説明

タンパク質輸送の選択的薬理学的阻害、および関連した、ヒト疾患を治療する方法

本発明の好ましい態様は、特定の内在ERおよびゴルジタンパク質を選択的に薬理学的にダウンレギュレーションすることによる細胞内タンパク質輸送経路の阻害に関し、より詳しくは、これらの細胞内タンパク質輸送経路に依存する様々な疾患状態を治療する方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の好ましい態様は、特定の内在ERおよびゴルジタンパク質を選択的に薬理学的にダウンレギュレーションすることによる細胞内タンパク質輸送経路の阻害に関し、より詳しくは、これらの細胞内タンパク質輸送経路に依存する様々な疾患状態を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1898年、Camillio Golgiは、今では彼の名が付いている新規な細胞内網目構造について記述した(Golgi、1898年)。ゴルジ複合体は、細胞内タンパク質をプロセシング、輸送、および選別する上で顕著な機能を有する精巧な細胞小器官である(Gonatas、1994年;Mellman、1995年;Nilsson、Warren、1994年に総説がある)。構造上は、ゴルジ複合体は、殆どの哺乳動物細胞の核周囲領域に局在し、膜結合した槽の積み重ね、ならびに機能的に異なるトランスゴルジ網(「TGN」)、中間ゴルジ網およびシスゴルジ網(「CGN」、例えば図1を参照のこと)を特徴とする。ゴルジ複合体の選別機能はTGNおよびCGNで行われ、一方、プロセシング機能はシス、中間、およびトランス区画で行われることが提案されている(Mellman、Simons、1992年)。新しく合成されたタンパク質の細胞内輸送には、小胞体(「ER」)から輸送小胞を経由してゴルジ複合体のシス、中間、およびトランス区画まで、場合によっては原形質膜までの管理された移動が必要である(Banfieldら、1994年;Farquhar、Palade、1981年;Griffithsら、1989年;Mellman、1995年;Nilsson、Warren、1994年;Rothman、Orci、1992年)。
【0003】
コートマータンパク質のCOPI被覆小胞は、現在、介在する槽を通過するこの順行性輸送を媒介すると考えられている(Rothman、1994年;Schekman、Orci、1996年)。ゴルジ複合体を通過するタンパク質輸送は、供与膜から出芽した小胞により媒介され、受容膜を標的にしてそれと融合する(Rothman、Orci、1992年)。輸送小胞はTGNに向かって移動することが知られており、コートタンパク質複合体(コートマータンパク質、例えばβ−COP、(Banfieldら、1994年;Barloweら、1994年;Dudenら、1991年;Orciら、1997年;Pelham、1994年;Seaman、Robinson、1994年;Serafiniら、1991年;Watersら、1991年)を参照のこと)を経由してCGNへ「逆」方向に移動することも仮定されている。小胞輸送についてのこれらの経路は、タンパク質輸送の他に、膜構造を再生するために重要であると考えられている。細胞内微小管が重要な構成要素であることは知られているが、小胞輸送を制御するシグナルはよく理解されていない(Kreis、1990年;Mizuno、Singer、1994年)。ある種の役割を果たすと考えられているゴルジ複合体のその他のタンパク質には、アダプチン類(Pearse、Robinson、1990年)、GTP結合(すなわち「Rab」)タンパク質類(Jenaら、1994年;Martinezら、1994年;Nuofferら、1994年;Oka、Nakano、1994年;Pfeffer、1994年)、ADPリボシル化因子類(ARF)(Stearnsら、1990年)、および内在酵素類(Farquhar、1985年;Nilsson、Warren、1994年に総説がある)などのタンパク質のファミリーがある。タンパク質および膜輸送器官の別個の領域についての、様々なERおよびゴルジタンパク質の提案されている関係を図示した図26も参照されたい。
【0004】
最近、抗腫瘍活性があると報告されたため、ゴルジ装置撹乱物質、特にブレフェルジンAに大きな関心が寄せられている。ブレフェルジンA(BFA)は、最初、抗真菌性、細胞毒性、および制癌性の抗生物質であると記述された(Haerriら、1963年、Chem.Abs.59巻、5726h)。ブレフェルジンAは、また、抗ウイルス性を有するとも報告された(Tamuraら、1968年、J.Antibiotics、21巻、161〜166頁)。近年、ブレフェルジンAは、タンパク質輸送阻害物質として広く研究されている。ブレフェルジンAは、ゴルジ装置を可逆的に撹乱し、それによって細胞質を通過するタンパク質輸送に影響を及ぼすことができると考えられている(Domesら、1989年、J.Cell Biol.、109巻、61〜72頁、1989年;Lippincott−Schwartzら、1991年、J.Cell Biol.、112巻、567〜577頁)。今では、ブレフェルジンAはゴルジからERへの逆行性の膜輸送を引き起こすことが知られている(Dinterら、1998年、Histochem.Cell Biol.、109巻、571〜590頁)。現在は、ブレフェルジンAは、タンパク質輸送の理解をより深めるために、でき上がったタンパク質のプロセシングおよび選別を妨害するためのツールとして研究者らに使用されている。ブレフェルジンAは、試験した細胞の多くでERからゴルジへのタンパク質輸送を広く妨害するので、毒性に大きな懸念があり、治療薬としては開発されてこなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、ERおよび/またはゴルジタンパク質と、アレルギー、癌、ウイルス感染などの様々な疾患状態で引き起こされる特異的タンパク質輸送過程を調整する機序とを解明し、そのような機序を選択的に標的とする薬理学的阻害物質を同定する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態に従って、疾患状態に関連する真核細胞の増殖を選択的に阻害するための方法が開示される。この方法は、ERとゴルジとの間の増殖依存性タンパク質輸送に関連する少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質の発現を抑制するのに十分な量の組成物を投与し、それによって疾患状態に関連する真核細胞の増殖を阻害することを含む。この方法の好ましい変形例では、少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質が、GS15,GS28,ニカストリンおよびRabからなる群より選択される。より好ましくは、少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質はGS28である。
【0007】
本方法の好ましい実施形態においては、前記組成物が、次からなる群より選択される化合物を含む。
【0008】
【化1】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,置換アリール,シクロアリール,置換シクロアリール,多重環シクロアリール,ベンジル,置換ベンジル,アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルなどからなる群より選択され、RおよびRの少なくとも1つは芳香族基である。)
【0009】
【化2】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヘテロアリール,置換ヘテロアリール,ヒドロキシ,ハロゲン,NO,CF,OCF,NH,NHR,NRおよびCNからなる群より選択され;
Zは、O,S,NHおよびN−R’からなる群より選択され;さらに、R’は、H,アルキル,アミノアルキルおよびジアルキルアミノアルキルからなる群より選択され;
Rは、H,アルキル,ハロゲン,アルコキシ,CFおよびOCFからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,アミノアルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,アルコキシアルキル,シクロアルキル,オキサシクロアルキルおよびチオシクロアルキルからなる群より選択される。)
【0010】
【化3】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、アルキル,置換アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルからなる群より選択され、前記置換基はヘテロ環でなく;
前記置換アルキル,置換シクロアルキル,置換シクロプロピル,置換シクロブチル,置換シクロペンチル,置換シクロヘキシル,置換シクロヘプチル,置換ビシクロアルケニルおよび置換アダマンチルの置換基は、アルキル,アリール,CF,CH,OCH,OH,CN,COORおよびCOOHからなる群より選択される。)
【0011】
【化4】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、アルキル,置換アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチル,ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群より選択され;
およびRは両方がメチル基であることはなく;
前記置換アルキル,置換シクロアルキル,置換シクロプロピル,置換シクロブチル,置換シクロペンチル,置換シクロヘキシル,置換シクロヘプチル,置換ビシクロアルケニル,置換アダマンチルおよび置換ヘテロ環の置換基は、アルキル,アシル,アリール,CF,CH,OCH,OH,CN,COOR,COOH,COCFおよびヘテロ環からなる群より選択され;
,Rまたは前記置換基の少なくとも1つはヘテロ環である。)
【0012】
【化5】

(式中、
Xは、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCHCH−F(p−)からなる群より選択され;
Yは、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,ベンゾ,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,COPh,COOCH,CONH,CONHR,NHCONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
は、アルキル,置換アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチル,一個以上のヘテロ原子を含むヘテロ環,および置換ヘテロ環からなる群より選択され;
前記置換アルキル,置換シクロアルキル,置換シクロプロピル,置換シクロブチル,置換シクロペンチル,置換シクロヘキシル,置換シクロヘプチル,置換ビシクロアルケニル,置換アダマンチルおよび置換ヘテロ環の置換基は、アルキル,アリール,CF,CH,OCH,OH,CN,COOR,COOHおよびヘテロ環からなる群より選択される。)
【0013】
【化6】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPh,CH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,置換アリール,シクロアリール,置換シクロアリール,多重環シクロアリール,ベンジル,置換ベンジル,アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルなどからなる群より選択され、RおよびRの少なくとも1つは芳香族基である。)
【0014】
【化7】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPh,CH−F(p−),COCH,COCHCH,アミノアルキルおよびジアルキルアミノアルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,ヘテロアリール,チオフェン,ピリジル,チアゾリル,イソオキサゾリル,オキサゾリル,ピリミジニル,置換アリール,置換ヘテロアリール,置換チオフェン,置換ピリジル,置換チアゾリル,置換イソオキサゾリル,置換オキサゾリル,シクロアリール,シクロヘテロアリール,キノリニル,イソキノリニル,置換シクロアリール,置換シクロヘテロアリール,置換キノリニル,置換イソキノリニル,多重環シクロアリール,多重環シクロヘテロアリール,ベンジル,ヘテロアリール−メチル,置換ベンジル,置換ヘテロアリール−メチルアルキル,ジアルキルアミノアルキル,シクロアルキル,1−3個のヘテロ原子を含むシクロアルキル,置換シクロアルキル,1−3個のヘテロ原子を含む置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,1−3個のヘテロ原子を含む多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,1−3個のヘテロ原子を含む縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,ピロール,ピペリジン,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,置換ピロール,置換ピペリジン,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチルおよび置換アダマンチル,ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群より選択され;
およびRの少なくとも1つは芳香族基またはヘテロ芳香族基であり;
およびRは両方がフェニル基であることはない。)
【0015】
【化8】

(式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,置換多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,アリール,ヘテロアリールおよびCOR’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,置換多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;R’はハロアルキルでなく;
,RおよびR’の置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,カルボニル,OH,OCH,COOH,OCOR’,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
XおよびYは、それぞれ独立に、H,ハロゲン類,アルコキシ,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCOR’’,OCH,COOH,CN,CF,OCF,NO,COOR’’,CHOおよびCOR’’からなる群より選択され;
R’’は、C1−C8アルキルであり、前記C1−C8アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
,R,RまたはRの少なくとも1つはHではない。)
【0016】
【化9】

(式中、
XおよびYは異なっていても、同一であってもよく、それぞれ独立に、H,ハロゲン,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,アミノ,アルキルアミノ,シクロアルキル,モルホリン,チオモルホリン,ニトロ,シアノ,CF,OCF,COR,COOR,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
nは、1〜3の整数であり;
mは、1〜4の整数であり;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPh,CH−F(p−),COCH,COCHCH,CHCHN(CHおよびCHCHCHN(CHからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,アルケニル,置換アルケニル,アルキニル,置換アルキニル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,シクロアルケニル,置換シクロアルケニル,ポリシクロアルキル,置換ポリシクロアルキル,ポリシクロアルケニル,置換ポリシクロアルケニル,アリールアルキル,置換アリールアルキル,ヘテロアリールアルキル,置換ヘテロアリールアルキル,アリールシクロアルキル,置換アリールシクロアルキル,ヘテロアリールシクロアルキル,置換ヘテロアリールシクロアルキル,ヘテロ環,置換ヘテロ環,ヘテロ原子および置換ヘテロ原子からなる群より選択される。)
【0017】
【化10】

