説明

タンパク質製剤

本発明は、芳香族カルボン酸イオンの添加により、芳香族保存剤により引き起こされるタンパク質不安定性が阻害されるという発見に関する。したがって、本発明は、タンパク質、芳香族保存剤および芳香族カルボン酸イオンを含む組成物、好ましくは水性組成物に関する。タンパク質は、水性形態であったとしても、周囲温度以下で保存に対して安定かつ適したままである。好ましくは、水性組成物は、タンパク質、フェノール保存剤およびベンゾエートイオンを含み、組成物のpHは、安息香酸のpKaよりも少なくとも1単位高い。本発明はまた、芳香族カルボン酸イオンを製剤に添加する工程を含む、タンパク質分解を受けやすいタンパク質の水性製剤中の芳香族保存剤によるタンパク質分解を低減する方法であって、該製剤が、対応する芳香族カルボン酸のpKaよりも少なくとも1単位高いpHで維持される方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
【背景技術】
【0002】
発明の背景
タンパク質は、従来の有機薬物および無機薬物よりも大きく複雑であり、複雑な三次元構造に加えて多数の官能基を有しており、そのためタンパク質製剤は、特別な問題を提起する。タンパク質が生物学的に活性なまま維持されるために、製剤は、タンパク質のアミノ酸の少なくともコア配列の無傷なコンフォメーション完全性を保存しなければならないのと同時に、タンパク質の多数の官能基を分解から保護する。タンパク質の分解経路は、化学的不安定性(すなわち、新しい化学実体を生じる結合の形成または切断によるタンパク質の修飾を含む任意のプロセス)または物理的不安定性(すなわち、タンパク質の高次構造の変化)を含み得る。化学的不安定性は、脱アミノ化、ラセミ化、加水分解、酸化、ベータ脱離またはジスルフィド交換により生じ得る。物理的不安定性は、例えば変性、凝集、沈殿または吸着により生じ得る。多くのタンパク質、例えば酵素、組み換えタンパク質系ワクチンまたは治療タンパク質は不安定であり、構造分解および特に水溶液中での保存中の結果的な活性の消失を受けやすい。分解の速度は、典型的に温度に比例して進行する。そのため、一般的にタンパク質、特にタンパク質の水性製剤は、より低い温度では一般的により安定である。
【0003】
タンパク質の水性製剤の保存を考えることは、特に製剤を含む最終製品が多用量治療適用を意図する場合には製剤中に、細菌の成長を防ぐ保存剤が存在することも必要とし得る。医薬製剤を含むタンパク質中の細菌の成長を防ぐために使用されるほとんどの保存剤は、タンパク質製剤と両立できない。タンパク質調製科学者に利用可能な保存剤のリストは、すぐに、数個の化合物に制限される。芳香族有機水銀化合物であるチメロサールは、多くの生物学的薬物製品、特にワクチンにおいて、1930年代から保存剤として使用されている。今日では、チメロサールの使用は、数種類のワクチンに限定されており、安全性の関心のために、その将来の使用は、非常に限定されたものとなる可能性がある。
【0004】
他の多用量治療適用のために規制機関により承認されている保存剤としては、ベンザルコニウム塩、およびフェノール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール、メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのパラベン、カテコール、レゾルシノールおよびm-クレゾールなどの化合物が挙げられる。現在市販されている多用量タンパク質系生物製剤において、フェノール、m-クレゾールおよびベンジルアルコールが一般的に好ましい。
【0005】
安息香酸は、カビ、酵母およびいくつかの細菌の成長を阻害し、種々の食品製品において保存剤として使用されている。安息香酸は、局所適用における抗菌剤としても使用されている。安息香酸の抗細菌力の効力は、カルボキシル基の解離のためにpH>4.5で有意に低下することが知られている(http://www.nysaes.cornell.edu/necfe/pubs/pdf/Venture/venture2_chemical.html)。
【0006】
製剤における使用のための保存剤のスクリーニングにおいて、どの程度の保存剤が、タンパク質の完全性およびタンパク質製剤中で他の賦形剤と組み合わせる保存剤の完全性を維持しながらも、特定の製剤中での細菌の成長の予防に効果的であるかを決定することが必要である。保存剤の効力は、製剤中の他の賦形剤に依存するので、調製科学者は、薬局方抗細菌有効性試験(Pharmacopoeia Antimicrobial Effectiveness Test)(USP <51>, Vol. 32)を満たす保存剤負荷試験における最終調製条件を評価しなければならない。
【0007】
タンパク質は一般に、保存剤の存在下で非常に安定というわけではない。典型的に、好ましい保存剤は、タンパク質の疎水性領域と相互作用してタンパク質構造の破壊をもたらし得るベンゼン環などの疎水性領域を含む。
