説明

ターゲット材料、放射源、EUVリソグラフィ装置およびこれらを用いたデバイス製造方法

ターゲット材料は、6.8nm範囲内の波長を有する放射ビームを生成するように構成された放射源において使用されるように構成される。ターゲット材料は、Gdの溶融温度を変更するように構成されたGdベースの組成物、Tb、またはTbの溶融温度を低下させるように構成されたTbベースの組成物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
[0001] 本願は、2008年3月21日に出願した米国仮出願第61/064,720号の優先権を主張し、その全体を本願に参考として組み込む。
【0002】
[0002] 本発明は、ガドリニウムまたはテルビウムを含むターゲット材料、放射源およびEUVリソグラフィ装置、ならびにこれらを用いたデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板上、通常、基板のターゲット部分上に付与する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いることができる。その場合、ICの個々の層上に形成される回路パターンを生成するために、マスクまたはレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いることができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、ダイの一部、または1つ以上のダイを含む)に転写することができる。通常、パターンの転写は、基板上に設けられた放射感応性材料(レジスト)層上への結像によって可能となる。一般には、単一の基板が、連続的にパターニングされる隣接したターゲット部分のネットワークを含んでいる。公知のリソグラフィ装置としては、ターゲット部分上にパターン全体を一度に露光することにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるステッパ、および放射ビームによってある特定の方向(「スキャン」方向)にパターンをスキャンすると同時に、この方向に平行または逆平行に基板をスキャンすることにより各ターゲット部分を照射する、いわゆるスキャナが含まれる。パターンを基板上にインプリントすることにより、パターニングデバイスから基板にパターンを転写することも可能である。
【0004】
[0004] 特に、13.5nm範囲の放射、あるいは6.8nm範囲の放射までも使用するリソグラフィ装置が公知である。後者に対しては、ガドリニウム(Gd)ターゲットまたはガドリニウム化合物を含むターゲットが公知である。例えば、米国特許公開公報
第2006/0133574A1号は、6.8nmビームを生成するように設計されたGdターゲットを有するリソグラフィ装置について記載しており、6.8nm放射はレーザ生成プラズマ(LPP)を用いて生成される。EUV発光領域のレーザ吸収領域を近づけるために、あるいは重なるようにするために、公知のGdターゲットは、ガドリニウムまたはその化合物、例えば酸化ガドリニウムの結晶密度の0.5%〜80%の範囲における密度を有するように構成される。
【発明の概要】
【0005】
[0005] 公知のリソグラフィ装置では、約1313℃であるGdの高い溶融温度により、レーザ生成プラズマを生成するためにガドリニウムの小滴を生成することが技術的に要求されている。さらに、減少した密度を有するGdターゲットは、異なるEUV放射生成手段または放射ジェネレータとの使用に適していない。
【0006】
[0006] 放射生成手段または放射ジェネレータに対して多目的であり得るリソグラフィ装置で使用されるように構成された放射源において使用されるターゲット材料を提供することが、本発明の一態様である。
【0007】
[0007] 本発明の一態様によると、極端紫外線範囲内の波長を有する放射ビームを生成するように構成された放射源において使用されるターゲット材料が提供される。ターゲット材料は、Gdの溶融温度を変更するように構成されたGdベースの組成物を含む。
【0008】
[0008] ターゲット材料は、複数の成形前の固体小滴を含んでよい。これらの小滴を形成するためには、Gdベースの組成物を結合剤材料に埋め込んで固体小滴を形成することができる。Gd組成物は、Gd共晶合金のコロイド化合物を含んでよい。
【0009】
[0009] 組成物は、Gdの溶融温度を低下させるように構成されてよい。あるいは、組成物は、Gdの溶融温度を上昇させるように構成されてもよい。Gdの溶融温度を上昇させるように構成されたそのような組成物は、Gdと、例えばB、P、Se、As、S、Te、Sb、N、O、CまたはSiなどの非金属との合金を含んでよい。
【0010】
[0010] 本発明の一態様によると、前述されたようなターゲット材料を含むリソグラフィ装置における使用のための放射源が提供される。
【0011】
[0011] 本発明の一態様によると、前述されたような放射源を含むリソグラフィ装置が提供される。放射ビームは、レーザ生成プラズマ(LPP)源または放電生成プラズマ(DPP)源を用いて生成されてよい。