【0018】
【化11】

(式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換フェニル,置換ナフチルおよび置換ヘテロアリールは、1−3個の置換基を含み、前記置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
R’’は、C1−C8アルキルであり、前記C1−C8アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択される。)
【0019】
【化12】

【0020】
【化13】

【0021】
【化14】

(式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換フェニル,置換ナフチルおよび置換ヘテロアリールは、1−3個の置換基を含み、前記置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
R’’は、C1−C8アルキルであり、前記C1−C8アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択される。)
【0022】
【化15】

【0023】
【化16】

(式中、
A,B,D,E,G,V,X,YおよびZは、それぞれ独立に、炭素および窒素から選択され、ただしA,B,D,E,Gの少なくとも1つは窒素であり;
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換フェニル,置換ナフチルおよび置換ヘテロアリールは、1−3個の置換基を含み、前記置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択される。)
【0024】
【化17】

【0025】
【化18】

(式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
,XおよびYは、それぞれ独立に、H,ハロゲン,アルコキシ,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,CN,CF,OCF,NO,COOR’’,CHOおよびCOR’’からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群より選択され、前記ヘテロ環および前記置換ヘテロ環は1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換基は、H,ハロゲン,アルコキシ,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
R’’は、C1−C9アルキルからなる群より選択され、前記C1−C9アルキルは、直鎖アルキル,分枝アルキルおよび環状アルキルからなる群より選択される。)
【0026】
本方法のより好ましい実施形態においては、前記組成物が化合物AVP 893を含む。
【0027】
疾患状態に関連する真核細胞の増殖を選択的に阻害する方法の変形例では、組成物は次の化合物を含み、その量は、ERとゴルジとの間の増殖依存性タンパク質輸送に伴う少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質の発現を抑制するのに十分なものであり、それによって疾患状態に関連する真核細胞の増殖が阻害される。
【0028】
【化19】

(式中、
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,置換アリール,シクロアリール,置換シクロアリール,多重環シクロアリール,ベンジル,置換ベンジル,アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルなどからなる群より選択される。)
【0029】
真核細胞の増殖を選択的に阻害する方法の他の変形例では、組成物は次の化合物を含み、その量は、ERとゴルジとの間の増殖依存性タンパク質輸送に伴う少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質の発現を抑制するのに十分なものであり、それによって疾患状態に関連する真核細胞の増殖が阻害される。
【0030】
【化20】

(式中、
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,置換アリール,シクロアリール,置換シクロアリール,多重環シクロアリール,ベンジル,置換ベンジル,アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルなどからなる群より選択される。)
【0031】
本発明の他の好ましい実施形態に従って、ERとゴルジとの間のサイトカイン依存性タンパク質輸送に伴う少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質の発現を抑制するのに十分な量の組成物を投与し、それによって疾患状態に関連するサイトカイン反応を阻害することを含む、疾患状態に関連するサイトカイン反応を選択的に阻害する方法が開示される。好ましい変形例では、組成物が化合物(1)〜(42)からなる群より選択される化合物を含む。
【0032】
本発明の他の好ましい実施形態に従って、ERとゴルジとの間のウイルス性タンパク質輸送に伴う少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質の発現を抑制するのに十分な量の組成物を投与し、それによってウイルス複製を阻害することを含む、ウイルス複製を選択的に阻害する方法が開示される。好ましい変形例では、組成物が化合物(1)〜(42)からなる群より選択される化合物を含む。
【0033】
本発明の他の好ましい実施形態に従って、タンパク質輸送に伴う少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質の発現を抑制するのに十分な量の組成物を投与し、それによってB細胞のIgE分泌を減らすことを含む、アレルギー反応に関連するB細胞のIgE分泌を選択的に減らす方法が開示される。好ましい変形例では、組成物が化合物(1)〜(42)からなる群より選択される化合物を含む。
【0034】
本発明の他の好ましい実施形態に従って、GS28の発現を抑制するのに十分な量の組成物を投与し、それによってGS28−介在タンパク質輸送を減らすことを含む、GS28−介在タンパク質輸送を減らす方法が開示される。好ましい変形例では、組成物が化合物(1)〜(42)からなる群より選択される化合物を含む。
【0035】
本発明の他の好ましい実施形態に従って、真核細胞に対する外的な作用の効果を変化させる方法であって、前記外的な作用がGS28−介在タンパク質輸送に依存しており、細胞中のGS28の発現を変えるのに十分な量の組成物を投与し、それによって外的な作用を変化させることを含む方法が開示される。好ましい変形例では、組成物が化合物(1)〜(42)からなる群より選択される化合物を含む。
【0036】
本発明の他の好ましい実施形態に従って、GS28の発現を減らすのに十分な量の組成物を投与し、それによって子孫ウイルス粒子(ビリオン)の集合を減らし、それによってウイルス感染を治療することを含む、ウイルス感染を治療する方法が開示される。好ましい変形例では、組成物が化合物(1)〜(42)からなる群より選択される化合物を含む。
【0037】
本発明の他の好ましい実施形態に従って、少なくとも1種のER−ゴルジタンパク質の発現を阻害するのに十分な量の薬剤を投与することを含み、前記少なくとも1種のER−ゴルジタンパク質は癌細胞の増殖に必要なものである、癌を治療する方法が開示される。好ましい変形例では、組成物が化合物(1)〜(42)からなる群より選択される化合物を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
アレルギー疾患を治療するための新規な治療薬を開発する努力は、ex vivo、in vitroおよびin vivoでのIgE反応を抑制するリード化合物の同定に結びついた。追加の一連の化合物は、その後に、in vitroでのIgE反応を抑制する活性度に基づいて合成された。これらの一連の化合物は、その合成経路および生物活性も、発行された米国特許第6,271,390号、第6,451,829号、第6,369,091号、第6,303,645号および第6,759,425号、ならびに係属中の米国特許出願第09/983,054号、第10/103,258号、第10/661,139号、第10/661,296号および第10/821,667号、ならびに係属中の国際特許出願PCT/US03/05985およびPCT/US03/06981に詳述されている。これらの出願は全て、それへの参照により全てそのまま本明細書に組み込まれる。これらの化合物は、IgEの抑制に加えて、サイトカイン生産/放出の阻害、細胞表面受容体の発現の抑制、細胞増殖の阻害を含む他の生物学的効果を有することが見出された。この一連のものに含まれたリード化合物のうちの幾つかはAVP 893、AVP 13358およびAVP 25752であり、それらは全て、上記の生物学的効果を共有しているが、一方で、多くの他の類似体の活性が、1つ以上のこれらの作用を基礎として、規定されてきた。
【0039】
その化合物は、目標に基づいたアッセイを基礎として同定されず、むしろ細胞の活動に基づいて同定されていた。従って、最近まで作用機構は謎であった。これらの化合物の活性プロフィールは非常に変わっていて、それらの共有する作用機構が新規であることを示唆している。これらの薬剤は、70を超えるキナーゼおよび他の酵素の活性に影響を及ぼさない。さらに、950を超えるタンパク質の発現に対する薬物活性のスクリーニングは、in vitroでの僅かひと握りの調整されたタンパク質を明らかにした。これらの結果、およびこの後に続く研究は、本明細書に記載された特許出願の基礎を形成する。
【0040】
IgEの発現、サイトカインの誘出、膜受容体の発現および細胞増殖に対する抑制的な作用を共通に有する幾つかの別個のシリーズの化合物が記載される。これらのシリーズは次の化合物を含む。
【0041】
【化21】

式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,置換アリール,シクロアリール,置換シクロアリール,多重環シクロアリール,ベンジル,置換ベンジル,アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルなどからなる群より選択され、RおよびRの少なくとも1つは芳香族基である。
【0042】
【化22】

式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヘテロアリール,置換ヘテロアリール,ヒドロキシ,ハロゲン,NO,CF,OCF,NH,NHR,NRおよびCNからなる群より選択され;
Zは、O,S,NHおよびN−R’からなる群より選択され;さらに、R’は、H,アルキル,アミノアルキルおよびジアルキルアミノアルキルからなる群より選択され;
Rは、H,アルキル,ハロゲン,アルコキシ,CFおよびOCFからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,アミノアルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,アルコキシアルキル,シクロアルキル,オキサシクロアルキルおよびチオシクロアルキルからなる群より選択される。
【0043】
【化23】

式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、アルキル,置換アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルからなる群より選択され、前記置換基はヘテロ環でなく;
前記置換アルキル,置換シクロアルキル,置換シクロプロピル,置換シクロブチル,置換シクロペンチル,置換シクロヘキシル,置換シクロヘプチル,置換ビシクロアルケニルおよび置換アダマンチルの置換基は、アルキル,アリール,CF,CH,OCH,OH,CN,COORおよびCOOHからなる群より選択される。
【0044】
【化24】

式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、アルキル,置換アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチル,ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群より選択され;
およびRは両方がメチル基であることはなく;
前記置換アルキル,置換シクロアルキル,置換シクロプロピル,置換シクロブチル,置換シクロペンチル,置換シクロヘキシル,置換シクロヘプチル,置換ビシクロアルケニル,置換アダマンチルおよび置換ヘテロ環の置換基は、アルキル,アシル,アリール,CF,CH,OCH,OH,CN,COOR,COOH,COCFおよびヘテロ環からなる群より選択され;
,Rまたは前記置換基の少なくとも1つはヘテロ環である。
【0045】
【化25】

式中、
Xは、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCHCH−F(p−)からなる群より選択され;
Yは、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,ベンゾ,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,COPh,COOCH,CONH,CONHR,NHCONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
は、アルキル,置換アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチル,一個以上のヘテロ原子を含むヘテロ環,および置換ヘテロ環からなる群より選択され;
前記置換アルキル,置換シクロアルキル,置換シクロプロピル,置換シクロブチル,置換シクロペンチル,置換シクロヘキシル,置換シクロヘプチル,置換ビシクロアルケニル,置換アダマンチルおよび置換ヘテロ環の置換基は、アルキル,アリール,CF,CH,OCH,OH,CN,COOR,COOHおよびヘテロ環からなる群より選択される。
【0046】
【化26】

式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPh,CH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,置換アリール,シクロアリール,置換シクロアリール,多重環シクロアリール,ベンジル,置換ベンジル,アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルなどからなる群より選択され、RおよびRの少なくとも1つは芳香族基である。
【0047】
【化27】

式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPh,CH−F(p−),COCH,COCHCH,アミノアルキルおよびジアルキルアミノアルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,ヘテロアリール,チオフェン,ピリジル,チアゾリル,イソオキサゾリル,オキサゾリル,ピリミジニル,置換アリール,置換ヘテロアリール,置換チオフェン,置換ピリジル,置換チアゾリル,置換イソオキサゾリル,置換オキサゾリル,シクロアリール,シクロヘテロアリール,キノリニル,イソキノリニル,置換シクロアリール,置換シクロヘテロアリール,置換キノリニル,置換イソキノリニル,多重環シクロアリール,多重環シクロヘテロアリール,ベンジル,ヘテロアリール−メチル,置換ベンジル,置換ヘテロアリール−メチルアルキル,ジアルキルアミノアルキル,シクロアルキル,1−3個のヘテロ原子を含むシクロアルキル,置換シクロアルキル,1−3個のヘテロ原子を含む置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,1−3個のヘテロ原子を含む多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,1−3個のヘテロ原子を含む縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,ピロール,ピペリジン,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,置換ピロール,置換ピペリジン,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチルおよび置換アダマンチル,ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群より選択され;
およびRの少なくとも1つは芳香族基またはヘテロ芳香族基であり;
およびRは両方がフェニル基であることはない。
【0048】
【化28】