【0008】
そのため、保存剤、特にフェノールまたはm-クレゾールなどの芳香族保存剤の存在下で、周囲温度または低温で向上したタンパク質安定性を有する水性タンパク質製剤が必要である。
【発明の概要】
【0009】
発明の概要
本発明は、安息香酸イオンなどのカルボン酸イオンの添加により、フェノール性保存剤により引き起こされるタンパク質不安定性が阻害されるという発見に関する。かかる不安定性はそれ自体、例えば分解産物の生成により、または凝集の証拠となる高分子量種の生成により出現し得る。そのため、本発明は、タンパク質、芳香族保存剤および安息香酸イオンなどの芳香族カルボン酸イオンを含む水性組成物に関する。該タンパク質は、周囲温度または低温で、水性形態であっても安定なままであり保存に適している。好ましくは、該水性組成物は、タンパク質、フェノール性保存剤および安息香酸イオンを含み、該組成物のpHは、安息香酸のpKaよりも少なくとも1単位高い。本発明はまた、芳香族カルボン酸イオン、例えば安息香酸イオンを製剤に添加する工程を含む、フェノール分解を受けやすいタンパク質の水性製剤中のフェノール剤(phenolics)によるタンパク質分解を低減する方法であって、該製剤が、安息香酸のpKaよりも少なくとも1単位高いpHで維持される方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の詳細な説明
したがって、本発明の水性タンパク質製剤は、安息香酸イオンまたは他の芳香族カルボン酸イオンを含み、芳香族保存剤の存在下で向上された安定性を有する。
【0011】
本明細書で使用する場合、「保存剤」は、微生物(例えば細菌)の作用を本質的に低減するために水性タンパク質製剤に添加され得る化合物である。「保存剤」はまた、かかる化合物の組合せ、例えばかかる化合物の組を意味し得る。有力な芳香族性保存剤の例としては、フェノール、ベンジルアルコールなどの芳香族アルコール(すなわち、必ずしも直接結合する必要はないが、芳香族環とアルコール基の両方を含む物質)、メチルパラベンまたはプロピルパラベンなどのパラベン、カテコール、レゾルシノール、m-クレゾールおよびクロロクレゾール、好ましくはフェノール、m-クレゾールおよびベンジルアルコールが挙げられる。「パラベン」は、4-ヒドロキシ安息香酸のカルボン酸エステルである。例えば、芳香族アルコールは、芳香族環に直接結合したヒドロキシル基を含み得る。芳香族環としては、フェニル環およびナフチル環などの炭素環式芳香族環ならびに1個以上(例えば1〜3個)のN、OおよびSから選択されるヘテロ原子、特にNおよびO、特にOを含む5〜10員へテロ芳香族環などの複素環式芳香族環が挙げられる。芳香族保存剤は、カルボン酸基を含むべきではない。
【0012】
芳香族アルコール保存剤のサブクラスは、フェノールまたはフェノールの誘導体などのフェノール保存剤である(すなわち、該保存剤は、少なくとも、-OHが結合したフェニル環を含む)。芳香族アルコール保存剤の第2のサブクラスは、ベンジルアルコールまたはベンジルアルコールの誘導体などのベンジルアルコール類である。本発明は、部分的に、芳香族保存剤が、タンパク質分解、特に曝露された疎水性表面を有するタンパク質の分解を引き起こし得るという発見に基づく。本発明はさらに、安息香酸イオンなどの芳香族カルボン酸イオンの添加によりこの分解が低減されるという発見に基づく。タンパク質安定性は、製剤のpHが少なくとも約5.2、好ましくは少なくとも約5.5、6、6.5または7である場合に、芳香族カルボン酸イオン、特に安息香酸イオンの存在下でさらに高められるかまたは最適化される。適切なpHは、約8.5以下、例えば8.0以下である。したがって、最も適切なpH範囲は、例えば6〜8.5、例えば6.5〜8.0を含む。安息香酸のpKaは約4.2であることが注意される。安息香酸などの芳香族カルボン酸のpKaよりも少なくとも約1単位高いpHの維持において、フェノール保存剤によるタンパク質分解は実質的に低減される。適切なpHは、芳香族カルボン酸のpKaよりも約5未満、例えば約4未満のpH単位だけ高い。
【0013】
フェノール分解を低減するのに有効な量で芳香族カルボン酸イオン、例えば安息香酸イオンを添加する。
【0014】
本明細書で使用する場合、特定の「芳香族カルボン酸」例えば「安息香酸」についての参照は、対応する芳香族カルボン酸、例えば安息香酸およびその逆についての参照を含み、組成物中に存在する種(すなわち酸またはアニオン)はpHにより決定される。
【0015】
ベンゾエートの代わりに、ある範囲の低分子量化合物が使用され得る。かかる化合物の例としては、置換ベンゾエートおよび芳香族環とカルボキシル基の環に小さな架橋基を有するベンゾエートのホモログが挙げられる。置換ベンゾエートは、ベンゼン環の他の位置に1つ以上の置換基を有する化合物から選択され得る。ベンゾエートのホモログとしては、縮合芳香族環系にカルボキシル基が結合した(すなわち直接または間接的に結合した)化合物、例えば1-ナフト酸および2-ナフト酸の場合はナフタレンが挙げられる。さらなる例は、キシナホ酸(1-ヒドロキシ-2-ナフトエート)である。