【0012】
[0012] リソグラフィ装置は、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付けされた放射ビームを形成することが可能であるパターニングデバイスを支持するように構成されたサポートと、基板を保持するように構成された基板テーブルと、基板のターゲット部分上にパターン付けされた放射ビームを投影するように構成された投影システムとをさらに含んでよい。
【0013】
[0013] 本発明の一態様によると、パターン付けされた放射ビームを基板上に投影することを含むデバイス製造方法が提供される。放射は、Gdの溶融温度を変更するように構成されたGdベースの組成物を含むターゲット材料を用いて生成される。
【0014】
[0014] 本発明の一態様によると、パターン付けされた放射ビームを基板上に投影することを含むデバイス製造方法が提供される。放射は、複数の成形前の固体小滴として構成されたGdを含むターゲット材料を用いて生成される。複数の成形前の固体小滴は、Gdの溶融温度を変更するように構成されたGd組成物を含んでよい。
【0015】
[0015] 本発明の一態様によると、パターン付けされた放射ビームを基板上に投影することを含むデバイス製造方法が提供される。放射は、テルビウムを含むターゲット材料を用いて生成される。
【0016】
[0016] 本発明の一態様によると、Gdの溶融温度を変更するように構成されたGdベースの組成物と、放射ビームを生成するためにレーザビームをターゲット材料に供給するように構成されたレーザ源とを含む放射源が提供される。
【0017】
[0017] 本発明の一態様によると、極端紫外線の放射ビームを生成するように構成された放射源を含むリソグラフィ装置が提供される。放射源は、Gdの溶融温度を変更するように構成されたGdベースの組成物と、放射ビームを生成するためにレーザビームをターゲット材料に供給するように構成されたレーザ源とを含む。装置は、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、パターニングデバイスを支持するように構成されたサポートとをさらに含む。パターニングデバイスは、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付けされた放射ビームを形成することが可能である。装置は、基板を保持するように構成された基板テーブルと、基板のターゲット部分上にパターン付けされた放射ビームを投影するように構成された投影システムとをさらに含む。
【0018】
[0018] 本発明の一態様によると、Gdの溶融温度を変更するように構成されたGdベースの組成物を含むターゲット材料を用いて放射を生成することと、放射をパターン付けすることと、パターン付けされた放射ビームを基板上に投影することとを含むデバイス製造方法が提供される。
【0019】
[0019] 本発明の一態様によると、複数の成形前の固体小滴として構成されたGdを含むターゲット材料を用いて放射を生成することと、放射をパターン付けすることと、パターン付けされた放射ビームを基板上に投影することとを含むデバイス製造方法が提供される。
【0020】
[0020] さらなる別の態様によると、極端紫外線範囲内の波長を有する放射ビームを生成するためのターゲット材料であって、複数の成形前の固体小滴として構成されたGdを含むターゲット材料が提供される。さらなる態様によると、そのようなターゲット材料は、リソグラフィ装置に含まれ得る放射源に含まれてよい。放射ビームは、レーザ生成プラズマ(LPP)または放電生成プラズマ(DPP)を用いて生成されてよい。リソグラフィ装置は、放射ビームを調整するように構成された照明システムと、放射ビームの断面にパターンを付与してパターン付けされた放射ビームを形成することが可能であるパターニングデバイスを支持するように構成されたサポートと、基板を保持するように構成された基板テーブルと、基板のターゲット部分上にパターン付けされた放射ビームを投影するように構成された投影システムとをさらに含んでよい。
【0021】
[0021] 本発明の一態様によると、テルビウムを含むターゲット材料を用いて放射を生成することと、放射をパターン付けすることと、パターン付けされた放射ビームを基板上に投影することとを含むデバイス製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
[0022] 本発明のいくつかの実施形態を、単なる例として、添付の概略図を参照して以下に説明する。これらの図面において同じ参照符号は対応する部分を示す。
【0023】
【図1】[0023] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示す。
【図2】[0024] 図2は、レーザ生成プラズマに対する構成の一実施形態を概略的に示す。
【図3】[0025] 図3は、放電生成プラズマに対する構成の一実施形態を概略的に示す。
