説明

タンパリング防止剤形

【課題】オピオイド作動薬とオピオイド拮抗薬とを含む剤形から、乱用者により一般的に使用される単純な抽出方法による、オピオイド拮抗薬からのオピオイド作動薬の分離を防止することのできるタンパリング防止放出制御製剤の提供。
【解決手段】少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1種の脂肪アルコールまたは脂肪酸を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動薬および十分量のオピオイド拮抗薬を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出制御剤形。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オピオイド作動薬剤形の不正使用の防止を対象とする。本発明は、具体的に
はオキシコドン剤形の不正使用の防止を対象とする。
【背景技術】
【0002】
医薬品は時として乱用の対象である。例えば、非経口で投与された場合の特定の用量の
オピオイド作動薬は、経口投与された同じ用量と比較してより強力で有り得る。いくつか
の製剤は、タンパリングし、中に含まれるオピオイド作動薬を不正使用のために提供する
ことが可能である。薬物乱用者は時として、発現を速めるように製剤を操ることによって
、薬物による陶酔感を得ようと試みる。放出制御オピオイド作動薬製剤は時折、中に含ま
れるオピオイドが経口投与または非経口投与するとすぐに即時放出されるように、薬物乱
用者により粉砕または溶媒を用いて抽出される。
【0003】
このことを達成する最も初歩的な方法は、活性成分をより有効にするために剤形を細か
い粉末に粉砕することである。経口乱用者は、材料をかみ砕く、および/または飲み込み
、経鼻乱用者は鼻から吸引するために製剤を粉砕する。
【0004】
前述の「直接タンパリング」技術に加えて、より決意の強い乱用者は製剤のマトリック
スから活性成分を完全に分離しようとして、様々な「台所化学」もさらに使用できる。1
つの方法としては、水またはエタノールおよびこれらの混合物などの、一般的に利用可能
な媒体へのワンステップ抽出が挙げられる。
【0005】
有効量のオピオイド拮抗薬を、オピオイド作動薬の剤形で使用し、タンパリング防止性
を誘導できる。オピオイド拮抗薬は、オピオイド作動薬の効果を拮抗する効果を有する。
治療効果があるが、タンパリング防止経口剤形は、正しく使用した場合に効果があり、例
えば剤形を破砕および抽出し、非経口投与のためにオピオイド作動薬抽出物を得るような
不正使用した場合には効果が足りない、即ちオピオイド作動薬の効果が不十分であること
が必要である。オピオイド作動薬と、タンパリング防止性を誘導するオピオイド拮抗薬と
を含む剤形の不正使用を防止するために、剤形の抽出によるオピオイド作動薬とオピオイ
ド拮抗薬との分離を防止しなければならない。
【0006】
ナロキソンは、例えばオキシコドンの効果を拮抗するために有用な、公知のオピオイド
拮抗薬の例である。オキシコドン/ナロキソンを併用して経口投与すると、両方の活性の
放出および吸収が起こる。初回通過代謝が高いため、ナロキソンは低い経口生物利用率し
か有さないのに対して、オキシコドンは活性であり、全身利用できる。剤形は、意図通り
に使用される場合、即ち、例えば放出制御剤形など経口の形態で使用される場合に有効で
ある。
【0007】
経鼻または静脈注射で乱用する場合、初回通過代謝はない。両方の活性は、全身利用で
き、ナロキソンはオキシコドンの薬物作用を拮抗する。したがって、併用により静脈注射
および経鼻の乱用は、阻害される。
【0008】
オピオイド作動薬/オピオイド拮抗薬の併用剤形の不正使用を防止するために、一般的
な乱用者の抽出方法、即ち「台所化学」を使用する、オピオイド拮抗薬からのオピオイド
作動薬の分離は防止しなくてはならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、オピオイド作動薬とオピオイド拮抗薬とを含む剤形から、乱用者により一般
的に使用される単純な抽出方法による、オピオイド拮抗薬からのオピオイド作動薬の分離
の防止を対象とする。
【0010】
これらの活性の違法性により、乱用医薬品に関する規格化された方法はない。そこで使
用された実験技術は、一般的に公知な乱用方法をシミュレートするように設計されている