【0016】
芳香族カルボン酸としては、芳香族環にカルボン酸基が結合(すなわち小さな架橋基を介して直接結合または間接結合)した化合物が挙げられる。芳香族環としては、フェニル環およびナフチル環などの炭素環式芳香族環、ならびにN、OおよびSから選択されるヘテロ原子、特にNおよびO、特にOの1個以上(例えば1〜3個)を含む5〜10員へテロ芳香族環などの複素環式芳香族環が挙げられる。
【0017】
最も適切な芳香族環はフェニルである。
【0018】
したがって、安息香酸ホモログは、芳香族環とカルボキシル基の間に架橋基があり、1つまたは2つの炭素原子を含み、任意に酸素含有官能基(例えばヒドロキシ)で置換され、2炭素リンカーの場合は、飽和または不飽和であり得る化合物からも選択され得る。かかる安息香酸ホモログは、例えば、フェニル酢酸、マンデル酸、2-フェニルプロパン酸、フェニル乳酸および桂皮酸から選択され得る。好ましくは、これらの低分子量化合物は、イオン化カルボン酸基が少なくとも90%イオン化されるpHで、すなわち芳香族カルボン酸のカルボキシル基のpKaよりも少なくとも1単位高いpHで使用される。
【0019】
適切に、芳香族カルボン酸は、芳香族アミノ酸ではない。
【0020】
特定の態様において、芳香族カルボン酸は、フタル酸のように2つ以上(例えば2つ)のカルボン酸基を含む。
【0021】
芳香族カルボン酸が1つより多くのカルボキシル基を有する場合、本明細で使用するように、前記芳香族カルボン酸のpKaについての参照は、前記芳香族カルボン酸の任意のカルボン酸基の最低のpKaについての参照として読まれる。
【0022】
適切に、芳香族カルボン酸は、1つのカルボキシル基を有する。
【0023】
特定の態様において、2つ以上の芳香族カルボン酸の混合物、例えば安息香酸とフェニル酢酸の混合物が使用される。
【0024】
例示的な芳香族カルボン酸のリストを以下の表Aに示す:
【0025】

【0026】
水性タンパク質製剤中に存在する芳香族カルボン酸の量は、変化し得、芳香族保存剤のモル濃度より低いか、高いかまたは適切には同じであるモル濃度であり得る。個々の化合物の場合、存在量は、所望の保存温度およびpHでの水性媒体中の最大の溶解度により決定され得る。
【0027】
芳香族カルボン酸イオン、例えば安息香酸イオンのモル濃度は、少なくとも約1mM、例えば1〜500mM、好ましくは1〜200mM、より好ましくは5〜100mMまたは5〜50mMの範囲、例えば5mM、10mMまたは20mMのモル濃度であり得る。
【0028】
同様に、水性タンパク質製剤中に存在する芳香族保存剤の量は変化し得る。芳香族保存剤、例えばフェノールのモル濃度は、5〜100mM、好ましくは10〜60mM、より好ましくは20〜40mMの範囲、例えば20mMまたは30mMのモル濃度であり得る。当業者は、薬局方抗微生物有効性試験(USP <51>, Vol. 32)を満たす保存剤負荷試験の結果に基づき、特定の製剤中に必要な保存剤の量を決定し得る。
【0029】
本発明は、多用量投与および芳香族保存剤の存在を必要とするヒトまたは動物の治療において使用される任意のタンパク質(以下に記載)に適用可能である。治療または予防的使用のための組成物中のタンパク質濃度は、治療製品の表示および性質に依存して約1μg/ml〜約100mg/mlの広い濃度範囲に渡り変化する。また、治療タンパク質の多用量皮下投与は、150mg/ml、200mg/mlまたは300mg/mlなど100mg/mlより高い濃度を必要とし得る。本発明は、約1μg/ml〜約300mg/mlの間のタンパク質濃度の全範囲を通じて適用可能である。
【0030】
用語「タンパク質」は、二次構造を生じるのに充分な鎖の長さのアミノ酸配列を有する分子または分子複合体を含むように本明細書で使用され、単一ポリペプチド鎖または2つ以上のポリペプチドを含むタンパク質複合体が挙げられる。用語「タンパク質」は、任意に、グリコシル化ペプチド、リポタンパク質、ペグ化またはコンジュゲートタンパク質などの共有結合した非アミノ酸部分を含む分子を包含することを意図する。特定の三次元構造および目的の生物学的活性を有するメタロタンパク質が、用語「タンパク質」に含まれ、活性および/または構造は、タンパク質内の結合部位中の特定の金属イオンの保有に依存する。該金属は、タンパク質のアミノ酸側鎖に直接結合され得るか、またはタンパク質構造に結合するより複雑な化学構成成分の一部であり得る。異なる数の集合分子サブユニットまたは構成成分で作製された系として定義されるタンパク質に基づく超分子系も用語「タンパク質」に含まれる。かかる超分子系の例としては、タンパク質多量体、ウイルス様粒子、および不活性化ウイルスまたは弱毒化ウイルスが挙げられる。
