説明

ターゲットの動きに基づくX線像形成の制御

ターゲットを処置するために画像ガイド型処置が遂行される。画像ガイド型処置を遂行するために、ターゲットの動きを表す測定データが取得される。1つ以上のX線像のタイミングが測定データに基づいて決定される。ターゲットの位置を使用してターゲットにおいて処置が遂行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像ガイド処置の分野に係り、より詳細には、ターゲットの動きを表す測定データに基づき診断X線画像のタイミングを決定するシステムに係る。
【0002】
関連出願:本出願は、参考としてここにそのまま援用する2008年9月12日に出願された“Controlling Timing For X-Ray Imaging Based On Target Movement”と題する米国プロビジョナル特許出願第61/096,722号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
放射線手術及び放射線治療システムは、周囲組織及び重要な解剖学的構造部(例えば、脊髄)への放射線露出を最小にしながら規定ドーズの放射線(例えば、X線)を病理解剖学的部位(例えば、腫瘍、障害、血管奇形、神経障害、等)に送出することにより、外部放射線ビームを使用して病理解剖学的部位を処置する放射線処置システムである。放射線手術及び放射線治療は、両方とも、健康な組織や重要な構造部を惜しみながら病理解剖学的部位を壊死させるように設計されている。放射線治療は、処置当たりの放射線ドーズが低く且つ処置回数が多い(30ないし45日の処置)ことを特徴とする。放射線手術は、1回の処置又はせいぜい数回の処置で放射線ドーズが比較的高いことを特徴とする。
【0004】
放射線治療及び放射線手術の両方において、放射線ドーズが複数の角度から病理解剖学的部位へ送出される。各放射線ビームの角度が異なるので、各ビームは、病理解剖学的部位により占有されたターゲット領域に交差する一方、ターゲット領域への及びターゲット領域からの途中では、健康な組織の異なる領域を通過する。その結果、ターゲット領域の累積放射線ドーズは高くなり、健康な組織及び重要な構造部への平均放射線ドーズは低くなる。放射線治療及び放射線手術の処置システムは、フレームベース型又は画像ガイド型と分類することができる。
【0005】
腫瘍又は障害のような病理解剖学的部位を処置するための放射線送出に直面した1つの難題は、ターゲットの位置(即ち、患者の腫瘍の位置)を識別することである。処置のために腫瘍の位置を識別してそれを狙うのに現在使用されている最も一般的な技術は、腫瘍の位置を検出するために患者身体を像形成する診断X線又は透視システムを含む。この技術は、処置中に腫瘍が大きく動かないことを仮定している。
【0006】
現在の方法は、当業者に明らかなように、処置を通して複数の診断X線を使用して放射線送出処置中に腫瘍の動きを追跡しそれを考慮している。これら現在の方法及びシステムでは、ユーザは、各診断X線像形成の間に何本の放射線処置ビームを送出しなければならないか指定する。このようなシステムでは、ビームの送出が期間中に急激に変化する。例えば、各3本のビームで像形成する場合、3本の短いビームによりインターリーブされて10秒の間隔で一対の像が取り出され、その後、3本の長いビームの1分以上後で、像が取り出される。しかしながら、腫瘍が2つの診断X線像間に動いて、ターゲットへの処置放射線ビームの望ましい送出精度より低くなると共に、ターゲットの周囲の健康な組織に送出される望ましい放射線ドーズより多くなることがある。
【0007】
本発明は、添付図面を参照して一例として以下に説明するが、これに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】放射線処置工程中の規範的な前立腺の動きを示すグラフである。
【図2】本発明の一実施形態による画像ガイド型放射線処置システムの構成を示す。
【図3】本発明の別の実施形態による画像ガイド型放射線処置システムの構成を示す。
【図4】本発明の一実施形態により放射線処置プランを作成する方法を示す。
【図5A】本発明の一実施形態による規範的な処置プランの一部分を示すタイミング図である。
【図5B】本発明の一実施形態による規範的な処置プランの一部分を示すタイミング図である。
【図5C】本発明の一実施形態による規範的な処置プランの一部分を示すタイミング図である。
【図6】X線像形成のタイミングを制御する方法の一実施形態を示す。
【図7A】X線像形成のタイミングを制御する方法の別の実施形態を示す。
【図7B】X線像形成を制御する方法の更に別の実施形態を示す。
【図8】患者の放射線露出量を監視する方法の一実施形態を示す。
【図9】本発明の特徴を具現化する画像ガイド型処置に使用されるシステムの一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
患者処置のための画像ガイドを与える方法及び装置について以下に述べる。以下の説明では、本発明の幾つかの実施形態の理解を与えるために、特定のシステム、コンポーネント、方法、等々の多数の特定の細部について例示する。しかしながら、当業者であれば、本発明の少なくとも幾つかの実施形態は、これらの特定の細部がなくても実施できることが明らかであろう。他の点では、本発明を不必要に不明瞭にするのを回避するため、良く知られたコンポーネント又は方法は、詳細に述べないか又は単にブロック図形態で表す。従って、ここに述べる特定の細部は、単なる例示に過ぎない。特定の実施形態は、これらの規範的な細部から変化しても、本発明の精神及び範囲内に包含されると意図される。
【0010】
ここで使用する「X線像」という語は、目に見えるX線像(例えば、ビデオスクリーンに表示された)又はX線像のデジタル表現(例えば、X線検出器のピクセル出力に対応するファイル)を意味する。「X線像」を言及するときには、単一像、或いは同時又は連続像セット(立体画像システムのような)を意味する。又、「X線像」について言及するときには、コンピュータ断層撮影(例えば、コーンビームCT)のようなX線像形成形態も意味する。又、ここで使用する放射線処置という語は、規定ドーズの放射線を患者の病理解剖学的部位(ターゲット)へ送出することである。放射線処置は、放射線手術(少数の比較的高ドーズ放射線処置の送出)及び放射線治療(多数の低ドーズ放射線処置の送出)を含む。
【0011】
放射線処置において、多くの場合、ターゲットに送出すべき放射線の全ドーズが一回の処置工程で送出されない。癌に対する放射線の効果を最大にすると共に、健康な組織に対する影響を最小にするために、分割化が使用される。分割化とは、ターゲットに送出すべき放射線の合計ドーズを、1日以上の期間にわたって多数のより少ないドーズに分割するという放射線処置方法である。各個々のドーズは、用量(fraction)と称される。
【0012】
以下の説明から明らかなように、特に指示のない限り、「処理」、「コンピューティング」、「発生」、「比較」、「決定」、「設定」、「調整」、等の用語は、コンピュータシステムのレジスタ及びメモリ内の物理的(例えば、電子)量として表されたデータを、コンピュータシステムのメモリ又はレジスタ、或いは他のそのような情報記憶、送信又は表示装置内の物理的量として同様に表された他のデータへと操作及び変換するコンピュータシステム又は同様の電子コンピューティング装置のアクション及びプロセスを指す。ここに述べる方法の実施形態は、コンピュータソフトウェアを使用して具現化することができる。承認された規格に合致するプログラミング言語で書かれた場合には、方法を具現化するように設計されたインストラクションのシーケンスを、種々のハードウェアプラットホームで実行するように、又、種々のオペレーティングシステムへインターフェイスするように、コンパイルすることができる。更に、本発明の実施形態は、特定のプログラミング言語を参照して説明されるのではない。種々のプログラミング言語を使用して、本発明の実施形態を具現化できることが明らかである。
【0013】
ターゲットの位置を正確に追跡するのが重要な1つの臨床分野は、前立腺癌を処置するための前立腺の放射治療又は放射線手術である。平均的な患者は、放射線処置の工程中に最小の前立腺の動きを経験する。しかしながら、ある患者には著しい前立腺の動きが頻繁に起きる。更に、従来の分割化では、ほぼ全ての患者が、それらの分割化の少なくとも幾つかにおいて著しい前立腺の動きを経験する。患者人口にわたり分割化の約15%において中程度から顕著な前立腺の動きが経験されている。
【0014】
図1は、放射線処置工程中の規範的な前立腺の動きを示すグラフ100である。このグラフ100は、横軸に沿って時間をそして縦軸に沿って前立腺の位置(質量中心起点に基づく)を示す4つの別々の曲線図を含む。各曲線図は、前立腺の動きを3つの異なる方向(上下SI、左右LR、前後AP)に示すと共に、全合成前立腺動き(長さ)を示す。
【0015】
左上の曲線図は、前立腺の動きが最小の分割化を示し、これは、ほとんどの分割化において典型的である(約85%)。これらの分割化の場合に、前立腺をミリメータ以下(sub-millimeter)で追跡するのに、ほぼ1から2分ごとの診断X線像形成頻度で充分である。
【0016】
右上、右下、及び左下の曲線図は、ほぼ15%の分割化に対する典型的な前立腺の動きを示す。右上の曲線図は、前立腺の連続的なドリフトを示し、これは、単一の分割化の間に筋肉が弛緩し及び/又は膀胱がいっぱいになることを反映している。比較的ゆっくりした一定の前立腺の動き(右上の曲線図に示す)の場合に、前立腺をミリメータ以下で追跡するのに、ほぼ30から60秒ごとの診断X線像形成頻度で充分である。
【0017】
右下及び左下の曲線図は、各々、例えば、直腸のガスの結果である不規則な動き及び高頻度の活動を示す。このような急速な前立腺の動きの場合に、前立腺をミリメータ以下で追跡するには、ほぼ15から30秒ごとの診断像形成頻度で診断X線像を取得することが必要である。