【0011】
利用できる活性成分を形成する最も初歩的な方法は、剤形を細かい粉末に粉砕すること
である。オピオイド含む経口剤形をタンパリングする好ましい方法は、静脈内への悪用お
よび簡易ワンステップ抽出である。
【0012】
本発明の目的は、オピオイド作動薬と乱用を魅力のないものにするのに十分なオピオイ
ド拮抗薬とを含む剤形から、オピオイド拮抗薬からオピオイド作動薬を分離するのを防止
することである。
【0013】
本発明の目的は、オピオイド作動薬とオピオイド拮抗薬とを含む剤形から、オピオイド
作動薬を選択的に抽出することの防止である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1種の脂肪アルコールま
たは脂肪酸を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動薬および十分量のオピオ
イド拮抗薬を含む均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出制御剤形の形態で、オピオ
イド作動薬およびオピオイド拮抗薬の両方が同時に静脈内投与される場合に、前記治療量
のオピオイド作動薬を実質的に拮抗するための少なくとも前記十分量でオピオイド拮抗薬
量を使用することを対象とする。
【0015】
抽出試験により抽出されたオピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の、抽出元の剤形
中に抽出前に存在する全量に基づく相対量の差は、抽出によりオピオイド拮抗薬からオピ
オイド作動薬を分離する可能性を述べる際に有用である。この差(抽出された相対量のΔ
%ポイント)は、抽出物の静脈内投与により得られる、平均的乱用者が通常期待する陶酔
感を妨げるために、十分に小さくあるべき、または差がないべき、あるいは抽出された拮
抗薬の相対量が抽出された作動薬の相対量より多くあるべきである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
一実施形態によれば、本発明は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1
種の脂肪アルコールまたは脂肪酸を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動薬
および十分量のオピオイド拮抗薬を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出制
御剤形の形態で、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投与す
る場合の、a)ピルクラッシャーもしくは錠剤用乳鉢を使用して、または2つのスプーン
を使用してスプーンで少なくとも4回粉砕して、1剤形の製剤を粉砕するステップと、b
)粉砕した1剤形の製剤を、抽出剤として2mlの沸騰した水道水、加熱手段としてたば
こ用ライターを使用して、水を沸騰させるのに必要な時間およびスプーン上で抽出するス
テップと、c)コットンを使用して溶液を濾過するステップと、を含むワンステップ抽出
手順による、オピオイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス製剤の抽出物(前記抽出
物中に存在するオピオイド拮抗薬は、剤形中のオピオイド拮抗薬の全量に基づく重量パー
セント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物中に存在するオピオイド作
動薬の重量パーセント量より20%ポイントを超えて少ない)の形成を防止するための、
前記治療量のオピオイド作動薬を実質的に拮抗するための少なくとも前記十分量でのオピ
オイド拮抗薬量の使用を対象とする。
【0017】
別の実施形態によれば、本発明は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも
1種の脂肪アルコールまたは脂肪酸を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動
薬および十分量のオピオイド拮抗薬を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出
制御剤形の形態で、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投与
する場合の、ピルクラッシャーもしくは錠剤用乳鉢を使用して、または2つのスプーンを
使用してスプーンで少なくとも4回粉砕して、1剤形の製剤を粉砕するステップと、前記
粉砕した製剤を、抽出剤として2mlの沸騰した脱イオン水、加熱手段としてたばこ用ラ
イターを使用して、水を沸騰させるために必要な時間およびスプーン上で抽出するステッ
プと、コットンを使用して溶液を濾過するステップと、を含むワンステップ抽出手順によ
る、オピオイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス製剤の抽出物(前記抽出物中に存
在するオピオイド拮抗薬は、剤形中のオピオイド拮抗薬の全量に基づく重量パーセント量
で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物中に存在するオピオイド作動薬の重
量パーセント量より15%ポイントを超えて少ない)の形成を防止するための、前記治療
量のオピオイド作動薬を実質的に拮抗するための少なくとも前記十分量でのオピオイド拮
抗薬量の使用を対象とする。
【0018】
別の実施形態によれば、本発明は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも
1種の脂肪アルコールまたは脂肪酸を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動
薬および十分量のオピオイド拮抗薬を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出
制御剤形の形態で、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投与
する場合の、ピルクラッシャーを使用して、10個の剤形の製剤を粉砕するステップと、
前記粉砕した製剤を、ガラスのバイアル中で、脱イオン水、塩酸(2N)、酢酸(2N)
、水酸化ナトリウム溶液(0.1N、0.5N、1Nまたは2N)およびエタノール(4
0%)の群から選択される100mlの抽出溶媒を使用し、少なくとも15分間、少なく
とも室温で振とうさせて抽出するステップと、を含むワンステップ抽出手順による、オピ
オイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス製剤の抽出物(前記抽出物中に存在するオ
ピオイド拮抗薬は、剤形中のオピオイド拮抗薬の全量に基づく重量パーセント量で、剤形
中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物中に存在するオピオイド作動薬の重量パーセ
ント量より10%ポイントを超えて少ない)の形成を防止するための、前記治療量のオピ
オイド作動薬を実質的に拮抗するための少なくとも前記十分量でのオピオイド拮抗薬量の
使用を対象とする。
【0019】
更なる実施形態によれば、本発明は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくと
も1種の脂肪アルコールまたは脂肪酸を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作