【0031】
特許請求される発明に使用されるタンパク質は、好ましくは多用量バイアル、注射ペン、ポンプおよび他のデバイスなどの多用量適用のために意図されるものである。保存剤は、かかる適用に必須の成分である。
【0032】
特許請求される発明に使用されるタンパク質は、好ましくはフェノール誘引領域を有する。かかるタンパク質は、疎水性表面または接触可能ドメインもしくは領域により同定され得るかまたは特徴付けられ得る。
【0033】
特許請求される発明に使用されるタンパク質の例としては、インスリン、グルカゴン、ヒト成長ホルモン、ゴナドトロピン、ヒト甲状腺刺激ホルモン、顆粒球コロニー刺激因子、副甲状腺ホルモン、カルシトニンおよびエリスロポイエチン、ならびにソマトロピンなどのタンパク質またはペプチドのホルモンおよび成長因子;ストレプトキナーゼ、アスパラギナーゼおよび尿酸オキシダーゼなどの治療酵素;組換えタンパク質ワクチンなどのワクチンが挙げられる。
【0034】
本発明はまた、一般的に不活性化ウイルスもしくは弱毒化ウイルスなどのワクチンまたはB型肝炎、インフルエンザ菌肺炎、ジフテリア、マラリア、ヒトパピローマ、髄膜炎A、髄膜炎C、百日咳、ポリオのためのワクチンなどの全細胞ワクチンのタンパク質成分の安定性を向上するために使用され得る。ワクチンのさらなる例としては、A型肝炎、コレラ、肺炎および腸チフスのためのものが挙げられる。
【0035】
特許請求される発明に使用される他のタンパク質の例としては、治療抗体、免疫グロブリン、融合タンパク質、インターフェロンα、インターフェロンβおよびインターフェロンγなどのインターフェロン、第VIII因子および第IX因子および第VIIa因子などの血液凝固因子、ならびにカスポファンギンなどの抗微生物ペプチドが挙げられる。
【0036】
本発明はまた、治療用途または診断用途の組成物におけるウリカーゼおよびセイヨウワサビペルオキシダーゼなどの酵素に適用可能である。
【0037】
上述の例は特許請求される発明に使用されるタンパク質の好ましい型を示すが、本発明は、保存剤の存在下で調製される任意のタンパク質またはタンパク質を含む系、特に保存剤の存在下で脱安定化することが明らかであるかまたはその徴候を示す任意のかかるタンパク質に適用可能であることが理解される。脱安定化のかかる徴候は、例えば保存剤含有製剤のインキュベーション後、保存剤を含まない対照製剤と比較してタンパク質の活性が消失することから明らかであり得る。
【0038】
タンパク質は、その治療効果または別の必須の機能を達成することを意図した濃度で存在する。好ましくは、本発明の全ての局面の組成物は、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポロキサマー188またはポロキサマー407などの薬学的に許容され得る界面活性剤を含む。
【0039】
好ましくは、本発明の全ての局面の組成物の浸透圧は、150〜500mOsm/L、より好ましくは220〜380mOsm/L、最も好ましくは約300mOsm/Lである。
【0040】
好ましくは、本発明の全ての局面の組成物は滅菌的であり、滅菌性は、0.22μmフィルターなどの適切なフィルターまたは膜を使用して、滅菌条件下でバイアルまたは前充填シリンジなどの適切な容器に最終的に充填する前に組成物を濾過することにより達成される。
【0041】
本発明の組成物は、金属を錯体化するためのキレート剤、または試料中に存在するプロテアーゼ活性によりタンパク質が緩やかに消化されないことを確実にするためのプロテアーゼインヒビターなどの他の構成成分を含み得る。使用され得る別の添加剤は、例えば少なくとも0.5%、典型的に5%(w/w)までの濃度のポリアルコールである。かかる化合物の例は、スクロースもしくはトレハロースなどの多糖類またはイノシトール、ラクチトール、マンニトールもしくはキシリトールなどの糖アルコールである。ポリアルコールのさらなる例としては、1,2-プロパンジオール、グリセロール、ソルビトールおよびラフィノースが挙げられる。1,2-プロパンジオールおよびマンニトールが好ましいポリアルコールである。
【0042】
本発明は、水溶液または水性ゲル形態に自由に溶解するタンパク質、または分散液もしくは懸濁液としての水性系に存在するタンパク質、および疎水性相互作用、イオン性相互作用もしくはリガンド交換相互作用によりワクチンアジュバントもしくは細胞膜などの固体物質に結合したタンパク質に適用可能である。本発明はまた、乾燥または凍結乾燥または噴霧乾燥により、遊離水または結合した水が依然として存在する水溶液から水が部分的または完全に除去された固体状態のタンパク質に適用可能である。
【0043】
したがって、本発明によると、本発明の水溶液から部分的または完全に水を除去する工程を含む方法が提供され、かかる方法の製品も提供される。