【0018】
前立腺は、発生する放射線毒に敏感な放射線感受性構造部(例えば、膀胱及び直腸)で取り巻かれているので、放射線処置ビームが前立腺以外のエリアに偶発的に送出されないよう保証すると共に、充分なドーズの放射線が前立腺に送出されるよう保証するために、処置全体にわたり前立腺の動きを正確に追跡することが重要である。上述したように、異なる患者に対して処置中に前立腺の動きを正確に追跡するのに必要な像形成の頻度は劇的に変化する。更に、1人の患者でも、ある処置工程中には最小の前立腺の動きしか示さないが、その後の処置工程中に著しい前立腺の動きを示すことがある。又、ある患者は、処置工程のある部分中には最小の前立腺の動きしか示さないが、その処置工程の残りの部分中に著しい前立腺の動きを示すことがある。それ故、放射線処置の前に像形成頻度を設定して、放射線処置中に像形成頻度を調整できるメカニズムを提供することが重要である。一般的な概念は、ターゲットを正確に(例えば、1mmの公差内で)追跡するのに必要な頻度で像形成することであるが、必ずしもできるだけ頻繁にというのではない。というのは、診断像形成から送出されるイオン化放射線を最小にすることが望まれるからである。これは、高いドーズ及び少ない回数の分割化という少なくとも2つの理由で、小分割前立腺放射線手術(例えば、分割当たり14Gyまでという大きなドーズを少ない回数の処置工程において与える放射線治療)のような処置に対して特に重要である。
【0019】
ここでは、一例として、前立腺の放射線処置について説明する。本発明の実施形態は、患者身体内の動き得る広範囲の解剖学的部位(例えば、器官)に等しく適用することができる。例えば、本発明の実施形態は、肝臓又は膵臓或いは他の内部ターゲットの処置に適用することができる。
【0020】
図2及び3は、本発明の実施形態による画像ガイド型放射線処置システム200及び300の構成を示す。ここに示す実施形態では、放射線処置システム200及び300は、処置放射線源として働くリニアアクセラレータ(LINAC)201を備えている。このLINAC201は、患者の周りの操作容積部において多数の平面内の多数の角度から送出されたビームで病理解剖学的部位(例えば、ターゲット220)を照射するようにLINAC201を位置付けるために複数(例えば、5つ以上)の自由度を有するロボットアーム202の端に装着される。処置は、単一のアイソセンター、複数のアイソセンター、又は非アイソセンター的解決策を伴うビーム路を含む。或いは又、LINAC201は、アイソセンター的ビーム路を与えるようにガントリーに装着されてもよい。
【0021】
LINAC201は、ロボットアーム202を移動することにより処置中に複数の異なるノード(ロボットが停止して放射線が送出される既定の位置)に位置付けられる。これらのノードにおいて、LINAC201は、1本以上の放射線処置ビームをターゲットへ送出することができる。これらのノードは、患者の周りにほぼ球状分布で配列される。これらノードの特定の個数及び各ノードに適用される処置ビームの本数は、処置されるべき病理解剖学的部位の位置及び形式に基づいて変化し得る。例えば、ノードの個数は、50から300まで変化し、より好ましくは、15から100まで変化し、ビームの本数は、200から3200まで変化し、より好ましくは、50から300まで変化する。
【0022】
図2を参照すれば、本発明の一実施形態による放射線処置システム200は、X線源203A、203B及び固定X線検出器(像形成装置)204A、204Bに接続されたプロセッサ230を有する像形成システム210を備えている。或いは又、X線源203A、203B及び/又はX線検出器204A、204Bは、可動であってもよく、この場合には、ターゲット220との整列を維持するか、或いは異なる方向からターゲットを像形成し又は多数のX線像を取得して3次元(3D)コーンビームCTを再構成するように、それらを位置付けし直すことができる。一実施形態では、X線源は、点源ではなく、むしろ、当業者に明らかなように、X線源アレイである。又、一実施形態では、LINAC201が画像源として働き(ガントリー装着であるかロボット装着であるかに関わらず)、この場合、LINACの電力レベルが像形成のための許容レベルに減少される。
【0023】
像形成システム210は、コーンビームCTのようなコンピュータ断層撮影(CT)を遂行し、像形成システム210により発生される画像は、2次元(2D)又は3次元(3D)である。2つのX線源203A、203Bは、操作室の天井の固定位置に装着され、そして(例えば、90°分離された)2つの異なる角度位置からのX線像形成ビームを、マシンのアイソセンター(処置中に処置寝台206に患者を位置させる基準点をなす)で交差させるように投射し、次いで、患者を通過した後に各検出器204A、204Bの像形成平面を照射するように整列される。従って、像形成システム210は、ターゲット220及び当該周囲容積部(VOI)の立体画像を形成する。他の実施形態では、像形成システム210は、それに含まれるX線源が2つより多くても少なくてもよく、又、検出器も2つより多くても少なくてもよく、更に、いずれかの検出器が固定ではなく可動でもよい。更に別の実施形態では、X線源及び検出器の位置を交換してもよい。又、検出器204A、204Bは、X線を可視光線に変換するシンチレーション材料(例えば、アモルファスシリコン)や、当業者に明らかなように、光をデジタル画像へと変換し、これを画像位置合わせプロセス中に基準画像と比較してデジタル画像の座標系を基準画像の座標系へ変換するようなCMOS(相補的金属酸化物シリコン)又はCCD(電荷結合デバイス)像形成セルのアレイから製造されてもよい。基準画像は、例えば、デジタルで再構成される放射線写真(DRR)でよく、これは、CT画像を通してX線を投射することでX線像形成プロセスをシミュレーションすることに基づいて3D CT画像から発生されるバーチャルX線画像である。
【0024】
像形成システム210は、ターゲットの現在位置を更新するために既定の像形成頻度で診断X線像を発生することができる。各診断X線像は、基準画像(例えば、対応するDRR)及び/又は手前の診断X線像と比較されて、現在のターゲット位置及びターゲットの動き速度を決定することができる。ターゲットの動きが既定の公差(例えば、1mm/分)より速い場合には、像形成システムは、像形成頻度を上げて、ターゲットの位置を更新し、動くターゲットに放射線をより正確に向けられるようにする。ターゲットの動きが既定の公差未満である場合には、像形成システム210は、望ましい公差内でターゲットの動きを追跡するのに少数の画像しか必要とされないので、像形成頻度を下げることができる。既定の上限及び下限公差を選択して、像形成頻度が満足である動きの範囲を定義し、動きが既定の上限及び下限公差より高い又は低い場合に(各々)頻度を上げ又は下げられるようにする。ターゲットの動きに応答して像形成頻度を変化させることは、図7A及び7Bを参照して以下に詳細に述べる。
【0025】
図3を参照すれば、別の実施形態において、像形成システム310は、ターゲットの動きを決定するための動き検出装置312を備え、この動き検出装置312は、検出フィールド340を有する。動き検出装置312が処置公差を越える動きを検出した場合には、X線像形成装置313が、像形成フィールド350内の領域に新たな診断X線像を発生するように指令される。動き検出装置312は、ターゲットの動きを識別することのできるセンサ又は他の装置である。動き検出装置312は、例えば、超音波スキャナ、カメラのような光学的センサ、圧力センサ、電磁センサ、或いはユーザにイオン化放射線を送出せずに動き検出を行うことのできる他のセンサ(例えば、X線像形成システム以外のセンサ)でよい。一実施形態では、動き検出装置312は、ターゲットの動きをリアルタイムで表す測定データを取得する。或いは又、この測定データは、(各X線像に伴い患者へ送出されるイオン化放射線のために)X線像形成で達成できるか又はそれで望まれるものより高い(潜在的にかなり高い)頻度で得ることができる。一実施形態では、動き検出装置312は、高い絶対的な位置精度を与えない。むしろ、動き検出装置312は、患者の動き及び/又はターゲットの動きを検出するに充分な相対的な位置精度を与えてもよい。このような動き検出は、高い位置精度を有する像(例えば、X線像)の取得をトリガーすることができる。
【0026】
一実施形態において、動き検出装置312は、超音波スキャナである。超音波スキャナは、2次元(2D)超音波像を発生するか、又は3D像へと合成される一連の2D像を発生するように機械的に回転されるトランスジューサ素子の1次元(1D)アレイか、或いは3D像を発生するトランスジューサ素子の2Dアレイを備えている。患者225が処置寝台206に横たわっている間に、超音波スキャナのトランスジューサは、患者225の皮膚面に位置保持される(或いは直腸に入れられる、即ち経直腸超音波)。ターゲット220の位置は、ターゲット220と超音波スキャナのトランスジューサとの間の位置的なオフセットとして決定される。一実施形態では、超音波スキャナのトランスジューサ(1つ又は複数)を追跡し、検出される動きが処置室の座標系内で生じるようにすることができる。
【0027】
別の実施形態では、動き検出装置312は、カメラのような光学システムである。この光学システムは、患者225に置かれた発光ダイオード(LED)の位置を追跡することができる。或いは又、光学システムは、患者のLEDを追跡することとは区別して、患者225の表面領域を直接追跡することもできる。ターゲットの動きと、患者225のLED及び/又は表面領域の動きとは相関している。この相関に基づいて、LED及び/又は表面領域の動きが検出されたときには、ターゲット220も、ターゲットの位置を正確に決定するのに別の診断X線像を要求するに足るほど動いたと決定することができる。