動薬および十分量のオピオイド拮抗薬を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放
出制御剤形の形態で、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投
与する場合の、脱イオン水を70℃に加熱するステップと、1剤形の未処理製剤を加え、
15分間撹拌するステップと、抽出物を分離するステップと、を含むワンステップ抽出手
順による、オピオイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス製剤の抽出物(前記抽出物
中に存在するオピオイド拮抗薬は、剤形中のオピオイド拮抗薬の全量に基づく重量パーセ
ント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物中に存在するオピオイド作動
薬の重量パーセント量より15%ポイントを超えて少ない)の形成を防止するための、前
記治療量のオピオイド作動薬を実質的に拮抗するための少なくとも前記十分量でのオピオ
イド拮抗薬量の使用を対象とする。
【0020】
「オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の両方が同時に静脈内投与される場合に、
治療量のオピオイド作動薬を実質的に拮抗するために十分な」という用語は、平均的な乱
用者において前記併用静脈内投与により陶酔感が全く起こらないことを意味する。
【0021】
「放出制御マトリックス製剤」という用語は、放出制御材料とオピオイドとを含む組成
物を指す。
【0022】
本明細書中で使用する「実質的に均一な放出制御マトリックス製剤」という用語は、オ
ピオイド作動薬とオピオイド拮抗薬とを含むマトリックスを形成する製剤化合物が、薬物
の均一混合物を形成するマトリックス製剤を指す。
【0023】
「放出制御剤形」という用語は、「放出制御マトリックス製剤」を含む投与形態を指す
。剤形は、錠剤に圧縮され、場合により更なる補助剤を含む前記製剤の形態、または多重
微粒子形態の前記製剤を含み、場合により更なる補助剤を含むカプセルの形態であっても
よい。
【0024】
本明細書中に開示する発明は、任意の医薬として許容されるオピオイドの塩の使用を包
含することを意味する。「オピオイドの塩」という用語は、医薬として許容されるオピオ
イドの塩を指す。本発明の任意の実施形態がオピオイドを指すとき、オピオイドの塩もま
た指すことを意味する。
【0025】
医薬として許容される塩は、限定するものではないが、ナトリウム塩、カリウム塩、セ
シウム塩などの金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;トリ
エチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩,エタノールアミン塩、トリエタノールアミン
塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N'−ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機ア
ミン塩;
塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオ
ロ酢酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩などの有機酸塩;メタンスルホン酸、ベンゼンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸塩;アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、
グルタミン酸塩などのアミノ酸塩を含む。
【0026】
本発明により使用されたオピオイドは、1つまたは複数の不斉中心を含んでもよく、エ
ナンチオマー、ジアステレオマーまたは他の立体異性体を生じてもよい。本発明はまた、
このような考えられる形態すべて、ならびにこれらのラセミ体および分解された形態なら
びにこれらの混合物の使用の包含を意味する。本明細書中に記載された化合物が、オレフ
ィン二重結合または他の幾何学的不斉中心を含む場合、EおよびZの幾何異性体両方を含
むことを意図する。すべての互変異性体も同様に本発明に包含することを意図する。
【0027】
一実施形態によれば、本発明は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1
種の脂肪アルコールまたは脂肪酸を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動薬
および十分量のオピオイド拮抗薬を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出制
御剤形の形態で、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投与す
る場合の、前記治療量のオピオイド作動薬を実質的に拮抗するのに少なくとも十分な量の
オピオイド拮抗薬のある量の使用であって、
a)ピルクラッシャーもしくは錠剤用乳鉢を使用して、または2つのスプーンを使用して
スプーンで少なくとも4回粉砕して、1剤形の製剤を粉砕するステップと、
b)1剤形の粉砕した製剤を、抽出剤として2mlの沸騰した水道水、および加熱手段と
してたばこ用ライターを使用して、水を沸騰させるのに必要な時間スプーン上で抽出する
ステップと、
c)コットンを使用して溶液を濾過するステップと
を含むワンステップ抽出手順による、オピオイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス
製剤の抽出物であって、オピオイド拮抗薬は、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド拮抗
薬の全量に基づく重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物
中に存在するオピオイド作動薬の重量パーセント量より20%ポイント超、好ましくは1
5%ポイント超、より好ましくは12%ポイント超少なく存在する
前記抽出物の形成を防止するための使用を対象とする。
【0028】
更なる態様において、本発明は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1
種の脂肪アルコールまたは脂肪酸を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動薬
および十分量のオピオイド拮抗薬を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出制
御剤形の形態で、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投与す
る場合の、前記治療量のオピオイド作動薬を実質的に拮抗するのに少なくとも十分な量の
オピオイド拮抗薬のある量の使用であって、
a)ピルクラッシャーもしくは錠剤用乳鉢を使用して、または2つのスプーンを使用して
スプーンで少なくとも4回粉砕して、1剤形の製剤を粉砕するステップと、
b)前記製剤をスプーン上で、抽出剤として2mlの沸騰した脱イオン水、水を沸騰させ
るのに必要な時間の加熱手段としてたばこ用ライターを使用して抽出するステップと、
c)コットンを使用して溶液を濾過するステップと
を含むワンステップ抽出手順による、オピオイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス
製剤の抽出物であって、オピオイド拮抗薬は、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド拮抗
