説明

タンパク質結合性のドキソルビシン−ペプチド−誘導体

本発明はタンパク質結合性の基を有し、MMP−2またはMMP−9で切断可能なペプチド配列を有する低分子ドキソルビシン−ペプチド−誘導体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マトリックス−メタロプロテイナーゼ2または9により切断可能である、タンパク質結合性のドキソルビシン−ペプチド−誘導体、その製法および使用に関する。
【0002】
ドキソルビシンを用いて悪性腫瘍疾患を化学療法で治療することは、この作用物質の狭い治療範囲のために副作用と結びついている(Dorr RT, Von Hoff DD,“Cancer Chemotherapy Handbook”第2改訂版、Appleton and Lange, Norwalk, 1994)。従って、効果的な治療のために、この細胞増殖抑制剤の全身性の毒性を減少させることおよび同時に薬理学的な能力を上昇させることが望まれている。一定のプロドラッグを用いて、一方で結合した作用物質を罹患した組織中に、これを標的として搬送することが、他方では標的部位で作用物質を効果的にかつ出来るだけ特異的に遊離させることが、悪性腫瘍組織の生化学的または生理学的な特別性により達成できることは公知である。副作用プロフィールおよび細胞増殖抑制剤の効果の改善のための始めとしては、インビボで内因性の血清タンパク質、特にアルブミンに結合し、かつこのようにして作用物質のマクロ分子搬送型を形成する、タンパク質結合性のものを開発することにある(Kratz,F等, J.Med.Chem.2000, 43, 1253-1256)。
【0003】
更に、マトリックス−メタロプロテイナーゼ(MMP)、特にMMP−2およびMMP−9、が悪性の腫瘍の進行において重要なプロテアーゼであるとして同定された(Stetler-Stevenson, W.G.等, Annu.Rev.Cell Biol.1993,9,541-573)。
【0004】
本発明の課題は、ドキソルビシンの治療範囲を拡大するために、静脈内適用の後、循環するアルブミンに共有結合し、MMP−2もしくはMMP−9により腫瘍組織中で切断される、この作用物質の誘導体を獲得することである。この課題は、一般式I:
【0005】
【化1】

Y=OまたはS
n=0〜5
m=0〜6
−P′は必須アミノ酸20個の10個までからなるペプチド配列を表し、かつPMはタンパク質結合性の基である。
【0006】
【化2】

【0007】
本発明による化合物は、ドキソルビシン、ペプチド−スペーサーおよびタンパク質結合性の基PMを含有するヘテロ二官能性架橋剤から構成されている。以下に、この構造をより詳細に説明する:
ヘテロ二官能性架橋剤は、一般式II
【0008】
【化3】

[式中、
Y=OまたはS
n=0〜5
m=0〜6
PM=タンパク質結合性の基を表す]のタンパク質結合性の基を有するカルボン酸−誘導体である。
【0009】
m<2およびn=2〜5を有するヘテロ二官能性架橋剤を使用するのが有利である。オキシエチレン−単位は水溶性を高めること、特にnの大きな値において水溶性を高めることを達成する。
【0010】
タンパク質結合性の基(PM)は有利に、2−ジチオピリジル基、ハロゲンアセタミド基、ハロゲンアセテート基、ジスルフィド基、アクリル酸エステル基、モノアルキルマレイン酸エステル基、モノアルキルマレアミン酸アミド基、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基、イソチオシアネート基、アジリジン基またはマレインイミド基から選択されている。特に有利なタンパク質結合性の基はマレインイミド基である。
【0011】
ペプチドスペーサーは、MMP−2もしくはMMP−9により切断可能である、必須アミノ酸20個の10個までからなるペプチド配列P−P′である。有利なペプチドスペーサーはアミノ酸8個からなる。特に有利な配列は次のペプチドである:
【0012】
【表1】

