説明

タンパーエビデント容器

【課題】 合成樹脂を用いた一体成形による量産に適したピルファープルーフキャップを採用しつつも、タンパーエビデンス機能を確実かつ十分に実現し得るタンパーエビデント容器を提供する。
【解決手段】 容器本体2の口部21に対し、キャップ本体31にピルファープルーフバンド32がブリッジ部33を介して一体結合されたピルファープルーフキャップを装着する。ねじ込みきると係合爪34がフランジ部23を下に乗り越えてフランジ部下面に係合する。キャップ本体をねじ戻すと、ブリッジ部が破断してピルファープルーフバンドから分離して開封可能となる。キャップ本体のねじ戻しにより上向きの引っ張り力が係合爪に作用しても凸段部24の存在により径方向内方への変位が阻止されて確実に破断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正開封等が行われた場合に開封した証拠を残すことにより改ざん防止を図る、あるいは、改ざんされてはいない(開封されてはいない)ということを証明する、タンパーエビデンス(Tamper evidence:Tamper proof又はTamper resistanceも同義)機能 を、ピルファープルーフキャップ(Pilfer proof cap)を用いることにより実現したタンパーエビデント(Tamper evident)容器に関し、より詳しくは、タンパーエビデンス機能のより確実な実現を図り得る技術に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、タンパーエビデント容器として、シュリンク包装又はキャップシール等の手段を用いたものの他に、ねじ込み式の合成樹脂製ピルファープルーフキャップを用いたものが知られている。かかるピルファープルーフキャップとしては、キャップ本体の下側に対し引きちぎり可能なブリッジ部を介してピルファープルーフバンドが連設され、ピルファープルーフバンドの内周面から径方向内側に複数の係合爪を斜め上向きに突出させたものが提案されている(例えば特許文献1参照)。そして、容器本体の口部外周面のネジ部の下側位置からフランジ部を外周側(径方向外方)に突出させておき、収容物を収容させた後の容器本体の口部に対しピルファープルーフキャップをねじ込んでいくと係合爪の先端側が上記フランジ部に当たって径方向外側に撓んで弾性変形し、ねじ込みきると係合爪がフランジ部を上から下に乗り越えて弾性復元し係合爪の先端がフランジ部の下面に係合することになって、キャッピング封止作業が終了することになる。要するに、上記係合爪のフランジ部に対する係合によってピルファープルーフバンドは容器本体に対し抜け止めされた状態になり、このピルファープルーフバンドとブリッジ部により一体になっているキャップ本体も容器本体に対し抜け止めされた状態、すなわち、通常操作では開栓不能な状態にキャッピングされることになる。
【0003】
【特許文献1】特許第3469545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記の如き従来のタンパーエビデント容器では、開封しようとしてピルファープルーフキャップを強制的にねじ戻していくと、そのねじ戻し操作に伴い、本来であれば、上記係合爪の先端が容器本体のフランジ部下面に係止してピルファープルーフバンドは開方向への移動が阻止される一方、容器本体は開方向に移動しようとするため、容器本体とピルファープルーフキャップのキャップ本体との間の開側回転方向へのせん断力を受けてブリッジ部が破断することになる。この結果、ピルファープルーフキャップはピルファープルーフバンドとキャップ本体とが互いに分離されるため、ピルファープルーフバンドは容器本体に残るものの、キャップ本体は容器本体からねじ戻されて、容器は開封可能となる。
【0005】
しかしながら、現実には、上記のねじ戻し操作に伴い、係合爪の先端がフランジ部の下面に沿って径方向内奥に滑動し係合爪の基端側が上方に持ち上がるように撓んでしまう結果、係合爪自体がピルファープルーフバンドから下向きに反転してしまってフランジ部との係合が外れてしまうという不都合が発生するおそれがある。又、かかる現象に加え、キャップ本体のねじ戻し操作に伴い一部の係合爪が上記の如く径方向内奥に滑動してしまうと、全てのブリッジ部が同時に破断されるのではなくて一部のブリッジのみが破断するだけでピルファープルーフバンドには捻れ回転力が作用してしまいピルファープルーフバンドが斜めに持ち上げられてしまうことになり、この結果、周方向の一部の係合爪から順にフランジ部との係合が外れてしまうという不都合発生のおそれがある。そして、このような係合外れが生じると、ピルファープルーフバンドがキャップ本体から分離されずに、キャップ本体と共に外されて容器本体から抜けてしまい、タンパーエビデンス機能を達成し得ないことになる。
【0006】
その一方、ピルファープルーフキャップをピルファープルーフバンドと共に一体に合成樹脂成形により製造しようとすると、内面形状を成形するための内型を成形後に型抜きする必要があることから、ピルファープルーフキャップのキャップ本体の内周面よりもピルファープルーフバンドの内周面、つまり係合爪の先端の位置を径方向外方に設定する必要がある。この結果、係合爪の先端に係止可能な位置までフランジ部の突出代を大きく設定せざるを得ず、このため、上記の如く係合爪がフランジ部の下面に沿って径方向内奥に滑動することを許容してしまう隙間が存在することになる。
【0007】