【0028】
別の実施形態では、動き検出装置312は、高周波(RF)信号のフライト時間に基づき患者225の身体上又は体内に置かれたトランスポンダの位置を追跡する質問装置を有する高周波識別(RFID)システムを備えている。或いは又、動き検出装置312は、電磁コイルアレイ又はレーザレンジファインダーのようなターゲットを位置付けることのできる他の形式の装置でもよい。動き検出装置312の他の例は、歪計、圧電センサ、呼吸計、等を含む。
【0029】
患者が放射線処置を受ける前に、典型的に、放射線処置プランが作成される。放射線処置プランとは、(1つ以上の形状、角度又は方向を有する)1つ以上のビームが各ノードから付与されるようにして多数の処置ノードから患者の病理解剖学的部位へ放射線処置ビームを送出するためのプランである。又、放射線処置プランは、ターゲットの位置を追跡するのに使用される処置中診断X線像の数及び/又はタイミングを得ることも必要であり、診断X線像は、ターゲットの位置を追跡するために収集される処置中データの一例である。例えば、これに限定されないが、診断X線像は、(当業者に知られたように)前処置3D画像データ(例えば、CT画像、コーンビームCT画像又はMR画像)と位置合わせされる。更に、放射線処置プランは、例えば、使用すべき像形成形態(例えば、単一のX線投影、複数のX線投影、等)、使用すべき像形成アルゴリズム(1つ又は複数)、基準点を追跡すべきか患者の解剖学的部位を追跡すべきか、等々を識別する像形成プロトコルを含む。
【0030】
上述したように、放射線を送出する間に病理解剖学的部位の位置を追跡するために診断像データが使用される。病理解剖学的部位の位置は、診断像データが得られて分析された直後に良く分かる。診断像データの取得及び分析に続いて時間が経過するにつれて、病理解剖学的部位の位置があまり確実ではなくなる。病理解剖学的部位は、比較的固定のままであるか、若干動くか、又は上述した前立腺の例のように、著しく動く。この動きは、これに限定されないが、患者の動き、解剖学的部位の非固定性のための自然の移動、或いは隣接する解剖学的部位の動き(例えば、膀胱がいっぱいになる、直腸のガス、等)を含む多数の理由のいずれかで生じる。いずれにせよ、病理解剖学的部位の位置があまり確実でなくなると、最後の診断像データに基づいて送出される放射線が、望ましい精度でプラン通りに送出される確実性が低くなる。診断像データの取得及び分析から、ほぼ最後の処理ビームの送出を完了した後の時間までの時間量を、画像年令として定義する。この説明において画像年令を良く理解するため、システムがターゲット位置に関する最新のデータを有する時間として画像年令ゼロを考える。画像年令が増加するにつれて、ターゲット位置データも年をとり、ターゲットがどれほど速く動くか、又はターゲットがその期間内にどれほど大きく動いたかに基づいてその確実性が低くなる。一実施形態では、放射線処置プランは、診断X線像に対して最大許容画像年齢(例えば、ビーム送出の終了時)を指定する画像年令スレッシュホールドを含む。
【0031】
図4は、本発明の一実施形態により放射線処置プランを作成する方法400を示す。この方法400は、処置中に既存の放射線処置プランを調整することもできる。例えば、臨床医が、処置を開始する前又は処置中に画像年令スレッシュホールド(最大許容画像年齢)を選択した場合には、方法400は、画像年令スレッシュホールドに基づいて既存の放射線処置プランを調整することができる。一実施形態では、方法400は、放射線処置システム(例えば、放射線処置システム200又は300)により遂行される。或いは又、方法400は、処置プランニングシステム、又は他の形式の画像ガイド処置システムにより遂行されてもよい。
【0032】
ブロック405において、処置プランニングシステム(又は処置付与システム)は、ターゲット(例えば、患者の病理解剖学的部位)へ送出されるべき複数の放射線処置ビームを決定する。各放射線処置ビームは、多数の考えられるノードの1つから送出される。更に、各放射線処置ビームは、選択されたノードにおいて特定の方向から送出されてもよい。例えば、放射線処置ビームは、アイソセンターを狙わないように方向付けされたLINAC201により送出されてもよい。
【0033】
ブロック410において、画像年令スレッシュホールド(最大許容画像年齢)の選択が受け取られる。画像年令スレッシュホールドの選択は、臨床医から受け取られるか、又は予想されるターゲットの動きに基づいて計算される。選択される画像年令スレッシュホールドは、ターゲットの動きの予想量に基づくもので、例えば、同じ又は同様の手順を受けている患者の統計学的に顕著な経歴サンプルに基づくものである。例えば、前立腺は、10秒の周期では臨床学的に著しく動かない。それ故、患者/ターゲットの動きが前立腺の周囲の健康な組織への望ましからぬ放射線ビーム送出を生じないように保証するために、10秒の最大画像年齢が選択される。X線像形成頻度及びX線像形成周期は、画像年令スレッシュホールドに基づいて計算される。例えば、画像年令スレッシュホールドが10秒である場合には、計算されたX線像形成周期が10秒以下となる。X線像形成頻度は、診断X線像が取り出される最小頻度を指示する。X線像形成周期は、順次の診断X線像の間の最大時間長さを指示するもので、X線像形成頻度の逆数である。更に別の実施形態では、画像年令スレッシュホールドがX線像形成頻度及びX線像形成周期を定義する。
【0034】
一実施形態では、像形成システムは、越えることのできない固有の最大持続可能像形成頻度を有する。更に別の実施形態では、最大持続可能像形成頻度より高い頻度で診断X線像を取り出すべき場合には、最大持続可能像形成頻度の要件を満足するように遅延が導入される。例えば、5秒ごとより高い頻度で診断X線像を取り出せずそして以前のX線の2秒後に新たな診断X線像を取り出すべきであることを最大持続可能像形成頻度が指示する場合には、以前のX線の5秒後にそれを取り出するように新たなX線及び処置が遅延される。これは、像形成システムへのダメージを防止する。
【0035】
ブロック412において、処置プランニングシステム(又は処置付与システム)は、発生されるべき診断X線像をスケジュールする。処置中に、診断X線像は、以前に発生された像、例えば、DRR、又は以前の診断X線像と比較され、放射線処置ビームを送出する前のターゲット位置を決定する。ブロック415において、処置プランニングシステム(又は処置付与システム)は、次の放射線処置ビームの完了で画像年令スレッシュホールドを越えたかどうか決定し、その場合には、この方法は、ブロック420へ進む。
【0036】
ブロック420において、放射線処置ビームが複数の放射線処置ビームへ分割される。複数の放射線処置ビームの各々は、元の放射線処置ビームと同じ電力レベル、ノード位置及び方向を有するが、複数の処置ビームの各々が画像年令スレッシュホールド以内に完了するように短い時間巾を有する。一実施形態では、複数の放射線処置ビームの各々の時間巾は、画像年令スレッシュホールドより短い。或いは又、複数の放射線処置ビームの時間巾は、平均で放射線処置ビームがほぼ画像年令スレッシュホールド以下となるように選択することができる。このような実施形態では、画像年令スレッシュホールドの長さの例えば20%も画像年令より長い放射線処置ビームは存在しないように、最大放射線処置ビーム時間巾がセットされる。従って、放射線処置ビームは、時間巾が画像年令スレッシュホールドの120%までとなる。それ故、画像年令スレッシュホールドの120%までに完了しない放射線処置ビームは、それに先行して診断X線像があって、充分に低い画像年令を保証し、それ故、放射線の送出前にターゲット位置の充分高い信頼性を保証する。従って、診断X線像は、放射線処置ビームを送出する前のターゲット位置情報として信頼するのに古過ぎることはない。
【0037】
ブロック425において、システムは、最後の診断X線像が取り出されて以来経過した時間量が、次の処置ビームが完了するまでに画像年令スレッシュホールドを越えるかどうか決定し、その場合には、診断X線像は、次の放射線処置ビームを送出する前にターゲットの位置を決定するために信頼するには古過ぎることになる。処置ビームの送出が画像年令スレッシュホールドを越えて延びる場合には、ターゲットは、放射線処置ビームの送出中に許容量を越えて動き、放射線処置ビームの一部分が健康な組織へ偶発的に送出されることがある。次の処置ビームが完了する前に画像年令スレッシュホールドを越える場合には、この方法は、ブロック430へ進む。さもなければ、この方法は、ブロック435へ進む。ブロック430において、次の放射線処置ビームの送出を開始する前に診断X線像を取り出すようにスケジュールされる。この方法は、次いで、ブロック435へ進む。一実施形態では、放射線処置ビームの時間巾は、処置ビームの準備のために処置ビームが実際に送出されるまでに経過する時間を含む。このような時間は、ここでは、狙い修正オーバーヘッドと称され、(例えば、ノード間及び/又はノード内のLINACの再位置付けのために)LINACを所定の位置及び/又は方向に位置付けるのに要する時間を含む。
【0038】
ブロック435において、処置プランニングシステム(又は処置付与システム)は、その処置プランに含まれた付加的な放射線処置ビームがあるかどうか決定する。付加的な放射線処置ビームがある場合には、この方法はブロック415へ戻り、次の放射線処置ビームが画像年令スレッシュホールドと比較される。さもなければ、この方法は終了となり、処置プランが完了する。
【0039】
処置プランは、患者処理の期間を著しく増加せずに、方法400に基づいて変更することができる。更に、患者から取り出す診断X線像の最終的な数は、他の像形成方法より著しく増加されない(例えば、設定された数の処置ビームが各診断X線像の間に送出される方法と比較して)。その結果、患者に対する全体的な放射線露出は、方法400を実施する結果として著しく増加せず、処置付与精度が高められる。X線像形成による放射線露出は、図8を参照して以下に詳細に述べる。