【0013】
このペプチドはMMP−2もしくはMMP−9によりP−P′−結合で酵素的に切断される。
【0014】
最も有利であるのは、配列Gly−Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−Gly−Glnである。
【0015】
本発明によるドキソルビシン−ペプチド−誘導体の製造は、有利にドキソルビシンと一般式III:
【0016】
【化4】

[式中、
Y=OまたはS
n=0〜5
m=0〜6
−P′は必須アミノ酸20個の10個までからなるペプチド配列を表し、かつPMはタンパク質結合性の基を表す]のペプチド誘導体とを、ペプチド−誘導体の活性化したカルボキシル基とドキソルビシンのダウノサミン環のアミノ基とを縮合させることにより、反応させることにより実施する。
【0017】
ペプチド−誘導体のC−末端の活性化のための試薬としては、有利にN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェートまたは2−クロロ−1−メチル−ピリジニウムヨージドを、慣用の触媒もしくは補助塩基、例えばトリアルキルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)またはヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の添加下に使用する。この反応を有利に極性溶剤、例えばDMF、DMAもしくはDMSO中で、温度−20℃〜40℃、有利に0℃〜5℃で実施し、その際反応時間は通常1〜120時間であり、有利には24〜96時間である。生成物単離は通常の方法、例えば結晶化、シリカゲルでのクロマトグラフィーまたはクロマトグラフィーで実施する。
【0018】
ペプチド−誘導体の製造は、有利に一般式IIのヘテロ二官能性架橋剤の活性化カルボキシル基とペプチド配列P−P′のN末端との反応により実施するのが有利である。その際、架橋剤のカルボキシル基を活性化するための試薬としては、N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド、(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェートまたは2−クロロ−1−メチル−ピリジニウムヨージドを、慣用の触媒もしくは補助塩基、例えばトリアルキルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)またはヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の添加下に使用するのが有利である。反応は有利に固相で、かつ生成物単離は一般に逆相クロマトグラフィー(分取HPLC)により、当業者に慣用の方法により実施する。
【0019】
本発明によるタンパク質結合性のドキソルビシン−ペプチド−誘導体は、腸管外、有利に静脈内投与する。このためには、本発明によるドキソルビシン−ペプチド−誘導体を溶液、固体物質または凍結乾燥物質として、場合により通常の助剤を使用して調製することができる。そのような助剤は例えばポリソルベート、グルコース、ラクトース、マンニトール、サッカロース、デキストラン、クエン酸、トロメタモール、トリエタノールアミン、アミノ酢酸、および/または合成ポリマーである。本発明によるドキソルビシン−ペプチド−誘導体をpH−範囲2.0〜8.0、有利にpH−範囲5.0〜7.0の等張緩衝液中に溶かし、適用するのが有利である。一般に、本発明によるドキソルビシン−ペプチド−誘導体は、架橋剤中のオキシエチレン単位および/またはペプチド配列中への極性アミノ酸、例えばアルギニン、プロリン、グルタミンおよび/またはグルタミン酸の組み込みにより、十分な水溶性を有する。ドキソルビシン−ペプチド−誘導体の溶解性は、場合により医薬溶剤、例えば1,2−プロパンジオール、エタノール、イソプロパノール、グリセリンおよび/または分子量200〜600g/モルを有するポリ(エチレングリコール)、有利には分子量600g/モルを有するポリ(エチレングリコール)および/または溶解助剤、例えばツウィーン80、クレモホル(Cremophor)またはポリビニルピロリドンにより改善することができる。
【0020】