【0044】
「安定な」製剤は、その中のタンパク質が保存時に物理的かつ化学的な安定性および完全性を実質的に維持するものである。本明細書で使用する場合「向上された安定性」は、タンパク質製剤が、同じ試験条件下で保存剤のみの存在下の同じタンパク質製剤と比較して、保存剤および芳香族安息香酸イオンの存在下でより安定であることを意味する。
【0045】
タンパク質安定性を測定するための種々の分析技術が当該技術分野で利用可能である(例えば、Herron J.N., Jiskoot W. and Crommelin J.A.(編) Physical Methods to Characterize Pharmaceutical Proteins. Plenum Press, New York/ London, 1995参照)。安定性は、選択した温度で、選択した時間に測定し得る。2〜8℃および25℃での保存安定性が典型的に、実務的に重要であるが、40℃または60℃などの促進されたストレス条件下での保存を使用して、タンパク質の安定性を評価し得る。本発明の製剤は、冷蔵温度から室温案での温度範囲で、少なくとも1ヶ月、好ましくは少なくとも13週間の保存時に向上した安定性を有する。本発明の好ましい態様において、かかる製剤は、2℃〜8℃の温度で数ヶ月、例えば3ヶ月、好ましくは少なくとも12ヶ月、最も好ましくは少なくとも18ヶ月間の保存時に向上した安定性を有する。本発明の好ましい一態様において、かかる製剤は、15℃〜25℃の温度で、少なくとも13週間、向上した安定性を有する。別の好ましい態様において、該組成物は、25℃で最低でも18週間保存的に安定である。別の態様において、該組成物は、5℃で最低でも26週間、好ましくは少なくとも52週間保存的に安定である。
【0046】
上述のように、本発明の好ましい安定化剤である安息香酸イオンは、好ましくは約5.2より高いpHで使用される。バッファ、特に置換バッファを使用して、pHを制御および維持し得る。置換バッファは、例えば参照により本明細書に援用されるWO 2008084327A2に記載される。特に好ましい態様において、ベンゾエートを含む置換バッファ系および第2のバッファが選択される。第2のバッファは、好ましくはTRIS、グリシン、アルギニンおよびメチオニンからなる群より選択される。
【0047】
置換バッファ系において、選択されたpHの1pH単位以内のpKaを有するイオン化種を使用することを回避することが典型的に好ましい。かかる置換バッファは、それぞれのバッファのモル濃度が少なくとも1mMおよび/または1M未満、好ましくは2mM〜200mM、最も好ましくは5mM〜100mMとなるような量で適切に存在する。一態様において、好ましくは1つ以上の置換バッファは、1mM〜約1Mの濃度;より好ましくは約2mM〜約200mMの濃度、さらに好ましくは約5mM〜約100mMの濃度で存在する。
【0048】
したがって、一態様において、本発明のタンパク質組成物は、所望の温度で組成物のpHよりも少なくとも1単位高いpKaを有する少なくとも1つの置換バッファおよび所望の温度で組成物のpHよりも少なくとも1単位低いpKaを有する少なくとも1つの置換バッファ(好ましくはベンゾエート)を含む2つの置換バッファを含む。一態様において、本発明のタンパク質組成物は、所望の温度で組成物のpHよりも少なくとも1.5単位高いpKaを有する少なくとも1つの置換バッファおよび所望の温度で組成物のpHよりも少なくとも1.5単位低いpKaを有する少なくとも1つの置換バッファを含む2つの置換バッファを含む。一態様において、本発明のタンパク質組成物は、所望の温度で組成物のpHよりも少なくとも2単位高いpKaを有する少なくとも1つの置換バッファおよび所望の温度で組成物のpHよりも少なくとも2単位低いpKaを有する少なくとも1つの置換バッファを含む2つの置換バッファを含む。明確化の目的で、置換バッファが複数のpKaを有する場合、溶液のpHは、場合によってはそれぞれのpKaの1、1.5または2以内ではない。
【0049】
pH緩衝化への寄与とは別に、置換バッファの存在は、多くの場合に、タンパク質安定性に対する有益な効果を有することが示された。例えば、一態様において、本発明の組成物中のタンパク質のタンパク質活性は、所望の温度(例えば周囲温度以上)で少なくとも1週間、好ましくは少なくとも4週間、タンパク質活性の少なくとも40%で維持される。別の態様において、本発明の組成物中のタンパク質のタンパク質活性は、所望の温度で少なくとも1週間、好ましくは所望の温度(例えば周囲温度以上)で少なくとも4週間、タンパク質活性の少なくとも50%で維持される。別の態様において、少なくとも40%、好ましくは少なくとも50%の本発明の組成物中に存在するタンパク質のタンパク質構造活性は、所望の温度で少なくとも1週間、好ましくは少なくとも4週間維持される。
【0050】