薬の全量に基づく重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物
中に存在するオピオイド作動薬の重量パーセント量より15%ポイント超、好ましくは1
0ポイント超、より好ましくは7%ポイント超少なく存在する
前記抽出物の形成を防止するための使用を対象とする。
【0029】
更なる態様において、本発明は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1
種の脂肪アルコールまたは脂肪酸を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動薬
および十分量のオピオイド拮抗薬を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出制
御剤形の形態で、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投与す
る場合の、前記治療量のオピオイド作動薬を実質的に拮抗するのに少なくとも十分な量の
オピオイド拮抗薬のある量の使用であって、
a)ピルクラッシャーを使用して、10個の剤形の製剤を粉砕するステップと、
b)前記粉砕した製剤を、ガラスのバイアル中で、脱イオン水、塩酸(2N)、酢酸(2
N)、水酸化ナトリウム溶液(0.1N、0.5N、1Nまたは2N)およびエタノール
(40%)の群から選択される100mlの抽出溶媒を使用し、少なくとも15分間、少
なくとも室温で振とうさせて抽出するステップと
を含むワンステップ抽出手順による、オピオイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス
製剤の抽出物であって、オピオイド拮抗薬は、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド拮抗
薬の全量に基づく重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物
中に存在するオピオイド作動薬の重量パーセント量より10%ポイント超、好ましくは5
%ポイント超、より好ましくは3%ポイント超少なく存在する
前記抽出物の形成を防止するための使用を対象とする。前記抽出物の形成が、たとえ12
0分間振とうされても防止されることが好ましい。前記抽出物の形成が、脱イオン水が抽
出溶媒として使用され、抽出の際に脱イオン水を50℃まで、好ましくは75℃まで、最
も好ましくは100℃まで、5分間加熱する場合でも、なお防止されることが好ましい。
【0030】
異なる態様において、本発明は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1
種の脂肪アルコールまたは脂肪酸を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動薬
および十分量のオピオイド拮抗薬を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出制
御剤形の形態で、オピオイド作動薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投与す
る場合の、前記治療量のオピオイド作動薬を実質的に拮抗するのに少なくとも十分な量の
オピオイド拮抗薬のある量の使用であって、
a)脱イオン水を70℃に加熱するステップと、
b)1剤形の未処理製剤を加え、15分間撹拌するステップと、
c)抽出物を分離するステップと
を含むワンステップ抽出手順による、オピオイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス
製剤の抽出物であって、オピオイド拮抗薬は、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド拮抗
薬の全量に基づく重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物
中に存在するオピオイド作動薬の重量パーセント量より15%ポイント超、好ましくは1
0%ポイント超少なく存在する
前記抽出物の形成を防止するための使用を対象とする。
【0031】
本発明によれば、オピオイド作動薬は、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファ
プロジン、アニレリジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトル
ファノール、クロニタゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、
ジアンプロミド、ジアモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサド
ール、ジメフェプタノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピ
パノン、エプタゾシン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、
エトニタゼン、エトルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニルおよび誘導体、ヘロ
イン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミ
ドン、レボルファノール、レボルフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、
メプタジノール、メタゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン
、ニコモルヒネ、ノルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、
ノルモルヒネ、ノルピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム
、ペンタゾシン、フェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、
ピミノジン、ピリトラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキ
シフェン、スフェンタニル、チリジン、トラマドール、前述の任意の医薬として許容され
る塩および前述の任意の混合物などから選択され、好ましくはコデイン、モルヒネ、オキ
シコドン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォンまたはオキシモルフォンの、任意の医薬とし
て許容される塩から選択される。
【0032】
本発明によればオピオイド拮抗薬はナロキソン、ナルトレキソンおよびナロルフィンの
群より選択される。
【0033】
本発明の好ましい実施形態によれば、オピオイド作動薬は塩酸オキシコドンであり、オ
ピオイド拮抗薬は塩酸ナロキソンであり2:1の量比で使用される。
【0034】
本発明によれば、剤形は、少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1種の脂
肪アルコールまたは脂肪酸を含む疎水性材料、ならびに前記治療量のオピオイド作動薬お
よび前記十分量のオピオイド拮抗薬を含む均一な放出制御マトリックス製剤を含む。
【0035】
好ましくは、疎水性材料はアルキルセルロース、特にエチルセルロースである。好まし
くは疎水性材料、好ましくはアルキルセルロース、より好ましくはエチルセルロースの量