【0040】
図5A−5Cは、本発明の一実施形態による規範的な処置プランの一部分を示すタイミング図である。図5Aにおいて、規範的処置プラン500は、方法400により調整されていない。処置プラン500は、取得するのに3秒を要する診断X線像502を、それに続いて、1秒を要するLINAC再位置付け504(例えば、LINACに向いたロボットアームの移動)を要求する。LINAC再位置付けの後に、第1の処置ビーム506が12秒間送出され、それに続いて、LINAC再位置付け508が別の1秒間行われるようにスケジュールされる。次いで、第2の処置ビーム510が6秒間送出される。
【0041】
図5Bは、本発明の一実施形態により、10秒の画像年令スレッシュホールドに基づいて方法400により調整された後の規範的処置プラン500に対応する規範的処置プラン520を示す。図示されたように、第1の診断X線像502及びLINAC再位置付け504は、不変である。しかしながら、第1の処置ビーム506は、画像年令スレッシュホールドを越える時間巾を有し、処置ビーム1A 526及び処置ビーム1B 534へと分割される。6秒の時間巾を有する処置ビーム1A 526は、第2の診断X線像502が取り出された後に送出されるようスケジュールされる。処置ビーム1A 526の送出が完了した直後に処置ビーム1B 534の送出が行われた場合には、処置ビーム1B 534の送出が完了すると、画像年令スレッシュホールドを越える。それ故、処置ビーム1B 534の送出の前に、第2の診断X線像530を取り出すようにスケジュールされる。第2の処置ビーム510を送出するようにスケジュールされる前に、第3の診断X線像538を取り出すようにスケジュールされる。
【0042】
第2の診断X線像530及び第3の診断X線像538が取り出される前に、処置アイソセンターに向けてLINACを再位置付けするために付加的なLINAC再位置付け528及び536が指示される。このようなLINAC再位置付け528、536は、LINACが診断X線像と干渉しない(例えば、その一部分を阻止しない)よう保証するための予防策である。一実施形態において、どのLINAC位置がX線像形成と干渉するか分かり、全体的な処置時間を短縮するために新たな診断X線像の取得に関連してロボットの動きをプランニングする。当業者であれば、ここに示す時間及び期間は、全て、例示に過ぎず、それに限定されないことが明らかであろう。本教示の範囲を越えることなくより長い又はより短い時間又は期間を使用することができる。
【0043】
図5Cは、本発明の別の実施形態により、10秒の画像年令スレッシュホールドに基づいて方法400により調整された後の規範的処置プラン500に対応する規範的処置プラン540を示す。図5Cにおいて、第1の処置ビーム506は、時間巾が10秒の処置ビーム1A 546と、時間巾が2秒の処置ビーム1B 554とに分離される。処置ビーム1A 546が送出された後に、第2の診断X線像550が取り出される。しかしながら、図5Bに示す例とは異なり、図5Cでは、第2の診断X線像550の時間から10秒が経過する前に処置ビーム1B 554及び第2の処置ビーム510の両方を送出することができる。図5Cに示すように、処置プランニングシステムは、必要とされる診断X線像の数を最小にし、患者への全体的なX線露出を減少できるように処置ビームを分割することができる。
【0044】
図6は、X線像形成のタイミングを制御するための方法600の一実施形態を示す。一実施形態において、この方法600は、図2の放射線処置システム200又は図3の放射線処置システム300により遂行される。ブロック605において、予想されるターゲットの動き、複数の放射線処置ビーム、及び初期のX線像形成頻度/周期を含む放射線処置プランが受け取られる。初期のX線像形成頻度/周期は、画像年令スレッシュホールドに基づくものである。一実施形態において、X線像形成頻度及びX線像形成周期は、画像年令スレッシュホールドに基づくターゲットのX線像形成頻度及びターゲットのX線像形成周期を反映する。ある診断X線像の実際のタイミングは、X線像形成周期より早くに又はX線像形成周期より遅くにこれら診断X線像を取り出せるようにする。それ故、診断X線像の実際のタイミングは、初期X線像形成頻度/周期に対して平均となる。処置ビームをどのように分割するか及び診断X線像をいつスケジュールするかの例については、図5A−5Cを参照されたい。
【0045】
画像ガイド型放射線処置は、受け取られた処置プランを使用して開始される。ブロック610において、ターゲットの診断X線像が取得される。診断X線像は、好ましくは近傍の敏感な構造部への放射線処置ビームの送出を回避しながら、放射線処置ビームをターゲットへ正確に送出するために、ターゲットの位置を計算するのに使用される。ターゲットのX線像を取得するのに続いて、1つ以上の放射線処置ビームが送出される。
【0046】
X線像の年齢が画像年令スレッシュホールドを越える場合には、より多くの放射線処置ビームを送出する前に付加的な診断X線像を取得することができる。これは、放射線処置ビームが精密で且つ正確であることを保証できる。ブロック615において、ターゲットの付加的なX線像が取得される。ブロック620において、像形成システムは、ターゲットの動きを追跡するために第1の診断X線像を付加的な診断X線像と比較する。順次の像間の差を利用して、患者座標系を処置座標系と位置合わせし、処置ビームが病理解剖学的部位に対して正確に位置付けられるよう保証する。順次の像間の差は、特徴認識、パターン強度マッチング、等の良く知られた方法を使用して測定することができる。
【0047】
ブロック625において、ターゲットの動きが、予想されるターゲットの動きに基づく処置公差内であるかどうか決定される。例えば、ある量のターゲットの動きが、処置プランにより予想され、考慮される。しかしながら、順次の診断X線像の間の差が、その予想され又は計画された動きの量とは異なるターゲットの動きの量を指示する場合には、放射線ビームを良好に向けるためにX線像形成頻度を調整する必要がある。従って、ターゲットの動きが処置公差内にない場合には(例えば、順次の診断X線像の間の差で指示されるターゲットの動きが、ある時間間隔中に、計画又は予想されるターゲットの動きより大きい場合には)、この方法は、ブロック630へ進み、X線像形成頻度が高められる(画像年令スレッシュホールドが下げられる)。例えば、患者の前立腺が1mm/分の速度で動くことが予想され、X線像形成頻度は、最初に、前立腺の動きが順次の診断X線像の間で1mm以下であるようにセットされる。しかしながら、前立腺の動きが順次の診断X線像の間で1mmを越えることが検出された場合には、X線像形成頻度を高めて、前立腺の動きが順次の診断X線像の間で1mm以下となるように保証することができる。順次の診断X線像の間の時間間隔が減少される場合には、予想より大きなターゲットの動きに応答して診断X線像の合計数が増加される。
【0048】
一実施形態において、ターゲットの動きが、予想されるターゲットの動きにほぼ等しい場合には、この方法は、ブロック660へ進む。ターゲットの動きが、予想されるターゲットの動きより小さい場合には、この方法は、ブロック635へ進み、X線像形成頻度が下げられ(画像年令スレッシュホールドが上げられ)、その後、この方法は、ブロック645へ進む。順次の診断X線像の間の時間間隔が、予想されるターゲットの動きより小さいことに応答して増加される場合には、X線像の合計数が減少される。
【0049】
ブロック645において、同じノード及び方向を有する放射線処置ビームを合成してもX線像形成周期(これは、画像年令スレッシュホールドに基づく)内に送出を完了できるかどうか決定される。例えば、処置プランは、特定ドーズの放射線をLINACの特定の位置及び方向からターゲットに送出すべきことを識別する。初期のX線像形成頻度/周期のために、そのドーズの放射線を複数の処置ビームにおいて送出して、画像年令スレッシュホールドの後に患者へ送出される処置ビームがないようにしてもよい。X線像形成頻度を下げると、これら複数の処置ビームの幾つかを合成しても、画像年令スレッシュホールドを満足する。例示のために、図5A−5Cを参照して述べた例において画像年令スレッシュホールドが12秒に調整された場合には、処置プラン520及び540を、処置プラン500に類似するように改訂することができる。処置ビームを合成できる場合には、この方法は、ブロック655へ進み、さもなければ、この方法は、ブロック660へ進む。
【0050】
ブロック640において、放射線処置ビームがX線像形成周期の外側で送出を完了する(画像年令スレッシュホールドを越えて延びる)かどうか決定される。放射線処置ビームがX線像形成周期内に送出を完了しない場合には、この方法は、ブロック650へ進む。さもなければ、この方法は、ブロック660へ進む。
【0051】
ブロック650において、X線像形成周期の外側で送出を完了する(画像年令スレッシュホールドを越えて延びる)放射線処置ビームは、複数の放射線処置ビームへ分割される。例えば、放射線処置ビームの時間巾がX線像形成周期より大きい場合には、それが分割される。
【0052】
ブロック660において、像形成システムは、X線像又は付加的なX線像に基づいてターゲットの位置を計算する。ブロック665において、処置システムは、ターゲット位置を使用して放射線処置ビームを向ける。
【0053】
ブロック670において、処置が完了したかどうか決定される。処置がまだ完了しない場合には、この方法は、ブロック675へ続く。処置が完了した場合には、この方法は、終了となる。
【0054】