本発明によるドキソルビシン−ペプチド−誘導体の本質的な特徴は、タンパク質結合性の基を介しての血清タンパク質への迅速な共有結合にあり、このことにより作用物質のマクロ分子搬送型が生成される。血清タンパク質、例えばトランスフェリンまたはアルブミンに関しては、腫瘍組織中への上昇した取り込みが公知である(Kratz F.; Beyer U. Drug Delivery 1998, 5, 281-299)、こうしてこれは本発明の範囲において細胞増殖抑制剤のための内生キャリヤーとして考慮することができる。特に有利な血清タンパク質は循環性の人血清アルブミン(HSA)であり、これは平均濃度30〜50g/lで、人血液の主要タンパク質成分を形成し(Peters T. Adv. Protein Chem. 1985, 37, 161-245)、かつタンパク質の表面に遊離のシステイン基(システイン−34−基)を有し、これはマレインイミドまたはジスルフィドのようなチオール形成基の結合のために好適である(WO 00/76551)。ドキソルビシン−ペプチド−誘導体と血清タンパク質との反応は、生体外でも実施することができ、例えば注入のために予定されているアルブミン、血液量または血清量と反応させることができる。
【0021】
タンパク質結合したドキソルビシン−ペプチド−誘導体はドキソルビシンに対して変化した生体分布を示し、こうしてそのマクロ分子の特性により腫瘍組織中に富化する。そこで行われるMMP−2もしくはMMP−9による切断により、低分子のドキソルビシンペプチドが切断され、これが腫瘍組織中で活性成分としてのドキソルビシンを遊離する。驚くべきことには、動物実験においても、タンパク質結合性のドキソルビシン−ペプチド−誘導体が臨床的にスタンダードであるドキソルビシンより高い効果を示した(例1参照)。
【0022】
実施例
次の実施例は図面と共に本発明をより詳細に説明する。図面中には以下のものが図示されている:
図1は例1の生成物の構造式を示す;
図2は図1の化合物とヒト血漿とのインキュベーションによる生成物のクロマトグラムを示す;
図3は図1の化合物のアルブミン結合型のMMP−2による切断バッチのクロマトグラムを示す;
図4は切断したドキソルビシンテトラペプチドとA375−メラノーマ−組織ホモジネートとのインキュベーションバッチのクロマトグラムを示す;
図5は一方ではドキソルビシンでの、他方では図1の化合物でのA375メラノーマの腫瘍成長のグラフ図を示す。
【0023】
例1
1の合成(図1参照):ドキソルビシン−塩酸塩175.0mg(0.3mmol)、Mal−Gly−Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−Gly−Gln(Mal=マレインイミドトリエチレングリコール酸)298.5mg(0.3mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール−水和物40.5mg(0.3mmol)および4−メチルモルホリン98.95μl(91.0mg、0.9mmol)を無水のN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)50ml中で+5℃で15分間撹拌した。N,N′−ジイソプロピルカルボジイミド139.36μl(113.6mg、0.9mmol)を添加し、このバッチを+5℃で72時間撹拌した。引き続き、この溶剤を高真空(Hochvakuum)下に除去し、残分を最少量のクロロホルム/メタノール4:1中に溶かし、かつシリカゲル60(Merck,Darmstadt)でのクロロホルム/メタノール4:1を用いるカラムクロマトグラフィーを2回実施することにより、生成物を精製した。得られたフラクションから1を過剰のジエチルエーテルを添加することにより沈殿させ、濾別し、ジエチルエーテル20ml×2で洗浄し、新たに遠心分離した。高真空中で乾燥した後に、赤色粉末として1が250mg得られた。質量(MALDI-TOF,Mr1520.7):m/z1543[M+Na]、HPLC(495nm):>98%。
【0024】
1は水溶性で、かつアルブミン結合性の成分としてマレインイミドトリエチレングリコール酸を含有する。1は数分間のうちに選択的に血漿中の内生アルブミンのシステイン−34−位に結合する(図2参照)。
【0025】