は、放出制御マトリックス製剤の20(重量)%未満であり、好ましくは15(重量)%
未満であり、最も好ましくは10(重量)%未満であるが、5(重量)%は超える。アル
キルセルロースは、粒子またはアルキルセルロース水分散液の形態で使用できる。
【0036】
エチルセルロース粒子の場合、80%トルエンおよび20%アルコールの溶媒を用いて
、5%溶液で25℃においてUbbelohde粘度計で測定した場合、エチルセルロー
スが3から110cPの範囲の粘度を有することが好ましい。好ましくは粘度は18から
110cPの範囲、最も好ましくは41から49cPの範囲である。適切なエチルセルロ
ースは、Ethocel(登録商標)Standard45の商品名でDow Chem
ical Companyにより提供される。
【0037】
エチルセルロース水分散液の場合、エチルセルロース20cPと、ジブチル/セバシン
酸塩、アンモニウムの水酸化物、オレイン酸およびコロイド無水シリカとの分散液が好ま
しく、Surlease(登録商標)E−7−7050の商品名で利用できる。
【0038】
本発明によれば疎水性ポリマーは、C12からC36の脂肪族アルコールおよび対応する脂
肪酸、好ましくはステアリルアルコール、セチルアルコールおよびセトステアリルアルコ
ールならびに対応するステアリン酸およびパルミチン酸ならびにこれらの混合物から選択
される、少なくとも1種の第2の放出制御マトリックス材料と組み合わせて使用され、C
12からC36の脂肪族アルコールまたは脂肪酸の量は、放出制御マトリックス製剤の好まし
くは少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10(重量)%、より好ましくは少なく
とも15(重量)%、最も好ましくは20から25(重量)%である。
【0039】
剤形は、疎水性ポリマーの他に好ましくはアルキル(エチル)セルロース、および脂肪
族アルコールまたは脂肪酸、充填剤ならびに造粒補助剤、滑剤、染料、流動化剤および可
塑剤などの追加の薬物/補助剤を含み得る。
【0040】
ラクトース、グルコースまたはサッカロース、デンプンおよびこれらの加水分解物、微
結晶セルロース、セラトース(cellatose)、ソルビトールまたはマンニトール
などの糖アルコール、リン酸水素カルシウム、リン酸水素二カルシウムまたはリン酸三カ
ルシウムなどのポリ可溶性カルシウム塩が、充填剤として使用できる。
【0041】
ポビドンを造粒補助剤として使用できる。
【0042】
高分散シリカ(Aerosil(商標))、タルク、コーンスターチ、酸化マグネシウ
ムおよびステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸カルシウムが、流動化剤または滑
剤として好ましく使用できる。
【0043】
ステアリン酸マグネシウムおよび/またはステアリン酸カルシウムは、滑剤として好ま
しく使用できる。水和したヒマシ油などの脂質もまた好ましく使用できる。
【0044】
このような特定の実施形態によれば、製剤は、滑剤としてエチルセルロース、ステアリ
ルアルコール、ステアリン酸マグネシウム、充填剤としてラクトース、造粒補助剤として
プロビドンを含むことが特に好ましい。
【0045】
本発明に一致する、均一な放出制御マトリックス製剤またはこれらの予備段階の製造は
、押出し技術によることが特に有利である。
【0046】
好ましい一実施形態において、医薬製剤またはこれらの予備段階は、2つの軸を含む、
同方向回転押出し機または異方向回転押出し機を用いた溶融押出しによって製造される。
別のこのような好ましい実施形態は、1つまたは複数の軸を含む押出し機を用いた押出し
による製造である。これらの押出し機は、さらに混練エレメントを含んでもよい。
【0047】
押出しもまた製薬技術において確立された製造方法であり、当業者には周知である。当
業者は、押出し方法の際の様々なパラメーター、例えば供給速度、軸の速度、異なる押出
し区域(可能な場合は)の加熱温度、水分含有量などが所望の特性の製品を製造するため
に変更可能であることをよく承知している。
【0048】
前述のパラメーターは、使用する押出し機の特定の型次第である。押出しの際に、発明
の製剤の成分を融解する加熱区域の温度は、特に異方向回転二軸押出し機(例えばLei
stritz Micro 18 GGL)を使用する場合は、40から120℃、好ま
しくは50から100℃、より好ましくは50から90℃、さらにより好ましくは50か
ら70℃であり、最も好ましくは50から65℃であってよい。当業者は、すべての加熱
区域が加熱されなくてもよいことをよく承知している。特に、成分を混合する供給機の後
ろは、25℃前後に冷えていることが必要であると思われる。軸の速度は、特に異方向回
転二軸押出し機(例えばLeistritz Micro 18 GGL)を使用する場
合は、100から500回転/分(rpm)、好ましくは100から250rpm、より
好ましくは100から200rpm、最も好ましくは150rpm前後で変更可能である
。ノズルの形状および直径は、必要に応じて選択できる。一般的に使用される押出し機の
ノズルの直径は、通常1から10mm、好ましくは2から8mm、最も好ましくは3から
5mmである。発明の製剤の製造に使用することができる押出し機の軸の長さ対直径の比
率は、通常40:1程度である。
【0049】
一般的に、加熱区域の温度は、展開されるどのような温度も医薬的活性化合物を破壊で
きないように選択されるべきである。供給速度および軸の速度は、医薬的活性化合物が、
押出しにより製造された製剤から、持続的に、独立して、不変の方法で放出されるように
選択される。例えば、供給速度が増加する場合、遅れを確実に同じにするために、軸の速
度はそれに応じて増加するべきであると思われる。
【0050】
当業者は、前述のパラメーターすべてが特定の製造条件(押出し機の型、軸の形状、成
分の数など)に依存しており、押出しにより製造される製剤が要求された放出を備えるよ
うに適用されるべきであろうことを承知している。
【0051】
12からC36の脂肪族アルコールまたは脂肪酸が溶融し、均一性を高めるために、溶融
押出し法の間に、エチルセルロースを前記C12からC36の脂肪族アルコールまたは脂肪酸
に溶解できることが好ましい。
【0052】
本発明の好ましい実施形態によれば、エチルセルロースはマトリックス製剤の10(重
量)%未満であるが5(重量)%を超える量で使用され、C12からC36の脂肪族アルコー
ルは20%から25(重量)%の量で使用されるステアリルアルコールであり、オピオイ
ド作動薬は塩酸オキシコドンでありオピオイド拮抗薬は塩酸ナロキソンであり、これらは
2:1の量比で剤形中に存在し、放出制御マトリックス製剤は溶融押出し法により調製さ
れる。
【0053】
本発明によれば、得られた放出制御マトリックス製剤は多重微粒子の形態で使用でき、
または製剤は錠剤に成形できる。多重微粒子または錠剤は、フィルムコーティングできる
。フィルムコーティングにより、更なる放出制御が提供できる。好ましい実施形態におい
ては、フィルムコーティングは更なる放出制御を提供しない。
【0054】
本発明は、塩酸オキシコドン/塩酸ナロキソンを2:1の量比、即ち10mg/5mg
および40mg/20mgを用いてさらに説明する。しかし、以下の説明は単なる例示で
あると理解するべきであり、発明を全く制限しないと解釈するべきである。
【0055】
10mg/5mgおよび20mg/40mgの塩酸オキシコドンおよび塩酸ナロキソン
を含む、オキシコドン/ナロキソン剤形の調製
【実施例1】
【0056】
10mgの塩酸オキシコドンおよび5mgの塩酸ナロキソンを含む、オキシコドン/ナロ
キソン剤形
【0057】
【表1】