【図4】[0026] 図4は、複数の固体小滴として構成されたGdターゲットの一実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[0027] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略的に示している。このリソグラフィ装置は、約6.8nmの波長を有する放射ビームBを調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、かつ特定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に位置決めするように構成された第1ポジショナPMに連結されているサポート構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、かつ特定のパラメータに従って基板を正確に位置決めするように構成された第2ポジショナPWに連結されている基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、パターニングデバイスMAによって放射ビームBに付与されたパターンを基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ以上のダイを含む)上に投影するように構成された投影システム(例えば、屈折投影レンズシステム)PSとを備える。
【0025】
[0028] 照明システムとしては、放射を誘導し、整形し、または制御するために、反射型、磁気型、電磁型、静電型、またはその他のタイプの光コンポーネント、あるいはそれらのあらゆる組合せなどのさまざまなタイプの光コンポーネントを含むことができる。
【0026】
[0029] サポート構造は、パターニングデバイスの重量を支えるなどしてパターニングデバイスを支持する。サポート構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、および、パターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた態様で、パターニングデバイスを保持する。サポート構造は、機械式、真空式、静電式またはその他のクランプ技術を使って、パターニングデバイスを保持することができる。サポート構造は、例えば、必要に応じて固定または可動式にすることができるフレームまたはテーブルであってもよい。サポート構造は、パターニングデバイスを、例えば、投影システムに対して所望の位置に確実に置くことができる。本明細書において使用される「レチクル」または「マスク」という用語はすべて、より一般的な「パターニングデバイス」という用語と同義であると考えるとよい。
【0027】
[0030] 本明細書において使用される「パターニングデバイス」という用語は、基板のターゲット部分内にパターンを作り出すように、放射ビームの断面にパターンを与えるために使用できるあらゆるデバイスを指していると、広く解釈されるべきである。なお、留意すべき点として、放射ビームに付与されたパターンは、例えば、そのパターンが位相シフトフィーチャまたはいわゆるアシストフィーチャを含む場合、基板のターゲット部分内の所望のパターンに正確に一致しない場合もある。通常、放射ビームに付けたパターンは、集積回路などのターゲット部分内に作り出されるデバイス内の特定の機能層に対応することになる。
【0028】
[0031] パターニングデバイスは、透過型であっても、反射型であってもよい。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、およびプログラマブルLCDパネルが含まれる。マスクは、リソグラフィでは公知であり、バイナリ、レべンソン型(alternating)位相シフト、およびハーフトーン型(attenuated)位相シフトなどのマスク型、ならびに種々のハイブリッドマスク型を含む。プログラマブルミラーアレイの一例では、小型ミラーのマトリックス配列が用いられており、各小型ミラーは、入射する放射ビームを様々な方向に反射させるように、個別に傾斜させることができる。傾斜されたミラーは、ミラーマトリックスによって反射される放射ビームにパターンを付ける。
【0029】
[0032] 本明細書において使用される「投影システム」という用語は、使われている露光放射にとって、あるいは液浸液の使用または真空の使用といった他の要因にとって適切な、反射型、磁気型、電磁型、および静電型光学系、またはそれらのあらゆる組合せを含むあらゆる型の投影システムを包含していると広く解釈されるべきである。本明細書において使用される「投影レンズ」という用語はすべて、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えるとよい。
【0030】
[0033] 本明細書に示されているとおり、リソグラフィ装置は、反射型のもの(例えば、反射型マスクを採用しているもの)である。また、リソグラフィ装置は、透過型のもの(例えば、透過型マスクを採用しているもの)であってもよい。
【0031】
[0034] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)以上の基板テーブル(および/または2つ以上のマスクテーブル)を有する型のものであってもよい。そのような「マルチステージ」機械においては、追加のテーブルは並行して使うことができ、または予備工程を1つ以上のテーブル上で実行しつつ、別の1つ以上のテーブルを露光用に使うこともできる。
