて肉量が約1/2のハンバーグを作製した。また比較例26としては畜肉または魚肉補助剤を加えず通常どおり肉を加えたもの、また、比較例27としては畜肉または魚肉補助剤の替わりに脱脂大豆粉末を加えた配合のハンバーグを作製した。作製方法は通常のハンバーグ同様に各配合成分を混ぜ合わせ、成型後170℃にて焼成した。焼成したものにつき重量を焼成前と比較すると共に10名のパネラーにより試食を行い評価した。評価対象はジューシー感、結着性、焼き縮みを調べた。結果を表10に示した。
【0046】
表9

【0047】
表10

(*1) (焼成前重量―焼成後重量)÷焼成前重量×100(%)
(*2) 評価基準 +++:ジューシー感がありおいしい
++:ジューシー感はあるが+++より劣る
+:ジューシー感が少ない
(*3) 評価基準 A:適度な結着性があり食感が良い
B:結着性があるがAより弱い
C:結着性が弱い
(*4) 評価基準 −−−:焼き縮み多い
−−:焼き縮みあり
−:焼き縮み少ない
【0048】
以上のように本願の畜肉または魚肉補助剤を使用したハンバーグはジューシー感があり、結着性が適度にあるため食感も良く、焼き縮みが少ないため外観も良好であった。
【0049】
次に実施例2で作製した畜肉または魚肉補助剤の添加量を変えて、表11の配合にてハンバーグを作製した。畜肉または魚肉補助剤の添加量は表12に記載した。作製方法は通常のハンバーグ同様に各配合成分を混ぜ合わせ、成型後170℃にて焼成した。焼成したものにつき重量を焼成前と比較すると共に10名のパネラーにより試食を行い評価した。評価対象はジューシー感、結着性、焼き縮みを調べた。結果を表13に示した。
【0050】
表11

【0051】
表12

【0052】
表13

(*1) (焼成前重量―焼成後重量)÷焼成前重量×100(%)
(*2) 評価基準 +++:ジューシー感がありおいしい
++:ジューシー感はあるが+++より劣る
+:ジューシー感が少ない
(*3) 評価基準 A:適度な結着性があり食感が良い
B:結着性があるがAより弱い
C:結着性が弱い
(*4) 評価基準 −−−:焼き縮み多い
−−:焼き縮みあり
−:焼き縮み少ない

以上のように畜肉または魚肉補助剤の添加量は0.1wt%〜10wt%がジューシー感があり、結着性が良く、焼き縮みが少なくよかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物タンパク質に水溶性多糖類であるアルギン酸ナトリウム,コンニャクマンナン,寒天,カラギナン,ローカストビーンガム,タラガム,タマリンドガム,ペクチンのいずれか1以上を配合し、水分20wt%〜80wt%、圧力0.5MPa〜3.0MPaの範囲で加圧熱処理されたことを特徴とするタンパク質素材。
【請求項2】
前記水溶性多糖類の割合が植物タンパク質に対し10wt%〜90wt%であることを特徴とする請求項1記載のタンパク質素材。
【請求項3】
前記タンパク質素材の吸水能力が13重量倍以上であることを特徴とする請求項1または2記載のタンパク質素材。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項記載のタンパク質素材を含む畜肉または魚肉補助剤。
【請求項5】
請求項4記載の畜肉または魚肉補助剤を含んだ畜肉または魚肉加工品。

【公開番号】特開2009−213356(P2009−213356A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−57022(P2008−57022)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000118615)伊那食品工業株式会社 (95)
【Fターム(参考)】