式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,置換多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,アリール,ヘテロアリールおよびCOR’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,置換多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;R’はハロアルキルでなく;
,RおよびR’の置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,カルボニル,OH,OCH,COOH,OCOR’,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
XおよびYは、それぞれ独立に、H,ハロゲン類,アルコキシ,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCOR’’,OCH,COOH,CN,CF,OCF,NO,COOR’’,CHOおよびCOR’’からなる群より選択され;
R’’は、C1−C8アルキルであり、前記C1−C8アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
,R,RまたはRの少なくとも1つはHではない。
【0049】
【化29】

式中、
XおよびYは異なっていても、同一であってもよく、それぞれ独立に、H,ハロゲン,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,アミノ,アルキルアミノ,シクロアルキル,モルホリン,チオモルホリン,ニトロ,シアノ,CF,OCF,COR,COOR,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
nは、1〜3の整数であり;
mは、1〜4の整数であり;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPh,CH−F(p−),COCH,COCHCH,CHCHN(CHおよびCHCHCHN(CHからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,アルケニル,置換アルケニル,アルキニル,置換アルキニル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,シクロアルケニル,置換シクロアルケニル,ポリシクロアルキル,置換ポリシクロアルキル,ポリシクロアルケニル,置換ポリシクロアルケニル,アリールアルキル,置換アリールアルキル,ヘテロアリールアルキル,置換ヘテロアリールアルキル,アリールシクロアルキル,置換アリールシクロアルキル,ヘテロアリールシクロアルキル,置換ヘテロアリールシクロアルキル,ヘテロ環,置換ヘテロ環,ヘテロ原子および置換ヘテロ原子からなる群より選択される。
【0050】
【化30】

【0051】
【化31】

式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換フェニル,置換ナフチルおよび置換ヘテロアリールは、1−3個の置換基を含み、前記置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
R’’は、C1−C8アルキルであり、前記C1−C8アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択される。
【0052】
【化32】

【0053】
【化33】

【0054】
【化34】

式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換フェニル,置換ナフチルおよび置換ヘテロアリールは、1−3個の置換基を含み、前記置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
R’’は、C1−C8アルキルであり、前記C1−C8アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択される。
【0055】
【化35】

【0056】
【化36】

式中、
A,B,D,E,G,V,X,YおよびZは、それぞれ独立に、炭素および窒素から選択され、ただしA,B,D,E,Gの少なくとも1つは窒素であり;
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換フェニル,置換ナフチルおよび置換ヘテロアリールは、1−3個の置換基を含み、前記置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択される。
【0057】
【化37】

【0058】
【化38】

式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
,XおよびYは、それぞれ独立に、H,ハロゲン,アルコキシ,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,CN,CF,OCF,NO,COOR’’,CHOおよびCOR’’からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群より選択され、前記ヘテロ環および前記置換ヘテロ環は1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換基は、H,ハロゲン,アルコキシ,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
R’’は、C1−C9アルキルからなる群より選択され、前記C1−C9アルキルは、直鎖アルキル,分枝アルキルおよび環状アルキルからなる群より選択される。
【0059】
本発明の好ましい態様に従って、一般式(1)〜(42)の例となる多数の具体的な化合物が合成され、試験された。いくつかの好ましい化合物を以下の表1に列挙する。
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【0062】
【表3】