【0032】
[0035] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射源SOから放射ビームを受ける。本発明による放射源は、約6.8nmの波長を有する放射ビームを生成するように構成されたターゲット材料を含む。ターゲット材料は、純Gdの溶融温度を変更するように構成されたGdベースの組成物を含む。詳細には、Gd組成物は、純Gdの溶融温度を低下させるように、あるいは純Gdの溶融温度を上昇させるように選択することも可能である。前者は、レーザ生成プラズマ(LPP)源における使用に特に有利であり得る。純Gdの溶融温度が約1313℃であるということにより、レーザビームによって衝突されるように設計される小滴の形成は技術的に難しい。ターゲット材料として、純Gdの代わりにGdの共晶合金を使用することにより溶融温度を実質的に低下させることによって、LPPの生成を実質的に簡略化することができる。例えば、表Iに記載された以下の共晶合金は、約6.8nmの波長を有する放射を放出するEUVターゲットとしての使用に適している。
【0033】
【表1】

【0034】
[0037] それぞれの合金におけるガドリニウムの所定の質量百分率に対して2倍のガドリニウムのオリジナル溶融温度の低下により、Gd:Cu、Gd:NiまたはGd:Coの共晶合金を使用することが望ましい場合がある。リソグラフィ装置のためのターゲット材料としての使用に適した共晶合金は、特定のGd質量百分率に限定されないが、あらゆる特定の共晶合金におけるGd原子量の百分率は約60%〜約90%の範囲内であってよい。共晶合金はバイメタル合金に限定されず、3つ以上の金属を含んでよい。
【0035】
[0038] 共晶合金は、純ガドリニウムの溶融温度を低下させるということの次に、純ガドリニウムターゲットと比較して少量の汚染を生成することができるという追加の利点を有することが分かった。ターゲットとしての小滴は、特に、小滴が最適量の放射生成材料を含む場合、大質量のターゲットと比較して少ない汚染を生成するという利点を有し得る。特に、小滴がそのような材料を最適量より少なく含む場合、レーザビームによる小滴の過熱が生じ得る。小滴がそのような材料を最適量より多く含む場合、相対的に冷たい材料が豊富であり、これは生成されたEUV放射を汚染および吸収し得る。固体小滴は、10〜100マイクロメートルの範囲、好ましくは10〜50マイクロメートルの範囲で寸法決めされてよく、よって、6.8nmビームの生成のために約1013〜1016の範囲内の最適量のGd原子を含むように構成されてよい。
【0036】
[0039] 低下した溶融温度を有するGdを含むターゲット材料は、複数の成形前(pre-fabricated)の固体小滴を含んでよい。そのような固体小滴におけるGd原子の最適量は、10〜100マイクロメートルの範囲内の小滴サイズに対して1013〜1016原子の範囲内であってよい。これは、流体小滴を使用する従来のLPPに対する技術的に単純化された同等物を示す。このようにして、大質量のターゲットから液体小滴を生成するステップを回避することができるため、6.8nm放射ビームを生成するために必要とされるかなりの量のエネルギーをセーブすることができる。Gdベースの共晶合金は、固体小滴を形成するためにプラスチックなどの結合剤材料の中に埋め込まれてよい。次に固体小滴は、6.8nm放射を生成するためにレーザビームの付近に提供されてよい。LPP源のさらなる詳細は、図2を参照して以下に述べられる。
【0037】
[0040] 一実施形態では、固体小滴は、さらなる適切なエレメントとのコロイド化合物として提供される適切なGd共晶合金によって形成されてよい。これは、単純化された小滴調製という利点を有し得る。
【0038】
[0041] Gdベースのターゲットの広い用途を可能にするためには、本発明の実施形態によると、Gd組成物は純Gdの溶融温度を上昇させるように構成されてよい。そのような組成物は、非金属とGdとの合金を含んでよく、非金属は、Ag、B、P、Se、As、S、Te、Sb、N、O、CおよびSiからなる群から選択される。
【0039】
[0042] 上昇した溶融温度を有するGd組成物の供給は、リソグラフィ装置での使用のために構成される放射源内の固体ターゲットとしての使用に好ましい場合がある。固体ターゲットは、放電生成プラズマ(DPP)源またはレーザ生成プラズマ源(LPP)との使用に適合することができ、液体小滴の形成は望ましくない。DPP源についてのさらなる詳細は、図3を参照して示される。
【0040】
[0043] 本発明の別の態様によると、放射源SOはテルビウム(Tb)を含むターゲット材料を使用するように構成されてよい。テルビウム原子構造は実験的に研究され、6.6〜6.8nmの範囲内で強力な輝線を示した。したがって、Tbを含むターゲット材料は、約6.8nm範囲内の放射を生成するように構成されたターゲットのための代替の解決策を示す。したがって、本発明の実施形態によると、極端紫外線範囲内の波長を有する放射ビームを生成するように構成された放射源において使用されるテルビウムを含むターゲット材料が提供される。