さらに、キャップ本体のねじ戻し操作によりブリッジ部が破断してピルファープルーフバンドがピルファープルーフバンドから分離してしまったとしても、再度、キャップ本体をねじ込んでその下縁を破断後のピルファープルーフバンドの上縁に接触させてしまうと、ピルファープルーフバンドが分離してしまっているのか、あるいは、ブリッジ部により結合が維持されているのかの違いが一目見ただけでは判然とせずに、開封されてはいないと誤認してしまう場合が生じるおそれもある。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、合成樹脂を用いた一体成形による量産に適したピルファープルーフキャップを採用しつつも、タンパーエビデンス機能を確実かつ十分に実現し得るタンパーエビデント容器を提供することにある。すなわち、開封しようとするとブリッジ部の全てが確実に破断してピルファープルーフバンドを確実に分離させ、しかも、開封されてしまうとピルファープルーフバンドが既に分離されていることを目視により一目で容易かつ確実に視認し得るようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明では、口部で開口する容器本体と、この容器本体の口部を封止するピルファープルーフキャップとを備え、上記容器本体の口部の外周面には、ネジ部と、このネジ部の下側位置の外周面から径方向外方に突出するフランジ部とが形成され、上記ピルファープルーフキャップは、天板部と、この天板部から垂下して上記口部のネジ部にねじ込まれる周壁部と、この周壁部の下縁に対し回転方向のせん断力を受けて破断可能な弱化部を介して結合され内周面から複数の係合爪が径方向内方であって斜め上方に向けて突出するピルファープルーフバンドとを一体に有し、上記容器本体とピルファープルーフキャップとは、容器本体の口部に対するピルファープルーフキャップのねじ込み操作によって、ピルファープルーフバンドの複数の係合爪の突出先端側が弾性変形して上記フランジ部を乗り越え、かつ、乗り越えた後に復元して上記フランジ部の下面に係合可能となって、容器本体の口部が閉栓された装着状態に至るように構成されているタンパーエビデント容器を対象にして、次の特定事項を備えることとした。すなわち、上記容器本体に対し、上記フランジ部の下側位置に隣接して口部の外周面よりも径方向外方に突出して、フランジ部下面に係合した上記係合爪の突出先端の径方向内方への変位を規制する凸段部を形成することとした(請求項1)。
【0010】
本発明の場合、上記の装着状態からキャップ本体をねじ戻し回転操作することにより開封しようとした場合に、キャップ本体の側からピルファープルーフバンドに対し上向きの引っ張り力が作用し、この引っ張り力に対し係合爪の突出先端がフランジ部下面に当止して係合することにより抵抗することになる。この際、フランジ部下面側には凸段部が径方向外方に突出され、この凸段部により係合爪の突出先端の径方向内方への変位が阻止又は規制されるため、ピルファープルーフバンドを容器本体の中心軸に対し倒れたり傾いたりさせることなく、容器本体の口部に対し確実に同軸上の配置状態に維持することが可能となる。この結果、ねじ戻し回転操作力を全ての弱化部に対し均等に作用させて同時に破断に至らせることが可能となる。これにより、ピルファープルーフキャップとして、合成樹脂を用いた一体成形による量産に適した仕様を採用しつつも、タンパーエビデンス機能を確実かつ十分に実現させ得ることになる。一方、上記の突出先端の径方向内方への変位の阻止又は規制を凸段部によらずに、フランジ部下側の口部外周面として凸段部と同じ外周面位置で下方に向けて延びるように構成した場合には、上記の如く弱化部で破断したとしても、係合爪の突出先端とその口部外周面とが干渉した場合にはその干渉が下方に向けて続くため、ピルファープルーフバンドは落下し難くなるおそれがある。これに対し、本発明の如く凸段部にしてフランジ部の下側位置が部分的に径方向外方に突出しているようにすることにより、たとえ係合爪の突出先端が干渉したとしても、その干渉する距離が短く限定されるため、弱化部で破断した場合には、ピルファープルーフバンドを容易かつ確実に落下し得るようにすることができる。
【0011】
上記の本発明におけるピルファープルーフバンドに対し、内外方向に貫通して開口する窓部を、上記係合爪の少なくとも突出先端を含みこの突出先端から上側の領域を外部から視認し得るように上記係合爪と対応する位置に形成すると共に、内向き凸部を上記各係合爪よりも上側位置の内周面から径方向内方に向けて上記フランジ部の外周縁位置よりも内側位置まで突出するように形成することもできる。加えて、上記ピルファープルーフバンドとして、上記ピルファープルーフキャップの装着状態から上記弱化部が破断されることにより上記キャップ本体と分離されたとき、上記装着状態におけるフランジ部上面から上記内向き凸部までの上下方向間隔に対応する寸法だけ落下により下方変位する構成とし、上記上下方向間隔として、落下によりフランジ部と係合爪の突出先端との上下間に凸段部の外周面が上記窓部を通して視認し得ることになる寸法を設定することができる(請求項2)。このようにすることにより、弱化部が破断してしまった場合には、ピルファープルーフバンドが落下するため係合爪の突出先端とフランジ部下面との上下間が離れ、この上下間に凸段部の外周面が露出することになる。そして、この露出した凸段部の外周面が上記窓部を通して外部から視認し得ることになるため、これを見ることにより、弱化部が破断されたこと、すなわち、開封されてしまっている状態にあることが、容易かつ確実に認識・把握することが可能になる。これにより、タンパーエビデンス機能の向上を図り得ることになる。
【0012】
この場合、上記の上下方向間隔として、上記凸段部の外周面の上下幅よりも大になるように設定すれば(請求項3)、弱化部の破断によりピルファープルーフバンドが落下したときには、係合爪の突出先端よりも上側に凸段部の下面境界が横一線に延びた状態が窓部を通して視認することができるようになり、上記の開封されてしまっている状態にあることが視覚的に容易に認識・把握し得ることになる。これにより、タンパーエビデンス機能のより向上を図り得る。
【0013】