【実施例2】
【0058】
40mgの塩酸オキシコドンおよび20mgの塩酸ナロキソンを含む、オキシコドン/
ナロキソン剤形
【0059】
【表2】

【0060】
【表3】

【0061】
上記の剤形を溶融押出しにより調製した。
【0062】
塩酸オキシコドンおよび塩酸ナロキソンを、ポビドン、エチルセルロース、ステアリル
アルコールおよびラクトースとブレンドし、ブレンドをふるいにかけて塊を除去し、さら
にブレンドした。ブレンドを、加熱した二軸押出し機を利用して溶融押出しし、引き延ば
して糸状にし、顆粒を製造した。顆粒を、タルクおよびステアリン酸マグネシウムとブレ
ンドし、カプセルの形状の錠剤に圧縮し、その後フィルムコーティングした。
【0063】
タンパリング試験(TAMPER TESTS)
使用材料

2ml注射器 注射針
DBプラスチパック(Plastipak)(登録商標) (0.90×40mm)
バッチ番号0502018 100Sterican(商標)
バッチ番号98K2982510
B/Braun Melsungen/ドイツ

コットン
Lohmann Rauscher
バッチ番号1055314
Rengsdorf、ドイツ

ACU医療用ピルクラッシャー EZ-SWALLOW(登録商標)ピルクラッシャー
Health Enterprises, Inc. American Medical Industries
North Attleboro、 Dell Papids, USA
米国マサチューセッツ州02760

錠剤用乳鉢
Medi−Globe(商標)、Vertriebs GmbH
Eppstein、ドイツ
【0064】
抽出試験
1)(静脈注射)静脈注射投与技術を評価する方法は、実施例1または2の錠剤を粉砕
するステップ、その後少量の水に抽出するステップを含む。得られた溶液をその後インス
リン用注射器に引き入れた。錠剤の粉砕は、異なるピルクラッシャーおよびステンレス製
のテーブルスプーンを使用して行った。
【0065】
加熱押出し手順を使用して、オピオイドを粉砕した材料から抽出する。この手順には、
2mlの水(水道水または脱イオン水(D水))、スプーン上で溶液を加熱するためのた
ばこ用ライター、溶液を濾過するためのコットンおよび分析のためにろ液をフラスコへ移
すためのインスリン用注射器が必要である。各実験を、3回反復した。
【0066】
材料から抽出したオキシコドンおよびナロキソンの量を、波長230nmにおける紫外
線検出を伴うHPLC法検査を使用して評価した。回収率は、試験開始時に測定した、錠
剤中のオキシコドンおよびナロキソンの全量に基づいて計算した。
【0067】
2)(簡易抽出)簡易抽出による製品のタンパリングをシミュレートするために、剤形
をピルクラッシャーで粉砕し(1実験当たり実施例1または2の錠剤10錠)、100m
lの抽出溶媒(D水、酸性、塩基性および40%エタノールの媒体)と組み合わせ、特定
の温度に加熱し、15分間および120分間振とうし、抽出性を分析した。各実験を3回
反復した。
【0068】
材料から抽出したオキシコドンおよびナロキソンの量を、波長230nmにおける紫外
線検出を伴うHPLC法検査を使用して評価した。回収率は、試験開始時に測定した、オ
キシコドンおよびナロキソンの全量に基づいて計算した。
【0069】
3)(追加試験)未処理剤形を、温かいノンアルコールの飲み物で飲み込む効果をシミ
ュレートするために、脱イオン水(D水)を70℃に温めて実施例1または2の未処理錠
剤を加え、15分間撹拌した。室温に冷ました後で、濁った溶液をフラスコに移し、pH
を測定した。各実験を3回反復した。
【0070】
材料(濁った溶液)から抽出したオキシコドンおよびナロキソンの量を、波長230n
mにおける紫外線検出を伴うHPLC法検査を使用して評価した。回収率は、試験開始時
に測定した、オキシコドンおよびナロキソンの全量に基づいて計算した。
【0071】
試験手順の詳細を以下の表2に要約する。
【0072】
【表4】