【0041】
[0044] 本発明のさらなる態様によると、Tbの溶融温度を変更するように構成されたTbベースの組成物が提供される。Tb合金は、1356℃といった相対的に高い溶融温度を有する。特に、Tbの溶融温度を低下させるように構成された共晶Tb合金を使用することが好ましい。使用され得る共晶Tb合金の例を表IIに示す。
【0042】
【表2】

【0043】
[0046] それぞれの合金におけるテルビウムの所定の質量百分率に対して約2倍のテルビウムのオリジナル溶融温度の低下により、Tb:Al、Tb:CuまたはTb:Mnの共晶合金を使用することが望ましい場合がある。リソグラフィ装置のためのターゲット材料としての使用に適した共晶合金は、特定のTb%原子量に限定されないが、あらゆる特定の共晶合金におけるTb原子量の百分率は約60%〜約90%の範囲内であってよい。共晶Tb合金はバイメタル合金に限定されず、3つ以上の金属を含んでよい。
【0044】
[0047] Tbまたは適切なTbベースの組成物を含むターゲット材料は、適切な複数の成形前の固体小滴を含んでよい。固体小滴は、10〜100マイクロメートルの範囲内、好ましくは、10〜50マイクロメートルの範囲内で寸法決めされてよく、よって、小滴の過熱(少なすぎる量のTb)および過度のデブリの生成(多すぎる量のTb)を回避する一方、6.8nmビームの生成のための所望の最適量のTb原子を含むように構成されてよい。10〜100マイクロメートルの範囲内で寸法決めされた固体小滴は、6.8nmビームの生成のために約1013〜1016の範囲内の最適量のTb原子を含むように構成されてよい。例えば、Tbベースの組成物は、固体小滴の形成のために結合剤材料の中に埋め込まれてよい。一実施形態では、そのような固体小滴は、Tb共晶合金またはTb共晶合金のコロイド化合物を含んでよい。本発明の一実施形態によるターゲット材料は、Tb、Tb酸化物またはTb塩のコロイド化合物を含んでよい。選択した塩が水溶性であった場合、固体小滴はそのようなTb塩の凝固した(frozen)水溶液を含んでよい。
【0045】
[0048] 一実施形態によると、デバイス製造方法が提供される。当該方法は、パターン付けされた放射ビームを基板上に投影することを含み、放射はテルビウムまたはテルビウムの溶融温度を変更するように構成されたテルビウムベースの組成物を含むターゲット材料を用いて生成される。テルビウムベースの組成物は、Tbの溶融温度を低下させるように構成されたTb共晶合金を含んでよい。
【0046】
[0049] 一実施形態によるデバイス製造方法は、パターン付けされた放射ビームを基板上に投影することを含み、放射は前述したようにTbまたはTbベースの組成物を含むターゲット材料を用いて生成される。TbまたはTbベースの組成物は、複数の成形前の固体小滴として構成されてよい。
【0047】
[0050] 適切なターゲット材料を含む放射源とリソグラフィ装置は、別個の構成要素であってもよい。そのような場合には、放射源は、リソグラフィ装置の一部を形成しているとはみなされず、また放射ビームは、放射源SOからイルミネータILへ、例えば、適切な誘導ミラーおよび/またはビームエキスパンダを含むビームデリバリシステムを使って送られる。放射源SOおよびイルミネータILは、必要ならばビームデリバリシステムとともに、放射システムと呼んでもよい。
【0048】
[0051] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調節するアジャスタを含むことができる。一般に、イルミネータの瞳面内の強度分布の少なくとも外側および/または内側半径範囲(通常、それぞれσ-outerおよびσ-innerと呼ばれる)を調節することができる。さらに、イルミネータILは、インテグレータおよびコンデンサといったさまざまな他のコンポーネントを含むことができる。イルミネータを使って放射ビームを調整すれば、放射ビームの断面に所望の均一性および強度分布をもたせることができる。
【0049】
[0052] 放射ビームBは、サポート構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されているパターニングデバイス(例えば、マスクMA)上に入射して、パターニングデバイスによってパターン形成される。マスクMAを通り抜けた後、放射ビームBは投影システムPSを通過し、投影システムPSは、基板Wのターゲット部分C上にビームの焦点をあわせる。第2ポジショナPWおよび位置センサIF2(例えば、干渉計デバイス、リニアエンコーダ、または静電容量センサ)を使って、例えば、さまざまなターゲット部分Cを放射ビームBの経路内に位置決めするように、基板テーブルWTを正確に動かすことができる。同様に、第1ポジショナPMおよび別の位置センサIF1を使い、例えば、マスクライブラリから機械的に取り出した後またはスキャン中に、マスクMAを放射ビームBの経路に対して正確に位置決めすることもできる。