【0063】
【表4】

【0064】
最近、これらの化合物の多様な作用を関連付けるために、これらの化合物の作用機序が研究された。これらの研究は、細胞内タンパク質輸送(図1)がin vitroで薬物処理の影響を受けるという事実を明らかにした。この新規な作用機序は、ヒト疾患の治療に利用されている薬物による既知の機序とは異なる。さらに、細胞過程の分子メカニズムの精査に用いられている化学薬品のほんのひと握りだけが、細胞内タンパク質輸送を阻害することが知られている。本明細書に記載の化合物は、全ての初代細胞および多くの腫瘍細胞株において、小胞体(ER)とゴルジとの間の細胞タンパク質の移動を担う特定のタンパク質の発現に影響を及ぼす。さらに、細胞内タンパク質移動を追跡することを意図した研究では、これらの化合物が、モネンシンやブレフェルジンAなど他の既知の阻害物質が利用するものとは異なる機序によって、in vitroでタンパク質のER−ゴルジ間移動を阻止することが示されている。この記載された活性は、AVP化合物の既知の多様な作用を説明し、その他の活性、特にウイルス増殖の阻害をうまく予言している。
【0065】
アッセイ
好ましい一つの実施形態においては、本発明は、アレルギーおよび/または喘息、あるいはIgEが病原となる全ての疾患の治療に有用な、小分子のIgE(合成および/または放出)阻害物質を対象とする。本明細書に開示される特定の化合物は、ex vivoアッセイおよびin vivoアッセイの両方においてIgE濃度を抑制する能力によって同定されたものである。臨床治療計画の開発および最適化は、以下に記載するex vivoアッセイおよびin vivoアッセイを参照することにより、当業者はモニターすることができる。
【0066】
ex vivoアッセイ
この系は、in vivoでの抗原のプライミングで始まり、in vitroでの二次抗体反応を測定する。以下のものを含むパラメータの範囲について基本プロトコルを記録し、最適化した:プライミングのための抗原の用量およびプライミング後のタイムスパン、in vitroで培養する細胞の数、in vitroで二次IgE(および他のIgの)反応を引き出すための抗原の濃度、in vitroで最適なIgE反応を可能にするウシ胎仔血清(FBS)バッチ、プライミングしたCD4+T細胞およびハプテン特異的B細胞の重要性、およびIgEについてのELISAアッセイの特異性(MarcellettiおよびKatz、Cellular Immunology、第135巻、第471〜489頁(1991年)、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0067】
本プロジェクトのために利用した実際のプロトコルは、よりハイスループットの分析に適合させた。BALB/cByjマウスは、ミョウバン4mgに吸着させたDNP−KLH10μgの腹腔内投与で免疫化し、15日後に屠殺した。脾臓を切り取り、組織グラインダーで均質化し、2度洗浄し、FBS10%、ペニシリン100U/ml、ストレプトマイシン100μg/ml、および2−メルカプトエタノール0.0005%を加えたDMEM中に保存した。脾臓細胞培養はDNP−KLH(10ng/ml)の存在下または非存在下で確立させた(96ウェルプレート4個1組で200万〜300万細胞/ml、0.2ml/ウェル)。抗原を含む脾臓細胞培養物に試験化合物(2μg/mlおよび50ng/ml)を加え、10%CO雰囲気中、37℃で8日間培養した。
【0068】
8日後に培養上清を集め、MarcellettiおよびKatz(上記)が記載した特異的アイソタイプ選択性ELISAアッセイを変更したものによってIgを測定した。ハイスループットを促進するために、このアッセイを変更した。DNP−KLHを一晩中コーティングすることによってELISAプレートを調製した。ウシ血清アルブミン(BSA)でブロッキングした後、各培養上清のアリコートは希釈し(BSA、アジ化ナトリウム、およびTween20を含むリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で1:4)、ELISAプレートに加え、4℃の加湿容器内で終夜培養した。ビオチン化ヤギ抗マウスIgE(b−GAME)、AP−ストレプトアビジン、および基質で連続して培養した後、IgE濃度を定量した。
【0069】
培養上清を200倍に希釈し、ビオチン化ヤギ抗マウスIgG1(b−GAMG1)をb−GAMEの代わりに用いたことを除き、同様にして、抗原特異的IgG1を測定した。培養上清を1:20で希釈し、ビオチン化ヤギ抗マウスIgG2a(b−GAMG2a)で培養した後、DNP−KLHでコーティングしたELISAプレートでIgG2aを測定した。各アイソタイプの定量は、検量線との比較によって決定した。全抗体の検出レベルは約200〜400pg/mlであり、IgE用ELISA中の他のどんなIgアイソタイプとの交差反応性も0.001%未満であった。
【0070】
in vivoアッセイ
ex vivoアッセイ(上記)において活性であることが判明した化合物は、さらに、in vivoでIgE反応を抑制する活性について試験した。キャリヤーで免疫化する前に低線量の放射線照射を受けたマウスは、7日後に抗原感作に対して高いIgE反応を示した。抗原感作の直前および直後に試験化合物を投与することによって、その薬物のIgE反応抑制能力を測定した。血清中のIgE、IgG1、およびIgG2aの濃度を比較した。
【0071】
雌のBALB/cByjマウスに、毎日の光サイクル開始後、250ラドで7時間照射した。2時間後に、ミョウバン4mg中のKLH2μgの腹腔内投与でマウスを免疫化した。6日後に、2日から7日連続して薬物注射を1日1回または2回のどちらかすることを開始した。典型的には、腹腔内注射および強制経口投与を、10%エタノールおよび0.25%メチルセルロースを含む生理食塩水の懸濁液(150μl/注射)として施した。各治療グループは、5〜6匹のマウスから構成した。薬物投与2日目、朝の薬物注射の直後に、ミョウバン4mg中のDNP−KLH2μgを腹腔内投与した。DNP−KLH攻撃後、マウスを7〜21日間飼育した。
【0072】
抗原特異的IgE、IgG1、およびIgG2a抗体をELISAによって測定した。眼窩周囲出血を14,000rpmで10分間遠心分離し、上清を生理食塩水で5倍に希釈し、再度遠心分離した。各血液の抗体濃度は4種の希釈液(3通り)のELISAによって測定し、検量線:抗DNP IgE(1:100〜1:800)、抗DNP IgG2a(1:100〜1:800)、および抗DNP IgG1(1:1600〜1:12800)と比較した。
【0073】
in vitroでの薬物作用の測定
最初にex vivoでのIgE反応プロトコルにおけるIgE遮断活性(図2)に基づいて、これらの一連の化合物を同定し、このアッセイにおけるそれらの活性に基づいて、全ての類似体の生物学的活性を特徴づけた。ex vivoアッセイにおける活性は、標準的な手順を用いて、ヒトPBLのIL−4/抗CD40抗体で刺激したIgEに対するB細胞の反応(図3)、およびマウスの脾臓B細胞の反応(図示せず)のin vitroアッセイで確認した。T細胞に対する薬物の作用は、in vitroでの様々な刺激に対するT細胞のサイトカイン反応を試験することにより示した。いくつかの代替の刺激に対するサイトカインおよびケモカイン構造の反応を、マウス脾臓およびヒトPBLからのT細胞で試験した。刺激により少なくとも10倍高められたサイトカインのデータを図4および図5に示す。マウスの脾臓からT細胞を分離し、刺激物+/−AVP13358の存在下で16時間培養した。Luminexビーズを用いて、上清のサイトカインを定量した。サイトカインは全て少なくとも200pg/mlのレベルに達し、バックグラウンドよりも10倍高かった(図4)。ドナーのPBLからT細胞を分離し、フィトヘマグルチニン(PHA、5μg/ml)およびConA(5μg/ml)+/−AVP13358の存在下で16〜36時間培養した。Luminexビーズを用いて、上清のサイトカインを定量した(図5)。サイトカインは全て少なくとも200pg/mlのレベルに達し、このレベルはバックグラウンドよりも少なくとも10倍高かった。AVP13358は、アレルギーの発症に重要なもの、すなわちIL−4、IL−5、およびIL−13を含めて多数のサイトカインのレベルを強力に抑制した。これらの化合物について発見された活性の第3のグループは、膜受容体の発現の抑制である。上記のCD23(B細胞IgE受容体、図6)およびIL−4受容体(図示せず)の発現を刺激する同様の手法を用いると、AVP13358は、in vitroで、マウスB細胞およびヒトの単核細胞上のこれらの受容体の誘導を強力に遮断した。これらの化合物について発見された第4の活性は、細胞増殖の阻害であった。この作用は、IL−4/抗CD40抗体、PMA/イオノマイシン、LPS、ConA、または上皮細胞増殖因子(EGF)などの様々な刺激物に対する初代細胞の増殖で最初に注目された。マウス脾臓細胞およびヒトPBLの増殖に及ぼす薬物の影響をそれぞれ図7および図8に示す。これらの一連の化合物はまた、in vitroで腫瘍細胞増殖に対する増殖抑制作用を有することが示された(図9)。AVP化合物は、60−細胞スクリーニングパネルで試験するためにNCIに付託した。図9に示したデータは、腫瘍細胞株の2日培養物からの全タンパク質の測定を表す。全タンパク質は、以下の概要の増殖実験の多くで採用されているSRBアッセイによって評価した。
【0074】
スルホロダミンB(SRB)アッセイプロトコル(NCIプロトコルに適合)
典型的なスクリーニング実験のために、個々の細胞株の倍加時間に応じて、5,000〜40,000細胞/ウェルの範囲のプレーティング密度で、細胞を100μl、96ウェルマイクロタイタープレートに植え付ける。細胞を植え付けた後、実験用の薬物を添加する前に、マイクロタイタープレートを37℃、細胞株および培地に応じて5%または10%CO、空気95%、相対湿度100%で24時間培養した。24時間後、薬物添加時の各細胞株の細胞数の測定値を表すために、各細胞株のプレート2枚をin situでTCAで固定した。薬物添加後、プレートを37℃、CO5%/10%、空気95%、相対湿度100%で更に48時間培養する。接着細胞については、冷TCAを添加してアッセイを終了させる。50%(w/v)冷TCA50μlを穏やかに加えて(最終濃度、TCA10%)in situで細胞を固定し、4℃で60分間培養する。上清を捨て、プレートを水道水で5回洗浄して、空気乾燥する。0.4%(w/v)スルホロダミンB(SRB)の1%酢酸溶液(100μl)を各ウェルに加え、プレートを室温で10分間培養する。染色後、1%酢酸で5回洗浄して結合していない染料を取り除き、プレートを空気乾燥する。その後、結合した染剤を10mMトリズマベース(trizma base)で可溶化して、自動プレートリーダーで波長515nmの吸光度を読みとる。懸濁細胞についても、80%TCA50μlを穏やかに加えて(最終濃度、TCA16%)ウェルの底に沈殿した細胞を固定することでアッセイを終了させることを除いて方法論は同じである。7つの吸光度測定値[0時間、対照の増殖、および5つの濃度レベルの薬物の存在下での試験増殖]を用いて、薬物の各濃度レベルで増殖パーセントを計算した。
【0075】
国立癌研究所(National Cancer Institute;NCI)で行われた試験により、構造、および化合物が活性を示す細胞のプロファイルの両方において、この化合物が新規であることが明らかになった。
【0076】
in vivo活性によるin vitro作用の確認
いくつかの化合物が、in vitroで観察された結果をも反映してもいるヒト疾患のin vivoモデルで試験された。マウスにおいて、気管支肺胞洗浄(BAL)モデルおよび気道過敏症(AHR)モデルの2つのアレルギー性喘息のモデルを試験した。両方のモデルとも、ニワトリのオバルブミン(OVA)に対する「アレルギー性」反応を引き起こす同様のプロトコルで開始した。BALモデルでは、噴霧されたOVAに応じた、細胞およびサイトカインの肺への浸潤を測定した。薬物を投与すると、標準プロトコル(図10)おいても、他の同様のモデルにおいても、好酸球およびリンパ球の浸潤が抑制される。サイトカインおよびIgEの増加が認められた場合は、薬物はこれらの反応も抑制した(図示せず)。メタコリン攻撃に対する気道過敏症反応も薬物によって阻害された(図11)。最後に、マウスのB細胞のCD23発現は、in vivoでの薬物での長期にわたる(連続して3日以上)治療によって抑制された(図示せず)。
【0077】
多くのin vivoの腫瘍モデルで、活性について、化合物を試験した。B16黒色腫細胞を同質遺伝子的(C57BL/6)マウスに皮下接種すると、急速な腫瘍増殖が起こった。腫瘍細胞を接種したマウスを薬物(AVP25752)で治療すると、賦形剤で治療したマウスに比べて、腫瘍増殖速度が著しく減少した(図12)。異種移植片モデルにおいてヒト黒色腫細胞をNu/Nuマウスに接種すると、同様であるが、より劇的な結果が得られた(図13)。Nu/Nuマウス25匹にHst294t腫瘍細胞800万個を皮下注射で接種した。12日後にマウスを2つのグループに分け、毎日AVP893(10〜40mg/kg/日)または賦形剤の腹腔内投与で治療した。
【0078】
このように、in vitroで観察された様々な反応に対するAVP薬物の作用は、in vivoでも注目される。これは、in vitroの結果が無傷な動物に引き継がれ得るという信頼レベルを与えるだけではなく、これらの薬剤が、これらの作用が有益であるヒト疾患を治療する上で有用であるかもしれないことをも示している。
【0079】
生物学的活性のスクリーニング
これらの化合物が細胞レベルおよび分子レベルでどのように作用しているかを理解するために、いくつかの薬物活性のスクリーニングを開始した。最初の2つのスクリーニングは、in vitroでのある結合事象に対する薬物の活性および様々な酵素の活性を試験するために計画された(図14および図15)。in vitroの生化学的アッセイの結果(Y軸上に示す)を図14に示す。Upstate,Inc.が行ったキナーゼアッセイのパネルの結果を図15に示す。Upstate,Inc.が行ったスクリーニングプロトコルの一部として、60のキナーゼアッセイにおいて、AVP13358(1μM)を活性について試験した。しかしながら、上記の薬理学的活性についてIC50をはるかに超えて、1μg/mlより低い濃度では薬物活性は観察されなかった。
【0080】
第2シリーズの実験では、950を超えるタンパク質の発現に対するAVP893の活性をin vitroのウェスタンブロット法(3重で)で試験した。この方法は以下に詳しく述べる。このスクリーニングにはB16腫瘍細胞を選択し、薬物により変性され得るタンパク質の数を最適化するために、16時間のAVP893の処理が選択された。6種のタンパク質のみが、薬物処理した細胞由来の溶解物中で常に、著しく変性されることが見出された(図16)。B16−F10細胞を、100ng/mlのAVB893の存在下または非存在下で16時間培養した。試料を回収し、Becton−Dickinsonから提供された指示書に従って溶解物を調製した。試料をドライアイス上に置き、950のタンパク質の発現を分析するために同所に付託した。これらの中で、GS28およびニカストリンのみが、B16および他の細胞株において一貫した変化をすることが見出された。両方のタンパク質は細胞では全く異なる機能を有しており、科学文献では(見たところ)関連付けられていないが、下記のように、それぞれのタンパク質で見られた変化について合理的な説明がある。
【0081】
ウェスタンブロットおよび試料調製
真空排気により(接着細胞の場合)、または室温で5〜7分間の低速の遠心分離により(懸濁細胞の場合)、培地を除去した。細胞はPBSで2回洗浄し、1200rpmで遠心し、細胞ペレットを氷中に保存した。細胞2.0×10個あたり氷冷溶解バッファー300μlを加え、プロテアーゼ阻害剤を新たに加えた。細胞ペレットを穏やかに再懸濁し、氷上で少なくとも30分間培養し、培養中に数回ボルテックスミキサーにかけた。細胞溶解物を4℃で、2〜5分間、14,000rpmで遠心した。上清を新しい遠沈管に移し、ペレットを捨てた。試料のアリコートを等容量の2X試料バッファー(In Vitrogen)と混合し、−80℃で保管した。タンパク質濃度は、Pierceからの「BCAタンパク質アッセイ試薬キット」を用いて決定した。
【0082】
電気泳動と転写
タンパク質試料(試料バッファー中)を1〜3分間煮沸し、氷上に置いた。同量のタンパク質をNuPageゲル(In Vitrogen)に注入した。電気泳動が完了した後、In Vitrogen製エレクトロブロッティング装置を用いて、タンパク質をゲルからPVDF膜に移した。その時、電圧は2〜3時間25に設定した。室温で少なくとも30分間、または4℃で一晩、膜を5%の乳汁(PBS中、0.1〜20%)で培養して、非特異的結合をブロックした。ブロックした膜を、5%乳汁で希釈した一次抗体(表2を参照)とともに、室温で1時間培養した。最適の抗体の希釈倍率は、会社、タンパク質の量に依存する。Santa Cruz製の一次抗体には、通常、1:1000の希釈倍率が用いられる。膜は、PBS、0.1%で5分間3〜4回洗浄した。膜を、5%乳汁で希釈したホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)結合二次抗体とともに、室温で30〜60分間培養した。我々は通常、Santa Cruz製の二次抗体には、1:4000の希釈倍率を用いた。膜は、PBS、0.1%で3〜4回、各15分間ずつ洗浄した。検出溶液AおよびBを40:1の比で混合し、膜上にピペットで移し、室温で5分間培養した。暗所で1枚のハイパーフィルムECLを膜上に置き、1分間曝露し、または相応に調節した。
【0083】
【表5】