本発明によると、タンパク質組成物は、好ましくは、意義のある量の従来のバッファを含まない。すなわち、タンパク質組成物は、意義のある量未満の従来のバッファを含む。従来のバッファは、典型的に、2〜200mMの濃度で、より典型的に5〜50mMで、最も典型的に約20mMの濃度でタンパク質組成物に適用される。したがって、本明細書において、用語「従来のバッファ」は、タンパク質の緩衝化能力を有する組成物の保存の意図される温度範囲で測定される場合、組成物のpHから離れて、1単位未満、好ましくは0.5単位未満のpKaを有する任意の化学種として定義される。用語「意義のある量未満」は、従来のバッファが、5mM未満、好ましくは2mM未満の濃度で組成物中に存在することを意味する。
【0051】
本発明は、単離または発現、精製、輸送および保存を含むタンパク質製品の生涯を通じて、タンパク質の安定化に適用可能である。
【0052】
本発明のさらなる局面は、
-タンパク質および芳香族保存剤を含む水性組成物の安定性を高めるための芳香族カルボン酸イオンの使用;ならびに
-組成物に芳香族カルボン酸イオンを添加する工程を含む、タンパク質および芳香族保存剤を含む水性組成物の安定性を高める方法
を含む。
【0053】
本明細書において言及される特許文献および科学文献は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書に引用される全ての米国特許および公開または未公開米国特許出願は、参照により本明細書に援用される。本明細書に引用される全ての公開外国特許および特許出願は、参照により本明細書に援用される。本明細書に引用される全ての他の公開された参考文献、書類、写本および科学文献は、参照により本明細書に援用される。
【実施例】
【0054】
実施例
実施例1:保存剤としてフェノールの存在下での40℃でのヒト成長ホルモン(hGH)の水性組成物中の凝集速度に対する安息香酸イオンの効果。
高分子量種(HMWS)の形成は、以下のサイズ排除HPLC法を使用してhGHの水溶液(15mg/mL)中で行なわれた:移動相は、97部(v/v)の63mMリン酸ナトリウム(pH7.0)と3部(v/v)のプロパン-2-オールを混合することにより調製された。使用前に移動相を濾過した。液体クロマトグラフィー(Agilent 1100 series)には、214nm検出器、ガードカラムおよび7.8×300mm BioSep SEC-S2000カラムが備えられた。流速は0.6ml/分に維持された。15μlのhGHの水性試料を注入した。HMWSのパーセンテージは、hGHの単量体形態よりも短い溶出時間を有する全ピークの全面積対賦形剤に対応するピークを無視した全ピーク面積の割合で表した。hGH溶液を40℃でインキュベートし、特定の時点でHMWSの存在について評価した。また、可視的な沈殿の兆候について試料を目で評価した。(安息香酸カリウムの形態の)安息香酸アニオンの効果を2つの異なるバックグラウンド溶液における凝集の速度に対して試験した:
バックグラウンド溶液1:ヒスチジン(10mM)、マンニトール(264mM)、ポロキサマー188(3mg/ml)、フェノール(30mM)、pH6.1。
バックグラウンド溶液2:ラクテート(100mM)、TRIS(20mM)、ポロキサマー188(3mg/ml)、フェノール(30mM)、pH6.1。
【0055】
40℃でのHMWSの形成の速度を表1に示す。バックグラウンド溶液1およびバックグラウンド溶液2の両方で、10mM安息香酸アニオンの存在により低い速度のHMWSの形成が生じたことが示された。
【0056】

【0057】
実施例2:フェノールおよびm-クレゾール保存剤の存在下の60℃でのウリカーゼの安定性に対する芳香族カルボン酸および他の化合物の効果。
ウリカーゼはSigma(U0880)から入手した。酵素は100μg/mlで調製した。光学アッセイを使用して96ウェルプレート上で酵素活性の測定を行なった:10μlの製剤と100μlの酵素希釈溶液(ホウ酸バッファ25mM、pH8.5)および50μLの基質(尿酸ナトリウム2mM)を混合した。混合物を室温で約5分間平衡化した。5分後、以下の試薬をそれぞれの試料に特定の順番で添加した(第1の試薬は正確に5分で添加しなければならず、他の試薬添加のタイミングはそれほど重要ではない):50μlのクエン酸/リン酸バッファ(0.5M、pH4.0);15μLのTMB (3mg/mL、DMSOに溶解)、次いで15μLのラクトペルオキシダーゼ(1mg/mL、水に溶解)。得られた溶液を完全に混合し、プレートリーダーを使用して630nmで吸光度を読んだ。参照酵素溶液の濃度の範囲を使用して光学密度を較正した。全ての測定は3回行い、平均値を記録した。酵素の安定性は、予備的な試験で、安定性に対するイオン強度の最小効果を有するpH約8.0で最適になることが見出された。10mMヒスチジンおよび300mM 1,2-プロパンジオールを含むpH8に調整したバックグラウンド製剤において酵素活性の保存を試験した。対照試料以外で、酵素溶液は、保存剤としてフェノール(30mM)またはベンジルアルコール(30mM)のいずれかを含んだ。保存剤のみを含む溶液中のウリカーゼの安定性を、保存剤と安定化成分の両方を含む溶液のものと比較して安定化賦形剤の効果を試験した。試験した添加剤の濃度は、それらの水溶液中の溶解度に基づいて選択した。