通常、マスクテーブルMTの移動は、第1ポジショナPMの一部を形成するロングストロークモジュール(粗動位置決め)およびショートストロークモジュール(微動位置決め)を使って達成することができる。同様に、基板テーブルWTの移動も、第2ポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールおよびショートストロークモジュールを使って達成することができる。ステッパの場合は(スキャナとは対照的に)、マスクテーブルMTは、ショートストロークアクチュエータのみに連結されてもよく、または固定されてもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスクアライメントマークM1およびM2と、基板アライメントマークP1およびP2とを使って、位置合わせされてもよい。例示では基板アライメントマークが専用ターゲット部分を占めているが、基板アライメントマークをターゲット部分とターゲット部分との間の空間内に置くこともできる(これらは、スクライブラインアライメントマークとして公知である)。同様に、複数のダイがマスクMA上に設けられている場合、マスクアライメントマークは、ダイとダイの間に置かれてもよい。
【0050】
[0053] 例示の装置は、以下に説明するモードのうち少なくとも1つのモードで使用できる。
【0051】
[0054] 1.ステップモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを基本的に静止状態に保ちつつ、放射ビームに付けられたパターン全体を一度にターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一静的露光)。その後、基板テーブルWTは、Xおよび/またはY方向に移動され、それによって別のターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一静的露光時に結像されるターゲット部分Cのサイズが限定される。
【0052】
[0055] 2.スキャンモードにおいては、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期的にスキャンする一方で、放射ビームに付けられたパターンをターゲット部分C上に投影する(すなわち、単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPSの(縮小)拡大率および像反転特性によって決めることができる。スキャンモードにおいては、露光フィールドの最大サイズによって、単一動的露光時のターゲット部分の幅(非スキャン方向)が限定される一方、スキャン動作の長さによって、ターゲット部分の高さ(スキャン方向)が決まる。
【0053】
[0056] 3.別のモードにおいては、プログラマブルパターニングデバイスを保持した状態で、マスクテーブルMTを基本的に静止状態に保ち、また基板テーブルWTを動かす、またはスキャンする一方で、放射ビームに付けられているパターンをターゲット部分C上に投影する。このモードにおいては、通常、パルス放射源が採用されており、さらにプログラマブルパターニングデバイスは、基板テーブルWTの移動後ごとに、またはスキャン中の連続する放射パルスと放射パルスとの間に、必要に応じて更新される。この動作モードは、前述の型のプログラマブルミラーアレイといったプログラマブルパターニングデバイスを利用するマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0054】
[0057] 上述の使用モードの組合せおよび/またはバリエーション、あるいは完全に異なる使用モードもまた採用可能である。
【0055】
[0058] 図2は、レーザ生成プラズマ源10に対する構成の一実施形態を概略的に示す。構成10は、例えば適切な共晶Gd合金または共晶Tb合金3などの液化ターゲット材料を用いて構成された容器2を含む。容器2は、領域1へのGd(またはTb)ターゲット材料の液体小滴4a、4b、4cおよび4dの供給のための適切な機構または開口部(図示せず)を用いて構成されてよい。ここで、小滴は、レーザ源5によって提供されるレーザビーム6によって衝突されるように位置決めされる。レーザビーム6は、好ましくは、適切な光学システム(図示せず)を用いて領域1内で合焦される。 レーザビーム6との相互作用の際、小滴4a、4b、4cおよび4dは、6.8nm放射を放出するプラズマ状態へと変化し、これは、例えば4d〜4f遷移などの適切な電子遷移によるGdまたはTb原子の緩和の特徴である。
【0056】
[0059] 発散されるEUV6.8nmビーム7は、領域1から発散される粒子デブリを収集または偏向するように構成された適切なデブリ緩和システム8によって遮断されてよい。実質的にデブリを有さないEUVビーム7aは、ビーム7aを適切に調整するように構成された照明システム9内へと入ってよい。
【0057】