さらに、上記凸段部の外周面に対し、視覚により識別し得るように、窓部が形成されるピルファープルーフバンドの外周面とは異なる色彩又は模様を付与することもできる(請求項4)。このようにすることにより、弱化部の破断によりピルファープルーフバンドが落下した場合には、係合爪の突出先端とフランジ部との間に他とは異なる色彩又は模様が付与された凸段部の外周面が横方向に延びた状態が窓部を通して視認することができるようになり、上記の開封されてしまっている状態にあることが、一目見ただけでも容易に認識・把握し得ることになる。これにより、上記のタンパーエビデンス機能のより一層の増大を図り得ることになる。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したように、請求項1〜請求項4のいずれかのタンパーエビデント容器によれば、フランジ部下面に係合爪の突出先端から係合した装着状態からキャップ本体をねじ戻し回転操作することにより開封しようとした場合に、キャップ本体の側からピルファープルーフバンドに対し上向きの引っ張り力が作用しても、係合爪の突出先端の径方向内方への変位が凸段部により阻止又は規制されるため、上記の引っ張り力に対し確実に抵抗することができ、ピルファープルーフバンドを容器本体の中心軸に対し倒れたり傾いたりさせることなく、容器本体の口部に対し確実に同軸上の配置状態に維持することができるようになる。この結果、ねじ戻し回転操作力を全ての弱化部に対し均等に作用させて同時に破断に至らせることができることになる。これにより、ピルファープルーフキャップとして、合成樹脂を用いた一体成形による量産に適した仕様を採用しつつも、タンパーエビデンス機能を確実かつ十分に実現させることができるようになる。又、フランジ部下側の口部外周面を上記凸段部と同じ外周面位置で下方に向けて延びるように構成した場合と比べ、凸段部にして径方向外方に突出した部分を局所的なものとすることにより、弱化部で破断したときに、たとえ係合爪の突出先端が凸段部の外周面と当接して干渉したとしても、その干渉する距離を短かいものに限定して、ピルファープルーフバンドを容易かつ確実に落下させることができるようになる。
【0015】
特に、請求項2によれば、弱化部が破断してしまった場合には、ピルファープルーフバンドが落下するため、係合爪の突出先端とフランジ部下面との上下間が離れ、この上下間に凸段部の外周面が露出し、この露出した凸段部の外周面を上記窓部を通して外部から視認することができるようになる。このため、この凸段部の外周面を見ることにより、弱化部が破断されたこと、すなわち、開封されてしまっている状態にあることを、容易かつ確実に認識・把握することができるようになり、これにより、タンパーエビデンス機能の向上を図ることができるようになる。
【0016】
請求項3によれば、弱化部の破断によりピルファープルーフバンドが落下したときには、係合爪の突出先端よりも上側に凸段部の下面境界が横一線に延びた状態が窓部を通して視認することができるようになる。このため、上記の開封されてしまっている状態にあることを視覚的に容易に認識・把握することができるようになり、タンパーエビデンス機能のより向上を図ることができるようになる。
【0017】
さらに、請求項4によれば、弱化部の破断によりピルファープルーフバンドが落下した場合には、係合爪の突出先端とフランジ部との間に他とは異なる色彩又は模様が付与された凸段部の外周面が横方向に延びた状態を窓部を通して視認することができるようになる。このため、上記の開封されてしまっている状態にあることを、一目見ただけでも容易に認識・把握することができるようになり、上記のタンパーエビデンス機能のより一層の増大を図ることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は本実施形態のタンパーエビデント容器(TE容器)1を示す。このタンパーエビデント容器1は、有底で上方の口部21で開口する瓶形状の容器本体2と、この容器本体2の口部21にねじ込まれて開口を封止する合成樹脂製のピルファープルーフキャップ3とで構成されている。そして、ピルファープルーフキャップ3を用いることでタンパーエビデンス機能を実現せんとしている。
【0020】
上記容器本体2の口部21の外周面にはネジ部22が形成され、このネジ部22の下側位置にフランジ部23が形成されている。フランジ部23は上記ネジ部22よりも径方向外方位置まで突出されており、フランジ部23の下側位置にはフランジ部23の下面に連続して凸段部24が形成されている。このような容器本体2は合成樹脂を用いたブロー成形により形成される。もちろん合成樹脂を用いたブロー成形と同等の形状・寸法精度に形成し得るのであれば、例えばガラス製等のもので形成してもよい。なお、上記の凸段部24の詳細は後述する。
【0021】
上記ピルファープルーフキャップ3は、図2(図1のピルファープルーフキャップ3の縦断面図)にも示すように、キャップ本体31とピルファープルーフバンド32とが複数の弱化部としてのブリッジ部33,33,…を介して一体に結合されたものであり、合成樹脂成形により一体に形成されたものである。上記キャップ本体31は、容器本体2の口部21の上面開口を覆い得る天板部311と、この天板部311の周囲から垂下する周壁部312と、上記天板部311の内下面から垂下する環状保持部313とが合成樹脂を用いた一体成形により形成されたものである。上記周壁部312の内周面には上記口部21のネジ部22に螺合するネジ部314が形成され、外周面にはローレット溝315が形成されている。
【0022】