ブロック675において、処置システムは、診断X線像の年齢が、完了時間の前に画像年令スレッシュホールドを越えるかどうか決定する。診断X線像の年齢が、完了時間の前に画像年令スレッシュホールドを越える場合には、この方法は、ブロック615へ進み、新たな診断X線像が得られる。さもなければ、この方法は、ブロック665へ進み、別の放射線処置ビームが患者へ送出される。
【0055】
一実施形態において、順次のX線像に基づきターゲットの動きを計算するのではなく、方法600では、検出された患者の動きに基づいてターゲットの動きが推測される。このような患者の動きは、画像データを収集する光学スキャナ、レーザレンジファインダー、RFIDシステム、等により検出される。或いは又、動き検出装置でターゲットの動きを直接測定してもよいが、放射線処置ビームを送出する目的でターゲットの位置を正確に識別するに充分なほど高い解像度を有していない。例えば、動き検出装置は、ターゲットの超音波画像を取り出す超音波イメージャーである。このような実施形態では、ブロック615において、ターゲットの動きを表すX線像以外のデータが、X線像に代わって又はX線像に加えて、取得される。このような実施形態では、ブロック620がスキップされ、ターゲットの動きを表すデータを使用して、ターゲットの動きの量を決定することができる。
【0056】
図7Aは、X線像形成のタイミングを制御する方法700の別の実施形態を示す。この方法700は、単一の診断X線像、又は異なる時間に撮影される複数の診断X線像のタイミングを制御することができる。複数の診断X線像のタイミングが制御される場合には、このような制御は、X線像形成頻度(及びX線像形成周期)を制御することを含む。一実施形態では、方法700は、放射線処置システム300又は放射線処置システム200により遂行される。
【0057】
ブロック705において、ターゲットの診断X線像が取得される。ブロック710において、ターゲットの動きを表す測定データ(例えば、診断X線、超音波センサの読み、カメラの読み、等)が取得される。測定データは、図3を参照して述べた動き検出装置313で患者を監視することにより取得される。或いは又、測定データは、順次の診断X線像の比較、及び/又は現在の診断X線像と事前処置像との比較を使用して、予想より大きなターゲットの動きが生じたかどうか決定する像形成システムにより取得される。
【0058】
ブロック715において、ターゲットの動きが分析され、そしてユーザ選択又は予め決定された動きスレッシュホールドと比較される。ターゲットの動きは、筋肉の引きつり、発作(例えば、咳、クシャミ、身震い、等)、自発的な患者の動き(例えば、患者が身体を移動する)、又は徐々の動き(例えば、膀胱がいっぱいになる又は筋肉が弛緩する)によるもののような突然の患者の動きから生じる。このような患者/ターゲットの動きは、放射線処置ビームがターゲットを外れてその周囲の健康な組織及び重要な構造部に当たるようにさせるに充分な動きをターゲットに生じさせる。ターゲットの動きが動きのスレッシュホールドを越えた場合には、この方法は、ブロック720へ進み、ターゲットの付加的な診断X線像が取得される。更に、X線像形成頻度を使用してX線像形成のタイミングを制御する場合には、ターゲットの動きの増加を考慮するようにX線像形成頻度を変更することができる。ターゲットの動きがターゲットのスレッシュホールド内である場合には、この方法は、ブロック725へ進み、そこで、像形成システムは、診断X線像及び/又は付加的な診断X線像に基づいてターゲットの位置を計算する。ブロック730において、処置システムは、ターゲットの位置を使用して画像ガイド型処置を遂行する。
【0059】
図7Bは、X線像形成を制御する方法750の更に別の実施形態を示す。この方法750は、単一の診断X線像、又は異なる時間に撮影される複数の診断X線像のタイミングを制御することができる。複数の診断X線像のタイミングが制御される場合には、このような制御は、X線像形成頻度(及びX線像形成周期)を制御することを含む。一実施形態では、方法750は、放射線処置システム300又は放射線処置システム200により遂行される。
【0060】
ブロック755において、ターゲットの診断X線像が取得される。X線像は、ターゲットの1つ以上の2D投影X線像、3D CT像、等である。ブロック760において、X線像に基づきターゲットの位置が計算される。計算された位置を使用して、放射線処置ビームを当てる場所を正確に決定することができる。ブロック765において、計算されたターゲット位置に基づき放射線処置を開始又は再開する。
【0061】
ブロック770において、ターゲットの動きを表す測定データが取得される。処置の進行中に、ターゲットの動きを表す測定データが連続的に又は周期的に取得される。測定データは、超音波センサ、カメラのような光学センサ、圧力センサ、レーザレンジファインダー、電磁センサ、或いはユーザへイオン化放射線を送出せずに動き検出を行うことのできる他のセンサ(例えば、X線像形成システム以外のセンサ)により取得することができる。一実施形態では、測定データは、センサによりリアルタイムで取得される。或いは又、測定データは、(各X線像に伴い患者へ送出される放射線ドーズのために)X線像形成で達成できるか又はそれで望まれるものより高い(潜在的にかなり高い)頻度で得ることができる。一実施形態では、測定データは、高い絶対的な位置精度を与えない。むしろ、測定データは、患者の動き及び/又はターゲットの動きを検出するに充分な相対的な位置精度を与えてもよい。
【0062】
ブロック775において、ターゲットの動きを決定又は推定するために測定データが分析される。測定データは、ターゲットの動きを直接測定したものでもよいし、或いはターゲットの動きを表す体外又は体内目印の動きを測定したものでもよい。体外の目印は、例えば、患者の胸部又は頭部を含む。ターゲットの動きは、ユーザ選択された又は予め決定された特定の動きスレッシュホールドと比較される。ターゲットの動きが動きスレッシュホールドを越える(特定の処置公差から外れる)場合には、この方法は、ブロック780へ進む。ターゲットの動きが動きスレッシュホールドを越えない(特定の処理公差内にある)場合には、この方法は、ブロック785へ進む。
【0063】
ブロック780において、放射線処置が休止されるか、又は患者へ送出されている現在放射線処置ビームが完了とされ、その後、処置が休止される。この方法は、次いで、次のX線像を取得するためにブロック755へ戻る。
【0064】
ブロック785において、システムは、放射線処置が完了したかどうか決定する。処置工程のための全ての放射線処置ビームが患者へ送出されたときに放射線処置が完了となる。放射線処置が完了しない場合には、この方法は、ブロック790へ進み、最後のX線像に基づいて計算されたターゲット位置を使用して放射線処置が続けられる。この方法は、次いで、ブロック770へと続き、ターゲットの動きを表す測定データを取得し続ける。放射線処置が完了した場合には、この方法が終了となる。
【0065】
患者から得られる各診断X線像は、患者をある量の放射線に露出させる。診断X線像が患者を露出させるところの放射線の量は、X線源の電力レベルと、診断X線像を発生するのに使用される診断X線ビームの期間とに依存する。画像ガイド型処置中に、典型的に、複数の診断X線像が撮影される。それ故、画像ガイド型処置(単一の処置工程及び/又は複数の処置工程を含む)は、患者を高レベルの放射線に露出させることがある。一実施形態では、送出され及び患者へ送出される放射線の量が監視される。処置のための合計放射線露出が放射線露出スレッシュホールドを越える場合には、患者へ送出される合計放射線量を減少するように処置プランが調整される。
【0066】
図8は、本発明の一実施形態により患者のX線露出を監視する方法800を示す。この方法800は、放射線処置プランに対してX線像形成頻度又は画像年令スレッシュホールドが変更されるときに行われる。或いは又、この方法800は、患者が過剰な放射線に露出されないよう保証するために周期的に又は連続的に行われてもよい。一実施形態では、この方法800は、放射線処置システム300又は放射線処置システム200によって行われる。
【0067】
ブロック805において、患者の現在放射線処置露出が決定される。現在放射線処置露出は、患者が受けたX線の回数と、各X線の電力及び期間とに基づき(即ち、X線像形成を通して患者へ送出されたドーズに基づき)決定することができる。これらの各値は、診断X線像が撮影されるときに記録され、及び/又は患者の放射線処置プランに含まれる。ブロック810において、予想される将来の診断X線像の数が識別され、これは、処置中に患者へ送出される全X線像を含む。処置は、数日又は数週の期間にわたり行われるか、又は1日で行われる。将来のX線像の数は、放射線処置プランにスケジュールされる像の数を分析することにより決定される。或いは又、将来の像の数は、X線像形成頻度に基づいて決定されてもよい。ブロック815において、将来のX線像形成によって送出される放射線の量が決定され、これは、将来のX線像の電力レベル及び期間に基づいて計算することができる。ブロック820において、現在放射線露出量と、予想される将来の放射線露出力を加算することにより、患者の全放射線露出量が決定される。ブロック825において、全予想患者放射線露出量が放射線露出スレッシュホールドと比較される。全予想放射線露出量が放射線露出スレッシュホールドを越える場合には、この方法は、ブロック830へ進む。さもなければ、この方法は終了となる。
【0068】
ブロック830において、患者が露出される放射線量を減少するために、患者の放射線処置プランが変更される。放射線露出量を減少するために行うことのできる変更は、例えば、像形成頻度を下げて、患者へ送出されるX線の回数を制限することである。一実施形態では、最大像形成頻度がセットされる。臨床医がその最大像形成頻度を越えて像形成頻度を調整するように試みる場合には、臨床医は、患者が非健康的な放射線レベルまで露出される旨の警告を受ける。或いは又、最大像形成頻度を越えることができないようにしてもよい。放射線露出量を減少するために画像処置プランに対して行うことのできる変更の別の例は、診断X線像の電力レベルを下げることである。又、当業者に明らかなように、他の調整を行うこともできる。ブロック835において、患者に対する予想及び現在放射線露出量が表示される。この方法は、次いで、終了となる。