[0060] 図3は、放電生成プラズマ(DPP)源に対する構成の一実施形態を概略的に示す。構成20は、適切なデリバリ容器23aおよび23bから供給され得る、例えば液化Gd共晶合金または液化Tb共晶合金3などの液化ターゲット材料によって少なくとも部分的に覆われるように構成された表面を有する2つの回転体21および22を含んでよい。回転体21および22は、放電を開始するために高電圧26の下で保たれ、矢印によって概略的に示すように、お互いに向かった方向に回転可能であってよい。約6.8nmの波長を有するEUVビーム27を生成するために、ターゲット材料は、レーザ源24によって生成される適切な合焦レーザビーム25によって照射される。放電生成プラズマを生成するためのそれ自体が公知である他の構成も適用可能であることが理解されるであろう。
【0058】
[0061] 図4は、複数の固体小滴42として構成されるGdまたはTbターゲット40の一実施形態を概略的に示す。GdまたはTbターゲット40は、適切な容器41に提供され得る固体小滴の適切な組成物を含んでよい。固体小滴は、10〜100マイクロメートルの範囲、好ましくは10〜50マイクロメートルの範囲内で寸法決めされてよく、よって、6.8nmビームの生成のために所望の実質的に最適な量のGdまたはTb原子を含むように構成されてよい。小滴の最適加熱温度に関する所望の最適量のGdまたはTb原子の計算は、当業者の知識の範囲内にある。容器41は、個々の小滴42aおよび42bを容器の外に供給するための開口ポート43を含んでよい。個々の小滴42aおよび42bは、上記し、かつ図2に示すレーザビーム6のように、適切に適合されたレーザビームがEUV放射の生成のために存在する領域に供給されてよい。
【0059】
[0062] 固体小滴は、実質的に純GdまたはTb、あるいは共晶合金、塩、酸化物などといったGdまたはTbを含む適切な組成物に関し得る。そのような成形前の固体小滴を用いることによって、ガドリニウムまたはテルビウムを液化する必要がない。これは、リソグラフィのための6.8nm放射の生成のためのエネルギーをかなりの量セーブするという利点を有し得る。
【0060】
[0063] 一実施形態では、固体小滴42は、GdまたはTb粒子、GdまたはTb酸化物粒子、GdまたはTb共晶合金粒子、あるいはGdまたはTb塩粒子とさらなるエレメントとのコロイド化合物を含んでよい。
【0061】
[0064] そのようなコロイド化合物は、そこから固体小滴が生成される、例えばプラスチックなどの適切な結合剤材料を用いて結合されてよい。適切なGdまたはTb塩が水溶性である一実施形態では、固体小滴はGbまたはTb塩の凝固した水溶液を含んでよい。
【0062】
[0065] 固体小滴42はほぼ丸い断面を有するように示されているが、立方体、角柱、楕円または円柱などの他の構成であってもよい。
【0063】
[0066] 前述のターゲット材料について考察したようなリソグラフィ装置は、レーザ生成プラズマ(LPP)源または放電生成プラズマ(DPP)源のいずれかを用いて放射ビームを生成するように構成されてよい。
【0064】
[0067] 本発明の実施形態によると、デバイス製造方法が提供されており、ここではパターン付けされた放射ビームは基板上に投影され、放射は、複数の成形前の固体小滴として構成された共晶合金、コロイド化合物、酸化物または塩などのGdまたはGd組成物を含むターゲット材料を用いて生成される。
【0065】
[0068] 本発明の実施形態によると、デバイス製造方法が提供されており、ここではパターン付けされた放射ビームは基板上に投影され、放射は、複数の成形前の固体小滴として構成された共晶合金、コロイド化合物、酸化物または塩などのTbまたはTb組成物を含むターゲット材料を用いて生成される。
【0066】
[0069] 本明細書において、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について具体的な言及がなされているが、本明細書記載のリソグラフィ装置が、集積光学システム、磁気ドメインメモリ用のガイダンスパターンおよび検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造といった他の用途を有し得ることが理解されるべきである。当業者にとっては当然のことであるが、そのような別の用途においては、本明細書で使用される「ウェーハ」または「ダイ」という用語はすべて、それぞれより一般的な「基板」または「ターゲット部分」という用語と同義であるとみなしてよい。本明細書に記載した基板は、露光の前後を問わず、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、かつ露光されたレジストを現像するツール)、メトロロジーツール、および/またはインスペクションツールで処理されてもよい。適用可能な場合には、本明細書中の開示内容を上記のような基板プロセシングツールおよびその他の基板プロセシングツールに適用してもよい。さらに基板は、例えば、多層ICを作るために複数回処理されてもよいので、本明細書で使用される基板という用語は、すでに多重処理層を包含している基板を表すものとしてもよい。
【0067】