又、上記周壁部312の下端縁316が僅かに大径になるように拡開されており、図3にも示すようにこの下端縁316から下向きに突出して上下方向に当止面を有する複数(図例では2つ)の第1支援凸部317,317と、同じく下向きに突出して周方向に当止面を有する1以上(図例では2つ)の第2支援凸部318,318とが一体に形成されている。上記各第1支援凸部317は、例えばピルファープルーフキャップ3を容器本体2とは別に所定数量まとめて段積み状態で梱包して輸送する等の場合に、万一、上下方向の荷重がキャップ本体31に作用した場合に僅かに撓んだ状態でピルファープルーフバンド32の側に荷重伝達するためのものである。又、上記各第2支援凸部318と、これと対をなす後述の第2支援凸部324とは、キャップ本体31のねじ込み操作時にわずかに回転方向に撓んだ状態で互いの当止面が当止して回転操作力をキャップ本体31の側からピルファープルーフバンド32の側に伝達するためのものである。いずれも、ブリッジ部33,33,…の保護のために設けられているものである。
【0023】
上記ピルファープルーフバンド32は、図4にも示すように、周壁部321と、この周壁部321の上端位置から径方向内方(内周側)に所定量突出する内向き凸部としての内向き鍔部322と、上記周壁部321の内周面の下側位置から径方向内方であって斜め上向きに突出する複数(図例では8つ)の係合爪34,34,…と、各係合爪34の径方向外側領域の周壁部321に内外方向に貫通されて開口する窓部323,323,…とを備えたものである。又、上記内向き鍔部322には、その上端面から上向きに突出して周方向の当止面が上記のキャップ本体31側の各第2支援凸部318と僅かな隙間を隔てて相対向して対をなす第2支援凸部324,324が一体に形成されている。
【0024】
そして、キャップ本体31と、ピルファープルーフバンド32とが上下方向に僅かな隙間Sを隔てて中心軸Xに対し同軸上に配置された状態で、上記ブリッジ部33,33,…により結合されている。このブリッジ部33,33,…は、後述の如くキャップ本体31とピルファープルーフバンド32との相対回転に伴う回転方向のせん断力を受けて破断するように断面形状等が設定されたものである。詳しくは、キャップ本体31に対する通常程度を少し上回る程度のねじ戻し操作力を受けて容易に破断し得る小断面範囲であって、破断したという感触が操作者に認識し得る程度の断面積が確保されているように設定することが好ましい。
【0025】
図2中の符号41はシールパッキンであり、符号42は防湿剤収容用の有底筒状のポケット部材である。これらはピルファープルーフキャップ3とは別体に形成されたものであり、上記環状保持部313に対しシールパッキン41が外嵌保持され、このシールパッキン41に対しポケット部材42が外嵌保持されることにより、ピルファープルーフキャップ3の天板部311の下面側にシールパッキン41と、防湿剤を収容するためのポケット部材42とがそれぞれ着脱可能に保持されるようになっている。そして、上記シールパッキン41は、ピルファープルーフキャップ3のねじ込みにより、その天板部311と容器本体2の口部21の開口端面との間に挟み込まれるようになっている。
【0026】
次に、ピルファープルーフキャップ3を容器本体2に対し装着した状態を示す図5を参照しつつ、さらに詳しく説明する。
【0027】
ピルファープルーフキャップ3は、合成樹脂による一体成形における型抜きを容易にするために、キャップ本体31の周壁部312の内周面、ピルファープルーフバンド32の内向き鍔部322の内周面、そして、ピルファープルーフバンド32の周壁部321の内周面という順に、それぞれの内径がより大きくなるように設定されている。要するに、ピルファープルーフキャップ3の下端開口側に向けて内周面側が順次拡径するようにされている。この際、径方向内方に突出することになる各係合爪34については、その突出先端341の径方向位置が上記内向き鍔部322の内周面と同じか、内向き鍔部322の内周面よりも僅かに径方向外方に設定される。内向き鍔部322の内周面よりも径方向内方まで突出先端341を突出させると型抜きが難しくなるからである。
【0028】
そして、上記ピルファープルーフバンド32の周壁部321の内周面の内径は上記容器本体2のフランジ部23の外径よりも僅かに大きくなるように設定され、又、内向き鍔部322の内周面の内径は上記フランジ部23の外径よりも小さくなるように設定されている。又、上記の内向き鍔部322及び係合爪34の突出先端341は軸X(図4参照)に対し容器本体2のフランジ部23の外周縁位置よりも径方向内方に位置するように設定され、上記突出先端341はピルファープルーフキャップ3の装着状態(図5に示す状態)においてフランジ部23の下面231に対し上下方向に突き当たって係合可能となっている。換言すると、容器本体2の口部21の外周面からフランジ部23が上記の如き拡径された内向き鍔部322や係合爪34の突出先端341よりも径方向外方に位置するようにその突出量が設定されている。
【0029】
又、上記の装着状態において、つまりピルファープルーフキャップ3を容器本体2の口部21に被せてねじ込んでいき、係合爪34,34,…の突出先端側がフランジ部23に当たって径方向外方に弾性変形しつつフランジ部23を下向きに乗り越え、ねじ込みきった段階で係合爪34,34,…がフランジ部23を乗り越え終わって突出先端341,341,…がフランジ部23の下面231側に位置するように弾性復元した状態においては、突出先端341とフランジ部23の下面231との上下間にゼロ以上の微少間隔の隙間K(例えばK=0.0〜1.0mm、好ましくはK=0.5mm程度)が存在するように安全側に寸法設定されている。すなわち、理論上は、ピルファープルーフキャップ3を容器本体2の口部21のネジ部22に対しねじ込みきった丁度その位置で、ピルファープルーフバンド32の係合爪34,34,…がフランジ部23を乗り越えて下面231に係止した状態になるように寸法設定すれば、遊びもない状態にキャッピングし得ることになる。しかしながら、較差範囲内ではあっても製造時の寸法バラツキが容器本体2の口部21のネジ部22及びフランジ部23の側や、ピルファープルーフキャップ3のキャップ本体31のネジ部314及び係合爪34,34,…の側にも存在する。このため、係合爪34,34,…がフランジ部23を乗り越える手前でねじ込みが完了してしまうことのないようにするために、安全側に寸法設定することにより、係合爪34,34,…がフランジ部23を確実に乗り越えてからキャップ本体31のねじ込みが完了するようにしているのである。これにより、製造上の寸法較差に起因する寸法ばらつきがたとえ存在していたとしても、装着状態に至れば各係合爪34の突出先端341がフランジ部23を確実に乗り越え終わるようにすることができる。