図2は1とヒト血漿との37℃でのインキュベーション検査の2分間および5分間後のクロマトグラムを示す。濃度1=59μM。HPLC:Biorad社、MuenchenのBioLogic Duo-Flow System;Bischoff社のLambda 1000モニター(Λ=495nm)およびMerck F-1050蛍光分光光度計(EX.490nm、EM.540nm);280nmでのUV検出;カラム:水、300Å、前カラムを有するシンメトリーC18[4.6×250mm];流量:1.2ml/分、可動相A:CHCN27.5%、20mMリン酸カリウム(pH7.0)72.5%、可動相B:CHCN、傾斜:0〜25分、可動相A100%;25〜40分で、CHCN70%、20mMリン酸カリウム30%に;40〜50分CHCN70%、20mMリン酸カリウム30%;50〜60分、可動相A100%;注入体積:50μl。
【0026】
クロマトグラムは、インキュベーション2分間の後、すでに1の著しい量がアルブミンに結合して存在していることを示し;5分後に1の全量がアルブミンに結合していることを示す。
【0027】
例2
1のアルブミン結合型を活性化したMMP−2 2mUと37℃で、2倍過剰量のTiMP−2(MMP−2の阻害剤)の不存在または存在下にインキュベートした。次いで、切断バッチのHPLCを図2で記載したような条件下に実施した。アントラサイクリンの濃度は100μmであった。このクロマトグラムを図3に示す。同様な結果は、MMP−2の代わりにMMP−9を使用した際にも達せられた(Calbiochem FRGのMMP−2およびMMP−9)。TIMP−2なしで、MMP−2を用いたバッチのクロマトグラムは、1.5時間後に1のアルブミン複合体から完全に基Ile−Ala−Gly−Gln−DOXOが切断された。TIMP−2によるMMP−2の抑制においては、非常に僅かな切断のみが行われ、かつ1のアルブミン複合体はほぼ完全に保持される。
【0028】
例3
例2において記載されたように得られた切断ドキソルビシンテトラペプチド(Ile−Ala−Gly−Gln−DOXO)を用いて、A375−メラノーマ−組織ホモジネートとインキュベーション検査を実施した。このインキュベーションは37℃で実施した。アントラサイクリンの濃度は100μmであった。2分間、30分間および3時間の後、それぞれHPLC−クロマトグラフィーを図2の条件下に実施した。この実験に使用したメラノーマ−組織ホモジネートは、1mMモノチオグリセロールを含有する50mMトリス−HCL−緩衝液pH7.4中で、A375異種移植片−腫瘍を用いて製造した。図4は得られた結果を示す。
【0029】
例4
皮下に成長するA375メラノーマ異種移植片の腫瘍成長を図5中に示す。ここでは、ドキソルビシンおよび1[投与量(静脈内);ドキソルビシン(=doxo):2×13.3μmol/kg=2×8mg/kgドキソルビシン]で8日目および15日目;1:2×13.3μmol/kg(=2×8mg/kgドキソルビシン−当量)で8日目および15日目、3×39.9μmol/kg(=3×24mg/kgドキソルビシン当量)で8日目、15日目、22日目に処置した。この図は記載した時間に関する相対腫瘍体積である。動物:ヌードマウス;ドキソルビシンの原溶液(2mg/ml);1の原溶液:10mMリン酸ナトリウム、5%D−グルコース(pH6.4)中の6mg/ml、対照液(緩衝液):グルコース−リン酸塩緩衝液(10mMリン酸ナトリウム、5%D−グルコース−pH6.4)8日目および15日目。
【0030】
図5中の曲線は、ドキソルビシンに比較して、本発明によるドキソルビシン誘導体が著しく優れていることを明らかに示している。その際、ドキソルビシンは、本発明による誘導体での処置に比較して約3倍の大きさの腫瘍体積を示す。このことは、本発明による誘導体により、驚くべき改善された効果が達せられることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】例1の生成物の構造式を示す図である
【図2】図1の化合物とヒト血漿とのインキュベーションによる生成物のクロマトグラム図である
【図3】図1の化合物のアルブミン結合型のMMP−2による切断バッチのクロマトグラム図である
【図4】切断したドキソルビシンテトラペプチドとA375−メラノーマ−組織ホモジネートとのインキュベーションバッチのクロマトグラム図である
【図5】ドキソルビシンおよび図1の化合物を用いた、A375メラノーマの腫瘍成長のグラフ図を示す