【0069】
図9は、本発明の特徴を具現化する放射線処置の遂行に使用されるシステムの一実施形態を示す。図9に示され、以下に述べるように、システム900は、診断像形成システム905と、処置プランニングシステム910と、処置付与システム915と、動き検出システム906とを備えている。一実施形態では、診断像形成システム905及び動き検出システム906は、単一のユニットへと合成される。
【0070】
動き検出システム906は、患者の動き及び/又はターゲットの動きを検出できる任意のシステムでよい。例えば、動き検出システム906は、コンピュータ断層撮影(CT)システム、超音波システム、ビデオカメラ、等である。動き検出システム906は、患者及び/又はターゲットの動きを検出するための1つ以上のセンサ908を含む。例えば、ビデオカメラは、レンズと、入射光を電気信号へと変換するための電荷結合デバイス(CCD)のアレイとを含む。
【0071】
センサ(1つ又は複数)908は、動き検出動作を制御しそしてセンサデータを処理するためにデジタル処理システム912へ結合される。動き検出システム906は、デジタル処理システム912及びセンサ908の間でデータ及びコマンドを転送するためにバス又は他の手段982を備えている。デジタル処理システム912は、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、特殊目的プロセッサ、例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の形式の装置、例えば、コントローラ又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。又、デジタル処理システム912は、メモリ、記憶装置、ネットワークアダプタ、等の他のコンポーネント(図示せず)も含む。デジタル処理システム912は、ターゲットの動きを計算する。デジタル処理システム912は、データリンク984を経て処置付与システム915へ又はデータリンク988を経て診断像形成システム905へターゲットの動きを送信し、データリンクは、例えば、直接リンク、ローカルエリアネットワーク(LAN)リンク、又はインターネットのようなワイドエリアネットワーク(WAN)である。更に、システム間で転送される情報は、例えば、リモート診断又は処置プランニング構成において、システムを接続する通信媒体にわたってプル又はプッシュされる。
【0072】
診断像形成システム905は、その後の医療診断、処置プランニング、及び/又は処置付与に使用できる患者の医療診断画像を発生できる任意のシステムである。例えば、診断像形成システム905は、コンピュータ断層撮影(CT)システム、磁気共鳴像形成(MRI)システム、陽電子放射断層撮影(PET)システム、超音波システム、等である。説明を容易にするために、診断像形成システム905は、時々、CTX線像形成形態に関連して以下に説明する。しかしながら、上述したような他の像形成形態も使用できる。
【0073】
一実施形態において、診断像形成システム905は、像形成ビーム(例えば、X線、超音波、高周波、等)を発生するための像形成線源920と、この像形成線源により発生されたビーム、或いはその像形成線源からのビームで刺激された二次ビーム又は放射を(例えば、MRI又はPETスキャンにおいて)検出し受け取るための像形成検出器930とを備えている。
【0074】
像形成線源920及び像形成検出器930は、像形成動作を制御し像データを処理するためにデジタル処理システム925へ結合される。一実施形態において、診断像形成システム905は、動き検出システム906から動きデータを受け取り、その動きデータに基づき像をいつ取得すべきか決定する。別の実施形態では、診断像形成システム905は、処置付与システム915から像形成コマンドを受け取る。
【0075】
診断像形成システム905は、デジタル処理システム925、像形成線源920及び像形成検出器930の間でデータ及びコマンドを転送するためのバス又は他の手段980を含む。デジタル処理システム925は、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、特殊目的プロセッサ、例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、或いは他の形式の装置、例えば、コントローラ又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。又、デジタル処理システム925は、メモリ、記憶装置、ネットワークアダプラ、等の他のコンポーネント(図示せず)も含む。デジタル処理システム925は、デジタル診断画像を標準フォーマット、例えば、DICOM(医療デジタル像形成及び通信)フォーマットで発生するように構成される。他の実施形態では、デジタル処理システム925は、他の標準的又は非標準的デジタル像フォーマットを発生する。デジタル処理システム925は、データリンク983を経て処置付与システム915へ診断像ファイル(例えば、上述したDICOMフォーマットのファイル)を送信し、そのデータリンクは、例えば、直接リンク、ローカルエリアネットワーク(LAN)リンク、又はインターネットのようなワイドエリアネットワーク(WAN)である。更に、システム間で転送される情報は、例えば、リモート診断又は処置プランニング構成において、システムを接続する通信媒体にわたってプル又はプッシュされる。リモート診断又は処置プランニングでは、ユーザは、システムユーザと患者との間に物理的な分離が存在しても、本発明の実施形態を利用して、患者を診断又は処置することができる。
【0076】
処置付与システム915は、処置プランに合致するようにターゲット体積部への規定の放射線ドーズを管理するための治療及び/又は手術用放射線源960を含む。又、処置付与システム915は、放射線源960を制御し、診断像形成システム905及び/又は動き検出システム906からデータを受け取って処理し、且つ処置寝台975のような患者支持装置を制御するためのデジタル処理システム970も備えている。このデジタル処理システム970は、2つ以上の立体的投影により診断像形成システム905から受け取られる2D放射線写真画像を、診断像形成システム905においてデジタル処理システム925により発生されるデジタル再構成放射線写真(DRR)及び/又は処置プランニングシステム910において処理装置940により発生されるDRRと位置合わせするように構成される。又、デジタル処理システム970は、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、特殊目的プロセッサ、例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、又は他の形式の装置、例えば、コントローラ又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を含む。又、デジタル処理システム970は、メモリ、記憶装置、ネットワークアダプタ、等の他のコンポーネント(図示せず)も含む。
【0077】
一実施形態において、デジタル処理システム970は、処理装置により実行されるべきインストラクション及び情報を記憶するために処理装置に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又は他のダイナミック記憶装置を含むシステムメモリを備えている。又、このシステムは、処理装置によるインストラクションの実行中に一時的変数又は他の中間情報を記憶するためにも使用される。又、このシステムは、処理装置のスタティック情報及びインストラクションを記憶するためのリードオンリメモリ(ROM)及び/又は他のスタティック記憶装置も備えている。
【0078】
更に、デジタル処理システム970は、情報及びインストラクションを記憶するための1つ以上の記憶装置(例えば、磁気ディスクドライブ又は光学ディスクドライブ)を表す記憶装置も備えている。この記憶装置は、ここに述べる処置付与ステップを遂行するためのインストラクションを記憶するのに使用される。デジタル処理システム970は、バス992又は他の形式の制御及び通信インターフェイスにより放射線源960及び処置寝台975に結合される。
【0079】
又、デジタル処理システム970は、ターゲットと、放射線源960により送出される処置放射線ビームとの整列を維持するように診断X線像形成のタイミングを管理する方法(例えば、上述した方法300ないし800)を実施する。
【0080】
一実施形態では、処置付与システム915は、バス992を経てデジタル処理システム970に接続された入力装置978及びディスプレイ977を備えている。ディスプレイ977は、ターゲットの動き速度(例えば、処置中のターゲット体積部の動き速度)を識別するトレンドデータを示すことができる。又、ディスプレイは、患者の現在放射線露出量及び患者の投影放射線露出量も示すことができる。入力装置978は、臨床医が処置中に処置付与プランのパラメータを調整できるようにする。例えば、臨床医は、入力装置978を経て新たな画像年令スレッシュホールド又はターゲット動きスレッシュホールドを選択することができる。
【0081】