【0030】
さらに、上記の装着状態において、フランジ部23の上面位置と、内向き鍔部322の下面位置との間に所定量の余裕代(上下方向間隔)Rが存在することになるように寸法設定され、かつ、この余裕代Rの上端位置である上記の内向き鍔部322の下面位置までの領域に窓部323の形成領域が設定されている。上記の装着状態からねじ戻し操作が行われてブリッジ部33,33が破断されピルファープルーフバンド32がキャップ本体31と分離されると、ピルファープルーフバンド32は内向き鍔部322の下面がフランジ部23の上面に当止するまで落下することになる。従って、上記の余裕代Rは、キャップ本体31と分離された場合のピルファープルーフバンド32が落下する高さに相当する。この余裕代Rは、ピルファープルーフバンド32が落下した場合に、各係合爪34の突出先端341が凸段部24の下端位置よりも下側に位置することになるように設定される。余裕代Rとして、例えば、凸段部24の上下幅Hと同じ(R=H)か、上下幅Hよりも大に設定すればよい。これにより、ピルファープルーフバンド32がキャップ本体31と分離されて落下した状態になれば、その落下状態における窓部323を通して、フランジ部23、係合爪34の突出先端341及びそれら両者間に凸段部24の外周面241が存在することが一目で視認できるようになる。
【0031】
加えて、フランジ部23の外周縁位置と凸段部24の外周面241位置との径方向間隔Tは、フランジ部23の下面に対し係合した係合爪34の突出先端341が径方向内方(図5の右方)への変位がゼロか、変位したとしても極めて微小量に規制されることになるように設定される。例えば、上記の係合爪34の突出先端341の内端面(径方向内側の端面)と凸段部24の外周面241との間隔T1がゼロから極微小寸法に設定されている(T1=0.0〜0.5mm)。これにより、後述の如く、ピルファープルーフバンド32に上向きの力が作用したとしても係合爪34の突出先端341が径方向内方に対し殆ど変位せずにフランジ部23の下面231に対し係合した状態を維持させることができるようになっている。加えて、上記の間隔T1がゼロとなっていたとしても、つまり、突出先端341が凸段部24の外周面241と当接しているようになっているとしても、ブリッジ部33,33,…が破断されてピルファープルーフバンド32がキャップ本体31と分離されたときには、ピルファープルーフバンド32を容易に落下し得るようにすることができる。すなわち、上記の突出先端341と凸段部24の外周面241との当接による両者間の干渉が凸段部24の上下幅Hだけの局所的かつ部分的なものであるため、上記の外周面241が口部21の外周面として下方に向けて連続して延びるように形成されている場合と比べ、干渉し合う上下方向の距離を極めて限定的な短いものとすることができ、これにより、ピルファープルーフバンド32を落下し易くすることができる。
【0032】
次に、タンパーエビデント容器1によるタンパーエビデンス機能について順に説明すると、図1の容器本体2の内部25に薬剤等の被収容物を口部21の開口から充填し上で、その口部21の開口を、ピルファープルーフキャップ3を用いて閉栓する。すなわち、シールパッキン41及びポケット部材42を内側に係合保持させた状態のピルファープルーフキャップ3を口部21に対し上から被せ、ネジ部22に対しキャップ本体31のネジ部314を中心軸X回りにねじ込んでいく。所定量ねじ込むと、上記の如く各係合爪34の突出先端341側がフランジ部23に当たりフランジ部23から相対的に上向きの押圧力が作用するため、係合爪34の各突出先端341側が撓んで惰性変形し、さらにねじ込みきれば、各突出先端341がフランジ部23を下に乗り越えて弾性復元して図5及び図6に示す装着状態に至る。この状態では、ピルファープルーフバンド32の周囲の窓部323,323.…を通して、フランジ部23の外周縁と、このフランジ部23に対し係合爪34が下側からほぼ当止して係合した状態が外部から視認することができる。つまり、フランジ部23の下面に連続する凸段部24は係合爪34によりほぼ隠された状態になっており、窓部323を通しては視認し得ない状態になっている。
【0033】
開封しようとしてギャップ本体31をねじ戻そうとすると、図7(a)に示すように、各係合爪34の突出先端341がフランジ部23の下面231に当止して係合することによりピルファープルーフバンド32の開栓側(上側)への移動が阻止される。この際、ミクロ的には、キャップ本体31に対するねじ戻し操作に伴い、図7(b)に示すように、各係合爪34の突出先端341がフランジ部23の下面231に沿って微小量だけ径方向内方に変位して凸段部24に突き当たることによりそれ以上の変位が阻止され、この段階でピルファープルーフバンド32の上側への移動が完全に阻止されることになる。これに伴い、キャップ本体31をねじ戻そうとする操作に対し、それを食い止めるようにピルファープルーフバンド32が抵抗することになる。
【0034】