【0073】
試験結果は以下の通りである。
【0074】
【表5】

【0075】
結果をさらに図1および2に示した。
【0076】
【表6】

【0077】
結果をさらに図3および4に示した。
【0078】
【表7】

【0079】
結果をさらに図5から7に示した。
【0080】
【表8】

【0081】
結果をさらに図8から10に示した。
【0082】
【表9】

【0083】
結果をさらに図11に示した。
【0084】
すべての実験結果が、通常の路上での乱用、即ちオキシコドン/ナロキソン錠剤から、
オキシコドンをナロキソンから分離することが不可能であることを裏付けた。抽出元の錠
剤に存在する量に基づく、試験により抽出されたオキシコドンおよびナロキソンの相対量
の差(Δ%ポイント)は、抽出されたオキシコドンの相対量が大きい場合ほど小さい。
【0085】
簡易抽出および/または異なる粉砕方法によっても、成分のオキシコドンとナロキソン
とをお互いから分離することは不可能である。
【0086】
両方の薬物の回収率は、塩基性媒体での簡易抽出を除く、すべての実験において同程度
である。これらの実験において、オキシコドンの抽出濃度がナロキソンより有意に低いこ
とが観察できる。濾過後に残った塊は、いずれの従来の乱用行動にも使用できない。濾過
後に残った塊はまだ錠剤マトリックスとオキシコドンを含んでおり、強い苛性の液が染み
込んでいる。精製手順には高度な抽出を実施する能力に応じるので、おそらく路上では実
践できないであろう。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】実施例1および2の抽出試験の結果を示した図である。
【図2】実施例1および2の抽出試験の結果を示した図である。
【図3】実施例1および2の抽出試験の結果を示した図である。
【図4】実施例1および2の抽出試験の結果を示した図である。
【図5】実施例1および2の抽出試験の結果を示した図である。
【図6】実施例1および2の抽出試験の結果を示した図である。
【図7】実施例1および2の抽出試験の結果を示した図である。
【図8】実施例1および2の抽出試験の結果を示した図である。
【図9】実施例1および2の抽出試験の結果を示した図である。
【図10】実施例1および2の抽出試験の結果を示した図である。
【図11】実施例1および2の抽出試験の結果を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1種の脂肪アルコールまたは脂肪酸
を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動薬および十分量のオピオイド拮抗薬
を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出制御剤形の形態で、オピオイド作動
薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投与する場合の、前記治療量のオピオイ
ド作動薬を実質的に拮抗するのに少なくとも十分な量のオピオイド拮抗薬のある量の使用
であって、
a)ピルクラッシャーもしくは錠剤用乳鉢を使用して、または2つのスプーンを使用して
スプーンで少なくとも4回粉砕して、1剤形の製剤を粉砕するステップと、
b)1剤形の粉砕した製剤を、抽出剤として2mlの沸騰した水道水、および加熱手段と
してたばこ用ライターを使用して、水を沸騰させるのに必要な時間スプーン上で抽出する
ステップと、
c)コットンを使用して溶液を濾過するステップと
を含むワンステップ抽出手順による、オピオイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス
製剤の抽出物であって、前記オピオイド拮抗薬は、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド
拮抗薬の全量に基づく重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽
出物中に存在するオピオイド作動薬の重量パーセント量より20%ポイント超少なく存在
する
前記抽出物の形成を防止するための使用。
【請求項2】
前記オピオイド拮抗薬が、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド拮抗薬の全量に基づく
重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物中に存在するオピ
オイド作動薬の重量パーセント量より15%ポイント超、好ましくは12%ポイント超少
なく存在する抽出物の形成を防止するための、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1種の脂肪アルコールまたは脂肪酸
を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動薬および十分量のオピオイド拮抗薬
を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出制御剤形の形態で、オピオイド作動
薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投与する場合の、前記治療量のオピオイ
ド作動薬を実質的に拮抗するのに少なくとも十分な量のオピオイド拮抗薬のある量の使用
であって、
a)ピルクラッシャーもしくは錠剤用乳鉢を使用して、または2つのスプーンを使用して
スプーンで少なくとも4回粉砕して、1剤形の製剤を粉砕するステップと、
b)前記製剤をスプーン上で、抽出剤として2mlの沸騰した脱イオン水、水を沸騰させ
るのに必要な時間の加熱手段としてたばこ用ライターを使用して抽出するステップと、
c)コットンを使用して溶液を濾過するステップと
を含むワンステップ抽出手順による、オピオイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス
製剤の抽出物であって、前記オピオイド拮抗薬は、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド
拮抗薬の全量に基づく重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽
出物中に存在するオピオイド作動薬の重量パーセント量より15%ポイント超少なく存在
する
前記抽出物の形成を防止するための使用。
【請求項4】
前記オピオイド拮抗薬が、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド拮抗薬の全量に基づく
重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物中に存在するオピ
オイド作動薬の重量パーセント量より10%ポイント超、好ましくは7%ポイント超少な
く存在する抽出物の形成を防止するための、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1種の脂肪アルコールまたは脂肪酸
を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動薬および十分量のオピオイド拮抗薬
を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出制御剤形の形態で、オピオイド作動
薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投与する場合の、前記治療量のオピオイ
ド作動薬を実質的に拮抗するのに少なくとも十分な量のオピオイド拮抗薬のある量の使用
であって、
a)ピルクラッシャーを使用して、10個の剤形の製剤を粉砕するステップと、
b)前記粉砕した製剤を、ガラスのバイアル中で、脱イオン水、塩酸(2N)、酢酸(2
N)、水酸化ナトリウム溶液(0.1N、0.5N、1Nまたは2N)およびエタノール
(40%)の群から選択される100mlの抽出溶媒を使用し、少なくとも15分間、少
なくとも室温で振とうさせて抽出するステップと