処置プランニングシステム910は、処置プランを作成し及び変更するための処理装置940を備えている。この処理装置940は、1つ以上の汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、特殊目的プロセッサ、例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、或いは他の形式の装置、例えば、コントローラ又はフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)を表している。処理装置940は、ここに述べる処置プランニング操作を遂行するためのインストラクションを実行するように構成される。
【0082】
又、処置プランニングシステム910は、処理装置940によって実行されるべき情報及びインストラクションを記憶するためにバス986により処理装置940に結合されたランダムアクセスメモリ(RAM)又は他のダイナミック記憶装置を含むシステムメモリ935も備えている。又、システムメモリ935は、処理装置940によるインストラクションの実行中に一時的変数又は他の中間情報を記憶するのにも使用される。又、システムメモリ935は、処理装置940のスタティック情報及びインストラクションを記憶するためにバス986に結合されたリードオンリメモリ(ROM)及び/又は他のスタティック記憶装置も含む。
【0083】
又、処置プランニングシステム910は、情報及びインストラクションを記憶するためにバス986に結合された1つ以上の記憶装置(例えば、磁気ディスクドライブ又は光学ディスクドライブ)を表す記憶装置945も備えている。この記憶装置945は、ここに述べる処置プランニングステップを遂行するためのインストラクションを記憶するのに使用される。
【0084】
又、処理装置940は、ユーザに情報(例えば、VOIの2D又は3D表現)を表示するために陰極線管(CRT)又は液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイ装置950へ結合される。情報及び/又はコマンド選択を処理装置940へ通信するために、キーボードのような入力装置955が処理装置940に結合される。又、方向性情報を通信し、処理装置940のコマンドを選択し、そしてディスプレイ950上のカーソル移動を制御するために、1つ以上の他のユーザ入力装置(例えば、マウス、トラックボール又はカーソル方向キー)が使用されてもよい。
【0085】
処置プランニングシステム910は、そのデータベース(例えば、記憶装置945に記憶されたデータ)を、処置付与システム915のような処置付与システムと共有し、処置付与の前に処置プランニングシステムからエクスポートする必要がないようにする。処置プランニングシステム910は、直接的リンク、LANリンク又はWANリンクであるデータリンク990を経て処置付与システム915へリンクされる。
【0086】
データリンク983、984及び990がLAN又はWAN接続として実施されるときには、診断像形成システム905、処置プランニングシステム910、動き検出システム906及び/又は処置付与システム915のいずれかを分散した位置に置き、それらシステムが互いに物理的にリモートであるようにすることに注意されたい。或いは又、診断像形成システム905、処置プランニングシステム910、動き検出システム906及び/又は処置付与システム915のいずれかを1つ以上のシステムに置いて互いに一体化してもよい。
【0087】
ここに述べる方法及び装置は、医療診断像形成及び処置のみに使用するよう限定されないことに注意されたい。別の実施形態では、ここに述べる方法及び装置は、医療技術分野以外の用途、例えば、工業用像形成及び材料の非破壊試験(例えば、自動車産業におけるモータ拘束、航空機産業における機体、建設産業における溶接、及び石油産業におけるドリルコア)、並びに地震探査にも使用できる。このような用途では、例えば、「処置」とは、一般的に、放射線ビーム(1つ又は複数)を当てることを指す。
【0088】
以上の説明から、本発明の態様は、少なくとも一部分はソフトウェアで実施できることが明らかであろう。即ち、その技術は、コンピュータシステム又は他のデータ処理システムにおいて、そのプロセッサ、例えば、デジタル処理システム970がメモリに含まれたインストラクションのシーケンスを実行するのに応答して、実施することができる。種々の実施形態において、ハードウェア回路をソフトウェアインストラクションと組み合せて本発明を実施することができる。従って、その技術は、ハードウェア回路及びソフトウェアの特定の組み合わせ、又はデータ処理システムにより実行されるインストラクションの特定のソースに限定されない。更に、この説明を通じて、種々の機能及び動作は、説明を簡単にするために、ソフトウェアコードにより遂行され又は引き起こされるものとして述べる。しかしながら、当業者であれば、デジタル処理システム970のようなプロセッサ又はコントローラによるコードの実行から機能が生じることが明らかであろう。
【0089】
データ処理システムにより実行されたときにそのシステムが本発明の種々の方法を遂行するところのソフトウェア及びデータを記憶するのにマシン読み取り可能な媒体を使用することができる。この実行可能なソフトウェア及びデータは、例えば、システムメモリ及び記憶装置を含む種々の場所、或いはソフトウェアプログラム及び/又はデータを記憶できる他の装置に記憶することができる。
【0090】
従って、マシン読み取り可能な媒体は、マシン(例えば、コンピュータ、ネットワーク装置、パーソナルデジタルアシスタント、製造ツール、1組の1つ以上のプロセッサを伴う装置、等)によりアクセスできる形態で情報を与える(即ち、記憶及び/又は送信する)メカニズムを含む。例えば、マシン読み取り可能な媒体は、記録可能/記録不能な媒体(例えば、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学的記憶媒体、フラッシュメモリ装置、等)、並びに電気的、光学的、音響的又は他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号、等)、等々を含む。
【0091】
ここに述べる方法及び装置は、医療診断像形成及び処置のみに使用するよう限定されないことに注意されたい。別の実施形態では、ここに述べる方法及び装置は、医療技術分野以外の用途、例えば、工業用像形成及び材料の非破壊試験に使用されてもよい。このような用途では、例えば、「処置」とは、一般的に、ビーム(例えば、放射線、音響、等)の付与のような、処置プランニングシステムにより制御される動作の遂行を指し、「ターゲット」とは、非解剖学的対象物又は領域を指す。
【0092】
幾つかの実施形態は、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されるインストラクションを含むコンピュータプログラム製品として実施される。これらインストラクションは、ここに述べる動作を遂行するために汎用プロセッサ又は特殊目的プロセッサをプログラムするのに使用される。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータにより読み取りできる形態(例えば、ソフトウェア、処理アプリケーション)で情報を記憶又は送信するためのメカニズムを含む。コンピュータ読み取り可能な媒体は、磁気記憶媒体(例えば、フロッピーディスケット)、光学記憶媒体(例えば、CD−ROM)、磁気光学記憶媒体、リードオンリメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、消去可能なプログラマブルメモリ(例えば、EPROM及びEEPROM)、フラッシュメモリ、或いは電子的インストラクションを記憶するのに適した別の形式の媒体を含むが、それらに限定されない。
【0093】
更に、幾つかの実施形態は、コンピュータ読み取り可能な媒体が2つ以上のコンピュータシステムに記憶され及び/又はそれにより実行されるような分散型コンピューティング環境において具現化される。更に、コンピュータシステム間で転送される情報は、コンピュータシステムを接続する通信媒体を横切ってプル又はプッシュされてもよい。
【0094】
ここに述べる方法の動作は、特定の順序で図示して説明したが、幾つかの動作を逆の順序で遂行するように、或いはある動作を、少なくとも一部分、他の動作と同時に遂行するように、各方法の動作の順序を変更することができる。別の実施形態では、個別の動作のインストラクション又はサブ動作が間欠的に及び/又は交互に行われてもよい。
【0095】
以上、本発明の特定の実施形態を参照して説明した。しかしながら、特許請求の範囲に規定された本発明の広い精神及び範囲から逸脱せずに種々の変更や修正がなされ得ることは明らかである。従って、明細書及び添付図面は、例示に過ぎず、それに限定されない。
【符号の説明】
【0096】
200:画像ガイド型放射線処置システム
201:リニアアクセラレータ(LINAC)
202:ロボットアーム
210:像形成システム
203A、203B:X線源
204A、204B:X線検出器
206:処置寝台
220:ターゲット
225:患者
230:プロセッサ
235:ロボットアーム
300:画像ガイド型放射線処置システム
310:像形成システム
312:動き検出装置
313:X線像形成装置
340:検出フィールド
350:像形成フィールド
905:診断像形成システム
910:処置プランニングシステム
915:処置付与システム
920:像形成線源
925:デジタル処理システム
930:像形成検出器
935:システムメモリ
940:処理装置
945:記憶装置
950:ディスプレイ
955:入力装置
960:放射線源
970:デジタル処理システム
975:処置寝台
978:入力装置
977:ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットの動きを表す測定データを取得するステップと、
ターゲットの動きに基づいて1つ以上のX線像のタイミングを決定するステップと、
を遂行するようにプログラムされたコンピューティングシステムにより実施される像形成方法。