それにも拘わらず、開封の意図を持って力を込めてねじ戻し操作を行うと、図8(a)に示すように、その回転操作力を受けて各ブリッジ部33が破断してピルファープルーフバンド32がキャップ本体31から分離されることになる。これにより、キャップ本体31は通常のねじ戻し操作力により容易に開栓側にねじ戻し可能となる一方、ピルファープルーフバンド32は図8(b)に示すように内向き鍔部322がフランジ部23の上面に当止するまで落下することになる。この状態を外部から見ると、図9に示すように、ピルファープルーフバンド32の各窓部323を通して、フランジ部23の外周縁が各窓部323の上側位置に、係合爪34が各窓部323の下半領域にそれぞれ視認することができ、それらフランジ部23と係合爪34との間に凸段部24の外周面241が横方向に延びた状態で視認することができるようになる。しかも、凸段部24の下面242が横一線に延びる線分として視認することができるようになる。これにより、キャップ本体31が容器本体2の口部21に再びねじ込まれたとしても、ピルファープルーフバンド32が分離された状態にあることを一目見ただけで確実に認識・把握することができるようになる。
【0035】
この際、容器本体2とピルファープルーフキャップ3とが互いに異なる色彩の合成樹脂素材により形成されていれば、上記の窓部323を通しての凸段部24の外周面の存在を一目見ただけでより明確に認識・把握することができることになる。又、容器本体2とピルファープルーフキャップ3とが互いに同じ色彩の合成樹脂素材により形成されている場合には、凸段部24の少なくとも外周面241に対しピルファープルーフバンド32とは異なる色彩の着色を施しておけば、窓部323の開口領域にピルファープルーフバンド32とは異なる色彩の帯(凸段部24の外周面241)が横方向に延びた状態となるため、ピルファープルーフバンド32が分離状態にあることを上記の場合よりもさらに明確に認識・把握することができるようになる。このため、例えば高年齢者等の視力が衰えたユーザにおいても、より明確な視覚上の相違として分離されてしまったことを認識・把握させることができ、より確実なタンパーエビデンス機能に加え、いわゆるシニア・フレンドリー(Senior friendly)機能をも実現し得ることになる。
【0036】
又、上記の各ブリッジ部33が破断に至る際には、図10に拡大断面図を示すように、凸段部24がフランジ部23の下面231に連続して径方向外方に突出し係合爪34の突出先端341の径方向内方への変位を阻止又は規制しているため、ピルファープルーフバンド32を中心軸Xに対し倒れや傾き等を発生させることなく容器本体2の口部21に対し確実に同軸上の配置状態に維持することができ、この結果、ねじ戻しの回転操作力を全てのブリッジ部33,33,…に対し均等に作用させて同時に破断に至らせることができる。すなわち、係合爪34の突出先端341と凸段部24の外周面241との径方向間にはあったとしても製造較差程度の微小な隙間T1(図5も併せて参照)が存在するだけであるため、キャップ本体31のねじ戻し操作に伴いピルファープルーフバンド32が上向きに引っ張られても、上記突出先端341は上記の微小な隙間T1分のみ径方向内方に移動するだけであり、ピルファープルーフバンド32を確実に中心軸に対し同軸上の配置に維持しつつ上記の引っ張り力に対し係合爪34が確実に抵抗した状態に維持することができる(図10に一点鎖線で示すピルファープルーフバンド32を参照)。
【0037】
これに対し、凸段部24が存在せずにフランジ部23の下面が二点鎖線で示す位置まで径方向内方に延びている場合には、キャップ本体31の側からピルファープルーフバンド32が引っ張り力を受けると、係合爪34の突出先端341の側が図10に二点鎖線で示すように大きく撓んでしまうことになる。この結果、突出先端341の側が反転してフランジ部23の下面から離脱して突出先端341がフランジ部23の上方に抜け出てしまったり、ピルファープルーフバンド32に倒れを生じさせてブリッジ部33,33,…の局所的な破断を招いてしまったりすることになる。
【0038】
なお、凸段部24を形成する代わりに、フランジ部23の下側の外表面形状を図10に破線Mで示す如く設定してしまうと、容器本体2が合成樹脂を用いたブロー成形により形成しているため、対応する内表面形状が破線Nの如くなって口部21の内表面との間に屈曲段差部等の凹部が形成されてしまうことになるおそれがある。こうなると、開栓後の容器本体2を傾けて内部の被収容物を取り出そうとすると、上記の凹部位置で飛び跳ねたり勢い付いたりして不都合が生じることになる。
【0039】
以上より、本実施形態によれば、タンパーエビデント容器1において、合成樹脂を用いた一体成形による量産に適したピルファープルーフキャップ3を採用しつつも、タンパーエビデンス機能を確実かつ十分に実現することができることになる。
【0040】
<第2実施形態>
図11は第2実施形態のタンパーエビデント容器1′を示す。このタンパーエビデント容器1′は、いわゆるチャイルド・レジスタンス(Child resistance)機能をも兼ね備えたピルファープルーフキャップ3′を用いたものである。なお、第2実施形態はチャイルド・レジスタンス機能を兼ね備えている点でのみ第1実施形態のものと相違し、その他のピルファープルーフバンド32等により確実なタンパーエビデンス機能を実現する等の点は第1実施形態と同じである。このため、第1実施形態と同じ構成要素には第1実施形態と同じ符号を付して重複した説明を省略する。
【0041】
本実施形態のピルファープルーフキャップ3′は、キャップ本体30と、このキャップ本体30に対し所定数のブリッジ部33,33を介して結合されたピルファープルーフバンド32と、上記キャップ本体30に対し上から被せられて上下方向に変位可能に保持されるカバーキャップ5とを備えたものである。キャップ本体30と、これにブリッジ部33,33を介して結合されたピルファープルーフバンド32とは第1実施形態の場合と同様に合成樹脂成形により一体に形成されたものである。上記キャップ本体30は、容器本体2の口部21の上面開口を覆い得る天板部301と、この天板部301の周囲から垂下する周壁部302と、上記天板部301の内下面から垂下してシールパッキン41が外嵌される環状保持部303とを備えたものである。上記周壁部302の内周面には上記口部21のネジ部22に螺合するネジ部304が形成され、外周面には係合凸条305が形成されている。又、上記周壁部302の下端縁302aが僅かに大径になるように拡開されており、この下端縁302aから第1実施形態の場合と同様に第1支援凸部317や、図示を省略するが第2支援凸部が一体に形成されている。