【0084】
【表6】

【0085】
細胞輸送タンパク質の発現
GS28は、ゴルジおよび中間区画(IC、ERとゴルジとの間に位置する)における小胞のドッキングおよび融合に関与するt−SNAREタンパク質である。したがって、GS28は、ERとゴルジとの間の、およびゴルジ槽内の(小胞を介した)タンパク質の移動両方に密接に関係している。ニカストリンは、引き続き核内に移動して転写因子として働く多くのタンパク質の膜内における切断を担うγ−セクレターゼ複合体の一部である。これらのタンパク質の中には、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、ノッチタンパク質、erbB4、E−カドヘリンなどが含まれる。B16細胞を薬物処理すると、ニカストリンの成熟が阻害され、完全にグリコシル化された活性部分を犠牲にして、未成熟で部分的にグリコシル化された形態のニカストリンが蓄積することになる。ニカストリンは普通、ERを通過し、ERで部分的にグリコシル化され、次いでゴルジに行き、ゴルジでグリコシル化およびシアル酸付加が完了する。このように、ニカストリンは実質的に積み荷タンパク質として働いており、その変化は細胞中をどのように移動するかを反映している。ニカストリンの成熟を抑制することにより、AVP893処理は、おそらくはそのGS28に対する作用を介して、ERからゴルジへのニカストリンの輸送を妨げると思われる。
【0086】
AVP893の推定されるタンパク質輸送作用をさらに試験するために、この経路における他のタンパク質をin vitroで、B16および他の細胞株で試験した。AVP893の細胞タンパク質に対する作用はB16細胞で確認され、経時変化を含むように拡張された(図17)。B16−F10腫瘍細胞を集密度20%でT75フラスコに接種し、一晩培養した。いくつかのフラスコにAVP893(100ng/ml)を加え、化合物の添加後いくつかの時点で、1つのフラスコの細胞を回収した。溶解物を調製し、電気泳動により分離し、一般的なウェスタンブロットプロトコルで、上記のような抗体でプローブした。薬物のGS28およびニカストリンに対する作用は互いに類似しており、薬物の培養が長くなるほど次第に強くなった。AVP893で2日間培養すると、GS28は完全に消滅した。他の細胞株もGS28およびニカストリンの発現について試験し、量的な差は明らかであったが、薬物に対して同様に反応することが見出された。AVP893に同様に反応することが見出された腫瘍細胞株には、CAKI、SF295、PC3、MOLT4、Neuro2a、およびRBLが含まれる(図18、図19、および図20)。図18に示した実験では、LOX、CAKI、および3T3細胞株を図17について記載したように処理した。図19に示した結果では、SF295、PC3、MOLT−4、およびNeuro2a細胞を図17について記載したように処理した。図20に示した結果では、LOX、3T3、およびRBL細胞株を図17について記載したように様々な濃度のAVP893で処理した。LOX細胞に対する作用はあまり明白ではなかった。正常の繊維芽細胞株である3T3は、GS28および成熟ニカストリンのレベルがAVP893曝露によって実質的に除去されたほどに、薬物に対してより大きい反応を示した。対照(control)として用いられるER内在タンパク質であるカルネキシンのレベルは、薬物処理した細胞では変化しなかった。AVP893の濃度/3T3細胞についての反応評価は、GS28および成熟ニカストリン発現についてのIC50が10ng/ml〜100ng/mlの間であり(図20)、3T3細胞の増殖をAVP893が阻害するIC50と一致することを示唆している。
【0087】
AVP893はまた、様々な刺激物で刺激されたマウスの脾臓細胞のGS28の発現を抑制する(図21)。BALB/c脾臓細胞を刺激物+/−AVP893(100ng/ml)存在下で20時間培養し、回収して、図17に記載したように調製した。刺激の条件には、LPS(10μg/ml)、IL−4(10ng/ml)に抗CD40抗体(100ng/ml)を加えたもの、PMA(10ng/ml)にイオノマイシン(100nM)を加えたもの、またはConA(5μg/ml)が含まれる。3T3繊維芽細胞と同様に、脾臓細胞のGS28の発現は薬物により排除されたが、一方で、カルネキシンの発現は最小限の影響しか受けなかった。図22は、マウス脾臓細胞による、IL−4/抗CD40抗体刺激を受けたIgE生産または増殖の阻害について異なる効力を有する3つの化合物の作用を比較するものである。この実験は、増殖抑制効力が高い(AVP893、5nM)、中程度(AVP26297、50nM)、低い(AVP25630、500nM)様々なAVP化合物を試験して比較したことを除いて、図21について記載したように行った。AVP893は1ng/ml、10ng/ml、および100ng/mlで試験し、AVP26297は1ng/ml、10ng/ml、100ng/ml、および1000ng/mlで試験し、AVP25630は10ng/ml、100ng/ml、および1000ng/mlで試験した。各化合物について、GS28および成熟ニカストリン両方に対する作用は、in vitroでの増殖に対する作用に匹敵しており、細胞およびタンパク質のレベルではこれらの作用が関連付けられることが示唆された。
【0088】
いくつかの試料はタンパク質キナーゼC活性剤であるPMAでも処理したことを除いて、マウス脾臓細胞で行ったのと同様の実験をヒトPBLで繰り返した。in vitroの培養物でIL−4/抗CD40抗体にPMAを添加しても、ヒトPBLの増殖またはそのIgE反応は影響を受けることはないが、その両尺度を阻害するためのAVP893の効力が高められる(図23)。PBLを準備し、刺激物+/−AVP893の存在下で4日間培養した後、3H−チミジンでパルス標識して回収した。刺激の条件は、IL−4/抗CD40抗体、またはPMAとIL−4/抗CD40抗体の組合せのいずれかであった。これらの培養物について、以下の濃度のヒト特異的試薬を用いた:PMA(100ng/ml)、IL−4(100ng/ml)、および抗CD40抗体(300ng/ml)。同様に、PMAをPBLに添加しても、GS28のレベルは上昇しないが、GS28発現を阻害するためのAVP893の効力は高まる(図24)。PBL培養は、細胞は48時間後に回収し、ウェスタンブロット用に溶解物を調製した(図17のように)ことを除いて、図23について記載したように行った。これらの結果は、AVP893の細胞の作用と一次(非形質転換)細胞のGS28の発現との間に関連があることの追加の証拠を提供している。
【0089】
AVP893がGS28タンパク質の発現を低減させる具体的な様式は未だ知られていないが、薬物添加後3〜16時間に試験するとAVP893はGS28 mRNAのレベルに影響を及ぼさなかったため、転写は関与していないと思われる(図25)。ヒト軟膜はSan Diego Blood Bankより購入した。軟膜は、Sigma Diagnosticプロトコルに従って、Histopaque−1077を用い、赤血球を取り去った。次いで、リンパ球(2000万個)を、75cm2フラスコ中で、cDMEM(+/−刺激物およびAVP893)中で4時間または24時間培養した。細胞を回収し、本質的にManiatisが記載したように、グアニジン/フェノール溶液中で再形成した。水層を除去して、グアニジン溶液で洗浄し、最後に70%エタノールで洗浄した。分光光度計によりRNA純度を確認した。RT−PCR一段階プロトコル(Qiagen)に従って、RT−PCR(36サイクル)を実施した。他の細胞源から得られたmRNA試料を試験したところ、同様の結果が得られた(図示せず)。
【0090】
プライマー
GS28 5’−GATCTCAGGAAACAGGCTCG−3’,5’−CCTGTAAGCCTTGCCAAAAG−3’
ACTIN 5’−GTGGGCCGCTCTAGGCACCA−3’5’−TGGCCTTAGGGTGCAGGGGG−3’
GS28は、細胞を通る小胞の移動を担う相互に作用するタンパク質の複雑な経路の一員にすぎない。小胞のドッキングおよび融合に関与するSNAREタンパク質に加えて、Rabsとして知られる小型のRas様GTPaseのグループが、それらの相互作用を可能にするこれらのタンパク質の多くの活性化を担っている。ER−ゴルジ間タンパク質輸送において顕著な役割を果たすことが知られているRabタンパク質には、Rab1a、Rab1b、およびRab6が含まれる(図26)。Rab1タンパク質は両者ともCOPIIタンパク質被覆小胞がERからゴルジへ移動するのを助け、一方、Rab6は小胞がERに戻る逆行移動に関与している。GS28に対する作用と一致して、AVP893は、in vitroで、3T3およびPMA/イオノマイシン刺激脾臓細胞におけるRab6の発現も抑制した(図27)。図17について記載したように、3T3繊維芽細胞およびBALB/c脾臓細胞をAVP893と共に一晩培養して回収した。脾臓細胞は、図21について記載したように、PMA/イオノマイシンの存在下および非存在下で培養した。Rab1の反応は細胞によって異なり、Rab1bは脾臓細胞では薬物によって抑制されたが、3T3細胞では影響を受けず、一方、Rab1aは3T3細胞では薬物に対して穏やかな反応を示した(図27および図28)。
【0091】
様々な他の輸送タンパク質の発現に対するAVP893の作用も試験したが、いくつかの推定されるGS28の相互作用の相手(VAMP1、Gs15、Ykt6)、ならびに様々な係留(tethering)タンパク質およびGTPaseを含む他のタンパク質はどれも、量的に変化されなかったと思われる(図26)。これらのタンパク質の殆どは、ER−ゴルジ領域の外で機能するが、多くのものの所在は明らかにされていない。
【0092】
AVP893は、マンノシダーゼII(図30)およびGPP130(データは示さず)と同じく、図29に示すように、GS28およびGS15などのゴルジ内在タンパク質の量的な発現に、時間に依存した形で影響を及ぼすことが見出された。3T3細胞のGS15の染色は、約2〜4時間曝露すると始まるが、AVP893によって大幅に低減するのに対して、GS28のレベルは8時間曝露後に減少し始め、ついには20時間の薬物培養後に著しく減少したレベルになる。ゴルジ構造タンパク質であるGM−130はAVP893の影響を受けなかったと思われる(データは示さず)。同様に、非ゴルジ内在タンパク質であるRab6は、図31に示したように、いくつかの細胞型では影響を受けなかったと思われる。
【0093】
これらの結果は、AVP893が、ゴルジ内在タンパク質であるGS15、GS28、GPP130、およびマンノシダーゼIIの発現に差別的に作用し、ゴルジ構造タンパク質であるGM−130にはさほど影響せず、Rab GTPase Rab6に対しては殆ど作用しないことを実証している。さらに、これらの作用は、ある種の作用は早い時点で見られたが、AVP893と共に一晩(16〜20時間)培養した後に最も顕著である。これらの結論はウェスタンブロット分析(図29)および免疫細胞化学的研究(図30〜31)から導き出された。より詳しくは、炭水化物のプロセシングに関与するゴルジ内在酵素であるマンノシダーゼIIは、AVP893投与の1時間後にゴルジ中で減少し始めることが示され(図30)、4時間後には識別できる量の酵素が殆ど〜全く残らず、18時間後には確実に全く残らなかった。これとは対照的に、図31に示したように、18時間後でも、GTPase Rab6の染色は低減せず、AVP893の存在によって大きく変わることはなかった。
【0094】
したがって、AVP893は、ゴルジ内在タンパク質に差別的に影響を及ぼすが、一方で、非内在タンパク質(例えばRab6)またはGM−130などの構造タンパク質には影響を及ぼさずにいる(データは示さず)と結論付けることができる。さらに、マンノシダーゼIIのデータは、ゴルジ内在タンパク質に対するAVP893の作用の経時変化のさらに別の例であり、それでは、発現レベルはゆっくりと低減し、ついには薬物培養の16〜20時間後に激しく低減したレベルになる。
【0095】
AVP893で処理した後の超微細構造レベルのゴルジの構造および形態を試験するために、実験を行った。処理していないMOLT4細胞、およびAVP893(200ng/mL)で2時間または18時間処理したMOLT4細胞を電子顕微鏡で分析したところ、AVP893がゴルジの構造を崩壊させることが実証された(図32)。AVP893で2時間処理した時、および18時間処理した後(データは示さず)には、ゴルジ槽は見られなかった。この結果は、AVP893を1時間、4時間、および18時間適用したVero細胞でも再現され、後の2つの曝露では槽構造が崩壊した(データは示さず)。したがって、AVP893は処理後数時間以内にゴルジ槽の構造を撹乱すると結論を下す。
【0096】
細胞内タンパク質移動
この領域内での輸送タンパク質に対する選択的阻害により、ER−ゴルジを通るタンパク質移動に対するある作用が示唆される。この可能性を直接試験するために、細胞を薬物と共に、および薬物なしで16〜20時間培養し、回収し、溶解し、様々な濃度のイオジキサノール含有画分(2.5〜30%)のグラジエント上に重層した。グラジエントを56Kxgで2〜18時間遠心分離し、回収して、ウェスタンブロットにより内在タンパク質について試験した。画分は、カルネキシン(ER特異的マーカー)、γ−アダプチン(ゴルジ)、およびRab5a(小胞)に特異的な抗体でプローブした。図33〜36はそれぞれ、小胞体(ER)の場合はカルネキシン、ゴルジ(G)の場合はγ−アダプチン、および小胞/エンドソーム(V)の場合はRab5aであるマーカータンパク質の存在と比較した、各画分に存在する様々なタンパク質のレベルを示す。図34および図35はそれぞれ、また、密度勾配遠心分離の前に得られたRab6およびRab1Bの非分画のレベルを示す。これら3つのマーカータンパク質の発現において、対照と薬物処理した細胞との間に差は見られなかった。
【0097】
B16F1/B16F10密度勾配プロトコル
B16F10細胞を、薬物を適用する1日前に175cmのフラスコに接種した。翌日、培養物に、新たに調製した培地+/−薬物を当てた。16時間後、冷却したDulbeccoのPBSで細胞を洗浄し、その後、氷冷したホモジナイズ用バッファー:KCl 130mM、NaCl 25mM、EGTA 1mM、Tris pH7.4 25mMに、バッファー5mL当たりプロテアーゼ阻害剤15μlを加えたものの中に回収した。フラスコ1本当たりバッファー1mLを使用し、細胞は破片にして14mL培養用丸底試験管に入れ、氷上に保存した。次いで、回収した細胞を組織用ホモジナイザー(Polytron PT10/35)でホモジナイズし、2mL遠沈管に移して、4℃、8分間、1000rpmで遠心した。上清を集め、予めホモジナイズ用バッファーと共に調製し、冷却しておいた30%〜2.5%のイオジキサノール(Optiprep)のグラジエント上に置いた。16×100mmの超遠心分離用試験管を用い、AH−627ローター付Sorval OTD50B 超遠心分離機で、試料を27,000rpmで1時間遠心した。グラジエント上部から試料1mLを注意深く取り、その後、ウェスタンブロット分析のために2X試料用バッファーで希釈した(1レーン当たり16μl注入)。注意:このプロトコルを通して、試料はできる限り氷上に保った。
【0098】
AVP893で処理した細胞ははるかに少ないGS28しか発現しなかったが、その分配に著しい変化はなかった(図33)。ニカストリンははるかに広く分配され、薬物処理した細胞からの溶解物の画分全てにおいて部分的にグリコシル化された形態で主に発現された(対照の細胞に対して)。Rab1bおよびRab6の発現も試験した。その結果を図34および図35にそれぞれ示す。どちらのタンパク質も(GS28とは対照的に)未画分溶解物中では量的に減少しなかったが、Rab1bとRab6両方ともゴルジ区画ではなく、ER中に保持されていた。Rab1aについても、同様の結果が示された(図示せず)。Rab6も小胞中に局在すると思われ、ER(逆行)またはゴルジ(順行)どちらかとの小胞の融合はAVP893により阻害される可能性が示唆された。ゴルジ後方区画中に主に配置されるSNAREタンパク質であるSNAP23は、同様にERへ移動した(図36)。しかしながら、この場合、SNAP23はERで積み荷タンパク質として発現され、ERからゴルジへ周辺の区画を通過して移動する。
【0099】
ブレフェルジンAとの比較
タンパク質の細胞内輸送に影響を及ぼすことが知られている少数の化合物の中で、最も研究されている2つはモネンシンとブレフェルジンAである。モネンシンは、AVP化合物について注目される幾つかの作用(例えばサイトカインの阻害)を共有するナトリウムイオン透過担体である。しかしながら、モネンシンはゴルジ後方区画中で作用するので、その活性において質的な不一致があり、この化合物が違ったふうに作用することを明らかに実証している。しかしながら、ブレフェルジンAはERからゴルジへのタンパク質の移動を遮断し、サイトカイン生産/放出および腫瘍細胞増殖を含むAVP893で見られる作用の多くを共有する。ブレフェルジンAの機序はかなり良く描出されており、ゴルジからERへの逆行COPII小胞の出芽の活性化を担うGTPaseであるArf1上でのGDP−GTP変換の阻害によるゴルジの崩壊を伴っている。しかしながら、Arf1は主としてER−ゴルジ領域に位置するが、他の区画中にも見られ、ER−ゴルジ領域よりも広い作用を有すると思われる。
【0100】
ブレフェルジンAは、60細胞のスクリーニングにおいての腫瘍細胞増殖の阻害について、NCIにより試験された。NCIの60細胞スクリーニングは、実質的に図9について記載したように行われた。ブレフェルジンAについてのNCIのデータベースから入手可能なデータを、より最近のAVP893のデータと比較した。ブレフェルジンAに関して得られた結果とAVP893のデータとの比較から、ブレフェルジンAは10〜100nMの濃度で実質的に全ての細胞の増殖を阻害するが、AVP893は試験した細胞株に応じて効力にかなりの変動を示した(<10nM〜>10μM)ことが示される(図37)。AVP893またはブレフェルジンAのいずれかの存在下でいくつかの腫瘍細胞株を約72時間培養し、その後、図9について記載したように、全タンパク質(SRB)を測定することによって増殖反応を評価した。社内で行った一対一の比較の結果も、in vitroでのブレフェルジンAおよびAVP893に対する細胞の相対的な増殖反応が実質的に変動したことも示している(表3)。
【0101】
【表7】