を含むワンステップ抽出手順による、オピオイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス
製剤の抽出物であって、前記オピオイド拮抗薬は、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド
拮抗薬の全量に基づく重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽
出物中に存在するオピオイド作動薬の重量パーセント量より10%ポイント超少なく存在
する
前記抽出物の形成を防止するための使用。
【請求項6】
前記オピオイド拮抗薬が、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド拮抗薬の全量に基づく
重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物中に存在するオピ
オイド作動薬の重量パーセント量より5%ポイント超、または3%ポイント超少なく存在
する抽出物の形成を防止するための、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
振とうが120分間行われる、抽出物の形成を防止するための、請求項5または6に記
載の使用。
【請求項8】
脱イオン水を抽出溶媒として使用し、抽出中に脱イオン水を50℃、好ましくは75℃
、最も好ましくは100℃に5分間加熱する抽出物の形成を防止するための、請求項5か
ら7のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
少なくとも1種の疎水性ポリマーおよび少なくとも1種の脂肪アルコールまたは脂肪酸
を含む疎水性材料、ならびに治療量のオピオイド作動薬および十分量のオピオイド拮抗薬
を含む、均一な放出制御マトリックス製剤を含む放出制御剤形の形態で、オピオイド作動
薬およびオピオイド拮抗薬の両方を同時に静脈内投与する場合の、前記治療量のオピオイ
ド作動薬を実質的に拮抗するのに少なくとも十分な量のオピオイド拮抗薬のある量の使用
であって、
a)脱イオン水を70℃に加熱するステップと、
b)1剤形の未処理製剤を加え、15分間撹拌するステップと、
c)抽出物を分離するステップと
を含むワンステップ抽出手順による、オピオイド作動薬を含む前記放出制御マトリックス
製剤の抽出物であって、前記オピオイド拮抗薬は、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド
拮抗薬の全量に基づく重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽
出物中に存在するオピオイド作動薬の重量パーセント量より15%ポイント超少なく存在
する
前記抽出物の形成を防止するための使用。
【請求項10】
前記オピオイド拮抗薬が、前記抽出物中に、剤形中のオピオイド拮抗薬の全量に基づく
重量パーセント量で、剤形中のオピオイド作動薬全量に基づく、抽出物中に存在するオピ
オイド作動薬の重量パーセント量より10%ポイント超少なく存在する抽出物の形成を防
止するための、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記製剤が、均一なマトリックスを成形するために溶融押出しステップにより調製され
る、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
前記オピオイドが、アルフェンタニル、アリルプロジン、アルファプロジン、アニレリ
ジン、ベンジルモルヒネ、ベジトラミド、ブプレノルフィン、ブトルファノール、クロニ
タゼン、コデイン、デソモルヒネ、デキストロモラミド、デゾシン、ジアンプロミド、ジ
アモルフォン、ジヒドロコデイン、ジヒドロモルヒネ、ジメノキサドール、ジメフェプタ
ノール、ジメチルチアムブテン、ジオキサフェチルブチラート、ジピパノン、エプタゾシ
ン、エトヘプタジン、エチルメチルチアムブテン、エチルモルヒネ、エトニタゼン、エト
ルフィン、ジヒドロエトルフィン、フェンタニルおよび誘導体、ヘロイン、ヒドロコドン
、ヒドロモルフォン、ヒドロキシペチジン、イソメタドン、ケトベミドン、レボルファノ
ール、レボルフェナシルモルファン、ロフェンタニル、メペリジン、メプタジノール、メ
タゾシン、メタドン、メトポン、モルヒネ、ミロフィン、ナルセイン、ニコモルヒネ、ノ
ルレボルファノール、ノルメタドン、ナロルフィン、ナルブフェン、ノルモルヒネ、ノル
ピパノン、アヘン、オキシコドン、オキシモルフォン、パパベレタム、ペンタゾシン、フ
ェナドキソン、フェノモルファン、フェナゾシン、フェノペリジン、ピミノジン、ピリト
ラミド、プロフェプタジン、プロメドール、プロペリジン、プロポキシフェン、スフェン
タニル、チリジン、トラマドール、前述のいずれかの医薬として許容される塩および前述
のいずれかの混合物などから選択され、好ましくはコデイン、モルヒネ、オキシコドン、
ヒドロコドン、ヒドロモルフォンまたはオキシモルフォンのいずれかの医薬として許容さ
れる塩から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項13】
前記オピオイド拮抗薬が、ナロキソン、ナルトレキソンおよびナロルフィンの群から選
択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
前記オピオイド作動薬が塩酸オキシコドンであり、前記オピオイド拮抗薬が塩酸ナロキ
ソンである、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
前記オピオイド作動薬が塩酸オキシコドンであり、前記オピオイド拮抗薬が塩酸ナロキ
ソンであり、これらが剤形中に2:1の量比で存在する、請求項1から14のいずれか一項
に記載の使用。
【請求項16】
前記疎水性ポリマーがアルキルセルロース、好ましくはエチルセルロースである、請求
項1から15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
前記アルキルセルロース、好ましくは前記エチルセルロースの量が、前記マトリックス
製剤の20(重量)%未満であり、好ましくは15(重量)%未満であり、最も好ましく
は10(重量)%未満であるが、5(重量)%は超える、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
前記脂肪アルコールまたは脂肪酸が、C12からC36の脂肪族アルコールまたは脂肪酸、
好ましくはステアリルアルコール、セチルアルコール、セトステアリルアルコール、ステ
アリン酸、パルミチン酸およびこれらの混合物から選択される、請求項1から17のいずれ
か一項に記載の使用。
【請求項19】
前記C12からC36の脂肪族アルコールまたは脂肪酸の量が、前記マトリックス製剤の少
なくとも5%、より好ましくは少なくとも10(重量)%、より好ましくは少なくとも1
5(重量)%、最も好ましくは20から25(重量)%である、請求項18に記載の使用

【請求項20】
前記エチルセルロースの量が、前記マトリックス製剤の10(重量)%未満であり、さ
らに20から25(重量)%の量のステアリルアルコールを含み、かつ、塩酸オキシコド
ンと塩酸ナロキソンとを2:1の量比で含む、請求項16に記載の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−255019(P2012−255019A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−184721(P2012−184721)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【分割の表示】特願2008−551790(P2008−551790)の分割
【原出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(599108792)ユーロ−セルティーク エス.エイ. (134)
【Fターム(参考)】