【0042】
又、上記カバーキャップ5は、天板部51と、天板部51の周囲から垂下する周壁部52と、内面側の天板部51から周壁部52にかけての角部位置に下向きに突出する複数(図例では周方向を6等分した各位置に配置された合計6つ)の係合凸部53,53,…(図12も併せて参照)と、天板部51の内下面であって中心軸Xを中心とする所定の円周上の各位置から周方向にかつ斜め下方に延びる複数(図例では周方向を3等分した各位置に配置された合計3つ)の弾性片54,54,…とを備えるように合成樹脂の一体成形により形成されたものである。上記周壁部52の外周面にはローレット溝521が形成され、内周面には上記キャップ本体30側の係合凸条305に対し上から乗り越えて係合する係合凸条522が形成されている。そして、カバーキャップ5は、上記弾性片54,54,…がキャップ本体30の天板部301に対し当接することにより常時は上記係合凸部53,53,…が後述の凹部307から上方に離れた状態(図11に示す状態)に保持され、下向きに押圧することで上記弾性片54,54,…を弾性変形させて上記係合凸部53,53,…が下方に変位して凹部307に内嵌し得るように、キャップ本体30側の係合凸条305と、下端縁302aとの上下間を上下方向に摺動変位可能とされている。
【0043】
キャップ本体30の天板部301の上面には、中心軸Xを中心として上記弾性片54,54,…と同一の円周上に所定間隔にて複数(図例では6つ)の乗越凸部306,306,…が上向きに突出するように形成されている。各乗越凸部306は周方向に対しキャップ本体30のねじ戻し回転方向に対しては傾斜面が形成され、逆回りのねじ込み回転方向に対しては上記の弾性片54,54,…の下端が当止してねじ込み回転操作力が伝達可能となっている。又、周壁部302が天板部301の上面から上方に突出されており、この突出端縁には所定間隔で下向きに凹となる凹部307,307,…が形成されている。そして、カバーキャップ5が下向きに押圧されて上記の係合凸部53,53,…が下方に変位することにより各凹部307に内嵌して周方向のいずれか一側端に当止することによりカバーキャップ5からキャップ本体30に対しねじ込み側及びねじ戻し側のいずれの側にも回転操作力が伝達可能となっている。つまり、ねじ戻し方向の回転操作力については、かかる押圧及び当止によって初めてキャップ本体30の側に伝達可能となるように形成されている。
【0044】
以上、要するに、係合爪34,34,…がフランジ部23の下面に係合された装着状態(図11に示す状態)において、カバーキャップ5がキャップ本体30の天板部301から上方に離れた通常状態にある場合にはカバーキャップ5をねじ込み側(閉栓側)に回転操作したときにはその操作力が伝達可能である一方、図13(a)に示すように逆のねじ戻し側(開栓側;図13(a)の一点鎖線の矢印の側)に回転操作しても各弾性片54が乗越凸部306を傾斜面から乗り越える際の節度感は生じるもののカバーキャップ5は空転するのみとなる。これにより、操作の理屈を理解することのできない幼児や子供がカバーキャップ5を持って回転させたとしても、開封させたり、あるいは、開封後の使用開始段階で開栓させたりすることは共に不能となって、チャイルド・レジスタンス機能を実現させることができるようになる。
【0045】
そして、カバーキャップ5の天板部51を下向きに押圧しながら周方向のいずれかの側に回転させることにより、係合凸部53を図13(b)に示すようにいずれかの凹部307に内嵌させ、次いで、内嵌させた状態でねじ戻し側に回転操作させると、係合凸部53が図13(c)に示すように凹部307の周方向一側端(同図の左側端)に当止して上記の回転操作力がキャップ本体30に伝達されることになる。これにより、キャップ本体30がねじ戻されて開封又は開栓させることができるようになる。つまり、カバーキャップ5を押圧しつつ、ねじ戻し回転操作を行うことにより、装着状態からの開封操作や、開封後の通常開閉操作時の開栓操作を行うことができる。
【0046】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1又は第2の実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記実施形態では凸段部24を周方向に無端に連続させて形成しているが、これに限らず、各係合爪34の突出先端341の径方向内方への変位を阻止・規制できればよいため、途中で部分的に分断されている等の如くでもよく、実質的に全周に形成されていればよい。
【0047】
又、内向き鍔部322についても、必ずしも全周に形成されている必要はない。周方向に互いに離れた状態の内向き凸部を形成してもよい。
【0048】
凸段部24の外周面241に対し窓部323の周囲であるピルファープルーフバンド32の外表面とは異なる色彩に着色するだけでなく、着色の代わりに外周面241の表面に模様等を描くようにすることにより、上記のピルファープルーフバンド32の外表面と明確に区別可能にして凸段部24の外周面241を一目で識別し得るようにしてもよいし、例えば表面を模様の一種であるザラザラの性状に形成するようにしてもよい。要するに、外部から窓部323を通して視認した場合に凸段部24の外周面241が目立つように着色・模様・表面性状を付与するようにすればよいのである。
【0049】