【0102】
表3に略述した細胞株で、タンパク質の発現に対する化合物の作用のさらなる比較を行った。図38に示すように、AVP893は、2つの「感受性の」細胞株で、増殖に対する活性と殆ど匹敵する濃度で、GS28(および成熟ニカストリン)の発現を阻害した。MOLT−4、Hs294T、およびH460細胞をAVP893またはブレフェルジンAのいずれかと共に一晩培養し、回収して、図17について記載したようにウェスタンブロット用に調製した。AVP893は、耐性系のH−460では、GS28またはニカストリンへの影響がなかった。対照的に、ブレフェルジンAは、高濃度で、少々の低減(MOLT4、Hs578T)から発現の大きな増大(H−460)までの範囲で、GS28への可変の影響を有していた。さらに、GS28に見られた変化は、これらの細胞株における増殖について、ブレフェルジンAのIC50に匹敵しなかった。ニカストリンへの影響は最小であった。
【0103】
これらの結果は、ブレフェルジンAとAVP893とは、タンパク質輸送を阻害するために、異なる機序で作用することを明白に示している。AVP893またはブレフェルジンAのいずれかで処理した細胞に由来する溶解物の密度勾配遠心分離を比較した最初の結果は、2つの化合物が同様の方法でRab6の分配を変えることを示している(図39)。3T3細胞を培養し、回収して、図33に記載した手順と同様の密度勾配遠心分離のために調製した。これは、AVP893がER−ゴルジ間のタンパク質の移動を阻害するように作用しているという考えを支持している。AVP化合物は、試験した全ての非形質転換細胞でGS28を抑制するが、全ての腫瘍細胞がこのように反応するわけではない(図40)。1μg/mlのAVP893で18〜20時間処理した6つの細胞株に由来する溶解物をニカストリンおよびGS28の発現について比較した。ウェスタンブロットのために、各レーンに同量の全タンパク質を注入した。腫瘍細胞は様々な遺伝子改変を受け、それ自身で、増殖能力を増加するために、正常のタンパク質輸送を回避することがある。したがって、AVP893(またはブレフェルジンA)の特異的な標的は同定されていないが、ER−ゴルジを通るタンパク質輸送を阻害することがその機序として提案されている。
【0104】
ゴルジに影響を及ぼすことが知られている薬理剤に比べて、AVP893がゴルジ内在タンパク質に対して特異な活性を有することを示すために、さらなる研究を行った。AVP893の活性と、既知の薬剤であるモネンシン、ブレフェルジンA、およびラパマイシンの活性とのこの比較は、AVP893が独特の方法でゴルジ内在タンパク質に影響を及ぼすことを実証する助けとなる。組合せ処理では、第1の薬剤を添加して1時間後に、第2の薬剤を添加し、その後18時間培養する。薬剤の用量は以下のとおりである:AVP893、200ng/ml;ブレフェルジンA、10mg/ml;モネンシン、10mg/ml、ラパマイシン10nM。図41に示すように、AVP893は、他の3つの薬剤よりも著しくGS28およびGS15の発現を低減させ、そのGPP130に対する作用(より低い、推定上、未成熟形態の糖タンパク質の発現をもたらす)は、モネンシンとのみ匹敵した。加えて、ブレフェルジンAおよびモネンシンは、893と組み合わせると、その活性が優勢となるが、ブレフェルジンAまたはモネンシンにのみ誘発される発現の「表現型」を示す。893をラパマイシンと組み合わせた時にのみ、893のタンパク質の発現の「表現型」が起こる。したがって、ゴルジ内在タンパク質に対するAVP893の活性は独特であり、既知の薬剤であるモネンシン、ブレフェルジンA、ラパマイシンとは異なる。
【0105】
他の既知の薬理剤であるブレフェルジンAと比較して独特なAVP893の活性を決定するために、タンパク質の発現に対するAVP893およびブレフェルジンAの用量増加の効果を複数の細胞株で比較した。AVP893は、3つの異なる細胞株にわたってブレフェルジンAとは異なる方法でゴルジ内在タンパク質GS28に影響を及ぼすことが示された(図42)。AVP893処理の有効範囲は、ブレフェルジンAのそれに近くはなかった。さらに、Rab6の発現はAVP893によって大きな影響を受けないことが再び示されたが、対して、ブレフェルジンAは細胞の種類に応じて、その発現に対する影響が様々であった。結論として、AVP893の独特な活性は、複数の細胞株にわたって存在した。
【0106】
AVP893がゴルジ内在タンパク質(例えば、マンノシダーゼII)に対して独特の活性を有することの更なる証拠は、ウェスタンブロット分析の代わりに、薬物曝露の時間を短くし、免疫細胞化学試験を用いて見出された(図43)。この実験は、ブレフェルジンAおよびノコドゾール(Nocodozole)で1時間処理すると、マンノシダーゼIIの標準の染色パターンが撹乱されることを示した。三日月形のゴルジの標識は、ブレフェルジンAの場合は完全に消散し、あるいはノコドゾールの場合は広がって無数の小さな点状の破片となった。しかしながら、この実験では、AVP893に1時間曝露しても明白な作用はなく、確かにマンノシダーゼIIの局在または発現レベルにはいかなる混乱もなかった。結論として、図43に示した結果は、AVP893がゴルジ内在タンパク質に対して独特の方法で作用することの更なる証拠を提供する。
【0107】
タンパク質輸送の阻害により予想される他の生物学的作用
ERからゴルジへの輸送の阻害を実証することにより、観察されるAVP化合物の作用の明確な説明が与えられる。古典的なER−ゴルジ経路は、IgE、多くの膜受容体、および多くのサイトカインを含む殆どの細胞内タンパク質の好ましい輸送/成熟経路である。後者の一つの例外はIL−1であり、これは「非古典的な」分泌経路によってER−ゴルジを回避する。AVP13358は殆どのサイトカインの分泌を阻害するが、in vitroでのIL−1のレベルに影響を及ぼさない。
【0108】
提案された細胞内タンパク質輸送に関するAVP化合物の機序によって、これらの化合物が共有する可能性のある他の作用および非作用に関して、ある種の予測もできるようになる。例えば、モネンシンなどのポストゴルジ活性の化合物に予想されるように、ERとゴルジとの間の小胞の融合または出芽の阻害はエキソサイトーシスに影響を及ぼすことはない。AVP893は、エキソサイトーシスに関与するタンパク質、特にVAMP、SNAP23(非神経細胞)、およびSNAP25(神経細胞)の発現に及ぼす影響は最小である。したがって、この化合物は、PC12褐色細胞腫細胞のノルエピネフリンの放出またはドーパミンの再取込みに影響を及ぼさない(図示せず)。さらに、AVP893の類似体であるAVP13358は、PMA/イオノマイシンまたはIgE−抗原複合体で誘発したとき、ラット好塩基球性白血病(RBL)細胞の脱顆粒を阻害しない(図示せず)。
【0109】
ERとゴルジとの間の正常な小胞の移動を遮断することで起こり得る重要な結果は、ウイルスタンパク質の成熟および細胞内伝播の阻害である。殆どのウイルスは、そのタンパク質の同化および最終的には感染性について、古典的なERからゴルジへの経路に依存している。ブレフェルジンAは、ER−ゴルジにウイルスタンパク質の蓄積を引き起こす。AVP893のウイルス伝播を阻害する能力を、in vitroで、Vero細胞にHSV−2を感染させ、薬物濃度の増加の効果を観察することによって試験した(図44)。Vero細胞(100万個/ml)を一晩培養し、AVP893を添加して約1時間後に生きている2型ヘルペスウイルス(HSV−2、ATCC)約150PFUを接種した。48時間後に培地を取り除き、細胞を生理食塩水で洗浄して、生物学的プラーク染色で20分間染色した。水1mlを加え、液体を除去した後、PFUを計数してウイルスを定量した。AVP893は、試験した全ての濃度で、プラークの形成を抑制し、300ng/mlで完全にブロックされた。さらに、急勾配の濃度−反応曲線から、ウイルスよりもむしろ、宿主細胞に作用する薬物に予想されるような、非競合的阻害であることが示唆される。
【0110】
ウイルス感染の広がりに対するAVP893の作用をさらに調べた。AVP893(300ng/ml)を適用して16時間後に、ウイルスを接種した。図45に示した時点は、ウイルス接種後の時間を表している。AVP893はゴルジ内在タンパク質の発現および局在化に対して作用することを実証したので、次の一連の実験は、そのライフサイクルでゴルジを利用するウイルスであるHSVに対するAVP893の作用を試験した。図45に示した免疫細胞化学的研究に加えて、HSV−1およびHSV−2、ならびにそのライフサイクルでゴルジを使用する他の系統のウイルスについて、広範囲のin vitroのプラークアッセイを行った(表2を参照)。
【0111】
ウイルス粒子(HSV−2糖タンパク質Eをラベルして図45に視覚化した)がAVP893の存在下で最初の感染部位を越えて広がるかどうかかを測定した。HSV−2に感染した培養物をAVP893で処理した。その結果は、最初の感染部位を越えて、周囲の細胞にラベルは殆ど〜全く見られなかったことを実証している。gB、gD、およびカプシドタンパク質ICP5を含む他のHSVタンパク質も試験し、同様の結果を得た(データは示さず)。結論として、AVP893はHSV−2ウイルス粒子の広まりを妨げた(または、少なくとも感染性粒子の広まりを妨げる)。さらに、AVP893は、培養物の初期感染を阻止したのではなく、ウイルスのその後の広まりのみを阻止したと思われた。これらの結果は、AVP893が、ゴルジ内在タンパク質に対する作用を通して、HSV−2がするように、そのライフサイクルでゴルジを利用するウイルス粒子の広まりを阻害しているかもしれないという概念実証を与える。
【0112】
HSVタンパク質の発現に影響を及ぼす他に、AVP893は、他のウイルスの系統に対する抗ウイルス活性を発揮することが実証された。ゴルジを利用すると思われる系統からの代表的なウイルスを試験した。表4に示すように、多くの他のウイルス系統の広まりは、in vitroで、AVP893により阻止された。さらに、モルモットの局所的HSVモデルは、AVP893はin vivoでウイルスの活性を阻害するかもしれないことを示している(データは示さず)。
【0113】
【表8】