【0058】
保存剤(フェノールまたはベンジルアルコール)の存在により60℃でウリカーゼの安定性の障害が生じることが示された(表2)。保存剤の存在下、60℃で6時間のインキュベーション後に酵素の元の活性の78.9%が観察されたが、活性回復は、フェノールの存在下で55.6%であり、ベンジルアルコールの存在下で57.7%であった。さらなる賦形剤として保存剤含有組成物中に芳香族カルボン酸が存在することで、保存剤の不安定化効果の減少がもたらされた。対照的に、非芳香族炭素環式カルボン酸(シクロヘキサンカルボン酸のイオン)の存在により、脱安定化効果の増加がもたらされた。
【0059】

【0060】
実施例3:保存剤の存在下における60℃でのセイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)の安定性に対する芳香族カルボン酸の効果。
HRPはSigma(P8250)から入手した。酵素は0.5mg/mlで調製した。酵素活性の測定は、光学アッセイを使用して96ウェルプレート上で行なった:20μlの製剤を、180μlの酵素希釈溶液(0.1Mリン酸ナトリウムバッファpH7.0中1.82mM ABTS、28mM過酸化水素)と混合した。得られた溶液を完全に混合し、5分後にプレートリーダーを使用して630nmで吸光度を読んだ。参照酵素溶液の濃度の範囲を使用して光学密度を較正した。全ての測定は3回行ない、平均値を記録した。酵素の安定性は、予備的な実験で、pH約7.0でイオン強度と相対的に独立して最適になることが見出された。10mM TRISおよび1,2-プロパンジオール(300mM)を含むpH7.0のバックグラウンド製剤において酵素活性の保存を試験した。対照溶液以外は、溶液はm-クレゾール(30mM)を含んだ。安定化賦形剤の効果は、保存剤のみを含む溶液中のHRPの安定性と、保存剤および安定化成分の両方を含む溶液中のものを比較して試験した。試験した添加剤の濃度は、水溶液中のそれらの溶解度に基づいて選択した。
【0061】
選択された保存剤(m-クレゾール)の存在により60℃でHRPの安定性のわずかな障害がもたらされることが示された(表3)。保存剤の存在下、60℃で6時間のインキュベーション後、酵素の元の活性の90.2%が観察されたが、活性回復は、m-クレゾールの存在下で79.5%であった。保存剤含有組成物中のさらなる賦形剤として芳香族カルボン酸が存在することで、保存剤の脱安定化効果の低下がもたらされた。
【0062】



【0063】
本発明はその好ましい態様を参照して具体的に示され記載されるが、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲を逸脱することなく、本明細書において形態および詳細における種々の変化がなされ得ることを当業者は理解する。本明細書に記載される態様は、相互に排他的でないこと、および種々の態様の特徴は、本発明により全体または一部において組み合わされ得ることも理解されるべきである。
【0064】
明細書および以下の特許請求の範囲を通して、文脈上そうではないことが求められなければ、単語「含む(comprise)」ならびに「含む(comprises)」および「含む(comprising)」などの変形は、任意の他の整数、工程、整数の群または工程の群の除外ではなく、上述の整数、工程、整数の群または工程の群の包含を意味することが理解される。
【0065】
本発明は、好ましい群およびより好ましい群ならびに適切な群およびより適切な群と上述の群の態様の全ての組合せを包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質、芳香族保存剤および芳香族カルボン酸イオンを含む水性組成物。
【請求項2】
芳香族カルボン酸イオンが、ベンゾエート、置換ベンゾエートおよび芳香族環とカルボキシル基の間に小さな架橋基を有するベンゾエートホモログのイオンから選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
組成物のpHが、芳香族カルボン酸のカルボキシル基のpKaよりも少なくとも1単位高い、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
芳香族カルボン酸イオンがベンゾエートイオンである、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