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化1】

[式中、
Y=OまたはS
n=0〜5
m=0〜6
−P′はマトリックス−メタロプロテイナーゼ2または9(MMP−2またはMMP−9)により切断可能な、必須アミノ酸20個の10個までからなるペプチド配列を表し、かつPMはタンパク質結合性の基であり、かつ
【化2】

]のドキソルビシン−ペプチド−誘導体。
【請求項2】
PMが置換されているかまたは非置換のマレインイミド基、2−ジチオピリジル基、ハロゲンアセタミド基、ハロゲンアセテート基、ジスルフィド基、アクリル酸エステル基、モノアルキルマレイン酸エステル基、モノアルキルマレアミン酸アミド基、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル基、イソチオシアネート基またはアジリジン基から選択されている、請求項1記載のドキソルビシン−ペプチド−誘導体。
【請求項3】
PMが置換されているかまたは非置換のマレインイミド基である、請求項2記載のドキソルビシン−ペプチド−誘導体。
【請求項4】
m<2およびn=1〜5である、請求項1から3までのいずれか1項記載のドキソルビシン−ペプチド−誘導体。
【請求項5】
Y=Oである、請求項1から4までのいずれか1項記載のドキソルビシン−ペプチド−誘導体。
【請求項6】
ペプチド配列P−P′はアミノ酸8個を包含する、請求項1から5までのいずれか1項記載のドキソルビシン−ペプチド−誘導体。
【請求項7】
ペプチド配列はGly−Pro−Gln−Gly−Ile−Ala−Gly−Gln、Gly−Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−Gly−GlnまたはGly−Pro−Gln−Gly−Ile−Trp−Gly−Glnである、請求項6記載のドキソルビシン−ペプチド−誘導体。
【請求項8】
ペプチド配列がGly−Pro−Leu−Gly−Ile−Ala−Gly−Glnである、請求項6記載のドキソルビシン−ペプチド−誘導体。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載のドキソルビシン−ペプチド−誘導体の製法において、カルボン酸−活性化剤の存在で、一般式II
【化3】

[式中、
Y=OまたはS
n=0〜5
m=0〜6
−P′は必須アミノ酸20個の10個までからなるペプチド配列を表し、かつPMはタンパク質結合性の基を表す]のペプチド誘導体と反応させることを特徴とする、ドキソルビシン−ペプチド−誘導体の製法。
【請求項10】
PMがマレインイミド基である、請求項9記載の製法。
【請求項11】
カルボン酸−活性化剤の存在でペプチド配列P−P′と一般式III
【化4】

[式中、
Y=OまたはS
n=0〜5
m=0〜6
PM=タンパク質結合性の基を表す]のヘテロ二官能性架橋剤とを反応させることにより一般式IIのペプチド−誘導体を得る、請求項9または10記載の製法。
【請求項12】
カルボン酸活性化剤がN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N,N′−ジイソプロピルカルボジイミドまたは(ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート、有利にN,N′−ジイソプロピルカルボジイミドから選択される、請求項9から11までのいずれか1項記載の製法。
【請求項13】
請求項1から8までのいずれか1項記載のドキソルビシン−ペプチド−誘導体を、作用物質として、場合により常用の製薬助剤および/または溶剤と共に含有することを特徴とする薬剤。
【請求項14】
ガン疾患を治療するための請求項1から8までのいずれか1項記載のドキソルビシン−ペプチド−誘導体の使用。
【請求項15】
ガン疾患の治療のための薬剤を製造する方法において、請求項1から8までのいずれか1項記載の化合物を治療に使用可能な溶液にすることを特徴とする、ガン疾患の治療用薬剤の製法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2007−535468(P2007−535468A)
【公表日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504538(P2006−504538)
【出願日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002204
【国際公開番号】WO2004/078781
【国際公開日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(501471459)カーテーベー トゥモーアフォルシュングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (3)
【氏名又は名称原語表記】KTB Tumorforschungs GmbH
【住所又は居所原語表記】Breisacher Strasse17,D−79106Freiburg,Germany
【Fターム(参考)】