上記実施形態では弱化部としてブリッジ部を示したが、これに限らず、例えば全周にわたり薄肉にして仮切り込み線を入れたもの等で弱化部を構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1実施形態のタンパーエビデント容器の口部の部分を中心としてピルファープルーフキャップを装着する前の状態を示す部分正面説明図である。
【図2】図1のピルファープルーフキャップの分解断面説明図である。
【図3】図2のA−A線における断面説明図である。
【図4】図2のB−B線における断面説明図である。
【図5】図6のC−C線に対応する部分の部分拡大断面説明図である。
【図6】ピルファープルーフバンドの係合爪をフランジ部下面に係合させた装着状態のタンパーエビデント容器を示す正面図である。
【図7】図7(a)は係合爪の突出先端がフランジ部下面に係合した状態の部分断面説明図であり、図7(b)は係合爪の突出先端がフランジ部下面から凸段部に当止した状態の部分断面説明図である。
【図8】図8(a)はブリッジ部が破断に至った状態の部分断面説明図であり、図8(b)はブリッジ部の破断後にピルファープルーフバンドが落下した状態の部分断面説明図である。
【図9】ピルファープルーフバンドが分離された状態の図6対応図である。
【図10】フランジ部及び凸段部と、ピルファープルーフバンドの係合爪との関係を示す部分拡大断面図である。
【図11】第2実施形態のタンパーエビデント容器の上部について一部切欠いた断面説明図である。
【図12】図11のD−D線における断面説明図である。
【図13】図12のE−E線における断面説明図であり、図13(a)はカバーキャップをねじ戻し回転操作した状態を、図13(b)はカバーキャップを押し下げて係合凸部を凹部に内嵌させた状態を、図13(c)は係合凸部を凹部に内嵌させてからカバーキャップを押し下げながらねじ戻し回転操作した状態をそれぞれ示す。
【符号の説明】
【0051】
1,1′ タンパーエビデント容器
2 容器本体
3,3′ ピルファープルーフキャップ
21 口部
22 ネジ部
23 フランジ部
24 凸段部
30,31 キャップ本体
32 ピルファープルーフバンド
33 ブリッジ部(弱化部)
34 係合爪
231 フランジ部の下面
241 凸段部の外周面
301,311 天板部
302,312 周壁部
322 内向き鍔部(内向き凸部)
323 窓部
341 係合爪の突出先端
X 中心軸
R 余裕代(上下方向間隔)
H 上下幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部で開口する容器本体と、この容器本体の口部を封止するピルファープルーフキャップとを備え、上記容器本体の口部の外周面には、ネジ部と、このネジ部の下側位置の外周面から径方向外方に突出するフランジ部とが形成され、上記ピルファープルーフキャップは、天板部と、この天板部から垂下して上記口部のネジ部にねじ込まれる周壁部と、この周壁部の下縁に対し回転方向のせん断力を受けて破断可能な弱化部を介して結合され内周面から複数の係合爪が径方向内方であって斜め上方に向けて突出するピルファープルーフバンドとを一体に有し、上記容器本体とピルファープルーフキャップとは、容器本体の口部に対するピルファープルーフキャップのねじ込み操作によって、ピルファープルーフバンドの複数の係合爪の突出先端側が弾性変形して上記フランジ部を乗り越え、かつ、乗り越えた後に復元して上記フランジ部の下面に係合可能となって、容器本体の口部が閉栓された装着状態に至るように構成されているタンパーエビデント容器であって、
上記容器本体には、上記フランジ部の下側位置に隣接して口部の外周面よりも径方向外方に突出して、フランジ部下面に係合した上記係合爪の突出先端の径方向内方への変位を規制する凸段部が形成されている、
ことを特徴とするタンパーエビデント容器。
【請求項2】
請求項1に記載のタンパーエビデント容器であって、
上記ピルファープルーフバンドには、内外方向に貫通して開口する窓部が、上記係合爪の少なくとも突出先端を含みこの突出先端から上側の領域を外部から視認し得るように上記係合爪と対応する位置に形成されると共に、内向き凸部が上記各係合爪よりも上側位置の内周面から径方向内方に向けて上記フランジ部の外周縁位置よりも内側位置まで突出するように形成されており、
上記ピルファープルーフバンドは、上記ピルファープルーフキャップの装着状態から上記弱化部が破断されることにより上記キャップ本体と分離されたとき、上記装着状態におけるフランジ部上面から上記内向き凸部までの上下方向間隔に対応する寸法だけ落下により下方変位するように構成され、
上記上下方向間隔として、落下によりフランジ部と係合爪の突出先端との上下間に凸段部の外周面が上記窓部を通して視認し得ることになる寸法が設定されている、タンパーエビデント容器。
【請求項3】
請求項2に記載のタンパーエビデント容器であって、
上記上下方向間隔として、上記凸段部の外周面の上下幅よりも大になるように設定されている、タンパーエビデント容器。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載のタンパーエビデント容器であって、
上記凸段部の外周面に対し、視覚により識別し得るように、窓部が形成されるピルファープルーフバンドの外周面とは異なる色彩又は模様が付与されている、タンパーエビデント容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−162593(P2008−162593A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−350943(P2006−350943)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000206185)大成化工株式会社 (83)
【Fターム(参考)】