ベンゾエートイオンが少なくとも90%イオン化された安息香酸由来である、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
組成物のpHが少なくとも約5.2である、前記請求項いずれか記載の組成物。
【請求項7】
組成物のpHが少なくとも約5.5、好ましくは少なくとも約6.0である、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1mM、例えば5〜50mMの量のベンゾエートが添加される、請求項6または7記載の組成物。
【請求項9】
TRIS、グリシン、アルギニンおよびメチオニンからなる群より選択されるバッファをさらに含む、請求項1〜8いずれか記載の組成物。
【請求項10】
芳香族保存剤が、フェノール、m-クレゾール、クロロクレゾール カテコール、レゾルシノールおよびベンジルアルコールなどの芳香族アルコールならびにメチルパラベンまたはエチルパラベンまたはプロピルパラベンまたはブチルパラベンなどのパラベンから選択される、前記請求項いずれか記載の組成物。
【請求項11】
芳香族保存剤が、フェノール、m-クレゾールまたはベンジルアルコールである、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
タンパク質が多用量適用のための治療タンパク質である、前記請求項いずれか記載の組成物。
【請求項13】
タンパク質が、ペプチドホルモンおよび成長因子、治療酵素、ワクチン インターフェロンおよび血液因子からなる群より選択される、前記請求項いずれか記載の組成物。
【請求項14】
プロテアーゼインヒビター、キレート剤、糖または界面活性剤などの1つ以上のタンパク質安定化剤をさらに含む、前記請求項いずれか記載の組成物。
【請求項15】
タンパク質が不活性化ウイルスまたは弱毒化ウイルスまたは全細胞ワクチンを含むワクチンのタンパク質成分である、請求項1〜14いずれか記載の組成物。
【請求項16】
ヒトまたは動物の身体において実施される治療または診断における使用のための前記請求項いずれか記載の組成物。
【請求項17】
前記請求項いずれか記載の組成物を含む密封された容器。
【請求項18】
水性製剤に芳香族カルボン酸イオンを添加する工程を含む、フェノール保存剤およびフェノール分解を受けやすいタンパク質を含む水性製剤における、フェノール保存剤によるタンパク質分解を低減する方法であって、該製剤が、対応する芳香族カルボン酸のpKaより少なくとも1単位高いpHで維持される、方法。
【請求項19】
芳香族カルボン酸イオンがベンゾエートイオンであり、pHが少なくとも約5.2である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
少なくとも50%のタンパク質活性が、少なくとも1週間、所望の温度で維持される、請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
少なくとも50%のタンパク質活性が、少なくとも4週間、所望の温度で維持される、請求項20記載の方法。
【請求項22】
少なくとも40%のタンパク質構造完全性が、少なくとも1週間、所望の温度で維持される、請求項18または19記載の方法。
【請求項23】
少なくとも40%のタンパク質構造完全性が、少なくとも4週間、所望の温度で維持される、請求項18または19記載の方法。
【請求項24】
少なくとも50%のタンパク質構造完全性が、少なくとも1週間、所望の温度で維持される、請求項18または19記載の方法。
【請求項25】
少なくとも50%のタンパク質構造完全性が、少なくとも4週間、所望の温度で維持される、請求項18または19記載の方法。
【請求項26】
タンパク質および芳香族保存剤を含む水性組成物の安定性を高めるための芳香族カルボン酸イオンの使用。
【請求項27】
水性組成物に芳香族カルボン酸イオンを添加する工程を含む、タンパク質および芳香族保存剤を含む水性組成物の安定性を高める方法。
【請求項28】
芳香族カルボン酸イオンがベンゾエートイオンである、請求項27記載の方法。
【請求項29】
水性組成物のpHが少なくとも約5.2である、請求項28記載の方法。
【請求項30】
水性組成物のpHが約8.5以下である、請求項29記載の方法。

【公表番号】特表2013−520481(P2013−520481A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554423(P2012−554423)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/GB2011/050371
【国際公開番号】WO2011/104557
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(510288895)アレコー リミテッド (5)
【Fターム(参考)】