【0114】
【表9】

【0115】
細胞内タンパク質輸送の阻害
記載された本発明の好ましい態様は、少なくとも17の構造クラスの化合物を含む(表5)。これらのシリーズの全てを代表する化合物は、ERからゴルジへのタンパク質輸送を阻害するのと同様の濃度で、in vitroでIgE反応および細胞増殖を阻害する。後者は、非形質転換細胞でGS28の発現が阻害されることにより証明される(図45)。
【0116】
【表10】

【0117】
【表11】

【0118】
【表12】

【0119】
【表13】

【0120】
本発明の好ましい態様は、アレルギー、細胞増殖およびウイルス複製を含む、多くの生物学的プロセスに影響を与えるタンパク質輸送を選択的に変調する新規な機序に関する。さらに特には、本発明の態様は、この機序を調整し、それによって生物学的プロセスを変調する化合物の同定およびキャラクタリゼーションに関する。本明細書に記載したように、ゴルジと中間区画(IC、ERとゴルジとの間に位置する)での小胞のドッキングおよび融合に関与するt−SNAREタンパク質であるGS28、および、核内に移動して転写因子として動作するタンパク質の膜内切断に関係するニカストリンの両方が、広範囲の生物学的活性を示す化合物の影響を受けることが見出された。さらに、これらの化合物で処理すると、ニカストリンの成熟が妨げられ、完全にグリコシル化された活性部分を犠牲にして、未成熟で部分的にグリコシル化された形態のニカストリンが蓄積することが明らかになった。ニカストリンは普通、ERを通過し、ERで部分的にグリコシル化され、次いでゴルジに行き、ゴルジでグリコシル化およびシアル酸付加が完了する。したがって、ニカストリンの状態の変化は、ニカストリンが細胞中を移動することから、細胞内区画と関係があるように思われる。これらの化合物は、ニカストリンの成熟を抑制することにより、ERからゴルジへのニカストリンの輸送を防止している可能性がある。ニカストリンの輸送が防止されるのは、薬物の存在下でGS28の発現が低減されることによる可能性がある。
【0121】
本発明の好ましい実施形態の上記の記載は、本発明の範囲を限定しようとするものではない。実際、Jungら(Electrophoresis、2000年、21巻、3369〜3377頁)は、ERおよびゴルジ装置に関連する内在タンパク質は157種ある(SWISS−PROTデータベース、表1)ことを指摘している。Taylorら(Electrophoresis、1997年、18巻、643〜654頁)は、ラット肝細胞のゴルジの173種のタンパク質を報告した。したがって、GS15、GS28、ニカストリンおよびRab(本明細書では、AVP化合物によって抑制されることが示されている)の他にも、上記のものと同一のまたは重複する経路を介して、疾患状態(とりわけ、アレルギー、癌、ウイルス感染)においてタンパク質輸送に影響を及ぼす、他のER/ゴルジタンパク質のターゲットは多数ある可能性がある。したがって、本発明者らは、増殖的な(またはウイルス複製的な)細胞の反応に必要なタンパク質輸送を選択的に調整するための一つの好ましい手段として、例えばGS28レベルの薬理的抑制を明らかにしたが、GS28と協調して作用する、またはGS28の作用を補い、あるいは高める、他のER/ゴルジ関連タンパク質を変調することは、増殖/複製の障害を治療するための他の好ましい手段を示す可能性がある(図46および図47に概略図の形で示したように)。あるいは、病的な輸送反応の抑制を高めるような、他のER/ゴルジタンパク質を標的とする他の薬剤との併用療法は、本発明の範囲内の他の実施形態を表すものである。
【0122】
本発明の好ましい実施形態の興味深い態様は、重複するタンパク質輸送経路、およびそれに関与するタンパク質が、疾患状態(例えば、形質転換された、感染した、など)に関係する細胞に関連する「悪い」輸送を選択的に抑制するにもかかわらず、正常な(または「良い」)タンパク質輸送のニーズを成し遂げることを細胞ができるように作動することである。したがって、本発明者らは、本明細書に開示された選択的薬理療法を用いると、(ブレフェルジンAを用いる治療レジメンとは対照的に)毒性を最小限にできることを見出した。
【0123】
当業者であれば、ごく普通の実験だけを使用して、本明細書に記載した本発明の特定の実施形態の多くの同等物を理解し、または確認できるであろう。そのような同等物は次の特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は、細胞内タンパク質輸送を説明する概略図である。
【図2】図2は、ex vivoでの抗原に対するIgE反応を示す。
【図3】図3は、in vitroでのヒトPBLのIL−4+αCD40 Abに対するIgE反応を示す。
【図4】図4は、in vitroでのマウスの脾臓T細胞のサイトカイン反応を示す。
【図5】図5は、ヒトPBLのT細胞のサイトカイン反応を示す。
【図6】図6は、ヒトの単核細胞のCD23を示す。
【図7】図7は、AVP 893に対する脾臓細胞増殖反応を示す。
【図8】図8は、in vitroでの刺激物および薬物に応じたヒトPBLの増殖を示す。
【図9】図9は、NCI 60−細胞パネルを示す。
【図10】図10は、BALプロトコル#1の概略図であり、BAL洗浄の細胞を例証する。
【図11】図11は、in vivoでのAHR反応を示す。
【図12】図12は、B16−F1マウス黒色腫腫瘍増殖に及ぼすAVP 25752の影響を示す。
【図13】図13は、HS294tヒト黒色腫腫瘍増殖に及ぼすAVP 893の影響を示す。
【図14】図14は、様々な生化学的アッセイについてAVP 13358の用量反応を示す。
【図15】図15は、AVP 13358のキナーゼスクリーニングである。
【図16】図16は、タンパク質の発現に及ぼすAVP 893の影響のパワーブロット結果を示す。
【図17】図17は、B16細胞のAVP 893の作用の経時変化を示す。
【図18】図18は、16時間での様々な細胞のニカストリンおよびGS28の発現に及ぼすAVP 893の影響を示す。
【図19】図19は、一晩での様々な細胞のニカストリン、カルネキシンおよびGS28の発現に及ぼすAVP 893の影響を示す。
【図20】図20は、一晩での様々な細胞のニカストリン、n−グリシン、カルネキシンおよびGS28の発現に及ぼすAVP 893の影響を示す。
【図21】図21は、AVP 893による、BALB/c脾臓細胞の刺激されたタンパク質の発現の阻害を示す。
【図22】図22は、様々な化合物による、BALB/c脾臓細胞の、PMA/イオノマイシン刺激されたニカストリンおよびGS28の発現の用量反応的な阻害を示す。
【図23】図23は、IL−4/αCD40 Abに対するPBL増殖反応のAVP 893阻害に及ぼすPMAの影響を示す。
【図24】図24は、PMA存在下およびPMA不存在下での48時間後のIL−4/αCD40 Abに誘発されたタンパク質の発現のダウンレギュレーションするAVP 893の選択的用量反応を示す。
【図25】図25は、ヒトPBLのAVP 893に対するGS28 mRNAの反応を示す。
【図26】図26は、様々なERおよびゴルジタンパク質のタンパク質輸送経路との関りを示す概略図である。
【図27】図27は、AVP 893による、18〜20時間培養のRabの発現の用量反応的な阻害を示す。
【図28】図28は、3T3細胞のGS28とRab1aタンパク質の発現に及ぼすAVP 893の影響の比較を示す。
【図29】図29は、ゴルジ内在タンパク質の発現に及ぼすAVP 893の影響を示す。
【図30】図30は、マンノシダーゼIIの発現に及ぼすAVP 893の影響を示す。
【図31】図31は、Vero細胞のRab1Bの発現に及ぼすAVP 893の影響を示す。
【図32】図32は、MOLT4細胞のゴルジ形態に及ぼすAVP 893の影響を示す。
【図33】図33は、B16細胞のタンパク質の発現に及ぼすAVP 893の影響を示す。
【図34】図34は、B16細胞のRab6分布を示す。
【図35】図35は、B16細胞のRab1B分布を示す。
【図36】図36は、B16細胞のAVP 893に対するSNAP23の反応を示す。
【図37】図37は、AVP 893とブレフェルジンAでのNCI結果を示す。
【図38】図38は、GS28およびニカストリンの発現に及ぼすAVP 893およびブレフェルジンAの影響を示す。
【図39】図39は、3T3細胞のブレフェルジンAおよびAVP 893に対するRab6の反応を示す。
【図40】図40は、6細胞株のGS28とニカストリンの量的比較を示す。
【図41】図41は、3T3細胞の公知の薬理剤と比べた、ゴルジ内在タンパク質に対するAVP 893の特異な作用を示す。
【図42】図42は、GS28、カルネキシンおよびRab6の発現に及ぼすAVP 893およびブレフェルジンAの特異な影響を示す。
【図43】図43は、マンノシダーゼIIの発現に及ぼすAVP 893、ブレフェルジンAおよびノコドゾール(Nocodozole)の特異な影響を示す。
【図44】図44は、in vitroでのVero細胞のHSV−2増殖に及ぼすAVP 893の影響を示す。
【図45】図45は、HSV−2に感染したVero細胞のgE発現に対するAVP 893の作用を示す。
【図46】図46は、解明されたAVP化合物の作用機構を示す概略図である。
【図47】図47は、AVP 893によるGS28タンパク質の発現の選択的阻害の多様な効果を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
疾患状態に関連する真核細胞の増殖を選択的に阻害する薬物候補を同定するためのスクリーニング方法であって、
真核細胞を薬物候補と接触させること、および
増殖依存性タンパク質輸送に関連する、ER/ゴルジ内在タンパク質の発現を決定することを含むスクリーニング方法。
【請求項2】
前記ER/ゴルジ内在タンパク質が、GS15,GS28,ニカストリンおよびRabからなる群より選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ER/ゴルジ内在タンパク質がGS28である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ERとゴルジとの間の増殖依存性タンパク質輸送に関連する少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質の発現を抑制するのに十分な量の組成物を投与し、それによって疾患状態に関連する真核細胞の増殖を阻害することを含む、疾患状態に関連する真核細胞の増殖を選択的に阻害する方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質が、GS15,GS28,ニカストリンおよびRabからなる群より選択される請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質がGS28である請求項4に記載の方法。
【請求項7】
疾患状態に関連する真核細胞の増殖を選択的に阻害するための薬剤を調製するための、下記の群から選択される化合物の使用。
【化1】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,置換アリール,シクロアリール,置換シクロアリール,多重環シクロアリール,ベンジル,置換ベンジル,アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルなどからなる群より選択され、RおよびRの少なくとも1つは芳香族基である。)
【化2】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヘテロアリール,置換ヘテロアリール,ヒドロキシ,ハロゲン,NO,CF,OCF,NH,NHR,NRおよびCNからなる群より選択され;
Zは、O,S,NHおよびN−R’からなる群より選択され;さらに、R’は、H,アルキル,アミノアルキルおよびジアルキルアミノアルキルからなる群より選択され;
Rは、H,アルキル,ハロゲン,アルコキシ,CFおよびOCFからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,アミノアルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,アルコキシアルキル,シクロアルキル,オキサシクロアルキルおよびチオシクロアルキルからなる群より選択される。)
【化3】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、アルキル,置換アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルからなる群より選択され、前記置換基はヘテロ環でなく;
前記置換アルキル,置換シクロアルキル,置換シクロプロピル,置換シクロブチル,置換シクロペンチル,置換シクロヘキシル,置換シクロヘプチル,置換ビシクロアルケニルおよび置換アダマンチルの置換基は、アルキル,アリール,CF,CH,OCH,OH,CN,COORおよびCOOHからなる群より選択される。)
【化4】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、アルキル,置換アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチル,ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群より選択され;
およびRは両方がメチル基であることはなく;
前記置換アルキル,置換シクロアルキル,置換シクロプロピル,置換シクロブチル,置換シクロペンチル,置換シクロヘキシル,置換シクロヘプチル,置換ビシクロアルケニル,置換アダマンチルおよび置換ヘテロ環の置換基は、アルキル,アシル,アリール,CF,CH,OCH,OH,CN,COOR,COOH,COCFおよびヘテロ環からなる群より選択され;
,Rまたは前記置換基の少なくとも1つはヘテロ環である。)
【化5】