【請求項2】
1つ以上のX線像に基づいてターゲットの位置を計算するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ターゲットの位置を使用して放射線処置ビームを向けるステップを更に備えた、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ターゲットの動きが処置公差内にあるかどうか決定するステップと、
ターゲットの動きが処置公差内にない場合にはターゲットのX線像を発生するステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記測定データは、以前のX線像を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
放射線処置ビームの完了までの時間を計算するステップと、
前記以前のX線像の年齢を前記完了までの時間と比較するステップと、
前記以前のX線像の年齢が前記完了までの時間までに画像年令スレッシュホールドを越える場合には、放射線処置ビームを送出する前に新たなX線像を取得するステップと、
を更に備えた請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ターゲットの動きを追跡するために前記以前のX線像を別の像と比較するステップと、
ディスプレイを経てターゲットの動きを視覚表示するステップと、
を更に備えた請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ターゲットの位置に基づいて画像年令スレッシュホールドを指定するステップと、
前記画像年令スレッシュホールドに基づいてX線像形成頻度を確立するステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ターゲットの動きがスレッシュホールドより上であるときにX線像形成頻度を上げるステップを更に備えた、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ターゲットの動きがスレッシュホールドより下であるときにX線像形成頻度を下げるステップを更に備えた、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
放射線処置ビームを複数の放射線処置ビームへと分割し、その放射線処置ビームの送出の完了が前記画像年令スレッシュホールドを越えて延びるようにするステップを更に備えた、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
複数の放射線処置ビームを単一の放射線処置ビームへと合成し、単一の放射線処置ビームの送出が画像年令スレッシュホールドにおいて又はその前に完了するようにするステップを更に備えた、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
ターゲットの動きがスレッシュホールドより上であると検出されたときに1つ以上のX線像を取得するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記測定データは、患者の超音波測定データ又は体外像形成データの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
患者の処置の前に、複数の放射線処置ビームを含む処置プランを決定するステップと、
初期の画像年令スレッシュホールドの選択を受け取るステップと、
少なくとも1つの放射線処置ビームの送出の完了が前記初期の画像年令スレッシュホールドを越えて延びることを決定するステップと、
少なくとも1つの放射線処置ビームを2つ以上の放射線処置ビームへと分割することにより前記処置プランを変更し、2つ以上の放射線処置ビーム各々の送出が前記初期の画像年令スレッシュホールドにおいて又はその前に完了するようにするステップと、
を更に備えた請求項1に記載の方法。
【請求項16】
ターゲットの動きに応答して画像ガイド型処置工程中に取られるX線像の合計数を調整するステップを更に備えた、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
1つ以上のX線像を発生するためのX線源を含む像形成装置と、
ターゲットの動きを表す測定データを取得するための動き検出装置と、
前記像形成装置及び動き検出装置に結合された処理装置であって、ターゲットの動きに基づいて1つ以上のX線像のタイミングを決定するように構成された処理装置と、
を備えた処置システム。
【請求項18】
前記処理装置は、更に、1つ以上のX線像に基づいてターゲットの位置を計算することを遂行するように構成された、請求項17に記載の処置システム。
【請求項19】
患者へ放射線処置ビームを送出するための放射線送出システムを更に備え、
前記処理装置は、更に、ターゲットの位置を使用して放射線処置ビームを向けるように構成される、請求項18に記載の処置システム。
【請求項20】
前記処理装置は、更に、
ターゲットの位置が処置公差内にあるかどうか決定すること、及び
ターゲットの位置が処置公差内にない場合に前記像形成装置がターゲットのX線像を発生するようにさせること、
を遂行するように構成される、請求項17に記載の処置システム。
【請求項21】
前記動き検出装置及び像形成装置は、単一システムであり、そして前記測定データは、以前のX線像を含む、請求項17に記載の処置システム。
【請求項22】
前記処理装置は、更に、
放射線処置ビームの完了までの時間を計算すること、
前記以前のX線像の年齢を前記完了までの時間と比較すること、及び
前記以前のX線像の年齢が前記完了までの時間までに画像年令スレッシュホールドを越える場合には、放射線処置ビームを送出する前に新たなX線像を取得すること、
を遂行するように構成される、請求項21に記載の処置システム。
【請求項23】
ディスプレイを更に備え、前記処理装置は、更に、ターゲットの動きを追跡するために前記以前のX線像を別の像と比較し、そして前記ディスプレイを経てターゲットの動きを視覚表示するように構成された、請求項21に記載の処置システム。
【請求項24】
前記処理装置は、更に、
ターゲットの動きに基づいて画像年令スレッシュホールドを指定すること、及び
前記画像年令スレッシュホールドに基づいてX線像形成頻度を確立すること、
を遂行するように構成される、請求項17に記載の処置システム。
【請求項25】
前記処理装置は、更に、ターゲットの動きがスレッシュホールドより上であるときに、X線像形成頻度を上げることを遂行するように構成された、請求項24に記載の処置システム。
【請求項26】
前記処理装置は、更に、ターゲットの動きがスレッシュホールドより下であるときに、X線像形成頻度を下げることを遂行するように構成された、請求項24に記載の処置システム。
【請求項27】
前記処理装置は、更に、放射線処置ビームを複数の放射線処置ビームへと分割し、その放射線処置ビームの送出の完了が前記画像年令スレッシュホールドを越えて延びるようにすることを遂行するように構成される、請求項24に記載の処置システム。
【請求項28】
前記処理装置は、更に、複数の放射線処置ビームを単一の放射線処置ビームへ合成し、単一の放射線処置ビームの送出が画像年令スレッシュホールドにおいて又はその前に完了することを遂行するように構成される、請求項24に記載の処置システム。
【請求項29】
前記処理装置は、更に、ターゲットの動きがスレッシュホールドより上であると検出されたときに1つ以上のX線像を取得することを遂行するように構成される、請求項17に記載の処置システム。
【請求項30】
前記動き検出装置は、超音波像形成装置であり、前記測定データは、超音波測定データである、請求項17に記載の処置システム。
【請求項31】
前記動き検出装置は、光学的追跡システムであり、前記測定データは、患者に配置されたマーカーの光学的追跡、又は患者の表面の光学的追跡、の少なくとも1つにより発生される、請求項17に記載の処置システム。
【請求項32】
前記動き検出装置は、レーザレンジファインダーを含み、前記測定データは、患者の表面とレーザレンジファインダーとの間の距離を表す、請求項17に記載の処置システム。
【請求項33】
前記処理装置は、更に、
患者の処置の前に、複数の放射線処置ビームを含む処置プランを決定すること、
初期の画像年令スレッシュホールドの選択を受け取ること、
少なくとも1つの放射線処置ビームの送出の完了が前記初期の画像年令スレッシュホールドを越えて延びることを決定すること、及び
少なくとも1つの放射線処置ビームを2つ以上の放射線処置ビームへと分割することにより前記処置プランを変更し、2つ以上の放射線処置ビーム各々の送出が前記初期の画像年令スレッシュホールドにおいて又はその前に完了するようにすること、
を遂行するように構成される、請求項17に記載の処置システム。
【請求項34】
前記処理装置は、更に、ターゲットの動きに応答して画像ガイド型処置工程中に取られるX線像の合計数を調整することを遂行するように構成される、請求項17に記載の処置システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−501792(P2012−501792A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526871(P2011−526871)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【国際出願番号】PCT/US2009/005149
【国際公開番号】WO2010/030397
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(505172824)アキュレイ インコーポレイテッド (13)
【Fターム(参考)】