[0070] 光リソグラフィの関連での本発明の実施形態の使用について上述のとおり具体的な言及がなされたが、当然のことながら、本発明は、他の用途、例えば、インプリントリソグラフィに使われてもよく、さらに状況が許すのであれば、光リソグラフィに限定されることはない。インプリントリソグラフィにおいては、パターニングデバイス内のトポグラフィによって、基板上に創出されるパターンが定義される。パターニングデバイスのトポグラフィは、基板に供給されたレジスト層の中にプレス加工され、基板上では、電磁放射、熱、圧力、またはそれらの組合せによってレジストは硬化される。パターニングデバイスは、レジストが硬化した後、レジスト内にパターンを残してレジストの外へ移動される。
【0068】
[0071] 本明細書で使用される「放射」および「ビーム」という用語は、特に約6.8nmの波長を有するEUV放射に関する。
【0069】
[0072] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気、および静電型光コンポーネントを含む様々な種類の光コンポーネントのいずれか1つまたはこれらの組合せを指すことができる。
【0070】
[0073] 以上、本発明の具体的な実施形態を説明してきたが、本発明は、上述以外の態様で実施できることが明らかである。例えば、本発明は、上記に開示した方法を表す1つ以上の機械読取可能命令のシーケンスを含むコンピュータプログラムの形態、またはこのようなコンピュータプログラムが記憶されたデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気ディスクまたは光ディスク)の形態であってもよい。
【0071】
[0074] 上記の説明は、制限ではなく例示を意図したものである。したがって、当業者には明らかなように、添付の特許請求の範囲を逸脱することなく本記載の発明に変更を加えてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
極端紫外線範囲内の波長を有する放射ビームを生成する放射源における使用のためのターゲット材料であって、Gdの溶融温度を変更するように構成されたGdベースの組成物を含む、ターゲット材料。
【請求項2】
前記組成物はGdの前記溶融温度を低下させるように構成されている、請求項1に記載のターゲット材料。
【請求項3】
前記組成物は、Gdとさらなるエレメントとの共晶合金を含む、請求項2に記載のターゲット材料。
【請求項4】
前記さらなるエレメントは、Ag、Cu、Ni、Fe、Co、Mn、Al、Ga、Cd、RuおよびRhからなる群から選択される、請求項3に記載のターゲット材料。
【請求項5】
前記共晶合金におけるGd原子量の割合は、約60パーセント〜約90パーセントの範囲内である、請求項3または4に記載のターゲット材料。
【請求項6】
前記ターゲット材料は複数の成形前の固体小滴を含む、請求項1〜5のうちのいずれかに記載のターゲット材料。
【請求項7】
請求項1〜6のうちのいずれかに記載のターゲット材料を含む、放射源。
【請求項8】
請求項7に記載の放射源を含む、リソグラフィ装置。
【請求項9】
極端紫外線範囲内の波長を有する放射ビームを生成するためのターゲット材料であって、複数の成形前の固体小滴として構成されたGdを含む、ターゲット材料。
【請求項10】
前記ターゲット材料は、Gd、Gd酸化物、Gd共晶合金またはGd塩のコロイド化合物を含む、請求項9に記載のターゲット材料。
【請求項11】
前記塩は水溶性であり、前記固体小滴はGd塩の凝固した水溶液を含む、請求項10に記載のターゲット材料。
【請求項12】
請求項9〜11のうちのいずれかに記載のターゲット材料を含む、放射源。
【請求項13】
請求項12に記載の放射源を含む、リソグラフィ装置。
【請求項14】
極端紫外線範囲内の波長を有する放射ビームを生成する放射源において使用されるターゲット材料であって、テルビウムを含む、ターゲット材料。
【請求項15】
前記テルビウムは共晶合金に設けられる、請求項14に記載のターゲット材料。
【請求項16】
複数の固体小滴として構成されている、請求項14または15に記載のターゲット材料。
【請求項17】
請求項14、15または16のうちのいずれかに記載のターゲット材料を含む、放射源。
【請求項18】
請求項17に記載の放射源を含む、リソグラフィ装置。
【請求項19】
パターン付けされた放射ビームを基板上に投影することを含むデバイス製造方法であって、前記放射はテルビウムを含むターゲット材料を用いて生成される、デバイス製造方法。
【請求項20】
Gdの溶融温度を変更するように構成されたGdベースの組成物と、前記放射ビームを生成するためにレーザビームを前記ターゲット材料に供給するレーザ源とを含む、放射源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−515810(P2011−515810A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500718(P2011−500718)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/NL2009/050132
【国際公開番号】WO2009/116867
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】