(式中、
Xは、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCHCH−F(p−)からなる群より選択され;
Yは、モノ,ジ,トリおよびテトラ置換H,アルキル,アルコキシ,アリール,ベンゾ,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,COPh,COOCH,CONH,CONHR,NHCONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
は、アルキル,置換アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチル,一個以上のヘテロ原子を含むヘテロ環,および置換ヘテロ環からなる群より選択され;
前記置換アルキル,置換シクロアルキル,置換シクロプロピル,置換シクロブチル,置換シクロペンチル,置換シクロヘキシル,置換シクロヘプチル,置換ビシクロアルケニル,置換アダマンチルおよび置換ヘテロ環の置換基は、アルキル,アリール,CF,CH,OCH,OH,CN,COOR,COOHおよびヘテロ環からなる群より選択される。)
【化6】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPh,CH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,置換アリール,シクロアリール,置換シクロアリール,多重環シクロアリール,ベンジル,置換ベンジル,アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルなどからなる群より選択され、RおよびRの少なくとも1つは芳香族基である。)
【化7】

(式中、
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
XおよびYは、それぞれ独立に、H,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,ハロゲン,アミノ,アルキルアミノ,ニトロ,シアノ,CF,OCF,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPh,CH−F(p−),COCH,COCHCH,アミノアルキルおよびジアルキルアミノアルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,ヘテロアリール,チオフェン,ピリジル,チアゾリル,イソオキサゾリル,オキサゾリル,ピリミジニル,置換アリール,置換ヘテロアリール,置換チオフェン,置換ピリジル,置換チアゾリル,置換イソオキサゾリル,置換オキサゾリル,シクロアリール,シクロヘテロアリール,キノリニル,イソキノリニル,置換シクロアリール,置換シクロヘテロアリール,置換キノリニル,置換イソキノリニル,多重環シクロアリール,多重環シクロヘテロアリール,ベンジル,ヘテロアリール−メチル,置換ベンジル,置換ヘテロアリール−メチルアルキル,ジアルキルアミノアルキル,シクロアルキル,1−3個のヘテロ原子を含むシクロアルキル,置換シクロアルキル,1−3個のヘテロ原子を含む置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,1−3個のヘテロ原子を含む多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,1−3個のヘテロ原子を含む縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,ピロール,ピペリジン,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,置換ピロール,置換ピペリジン,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチルおよび置換アダマンチル,ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群より選択され;
およびRの少なくとも1つは芳香族基またはヘテロ芳香族基であり;
およびRは両方がフェニル基であることはない。)
【化8】

(式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,置換多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,アリール,ヘテロアリールおよびCOR’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,置換多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;R’はハロアルキルでなく;
,RおよびR’の置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,カルボニル,OH,OCH,COOH,OCOR’,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
XおよびYは、それぞれ独立に、H,ハロゲン類,アルコキシ,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCOR’’,OCH,COOH,CN,CF,OCF,NO,COOR’’,CHOおよびCOR’’からなる群より選択され;
R’’は、C1−C8アルキルであり、前記C1−C8アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
,R,RまたはRの少なくとも1つはHではない。)
【化9】

(式中、
XおよびYは異なっていても、同一であってもよく、それぞれ独立に、H,ハロゲン,アルキル,アルコキシ,アリール,置換アリール,ヒドロキシ,アミノ,アルキルアミノ,シクロアルキル,モルホリン,チオモルホリン,ニトロ,シアノ,CF,OCF,COR,COOR,CONH,CONHRおよびNHCORからなる群より選択され;
nは、1〜3の整数であり;
mは、1〜4の整数であり;
Rは、H,CH,C,C,C,CHPh,CH−F(p−),COCH,COCHCH,CHCHN(CHおよびCHCHCHN(CHからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,アルケニル,置換アルケニル,アルキニル,置換アルキニル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,シクロアルケニル,置換シクロアルケニル,ポリシクロアルキル,置換ポリシクロアルキル,ポリシクロアルケニル,置換ポリシクロアルケニル,アリールアルキル,置換アリールアルキル,ヘテロアリールアルキル,置換ヘテロアリールアルキル,アリールシクロアルキル,置換アリールシクロアルキル,ヘテロアリールシクロアルキル,置換ヘテロアリールシクロアルキル,ヘテロ環,置換ヘテロ環,ヘテロ原子および置換ヘテロ原子からなる群より選択される。)
【化10】

【化11】

(式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換フェニル,置換ナフチルおよび置換ヘテロアリールは、1−3個の置換基を含み、前記置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
R’’は、C1−C8アルキルであり、前記C1−C8アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択される。)
【化12】

【化13】

【化14】

(式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換フェニル,置換ナフチルおよび置換ヘテロアリールは、1−3個の置換基を含み、前記置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
R’’は、C1−C8アルキルであり、前記C1−C8アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択される。)
【化15】

【化16】

(式中、
A,B,D,E,G,V,X,YおよびZは、それぞれ独立に、炭素および窒素から選択され、ただしA,B,D,E,Gの少なくとも1つは窒素であり;
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換フェニル,置換ナフチルおよび置換ヘテロアリールは、1−3個の置換基を含み、前記置換基は、H,ハロゲン類,ポリハロゲン類,アルコキシ基,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択される。)
【化17】

【化18】

(式中、
Rは、H,C1−C5アルキル,ベンジル,p−フルオロベンジルおよびジ−アルキルアミノアルキルからなる群より選択され、前記C1−C5アルキルは、直鎖,分枝または環状アルキルからなる群より選択され;
,XおよびYは、それぞれ独立に、H,ハロゲン,アルコキシ,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,CN,CF,OCF,NO,COOR’’,CHOおよびCOR’’からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族基,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロ環および置換ヘテロ環からなる群より選択され、前記ヘテロ環および前記置換ヘテロ環は1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
前記置換基は、H,ハロゲン,アルコキシ,置換アルコキシ,アルキル,置換アルキル,ジアルキルアミノアルキル,ヒドロキシアルキル,OH,OCH,COOH,COOR’,COR’,CN,CF,OCF,NO,NR’R’,NHCOR’およびCONR’R’からなる群より選択され;
R’は、H,アルキル,置換アルキル,C3−C9シクロアルキル,置換C3−C9シクロアルキル,多環式脂肪族類,フェニル,置換フェニル,ナフチル,置換ナフチル,ヘテロアリールおよび置換ヘテロアリールからなる群より選択され、前記ヘテロアリールおよび前記置換ヘテロアリールは1−3個のヘテロ原子を含み、前記ヘテロ原子は、それぞれ独立に、窒素,酸素および硫黄からなる群より選択され;
R’’は、C1−C9アルキルからなる群より選択され、前記C1−C9アルキルは、直鎖アルキル,分枝アルキルおよび環状アルキルからなる群より選択される。)
【請求項8】
前記組成物がAVP 893を含む、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
疾患状態に関連する真核細胞の増殖を選択的に阻害するための薬剤を調製するための、下記の群から選択される化合物の使用であって、
その量は、ERとゴルジとの間の増殖依存性タンパク質輸送に伴う少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質の発現を抑制するのに十分なものであり、それによって疾患状態に関連する真核細胞の増殖が阻害される使用。
【化19】

(式中、
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,置換アリール,シクロアリール,置換シクロアリール,多重環シクロアリール,ベンジル,置換ベンジル,アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルなどからなる群より選択される。)
【請求項10】
疾患状態に関連する真核細胞の増殖を選択的に阻害するための薬剤を調製するための、下記の群から選択される化合物の使用であって、
その量は、ERとゴルジとの間の増殖依存性タンパク質輸送に伴う少なくとも1種のER/ゴルジ内在タンパク質の発現を抑制するのに十分なものであり、それによって疾患状態に関連する真核細胞の増殖が阻害される使用。
【化20】

(式中、
Rは、H,CH,C,C,C,CHPhおよびCH−F(p−)からなる群より選択され;
およびRは、それぞれ独立に、H,アリール,置換アリール,シクロアリール,置換シクロアリール,多重環シクロアリール,ベンジル,置換ベンジル,アルキル,シクロアルキル,置換シクロアルキル,多重環シクロアルキル,縮合環脂肪族,シクロプロピル,置換シクロプロピル,シクロブチル,置換シクロブチル,シクロペンチル,置換シクロペンチル,シクロヘキシル,置換シクロヘキシル,シクロヘプチル,置換シクロヘプチル,ビシクロヘプチル,ビシクロオクチル,ビシクロノニル,置換ビシクロアルケニル,アダマンチル,置換アダマンチルなどからなる群より選択される。)
【請求項11】
疾患状態に関連するサイトカイン反応を選択的に阻害するための薬剤を調製するための、請求項7〜10に記載の化合物のいずれかの使用。
【請求項12】
ウイルス複製を選択的に阻害するための薬剤を調製するための、請求項7〜10に記載の化合物のいずれかの使用。
【請求項13】
アレルギー反応に関連するB細胞のIgE分泌を選択的に減らすための薬剤を調製するための、請求項7〜10に記載の化合物のいずれかの使用。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図23】
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【図26】
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【図37】
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【図44】
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【図47】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図24】
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【図25】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図45】
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【図46】
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【公表番号】特表2007−501618(P2007−501618A)
【公表日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522810(P2006−522810)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/026435
【国際公開番号】WO2005/013950
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(500539033)アバニール・ファーマシューティカルズ (15)
【Fターム(参考)】